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特許7531955塩素含有廃棄物処理装置及び塩素含有廃棄物を脱塩する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】塩素含有廃棄物処理装置及び塩素含有廃棄物を脱塩する方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/45 20220101AFI20240805BHJP
   B09B 3/38 20220101ALI20240805BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20240805BHJP
   B09B 101/77 20220101ALN20240805BHJP
【FI】
B09B3/45 ZAB
B09B3/38
B09B3/70
B09B101:77
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024053057
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2023143051
(32)【優先日】2023-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523161767
【氏名又は名称】一般社団法人亜臨界水反応総合技術研究会
(74)【代理人】
【識別番号】100145126
【弁理士】
【氏名又は名称】金丸 清隆
(72)【発明者】
【氏名】石森 鋼男
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-185021(JP,A)
【文献】特開2020-138121(JP,A)
【文献】特開2010-106133(JP,A)
【文献】特開2008-264756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/45
B09B 3/38
B09B 3/70
B09B 101/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有廃棄物を投入する投入口と、残留蒸気を排出する残留蒸気排出口と、再生物を排出する再生物排出口とを有する密閉可能な耐圧容器と、
過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する耐圧容器内過熱蒸気供給手段と
を備えた、高温かつ高圧条件下で前記塩素含有廃棄物を加水分解処理する塩素含有廃棄物処理装置であって、
前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記残留蒸気排出口から前記耐圧容器外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段と、
前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出した後に、前記加水分解処理して得られた再生物を洗浄する洗浄液を前記耐圧容器内へ注入する洗浄液注入手段と
を備えることを特徴とする塩素含有廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する残留蒸気含有固形物回収手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の塩素含有廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記耐圧容器内における前記再生物の洗浄後に、前記洗浄した再生物を乾燥する空気を前記耐圧容器内へ供給する乾燥用空気供給手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の塩素含有廃棄物処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム。
【請求項5】
塩素含有廃棄物を脱塩する方法であって、
塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程と、
過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程と、
前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を撹拌しつつ加水分解処理して再生物を得る工程と、
前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程と、
前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出した後に、洗浄液を前記耐圧容器内へ注入して前記再生物を洗浄する工程
有することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する工程を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記耐圧容器内における前記再生物の洗浄後に、空気を前記耐圧容器内へ供給して前記洗浄した再生物を乾燥する工程を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素含有廃棄物処理装置、塩素含有廃棄物を除染する方法に関し、具体的には、塩素含有廃棄物を投入する投入口と、残留蒸気を排出する残留蒸気排出口と、再生物を排出する再生物排出口とを備えた密閉可能な耐圧容器と、過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する耐圧容器内過熱蒸気供給手段とを有する、高温かつ高圧条件下で前記塩素含有廃棄物を加水分解処理する塩素含有廃棄物処理装置であって、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記残留蒸気排出口から前記耐圧容器外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段を備えることを特徴とする塩素含有廃棄物処理装置、その塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法であって、塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程と、前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理して再生物を得る工程と、前記加水分解処理に続いて、前記加水分解処理後の残留蒸気を、前記耐圧容器外へ、吸引して排出する工程とを有することを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみや建築廃材、医療廃棄物などの一般廃棄物、産業廃棄物などの都市ごみなどは、塩化ビニル(PVC)などの有機塩素化合物を多く含む塩素含有廃棄物であり、そのような塩素含有廃棄物を焼却炉や熱回収炉を用いて焼却処理した場合、ダイオキシン類や環境ホルモンといった有害物質が生成され得る。そのため、従来、超臨界水条件下(温度が374.2℃以上で圧力が22.12MPa以上)の温度・圧力の超臨界水や、臨界点よりもやや低い近傍の領域にある亜臨界水条件下(温度が100~300℃で圧力が1~8MPa)の亜臨界水を用いて、塩素含有廃棄物を加水分解処理する方法が提案されている。超臨界水や亜臨界水を用いた加水分解処理により塩素含有廃棄物から塩素が分離され(脱塩)、飽和蒸気である加水分解処理後の残留蒸気に移行させることができるからである。
【0003】
例えば、有機塩素化合物を含む有機性廃棄物を投入する投入口と、排蒸気及び排ガスを排出する排出弁と、再生物を排出する取出口とを備えた密閉可能な反応容器と、過熱水蒸気を前記反応容器内へ供給する第2蒸気供給口とを有する、高温かつ高圧条件下で前記有機塩素化合物を含む有機性廃棄物を水熱反応処理する反応装置であって、前記水熱反応処理がされて前記水熱反応処理により生じた排蒸気及び排ガスを、前記排出弁から前記反応容器外へ吸引して排出することができる、排ガス処理設備を備える反応装置(特許文献1)が提案されている。
【0004】
上述した特許文献1に開示されている反応装置は、水熱反応装置を備えて飽和水蒸気または過熱水蒸気による水熱反応により原料である有機性廃棄物中の有機化合物及び有機塩素化合物を変性(加水分解)処理し、乾燥装置を備えて水熱反応生成物中の有機塩素化合物を揮発させる乾燥装置であるが、これでは変性処理した時点で残留蒸気に移行した有機塩素化合物が水熱反応生成物に回帰してしまい、その水熱反応生成物に回帰した有機塩素化合物を乾燥によって十分に揮発させることが困難である。
【0005】
一方、攪拌羽が取り付けられた攪拌軸の駆動モータに抵抗器を接続して、駆動モータに作用する電気抵抗値を測定することにより、攪拌軸の回転抵抗値を検知することにより、装置に投入された茶葉の蒸し具合を確認しつつ当該装置を運転して、蒸し度が一定した蒸し茶葉を得ることができる回転胴形茶葉蒸機が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-185021号公報
【文献】特開平8-070770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2に開示されている回転胴形茶葉蒸機は、茶葉を適正な蒸し度になるように処理を加えて、蒸し度が一定した蒸し茶葉を得ることを目的とする装置であることから、当該装置に投入された茶葉の蒸し具合を確認しつつ当該装置を運転する必要があるのであり、原料である有機性廃棄物を水熱反応により変性(加水分解)処理し切ってしまうという装置とは目的や作用効果を異にする。
【0008】
本発明は、超臨界水や亜臨界水を用いた加水分解処理により塩素含有廃棄物から分離して、飽和蒸気である加水分解処理後の残留蒸気に移行していた塩素が、生成した再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができるために、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができ、得られた再生物をカーボンニュートラル燃料などの資源として利用することができる他、得られた再生物を減容することができ、また、そうして得られた再生物を速やかに洗浄することができるために、より塩素の含有を低減した再生物を得ることができ、さらに、得られた再生物を耐圧容器内で乾燥することができるために、生成した再生物を速やかに資源として利用することができる塩素含有廃棄物処理装置、その塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、密閉可能な耐圧容器にて高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理し、続いて、その加水分解処理後の残留蒸気を、その耐圧容器の残留蒸気排出口から耐圧容器外へ、吸引して排出することで、得られた再生物を減容することができること、また、超臨界水や亜臨界水を用いた加水分解処理により塩素含有廃棄物から分離して、飽和蒸気である加水分解処理後の残留蒸気に移行していた塩素が、得られた再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができ、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができること、また、そうして得られた再生物を速やかに洗浄することで、より塩素の含有を低減した再生物を得ることができること、さらに、そうして得られた再生物を耐圧容器内で乾燥することで、得られた再生物を速やかに資源として利用することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0010】
(1)塩素含有廃棄物を投入する投入口と、残留蒸気を排出する残留蒸気排出口と、再生物を排出する再生物排出口とを有する密閉可能な耐圧容器と、過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する耐圧容器内過熱蒸気供給手段とを備えた、高温かつ高圧条件下で前記塩素含有廃棄物を加水分解処理する塩素含有廃棄物処理装置であって、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記残留蒸気排出口から前記耐圧容器外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段を備えることを特徴とする塩素含有廃棄物処理装置。
【0011】
(2)塩素含有廃棄物を投入する投入口と、残留蒸気を排出する残留蒸気排出口と、再生物を排出する再生物排出口とを有する密閉可能な耐圧容器と、過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する耐圧容器内過熱蒸気供給手段とを備えた、高温かつ高圧条件下で前記塩素含有廃棄物を加水分解処理する塩素含有廃棄物処理装置であって、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記残留蒸気排出口から前記耐圧容器外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段と、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出した後に、前記加水分解処理して得られた再生物を洗浄する洗浄液を前記耐圧容器内へ注入する洗浄液注入手段とを備えることを特徴とする塩素含有廃棄物処理装置。
【0012】
(3)前記吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する残留蒸気含有固形物回収手段を有することを特徴とする、(1)に記載の塩素含有廃棄物処理装置。
【0013】
(4)前記耐圧容器内における前記再生物の洗浄後に、前記洗浄した再生物を乾燥する空気を前記耐圧容器内へ供給する乾燥用空気供給手段を備えることを特徴とする、(2)に記載の塩素含有廃棄物処理装置。
【0014】
(5)(1)から(4)のいずれか一に記載の塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム。
【0015】
(6)塩素含有廃棄物を脱塩する方法であって、塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程と、過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程と、前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を撹拌しつつ加水分解処理して再生物を得る工程と、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程とを有することを特徴とする方法。
【0016】
(7)塩素含有廃棄物を脱塩する方法であって、塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程と、過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程と、前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を撹拌しつつ加水分解処理して再生物を得る工程と、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程と、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出した後に、洗浄液を前記耐圧容器内へ注入して前記再生物を洗浄する工程を有することを特徴とする方法。
【0017】
(8)前記吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する工程を有することを特徴とする、(6)に記載の方法。
【0018】
(9)前記耐圧容器内における前記再生物の洗浄後に、空気を前記耐圧容器内へ供給して前記洗浄した再生物を乾燥する工程を有することを特徴とする、(7)に記載の方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置、その塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法によれば、密閉可能な耐圧容器にて高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理し、続いて、その加水分解処理後の残留蒸気を、その耐圧容器の残留蒸気排出口から耐圧容器外へ、吸引して排出することで、得られた再生物を減容することができ、また、超臨界水や亜臨界水を用いた加水分解処理により塩素含有廃棄物から分離して、飽和蒸気である加水分解処理後の残留蒸気に移行していた塩素が、そうして得られた再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができて、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができ、また、そうして得られた再生物を速やかに洗浄することで、より塩素の含有を低減した再生物を得ることができ、さらに、そうして得られた再生物を耐圧容器内で乾燥することで、得られた再生物を速やかに資源として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態における塩素含有廃棄物処理装置1の耐圧容器11を示す図である。
図2】本発明の実施形態における塩素含有廃棄物処理装置1を示す図である。
図3】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第一実施形態を示す図である。
図4】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第一実施形態の異なる態様を示す図である。
図5】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第二実施形態を示す図である。
図6】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第二実施形態の異なる態様を示す図である。
図7】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第三実施形態を示す図である。
図8】本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第三実施形態の異なる態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置、その塩素含有廃棄物処理装置を備える塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法について、図面を用いて詳細に説明する。先ず、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態について説明する。本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図1及び図2に示すように、塩素含有廃棄物を投入する投入口2と、残留蒸気を排出する残留蒸気排出口31と、再生物を排出する再生物排出口4とを備えた密閉可能な耐圧容器11と、過熱蒸気を耐圧容器11内へ供給する耐圧容器内過熱蒸気供給手段5とを有する、高温かつ高圧条件下で前記塩素含有廃棄物を加水分解処理する塩素含有廃棄物処理装置1であって、前記加水分解処理に続いて、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段3を備えている。以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、「塩素含有廃棄物」は、塩素を含有する廃棄物であれば特に限定されないが、例えば、生ごみなどの家庭ごみ、建築廃材、医療廃棄物、介護廃棄物、食物残渣、畜産廃棄物、廃プラスチックなどの各種樹脂、ペーパースラッジ、下水汚泥、排水汚泥、木材、草木、紙、ウエス、活性炭、アスファルトなどを挙げることができ、また、加水分解処理後に析出が可能なため、無機物が混入しているものも含まれる。
【0023】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、「再生物」とは、塩素含有廃棄物を高温かつ高圧条件下で加水分解処理して得られるものをいい、カーボンニュートラル燃料などの燃料や肥料、飼料などとして再利用され得る。
【0024】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、「蒸気」とは水蒸気のことであり、蒸気は本発明の特徴を損なわない範囲で不純物を含んでもよく、臨界温度以下の物質の気相の他、臨界温度以上の物質の気相をも含む。また、「過熱蒸気」とは水を飽和温度(沸点)以上に加熱した蒸気のことであり、換言すれば、水を沸騰させ発生した飽和蒸気を、さらに加熱した高温の蒸気のことである。
【0025】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、「高温かつ高圧条件」とは、亜臨界水条件(温度が100~300℃で圧力が1~8MPa、温度が300~374.2℃で圧力が8MPa~22.12MPaの条件)及び超臨界水条件(温度が374.2℃以上で圧力が22.12MPa以上)をいい、温度が200~250℃で圧力が1~5MPaの条件が好ましく、温度が210~240℃で圧力が2~4MPaの条件がより好ましく、温度が220~240℃で圧力が2~4MPaの条件がさらに好ましく、温度が225~235℃で圧力が2.5~3.5MPaの条件がよりさらに好ましく、温度が約230℃で圧力が約3MPaの条件が最も好ましい。本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1においては、最も好ましい「高温かつ高圧条件」として、温度が230℃で圧力が3MPaの条件としているが、温度条件及び圧力条件ともに多少のブレは避けられないため、温度が約230℃で圧力が約3MPaの条件を、最も好ましい「高温かつ高圧条件」とする。
【0026】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における耐圧容器11は、図1に示すように、塩素含有廃棄物を耐圧容器11内へ投入するための投入口2と、耐圧容器11内から残留蒸気を排出するための残留蒸気排出口31と、耐圧容器11内から再生物を排出するための再生物排出口4とを備える。耐圧容器11は、耐熱性と耐圧性の他、高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理することに対応する耐酸化性、耐電蝕性を備えた、密閉可能なものであれば限定されないが、そのような耐圧容器11としては、例えば、ステンレス製やニッケル合金製、鋼製の容器を挙げることができる。また、耐圧容器11の形状は特に限定されないが、耐圧性に優れる円筒形状や球形状が好ましく、耐圧容器11内に撹拌移送手段12を備えるような場合は、円筒形状がより好ましい。また、投入口2は、塩素含有廃棄物を耐圧容器11内へ投入でき、かつ、密閉が可能なものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができ、残留蒸気排出口31は、処理後の耐圧容器11内の残留蒸気を耐圧容器11外へ排出でき、かつ、密閉が可能な排出口であれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができ、再生物排出口4は、耐圧容器11内で塩素含有廃棄物を加水分解処理して得られた再生物を耐圧容器11外へ排出でき、かつ、密閉が可能であれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0027】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における耐圧容器内過熱蒸気供給手段5は、図1及び図2に示すように、耐圧容器内過熱蒸気注入口51と耐圧容器内過熱蒸気調整弁52と蒸気ボイラ53と蒸気供給管54とヘッダー55と過熱蒸気供給管56と高温空気発生器57と高温空気供給管58とを備えている。また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1の耐圧容器内過熱蒸気供給手段5においては、蒸気ボイラ53と蒸気供給管54とが蒸気供給手段を構成し、高温空気発生器57と高温空気供給管58とが高温空気供給手段を構成し、ヘッダー55と過熱蒸気供給管56とが混合耐圧容器内過熱蒸気供給手段を構成している。
【0028】
耐圧容器内過熱蒸気注入口51は、過熱蒸気供給管56から供給される過熱蒸気を耐圧容器11内へ注入するための注入口であり、過熱蒸気供給管56から供給されて耐圧容器11内へ注入する過熱蒸気の量を調整するための耐圧容器内過熱蒸気調整弁52を備えている。そのような耐圧容器内過熱蒸気注入口51及び耐圧容器内過熱蒸気調整弁52は、それぞれ、過熱蒸気供給管56から供給される過熱蒸気を耐圧容器11内へ注入することや、過熱蒸気供給管56から供給されて耐圧容器11内へ注入する過熱蒸気の量を調整することができれば、特に限定されず、それぞれ、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。また、蒸気ボイラ53は、前記高温空気供給手段が機能する場合には飽和蒸気(湿り飽和蒸気または乾き飽和蒸気)を発生し、前記高温空気供給手段が機能しない場合には過熱蒸気を発生する。そのような蒸気ボイラ53は、飽和蒸気及び過熱蒸気を発生することができるものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。また、蒸気供給管54は、飽和蒸気及び過熱蒸気を送通可能であって、かつ、耐圧のものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。また、ヘッダー55は、前記高温空気供給手段が機能する場合には、蒸気ボイラ53から供給された飽和蒸気と高温空気供給手段から供給された高温の空気とを混合して過熱蒸気を発生して、過熱蒸気供給管56へ送り込むことができ、前記高温空気供給手段が機能しない場合には、蒸気ボイラ53から供給された過熱蒸気を過熱蒸気供給管56へ送り込むことができるが、そのようなヘッダー55であれば特に限定されない。また、過熱蒸気供給管56は、ヘッダー55から送り込まれる過熱蒸気を送通可能であって、かつ、耐圧のものであれば、当業者によって適宜選択可能であり、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。ここで、前記高温空気供給手段が機能する場合において、過熱蒸気供給管56は、ヘッダー55を介さずに、蒸気供給管54及び高温空気供給管58と連通して、蒸気ボイラ53から供給された飽和蒸気と高温空気供給手段から供給された高温の空気とを過熱蒸気供給管56内で混合して過熱蒸気を発生し、耐圧容器11内へ送り込むとの構成をとることができる。また、高温空気発生器57は、高温の空気を発生して高温空気供給管58へ送り込むことができるものであれば、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができ、特に限定されない。また、高温空気供給管58は、高温空気発生器57から送り込まれる高温の空気を送通可能であって、かつ、耐圧のものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。ここで、「高温空気発生器57」、「高温空気供給管58」、「高温の空気」との語及び「高温空気」との語における「高温」とは、600℃以上の温度をいい、好ましくは700~1300℃の温度、より好ましくは750~1250℃の温度、さらに好ましくは800~1200℃の温度、よりさらに好ましくは850~1150℃の温度、最も好ましくは900~1000℃の温度をいう。
【0029】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における残留蒸気吸引排出手段3は、図1及び図2に示すように、残留蒸気排出口31と残留蒸気排出弁32と残留蒸気吸引装置33と残留蒸気送通管34とを備えている。図1に示すように、残留蒸気排出口31には、残留蒸気排出弁32が形成されており、処理後に耐圧容器11内から排出される残留蒸気の排出量を調整する。また、残留蒸気吸引装置33は、図2に示すように、残留蒸気送通管34を介して残留蒸気排出口31と連通するようにして設置されており、塩素含有廃棄物が耐圧容器11内において高温かつ高圧条件下で加水分解処理され、これに続いて、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ、吸引して排出する。ここで、用語「続いて」は、加水分解処理がされて、できるだけ早くという意味であり、用語「直後に」、「次に」、「後に」と置換可能となる場合がある。なお、それら、残留蒸気排出口31と残留蒸気排出弁32と残留蒸気吸引装置33と残留蒸気送通管34とは、上述した各々の役割を果たすことができれば特に限定されず、それぞれ当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0030】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1のモーター82には、残留蒸気吸引排出手段3を構成する抵抗器36が配設されている。耐圧容器11内に投入された塩素含有廃棄物が、高温かつ高圧条件下で加水分解処理されてしまうと、処理物の撹拌抵抗が大幅に減少することから、抵抗器36によるモニタリングによって当該撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点を把握することができる。これにより、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ吸引して排出することができ、残留蒸気と生成した再生物とを速やかに分離することができることから、前記加水分解処理により前記塩素含有廃棄物から分離して残留蒸気に移行していた塩素が、前記生成した再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができ、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができる。なお、抵抗器36は、当該撹拌抵抗に係る電気抵抗の値を測定することができれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0031】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図2に示すように、吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する残留蒸気含有固形物回収手段35をさらに備えている。そのような残留蒸気含有固形物回収手段35としては、例えば、クリーンルームや塵芥除去装置を挙げることができ、残留蒸気含有固形物回収手段35は、その役割を果たすことができれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0032】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1においては、図2に示すように、投入口2と連接して投入コンベア21が配設されており、塩素含有廃棄物を投入口2へ運搬する。なお、投入コンベア21は、上述した各々の役割を果たすことができれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0033】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1においては、図2に示すように、再生物排出口4と連接して、排出コンベア41と選別装置42と搬送コンベア43とが配設されており、一連の処理後に耐圧容器11内から再生物を排出し、選別して、コンテナ44へ搬送する。それら、排出コンベア41と選別装置42と搬送コンベア43とコンテナ44とは、上述した各々の役割を果たすことができれば特に限定されず、それぞれ、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0034】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1の耐圧容器11内には、図1に示すように、複数のブレード122を略均等間隔に取り付けた水平回転軸121が配設されており、高温かつ高圧条件下で撹拌するときは15~20rpmで正回転を続け、加水分解処理を終えると、再生物を再生物排出口4へ移送するために30~40rpmで逆回転をする。水平回転軸121に取り付けられた複数のブレード122は、再生物排出口4に対し15~35°の角度となるように取り付けることができ、これにより、摩耗した際には容易に交換が可能となる。なお、耐圧容器11内には、複数のブレード122を略均等間隔に取り付けた水平回転軸121の代わりに、例えば、へリックス、タービン、アンカーといった回転要素を配設することが可能である。なお、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1におけるブレード122の形態としては、平面ブレードなどを挙げることができる。
【0035】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、耐圧容器内圧力調整手段13を備えており、図1に示すように、耐圧容器内圧力調整手段13は、耐圧容器内圧力調整弁131と安全弁132と耐圧容器内温度・圧力計133とを備えている。耐圧容器内圧力調整弁131は、耐圧容器11内の圧力を一定に保持するように働く自力制御弁の一種であり、安全弁132は、逃がし弁ともいわれ、耐圧容器11内の圧力が異常に上昇した際に自動的に圧力を放出させて、内部圧力の降下とともに自動的に閉じる構造の弁をいい、耐圧容器内温度・圧力計133は、耐圧容器11内の温度と圧力を測定する計器であり、いずれについても当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0036】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における耐圧容器11の底部には、図1に示すように、ドレン14を形成している。そのようなドレン14は、当業者によって適宜選択可能なものを用いることができる。
【0037】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図1に示すように、撹拌移送駆動手段8を備えており、そのような撹拌移送駆動手段8は、ベアリング81とモーター82と減速機83とを備えている。それら、ベアリング81とモーター82と減速機83とは、上述した各々の役割を果たすことができれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。なお、例えば、後述する洗浄剤の耐圧容器11内への供給を利用する他、他の手段や構成により再生物の撹拌や再生物排出口4への移送が可能であるならば、本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、水平回転軸121及びブレード122、ならびに、撹拌移送駆動手段8の一部または全部の構成を備えなくてもよい。
【0038】
本第一実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図2に示すように、制御盤91と燃料タンク92を備えており、制御盤91により塩素含有廃棄物処理装置1が操作され、燃料タンク92より燃料の供給を受けている。それら制御盤91と燃料タンク92とは、上述した各々の役割を果たすことができれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0039】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第二実施形態について説明する。本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図1及び図2に示すように、加水分解処理により生じた残留蒸気を、耐圧容器11外へ吸引して排出する間に、または、加水分解処理により生じた残留蒸気を、耐圧容器11外へ吸引して排出した後に、前記加水分解処理して得られた再生物を洗浄する洗浄液を耐圧容器11内へ注入する洗浄液注入手段6をさらに備えている。以下、各構成について詳細に説明する。なお、本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1のうち、上述した塩素含有廃棄物処理装置1の第一実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0040】
本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における洗浄液注入手段6は、図1及び図2に示すように、洗浄液注入口61と洗浄液タンク62と洗浄液供給管63とを備えている。本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における洗浄液注入口61は、洗浄液供給管63を通じて洗浄液タンク62から供給される洗浄液を、耐圧容器11内へ注入するための注入口である。本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、「洗浄液」は、加水分解処理して得られた再生物を洗浄することができ、かつ、洗浄後の再生物が、カーボンニュートラル燃料などの燃料や肥料、飼料などとして再利用され得るものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができるが、そのような洗浄液としては、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、中性洗剤、アルコール水溶液などの水溶性溶剤を用いることができ、必要に応じて界面活性剤や消泡剤を添加させてもよいが、水または温水が好ましく、5~100℃の水または温水がより好ましく、6~90℃の水または温水がより好ましく、7~80℃の水または温水がより好ましく、8~70℃の水または温水がより好ましく、9~65℃の水または温水がより好ましく、10~60℃の水または温水がより好ましく、11~55℃の水または温水がより好ましく、12~50℃の水または温水がより好ましく、13~45℃の水または温水がさらに好ましく、14~40℃の水または温水がよりさらに好ましく、15~35℃の水または温水が特に好ましい。なお、本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1における「洗浄液」は、加水分解処理して得られた再生物を洗浄すると同時に、耐圧容器11内を洗浄するものでもよい。
【0041】
本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、洗浄液注入口61は、洗浄液供給管63を通じて洗浄液タンク62から供給される洗浄液を耐圧容器11内へ注入することができれば、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。また、洗浄液タンク62は、洗浄液を格納することができるものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。また、洗浄液供給管63は、洗浄液を送通することができるものであれば特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0042】
次に、本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、図1及び図2に示すように、耐圧容器11内における再生物の洗浄後に、前記洗浄した再生物を乾燥する空気を耐圧容器11内へ供給する乾燥用空気供給手段7をさらに備えており、そのような乾燥用空気供給手段7は、耐圧容器11内へ乾燥用の空気を供給することができる、投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72と乾燥用空気供給装置73と乾燥用空気供給管74とを備えている。
【0043】
投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72は、耐圧容器11内における再生物の洗浄後に、乾燥用空気供給管74を通じて乾燥用空気供給装置73から耐圧容器11内へ供給される、洗浄した再生物の乾燥用空気の供給口である。そのような投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72は、耐圧容器11内における前記再生物の洗浄後に、乾燥用空気供給管74を通じて乾燥用空気供給装置73から耐圧容器11内へ供給することできれば、特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。なお、前記洗浄した再生物の乾燥用空気の供給口として、投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72とともに、または、投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72の代わりに、洗浄液注入口61を使用することが可能である。
【0044】
乾燥用空気供給装置73は、乾燥用空気供給管74を通して耐圧容器11内へ洗浄した再生物の乾燥用の空気を供給する装置である。そのような乾燥用空気供給装置73は、洗浄した再生物の乾燥用の空気を供給することが可能であれば、当業者によって適宜選択可能であり、特に限定されない。また、乾燥用空気供給管74は、投入口側乾燥用空気供給口71と残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72を通して、乾燥用空気供給装置73が耐圧容器11内へ供給する洗浄した再生物の乾燥用の空気を供給することができれば、当業者によって適宜選択可能なものを使用することができる。
【0045】
なお、本第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1において、洗浄した再生物を乾燥する「空気」は乾燥していることが好ましい。また、その空気の温度は、好ましくは20~100℃であり、より好ましくは30~95℃であり、さらに好ましくは35~90℃であり、よりさらに好ましくは40~85℃であり、最も好ましくは45~80℃の温度である。
【0046】
第一実施形態及び第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1は、例えば、耐圧容器11を囲繞する耐熱性や耐圧性を有するジャケットや、投入口2への塩素含有廃棄物の投入を開始してから投入口2を閉口するまでの間に耐圧容器11内の空気を外部へ排出する耐圧容器内空気排出手段、再生物の生成後から前記再生物を耐圧容器11外へ排出するまでの間に耐圧容器11内へ低温の空気を供給する低温空気供給手段、耐圧容器11の底部に設けられる鋼板交換部など、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる構成をさらに備えてもよい。ただし、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の構成は、上述した第一実施形態及び第二実施形態の構成に限定されるものではない。
【0047】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物処理システムの実施形態について説明する。なお、本実施形態の塩素含有廃棄物処理システム0(図示しない)のうち、上述した本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本実施形態の塩素含有廃棄物処理システム0(図示しない)は、上述した第一実施形態及び第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1の少なくともいずれかを備えている。そのような本実施形態の塩素含有廃棄物処理システム0(図示しない)は、上述した第一実施形態及び第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1の少なくともいずれかを備えていればよく、例えば、サーキュレーター、脱臭装置、冷却塔、凝縮器、油水分離器、水処理装置、ボイラ水循環装置など、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる構成をさらに備えてもよい。ただし、本発明に係る塩素含有廃棄物処理システムの構成は、上述した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0048】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第一実施形態について説明する。なお、本第一実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMのうち、上述した本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態、ならびに、本発明に係る塩素含有廃棄物処理システムの実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本第一実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図3に示すように、下記の(i)~(iv)の工程を有している;
(i)塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程(廃棄物投入工程S1)、
(ii)過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程(過熱蒸気供給工程S2)、
(iii)前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理して再生物を得る工程(加水分解処理工程S3)、
(iv)前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程(残留蒸気吸引排出工程S4)。
【0049】
廃棄物投入工程S1、過熱蒸気供給工程S2、加水分解処理工程S3及び残留蒸気吸引排出工程S4における「塩素含有廃棄物」、「蒸気」、「過熱蒸気」、「高温かつ高圧条件」及び「再生物」は、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態におけるそれらと同一である。また、廃棄物投入工程S1、過熱蒸気供給工程S2、加水分解処理工程S3及び残留蒸気吸引排出工程S4における「耐圧容器」は、耐熱性と耐圧性の他、高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理することに対応する耐酸化性、耐電蝕性を備えた、密閉可能なものであれば限定されないが、そのような耐圧容器としては、例えば、ステンレス製やニッケル合金製、鋼製の容器を挙げることができ、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態における耐圧容器11を挙げることができる。
【0050】
残留蒸気吸引排出工程S4は、例えば抵抗器を配設し、当該抵抗器を用いたモニタリングによって当該撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点を把握することができ、これにより、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出することができる。その結果、残留蒸気と生成した再生物とを速やかに分離することができることから、前記加水分解処理により前記塩素含有廃棄物から分離して残留蒸気に移行していた塩素が、前記生成した再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができる。
【0051】
また、本第一実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図4に示すように、下記の(v)の工程を有してもよい;
(v)前記吸引して排出した残留蒸気に含まれる固形物を回収する工程(残留蒸気固形物回収工程S5)。
【0052】
残留蒸気固形物回収工程S5は、例えば、クリーンルームや塵芥除去装置を使用することにより実行可能であるが、これらに限られず、当業者によって適宜選択可能なものを使用して実行することができる。
【0053】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第二実施形態について説明する。なお、本第二実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMのうち、上述した本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態、本発明に係る塩素含有廃棄物処理システムの実施形態、ならびに、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMの第一実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本第二実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図5に示すように、下記の(I)~(V)の工程を有している;
(I)塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程(廃棄物投入工程S1)、
(II)過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程(過熱蒸気供給工程S2)、
(III)前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理して再生物を得る工程(加水分解処理工程S3)、
(IV)前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程(残留蒸気吸引排出工程S4)
(V)前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ吸引して排出した後に、洗浄液を前記耐圧容器内へ注入して前記再生物を洗浄する工程(再生物洗浄工程S6)。
【0054】
再生物洗浄工程S6における「洗浄液」は、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第二実施形態におけるそれと同一である。また、再生物洗浄工程S6は、例えば、洗浄液タンクと洗浄液供給管を使用することにより実行可能であるが、これらに限られず、当業者によって適宜選択可能なものを使用して実行することができる。
【0055】
また、本第二実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図6に示すように、上述した残留蒸気固形物回収工程S5を有してもよい。
【0056】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第三実施形態について説明する。なお、本第三実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMのうち、上述した本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態、本発明に係る塩素含有廃棄物処理システムの実施形態、ならびに、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMの第一実施形態及び第二実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。本第三実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図7に示すように、下記の(a)~(f)の工程を有している;
(a)塩素含有廃棄物を密閉可能な耐圧容器に投入する工程(廃棄物投入工程S1)、
(b)過熱蒸気を前記耐圧容器内へ供給する工程(過熱蒸気供給工程S2)、
(c)前記耐圧容器内において高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理して再生物を得る工程(加水分解処理工程S3)、
(d)前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を前記耐圧容器外へ吸引して排出する工程(残留蒸気吸引排出工程S4)
(e)前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ、吸引して排出する間に、または、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を、前記耐圧容器外へ、吸引して排出した後に、洗浄液を前記耐圧容器内へ注入して前記再生物を洗浄する工程(再生物洗浄工程S6)
(f)前記耐圧容器内における前記再生物の洗浄後に、空気を前記耐圧容器内へ供給して前記洗浄した再生物を乾燥する工程(再生物乾燥工程S7)。
【0057】
再生物乾燥工程S7における「空気」は、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第二実施形態におけるそれと同一である。また、再生物乾燥工程S7は、例えば、乾燥用空気供給装置と乾燥用空気供給管を使用することにより実行可能であるが、これらに限られず、当業者によって適宜選択可能なものを使用して実行することができる。
【0058】
また、本第三実施形態の塩素含有廃棄物を脱塩する方法DMは、図8に示すように、上述した残留蒸気固形物回収工程S5を有してもよい。
【0059】
本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態は、例えば、残留蒸気の吸引を補助する送風手段、脱臭手段、冷却手段、凝縮手段、油水分離手段、水処理手段など、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、いかなる構成をさらに備えてもよい。ただし、本発明に係る塩素含有廃棄物を脱塩する方法の構成は、上述した第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態の構成に限定されるものではない。
【0060】
次に、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の作用について、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態の塩素含有廃棄物処理装置1の作用において、上述した本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置の第一実施形態及び第二実施形態の構成と同一もしくは相当する構成については、同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0061】
先ず、塩素含有廃棄物が投入コンベア21により耐圧容器11の投入口2へ運搬され、塩素含有廃棄物が投入口2を通じて耐圧容器11内へ投入される。塩素含有廃棄物が耐圧容器11内へ投入されるのと同じタイミングで、燃料タンク92より燃料の供給を受けた塩素含有廃棄物処理装置1の撹拌移送駆動手段8のベアリング81とモーター82が駆動し、それにより撹拌移送手段12の水平回転軸121が回転し、水平回転軸121に取り付けられた複数のブレード122の働きにより、耐圧容器11内へ投入された塩素含有廃棄物が撹拌される。
【0062】
続いて、投入口2が閉口され、耐圧容器内過熱蒸気供給手段5により、過熱蒸気が耐圧容器11内へ供給される。蒸気ボイラ53と蒸気供給管54にて飽和蒸気(湿り飽和蒸気または乾き飽和蒸気)がヘッダー55へ供給される場合は、高温空気発生器57と高温空気供給管58によって高温の空気がヘッダー55へ供給され、供給された飽和蒸気(湿り飽和蒸気または乾き飽和蒸気)と高温の空気がヘッダー55において混合されて過熱蒸気が生成され、過熱蒸気供給管56を通じて耐圧容器11内へ注入される。これにより、過熱蒸気ボイラを設置しなくとも過熱蒸気を利用することができるため、ランニングコストを低廉させることができ、簡便かつ安全に扱うことが可能となる。一方、蒸気ボイラ53と蒸気供給管54にて過熱蒸気がヘッダー55へ供給される場合は、供給された過熱蒸気は過熱蒸気供給管56を通じて、そのまま耐圧容器11内へ注入される。過熱蒸気が耐圧容器11内へ注入された後、高温かつ高圧条件下において、既に耐圧容器11内へ投入されて撹拌された塩素含有廃棄物が加水分解される。そして、加水分解処理がなされた後、撹拌移送駆動手段8の減速機83により、駆動していたベアリング81が停止され、複数のブレード122が取り付けられた水平回転軸121の動きが停止する。
【0063】
前記加水分解処理により生じた残留蒸気は、前記加水分解処理がされて、前記塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、残留蒸気吸引排出手段3の残留蒸気吸引装置33により吸引され、残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ排出される。残留蒸気排出口31から排出された残留蒸気は、残留蒸気排出弁32により排出量の調整を受けつつ、残留蒸気送通管34を通じて残留蒸気吸引装置33へ移動する。これにより、残留蒸気と生成した再生物を速やかに分離することができることから、前記加水分解処理により塩素含有廃棄物から分離して残留蒸気に移行していた塩素が、生成した再生物に回帰してしまうことを極力阻止することができ、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができる。また、その結果、そのような再生物はカーボンニュートラル燃料などの燃料や肥料、飼料などとして再利用が可能となる。
【0064】
また、残留蒸気吸引装置33へ移動した残留蒸気に含まれる固形物は、残留蒸気含有固形物回収手段35により回収される。
【0065】
また、残留蒸気が残留蒸気吸引排出手段3の残留蒸気吸引装置33により吸引され、残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ排出される間に、または、残留蒸気が残留蒸気吸引排出手段3の残留蒸気吸引装置33により吸引され、残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ排出された後に、洗浄液注入手段6の洗浄液タンク62に貯留されていた洗浄液が、洗浄液供給管63を通じて耐圧容器11の洗浄液注入口61から耐圧容器11内へ注入されて、前記加水分解処理して得られた再生物が洗浄される。この時、同時に耐圧容器11内が洗浄されてもよい。これにより、再生物に回帰してしまった塩素の多くが除去され、塩素の含有量がより低減された再生物を得ることができる。
【0066】
また、洗浄液注入手段6による再生物の洗浄後、洗浄された再生物を乾燥するための空気が、乾燥用空気供給手段7の乾燥用空気供給装置73により乾燥用空気供給管74を通じて、耐圧容器11の投入口側乾燥用空気供給口71及び/または残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口72より供給される。これにより、洗浄液注入手段6により耐圧容器11内において洗浄された再生物が乾燥されることから、乾燥された再生物をすぐさま再利用することができる。
【0067】
前記加水分解処理して得られた再生物、前記洗浄された再生物、または、前記乾燥された再生物は、撹拌移送手段12の水平回転軸121の回転により、水平回転軸121に取り付けられた複数のブレード122に押し出されるようにして、再生物排出口4へ移送される。再生物排出口4へ移送された再生物は、排出コンベア41により選別装置42へ運搬され、選別装置42において選別された後、選別された再生物は搬送コンベア43によりコンテナ44へ搬送される。
【0068】
また、塩素含有廃棄物に金属やセラミックス、ガラス、無機ゴムなどの無機物が混在していた場合でも、それら無機物は分解されずに廃棄物投入時の状態のままで排出されるため、分解処理後の分別が簡単であるうえ、完全滅菌されていることから、それら無機物をリサイクルすることができる。
【0069】
上述した塩素含有廃棄物処理装置1による、高温かつ高圧条件下で塩素含有廃棄物を加水分解処理して再生物を生成する工程は、制御盤91により操作及び制御することができる。
【0070】
以上のような本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置、塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法によれば、以下の効果を得ることができる。
1.塩素含有廃棄物処理装置1の耐圧容器11内を亜臨界状態や超臨界状態に維持することができる。
2.塩素含有廃棄物を確実に加水分解処理することができるために、取り扱いが困難な塩素含有廃棄物でも安全に分解し、減容処理することができ、その再生物は、カーボンニュートラル燃料などの燃料や肥料、飼料などとして再利用することができる。
3.塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができる。
4.乾燥して得られた再生物を速やかに資源として利用することができる。
5.塩素含有廃棄物に混在する金属やセラミックス、ガラス、無機ゴムなどの無機物を容易にリサイクルすることができる。
5.焼却炉や他の大型処理装置とは異なり、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置、ならびに、塩素含有廃棄物処理システムを設置する際、住民の同意や公的許可が不要となる。
【0071】
なお、本発明に係る塩素含有廃棄物処理装置、塩素含有廃棄物処理システム、ならびに、塩素含有廃棄物を脱塩する方法は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜変更することができる。例えば、上述した各実施形態や構成以外の構成を、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0072】
0 塩素含有廃棄物処理システム
1 塩素含有廃棄物処理装置
2 投入口
3 残留蒸気吸引排出手段
4 再生物排出口
5 耐圧容器内過熱蒸気供給手段
6 洗浄液注入手段
7 乾燥用空気供給手段
8 撹拌移送駆動手段
11 耐圧容器
12 撹拌移送手段
13 耐圧容器内圧力調整手段
14 ドレン
21 投入コンベア
31 残留蒸気排出口
32 残留蒸気排出弁
33 残留蒸気吸引装置
34 残留蒸気送通管
35 残留蒸気含有固形物回収手段
36 抵抗器
41 排出コンベア
42 選別装置
43 搬送コンベア
44 コンテナ
51 耐圧容器内過熱蒸気注入口
52 耐圧容器内過熱蒸気調整弁
53 蒸気ボイラ
54 蒸気供給管
55 ヘッダー
56 過熱蒸気供給管
57 高温空気発生器
58 高温空気供給管
61 洗浄液注入口
62 洗浄液タンク
63 洗浄液供給管
71 投入口側乾燥用空気供給口
72 残留蒸気排出口側乾燥用空気供給口
73 乾燥用空気供給装置
74 乾燥用空気供給管
81 ベアリング
82 モーター
83 減速機
91 制御盤
92 燃料タンク
121 水平回転軸
122 ブレード
131 耐圧容器内圧力調整弁
132 安全弁
133 耐圧容器内温度・圧力計
DM 塩素含有廃棄物を脱塩する方法
S1 廃棄物投入工程
S2 過熱蒸気供給工程
S3 加水分解処理工程
S4 残留蒸気吸引排出工程
S5 残留蒸気固形物回収工程
S6 再生物洗浄工程
S7 再生物乾燥工程
【要約】
【課題】 得られた再生物を減容することができ、また、塩素の含有量が相当量低減された再生物を得ることができ、また、より塩素の含有を低減した再生物を得ることができ、さらに、得られた再生物を速やかに資源として利用することができる塩素含有廃棄物処理装置等を提供する
【解決手段】 投入口2と、残留蒸気排出口31と、再生物排出口4とを備えた耐圧容器11と、耐圧容器内過熱蒸気供給手段5とを有する、塩素含有廃棄物処理装置1であって、加水分解処理がされて、塩素含有廃棄物の処理物の撹拌抵抗に係る電気抵抗の値が落ちた時点で、前記加水分解処理により生じた残留蒸気を残留蒸気排出口31から耐圧容器11外へ吸引して排出する、残留蒸気吸引排出手段3を備える。
【選択図】 図1
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図8