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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】保持部材及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B65D51/24 400
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024065476
(22)【出願日】2024-04-15
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向原 穂高
(72)【発明者】
【氏名】松浦 ほなみ
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0268211(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0389623(US,A1)
【文献】特開2002-012084(JP,A)
【文献】実開昭51-157579(JP,U)
【文献】特開2012-201379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体及び蓋部のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する前記蓋部の装着状態を維持するための保持部材であって、
前記容器本体及び前記蓋部のいずれか他方に設けられた突起部を挿入させることが可能な挿入溝を備え、
前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びており、前記突起部を該挿入溝に沿って摺動させることにより、前記容器本体及び前記蓋部に対する前記保持部材の相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近又は離間させる直進運動に変換可能に構成されており、
前記挿入溝は、前記容器本体及び前記蓋部の前記装着状態と非装着状態との切り替え時に、前記突起部が該挿入溝内に位置する長さを有する
保持部材。
【請求項2】
前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びる第1壁面部を有し、
前記保持部材は、前記突起部を前記第1壁面部に沿って摺動させることにより、前記相対的な回転運動を前記直進運動に変換可能に構成されており、
前記第1壁面部は、前記容器本体及び前記蓋部が前記装着状態から前記非装着状態に切り替わる際に、前記突起部が該第1壁面部上に位置する長さを有する
請求項1に記載の保持部材。
【請求項3】
前記挿入溝は、該挿入溝内に前記突起部を挿入させるための開放端部を有し、
前記第1壁面部は、前記挿入溝の内側から前記開放端部に向けて、湾曲する曲面部を有する
請求項2に記載の保持部材。
【請求項4】
前記挿入溝は、前記第1壁面部に対向する第2壁面部を有し、
前記保持部材は、前記突起部を前記第2壁面部に沿って摺動させることにより、前記相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近させる直進運動に変換可能に構成されている
請求項2又は3に記載の保持部材。
【請求項5】
開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の前記開口部を閉塞可能な蓋部と、
前記容器本体及び前記蓋部のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する前記蓋部の装着状態を維持するための保持部材と
を備え、
前記容器本体及び前記蓋部のいずれか他方には、突起部が設けられており、
前記保持部材には、前記突起部を挿入させることが可能な挿入溝が形成されており、
前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びており、前記突起部を該挿入溝に沿って摺動させることにより、前記容器本体及び前記蓋部に対する前記保持部材の相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近又は離間させる直進運動に変換可能に構成されており、
前記挿入溝は、前記容器本体及び前記蓋部の前記装着状態と非装着状態との切り替え時に、前記突起部が該挿入溝内に位置する長さを有する
容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持部材及び容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、手洗い装置の筐体等の被取付対象に取り付けられる容器が知られている(特許文献1等)。従来の容器は、被取付対象に取り付けられる蓋部と、蓋部に対して取り付け可能に構成された容器本体とを備えている。この容器本体には、液体が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-186349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の容器では、容器本体の落下を防止する観点から、蓋部に対して容器本体を固く取り付けなければならず、それゆえ、容器本体の取り付けや容器本体の取り外しに労力を要するという問題がある。また、蓋部から容器本体を取り外す際に、容器本体から液体が零れる恐れがあるという問題もある。
【0005】
本発明は、容器本体の取り付け及び取り外しを容易にさせ、かつ、容器本体の取り外し時に容器本体から液体が零れることを抑制することが可能な保持部材及び容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保持部材は、容器本体及び蓋部のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する前記蓋部の装着状態を維持するための保持部材であって、前記容器本体及び前記蓋部のいずれか他方に設けられた突起部を挿入させることが可能な挿入溝を備え、前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びており、前記突起部を該挿入溝に沿って摺動させることにより、前記容器本体及び前記蓋部に対する前記保持部材の相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近又は離間させる直進運動に変換可能に構成されており、前記挿入溝は、前記容器本体及び前記蓋部の前記装着状態と非装着状態との切り替え時に、前記突起部が該挿入溝内に位置する長さを有する。
【0007】
本発明に係る保持部材において、前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びる第1壁面部を有し、前記保持部材は、前記突起部を前記第1壁面部に沿って摺動させることにより、前記相対的な回転運動を前記直進運動に変換可能に構成されており、前記第1壁面部は、前記容器本体及び前記蓋部が前記装着状態から前記非装着状態に切り替わる際に、前記突起部が該第1壁面部上に位置する長さを有していても良い。
【0008】
本発明に係る保持部材において、前記挿入溝は、該挿入溝内に前記突起部を挿入させるための開放端部を有し、前記第1壁面部は、前記挿入溝の内側から前記開放端部に向けて、湾曲する曲面部を有していてもよい。
【0009】
本発明に係る保持部材において、前記挿入溝は、前記第1壁面部に対向する第2壁面部を有し、前記保持部材は、前記突起部を前記第2壁面部に沿って摺動させることにより、前記相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近させる直進運動に変換可能に構成されていても良い。
【0010】
本発明に係る容器は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の前記開口部を閉塞可能な蓋部と、前記容器本体及び前記蓋部のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、前記容器本体に対する前記蓋部の前記装着状態を維持するための保持部材とを備え、前記容器本体及び前記蓋部のいずれか他方には、突起部が設けられており、前記保持部材には、前記突起部を挿入させることが可能な挿入溝が形成されており、前記挿入溝は、前記保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びており、前記突起部を該挿入溝に沿って摺動させることにより、前記容器本体及び前記蓋部に対する前記保持部材の相対的な回転運動を、前記容器本体と前記蓋部とを接近又は離間させる直進運動に変換可能に構成されており、前記挿入溝は、前記容器本体及び前記蓋部の前記装着状態と非装着状態との切り替え時に、前記突起部が該挿入溝内に位置する長さを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の保持部材及び容器によれば、容器本体の取り付け及び取り外しを容易にさせ、かつ、容器本体の取り外し時に容器本体から液体が零れることを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る容器を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る容器を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る保持部材を示す正面図である。
図4】本実施形態に係る保持部材を示す正面斜視図である。
図5】本実施形態に係る保持部材を示す背面斜視図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、容器本体及び蓋部が保持部材に対して回動している状態を示す図であり、図6(c)は、保持部材が容器本体及び蓋部を保持している状態を示す図である。
図7図7(a)は、保持部材が容器本体及び蓋部を保持している状態を示す図であり、図7(b)及び図7(c)は、容器本体及び蓋部が保持部材に対して回動している状態を示す図である。
図8図8(a)は、保持部材が容器本体及び蓋部を保持している状態を示す図であり、図8(b)は、容器本体及び蓋部が保持部材に対して回動している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0014】
[容器の全体構成]
本実施形態に係る容器は、不図示の被取付対象に取り付けられる容器である。図1及び図2に示すように、容器1は、開口部13を有する容器本体10と、容器本体10の開口部13を閉塞可能な蓋部20と、蓋部20に相対的に回動可能に設けられ、容器本体10に対する蓋部20の装着状態を維持するための保持部材30とを備えている。
【0015】
なお、本明細書において、「装着状態」とは、容器本体10に対して蓋部20が完全に装着された状態、すなわち、蓋部20に対して容器本体10が最大限挿入された状態をいう。また、「非装着状態」とは、装着状態以外の状態をいい、容器本体10に対して蓋部20が完全に取り外された状態や、蓋部20に対して容器本体10が挿入されてはいるが、最大限挿入されていない状態を含む。
【0016】
被取付対象としては、例えば、手洗い装置の筐体や家庭用、集合住宅用、商業用、工業用及び農業用等の水処理装置等が挙げられるが、これに限定されず、脱着が固く、引き抜き及び挿入が困難な雄雌の組み合わせ機構において広く利用できる。
【0017】
[容器本体の構成]
図1及び図2に示すように、容器本体10は、円状の底部11と、底部11の周縁から上方に向けて延びる円筒状の本体側壁部12とを有しており、全体として、上端に開口部13を有する有底筒状に形成されている。なお、底部11及び本体側壁部12の形状は、特に限定されず、種々の公知の形状が採用されて良い。
【0018】
容器本体10は、液体を収容可能な収容空間14を有している。収容空間14は、底部11の内面と本体側壁部12の内面とで画定された空間である。また、容器本体10は、本体側壁部12の上端部に一対の突起部15を有している。突起部15は、本体側壁部12の外面から本体側壁部12の径方向外側に延びて形成されている。
【0019】
[蓋部の構成]
図1及び図2に示すように、蓋部20は、円状の頂部21と、頂部21の周縁から下方に向けて延びる円筒状の蓋側壁部22とを有しており、全体として、下端が開放された有頂筒状に形成されている。また、蓋部20は、容器本体10の外径よりも大きな内径を有している。なお、頂部21及び蓋側壁部22の形状は、特に限定されず、種々の公知の形状が採用されて良い。
【0020】
蓋部20は、蓋側壁部22の上端部に一対の軸部23を有している。軸部23は、蓋側壁部22の外面から蓋側壁部22の径方向外側に延びて形成されている。また、蓋部20は、蓋側壁部22の下端部に一対の切り欠き24を有している。切り欠き24は、蓋側壁部22の下端から上端に向けてU字状に切り欠かれて形成されており、容器本体10の突起部15を挿入させることが可能な大きさを有している。軸部23及び切り欠き24は、上下方向に沿って並列に設けられている。
【0021】
本実施形態に係る蓋部20は、切り欠き24に容器本体10の突起部15を挿入させつつ、容器本体10の上端が蓋部20の頂部21の内面に接触するまで容器本体10を嵌入させることにより、容器本体10の開口部13を気密状態で閉塞するように構成されている。なお、本実施形態では、蓋部20が容器本体10の開口部13を気密状態で閉塞するものとして説明をしたが、これに限定されず、容器本体10の開口部13を非気密状態で閉塞しても良い。すなわち、容器本体10の上端が蓋部20の頂部21の内面に接触していなくても良いし、容器本体10の本体側壁部12の外面と蓋部20の蓋側壁部22の内面との間に隙間があっても良い。
【0022】
[保持部材の構成]
図1及び図2に示すように、保持部材30は、蓋部20の径方向両端部に設けられている。なお、蓋部20の径方向一端部に設けられた保持部材30と、蓋部20の径方向他端部に設けられた保持部材30とは、対称形状を有しているため、以下では、一方の保持部材30の構成についてのみ説明を行う。
【0023】
以下、本実施形態において、被取付対象に対して保持部材30を取り付ける方向を「後方」として説明し、被取付対象に対して保持部材30を取り外す方向を「前方」として説明する。
【0024】
図3図5に示すように、保持部材30は、上下方向に長尺な矩形状の第1平板部31と、第1平板部31の短手方向一端部において下方に偏心して設けられ、上下方向に長尺な矩形状の第2平板部32と、第1平板部31及び第2平板部32の周縁から後方に向けて延びる周壁部33とを有しており、全体として略N字状に形成されている。
【0025】
また、第1平板部31の短手方向他端部には、周壁部33から延びる爪部34が設けられている。爪部34は、周壁部33から第1平板部31の短手方向外側に向けて延びる片状に形成されており、先端部に後方に向けて突出する突起部34aを有している。
【0026】
本実施形態に係る保持部材30は、被取付対象と周壁部33及び爪部34とを連結させることにより、被取付対象に取り付けられるように構成されている。被取付対象と周壁部33及び爪部34との連結方法は、特に限定されず、係合や嵌合等の種々の公知の連結方法が採用されて良い。
【0027】
保持部材30は、蓋部20に設けられた軸部23を挿入させることが可能な軸挿入部40と、容器本体10に設けられた突起部15を挿入させることが可能な挿入溝50とを有している。
【0028】
軸挿入部40は、第1平板部31の上下方向中心部よりも上方に設けられており、第1平板部31の後面から後方に向けて延びる円筒状に形成されている。また、軸挿入部40は、蓋部20の軸部23を挿入させることが可能な挿入孔41を有している。挿入孔41は、軸挿入部40の前端(第1平板部31の前面)から軸挿入部40の後端に亘って形成された貫通孔である。
【0029】
本実施形態に係る保持部材30は、軸挿入部40の挿入孔41に蓋部20の軸部23を挿入させることにより、蓋部20を回動可能に保持するように構成されている。
【0030】
挿入溝50は、保持部材30の回動軸Oを中心とした円周方向に延びて形成されている。具体的には、挿入溝50は、第1平板部31の上下方向中心部よりも下方から第2平板部32に亘って形成されており、かつ、第1平板部31及び第2平板部32の前面から後面に向けて凹んで形成されている。
【0031】
なお、「保持部材の回動軸」とは、軸挿入部40の挿入孔41の軸である。また、「保持部材の回動軸を中心とした円周方向」とは、保持部材30の回動軸Oからの距離が一定である円周方向であっても良いし、保持部材30の回動軸Oからの距離が不定である円周方向であっても良い。
【0032】
挿入溝50は、保持部材30の回動軸Oを中心とした円周方向に延びる底面部51と、底面部51の上縁から前方に向けて延びる第1壁面部52と、底面部51の下縁から前方に向けて延びる第2壁面部53と、挿入溝50が延びる方向の一端部に設けられた開放端部54と、挿入溝50が延びる方向の他端部に設けられた閉塞端部55とを有している。
【0033】
第1壁面部52及び第2壁面部53は、開放端部54側の端部が開放端部54によって分離されており、閉塞端部55側の端部が閉塞端部55によって接続されている。
【0034】
第1壁面部52は、保持部材30の回動軸Oを中心とした円周方向に延びて形成されている。具体的には、第1壁面部52は、閉塞端部55から開放端部54に向けて、溝幅を大きくする方向(上方)に傾斜する傾斜部52aと、傾斜部52aから開放端部54に向けて、溝幅を小さくする方向(下方)に湾曲する第1曲面部52bと、第1曲面部52b(挿入溝50の内側)から開放端部54に向けて、溝幅を大きくする方向(上方)に湾曲する第2曲面部52cとを有している。
【0035】
第2壁面部53は、第1壁面部52に対向している。具体的には、第2壁面部53は、第1壁面部52の傾斜部52a及び第1曲面部52bに対向する第1傾斜面部53aと、第1壁面部52の第2曲面部52cに対向する第2傾斜面部53bとを有している。第1傾斜面部53aは、閉塞端部55から開放端部54に向けて、第1壁面部52に接近する方向に傾斜している。第2傾斜面部53bは、第1傾斜面部53aから開放端部54に向けて、第1壁面部52から離間する方向に傾斜している。
【0036】
本実施形態に係る保持部材30は、第1壁面部52から離間する方向に向けて傾斜する傾斜面部(第2傾斜面部53b)を有しているため、挿入溝50に対する突起部15の挿入が容易になると共に、蓋部20に対する容器本体10の取り付けが容易になるという利点がある。
【0037】
第1曲面部52bの先端(又は第2曲面部52cの基端)と、第1傾斜面部53aの先端(又は第2傾斜面部53bの基端)とは、挿入溝50溝幅方向(上下方向)において並列又は略並列している。すなわち、本実施形態に係る挿入溝50は、挿入溝50が延びる方向の中途部に、溝幅が狭く形成された狭小部50aを有している。
【0038】
このように、挿入溝50が狭小部50aを有していることにより、容器本体10が保持部材30に保持された状態において、挿入溝50における突起部15の移動が規制されるため、保持部材30に対する容器本体10の脱落を防止することができるという利点がある。
【0039】
開放端部54は、第2平板部32の短手方向における第1平板部31が位置する側とは反対側の端部に位置している。また、開放端部54は、挿入溝50内に容器本体10の突起部15を挿入させるように構成されている。
【0040】
閉塞端部55は、開放端部54の反対側に位置しており、上下方向において、軸挿入部40の挿入孔41と並列又は略並列する位置に設けられている。挿入孔41及び閉塞端部55の上下方向に沿う離間距離は、蓋部20が容器本体10の開口部13を気密状態で閉塞した状態における容器本体10の突起部15及び蓋部20の軸部23の上下方向に沿う離間距離と略一致している。
【0041】
本実施形態に係る保持部材30は、容器本体10の突起部15を挿入溝50(特に、第2壁面部53)に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを接近させる直進運動に変換可能に構成されている。換言すれば、保持部材30は、容器本体10の突起部15を挿入溝50(特に、第2壁面部53)に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20を非装着状態から装着状態に切り替えるように構成されている。本実施形態において、保持部材30は、容器本体10及び蓋部20を非気密状態から気密状態に切り替えるように構成されている。
【0042】
このような観点から、第2壁面部53は、容器本体10及び蓋部20が非気密状態から気密状態に切り替わる際に、容器本体10の突起部15が第2壁面部53上に位置する長さを有している。
【0043】
また、本実施形態に係る保持部材30は、容器本体10の突起部15を第1壁面部52に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを離間させる直進運動に変換可能に構成されている。換言すれば、保持部材30は、容器本体10の突起部15を第1壁面部52に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20を装着状態から非装着状態に切り替えるように構成されている。本実施形態において、保持部材30は、容器本体10及び蓋部20を気密状態から非気密状態に切り替えるように構成されている。
【0044】
このような観点から、第1壁面部52は、容器本体10及び蓋部20が気密状態から非気密状態に切り替わる際に、容器本体10の突起部15が第1壁面部52上に位置する長さを有している。また、第1壁面部52は、保持部材30の前面視における保持部材30の回動軸Oと第1壁面部52の閉塞端部55側の端部とを結ぶ直線L1と、保持部材30の回動軸Oと第1壁面部52の開放端部54側の端部とを結ぶ直線L2とのなす角θを任意の角度に設定することにより、蓋部20に対する容器本体10の外れ具合を調整可能に構成されている(図3参照)。
【0045】
また、第1壁面部52は、保持部材30の前面視における、直線L1と、保持部材30の回動軸Oと第1壁面部52における容器本体10及び蓋部20が気密状態から非気密状態に切り替わる位置とを結ぶ直線L3と、直線L2との長さの比を任意の値に設定することにより、蓋部20に対する容器本体10の外れ具合を調整可能に構成されている(図3参照)。
【0046】
なお、「第1壁面部の閉塞端部側の端部」とは、容器本体10の突起部15が閉塞端部55に接触した状態において、第1壁面部52と、保持部材30の回動軸O及び突起部15の軸を結ぶ直線との交点である。
【0047】
[蓋部に対する容器本体の取り付け方法]
まず、使用者は、一方の保持部材30の挿入孔41に蓋部20の一方の軸部23を挿入させると共に、他方の保持部材30の挿入孔41に蓋部20の他方の軸部23を挿入させて、蓋部20の径方向両端部にそれぞれ保持部材30を取り付ける。また、使用者は、蓋部20を保持している両方の保持部材30をそれぞれ被取付対象に取り付ける。
【0048】
次に、使用者は、容器本体10の本体側壁部12を把持して容器本体10を移動させ、容器本体10の突起部15を両方の保持部材30の開放端部54から挿入溝50に挿入させ、開放端部54から閉塞端部55に向けて第2壁面部53に沿って摺動させる(図6(a)参照)。その後、使用者は、容器本体10の突起部15を閉塞端部55に接触するまで第2壁面部53に沿って摺動させる(図6(b)及び図6(c)参照)。このような操作により、保持部材30に対する容器本体10及び蓋部20の回転運動が容器本体10と蓋部20とを接近させる直進運動に変換され、蓋部20に対して容器本体10が取り付けられる。
【0049】
このとき、蓋部20は、容器本体10の開口部13を気密状態で閉塞しており、両方の保持部材30は、容器本体10に対する蓋部20の気密状態を維持した状態で容器本体10及び蓋部20を保持している。
【0050】
[蓋部に対する容器本体の取り外し方法]
蓋部20から容器本体10を取り外す場合、使用者は、保持部材30に保持された容器本体10(図7(a)及び図8(a)参照)の本体側壁部12を把持し、容器本体10の突起部15を閉塞端部55から開放端部54に向けて第1壁面部52に沿って摺動させる(図7(b)及び図8(b)参照)。そして、容器本体10の突起部15を図7(b)及び図8(b)の状態から更に摺動させると(図7(c)参照)、保持部材30に対する容器本体10及び蓋部20の回転運動が容器本体10と蓋部20とを離間させる直進運動に変換され、容器本体10及び蓋部20が気密状態から非気密状態に切り替えられ、蓋部20に対して容器本体10が取り外される。
【0051】
[本実施形態に係る容器の利点]
このように、本実施形態に係る保持部材30は、容器本体10及び蓋部20のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、容器本体10に対する蓋部20の装着状態を維持するための保持部材30であって、容器本体10及び蓋部20のいずれか他方に設けられた突起部15を挿入させることが可能な挿入溝50を備え、挿入溝50は、保持部材30の回動軸Oを中心とした円周方向に延びており、突起部15を該挿入溝50に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを接近又は離間させる直進運動に変換可能に構成されており、挿入溝50は、容器本体10及び蓋部20の装着状態と非装着状態との切り替え時に、突起部15が該挿入溝50内に位置する長さを有する。
【0052】
このような構成を備える保持部材30によれば、保持部材30に対して容器本体10及び蓋部20を回転させるだけで蓋部20に対して容器本体10を取り付けることができ、また、取り外すことができるため、容器本体10の取り付け及び取り外しを弱い力で行うことができるという利点がある。また、本実施形態に係る保持部材30によれば、容器本体10及び蓋部20が装着状態から非装着状態に徐々に切り替わるため、蓋部20から容器本体10を取り外す際に、容器本体10を強い力で取り外すときのように勢い余って容器本体10から液体が零れることを抑制することができるという利点もある。
【0053】
本実施形態に係る保持部材30において、挿入溝50は、保持部材30の回動軸Oを中心とした円周方向に延びる第1壁面部52を有し、保持部材30は、突起部15を第1壁面部52に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を直進運動に変換可能に構成されており、第1壁面部52は、容器本体10及び蓋部20が装着状態から非装着状態に切り替わる際に、突起部15が該第1壁面部52上に位置する長さを有する。このような構成を備える保持部材30によれば、保持部材30に対して容器本体10及び蓋部20を回転させるだけで蓋部20に対して容器本体10を取り外すことができるため、容器本体10の取り外しを弱い力で行うことができるという利点がある。また、容器本体10及び蓋部20が装着状態から非装着状態に徐々に切り替わるため、蓋部20から容器本体10を取り外す際に、容器本体10を強い力で取り外すときのように勢い余って容器本体10から液体が零れることを抑制することができるという利点がある。さらに、保持部材30の回動軸Oから第1壁面部52までの距離を任意に設定することにより、蓋部20に対する容器本体10の引き抜き長さ及び上述したなす角θを自由に設定することができ、これにより、例えば、なす角θが大きければ小さい力で、なす角θが小さければ大きい力で容器本体10を引き抜ける等、容器本体10の取り外しに要する力を自由に設定することができるという利点がある。
【0054】
本実施形態に係る保持部材30において、挿入溝50は、該挿入溝50内に突起部15を挿入させるための開放端部54を有し、第1壁面部52は、挿入溝50の内側から開放端部54に向けて、湾曲する曲面部(第2曲面部52c)を有する。このような構成を備える保持部材30によれば、容器本体10及び蓋部20が装着状態から非装着状態に滑らかに切り替わるため、弱い力で容器本体10を取り外すことができると共に、容器本体10から液体が零れることを更に抑制することができるという利点がある。
【0055】
本実施形態に係る保持部材30において、挿入溝50は、第1壁面部52に対向する第2壁面部53を有し、保持部材30は、突起部15を第2壁面部53に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを接近させる直進運動に変換可能に構成されている。このような構成を備える保持部材30によれば、突起部15を第2壁面部53に沿って摺動させるだけで蓋部20に対して容器本体10を取り付けることができるため、容器本体10の取り付けを弱い力で行うことができるという利点がある。また、第2壁面部53の曲率を任意に設定することにより、容器本体10及び蓋部20を接近させる直進運動に掛かる抵抗を自由に設定することができ、これにより、例えば、第2壁面部53の曲率が小さければ大きい力で、第2壁面部53の曲率が大きければ小さい力で容器本体10を取り付ける等、容器本体10の取り付けに要する力を自由に設定することができるという利点がある。
【0056】
[変形例]
本発明に係る保持部材及び容器は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0057】
上述した実施形態では、保持部材30が蓋部20に設けられるものとして説明をしたが、これに限定されず、容器本体10に設けられても良い。また、上述した実施形態では、容器本体10が突起部15を有しており、蓋部20が軸部23を有するものとして説明をしたが、これに限定されず、容器本体10が軸部23を有しており、蓋部20が突起部15を有していても良い。
【0058】
上述した実施形態では、挿入溝50の溝幅が一定ではないものとして説明をしたが、これに限定されず、挿入溝50の溝幅が一定であっても良い。
【0059】
上述した実施形態では、第1壁面部52が挿入溝50の内側から開放端部54に向けて、溝幅を大きくする方向に湾曲する曲面部(第2曲面部52c)を有するものとして説明をしたが、これに限定されず、第1壁面部52が挿入溝50の内側から開放端部54に向けて、溝幅を大きくする方向に傾斜する平面部を有していても良いし、これらの曲面部や平面部を有さない構成であっても良い。
【0060】
上述した実施形態では、保持部材30が突起部15を第2壁面部53に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを接近させる直進運動に変換し、容器本体10及び蓋部20を非気密状態から気密状態に切り替えるものとして説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、保持部材30が突起部15を第1壁面部52に沿って摺動させることにより、容器本体10及び蓋部20に対する保持部材30の相対的な回転運動を、容器本体10と蓋部20とを接近させる直進運動に変換し、容器本体10及び蓋部20を非気密状態から気密状態に切り替えても良い。
【0061】
上述した実施形態では、第2壁面部53が第1壁面部52から離間する方向に向けて傾斜する傾斜面部(第2傾斜面部53b)を有するものとして説明をしたが、これに限定されず、第2壁面部53が傾斜面部を有しない構成としても良い。
【0062】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0063】
1 :容器
10 :容器本体
11 :底部
12 :本体側壁部
13 :開口部
14 :収容空間
15 :突起部
20 :蓋部
21 :頂部
22 :蓋側壁部
23 :軸部
24 :切り欠き
30 :保持部材
31 :第1平板部
32 :第2平板部
33 :周壁部
34 :爪部
34a :突起部
40 :軸挿入部
41 :挿入孔
50 :挿入溝
50a :狭小部
51 :底面部
52 :第1壁面部
52a :傾斜部
52b :第1曲面部
52c :第2曲面部
53 :第2壁面部
53a :第1傾斜面部
53b :第2傾斜面部
54 :開放端部
55 :閉塞端部
【要約】
【課題】容器本体の取り付け及び取り外しを容易にさせ、かつ、容器本体の取り外し時に容器本体から液体が零れることを抑制することが可能な保持部材及び容器に関する。
【解決手段】容器本体及び蓋部のいずれか一方に相対的に回動可能に設けられ、容器本体に対する蓋部の装着状態を維持するための保持部材であって、容器本体及び蓋部のいずれか他方に設けられた突起部を挿入させることが可能な挿入溝を備え、挿入溝は、保持部材の回動軸を中心とした円周方向に延びており、突起部を該挿入溝に沿って摺動させることにより、容器本体及び蓋部に対する保持部材の相対的な回転運動を、容器本体と蓋部とを離間させる直進運動に変換可能に構成されており、挿入溝は、容器本体及び蓋部の装着状態と非装着状態との切り替え時に、突起部が該挿入溝内に位置する長さを有する。
【選択図】図1
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図8