(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/34 20240101AFI20240805BHJP
【FI】
B08B1/34
(21)【出願番号】P 2024534188
(86)(22)【出願日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2024020681
【審査請求日】2024-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392009342
【氏名又は名称】株式会社レヨーン工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆明
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-216433(JP,A)
【文献】特開2018-51439(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112269302(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/34
B65H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの除塵を行うための除塵装置であって、
前記ワークの上面側または下面側から除塵を行う除塵ロールと、
前記除塵ロールに付着した塵埃を押圧状態で転写する粘着テープロールをその両端側で保持する一対の粘着テープホルダと、
前記粘着テープロールのテープ筒の内部に配置され、前記除塵ロールに対する前記粘着テープロールの軸方向における押圧力の変動を抑制するための均等押圧機構と、
を備え、
前記均等押圧機構は、
一対の前記粘着テープホルダを連結するように前記軸方向に延伸し、一対の前記粘着テープホルダの回転中心から偏心していると共に、前記粘着テープロールに対して非回転のホルダ軸と、
前記ホルダ軸の軸方向に沿って複数取り付けられ、前記テープ筒を内筒側から押圧する押圧ホルダと、
を備えることを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の除塵装置であって、
一対の前記粘着テープホルダは、
前記粘着テープロールに対して非回転の一対の内周連結部と、
一対の前記内周連結部に対して回転すると共に前記テープ筒の一端部および他端部にそれぞれ挿入される一対のテープ保持軸受とを備え、
前記ホルダ軸は、一対の前記内周連結部を連結する状態で前記軸方向に延伸し、
前記ホルダ軸に平行な状態で一対の前記内周連結部を連結することで、一対の前記粘着テープホルダの間での捻じれを防止する補強軸と、
を備えることを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項1記載の除塵装置であって、
前記除塵ロールは、その軸方向の両端が支持ブロックによって回転自在に軸支されていて、
前記除塵ロールには、前記ワークの上面側の除塵を行う上除塵ロールと、前記ワークの下面側の除塵を行う下除塵ロールとが設けられていて、
上側の前記粘着テープロールの押圧に際して、前記上除塵ロールの一端側と他端側との下降を同期させる除塵ロール同期機構が設けられていて、
前記除塵ロール同期機構は、
前記上除塵ロールに対して所定だけ離間しつつ平行な状態で配置され、中心軸線を中心に回動可能な回動軸と、
前記回動軸の前記軸方向における一端側および他端側に基端部が取り付けられ、当該回動軸の回動に伴って前記中心軸線を回動中心として回動すると共に、先端部が前記支持ブロックに取り付けられている一対の回動アームと、
を備えることを特徴とする除塵装置。
【請求項4】
請求項3記載の除塵装置であって、
一対の前記支持ブロックを介して一対の前記上除塵ロールを上下動させる一対の除塵ロール用シリンダを備え、
一対の前記除塵ロール用シリンダの作動を制御する制御部を備え、
前記ワークの押圧を解除する際に、前記制御部での制御によって一対の前記除塵ロール用シリンダを作動させる、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項5】
請求項3記載の除塵装置であって、
一対の前記支持ブロックは、一対の第1のリニアガイドによって上下動がガイドされ、
一対の前記粘着テープホルダは、一対の第2のリニアガイドによって上下動がガイドされる、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項6】
請求項1記載の除塵装置であって、
前記除塵ロールは、除塵ユニットを構成し、
前記粘着テープホルダおよび前記均等押圧機構は、テープユニットを構成し、
前記除塵ユニットと前記テープユニットとの間の位置決めを行う位置決め機構が設けられ、
前記位置決め機構は、
長尺状の位置決めロッドと、
前記テープユニットに設けられ、前記位置決めロッドが挿通される第1軸孔を備える第1固定部位と、
前記位置決めロッドを押し込むように作動するロッド押圧シリンダと、
前記除塵ユニットに設けられ、前記ロッド押圧シリンダの作動によって前記位置決めロッドが押し込まれた際に、前記第1軸孔への前記位置決めロッドの挿通状態のまま当該位置決めロッドが挿通される第2軸孔を備える第2固定部位と、
を有することを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに付着した塵埃を除去するための除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板や半導体基板等のような各種のワークに付着した塵埃を取り除くために、特許文献1に示すような除塵装置が用いられている。この除塵装置においては、粘着テープロール(630)は、回転保持部(631A)に保持され、その回転保持部(631A)が支持スライダ(62A)に回転自在に取り付けられている。そして、支持スライダ(62A)の上方突出部(62A3)がアクチュエータ(70A)で押されることで、支持スライダ(62A)がガイド溝(61A1)に沿って移動する。
【0003】
その移動により、粘着テープロール(630)が粘着ロール体(52,53)を押し、その粘着ロール体(52,53)が復帰バネ(95)のバネ力に抗しながらワーク(W)に当接して、ワーク(W)の除塵を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成では、ワーク(W)を押圧する際に、その押圧力が均一ではない、という問題がある。かかるワーク(W)への押圧力が均一とならない原因としては、例えば、(a)支持スライダ(62A)とガイド溝(61A1)との間のガタ付き、(b)粘着テープロール(630)と回転保持部(631A)のいずれかに偏心が生じていたり真円度が出ていないこと、(c)復帰バネ(95)のバネ力のバラ付きやバネ力を起因とする粘着ロール体(52,53)の軸方向でのワーク(W)の押圧力の不均一性、(d)粘着テープロール(630)の軸方向における押圧力の不均一性等が考えられる。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、ワークを均一な押圧力で押圧することが可能な除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、ワークの除塵を行うための除塵装置であって、ワークの上面側または下面側から除塵を行う除塵ロールと、除塵ロールに付着した塵埃を押圧状態で転写する粘着テープロールをその両端側で保持する一対の粘着テープホルダと、粘着テープロールのテープ筒の内部に配置され、除塵ロールに対する粘着テープロールの軸方向における押圧力の変動を抑制するための均等押圧機構と、を備え、均等押圧機構は、一対の粘着テープホルダを連結するように軸方向に延伸し、一対の粘着テープホルダの回転中心から偏心していると共に、粘着テープロールに対して非回転のホルダ軸と、ホルダ軸の軸方向に沿って複数取り付けられ、テープ筒を内筒側から押圧する押圧ホルダと、を備えることを特徴とする除塵装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ワークを均一な押圧力で押圧することが可能な除塵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置の一部の構成を透過的に示す側面図である。
【
図2】
図1に示す除塵装置における、除塵ユニットおよびテープユニット付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【
図3】
図1に示す除塵装置における、除塵ロールユニットおよびテープユニット付近の構成を示す側面断面図である。
【
図4】
図1に示す除塵装置における、除塵ロールユニット付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【
図5】
図1に示す除塵装置における、除塵ロール同期機構付近の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示す除塵装置における、除塵ロール上下ガイド、テープ上下ガイドおよび位置決め機構付近の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示す除塵装置における、粘着テープロールの一端側に位置する粘着テープホルダおよび弾性支持機構付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【
図8】
図1に示す除塵装置における、粘着テープロールの他端側に位置する粘着テープホルダおよび固定支持機構付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【
図9】
図1に示す除塵装置における、粘着テープロールおよび均等押圧機構の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置10、および除塵装置10における粘着テープ更新方法について、図面に基づいて説明する。
【0011】
<除塵装置10の全体的な構成について>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置10の構成の主要部分を示す側面図である。本実施の形態に係る除塵装置10は、ワークWの表面に付着した塵埃を除去するための装置である。なお、ワークWとしては、たとえば、電子部品が実装されるプリント基板、液晶パネル等の基板、あるいは基板の原材料となるシート状部材等が挙げられるが、これら以外の平面状の部材がワークWであっても良い。
【0012】
本実施の形態の除塵装置10は、ワークWを、たとえば
図1の左方から右方に向かって搬送しながら、ワークWの表面に付着した塵埃を除去する。ただし、これとは逆に、
図1の右方から左方に向かってワークWを搬送しながら、ワークWの表面に付着した塵埃を除去しても良い。
【0013】
この除塵装置10は、筐体20と、搬送機構30と、除塵ロールユニット40と、粘着テープホルダ50と、除塵ロール上下ガイド60(
図4等参照)と、シリンダ連結機構70(
図2等参照)と、除塵ロール用シリンダ80と、支持ブロック90(
図2等参照)と、除塵ロール同期機構100(
図5等参照)と、テープ上下ガイド110(
図2等参照)と、弾性支持機構120(
図2等参照)と、固定支持機構130(
図8等参照)と、テープ用シリンダ140(
図2等参照)と、均等押圧機構150(
図9等参照)と、位置決め機構160(
図3等参照)と、制御部200と、を主要な構成要素としている。
【0014】
なお、以下の説明においては、後述する筐体側板部21、除塵ロールユニット40、除塵ロール上下ガイド60、シリンダ連結機構70、除塵ロール用シリンダ80、支持ブロック90および除塵ロール同期機構100は、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bの交換のために、除塵装置10の側方に向かい、一体的に引き出し可能となっている。したがって、これらは、除塵ユニットU1を構成する。
【0015】
なお、一体的に引き出し可能な除塵ユニットU1には、互いに当接可能な上除塵ロール41Aと下除塵ロール41Bとを備える除塵ロールユニット40が、筐体側板部21の幅方向の一方側と他方側に配置されているので、除塵ロールユニット40が2セット存在している。しかしながら、除塵ユニットU1は、1セットの除塵ロールユニット40を備えていても良く、3セット以上の除塵ロールユニット40を備えていても良い。
【0016】
また、後述する筐体側板部22、テープ上下ガイド110、弾性支持機構120、固定支持機構130、テープ用シリンダ140、均等押圧機構150は、粘着テープロールT1の交換のために、除塵装置10の側方に向かい、一体的に引き出し可能となっている。したがって、これらは、テープユニットU2を構成する。
【0017】
なお、一体的に引き出し可能なテープユニットU2は、除塵ユニットU1よりも上側と下側にそれぞれ配置されている。上側のテープユニットU2と、下側のテープユニットU2には、筐体側板部22の幅方向の一方側と他方側のそれぞれに、粘着テープホルダ50が配置されていて、それら粘着テープホルダ50に粘着テープロールT1が取り付けられている。したがって、上側と下側のテープユニットU2には、それぞれ2つの粘着テープホルダ50が存在している。しかしながら、上側と下側のテープユニットU2のそれぞれは、1つだけの粘着テープホルダ50を備えていても良く、3つ以上の粘着テープホルダ50を備えていても良い。
【0018】
<筐体20>
筐体20は、金属製の支柱といった構造部材が組み合わされると共に、その支柱の間に必要に応じて外壁が取り付けられることで、構成されている。この筐体20は、除塵装置10の各種の構成を支持している。なお、筐体20には、除塵ユニットU1と共に一体的に引き出される筐体側板部21と、テープユニットU2と共に一体的に引き出される筐体側板部22も存在している。
【0019】
<搬送機構30>
搬送機構30としては、不図示のモータと、そのモータからの駆動力を搬送ローラ32や下除塵ロール41B等の各部へ伝達させる不図示の伝達機構と、外部から搬送されるワークWを搬送する搬送ローラ32と、を有している。なお、モータは、制御部200の指令により、回転駆動させられる部分である。なお、本実施の形態では、伝達機構として、マグネット式のカップリング部、マグネット式のギヤおよびギヤ輪列を有している。しかしながら、伝達機構は、これらには限られず、マグネット式のカップリング部やマグネット式のギヤに代えて、歯車式のギヤやベルトを用いるようにしても良い。
【0020】
また、
図1においては、搬送ローラ32は複数設けられているが、モータは、いずれの搬送ローラに駆動力を与えても良い。また、モータは、下除塵ロール41Bに駆動力を伝達しても、伝達しなくても良い。
【0021】
<除塵ロールユニット40>
図2は、除塵ユニットU1およびテープユニットU2付近の構成を示す部分的な斜視図である。
図3は、除塵ユニットU1およびテープユニットU2付近の構成を示す側面断面図である。
図4は、除塵ユニットU1付近の構成を示す部分的な斜視図である。
図2から
図4に示すように、除塵ロールユニット40は、ワークWの上面と下面の少なくとも一方に接触して、ワークWから塵埃を除去するための部分である。この除塵ロールユニット40は、上除塵ロール41Aと、下除塵ロール41Bとを有している。そのため、ワークWの上下両面を、上記の上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bで除塵可能となっている。なお、上除塵ロール41Aと下除塵ロール41Bとは、除塵ロールに対応する。
【0022】
なお、
図2から
図4に示す構成では、上除塵ロール41Aと下除塵ロール41Bとは、1つのテープロールにつき、1つずつ設けられている。しかしながら、上除塵ロール41Aと下除塵ロール41Bとは、1つのテープロールにつき、2つ以上設けられていても良い。
【0023】
図2から
図4に示すように、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bは、回転軸42と、粘着ラバー層43とを有している。粘着ラバー層43は、回転軸42の外側に、軸方向において所定の長さ範囲に亘るように設けられている。この粘着ラバー層43は、塵埃を吸着可能な粘着ラバーを材質として形成されている。なお、粘着ラバー層43は、その表面側に吸着層(図示省略)が設けられていて、その吸着層は、シリコンゴム等のような、塵埃の吸着性に優れた材質から構成されている。なお、吸着層の下層側には、たとえばニトリルゴムやカーボンゴム等のような導電層を設けるように構成しても良い。
【0024】
なお、回転軸42の端部は、ベアリングB1を介して、後述する支持ブロック71に取り付けられている。
【0025】
<粘着テープホルダ50および粘着テープロールT1>
また、
図2および
図3に示すように、粘着テープホルダ50は、粘着テープロールT1を保持している。粘着テープホルダ50は、内周連結部51と、テープ保持軸受52とを有している。内周連結部51は円盤状の部分であり、その径方向の中央部には、後述する連結軸133の先端側が、例えばネジで固定されている。また、粘着テープロールT1の内部側(すなわち、後述する連結軸133とは反対側)においては、内周連結部51のうち、中央から所定だけ外径の部位には、後述するホルダ軸151および補強軸153が連結されている。
【0026】
また、テープ保持軸受52は、内径側に内周連結部51が取り付けられている軸受であり、内周連結部51に対して回転する。また、テープ保持軸受52は、粘着テープロールT1のテープ筒T3が嵌まり込む部分であるが、このテープ保持軸受52の外周の縁部には、フランジ部52aが設けられている。そして、このフランジ部52aがテープ筒T3の端部に当接することで、テープ筒T3の内部に粘着テープホルダ50が完全に挿入されてしまうのを規制している。
【0027】
なお、内周連結部51のうち、粘着テープロールT1の内部側に位置する面側には、後述するホルダ軸151および補強軸153が連結されている。
【0028】
また、粘着テープロールT1は、テープ筒T3に対して、粘着テープT2が巻回されることで形成されている。粘着テープT2の表面は、粘着面となっている。粘着面は、上述した上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに吸着されている塵埃を保持可能となっている。このため、粘着テープT2の粘着面の塵埃に対する粘着力は、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bの塵埃に対する粘着力よりも大きくなっている。それにより、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bから粘着テープT2の粘着面へと、塵埃を良好に転写可能となっている。
【0029】
なお、シート状の粘着テープT2には、切れ目が存在してシート状に切り離すことを可能としている。このため、粘着テープロールT1から粘着テープT2を引き出した後に切れ目で切断することで、汚れた粘着テープT2を、汚れていない粘着テープT2へと容易に更新することができる。この粘着テープT2の切れ目は、軸方向に対して平行ではなく傾斜している。このため、粘着テープロールT1において、最外周に位置する粘着テープT2の端部(段差)も、軸方向に対して傾斜している。しかしながら、粘着テープT2の切れ目は、軸方向に対して平行であっても良い。
【0030】
<除塵ロール上下ガイド60、シリンダ連結機構70、除塵ロール用シリンダ80および支持ブロック90>
次に、除塵ロール上下ガイド60、シリンダ連結機構70および除塵ロール用シリンダ80について説明する。
図4に示すように、上除塵ロール41Aは、除塵ロール上下ガイド60によって上下方向の移動が案内されている。この除塵ロール上下ガイド60は、筐体20を構成する筐体側板部21の側端部に配置されている。
【0031】
なお、筐体側板部21は、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bの交換のために、除塵装置10の側方に引き出し可能となっている。したがって、筐体側板部21は、除塵ロールユニット40の一部を構成する。
【0032】
上記の除塵ロール上下ガイド60は、レール61と、摺動ブロック62と、不図示のボール等を備えるリニアガイドであり、摺動ブロック62がレール61に対してガタ付きがなく、滑らかに(摩擦抵抗の少ない状態で)摺動することが可能となっている。これらのうち、レール61は、筐体側板部21の側端部に対し、上下方向に沿うように固定されている。このレール61は、例えば両側部に括れ部を有するような断面形状を有する、リニアガイドの一般的なレールとなっている。なお、除塵ロール上下ガイド60は、第1のリニアガイドに対応する。
【0033】
また、摺動ブロック62は、例えば上記の括れ部に入り込むようなフック部を有することで、上記のレール61から外れずに、且つガタ付きがないように構成されている。
【0034】
この摺動ブロック62には、シリンダ連結機構70を介して、除塵ロール用シリンダ80からの駆動力が伝達可能となっている。シリンダ連結機構70は、支持ブロック71と、突出軸73と、遊嵌保持部材74とを有している。
【0035】
支持ブロック71は、上除塵ロール41Aの回転軸42の端部を支持する部材である。また、支持ブロック71は、上記の摺動ブロック62に対し、例えばネジ等を介して取り付けられている。さらに、支持ブロック71には、後述する除塵ロール同期機構100の回動アーム102も連結されている。
【0036】
この支持ブロック71は、上片部71aと、その上片部71aよりも下側に設けられている下片部71bとを有している。そして、上片部71aと下片部71bの間に、U字状の凹部71cが設けられていて、その凹部71cにベアリングB1が配置され、そのベアリングB1を介して回転軸42を軸支している。なお、支持ブロック71のうち、凹部71cの開口部には固定片72が取り付けられて、凹部71cに配置されたベアリングB1が外れるのを防止している。
【0037】
また、
図4に示すように、支持ブロック71のうち、除塵ロール上下ガイド60が配置されている側とは反対側の側面には、突出軸73が取り付けられている。突出軸73は、支持ブロック71の側面から突出する軸状(ピン状)の部材である。この突出軸73は、遊嵌保持部材74の遊嵌部74cに位置する。
【0038】
また、遊嵌保持部材74は、除塵ロール用シリンダ80のピストンロッド81の下端部に連結される部材である。この遊嵌保持部材74は、上片部74aと、その上片部74aよりも下側に設けられている下片部74bとを有していて、その上片部74aと下片部74bの間に、上記の突出軸73が位置する遊嵌部74cが存在している。
【0039】
また、遊嵌保持部材74には、除塵ロール用シリンダ80のピストンロッド81の下端が連結されている。除塵ロール用シリンダ80は、例えばエアシリンダであり、制御部200での制御に基づいて、作動する。本実施の形態では、除塵ロール用シリンダ80は、ピストンロッド81を備え、そのピストンロッド81を上下動させることができる。ここで、ピストンロッド81を上昇させる向きに除塵ロール用シリンダ80が作動する場合には、上除塵ロール41Aを上方向、すなわち、上除塵ロール41Aを下除塵ロール41Bから離す向きに移動させる。
【0040】
また、支持ブロック90は、下除塵ロール41Bの回転軸42の端部を支持する部材であり、上記の支持ブロック71と同様に、上片部90aと、その上片部90aよりも下側に設けられている下片部90bとを有している。そして、上片部90aと下片部90bの間に、U字状の凹部90cが設けられていて、その凹部90cにベアリングB2が配置され、そのベアリングB2を介して回転軸42を軸支している。なお、支持ブロック90のうち、凹部71cの開口部には固定片91が取り付けられて、凹部90cに配置されたベアリングB2が外れるのを防止している。
【0041】
ところで、支持ブロック90は、筐体側板部21に対して、例えばネジ等を介して固定されている。したがって、支持ブロック90は、支持ブロック71とは異なり、上下方向には摺動しない。このため、下除塵ロール41Bは、上下方向の位置が固定されている。なお、搬送機構30の搬送ローラ32の上面(搬送面)と、下除塵ロール41Bの上面(搬送面)とは同一の高さとなるように設けられている。このため、上除塵ロール41Aと下除塵ロール41Bとによって、ワークWの除塵を良好に行える。
【0042】
<除塵ロール同期機構100について>
次に、除塵ロール同期機構100について説明する。
図5は、除塵ロール同期機構100付近の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、除塵ロール同期機構100は、回動軸101と、回動アーム102とを備えている。
【0043】
回動軸101は、除塵装置10の幅方向(ワークWの搬送方向と直交する方向)に延伸している軸状部材であり、中心軸線を中心に回転する。また、回動軸101は、筐体側板部21に対し、例えば不図示のベアリング等を介して回動自在に軸支されている。加えて、回動軸101は、上記の上除塵ロール41Aとは干渉しないものの、上除塵ロール41Aに近接するように設けられている。
【0044】
この回動軸101の両端には、回動アーム102の基端部がネジ等を介して固定されている。すなわち、回動軸101が回動すると、一対の回動アーム102が円弧状に移動する状態となっている。また、回動アーム102の先端部は、取付軸103を介して支持ブロック71に連結されている。すなわち、回動アーム102の先端部には、長円状の孔部102aが設けられていて、その長円状の孔部102aに取付軸103が挿通している。このため、回動アーム102が円弧運動しても、取付軸103は、支持ブロック71の上下方向に移動に伴って、上下方向に移動可能となっている。
【0045】
かかる除塵ロール同期機構100では、例えば粘着テープロールT1の下降に伴って上除塵ロール41Aが押し下げられたときに、回動軸101が回動するので、その回動軸101の回動に伴って、一対の回動アーム102は同期して回動する。このため、一対の回動アーム102がそれぞれ独立して回動する場合とは異なり、一端側に配置されている支持ブロック71と、他端側に配置されている支持ブロック71とを、同時に押し下げることができる。
【0046】
このため、上除塵ロール41Aは、下除塵ロール41Bに対して、例えば一端側や他端側が先に当たってしまうような、片当たりするのを防止可能となっている。
【0047】
<テープ上下ガイド110について>
次に、テープ上下ガイド110およびテープ用シリンダ140について説明する。
図6は、除塵ロール上下ガイド60、テープ上下ガイド110および位置決め機構160付近の構成を示す斜視図である。
図2および
図6に示すように、粘着テープロールT1を支持する粘着テープホルダ50は、テープ上下ガイド110によって上下方向の移動が案内されている。このテープ上下ガイド110は、筐体20を構成する筐体側板部22の側端部に配置されている。なお、筐体側板部22は、筐体側板部21よりも上方に位置する部分である。
【0048】
このテープ上下ガイド110は、上記の除塵ロール上下ガイド60と類似する構成である。すなわち、テープ上下ガイド110は、レール111と、摺動ブロック112と、不図示のボール等を備えるリニアガイドであり、摺動ブロック112がレール111に対してガタ付きがなく、滑らかに(摩擦抵抗の少ない状態で)摺動することが可能となっている。なお、レール111は、レール61と同様の構成であり、摺動ブロック112は、摺動ブロック62同様の構成であるため、これらレール111および摺動ブロック112の構成については、その説明を省略する。なお、テープ上下ガイド110は、第2のリニアガイドに対応する。
【0049】
<弾性支持機構120および固定支持機構130について
図7は、粘着テープロールT1の一端側に位置する粘着テープホルダ50および弾性支持機構120付近の構成を示す部分的な斜視図である。また、
図8は、粘着テープロールT1の他端側に位置する粘着テープホルダ50および固定支持機構130付近の構成を示す部分的な斜視図である。
【0050】
図7に示すように、粘着テープロールT1の一端側に位置する粘着テープホルダ50は、弾性支持機構120で支持されている。また、
図8に示すように、粘着テープロールT1の他端側に位置する粘着テープホルダ50は、固定支持機構130で支持されている。
【0051】
弾性支持機構120は、筒体部121と、押圧軸122とを有している。筒体部121は、軸方向の一端側の摺動ブロック112に対し、例えばネジ等を介して取り付けられている。また、筒体部121の内部には、図示を省略するバネが内蔵されていて、そのバネによって、押圧軸122が、軸方向の他端側に向かって押し出される構成となっている。
【0052】
また、押圧軸122の一端側は、筒体部121を貫通して軸方向の一方側に突出しているが、その一端部には取手122aが取り付けられている。また、押圧軸122の他端側は、上記の粘着テープホルダ50に固定されている。
【0053】
また、固定支持機構130は、連結ブロック131と、ジョイント132と、断面矩形の連結軸133とを有している。連結ブロック131は、軸方向の他端側の摺動ブロック112に対し、例えばネジ等を介して取り付けられている。この連結ブロック131には、上下方向を回動軸とするジョイント132を介して連結軸133の一端側が回動可能に連結されている。したがって、連結軸133は、水平方向には回動するが、粘着テープロールT1の回転方向には回転できない状態となっている。この連結軸133は、その断面形状が矩形となるように設けられていて、その断面矩形の連結軸133の他端側が、粘着テープホルダ50の内周連結部51の嵌合穴に差し込まれる。
【0054】
<テープ用シリンダ140について>
次に、テープ用シリンダ140について説明する。テープ用シリンダ140は、上記の除塵ロール用シリンダ80と同様に例えばエアシリンダであり、制御部200での制御に基づいて、作動する。テープ用シリンダ140はピストンロッド141を備え、そのピストンロッド141を上下動させることができる。
【0055】
上記のピストンロッド141は、連結片142を介して、筒体部121または連結ブロック131に連結されている。
【0056】
ここで、上側のピストンロッド141を下降させる向きにテープ用シリンダ140が作動する場合には、粘着テープロールT1を上除塵ロール41Aに対して押圧するが、そのとき、上除塵ロール41Aが押し下げられて、ワークWの上面側に当接する。それにより、ワークWの上面側の除塵を上除塵ロール41Aが行うと、上除塵ロール41Aが吸着した塵埃を、粘着テープロールT1が取り除くことができる。
【0057】
また、下のピストンロッド141を持ち上げる向きにテープ用シリンダ140が作動する場合には、粘着テープロールT1を下除塵ロール41Bに対して押圧する。ここで、下除塵ロール41Bは、上下方向の位置が固定であり、ワークWが搬送されてきた場合には、ワークWの下面に当接している。このため、ワークWの下面側の除塵を下除塵ロール41Bが行うと、下除塵ロール41Bが吸着した塵埃を、粘着テープロールT1が取り除くことができる。
<均等押圧機構150について>
次に、均等押圧機構150について説明する。
図9は、粘着テープロールT1および均等押圧機構150の構成を示す断面図である。
図9に示すように、均等押圧機構150は、粘着テープロールT1の軸方向における押圧力の分布の均一化を図るための機構である。この均等押圧機構150は、ホルダ軸151と、押圧ホルダ152と、補強軸153とを有している。
【0058】
ホルダ軸151は、シャフト状の部材であり、その一端側が軸方向の一方側に位置する粘着テープホルダ50の内周連結部51に固定されていると共に、その他端側が軸方向の他方側に位置する粘着テープホルダ50の内周連結部51に固定されている。ただし、ホルダ軸151は、内周連結部51の径方向の中心ではなく、径方向の中心から所定だけ外径の部位に、例えばネジ等を介して固定されている。そのため、上述した押圧軸122や連結軸133とは干渉しない状態となっている。
【0059】
なお、上側の粘着テープホルダ50に対しては、ホルダ軸151は、内周連結部51の径方向の中心よりも下側に位置している。また、下側の粘着テープホルダ50に対しては、ホルダ軸151は、内周連結部51の径方向の中心よりも上側に位置している。
【0060】
このホルダ軸151には、所定の間隔毎に、ベアリングB3を介して車輪状の押圧ホルダ152が取り付けられている。したがって、押圧ホルダ152は、ホルダ軸151に対して回転可能に設けられている。この押圧ホルダ152は、テープ筒T3を内筒側から押圧する部材である。すなわち、押圧ホルダ152の下側の頂部は、粘着テープロールT1が上除塵ロール41Aまたは下除塵ロール41Bを均一に押圧できるように、概ね同一の高さ位置となるように配置されている。しかしながら、押圧力の均一化を図るために、それぞれの押圧ホルダ152の直径を若干異なるようにしても良い。
【0061】
また、補強軸153は、ホルダ軸151と同様に、シャフト状の部材である。この補強軸153は、ホルダ軸151と同様に、内周連結部51の径方向の中心ではなく、径方向の中心から所定だけ外径の部位に、例えばネジ等を介して固定されている。そのため、補強軸153は、上述した押圧軸122や連結軸133とは干渉しない状態となっている。
【0062】
かかる補強軸153の存在により、押圧ホルダ152によって粘着テープロールT1の押圧を行う際に、均等押圧機構150が捻じれてしまうのを防止することが可能となっている。すなわち、補強軸153は、均等押圧機構150における軸方向の補強部材として機能している。
【0063】
<位置決め機構160について>
次に、位置決め機構160について説明する。除塵装置10は、
図3に示すような位置決め機構160を備えている。この位置決め機構160は、ワークWの均一な押圧を実現するために、除塵ロールユニット40と粘着テープロールT1との間の位置ずれや、各摺動部分のガタ付きを抑えて、除塵ロールユニット40に対し、粘着テープロールT1が片当たりせずに、平行な当接を実現させるための機構である。
【0064】
この位置決め機構160は、ロッド押圧シリンダ170と、テープ側位置決め部材180と、ローラ側位置決め部材190とを備えている。
【0065】
ロッド押圧シリンダ170は、例えばエアシリンダであり、制御部200での制御に基づいて、作動する。このロッド押圧シリンダ170のピストンロッド171の先端側には、押圧ロッド172が連結されている。したがって、ロッド押圧シリンダ170の作動によって、押圧ロッド172が位置決めロッド184を押し込むことが可能となっている。
【0066】
また、テープ側位置決め部材180は、軸摺動ガイド181と、位置決めロッド184と、付勢バネ185と、軸調整部材186とを備えている。
【0067】
軸摺動ガイド181は、筐体側板部22に対して、例えばネジ等を介して固定されている。この軸摺動ガイド181には、テープ側底部182と、ローラ側底部183とが設けられていて、そのテープ側底部182とローラ側底部183の間には、スペース部S1が設けられている。なお、軸摺動ガイド181は第1固定部位に対応するが、軸摺動ガイド181と共に筐体側板部22も第1固定部位に対応するものとしても良い。
【0068】
テープ側底部182には、軸孔182aが設けられていて、この軸孔182aがテープ側底部182を貫通している。また、ローラ側底部183には、軸孔183aが設けられていて、この軸孔183aがローラ側底部183を貫通している。なお、軸孔182a,183aには、位置決めロッド184が貫通している。また、軸孔182aと軸孔183aの少なくとも一方は、第1軸孔に対応する。
【0069】
位置決めロッド184は、上述したロッド押圧シリンダ170の作動によって、押圧ロッド172から押し込まれてローラ側底部183から突出し、ローラ側位置決め部材190の位置決め孔191に入り込むことで、位置決めを行うための部材である。したがって、
図3に示すように、位置決めロッド184は、軸摺動ガイド181の上下方向の長さよりも長く設けられている。
【0070】
また、スペース部S1には、コイルばねである付勢バネ185(
図3参照)が配置されていて、この付勢バネ185の中心孔に挿通するように位置決めロッド184が配置されている。この付勢バネ185は、位置決めロッド184に対して、ローラ側位置決め部材190から離間する向きの付勢力を与える部材である。
【0071】
したがって、ロッド押圧シリンダ170が押圧方向に作動する場合には、付勢バネ185の付勢力に抗しながら位置決めロッド184がローラ側位置決め部材190側に押し込まれる。しかしながら、ロッド押圧シリンダ170が位置決めロッド184を押圧しない場合には、付勢バネ185の付勢力により、位置決めロッド184が初期位置、すなわちローラ側位置決め部材190の位置決め孔191に入り込まない位置に位置する状態となる。
【0072】
また、軸調整部材186は、上側のテープ側位置決め部材180において、位置決めロッド184の径方向の位置を調整する部材である。この軸調整部材186には、位置決めロッド184が挿通する軸孔186aが設けられている。ここで、上記のように、1849は、軸孔182a,183aに挿通しているので、軸調整部材186の位置を、軸方向に対して直交する向きで調整することで、位置決めロッド184のガタ付きが解消される。
【0073】
ここで、上除塵ロール41Aと異なり、下除塵ロール41Bは、上下方向には移動しなく、上下方向の位置が固定されている。このため、上除塵ロール41Aと比較して、下除塵ロール41Bのガタ付きは少ない。したがって、下側のテープ側位置決め部材180においては、軸調整部材186を設けるのが省略されている。しかしながら、下側のテープ側位置決め部材180においても、軸調整部材186を設けるようにしても良い。
【0074】
また、ローラ側位置決め部材190は、筐体側板部21に対して、例えばネジ等を介して固定されているが、このローラ側位置決め部材190は、筐体側板部21の上側と下側とに設けられている。すなわち、ローラ側位置決め部材190は、一対設けられている。なお、ローラ側位置決め部材190は第2固定部位に対応するが、ローラ側位置決め部材190と共に筐体側板部21も第2固定部位に対応するものとしても良い。
【0075】
このローラ側位置決め部材190は、ブロック状に設けられているが、そのローラ側位置決め部材190を貫通するように、位置決め孔191が設けられている。位置決め孔191は、位置決めロッド184が入り込むことで、テープ側位置決め部材180とローラ側位置決め部材190との間の位置決めがなされ、かつこれらの間のガタ付きが解消される。なお、上側のローラ側位置決め部材190の位置決め孔191には、上側のテープ側位置決め部材180の位置決めロッド184が入り込み、下側のローラ側位置決め部材190の位置決め孔191には、下側のテープ側位置決め部材180の位置決めロッド184が入り込む。また、位置決め孔191は、第2軸孔に対応する。
【0076】
<制御部200について>
制御部200は、不図示のモータ、除塵ロール用シリンダ80、テープ用シリンダ140およびロッド押圧シリンダ170の作動を制御する部分である。この制御部200は、たとえばCPUやメモリ(RAM、ROM、不揮発性メモリ等)を備えるコンピュータ等を用いることができる。また、モータを駆動させるためのモータドライバ、テープ用アクチュエータ70A,70Bを作動させるためのアクチュエータ用ドライバ等も、制御部200の概念に含めることができる。
【0077】
<除塵装置10における、ワークWの除塵を行う際の動作について>
以上のような構成の除塵装置10において、ワークWの除塵を行う際の動作について、以下に説明する。
【0078】
除塵装置10を作動させて、ワークWの除塵を行う場合、最初に、制御部200はロッド押圧シリンダ170を作動させて位置決めロッド184を押圧ロッド172によって押し込む。
【0079】
このとき、位置決めロッド184は、付勢バネ185の付勢力に抗しながら、ローラ側位置決め部材190の位置決め孔191に挿入される。それにより、テープ側位置決め部材180とローラ側位置決め部材190の間の位置決めがなされると共に、両者のガタ付きも解消される。それによって、除塵ロールユニット40と粘着テープホルダ50(粘着テープロールT1)の間の位置決めが確実になされると共に、除塵ロールユニット40と粘着テープホルダ50(粘着テープロールT1)の間のガタ付きも解消される。
【0080】
この状態で、制御部200はテープ用シリンダ140を作動させて、弾性支持機構120および固定支持機構130を、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに向けて移動させる。このとき、テープ上下ガイド110により、摺動ブロック112は、筐体側板部22に取り付けられているレール111に対し、摩擦抵抗が非常に少ない状態で、精度良くガタ付きの生じない状態で摺動する。したがって、摺動ブロック112に取り付けられている、弾性支持機構120および固定支持機構130も、ガタ付きのない状態で移動する。
【0081】
すると、一端側および他端側の粘着テープホルダ50を介して、粘着テープロールT1が上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに向かって移動する。それにより、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに対して、粘着テープロールT1が当接する。
【0082】
ここで、本実施の形態の除塵装置10は、均等押圧機構150を備えている。このため、粘着テープロールT1の軸方向において、テープ筒T3の内部側から、複数の押圧ホルダ152のそれぞれが、粘着テープロールT1を、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに向けて押圧する。このため、粘着テープロールT1は、その軸方向において、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに対する均等加圧が可能となっている。
【0083】
そして、テープ用シリンダ140が所定の加圧力を維持している状態のとき、粘着テープロールT1の両端側の粘着テープホルダ50のみならず、テープ筒T3の内部に配置されている複数の押圧ホルダ152も、粘着テープロールT1を上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに向けて押圧する。このため、粘着テープロールT1の上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bに対する押圧力は、粘着テープロールT1の軸方向の中央側においても、粘着テープロールT1の両端側に対して弱くならずに済む。すなわち、現状の除塵装置と比較して、粘着テープロールT1の軸方向の中央側における、押圧力が、弱くならずに済む。
【0084】
そして、上側のテープ用シリンダ140の作動により、粘着テープロールT1による上除塵ロール41Aの押圧を継続すると、上除塵ロール41Aは、下除塵ロール41Bに向かって押し下げられることになる。このとき、除塵ロール同期機構100の回動軸101が回動することにより、一対の回動アーム102が同時に押し下げ方向に回動する。
【0085】
それにより、上除塵ロール41Aの軸方向における一方側または他方側が、先にワークWの上面に当接するといった、片当たりが生じない状態で、ワークWの上面の除塵を行うことができる。そして、上除塵ロール41Aにより、軸方向における両端と中央とで、ワークWに対する押圧力のバラ付きが比較的少なく均一化が図れる状態で、ワークWの上面側の除塵を行うことができる。また、下除塵ロール41Bにおいては、ワークWを挟んで上除塵ロール41Aの押圧力の反力が生じる。そのため、下除塵ロール41Bにより、軸方向における両端と中央とで、ワークWに対する押圧力のバラ付きが比較的少なく均一化が図れる状態で、ワークWの下面側の除塵を行うことができる。
【0086】
なお、本実施の形態の除塵装置10と、現状の除塵装置とにおいて、上側のテープ用シリンダ140の作動による押圧力を同じであると仮定する。このとき、現状の除塵装置においては、上除塵ロールおよび下除塵ロールの軸方向における両端の押圧力が、軸方向における中央の押圧力よりも弱くなっている。これは、現状の除塵装置では、上除塵ロールを付勢バネで支持していること、および、上除塵ロールおよび下除塵ロールにおいては、片持ち梁に類するような曲げ応力が作用することによる。
【0087】
これに対して、本実施の形態では、上除塵ロール41Aの両端を支持するための付勢バネは存在しておらず、除塵ロール用シリンダ80およびシリンダ連結機構70を介して、上除塵ロール41Aの両端を支持している。それによっても、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bにおいては、軸方向における両端と中央とで、ワークWに対する押圧力のバラ付きを低減して、押圧力の均一化を図ることが可能となっている。以上のようにして、ワークWの除塵がなされる。
【0088】
なお、ワークWの除塵が完了する等でワークWの除塵を行わない場合、上側のテープ用シリンダ140および下側のテープ用シリンダ140をそれぞれ作動させて、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41Bから離間する向きに粘着テープロールT1を移動させる。このとき、現状の除塵装置とは異なり、上除塵ロール41Aは付勢バネで支持されていないので、上除塵ロール41Aが下除塵ロール41Bに接触している。このとき、制御部200は、除塵ロール用シリンダ80を作動させて、上除塵ロール41Aを上方に移動させる。
【0089】
<付記>
上述した実施の形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
[1]すなわち、除塵装置10は、ワークWの上面側または下面側から除塵を行う上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)と、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)に付着した塵埃を押圧状態で転写する粘着テープロールT1をその両端側で保持する一対の粘着テープホルダ50と、粘着テープロールT1のテープ筒T3の内部に配置され、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)に対する粘着テープロールT1の軸方向における押圧力の変動を抑制するための均等押圧機構150と、を備え、均等押圧機構150は、一対の粘着テープホルダ50を連結するように軸方向に延伸し、一対の粘着テープホルダ50の回転中心から偏心していると共に、粘着テープロールT1に対して非回転のホルダ軸151と、ホルダ軸151の軸方向に沿って複数取り付けられ、テープ筒T3を内筒側から押圧する押圧ホルダ152と、を備えている。
【0090】
このように構成する場合には、粘着テープロールT1の軸方向において、テープ筒T3の内部側から、複数の押圧ホルダ152のそれぞれが、粘着テープロールT1を、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)に向けて押圧する。したがって、粘着テープロールT1は、その軸方向において、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)に対する均等加圧が可能となる。すなわち、除塵装置10は、均等押圧機構150を備えることで、ワークWを均一な押圧力で押圧することが可能となる。
【0091】
[2]また、上記の実施の形態においては、上記の[1]に記載の内容に加え、一対の粘着テープホルダ50は、粘着テープロールに対して非回転の一対の内周連結部51と、一対の内周連結部51に対して回転すると共にテープ筒T3の一端部および他端部にそれぞれ挿入される一対のテープ保持軸受52とを備え、ホルダ軸151は、一対の内周連結部51を連結する状態で軸方向に延伸し、ホルダ軸151に平行な状態で一対の内周連結部51を連結することで、一対の粘着テープホルダ50の間での捻じれを防止する補強軸153と、を備える構成とすることができる。
【0092】
このように構成する場合には、一対の内周連結部51を、ホルダ軸151に平行な状態で補強軸153が連結していることで、一対の粘着テープホルダ50の間での捻じれが防止される。このため、均等押圧機構150においては、テープ筒T3の内部から複数の押圧ホルダ152によって粘着テープT2を押圧することで、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)に対する均等加圧が可能となり、それによって、ワークWを均一な押圧力で押圧することが可能となる。
【0093】
[3]また、上記の実施の形態においては、上述した[1]と[2]、またはそれらの組み合わせに記載の内容に加え、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)は、その軸方向の両端が支持ブロック71によって回転自在に軸支されている。また、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)には、ワークWの上面側の除塵を行う上除塵ロール41Aと、ワークWの下面側の除塵を行う下除塵ロール41Bとが設けられていて、上側の粘着テープロールT1の押圧に際して、上除塵ロール41Aの一端側と他端側との下降を同期させる除塵ロール同期機構100が設けられている。この除塵ロール同期機構100は、上除塵ロール41Aに対して所定だけ離間しつつ平行な状態で配置され、中心軸線を中心に回動可能な回動軸101と、回動軸101の軸方向における一端側および他端側に基端部が取り付けられ、当該回動軸101の回動に伴って中心軸線を回動中心として回動すると共に、先端部が支持ブロック71に取り付けられている一対の回動アーム102と、を備えることが好ましい。
【0094】
このような構成とする場合には、粘着テープロールT1の下降に伴って上除塵ロール41Aが押し下げられたときに、回動軸101を中心軸線として回動するので、その回動軸101の回動に伴って、一対の回動アーム102は同期して回動する。このため、一対の回動アーム102がそれぞれ独立して回動する場合とは異なり、一端側に配置されている支持ブロック71と、他端側に配置されている支持ブロック71とを、同時に押し下げることができる。
【0095】
このため、上除塵ロール41Aは、下除塵ロール41Bに対して、例えば一端側や他端側が先に当たってしまうような、片当たりするのを防止可能となる。そのため、上除塵ロール41A(除塵ロール)の下除塵ロール41B(除塵ロール)に対する均等加圧が可能となり、それによって、ワークWを均一な押圧力で押圧することが可能となる。
【0096】
[4]また、上記の実施の形態においては、上述した上記の[1]から[3]のいずれかに記載またはそれらの組み合わせた内容に加え、一対の支持ブロック71を介して一対の上除塵ロール41Aを上下動させる一対の除塵ロール用シリンダ80を備え、一対の除塵ロール用シリンダ80の作動を制御する制御部200を備え、ワークWの押圧を解除する際に、制御部200での制御によって一対の除塵ロール用シリンダ80を作動させるようにすることができる。
【0097】
このように構成する場合、上除塵ロール41Aは、一対の除塵ロール用シリンダ80の作動によって上下動させることができる。そのため、上除塵ロール41Aの両端を支持するための付勢バネを省略することができる。ここで、付勢バネを用いる場合には、その付勢バネ毎に、バネ特性のバラ付きが存在している。かかるバネ特性のバラ付きにより、上側のテープ用シリンダ140で上除塵ロール41Aを押圧し、ワークWの除塵を行う際の押圧力を軸方向で均一化させることが困難となっている。
【0098】
しかしながら、一対の除塵ロール用シリンダ80の作動によって上除塵ロール41Aを持ち上げる構成とし、上除塵ロール41Aの両端を支持するための付勢バネを省略することで、ワークWの除塵を行う際の押圧力を軸方向で均一化させることが可能となる。
【0099】
[5]また、上記の実施の形態においては、上述した上記の[1]から[4]のいずれかに記載またはそれらの組み合わせた内容に加え、一対の支持ブロック71は、一対の除塵ロール上下ガイド60(第1のリニアガイド)によって上下動がガイドされ、一対の粘着テープホルダ50は、一対のテープ上下ガイド110(第2のリニアガイド)によって上下動がガイドされる構成とすることができる。
【0100】
このように構成する場合、一対の支持ブロック71は、一対の除塵ロール上下ガイド60(第1のリニアガイド)によって滑らかに(摩擦抵抗の少ない状態で)摺動することが可能となる。それにより、上除塵ロール41Aが下除塵ロール41Bに対し、精度良く当接することができ、その精度の良い当接により、ワークWの除塵を行う際の押圧力を軸方向で均一化させることが可能となる。
【0101】
また、一対の粘着テープホルダ50は、一対のテープ上下ガイド110(第2のリニアガイド)によって滑らかに(摩擦抵抗の少ない状態で)摺動することが可能となる。それにより、一対の粘着テープホルダ50で保持される粘着テープロールT1が上除塵ロール41Aに対し、精度良く当接することができ、その精度の良い当接によっても、ワークWの除塵を行う際の押圧力を軸方向で均一化させることが可能となる。
【0102】
[6]また、上記の実施の形態においては、上述した上記の[1]から[5]のいずれかに記載またはそれらの組み合わせた内容に加え、上除塵ロール41Aおよび下除塵ロール41B(除塵ロール)は、除塵ユニットU1を構成し、粘着テープホルダ50および均等押圧機構150は、テープユニットU2を構成する。また、除塵ユニットU1とテープユニットU2との間の位置決めを行う位置決め機構160が設けられている。また、位置決め機構160は、長尺状の位置決めロッド184と、テープユニットU2に設けられ、位置決めロッド184が挿通される軸孔182aおよび軸孔183a(第1軸孔)を備える軸摺動ガイド181(第1固定部位)と、位置決めロッド184を押し込むように作動するロッド押圧シリンダ170と、除塵ユニットU1に設けられ、ロッド押圧シリンダ170の作動によって位置決めロッド184が押し込まれた際に、軸孔182aおよび軸孔183a(第1軸孔)への位置決めロッド184の挿通状態のまま当該位置決めロッド184が挿通される位置決め孔191(第2軸孔)を備えるローラ側位置決め部材190(第2固定部位)と、を有する構成とすることができる。
【0103】
このように構成する場合、除塵装置10は位置決め機構160を備え、その位置決め機構160が有する位置決めロッド184を、軸孔182aおよび軸孔183a(第1軸孔)および位置決め孔191(第2軸孔)に挿通させることで、除塵ユニットU1とテープユニットU2との間の位置決めを精度良く行うことができる。また、除塵ユニットU1とテープユニットU2の間のガタ付きを解消することができる。
【0104】
かかる精度の良い位置決め、およびガタ付きの解消により、ワークWの除塵を行う際の押圧力を軸方向で均一化させることが可能となる。
【0105】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0106】
上述の実施の形態においては、除塵ユニットU1に対し、上側および下側に、それぞれ1つずつのテープユニットU2が設けられている。しかしながら、上側のみ、または下側のみにテープユニットU2が設けられる構成を採用しても良い。また、除塵ユニットU1とテープユニットU2とが、搬送方向において、複数並んでいる構成を採用しても良い。
【符号の説明】
【0107】
10…除塵装置、20…筐体、21…筐体側板部、22…筐体側板部、30…搬送機構、32…搬送ローラ、40…除塵ロールユニット、41A…上除塵ロール(除塵ロールに対応)、41B…下除塵ロール(除塵ロールに対応)、42…回転軸、43…粘着ラバー層、50…粘着テープホルダ、51…内周連結部、52…テープ保持軸受、52a…フランジ部、60…除塵ロール上下ガイド(第1のリニアガイドに対応)、61…レール、62…摺動ブロック、70…シリンダ連結機構、70A…テープ用アクチュエータ、70B…テープ用アクチュエータ、71…支持ブロック、71a…上片部、71b…下片部、71c…凹部、72…固定片、73…突出軸、74…遊嵌保持部材、74a…上片部、74b…下片部、74c…遊嵌部、80…除塵ロール用シリンダ、81…ピストンロッド、90…支持ブロック、90a…上片部、90b…下片部、90c…凹部、91…固定片、100…除塵ロール同期機構、101…回動軸、102…回動アーム、102a…孔部、103…取付軸、110…テープ上下ガイド(第2のリニアガイドに対応)、111…レール、112…摺動ブロック、120…弾性支持機構、121…筒体部、122…押圧軸、122a…取手、130…固定支持機構、131…連結ブロック、132…ジョイント、133…連結軸、140…テープ用シリンダ、141…ピストンロッド、142…連結片、150…均等押圧機構、151…ホルダ軸、152…押圧ホルダ、153…補強軸、160…位置決め機構、170…ロッド押圧シリンダ、171…ピストンロッド、172…押圧ロッド、180…テープ側位置決め部材、181…軸摺動ガイド(第1固定部位に対応)、182…テープ側底部、182a…軸孔(第1軸孔に対応)、183…ローラ側底部、183a…軸孔(第1軸孔に対応)、184…位置決めロッド、185…付勢バネ、186…軸調整部材、186a…軸孔、190…ローラ側位置決め部材(第2固定部位に対応)、191…位置決め孔、200…制御部、B1…ベアリング、B2…ベアリング、B3…ベアリング、S1…スペース部、T1…粘着テープロール、T2…粘着テープ、T3…テープ筒、U1…除塵ユニット、U2…テープユニット、W…ワーク
【要約】
ワークを均一な押圧力で押圧することが可能な除塵装置を提供する。
除塵装置10は、ワークWの上面側または下面側から除塵を行う除塵ロール41A,41Bと、除塵ロール41A,41Bに付着した塵埃を押圧状態で転写する粘着テープロールT1をその両端側で保持する一対の粘着テープホルダ50と、粘着テープロールT1のテープ筒T3の内部に配置され、除塵ロール41A,41Bに対する粘着テープロールT1の軸方向における押圧力の変動を抑制するための均等押圧機構150と、を備え、均等押圧機構150は、一対の粘着テープホルダ50を連結するように軸方向に延伸し、一対の粘着テープホルダ50の回転中心から偏心していると共に、粘着テープロールT1に対して非回転のホルダ軸151と、ホルダ軸151の軸方向に沿って複数取り付けられ、テープ筒T3を内筒側から押圧する押圧ホルダ152と、を備える。