(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】液体中のヒドロラーゼを安定化する化合物
(51)【国際特許分類】
C12N 9/54 20060101AFI20240805BHJP
C12N 9/52 20060101ALI20240805BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240805BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
C12N9/54
C12N9/52
C11D3/386
C11D3/20
(21)【出願番号】P 2021518549
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019075672
(87)【国際公開番号】W WO2020069915
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッファー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュパンゲンベルク,オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】バイアー,グリット
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア マルコス,アレハンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エスパー,クラウディア
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-512599(JP,A)
【文献】特開2018-019680(JP,A)
【文献】特表平07-501821(JP,A)
【文献】特表平11-503190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C11D
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)による化合物:
【化1】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、Hから選択され、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)、
を含む
サブチリシン型プロテアーゼ安定剤。
【請求項2】
成分(a):請求項1に記載の少なくとも1つの安定剤、
成分(b):少なくとも1つの
サブチリシン型プロテアーゼ、
及び任意選択で、
成分(c):少なくとも1つの溶媒、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する少なくとも1つの化合物から選択される化合物
を含む酵素調製物。
【請求項3】
酵素調製物の総重量に対して0.1~30重量%の範囲の量の成分(a)を含む、請求項2に記載の酵素調製物。
【請求項4】
成分(b)に含まれる少なくとも1つの
サブチリシン型プロテアーゼが、成分(a)を欠く酵素調製物と比較した場合に安定化されている、請求項2又は3に記載の酵素調製物。
【請求項5】
安定した酵素調製物を製造する方法であって、少なくとも、
成分(a):一般式(I)による少なくとも1つの化合物:
【化2】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、Hから選択され、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)、
成分(b):少なくとも1つの
サブチリシン型プロテアーゼ、
並びに任意選択で、
成分(c):少なくとも1つの溶媒、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する少なくとも1つの化合物から選択される化合物
を混合するステップを含む、方法。
【請求項6】
保存中の液体酵素調製物に含まれる少なくとも1つの
サブチリシン型プロテアーゼのタンパク質分解活性の喪失を低減する方法であって、
式(I)による少なくとも1つの化合物:
【化3】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、Hから選択され、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
を添加するステップによる、方法。
【請求項7】
洗剤配合物、好ましくは液体洗剤配合物に配合するための、請求項2から4のいずれか一項に記載の酵素調製物の使用であって、請求項2から4のいずれか一項に記載の酵素調製物が、1つ以上のステップで1つ以上の洗剤成分と混合される、使用。
【請求項8】
請求項2から4のいずれか一項に記載の酵素調製物、及び少なくとも1つの洗剤成分を含む洗剤配合物。
【請求項9】
請求項2から4のいずれか一項に記載の酵素調製物、及び有効量の少なくとも1つの洗剤成分を混合するステップを含む、洗剤配合物を調製する方法。
【請求項10】
汚れを除去する方法であって、少なくとも1つの汚れを、請求項8に記載の洗剤配合物と接触させるステップを含み、成分(b)は、少なくとも1つのリパーゼをさらに含む、方法。
【請求項11】
前記汚れが、テキスタイルから除去され、30℃を超える融解温度を有する脂肪性化合物を含み、前記除去が、温度30℃以下の洗浄温度で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの
サブチリシン型プロテアーゼを含む液体洗剤配合物の保存安定性を増加させる方法であって、前記洗剤配合物に、式(I)による少なくとも1つの化合物:
【化4】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、Hから選択され、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
を添加することによる、方法。
【請求項13】
前記洗剤が、37℃で少なくとも20日間保存される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体洗剤配合物が、任意選択で好ましくはサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される、少なくとも1つのリパーゼを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
成分(a):一般式(I)による少なくとも1つの化合物
【0002】
【化1】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
5アルキル、及び分岐C
3~C
10アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)、
成分(b):ヒドロラーゼ(EC3)の群から選択される少なくとも1つの酵素、好ましくはプロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、
並びに任意選択で、
成分(c):溶媒、成分(a)と異なる酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する化合物から選択される少なくとも1つの化合物
を含む酵素調製物、好ましくは液体酵素調製物に関する。
【背景技術】
【0003】
酵素は通常、しばしば発酵ブロスから誘導される、液体濃縮物として商業的に製造される。酵素は、水性環境にとどまると、酵素活性を喪失する傾向があるので、酵素を無水形態に変換することが慣行的実務である:水性濃縮物を、例えば担体材料の存在下で凍結乾燥又は噴霧乾燥して、凝集体を形成することができる。通常、固体酵素製品は、使用前に「溶解する」必要がある。液体製品中の酵素を安定化するために、酵素阻害剤、好ましくは可逆的酵素阻害剤を使用して、酵素阻害剤が放出されるまで、酵素活性を一時的に阻害する。
【0004】
ホウ酸及びボロン酸は、タンパク質分解酵素を可逆的に阻害することが知られている。ボロン酸による1つのセリンプロテアーゼ、サブチリシンの阻害の考察が、Molecular & Cellular Biochemistry 51, 1983, pp. 5-32で提供されている。再活性化のために、この阻害剤を適用前又は適用中に除去する必要があり、これは例えば希釈によって行われ得る。
【0005】
環境配慮のために、酵素安定化に使用されるホウ素含有化合物の量を少なくとも減少させる需要が存在する。酵素の存在下で酵素安定剤として使用される代替物が探し求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明で解決しようとする課題は、液体酵素含有製品の保存中に酵素活性の喪失を低減するのを助ける化合物を提供することに関する。1種類の酵素又は酵素の混合物を含む液体洗剤配合物又は洗浄配合物に柔軟に配合されることを可能にする酵素調製物を提供することが本発明のさらなる目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、一般式(I)による化合物:
【0008】
【化2】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
5アルキル、及び分岐C
3~C
10アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
であって、
液体製品中の酵素の保存中に、ヒドロラーゼ(EC3)の群、好ましくはプロテアーゼの群、より好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素の酵素活性の保持を支持する上記化合物によって解決された。
【発明を実施するための形態】
【0009】
酵素名は、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会の推奨に基づいて当業者に知られている。酵素名には、EC(酵素委員会)番号、推奨名、別名(あれば)、触媒活性及びその他の因子が含まれる。2018年6月28日に最後に更新されたバージョンのhttp://www.sbcs.qmul.ac.uk/iubmb/enzyme/EC3/を参照されたい。
【0010】
一態様では、本発明は、
成分(a):一般式(I)による化合物から選択される少なくとも1つの酵素安定剤
【0011】
【化3】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
5アルキル、及び分岐C
3~C
10アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)、及び
成分(b):ヒドロラーゼ(EC3)の群から選択される少なくとも1つの酵素、好ましくはプロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、
並びに任意選択で、
成分(c):溶媒、成分(a)と異なる酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する化合物から選択される少なくとも1つの化合物
を含有する酵素調製物を提供する。
【0012】
本発明の酵素調製物は、20℃及び101.3kPaで液体であり得る。液体は、流動性で、注ぐことができる限り、溶液、エマルジョン及び分散体、ゲル等を含む。本発明の一実施形態では、本発明による液体洗剤組成物が、Brookfield、例えばBrookfield粘度計LVT-IIにより20rpmでスピンドル3によって25℃で測定される、約500~約20,000mPa*sの範囲の動粘度を有する。
【0013】
一実施形態では、液体とは、酵素調製物が液体酵素調製物の保存後、好ましくは37℃で少なくとも20日間の保存後に目に見える沈殿形成も混濁も示さないことを意味する。
【0014】
成分(a)
より具体的には、成分(a)が一般式(I)の化合物
【0015】
【化4】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
である。直鎖C
1~C
8アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル等である。分岐C
3~C
8アルキルの例は、2-プロピル、2-ブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、2-ペンチル、3-ペンチル、イソ-ペンチル等である。非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリールの例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、オルト-フェニルカルボン酸基、メタ-フェニルカルボン酸基、パラ-フェニルカルボン酸基、オルト-ヒドロキシフェニル、パラ-ヒドロキシフェニル等である。
【0016】
一実施形態では、式(I)による化合物のR1がH、アセチル及びプロピオニルから選択される。一実施形態では、式(I)による化合物のR1がHである。一実施形態では、式(I)による化合物のR1がアセチルである。一実施形態では、式(I)による化合物のR1がプロピオニルである。
【0017】
一実施形態では、式(I)による化合物のR2がHであり、R3、R4が互いに独立に、直鎖C1~C8アルキル、及び分岐C3~C8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC6~C10-アリール、及びC6~C10-アリール-アルキルから選択され、C6~C10-アリール-アルキルのアルキルが、直鎖C1~C8アルキル又は分岐C3~C8アルキルから選択される。
【0018】
一実施形態では、式(I)による化合物のR2、R3、R4が同じであり、R2、R3、R4が、直鎖C1~C8アルキル、及び分岐C3~C8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC6~C10-アリール、及びC6~C10-アリール-アルキルから選択され、C6~C10-アリール-アルキルのアルキルが、直鎖C1~C8アルキル又は分岐C3~C8アルキルから選択される。
【0019】
一実施形態では、式(I)による化合物のR1がHであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキル、フェニルメチル及びオルト-フェニルカルボン酸基(サリチル)から選択される。
【0020】
一実施形態では、式(I)による化合物のR1、R2及びR3がHであり、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2アルキルから選択される。一実施形態では、式(I)による化合物のR1及びR2がHであり、R3及びR4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2アルキルから選択される。
【0021】
一実施形態では、式(I)による化合物のR1がアセチルであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2及びC4アルキルから選択される。
【0022】
成分(a)は式(I)による化合物の塩を含む。塩には、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩、例えばモノ-及びトリエタノールアミンの塩が含まれる。カリウム塩及びナトリウム塩が好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態では、酵素調製物、好ましくは液体酵素調製物が、酵素調製物の総重量に対して0.1重量%~30重量%の範囲の量の成分(a)を含む。酵素調製物は、全て酵素調製物の総重量に対して0.1重量%~15重量%、0.25重量%~10重量%、0.5重量%~10重量%、0.5重量%~6重量%又は1重量%~3重量%の範囲の量の成分(a)を含み得る。
【0024】
本発明の一実施形態では、化合物(a)が、少なくとも1つの少なくとも部分的に加水分解された化合物(a)の誘導体を不純物として含む。本発明の一実施形態では、成分(a)が、不純物として以下の通りである完全加水分解化合物(a')を含む:
【0025】
【化5】
(式中、可変要素R
1、R
2、R
3及びR
4は、上記の成分(a)について記載されるのと同じである)。
【0026】
このような不純物は、成分(a)の最大50mol%、好ましくは0.1~20mol%、さらにより好ましくは1~10mol%になり得る。不純物は成分(a)の合成に由来し、精製法によって除去され得るが、これを除去することは好ましくない。
【0027】
成分(b)
本発明の一態様では、成分(b)に含まれる少なくとも1つの酵素は、液体酵素濃縮物の一部である。本明細書の「液体酵素濃縮物」とは、少なくとも1つの酵素を含む任意の液体酵素含有製品を意味する。酵素濃縮物の文脈における「液体」は、20℃及び101.3kPaでの外観に関する。
【0028】
液体酵素濃縮物は、固体酵素の溶媒への溶解から生じ得る。溶媒は水及び有機溶媒から選択され得る。固体酵素の溶媒への溶解から生じる液体酵素濃縮物は、最大で飽和濃度までの量の酵素を含み得る。
【0029】
本明細書の溶解とは、固体化合物が少なくとも1つの溶媒との接触によって液化されることを意味する。溶解とは、相分離が生じない、特定の溶媒で飽和濃度が達成されるまでの固体化合物の完全な溶解を意味する。
【0030】
本発明の一態様では、得られた酵素濃縮物の成分(b)が水を含まなくてもよく、これは、有意な量の水が存在しないことを意味する。本明細書の有意でない量の水とは、酵素調製物が、全て酵素濃縮物の総重量に対して25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、7重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満の水を含む、又は水を含まないことを意味する。一実施形態では、水を含まない酵素濃縮物とは、酵素濃縮物が有意な量の水を含まないが、酵素濃縮物の総重量に対して30~80重量%の量の有機溶媒を含むことを意味する。
【0031】
水を含む液体酵素濃縮物は「水性酵素濃縮物」と呼ばれ得る。水性酵素濃縮物は、固体酵素製品が水に溶解している酵素を含む溶液であり得る。一実施形態では、「水性酵素濃縮物」とは、発酵による酵素製造から得られた酵素を含む製品を意味する。
【0032】
発酵とは、適切な栄養培地で所望の酵素を発現する組換え細胞を培養し、組換え宿主細胞を増殖させ(このプロセスが発酵と呼ばれ得る)、所望のタンパク質を発現させるプロセスを意味する。発酵の終わりに、発酵ブロスを通常は収集し、さらに処理するが、この発酵ブロスは液体画分及び固体画分を含む。酵素が液体画分に分泌されているかどうかに応じて、所望のタンパク質又は酵素を発酵ブロスの液体画分又は細胞溶解物から回収することができる。所望の酵素の回収は、当業者に知られている方法を使用する。発酵ブロスからタンパク質又は酵素を回収する適切な方法には、それだけに限らないが、収集、遠心分離、濾過、抽出及び沈殿が含まれる。
【0033】
液体酵素濃縮物は、全て酵素濃縮物の総重量に対して0.1重量%~40重量%、又は0.5重量%~30重量%、又は1重量%~25重量%、又は3重量%~25重量%、又は5重量%~25重量%の範囲の量の酵素を含み得る。一実施形態では、液体酵素濃縮物が発酵から得られており、水性である。
【0034】
発酵から得られた水性酵素濃縮物は、全て酵素濃縮物の総重量に対して約50重量%超、約60重量%超、約70重量%超又は約80重量%超の量の水を含み得る。発酵から得られた水性酵素濃縮物は、残留成分、例えば発酵培地に由来する塩、産生宿主細胞に由来する細胞片、発酵中に産生宿主細胞によって産生される代謝産物を含み得る。一実施形態では、残留成分が、全て水性酵素濃縮物の総重量に対して30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満又は5重量%未満の量で液体酵素濃縮物に含まれ得る。
【0035】
成分(b)に含まれる少なくとも1つの酵素は、以下で酵素(成分(b))とも呼ばれるヒドロラーゼ(EC3)から選択される。好ましい酵素(成分(b))は、エステル結合に作用する酵素(E.C.3.1)、グリコシラーゼ(E.C.3.2)及びペプチダーゼ(E.C.3.4)の群から選択される。エステル結合に作用する酵素(E.C.3.1)はそれぞれ以下でリパーゼ(成分(b))とも呼ばれる。グリコシラーゼ(E.C.3.2)は以下でアミラーゼ(成分(b))及びセルラーゼ(成分(b))とも呼ばれる。ペプチダーゼは以下でプロテアーゼ(成分(b))とも呼ばれる。
【0036】
本発明の文脈におけるヒドロラーゼ(成分(b))は、ポリペプチド配列(本明細書でアミノ酸配列とも呼ばれる)によって特定される。ポリペプチド配列は、酵素の「活性部位」を含む三次元構造を指定し、今度はこれが酵素の触媒活性を決定する。ポリペプチド配列は配列番号によって特定され得る。世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)に従って、本明細書のアミノ酸は、第1文字を大文字として使用する三文字表記又は対応する1文字を使用して表される。
【0037】
本発明による酵素(成分(b))は、共に酵素活性を有する親酵素及び/又は変異体酵素に関する。酵素活性を有する酵素は、酵素的に活性である又は酵素変換を及ぼすが、これは酵素が基質に作用し、これらを産物に変換することを意味する。本明細書の「酵素」という用語は、酵素の不活性変異体を除外する。
【0038】
(「親酵素」とも呼ばれる親タンパク質又は酵素の)「親」配列は、(例えば、1つ以上のアミノ酸置換、挿入、欠失又はこれらの組合せを導入することによって)変更を配列に導入して、親配列の「変異体」をもたらすための出発配列である。親酵素(又は親配列)という用語は、(さらなる)変更を導入するための出発配列として使用される、野生型酵素(配列)及び合成的に作製された配列(酵素)を含む。
【0039】
「酵素変異体」又は「配列変異体」又は「変異体酵素」という用語は、ある程度、アミノ酸配列が親酵素と異なる酵素を指す。特に指示がない限り、「酵素活性を有する」変異体酵素とは、この変異体酵素がそれぞれの親酵素と同じ種類の酵素活性を有することを意味する。
【0040】
本発明の変異体を記載する場合、以下の通り記載される命名法が使用される:
【0041】
アミノ酸置換は、親酵素の元のアミノ酸、引き続いてアミノ酸配列中の位置の番号、引き続いて置換されたアミノ酸を提供することによって記載される。
【0042】
アミノ酸欠失は、親酵素の元のアミノ酸、引き続いてアミノ酸配列中の位置の番号、引き続いて*を提供することによって記載される。
【0043】
アミノ酸挿入は、親酵素の元のアミノ酸、引き続いてアミノ酸配列中の位置の番号、引き続いて元のアミノ酸及び追加のアミノ酸を提供することによって記載される。例えば、グリシンの隣のリシンの180位での挿入は「Gly180GlyLys」又は「G180GK」と示される。
【0044】
置換及び挿入が同じ位置で生じる場合、これはS99SD+S99A又は簡潔にS99ADと示され得る。既存のアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基が挿入される場合、命名法の縮重が起こることが明らかである。例えば、上記の例でグリシンがグリシンの後に挿入される場合、これはG180GGによって示されることになる。
【0045】
異なる変更をある位置で導入することができる場合、その異なる変更はコンマによって分けられ、例えば「Arg170Tyr,Glu」は、170位のアルギニンのチロシン又はグルタミン酸による置換を表す。あるいは、異なる変更又は任意選択の置換は括弧内に示され得る、例えばArg170[Tyr,Gly]若しくはArg170{Tyr,Gly}、又は簡潔にR170[Y,G]若しくはR170{Y,G}、又は長めにR170Y,R170G。
【0046】
酵素変異体は、親酵素と比較した場合の配列同一性によって定義され得る。配列同一性は通常、「%配列同一性」又は「%同一性」として提供される。配列同一性を計算するために、第1のステップで、配列アラインメントを作成しなければならない。本発明によると、ペアワイズグローバルアラインメントを作成しなければならず、これは2つの配列をその完全長にわたって整列させなければならないことを意味し、これは通常、アラインメントアルゴリズムと呼ばれる数学的アプローチを使用することによって作成される。
【0047】
本発明によると、アラインメントは、Needleman及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. (1979) 48, p. 443-453)を使用することによって作製される。好ましくは、プログラム「NEEDLE」(The European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS))が、プログラムデフォルトパラメータ(ギャップオープン=10.0、ギャップ伸長=0.5及び行列=EBLOSUM62)を使用して本発明の目的に使用される。
【0048】
本発明によると、%同一性の以下の計算が適用される:%同一性=(同一の残基/その完全長にわたる本発明のそれぞれの配列を示しているアラインメント領域の長さ)×100。
【0049】
本発明によると、酵素変異体は、それぞれの親酵素のアミノ酸配列と少なくともn%同一である(「n」は10~100の間の整数である)アミノ酸配列として記載され得る。一実施形態では、変異体酵素が、親酵素の完全長アミノ酸配列と比較した場合に少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であり、酵素変異体は酵素活性を有する。
【0050】
酵素変異体は、親酵素と比較した場合の配列類似性によって定義され得る。配列類似性は通常、「%配列類似性」又は「%類似性」として提供される。%配列類似性は、定義されるアミノ酸のセットが、例えばそのサイズ、その疎水性、その荷電又はその他の特徴によって類似の特性を共有することを考慮する。本明細書では、あるアミノ酸の類似のアミノ酸による交換が「保存的変異」と呼ばれ得る。
【0051】
本発明による%類似性の決定について、以下を適用する:アミノ酸Aはアミノ酸Sと類似である、アミノ酸Dはアミノ酸E及びNと類似である、アミノ酸Eはアミノ酸D及びK及びQと類似である、アミノ酸Fはアミノ酸W及びYと類似である、アミノ酸Hはアミノ酸N及びYと類似である、アミノ酸Iはアミノ酸L及びM及びVと類似である、アミノ酸Kはアミノ酸E及びQ及びRと類似である、アミノ酸Lはアミノ酸I及びM及びVと類似である、アミノ酸Mはアミノ酸I及びL及びVと類似である、アミノ酸Nはアミノ酸D及びH及びSと類似である、アミノ酸Qはアミノ酸E及びK及びRと類似である、アミノ酸Rはアミノ酸K及びQと類似である、アミノ酸Sはアミノ酸A及びN及びTと類似である、アミノ酸Tはアミノ酸Sと類似である、アミノ酸Vはアミノ酸I及びL及びMと類似である、アミノ酸Wはアミノ酸F及びYと類似である、アミノ酸Yはアミノ酸F及びH及びWと類似である。
【0052】
保存的アミノ酸置換は、機能的タンパク質、例えば酵素のポリペプチド配列の配列の完全長にわたって起こり得る。一実施形態では、このような変異が酵素の機能的ドメインに関係していない。一実施形態では、保存的変異が酵素の触媒中心に関係していない。
【0053】
保存的変異を考慮するために、2つのアミノ酸配列の配列類似性についての値は、%同一性を計算するために使用される同じアラインメントから計算され得る。本発明によると、%類似性の以下の計算が適用される:%類似性=[(同一の残基+類似の残基)/その完全長にわたる本発明のそれぞれの配列を示しているアラインメント領域の長さ]×100。
【0054】
本発明によると、酵素変異体は、それぞれの親配列と少なくともm%類似である(「m」は10~100の間の整数である)アミノ酸配列として記載され得る。一実施形態では、変異体酵素が、親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似であり、変異体酵素が酵素活性を有する。
【0055】
「酵素活性」とは、酵素1分子当たり1分当たりに変換される基質の分子に関する(分子活性)、通常は酵素1ミリグラム当たりのユニット(比活性)として表される、酵素によって及ぼされる触媒効果を意味する。
【0056】
変異体酵素は、前記酵素変異体がそれぞれの親酵素の酵素活性の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%を示す場合に、本発明による酵素活性を有し得る。
【0057】
プロテアーゼ
本発明の一態様では、成分(b)に含まれる少なくとも1つの酵素は、ヒドロラーゼ(EC3)の群から選択され、好ましくは少なくとも1つの酵素はプロテアーゼの群から選択され、より好ましくは少なくとも1つの酵素はセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、最も好ましくは少なくとも1つの酵素はサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される。
【0058】
プロテアーゼはクラスEC3.4のメンバーである。プロテアーゼ(成分(b))には、アミノペプチダーゼ(EC3.4.11)、ジペプチダーゼ(EC3.4.13)、ジペプチジル-ペプチダーゼ及びトリペプチジル-ペプチダーゼ(EC3.4.14)、ペプチジル-ジペプチダーゼ(EC3.4.15)、セリン型カルボキシペプチダーゼ(EC3.4.16)、メタロカルボキシペプチダーゼ(EC3.4.17)、システイン型カルボキシペプチダーゼ(EC3.4.18)、オメガペプチダーゼ(EC3.4.19)、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)、システインエンドペプチダーゼ(EC3.4.22)、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ(EC3.4.23)、メタロ-エンドペプチダーゼ(EC3.4.24)、スレオニンエンドペプチダーゼ(EC3.4.25)又は未知の触媒機序のエンドペプチダーゼ(EC3.4.99)が含まれる。
【0059】
一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))はセリンプロテアーゼ(EC3.4.21)から選択される。セリンプロテアーゼ又はセリンペプチダーゼは、触媒活性部位にセリンを有し、これが触媒反応中に基質と共有結合付加物を形成することにより特徴付けられる。本発明の文脈におけるセリンプロテアーゼ(成分(b))は、キモトリプシン(例えば、EC3.4.21.1)、エラスターゼ(例えば、EC3.4.21.36)、エラスターゼ(例えば、EC3.4.21.37又はEC3.4.21.71)、グランザイム(例えば、EC3.4.21.78又はEC3.4.21.79)、カリクレイン(例えば、EC3.4.21.34、EC3.4.21.35、EC3.4.21.118又はEC3.4.21.119)、プラスミン(例えば、EC3.4.21.7)、トリプシン(例えば、EC3.4.21.4)、トロンビン(例えば、EC3.4.21.5)及びサブチリシンからなる群から選択される。サブチリシンはサブチロペプチダーゼ(subtilopeptidase)、例えばEC3.4.21.62としても知られており、EC3.4.21.62は以下で「サブチリシン」とも呼ばれる。
【0060】
仮にサブチラーゼとして示されるセリンプロテアーゼのサブグループは、Siezen et al. (1991), Protein Eng. 4:719-737及びSiezen et al. (1997), Protein Science 6:501-523によって提案されている。サブチラーゼには、サブチリシンファミリー、テルミターゼファミリー、プロテイナーゼKファミリー、ランチビオティックペプチダーゼファミリー、ケキシンファミリー及びピロリシン(pyrolysin)ファミリーが含まれる。
【0061】
サブチラーゼのサブグループは、MEROPSデータベース(http://merops.sanger.ac.uk)によって定義されるファミリーS8のセリンプロテアーゼであるサブチリシンである。ペプチダーゼファミリーS8はセリンエンドペプチダーゼサブチリシン及びそのホモログを含む。サブファミリーS8Aでは、活性部位残基が、モチーフAsp-Thr/Ser-Gly(これはクランAAのアスパラギン酸エンドペプチダーゼのファミリーの配列モチーフに類似である)、His-Gly-Thr-His及びGly-Thr-Ser-Met-Ala-Xaa-Proで頻繁に生じる。
【0062】
セリンプロテアーゼ(成分(b))のサブチリシン関連クラスは、これらをセリンプロテアーゼのキモトリプシン関連クラスと区別する触媒三残基を定義する共通のアミノ酸配列を共有する。サブチリシン及びキモトリプシン関連セリンプロテアーゼの両方が、アスパラギン酸、ヒスチジン及びセリンを含む触媒三残基を有する。
【0063】
例としては、国際公開第89/06276号及び欧州特許第0283075号、国際公開第89/06279号、国際公開第89/09830号、国際公開第89/09819号、国際公開第91/06637号及び国際公開第91/02792号に記載されているサブチリシンが挙げられる。
【0064】
プロテアーゼは、「プロテアーゼ活性」又は「タンパク質分解活性」を及ぼす活性タンパク質である。タンパク質分解活性は、定義される時間経過でのプロテアーゼ又はタンパク質分解酵素によるタンパク質の分解の速度に関連する。
【0065】
タンパク質分解活性を分析する方法は文献で周知である(例えば、Gupta et al. (2002), Appl. Microbiol. Biotechnol. 60: 381-395参照)。タンパク質分解活性は、基質としてスクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリドを使用することによって決定され得る(Suc-AAPF-pNA、短AAPF;例えばDelMar et al. (1979), Analytical Biochem 99, 316-320参照)。pNAはタンパク質分解切断によって基質分子から切断され、遊離pNAの黄色の放出をもたらし、OD405を測定することによってこれを定量化することができる。
【0066】
タンパク質分解活性は、酵素1グラム当たりのユニットで提供され得る。例えば、1Uのプロテアーゼは、(カゼインを基質として)pH8.0及び37℃で1分当たり1μmolのフォリン陽性アミノ酸及びペプチド(チロシンとして)を遊離するプロテアーゼの量に対応し得る。
【0067】
サブチリシン型のプロテアーゼ(EC3.4.21.62)(成分(b))は、バシラス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバシラス属(Geobacillus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバシラス属(Oceanobacillus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)若しくはストレプトマイセス属(Streptomyces)プロテアーゼから選択される微生物に由来する細菌プロテアーゼ、又はグラム陰性菌ポリペプチド、例えばカンピロバクター属(Campyrobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ナイセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)及びウレアプラズマ属(Ureaplasma)であり得る。
【0068】
本発明の一態様では、少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))が、バシラス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)、バシラス・ロータス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシラス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)又はバシラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)プロテアーゼから選択される。
【0069】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))は、以下から選択される:バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)BPN'由来のサブチリシン(Vasantha et al. (1984) J. Bacteriol. Volume 159, p. 811-819及びJA Wells et al. (1983) in Nucleic Acids Research, Volume 11, p. 7911-7925によって記載されている)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のサブチリシン(サブチリシンCarlsberg;EL Smith et al. (1968) in J. Biol Chem, Volume 243, pp. 2184-2191及びJacobs et al. (1985) in Nucl. Acids Res, Vol 13, p. 8913-8926に開示されている)、サブチリシンPB92(アルカリプロテアーゼPB92の元の配列は欧州特許第283075号に記載されている)、国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309(それぞれEsperase(登録商標)、Savinase(登録商標))、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン、例えば国際公開第95/23221号に記載されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483由来のサブチリシン又はバシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483の変異体、ドイツ特許第10064983号に開示されているバシラス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)(DSM11233)由来のサブチリシン、国際公開第2003/054184号に開示されているバシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)(DSM14391)由来のサブチリシン、国際公開第2003/056017号に開示されているバシラス属の種(Bacillus sp.)(DSM14390)由来のサブチリシン、国際公開第2003/055974号に開示されているバシラス属の種(Bacillus sp.)(DSM14392)由来のサブチリシン、国際公開第2003/054184号に開示されているバシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)(DSM14393)由来のサブチリシン、国際公開第2005/063974号に記載されている配列番号4を有するサブチリシン、国際公開第2005/103244号に記載されている配列番号4を有するサブチリシン、国際公開第2005/103244号に記載されている配列番号7を有するサブチリシン、及びドイツ特許出願第102005028295.4号に記載されている配列番号2を有するサブチリシン。
【0070】
一実施形態では、成分(b)が、少なくとも国際公開第89/06279号の表Iの配列a)として開示されているサブチリシン309(本明細書でSavinaseと呼ばれ得る)又はこれと少なくとも80%同一で、タンパク質分解活性を有するその変異体を含む。
【0071】
本発明による有用なプロテアーゼ(成分(b))の例は、国際公開第92/19729号、国際公開第95/23221号、国際公開第96/34946号、国際公開第98/20115号、国際公開第98/20116号、国際公開第99/11768号、国際公開第01/44452号、国際公開第02/088340号、国際公開第03/006602号、国際公開第2004/03186号、国際公開第2004/041979号、国際公開第2007/006305号、国際公開第2011/036263号、国際公開第2011/036264号及び国際公開第2011/072099号に記載されている変異体を含む。適切な例は、特にタンパク質分解活性を有する、以下の位置:3、4、9、15、24、27、33、36、57、68、76、77、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、118、120、123、128、129、130、131、154、160、167、170、194、195、199、205、206、217、218、222、224、232、235、236、245、248、252及び274(BPNの番号付けによる)の1つ以上のアミノ酸置換を有する欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22(バシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483に由来する成熟アルカリプロテアーゼの配列である)に由来するサブチリシンプロテアーゼの変異体を含む。一実施形態では、このようなプロテアーゼが、Asp32、His64及びSer221位(BPNの番号付けによる)で変異していない。
【0072】
適切なプロテアーゼ(成分(b))は、上に開示される親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体を含む。
【0073】
適切なプロテアーゼ(成分(b))は、親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似である、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼ変異体を含む。
【0074】
一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))が、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22を有する、又はこれと少なくとも80%同一であり、タンパク質分解活性を有するプロテアーゼである。一実施形態では、前記プロテアーゼが、101位(BPNの番号付けによる)にアミノ酸、グルタミン酸(E)、又はアスパラギン酸(D)、又はアスパラギン(N)、又はグルタミン(Q)、又はアラニン(A)、又はグリシン(G)、又はセリン(S)を有することにより特徴付けられ、タンパク質分解活性を有する。一実施形態では、前記プロテアーゼが、1つ以上のさらなる置換:(a)3位のスレオニン(3T)、(b)4位のイソロイシン(4I)、(c)63位のアラニン、スレオニン又はアルギニン(63A、63T又は63R)、(d)156位のアスパラギン酸又はグルタミン酸(156D又は156E)、(e)194位のプロリン(194P)、(f)199位のメチオニン(199M)、(g)205位のイソロイシン(205I)、(h)217位のアスパラギン酸、グルタミン酸又はグリシン(217D、217E又は217G)、(i)(a)~(h)による2個以上のアミノ酸の組合せを含む。少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))は、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22と少なくとも80%同一であり得、((a)~(h)による)1個のアミノ酸又は(i)による組合せをアミノ酸101E、101D、101N、101Q、101A、101G又は101S(BPNの番号付けによる)と共に含み、タンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。一実施形態では、前記プロテアーゼが、変異(BPNの番号付けによる)R101E、又はS3T+V4I+V205I、又はR101E及びS3T、V4I及びV205I、又はS3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを含み、タンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。
【0075】
一実施形態では、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼが、変異(BPNの番号付けによる)S3T+V4I+S9R+A15T+V68A+D99S+R101S+A103S+I104V+N218Dを含み、タンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。
【0076】
一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼが、それだけに限らないが、商品名Alcalase(登録商標)、Blaze(登録商標)、Duralase(商標)、Durazym(商標)、Relase(登録商標)、Relase(登録商標)Ultra、Savinase(登録商標)、Savinase(登録商標)Ultra、Primase(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase(登録商標)Ultra、Ovozyme(登録商標)、Coronase(登録商標)、Coronase(登録商標)Ultra、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)及びEsperase(登録商標)(Novozymes A/S)で販売されている製品、商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect(登録商標)Prime、Purafect MA(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、Purafect OxP(登録商標)、Puramax(登録商標)、Properase(登録商標)、FN2(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Eraser(登録商標)、Ultimase(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Effectenz(登録商標)、Preferenz(登録商標)及びOptimase(登録商標)(Danisco/DuPont)、Axapem(商標)(Gist-Brocases N.V.)で販売されている製品、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)アルカリプロテアーゼ(BLAP;米国特許第5,352,604号の
図29に示されている配列)及びその変異体並びに花王株式会社製のKAP(バシラス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)サブチリシン)を含む商業的に入手可能なプロテアーゼ酵素から選択される。
【0077】
本発明によると、成分(b)は、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される、少なくとも2つのプロテアーゼの組合せを含み得、これらは全て上に開示されている。
【0078】
一実施形態では、成分(b)は、上に開示される欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼ又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼを含む。
【0079】
一実施形態では、成分(b)は、上に開示される国際公開第89/06279号の表Ia)に開示されているサブチリシン309又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼを含む。
【0080】
一実施形態では、成分(b)は、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのリパーゼとの組合せを含む。
【0081】
リパーゼ
「リパーゼ」、「脂質分解酵素」、「脂質エステラーゼ」は全て、ECクラス3.1.1(「カルボン酸エステルヒドロラーゼ」)の酵素を指す。リパーゼは、リパーゼ活性(又は脂質分解活性;トリアシルグリセロールリパーゼ、EC3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC3.1.1.74;クチナーゼ活性を有する酵素は本明細書でクチナーゼと呼ばれ得る)、ステロールエステラーゼ活性(EC3.1.1.13)及び/又はワックスエステルヒドロラーゼ活性(EC3.1.1.50)を有する活性タンパク質を意味する。
【0082】
脂質分解活性を決定する方法は文献で周知である(例えば、Gupta et al. (2003), Biotechnol. Appl. Biochem. 37, p. 63-71参照)。例えば、リパーゼ活性は、基質パルミチン酸パラ-ニトロフェニル(パルミチン酸-pNP、C:16)のエステル結合加水分解によって測定され得、黄色であり、405nmで検出することができるpNPを放出する。
【0083】
「脂質分解活性」とは、脂質分解ユニット(LU)で提供され得る、リパーゼによって及ぼされる触媒効果を意味する。例えば、1LUは、以下の条件下、飽和pHで1分当たり1μmolの滴定脂肪酸を産生するリパーゼの量に対応し得る:温度30℃、pH=9.0、基質は、5mmol/l Trisバッファー中、13mmol/l Ca2+及び20mmol/l NaClの存在下、3.3wt%のオリーブ油及び3.3%のアラビアガムのエマルジョンであり得る。
【0084】
リパーゼ(成分(b))には、細菌又は真菌由来のものが含まれる。本発明の一態様では、適切なリパーゼ(成分(b))が、以下から選択される:フミコラ属(Humicola)(異名サーモマイセス属(Thermomyces))、例えば欧州特許第258068号、欧州特許第305216号、国際公開第92/05249号及び国際公開第2009/109500号に記載されているH.ラヌギノーサ(H.lanuginose)(T.ラヌギノサス(T.lanuginosus))、又は国際公開第96/13580号に記載されているH.インソレンス(H.insolens)由来のリパーゼ、国際公開第92/05249号に記載されているリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)由来のリパーゼ、シュードモナス属(Pseudomonas)(これらの一部は現在バークホルデリア属(Burkholderia)に改名されている)の菌株、例えばP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号、国際公開第94/25578号、国際公開第95/30744号、国際公開第95/35381号、国際公開第96/00292号)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)(英国特許第1372034号)、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)、シュードモナス属(Pseudomonas)の種菌株SD705(国際公開第95/06720号及び国際公開第96/27002号)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)(国際公開第95/14783号)、P.グルマエ(P.glumae)(国際公開第95/35381号、国際公開第96/00292号)由来のリパーゼ、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)(国際公開第2011/150157号)及びS.プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)(国際公開第2012/137147号)由来のリパーゼ、GDSL型ストレプトマイセス属(Streptomyces)リパーゼ(国際公開第2010/065455号)、国際公開第2011/084412号に開示されているサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)由来のリパーゼ、国際公開第2011/084417号に開示されているゲオバシラス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)由来のリパーゼ、例えば国際公開第00/60063号に開示されている、バシラス属(Bacillus)リパーゼ、Dartois et al. (1992), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360又は国際公開第2011/084599号に開示されている枯草菌、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)(特開昭64-074992号)又はB.プミルス(B.pumilus)(国際公開第91/16422号)由来のリパーゼ、国際公開第94/01541号に開示されているカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(米国特許第5,389,536号、国際公開第88/09367号)、マグネポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来のクチナーゼ(国際公開第2010/107560号)、国際公開第90/09446号、国際公開第00/34450号及び国際公開第01/92502号に開示されているフザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarum solani pisi)由来のクチナーゼ、並びに国際公開第00/34450号及び国際公開第01/92502号に開示されているフミコラ・ラヌギノーサ(Humicola Lanuginosa)由来のクチナーゼ。
【0085】
適切なリパーゼ(成分(b))には、アシルトランスフェラーゼ又はペルヒドロラーゼと呼ばれるもの、例えばカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)リパーゼAとの相同性を有するアシルトランスフェラーゼ(国際公開第2010/111143号)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来のアシルトランスフェラーゼ(国際公開第2005/056782号)、CE7ファミリーのペルヒドロラーゼ(国際公開第2009/67279号)、及びM.スメグマチス(M. smegmatis)ペルヒドロラーゼの変異体、特にS54V変異体(国際公開第2010/100028号)も含まれる。
【0086】
適切なリパーゼ(成分(b))には、脂質分解活性を有する上記リパーゼの変異体であるものも含まれる。このような適切なリパーゼ変異体(成分(b))は、例えば国際公開第95/22615号、国際公開第97/04079号、国際公開第97/07202号、国際公開第00/60063号、国際公開第2007/087508号、欧州特許第407225号及び欧州特許第260105号に開示されている方法によって開発されているものである。
【0087】
適切なリパーゼ(成分(b))には、上に開示される親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、脂質分解活性を有するリパーゼ変異体が含まれる。
【0088】
適切なリパーゼ(成分(b))には、親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似である、脂質分解活性を有するリパーゼ変異体が含まれる。
【0089】
一実施形態では、少なくとも1つのリパーゼ(成分(b))が、真菌トリアシルグリセロールリパーゼ(ECクラス3.1.1.3)から選択される。真菌トリアシルグリセロールリパーゼ(成分(b))はサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼから選択され得る。一実施形態では、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ(成分(b))が、米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼ及び脂質分解活性を有するその変異体から選択される。米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼは本明細書でLipolaseと呼ばれ得る。
【0090】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ(成分(b))は、米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、脂質分解活性を有する変異体から選択され得る。
【0091】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ(成分(b))は、米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269の機能的ドメインに関係しない保存的変異のみを含む、脂質分解活性を有する変異体から選択され得る。脂質分解活性を有するこの実施形態のリパーゼ変異体は、米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似であり得る。
【0092】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ(成分(b))は、米国特許第5,869,438号の配列番号2と少なくとも80%同一であり得、アミノ酸T231R及びN233Rを有することにより特徴付けられ得る。前記サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、以下のアミノ酸交換:Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kの1つ以上をさらに含み得る。
【0093】
一実施形態では、少なくとも1つのリパーゼが、それだけに限らないが、商品名Lipolase(商標)、Lipex(商標)、Lipolex(商標)及びLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Lumafast(元々Genencor製)及びLipomax(Gist-Brocades/現在DSM)で販売されている製品を含む、商業的に入手可能なリパーゼから選択される。
【0094】
本発明によると、成分(b)は、好ましくは上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼ及び脂質分解活性を有するその変異体から選択される、少なくとも2つのリパーゼの組合せを含み得る。
【0095】
一実施形態では、成分(b)は、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含む。
【0096】
一実施形態では、成分(b)は、欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼ又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体(これらは全て上に開示される)を含む。
【0097】
一実施形態では、成分(b)は、国際公開第89/06279号の表Ia)に開示されているサブチリシン309又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体(これらは全て上に開示される)を含む。
【0098】
一実施形態では、成分(b)が、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼと、少なくとも1つのアミラーゼの組合せを含む。
【0099】
アミラーゼ
一実施形態では、本発明の酵素調製物は、少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))を含む。本発明による「アミラーゼ」(成分(b))(アルファ及び/又はベータ)は、細菌又は真菌由来のもの(それぞれEC3.2.1.1及び3.2.1.2)を含む。化学修飾された又はタンパク質操作された変異体が含まれる。
【0100】
本発明によるアミラーゼ(成分(b))は、多糖のグルコシド結合の(内部)加水分解((endo)hydrolysis)を伴う「アミロース分解活性」又は「アミラーゼ活性」を有する。α-アミラーゼ活性は、当業者に知られているα-アミラーゼ活性を測定するアッセイによって決定され得る。α-アミラーゼ活性を測定するアッセイの例には以下がある:
【0101】
α-アミラーゼ活性は、基質としてPhadebas錠剤を使用する方法(Phadebas Amylase Test、Magle Life Scienceによって供給される)によって決定することができる。デンプンをα-アミラーゼによって加水分解して、可溶性青色断片を得る。620nmで分光光度的に測定される、得られた青色溶液の吸光度は、α-アミラーゼ活性の関数である。測定された吸光度は、所与の条件セット下での当のα-アミラーゼの比活性(活性/mg純粋なα-アミラーゼタンパク質)に正比例する。
【0102】
α-アミラーゼ活性は、エチリデン-4-ニトロフェニル-α-D-マルトヘプタオシド(EPS)を使用する方法によって決定することもできる。D-マルトヘプタオシドは、エンドアミラーゼによって切断することができるブロックオリゴ糖である。切断後、キットに含まれるα-グルコシダーゼが基質を消化して、遊離PNP分子を遊離させ、これが黄色を有し、よって、405nmで可視分光測光法によって測定することができる。EPS基質及びα-グルコシダーゼを含有するキットは、Roche Costum Biotech(カタログ番号10880078103)によって製造されている。時間依存的吸光度曲線の勾配は、所与の条件セット下での当のα-アミラーゼの比活性(活性/mg酵素)に正比例する。
【0103】
アミロース分解活性は、酵素1グラム当たりのユニットで提供され得る。例えば、1ユニットのα-アミラーゼは、pH6.9、20℃において3分でデンプンから1.0mgのマルトースを遊離させ得る。
【0104】
少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))は以下から選択され得る:国際公開第95/10603号に記載されている配列番号2を有するバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のアミラーゼ、国際公開第02/10355号に開示されている配列番号6を有するB.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)由来のアミラーゼ、国際公開第99/19467号に開示されている配列番号6を有するバシラス属の種(Bacillus sp.)707由来のアミラーゼ、SP-722とも記載されている、国際公開第96/23872号に記載されている配列番号2又は配列番号7を有するバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ、国際公開第00/22013号に開示されている配列番号4を有するバシラス属の種(Bacillus sp.)DSM12649由来のアミラーゼ、国際公開第2009/061380号に開示されている配列番号2を有するバシラス属(Bacillus)菌株TS-23由来のアミラーゼ、国際公開第2013/184577号に開示されている配列番号1を有するサイトファガ属の種(Cytophaga sp.)由来のアミラーゼ、国際公開第2010/104675号に開示されている配列番号1を有するバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)DSM90由来のアミラーゼ、国際公開第00/60060号に記載されている配列番号2のアミノ酸1~485を含むバシラス属の種(Bacillus sp.)由来のアミラーゼ。
【0105】
適切なアミラーゼ(成分(b))には、上に開示される親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である、アミラーゼ活性を有するアミラーゼ変異体が含まれる。
【0106】
適切なアミラーゼ(成分(b))には、親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似である、アミラーゼ活性を有するアミラーゼ変異体が含まれる。
【0107】
少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))は、国際公開第2006/002643号に記載されている配列番号12を有し得る、又はこれと少なくとも80%同一であり、アミロース分解活性を有する。少なくとも1つのアミラーゼは、配列番号12と少なくとも80%同一であり得、位置Y295F及びM202LITVの置換を含む。
【0108】
少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))は、国際公開第2011/098531号に記載されている配列番号6を有し得る、又はこれと少なくとも80%同一であり、アミロース分解活性を有する。少なくとも1つのアミラーゼは、配列番号6と少なくとも80%同一であり得、193[G,A,S,T又はM]、195[F,W,Y,L,I又はV]、197[F,W,Y,L,I又はV]、198[Q又はN]、200[F,W,Y,L,I又はV]、203[F,W,Y,L,I又はV]、206[F,W,Y,N,L,I,V,H,Q,D又はE]、210[F,W,Y,L,I又はV]、212[F,W,Y,L,I又はV]、213[G,A,S,T又はM]及び243[F,W,Y,L,I又はV]からなる群から選択される1つ以上の位置の置換を含む。
【0109】
少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))は、国際公開第2013/001078号に記載されている配列番号1を有し得る、又はこれと少なくとも85%同一であり、アミロース分解活性を有する。少なくとも1つのアミラーゼは、配列番号1と少なくとも85%同一であり得、位置G304、W140、W189、D134、E260、F262、W284、W347、W439、W469、G476及びG477に対応する2つ以上の(数個の)位置の変更を含む。
【0110】
少なくとも1つのアミラーゼ(成分(b))は、国際公開第2013/001087号に記載されている配列番号2を有し得る、又はこれと少なくとも85%同一であり、アミロース分解活性を有する。少なくとも1つのアミラーゼは、配列番号2と少なくとも85%同一であり得、位置181+182又は182+183又は183+184の欠失を含み、アミロース分解活性を有する。一実施形態では、前記アミラーゼが、W140、W159、W167、Q169、W189、E194、N260、F262、W284、F289、G304、G305、R320、W347、W439、W469、G476及びG477に対応する位置のいずれかの1つ又は2つ以上のさらなる改変を含み得る。
【0111】
一実施形態では、少なくとも1つのアミラーゼが、それだけに限らないが商品名Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Fungamyl(商標)、Stainzyme(商標)、Stainzyme Plus(商標)、Natalase(商標)、Liquozyme X及びBAN(商標)(Novozymes A/S製)、及びRapidase(商標)、Purastar(商標)、Powerase(商標)、Effectenz(商標)(M100、DuPont製)、Preferenz(商標)(S1000、S110及びF1000、DuPont製)、PrimaGreen(商標)(全て、DuPont)、Optisize(商標)(DuPont)で販売されている製品を含む商業的に入手可能なアミラーゼから選択される。
【0112】
本発明によると、成分(b)は少なくとも2つのアミラーゼの組合せを含む。
【0113】
一実施形態では、成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのアミラーゼの組合せを含む。
【0114】
一実施形態では、成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのリパーゼと少なくとも1つのアミラーゼの組合せを含む。
【0115】
セルラーゼ
一実施形態では、成分(b)が、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される、少なくとも1つのプロテアーゼと、少なくとも1つのセルラーゼの組合せを含む。
【0116】
本発明の酵素調製物は少なくとも1つのセルラーゼ(成分(b))を含み得る。セルラーゼの3つの主要な種類、すなわち、セロビオヒドロラーゼ(1,4-P-D-グルカンセロビオヒドロラーゼ、EC3.2.1.91)、エンド-ss-1,4-グルカナーゼ(エンド-1,4-P-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ、EC3.2.1.4)及びss-グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)が知られている。
【0117】
「セルラーゼ」、「セルラーゼ酵素」又は「セルロース分解酵素」(成分(b))は、セルロースの加水分解に関与する酵素である。「セルラーゼ活性」又は「セルロース分解活性」を測定するアッセイは当業者に知られている。例えば、セルロース分解活性は、セルラーゼがカルボキシメチルセルロースを還元炭水化物に加水分解し、その還元能力はHoffman, W. S., J. Biol. Chem. 120, 51 (1937)に従って、フェリシアン化物反応によって比色測定で決定されるという事実によって決定され得る。
【0118】
セルロース分解活性は酵素1グラム当たりのユニットで提供され得る。例えば、1ユニットは、pH5.0、37℃(インキュベーション時間2時間)で、1時間でセルロースから1.0μmolのグルコースを遊離させることができる。本発明によるセルラーゼには細菌又は真菌由来のものが含まれる。一実施形態では、少なくとも1つのセルラーゼが、セルロース結合ドメインを含むセルラーゼから選択される。一実施形態では、少なくとも1つのセルラーゼが、触媒ドメインのみを含むセルラーゼから選択され、これはセルラーゼがセルロース結合ドメインを欠くことを意味する。
【0119】
一実施形態では、少なくとも1つのセルラーゼ(成分(b))が、それだけに限らないが、Celluzyme(商標)、Endolase(商標)、Carezyme(商標)、Cellusoft(商標)、Renozyme(商標)、Celluclean(商標)(Novozymes A/S製)、Ecostone(商標)、Biotouch(商標)、Econase(商標)、Ecopulp(商標)(AB Enzymesフィンランド製)、Clazinase(商標)、及びPuradax HA(商標)、Genencor洗剤セルラーゼL、IndiAge(商標) Neutra(Genencor International Inc./DuPont製)、Revitalenz(商標)(2000 DuPont製)、Primafast(商標)(DuPont)及びKAC-500(商標)(花王株式会社製)を含む商業的に入手可能なセルラーゼから選択される。
【0120】
本発明によると、成分(b)は、少なくとも2つのセルラーゼの組合せを含み得る。
【0121】
一実施形態では、成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのセルラーゼの組合せを含む。
【0122】
一実施形態では、成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのリパーゼと少なくとも1つのセルラーゼの組合せを含む。
【0123】
一実施形態では、成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのアミラーゼと少なくとも1つのセルラーゼの組合せを含む。
【0124】
一実施形態では、成分(b)が、少なくとも1つのプロテアーゼと少なくとも1つのリパーゼと少なくとも1つのアミラーゼと少なくとも1つのセルラーゼの組合せを含む。
【0125】
成分(c)
一実施形態では、本発明の液体酵素調製物は、溶媒、成分(a)と異なる酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する化合物から選択される、少なくとも1つの化合物を含む成分(c)を含む。
【0126】
成分(a)と異なる酵素安定剤:
本発明の液体酵素調製物は、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤を含み得る。前記酵素安定剤(成分(c))は、ホウ素含有化合物、ポリオール、ペプチドアルデヒド、他の安定剤、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0127】
ホウ素含有化合物:
ホウ素含有化合物(成分(c))は、ホウ酸又はその誘導体から、及びボロン酸又はその誘導体、例えばアリールボロン酸又はその誘導体から、これらの塩から、及びそれらの混合物から選択され得る。ホウ酸は、本明細書ではオルトホウ酸と呼ばれることもある。
【0128】
一実施形態では、ホウ素含有化合物(成分(c))は、アリールボロン酸及びその誘導体からなる群から選択される。一実施形態では、ホウ素含有化合物は、フェニルボロン酸(PBA)とも呼ばれるベンゼンボロン酸(BBA)、その誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、フェニルボロン酸誘導体は、式(IIIa)及び式(IIIb)の誘導体:
【0129】
【化6】
(式中、
R1は、水素、ヒドロキシ、非置換又は置換C
1~C
6アルキル、及び非置換又は置換C
1~C
6アルケニルからなる群から選択され、好ましい実施形態では、Rは、ヒドロキシ及び非置換C
1アルキルからなる群から選択され、
R2は、水素、ヒドロキシ、非置換又は置換C
1~C
6アルキル、及び非置換又は置換C
1~C
6アルケニルからなる群から選択され、好ましい実施形態では、Rは、H、ヒドロキシ及び置換C
1アルキルからなる群から選択される)
からなる群から選択される。
【0130】
一実施形態では、フェニルボロン酸誘導体(成分(c))は、4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)、4-カルボキシフェニルボロン酸(4-CPBA)、4-(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸(4-HMPBA)、及びp-トリルボロン酸(p-TBA)からなる群から選択される。
【0131】
他の好適な誘導体(成分(c))としては、2-チエニルボロン酸、3-チエニルボロン酸、(2-アセトアミドフェニル)ボロン酸、2-ベンゾフラニルボロン酸、1-ナフチルボロン酸、2-ナフチルボロン酸、2-FPBA、3-FBPA、1-チアントレニルボロン酸、4-ジベンゾフランボロン酸、5-メチル-2-チエニルボロン酸、1-ベンゾチオフェン-2ボロン酸、2-フラニルボロン酸、3-フラニルボロン酸、4,4 ビフェニル-ジボロン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンボロン酸、4-(メチルチオ)フェニルボロン酸、4-(トリメチルシリル)フェニルボロン酸、3-ブロモチオフェンボロン酸、4-メチルチオフェンボロン酸、2-ナフチルボロン酸、5-ブロモチオフェンボロン酸、5-クロロチオフェンボロン酸、ジメチルチオフェンボロン酸、2-ブロモフェニルボロン酸、3-クロロフェニルボロン酸、3-メトキシ-2-チオフェンボロン酸、p-メチル-フェニルエチルボロン酸、2-チアントレニルボロン酸、ジベンゾチオフェンボロン酸、9-アントラセンボロン酸、3,5 ジクロロフェニルボロン酸、ジフェニルボロン酸無水物、o-クロロフェニルボロン酸、p-クロロフェニルボロン酸、m-ブロモフェニルボロン酸、p-ブロモフェニルボロン酸、p-フルオロフェニルボロン酸、オクチルボロン酸、1,3,5 トリメチルフェニルボロン酸、3-クロロ-4-フルオロフェニルボロン酸、3-アミノフェニルボロン酸、3,5-ビス-(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸、2,4 ジクロロフェニルボロン酸、4-メトキシフェニルボロン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0132】
ポリオール:
ポリオール(成分(c))は、2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールから選択され得る。好適な例としては、グリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、グルコース、フルクトース、ラクトース及びエリトリタンが挙げられる。
【0133】
ペプチドアルデヒド:
ペプチドアルデヒド(成分(c))は、ジ-、トリ-又はテトラペプチドアルデヒド及びそのアルデヒド類似体(N末端保護基を任意選択で含む形態若しくはWO09/118375及びWO98/13459に記載されているような形態どちらかの形態のB1-BO-R(式中、Rは、H、CH3、CX3、CHX2若しくはCH2X(X=ハロゲン)であり、BOは、単一アミノ酸残基(一実施形態では、任意選択で置換された脂肪族若しくは芳香族側鎖を有する)であり、B1は、1つ以上のアミノ酸残基(一実施形態では1、2若しくは3つ)からなる))、又はタンパク質型のプロテアーゼ阻害剤、例えば、RASI、BASI、WASI(イネ、オオムギ及びコムギの二官能性アルファ-アミラーゼ/サブチリシン阻害剤)又はCI2若しくはSSIから選択され得る。
【0134】
他の安定剤:
他の安定剤(成分(c))は、NaCl又はKClのような塩、並びに乳酸及びギ酸のアルカリ塩から選択され得る。
【0135】
他の安定剤(成分(c))は、完成組成物中の亜鉛(II)、カルシウム(II)及び/又はマグネシウム(II)イオンの水溶性供給源であって、そのようなイオン、並びに他の金属イオン(例えば、バリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、錫(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)及びオキソバナジウム(IV))を酵素に提供する水溶性供給源から選択され得る。
【0136】
液体酵素調製物それ自体を安定化する化合物
液体酵素調製物それ自体を安定化する化合物は、保存安定性を確保するのに有効な量で液体調製物の保存安定性を確立するために必要とされる酵素安定剤以外の任意の化合物を意味する。
【0137】
当業者にとっての液体調製物に関しての保存安定性は、製品の外観及び用量の均一性を通常は含む。
【0138】
製品の外観は、製品のpHによる、及び化合物、例えば、保存剤、酸化防止剤、粘度調整剤、乳化剤などの存在による影響を受ける。
【0139】
用量の均一性は、製品の均質性に通常は関連している。
【0140】
本発明の酵素調製物は、アルカリ性であることもあり、又は中性若しくは弱酸性pH値、例えば、6~14、6.5~13、8~10.5、若しくは8.5~9.0を示すこともある。
【0141】
本発明の液体酵素調製物は、少なくとも1つの保存剤を含み得る。保存剤は、液体酵素調製物、好ましくは水性酵素調製物の微生物汚染を防止するのに有効な量で添加される。
【0142】
好適な保存剤の非限定的な例としては、(第四級)アンモニウム化合物、イソチアゾリノン、有機酸、及びホルムアルデヒド放出剤が挙げられる。好適な(第四級)アンモニウム化合物の非限定的な例としては、塩化ベンザルコニウム、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、及びN-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(Diamine)が挙げられる。好適なイソチアゾリノンの非限定的な例としては、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(BIT)、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT)、5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(CIT)、2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT)、及び2-ブチル-ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(BBIT)が挙げられる。好適な有機酸の非限定的な例としては、安息香酸、ソルビン酸、L-(+)-乳酸、ギ酸及びサリチル酸が挙げられる。好適なホルムアルデヒド放出剤の非限定的な例としては、N,N'-メチレンビスモルホリン(MBM)、2,2',2"-(ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリル)トリエタノール(HHT)、(エチレンジオキシ)ジメタノール、アルファ,アルファ',アルファ"-トリメチル-1,3,5-トリアジン-1,3,5(2H,4H,6H)-トリエタノール(HPT)、3,3'-メチレンビス[5-メチルオキサゾリジン](MBO)、及びcis-1-(3-クロロアルキル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロリド(CTAC)が挙げられる。
【0143】
さらなる有用な保存剤としては、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(IPBC)、ハロゲン放出化合物、例えば、ジクロロ-ジメチル-ヒダントイン(DCDMH)、ブロモ-クロロ-ジメチル-ヒダントイン(BCDMH)及びジブロモ-ジメチル-ヒダントイン(DBDMH);ブロモ-ニトロ化合物、例えば、ブロノポール(2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール)、2,2-ジブロモ-2-シアノアセトアミド(DBNPA);アルデヒド、例えばグルタルアルデヒド;フェノキシエタノール;ビフェニル-2-オール;並びに亜鉛又はナトリウムピリチオンが挙げられる。
【0144】
溶媒
一実施形態では、本発明の酵素調製物は、水性であり、5重量%~95重量%の範囲、5重量%~30重量%の範囲、5重量%~25%重量%の範囲、又は20重量%~70重量%の範囲の量の水を含み、前記重量%は全て酵素調製物の総重量に対してである。
【0145】
一実施形態では、本発明の酵素調製物は、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec.-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル及びフェノキシエタノールから選択される少なくとも1つの有機溶媒を含み、エタノール、イソプロパノール又はプロピレングリコールが好ましい。さらに、本発明の酵素調製物は、化合物、例えば、2-ブトキシエタノール、イソプロピルアルコール及びd-リモネンから選択される、少なくとも1つの有機溶媒を含み得る。前記酵素調製物は、酵素調製物の総重量に対して0重量%~20重量%の範囲の量の有機溶媒を含み得る。一実施形態では、酵素調製物は、5重量%~15重量%の範囲の量の水を含み、有意な量の有機溶媒を含まず、例えば、1重量%以下の有機溶媒を含み、前記重量%は全て酵素調製物の総重量に対してである。
【0146】
一実施形態では、本発明の酵素調製物は、少なくとも
成分(a):一般式(I)による化合物から選択される少なくとも1つの酵素安定剤
【0147】
【化7】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
5アルキル、及び分岐C
3~C
10アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)、及び
成分(b):プロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、並びに任意選択でリパーゼ及びアミラーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、
並びに
成分(c):好ましくは上に開示されるホウ素含有化合物から選択され、より好ましくは上に開示されるフェニルボロン酸(PBA)又はその誘導体から選択され、最も好ましくは4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤
を含む。
【0148】
酵素調製物の調製
本発明は、酵素調製物を製造する方法であって、少なくとも、上記に開示の成分(a)と上記に開示の成分(b)を混合するステップを含む方法に関する。
【0149】
一実施形態では、本発明は、酵素調製物を製造する方法であって、上に開示される成分(a)、(b)及び(c)を混合するステップを含み、成分(b)が好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに任意選択でリパーゼ及びアミラーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素を含む、方法に関する。一実施形態では、成分(c)が上に開示される少なくとも1つの溶媒を含む。一実施形態では、成分(c)は、好ましくは上に開示されるホウ素含有化合物から選択され、より好ましくは上に開示されるフェニルボロン酸(PBA)又はその誘導体から選択され、最も好ましくは4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である(これらは全て上に開示される)、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤を含む。
【0150】
成分(b)は、固体であることもある。固体成分(b)を固体成分(a)に添加した後、両方を少なくとも1つの溶媒(成分(c))と接触させてもよい。少なくとも1つの溶媒は、上記に開示の通りである。1つの溶媒(成分(c))との接触は、少なくとも1つの分子成分(a)及び少なくとも1つの分子成分(b)の可溶化をもたらし、結果として少なくとも1つの分子成分(b)が安定化されることになり得る。一実施形態では、固体成分(a)及び(b)は、相分離することなく少なくとも1つの溶媒(成分(c))に完全に溶解する。
【0151】
固体成分(a)を少なくとも1つの溶媒(成分(c))に溶解した後、固体又は液体成分(b)と混合してもよい。一実施形態では、成分(a)は、少なくとも1つの溶媒(成分(c))に完全に溶解された後、成分(b)と混合される。少なくとも1つの溶媒は、上記に開示の通りである。
【0152】
少なくとも1つの酵素が、上記に開示の液体酵素濃縮物に含まれ得る場合、成分(b)は、液体であり得る。固体成分(a)が液体成分(b)に溶解する場合、液体成分(b)に固体成分(a)を補充することができる。一実施形態では、液体成分(b)は、水性であり、好ましくは発酵の結果として得られる。一実施形態では、固体成分(a)が液体成分(b)に溶解する場合、追加の溶媒を添加しなくてもよい。
【0153】
一実施形態では、上記に開示の成分(c)は、成分(a)及び(b)と混合され、この混合は、1以上のステップで行われることを特徴とする。
【0154】
酵素安定化
本発明は、成分(a)を添加するステップによって、成分(b)を安定化する方法であって、成分(a)及び(b)が上に開示されるものである、方法に関する。一実施形態では、成分(b)は液体である。一実施形態では、本発明は、成分(a)を添加するステップによって、成分(b)を安定化する方法であって、成分(b)が、少なくとも1つのプロテアーゼ並びに任意選択でリパーゼ及びアミラーゼから選択される酵素を含む、方法に関する。
【0155】
一実施形態では、本発明は、上に開示される成分(a)及び成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤を添加するステップによって、成分(b)を安定化する方法に関する。成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤は、好ましくは上に開示されるホウ素含有化合物から選択され、より好ましくは上に開示されるフェニルボロン酸(PBA)又はその誘導体から選択され、最も好ましくは4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である。
【0156】
本発明はさらに、液体配合物中の少なくとも1つのヒドロラーゼを安定化する方法であって、指定されない順序で、1つ以上のステップで、少なくとも成分(a)及び(b)並びに任意選択で成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤(これらは全て上に開示される)を1つ以上の配合物成分と混合するステップを含む方法に関する。成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤は、好ましくは上に開示されるホウ素含有化合物から選択され、より好ましくは上に開示されるフェニルボロン酸(PBA)又はその誘導体から選択され、最も好ましくは4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である。
【0157】
一実施形態では、本発明は、成分(a)及び任意選択で成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤を添加するステップにより、少なくとも1つの界面活性剤の存在下で成分(b)を安定化する方法であって、成分(a)及び(b)は上に開示されるものであり、少なくとも1つの界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤(これらは全て以下に記載される)から選択される、方法に関する。一実施形態では、液体配合物は、洗剤配合物である。成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤は、好ましくは上に開示されるホウ素含有化合物から選択され、より好ましくは上に開示されるフェニルボロン酸(PBA)又はその誘導体から選択され、最も好ましくは4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である。
【0158】
本発明は、成分(b)のための添加剤としての成分(a)の使用に関する。一実施形態では、成分(a)及び(b)が固体であり、固体成分(a)及び(b)の混合物を少なくとも1つの溶媒(上に開示される成分(c))と接触させると、成分(b)が安定化される。少なくとも1つの溶媒(成分(c))との接触は、少なくとも1つの分子成分(a)及び少なくとも1つの分子成分(b)の可溶化をもたらし、結果として少なくとも1つの分子成分(b)が安定化され得る。一実施形態では、固体成分(a)及び(b)は、相分離することなく少なくとも1つの溶媒(成分(c))に完全に溶解する。
【0159】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのヒドロラーゼ(成分(b))のための添加剤としての、式(I)による化合物:
【0160】
【化8】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
の使用であって、式(I)による化合物及びヒドロラーゼは固体であり、式(I)による化合物及びヒドロラーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、ヒドロラーゼの酵素活性が安定化される、使用に関する。
【0161】
本発明の一実施形態では、成分(a)は、酵素調製物の総重量に対して0.1重量%~30重量%の範囲の量で添加される。酵素調製物は、0.1重量%~15重量%、0.25重量%~10重量%、0.5重量%~10%重量%、0.5重量%~6重量%、又は1重量%~3重量%の範囲の量の成分(a)を含むことがあり、前記重量%は全て酵素調製物の総重量に対してである。
【0162】
一実施形態では、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤は、成分(b)に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼのタンパク質分解活性を可逆的に阻害するのに有効な量で添加される。
【0163】
一実施形態では、前記式(I)による化合物が成分(b)のための添加剤として使用され、成分(b)がセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素を含み、式(I)による化合物及びプロテアーゼが固体であり、式(I)による化合物及びプロテアーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、プロテアーゼのタンパク質分解活性が安定化される。
【0164】
一実施形態では、前記式(I)による化合物が、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、好ましくは少なくとも1つのホウ素含有化合物と一緒に、成分(b)のための添加剤として使用され、成分(b)がセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素を含み、式(I)による化合物及びプロテアーゼが固体であり、式(I)による化合物及びプロテアーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、プロテアーゼのタンパク質分解活性が安定化される。
【0165】
一実施形態では、成分(b)が、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含み、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼが固体であり、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、プロテアーゼのタンパク質分解活性及び/又はリパーゼの脂質分解活性が安定化される。
【0166】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼ又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含み、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼが固体であり、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、プロテアーゼのタンパク質分解活性及び/又はリパーゼの脂質分解活性が安定化される。
【0167】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される国際公開第89/06279号の表Ia)に開示されているサブチリシン309又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含み、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼが固体であり、式(I)による化合物、プロテアーゼ及びリパーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、プロテアーゼのタンパク質分解活性及び/又はリパーゼの脂質分解活性が安定化される。
【0168】
酵素の安定化は、経時的な安定性(例えば、保存安定性)、熱安定性、pH安定性及び化学的安定性に関連し得る。本明細書での用語「酵素安定性」は、好ましくは、例えば保存又は操作中の、時間の関数としての酵素活性の保持に関する。本明細書での「保存」という用語は、製品又は組成物が製造される時点から最終用途に使用される時点まで保存されるという事実を示す意味を持つ。保存中の時間の関数としての酵素活性の保持は、「保存安定性」と呼ばれる。一実施形態では、保存は、37℃で少なくとも20日間の保存を意味する。保存は、37℃で21、28又は35日間の保存を意味することもある。
【0169】
経時的な酵素活性の変化を判定するために、酵素の「初期酵素活性」が、定義された条件下でゼロ時点において(すなわち、保存前に)測定され得、「保存後の酵素活性」が、後のある特定の時点において(すなわち、保存後に)測定され得る。
【0170】
保存後の酵素活性を初期酵素活性で割って100を掛けることにより、「残留酵素活性」(a%)が得られる。
【0171】
酵素は、本発明によれば、その残留酵素活性が保存前の初期酵素活性と比較して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%又は100%である場合、安定している。
【0172】
100%からa%を引くことによって、保存前の初期酵素活性と比較して「保存中の酵素活性の喪失」が得られる。一実施形態では、酵素は、本発明によれば、酵素活性の喪失が保存中に本質的に起こらない、すなわち、酵素活性の喪失が保存前の初期酵素活性と比較して0%に等しい場合、安定している。本発明において酵素活性の喪失が本質的にないとは、酵素活性の喪失が保存前の初期酵素活性と比較して30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満であることを意味し得る。
【0173】
本発明の一態様では、成分(a)は、成分(b)の保存中の酵素活性の喪失を低減するために使用される。酵素活性の喪失低減%の計算は、次のように行われる:(安定化酵素の酵素活性の喪失%) - (非安定化酵素の酵素活性の喪失%)。喪失低減についての値は、成分(a)の存在下で成分(b)に含まれる少なくとも1つの酵素の酵素活性についての、ある特定の時点における成分(a)の非存在下での同酵素の酵素活性の喪失と比較した場合の、喪失低減を示す。
【0174】
本発明において酵素活性の喪失低減は、酵素活性の喪失が、成分(a)の存在下で、成分(a)の非存在下での酵素活性の喪失と比較して少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、最小限60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%低減されることを意味し得る。
【0175】
一態様では、本発明は、式(I)による化合物:
【0176】
【化9】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
を添加するステップによって、保存中の液体に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))のタンパク質分解活性の喪失を低減する方法に関する。
【0177】
一実施形態では、保存中の液体に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼ(成分(b))のタンパク質分解活性の喪失を低減する方法が、式(I)による化合物を添加するステップ及び成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、好ましくはホウ素含有化合物を添加するステップを含む。
【0178】
一実施形態では、プロテアーゼ(成分(b))が液体酵素調製物に含まれる、又はプロテアーゼが、少なくとも1つの界面活性剤を含む液体組成物、例えば液体洗剤配合物に含まれる。
【0179】
一実施形態では、少なくとも1つのプロテアーゼのタンパク質分解活性の喪失を低減する方法が、成分(b)がセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、最も好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素を含むことにより特徴付けられる。
【0180】
一実施形態では、成分(b)が、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含む。
【0181】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼ又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含む。
【0182】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される国際公開第89/06279号の表Ia)に開示されているサブチリシン309又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、及び上に開示される米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269による少なくとも1つのトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体を含む。
【0183】
一実施形態では、成分(b)が、セリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び配列番号2から選択される少なくとも1つのアミラーゼ及びアミロース分解活性を有するその変異体を含む。
【0184】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるプロテアーゼ又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び配列番号2から選択される少なくとも1つのアミラーゼ及びアミロース分解活性を有するその変異体を含む。
【0185】
一実施形態では、成分(b)が、上に開示される国際公開第89/06279号の表Ia)に開示されているサブチリシン309又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに全て上に開示される少なくとも1つのアミラーゼ、好ましくはバシラス属の種(Bacillus sp.)707由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、並びにバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのアミラーゼを含む。
【0186】
本発明の一態様では、成分(a)が、成分(b)に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼを安定化する。成分(b)に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼは、好ましくは全て上に開示される国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309及びタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される。一実施形態では、成分(a)は、液体酵素調製物中のプロテアーゼ[成分(b)]を安定化するために使用される。一実施形態では、成分(a)は、少なくとも1つの界面活性剤を含む液体組成物中、好ましくは液体洗剤組成物中のプロテアーゼ[成分(b)]を安定化するために使用される。本文脈における安定化は、37℃で21、28及び/又は35日間の保存中の安定化を意味し得る。
【0187】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>70%、≧75%又は≧80%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>65%、≧70%又は≧75%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>60%又は≧65%であること
により特徴付けられる。
【0188】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>70%、≧75%、≧80%又は≧83%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>65%、≧70%、≧75%又は≧79%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>60%又は≧65%、≧70%又は≧72%であること
により特徴付けられる。
【0189】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がアセチルであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2及びC4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>70%、≧75%、≧80%又は≧85%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>65%、≧70%、≧75%、≧80%又は≧81%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>60%又は≧65%、≧70%、≧75%又は≧77%であること
により特徴付けられる。
【0190】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1及びR2がHであり、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2アルキルから選択され、R3がR1/R2又はR4と等しいことにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>70%、≧75%、≧80%又は≧81%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>65%、≧70%、≧75%又は≧76%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>60%、≧65%又は≧69%であること
により特徴付けられる。
【0191】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4がフェニルメチル及びサリチルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>70%、≧75%、≧80%又は≧85%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>65%、≧70%、≧75%、≧80%又は≧82%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存後の残存タンパク質分解活性が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して>60%、≧65%、≧70%又は≧75%であること
により特徴付けられる。
【0192】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<25%又は≦20%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<30%又は≦25%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<40%又は≦35%であること
により特徴付けられる。
【0193】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<25%、≦20%又は≦17%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<30%、≦25%又は≦22%であること、
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<40%又は≦35%、≦30%又は≦28%であること
により特徴付けられる。
【0194】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がアセチルであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2及びC4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<25%、≦20%又は≦17%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<30%、≦25%又は≦21%であること、
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<40%、≦35%、≦30%又は≦25%であること
により特徴付けられる。
【0195】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1及びR2がHであり、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2アルキルから選択され、R3がR1/R2又はR4と等しいことにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<25%、≦20%又は≦19%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<30%、≦25%又は≦24%であること、
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<40%、≦35%、≦30%又は≦31%であること
により特徴付けられる
【0196】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4がフェニルメチル及びサリチルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<25%、≦20%又は≦15%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<30%、≦25%、≦20%又は≦17%であること、
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失が、保存前の初期タンパク質分解活性と比較して<40%、≦35%、≦30%、≦25%又は≦23%であること
により特徴付けられる。
【0197】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%であること、及び/又は
(b)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%であること
により特徴付けられる。
【0198】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧11%である、こと及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧14%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧12%であること
により特徴付けられる。
【0199】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がアセチルであり、R2、R3、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2及びC4アルキルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧14%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧15%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧15%であること
により特徴付けられる。
【0200】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1及びR2がHであり、R4が直鎖C2~C4アルキル、好ましくはC2アルキルから選択され、R3がR1/R2又はR4と等しいことにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧12%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%であること
により特徴付けられる。
【0201】
一実施形態では、成分(a)の成分(b)への添加は、保存中のプロテアーゼを安定化し、成分(a)が、式(I)による化合物中のR1がHであり、R2、R3、R4がフェニルメチル及びサリチルから選択されることにより特徴付けられ、安定化が、
(a)37℃で21日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%又は≧13%であること、及び/又は
(b)37℃で28日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%、≧15%又は≧16%であること、及び/又は
(c)37℃で35日間の保存中のタンパク質分解活性の喪失低減が、成分(a)の非存在下でのタンパク質分解活性の喪失と比較して≧10%、≧15%、≧20%、≧25%又は≧29%であること
により特徴付けられる。
【0202】
上記実施形態のうちの実施形態では、成分(a)が液体酵素調製物中のプロテアーゼ[成分(b)]を安定化するために使用される。さらに、上記実施形態のうちの実施形態では、成分(a)によって安定化されるプロテアーゼは、国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体(全て上に開示される)から選択される。
【0203】
本発明の一態様では、成分(a)が、少なくとも1つの界面活性剤を含む液体組成物中、好ましくは液体洗剤組成物中の、少なくとも1つのプロテアーゼ及び少なくとも1つリパーゼを含む成分(b)を安定化するために使用され、
・少なくとも1つのプロテアーゼが、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体(全て上に開示される)から選択され、
・少なくとも1つのリパーゼが、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体、好ましくは米国特許第5,869,438号の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼ又は脂質分解活性を有するその変異体(全て上に開示される)から選択される。
【0204】
本発明の一態様では、成分(a)が、少なくとも1つの界面活性剤を含む液体組成物中、好ましくは液体洗剤組成物中の、少なくとも1つのプロテアーゼ及び少なくとも1つアミラーゼを含む成分(b)を安定化するために使用され、
・少なくとも1つのプロテアーゼが、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体(全て上に開示される)から選択され、
・少なくとも1つのアミラーゼが、バシラス属の種(Bacillus sp.)707由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される(これらは全て上に開示される)。
【0205】
配合プロセスのための酵素調製物の使用
本発明は、一態様では、洗剤配合物、例えば、洗濯及び硬質表面洗浄用のI&I及びホームケア配合物に配合するための本発明の液体酵素調製物の使用であって、少なくとも成分(a)及び(b)が1以上のステップで1つ以上の洗剤成分と順序の指定なしに混合される、使用に関する。一実施形態では、少なくとも成分(a)、(b)及び(c)が、指定されない順序で、1つ以上のステップで、1つ以上の洗剤成分と混合され、成分(c)が、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、好ましくはホウ素含有化合物を含む。
【0206】
本発明の一態様は、本発明の液体酵素調製物及び1つ以上の洗剤成分を含む、洗剤配合物に関する。
【0207】
洗剤成分は、所望の用途に依存して、例えば、白色のテキスタイル、有色のテキスタイル、及びウールの洗濯に依存して、タイプ及び/又は洗剤配合物中の量が変わる。選択される成分は、洗剤配合物の物理的形態(小袋に入れて又は錠剤として提供される、液体、固体、ゲルなど)に、さらに依存する。例えば洗濯用配合物に、選択される成分は、使用される洗浄温度、洗濯機の構造(縦軸型機械対横軸型機械)、洗浄サイクル当たりの水の消費量などのような態様にそれら自体が関連する地域的慣行、及び水の平均硬度のような地理的特性に、さらに依存する。
【0208】
洗剤配合物中の個々の洗剤成分及び使用量は、当業者に公知である。好適な洗剤成分は、とりわけ、界面活性剤、ビルダー、ポリマー、アルカリ、漂白系、蛍光増白剤、泡抑制剤及び安定剤、ヒドロトロープ、並びに防錆剤を含む。さらなる例は、例えば、「complete Technology Book on Detergents with Formulations (Detergent Cake, Dishwashing Detergents, Liquid & Paste Detergents, Enzyme Detergents, Cleaning Powder & Spray Dried Washing Powder)」、Engineers India Research Institute (EIRI)、第6版(2015年)に記載されている。当業者用のもう1つの参考図書は、「Detergent Formulations Encyclopedia」、Solverchem Publications、2016年であり得る。
【0209】
洗剤成分が、本発明の酵素調製物に含まれる成分の他に存在することを理解されたい。本発明の酵素調製物に含まれる成分が洗剤成分でもある場合、成分が洗剤配合物に望まれる目的に有効であるように濃度を調整する必要があるであろう。洗剤成分は、洗剤配合物の最終用途において1つより多くの機能を果たすことがあり、したがって、本明細書で特定の機能に関連して言及されるいずれの洗剤成分も、洗剤配合物の最終用途において別の機能も果たすことがある。洗剤成分の最終用途における特定の洗剤成分の機能は、洗剤配合物中のその量、すなわち洗剤成分の有効量に、通常は依存する。
【0210】
用語「有効量」は、汚れの有効な除去及び/若しくは有効な洗浄条件(例えば、pH、泡立ちの量)を提供する個々の組成物の量、光学的利益(例えば、蛍光増白、色移り防止)を有効にもたらすためのある特定の成分の量、並びに/又は処理を有効に補助するある特定の成分(処理、保存及び使用中に物理的特性を維持するもの、例えば、粘度調整剤、ヒドロトロープ、乾燥剤)の量を含む。
【0211】
一実施形態では、洗剤配合物は、2つより多くの洗剤成分の配合物であり、少なくとも1つの成分は、汚れの除去に有効であり、少なくとも1つの成分は、最適な洗浄条件の提供に有効であり、少なくとも1つの成分は、洗剤の物理的特性の維持に有効である。
【0212】
本発明の洗剤配合物は、溶媒に溶解する、成分(a)及び成分(b)を含み得る。溶解するとは、洗剤配合物全体に溶解することを意味することもある。溶解するとは、成分(a)及び成分(b)が、カプセル化されていることもある本発明の液体酵素調製物の一部であることを意味することもある。カプセル化された液体酵素調製物は、液体洗剤配合物の一部であることもあり、又は固体洗剤配合物の一部であることもある。
【0213】
本発明の一実施形態では、洗剤配合物、好ましくは液体洗剤配合物は、洗剤配合物の総重量に対して0.1重量%~30重量%の範囲の量の成分(a)を含む。酵素調製物は、0.1重量%~15重量%、0.25重量%~10重量%、0.5重量%~10%重量%、0.5重量%~6重量%、又は1重量%~3重量%の範囲の量の成分(a)を含むことがあり、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0214】
本発明の一実施形態では、洗剤配合物、好ましくは液体洗剤配合物は、0.5~20重量%、特に1~10重量%の成分(b)、及び0.01重量%~10重量%の成分(a)、より好ましくは0.05~5重量%、最も好ましくは0.1重量%~2重量%の成分(a)を含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してである。
【0215】
本発明の洗剤配合物は、界面活性剤、ビルダー、ポリマー、芳香剤及び染料から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0216】
本発明の洗剤配合物は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0217】
洗剤配合物は、洗剤配合物の総重量に対して0.1~60重量%の界面活性剤を含み得る。洗剤配合物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びアミンオキシド系界面活性剤から選択される少なくとも1つの化合物、並びに前述のものの少なくとも2つの組合せを含み得る。一実施形態では、本発明の洗剤配合物は、5~30重量%のアニオン性界面活性剤及び、例えば3~20重量%の範囲の、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含み、前記重量%は全て洗剤配合物の総重量に対してであり、前記洗剤配合物は液体であり得る。
【0218】
少なくとも1つの非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化アルコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのジ-及びマルチブロックコポリマー、並びにソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの反応生成物、アルキルポリグリコシド(APG)、ヒドロキシアルキル混合エーテル、並びにアミンオキシドから選択され得る。
【0219】
アルコキシ化アルコール及びアルコキシ化脂肪アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(IV)の化合物である
【0220】
【化10】
(式中、
R
3は、同一であるか又は異なり、水素及び直鎖C
1~C
10-アルキルから選択され、好ましくは各場合において同一でエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
4は、分岐している又は直鎖状のC
8~C
22-アルキル、例えば、n-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33又はn-C
18H
37から選択され、
R
5は、C
1~C
10-アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソへキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルへキシル、n-ノニル、n-デシル又はイソデシルから選択される)。
【0221】
可変要素m及びnは、ゼロ~300の範囲であり、nとmの合計は、少なくとも1、好ましくは3~50の範囲である。好ましくは、mは、1~100の範囲であり、nは、0~30の範囲である。
【0222】
一実施形態では、一般式(IV)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得、ブロックコポリマーが好ましい。
【0223】
アルコキシ化アルコールの他の好ましい例は、例えば、一般式(V)の化合物である:
【0224】
【化11】
(式中、
R
6は、同一であるか又は異なり、水素及び直鎖C
1~C
10-アルキルから選択され、好ましくは各場合において同一でエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
7は、分岐している又は直鎖状のC
6~C
20-アルキル、特に、n-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
13H
27、n-C
15H
31、n-C
14H
29、n-C
16H
33、n-C
18H
37から選択され、
aは、ゼロ~10、好ましくは1~6の範囲の数であり、
bは、1~80、好ましくは4~20の範囲の数であり、
cは、ゼロ~50、好ましくは4~25の範囲の数である)。
【0225】
a+b+cの合計は、好ましくは5~100の範囲、よりいっそう好ましくは9~50の範囲である。
【0226】
一実施形態では、アルコキシ化アルコールは、式(V)(式中、R6はなく、R7は、n-C8H17、n-C10H21、n-C12H25、n-C13H27、n-C15H31、n-C14H29、n-C16H33、n-C18H37から選択され、a及びcは、ゼロであり、bは、4~20の範囲、好ましくは9である)によるものから選択される。
【0227】
ヒドロキシアルキル混合エーテルの好ましい例は、一般式(VI)の化合物である
【0228】
【化12】
(式中、可変要素は以下の通り定義される:
R
8は、同一であるか又は異なり、水素、及び直鎖C
1~C
10-アルキルから選択され、好ましくは各場合において同一でエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルであり、
R
9は、分岐又は直鎖C
8~C
22-アルキル及びC
8~C
22-アルケニルから選択され、例としてはイソ-C
11H
23、イソ-C
13H
27、n-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33又はn-C
18H
37が挙げられ、
R
10は、直鎖又は分岐C
1-C
18-アルキル及びC
2~C
18-アルケニルから選択され、例としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソへキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルへキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル及びn-オクタデシルが挙げられる)。
【0229】
可変要素m及びxは、ゼロ~300の範囲、好ましくはゼロ~100の範囲であり、mとxの合計は、少なくとも1、好ましくは5~50の範囲である。
【0230】
一般式(V)及び(VI)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得、ブロックコポリマーが好ましい。
【0231】
さらなる好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドで構成されている、ジ-及びマルチブロックコポリマーから選択される。さらなる好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシ化又はプロポキシ化ソルビタンエステルから選択される。アミンオキシド又はアルキルポリグリコシド、特に、直鎖C4~C18-アルキルポリグルコシド及び分岐C8~C18-アルキルポリグリコシド、例えば、一般的な平均的な式(VII)の化合物も好適である。
【0232】
【化13】
(式中、
R
11は、C
1~C
4-アルキル、特に、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
R
12は、-(CH
2)
2-R
11であり、
G
1は、炭素原子数4~6の単糖類から、特に、グルコース及びキシロースから選択され、
yは、1.1~4の範囲であり、yは平均数である)。
【0233】
非イオン性界面活性剤のさらなる例は、一般式(VIIIa)及び(VIIIb)の化合物である
【0234】
【化14】
(式中、
AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
EOは、エチレンオキシド、CH
2CH
2-Oであり、
R
13は、C
1~C
4-アルキル、特に、エチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
R
14は、分岐している又は直鎖状のC
8~C
18-アルキルから選択され、
A
3Oは、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
wは、15~70、好ましくは30~50の範囲の数であり、
w1及びw3は、1~5の範囲の数であり、
w2は、13~35の範囲の数である)。
【0235】
好適なさらなる非イオン性界面活性剤の概要は、EP-A0851023において及びDE-A19819187において見出すことができる。
【0236】
一実施形態では、洗剤配合物は、2つ以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物を含む。
【0237】
少なくとも1つの両性界面活性剤は、使用条件下で同じ分子内に正及び負電荷を有する界面活性剤から選択され得る。両性界面活性剤の好ましい例は、いわゆるベタイン系界面活性剤である。ベタイン系界面活性剤の多くの例は、1分子当たり1個の第四級窒素原子及び1個のカルボン酸基を有する。両性界面活性剤の特に好ましい例は、コカミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)である。
【0238】
アミンオキシド系界面活性剤の例は、一般式(IX)の化合物である
R13R14R15N→O (IX)
(式中、R13、R14及びR15は、互いに独立に、脂肪族、脂環式又はC2~C4-アルキレンC10~C20-アルキルアミド部分から選択される)。好ましくは、R12は、C8~C20-アルキル又はC2~C4-アルキレンC10~C20-アルキルアミドから選択され、R13及びR14は、両方ともメチルである。
【0239】
特に好ましい例は、ラウラミンオキシドとも呼ばれることがある、ラウリルジメチルアミンオキシドである。さらなる特に好ましい例は、コカミドプロピルアミンオキシドとも呼ばれることがある、コカミジルプロピルジメチルアミンオキシドである。
【0240】
少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、C8~C18-アルキルスルフェートのアルカリ金属及びアンモニウム塩、C8~C18-脂肪アルコールポリエーテルスルフェートのアルカリ金属及びアンモニウム塩、エトキシ化C4~C12-アルキルフェノールの硫酸半エステル(エトキシ化: 1~50molのエチレンオキシド/mol)のアルカリ金属及びアンモニウム塩、C12~C18スルホ脂肪酸アルキルエステル、例えばC12~C18スルホ脂肪酸メチルエステルのアルカリ金属及びアンモニウム塩、さらに、C12~C18-アルキルスルホン酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩、並びにC10~C18-アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属及びアンモニウム塩から選択され得る。前述の化合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0241】
アニオン性界面活性剤の具体的な例は、一般式(X)による化合物である
CsH2s+1-O(CH2CH2O)t-SO3M (X)
(式中、
sは、10~18、好ましくは12~14の範囲の数、よりいっそう好ましくはs=12であり、
tは、1~5、好ましくは2~4の範囲の数、よりいっそう好ましくは3であり、
Mは、アルカリ金属から選択され、好ましくはカリウム、よりいっそう好ましくはナトリウムである)。
【0242】
式(X)による個々の分子中のs及びtは、両方とも整数であるが、可変要素s及びtは平均数であり、したがって必ずしも整数であるとは限らない。
【0243】
好適なアニオン性界面活性剤のさらなる例は、石けん、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エーテルカルボン酸及びアルキルエーテルリン酸のナトリウム及びカリウム塩である。
【0244】
本発明の洗剤配合物は、1~40重量%の少なくとも1つの洗剤ビルダー(detergent builder)を含み得る。洗剤ビルダーの例としては、それだけに限らないが、ゼオライト、リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ポリマービルダー、又はアミノカルボキシレート、例えばイミノジスクシネートのアルカリ金属塩、例えばIDS-Na4、さらにニトリロ三酢酸(「NTA」)、メチルグリシン二酢酸(「MGDA」)、グルタミン酸二酢酸(「GLDA」)、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)又はジエチレントリアミン五酢酸(「DTPA」)が挙げられる。好ましいアルカリ金属塩はカリウム塩及び特にナトリウム塩である。
【0245】
洗剤ビルダーのさらなる例は、例えば、N原子の20~90mol-%が、少なくとも1個のCH2COO-基及び上記封鎖剤のそれぞれのアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩を有する、ポリエチレンイミンのような、錯化基を有するポリマーである。好適なポリマーのさらなる例は、ポリアルキレンイミン、例えば、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンである。ポリアルキレンイミンは、それ自体で使用されることもあり、又はポリアルコキシ化誘導体として使用されていることもあり、例えば、エトキシ化若しくはプロポキシ化されていることがある。ポリアルキレンイミンは、1分子当たり少なくとも3個のアルキレンイミン単位を含む。
【0246】
本発明の一実施形態では、前記アルキレンイミン単位は、C2~C10-アルキレンジアミン単位、例えば1,2-プロピレンジアミン、好ましくは、α,ω-C2~C10-アルキレンジアミン、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンチレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン(1,6-ヘキシレンジアミンとも呼ばれる)、1,8-ジアミン又は1,10-デカンジアミンであり、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、及び1,6-ヘキサンジアミンがよりいっそう好ましい。
【0247】
本発明の別の実施形態では、前記ポリアルキレンイミンは、ポリアルキレンイミン単位、好ましくは、ポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン単位から選択される。
【0248】
本発明に関して、用語「ポリエチレンイミン」は、ポリエチレンイミンホモポリマーを指すばかりでなく、NH-CH2-CH2-NH構造要素を、他のアルキレンジアミン構造要素、例えば、NH-CH2-CH2-CH2-NH構造要素、NH-CH2-CH(CH3)-NH構造要素、NH-(CH2)4-NH構造要素、NH-(CH2)6-NH構造要素又は(NH-(CH2)8-NH構造要素とともに含むが、NH-CH2-CH2- NH構造要素がモル占有率の点で大部分を占めている、ポリアルキレンイミンも指す。好ましいポリエチレンイミンは、全アルキレンイミン構造要素に関してモル占有率の点で大部分を占めている、例えば、合計で60mol-%以上に達し、より好ましくは合計少なくとも70 mol-%に達する、NH-CH2-CH2-NH構造要素を含む。特別な実施形態では、ポリエチレンイミンという用語は、NH-CH2-CH2-NHとは異なるアルキレンイミン構造単位をポリエチレンイミン単位1個当たりたった1個又はゼロ個有するポリアルキレンイミンを指す。
【0249】
本発明に関して、用語「ポリプロピレンイミン」は、ポリプロピレンイミンホモポリマーを指すばかりでなく、NH-CH2-CH(CH3)-NH構造要素を、他のアルキレンジアミン構造要素、例えば、NH-CH2-CH2-CH2-NH構造要素、NH-CH2-CH2-NH構造要素、NH-(CH2)4-NH構造要素、NH-(CH2)6-NH構造要素又は(NH-(CH2)8-NH構造要素とともに含むが、NH-CH2-CH(CH3)-NH構造要素がモル占有率の点で大部分を占めている、ポリアルキレンイミンも指す。好ましいポリプロピレンイミンは、全アルキレンイミン構造要素に関してモル占有率の点で大部分を占めている、例えば、合計で60mol-%以上に達し、より好ましくは合計少なくとも70mol-%に達する、NH-CH2-CH(CH3)-NH構造要素を含む。特別な実施形態では、ポリプロピレンイミンという用語は、NH-CH2-CH(CH3)-NHとは異なるアルキレンイミン構造単位をポリエチレンイミン単位1個当たりたった1個又はゼロ個有するポリアルキレンイミンを指す。
【0250】
枝は、アルキレンアミノ基、例えば、これらに限定されないが-CH2-CH2-NH2基又は(CH2)3-NH2基であり得る。より長い枝は、例えば、-(CH2)3-N(CH2CH2CH2NH2)2又は-(CH2)2-N(CH2CH2NH2)2基であり得る。高分岐ポリエチレンイミンは、例えば、0.25~0.95の範囲、好ましくは0.30~0.80の範囲、特に好ましくは少なくとも0.5の分岐度を有する、ポリエチレンイミンデンドリマー又は関連分子である。分岐度は、例えば、13C-NMR又は15N-NMR分光法により、好ましくはD2O中で判定することができ、以下の通り定義される:
DB=D+T/D+T+L
この式に関して、D(樹枝状)は、第三級アミノ基の分率に相当し、L(直鎖状)は、第二級アミノ基の分率に相当し、T(末端)は、第一級アミノ基の分率に相当する。
【0251】
本発明に関して、分岐ポリエチレンイミン単位は、0.25~0.95の範囲、特に好ましくは0.30~0.90%の範囲、非常に特に好ましくは少なくとも0.5のDBを有するポリエチレンイミン単位である。好ましいポリエチレンイミン単位は、殆ど又は全く分岐を示さないものであり、したがって、大部分が直鎖状であるポリエチレンイミン単位であるか又は直鎖ポリエチレンイミン単位である。
【0252】
本発明に関して、CH3基は、枝とは見なされない。本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミンは、1~1000mg KOH/g、好ましくは10~500mg KOH/g、最も好ましくは50~300mg KOH/gの範囲の第一級アミン価を有し得る。第一級アミン価は、ASTM D2074-07に従って決定することができる。
【0253】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミンは、10~1000mg KOH/g、好ましくは50~500mg KOH/g、最も好ましくは50~500mg KOH/gの範囲の第二級アミン価を有し得る。第二級アミン価は、ASTM D2074-07に従って決定することができる。
【0254】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミンは、1~300mg KOH/g、好ましくは5~200mg KOH/g、最も好ましくは10~100mg KOH/gの範囲の第三級アミン価を有し得る。第三級アミン価は、ASTM D2074-07に従って決定することができる。
【0255】
本発明の一実施形態では、第三級N原子のモル占有率は、15N-NMR分光法により判定される。第三級アミン価と13C-NMR分光法による結果が食い違う場合、13C-NMR分光法により得られる結果が優先するものとする。
【0256】
本発明の一実施形態では、前記ポリアルキレンイミンの平均分子量Mwは、250~100,000g/molの範囲、好ましくは50,000g/mol以下、より好ましくは800から25,000g/molまでである。ポリアルキレンの平均分子量Mwは、溶離剤として1.5重量%ギ酸水溶液を及び固定相として架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを用いる、それぞれの中間ポリアルキレンイミンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により判定され得る。
【0257】
前記ポリアルキレンイミンは、遊離していることもあり、又はアルコキシ化されていることもあり、前記アルコキシ化は、エトキシ化、プロポキシ化、ブトキシ化及び前述のものの少なくとも2つの組合せから選択される。エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、及びエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドの混合物が好ましい。少なくとも2つアルキレンオキシドの混合物が利用される場合、それらを段階的に又は同時に反応させることができる。
【0258】
本発明の一実施形態では、アルコキシ化ポリアルキレンイミンは、1単位当たり少なくとも6個の窒素原子を有する。
【0259】
本発明の一実施形態では、ポリアルキレンイミンは、NH基1個当たり2~50モルのアルキレンオキシド、好ましくはNH基1個当たり5~30モルのアルキレンオキシド、よりいっそう好ましくはNH基1個当たり5~25モルのエチレンオキシド又は1,2-プロピレンオキシド又はこれらの組合せでアルコキシ化されている。本発明に関して、NH2単位は、2個のNH基と見なされる。好ましくは、全ての又はほぼ全てのNH基は、アルコキシ化されており、検出可能な量のNH基は残っていない。
【0260】
そのようなアルコキシ化ポリアルキレンイミンの製造に依存して、分子量分布が狭いこともあり、又は広いこともある。例えば、多分散度Q=1~3の範囲、好ましくは少なくとも2のMw/Mn、又は多分散度Qは、3より大きく且つ20以下、例えば、3.5~15であり得、4~5.5の範囲がよりいっそう好ましい。
【0261】
本発明の一実施形態では、アルコキシ化ポリアルキレンイミンの多分散度Qは、2~10の範囲である。
【0262】
本発明の一実施形態では、アルコキシ化ポリアルキレンイミンは、ポリエトキシ化ポリエチレンイミン、エトキシ化ポリプロピレンイミン、エトキシ化α,ω-ヘキサンジアミン、エトキシ化されており且つプロポキシ化されているポリエチレンイミン、エトキシ化されており且つプロポキシ化されているポリプロピレンイミン、及びエトキシ化されており且つプロポキシ化されているα,ω-ヘキサンジアミンから選択される。
【0263】
本発明の一実施形態では、アルコキシ化ポリエチレンイミンの平均分子量Mn(数平均)は、GPCにより判定して2,500~1,500,000g/molの範囲、好ましくは500,000g/mol以下である。
【0264】
本発明の一実施形態では、平均的なアルコキシ化ポリアルキレンイミンは、800~500,000g/mol、好ましくは1,000~30,000g/molの範囲の平均分子量Mn(数平均)を各々が有する、エトキシ化α,ω-ヘキサンジアミン及びエトキシ化されており且つポリプロポキシ化されているα,ω-ヘキサンジアミンから選択される。
【0265】
本発明の液体洗剤配合物は、1つ以上の防錆剤を含み得る。好適な防錆剤の非限定的な例としては、ケイ酸ナトリウム、トリアゾール、例えばベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、フェノール誘導体、例えばヒドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール及びピロガロール、さらにポリエチレンイミン並びにビスマス又は亜鉛の塩が挙げられる。防錆剤は、液体洗剤組成物の総重量に対して0.1~1.5重量%の量で本発明の液体洗剤配合物に配合され得る。
【0266】
本発明の液体洗剤配合物は、
(a)非イオン性単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類から選択される少なくとも1つのグラフト基剤、
並びに
(b)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノ又はジカルボン酸、及び
(c)一般式(XI)の少なくとも1つの化合物
【0267】
【化15】
(式中、可変要素は以下の通り定義される:
R
1は、メチル及び水素から選択され、
A
1は、C
2~C
4-アルキレンから選択され、
R
2は、同一であるか又は異なり、C
1~C
4-アルキルから選択され、
X
-は、ハロゲン化物、モノ-C
1~C
4-アルキルスルフェート及びスルフェートから選択される)
をグラフトすることにより得られる側鎖
で構成されている、少なくとも1つのグラフトコポリマーを含み得る。
【0268】
本発明の液体洗剤配合物は、1つ以上の緩衝剤、例えば、モノエタノールアミン及びN,N,N-トリエタノールアミンを含み得る。
【0269】
本発明の液体洗剤配合物を泡立つ特性に関して様々な目的の達成に適応させることができる。手動用食器用洗剤には、安定した泡が通常は求められる。自動食器洗浄機用洗剤には、少ない泡立ちが通常は求められる。洗濯用洗剤は、泡立ちの多いものから中等度又は中間範囲を経て少ないものまで幅があり得る。泡立ちの少ない洗濯用洗剤は、前面投入式のタンブラー型洗濯機及び洗濯乾燥機コンビネーションに通常は推奨される。当業者は、特定の用途に好適である洗剤配合物の洗剤成分として泡安定剤又は泡抑制剤を使用することを熟知している。泡安定剤の例としては、アルカノールアミド及びアルキルアミンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。泡抑制剤の例としては、アルキルホスフェート、シリコーン及び石けんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0270】
本発明の液体洗剤配合物は、1つ以上の芳香剤、例えば、サリチル酸ベンジル、Lilial(登録商標)として市販されている2-(4-tert-ブチルフェニル) 2-メチルプロピオナール、及びヘキシルシンナムアルデヒドを含み得る。
【0271】
本発明の液体洗剤配合物は、1つ以上の染料、例えば、アシッドブルー9、アシッドイエロー3、アシッドイエロー23、アシッドイエロー73、ピグメントイエロー101、アシッドグリーン1、ソルベントグリーン7、及びアシッドグリーン25を含み得る。
【0272】
液体洗剤配合物は、有機溶媒、保存剤、粘度調整剤及びヒドロトロープから選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。
【0273】
本発明の一実施形態では、液体洗剤配合物は、液体洗剤配合物の総重量に対して0.5~25重量%である量の有機溶媒を含む。特に、本発明の液体洗剤配合物が小袋などに入れて提供される場合、液体洗剤配合物の総重量に対して8~25重量%の有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、上記に開示のものである。
【0274】
本発明の液体洗剤配合物は、液体洗剤配合物の微生物汚染を回避するのに有効な量の、上記に開示のものから選択される1つ以上の保存剤を含み得る。
【0275】
本発明の一実施形態では、液体洗剤配合物は、1つ以上の粘度調整剤を含む。好適な粘度調整剤の非限定的な例としては、寒天、カラギーナン(carragene)、トラガカント、アラビアガム、キサンタンガム、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ゼラチン、ローカストビーンガム、架橋ポリ(メタ)アクリレート、例えば、ビス-(メタ)アクリルアミドで架橋されたポリアクリル酸、さらにケイ酸、粘土、例えば-これに限定されないが-モンモリロナイト、ゼオライト、デキストリン、及びカゼインが挙げられる。粘度調整剤は、所望の粘度をもたらすのに有効な量で含まれ得る。
【0276】
本発明の一実施形態では、液体洗剤配合物は、有機溶媒、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、及び通常の条件下で水混和性である非限定的なさらなる有機溶媒であり得る、1つ以上のヒドロトロープを含む。好適なヒドロトロープのさらなる例は、トルエンスルホン酸の、キシレンスルホン酸の、及びクメンスルホン酸のナトリウム塩である。ヒドロトロープは、水へのわずかな溶解度しか示さない化合物の溶解を助長する又は可能にする量で含まれ得る。
【0277】
本発明の一実施形態では、本発明による配合物は、リン酸塩及びポリリン酸塩(リン酸水素塩が包含される)を含まず、例えばリン酸三ナトリウム、三リン酸五ナトリウム及びメタリン酸六ナトリウムを含まない。
【0278】
リン酸塩及びポリリン酸塩に関して、本発明の文脈において、「を含まない」は、リン酸塩及びポリリン酸塩の含有量が、重量測定によって決定した場合に、合計で10ppm~0.2重量%の範囲であることを意味すると理解されるべきである。
【0279】
本発明の一実施形態では、本発明による配合物は、漂白触媒として作用しない重金属化合物を含まず、特に、鉄の化合物を含まない。本発明に関して、重金属化合物に関連して、「を含まない」は、漂白触媒として作用しない重金属化合物の含有量が、リーチ法により判定して合計で0~100ppm、好ましくは1~30ppmの範囲であることを意味すると解されたい。本発明に関して、「重金属」は、亜鉛及びビスマスを除いて、少なくとも6g/cm3の比重を有する全ての金属である。特に、重金属は、貴金属、並びにまた鉄、銅、鉛、錫、ニッケル、カドミウム及びクロムである。
【0280】
一実施形態では、本発明の液体洗剤配合物は、漂白剤を含まず、例えば、無機過酸化物化合物、又は塩素系漂白剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムを含まず、これは、本発明による液体洗剤配合物が、合計で0.01重量%以下の無機過酸化物化合物及び塩素系漂白剤を含むことを意味し、前記重量%は、各場合において液体洗剤配合物の総重量に対してである。
【0281】
「洗剤配合物」又は「洗浄配合物」は、本明細書では、汚れた物質を洗浄するために設計された配合物を意味する。洗浄は、洗濯を意味することもあり、又は硬質表面洗浄を意味することもある。本発明による汚れた物質は、テキスタイル及び/又は硬質表面を含む。
【0282】
用語「洗濯」は、家庭用洗濯と工業用洗濯の両方に関し、本発明の洗剤配合物を含む溶液でテキスタイルを処理するプロセスを意味する。洗濯プロセスは、技術的装置、例えば、家庭用又は工業用洗濯機を使用することによって行われることがある。あるいは、洗濯プロセスは、手で行われることもある。
【0283】
用語「テキスタイル」は、テキスタイルの任意の素材、例えば、糸(編むこと及び織ることに使用される、天然又は合成繊維で製造された単糸)、糸中間体、繊維、不織素材、天然素材、合成素材など、並びにこれらの素材で製造された布製品(繊維を織ること、編むこと又はフェルト加工することにより製造されたテキスタイル)、例えば、衣服(テキスタイルで製造された任意の衣類)、布及び他の物品を意味する。
【0284】
用語「繊維」は、天然繊維、合成繊維、及びこれらの混合物を含む。天然繊維の例は、植物(例えば、亜麻、ジュート、綿)の繊維、又はコラーゲン、ケラチン及びフィブロインのようなタンパク質を含む動物由来の繊維(例えば、絹、羊毛、アンゴラ、モヘア、カシミヤ)である。合成起源の繊維の例は、ポリウレタン繊維、例えば、Spandex(登録商標)若しくはLycra(登録商標)、ポリエステル繊維、ポリオレフィン、例えばエラストフィン、又はポリアミド繊維、例えばナイロンである。繊維は、単繊維であることもあり、又はテキスタイル、例えばニットウェア、織物若しくは不織物の一部であることもある。
【0285】
用語「硬質表面洗浄」は、本明細書では、硬質表面の洗浄と定義され、この硬質表面は、家庭における任意の硬質表面、例えば、床、備え付け家具、壁、衛生陶器、ガラス、カトラリーを含む金属表面、又は食器を含み得る。したがって、用語「硬質表面洗浄」は、食器を洗浄するあらゆる形態、例えば、手動又は自動食器洗浄機(ADW)により洗浄する形態を指す、「食器洗浄」を意味し得る。食器洗浄は、あらゆる形態の食事用食器セット、例えば、平皿、カップ、グラス、ボール、あらゆる形態のカトラリー、例えば、スプーン、ナイフ、フォーク及び給仕用具、並びに陶器、プラスチック、例えばメラミン、金属、磁器、ガラス及びアクリル樹脂の洗浄を含むが、これらに限定されない。
【0286】
一態様では、本発明は、少なくとも成分(a)及び(b)並びに少なくとも1つの洗剤成分を含む液体洗剤配合物であって、成分(b)が少なくとも1つのプロテアーゼ及び少なくとも1つのリパーゼを含む、液体洗剤配合物を提供することに関する。
【0287】
一実施形態では、本発明は、少なくとも成分(a)及び(b)並びに少なくとも1つの洗剤成分を含む液体洗剤配合物であって、成分(b)が、上に開示されるサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される少なくとも1つのリパーゼ、並びに好ましくは全て上に開示される国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼを含む、液体洗剤配合物を提供する。
【0288】
上記実施形態のうちの実施形態では、液体洗剤配合物は、成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較した場合に保存安定性の増加を有する。本文脈における保存安定性の増加は、37℃配合で1週間[7日間]、2週間[14日間]、4週間[28日間]、6週間[42日間]又は8週間[56日間]の洗剤配合物の保存後に、洗浄性能の有意な喪失がないことを意味し得る。
【0289】
保存後に洗浄性能の有意な喪失がないとは、洗剤が、
i. 37℃で4週間の保存後に保存前の同じ洗剤の洗浄性能と比較して少なくとも90%洗浄性能、及び/又は
ii. 37℃で6週間の保存後に保存前の同じ洗剤の洗浄性能と比較して少なくとも85%洗浄性能、及び/又は
iii. 37℃で8週間の保存後に保存前の同じ洗剤の洗浄性能と比較して少なくとも80%洗浄性能
を有することを意味し得る。
【0290】
一実施形態では、少なくとも成分(a)及び(b)並びに少なくとも1つの洗剤成分を含む液体洗剤配合物は、成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較した場合に保存安定性の増加を有し、成分(b)は、好ましくは上に開示されるサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される、少なくとも1つのリパーゼ、並びに好ましくは本明細書に開示される国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びその変異体から選択される、上に開示される少なくとも1つのプロテアーゼを含む。保存安定性の増加は、一実施形態では、37℃で4~8週間の保存後の液体洗剤配合物の洗浄性能が、同じ時間、同じ温度で保存した、成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較して少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%又は少なくとも10%増加されることを意味する。保存安定性の増加は、37℃で8週間の保存後の液体洗剤配合物の洗浄性能が、同じ時間、同じ温度で保存した成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較して少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%又は少なくとも10%増加されることを意味し得る。
【0291】
一態様では、本発明は、少なくとも成分(a)及び(b)並びに少なくとも1つの洗剤成分を含む液体洗剤配合物であって、成分(b)が少なくとも1つのプロテアーゼ及び少なくとも1つのアミラーゼを含む、液体洗剤配合物を提供することに関する。
【0292】
一実施形態では、本発明は、少なくとも成分(a)及び(b)並びに少なくとも1つの洗剤成分を含む液体洗剤配合物であって、成分(b)が、全て上に開示される、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つ、並びに好ましくはバシラス属の種(Bacillus sp.)707に由来するアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、より好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのアミラーゼを含む、液体洗剤配合物を提供する。
【0293】
一態様では、本発明は、液体洗剤配合物中の成分(b)を安定化するための成分(a)の使用であって、成分(b)が、全て本明細書に開示される、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/若しくは309又はタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される、上に開示される少なくとも1つのプロテアーゼを含む、使用に関する。
【0294】
一実施形態では、本発明は、液体洗剤配合物中の成分(b)を安定化するための成分(a)の使用であって、成分(b)が、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/若しくは309又はタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される、上に開示される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくは上に開示されるサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される少なくとも1つのリパーゼを含む(全ての酵素が本明細書に開示される)、使用に関する。
【0295】
一実施形態では、本発明は、液体洗剤配合物中の成分(b)を安定化するための成分(a)の使用であって、成分(b)が、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/若しくは309又はタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される、上に開示される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくはバシラス属の種(Bacillus sp.)707に由来するアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、より好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのアミラーゼを含む(全ての酵素が本明細書に開示される)、使用に関する。
【0296】
これに関連して安定化される成分(b)とは、成分(b)を含む液体洗剤配合物の37℃で4~8週間の保存後の洗浄性能が、同じ時間、同じ温度で保存された、成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%又は少なくとも10%増加されることを意味する。安定化される成分(b)とは、成分(b)を含む液体洗剤配合物の37℃で8週間の保存後の洗浄性能が、同じ時間、同じ温度で保存された、成分(a)を欠く液体洗剤配合物と比較して、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%又は少なくとも10%増加されることを意味し得る。
【0297】
一態様では、本発明は、液体洗剤配合物中の成分(b)の、好ましくは37℃で21、28及び/又は35日間の保存中の酵素活性の喪失を低減するための成分(a)の使用であって、成分(b)が、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくはサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される少なくとも1つのリパーゼ(全ての酵素が上に開示される)を含む、使用に関する。
【0298】
一態様では、本発明は、液体洗剤配合物中の成分(b)の、好ましくは37℃で21、28及び/又は35日間の保存中の酵素活性の喪失を低減するための成分(a)の使用であって、成分(b)が、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくはバシラス属の種(Bacillus sp.)707に由来するアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、より好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される少なくとも1つのアミラーゼを含む(全ての酵素が上に開示される)、使用に関する。
【0299】
一態様では、本発明は、式(I)による少なくとも1つの化合物:
【0300】
【化16】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1は、H及びC
1~C
10アルキルカルボニルから選択され、アルキルは、直鎖であっても分岐であってもよく、1個以上のヒドロキシル基を有してもよく、
R
2、R
3、R
4は、互いに独立に、H、直鎖C
1~C
8アルキル、及び分岐C
3~C
8アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6~C
10-アリール、及びC
6~C
10-アリール-アルキルから選択され、C
6~C
10-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1~C
8アルキル又は分岐C
3~C
8アルキルから選択され、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つはHではない)
を、少なくとも1つのプロテアーゼを含む液体洗剤配合物に添加することによって、洗剤配合物の保存安定性を増加させる方法に関する。
【0301】
一実施形態では、前記液体洗剤配合物の保存安定性が、37℃で21、28及び/又は35日間の保存中、同じ条件下で保存された式(I)による化合物を欠く液体洗剤配合物と比較した場合に、増加している。本発明における保存安定性の増加は、成分(a)の存在下での酵素安定性の増加が、成分(a)の非存在下での酵素活性と比較した場合に少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%であることを意味し得る。
【0302】
一実施形態では、前記液体洗剤配合物が、サブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼを含み、液体洗剤配合物が任意選択で、好ましくはサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼから選択される少なくとも1つのリパーゼを含み、
(a)少なくとも1つのプロテアーゼが、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/若しくは309又はタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体(これらは全て本明細書に開示される)から選択され、
(b)少なくとも1つのリパーゼが、好ましくは上に開示されるサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される。
【0303】
一実施形態では、前記液体洗剤配合物が、サブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼを含み、液体洗剤配合物が任意選択で、少なくとも1つのアミラーゼを含み、
(a)少なくとも1つのプロテアーゼが、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/若しくは309又はタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン又はタンパク質分解活性を有するその変異体(これらは全て本明細書に開示される)から選択され、
(b)少なくとも1つのアミラーゼが、好ましくは本明細書に開示されるバシラス属の種(Bacillus sp.)707に由来するアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、より好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される。
【0304】
さらなる使用
本発明は、汚れを除去する方法であって、成分(a)及び(b)並びに1つ以上の洗剤成分を含む本発明の洗剤配合物と汚れを接触させるステップを含む方法に関する。一実施形態では、汚れを除去する方法は、自動装置、例えば、洗濯機又は自動食器洗浄機により行われるステップを含む。
【0305】
一実施形態では、洗剤配合物は、本発明の酵素調製物を含む。
【0306】
一態様では、方法は、脂肪を含む汚れの除去に関する。脂肪は、融解温度に応じて、脂肪、グリース又は油として下位分類され得る。油は通常、室温で液体である。グリースは、室温で油よりも粘度が高く、ペースト状と呼ばれ得る。一実施形態では、脂肪を含む汚れの除去は、洗浄温度≦40℃で、洗浄温度≦30℃で、洗浄温度≦25℃で、又は洗浄温度≦20℃で行われ得る。
【0307】
一態様では、本発明は、洗浄温度未満の融解温度を有する脂肪性化合物を含む汚れを除去する方法に関する。一実施形態では、テキスタイルから除去される汚れが、30℃を超える融解温度を有する脂肪性化合物を含み、除去が、温度30℃以下の洗浄温度で行われる。
【0308】
一実施形態では、本発明は、30℃を超える融解温度を有する脂肪性化合物を含む汚れを温度30℃以下の洗浄温度で除去する方法であって、成分(a)及び(b)並びに1つ以上の洗剤成分を含む本発明の洗剤配合物と汚れを接触させるステップを含む方法に関する。
【0309】
成分(a)及び(b)は上に開示されるものである。成分(b)は、一実施形態では、好ましくはサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される少なくとも1つのリパーゼ、並びに好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体(全ての酵素は上に開示される)から選択される、少なくとも1つのプロテアーゼを含む。
【0310】
一態様では、方法は、デンプンを含む汚れの除去に関する。一実施形態では、デンプンを含む汚れの除去は、洗浄温度≦40℃で、洗浄温度≦30℃で、洗浄温度≦25℃で、又は洗浄温度≦20℃で行われ得る。
【0311】
一実施形態では、本発明は、デンプンを含む汚れを温度30℃以下の洗浄温度で除去する方法であって、成分(a)及び(b)並びに1つ以上の洗剤成分を含む本発明の洗剤配合物と汚れを接触させるステップを含む方法に関する。成分(a)及び(b)は上に開示されるものである。成分(b)は、一実施形態では、好ましくは国際公開第89/06279号に開示されているサブチリシン147及び/又は309並びにタンパク質分解活性を有するその変異体、国際公開第91/02792号に開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体、並びに欧州特許第1921147号に記載されている配列番号22によるサブチリシン及びタンパク質分解活性を有するその変異体から選択される、少なくとも1つのプロテアーゼ、並びに好ましくはバシラス属の種(Bacillus sp.)707に由来するアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体、及びバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択され、より好ましくは国際公開第2013/001078号の配列番号1及び2によるアミラーゼ又はアミロース分解活性を有するその変異体から選択される、少なくとも1つのアミラーゼ(全ての酵素が上に開示される)を含む。
【実施例】
【0312】
本発明を実施例によってさらに例証することとする。
【0313】
一般備考:パーセンテージは、特に別段の断り書きがない限り重量パーセントである。
【0314】
I.試験した化合物
A) 式(I)による化合物-(成分(a)):
A.1 クエン酸トリエチル - Sigma Aldrichから購入した
A.2 クエン酸トリプロピル - Sigma Aldrichから購入した
A.3 クエン酸トリブチル - Sigma Aldrichから購入した
A.4 クエン酸アセチルトリブチル - Sigma Aldrichから購入した
A.5 クエン酸アセチルトリエチル - Sigma Aldrichから購入した
A.6 クエン酸モノエチル - Sigma Aldrichから購入した
A.7 クエン酸ジエチル
この合成は、Journal of Chemical & Engineering Data 2018、DOI: 10.1021/acs.jced.7b01060、C.Berdugo、A.Suaza、M.Santaella、O.Sanchezに記載の通り。
A.8 クエン酸トリベンジル
WO2007/14471 A1、2007年;特許中の位置:頁/頁縦欄 19:27~28に記載の通りに合成。
A.9 クエン酸トリサリチル
WO2007/14471 A1、2007年;特許中の位置:頁/頁縦欄 19:27~28に記載の通りに合成。
B)比較化合物:
B.1:クエン酸 - Sigma Aldrichから購入した
B.2:クエン酸三ナトリウム塩 - Sigma Aldrichから購入した
B.3:シュウ酸ジエチル - Sigma Aldrichから購入した
B.4:グリセロール三酢酸 (トリアセチン) - Sigma Aldrichから購入した
【0315】
II.プロテアーゼ安定性
プロテアーゼの保存安定性を37℃で評価した。
【0316】
基本試験配合物は、表1による成分を混合することにより基本配合物I~Vを作製することによって製造した。
【0317】
使用したプロテアーゼ:Savinase(登録商標)16.0L(CAS番号9014-01-1、EC番号232-752-2)をSigma-Aldrichから購入した。
【0318】
それぞれの成分(a)又は比較化合物を、該当する場合、表1に示す通りの量でそれぞれの基本配合物に添加した。
【0319】
プロテアーゼ(成分(b))を、表1に示す通りの量でそれぞれの基本配合物に添加した。表1で提供されるプロテアーゼの量は、活性タンパク質を指す。
【0320】
100までの残部に達するように水を添加した。
【0321】
【0322】
表2に示すある特定の時点でのSavinase活性は、基質としてスクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリド(Suc-AAPF-pNA、省略形AAPF)を利用することにより判定した。pNAがタンパク質分解的切断により基質分子から切断され、その結果、遊離pNAの黄色が放出されることになり、これを、OD405を測定することにより判定した。測定は、20℃で行った。
【0323】
表2は、37℃で1~30日間の保存後の液体配合物において測定されたプロテアーゼ活性を示す。表3に提供するタンパク質分解活性値は、時間0で参照配合物において判定された100%値を踏まえて計算した。
【0324】
配合物の命名法は、以下の通りである:ピリオドの前のローマ数字は、基本配合物を特徴付け、アラビア数字は、化合物の種類を特徴付ける(A.# 本発明による化合物(成分(a))、B.# 比較化合物)。
【0325】
【0326】
III.テキスタイル洗浄試験
2種類の試験布製品の洗浄における配合物の洗剤性能試験を行った。試験布試料は脂肪性/粒子状の汚れを含むとともに、試験布試料はCFTプロセスによるタンパク質性及び脂肪性成分を含む複合的な汚れを含んでいた。
【0327】
試験は、次のように行った:8つの標準化された汚れた布製品の布片であって、各々が2.5×2.5cmサイズであり、2辺がポリエステル担体に縫い合わされている布片を含む、マルチステインモニターを、2.5gの綿布製品及び5g/Lの液体試験洗濯用洗剤、表3と一緒にlaunder-O-meterで洗浄した。
【0328】
条件は、次の通りとした:装置:SDL Atlas、Rock Hill、USAからのLaunder-O-Meter。洗浄液:250ml、洗浄時間:60分、洗浄温度:30℃。水の硬度:2.5mmol/L;Ca:Mg:HCO3 4:1:8。
布製品と液体との比 1:12、洗浄サイクル後に、マルチステインモニターを水ですすぎ、引き続いて14時間にわたって周囲温度で乾燥させた。
以下の事前に汚した試験布製品を使用した:
CFT C-S-10:綿の上のバター
CFT C-S-62:綿の上のラード、着色
CFT C-S-68:綿の上のチョコレートアイスクリーム
EMPA 112:綿の上のココア
EMPA 141/1:綿の上の口紅
EMPA 125:界面活性剤のモニター
wfk20D:ポリエステル/綿混合布製品上の顔料及び皮脂型脂肪
CFT C-S-70:チョコレートムース
wfk=wfk試験布 Krefeld GmbH
EMPA=Swiss Federal Institute of Materials Testing
CFT=Center for Test Material B.V.
【0329】
測色を使用して総洗浄レベルを評価した。460nmのUVカットフィルターと共に球反射分光計(sphere reflectance spectrometer)(Datacolor、USAからのSF500型、波長範囲360~700nm、光学的形状(optical geometry)d/8°)を使用して、モニター上の汚れの反射率値を測定した。この場合、CIE-Lab色空間分類を用いて、輝度L*、赤-緑色軸の値a*、及び黄-青色軸のb*値を洗浄の前及び後に測定し、モニターの8つの汚れについて平均した。色値の変化(ΔE)値は、以下の式で色評価ツールによって決定して自動的に計算した:
【0330】
【数1】
[L
*輝度、a
* 赤-緑色軸の色値、b
* 青-黄色軸の色値]
ΔEは達成された洗浄効果の測定量である。全ての測定を6回繰り返して平均数値を得た。ΔE値が高いほど優れた洗浄を示すことに留意されたい。1単位の差は当業者によって検出され得る。専門家でなくとも2単位を容易に検出することができる。結果を表4に示す。
R
w=洗浄した汚れの反射率
R
O=汚れていない反射率
【0331】
洗浄力を以下の通り計算した:各布の合計6回の反復をこの試験中に実行した;90~95%の統計信頼水準を計算した。
【0332】
表3に従う成分を混合することによって配合物VI~Xを調製することにより、試験配合物を作製した。
【0333】
それぞれの成分(a)又は比較化合物を、該当する場合、表3に提供される量でそれぞれの基本配合物に添加した。
【0334】
Lipolase(登録商標)100Lを、該当する場合、表3に提供される量でそれぞれの基本配合物に添加した。
【0335】
Savinase(登録商標)16.0Lを、該当する場合、表3に提供される量でそれぞれの基本配合物に添加した。
【0336】
100までの残部に達するように水を添加した。
【0337】
【0338】
新たに調製した配合物並びに2ヶ月の保存(1週間[7日間]、2週間[14日間]、4週間[28日間]、6週間[42日間]、8週間[56日間])中の37℃で保存した配合物で、launder-O-meter試験を実行した。近似として、37℃で1週間は、20℃で3.5週間と同等である。
【0339】
【表4】
本発明の態様として、例えば以下を挙げることができる。
[項1]
酵素調製物であって、
成分(a):一般式(I)による少なくとも1つの化合物
【化17】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)、
成分(b):プロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、
並びに任意選択で、
成分(c):少なくとも1つの溶媒、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する少なくとも1つの化合物から選択される化合物
を含む酵素調製物。
[項2]
酵素調製物の総重量に対して0.1~30重量%の範囲の量の成分(a)を含む、項1に記載の酵素調製物。
[項3]
成分(b)に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼが、成分(a)を欠く酵素調製物と比較した場合に安定化されている、項1又は2に記載の酵素調製物。
[項4]
安定した酵素調製物を製造する方法であって、少なくとも、
成分(a):一般式(I)による少なくとも1つの化合物
【化18】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)、
成分(b):プロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、
並びに任意選択で、
成分(c):少なくとも1つの溶媒、成分(a)と異なる少なくとも1つの酵素安定剤、及び液体酵素調製物それ自体を安定化する少なくとも1つの化合物から選択される化合物
を混合するステップを含む、方法。
[項5]
保存中の液体酵素調製物に含まれる少なくとも1つのプロテアーゼのタンパク質分解活性の喪失を低減する方法であって、
式(I)による少なくとも1つの化合物:
【化19】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)
を添加するステップによる、方法。
[項6]
少なくとも1つのプロテアーゼのための添加剤としての、式(I)による化合物:
【化20】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通り定義される:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)
の使用であって、前記式(I)による化合物及び前記プロテアーゼは固体であり、前記式(I)による化合物及び前記ヒドロラーゼを少なくとも1つの溶媒[成分(c)]と接触させると、前記プロテアーゼのタンパク質分解活性が安定化される、使用。
[項7]
洗剤配合物、好ましくは液体洗剤配合物に配合するための、項1から3のいずれか一項に記載の酵素調製物の使用であって、項1から3のいずれか一項に記載の酵素調製物が、1つ以上のステップで1つ以上の洗剤成分と混合される、使用。
[項8]
項1から3のいずれか一項に記載の酵素調製物、及び少なくとも1つの洗剤成分を含む洗剤配合物。
[項9]
洗剤配合物を調製する方法であって、少なくとも、
成分(a):一般式(I)による少なくとも1つの化合物
【化21】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)、
成分(b):プロテアーゼの群から選択される少なくとも1つの酵素、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択される少なくとも1つの酵素、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも1つの酵素、
及び有効量の少なくとも1つの洗剤成分
を混合するステップを含む、方法。
[項10]
項1から3のいずれか一項に記載の酵素調製物、及び有効量の少なくとも1つの洗剤成分を混合するステップを含む、項9に記載の方法。
[項11]
汚れを除去する方法であって、少なくとも1つの汚れを、項8に記載の洗剤配合物と接触させるステップを含み、前記洗剤配合物の成分(b)は、少なくとも1つのプロテアーゼを含み、任意選択で、少なくとも1つのリパーゼをさらに含む、方法。
[項12]
前記汚れが、テキスタイルから除去され、30℃を超える融解温度を有する脂肪性化合物を含み、前記除去が、温度30℃以下の洗浄温度で行われる、項11に記載の方法。
[項13]
少なくとも1つのプロテアーゼを含む液体洗剤配合物の保存安定性を増加させる方法であって、前記洗剤配合物に、式(I)による少なくとも1つの化合物:
【化22】
(式中、式(I)の可変要素は以下の通りである:
R
1
は、H、アセチル及びプロピオニルから選択され、
R
2
、R
3
、R
4
は、互いに独立に、H、直鎖C
1
~C
8
アルキル、及び分岐C
3
~C
8
アルキル、非置換又は1個以上のカルボキシレート基若しくはヒドロキシル基で置換されたC
6
~C
10
-アリール、及びC
6
~C
10
-アリール-アルキルから選択され、C
6
~C
10
-アリール-アルキルのアルキルは、直鎖C
1
~C
8
アルキル又は分岐C
3
~C
8
アルキルから選択され、R
2
、R
3
及びR
4
の少なくとも1つはHではない)
を添加することによる、方法。
[項14]
前記洗剤が、37℃で少なくとも20日間保存される、項13に記載の方法。
[項15]
前記プロテアーゼが、サブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択され、前記液体洗剤配合物が、任意選択で好ましくはサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼ及びその変異体から選択される、少なくとも1つのリパーゼを含む、項13又は14に記載の方法。