(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】シーリング部ベンティング調節手段を含むパウチ型電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/317 20210101AFI20240805BHJP
H01M 50/325 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/636 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/325
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/636
(21)【出願番号】P 2022580220
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2022007859
(87)【国際公開番号】W WO2022255822
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0071585
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒェ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ノ・イ
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-157678(JP,A)
【文献】特開2018-006182(JP,A)
【文献】特開2004-055290(JP,A)
【文献】特開2015-090804(JP,A)
【文献】特開2015-165557(JP,A)
【文献】特開平10-294097(JP,A)
【文献】特開2010-225496(JP,A)
【文献】特開2008-166130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30-50/392
H01M 50/10-50/198
H01M 50/60-50/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体を収納するパウチ型電池ケースと、
前記電極組立体から延び、一部が前記パウチ型電池ケースの外部に突出した電極リードと、を含むパウチ型電池セルであって、
前記パウチ型電池ケースの外周辺にはシーリング部が形成されており、
前記シーリング部のうち前記電極リードが突出する位置には
、ベンティング調節手段が
クリップの形態として装着されており、
前記ベンティング調節手段は、前記パウチ型電池ケースの内部ガス圧力に応じて前記ベンティング調節手段が装着されたシーリング部の開閉を調節する、パウチ型電池セル。
【請求項2】
前記ベンティング調節手段が装着されるシーリング部は、他のシーリング部より弱く融着している、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項3】
前記ベンティング調節手段は、外側の本体部と、前記パウチ型電池ケースと直接接する内側の弾性部とを含む、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項4】
前記弾性部は、前記電池セルの内部圧力によって変形可能な弾性材料を含み、前記本体部は、前記電池セルの内部圧力によって変形しない材料を含む、
請求項3に記載のパウチ型電池セル。
【請求項5】
前記ベンティング調節手段は、前記電極リードが貫通して挿入される電極リード挿入口をさらに含む、
請求項3に記載のパウチ型電池セル。
【請求項6】
前記電極リードは正極リードと負極リードとからなり、前記正極リードと負極リードとは互いに反対方向に突出している、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項7】
前記電極リードは正極リードと負極リードとからなり、前記正極リードと負極リードとは同じ方向に突出している、請求項1に記載のパウチ型電池セル。
【請求項8】
1)電極組立体を製造する段階と、
2)前記電極組立体に電極リードを接合する段階と、
3)前記電極リードが接合された前記電極組立体をパウチ型電池ケースに収納する段階と、
4)前記パウチ型電池ケースの外周辺のうち電解液を注入する外周辺を除いて残った外周辺をシーリングする段階と、
5)前記パウチ型電池ケースのシーリング部のうち前記電極リードが突出する位置にベンティング調節手段を
クリップの形態として装着する段階と、
を含むパウチ型電池セルの製造方法であって、
前記ベンティング調節手段は、前記パウチ型電池ケースの内部ガス圧力に応じて前記ベンティング調節手段が装着されたシーリング部の開閉を調節する、パウチ型電池セルの製造方法。
【請求項9】
シーリングする段階において、前記ベンティング調節手段が装着されるシーリング部は他のシーリング部より弱く融着される、
請求項8に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項10】
前記ベンティング調節手段は、外側の本体部と、前記パウチ型電池ケースと直接接する内側の弾性部とを含む、
請求項8に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項11】
前記ベンティング調節手段を装着する段階の後、電解液を注入する段階と、前記電解液の注入部をシーリングする段階とをさらに含む、
請求項8に記載のパウチ型電池セルの製造方法。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載のパウチ型電池セルを含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年6月2日付の韓国許出願第2021-0071585号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はシーリング部ベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルに関するものである。具体的には、パウチ型電池セルのシーリング部に、パウチ型電池セルの内部圧力によってガスの排出を調節することができるベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
二次電池には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。前記二次電池単位セルの作動電圧は約2.0V~5.0Vである。これより高い出力電圧が要求される場合、複数の単位セルを直列に連結したセルアセンブリーを構成することができる。出力電圧及び容量を考慮して前記セルアセンブリーを直列及び/または並列に連結したバッテリーモジュールを構成することもでき、複数の前記バッテリーモジュールを用いてバッテリーパックを製作することができる。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状によって、円筒型、角型、パウチ型などに区分することができる。そのうちでも、高集積度に積層されることができ、重量当たりエネルギー密度が高く、安価であり、変形が容易なパウチ型二次電池が高い関心を集めている。パウチ型電池セルは電池ケースがラミネートシートからなる電池セルを意味し、前記電池ケースの内部に電極組立体が内蔵される構造を有する。
【0005】
パウチ型電池セルは、充放電などの使用過程で電池セルの内部でガスが発生してパウチ型電池ケースが膨張及び爆発する危険がある。
【0006】
前記のような危険を防止するために、特許文献1は、
図1及び
図2に示すように、電池ケース20のシーリング部21にメインガス放出管50及び補助ガス放出管60を備えることで、電池セルの内部で発生したガスを速かに外部に排出することができる電池セルを開示している。
【0007】
特許文献1の電池セルはメインガス放出管50をシーリング部に位置させてシーリングする段階によって製造され、ガス放出の際にはシーリング部21の一部を切開することによって露出されたメインガス放出管50の一部を通してガスを外部に放出させ、完全に放出させた後には、露出されたメインガス放出管50の一部を再び熱融着してシーリングしなければならないので、工程が複雑であり、生産性が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点を解決するためのものであり、パウチ型電池セルの電極リードが突出したシーリング部にベンティング調節手段を装着することで、電池セルの内部で発生したガスの圧力に応じてベンティングを調節することができるパウチ型電池セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような目的を達成するための本発明は、電極組立体と、前記電極組立体を収納するパウチ型電池ケースと、前記電極組立体から延び、一部が前記パウチ型電池ケースの外部に突出した電極リードとを含み、前記パウチ型電池ケースの外周辺にはシーリング部が形成されており、前記シーリング部のうち前記電極リードが突出する位置にはベンティング調節手段が装着されており、前記ベンティング調節手段は、前記パウチ型電池ケースの内部ガス圧力に応じて前記ベンティング調節手段が装着されたシーリング部の開閉を調節する、パウチ型電池セルを提供する。
【0011】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記ベンティング調節手段は前記シーリング部にクリップの形態として装着されることができる。
【0012】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記ベンティング調節手段が装着されるシーリング部は、他のシーリング部より弱く融着することができる。
【0013】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記ベンティング調節手段は、外側の本体部と、前記パウチ型電池ケースと直接接する内側の弾性部とを含むことができる。
【0014】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記弾性部は、前記電池セルの内部圧力によって変形可能な弾性材料を含み、前記本体部は、前記電池セルの内部圧力によって変形しない材料を含むことができる。
【0015】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記ベンティング調節手段は、前記電極リードが貫通して挿入される電極リード挿入口をさらに含むことができる。
【0016】
また、本発明によるパウチ型電池セルにおいて、前記電極リードは正極リードと負極リードとからなり、前記正極リードと負極リードとは互いに反対方向に突出するかまたは同じ方向に突出することができる。
【0017】
また、本発明は、1)電極組立体を製造する段階と、2)前記電極組立体に電極リードを接合する段階と、3)前記電極リードが接合された前記電極組立体をパウチ型電池ケースに収納する段階と、4)前記パウチ型電池ケースの外周辺のうち電解液を注入する外周辺を除いて残った外周辺をシーリングする段階と、5)前記パウチ型電池ケースのシーリング部のうち前記電極リードが突出する位置にベンティング調節手段を装着する段階とを含むパウチ型電池セルの製造方法であって、前記ベンティング調節手段は、前記パウチ型電池ケースの内部ガス圧力に応じて前記ベンティング調節手段が装着されたシーリング部の開閉を調節する、パウチ型電池セルの製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明によるパウチ型電池セルの製造方法において、シーリングする段階では、前記ベンティング調節手段が装着されるシーリング部を他のシーリング部より弱く融着することができる。
【0019】
また、本発明によるパウチ型電池セルの製造方法において、前記ベンティング調節手段は、外側の本体部と、前記パウチ型電池ケースと直接接する内側の弾性部とを含むことができる。
【0020】
また、本発明によるパウチ型電池セルの製造方法において、前記ベンティング調節手段を装着する段階の後、電解液を注入する段階と、前記電解液注入部をシーリングする段階とをさらに含むことができる。
【0021】
また、本発明は、前記パウチ型電池セルを含む電池パックを提供することができる。
【0022】
また、本発明は前記課題を解決するための手段を多様に組み合わせた形態としても提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のパウチ型電池セルは、シーリング部にベンティング調節手段を装着することで、パウチ型電池セルの内部のガス発生によって内部圧力が高くなれば自動でベンティングを誘導することができるので、電池セルの膨張による爆発などを防止することができる利点がある。
【0024】
また、本発明のパウチ型電池セルは、ベンティングの後に内部圧力が低くなればベンティング調節手段がシーリング部を再び閉めることで、ベンティングの後にも電池セルを使用することができる利点がある。
【0025】
また、本発明のパウチ型電池セルは、製造の際にベンティングのための別の手段を形成する複雑な工程が不要であるので、製造工程が簡素化する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のパウチ型電池セルを示す平面図である。
【
図2】
図1のA-A’線に沿った断面を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例によるベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施例によるベンティング調節手段の斜視図である。
【
図5】
図3のB-B’線に沿った断面を示す断面図である。
【
図6】
図5のパウチ型電池セルにおいて、ベンティングが発生するときの形状を概略的に示す断面図である。
【
図7】本発明の他の実施例によるベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0028】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0029】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0030】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0031】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0032】
また、すべての数値範囲は、明確に除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値とを含む。
【0033】
以下、本発明によるパウチ型電池セルについて添付図面を参照して説明する。
【0034】
図3は本発明の一実施例によるベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルを示す平面図である。
【0035】
図3を参照して本発明のパウチ型電池セル100を説明すると、パウチ型電池セル100は、電極組立体110、前記電極組立体110を収納する電池ケース120、電極組立体110に接合され、一部が電池ケース120の外部に突出する電極リード130、及びベンティング調節手段140を含む。
【0036】
まず、電極組立体110は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜が介在されてから巻き取られる構造を有するゼリーロール型組立体、長方形の正極及び負極が分離膜を挟んでいる状態で積層される構造のスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタックフォルディング型組立体、または電池セルが分離膜を間に挟んでいる状態で積層されて互いに付着されるラミネーションスタック型組立体などからなることができるが、これに限定されない。
【0037】
このような電極組立体110はパウチ型電池ケース120に収納される。
【0038】
パウチ型電池ケース120は、通常に、内部層/金属層/外部層のラミネートシート構造を有している。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、また外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち内部層同士熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性がよいポリプロピレン、ポリエチレン、酢酸ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリイミド樹脂から選択されることができるが、これに限定されず、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性及び耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0039】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0040】
そして、金属層の他側面には外部層が備えられる。このような外部層は、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これに限定されない。
【0041】
このような電池ケース120の外周辺には、電極組立体110の収納の後、電池ケース120の密封のためのシーリング部121が形成される。
【0042】
また、パウチ型電池セル100は、正極リード及び負極リードの一対からなる電極リード130を含むことが一般的である。
【0043】
このような電極リード130は電極組立体110のタブと溶接などの方法で接合され、電池ケース120に収納されるとき、一部が電池ケース120の外部に突出して他の電池セルまたは装置と電気的に連結される。
【0044】
一方、正極リードと負極リードとが突出する方向は多様な形態を有することができるが、正極リードと負極リードとが反対方向に突出する形態、または正極リードと負極リードとが同一方向に突出する形態を有するように形成されることが一般的である。
図3は非制限的な例示として正極リードと負極リードとが互いに反対方向にまたは相異なる方向に突出する形態を示している。
【0045】
また、電極リード130と電池ケース120との間のシーリング性を高めるためにリードフィルムを使うこともできるが、これに限定されない。
【0046】
図4は本発明の一実施例によるベンティング調節手段の斜視図である。
【0047】
図4を参照して本発明のベンティング調節手段140について説明すると、ベンティング調節手段140は電池ケース120のシーリング部121に装着されるものであり、特にシーリング部121のうち電極リード130が突出する部分に装着されることができる。
【0048】
このようなベンティング調節手段140は、本体部141、弾性部142、及び電極リード挿入口143を含む。
【0049】
まず、本体部141はベンティング調節手段140の外部骨格を形成する部分であり、電池セル100の内部圧力が高くなってベンティング調節手段140の装着されたシーリング部121が開いても形状の変形がないように、一定の強度以上を有する材料を含み、強度、成形性などを考慮すると、金属材料から形成されることが好ましいが、これに限定されず、多様な材料が適用可能である。
【0050】
次に、弾性部142は前記本体部141の内側に位置して電池ケース120と接触する部分であり、電池セル100の内部圧力が一定値以上に高くなると、ベンティング調節手段140の装着されたシーリング部121が開くように変形する弾性を有する材料を含む。
【0051】
このような弾性材料の種類としては、公知の多様なゴム及び高分子材料などを使うことができる。
【0052】
そして、電極リード挿入口143は、ベンティング調節手段140を電池セル100に装着するとき、電極リード130が挿入される貫通口である。
【0053】
図3及び
図4には、ベンティング調節手段140がパウチ型電池セル100の4側面のうち電極リード130が突出する側面全体に配置されるものとして示されているが、これに限定されるものではない。本発明によるベンティング調節手段はパウチ型電池ケースがシーリングされるどの部分にも適用可能である。また、シーリングされる面全体に配置されず、シーリング部の一部にのみ配置可能であり、さらに電極リード挿入口自体がない構成も可能である。
【0054】
図5は
図3のB-B’線に沿った断面を示す断面図であり、
図6は
図5のパウチ型電池セルにおいて、ベンティングが発生するときの形状を概略的に示す断面図である。
【0055】
図5及び
図6を参照してベンティング調節手段140の動作原理について説明すると、電池セル100の内部圧力が一定値以下の場合には、
図5に示すように、シーリング部121は閉まった状態を維持し、電池セル100の内部圧力が一定値以上の場合には、
図6に示すように、シーリング部121が開いた状態になり、内部のガスが外部に排出される。
【0056】
このように、ガスがある程度排出されて内部圧力が一定値以下に低くなれば、シーリング部121は再び閉まった状態になる。
【0057】
すなわち、弾性部142の復元力より内部圧力が高くなれば、シーリング部121が開くのに伴ってベンティングが発生し、弾性部142の復元力より内部圧力が低くなれば、シーリング部121が閉まることになる原理でベンティングを調節する。
【0058】
したがって、弾性部142を形成する材料の種類及び厚さによってベンティングが発生する圧力を適宜調節することができる。
【0059】
一方、
図5及び
図6には、シーリング部端部121aと弾性部内側面142aとが一定の間隔で離隔しているものとして示されているが、
図5及び
図6とは違い、シーリング部端部121aと弾性部内側面142aとが接する形態も可能である。
【0060】
この場合にも、ベンティング調節手段140の側面を通してガスが排出可能であるからである。
【0061】
図7は本発明の他の実施例によるベンティング調節手段を含むパウチ型電池セルの断面図である。
【0062】
図7のベンティング調節手段150も、本体部151、弾性部152、及び電極リード挿入口(図示せず)を含む。前述したベンティング調節手段140との相違点は、弾性部152が電池ケース120と接する面全体に形成されている点である。
【0063】
このように弾性部152が形成されることで、ベンティング調節手段150の装着の際や装着の後に本体部151によって電池ケース120が損傷する可能性を防止することができる利点がある。
【0064】
一方、本発明のベンティング調節手段140、150を備えたパウチ型電池セル100を製造する方法を説明すると、1)電極及び分離膜を用いて電極組立体110を製造する段階と、2)電極組立体110に電極リード130を接合する段階と、3)電極リード130が接合された前記電極組立体110をパウチ型電池ケース120に収納する段階と、4)電池ケース120の外周辺のうち電解液を注入する外周辺を除いて残った外周辺をシーリングする段階と、5)電池ケース120のシーリング部121のうち前記電極リード130が突出する部分にベンティング調節手段140、150を装着する段階とを含む。
【0065】
次いで、ベンティング調節手段140、150を装着する段階の後、電解液を注入する段階及び前記電解液注入部をシーリングする段階をさらに含む。
【0066】
ここで、外周辺をシーリングする方法としては一般的に熱融着法を使う。電解液を注入する外周辺を除いて残った外周辺をシーリングする段階でシーリングされる外周辺を同じ融着強度でシーリングすることもできるが、ガスの排出をベンティング調節手段140、150が装着された方向に誘導するために、電極リード130が突出した方向のシーリング部121を他側のシーリング部121より弱く融着することが好ましい。
【0067】
すなわち、ベンティング調節手段140、150が装着されたシーリング部121の融着強度は、ベンティング調節手段140、150を開ける内部圧力より低い圧力で分離されることができる範囲内で設定することが好ましい。
【0068】
もちろん、すべてのシーリング部121を同じ融着強度でシーリングし、その後、ベンティング調節手段140、150が装着されたシーリング部121を除いて残ったシーリング部121の接合強度を別の方法で上昇させることで、ベンティング調節手段140、150が装着されたシーリング部121の接合強度が相対的に弱くなるように形成することも可能である。
【0069】
ただし、この場合にも、シーリング部121の接合強度は、前述したように、ベンティング調節手段140、150を開ける内部圧力より低い圧力で分離されることができる範囲内で設定することが好ましい。
【0070】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、このような具体的技術は、当該分野で通常の知識を有する者に対して単に好適な実施様態に該当しているだけであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求の範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0071】
100 電池セル
10、110 電極組立体
11 電極タブ
20、120 電池ケース
21、121 シーリング部
121a シーリング部端部
30、130 電極リード
40 リードフィルム
50 メインガス放出管
60 補助ガス放出管
140、150 ベンティング調節手段
141、151 本体部
142、152 弾性部
142a 弾性部内側面
143 電極リード挿入口