(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】シールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6592 20110101AFI20240805BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01R13/6592
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2022146267
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】東谷 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】早川 智彬
(72)【発明者】
【氏名】近松 靖和
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-280131(JP,A)
【文献】特開2003-264033(JP,A)
【文献】特開2012-054145(JP,A)
【文献】米国特許第06042396(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/56-13/72
H01R 13/73
H02G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組で電磁的にシールドされたシールド電線が内部に挿通される筒状の樹脂部材であり、接続対象を構成する金属パネルに設けられた貫通孔と一端開口とが連通し、当該一端開口から延出した前記シールド電線の一端部が前記貫通孔を通過するように前記接続対象に固定されるハウジングと、
前記シールド電線の前記一端部に設けられ、前記接続対象における端子部分に接続するコネクタ端子と、
前記シールド電線に外装される金属筒であり、一端側が前記編組に接続され、他端側が外側に折り返されて拡径方向に付勢力を発する板バネとなっており、前記板バネが前記金属パネルの前記貫通孔の内面を押圧するように接触して前記編組を前記金属パネルに接地するシールド端子と、
前記ハウジングの内面から前記貫通孔の内面にかけて、前記ハウジング及び前記貫通孔の挿通物との間を、前記貫通孔の内面と前記板バネとの接触部分を避けつつシールするように弾性樹脂で筒状に形成されたシール部材と、
前記板バネに前記コネクタ端子とは反対側で、前記板バネと前記シール部材とで挟まれて前記板バネに隣接するように前記シールド端子に外装される樹脂リングであり、外周縁が前記貫通孔の内面に接するように前記貫通孔の内側に配置されることで、当該貫通孔の中心軸に対する前記シールド端子の中心軸の軸ずれを抑制するサポート部材と、
を備えたことを特徴とするシールド電線用コネクタ。
【請求項2】
前記サポート部材が、前記シールド端子の前記他端側における前記板バネの折返しの内側に差し入れられる筒状部分と、当該筒状部分における前記板バネとは反対側の開口縁から張り出したフランジ部分と、を有する、軸方向の断面がL字形状の部材であって、前記フランジ部分の外周縁で前記貫通孔の内面に接することを特徴とする請求項1に記載のシールド電線用コネクタ。
【請求項3】
前記サポート部材は、前記フランジ部分が、前記シール部材における前記板バネ側の端部と対面するように配置されることを特徴とする請求項2に記載のシールド電線用コネクタ。
【請求項4】
前記シールド電線の前記編組が、前記コネクタ端子の接続端側で外側に折り返されており、
前記シールド端子は、前記板バネ以外の筒部分が、前記編組の折返し部分に金属製のシールドリングを介して加締め接続されていることを特徴とする請求項1に記載のシールド電線用コネクタ。
【請求項5】
前記シール部材は、前記シールド端子における前記編組との加締め部分を覆うように外装され、
前記シール部材と前記加締め部分との間には、樹脂で筒状に形成された保護材が前記加締め部分から前記シール部材を保護するように介装されていることを特徴とする請求項4に記載のシールド電線用コネクタ。
【請求項6】
前記シールド電線における前記コネクタ端子の接続側をフロント側、当該フロント側とは反対側をリア側としたとき、前記ハウジングにおける前記フロント側で前記貫通孔と前記シールド電線との間を閉塞するフロントホルダと、
前記ハウジングにおける前記リア側の開口と前記シールド電線との間を閉塞するリアホルダと、を更に備え、
前記フロントホルダは、その一部が前記シールド端子の前記板バネを前記サポート部材との間に挟むように配置されており、当該一部の外周面が前記サポート部材の外周縁とともに前記貫通孔の内面に接することで前記軸ずれの抑制に寄与することを特徴とする請求項1に記載のシールド電線用コネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のうち何れか一項に記載のシールド電線用コネクタと、
前記コネクタ端子が端部に設けられ、前記ハウジングから延出した、編組で電磁的にシールドされたシールド電線と、
を備えたことを特徴とするワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド電線のコネクタ接続を行うシールド電線用コネクタ、及び、そのようなシールド電線用コネクタが端部に設けられたワイヤーハーネスに関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド電線のコネクタ接続を行うシールド電線用コネクタには、多くの場合、接続対象を構成する金属パネルにシールド電線の編組を接地する接地構造が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のシールド電線用コネクタでは、接続対象の金属パネルに固定されるハウジングが金属製であり、シールド電線の編組はこの金属製のハウジングを介して金属パネルに接地されることとなっている。
【0003】
ここで、ハウジングには、その製造のし易さ等の観点から樹脂製のものも多く存在しており、シールド電線用コネクタの中にも、樹脂製のハウジングを採用したものがある。このようなタイプのシールド電線用コネクタでは、接続対象の金属パネルに対して編組を接地するシールド端子を備えているものが多い。そして、シールド端子としては、筒状に形成され、シールド電線から露出された編組に被せられて接続されるとともに、端部が板バネ状に形成されたものが知られている。このようなシールド端子は、接続対象の金属パネルに設けられた電線挿通用の貫通孔の内面に板バネ部分がバネ接触することで編組を金属パネルに接地することとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述した板バネ構造のシールド端子では、貫通孔の内面に対し、周方向について均等な接触圧でバネ接触することが望ましい。そのためには、筒状のシールド端子の中心軸が貫通孔の中心軸からずれないようにシールド電線用コネクタが接続対象の金属パネルに固定されることが望ましい。しかしながら、構成部品の製造誤差等の影響でシールド電線用コネクタが接続対象の金属パネルに片寄せ状態や傾いた状態で固定される場合がある。このよう場合には、シールド端子が貫通孔に対して軸ずれを起こし、貫通孔の内面に対するシールド端子の周方向の接触圧が不均一となり、編組の接地抵抗の上昇をもたらす恐れがある。
【0006】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、貫通孔の内面に対するシールド端子の周方向の接触圧の不均一さを抑制することができるシールド電線用コネクタを提供することを目的とする。また、そのようなシールド電線用コネクタが端部に設けられたワイヤーハーネスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、シールド電線用コネクタは、編組で電磁的にシールドされたシールド電線が内部に挿通される筒状の樹脂部材であり、接続対象を構成する金属パネルに設けられた貫通孔と一端開口とが連通し、当該一端開口から延出した前記シールド電線の一端部が前記貫通孔を通過するように前記接続対象に固定されるハウジングと、前記シールド電線の前記一端部に設けられ、前記接続対象における端子部分に接続するコネクタ端子と、前記シールド電線に外装される金属筒であり、一端側が前記編組に接続され、他端側が外側に折り返されて拡径方向に付勢力を発する板バネとなっており、前記板バネが前記金属パネルの前記貫通孔の内面を押圧するように接触して前記編組を前記金属パネルに接地するシールド端子と、前記ハウジングの内面から前記貫通孔の内面にかけて、前記ハウジング及び前記貫通孔の挿通物との間を、前記貫通孔の内面と前記板バネとの接触部分を避けつつシールするように弾性樹脂で筒状に形成されたシール部材と、前記板バネに前記コネクタ端子とは反対側で、前記板バネと前記シール部材とで挟まれて前記板バネに隣接するように前記シールド端子に外装される樹脂リングであり、外周縁が前記貫通孔の内面に接するように前記貫通孔の内側に配置されることで、当該貫通孔の中心軸に対する前記シールド端子の中心軸の軸ずれを抑制するサポート部材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、ワイヤーハーネスは、上述のシールド電線用コネクタと、前記コネクタ端子が端部に設けられ、前記ハウジングから延出した、編組で電磁的にシールドされたシールド電線と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述のシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスによれば、貫通孔の内面に対するシールド端子の周方向の接触圧の不均一さを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されているシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスにおける一の電線に係る構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1に示されているシールド電線用コネクタを、
図1中の矢印V11方向から見た平面図である。
【
図4】
図3に示されているシールド電線用コネクタにおける、
図3中のV12-V12線に沿った断面を示す断面図である。
【
図5】
図4に示されている断面における、
図4中のエリアA11の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、シールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスの一実施形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係るシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスを示す斜視図である。また、
図2は、
図1に示されているシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスにおける一の電線に係る構成を示す分解斜視図である。
【0013】
図1に示されているワイヤーハーネス1は、自動車等に配索されるものであり、2本のシールド電線1bの端部にシールド電線用コネクタ1aが設けられたものである。
【0014】
シールド電線用コネクタ1aは、二端子のストレートコネクタであり、二連筒状で樹脂製のハウジング11に2本のシールド電線1bが挿通され、各シールド電線1bの端部にコネクタ端子12が接続された構造を有している。ここで、シールド電線用コネクタ1aから延出してワイヤーハーネス1を構成するシールド電線1bは、
図2に示すように、編組1b-3で電磁的にシールドされた電線である。このシールド電線1bは、芯線1b-1が第一被覆1b-2で覆われ、第一被覆1b-2がシールド用の編組1b-3で覆われ、この編組1b-3が第二被覆1b-4で覆われたものとなっている。各シールド電線1bの端部は、ハウジング11を抜けた先で芯線1b-1が露出されてコネクタ端子12が圧着接続される。また、コネクタ端子12からハウジング11の方に若干離れた位置で編組1b-3が露出されるともに外側に折り返されている。そして、その折返し部分1b-5が、編組1b-3を接続対象側のグラウンドである金属パネルに接地するためのシールド端子13に接続されている。
【0015】
このシールド電線用コネクタ1aは、ここまでに概要を説明したハウジング11、コネクタ端子12、及びシールド端子13の他に、以下の部材を備えている。即ち、シールド電線用コネクタ1aは、フロントホルダ141、リアホルダ142、サポート部材15、第一パッキン161(シール部材)、第二パッキン162、シールドリング17、保護材18、及びシールドスリーブ19を備えている。以下、これらの部材について、
図3~
図5も参照しながら説明を行う。
【0016】
図3は、
図1に示されているシールド電線用コネクタを、
図1中の矢印V11方向から見た平面図であり、
図4は、
図3に示されているシールド電線用コネクタにおける、
図3中のV12-V12線に沿った断面を示す断面図である。また、
図5は、
図4に示されている断面における、
図4中のエリアA11の拡大図である。尚、
図4及び
図5には、本実施形態のシールド電線用コネクタ1aの接続対象Mと、この接続対象Mを構成するとともにシールド電線用コネクタ1aが固定される金属パネルM1と、の断面が示されている。
【0017】
ハウジング11は、上述したようにシールド電線1bが内部に挿通される二連筒状の樹脂部材である。そして、ハウジング11は、接続対象Mの金属パネルM1に設けられた貫通孔M11と一端開口111aとが連通し、当該一端開口111aから延出したシールド電線1bの一端部が貫通孔M11を通過するように接続対象Mに固定される。また、ハウジング11は、一対の筒状の本体部111と、各本体部111におけるコネクタ端子12の設置側の端部に亘って形成され、当該端部から外側に向かって広がる正面視略長方形状のフランジ112と、を備えている。また、各本体部111の内側には、シールド電線1bがそれぞれ挿通している。即ち、ハウジング11には、2本のシールド電線1bが挿通している。フランジ112は、接続対象Mの金属パネルM1に面着固定される部分である。フランジ112には、一対の本体部111における一端開口111aが開口しており、各一端開口111aから延出したシールド電線1bの端部にコネクタ端子12が固定されている。また、フランジ112の正面視対角位置には、一対の取付孔112aが板厚方向に貫通形成されている。取付孔112aには、不図示のボルトが挿通するようになっており、このボルトによってフランジ112が金属パネルM1に固定されることで、シールド電線用コネクタ1aが接続対象Mに接続される。
【0018】
コネクタ端子12は、接続対象Mの内部における端子部分と接続される端子金具であり、平板状の接続部121と、接続部121におけるハウジング11側の端部に設けられた圧着部122と、を備えている。接続部121は、端子部分にボルト締結により接続される部分である。圧着部122は、露出状態の芯線1b-1を抱持した状態で圧着される部位である。
【0019】
シールド端子13は、シールド電線1bに外装される金属筒であり、一端側の編組接続部131が編組1b-3の折返し部分1b-5に外装されて後述のように加締め接続される。そして、シールド端子13の他端側が外側に折り返されて拡径方向D11に付勢力を発する板バネ132となっており、この板バネ132が金属パネルM1の貫通孔M11の内面を押圧するように接触して編組1b-3を金属パネルM1に接地する。
【0020】
フロントホルダ141は、樹脂製の筒部材である。フロントホルダ141は、シールド電線1bにおけるコネクタ端子12の接続側をフロント側、当該フロント側とは反対側をリア側としたとき、ハウジング11におけるフロント側で金属パネルM1の貫通孔M11とシールド電線1bとの間を閉塞する。フロントホルダ141は、貫通孔M11における接続対象Mの内側出口を塞ぐ大径部141aと、シールド端子13における板バネ132の内側とシールド電線1bの間に差し込まれる小径部141bと、を有している。小径部141bは、貫通孔M11の内面に対する板バネ132の押圧を貫通孔M11の中心軸G11側から支持する。
【0021】
リアホルダ142は、樹脂製の筒部材であり、ハウジング11の本体部111におけるリア側の開口とシールド電線1bとの間を閉塞する部材である。
【0022】
サポート部材15は、板バネ132にコネクタ端子12とは反対側で隣接するようにシールド端子13に外装される樹脂リングである。このサポート部材15は、軸方向D12について、フロントホルダ141の大径部141aとの間に板バネ132を挟むとともに、この板バネ132と後述の第一パッキン161との間に挟まれるように配置される。また、径方向D13について、サポート部材15は、フロントホルダ141の小径部141bとの間にシールド端子13を挟むように配置されている。そして、サポート部材15は、外周縁15aが貫通孔M11の内面に接するように貫通孔M11の内側に配置されることで、金属パネルM11の貫通孔M111の中心軸G11に対するシールド端子13の中心軸G12の軸ずれを抑制する。
【0023】
また、本実施形態では、サポート部材15は、シールド端子13における板バネ132の折返しの内側に差し入れられる筒状部分151と、当該筒状部分151における板バネ132とは反対側の開口縁から張り出したフランジ部分152と、を有する。これらの部分を有することで、サポート部材15は、軸方向D12の断面がL字形状の部材となっており、フランジ部分152の外周縁15aで貫通孔M11の内面に接する。また、サポート部材15は、フランジ部分152が、第一パッキン161における板バネ132側の端部161aと対面するように配置される。
【0024】
また、本実施形態では、フロントホルダ141の大径部141aがシールド端子13の板バネ132をサポート部材15との間に挟むように配置されている。そして、このフロントホルダ141の大径部141aの外周面がサポート部材15の外周縁15aとともに貫通孔M11の内面に接することで、金属パネルM11の貫通孔M111の中心軸G11に対するシールド端子13の中心軸G12の軸ずれの抑制に寄与する。
【0025】
第一パッキン161は、ハウジング11における本体部111の内面から貫通孔M11の内面にかけて、本体部111及び貫通孔M11の挿通物との間をシールするように弾性樹脂で筒状に形成されたシール部材である。このとき、第一パッキン161は、貫通孔M11の内面と板バネ132との接触部分を避けつつシールを行う。
【0026】
第二パッキン162は、ハウジング11における本体部111のリア側で、第一パッキン161とともに本体部111の内面とシールド電線1bとの間をシールするように弾性樹脂で筒状に形成されたシール部材である。この第二パッキン162は、後述のシールドスリーブ19を第一パッキン161との間に挟みつつシールを行う。リア側では、第一パッキン161は本体部111の内面とシールドスリーブ19との間をシールし、第二パッキン162はシールドスリーブ19の内面とシールド電線1bとの間をシールする。
【0027】
シールドリング17は、編組1b-3の折返し部1b-5にシールド端子13における板バネ132以外の筒部分である編組接続部131を加締め接続するための金属製の筒部材である。ここで、シールドリング17による加締め部では、編組1b-3の折返し部1b-5と第二被覆1b-4との間にシールドスリーブ19における編組接続部191が差し入れられている。シールドリング17は、シールドスリーブ19の編組接続部191、編組1b-3の折返し部1b-5、及びシールド端子13の編組接続部131、の積層部の上から外装され、縮径されて加締められている。
【0028】
保護材18は、樹脂で筒状に形成され、第一パッキン161と、シールドリング17による加締め部分との間に介装されて、金属の積層物である加締め部分から第一パッキン161を保護するチューブ部材である。
【0029】
シールドスリーブ19は、本体部111のリア側に挿入される金属製の筒部材である。このシールドスリーブ19は、上述したようにシールド端子13の編組接続部131とともにシールドリング17によって編組1b-3の折返し部1b-5に加締め接続される編組接続部191を有する。また、シールドスリーブ19は、編組接続部191よりも大径で内側に第二パッキン162が嵌め込まれるパッキン保持部192と、更に大径でリアホルダ142を保持するホルダ保持部193と、を有している。
【0030】
以上に説明したシールド電線用コネクタ1a及びワイヤーハーネス1によれば、シールド端子13の板バネ132に隣接するように樹脂リング製のサポート部材15が外装されている。そして、接続対象Mの金属パネルM1における電線挿通用の貫通孔M11の内面にサポート部材15の外周縁15aが接することによって、貫通孔M11の中心軸G11に対するシールド端子13の中心軸G12の軸ずれが抑制される。上記のシールド電線用コネクタ1aによれば、このような軸ずれの抑制により、貫通孔M11の内面に対するシールド端子13の周方向の接触圧の不均一さを抑制することができる。
【0031】
ここで、本実施形態では、サポート部材15が、板バネ132の折返しの内側に差し入れられる筒状部分151とフランジ部分152とを有する、軸方向D12の断面がL字形状の部材となっている。そして、サポート部材15は、フランジ部分152の外周縁15aで貫通孔M11の内面に接する。この構成によれば、フランジ部分152の外周縁15aで貫通孔M11の内面に接することで、両者間の接触面積が抑えられるので、貫通孔M11の内面とサポート部材15との間のクリアランスを詰めやすくすることができる。
【0032】
また、本実施形態では、サポート部材15のフランジ部分152が第一パッキン161の端部161aと対面するようにサポート部材15が配置される。この構成によれば、第一パッキン161の端部161aとサポート部材15の軸方向D12の接触がフランジ部分152による面接触となるので、サポート部材15について軸方向D12の動きを規制しやすくすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、シールド端子13の編組接続部131が、編組1b-3の折返し部分1b-5にシールドリング17を介して加締め接続されている。この構成によれば、シールド電線1bの編組1b-3に対し、加締め接続によってシールド端子13を電気的にも機械的にも強固に接続することができる。
【0034】
また、本実施形態では、第一パッキン161とシールドリング17を介した加締め部分との間には、樹脂で筒状に形成された保護材18が加締め部分から第一パッキン161を保護するように介装されている。この構成によれば、保護材18によって加締め部分から第一パッキン161が効果的に保護されるので、部品寿命を延ばすことができる。
【0035】
また、本実施形態では、フロントホルダ141においてシールド端子13の板バネ132をサポート部材15との間に挟む大径部141aの外周面がサポート部材15の外周縁15aとともに貫通孔M11の内面に接することで軸ずれの抑制に寄与する。この構成によれば、フロントホルダ141によって、貫通孔M11の中心軸G11に対するシールド端子13の中心軸G12の軸ずれが更に抑制され、貫通孔M11の内面に対するシールド端子13の周方向の接触圧の不均一さを一層抑制することができる。
【0036】
尚、以上に説明した実施形態はシールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスの代表的な形態を示したに過ぎない。シールド電線用コネクタ及びワイヤーハーネスは、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、ワイヤーハーネスの一例として、自動車等に配索されるワイヤーハーネス1が例示されているが、ワイヤーハーネスはこれに限るものではなく、その具体的な配策場所を問うものではない。
【0038】
また、上述した実施形態では、シールド電線用コネクタの一例として、二端子のストレートコネクタであるシールド電線用コネクタ1aが例示されている。しかしながら、シールド電線用コネクタはこれに限るものではなく、具体的な端子数等を問うものではない。
【0039】
また、上述した実施形態では、サポート部材の一例として、フランジ部分152の外周縁15aで貫通孔M11の内面に接するサポート部材15が例示されている。しかしながら、サポート部材は、これに限るものではなく、貫通孔の内面に接することで軸ずれを抑制可能な部材であれば、その具体的な形状や貫通孔の内面への接触形態等を問うものではない。ただし、フランジ部分152の外周縁15aで貫通孔M11の内面に接するサポート部材15によれば、貫通孔M11の内面とサポート部材15との間のクリアランスを詰めやすくすることができる点は上述した通りである。
【0040】
また、本実施形態では、サポート部材の一例として、フランジ部分152が第一パッキン161の端部161aと対面するように配置されるサポート部材15が例示されている。しかしながら、サポート部材は、これに限るものではなく、電線周りのシール部材との相対的な位置関係等は適宜に設定可能である。ただし、フランジ部分152が第一パッキン161の端部161aと対面するサポート部材15によれば、サポート部材15について軸方向D12の動きを規制しやすくすることができる点は上述した通りである。
【0041】
また、本実施形態では、シールド端子の一例として、編組1b-3の折返し部分1b-5にシールドリング17を介して加締め接続されるシールド端子13が例示されている。しかしながら、シールド端子は、これに限るものではなく、編組との具体的な接続形態については任意の形態を採用可能である。ただし、編組1b-3の折返し部分1b-5にシールドリング17を介して加締め接続されるシールド端子13によれば、編組1b-3にシールド端子13を強固に接続することができる点は上述した通りである。
【0042】
また、本実施形態では、シールド電線用コネクタの一例として、第一パッキン161と加締め部分との間に保護材18が介装されて第一パッキン161が加締め部分から保護されたシールド電線用コネクタ1aが例示されている。しかしながら、シールド電線用コネクタは、これに限るものではなく、加締め部分とシール部材との間に如何なる保護材も設けないこととしてもよい。ただし、加締め部分と第一パッキン161との間に保護材18を設けることで、部品寿命を延ばすことができる点は上述した通りである。
【0043】
また、本実施形態では、シールド電線用コネクタの一例として、シールド端子13の板バネ132に隣接するフロントホルダ141の一部が軸ずれの抑制に寄与するシールド電線用コネクタ1aが例示されている。しかしながら、シールド電線用コネクタは、これに限るものではなく、金属パネルにおける貫通孔の内面からフロントホルダが離れており、軸ずれの抑制には寄与しないこととしてもよい。ただし、フロントホルダ141の一部が軸ずれの抑制に寄与することで、貫通孔M11の内面に対するシールド端子13の周方向の接触圧の不均一さを一層抑制することができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0044】
1 ワイヤーハーネス
1a シールド電線用コネクタ
1b シールド電線
1b-1 芯線
1b-2 第一被覆
1b-3 編組
1b-4 第二被覆
1b-5 折返し部分
11 ハウジング
12 コネクタ端子
13 シールド端子
15 サポート部材
15a 外周縁
17 シールドリング
18 保護材
19 シールドスリーブ
111 本体部
111a 一端開口
121 接続部
122 圧着部
131,191 編組接続部
132 板バネ
141 フロントホルダ
141a 大径部
141b 小径部
142 リアホルダ
151 筒状部分
152 フランジ部分
161 第一パッキン(シール部材)
161a 端部
162 第二パッキン
192 パッキン保持部
193 ホルダ保持部
D11 拡径方向
D12 軸方向
D13 径方向
G11,G12 中心軸
M 接続対象
M1 金属パネル
M11 貫通孔