(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】クリーンルームの空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240805BHJP
F24F 3/167 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F3/167
(21)【出願番号】P 2023054835
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2024-01-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 康博
(72)【発明者】
【氏名】玖野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢知
(72)【発明者】
【氏名】土屋 茂樹
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-019129(JP,U)
【文献】特開2020-183821(JP,A)
【文献】特開平10-267338(JP,A)
【文献】特開2004-085110(JP,A)
【文献】特開2006-017450(JP,A)
【文献】特開昭58-129125(JP,A)
【文献】特開昭58-127033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0210336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 3/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱負荷を周囲空気に与えつつ自身の温度を所定の範囲に保つ必要がある装置を内部に設置する対象空間と、
上げ床として構成された床と、
前記床の上方に設けられ、対象空間と区画され、前記装置よりも上レベルに空間を形成する調整部と、
前記調整部の下面に設けられ
ると共に平面視で線状に配列され、前記床に向かって空気を下向きに送り出すファンフィルタユニットと、
前記調整部の側面または上面に設けられ、ファンフィルタユニットの稼働により空気を流通されて該空気を温調するドライコイルと、
床下の空間と前記調整部内の空間を接続するレタンシャフトと、
前記床に設けられ、対象空間と床下の空間を連通する還気口と
を備え、
前記調整部は、前記レタンシャフトが接続される接続口に加え、対象空間と連通して該対象空間内の空気を前記調整部内に取り込む連通口を備え、
前記ファンフィルタユニットから前記床に向かって送り出された空気の流れは、前記床に沿って前記ファンフィルタユニットの配列方向と直交する目的の向きに誘導されるよう構成され、
前記ファンフィルタユニットから見て、平面視で空気の誘導される目的の向きに当たる位置には前記還気口が位置すること
を特徴とするクリーンルームの空調システム。
【請求項2】
前記ファンフィルタユニットから前記床に向かって送り出され、前記床に沿って誘導される空気の流れは、別のファンフィルタユニットから送り出される空気の流れまたは壁により水平方向の向きを遮られることで目的の向きに誘導されるよう構成されていること
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【請求項3】
前記調整部は、水平方向に沿った向きに伸びるダクト状の構造物として構成されていること
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【請求項4】
前記調整部の下面には、前記ファンフィルタユニットの吹出口近傍から下方に伸びる垂れ壁が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載のクリーンルームの空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームの空調システムに関する。さらには、階高が低い建屋において適用しやすい工業用クリーンルームの空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図7はクリーンルームにおける空調システムの一例を示している。対象空間Sはボールルーム方式の工業用クリーンルームとして構成されており、天井1には複数のファンフィルタユニット2が設置されている。ファンフィルタユニット2は、天井1の上方の空気をファンにより筐体内に吸い込んで筐体下方全面を覆うフィルタに吹き付け、該フィルタを通って浄化された空気を室内空気A1として下方の対象空間Sへ送り出すようになっている。
【0003】
対象空間Sの床3は、パンチングパネルやグレーチング等を素材とする上げ床として構成されている。ファンフィルタユニット2から対象空間Sに室内空気A1として送り込まれた空気は、床3の開孔を通って還気A2として床下の空間に抜け、床下と天井裏を連通するレタンシャフト4を通って天井裏の空間へ送られ、再度ファンフィルタユニット2から室内空気A1として対象空間Sに供給される。
【0004】
工業用クリーンルームである対象空間Sでは生産装置等の機器(装置)5が稼働しており、室内空気A1は、機器5の排熱を受け取り昇温した状態で、還気A2として床下へ抜ける。昇温した還気A2は、床下から天井裏へ戻って再度ファンフィルタユニット2から送り出されるまでの間に、機器5の稼働に適した温度まで冷却される必要がある。ここに示した例では、レタンシャフト4の入口付近にドライコイルである冷却ユニット6を備え、対象空間Sの床3を抜けた後の還気A2を冷却するようになっている。
【0005】
こうして、
図7に示す空調システムでは、対象空間Sにおいては清浄な空気をファンフィルタユニット2から供給しつつ、対象空間Sを含む設備全体で空気を循環させるようになっている。このような空気の循環において、ファンフィルタユニット2は対象空間Sに対し空気を概ね下向きに送り出すようになっているが、天井1にはファンフィルタユニット2はまばらに設置されていて、これによって形成される気流は一方向の押し出し流ではなく、室内で生じた塵埃を清浄空気により希釈混合するような非一方向の気流である。
【0006】
尚、ここに示した例は模式化した図であって、実際の工業用クリーンルームには、図示されている以外に、例えば外調機や循環経路内ファン付き加湿器といった設備がさらに設けられることが通常であるが、ここでは図示を省略している。
【0007】
この種のクリーンルームの空調システムに関連する、古いトンネル式クリーンルームの例としての先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。トンネル式クリーンルームはボールルーム方式よりも清浄度は高いが、構成としては似ており、例示として示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の如き従来のボールルーム方式クリーンルームでは、空気の循環のためあるいはドライコイルへの風路確保等のため、対象空間Sの周囲に、該対象空間Sから区画されたレタンシャフト空間が必要である。また、そのレタンシャフトで持ち上げた空気を、ファンフィルタユニット2のファンにて吹き降ろすために、多数のファンフィルタユニット2の設置面である天井1の上方(天井裏)には、ファンフィルタユニット2への空気の流れを確保し、且つファンフィルタユニット2のメンテナンスのためのキャットウオークの空間確保を可能とするため、ある程度の平面積と高さを有する空間を設けなくてはならない。
【0010】
また、対象空間Sに上述の如きファンフィルタユニット2を用いてまばらに設置し非一方向の気流を広く供給するためには、ファンフィルタユニット2の設置面として広い面積の天井1をフィルタの載置に最適なセル天井、つまりシステム天井として構築する必要がある。結局まばらに設置としてもパネル天井の一部にファンフィルタユニット2を設置するとしても一定の間隔で配置するためにかえって設備コストが上がるため、全面セル設置してブランクパネルでふさぐことを通常行う。
【0011】
さらに、工業用クリーンルームの場合、対象空間Sの通路や府室との境界間仕切りにバランサダンパ(図示せず)を設置し、図示しない外調機により大気圧に対し僅かに正圧になるように対象空間Sに供給することで、バランサダンパの抵抗分の正圧が形成されるようになっている。このわずかな正圧の対象空間Sから、ファンフィルタユニット2のファン吸引により循環される空気が流れ、風路各部位の圧力損失によりファン吸込み位置になる天井裏では、ファンフィルタユニット2の稼働に伴い陰圧が生じる。これにより、天井裏の空間と大気圧である外部との負の圧力差が生じる。このため、天井裏の空間に外部から塵埃が侵入することを防ぐような、コストをかけたシーリングや頑丈なパネルによる耐圧仕組みが躯体側に必要となる。このように、広い天井や天井裏の空間の設置が、対象空間Sをクリーンルームとして構築するための費用が増大する要因となっていた。
【0012】
また、特に今回の作用効果をもたらす、対象とする建屋の天井が低いなどの空間的な制約により、そもそも広い面積のセル天井やパネル天井を設置することが難しい場合の対応策が望まれていた。
【0013】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ファンフィルタユニットの設置面に要する面積を小さくし、対象空間の他の面積では直天井にしつつ、対象空間においては十分な清浄度を保ち得るクリーンルームの空調システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、熱負荷を周囲空気に与えつつ自身の温度を所定の範囲に保つ必要がある装置を内部に設置する対象空間と、上げ床として構成された床と、前記床の上方に設けられ、対象空間と区画され、前記装置よりも上レベルに空間を形成する調整部と、前記調整部の下面に設けられると共に平面視で線状に配列され、前記床に向かって空気を下向きに送り出すファンフィルタユニットと、前記調整部の側面または上面に設けられ、ファンフィルタユニットの稼働により空気を流通されて該空気を温調するドライコイルと、床下の空間と前記調整部内の空間を接続するレタンシャフトと、前記床に設けられ、対象空間と床下の空間を連通する還気口とを備え、前記調整部は、前記レタンシャフトが接続される接続口に加え、対象空間と連通して該対象空間内の空気を前記調整部内に取り込む連通口を備え、前記ファンフィルタユニットから前記床に向かって送り出された空気の流れは、前記床に沿って前記ファンフィルタユニットの配列方向と直交する目的の向きに誘導されるよう構成され、前記ファンフィルタユニットから見て、平面視で空気の誘導される目的の向きに当たる位置には前記還気口が位置することを特徴とするクリーンルームの空調システムにかかるものである。
【0015】
本発明のクリーンルームの空調システムは、前記ファンフィルタユニットから前記床に向かって送り出され、前記床に沿って誘導される空気の流れが、別のファンフィルタユニットから送り出される空気の流れまたは壁により水平方向の向きを遮られることで目的の向きに誘導されるよう構成することができる。
【0017】
本発明のクリーンルームの空調システムにおいて、前記調整部は、水平方向に沿った向きに伸びるダクト状の構造物として構成してもよい。
【0018】
本発明のクリーンルームの空調システムにおいて、前記調整部の下面には、前記ファンフィルタユニットの吹出口近傍から下方に伸びる垂れ壁を設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクリーンルームの空調システムによれば、ファンフィルタユニットの設置面に要する面積を小さくしつつ、対象空間においては十分な清浄度を保ち得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の一例(第一実施例)を示す概略立面図である。
【
図2】
図1の空調システムの概略平断面図であり、
図1のII-II矢視相当図である。
【
図4】調整部の形態の別の一例を示す概略平断面図である。
【
図5】本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の別の一例(第二実施例)を示す概略立面図である。
【
図6】
図5の空調システムの概略平面図であり、
図5のVI-VI矢視相当図である。
【
図7】従来のクリーンルームの空調システムの一例を示す概略立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1、
図2は本発明の実施によるクリーンルームの空調システムの形態の一例(第一実施例)を示しており、図中、
図7と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0023】
本第一実施例においては、対象空間Sのうち壁際の領域にレタンシャフト4が設けられており、このレタンシャフト4に接続する形で、ファンフィルタユニット2を備えた調整部8が設置されている。
【0024】
調整部8は、対象空間Sと区画された空間を内部に形成し、対象空間Sの上部にある空気や、レタンシャフト4内の空気を還気A2として吸い込み、ドライコイル(冷却ユニット6)にて冷水など冷熱媒と間接熱交換して温度を調整し、ファンフィルタユニット2から清浄な室内空気A1として送り出す機能を担う部分である。すなわち調整部8は、機能上、
図7に示す従来例における天井裏とレタンシャフト4とを合わせた空間に概ね相当する。調整部8は、対象空間Sの上部にある昇温し上昇する空気を還気A2として吸い込む関係で、対象空間Sの直天井10よりも調整部の天端が下がっていることが、レタンシャフト4の吸い込み位置とドライコイルの位置から好適である。
【0025】
本第一実施例において調整部8は、床13の上方の壁際に設けられたダクト状の構造物であり、平面視において対象空間Sの互いに向かい合う二辺をなす壁7,7に沿ってそれぞれ1列計2列が設けられている。ダクト状の調整部8は、
図3に示す如く、上面8aと下面8b、前面8cと背面8dの4側面を備えて水平方向に沿った向きに伸びている。これらの4側面のうち、背面8dは壁7と対向する面であり、前面8cはその反対側の面である。
【0026】
調整部8の背面8dには、接続口8eおよび連通口8fが設けられている。接続口8eには、床13から伸びるレタンシャフト4の出口側が接続され、該レタンシャフト4によって床下の空間と調整部8内の空間が接続されている。連通口8fは対象空間Sに開口しており、ここで調整部8の内部空間は対象空間Sと直接連通している。接続口8eおよび連通口8fには、ドライコイルである冷却ユニット6が設置されている。ここで、接続口8eと連通口8fは、それぞれにドライコイルを設ける関係で、ドライコイルへの冷熱媒配管の取り回しがよくなるよう、所定の間隔で並んでいることが都合がよい。
【0027】
調整部8の下面8bには、ファンフィルタユニット2が等間隔で配列している。ファンフィルタユニット2は、筐体にファンとHEPAフィルタを備えたファン・フィルタ・ユニット(FFU)等と称される装置であり、調整部8内の空気をファンにより筐体内に吸い込んで筐体下方全面を覆うフィルタに吹き付け、浄化された空気を室内空気A1として下方の対象空間Sへ下向きに送り出すようになっている。出願人自身の従来発明例としての特開2019-090547号では、下がり天井として構成された天井1をファンフィルタユニット2の設置面としていたが、本第一実施例では、調整部8の下面8bをファンフィルタユニット2の設置面として構成し、ファンフィルタユニット2の設置面の面積を壁際の領域に限定している。
【0028】
また、調整部8の前面8cの下方には、下面8bの縁(前面8cとの境界部)から下方へ伸びるように垂れ壁9が設けられ、後述するようにファンフィルタユニット2から吹き出す風の向きを整えるようになっている。
【0029】
尚、本明細書では空気の流れ等に関し、「下向き」や「横向き」といった表現を用いるが、これらは鉛直方向や水平方向と正確に一致する向きのみを指すのではなく、通常の感覚において、あるいは本発明のような空調システムにおいて、一般的に「下向き」「横向き」と考えて差し支えない範囲の向きを指す。また、「床に沿って」といった表現も、その向きが床のなす面と正確に一致することのみを指すのではなく、床のなす面に概ね沿っている、程度の意味である。「直交する」という表現も同様で、ある向きと別の向きが正確に直角をなすことのみを意味せず、実用上、「直交」と表して差し支えない程度の角度をなしていることを指す。
【0030】
調整部8は、例えば天井10から吊られる形で、壁7近傍の適当な高さに設置される。尚、天井10は、上階または屋根のスラブ下とする直天井構造とし、ここに防塵塗装等の防塵対策を施すようにしてもよいし、あるいはパネル天井として構成し、コンクリート打設面を隠して防塵対策とすることもできる。特に鉄骨造の建屋では、床下面が鋼板として構成されている場合があるが、この場合、上階の床下面に隙間処理などの防塵対策を施し、直天井として天井10を構成してもよい。このようにすることで、天井10の内装材に係るコストを節減することができる。
【0031】
調整部8を設ける領域の設定、およびファンフィルタユニット2の配置について説明する。本第一実施例において、調整部8は
図2に示す如く、平面視で全体として略方形をなす部屋の両端にあたる壁7に沿うように、細長くそれぞれの壁7に1列ずつ2列がダクト状に設けられている。この調整部8の下面8bに、ファンフィルタユニット2が長手方向に沿ってそれぞれに間隔をおきながらも線状に1列ずつ、計2列設けられている。ファンフィルタユニット2から見ると、平面視において複数のファンフィルタユニット2が配列する向きと直交する向きに関し、一側に壁7、レタンシャフト4および背面8dが位置し、該背面8dに接続口8eと連通口8fおよびドライコイルが位置し、他側には前面8cおよび垂れ壁9が位置している。
【0032】
尚、ここに示した調整部8の構成はあくまで一例であって、調整部8の形態や、調整部8に備えた設備機器類の種類、形態等はこれに限定されない。例えばドライコイルに関し、ここでは背面8dの接続口8eや連通口8fに配置した場合を図示したが、調整部8の内部空間の適当な位置に配置してもよい。また、連通口8fの位置は、例えば前面8cや上面8aとしてもよい。また、必要に応じ、加湿器(図示せず)を備えて湿度を調整するようにしてもよい。
【0033】
また、
図2、
図3では水平方向に沿ってダクト状に伸びる調整部8にファンフィルタユニット2を配置した場合を例示したが、例えば
図4に示す如く、レタンシャフト4毎に、ファンフィルタユニット2を備えた調整部8を個別に設けるといった構成も可能である。目的の方向に対し直交する向きにファンフィルタユニット2が配列するよう、調整部8を設置すれば、後述する空気の誘導には足りる。
【0034】
対象空間の床13は、上げ床となっているが、
図7に示した上記従来例における床3とは異なり、全体がパンチングパネルやグレーチングとして構成されてはいない。本第一実施例における床13は、還気口14を除き、原則として全面が閉塞された構造である。
【0035】
平面視において、対象空間Sの両側に設けられた調整部8同士の間の中央に当たる位置には、床13に還気口14が設けられている。還気口14は、例えば床13の一部に設けられたパンチングパネルやグレーチングとして構成されており、対象空間Sは、この還気口14において床下の空間と連通している。還気口14の位置は、調整部8に設置されたファンフィルタユニット2から見ると、平面視で壁7の反対側にあたる。
【0036】
床13の上面には、生産装置等の機器5が配置され、稼働する。機器5は、例えば半導体集積回路を形成する母材のウエハや、フラットパネルディスプレイの基板、あるいはそれらの物品を収納する容器等の物体を加工する生産装置である。
【0037】
図1に示す如く、ファンフィルタユニット2からは清浄な空気が対象空間Sの床13に向かって下向きに室内空気A1として送り込まれる。下向きの室内空気A1は、床13に衝突し、該床13の表面に沿って流れの向きを変えるが、本第一実施例の場合、ファンフィルタユニット2から送り出された室内空気A1にとって水平4方向のうち1方向には壁7が位置し、別の2方向には、隣接する別のファンフィルタユニット2から送り出される下向きの室内空気A1の流れが存在する。ファンフィルタユニット2から下向きに送り出され、床13に沿って向きを変えられる室内空気A1の大部分は、3方向をそれらに遮られ、目的の向きである残りの1方向へ誘導されることになる(尚、複数台が線状に配列したファンフィルタユニット2のうち、両端に位置するファンフィルタユニット2から送り出される室内空気A1に関しては、2方向に壁7が位置し、1方向に隣接するファンフィルタユニット2から送り出される室内空気A1の流れが存在するので、結果、同様に残りの1方向へ流れることになる)。下向きの室内空気A1は、床13に衝突し、該床13の表面に沿って流れが形成され方向が定まると、流れの方向に機器5などの障害物がなければ、床表面を沿って流れる気流は、コアンダ効果により床表面を剥がれることなく流れていくこととなる。ここで、「目的の向き」とは、ファンフィルタユニット2から見て室内空気A1を供給したい領域のある方向であり、本第一実施例の如きクリーンルームの場合、機器5の配置されている領域のある方向である。図面に即して述べれば、図中左列に配置されているファンフィルタユニット2にとっては右、右列に配置されているファンフィルタユニット2にとっては左である。平面視でファンフィルタユニット2から見て目的の向きにあたる位置には、床13に還気口14が設けられている。
【0038】
こうして向きを変えた室内空気A1は、機器5の配置された対象空間Sの中央部に向かって進む。このとき、室内空気A1の主流は機器5の間隔の床表面をコアンダ効果によって剥がれず、床13の上面を這うように進みつつ、機器5からの排熱を受け取る。これによって、特に機器5に衝突して這う速度を遅くして排熱をより多く受け取り温度が上昇した一部の室内空気A1は、温度差によって生じる密度差により上方へ移動していく。このようにコアンダ効果により床面を這う気流と機器5との衝突により昇温した気流とにより、室全体では遅い気流速によりかき乱されず、床13の上には高い位置ほど温度が高く、低い位置ほど温度が低い温度成層が形成される。
【0039】
本第一実施例では、平面視における部屋の両側の壁7に沿って調整部8とその中にファンフィルタユニット2が設けられており、これら両側のファンフィルタユニット2の各々について、上述の如き空気の動きが生じる。床13に沿った室内空気A1の流れは、対象空間Sの両側の壁7に沿った位置から、壁7と反対側(ファンフィルタユニット2から見て還気口14が位置する向き)に流れるので、床13から見れば、対象空間Sの両端から中央に向かう室内空気A1の流れが形成されることになる。
【0040】
対象空間Sの両端から床13に沿って流れる室内空気A1の主流の一部は、機器5の排熱を受け取りながら床13に沿って進んだ後、中央部に設けられた還気口14から、床下の空間に還気A2として吸い込まれる。床下の還気A2は、壁7の近傍に設けられたレタンシャフト4を通り、接続口8eから調整部8内に戻る。この際、接続口8eに設けられたドライコイルにより、還気A2は適当な温度に冷却され、その上で、ファンフィルタユニット2から室内空気A1として対象空間Sに供給される。
【0041】
また、床13に沿って流れる室内空気A1の主流の別の一部は、中央部の床13上において互いに衝突し、それぞれの気流の動圧を静圧再取得しさらに向きを変えた動圧変換を行い、ここで上昇に転じる。上昇気流はこの方向転換にて、成層空調の層を乱さずに上昇する。床13より上方には、調整部8の連通口8fが設けられており、床13の上方にある昇温した室内空気の一部は、還気A2として連通口8fから調整部8内に取り込まれる。この際、連通口8fに設けられたドライコイル6により、還気A2は適当な温度に冷却され、その上で、ファンフィルタユニット2から室内空気A1として対象空間Sに供給される。
【0042】
また、ファンフィルタユニット2から下向きに送り出された室内空気A1の別の一部は、床13に衝突したり、機器5から排熱を受け取ることにより、床13に沿った向きをさほど移動しないうちに上昇し、調整部8の連通口8fから吸い込まれる。ここで、調整部8には、上述の通り前面8cの下方にあたる位置に垂れ壁9が設けられている。仮に垂れ壁9が備えられていないと、この空気の流れにファンフィルタユニット2から送り出される室内空気A1の一部が誘引され、ファンフィルタユニット2から送り出されて間もなく調整部8に再び取り込まれるショートサーキットが生じてしまう。このようなショートサーキットは、目的の領域(この場合は機器5の位置する周辺)に適当な状態の空気を供給するという観点からは無駄な動きであり、エネルギー的に非効率である。
【0043】
そこで、ファンフィルタユニット2の吹出口近傍(本第一実施例では、調整部8の前面8cの下方にあたる位置)に垂れ壁9が設けられていると、ファンフィルタユニット2から下向きに送り出される空気の流れが、平面視における調整部8の近傍の領域を上昇する空気の流れと混合することが妨げられ、これによってショートサーキットの発生を抑止することができる。特に本第一実施例の場合、上述の如くファンフィルタユニット2から吹き出される室内空気A1から見て3方向は壁7および別の室内空気A1の流れによって遮られており、室内空気A1の流れは床13に沿って残りの1方向に誘導されるようになっているが、ここで垂れ壁9が平面視でファンフィルタユニット2の吹出口から見てその1方向(室内空気A1が誘導される向き)にあたる位置に設けられている。これにより、室内空気A1が誘導される向きにおいてショートサーキットが生じることを効率的に抑止することができる。
【0044】
こうして、本第一実施例の空調システムでは、
図1に示す如く、対象空間Sの端に設置されたファンフィルタユニット2から下方へ送り出された室内空気A1が床13の上面に沿って流れ、中央部に到達すると、一部は還気口14から床下に還気A2として取り込まれ、床下の空間からレタンシャフト4を通って調整部8に戻り、別の一部は互いに衝突して上昇した後、連通口8fから吸い込まれて還気A2として調整部8へ戻り、調整部8に戻った還気A2は、再びファンフィルタユニット2から室内空気A1として下方へ送り出される、という形の空気の循環が形成される。また、このような空気の循環において、床13の上面に沿って流れる室内空気A1の一部は、中央部に行き着く前に途中の機器5の排熱を受け取って昇温し、密度が小さくなって上昇し、中央部で衝突して上昇する気流と床13の上方で合流する。調整部8の内部空間には、ファンフィルタユニット2の作動によって陰圧が生じており、上述の如き空気の流れは、この圧力差によって駆動される。尚、レタンシャフト4内の還気A2や対象空間Sの上方にある室内空気A1を調整部8にバランスよく取り込むには、調整部8への吸込みにおいて生じる圧力損失を両者間で適度に調整するとよく、そのためには、接続口8e、連通口8fの面積や、接続口8e、連通口8fにそれぞれ設置される冷却コイル6の列数等を適宜調整するとよい。また、空気の循環を助けるため、図示しないファン等の送風機を適宜各所に備えてもよい。
【0045】
尚、ここに示した例は模式化した図であって、実際の工業用クリーンルームには、図示されている以外に、例えば外調機や加湿器、さらに生産物を搬送するためのレールや搬送車といった各種の設備が必要に応じて設けられることが通常であるが、そういった本発明の要旨と直接関係しない構成については、ここでは図示を適宜省略している。
【0046】
図1、
図2に示した上記第一実施例の如き空調システムは、まず空間の利用効率の点で
図7に示したような従来例と比較して有利である。
図7の従来例の場合、対象空間Sに広く希釈混合する非一方向気流とはいえおおむね下向き気流を供給するため、広い面積の天井1をセル天井やパネル天井、特にセル天井として構築し、そこにファンフィルタユニット2を配置していた。
図1、
図2に示す本第一実施例では、部屋の両側に調整部8を設け、ここにファンフィルタユニット2を設置すればよく、対象領域Sの上方全体を覆うような下がり天井は不要である。そして、調整部8を設けない領域では、天井10までの高さを利用できるので、
図7のような例と比較して、より多くの空間をクリーンルームとして利用でき、例えば高さのある装置や設備なども配置しやすい。また、既設の建屋を工業用クリーンルームとする場合も建屋の階高が低い場合でもクリーンルームを構築しやすい。また、大きな面積のセル天井の設置、天井搬送がないにもかかわらず下がり天井の設置にかかる費用も節減できる。陰圧の生じる空間も小さいので、躯体側に防塵のための処置を施す領域も最小限でよい。
【0047】
また本第一実施例では、温度成層を利用し、特に空調の必要な対象空間Sの床13に近い高さを効率的に冷却するので、空調の効率という観点においても有利である。
図7に示した従来例では、対象空間Sの全領域に対し、希釈混合する非一方向気流とはいえおおむね下向き気流で室内空気A1を供給するため、ファンフィルタユニット2の設置された天井1から下の全体を適当な温度に調整する必要があったが、本第一実施例の場合、冷却対象としての還気A2の一部は、機器5の配置された床13より上方の上天井10付近に形成される熱溜まりから回収された空気である。温度の高い空気を冷却対象とすることができるので、ドライコイルにおける冷熱媒の温度差を大きく取れたり、冷熱媒の往き温度を高く取れるので、冷凍サイクルを組む圧縮機、膨張弁、蒸発器や凝縮器などで構成される冷熱源における成績係数が大きくでき、熱交換の効率が高い。また、ドライコイルの列数を少なくできるので圧力損失が減り、空気側搬送エネルギーが小さくでき熱交換の効率が高い。
【0048】
さらに、室内空気A1は温度成層を形成し、昇温した空気が密度差によって調整部8の高さまで自動的に上昇することになるが、この動きが上述した空気の循環の一部を駆動するので、空気の搬送に係るエネルギーも節減できる。
【0049】
また、本第一実施例では、コアンダ効果を有効に利用することで、ファンフィルタユニット2から供給される空気を遠くまで到達させるようにもなっている。ファンフィルタユニット2から対象空間Sに供給される室内空気A1は、まず下方に送り出されて床13に衝突する。衝突した室内空気A1は、床13の上面に沿って向きを変更されるので、以後はコアンダ効果によってファンフィルタユニット2から離れた位置まで長く到達し、ファンフィルタユニット2の直下に位置する機器5以外にも清浄な空気を効率よく届けることができる。これにより、例えばクラス6前後の清浄度であれば十分に実現し得る。
【0050】
図5、
図6は、本発明の実施による空調システムの機器配置の別の一例(第二実施例)を示している。
図1、
図2に示した第一実施例では、ファンフィルタユニット2を配置した調整部8を、平面視で全体的に方形をなす部屋の互いに対向する壁7に沿って設け、部屋の両端から中央に向かって室内空気A1を送り出すようにしていたが、本第二実施例では、部屋の一辺をなす壁7に沿って調整部8を設け、そこに配置したファンフィルタユニット2から、調整部8の設置されていない反対側の壁7に向かって室内空気A1を送り出すようになっている。調整部8の反対側の壁7付近の床13には、還気口14が設けられている。
【0051】
このように調整部8とファンフィルタユニット2を配置した場合、ファンフィルタユニット2から下向きに送り出される室内空気A1は、床13と衝突し、
図1、
図2に示した第一実施例の場合と同様に、水平方向における1方向に位置する壁7と、2方向に位置する下向きの空気の流れの存在(または、2方向に位置する壁7と、1方向に位置する下向きの空気の流れの存在)により3方向を遮られ、目的の向きである残りの1方向(ファンフィルタユニット2から見て反対側の壁7が位置する向き)に誘導される。
【0052】
調整部8が配置されていない反対側の壁7付近の領域では、ファンフィルタユニット2側から送り出されて床13に沿って移動してきた室内空気A1の流れのうち、一部は壁7付近の床13に設けられた還気口14から床下に吸い込まれ、別の一部は壁7と衝突して上昇に転じる。また、床13に沿って目的の向きに移動する室内空気A1の一部は、途中に位置する機器5の排熱を受け取って上昇し、床13や壁7に沿って誘導された空気の流れと床13の上方で合流する。上昇した室内空気A1は、調整部8の連通口8fから再び調整部8内に吸い込まれる。こうして
図5に示す如く、第一実施例における空気の流れ(
図1参照)を概ね半分にした形と同じ空気の循環が形成され、第一実施例と同様にクリーンルームである対象空間Sが実現される。
【0053】
上記各実施例のような空気の循環は、ファンフィルタユニット2から送り出される室内空気A1の流れに対し、別の空気の流れや壁7をうまく配置してこれを誘導することで達成される。具体的には、まず室内空気A1を下向きに送り出すファンフィルタユニット2を線状に配列することにより、床13に対して吹き付けられて変更される室内空気A1の主流の向きを、ファンフィルタユニット2の配列する向きと直交する2方向に限定する。下向きの気流同士を隣接させることで、その後に流れる向きを互いに制限するのである。さらに、その2方向のうち1方向を壁7または別の気流(別のファンフィルタユニット2から送り出される下向き、あるいは横向き、上向きの気流)でさらに遮ることにより、室内空気A1の向きを目的の方向へ誘導する。
【0054】
そのようにして送り出された室内空気A1は、床13の上面に沿ってある程度の距離まで到達するが、そこで一部が床13に設けられた還気口14に吸い込まれ、別の一部は壁7または別の気流に衝突して上昇し、連通口8fから吸い込まれる。室内空気A1の到達する位置にも還気口14や壁7、別の気流を適宜配置することで、室内空気A1の流れが到達した先でも流れがうまく誘導され、還気口14や連通口8fから還気A2として好適に取り込まれ、これにより、
図1、
図5に示すような空気の循環が形成されるのである。ファンフィルタユニット2から室内空気A1を下向きに送り出して床13に衝突させ、コアンダ効果を利用して室内空気A1の流れを遠くまで到達させることが本発明の主要な特徴であるが、その際、下向きの室内空気A1の流れを単に床13に衝突させるだけでは流れは床13に沿って四方へ散逸してしまう。そこで、ファンフィルタユニット2や壁7、還気口14の配置を工夫することで室内空気A1の流れを誘導し、上述の如き循環を形成しているのである。これに加え、機器5の排熱による熱駆動効果も利用し、一定量の室内空気A1を遠くまで到達させるようになっている。
【0055】
このように、各実施例では、ファンフィルタユニット2や還気口14、壁7等をうまく配置することにより、簡単な構成で室内空気A1の流れを目的の向きに好適に誘導することができる。また、大面積のクリーンルームであっても、これらを適宜組み合わせることで清浄な適温の空気を対象空間の隅々まで供給することができる。尚、気流や壁7以外に、別の物体や構造物(例えば衝立状の物体など)を設けて室内空気A1の流れを誘導することも可能である。
【0056】
以上のように、上記各実施例のクリーンルームの空調システムは、熱負荷を周囲空気に与えつつ自身の温度を所定の範囲に保つ必要がある装置(機器)5を内部に設置する対象空間Sと、上げ床として構成された床13と、床13の上方に設けられ、対象空間Sと区画され、装置(機器)5よりも上レベルに空間を形成する調整部8と、調整部8の下面8bに設けられ、床13に向かって空気(室内空気)A1を下向きに送り出すファンフィルタユニット2と、調整部8の側面または上面に設けられ、ファンフィルタユニット2の稼働により空気を流通されて空気を温調するドライコイル(冷却ユニット6)と、床下の空間と調整部8内の空間を接続するレタンシャフト4と、床13に設けられ、対象空間Sと床下の空間を連通する還気口14とを備え、ファンフィルタユニット2から床13に向かって送り出された空気A1の流れは、床13に沿ってファンフィルタユニット2の配列方向と直交する目的の向きに誘導されるよう構成され、ファンフィルタユニット2から見て、平面視で空気A1の誘導される目的の向きに当たる位置には還気口14が位置している。このようにすれば、ファンフィルタユニット2の設置面の面積を調整部8の下面8bに限定しつつ、コアンダ効果と温度成層を利用し、ファンフィルタユニット2から送り出される空気A1を対象空間S内へ好適に供給することができる。
【0057】
各実施例のクリーンルームの空調システムは、ファンフィルタユニット2から床13に向かって送り出され、床13に沿って誘導される空気A1の流れが、別のファンフィルタユニット2から送り出される空気A1の流れまたは壁7により水平方向の向きを遮られることで目的の向きに誘導されるよう構成されている。このようにすれば、簡単な構成で空気A1の流れを目的の向きに好適に誘導することができる。
【0058】
各実施例のクリーンルームの空調システムにおいて、調整部8は、レタンシャフト4が接続される接続口8eに加え、対象空間Sと連通する連通口8fを備えている。このようにすれば、床13の上方の室内空気A1を調整部8内に取り込むことができる。
【0059】
各実施例のクリーンルームの空調システムにおいて、調整部8は、水平方向に沿った向きに伸びるダクト状の構造物として構成することができる。
【0060】
各実施例のクリーンルームの空調システムにおいて、調整部8の下面8bには、ファンフィルタユニット2の吹出口近傍から下方に伸びる垂れ壁9を設けている。このようにすれば、ファンフィルタユニット2から下向きに送り出される空気A1の流れが、近傍の領域を上昇する空気A1の流れと混合することが妨げられ、これによってショートサーキットの発生を抑止することができる。
【0061】
したがって、上記各実施例によれば、ファンフィルタユニット2の設置面に要する面積を小さくし、対象空間の他の面積では直天井にしつつ、対象空間においては十分な清浄度を保ち得る。
【0062】
尚、本発明のクリーンルームの空調システムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
2 ファンフィルタユニット
4 レタンシャフト
5 装置(機器)
6 ドライコイル(冷却ユニット)
7 壁
8 調整部
8b 下面
8e 接続口
8f 連通口
9 垂れ壁
13 床
14 還気口
A1 空気(室内空気)
A2 還気(室内の昇温空気)
S 対象空間
【要約】
【課題】省スペース且つ安価にて好適にクリーンルームを実現し得るクリーンルームの空調システムを提供する。
【解決手段】装置5を内部に設置する対象空間Sと、上げ床として構成された床13と、装置5よりも上レベルに空間を形成する調整部8と、空気を下向きに送り出すファンフィルタユニット2と、ファンフィルタユニット2の稼働により空気を流通されて空気を温調するドライコイルと、床下の空間と調整部8内の空間を接続するレタンシャフト4と、対象空間Sと床下の空間を連通する還気口14とを備え、ファンフィルタユニット2から床13に向かって送り出された空気A1の流れは、床13に沿ってファンフィルタユニット2の配列方向と直交する目的の向きに誘導されるよう構成され、ファンフィルタユニット2から見て、平面視で空気A1の誘導される目的の向きに当たる位置には還気口14が位置する。
【選択図】
図1