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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/63 20180101AFI20240805BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20240805BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240805BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240805BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240805BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/89
F24F11/64
F24F110:10
F24F110:20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023079574
(22)【出願日】2023-05-12
(62)【分割の表示】P 2019111782の分割
【原出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2023091051
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 理人
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-172952(JP,A)
【文献】特開平10-227512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和の対象となる対象室の温度及び相対湿度を計測するための温湿度センサーと、
前記対象室に設けられ、当該対象室内の空気調和が可能な空気調和設備と、
ントローラと、を備える空気調和システムであって、
前記コントローラが、
前記温湿度センサーによって計測された温度及び相対湿度から前記対象室の絶対湿度を算出する算出手段と、
ユーザによる設定に従って、前記温湿度センサーによって計測された温度と、前記温湿度センサーによって計測された相対湿度と、前記算出手段によって算出された絶対温度とのそれぞれに対して個別に上限値及び下限値を設定する第1設定手段と、
前記温湿度センサーによって計測された温度と、前記温湿度センサーによって計測された相対湿度と、前記算出手段によって算出された絶対温度とのそれぞれが前記第1設定手段によって設定された上限値及び下限値のそれぞれに達した場合に前記空気調和設備の稼働をオン又はオフにするという複数のロジックの中からユーザが選択した少なくとも1つを、制御ロジックに設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段によって前記制御ロジックに設定されたロジックに従って前記空気調和設備の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
空気調和の対象となる対象室の温度、相対湿度及び絶対湿度を計測するための温湿度センサーと、
前記対象室に設けられ、当該対象室内の空気調和が可能な空気調和設備と、
コントローラと、を備える空気調和システムであって、
前記コントローラが、
ユーザによる設定に従って、前記温湿度センサーによって計測された温度と、前記温湿度センサーによって計測された相対湿度と、前記温湿度センサーによって計測された絶対温度とのそれぞれに対して個別に上限値及び下限値を設定する第1設定手段と、
前記温湿度センサーによって計測された温度と、前記温湿度センサーによって計測された相対湿度と、前記温湿度センサーによって計測された絶対温度とのそれぞれが前記第1設定手段によって設定された上限値及び下限値のそれぞれに達した場合に前記空気調和設備の稼働をオン又はオフにするという複数のロジックの中からユーザが選択した少なくとも1つを、制御ロジックに設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段によって前記制御ロジックに設定されたロジックに従って前記空気調和設備の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする空気調和システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の空気調和システムにおいて、
前記コントローラが、
前記複数のロジックの中から前記制御ロジックへの択一的な割り当てを表示する表示手段
を有することを特徴とする空気調和システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて、
前記空気調和設備として、前記対象室を構成する壁の内部に設けられた放射冷暖房装置と、前記対象室の温度及び湿度を調整可能なエアコンと、前記対象室を除湿可能な除湿機と、前記対象室を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられることを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内のペリメータゾーンを加湿する第1調湿装置と、室内のインテリアゾーンを加湿する第2調湿装置と、室内のペリメータゾーンを冷暖房する第1空調機と、室内のインテリアゾーンを冷暖房する第2空調機とを備えた空調システムが開示されている。このような空調システムは、第1調湿装置に対して加湿セーブ運転、暖房運転、除湿運転を適宜実行させ、ペリメータゾーンにおける結露を除去できるようになっている。また、結露除去運転モードは、相対湿度ではなく、室外絶対湿度と室内絶対湿度に基づいて選択される。
【0003】
特許文献2には、断熱材と、流体を流通させる管部材とを建物における壁体などの内部に設け、管部材に高温または低温の流体を流通させて壁体から熱放射することにより建物内を冷暖房する放射冷暖房装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3992051号公報
【文献】特開平7-174368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1においては、室外絶対湿度と室内絶対湿度を算出するための温度センサーや湿度センサーが、室外や室内のどこに設けられているかが特定されていない。そのため、放射冷暖房装置やその他の空気調和設備が建物に採用された場合について考慮しても、センサーがどの位置に設けられているのが最適であるかが不明であり、結露の発生を抑制しにくくなる場合がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、空気調和の対象となる対象室の壁に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室の空気調和を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図13に示すように、空気調和の対象となる対象室15の温度及び相対湿度を計測するための温湿度センサー33と、
前記対象室15に設けられ、当該対象室15内の空気調和が可能な空気調和設備30(11a,11b)と、
ントローラ35と、を備える空気調和システムであって
前記コントローラ35が、
ユーザによる設定に従って、前記温湿度センサー33によって計測された温度と、前記温湿度センサー33によって計測された相対湿度と、前記算出手段によって算出された絶対温度とのそれぞれに対して個別に上限値及び下限値を設定する第1設定手段と、
前記温湿度センサー33によって計測された温度と、前記温湿度センサー33によって計測された相対湿度と、前記算出手段によって算出された絶対温度とのそれぞれが前記第1設定手段によって設定された上限値及び下限値のそれぞれに達した場合に前記空気調和設備の稼働をオン又はオフにするという複数のロジックの中からユーザが選択した少なくとも1つを、制御ロジックに設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段によって前記制御ロジックに設定された設定されたロジックに従って前記空気調和設備30の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図13等に示すように、
空気調和の対象となる対象室15の温度、相対湿度及び絶対湿度を計測するための温湿度センサー33と、
前記対象室15に設けられ、当該対象室15内の空気調和が可能な空気調和設備30(11a,11b)と、
コントローラ35と、を備える空気調和システムであって、
前記コントローラ35が、
ユーザによる設定に従って、前記温湿度センサー33によって計測された温度と、前記温湿度センサー33によって計測された相対湿度と、前記温湿度センサー33によって計測された絶対温度とのそれぞれに対して個別に上限値及び下限値を設定する第1設定手段と、
前記温湿度センサー33によって計測された温度と、前記温湿度センサー33によって計測された相対湿度と、前記温湿度センサー33によって計測された絶対温度とのそれぞれが前記第1設定手段によって設定された上限値及び下限値のそれぞれに達した場合に前記空気調和設備30の稼働をオン又はオフにするという複数のロジックの中からユーザが選択した少なくとも1つを、制御ロジックに設定する第2設定手段と、
前記第2設定手段によって設定された前記制御ロジックに設定されたロジックに従って前記空気調和設備30の制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0010】
請求項1又は2に記載の発明によれば、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値又は下限値に達した場合に、空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えすることができるので、温湿度センサー33の計測結果に応じて空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンにして結露発生の抑制を図りつつ対象室15の空気調和を行い、必要ない場合には空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオフにしてランニングコストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項1又は2に記載の空気調和システムにおいて、
前記コントローラ35が、
前記複数のロジックの中から前記制御ロジックへの択一的な割り当てを表示する表示手段
を有することを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明は、例えば図1図3図5図10に示すように、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和システムにおいて、
前記空気調和設備30(11a,11b)として、前記対象室15を構成する壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30と、前記対象室15の温度及び湿度を調整可能なエアコン11bと、前記対象室15を除湿可能な除湿機11aと、前記対象室15を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、空気調和設備30(11a,11b)として、対象室15を構成する壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30と、対象室15の温度及び湿度を調整可能なエアコン11bと、対象室15を除湿可能な除湿機11aと、対象室15を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられるので、空気調和設備として用いられる設備の種類に応じた様々な制御ロジックに従って対象室15の空気調和を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、空気調和の対象となる対象室の壁に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室の空気調和を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】建物の一階を示す平面図である。
図2図1に示す建物のII-II線断面図である。
図3図1に示す建物のIII-III線断面図である。
図4】開口部開放時における絶対湿度の上昇・下降の度合いを示すグラフである。
図5】空気調和システムの概要を示す図である。
図6】制御ロジックの概要を示す図である。
図7】制御ユニットを示す正面図である。
図8】制御ロジックの設定方法を説明する図である。
図9】制御ロジックの設定方法を説明する図である。
図10】空気調和システムの概要の一例を示す図である。
図11】制御ロジックの概要の一例を示す図である。
図12】制御ロジックの他の一例を示す図である。
図13】制御ロジックの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0022】
〔建物の概要〕
図1図3において符号1は、建物を示す。この建物1は戸建て住宅であり、一階と、その上方に位置するロフト階と、を有する。建物1の屋根1aは、棟と、棟から軒先までの長さが短く急勾配に形成された屋根面と、棟から軒先までの長さが長く緩勾配に形成された屋根面と、を備える。
面積の広い緩勾配の屋根面には太陽電池アレイが敷設されており、太陽光発電システムが利用できる。さらに、太陽電池アレイに備えられたガラス集熱モジュールによって太陽熱を集め、熱交換を適宜行うことで、後述する対象室である部屋15の空気調和(温度調節、湿度調節)が可能となっている。
【0023】
建物1の屋外(ただし、敷地内)には、南西の位置にカーポート2、北西の位置に玄関ポーチ3、北東の位置にテラス4が設けられている。
カーポート2と玄関ポーチ3は南北に隣接しており、これらの西側辺に沿って、断面四角筒状に形成された組立柱5が互いに間隔を空けて複数(3つ)立設されている。これら組立柱5は、建物1の一階部分から離間して配置されており、ロフト階のうち一階よりも張り出した部分と建物1の屋根1aを支持している。
なお、組立柱5は、四隅に配置された4本の柱材と、左右前後に隣り合う柱材間に設けられた構造用パネルから構成されている。
【0024】
カーポート2の北側であって、かつ、玄関ポーチ3の東側には、玄関6(玄関土間)が設けられている。玄関6の出入口(玄関ドア)は、玄関ポーチ3に立設された2本の組立柱5の間に位置している。玄関6には、収納棚6aが設置されている。
また、玄関6の東側には、玄関6よりも一段高い玄関ホール7が設けられ、玄関6の北側には収納クローゼット8が設けられている。
【0025】
玄関ホール7の北側には、熱交換ユニットの室内機が設置された機械室9が設けられている。機械室9は、玄関ホール7との間がドアによって隔てられ、床には、床下のメンテナンスを行うための床下気密点検口9aがある。
【0026】
機械室9の東側にはパイプスペース10があり、パイプスペース10の東側には、下側にデシカントユニット11aと、上側にエアコン室内機11b(以下、エアコン11b)が設置された機器収納スペース11と、外壁側に位置するパイプスペース12と、が設けられている。機器収納スペース11とパイプスペース12は壁によって仕切られている。
デシカントユニット11aは、吸湿材の湿気容量を利用して吸湿(除湿に利用)を行うものであり、部屋15(後述する。)における除湿を行う。
エアコン11bは、部屋15の空調を担う。なお、デシカントユニット11aとエアコン11bの正面側には、ルーバーが設けられている。
また、図示はしないが、後述する部屋15(例えば機器収納スペース11)には、加湿器も設けられているものとする。
【0027】
収納クローゼット8、機械室9、パイプスペース10、パイプスペース12の北側に位置する外壁の屋外側には、コンクリート床版を備えた機器設置スペース13がある。この機器設置スペース13には、エアコン室外機13a、熱交換ユニットの室外機13b、補助ヒーター13c、貯湯ユニット13dが設置されている。
【0028】
玄関6及び玄関ホール7の北側には、以上のように、建物1内の環境を調整するために必要な各種機器がまとめられている。これにより、建物1の様々な場所でメンテナンス作業を行う必要がなく、メンテナンス作業が行いやすい。
【0029】
玄関ホール7の南側には、一階とロフト階とを接続する階段14aが設置された階段室14が設けられている。階段14aの下方には階段下収納14bがあり、この階段下収納14bは、玄関ホール7との間が引戸によって隔てられている。なお、階段下収納14bの床にも、床下気密点検口14aがある。
【0030】
玄関ホール7の東側には、リビングルームやダイニングルーム、キッチン等の居室として利用され、かつ、空気調和・結露抑制の対象となる部屋15(対象室)が設けられている。部屋15は、玄関ホール7との間がドアによって隔てられている。なお、部屋15には、必要に応じて、コンロ付き流し台やダイニングテーブル等が置かれる。
【0031】
玄関ホール7の西側には、上記の階段室14が設けられ、階段14aの上り口スペースは、部屋15との間がドアによって隔てられている。
また、部屋15及び階段室14の南側には、階段室14における階段14aの上り口スペースから行き来可能な納戸16が設けられている。なお、納戸16の床にも、床下気密点検口16aがある。
【0032】
階段14aを上った先にはロフト階があり、ロフト部屋17が設けられている。ロフト階は、西側の端部が、組立柱5まで伸びて一階部分に対してオーバーハングしており、南北方向よりも東西方向に長く形成されている。また、ロフト階の南側端部は、カーポート2の北側部分に位置する南向きの面を構成する外壁付近の上方に位置している。
【0033】
〔対象室について〕
次に、空気調和・結露抑制の対象室である部屋15について、より詳細に説明する。
部屋15は、床20と、複数の壁21~26と、複数の天井27~29と、によって囲まれた空間となっている。床20は、表面がフローリング材によって形成され、段差や傾斜がない状態で設けられている。
【0034】
複数の壁21~26には、東側に設けられた外壁である東側壁21と、北側に設けられてテラス4に面する外壁である北側壁22と、南側に設けられた外壁である南側壁23と、玄関ホール7及び階段室14との間に設けられた西側壁24と、納戸16との間に設けられた納戸側壁25と、パイプスペース10及び機器収納スペース11との間に設けられた側壁26と、が含まれている。
【0035】
東側壁21は、屋外に対して開放可能な開口部が形成されていない壁である。
また、西側壁24は、屋外に対して開放可能な開口部が形成されておらず、玄関ホール7及び階段室14に対して開放可能な開口部(出入口)が形成されており、これら各開口部には、上記のドアが設けられている。
【0036】
北側壁22には、図1図3に示すように、その大部分に亘って開口部22aが形成されている。開口部22aの範囲について説明すると、幅寸法は北側壁22よりも若干短い程度である。開口部22aの高さ寸法については、北側壁22が軒天井よりも上方に伸びている分、北側壁22の高さ寸法よりも短い。
北側壁22には、開口部22aを開閉する窓サッシが設けられている。窓サッシは、部屋15の床20から第二天井28(後述する。)までの高さよりも若干低い程度の高さ寸法に設定された掃き出し窓用のサッシであり、窓障子を開ければ、部屋15とテラス4と
の間を行き来することができる。
【0037】
南側壁23には、図1図3に示すように、床20付近の高さの地窓となる下側の開口部23aと、第三天井29(後述する)付近の高さの高窓となる上側の開口部23bと、が形成されている。開口部23a,23bの範囲について説明すると、幅寸法は南側壁23よりも若干短い程度である。下側の開口部23aにおける下縁は、床20よりも若干高い位置にあり、上側の開口部23bにおける上縁は、第三天井29よりも若干低い位置にある。これら開口部23a,23bの高さ寸法は等しく設定されており、これら開口部23a,23b間には、開口部のない壁部23cがある。
【0038】
複数の天井27~29には、部屋15の中央付近において最も高い位置に設けられた第一天井27と、部屋15の北側において第一天井27よりも低い位置に設けられた第二天井28と、部屋15の南側において第一天井27よりも低い位置に設けられた第三天井29と、が含まれている。
なお、このように一部(第一天井27)が上方に凹んだ状態の天井は、折り上げ天井と呼ばれる。
【0039】
第二天井28と第三天井29は等しい高さに位置している。また、第二天井28及び第三天井29を構成する天井板は、中央の第一天井27側に延出している。
第二天井における第一天井27側に延出する延出板部28aは、東側壁21と西側壁24との間に架け渡されている。さらに、第三天井29における第一天井27側に延出する延出板部29aは、東側壁21と納戸側壁25との間に架け渡された状態となっている。また、各延出板部28a,29aは、第一天井27との間に隙間を空けて配置されている。
各延出板部28a,29aの上面には照明装置28b,29bが設けられており、照明装置28b,29bの点灯時には、その光が第一天井27に当たってから部屋15の下方側へと反射する。そのため、各延出板部28a,29aの上面に設けられた照明装置28b,29bは、間接照明として機能する。
【0040】
また、図3に示すように、第一天井27のうち、第二天井28における延出板部28aの上方には開口部27aが形成されている。一方、ロフト部屋17における南側の壁18にも開口部18aが形成されている。そして、第一天井27における開口部27aと、ロフト部屋17の壁18における開口部18aとの間は、屋根裏を通過するダクトDによって接続されている。すなわち、部屋15とロフト部屋17とが、ダクトDを通じて接続された状態となっている。これにより、部屋15内の空気をロフト部屋17へと送ることができる。換言すれば、部屋15には、延出板部28aによって遮蔽された位置に、空気の排出経路が設けられている。
なお、第一天井27には、開口部27aの近傍にファン27bが設けられており、部屋15内の空気を吸気し、より効率よくロフト部屋17へと送気できるようになっている。また、ロフト部屋17の壁18における開口部18aは、開閉蓋18bによって開放したり閉塞したりすることができる。
また、ロフト部屋17の東側に位置する壁(外壁)には、ロフト部屋17内の空気を排出するためのファン19aが設けられている。さらに、ロフト部屋17の天井裏(すなわち、屋根裏)にもファン19bが設けられており、屋根裏内の空気を排出できるようになっている。これらのファン19a,19bを稼働させることにより、ロフト部屋17の天井付近が温まりにくいので夏場において好ましい。なお、ロフト部屋17にはエアコン19cも設置されている。
一方、冬場は、ファン19a,19bを非稼働とし、部屋15の暖気をロフト部屋17に取り込めば、エアコン19cを非稼働としてもロフト部屋17を暖めることができる。
【0041】
そして、以上のように空気の排出経路が設けられた部屋15には、当該部屋15を囲む床20と、複数の壁21~26と、複数の天井27~29のうち、少なくとも東側壁21に放射冷暖房装置30が内蔵されて設けられている。本実施形態においては、図2図3に示すように、東側壁21及び西側壁24に放射冷暖房装置30が内蔵されている。ただし、これに限られるものではなく、床20や、他の壁22,23,25,26、各天井27~29に内蔵されていてもよい。
【0042】
放射冷暖房装置30は、冷水又は温水が流通するチューブ(図示省略)が内部に配管された複数枚の冷暖房パネル31と、給水源との間で冷水又は温水を循環させるための複数の循環用配管32と、を備える。循環用配管32は、床下を通り、複数の冷暖房パネル31と給水源とを接続している。
なお、給水源は、機械室9に設置された熱交換ユニットであり、熱交換ユニットによって、夏場は冷水を、冬場は温水を放射冷暖房装置30に対して循環させることができるようになっている。
【0043】
また、このような部屋15は、上記のデシカントユニット11a及び加湿器によって除湿と加湿(調湿)が行われ、上記のエアコン11bによって空気調和(温度、湿度、清浄度、気流等の調整)が行われる。なお、デシカントユニット11a及び加湿器を用いずに、エアコン11bによって湿度調節が行われてもよい。
【0044】
放射冷暖房装置30は、対象室である部屋15の空気調和を行うための空気調和設備であり、空気調和設備である放射冷暖房装置30は、図5に示すように、制御ユニット35と接続され、当該制御ユニット35によってオンオフ切り替えが可能となっている。すなわち、制御ユニット35は、空気調和設備を制御するためのコントローラである。
なお、本実施形態の制御ユニット35は、HA端子制御ユニットであり、放射冷暖房装置30はHAコネクタを備え、JEM-A(HA)端子ケーブルによって接続されている。
また、制御ユニット35は、図示はしないが、部屋15内の任意の箇所(例えば後述する温湿度センサー33近傍など)に設けられているものとする。
さらに、本実施形態において空気調和設備は放射冷暖房装置30であるものとするが、これに限られるものではなく、上記のデシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器が含まれてもよい。また、その他の種類の空気調和設備が含まれてもよいし、空気調和設備の台数も特に限定されるものではない。
【0045】
また、部屋15には、部屋15内の温度及び湿度(相対湿度)を計測する温湿度センサー33が設けられている。より詳細に説明すると、温湿度センサー33は、部屋15のうち少なくとも東側壁21に設けられている。さらに、温湿度センサー33は、東側壁21のうち北側壁22における開口部22a近傍の位置であって、かつ第二天井28近傍の位置に設けられている。このような位置に配置された温湿度センサー33は、北側壁22の開口部22aを開放したときに外気の影響を受けやすくなる。
ただし、温湿度センサー33の位置は、これに限られるものではなく、東側壁21のうち南側壁23における開口部23b近傍の位置であって、かつ第三天井29近傍の位置に設けられてもよい。
本実施形態では、東側壁21が、温湿度センサー33が配置される第一壁とされ、北側壁22と南側壁23のうちいずれか一方が、開口部(開口部22a、開口部23b)が形成された第二壁とされている。
放射冷暖房装置30が東側壁21内部に設けられ、開口部22aの位置も近いため、東側壁21の表面には結露が発生しやすくなる。そのため、温湿度センサー33は東側壁21に設けられることが望ましい。
【0046】
要するに、温湿度センサー33は、窓(例えば開口部22a,23b)を開放したときに屋外環境の影響を受けやすい位置に設けられている。
夏場のような気温の高い時期に窓を開放したとき、上昇する性質を有する暖かい空気は、部屋15内の各天井27,28,29付近に流れ込み、窓を閉塞したあとも滞留しようとする。さらに、屋外からの暖かい空気は、開放された窓の上部から流入し、逆に、屋内の冷やされた空気は、開放された窓の下部から流出する。つまり、空気の入れ替えが行われる。そのため、各天井27,28,29付近の温度が上昇するのはもちろんのこと、放射冷暖房装置30によって冷やされていた東側壁21においても、開口部22aに近く、第二天井28に近いほど湿度も上昇する傾向になる。
図4に示すグラフでは、11時41分から11時43分まで突発的に北側壁22の開口部22aを開放した場合の絶対湿度の上昇・下降の度合いを示している。このグラフでは、開口部22aの近傍における上方(第二天井28近傍)・中・下方(床20近傍)と、開口部22aから2000mm離れた位置における上方・中・下方と、開口部22aから3000mm離れた位置における上方・中・下方と、開口部22aから5000mm離れた位置(南側壁23に形成された開口部23a,23bの近傍)における上方・中・下方の、計11か所の位置での絶対湿度が表されている。そして、このグラフでは、計11か所の位置における絶対湿度のうち、開口部22aに最も近く、第二天井28に最も近い位置での絶対湿度が最も高くなっていることを表している。
【0047】
温湿度センサー33は、コントローラである制御ユニット35による空気調和設備の制御における制御ロジックを構成する要素となっている。すなわち、制御ユニット35は、温湿度センサー33の計測結果に基づき、予め設定された制御ロジックに従って空気調和設備(放射冷暖房装置30)の制御を行う。更に換言すれば、空気調和設備(放射冷暖房装置30)は、温湿度センサー33の計測結果に応じて部屋15の空気調和を行うこととなる。
【0048】
なお、本実施形態における温湿度センサー33は、筐体内に、温湿度センサーモジュール(素子)が収納された状態となっているが、これに限られるものではなく、筐体外に設けられていてもよい。
【0049】
〔空気調和システムについて〕
次に、空気調和システムについて説明する。
空気調和・結露抑制の対象となる対象室である部屋15(ひいては建物1)には、図5に示すように、温湿度センサー33、空気調和設備(放射冷暖房装置30)、コントローラである制御ユニット35を備えた空気調和システムが構築されている。
【0050】
建物1内には、例えばLAN(Local Area Network)などの第一通信ネットワークN1が構築され、温湿度センサー33と、制御ユニット35と、居住者が所持する携帯情報端末36と、が通信可能に接続されている。
温湿度センサー33によって計測された部屋15の温度及び湿度のデータは、ローカルエリアネットワークを通じて制御ユニット35に伝送され、制御ユニット35は、当該温度及び湿度のデータに基づいて空気調和設備の制御を行う。
なお、第一通信ネットワークN1としては、例えばWi-Fi(登録商標)が採用されており、温湿度センサー33は、計測結果を、Wi-Fiクライアント機能によって定期的に制御ユニット35に送信できるようになっている。
【0051】
携帯情報端末36は、表示装置、入力装置、記憶装置及びマイクロプロセッサー等を有するコンピューターであり、例えばスマートフォンやタブレット端末、フィーチャーフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、ラップトップ型パーソナルコンピューター(ノート型パーソナルコンピューター)等の持ち運び可能な通信端末が用いられる。携帯
情報端末36は、第一通信ネットワークN1を通じて制御ユニット35とデータの送受信が可能となっており、温度及び湿度の現在値の確認や、制御ユニット35による空気調和設備のための制御ロジックの設定を行うことができる。
【0052】
また、制御ユニット35は、例えばSDカードなどの記録媒体(図示省略)を備え、当該記録媒体を利用してデータロギングが行われている。また、制御ユニット35は、例えばWAN(Wide Area Network)などの第二通信ネットワークN2を通じて外部データサ
ーバ37と通信可能に接続されている。
外部データサーバ37は、建物1の外部(敷地外)に設けられたデータサーバであり、制御ユニット35からロギングデータを受信する。受信するデータは、制御ユニット35における記録媒体に記録されるデータと同一であり、具体的には、温湿度センサー33による温度及び湿度の計測結果と、空気調和設備の稼働状態のデータが記録・蓄積される。また、外部データサーバ37に蓄積されたデータは、将来的な、制御ユニット35による空気調和設備の制御ロジック(制御プログラム)の作成・開発に活用される。
【0053】
温湿度センサー33によって計測される湿度は、空気中に含むことができる最大の水蒸気量に対して、現在の水蒸気量はどれくらいかを表した相対湿度である。
制御ユニット35は、温湿度センサー33によって計測された温度及び相対湿度から、従来公知の重量絶対湿度算出式に基づいて重量絶対湿度を算出する絶対湿度算出手段(図示省略)を備える。重量絶対湿度とは、空気から水蒸気を取り除いた「渇き空気」1kgという重量に対して水蒸気がどのくらいの割合を占めているかを示している。すなわち、制御ユニット35は、部屋15内の温度と、相対湿度及び絶対湿度(重量絶対湿度)の計測を行うことができる。
なお、制御ユニット35が絶対湿度算出手段を備える代わりに、温度と相対湿度及び絶対湿度を計測可能な温湿度センサー33を採用してもよい。
【0054】
コントローラである制御ユニット35は、例えば図6に示すように、空気調和設備(放射冷暖房装置30)の制御を行うための制御ロジックとして、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に対応する空気調和設備の稼働状態の設定と、が可能となっている。
【0055】
また、上記のように制御ユニット35がHA端子制御ユニットであり、空気調和設備はHAコネクタを備えるため、制御ロジックとしての空気調和設備の稼働状態の設定は、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に、空気調和設備の稼働をオンオフ切り替えする設定であるものとする。
ただし、これに限られるものではなく、例えばECHONET Lite(登録商標)専用のアダプターと空気調和設備とを接続し、これら空気調和設備をECHONET Lite対応機器として利用できるようにしてもよい。空気調和設備をECHONET Lite対応機器として利用できれば、オンオフ切り替え以外にも稼働状態の制御を行うことが可能となる。つまり、エアコン11bの設定温度を調節したり、放射冷暖房装置30の熱交換ユニットの設定温度を調節したりすることができる。なお、ECHONET Liteなどの通信プロトコルに係る技術を採用する場合は、制御ユニットを、HA端子制御ユニットに替えてHEMS(Home Energy Management System)コントローラを採用し
てもよい。
【0056】
制御ユニット35に対して設定することが可能な制御ロジックについて、より詳細に説明すると、まず、制御対象環境の選択が可能となっている。すなわち、設定したい空気調和の対象を温度とするか、相対湿度とするか、絶対湿度とするか、をユーザが選択できるようになっている。続いて、各制御対象環境における上限値と下限値の選択・設定が可能
となっている。そして、上限値と下限値の設定を行うと、空気調和設備のオンオフ切り替え設定を行うことが可能となっている。
ユーザが温度の設定を行いたい場合は、温度を選択し、上限値と下限値の設定を行う。そして、上限値に達した場合に放射冷暖房装置30の稼働がオンとなるかオフとなるかを選択する。また、下限値に達した場合に放射冷暖房装置30の稼働がオンとなるかオフとなるかを選択する。
【0057】
図6に例示された温度の設定では、夏場のような気温の高い時期において、温度が上限値に達したとき(部屋15内の温度が上昇して暑い状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオンとなり、下限値に達したとき(部屋15内の温度が下がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオフとなる。
一方、冬場のような気温の低い時期においては、温度が上限値に達したとき(部屋15内の温度が上がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオフとなり、温度が下限値に達したとき(部屋15内の温度が下がって寒い状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオンとなる。
なお、空気調和設備(放射冷暖房装置30)の運転モードについては、空気調和設備自体が、部屋15内の温度と屋外の温度に応じて自動で運転モードが選択される自動運転機能を有するか、前回運転時の運転モードが自動的に引き継がれるものとする。
【0058】
図6に例示された相対湿度の設定では、部屋15内の相対湿度が高い時期において、相対湿度が上限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオフとなって結露の発生を抑制する。
一方、部屋15内の相対湿度が低い時期においては、相対湿度が下限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオンとなって結露の発生を抑制する。
【0059】
図6に例示された絶対湿度の設定では、部屋15内の絶対湿度が高い時期において、絶対湿度が上限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオフとなって結露の発生を抑制する。
一方、部屋15内の絶対湿度が低い時期においては、絶対湿度が下限値に達したときに、運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働がオンとなって運転が再開され、結露の発生を抑制する。
【0060】
制御ロジックの設定は、コントローラである制御ユニット35又は携帯情報端末36によって行うことができる。なお、この制御ロジックの設定の説明において、空気調和設備は放射冷暖房装置30を指すが、デシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器が含まれてもよい。
図7(a)は、制御ユニット35を示す正面図であり、筐体40と、筐体40の前面における下部に設けられた第一ボタン41(左)、第二ボタン42(中)、第三ボタン43(右)と、これらのボタン41,42,43よりも上に位置し、筐体40の前面における大部分に設けられた表示部44と、を備える。
表示部44には、日時(年月日及び時刻)と、「status」の列に示す温湿度センサー33によって計測された温度及び湿度(相対湿度、絶対湿度)の現在値と、「High」の例に示す上限値と、「Low」の列に示す下限値と、「HA」の行に示す制御ユニット35による空気調和設備の現在の制御モードと、が画面表示されている。
現在値、上限値、下限値は、「Temp(Temperature):温度」の行と、「Humi_Rel(Relative Humidity):相対湿度」の行と、「Humi_Abs(Absolute Humidity):絶対湿度」の行と、に分けられている。
また、表示部44の下縁に沿って、表示部44よりも縦横の寸法が短い3つの小表示部44a,44b,44cが画面表示されている。小表示部44a,44b,44cは、それぞれの直下に設けられた各ボタン41,42,43の押下操作に対応している。
【0061】
「HA」の行に示す制御ユニット35による空気調和設備の現在の制御モードは、図7(a)の例においては「AUTO」となっており、設定した制御ロジックに基づいて自動運転するモードとなっている。制御モードの切り替えは、第一ボタン41を押下操作することによって行われ、小表示部44aに「AUTO」と表示されているときに第一ボタン41を押下すると、小表示部44aの表示が「MANU」に切り替わり、制御モードが手動(マニュアル)モードに切り替わる。
そして、図7(b)に示すように、制御モードが手動モードに切り替わると、中央の小表示部44bには「ON」と表示され、右側の小表示部44cには「OFF」と表示され、第
二ボタン42と第三ボタン43を押下操作することで、空気調和設備のオンオフ切り替えを行うことができるようになっている。
【0062】
図8は、図7(a)に示す画面表示において中央の小表示部44bに「menu1」と表示
されて状態で第二ボタン42を押下操作した場合に移行するパラメータ設定画面である。
より詳細に説明すると、図8に示すパラメータ設定画面では、温度の上限値及び下限値と、温度のヒステリシスと、相対湿度の上限値及び下限値と、相対湿度のヒステリシスと、絶対湿度の上限値及び下限値と、絶対湿度のヒステリシスの数値(パラメータ)入力を行うことができる。
左側の小表示部44aには「SET1」と表示され、第一ボタン41を押下操作することで「SET9」まで切り替えられるようになっている。また、中央の小表示部44bには「-(マイナス)」が表示され、右側の小表示部44cには「+(プラス)」が表示されており、パラメータの増減が可能となっている。
「SET1」は温度の上限値の設定、「SET2」は温度の下限値の設定、「SET3」は温度のヒステリシスの設定、「SET4」は相対湿度の上限値の設定、「SET5」は相対湿度の下限値の設定、「SET6」は相対湿度のヒステリシスの設定、「SET7」は絶対湿度の上限値の設定、「SET8」は絶対湿度の下限値の設定、「SET9」は絶対湿度のヒステリシスの設定に対応している。
図8の例では小表示部44aに「SET1」と表示されているため、温度の上限値における設定が可能であり、第二ボタン42を押下して温度の上限値を下げることができ、第三ボタン43を押下して温度の上限値を上げることができる。
なお、ヒステリシスとは、設定幅(調節感度、動作隙間、不感帯ともいう)を指し、空気調和設備の運転におけるチャタリング防止やノイズに影響されないようにするために設定される。すなわち、ヒステリシスが設定されないと、頻繁にオンオフ切り替えが行われることになるが、ヒステリシスを設定することによって空気調和設備のオンオフ切り替えが必要以上に行われないようにすることができる。
【0063】
図9は、図7(a)に示す画面表示において中央の小表示部44bに「menu2」と表示
されて状態で第三ボタン43を押下操作した場合に移行するロジック設定画面である。
より詳細に説明すると、図9に示すロジック設定画面では、温度、相対湿度、絶対湿度のいずれかにおいて、図8のパラメータ設定画面で設定した上限値又は下限値に達したときに、空気調和設備の稼働をオンにするかオフにするかを設定することができる。すなわち、空気調和設備の稼働をオンオフ切り替えするための制御ロジックを設定することができる。
本実施形態においては、「Logic1」と「Logic2」の二つの制御ロジックの設定が可能となっている。「Logic1」と「Logic2」に設定できる制御ロジックの数は、0から12までの番号が付与された計13個であり、「Logic1」と「Logic2」は、「AND/OR」で組み合わせて設定することができる。
【0064】
表示部44には、小表示部44aの他に、選択された制御ロジック及び「AND/OR」が表示される欄44d,44e,44fが設けられている。上段の欄44dには「Logic1」で選択された制御ロジックが表示され、中段の欄44eには「AND」か「OR」が表示され、
下段の欄44fには「Logic2」で選択された制御ロジックが表示される。
左側の小表示部44aには「SET1」と表示され、第一ボタン41を押下操作することで「SET3」まで切り替えられるようになっている。また、中央の小表示部44bには「-(マイナス)」が表示され、右側の小表示部44cには「+(プラス)」が表示されており、それぞれ第二ボタン42、第三ボタン43を押下操作することで、上段の欄44dと下段の欄44fに表示される制御ロジックを、複数の制御ロジックに付与された番号順に切り替えることができる。
【0065】
「Logic1」と「Logic2」に設定できる制御ロジックの「0」は、「Nun(Nothingの略)」であり、空気調和設備の制御を行わないことを選択できるようになっている。さらに、制御ロジックの「1」~「12」は、図6図11参照)の制御ロジックと対応している。なお、制御対象となる空気調和設備がない場合は、空気調和設備の制御を行わない状態となる。
制御ロジックの「1」は、「Temp Hi ON」であり、温度が上限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「2」は、「Temp Hi OFF」であり、温度が上限値に達した場合に空気
調和設備をオフにする制御を指す。
制御ロジックの「3」は、「Temp Lo ON」であり、温度が下限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「4」は、「Temp Lo OFF」であり、温度が下限値に達した場合に空気
調和設備をオフにする制御を指す。
制御ロジックの「5」は、「Humi_Rel Hi ON」であり、相対湿度が上限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「6」は、「Humi_Rel Hi OFF」であり、相対湿度が上限値に達した場
合に空気調和設備をオフにする制御を指す。
制御ロジックの「7」は、「Humi_Rel Lo ON」であり、相対湿度が下限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「8」は、「Humi_Rel Lo OFF」であり、相対湿度が下限値に達した場
合に空気調和設備をオフにする制御を指す。
制御ロジックの「9」は、「Humi_Abs Hi ON」であり、絶対湿度が上限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「10」は、「Humi_Abs Hi OFF」であり、絶対湿度が上限値に達した
場合に空気調和設備をオフにする制御を指す。
制御ロジックの「11」は、「Humi_Abs Lo ON」であり、絶対湿度が下限値に達した場合に空気調和設備をオンにする制御を指す。
制御ロジックの「12」は、「Humi_Abs Lo OFF」であり、絶対湿度が下限値に達した
場合に空気調和設備をオフにする制御を指す。
【0066】
なお、本実施形態においては、「0」から「12」までの制御ロジックの中から、上記のように「Logic1」と「Logic2」の二つの制御ロジックの設定が可能となっているが、三つ以上の制御ロジックの設定が可能であってもよい。
【0067】
以上のようにして空気調和設備の制御をユーザ自身が設定できるようになっている。そのため、自分好みの空気調和が可能となる。
なお、例えば夏場のような気温の高い時期に部屋15を冷やし、放射冷暖房装置30の表面温度が22℃(放射冷暖房装置30が内部に設けられた東側壁21近傍の温度でもあ
る。)に達し、その時の絶対湿度が16g/kg’以上であると、東側壁21の表面には結露が必ず発生する。そのため、絶対湿度の上限値は、図7(a),図8に示すように、16.0g/kg’に設定することが望ましい。
【0068】
本実施形態によれば、空気調和設備である放射冷暖房装置30による対象室15の空気調和は、温湿度センサー33による対象室15の温度及び湿度の計測結果に影響されることになる。一方、温湿度センサー33も、第一壁21のうち、第二壁22(23)に形成された開口部22a(23b)の近傍に配置されているため、第二壁22(23)の開口部22a(23b)を開放したときに外気の影響を受けやすくなる。そして、対象室15内の温度と外気温との差が大きいと、対象室15の壁21~24には結露が発生しやすくなるが、温湿度センサー33が、このように外気の影響を受けやすい場所に配置されていれば、空気調和設備30も、温湿度センサー33の計測結果に応じて対象室15の空気調和を行うことになるので、対象室15の壁21~24に結露が生じにくくなる。すなわち、対象室15の壁21~24に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
【0069】
また、温湿度センサー33は、第一壁21のうち、対象室15における天井28の近傍に配置されているので、特に夏場のような気温の高い時期に、第二壁22(23)に形成された開口部22a(23b)を開放したときの暖かい空気が対象室15内に流入した場合に、当該暖かい空気の温度を温湿度センサー33によって計測しやすくなる。空気調和設備30は、温湿度センサー33の計測結果に応じて対象室15の空気調和を行うので、対象室15の壁21~24に結露が発生することをより効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
【0070】
また、空気調和設備は、少なくとも第一壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30であることから、放射冷暖房装置30によって直接的に温度調節される第一壁21に結露が生じにくくなる。
【0071】
さらに、本実施形態によれば、温湿度センサー33の計測結果に基づき、予め設定された制御ロジックに従って空気調和設備である放射冷暖房装置30の制御を行うコントローラ35が、制御ロジックとして、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に対応する空気調和設備30の稼働状態の設定と、が可能となっているので、対象室15内が結露の発生しやすい環境になろうとした場合に、空気調和設備30の稼働状態を制御ロジックに従って制御できる。これにより、対象室15の壁21~24に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
【0072】
また、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値又は下限値に達した場合に、空気調和設備30の稼働をオンオフ切り替えすることができるので、温湿度センサー33の計測結果に応じて空気調和設備30の稼働をオンにして結露発生の抑制を図りつつ対象室15の空気調和を行い、必要ない場合には空気調和設備30の稼働をオフにしてランニングコストの低減を図ることができる。
【0073】
また、コントローラ35は、複数の制御ロジックのうちいずれか一つに従って空気調和設備30の制御を行うこと、もしくは、複数の制御ロジックのうち少なくとも二つ以上の制御ロジックを組み合わせて空気調和設備30の制御を行うこと、が選択可能であるため、様々なバリエーションの中から好適な制御ロジックを選択して空気調和設備30の制御を行うことができる。
【0074】
また、コントローラ35は、少なくとも二つ以上の制御ロジックのうち、先の制御ロジックに従って空気調和設備30の稼働をオンオフ切り替えする制御が行われた後に、先の制御ロジックとは異なる制御ロジックに従って空気調和設備30の稼働をオンオフ切り替えする制御を行うので、複数の制御ロジックに優先順位をつけて空気調和設備30の稼働を制御できる。
【0075】
また、コントローラ35は、温湿度センサー33によって計測された温度及び湿度から対象室15の絶対湿度を算出し、算出された絶対湿度が上限値を超えた場合に空気調和設備30の稼働をオフにし、算出された絶対湿度が下限値を下回った場合に空気調和設備30の稼働をオンにするので、特に夏場のような気温の高い時期において、対象室15の壁21~24に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
【0076】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0077】
〔変形例1〕
冬場のような気温の低い時期の場合において冷たい空気は下降する性質を有するため、温湿度センサー33は、第一壁である東側壁21のうち開口部22a近傍であって、かつ床20付近に配置されていることが望ましい。
寒暖双方の時期に対応できるように、一つの温湿度センサー33を東側壁21の中くらいの高さ位置に配置してもよいし、二つの温湿度センサー33を天井28近傍と床20近傍の双方に配置してもよい。なお、南側壁23を第二壁とする場合は、地窓である開口部23aと高窓である開口部23bとの間が、開口部のない壁部23cとなっているため、温湿度センサー33は、中くらいの高さ位置に配置するよりも、二つの温湿度センサー33を第三天井29近傍と床20近傍の双方に配置することが好ましい。
【0078】
〔変形例2〕
上記の実施形態においては、制御ユニット35と接続され、当該制御ユニット35によってオンオフ切り替えが可能とされた空気調和設備として放射冷暖房装置30を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、放射冷暖房装置30と、エアコン11bと、除湿機(デシカントユニット11a)と、加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられるものとする。
そして、本変形例においては、空気調和設備として、放射冷暖房装置30と、エアコン11bと、除湿機(デシカントユニット11a)と、加湿器と、用いられている。すなわち、デシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器、放射冷暖房装置30は、それぞれHAコネクタを備え、JEM-A(HA)端子ケーブルによって制御ユニット35と接続されている。
【0079】
空気調和・結露抑制の対象となる対象室である部屋15(ひいては建物1)には、図10に示すように、温湿度センサー33、空気調和設備(デシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器、放射冷暖房装置30)、コントローラである制御ユニット35を備えた空気調和システムが構築されている。
携帯情報端末36は、第一通信ネットワークN1を通じて制御ユニット35とデータの送受信が可能となっており、温度及び湿度の現在値の確認や、制御ユニット35による空気調和設備(デシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器、放射冷暖房装置30)のための制御ロジックの設定を行うことができる。
外部データサーバ37は、第二通信ネットワークN2を通じて制御ユニット35からロギングデータを受信する。
【0080】
コントローラである制御ユニット35は、例えば図11に示すように、空気調和設備(デシカントユニット11a、エアコン11b、加湿器、放射冷暖房装置30)の制御を行うための制御ロジックとして、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に対応する空気調和設備の稼働状態の設定と、が可能となっている。
【0081】
図11に例示された温度の設定では、夏場のような気温の高い時期において、温度が上限値に達したとき(部屋15内の温度が上昇して暑い状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定されたエアコン11b及び放射冷暖房装置30の稼働がオンとなり、下限値に達したとき(部屋15内の温度が下がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが冷房に設定されたエアコン11b及び放射冷暖房装置30の稼働がオフとなる。
一方、冬場のような気温の低い時期においては、温度が上限値に達したとき(部屋15内の温度が上がり過ぎた状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定されたエアコン11b及び放射冷暖房装置30の稼働がオフとなり、温度が下限値に達したとき(部屋15内の温度が下がって寒い状態を指す。)に、運転モードが暖房に設定されたエアコン11b及び放射冷暖房装置30の稼働がオンとなる。
なお、空気調和設備の運転モードについては、空気調和設備自体が、部屋15内の温度と屋外の温度に応じて自動で運転モードが選択される自動運転機能を有するか、前回運転時の運転モードが自動的に引き継がれるものとする。
【0082】
図11に例示された相対湿度の設定では、部屋15内の相対湿度が高い時期において、相対湿度が上限値に達したときに、デシカントユニット11aの稼働がオンとなって除湿を行い、加湿器の稼働がオフになるとともに運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働もオフとなって結露の発生を抑制する。
一方、部屋15内の相対湿度が低い時期においては、相対湿度が下限値に達したときに、加湿器の稼働がオンになるとともに運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働もオンとなって結露の発生を抑制し、デシカントユニット11aの稼働がオフとなって除湿を停止する。
【0083】
図11に例示された絶対湿度の設定では、部屋15内の絶対湿度が高い時期において、絶対湿度が上限値に達したときに、デシカントユニット11aの稼働がオンとなって除湿を行い、加湿器の稼働がオフになるとともに運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働もオフとなって結露の発生を抑制する。
一方、部屋15内の絶対湿度が低い時期においては、絶対湿度が下限値に達したときに、加湿器の稼働がオンになるとともに運転モードが冷房に設定された放射冷暖房装置30の稼働もオンとなって運転が再開され(結露の発生を抑制し)、デシカントユニット11aの稼働がオフとなって除湿を停止する。
【0084】
制御ロジックの設定は、上記の実施形態のとおり、コントローラである制御ユニット35又は携帯情報端末36によって行うことができる。したがって、本変形例においては、上記の実施形態と同様に、「0」から「12」までの制御ロジックの中から、上記のように「Logic1」と「Logic2」の二つの制御ロジックの設定が可能となっている。
そして、コントローラである制御ユニット35は、図12図13に示すように、温度における空気調和設備の制御と、相対湿度における空気調和設備の制御と、絶対湿度における空気調和設備の制御と、を組み合わせることができる。
【0085】
図12は、放射冷暖房装置30の稼働について、絶対湿度が上限値に達したときにオフ、下限値に達したときにオンにし、下限値に達してオンになった後に、温度が上限値に達したときにオン、下限値に達したときにオフにする制御が行われることを示している。
すなわち、部屋15内の絶対湿度が低くなっており、かつ、温度が高くなっているときに放射冷暖房装置30の稼働がオンのまま続き、部屋15内の絶対湿度が高いか、温度が低いときに放射冷暖房装置30の稼働がオフとなる。
【0086】
図13は、デシカントユニット11aの稼働について、温度が上限値に達したときにオン、下限値に達したときにオフにし、上限値に達してオンになった後に、相対湿度が上限値に達したときにオン、下限値に達したときにオフにする制御が行われることを示している。
すなわち、部屋15内の温度が高くなっており、かつ相対湿度が高くなっているときにデシカントユニット11aの稼働がオンのまま続き、部屋15内の温度が低いか、相対湿度が低いときにデシカントユニット11aの稼働がオフとなる。
【0087】
本変形例によれば、上記の実施形態と同様の効果を奏するとともに、空気調和設備として、対象室15を構成する壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30と、対象室15の温度及び湿度を調整可能なエアコン11bと、対象室15を除湿可能な除湿機11aと、対象室15を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられるので、空気調和設備として用いられる設備の種類に応じた様々な制御ロジックに従って対象室15の空気調和を行うことができる。
〔付記〕
以上に本発明の1以上の実施形態及びそれらの変形例について説明した。以上の説明には、以下の発明が記載されている。
第1発明は、空気調和システムであって、例えば図1図13に示すように、空気調和の対象となる対象室15の温度及び湿度を計測するための温湿度センサー33と、前記対象室15に設けられ、当該対象室15内の空気調和が可能な空気調和設備30(11a,11b)と、前記温湿度センサー33の計測結果に基づき、予め設定された制御ロジックに従って前記空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うコントローラ35と、を備えており、前記コントローラ35は、前記制御ロジックとして、前記温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、前記温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が前記上限値と前記下限値に達した場合に対応する前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働状態の設定と、が可能となっていることを特徴とする。
第1発明によれば、温湿度センサー33の計測結果に基づき、予め設定された制御ロジックに従って空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うコントローラ35が、制御ロジックとして、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度における上限値と下限値それぞれの設定と、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値と下限値に達した場合に対応する空気調和設備30(11a,11b)の稼働状態の設定と、が可能となっているので、対象室15内が結露の発生しやすい環境になろうとした場合に、空気調和設備30(11a,11b)の稼働状態を制御ロジックに従って制御できる。これにより、対象室15の壁21~24に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
第2発明は、例えば図6図11等に示すように、第1発明における空気調和システムにおいて、前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働状態の設定は、前記温湿度セ
ンサー33によって計測された温度及び/又は湿度が前記上限値と前記下限値に達した場合に、前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えする設定であることを特徴とする。
第2発明によれば、温湿度センサー33によって計測された温度及び/又は湿度が上限値又は下限値に達した場合に、空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えすることができるので、温湿度センサー33の計測結果に応じて空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンにして結露発生の抑制を図りつつ対象室15の空気調和を行い、必要ない場合には空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオフにしてランニングコストの低減を図ることができる。
第3発明は、例えば図9に示すように、第2発明における空気調和システムにおいて、前記コントローラ35は、複数の前記制御ロジックの設定が可能であり、前記複数の制御ロジックのうちいずれか一つに従って前記空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うこと、もしくは、前記複数の制御ロジックのうち少なくとも二つ以上の制御ロジックを組み合わせて前記空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うこと、が選択可能であることを特徴とする。
第3発明によれば、コントローラ35は、複数の制御ロジックのうちいずれか一つに従って空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うこと、もしくは、複数の制御ロジックのうち少なくとも二つ以上の制御ロジックを組み合わせて空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うこと、が選択可能であるため、様々なバリエーションの中から好適な制御ロジックを選択して空気調和設備30(11a,11b)の制御を行うことができる。
第4発明は、例えば図12図13に示すように、第3発明における空気調和システムにおいて、前記コントローラ35は、前記少なくとも二つ以上の制御ロジックを組み合わせて前記空気調和設備30(11a,11b)の制御を行う場合に、前記少なくとも二つ以上の制御ロジックのうち、先の制御ロジックに従って前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えする制御が行われた後に、前記先の制御ロジックとは異なる制御ロジックに従って前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えする制御を行うことを特徴とする。
第4発明によれば、コントローラ35は、少なくとも二つ以上の制御ロジックのうち、先の制御ロジックに従って空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えする制御が行われた後に、先の制御ロジックとは異なる制御ロジックに従って空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンオフ切り替えする制御を行うので、複数の制御ロジックに優先順位をつけて空気調和設備30(11a,11b)の稼働を制御できる。
第5発明は、例えば図6図12に示すように、第2~第4の発明のいずれかにおける空気調和システムにおいて、前記コントローラ35は、前記温湿度センサー33によって計測された温度及び湿度から前記対象室15の絶対湿度を算出し、算出された絶対湿度が前記上限値を超えた場合に前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオフにし、算出された絶対湿度が前記下限値を下回った場合に前記空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンにすることを特徴とする。
第5発明によれば、コントローラ35は、温湿度センサー33によって計測された温度及び湿度から対象室15の絶対湿度を算出し、算出された絶対湿度が上限値を超えた場合に空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオフにし、算出された絶対湿度が下限値を下回った場合に空気調和設備30(11a,11b)の稼働をオンにするので、特に夏場のような気温の高い時期において、対象室15の壁21~24に結露が発生することを効果的に抑制しつつ、対象室15の空気調和を行うことができる。
第6発明は、例えば図1図3図5図10に示すように、第1~第5の発明のいずれかにおける空気調和システムにおいて、前記空気調和設備30(11a,11b)として、前記対象室15を構成する壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30と、前記対象室15の温度及び湿度を調整可能なエアコン11bと、前記対象室15を除湿可能な除湿機11aと、前記対象室15を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いら
れることを特徴とする。
第6発明によれば、空気調和設備30(11a,11b)として、対象室15を構成する壁21の内部に設けられた放射冷暖房装置30と、対象室15の温度及び湿度を調整可能なエアコン11bと、対象室15を除湿可能な除湿機11aと、対象室15を加湿可能な加湿器のうち、いずれか一種類以上が用いられるので、空気調和設備として用いられる設備の種類に応じた様々な制御ロジックに従って対象室15の空気調和を行うことができる。
【符号の説明】
【0088】
1 建物
11 機器収納スペース
11a デシカントユニット
11b エアコン
15 部屋
20 床
21 東側壁
22 北側壁
22a 開口部
23 南側壁
23a 開口部
23b 開口部
28 第二天井
30 放射冷暖房装置
33 温湿度センサー
35 制御ユニット
40 筐体
41 第一ボタン
42 第二ボタン
43 第三ボタン
44 表示部
44a 小表示部
44b 小表示部
44c 小表示部
44d 欄
44e 欄
44f 欄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13