(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】部品補給作業支援装置、部品実装システム、部品補給作業支援方法、部品補給作業支援プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2023512545
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2021014604
(87)【国際公開番号】W WO2022215159
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 正志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昂太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 将也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-353847(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109856(WO,A1)
【文献】特開2016-225387(JP,A)
【文献】特開2019-003392(JP,A)
【文献】特開2021-033566(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019412(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/073867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダに対して設けられた部品収納部材に収納される部品を、基板への実装のために前記フィーダによって供給しつつ、前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを設定する演算部と、
前記補給作業を実行する前記作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記報知タイミングは、前記部品収納部材に収納される部品の残数が閾個数以下になったタイミングであり、
前記演算
部は、前記作業者の人数が多いほど前記閾個数を少なくし、前記作業者の能力が高いほど前記閾個数を少なくすることで、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援装置。
【請求項2】
フィーダに対して設けられた部品収納部材に収納される部品を、基板への実装のために前記フィーダによって供給しつつ、前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを設定する演算部と、
前記補給作業を実行する前記作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記作業者情報は、複数の時間帯のそれぞれについて前記作業者の人数および能力を示し、
前記演算部は、
前記複数の時間帯のそれぞれに対して、当該時間帯における前記作業者の人数および前記能力に応じた前記報知タイミングを設定して、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記作業者の人数が少ないほど前記報知タイミングを早く設定するとともに、前記作業者の能力が低いほど前記報知タイミングを早く設定する請求項
1または2に記載の部品補給作業支援装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記作業者の能力の合計値に応じた総能力指標値を前記時間帯毎に算出して、前記複数の時間帯それぞれに対して前記総能力指標値に基づき前記報知タイミングを設定する請求項
2に記載の部品補給作業支援装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記複数の時間帯それぞれの前記総能力指標値に基づき、前記複数の時間帯のそれぞれにおける前記作業者の人数の変更を提案する請求項
4に記載の部品補給作業支援装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記複数の時間帯それぞれのうち、前記総能力指標値が所定の閾指標値以上である前記時間帯において、前記補給作業とは異なる作業の前記作業者への割り当てを提案する請求項
4または5に記載の部品補給作業支援装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記作業者が前記補給作業に要した作業時間を取得し、前記作業者の能力を前記作業者について取得した前記作業時間に基づき設定する請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の部品補給作業支援装置。
【請求項8】
フィーダに対して設けられた部品収納部材に収納される部品を、基板への実装のために前記フィーダによって供給しつつ、前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機と
請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の部品補給支援装置と
を備えた部品実装システム。
【請求項9】
部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して前記部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、
前記フィーダによる部品の供給に伴った前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを演算部により設定する工程と
を備え、
前記報知タイミングは、前記部品収納部材に収納される部品の残数が閾個数以下になったタイミングであり、
前記演算部は、
前記作業者の人数が多いほど前記閾個数を少なくし、前記作業者の能力が高いほど前記閾個数を少なくすることで、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援方法。
【請求項10】
部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して前記部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、
前記フィーダによる部品の供給に伴った前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを演算部により設定する工程と
を備え、
前記作業者情報は、複数の時間帯のそれぞれについて前記作業者の人数および能力を示し、
前記演算部は、
前記複数の時間帯のそれぞれに対して、当該時間帯における前記作業者の人数および前記能力に応じた前記報知タイミングを設定して、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援方法。
【請求項11】
部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して前記部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、
前記フィーダによる部品の供給に伴った前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを設定する工程と
をコンピュータに実行させ、
前記報知タイミングは、前記部品収納部材に収納される部品の残数が閾個数以下になったタイミングであり、
前記コンピュータは、
前記作業者の人数が多いほど前記閾個数を少なくし、前記作業者の能力が高いほど前記閾個数を少なくすることで、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援プログラム。
【請求項12】
部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して前記部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、前記作業者が前記補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、
前記フィーダによる部品の供給に伴った前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して前記報知タイミングを設定する工程と
をコンピュータに実行させ、
前記作業者情報は、複数の時間帯のそれぞれについて前記作業者の人数および能力を示し、
前記コンピュータは、
前記複数の時間帯のそれぞれに対して、当該時間帯における前記作業者の人数および前記能力に応じた前記報知タイミングを設定して、前記作業者情報に基づき前記報知タイミングを調整する部品補給作業支援プログラム。
【請求項13】
請求項11
または12に記載の部品補給支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して部品収納部材の補給作業を実行する作業者を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を収納した部品供給テープをテープフィーダによって送ることで所定の供給位置に部品を供給して、実装ヘッドにより供給位置から吸着した部品を基板に実装する部品実装機が知られている。部品供給テープは部品供給リールに巻き付けられた状態でテープフィーダに対して配置され、部品供給リールから引き出された部品供給テープがテープフィーダに装着される。また、テープフィーダに装着された部品供給テープに収納される部品の残数が少なくなると、作業者は、新たな部品供給リールから引き出した部品供給テープを、テープフィーダに装着された部品供給テープに接続するスプライシングを行って、テープフィーダに対して部品供給テープを補給する(補給作業)。
【0003】
このような部品実装機では、テープフィーダに装着された部品供給テープに収納される部品がなくなる、すなわち部品切れが発生すると、基板への部品実装が中断してしまう。そのため、特許文献1、2に示されるように、このような補給作業は、部品切れが発生する前に行われる必要がある。特に、特許文献1では、部品切れが発生するタイミングを予測した結果に基づき、補給作業の実行スケジュールを作成して、作業者に報知する。これによって、作業者は実行スケジュールに従って補給作業を実行することで、部品切れの発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-134691号公報
【文献】特開2015-041734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、補給作業を実行できる作業者の数が少ないために、次々と発生する補給作業に対応しきれず、部品切れが発生してしまう場合があった。また、作業者の能力が低いために、補給作業の実行に長時間を要して、部品切れが発生してしまう場合があった。つまり、補給作業を実行できる作業者の数や能力によって、補給作業を実行すべきタイミングが異なる。しかしながら、従来ではこの点が十分に考慮されていないために、補給作業が間に合わずに部品切れが発生してしまうという状況があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、補給作業を実行できる作業者の数や能力に応じた適切なタイミングで補給作業を実行して、部品切れの発生を抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る部品補給作業支援装置は、フィーダに対して設けられた部品収納部材に収納される部品を、基板への実装のためにフィーダによって供給しつつ、部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して報知タイミングを設定する演算部と、補給作業を実行する作業者の人数と、作業者が補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を記憶する記憶部とを備え、演算部は、作業者情報に基づき報知タイミングを調整する。
【0008】
本発明に係る部品補給作業支援方法は、部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、作業者が補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、フィーダによる部品の供給に伴った部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して報知タイミングを演算部により設定する工程とを備え、演算部は、作業者情報に基づき報知タイミングを調整する。
【0009】
本発明に係る部品補給作業支援プログラムは、部品収納部材に収納された部品を基板への実装のために供給するフィーダに対して部品収納部材の補給作業を実行する作業者の人数と、作業者が補給作業を実行する能力とを示す作業者情報を取得する工程と、フィーダによる部品の供給に伴った部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機に対して報知タイミングを設定する工程とをコンピュータに実行させ、コンピュータは、作業者情報に基づき報知タイミングを調整する。
【0010】
本発明に係る記録媒体は、上記の部品補給支援プログラムをコンピュータにより読み出し可能に記録する。
【0011】
このように構成された本発明(部品補給作業支援装置、部品補給作業支援方法、部品補給作業支援プログラムおよび記録媒体)によれば、部品実装機は、フィーダによる部品の供給に伴った部品収納部材内の部品残数の減少に応じた所定の報知タイミングで部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する。特に、この報知タイミングは、補給作業を実行する作業者の人数および能力を示す作業者情報に基づき調整される。したがって、補給作業を実行できる作業者の数や能力に応じた適切なタイミングで補給作業を実行して、部品切れの発生を抑制することが可能となっている。
【0012】
また、演算部は、作業者の人数が少ないほど報知タイミングを早く設定するとともに、作業者の能力が低いほど報知タイミングを早く設定するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。これによって、作業者の人数および能力に応じて、補給作業に要する時間を適切に確保することができる。
【0013】
また、報知タイミングは、部品収納部材に収納される部品の残数が閾個数以下になったタイミングであり、演算部は、作業者の人数が多いほど閾個数を少なくし、作業者の能力が高いほど閾個数を少なくすることで、報知タイミングを調整するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、部品の残数と閾個数との比較といった簡便な制御によって、作業者の人数および能力に応じた適切な報知タイミングを設定できる。
【0014】
また、作業者情報は、複数の時間帯のそれぞれについて作業者の人数および能力を示し、演算部は、複数の時間帯のそれぞれに対して、当該時間帯における作業者の人数および能力に応じた報知タイミングを設定するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきに応じて、報知タイミングを適切に設定できる。
【0015】
また、演算部は、作業者の能力の合計値に応じた総能力指標値を時間帯毎に算出して、複数の時間帯それぞれに対して総能力指標値に基づき報知タイミングを設定するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきに応じて、報知タイミングを適切に設定できる。
【0016】
また、演算部は、複数の時間帯それぞれの総能力指標値に基づき、複数の時間帯のそれぞれにおける作業者の人数の変更を提案するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。これによって、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきを緩和することが可能となる。
【0017】
また、演算部は、複数の時間帯それぞれのうち、総能力指標値が所定の閾指標値以上である時間帯において、補給作業とは異なる作業の作業者への割り当てを提案するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。これによって、補給作業とは異なる作業の作業者への適切な割り当てが可能になり、作業者の人数および能力が過剰な時間帯において、作業者は補給作業とは異なる作業を実行でき、作業者の作業効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、演算部は、作業者が補給作業に要した作業時間を取得し、作業者の能力を作業者について取得した作業時間に基づき設定するように、部品補給作業支援装置を構成してもよい。これによって、作業者が実際に実行した補給作業に要した作業時間に応じて、作業者の能力を適切に設定できる。
【0019】
本発明に係る部品実装システムは、フィーダに対して設けられた部品収納部材に収納される部品を、基板への実装のために前記フィーダによって供給しつつ、前記部品収納部材に収納される部品の残数の減少に応じた所定の報知タイミングで前記部品収納部材の補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する部品実装機と、上記の部品補給支援装置とを備える。したがって、補給作業を実行できる作業者の数や能力に応じた適切なタイミングで補給作業を実行して、部品切れの発生を抑制することが可能となっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、補給作業を実行できる作業者の数や能力に応じた適切なタイミングで補給作業を実行して、部品切れの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る部品実装システムの一例を示すブロック図。
【
図2】部品実装システムが備える部品実装機の一例を模式的に示す平面図。
【
図3】部品実装機で使用される部品供給リールの一例を模式的に示す側面図。
【
図4】部品補給作業支援方法の第1例を示すフローチャート。
【
図5】
図4の部品補給作業支援方法の第1例で算出される内容を模式的に示す図。
【
図6】
図4の部品補給作業支援方法の第1例で参照されるテーブルを模式的に示す図。
【
図7】部品補給作業支援方法の第2例を示すフローチャート。
【
図8】
図7の部品補給作業支援方法の第2例で実行される内容を模式的に示す図。
【
図9】部品補給作業支援方法の第3例を示すフローチャート。
【
図10】部品補給作業支援方法の第4例を示すフローチャート。
【
図11】
図10の部品補給作業支援方法の第4例で参照されるテーブルを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明に係る部品実装システムの一例を示すブロック図である。部品実装システム1は、サーバコンピュータ2と部品実装機6とを備え、サーバコンピュータ2により部品実装機6を制御することで、部品(電子部品)を基板(プリント基板)に実装する部品実装を部品実装機6に実行させる。
【0023】
サーバコンピュータ2は、演算部21、通信部22、表示部23、入力部24および記憶部25を備える。演算部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されたプロセッサであり、通信部22、表示部23、入力部24および記憶部25を制御する。通信部22は、部品実装機6と通信を行うことで、部品実装機6からデータを受信したり、部品実装機6にデータを送信したりする。表示部23は、例えばディスプレイで構成され、作業者に各種の情報を表示する。入力部24は、マウスやキーボード等の入力機器で構成され、作業者による入力操作を受け付ける。なお、表示部23および入力部24を別体で構成する必要はなく、タッチパネルによってこれらを一体的に構成してもよい。
【0024】
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)等で構成され、部品実装システム1において部品実装機6の保守・管理を行う作業者に関する情報を示す作業者情報Ioや、後述する部品補給作業支援を実行するための部品補給作業支援プログラム31を記憶する。この部品補給作業支援プログラム31は、記録媒体32に記録された状態で提供され、演算部21が記録媒体32から部品補給作業支援プログラム31を読み出して記憶部25に保存する。このような記録媒体32としては、外付けのHDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリあるいは外部のコンピュータに搭載の記憶装置(HDD、SSD)等が挙げられる。
【0025】
図2は部品実装システムが備える部品実装機の一例を模式的に示す平面図であり、
図3は部品実装機で使用される部品供給リールの一例を模式的に示す側面図である。
図2では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向が示されている。この部品実装機6は一対のコンベア61を備え、コンベア61によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図2の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Eを実装し、部品Eが実装された基板B(部品実装済み基板B)をコンベア61により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0026】
部品実装機6では、Y方向に延びる一対のY軸レール621と、Y方向に延びるY軸ボールネジ622と、Y軸ボールネジ622を回転駆動するY軸モータ623とが設けられ、X軸レール624が一対のY軸レール621にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ622のナットに固定されている。X軸レール624には、X方向に延びるX軸ボールネジ625と、X軸ボールネジ625を回転駆動するX軸モータ626とが取り付けられており、ヘッドユニット63がX軸レール624にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ625のナットに固定されている。したがって、Y軸モータ623によりY軸ボールネジ622を回転させて、Y軸レール621をY方向に移動させることでヘッドユニット63をY方向に移動させ、あるいはX軸モータ626によりX軸ボールネジ625を回転させてヘッドユニット63をX方向に移動させることができる。
【0027】
一対のコンベア61のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部64がX方向に並んでおり、各部品供給部64に対してはフィーダ取付台車65が着脱可能に取り付けられている。このフィーダ取付台車65には、X方向に並ぶ複数のテープフィーダ7が着脱可能に取り付けられている。換言すれば、各部品供給部64では、複数のフィーダセット位置SがX方向に並んでおり、テープフィーダ7はフィーダセット位置Sに着脱可能に取り付けられる。そして、フィーダセット位置Sに装着されたテープフィーダ7に対して、部品供給リール41(
図3)が配置される。
【0028】
図3に示すように、部品供給リール41は、軸心411と、軸心411を両側から挟む2枚の側板412とを有し、軸心411に巻き付けられた部品供給テープTPを保持する。この部品供給テープTPには、複数の部品が並んで収納されている。また、部品供給リール41を識別するリールID413と、部品供給リール41に保持される部品供給テープTPに収納される部品Eを識別する部品ID414とが、側板412に付されている。
【0029】
こうして、テープフィーダ7に装着される部品供給テープTPを保持する部品供給リール41が複数のテープフィーダ7のそれぞれに対して配置され、フィーダ取付台車65はこれら部品供給リール41を保持する。部品供給テープTPは、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収納する。各テープフィーダ7は、部品供給リール41から引き出した部品供給テープTPをコンベア61側に間欠的に送り出すことで、部品供給テープTP内の部品を部品供給位置70に供給する(部品供給動作)。
【0030】
ヘッドユニット63は、X方向に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド631を有する。各実装ヘッド631はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルによって部品Eを吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド631はテープフィーダ7の上方へ移動して、テープフィーダ7により部品供給位置70に供給された部品Eを吸着する。続いて、実装ヘッド631は作業位置の基板Bの上方に移動して部品Eの吸着を解除することで、基板Bに部品Eを実装する。こうして、実装ヘッド631は、テープフィーダ7により部品供給位置70に供給された部品Eを部品供給テープTPから取り出して基板Bに実装する部品実装を実行する。
【0031】
図1に示すように、部品実装機6は、演算部601、通信部602、報知部603、リーダ604および記憶部605を備える。演算部601は、例えばCPUで構成されたプロセッサやFPGA(Field-Programmable Gate Array)であり、ヘッドユニット63およびテープフィーダ7の動作を制御することで、基板Bへの部品Eの実装を所定の手順で実行する。また、演算部601は、通信部602、報知部603、リーダ604および記憶部605を制御する。通信部602は、サーバコンピュータ2の通信部22と通信を行うことで、サーバコンピュータ2からデータを受信したり、サーバコンピュータ2にデータを送信したりする。通信部602と通信部22との間の通信は、有線通信および無線通信のいずれでも構わない。報知部603は、例えば警告ランプを有し、テープフィーダ7に対する部品供給テープTPの補給を作業者に要求する残数警告を、このランプを点灯させることで作業者に報知する。なお、残数警告の報知態様は、この例に限られず、部品実装機6に設けられたディスプレイや、作業者の携帯端末のディスプレイに、部品供給テープTPの補給を要求する画面を表示することで、残数警告を報知してもよい。リーダ604は、上述のリールID413および部品ID414を読み取るスキャナである。
【0032】
記憶部25は、例えばHDDあるいはSSD等で構成され、テープフィーダ7に対する部品供給テープTPの補給の要否を判断する基準となる閾個数Tnを保存する。この閾個数Tnは1以上の整数である。また、記憶部25は、部品供給テープTPに収納される部品Eの個数(初期個数)を、当該部品供給テープTPに収納される部品Eの部品ID414と対応付けて保存する。そして、演算部601は、記憶部25に保存されたこれらのデータに基づき、部品供給テープTPに収納される部品Eの個数を管理する。
【0033】
つまり、作業者は、テープフィーダ7へ部品供給テープTPを装着する際にリーダ604を操作することで、部品供給テープTPの部品ID414をリーダ604によって読み取る。そして、演算部601は、リーダ604によって読み取られた部品ID414に基づき、テープフィーダ7へ装着された部品供給テープTPの部品Eの個数(初期個数)を取得する。テープフィーダ7が部品供給テープTPに収納される部品Eの供給を開始すると、演算部601は、現時点において部品供給テープTPに収納される部品Eの個数、すなわち残数を算出する。この残数は、テープフィーダ7への装着時に部品供給テープTPに収納される部品Eの個数(初期個数)から、当該部品供給テープTPから取り出された部品Eの個数(使用個数)を減算することで求められる。そして、演算部601は、部品供給テープTP内の部品Eの残数が閾個数Tn以下となると、当該部品供給テープTPが装着されているテープフィーダ7への部品供給テープTPの補給を要求するために、報知部603によって警告を報知する(残数警告)。
【0034】
これによって、部品Eの残数が閾個数Tn以下となったタイミング(報知タイミング)で、残数警告が報知される。閾個数Tnは1以上の整数であることから、残数警告の報知タイミングは、部品切れ(残数がゼロ)となるタイミングより前となる。残数警告を確認した作業者は、残数警告の対象となっているテープフィーダ7に対して新たな部品供給リール41を配置し、このテープフィーダ7に装着された部品供給テープTPと、新たな部品供給リール41から引き出した部品供給テープTPとを接続するスプライシングを実行する(補給作業)。
【0035】
特に本実施形態では、サーバコンピュータ2が、補給作業を実行できる作業者の数および能力に応じて閾個数Tnを調整することで、作業者による補給作業を支援する。なお、閾個数Tnは、複数のテープフィーダ7のそれぞれに対して個別に設定することができる。ただし、閾個数Tnの調整態様は、複数のテープフィーダ7で共通するため、ここでは、これらテープフィーダ7を特に区別せずに説明を行う。
【0036】
図4は部品補給作業支援方法の第1例を示すフローチャートであり、
図5は
図4の部品補給作業支援方法の第1例で算出される内容を模式的に示す図であり、
図6は
図4の部品補給作業支援方法の第1例で参照されるテーブルを模式的に示す図である。ステップS101では、演算部21は、作業者情報Ioを取得して、記憶部25に保存する。この作業者情報Ioの取得は、例えば作業者による入力部24への入力操作に基づき実行される。
【0037】
図5の左端に示されるように、作業者情報Ioは、各作業者を識別するための作業者IDと、各作業者の作業レベルとを示す。ここで、作業レベルは、作業者が補給作業を実行する能力を示し、補給作業に要する作業時間が短い作業者ほど、高い作業レベルが対応付けられる。
図5の例では、作業レベルは1~5の5段階で示され、大きな数値ほど高い作業レベルを示す。
図5の例では、作業者情報Ioは、3人の作業者それぞれの作業者ID_a、ID_b、ID_cと、3人の作業者それぞれの作業レベル(2、5、3)とを対応付けて示す。なお、作業者の人数は、ここの例に限られず、複数人であればよい。
【0038】
また、ステップS101では、演算部21は、部品実装が実行される基板生産時間を複数の時間帯に分割し、各時間帯に対して割り当てられた作業者の作業者IDを取得する。この時間帯毎の作業者の割り当てを示す情報は、例えば作業者による入力部24への入力操作に基づき実行される。ここの例では、部品実装が実行される基板生産時間(6時~19時)を1時間ごとに分割して、複数の時間帯が設定される。また、作業者ID_aは、6時台から14時台(換言すれば6時~15時)までに属する各時間帯に対して割り当てられ、作業者ID_bは、8時台から16時台(換言すれば8時~17時)までに属する各時間帯に対して割り当てられ、作業者ID_cは、10時台から18時台(換言すれば10時~19時)までに属する各時間帯に対して割り当てられる。そして、各作業者ID_a、ID_b、ID_cは、割り当てられた時間帯において補給作業を実行することができる。
【0039】
ステップS102では、演算部21は、ステップS101で取得した情報に基づき、総能力指標値を時間帯毎に算出する。この総能力指標値は、対象となる時間帯に割り当てられた作業者の作業レベルの合計値に相当する。例えば、6時~8時に属する時間帯は、作業者ID_aの1人の作業者が割り当てられているため、総能力指標値は「2」となり、8時~10時に属する時間帯は、作業者ID_a、ID_bの2人の作業者が割り当てられているため、総能力指標値は「7」となり、10時~15時に属する時間帯は、作業者ID_a、ID_b、ID_cの3人の作業者が割り当てられているため、総能力指標値は「10」となる。
【0040】
ステップS103では、演算部21は、ステップS102で算出した総能力指標値に基づき、各時間帯で用いる閾個数Tnを設定する。この閾個数Tnの設定は、
図6のテーブルが示す総能力指標値と閾個数閾個数Tnとの対応関係に基づき実行される。このテーブルは、総能力指標値の可変レンジを複数の階級に分割して、複数の階級に互いに異なる複数の閾個数Tn1~Tn5を対応付ける。ここで、Tn1>Tn2>Tn3>Tn4>Tn5が成立する。つまり、総能力指標値が大きいほど少ない閾個数Tnが設定され、換言すれば、総能力指標値が小さいほど多い閾個数Tnが設定される。その結果、
図5の例では、6時~8時に属する時間帯では、閾個数Tn1が設定され、8時~10時に属する時間帯では、閾個数Tn3が設定され、10時~15時に属する時間帯では、閾個数Tn4が設定される。
【0041】
このように閾個数Tnを設定することで、総能力指標値が大きいほど遅い報知タイミング(すなわち、部品切れに近い報知タイミング)で残数警告が報知され、換言すれば、総能力指標値が小さいほど早い報知タイミング(すなわち、部品切れから遠い報知タイミング)で残数警告が報知されることとなる。つまり、総能力指標値が大きいほど、報知タイミングと部品切れのタイミングとの間隔が短くなり、総能力指標値が小さいほど、報知タイミングと部品切れのタイミングとの間隔が長くなる。
【0042】
以上に説明するように、部品補給作業支援方法の第1例によれば、部品実装機6は、テープフィーダ7による部品Eの供給に伴った部品供給テープTP(部品収納部材)の部品残数の減少に応じた所定の報知タイミング(すなわち、部品残数が閾個数Tn以下となったタイミング)で部品供給テープTPの補給作業を要求する残数警告を作業者に報知する。特に、この報知タイミングは、補給作業を実行する作業者の人数および能力を示す作業者情報Ioに基づき調整される。したがって、補給作業を実行できる作業者の数や能力に応じた適切なタイミングで補給作業を実行して、部品切れの発生を抑制することが可能となっている。
【0043】
また、演算部21は、作業者の人数が少ないほど報知タイミングを早く設定するとともに、作業者の能力が低いほど報知タイミングを早く設定する。これによって、作業者の人数および能力に応じて、補給作業に要する時間を適切に確保することができる。
【0044】
また、報知タイミングは、部品供給テープTPに収納される部品Eの残数が閾個数Tn以下になったタイミングである。これに対して、演算部21は、作業者の人数が多いほど閾個数Tnを少なくし、作業者の能力が高いほど閾個数Tnを少なくすることで、報知タイミングを調整する。かかる構成では、部品Eの残数と閾個数Tnとの比較といった簡便な制御によって、作業者の人数および能力に応じた適切な報知タイミングを設定できる。
【0045】
また、作業者情報Ioは、複数の時間帯のそれぞれについて作業者の人数および能力を示す。これに対して、演算部21は、複数の時間帯のそれぞれに対して、当該時間帯における作業者の人数および能力に応じた報知タイミングを設定する。かかる構成では、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきに応じて、報知タイミングを適切に設定できる。
【0046】
また、演算部21は、作業者の能力の合計値に応じた総能力指標値を時間帯毎に算出して、複数の時間帯それぞれに対して総能力指標値に基づき報知タイミングを設定する。かかる構成では、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきに応じて、報知タイミングを適切に設定できる。
【0047】
図7は部品補給作業支援方法の第2例を示すフローチャートであり、
図8は
図7の部品補給作業支援方法の第2例で実行される内容を模式的に示す図である。上記の第1例と同様に、演算部21は、作業者情報Ioや、各時間帯への作業者の割り当てを取得して記憶部25に保存し(ステップS101)、総能力指標値を時間帯毎に算出する(ステップS102)。ステップS102の実行結果は、上記の
図5の内容となる。
図5に示すように、各時間帯の総能力指標値は、2~10の幅でばらついている。
【0048】
そこで、演算部21は、各時間帯の総能力指標値のばらつきの幅が
図5の幅より小さくなるように、各時間帯に対する作業者の割り当てを最適化する(ステップS104)。このような最適化を実行する条件としては、例えば、複数の作業者ID_a、ID_b、ID_cそれぞれに割り当てる時間帯の数(9個)を変えずに、複数の作業者ID_a、ID_b、ID_cのうち作業レベルが最低の作業者ID_aが単独で作業する時間帯の数を最小化するとともに、作業レベルが最高の作業者ID_bが単独で作業する時間帯の数を最大化するという条件が挙げられる。これによって、
図8に示すように、作業者ID_aに割り当てられた各時間帯(10時~19時)は、作業者ID_bに割り当てられた各時間帯(6時~15時)および作業者ID_bに割り当てられた各時間帯(10時~19時)の少なくとも一方と重複する。その結果、作業者ID_aが単独で作業する時間帯は消失し、各時間帯の総能力指標値のばらつきの幅は5~10(すなわち、5=10-5)に抑えられている。
【0049】
ステップS105では、最適化された作業者の割り当て(すなわち、
図8の結果)を、表示部23に表示することで作業者に提案する。ここの例では、
図8に示すように、各時間帯への作業者の割り当てと、各時間帯の総能力指標値の両方が、表示部23に表示される。ただし、総能力指標値の表示は省略しても構わない。
【0050】
次のステップS103では、演算部21は、
図8に示す最適化された作業者の割り当て結果と、
図6のテーブルとに基づき、各時間帯で用いる閾個数Tnを設定する。その結果、6時~10時に属する時間帯では、閾個数Tn2が設定され、10時~15時に属する時間帯では、閾個数Tn4が設定され、15時~19時に属する時間帯では、閾個数Tn2が設定される。
【0051】
このように、部品補給作業支援方法の第2例によれば、演算部21は、複数の時間帯それぞれの総能力指標値に基づき、複数の時間帯のそれぞれにおける作業者の人数の変更を提案する。これによって、作業者の人数および能力の時間帯毎のばらつきを緩和することが可能となる。
【0052】
図9は部品補給作業支援方法の第3例を示すフローチャートである。この第3例では、第1例と同様に、ステップS101~S103が順番に実行されて、
図5に示す結果に基づき、各時間帯の閾個数Tnが設定される。さらに、演算部21は、総能力指標値が閾指標値以上となる時間帯が存在するかを判断する(ステップS106)。ここの例は、閾指標値は10であり、10時~15時に属する各時間帯において、総能力指標値が閾指標値以上となる。
【0053】
そこで、演算部21は、10時~15時に属する各時間帯(対象時間帯)において、補給作業とは異なる他の作業の実行を、表示部23に表示することで作業者に提案する。他の作業としては、例えば、リールの準備作業、フィーダの交換作業あるいは廃棄テープの回収作業等が挙げられる。この際、他の作業に要する作業量を、作業者の作業レベルに応じて按分して、表示部23に表示してもよい。例えば、リールの準備作業を他の作業として提案する場合、準備すべきリールの本数を、作業者ID_a、ID_b、ID_cの作業レベル2、5、3に応じて按分すればよい。
【0054】
このように、部品補給作業支援方法の第3例によれば、演算部21は、複数の時間帯それぞれのうち、総能力指標値が所定の閾指標値以上である時間帯(10時~15時に属する各時間帯)において、補給作業とは異なる作業の作業者への割り当てを提案する。これによって、作業者の人数および能力が過剰な時間帯において、作業者は補給作業とは異なる作業を実行でき、作業者の作業効率の向上を図ることができる。
【0055】
図10は部品補給作業支援方法の第4例を示すフローチャートであり、
図11は
図10の部品補給作業支援方法の第4例で参照されるテーブルを模式的に示す図である。
図10のフローチャートでは、作業者がスプライシングに要する作業時間を求めた結果に基づき作業者の作業レベルを設定する。
【0056】
作業者は、スプライシングを開始する際に、当該作業者のIDをリーダ604によって読み取り、演算部21は、リーダ604が読み取った作業者IDを取得する(ステップS201)。ステップS202では、作業者がスプライシングを実行する。スプライシングが完了すると、作業者は、スプライシングの対象となった部品供給テープTPに収納される部品Eの部品ID414をリーダ604によって読み取り、演算部21は、リーダ604が読み取った部品ID414を取得する(ステップS203)。
【0057】
そして、演算部21は、ステップS201で作業者IDを取得してから、ステップS203で部品ID414を取得するまでの時間を作業時間として算出する(ステップS204)。こうして算出された作業時間は、対象となる作業を実行した作業者のID、すなわちステップS201で取得された作業者IDと関連付けられて、記憶部25に蓄積される。
【0058】
ステップS206では、演算部21は作業レベルを設定するか否かを判断する。具体的には、作業者が入力部24を操作して、作業レベルを設定せよとの指令を入力した場合には、作業レベルを設定すると判断する。あるいは、1日の基板生産が終了すると、作業レベルを設定すると判断してもよい。作業レベルを設定しない間(ステップS206で「NO」の間)は、ステップS201~S205が繰り返されて、作業時間が蓄積される。
【0059】
一方、作業レベルを設定すると判断すると(ステップS206で「YES」)、演算部21は、記憶部25に蓄積された各作業者の作業時間に基づき、各作業者の作業レベルを設定する(ステップS207)。この作業レベルの設定は、
図11のテーブルが示す作業時間と作業レベルとの対応関係に基づき実行される。このテーブルは、作業時間の異なる複数の階級に互いに異なる作業レベルを対応付けており、作業時間が短い階級ほど、高い作業レベルが対応付けられる。
【0060】
具体的に説明すると、ステップS207では、作業者ID_a、ID_b、ID_cそれぞれの作業時間の平均値が算出される。例えば、作業者ID_aの作業時間の平均値が35秒であり、作業者ID_bの作業時間の平均値が5秒であり、作業者ID_cの作業時間の平均値が25秒である場合、作業者ID_a、ID_b、ID_cの作業レベルは、
図5の例と同様に、2、5、3に設定される。
【0061】
このように、部品補給作業支援方法の第4例では、演算部21は、作業者が補給作業に要した作業時間を取得し、作業者の作業レベル(能力)を作業者について取得した作業時間に基づき設定する。これによって、作業者が実際に実行した補給作業に要した作業時間に応じて、作業者の能力を適切に設定できる。
【0062】
このように上記の実施形態では、部品実装システム1が本発明の「部品実装システム」の一例に相当し、サーバコンピュータ2が本発明の「部品補給作業支援装置」および「コンピュータ」の一例に相当し、演算部21が本発明の「演算部」の一例に相当し、記憶部25が本発明の「記憶部」の一例に相当し、記録媒体32が本発明の「記録媒体」の一例に相当し、部品実装機6が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、テープフィーダ7が本発明の「フィーダ」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、作業者情報Ioが本発明の「作業者情報」の一例に相当し、部品供給テープTPが本発明の「部品収納部材」の一例に相当する。
【0063】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図5、
図6、
図8および
図11等に示した数値は一例に過ぎないことは言うまでもない。
【0064】
また、
図6あるいは
図11のテーブルを、作業者が入力部24を操作することで編集できるように構成してもよい。
【0065】
また、
図5あるいは
図8の総能力指標値は、各作業者の作業レベルの合計値をそのまま用いるのではなく、この合計値に係数を乗じて正規化した値を用いてもよい。
【0066】
また、ステップS104において各時間帯に対する作業者の割り当てを最適化する条件は、上記の例に限られず、適宜変更することができる。
【0067】
また、テープフィーダ7とは異なる種類のフィーダ、例えばトレイ部品を供給するトレイフィーダへの部品の補給作業に対して、上述の部品補給作業支援を実行してもよい。
【0068】
また、ステップS204で作業時間を求める方法は、上記の例に限られない。例えば、補給作業のために作業者が実行する動作を動画で撮影して、各動画と作業時間との関係をサーバコンピュータ2に機械学習させてもよい。この場合、演算部21は、ステップS201で作業者IDを取得すると、カメラによって作業者の動作を撮像し、その撮像結果と機械学習の結果に基づき作業時間を求めることができる。
【0069】
また、閾個数Tnによって報知タイミングを設定するのではなく、部品切れの時刻を予測して、当該時刻より所定時間だけ前のタイミングを報知タイミングに設定してもよい。この場合、作業者の人数および作業レベルに応じて、当該所定時間を調整すればよい。
【符号の説明】
【0070】
1…部品実装システム
2…サーバコンピュータ(部品補給作業支援装置、コンピュータ)
21…演算部
25…記憶部
32…記録媒体
6…部品実装機
7…テープフィーダ(フィーダ)
B…基板
E…部品
Io…作業者情報
TP…部品供給テープ