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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電子デバイス防護装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H05K9/00 W
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019031691
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020136606
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】穴吹 直久
(72)【発明者】
【氏名】草野 将樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 茂
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】山澤 宏
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-99706(JP,A)
【文献】特開2015-231070(JP,A)
【文献】特開2004-361349(JP,A)
【文献】特開2006-261633(JP,A)
【文献】特開2010-10303(JP,A)
【文献】特開2013-77701(JP,A)
【文献】特開2014-167443(JP,A)
【文献】特開昭61-226919(JP,A)
【文献】特表2001-521665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)に破壊、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部と、
前記電子デバイスの防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部と、
前記センシング部によって検知され、特定された入射線の種別に応じて前記応答部の動作を制御する解析制御部
とを備え
前記解析制御部が、前記センシング部に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行うように構成され、
前記応答部が、前記スペクトル分析の結果に応じて、前記外来電磁波の逆位相を有する電磁波であり前記外来電磁波をキャンセルするキャンセリング波を放射するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項2】
電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)に破壊、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部と、
前記電子デバイスの防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部と、
前記センシング部によって検知され、特定された入射線の種別に応じて前記応答部の動作を制御する解析制御部
とを備え
前記解析制御部が、前記センシング部に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行うように構成され、
前記応答部が、前記スペクトル分析の結果、前記外来電磁波が前記電子デバイスに破壊、故障又は誤動作を生じさせ得ると分析された場合に、前記外来電磁波を出射する実体に向けて妨害電磁波を放射するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項3】
電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)に破壊、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部と、
前記電子デバイスの防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部と、
前記センシング部によって検知され、特定された入射線の種別に応じて前記応答部の動作を制御する解析制御部
とを備え
前記センシング部が、外来電磁波を受け取り、受け取った前記外来電磁波を導波するように構成された導波路を備え、
前記解析制御部が、前記導波路から受け取った電磁波の位相を制御して前記外来電磁波と逆位相の電磁波を生成するように構成され、
前記導波路から受け取った電磁波と前記逆位相の電磁波とが重畳されて前記外来電磁波がキャンセルされる
電子デバイス防護装置。
【請求項4】
電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)に破壊、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部と、
前記電子デバイスの防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部と、
前記センシング部によって検知され、特定された入射線の種別に応じて前記応答部の動作を制御する解析制御部
とを備え
前記センシング部が、外来電磁波を受け取り、受け取った前記外来電磁波を導波するように構成された導波路を備え、
前記解析制御部が、前記導波路から受け取った電磁波の位相を制御して前記外来電磁波と逆位相の電磁波を生成するように構成され、
前記応答部が、生成された前記逆位相の電磁波であり前記外来電磁波をキャンセルするキャンセリング波を放射するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記応答部が、電磁メタマテリアルで構成された再構成可能電磁シールドを備え、
前記解析制御部が、前記センシング部に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行い、前記スペクトル分析の結果に応じて前記再構成可能電磁シールドの電磁特性を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項6】
請求項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記再構成可能電磁シールドが、前記電子デバイスを備える電子機器を収容する筐体に組み込まれた
電子デバイス防護装置。
【請求項7】
請求項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記再構成可能電磁シールドが、前記電子デバイスを収容するパッケージに、前記電子デバイスを覆うように組み込まれた
電子デバイス防護装置。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電界センサを備えており、
前記応答部が、電源装置から前記電子デバイスに電源電圧を供給する電源線に設けられ、サージが前記電源線を介して前記電子デバイスに侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第1保護装置を備え、
前記解析制御部が、前記電界センサによって計測された電界強度に応じて前記第1保護装置を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電界センサを備えており、
前記応答部が、前記電子デバイスと外部機器との間に接続された通信線に設けられ、サージが前記通信線を介して前記電子デバイスに侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第2保護装置を備え、
前記解析制御部が、前記電界センサによって計測された電界強度に基づいて前記第2保護装置を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電界センサを備えており、
前記解析制御部が、前記電界センサによって計測された電界強度に基づいて前記電子デバイスの動作を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、赤外線から紫外線の波長の光を受光する受光器を備え、
前記応答部が、電磁メタマテリアルで構成された再構成可能電磁シールドを備え、
前記解析制御部が、前記受光器に入射した前記光のスペクトル分析を行い、前記スペクトル分析の結果に応じて前記再構成可能電磁シールドの電磁特性を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項12】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、赤外線から紫外線の波長の光を受光する受光器を備え、
前記解析制御部が、前記受光器に入射した前記光の強度に基づいて前記電子デバイスの動作を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項13】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器を備えており、
前記応答部が、電源装置から前記電子デバイスに電源電圧を供給する電源線に設けられ、サージが前記電源線を介して前記電子デバイスに侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第1保護装置を備え、
前記解析制御部が、前記電離放射線検知器の出力に基づいて前記電離放射線の分析を行い、前記電離放射線の分析の結果に基づいて前記第1保護装置を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項14】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器を備えており、
前記応答部が、前記電子デバイスと外部機器との間に接続された通信線に設けられ、サージが前記通信線を介して前記電子デバイスに侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第2保護装置を備え、
前記解析制御部が、前記電離放射線検知器の出力に基づいて前記電離放射線の分析を行い、前記電離放射線の分析の結果に基づいて前記第2保護装置を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子デバイス防護装置であって、
前記センシング部が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器を備えており、
前記解析制御部が、前記電離放射線検知器の出力に基づいて前記電離放射線の分析を行い、前記電離放射線の分析の結果に基づいて前記電子デバイスの動作を制御するように構成された
電子デバイス防護装置。
【請求項16】
電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)と、
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の電子デバイス防護装置
とを備える
電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス防護装置及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI(large scale integrated circuit)及び電子回路のような電子デバイスを備える電子機器は、外来電磁波、外来放射線が多い環境に置かれると、電子デバイスが破壊(損傷)、故障又は誤動作して所望の機能を発揮できないことがある。また、電子機器の用途によっては、意図的に電磁波、放射線を照射することで電子デバイスを破壊(損傷)、故障又は誤動作させる攻撃を受けることもある。特に外部からの攻撃については電子デバイスに入射される電磁波及び放射線の種別が予測不能な場合がある。このため、電子デバイスを防護する装置は、広範囲な外来電磁波、外来放射線に対応可能であることが望まれる。
【0003】
なお、米国特許出願公開第2018/0097284号明細書は、再構成可能なメタマテリアルで形成されたシールドを備える再構成可能な通信システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0097284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、広範囲な外来電磁波及び/又は外来放射線に対応可能な電子デバイス防護装置を提供することにある。本発明の他の目的及び新規な特徴は、以下の開示から当業者には理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、「発明を実施するための形態」で使用される符号を付しながら、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明を実施するための形態」との対応関係の一例を示すために付加されたものである。
【0007】
一実施形態では、電子デバイス防護装置(20)が、電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)(12)に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部(21)と、電子デバイス(12)の防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部(23)と、センシング部(21)によって検知され、特定された入射線の種別に応じて応答部(23)の動作を制御する解析制御部(22)とを備え、前記解析制御部が、前記センシング部に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行うように構成され、前記応答部が、前記スペクトル分析の結果に応じて、前記外来電磁波の逆位相を有する電磁波であり前記外来電磁波をキャンセルするキャンセリング波を放射するように構成されている。
一実施形態では、電子デバイス防護装置(20)が、電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)(12)に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部(21)と、電子デバイス(12)の防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部(23)と、センシング部(21)によって検知され、特定された入射線の種別に応じて応答部(23)の動作を制御する解析制御部(22)とを備え、前記解析制御部が、前記センシング部に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行うように構成され、前記応答部が、前記スペクトル分析の結果、前記外来電磁波が前記電子デバイスに破壊、故障又は誤動作を生じさせ得ると分析された場合に、前記外来電磁波を出射する実体に向けて妨害電磁波を放射するように構成されている。
一実施形態では、電子デバイス防護装置(20)が、電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)(12)に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部(21)と、電子デバイス(12)の防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部(23)と、センシング部(21)によって検知され、特定された入射線の種別に応じて応答部(23)の動作を制御する解析制御部(22)とを備え、前記センシング部が、外来電磁波を受け取り、受け取った前記外来電磁波を導波するように構成された導波路を備え、前記解析制御部が、前記導波路から受け取った電磁波の位相を制御して前記外来電磁波と逆位相の電磁波を生成するように構成され、前記導波路から受け取った電磁波と前記逆位相の電磁波とが重畳されて前記外来電磁波がキャンセルされる。
一実施形態では、電子デバイス防護装置(20)が、電子デバイス(外来電磁波又は外来放射線を観測するための電子デバイスを除く。)(12)に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る電磁波又は放射線であり、非電離放射線および電離放射線を含む複数の種別の入射線を検知するセンシング部(21)と、電子デバイス(12)の防護のための複数の動作を実行可能に構成された応答部(23)と、センシング部(21)によって検知され、特定された入射線の種別に応じて応答部(23)の動作を制御する解析制御部(22)とを備え、前記センシング部が、外来電磁波を受け取り、受け取った前記外来電磁波を導波するように構成された導波路を備え、前記解析制御部が、前記導波路から受け取った電磁波の位相を制御して前記外来電磁波と逆位相の電磁波を生成するように構成され、前記応答部が、生成された前記逆位相の電磁波であり前記外来電磁波をキャンセルするキャンセリング波を放射するように構成されている。
【0008】
一実施形態では、応答部(23)が、電磁メタマテリアルで構成された再構成可能電磁シールド(51、52)を備え、解析制御部(22)が、センシング部(21)に入射した外来電磁波のスペクトル分析を行い、スペクトル分析の結果に応じて再構成可能電磁シールド(51、52)の電磁特性を制御するように構成される。
【0009】
一実施形態では、再構成可能電磁シールド(51)が、電子デバイス(12)を備える電子機器(10)を収容する筐体(11)に組み込まれる。
【0010】
一実施形態では、再構成可能電磁シールド(52)が、電子デバイス(12)を収容するパッケージ(13)に、電子デバイス(12)を覆うように組み込まれる。
【0015】
一実施形態では、センシング部(21)が、電界センサ(34)を備えており、応答部(23)が、電源装置(60)から電子デバイス(12)に電源電圧を供給する電源線(57)に設けられ、サージが電源線(57)を介して電子デバイス(12)に侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第1保護装置(55)を備え、解析制御部(22)が、電界センサ(34)によって計測された電界強度に応じて第1保護装置(55)を制御するように構成される。
【0016】
一実施形態では、センシング部(21)が、電界センサ(34)を備えており、応答部(23)が、電子デバイス(12)と外部機器(70)との間に接続された通信線(58)に設けられ、サージが通信線(58)を介して電子デバイス(12)に侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第2保護装置(56)を備え、解析制御部(22)が、電界センサ(34)によって計測された電界強度に基づいて第2保護装置(56)を制御するように構成される。
【0017】
一実施形態では、センシング部(21)が、電界センサ(34)を備えており、解析制御部(22)が、電界センサ(34)によって計測された電界強度に基づいて電子デバイス(12)の動作を制御するように構成される。
【0018】
一実施形態では、センシング部(21)が、赤外線から紫外線の波長の光を受光する受光器(33)を備え、応答部(23)が、電磁メタマテリアルで構成された再構成可能電磁シールド(51、52)を備え、解析制御部(22)が、受光器(33)に入射した光のスペクトル分析を行い、スペクトル分析の結果に応じて再構成可能電磁シールド(51、52)の電磁特性を制御するように構成される。
【0019】
一実施形態では、センシング部(21)が、赤外線から紫外線の波長の光を受光する受光器(33)を備え、解析制御部(22)が、受光器(33)に入射した光の強度に基づいて電子デバイス(12)の動作を制御するように構成される。
【0020】
一実施形態では、センシング部(21)が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器(35、36、37)を備えており、応答部(23)が、電源装置(60)から電子デバイス(12)に電源電圧を供給する電源線(57)に設けられ、サージが電源線(57)を介して電子デバイス(12)に侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第1保護装置(55)を備えており、解析制御部(22)が、電離放射線検知器(35、36、37)の出力に基づいて電離放射線の分析を行い、電離放射線の分析の結果に基づいて第1保護装置(55)を制御するように構成されている。
【0021】
一実施形態では、センシング部(21)が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器(35、36、37)を備えており、応答部(23)が、電子デバイス(12)と外部機器(70)との間に接続された通信線(58)に設けられ、サージが通信線(58)を介して電子デバイス(12)に侵入することを防ぐ保護動作を行うように構成された第2保護装置(56)を備え、解析制御部(22)が、電離放射線検知器(35、36、37)の出力に基づいて電離放射線の分析を行い、電離放射線の分析の結果に基づいて第2保護装置(56)を制御するように構成されている。
【0022】
一実施形態では、センシング部(21)が、電離放射線を検知するように構成された電離放射線検知器(35、36、37)を備えており、解析制御部(22)が、電離放射線検知器(35、36、37)の出力に基づいて電離放射線の分析を行い、電離放射線の分析の結果に基づいて電子デバイス(12)の動作を制御するように構成されている。
【0023】
一実施形態では、電子装置が、電子デバイス(12)と、上記の電子デバイス防護装置(20)とを備えている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、広範囲な外来電磁波及び/又は外来放射線に対応可能な電子デバイス防護装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態における電子装置の構成を示す斜視図である。
図2】一実施形態における電子デバイス防護装置の構成を示す部分断面図である。
図3】一実施形態における電子デバイス防護装置の構成を示すブロック図である。
図4】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図5】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図6】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図7】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図8】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図9】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図10】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図11】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図12】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
図13】一実施形態における電子デバイス防護装置の動作を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0027】
一実施形態では、図1に示すように、電子装置100が、電子機器10と、電子機器10を収容する筐体11とを備えている。電子機器10は、例えばLSI、電子回路のような電子デバイス12を備えている。電子デバイス12に外来電磁波又は外来放射線が入射すると、電子デバイス12が破壊(損傷)、故障又は誤動作し得る。以下に述べられる実施形態では、電子デバイス12に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る外来電磁波又は外来放射線が電子装置100に入射したときに電子デバイス12を防護するための技術が提供される。
【0028】
一実施形態では、図2に示すように、電子デバイス12がパッケージ13に収容され、更に、電子デバイス12を防護する電子デバイス防護装置20が電子装置100に組み込まれる。電子デバイス防護装置20は、センシング部21と、解析制御部22と、応答部23とを備えている。センシング部21は、電子デバイス12に破壊(損傷)、故障又は誤動作を生じさせ得る入射線の入射を検知する。入射線は、非電離放射線、電離放射線のいずれでもあり得る。一実施形態では、非電離放射線は、電離作用を生じさせない波長の電磁波を含む。一実施形態では、電離放射線は、電離作用を生じさせる波長の電磁波(例えば、X線及びガンマ線)と、電離作用を生じさせる粒子線(例えば、中性子線、アルファ線、ベータ線)とを含む。一実施形態では、センシング部21は、筐体11の外に設けられる。ただし、これに限定されない。
【0029】
解析制御部22は、センシング部21から受け取った検知出力に基づき、検知された入射線の種別に応じて応答部23の動作を制御する。一実施形態では、解析制御部22は、は、筐体11の内部に設けられる。ただし、これに限定されない。
【0030】
応答部23は、解析制御部22による制御の下、電子デバイス12の防護のための様々な動作を実行可能に構成されている。図2には、応答部23に含まれる再構成可能電磁シールド51、52及び保護装置55、56が図示されている。ただし、後述のように、応答部23は、電子デバイス12の防護に用いられる他のデバイスも含み得る。
【0031】
図3は、一実施形態における電子デバイス防護装置20の構成を示すブロック図である。センシング部21は、導波路30と、電波受信機31と、テラヘルツ波センサ32と、受光器33と、電界センサ34と、X線・γ線センサ35と、中性子センサ36と、荷電粒子センサ37と、分配装置38と、光ガイド装置39とを備えている。また、解析制御部22は、位相制御装置41と、外来波制御装置42と、スペクトル分析装置43と、分光装置44と、スペクトル分析装置45と、制御装置46と、閾値回路47と、電離放射線分析装置48と、安全装置49とを備えている。応答部23は、再構成可能電磁シールド51、52と、放射装置53と、再構成可能指向性電波照射装置54と、保護装置55、56とを備えている。保護装置55は、電源装置60から電子デバイス12に電源電圧を供給する電源線57に挿入されており、保護装置56は、電子デバイス12と外部機器70との間に接続された通信線58に挿入されている。
【0032】
図2に図示されているように、応答部23の再構成可能電磁シールド51は、電子機器10を取り囲むように配置されている。図2に図示されている構成では、再構成可能電磁シールド51が筐体11に組み込まれているが、これに限定されない。また、再構成可能電磁シールド52は、電子デバイス12を覆うように配置されている。図2に図示されている構成では、再構成可能電磁シールド52がパッケージ13に組み込まれているが、これに限定されない。
【0033】
一実施形態では、再構成可能電磁シールド51、52が、再構成可能な(reconfigurable)電磁メタマテリアルで形成される。再構成可能電磁シールド51、52に使用される電磁メタマテリアルは、その電磁特性が再構成可能であるように構成されている。一実施形態では、再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性が、制御装置46によって制御される。
【0034】
図3に戻り、センシング部21の各構成要素は、下記のように動作する。導波路30、電波受信機31、テラヘルツ波センサ32、受光器33及び電界センサ34は、電子デバイス12を破壊(損傷)、故障又は誤動作させ得る非電離放射線を検知するための非電離放射線検知器として動作する。
【0035】
詳細には、導波路30は、外部から入射した電磁波を受け取って解析制御部22に導波する。電波受信機31は、外部から入射したマイクロ波及びマイクロ波より波長が長い電磁波を受け取り、受け取った電磁波の波形に対応する波形を有する電気信号を、分配装置38を介して解析制御部22に伝送する。テラヘルツ波センサ32は、外部から入射したテラヘルツ波を検知し、検知したテラヘルツ波の波形に対応する波形を有する電気信号を生成する。受光器33は、赤外線から紫外線の波長の光を受光面において受光し、受光した光を、光ガイド装置39を介して解析制御部22に伝送する。光ガイド装置39としては光ファイバ等が用いられ得る。電界センサ34は、入射した電磁波の電界の強度を測定する。
【0036】
X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37は、電子デバイス12を破壊(損傷)、故障又は誤動作させ得る電離放射線を検知するための電離放射線検知器として動作する。詳細には、X線・γ線センサ35は、X線及びγ線を検知する。中性子センサ36は、中性子線を検知する。荷電粒子センサ37は、荷電粒子による粒子線、例えば、アルファ線、ベータ線を検知する。
【0037】
なお、センシング部21は、導波路30、電波受信機31、テラヘルツ波センサ32、受光器33、電界センサ34、X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37の全てを備えていなくてもよい。センシング部21が備える構成要素は、電子装置100が設置される環境に応じて選択されてもよい。
【0038】
一実施形態では、解析制御部22の各構成要素が、下記のように動作する。位相制御装置41は、導波路30から受け取った電磁波から、該電磁波をキャンセルするような位相、例えば逆位相を有する電磁波を生成する。外来波制御装置42は、導波路30から受け取った電磁波を、位相制御装置41から受け取った逆位相の電磁波によって打ち消す動作を行うように構成されている。加えて、外来波制御装置42は、位相制御装置41から受け取った逆位相の電磁波を、応答部23の放射装置53に供給する動作を行うように構成されている。スペクトル分析装置43は、電波受信機31及びテラヘルツ波センサ32から受け取った電気信号についてスペクトル分析を行う。分光装置44は、光ガイド装置39から受け取った光を分光する。スペクトル分析装置45は、分光装置44の出力に基づいてスペクトル分析を行う。制御装置46は、スペクトル分析装置43、45によるスペクトル分析の結果に応じて、再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御する。
【0039】
閾値回路47は、光ガイド装置39から受け取った光の強度を所定の閾値と比較し、また、電界センサ34によって計測された電界の強度を所定の閾値と比較し、比較の結果を示す出力を安全装置49に供給する。電離放射線分析装置48は、X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37の出力に基づき、電子装置100に入射する電離放射線の分析を行う。安全装置49は、閾値回路47及び電離放射線分析装置48の出力に基づき、応答部23の保護装置55、56を制御する。加えて、安全装置49は、閾値回路47及び電離放射線分析装置48の出力に基づき、防護対象の電子デバイス12の動作を制御する。一実施形態では、安全装置49は、閾値回路47及び電離放射線分析装置48の出力に基づき、防護対象の電子デバイス12の動作を停止し、又は、電子デバイス12を安全保持モードに設定する。
【0040】
一実施形態では、応答部23の各構成要素が、下記のように動作する。再構成可能電磁シールド51、52は、電子装置100に入射した電磁波を減衰又は遮蔽する電磁シールドとして動作する。再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性は、入射する電磁波の周波数に応じて制御装置46によって制御される。これは、電磁波を効果的に減衰又は遮蔽することを可能にする。
【0041】
放射装置53は、外来波制御装置42から受け取った電磁波を電子装置100の外部に放射する。放射装置53としては、導波管及びアンテナ等が用いられ得る。
【0042】
再構成可能指向性電波照射装置54は、電波受信機31から分配装置38を介して受け取った電気信号に基づいて生成した電磁波を、電子装置100の外部に所望の方向に放射するように構成されている。一実施形態では、再構成可能指向性電波照射装置54が、電子装置100に入射した外来電磁波をキャンセルするような位相(例えば、逆位相)を有する電磁波であるキャンセリング波を放射してもよい。また、電子装置100に意図的に外来電磁波が照射される状況においては、再構成可能指向性電波照射装置54が、電波受信機31から受け取った電気信号に基づき、該外来電磁波を出射する実体(entity)に向けて妨害電磁波を出射してもよい。
【0043】
一実施形態では、再構成可能指向性電波照射装置54は、制御装置61と、フィルタ回路62と、増幅回路63と、再構成可能アンテナ素子64とを備えている。制御装置61は、スペクトル分析装置43によって得られたスペクトル分析の結果に基づき、フィルタ回路62、増幅回路63及び再構成可能アンテナ素子64の特性を制御する。フィルタ回路62は、電波受信機31から分配装置38を介して受け取った電気信号の所望の周波数成分を取り出す。増幅回路63は、フィルタ回路62から出力される電気信号を増幅する。再構成可能アンテナ素子64は、増幅回路63から出力される電気信号の波形に対応する波形を有する電磁波を出射する。再構成可能アンテナ素子64の電磁特性は、制御装置61によって制御可能であり、再構成可能アンテナ素子64から電磁波が出射される方向及び位相は、制御装置61によって制御される。再構成可能アンテナ素子64は、例えば、電磁メタマテリアルを用いて形成され得る。
【0044】
保護装置55は、安全装置49による制御の下、不所望なサージが、電子デバイス12に電源電圧を供給する電源線57を介して電子デバイス12に侵入することを防ぐ保護動作を行う。保護装置55は、電源線57の電位を制限するリミッタ回路を備えていてもよく、所定の不所望な周波数成分を遮断するフィルタ回路を備えていてもよく、また、電子デバイス12を電源装置60から切り離すスイッチ回路を備えていてもよい。
【0045】
一方、保護装置56は、安全装置49による制御の下、不所望なサージが通信線58を介して電子デバイス12に侵入することを防ぐ保護動作を行う。保護装置56は、安全装置49による制御の下、通信線58の電位を制限するリミッタ回路を備えていてもよく、所定の不所望な周波数成分を遮断するフィルタ回路を備えていてもよく、また、外部機器70を電子デバイス12から切り離すスイッチ回路を備えていてもよい。
【0046】
なお、センシング部21は、導波路30、電波受信機31、テラヘルツ波センサ32、受光器33、電界センサ34、X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37の全てを備えていなくてもよい。センシング部21が備える構成要素は、電子装置100が設置される環境に応じて選択されてもよい。また、応答部23は、再構成可能電磁シールド51、52、放射装置53、再構成可能指向性電波照射装置54及び保護装置55、56の全てを備えていなくてもよい。応答部23が備える構成要素は、電子装置100が設置される環境に応じて選択されてもよい。このような実施形態では、解析制御部22の構成は、センシング部21、応答部23が備える構成要素に応じて選択される。
【0047】
以下では、電子装置100に非電離放射線(例えば、電磁波)又は電離放射線が入射したときの電子デバイス防護装置20の動作について説明する。
【0048】
一実施形態では、図4に示すように、マイクロ波又はそれより低い周波数の外来電磁波が入射した場合に、応答部23の再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御することによって電子デバイス12が外来電磁波から防護される。詳細には、センシング部21の電波受信機31によって外来電磁波が受信され、外来電磁波に対応する波形を有する電気信号が電波受信機31から分配装置38を介して解析制御部22のスペクトル分析装置43に供給される。スペクトル分析装置43は、電波受信機31から受け取った電気信号に基づき、外来電磁波のスペクトル分析を行う。制御装置46は、スペクトル分析装置43からスペクトル分析の結果を受け取り、スペクトル分析の結果に応じて、外来電磁波が十分に減衰されるように、理想的には遮断されるように再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御する。これにより、電子デバイス12に入射する外来電磁波が低減され、又は、外来電磁波の電子デバイス12への入射が防止される。
【0049】
一実施形態では、図5に示すように、テラヘルツ波が外来電磁波として入射した場合に、応答部23の再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御することによって電子デバイス12がテラヘルツ波から防護される。詳細には、センシング部21のテラヘルツ波センサ32によってテラヘルツ波が受信され、テラヘルツ波に対応する波形を有する電気信号がテラヘルツ波センサ32から解析制御部22のスペクトル分析装置43に供給される。スペクトル分析装置43は、テラヘルツ波センサ32から受け取った電気信号に基づき、入射したテラヘルツ波のスペクトル分析を行う。制御装置46は、スペクトル分析装置43からスペクトル分析の結果を受け取り、スペクトル分析の結果に応じて、外来電磁波が十分に減衰されるように、理想的には遮断されるように再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御する。これにより、電子デバイス12に入射するテラヘルツ波が低減され、又は、テラヘルツ波の電子デバイス12への入射が防止される。
【0050】
一実施形態では、図6に示すように、マイクロ波又はそれより低い周波数の外来電磁波が入射した場合に、外来電磁波をキャンセルするような位相(例えば、逆位相)を有する電磁波であるキャンセリング波を再構成可能指向性電波照射装置54から放射することで、電子デバイス12が外来電磁波から防護される。詳細には、センシング部21の電波受信機31によって外来電磁波が受信され、外来電磁波に対応する波形を有する電気信号が電波受信機31から分配装置38を介して解析制御部22のスペクトル分析装置43に供給される。スペクトル分析装置43は、電波受信機31から受け取った電気信号に基づき、外来電磁波のスペクトル分析を行う。電波受信機31からの電気信号は、分配装置38から再構成可能指向性電波照射装置54にも供給される。再構成可能指向性電波照射装置54は、電波受信機31からの電気信号とスペクトル分析装置43によるスペクトル分析の結果とに基づき、キャンセリング波を生成し、生成したキャンセリング波を放射する。キャンセリング波を放射することで外来電磁波がキャンセルされ、電子デバイス12が外来電磁波から防護される。
【0051】
一実施形態では、再構成可能指向性電波照射装置54によるキャンセリング波の生成は、下記のようにして行われる。電波受信機31からの電気信号がフィルタ回路62に入力され、フィルタ回路62から出力される電気信号が増幅回路63によって増幅される。フィルタ回路62及び増幅回路63の特性は、スペクトル分析装置43によって得られたスペクトル分析の結果に基づき、制御装置61によって制御される。増幅回路63から出力される電気信号が再構成可能アンテナ素子64に供給され、キャンセリング波の放射に使用される。放射されるキャンセリング波の位相と方向は、再構成可能アンテナ素子64の電磁特性を制御装置61によって制御することで制御される。再構成可能アンテナ素子64の電磁特性は、スペクトル分析装置43によって得られたスペクトル分析の結果に基づいて制御されてもよい。
【0052】
一実施形態では、再構成可能指向性電波照射装置54が、電波受信機31から受け取った電気信号、及び/又は、スペクトル分析の結果に基づき、該外来電磁波を出射する実体(entity)に向けて妨害電磁波を放射してもよい。妨害電磁波が放射される方向は、再構成可能アンテナ素子64の電磁特性を制御装置61によって制御することで制御される。
【0053】
一実施形態では、図7に示すように、テラヘルツ波が外来電磁波として入射した場合に、テラヘルツ波をキャンセルするような位相(例えば、逆位相)を有する電磁波であるキャンセリング波を再構成可能指向性電波照射装置54から放射することで、電子デバイス12がテラヘルツ波から防護される。詳細には、センシング部21のテラヘルツ波センサ32によってテラヘルツ波が受信され、テラヘルツ波に対応する波形を有する電気信号がテラヘルツ波センサ32から解析制御部22のスペクトル分析装置43に供給される。スペクトル分析装置43は、テラヘルツ波センサ32から受け取った電気信号に基づき、入射したテラヘルツ波のスペクトル分析を行う。テラヘルツ波センサ32からの電気信号は、再構成可能指向性電波照射装置54にも供給される。再構成可能指向性電波照射装置54は、テラヘルツ波センサ32からの電気信号とスペクトル分析装置43によるスペクトル分析の結果とに基づき、キャンセリング波を生成し、生成したキャンセリング波を放射する。テラヘルツ波が入射したときの再構成可能指向性電波照射装置54の動作は、電波受信機31ではなくテラヘルツ波センサ32から電気信号を受け取ることを除けば、マイクロ波又はそれより低い周波数の外来電磁波が入射した場合の動作と同様である。
【0054】
一実施形態では、再構成可能指向性電波照射装置54が、テラヘルツ波センサ32から受け取った電気信号、及び/又は、スペクトル分析の結果に基づき、該テラヘルツ波を出射する実体に向けて妨害電磁波を放射してもよい。妨害電磁波が放射される方向は、再構成可能アンテナ素子64の電磁特性を制御装置61によって制御することで制御される。
【0055】
上述された再構成可能電磁シールド51、52による防護と、キャンセリング波の放射による防護とは、併用されてもよい。また、スペクトル分析装置43によって得られたスペクトル分析の結果に基づき、再構成可能電磁シールド51、52による防護とキャンセリング波の放射による防護とを選択的に行ってもよい。
【0056】
一実施形態では、図8に示すように、解析制御部22の位相制御装置41及び外来波制御装置42を用いて外来電磁波をキャンセルすることで、電子デバイス12が外来電磁波から防護される。導波路30は、キャンセルすべき外来電磁波を受け取ると、受け取った外来電磁波を位相制御装置41と外来波制御装置42とに導波する。キャンセルすべき外来電磁波は、マイクロ波であってもよく、それより低い周波数の電磁波であってもよく、また、テラヘルツ波であってもよい。位相制御装置41は、導波路30から受け取った電磁波の位相を制御して外来電磁波と逆位相の電磁波を生成する。外来波制御装置42は、導波路30から受け取った外来電磁波と位相制御装置41から受け取った電磁波とを重畳し、これにより、導波路30から受け取った電磁波をキャンセルする。このような動作を行う場合、位相制御装置41及び外来波制御装置42は、応答部23としての機能も有することになる。
【0057】
一実施形態では、図9に示すように、センシング部21の導波路30が受け取った外来電磁波に基づいてキャンセリング波を生成し、生成したキャンセリング波を放射装置53から放射することで、電子デバイス12が外来電磁波から防護される。詳細には、導波路30は、キャンセルすべき外来電磁波を受け取ると、受け取った外来電磁波を解析制御部22の位相制御装置41に導波する。位相制御装置41は、導波路30から受け取った電磁波の位相を制御して外来電磁波と逆位相の電磁波を生成する。生成された逆位相の電磁波は、外来波制御装置42を介して応答部23の放射装置53に供給される。放射装置53は、位相制御装置41から受け取った逆位相の電磁波に基づき、キャンセリング波を生成し、生成したキャンセリング波を放射する。キャンセリング波は、外来電磁波をキャンセルするような位相、例えば、逆位相を有している。キャンセリング波を放射することで外来電磁波がキャンセルされ、電子デバイス12が外来電磁波から防護される。
【0058】
一実施形態では、放射装置53が、導波路30が受け取った外来電磁波に基づいて生成された妨害電磁波を、該外来電磁波を出射する実体に向けて放射してもよい。この場合、妨害電磁波は、キャンセリング波と同様にして生成される。
【0059】
一実施形態では、図10に示すように、センシング部21の電界センサ34によって計測された電界強度に基づいて電子デバイス12を防護する動作が行われる。解析制御部22の閾値回路47は、電界センサ34によって計測された電界強度を所定の閾値と比較し、比較の結果を示す出力を安全装置49に供給する。安全装置49は、閾値回路47の出力に基づき、保護装置55、56を動作させ、及び/又は、電子デバイス12の動作を制御する。一実施形態では、保護装置55及び/又は56は、電界センサ34によって計測された電界強度が所定の閾値を超えている場合、安全装置49による制御の下、サージが電源線57及び/又は通信線58を介して電子デバイス12に侵入することを防ぐ保護動作を行う。
【0060】
保護装置55及び/又は56がリミッタ回路を備える実施形態では、計測された電界強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該リミッタ回路を動作させて電源線57及び/又は通信線58の電位を制限してもよい。保護装置55及び/又は56がフィルタ回路を備える実施形態では、計測された電界強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該フィルタ回路を動作させ、所定の不所望な周波数成分を遮断してもよい。保護装置55及び/又は56がスイッチ回路を備える実施形態では、計測された電界強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該スイッチ回路を動作させて電源装置60及び/又は外部機器70を電子デバイス12から切り離してもよい。
【0061】
保護装置55及び/又は56の作動に加えて、又は、保護装置55及び/又は56の作動に代えて、安全装置49が、電界センサ34によって計測された電界強度が所定の閾値を超えている場合に、電子デバイス12の動作を一時的に停止してもよい。これにより、電子デバイス12の故障が有効に防止される。電子デバイス12の動作を一時的に停止する代わりに、電子デバイス12を安全保持モードに設定してもよい。
【0062】
このような動作は、比較的低い周波数の外来電磁波が入射されたときにおける電子デバイス12の防護に有効である。
【0063】
一実施形態では、図11に示すように、赤外線から紫外線の波長の光が入射した場合に、応答部23の再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御することによって電子デバイス12が入射した光から防護される。赤外線から紫外線の波長の光が受光器33の受光面に入射すると、入射された光が、光ガイド装置39を介して解析制御部22の分光装置44に導入される。分光装置44は、光ガイド装置39から受け取った光を分光する。スペクトル分析装置45は、分光装置44の出力に基づいてスペクトル分析を行う。制御装置46は、スペクトル分析装置45によるスペクトル分析の結果に応じて、再構成可能電磁シールド51、52の電磁特性を制御する。これにより、電子デバイス12に入射する光の強度が低減され、又は、電子デバイス12への光の入射が防止される。
【0064】
一実施形態では、図12に示すように、赤外線から紫外線の波長の光が入射した場合に、入射した光の強度に応じて電子デバイス12を防護する動作が行われる。赤外線から紫外線の波長の光が受光器33の受光面に入射すると、入射した光が、光ガイド装置39を介して解析制御部22の閾値回路47に導入される。閾値回路47は、入射した光の強度を所定の閾値と比較し、比較の結果を示す出力を安全装置49に供給する。安全装置49は、閾値回路47の出力に基づき、電子デバイス12の動作を制御する。一実施形態では、安全装置49が、入射した光の強度が所定の閾値を超えている場合に、電子デバイス12の動作を一時的に停止してもよい。電子デバイス12の動作を一時的に停止する代わりに、電子デバイス12を安全保持モードに設定してもよい。
【0065】
一実施形態では、図13に示すように、電離放射線が入射した場合に、入射した電離放射線の強度に応じて電子デバイス12を防護する動作が行われる。X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37は、電離放射線を検知する電離放射線検知器として動作する。上記のように、一実施形態では、検知される電離放射線が、電離作用を生じさせる波長の電磁波(例えば、X線及びガンマ線)と、電離作用を生じさせる粒子線(例えば、中性子線、アルファ線、ベータ線)を含む。電離放射線分析装置48は、X線・γ線センサ35、中性子センサ36及び荷電粒子センサ37の出力に基づき、入射した電離放射線の分析を行う。安全装置49は、電離放射線の分析の結果に基づき、保護装置55、56を動作させ、及び/又は、電子デバイス12の動作を制御する。一実施形態では、保護装置55及び/又は56は、検知された電離放射線の強度が所定の閾値を超えている場合、安全装置49による制御の下、サージが電源線57及び/又は通信線58を介して電子デバイス12に侵入することを防ぐ保護動作を行う。
【0066】
保護装置55及び/又は56がリミッタ回路を備える実施形態では、検知された電離放射線の強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該リミッタ回路を動作させて電源線57及び/又は通信線58の電位を制限してもよい。保護装置55及び/又は56がフィルタ回路を備える実施形態では、検知された電離放射線の強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該フィルタ回路を動作させ、所定の不所望な周波数成分を遮断してもよい。保護装置55及び/又は56がスイッチ回路を備える実施形態では、検知された電離放射線の強度が所定の閾値を超えている場合、保護装置55及び/又は56が、該スイッチ回路を動作させて電源装置60及び/又は外部機器70を電子デバイス12から切り離してもよい。
【0067】
保護装置55及び/又は56の作動に加えて、又は、保護装置55及び/又は56の作動に代えて、安全装置49が、検知された電離放射線の強度が所定の閾値を超えている場合に、電子デバイス12の動作を一時的に停止してもよい。電子デバイス12の動作を一時的に停止する代わりに、電子デバイス12を安全保持モードに設定してもよい。
【0068】
以上には、実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0069】
100 :電子装置
10 :電子機器
11 :筐体
12 :電子デバイス
13 :パッケージ
20 :電子デバイス防護装置
21 :センシング部
22 :解析制御部
23 :応答部
30 :導波路
31 :電波受信機
32 :テラヘルツ波センサ
33 :受光器
34 :電界センサ
35 :X線・γ線センサ
36 :中性子センサ
37 :荷電粒子センサ
38 :分配装置
39 :光ガイド装置
41 :位相制御装置
42 :外来波制御装置
43 :スペクトル分析装置
44 :分光装置
45 :スペクトル分析装置
46 :制御装置
47 :閾値回路
48 :電離放射線分析装置
49 :安全装置
51 :再構成可能電磁シールド
52 :再構成可能電磁シールド
53 :放射装置
54 :再構成可能指向性電波照射装置
55 :保護装置
56 :保護装置
57 :電源線
58 :通信線
60 :電源装置
61 :制御装置
62 :フィルタ回路
63 :増幅回路
64 :再構成可能アンテナ素子
70 :外部機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13