(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】高周波コイル
(51)【国際特許分類】
H01F 21/02 20060101AFI20240805BHJP
H01F 29/06 20060101ALN20240805BHJP
【FI】
H01F21/02
H01F29/06
(21)【出願番号】P 2019230374
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶彦
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-131816(JP,U)
【文献】実開昭54-056157(JP,U)
【文献】実公昭49-044191(JP,Y1)
【文献】実開昭55-049540(JP,U)
【文献】特開2013-214585(JP,A)
【文献】特開2009-010190(JP,A)
【文献】実開昭49-150342(JP,U)
【文献】独国特許発明第00582454(DE,C1)
【文献】仏国特許発明第01280263(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 21/02、29/06
H01C 10/00-10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状のコイル本体と、
前記コイル本体の端部に設けられ、前記コイル本体を支持する絶縁板と、
一方向に長い板状であり、一端が前記絶縁板に設けられ、前記コイル本体の中心軸周りに回転するアームと、
前記アームに接続され、先端が前記コイル本体の一部に巻き付く帯状の接続端子と、
を備え、
前記接続端子は、先端が前記コイル本体の一部の外周面に巻き付く帯状のリード帯と、前記リード帯を前記コイル本体の一部の外周面に巻き付いた状態で固定する固定具と、一端が前記コイル本体の中心軸に沿った方向に移動可能に前記アームに固定され、他端が前記リード帯に接続される、
一方向に長い平板状のリード板と、を備え
、
前記リード板の前記一端には、前記一方向に長い長孔が形成され、
前記アームは、長手方向に対して直交する方向に屈曲する、螺子孔が形成される座部と、前記リード板の前記長孔に挿入されるとともに、前記座部の前記螺子孔に螺合される固定部材と、を有する、高周波コイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、ラジオ放送装置の出力回路等の高周波電流通電部に高周波コイルを用いる技術が知られている。高周波コイルは、コイル本体に接続する接続端子の位置を変えることで、インダクタンス値を変更できる。接続端子は、例えば、絶縁板に設けられたアームに設けられた、可撓性を有するリード板及びクリップを有する。
【0003】
クリップは、コイル本体の一部に円弧状の引掛部及び螺子等によりコイル本体を挟み込むことで、コイル本体の所定の位置に固定され、コイル本体に電気的に接続される。このような接続端子は、周囲の部品との絶縁距離の確保や、コイル本体との接触面積の確保等のコイル本体との接続性の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、接続端子のコイル本体への接続性の向上が可能な高周波コイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、高周波コイルは、コイル本体と、絶縁板と、アームと、接続端子と、を備える。コイル本体は、螺旋状である。絶縁板は、前記コイル本体の端部に設けられ、前記コイル本体を支持する。アームは、一方向に長い板状であり、一端が前記絶縁板に設けられ、前記コイル本体の中心軸周りに回転する。接続端子は、前記アームに接続され、先端が前記コイル本体の一部に巻き付く帯状である。前記接続端子は、先端が前記コイル本体の一部の外周面に巻き付く帯状のリード帯と、前記リード帯を前記コイル本体の一部の外周面に巻き付いた状態で固定する固定具と、一端が前記コイル本体の中心軸に沿った方向に移動可能に前記アームに固定され、他端が前記リード帯に接続される、一方向に長い平板状のリード板と、を備える。前記リード板の前記一端には、前記一方向に長い長孔が形成される。前記アームは、長手方向に対して直交する方向に屈曲する、螺子孔が形成される座部と、前記リード板の前記長孔に挿入されるとともに、前記座部の前記螺子孔に螺合される固定部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る高周波コイルの構成を示す側面図。
【
図4】第2の実施形態に係る高周波コイルの構成を一部省略して示す側面図。
【
図5】第3の実施形態に係る高周波コイルの構成を一部省略して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る高周波コイル1を、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1乃至
図3は、第1の実施形態に係る高周波コイル1の構成を示す側面図であり、
図1乃至
図3はそれぞれ異なる側面を示す。
【0009】
図1乃至
図3に示すように、高周波コイル1は、コイル本体11と、絶縁板12と、アーム13と、接続端子14と、を備える。高周波コイル1は、例えば、ラジオ放送装置の出力回路等の高周波電流通電部に用いられる。高周波コイル1は、インダクタンス値を可変できる。
【0010】
コイル本体11は、導電性を有する材料で形成される。コイル本体11は、インダクタンス素子を形成する。コイル本体11は、螺旋状のコイルである。コイル本体11は、例えば、円筒状のパイプ又は線材が螺旋状に巻回されることで形成される。
【0011】
絶縁板12は、例えば、一対設けられる。一対の絶縁板12は、コイル本体11の軸方向でコイル本体11の両端に設けられる。絶縁板12は、例えば、コイル本体11の端部を保持する。
【0012】
例えば、絶縁板12は、本体部21と、本体部21に一体に形成される脚部22と、本体部21に設けられた取付部23と、を有する。本体部21は、絶縁材料により形成される。本体部21は、コイル本体11を固定する。また、本体部21は、アーム13を回転可能に固定する。
【0013】
具体例として、本体部21は、例えば、コイル本体11の端部を固定する固定板21aを有する。また、本体部21は、固定されるコイル本体11の中心軸上に取付部23が配置される。本体部21の固定板21aと取付部23との距離、及び、固定板21aに固定されたコイル本体11と取付部23との距離は、絶縁できる距離に設定される。
【0014】
固定板21aは、コイル本体11の端部をボルト等の締結部材21bにより固定する。例えば、締結部材21bはボルトであり、固定板21aは、締結部材21bが螺合できる螺子穴を有する。
【0015】
脚部22は、本体部21と一体に形成される。脚部22は、絶縁材料で形成される。脚部22は、例えば、ラジオ放送装置の出力回路等が配置される筐体内に固定される。
【0016】
取付部23は、例えば、螺子部23aと、螺子部23aと螺合するナット23bとを含む。取付部23は、螺子部23aにアーム13を挿入し、ナット23bを螺子部23aに締結することで、螺子部23a周りでアーム13を所定の角度位置に固定する。また、取付部23は、ナット23bを螺子部23aから緩めることで、アーム13を回転可能とする。
【0017】
アーム13は、一方向に長い板状である。アーム13は、導電性を有する材料で形成される。アーム13は、一対の絶縁板12にそれぞれ設けられる。アーム13の一端は、取付部23に固定される。例えば、アーム13は、一端に孔を有する。アーム13の一端の孔は、取付部23の螺子部23aを挿入可能、且つ、ナット23bの座を形成可能な内径に形成される。
【0018】
アーム13の他端は、
図2中矢印で示すように、接続端子14を絶縁板12に固定されたコイル本体11の軸方向に移動可能に固定する。具体例として、アーム13は、他端に長手方向に対して直交する方向に曲折する座部13a及び接続端子14を固定する固定部材13bを有する。例えば、座部13aは、矩形板状であって、孔を有する。例えば、座部13aの孔は、螺子孔である。固定部材13bは、例えば、ボルトである。以下、固定部材13bをボルト13bとして説明する。ボルト13bは、螺子部が座部13aの螺子孔に螺合されるとともに、頭部が座部13aに保持される。
【0019】
接続端子14は、例えば、リード板31と、リード帯32と、固定具33と、を有する。接続端子14は、一対のアーム13にそれぞれ設けられる。一対の接続端子14は、コイル本体11の任意の位置に接続される。一対の接続端子14は、コイル本体11に接続されることで、一対の接続端子14間に存するコイル本体11の一部を通電部とする。即ち、コイル本体11のうち一対の接続端子14が接続された部間が通電する。よって、一対の接続端子14のコイル本体11に接続される位置が任意に選択されることで、通電部のコイル本体11の巻き数が変化し、高周波コイル1のインダクタンス値が変化する。
【0020】
リード板31は、導電性の材料で形成される。リード板31は、可撓性を有さず、使用時において変形が抑制される程度の剛性を有する。即ち、リード板31は、一方向に長い板状の形状が保たれる。例えば、リード板31は、一方向に長く形成される。リード板31は、一端側に設けられ、ボルト13bを挿入可能な孔31aを有する。孔31aは、例えば、リード板31の長手方向に沿って一方向に長い長孔である。孔31aの長手方向に直交する方向の幅は、ボルト13bを挿入可能な幅であればよい。
【0021】
リード板31は、他端にリード帯32の一端が固定される。例えば、リード板31の他端及びリード帯32の一端は、溶接により接合されてもよく、螺子やボルト等の締結部材により固定されてもよい。
【0022】
リード帯32は、導電性の材料で形成される。リード帯32は、少なくとも他端(先端)がコイル本体11の一部に巻き付け可能な可撓性を有する。例えば、リード帯32は、リード板31よりも薄肉のシート状に形成される。リード帯32の他端は、コイル本体11に巻き付け可能に形成される。リード帯32は、リード板31からコイル本体11まで、コイル本体11の径方向に沿って延びるとともに、コイル本体11の外周面に巻き付けることができる長さに設定される。
【0023】
固定具33は、リード帯32の他端(先端)に設けられる。固定具33は、リード帯32の他端を環状とした状態で固定する。具体例として、固定具33は、コイル本体11の一部の外周面に巻き付けられた状態でリード帯32の先端を固定する。ここで、コイル本体11の一部の外周面とは、コイル本体11を構成するパイプ又は線材の一部の外周面である。また、固定具33は、固定したリード帯32の先端を緩めるか、又は、リード帯32の先端がコイル本体11の一部の外周面に巻き付けられた状態を解除することができる。
【0024】
具体例として、固定具33は、
図2に矢印で示すように、リード帯32の先端を環状とするとともに、その内径を増減できる。また、固定具33は、リード帯32の先端を環状に固定してコイル本体11の一部の外周面に密着させることで、リード帯32によりコイル本体11の一部を拘束する。また、固定具33は、リード帯32がコイル本体11の一部を拘束した状態から、リード帯32の固定を解除することで、リード帯32によるコイル本体11の拘束を解除できる。
【0025】
次に、このように構成された高周波コイル1のインダクタンス値の変更方法について説明する。なお、高周波コイル1のインダクタンス値は、コイル本体11に接続された一対の接続端子間の距離によって可変できる。
【0026】
先ず、作業者は、絶縁板12の取付部23のナット23bを緩めて、取付部23に固定されたアーム13を取付部23に対して回転可能とする。また、作業者は、アーム13の座部13aにリード板31を固定しているボルト13bを緩めて、リード板31をコイル本体11の軸方向に沿って移動可能とする。また、作業者は、固定具33によってリード帯32のコイル本体11への固定を解除し、リード帯32によるコイル本体11の一部の拘束を解除する。これにより、リード帯32の先端は、コイル本体11の巻方向に沿ってスライド移動可能となるとともに、リード帯32の先端の移動に伴って、アーム13が回転可能、且つ、リード板31がスライド移動可能となる。コイル本体11に対して接続端子14を移動できるため、インダクタンス値が所望の値となるように、作業者は、接続端子14を移動させる。
【0027】
作業者は、接続端子14を移動させた後、リード帯32によりコイル本体11を拘束した状態で固定具を操作してリード帯32をコイル本体11に固定する。次に、作業者は、ナット23bやボルト13bを締め付ける。これらの作業によって、一対の接続端子14のコイル本体11に固定される距離を調整後、アーム13、リード板31及びリード帯32が固定されるため、高周波コイル1のインダクタンス値が変更される。
【0028】
このように構成された高周波コイル1のアーム13は、絶縁板12の取付部23に回転可能に固定される。また、接続端子14は、アーム13の座部13aに対して、リード板31をコイル本体11の軸方向に沿って移動できるとともに、リード板31をアーム13の座部13aに固定できる。また、接続端子14は、コイル本体11の一部の外周面にリード帯32を巻き付けて、固定具33によってリード帯32をコイル本体11の一部に固定できるとともに、コイル本体11へのリード帯32の固定を解除できる。これらの構成により、接続端子14のリード帯32の先端は、コイル本体11に対して、コイル本体11の周方向及び軸方向に移動できる。よって、高周波コイル1は、接続端子14のコイル本体11の接続位置を変更できるため、インダクタンス値を変更できる。
【0029】
また、接続端子14は、リード帯32の先端をコイル本体11の一部の外周面に巻き付けて環状とした後に、固定具33によってリード帯32を固定することが可能である。このため、接続端子14は、リード帯32をコイル本体11の一部に固定するときに、環状のリード帯32の端部がコイル本体11の外周面と密着する。よって、コイル本体11及び接続端子14の接触が面接触となり、コイル本体11及び接続端子14は、十分な接触面積を確保できる。よって、高周波コイル1は、通電させる許容電流値を増加させることが可能となる。
【0030】
また、接続端子14は、コイル本体11の軸方向に移動可能にリード板31をアーム13に接続する構成である。よって、リード板31は、コイル本体11の径方向に変形することを抑制でき、コイル本体11との距離及び高周波コイル1の周囲に配置される部品や装置との距離を一定に保てる。即ち、高周波コイル1は、一般的に、周囲に配置される部品や装置と絶縁距離を確保した位置に設置されるところ、リード板31は、コイル本体11の径方向の位置が変わらない。よって、高周波コイル1は、リード板31と周囲に配置される部品や装置等との絶縁距離を確実に確保できる。このため、高周波コイル1は、絶縁距離が不十分なときに生じる放電や、当該放電に伴う部品や装置の劣化や破壊を防止できる。
【0031】
上述したように、高周波コイル1は、接続端子14の他の構成との絶縁距離を確保可能、且つ、コイル本体11及び接続端子14の接触面積の確保が可能となる。よって、高周波コイル1は、接続端子14のコイル本体11への接続性の向上が可能となる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る高周波コイル1Aを、
図4を用いて説明する。
図4は、第2の実施形態に係る高周波コイル1Aの構成を一部省略して示す側面図である。なお、第2の実施形態に係る高周波コイル1Aの構成のうち、第1の実施形態に係る高周波コイル1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図4に示すように、高周波コイル1Aは、コイル本体11と、絶縁板12と、アーム13と、接続端子14Aと、を備える。
【0034】
接続端子14Aは、リード帯32A及び固定具33を有する。
【0035】
リード帯32Aは、導電性の材料で形成される。リード帯32Aは、コイル本体11の一部に巻き付けることができる可撓性を有する。例えば、リード帯32Aは、一端がアーム13の座部13aにボルト13bによって固定され、他端は、コイル本体11に巻き付け可能に形成される。リード帯32は、アーム13からコイル本体11の他端を巻き付けることを想定した位置までの長さ、及び、当該想定した位置においてコイル本体11の外周面に巻き付けることができる長さに設定される。
【0036】
即ち、高周波コイル1Aは、第1の実施形態に係る高周波コイル1の構成のうち、リード板31を有さない構成である。
【0037】
このような高周波コイル1Aの接続端子14Aは、リード帯32Aの先端をコイル本体11の一部の外周面に巻き付けて固定具33によって、環状にすることが可能である。このため、接続端子14は、リード帯32Aをコイル本体11の一部に固定するときに、環状のリード帯32Aの端部がコイル本体11の外周面と密着する。コイル本体11及び接続端子14Aの接触が面接触となり、コイル本体11及び接続端子14は、十分な接触面積を確保できる。よって、高周波コイル1は、通電させる許容電流値を増加させることが可能となる。
【0038】
上述したように、高周波コイル1Aは、コイル本体11及び接続端子14Aの接触面積の確保が可能となることから、接続端子14Aのコイル本体11への接続性の向上が可能となる。
【0039】
なお、高周波コイル1Aは、アーム13に可撓性を有するリード帯32Aを固定する構成である。この構成により接続端子14Aと他の構成との絶縁距離を確保ができなくなる虞がある場合には、例えば、リード帯32Aは、一端側に、第1の実施形態のリード板31に設けられた一方向に長い孔31aと同様に、ボルト13bを挿入可能な一方向に長い孔31aを有する構成としてもよい。孔31aを有するリード帯32Aは、アーム13の座部13aから先端までの長さを調整できることから、座部13aから固定されるコイル本体11の位置までの長さを好適な長さに調整できる。よって、接続端子14Aの他の構成との絶縁距離を確保可能となる。
【0040】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る高周波コイル1Bを、
図5を用いて説明する。
図5は、第3の実施形態に係る高周波コイル1Bの構成を一部省略して示す側面図である。なお、第3の実施形態に係る高周波コイル1Bの構成のうち、第1の実施形態に係る高周波コイル1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図5に示すように、高周波コイル1Bは、コイル本体11と、絶縁板12と、アーム13と、接続端子14Bと、を備える。
【0042】
接続端子14Bは、リード板31と、クリップ34と、を備える。即ち、高周波コイル1Bは、第1の実施形態に係る高周波コイル1の構成のうち、リード帯32及び固定具33を有さず、クリップ34を有する構成である。
【0043】
クリップ34は、引掛部材41と、引掛部材41に設けられた固定螺子42と、を備える。引掛部材41は、本体41aと、フック41bと、雌螺子部41cと、を有する。フック41bは、本体41aの先端に設けられる。フック41bは、コイル本体11の線径と同じ曲率か、又は、小さい曲率に設定された半円筒状である。雌螺子部41cは、フック41bに対して固定螺子42を進退させる。雌螺子部41cは、本体41aに設けられる。例えば、引掛部材41は、雌螺子部41cの軸方向がコイル本体11の径方向に向かう姿勢で本体41aがリード板31に固定される。そして、引掛部材41は、フック41bがコイル本体11の内周面側と接触する。
【0044】
固定螺子42は、引掛部材41の雌螺子部41cと螺合し、フック41bに対して進退する。固定螺子42は、例えば、フック41bに対して、コイル本体11の径方向に進退する。フック41b及び固定螺子42は、コイル本体11の一部をコイル本体11の径方向で保持する。
【0045】
このような高周波コイル1Bは、コイル本体11の軸方向に移動可能にリード板31をアーム13に接続する構成である。リード板31は、コイル本体11の径方向に変形することが防止できる。リード板31は、コイル本体11の径方向の位置が変わらないため、周囲に配置される部品や装置と絶縁距離を確実に確保できる。このため、高周波コイル1Bは、絶縁距離が不十分なときに生じる放電や、当該放電に伴う部品や装置の劣化や破壊を防止できる。
【0046】
上述したように第3の実施形態に係る高周波コイル1Bは、接続端子14の他の構成との絶縁距離を確保可能となり、接続端子14のコイル本体11への接続性の向上が可能となる。
【0047】
なお、上述した実施形態は、例として提示したものであり、高周波コイルは、上述の実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、接続端子14のリード帯32は、帯状に形成され、可撓性を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、リード帯32は、先端のみがコイル本体11の一部に巻き付くことが可能な可撓性を有する構成としてもよい。また、リード帯32は、コイル本体11の一部の外周面に面で当接可能であればよい。即ち、リード帯32は、例えば、環状となった先端の一部がコイル本体11の外周面から離間していてもよい。
【0048】
また、上述した例では、高周波コイルが絶縁板、アーム及び接続端子をそれぞれ一対有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、高周波コイルは、コイル本体の一端に絶縁板、アーム及び接続端子を設け、コイル本体の他端が出力回路等に接続される構成であってもよい。
【0049】
以上述べた少なくともひとつの実施形態に係る高周波コイルによれば、接続端子のコイル本体への接続性の向上が可能となる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 螺旋状のコイル本体と、
前記コイル本体の端部に設けられ、前記コイル本体を支持する絶縁板と、
前記絶縁板に設けられ、前記コイル本体の中心軸周りに回転するアームと、
前記アームに接続され、先端が前記コイル本体の一部に巻き付く帯状の接続端子と、
を備える高周波コイル。
[2] 前記接続端子は、先端が前記コイル本体の一部の外周面に巻き付く帯状のリード帯と、前記リード帯を前記コイル本体の一部の外周面に巻き付いた状態で固定する固定具と、を備える、[1]に記載の高周波コイル。
[3] 前記接続端子は、一端が前記コイル本体の中心軸に沿った方向に移動可能に前記アームに固定され、他端が前記リード帯に接続される、平板状のリード板を備える、[2]に記載の高周波コイル。
[4] 螺旋状のコイル本体と、
前記コイル本体の端部に設けられ、前記コイル本体を支持する絶縁板と、
前記絶縁板に設けられ、前記コイル本体の中心軸周りに回転するアームと、
前記アームに前記コイル本体の中心軸に沿った方向に移動可能に固定される平板状のリード板を有し、前記コイル本体の一部に固定される接続端子と、
を備える高周波コイル。
【符号の説明】
【0051】
1、1A、1B…高周波コイル、11…コイル本体、12…絶縁板、13…アーム、13a…座部、13b…固定部材(ボルト)、14、14A、14B…接続端子、21…本体部、21a…固定板、21b…締結部材、22…脚部、23…取付部、23a…螺子部、23b…ナット、31…リード板、31a…孔、32、32A…リード帯、33…固定具、34…クリップ、41…引掛部材、41a…本体、41b…フック、41c…雌螺子部、42…固定螺子。