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  • 特許-固定装置および撮像装置 図1
  • 特許-固定装置および撮像装置 図2
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  • 特許-固定装置および撮像装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】固定装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20240805BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B17/14
G02B7/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020046567
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021148869
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】松宮 信之
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-174562(JP,A)
【文献】特開平09-211656(JP,A)
【文献】特開平05-072618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G02B 7/02 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に対して着脱可能なアクセサリが該撮像装置に装着された状態において、該アクセサリを該撮像装置に固定するために着脱可能な固定装置であって、
同一の方向において前記アクセサリと前記撮像装置とを押圧することで、前記アクセサリを前記撮像装置に対して該同一の方向に付勢する共通の押圧部材と、
前記アクセサリと前記撮像装置とのうち少なくとも一方に対して、前記同一の方向において前記押圧部材を締結する締結部材とを有し、
前記押圧部材と前記締結部材とは互いに別の部材であることを特徴とする固定装置。
【請求項2】
前記アクセサリの第1マウント部と前記撮像装置の第2マウント部とが互いに係合することにより、前記アクセサリが前記撮像装置に装着されることを特徴とする請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記第1マウント部の第1バヨネット爪と前記第2マウント部の第2バヨネット爪とが互いに係合することにより、前記アクセサリが前記撮像装置に装着されることを特徴とする請求項2に記載の固定装置。
【請求項4】
前記第1マウント部の第1ねじ部と前記第2マウント部の第2ねじ部とが互いに係合することにより、前記アクセサリが前記撮像装置に装着されることを特徴とする請求項2に記載の固定装置。
【請求項5】
前記締結部材は、前記撮像装置のみに対して前記押圧部材を締結することを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記アクセサリの外周部に形成されたフランジ部を押圧することを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記アクセサリと前記撮像装置とのうち少なくとも一方を弾性部材を介して押圧することを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項8】
前記押圧部材を複数有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項9】
前記アクセサリはレンズを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項10】
前記同一の方向は、前記アクセサリの光軸の方向であることを特徴とする請求項9に記載の固定装置。
【請求項11】
前記アクセサリに対してレンズ装置が着脱可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のうちいずれか一項に記載の固定装置。
【請求項12】
前記同一の方向は、前記レンズ装置の光軸の方向であることを特徴とする請求項11に記載の固定装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちいずれか一項に記載の固定装置と、前記アクセサリと、前記撮像装置とを有することを特徴とする撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交換レンズ等のアクセサリを着脱可能な撮像装置が知られている。当該撮像装置の本体(カメラ本体)およびアクセサリは、バヨネット結合方式で互いに結合されうる。
【0003】
バヨネット結合方式では、アクセサリのマウント部とカメラ本体のマウント部とが互いに相対的に回転可能であり、回転によりアクセサリ側の爪部とカメラ本体側の爪部とが係合する。カメラ本体側の爪部は、カメラ本体の内部に設けられたばねの力により、アクセサリ側の爪部をカメラ本体側へ付勢する。このようにして、カメラ本体とレンズアクセサリとは互いに結合されている。
【0004】
バヨネット結合方式は、カメラ本体に対するアクセサリの着脱を容易にするが、ばねの力よりも大きな力がアクセサリに作用する場合は、カメラ本体に対してアクセサリが変位する。すると、アクセサリとカメラ本体との光軸がずれて光学性能が低下しうる。
【0005】
特許文献1は、レンズ径が拡縮する環状部材をアクセサリに設けることにより、レンズ撮像装置に対するアクセサリの径方向のガタを低減したマウント機構を開示している。特許文献2は、バヨネット爪を板バネで付勢するレンズ装着装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3300963号公報
【文献】特許第5263002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の機構は、構成が複雑であるため、高コストを要する。特許文献2の装置は、大重量の交換レンズでは、その倒れ又は傾き等の変位を低減するのが困難である。
【0008】
本発明は、例えば、撮像装置に対するアクセサリの固定に有利な固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の固定装置は、撮像装置に対して着脱可能なアクセサリが該撮像装置に装着された状態において、該アクセサリを該撮像装置に固定するために着脱可能な固定装置であって、同一の方向において前記アクセサリと前記撮像装置とを押圧することで、前記アクセサリを前記撮像装置に対して該同一の方向に付勢する共通の押圧部材と、前記アクセサリと前記撮像装置とのうち少なくとも一方に対して、前記同一の方向において前記押圧部材を締結する締結部材とを有し、前記押圧部材と前記締結部材とは互いに別の部材であることを特徴とする。


【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、撮像装置に対するアクセサリの固定に有利な固定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例によるレンズ倒れ抑制装置の要部斜視図
図2】本実施例における交換レンズとカメラ本体の着脱構造を表す図
図3】本実施例におけるガタ抑制部材を取り付け時のレンズ倒れ抑制装置を表す図
図4】本実施例におけるガタ抑制部材のガタ抑制効果を表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
以下、図1図4を参照して、本発明の実施例による、レンズ装着装置(固定装置)について説明する。
図1図3を参照しながらレンズ装着装置の全体構成について説明する。
図1は本発明の実施例によるレンズ装着装置の要部斜視図である。図2は本実施例におけるレンズアクセサリである交換レンズ装置とカメラ本体(カメラ装置)の着脱構造を表す図である。図3は本実施例におけるガタ抑制部材(固定装置)を取り付けたときのレンズ装着装置を表す図である。
【0014】
レンズ装着装置はカメラアクセサリとしての交換レンズ10、交換レンズ10がバヨネットマウント機構によって取り外し可能に装着されるカメラ本体20、カメラ本体20に対する交換レンズ10の倒れを抑制するガタ抑制部材30から構成される。
【0015】
交換レンズ10はレンズマウント部(第1マウント部)11を備え、レンズマウント部11はレンズバヨネット爪(第1係合部、第1バヨネット爪)11a、11b、11cを備える。また、交換レンズ10は、光軸0方向に対しレンズマウント部11とは異なる位置の外径部の一部にフランジ部12a及びフランジ部12bを備える。
【0016】
カメラ本体20は、カメラマウント部(第2マウント部)21を備え、カメラマウント部21の内周部には、3箇所のカメラバヨネット爪(第2係合部、第2バヨネット爪)21a、21b、21cが形成されている。交換レンズ10の装着は、交換レンズ10の指標位置をカメラマウント部21の対応するレンズ取り付け指標に合わせて挿入し、レンズマウント部11とカメラマウント部21を当接させ、交換レンズ10を光軸0周りに所定角度回転させることで行う。すなわち、レンズマウント部11とカメラマウント部21とが、バヨネット式のマウント機構を構成している。
【0017】
また、カメラマウント部21には交換レンズ10を装着した際に回転動作を規制するためのロックピン22が配置されている。交換レンズ10装着状態において、ロックピン22は、レンズマウント部11の所定位置に形成されたロック穴13に係合してレンズの回転を規制し、カメラバヨネット爪21a、21b、21cは交換レンズ10のレンズマウント部11の対応する爪部と係合する。カメラバヨネット爪21a、21b、21cには、マウントバネ23が、交換レンズ10のレンズバヨネット爪11a、11b、11cと当接するように配置され、レンズマウント部11とカメラマウント部21を当接させるように作用する。
【0018】
カメラ本体20はロックピン22をカメラマウント部21より退避させるためのロック解除釦24を備え、ロック解除釦24を押下しレンズ装着時と反対方向に交換レンズ10を所定角度だけ回転させることによりカメラ本体20から交換レンズ10の取外しを行う。
【0019】
ガタ抑制部材30は、フランジ押付部材(押圧部材)31a、31b、弾性部材32a、32b、固定ビス33、34、35,36によって構成される。本実施例では、フランジ押付部材は2つ有する構成として例示したが、フランジ押付部材を複数有する構成であれば2つに限定されることはなく、本発明の効果を享受することができる。弾性部材32a、32bはそれぞれフランジ押付部材31a、31bに固定される。フランジ押付部材31a、31bは、固定ビス(締結部材)33、34、35,36によりカメラ本体20(レンズアクセサリとカメラ装置のうちの一方)に固定される締結部37、38、39、40と、交換レンズ10(レンズアクセサリとカメラ装置のうちの他方)の光軸回りの外周部に備えられたフランジ部(被押圧部)12a、12bをそれぞれカメラ本体20側に付勢する押圧面(フランジ)41、42とを有する。フランジ押付部材31a、31bの押圧面41、42には弾性部材32a、32bが固定され、フランジ押付部材31a、31bの押圧面41、42は弾性部材32a、32bを介して交換レンズ10のフランジ部12a、12bをそれぞれカメラ本体20側(一方側、カメラ装置側)に付勢する。弾性部材32a、32bは、例えば、ゴム、板バネなどで構成することができる。フランジ押付部材31a、31b締結部37、38、39、40固定ビス33、34、35,36によってカメラ本体20へ締結されることにより、カメラ本体20の被押圧部は、締結部37、38、39、40のカメラ本体20側のカメラ本体20と接触する部分によっ押圧される。
【0020】
交換レンズとカメラ装置のカメラバヨネット爪を互いに係合させて相対回転させることにより互いに近付ける方向に付勢するレンズ着脱機構を構成しているバヨネットマウント機構において、本発明のレンズ倒れ抑制装置は、交換レンズとカメラ装置を、光軸方向に互いに圧接するように構成されている。
【0021】
図4を参照しながら、本実施例におけるガタ抑制効果について述べる。
図4は、本実施例におけるガタ抑制部材30のガタ抑制効果を表す図である。図4(a)はガタ抑制部材30を使用していない状態を表す図である。図4(b)はガタ抑制部材30を取り付けた状態を表す図である。図4(a)、図4(b)のいずれもレンズ倒れ抑制装置の光軸0と鉛直方向を含む断面での断面図を表す。
【0022】
ガタ抑制部材30を使用していない状態について述べる。交換レンズ10の重量によって発生するモーメントが、マウントバネ23の付勢力よりも大きくなると、カメラ本体20の光軸0に対して交換レンズ10の光軸はO1となりΔθの傾きが発生する。
【0023】
ガタ抑制部材30を使用した際の効果について述べる。カメラ本体20に対しガタ抑制部材30を取り付けることで交換レンズ10のフランジ部12a、12bはカメラ本体20の光軸0方向に付勢力Fを受け、交換レンズ10のレンズマウント部11とカメラ本体20のカメラマウント部21が強固に当接する。更に、弾性部材32aをフランジ部12aとフランジ押付部材31aの間に配置することで、フランジ押付部材31aの光軸0方向の寸法のばらつきを吸収することができる。
【0024】
本発明の固定装置(ガタ抑制部材30)は、撮像素子を有する撮像装置(カメラ本体20)に着脱可能な交換レンズ10の装着・固定の場合を例示して説明した。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、カメラ本体と、着脱可能な交換レンズ10との間の光路に、カメラ本体および交換レンズ10に着脱可能なレンズアダプタ(レンズアクセサリ)のカメラ本体への固定に対しても適用できる。そのようなレンズアダプタとして、例えば、リアコンバージョンレンズ装置、マウントアダプタ装置(レンズを含まずに機械的インターフェースおよび電気的インターフェースの少なくとも一方やフランジバックを変換する装置)等に対して適用してもよい。
【0025】
また、本発明の固定装置(ガタ抑制部材30)は、カメラ本体と交換レンズとがバヨネット機構によって互いに装着・固定される場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されることはない。本発明の固定装置は、カメラ本体と交換レンズとが互いに着脱可能に装着・固定される機構に対して適用することができる。例えば、交換レンズの第1ねじ部(第1係合部)とカメラ本体の第2ねじ部(第2係合部)とを互いに螺合させて相対回転させるスクリュマウント機構で互いに装着・固定される場合にも適用できる。以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 ・・・・ 交換レンズ
20 ・・・・ カメラ本体
30 ・・・・ ガタ抑制部材
11 ・・・・ レンズマウント部
11a ・・・・ レンズバヨネット爪
11b ・・・・ レンズバヨネット爪
11c ・・・・ レンズバヨネット爪
12a ・・・・ フランジ部
12b ・・・・ フランジ部
21 ・・・・ カメラマウント部
21a ・・・・ カメラバヨネット爪
21b ・・・・ カメラバヨネット爪
21c ・・・・ カメラバヨネット爪
23 ・・・・ マウントバネ
31a ・・・・ フランジ押付部材
31b ・・・・ フランジ押付部材
図1
図2
図3
図4