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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】レンズ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20240805BHJP
   G03B 17/04 20210101ALI20240805BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02B7/02 Z
G03B17/04
G03B17/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020059849
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021157136
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】松本 徹
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-211515(JP,A)
【文献】特開2017-146383(JP,A)
【文献】特開2010-286789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/04
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持する保持筒が、固定筒に対して光軸方向に移動することで、撮影状態と該撮影状態より全長が短縮された沈胴状態とに切り替え可能なレンズ装置であって、
前記保持筒の光軸方向での位置を保持するロック状態と該保持を解除するロック解除状態とに切り替え可能であり、前記撮影状態と前記沈胴状態のそれぞれにおいて前記ロック状態と前記ロック解除状態に切り替え可能な操作部材と、
前記レンズ装置が前記撮影状態か前記沈胴状態かを検出する状態検出手段と、
前記操作部材が前記ロック状態か前記ロック解除状態かを検出するロック検出手段と、
前記状態検出手段および前記ロック検出手段による検出結果、または該検出結果に応じた撮影可否に関する情報を出力する制御手段を有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記レンズ装置が前記撮影状態にあるときと前記沈胴状態にあるときとで、前記操作部材を前記ロック解除状態から前記ロック状態に切り替えるための操作方向が互いに同じであることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記操作部材が前記ロック状態になったときと前記ロック解除状態になったときのそれぞれにおいてクリック感を発生させるクリック機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記クリック機構は、クリックピンと、前記操作部材が前記ロック状態になったときと前記ロック解除状態になったときにそれぞれ前記クリックピンが落ち込むクリック溝部とを有し、
前記ロック検出手段は、前記クリック溝部に落ち込んだ前記クリックピンが当接することにより前記ロック状態か前記ロック解除状態かを検出することを特徴する請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撮影状態の前記ロック状態か前記ロック解除状態かに関する情報と、前記沈胴状態の前記ロック状態か前記ロック解除状態かに関する情報を出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記操作部材と前記保持筒の一方に爪部を有し、他方に溝部を有し、
前記爪部と前記溝部が係合することにより前記ロック状態とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のレンズ装置
【請求項7】
前記操作部材と前記保持筒の一方に爪部を有し、他方に溝部を有し、
前記撮影状態と前記沈胴状態の中間状態において、前記光軸方向に沿った溝部に前記爪部が係合することによって前記操作部材の前記光軸周りの回転を規制することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のレンズ装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のレンズ装置により形成された光学像を撮影する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
前記レンズ装置から受信した前記検出結果または前記撮影可否に関する情報に応じて撮影を許容または制限することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項10】
レンズを保持する保持筒が、固定筒に対して光軸方向に移動することで、撮影状態と該撮影状態より全長が短縮された沈胴状態とに切り替え可能なレンズ装置であり、前記保持筒の光軸方向での位置を保持するロック状態と該保持を解除するロック解除状態とに切り替え可能であり、前記撮影状態と前記沈胴状態のそれぞれにおいて前記ロック状態と前記ロック解除状態に切り替え可能な操作部材を有するレンズ装置の制御方法であって、
前記レンズ装置に、
該レンズ装置が前記撮影状態か前記沈胴状態かを検出させ、
前記操作部材が前記ロック状態か前記ロック解除状態かを検出させ、
前記保持筒および前記操作部材の検出結果、または該検出結果に応じた撮影可否に関する情報を出力させることを特徴とするレンズ装置の制御方法。
【請求項11】
レンズを保持する保持筒が、固定筒に対して光軸方向に移動することで、撮影状態と該撮影状態より全長が短縮された沈胴状態とに切り替え可能なレンズ装置であり、前記保持筒の光軸方向での位置を保持するロック状態と該保持を解除するロック解除状態とに切り替え可能な操作部材を有するレンズ装置のコンピュータに、請求項10に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可能なレンズ装置とこれを備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ装置には、可動部が固定部に対して光軸方向に移動することで伸縮可能なものがある。具体的には、撮影時に可動部が固定部に対して被写体側に延出した撮影状態(伸長状態)となり、非撮影(携帯)時には可動部が固定部に対して格納された沈胴状態(格納状態)となる。このようなレンズ装置では、撮影が可能な撮影状態にあるか否かを検出器を用いて検出する。
【0003】
例えば、特許文献1には、前群レンズ保持筒が後群レンズ保持筒に対して延出した位置に配置されているか否かを検出器により検出し、その検出結果をカメラボディに伝達するレンズ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-43655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にて開示されたレンズ装置では、撮影状態になったことは検出されるが、該撮影状態に保持(ロック)されているか否かまでは判定していない。このため、ロック解除状態での撮影中にレンズ装置が撮影状態から沈胴状態に向かって移動するおそれがある。
【0006】
本発明は、撮影中に撮影状態から沈胴状態に縮むことや、撮影状態にロックされていない状態で撮影が行われることを防止できるようにしたレンズ装置およびこれを備えた撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのレンズ装置は、レンズを保持する保持筒が、固定筒に対して光軸方向に移動することで、撮影状態と該撮影状態より全長が短縮された沈胴状態とに切り替え可能である。該レンズ装置は、保持筒の光軸方向での位置を保持するロック状態と該保持を解除するロック解除状態とに切り替え可能であり、撮影状態と沈胴状態のそれぞれにおいてロック状態とロック解除状態に切り替え可能なロック機構と、レンズ装置が撮影状態か沈胴状態かを検出する状態検出手段と、ロック機構がロック状態かロック解除状態かを検出するロック検出手段と、状態検出手段およびロック検出手段による検出結果、または該検出結果に応じた撮影可否に関する情報を出力する制御手段とを有することを特徴とする。なお、上記レンズ装置を備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影中に撮影状態から沈胴状態に縮むことを防止できる。また、レンズ装置が撮影状態にあるがロック機構がロック解除状態にあるときに撮影が行われることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例1に係る交換レンズを含むカメラシステムの構成を示すブロック図。
図2】実施例1であるレンズ装置の撮影状態を表す断面図。
図3】実施例1であるレンズ装置の沈胴状態を表す断面図。
図4】実施例1におけるロックリングのロック状態とロック解除状態を示す図。
図5】実施例1におけるロックリングと固定筒との関係を示す模式図。
図6】実施例1における位置検出器による検出位置とロック検出スイッチにおる検出状態と撮影可否判定との組み合わせを示す図。
図7】本発明の実施例2におけるロックリングのロック状態とロック解除状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の実施例1であるレンズ装置としての交換レンズ200を含むカメラシステムの構成を示す。図2は撮影状態にある交換レンズ200断面を示し、図3は沈胴状態にある交換レンズ200の断面を示している。
【0012】
図1に示すように、カメラシステム100は、交換レンズ200と、該交換レンズ200が取り外し可能に装着されたレンズ交換型撮像装置としてのカメラ本体300とを含む。カメラシステムは、レンズ装置とカメラ本体を一体化したレンズ一体型撮像装置であってもよい。
【0013】
交換レンズ200は、固定筒201と、レンズ群L1と、進退筒ユニット220と、ロックリング202を含むロック機構とを有する。交換レンズ200は、図2に示すように進退筒ユニット220が固定筒201に対して光軸方向に延出した撮影位置にある撮影状態(伸長状態)と、進退筒ユニット220が固定筒201に対して沈胴位置にある沈胴状態(短縮状態、格納状態)とに切り替えることができる。沈胴状態は、撮影状態よりもレンズ全長が短いため、ユーザが撮影を行わずに携帯する際に適した状態である。
【0014】
操作部材としてのロックリング202は交換レンズ200の光軸を中心とする光軸回り方向(以下、周方向という)に回転可能である。ユーザがロックリング202をロック位置からロック解除位置に回転操作して進退筒ユニット220を固定筒201に対して光軸方向に移動させることで、交換レンズ200を撮影状態と沈胴状態に切り替えることができる。
【0015】
また図1に示すように、交換レンズ200は、状態検出手段としての位置検出器203と、ロック検出手段としてのロック検出スイッチ204と、制御手段(コンピュータ)としてのレンズマイコン205とを有する。位置検出器203は、レバー式スイッチであり、進退筒ユニット220が固定筒201に対して撮影位置にある(交換レンズ200が撮影状態にある)ときにはレバー部203aが倒れずに通電OFF状態となり、進退筒ユニット220が沈胴位置にある(交換レンズ200が沈胴状態にある)ときにはレバー部203aが倒れて通電ON状態となる。位置検出器203の通電ON/OFF状態はレンズマイコン205により検出される。なお、位置検出器203として、エンコーダや可変抵抗器等を用いてもよい。
【0016】
ロック検出スイッチ204は、レバー式スイッチであり、ロックリング202がロック位置にあるとき(図4(a)参照)にはレバー部204aが倒れずに通電OFF状態になり、ロックリング202がロック解除位置にあるとき(図4(a)参照)にはレバー部204aが倒れて通電ON状態になる。ロック検出スイッチ204の通電ON/OFF状態はレンズマイコン205により検出される。
【0017】
さらに交換レンズ200は、光量を調節する絞り206と、手振れ補正を行う光学防振ユニット207と、レンズ群L1をズーミングやフォーカシングのために光軸方向に駆動するステッピングモータ、振動型モータおよびボイスコイルモータ等の駆動部208とを有する。絞り206、光学防振ユニット207および駆動部208は、レンズマイコン205によって制御される。
【0018】
レンズマイコン205は、MPUやCPU等により構成されるマイクロコンピュータであり、記憶部209、操作量検出部210、位置検出器203およびロック検出スイッチ204と通信が可能である。
【0019】
操作リング211は、周方向においてエンドレスにユーザにより回転操作が可能である。この操作リング211の回転操作によって制御される制御対象は、レンズ群L1、絞り206および光学防振ユニット207等の中からユーザにより選択することができる。操作量検出部210は、操作リング211の回転量に応じた信号をレンズマイコン205に出力する。レンズマイコン205は、その信号を用いて制御対象を駆動する。
【0020】
交換レンズ200は、カメラ本体300のカメラマウント301に機械的かつ電気的に接続される接続部としてのレンズマウント212を有する。レンズマウント212には、カメラ本体300との通信を行うためのレンズ端子213を有する。
【0021】
カメラ本体300は、撮像素子303と、カメラマイコン302とを有する。撮像素子303は、CCDセンサやCMOSセンサ等により構成され、交換レンズ200(レンズ群L1)により形成された光学像を撮像(光電変換)する。カメラマイコン302は、撮像素子303からの撮像信号を用いて画像データを生成し、該画像データをカメラ表示部305に表示したり不図示の記録媒体に記録したりすることができる。カメラ表示部305は、画像データのほか、交換レンズ200の状態、例えば光学防振のオン/オフ状態や撮影可能/沈胴状態等を表示することができる。またカメラマイコン302は、撮像素子303のISO感度、ホワイトバランス、シャッタ速度等の撮影条件を制御する。シャッタ304は、カメラマイコン302からの指示に応じて動作して撮像素子303の露光量を制御する。またカメラマイコン302は、レンズ端子213とカメラ端子306を通してレンズマイコン205と通信する。
【0022】
図2および図3に示すように、進退筒ユニット220は、保持筒216と外装筒215とを含む。保持筒216は、絞り206、光学防振ユニット207、駆動部208および位置検出器203を保持している。保持筒216は、該保持筒216に固定された直進ガイド部材214が、固定筒201に光軸方向に延びるように設けられた直進ガイド溝部201aに係合することで、周方向の回転が制限されながら固定筒201に対して光軸方向に移動するようにガイドされる。
【0023】
外装筒215は、ロックリング202、操作リング211およびロック検出スイッチ204を保持しており、不図示のビスによって保持筒216に一体に固定されている。ロックリング202は、そのバヨネット爪202aが外装筒215に周方向に延びるように設けられた周溝部215aに係合することで、光軸方向への移動が制限されながら周方向に回転可能に保持されている。
【0024】
図4(a)はロック位置にあるロックリング202と外装筒215を示し、図4(b)はロック解除位置にあるロックリング202と外装筒215を示している。図4(a)では、ロック検出スイッチ204のレバー部204aがロックリング202の溝部202d内に位置して倒れていない。このとき、ロック検出スイッチ204は通電OFF状態であり、レンズマイコン205はロックリング202がロック位置にあると判定する。
【0025】
クリック機構としてのクリックピン217とクリックバネ218は、ロックリング202の穴部202c内に配置されて保持されている。クリックバネ218はクリックピン217を外装筒215に当接するように付勢している。クリックピン217が外装筒215の第1のクリック溝部215bに落ち込むことでロックリング202を回転操作するユーザにクリック感を与える。またクリックピン217が第1のクリック溝部215bに係合することで、ロックリング202がロック位置に保持される。
【0026】
図4(b)では、ロック検出スイッチ204のレバー部204aがロックリング202の溝部202d外に出て倒れている。このとき、ロック検出スイッチ204は通電ON状態であり、レンズマイコン205はロックリング202がロック解除位置にあると判定する。クリックピン217が外装筒215の第2のクリック溝部215cに落ち込むことでロックリング202を回転操作するユーザにクリック感を与える。またクリックピン217が第2のクリック溝部215cに係合することで、ロックリング202がロック解除位置に保持される。
【0027】
図5は、ロックリング202と固定筒201との関係を示している。図6は、位置検出器203による検出結果とロック検出スイッチ204による検出結果との組み合わせに応じたレンズマイコン205による撮影可否判定の結果を示している。レンズマイコン205は、コンピュータプログラムに従って撮影可否判定処理(制御方法)を実行する。
【0028】
ロックリング202のロック爪202bが固定筒201の第1の周溝部201cに係合している状態では、進退筒ユニット220(保持筒216、外装筒215およびロックリング202)の固定筒201に対する光軸方向の移動が制限される。ロック爪202bが図5中のAの位置にある状態では、図4(a)に示すようにロック検出スイッチ204は、レバー部204aが倒れておらず通電OFF状態である。また位置検出器203も、レバー部203aが倒れておらず通電OFF状態である。このとき、レンズマイコン205は、交換レンズ200が撮影状態にあり、かつロック機構がロック状態にあるために撮影可能であると判定し、その判定結果(撮影可否に関する情報としての撮影可能を示す情報)をカメラマイコン302に送信する。
【0029】
ロック爪202bがAの位置にある状態からロックリング202がユーザにより周方向に回転操作されてロック爪202bが第1の周溝部201cから外れる図5中のBの位置まで移動すると、進退筒ユニット220は固定筒201に対して光軸方向に移動可能になる。この状態では、図4(b)に示すようにロック検出スイッチ204は、レバー部204aが倒れて通電ON状態になる。また位置検出器203は、レバー部203aが倒れない通電OFF状態のままである。このとき、レンズマイコン205は、交換レンズ200は撮影状態であるがロック機構がロック解除状態にあるために撮影不可と判定し、その判定結果(撮影可否に関する情報としての撮影不可を示す情報)をカメラマイコン302に送信する。
【0030】
ロック爪202bがBの位置にある状態から進退筒ユニット220が固定筒201に対して撮影位置から沈胴位置より手前の中間位置に移動してロック爪202bが図5中のCの位置に移動すると、図4(b)に示すようにロック検出スイッチ204はレバー部204aが倒れた通電ON状態のままであり、位置検出器203はレバー部203aが倒れた通電ON状態になる。ロック爪202bがCの位置にある状態では、固定筒の回転規制溝部201bにロック爪202bが係合しているため、ロックリング202の周方向の回転が規制されている。このとき、レンズマイコン205は、交換レンズ200が撮影状態ではなくロック機構がロック解除状態であるために撮影不可と判定し、その判定結果(撮影不可を示す情報)をカメラマイコン302に送信する。
【0031】
ロック爪202bが図5中のDの位置まで移動して固定筒201の第2の周溝部201dに係合している状態では、進退筒ユニット220の固定筒201に対する光軸方向の移動が制限される。なお、ロック爪202bを第2の周溝部201d外からDの位置まで移動させる際のロックリング202の回転操作方向は、第1の周溝部201c外(Bの位置)からAの位置まで移動させる際のロックリング202の回転操作方向と同じである。
【0032】
この状態では、図4(a)に示すようにロック検出スイッチ204は、レバー部204aが倒れずに通電OFF状態になる。また位置検出器203は、レバー部203aが倒れて通電ON状態になる。このとき、レンズマイコン205は、交換レンズ200が沈胴状態であり、かつロック機構がロック状態にあるために撮影不可と判定し、その判定結果(撮影不可を示す情報)をカメラマイコン302に送信する。
【0033】
レンズマイコン205から撮影可能との判定結果を受信したカメラマイコン302は、撮像素子303による撮像を許容する。一方、レンズマイコン205から撮影不可との判定結果を受信したカメラマイコン302は、撮像素子303による撮像を制限する。
【0034】
図6に示すように、レンズマイコン205は、撮影不可と判定した際に、カメラマイコン302を通じてカメラ表示部305に警告やメッセージを表示させることも可能である。この際、位置検出器203による検出結果とロック検出スイッチ204による検出結果とに応じてカメラ表示部305への表示内容を変えることができる。例えば、交換レンズ200を撮影状態にすることを促すメッセージを表示する。
【0035】
以上のように構成された交換レンズ200では、交換レンズ200が撮影状態にあり、かつロック機構がロック状態にあるときにのみ撮影可能との判定結果をカメラ本体300(カメラマイコン302)に送信し、それ以外は撮影不可との判定結果をカメラ本体300に送信する。このため、撮影中にユーザが誤って交換レンズ200を撮影状態から沈胴状態に縮めてしまうことを防止することができる。また、交換レンズ200が撮影状態にあるがロック機構がロック解除状態にあるときにカメラ本体300により撮影が行われることを防止できる。なお、撮影可否に関する情報として、ロック検出スイッチ204の通電ON/OFF状態と位置検出器203により検出された進退筒ユニット220の位置をカメラ本体300に送信してもよい。
【0036】
またロックリング202の操作のみで交換レンズ200を撮影状態および沈胴状態に保持することが可能であるため、交換レンズ200の操作性を向上させることができる。
【0037】
また撮影状態と沈胴状態においてロック機構をロック状態とロック解除状態にするためのロックリング202の回転操作方向を互いに同じにしたことで、操作性をより向上させることができる。
【0038】
また前述したクリック機構を設けたことで、ロックリング202を回転操作するユーザにロック状態やロック解除状態になったことを明確に認識させることができるとともに、ロック状態やロック解除状態からロックリング202が不用意に回転することを防止できる。しかも、クリック溝部215b,215cをそれぞれロック検出スイッチ204が通電OFF状態となる位置と進退筒ユニット220が光軸方向に移動可能となる位置に設けたので、さらに操作性を向上させることができる。
【0039】
なお、本実施例では、レンズマイコン205が撮影可否に関する情報をカメラマイコン302に送信する場合について説明したが、レンズマイコン205がロック検出スイッチ204および位置検出器203による検出結果をカメラマイコン302に送信し、カメラマイコン302がそれらの検出結果に応じて撮影可否(撮影を許容するか制限するか)を判定してもよい。
【0040】
また本実施例では、ロック検出スイッチ204をレバー式スイッチとしたが、プッシュ式スイッチやフォトインタラプタ等の他の検出手段を用いてもよい。
【0041】
また図6に示した位置検出器203による位置判定結果とロック検出スイッチ204の通電状態との組み合わせとレンズマイコン205による撮影可否の判定結果との関係は例にすぎず、他の関係を採用してもよい。
【0042】
さらに本実施例では、操作部材としてのロックリング202を回転させてロック状態とロック解除状態を切り替えるように構成した場合について説明したが、ロック部材をスライドさせてロック状態とロック解除状態を切り替えるように構成してもよい。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2の交換レンズについて説明する。本実施例において、実施例1と共通する構成要素については、実施例1と同符号を付して説明に代える。
図7(a)はロック位置にあるロックリング202と外装筒215を示し、図7(b)はロック解除位置にあるロックリング202と外装筒215を示している。本実施例では、ロック検出スイッチ2204が外装筒215の第1のクリック溝部215bと同位相に配置されている。ロック検出スイッチ2204は、プッシュ式スイッチであり、ボタン部2204aを有する。
【0044】
図7(a)のロック状態では、ロックリング202の穴部202c内に保持されてクリックバネ218により付勢されたたクリックピン217が外装筒215の第1のクリック溝部215bに落ち込んでいる。この状態では、ロック検出スイッチ2204のボタン部2204aがクリックピン217によって押し込まれて(当接して)おり、ロック検出スイッチ2204は通電ON状態になっているため、レンズマイコン205は、ロックリング202がロック位置にある(ロック機構がロック状態である)と判定する。
【0045】
図7(b)のロック解除状態では、クリックピン217が外装筒215の第2のクリック溝部215cに落ち込んでいる。この状態では、ロック検出スイッチ2204のボタン部2204aは押し込まれておらず、ロック検出スイッチ2204は通電OFF状態になっているため、レンズマイコン205はロックリング202がロック解除位置にある(ロック機構がロック解除状態である)と判定する。
【0046】
本実施例では、第1のクリック溝部215bと同一位相にロック検出スイッチ2204を配置したことで、クリックピン217が第1のクリック溝部215bに落ち込んでクリック感が発生するタイミングとロック検出スイッチ2204が通電OFF状態から通電ON状態に切り替わるタイミングとを一致させることができる。これにより、ユーザがロックリング202を回転操作したときに、クリックピン217が第1のクリック溝部215bに落ち込んでクリック感が発生する前に、カメラ表示部305の表示が切り替わることを防止することができ、交換レンズの操作性をより向上させることができる。
【0047】
本実施例では、ロック検出スイッチとしてプッシュ式スイッチを用いたが、例えば、クリック溝部に電極を設けてクリックピンが該クリック溝部に落ち込んだときに導通する構成として、ロック検出スイッチの導通ON状態と通電OFF状態とが切り替わるようにしてもよい。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0048】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
200 交換レンズ
201 固定筒
202 ロックリング
203 位置検出器
204 ロック検出スイッチ
205 レンズマイコン
216 保持筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7