(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】電子機器、アクセサリ及びシステム
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240805BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20240805BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240805BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B17/56 C
G03B17/02
H04N23/50
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2020068879
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2019089928
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019089926
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019089927
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019095297
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019095298
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019095299
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019089929
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 陽作
(72)【発明者】
【氏名】東一 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 安弘
(72)【発明者】
【氏名】茂木 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】照屋 優子
(72)【発明者】
【氏名】前川 重之
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-345908(JP,A)
【文献】特開平02-293834(JP,A)
【文献】特開2013-064929(JP,A)
【文献】特開平04-102799(JP,A)
【文献】特開2007-194951(JP,A)
【文献】特開2002-289984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0166027(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110832243(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 17/02
H04N 23/50
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセサリが着脱可能に取り付けられる電子機器であって、
前記電子機器の本体は、前記アクセサリと対向する第1の取付部を備え、
前記アクセサリは、前記本体と対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
前記第1の取付部の中心に配置された第1のねじ部と、
接点保持部材に保持されて前記第1のねじ部の外側に配置された第1の電気接続部と、 前記第1の電気接続部の外側に形成された第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第2の取付部の中心に配置され、前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
前記第2のねじ部の外側に配置され、前記第1の電気接続部と電気的に接続される第2の電気接続部と、
前記第2の電気接続部の外側に形成され、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記本体に前記アクセサリが取り付けられていない状態において、前記接点保持部材は付勢部材によって前記本体の内側に付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
アクセサリが着脱可能に取り付けられる電子機器であって、
前記電子機器の本体は、前記アクセサリと対向する第1の取付部を備え、
前記アクセサリは、前記本体と対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
第1のねじ部と、
接点保持部材に保持された第1の電気接続部と、
第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
前記第1の電気接続部と電気的な接続を行う第2の電気接続部と、
前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の一方の電気接続部は、前記一方の電気接続部が配置される取付部の中心から所定の間隔をおいて同心円状に形成された複数の接点パターンであり、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の他方の電気接続部は、前記複数の接点パターンと同一の間隔で半径方向に列をなして形成された複数の接点ピンであり、
前記本体に前記アクセサリが取り付けられていない状態において、前記接点保持部材は付勢部材によって前記本体の内側に付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記第1のねじ部
と前記第2のねじ部が螺合する際、前記第1のねじ
部によって前記
接点保持部材が前記第2の取付部の方向に押し込まれ
て、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部はそれぞれ、前記第1の係合部および前記第2の係合部の係合面とは異なる面に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で得られた画像に対して所定の画像処理を行う画像処理手段と、を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記アクセサリは前記本体に対して所定の角度に回動可能に取り付けられ、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の一方の電気接続部は、前記一方の電気接続部を有する取付部の中心から放射状に配置された複数の接点ピンを有し、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の他方は、該他方の電気接続部を有する取付部の中心を中心として同心円状に複数の接点パターンの配線部が形成された回路部材を有し、
前記回路部材は、
当該回路部材を備える前記本体又は前記アクセサリの所定の基板に接続される接続部と、
前記接続部と前記配線部とを繋ぐパターン引出部と、を有し、
前記本体に対して前記アクセサリを回転させた際に前記複数の接点ピンはそれぞれ、前記複数の接点パターンの異なるパターンにのみ接触することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記複数の接点パターンが形成された回路部材を備え、
前記回路部材は、
当該回路部材を備える前記本体または前記アクセサリの所定の基板に接続される接続部と、
前記接続部と前記接点パターンを繋ぐパターン引出部と、を有し、
前記本体に対して前記アクセサリを回転させた際に、前記複数の接点ピンはそれぞれ、前記複数の接点パターンの異なるパターンにのみ接触することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の取付部および前記第2の取付部はそれぞれ円形に成形されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記回路部材は基板であり、前記パターン引出部はスルーホールであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記回路部材はフレキシブル基板であり、前記パターン引出部はカバーレイで覆われていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記複数の接点ピンは、第1の接点ピンおよび第2の接点ピンを有し、
前記本体に対して前記アクセサリを回転させた際に、前記第1の接点ピンおよび前記第2の接点ピンのいずれか一方の接点ピンが前記パターン引出部に接触した際に、前記第1の接点ピンおよび前記第2の接点ピンの他方の接点ピンが前記接点パターンに接触することを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記第1の接点ピンおよび前記第2の接点ピンの双方が前記接点パターンに接触した場合に、前記第1の接点ピンの出力である信号を優先する制御手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
前記第1の係合部は、前記第1のねじ部の内周側に設けられ、
前記第2の係合部は、前記アクセサリおよび前記本体の前記一方に対する他方の回転位置を規制し、
前記第2の係合部は、前記アクセサリおよび前記本体の前記他方の回転位置を規制する第1の位置と、前記アクセサリおよび前記本体の前記他方の回転位置を変更可能な第2の位置との間で移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項14】
前記第1の係合部および前記第2の係合部はそれぞれ、凹形状部と凸形状部を有することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
前記複数の接点ピンは、前記第1の係合部よりも内周側に設けられ、
前記複数の接点パターンは、前記第2の係合部よりも内周側に設けられ、
前記複数の接点ピンは前記複数の接点パターンに対して摺動可能に接触することを特徴とする請求項13又は14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記複数の接点ピンは、前記複数の接点ピンが設けられている取付部から露出することを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第1の係合部が前記第1のねじ部よりも内周側に設けられるとともに、前記複数の接点ピンが前記第1の係合部よりも内周側に設けられ、
前記複数の接点パターンが前記第2の係合部よりも内周側に設けられ、
前記第2の係合部は前記アクセサリおよび前記本体の前記一方に対する他方の回転位置を規制し、
前記複数の接点ピンはそれぞれ前記複数の接点パターンに摺動可能に接触することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項18】
前記第1の係合部および前記第2の係合部の各々は凹形状部と凸形状部を有することを特徴とする請求項17の電子機器。
【請求項19】
前記複数の接点ピンは、前記複数の接点ピンが設けられている取付部から露出することを特徴とする請求項17又は18に記載の電子機器。
【請求項20】
前記複数の接点ピンの先端の位置は、前記第1の係合部の凹形状部の位置よりも低いことを特徴とする請求項18又は19に記載の電子機器。
【請求項21】
前記第2のねじ部は前記複数の接点パターンの外周を囲うように配置され、
前記アクセサリを前記本体に装着する際、前記第2のねじ部は前記第2の係合部よりも前記アクセサリおよび前記本体の前記一方の近くに突出し、
前記第1のねじ部および前記第2のねじ部の中心軸がずれた状態で前記本体に前記アクセサリを装着しようとした場合に、前記第2のねじ部と前記第1の係合部が当接して、前記複数の接点パターンの前記第1の係合部との衝突が防止されることを特徴とする請求項20に記載の電子機器。
【請求項22】
電子機器と、
前記電子機器の本体に対して着脱可能に取り付けられるアクセサリと、を備えるシステムであって、
前記アクセサリおよび前記本体の一方は、前記アクセサリおよび前記本体の他方と対向する第1の取付部を備え、
前記アクセサリおよび前記本体の前記他方は、前記アクセサリおよび前記本体の前記一方と対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
前記第1の取付部の中心に配置された第1のねじ部と、
第1の接点保持部材に保持されて前記第1のねじ部の外側に配置された第1の電気接続部と、
前記第1の電気接続部の外側に形成された第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第2の取付部の中心に配置され、前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
第2の接点保持部材に保持されて前記第2のねじ部の外側に配置され、前記第1の電気接続部と電気的に接続される第2の電気接続部と、
前記第2の電気接続部の外側に形成され、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記本体に前記アクセサリが取り付けられていない状態において、前記第1の接点保持部材および前記第2の接点保持部材の少なくとも一方の接点保持部材は、付勢部材によって前記本体の内側または前記アクセサリの内側に向かって付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部とが螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とするシステム。
【請求項23】
電子機器と、
前記電子機器の本体に対して着脱可能に取り付けられるアクセサリと、を備えるシステムであって、
前記アクセサリおよび前記本体の一方は、前記アクセサリおよび前記本体の他方と対向する第1の取付部を備え、
前記アクセサリおよび前記本体の前記他方は、前記アクセサリおよび前記本体の前記一方と対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
第1のねじ部と、
第1の接点保持部材に保持された第1の電気接続部と、
第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
第2の接点保持部材に保持され、前記第1の電気接続部と電気的な接続を行う第2の電気接続部と、
前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の一方の電気接続部は、前記一方の電気接続部が配置される取付部の中心から所定の間隔をおいて同心円状に形成された複数の接点パターンであり、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の他方の電気接続部は、前記複数の接点パターンと同一の間隔で半径方向に列をなして形成された複数の接点ピンであり、
前記本体に前記アクセサリが取り付けられていない状態において、前記第1の接点保持部材および前記第2の接点保持部材の少なくとも一方の接点保持部材は、付勢部材によって前記本体の内側または前記アクセサリの内側に向かって付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とするシステム。
【請求項24】
電子機器に対して着脱可能なアクセサリであって、
前記アクセサリは、前記電子機器の本体と対向する第1の取付部を備え、
前記本体は、前記アクセサリと対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
前記第1の取付部の中心に配置された第1のねじ部と、
接点保持部材に保持されて前記第1のねじ部の外側に配置された第1の電気接続部と、 前記第1の電気接続部の外側に形成された第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第2の取付部の中心に配置され、前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
前記第2のねじ部の外側に配置され、前記第1の電気接続部と電気的に接続される第2の電気接続部と、
前記第2の電気接続部の外側に形成され、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記アクセサリが前記本体に取り付けられていない状態において、前記接点保持部材は、付勢部材によって前記アクセサリの内側に向かって付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部とが螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とするアクセサリ。
【請求項25】
電子機器に対して着脱可能なアクセサリであって、
前記アクセサリは、前記電子機器の本体と対向する第1の取付部を備え、
前記本体は、前記アクセサリと対向する第2の取付部を備え、
前記第1の取付部は、
第1のねじ部と、
接点保持部材に保持された第1の電気接続部と、
第1の係合部と、を有し、
前記第2の取付部は、
前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、
前記第1の電気接続部と電気的な接続を行う第2の電気接続部と、
前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の一方の電気接続部は、前記一方の電気接続部が配置される取付部の中心から所定の間隔をおいて同心円状に形成された複数の接点パターンであり、
前記第1の電気接続部および前記第2の電気接続部の他方の電気接続部は、前記複数の接点パターンと同一の間隔で半径方向に列をなして形成された複数の接点ピンであり、
前記アクセサリが前記本体に取り付けられていない状態において、前記接点保持部材は、付勢部材によって前記アクセサリの内側に向かって付勢され、
前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とするアクセサリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、アクセサリ及びシステムに関し、特に、電子機器本体に備えられ、電気接点を有するアクセサリが着脱可能な電子機器に関し、電子機器が備える電気接点を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器の1つである撮像装置においては撮像装置本体を把持するためのグリップ(アクセサリの1つ)が備えられており、このグリップは撮像装置本体に着脱可能とされることがある。例えば、グリップが撮像装置本体に対して着脱可能であれば、三脚を使用する際などグリップが不要である場合に撮像装置自体が占有するスペースを小さくすることができる。
【0003】
さらに、グリップを撮像装置本体に対して回転可能とすれば、例えば、ハイアングルからローアングル撮影に切り替える際にグリップを把持した状態でスムーズに撮影アングルを変えることができる。
【0004】
一方、撮像装置本体とグリップとの間で電源供給および通信を行うため、ケーブルを用いることがある(例えば、特許文献1参照)。しかし、ケーブルを用いた場合にはケーブルの挿抜および引き回し、そして、接続端子の収納に必要なスペースなどに起因して撮像装置本体およびグリップが大型化する。さらに、グリップを回転させた際にはケーブルの引き回しが煩雑になってしまう。
【0005】
そこで、グリップに備えられた固定部に電気接点を備えて、グリップを撮像装置本体に装着すると電気通信などを行えるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ここで、2つの機器を任意の角度で固定(連結)する手法として、ロゼット(菊座)を用いる手法が知られており(例えば、特許文献3参照)、この手法を撮像装置に対するグリップの着脱に利用することができる。撮像装置とグリップの双方にはロゼットとねじが配置されており、互いのロゼットを係合した上でねじを締めることで、撮像装置に対してグリップを任意の角度で固定することができる。
【0007】
また、電気接点を保護する技術の一例として、特許文献4には、電池の充電器の電気接点(接触端子)に対して、非使用時に電気接点を覆う端子カバーが開示されている。特許文献4の構成では、充電器の使用時には、電池を装着する操作に応じて電池によって端子カバーが押し込まれることで電気接点が露出して、電池の端子と接触する。
【0008】
そして、特許文献5には、コネクタが配置された面に開閉蓋を設け、他の機器と接続する際はその開閉蓋を開けて一方のコネクタを機器から突出させることで他方のコネクタに接続する携帯型情報機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2013-92678号公報
【文献】特開2007-194953号公報
【文献】特開平4-102799号公報
【文献】特開平11-154536号公報
【文献】特開平8-22437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献2においては、撮像装置本体とグリップとの固定がバヨネット固定であるので、撮像装置本体とグリップとを強固に固定することが困難である。その結果、グリップを把持した状態においてグリップと撮像装置本体との固定がガタつく恐れがある。さらに、グリップを把持した状態でガタつきが生じると電気接点間に隙間が生じて電気接続が不安定になる恐れがある。
【0011】
上記特許文献3の構成に対しては、撮像装置とグリップとの間で電源供給や通信を行うために、互いのロゼットの内側に電気接点を設ける構成が考えられる。しかし、上記特許文献3の構成では、電気接点がロゼットによって損傷してしまう可能性がある。また、グリップの非装着時に撮像装置とグリップのそれぞれの電気接点が外観に露出していると、例えば、電気接点に意図せずして指などが触れてしまうことで被膜が形成され、接触不良を招く可能性がある。そこで、電気接点を使用しない場合には、電気接点を覆って保護することが望ましい。
【0012】
上記特許文献4に開示された端子カバーは、適切な規格の電池をセットする操作以外の操作、例えば指で端子カバーを押し込むなどすることで簡単に電気接点が露出してしまう。例えば、撮像装置のように、ユーザーによる把持方法が複数想定され、把持方法が頻繁に変わる装置においては、ユーザーの指や別の装置が意図せず端子カバーを押し込むことで電気接点が露出してしまう可能性がある。そのため、上記従来技術に係る端子カバーでは、指が電気接点に触れて絶縁性の被膜が形成されることで接触不良が生じる可能性や、別の装置が電気接点に触れて電気接点を損傷させてしまう可能性がある。さらに、電気接点が簡単に外部に露出してしまうと電気接点に酸化被膜が形成されやすくなり、電気接続の信頼性が低下してしまう。
【0013】
上記特許文献5に開示された携帯型情報機器では、開閉蓋は開閉時には引き戸のように直線的に移動するため、開閉蓋を退避させるための空間が必要となる。このような退避空間を設けることは、ロゼットの内側の限られた空間に電気接点を配置する構造では、設計上の大きな制約となってしまう。また、携帯型情報機器では開閉蓋を開けると、コネクタの電気接点が外部から見える状態となるため、上記特許文献4に開示された技術と同様に、指や別の装置がコネクタに触れることで電気接点に接触不良や損傷が生じるおそれがある。
【0014】
本発明は、電子機器本体とグリップなどのアクセサリとを強固に固定するとともに容易に且つ確実に両者の電気接続を行うことができる、アクセサリが着脱可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る電子機器は、アクセサリが着脱可能に取り付けられる電子機器であって、前記電子機器の本体は、前記アクセサリと対向する第1の取付部を備え、前記アクセサリは、前記本体と対向する第2の取付部を備え、前記第1の取付部は、前記第1の取付部の中心に配置された第1のねじ部と、前記第1のねじ部の外側に配置された第1の電気接続部と、前記第1の電気接続部の外側に形成された第1の係合部と、を有し、前記第2の取付部は、前記第2の取付部の中心に配置され、前記第1のねじ部と螺合する第2のねじ部と、前記第2のねじ部の外側に配置され、前記第1の電気接続部と電気的に接続される第2の電気接続部と、前記第2の電気接続部の外側に形成され、前記第1の係合部と係合する第2の係合部と、を有し、前記第1の電気接続部は、接点保持部材に保持され、前記アクセサリが取り付けられていない状態において、前記接点保持部材は付勢部材によって前記本体の内側に付勢され、前記第1のねじ部と前記第2のねじ部が螺合した際、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合するとともに、前記第1の電気接続部と前記第2の電気接続部が電気的に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器本体とグリップなどのアクセサリとを強固に固定するとともに容易に且つ確実に両者の電気接続を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態による電子機器の1つである撮像装置においてアクセサリであるグリップが装着された状態を前方から示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態による撮像装置においてグリップが装着された状態を後方から示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態による撮像装置においてグリップが取り外された状態を後方から示す斜視図である。
【
図4】
図1および
図2に示す撮像装置本体に装着されるグリップを後方から見た斜視図である。
【
図5】
図1および
図2に示す撮像装置本体の取付部を分割して示す斜視図である。
【
図6】
図4に示すグリップの取付部を分割して示す斜視図である。
【
図7】
図1および
図2に示す撮像装置本体およびグリップの取付構造を説明するための断面図である。
【
図8】
図2において交換レンズおよびベルトを取り除いた状態で撮像装置本体およびグリップを-X方向から見た側面図である。
【
図9】
図8に示す撮像装置本体に対してグリップを所定の軸の位置となるように回転させた状態を示す側面図である。
【
図10】
図1に示すグリップに備えられたグリップ側基板を説明するための図である。
【
図11】
図8および
図9に示す撮像装置本体の本体側接点ピンとグリップのグリップ側基板を説明するための図である。
【
図12】
図8に示す撮像装置本体にグリップを取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図14】
図13に示すフレキシブル基板を説明するための図である。
【
図15】
図12に示す状態における撮像装置本体の接点部とグリップのフレキシブル基板を示す図である。
【
図16】本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを備える撮像装置本体を示す左側面図である。
【
図17】
図16に示す撮像装置本体にグリップを取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図18】
図14に示すフレキシブル基板と撮像装置本体の本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを抜き出してX方向から見た図である。
【
図19】
図16に示す撮像装置本体に対してグリップ回転させた状態を示す図である。
【
図20】
図19に示す状態においてフレキシブル基板と本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを抜き出してX方向から見た図である。
【
図21】本発明の第1の実施形態の第1の変形例による撮像装置本体の外観を示す斜視図である。
【
図22】本発明の第1の実施形態の第1の変形例による本体側取付機構を示す斜視図である。
【
図23】本発明の第1の実施形態の第1の変形例においてグリップ側接点パターンおよびグリップ側取付部材が設けられたグリップの外観を示す斜視図である。
【
図24】
図22に示す本体側取付機構を分解して示す斜視図である。
【
図25】
図22乃至
図24に示す本体側取付機構およびグリップ側取付部材を破断して示す第1の斜視図である。
【
図26】
図22乃至
図24に示す本体側取付機構およびグリップ側取付部材を破断して示す第2の斜視図である。
【
図27】
図22乃至
図24に示す本体側取付機構およびグリップ側取付部材を破断して示す第3の斜視図である。
【
図28】本発明の第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置の外観を示す斜視図である。
【
図29】
図28に示す撮像装置本体の外観を示す斜視図である。
【
図30】
図29に示す本体側取付機構の構造を説明するための図である。
【
図31】
図30に示す体側取付機構における本体側取付部材の構造を説明するための図である。
【
図32】
図31に示す突起の位置に応じた接点保護蓋の位置を説明するための図である。
【
図34】
図30に示す接点保護蓋の回動動作及び突起の位置と、グリップの着脱との関係を説明する図である。
【
図35】
図33に示すグリップを取り付ける際の本体側取付機構およびグリップ側取付部の部材の位置関係を示す図である。
【
図36】本発明の第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置で用いられる接点無しグリップの外観を示す斜視図である。
【
図37】
図36に示す接点無しグリップを取り付ける際における本体側取付機構およびグリップ側取付部内の部材の位置関係を示す図である。
【
図38】本発明の第1の実施形態の第3の変形例による撮像装置本体に備えられた本体側取付機構を分解して示す斜視図である。
【
図39】本発明第1の実施形態の第3の変形例によるグリップに配設されたグリップ側取付機構を説明するための図である。
【
図41】
図38に示す撮像装置本体と
図39に示すグリップとが未接続の状態を示す、
図40に示すAA-AA線に沿った断面図である。
【
図42】
図39に示すグリップの凸形状部が撮像装置本体の本体側係合部の内壁に挿入されてロックレバーに当接した状態を示す、AA-AA線に沿った断面図である。
【
図43】
図39に示すグリップの凸形状部が保護蓋を撮像装置本体側に押し込んで本体側接点ピンと接点パターンが接触した状態を示す、AA-AA線に沿った断面図である。
【
図44】グリップ固定ねじによってグリップを撮像装置本体に締め付けた状態を示す、AA-AA線に沿った断面図である。
【
図45】
図38に示す本体側接点ピンと接点パターンとのセルフクリーニングを説明するための図である。
【
図46】
図45に示す本体側係合部とグリップ側係合部とが係合する前の状態を示す図である。
【
図47】
図45に示す本体側凸形状部とグリップ側凸形状部とが係合した状態を示す図である。
【
図48】本発明の第2の実施形態による撮像装置を正面側から示す斜視図である。
【
図49】本発明の第2の実施形態による撮像装置を背面側から示す斜視図である。
【
図50】
図48においてグリップを取り外した状態を正面側から示す斜視図である。
【
図51】
図49においてグリップを取り外した状態を背面側から示す斜視図である。
【
図52A】
図50に示す本体側取付機構を部分的に拡大して示す図である。
【
図53】
図50に示す本体側取付機構を分解して示す斜視図である。
【
図54】
図48に示すグリップを背面側から示す斜視図である。
【
図56】
図48に示すグリップにおいて撮像装置本体との取付部周辺を部分的に示す断面図である。
【
図57A】
図48に示す撮像装置本体にグリップを装着する前の状態を部分的に示す断面図である。
【
図57B】
図48に示す撮像装置本体にグリップを装着する途中の状態を部分的に示す部分断面図である。
【
図57C】
図48に示す撮像装置本体にグリップを装着した状態を部分的に示す断面図である。
【
図57D】本体側係合部とグリップ側係合部とが接触した状態を部分的に示す断面図である。
【
図58】本発明の第2の実施形態の第1の変形例による撮像装置本体の外観を示す斜視図である。
【
図59】
図58に示す撮像装置本体に備えられた本体側取付機構を説明するための図である。
【
図60】本発明の第2の実施形態の第1の変形例による撮像装置本体で用いられるグリップの外観を示す斜視図である。
【
図61】
図59に示す本体側取付機構を分解して示す斜視図である。
【
図62】
図59に示す本体側取付機構と
図60に示すグリップ側取付部材とを破断して示す第1の斜視図である。
【
図63】
図59に示す本体側取付機構と
図60に示すグリップ側取付部材とを破断して示す第2の斜視図である。
【
図64】
図59に示す本体側取付機構と
図60に示すグリップ側取付部材とを破断して示す第3の斜視図である。
【
図65】本発明の第3の実施形態による撮像装置で用いられるグリップを背面側から見た斜視図である。
【
図67】
図65に示すグリップにおいて撮像装置本体との接合部の構造を部分的に示す断面図である。
【
図68】
図65に示すグリップの外装部材の一部を詳細に示す図である。
【
図69A】
図65に示すグリップで用いられる取付部材駆動レバーの第1の斜視図である。
【
図69B】
図65に示すグリップで用いられる取付部材駆動レバーの第2の斜視図である。
【
図70】本発明の第3の実施形態において撮像装置本体に対してグリップを装着する前の状態を示す部分断面図である。
【
図71】本発明の第3の実施形態において撮像装置本体に対してグリップを装着する途中の状態を示す部分断面図である。
【
図72】本発明の第3の実施形態において撮像装置本体に対してグリップの装着が完了した状態を示す部分断面図である。
【
図73】本発明の第3の実施形態においてグリップ側係合部が本体側係合部と係合する位置にある際の状態を部分的に示す斜視図である。
【
図74】本発明の第3の実施形態において撮像装置本体に対してグリップを装着した状態でグリップ側係合部の係合を解除した状態を示す断面図である。
【
図75】本発明の第3の実施形態においてグリップ側係合部が本体側係合部に対して離間した位置にある際の状態を部分的に示す斜視図である。
【
図76】本発明の第3の実施形態においてガイドピンとガイド孔の関係を説明するための図である。
【
図77】本発明の第1乃至第3の実施形態による撮像装置本体の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態による電子機器の一例について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態による電子機器の1つである撮像装置においてアクセサリであるグリップが装着された状態を前方から示す斜視図である。さらに、
図2は、本発明の第1の実施形態による撮像装置においてグリップが装着された状態を後方から示す斜視図である。また、
図3は、本発明の第1の実施形態による撮像装置においてグリップが取り外された状態を後方から示す斜視図である。
【0020】
なお、ここでは、説明の便宜上、座標系を
図1に示すように規定する。そして、Z軸を撮像装置の前後方向(正面レンズ側を+Z方向)、Y軸を撮像装置の上下方向(上面側を+Y方向)、X軸を撮像装置の左右方向(正面から見て右側面側を+X方向)とする。
【0021】
図1に示すように、撮像装置本体(電子機器本体)1000の前側には、レンズマウント部1001、交換レンズ1300の装着を検知するレンズ接点部(図示せず)、および交換レンズを取り外すためのレンズ取り外しボタン1002が備えられている。そして、レンズマウント部1001には交換レンズ1300が着脱可能に支持される。
【0022】
また、図示されていないが、レンズマウント部1001の後側において撮像装置本体1000内にはレンズにより結像された光学像が結像されたる撮像素子と、撮像素子が実装されたセンサ基板とが収納されている。
【0023】
撮像装置本体1000の前方から見て右側面には、撮影者による操作によって撮像装置本体に所定の動作を実行させる操作ボタン群1003が備えられている。さらに、当該右側面にはRECボタン1004および電源スイッチ1005が備えられるとともに、撮像装置本体1000内に配置されたファンによって高温の空気を外部に排出するための排気口1006が形成されている。また、右側面には記録媒体(図示せず)を収納する収納室を覆う記録媒体収納蓋1007が設けられている。
【0024】
図2に示すように、撮像装置本体1000の後側には、バッテリーを収納するバッテリー収納部1008、そして、外部接続端子および電源端子などの入出力端子群1009が備えられている。
【0025】
撮像装置本体1000の前方から見て左側面には、上記したファンによって装置本体の外部から低温の空気を内部に吸い込むための吸気口1010が形成されるとともに、グリップ1400などのアクセサリが装着可能な本体側取付機構1200が備えられている。
【0026】
図3に示すように、本体側取付機構1200には、グリップ1400を取り付け可能な本体側取付部材1210が備えられている。本体側取付部材1210は、例えば、略円盤状の形状であり、後述するグリップ1400に備えられたグリップ側ねじ1411と螺合する本体側ねじ1211が本体側取付部材1210の中心に備えられている。
【0027】
本体側ねじ1211の外側には、グリップ1400に備えられたグリップ側接点パターン1412と電気的に接続される本体側接点ピン(電気接点ピン)1212が備えられている。本体側接点ピン1212の外側にはグリップ1400に形成されたグリップ側係合部1413と係合する本体側係合部1213が形成されている。すなわち、本体側取付部材1210には中心から外側に向かって、本体側ねじ1211、本体側接点ピン1212、本体側係合部1213の順で配置されている。
【0028】
本体側係合部1213は、その中心から放射状に形成された凸形状部と凹形状部とが所定の間隔で配置されており、同様の凹形状部と凸形状部とを有するグリップ側係合部1413と係合する。これによって、グリップ1400と撮像装置本体1000とが強固に固定される。なお、両者の固定について後述する。さらに、本体側取付部材1210はビス1214によって撮像装置本体1000に固定される。
【0029】
図4は、
図1および
図2に示す撮像装置本体に装着されるグリップを後方から見た斜視図である。
【0030】
グリップ1400は、撮影者(ユーザー)が撮像装置本体1000を把持することを容易にするアクセサリの一種である。グリップ1400は把持部1402を有しており、把持部1402はユーザーが把持する部分であって、人の手指に応じた形状に成形されている。
【0031】
ベルト1403は、締め付けによってユーザーの手が把持部1402から離れるのを防ぐための部材である。RECボタン1404、十字キー1405、および操作ダイヤル1406は操作部材であって、電気配線(図示せず)によって後述のグリップ側接点パターン1412と接続されている。以下特に記載しない限り、グリップは接点パターンを有するものとする。
【0032】
グリップ側取付部材1410は、グリップ1400を撮像装置本体1000に装着する際に前述の本体側取付部材1210に取り付けられ、本体側取付部材1210と略同一の大きさである。グリップ側取付部材1410は、本体側ねじ1211と螺合するグリップ側ねじ1411をその中心に備える。グリップ側ねじ1411の外側には本体側接点ピン1212と電気的に接続するグリップ側接点パターン1412が配置されている。グリップ側接点パターン1412の外側には、本体側係合部1213と係合するグリップ側係合部1413が備えられている。
【0033】
グリップ側係合部1413は、本体側係合部1213と同様にその中心から放射状に形成された凹形状部と凸形状部とを備え、本体側係合部1213と係合してグリップ1400と撮像装置本体1000を強固に固定する。なお、両者の固定について後述する。
【0034】
グリップ側取付部材1410は、ビス1414によってグリップ1400に固定される。グリップ側ねじ1411は、締付けつまみ1407と機械的に接続されている。そして、グリップ1400を撮像装置本体1000に装着する際には、外部に露出する締付けつまみ1407を回すことによってグリップ1400と撮像装置本体1000内に隠れるグリップ側ねじ1411を回すことができる。
【0035】
図5は、
図1および
図2に示す撮像装置本体の本体側取付機構1200を分解して示す斜視図である。
【0036】
図5に示すように、本体側取付部材1210は、ビス1214によって撮像装置本体1000内に備えられた本体側取付板金1220に固定される。本体側接点ピン1212は、接点ブロック1216に収容されるとともに、グリップ側接点パターン1412と接触する側と反対の一端が半田付けなどによって本体側基板1215と電気的に接続されて保持される。本体側基板1215は、電気配線(図示せず)によって本体側制御基板(図示せず)と接続されるとともに、ビス1221によって本体側取付板金1220に固定される。そして、本体側取付板金1220は本体内部板金(図示せず)に固定される。
【0037】
本体側接点ピン1212は、接点ブロック1216内に収容された圧縮バネ(図示せず)によって撮像装置本体1000から突出する方向(-X方向)に付勢される。接点ブロック1216が本体側取付部材1210に形成された開口孔1217を挿通することで、圧縮バネにより付勢された本体側接点ピン1212が撮像装置本体1000の外部におけるグリップ1400側(-X方向)に露出する。本体側接点ピン1212が圧縮バネにより付勢されることによって、グリップ側接点パターン1412と接触する際に所定の接触圧を確保することができる。つまり、本体側接点ピン1212は、グリップ側接点パターン1412に所定の接触圧で摺動可能に接触する。
【0038】
また、本体側接点ピン1212は撮像装置本体1000の外部に露出した状態で、本体側係合部1213の凹部よりも低い、撮像装置本体1000の内側寄りに位置する。これによって、グリップ1400を装着した際に、本体側接点ピン1212がグリップ側係合部1413と接触して破損することを防ぐことができる。なお、本体側接点ピン1212の位置については後述する。
【0039】
本体側接点ピン1212は、接点ブロック1216内において所定の間隔をおいて径方向に一直線上に配置され、グリップ側接点パターン1412と接触することで電気的に接続される。図示の例では、接点ブロック1216内に本体側接点ピン1212が3本設けられ、それぞれ電源端子、通信端子、および接地端子としてグリップ側接点パターン1412の対応する箇所に接続される。
【0040】
図6は、
図4に示すグリップの取付部を分解して示す斜視図である。
図6に示すように、グリップ側保持部材1416が、締付けつまみ1407とグリップ側取付板金1420との間に挟まれている。グリップ側保持部材1416には、凸部1417と軸部1418が形成されている。そして、グリップ側保持部材1416は、グリップ側保持部材1416の軸部1418に挿通される圧縮バネ1419によって締付けつまみ1407側(-X方向)、つまり、撮像装置本体1000から離れる方向に付勢されて保持される。
【0041】
図示の例では、圧縮バネ1419が挿通される軸部1418は、グリップ側取付部材1410の中心を中心として対称に2か所設けられ、これによって、安定してグリップ側保持部材1416を付勢することができる。また、グリップ1400内の部品は化粧カバー1408によって覆われ、グリップ1400内に異物が侵入することを防止する。
【0042】
グリップ側基板1415(回路形成部材)は、電気配線(図示せず)によってグリップ側制御基板(図示せず)と接続されるとともに、導電部であるグリップ側接点パターン1412が中心から同心円状に所定の幅を有する複数の環状に形成されている。また、グリップ側接点パターン1412は、前述の複数の本体側接点ピン1212と同一の所定の間隔をおいて並列に形成され、対応する本体側接点ピン1212と電気的に接続される。図示の例では、本体側接点ピン1212と同様にグリップ側接点パターン1412が3本設けられる。そして、撮像装置本体1000に対してグリップ1400を任意の位相で固定しても両者を電気的に接続することができる。
【0043】
グリップ側取付部材1410は、ビス1414によってグリップ側取付板金1420に固定される。また、グリップ側保持部材1416に設けられた凸部1417は、グリップ側取付板金1420およびグリップ側取付部材1410を挿通する。そして、グリップ側基板1415は、グリップ側接点パターン1412が形成された面と反対側の面がグリップ側保持部材1416の凸部1417と当接し、例えば、両面テープなどで固定される。図示の例では、凸部1417はグリップ側取付部材1410の中心を中心として対称に2か所設けられ、これによって、安定してグリップ側基板1415を固定することができる。
【0044】
グリップ側ねじ1411の中心軸1411aは、締付けつまみ1407の中心孔1407aに挿通される。中心軸1411aおよび中心孔1407aは、ともに円柱形状の対向する2面をカットした所謂Iカット形状であって、Iカットの2面が嵌合することによって両者が嵌合保持される。
【0045】
締付けつまみ1407を回すと、同時にグリップ側ねじ1411が回って、撮像装置本体1000の本体側ねじ1211と螺合する。これによって、グリップ1400を撮像装置本体1000に固定することができる。また、締付けつまみ1407を回すと、締付けつまみ1407側に付勢保持されているグリップ側保持部材1416が撮像装置本体1000側に押し込まれる。つまり、締付けつまみ1407を回すと、グリップ側接点パターン1412が撮像装置本体1000側の本体側接点ピン1212側に押し込まれる。これにより、グリップ側接点パターン1412が対応する本体側接点ピン1212と電気的に接続され、撮像装置本体1000とグリップ1400が電気的に接続される。
【0046】
図7は、
図1および
図2に示す撮像装置本体およびグリップの取付構造を説明するための断面図である。
図7(a)は撮像装置本体にグリップを装着する前の状態を示す断面図であり、
図7(b)は撮像装置本体にグリップを係合させた状態を示す断面図である。また、
図7(c)は撮像装置本体にグリップを固定させた状態を示す断面図である。
【0047】
図7(a)に示すように、撮像装置本体1000にグリップ1400を装着する際には、略同一の大きさの本体側取付部材1210とグリップ側取付部材1410との中心を合わせる。そして、グリップ1400を撮像装置本体1000側に(矢印Aで示す方向(+X方向))に押し付ける。
図7(a)に示す状態では、撮像装置本体1000とグリップ1400とは固定されておらず、電気的にも接続されていない。
【0048】
グリップ1400を
図7(a)に示す矢印A方向(+X方向)に押し付け、本体側係合部1213とグリップ側係合部1413とを係合させた状態が
図7(b)に示す状態である。
【0049】
図7(b)に示すように、本体側係合部1213とグリップ側係合部1413とが係合して噛み合い、グリップ1400と撮像装置本体1000との位相が定まる。また、本体側係合部1213とグリップ側係合部1413とは放射状に形成されているので、撮像装置本体1000にグリップ1400を任意の角度で係合することができる。
【0050】
図示の例では、本体側係合部1213およびグリップ側係合部1413は6度の刻みで凸形状部および凹形状部が形成されているので、6度の刻みでグリップ1400の角度を調整することができる。
【0051】
この際、グリップ側保持部材1416に固定されたグリップ側基板1415のグリップ側接点パターン1412は、圧縮バネ1419によって締付けつまみ1407側(-X方向)に付勢される。そして、グリップ側接点パターン1412はグリップ側係合部1413の凸形状部よりもX方向において高さH2だけ低い位置に収納される。さらに、本体側接点ピン1212も本体側係合部1213の凹形状部よりもX方向において高さH1だけ低い位置にある。つまり、
図7(b)に示す状態、本体側係合部1213とグリップ側係合部1413とは係合しているが、本体側接点ピン1212とグリップ側接点パターン1412とは電気的に接続されていない状態となる。言い換えると、グリップ側係合部1413と本体側係合部1213とを係合する際に、本体側接点ピン1212とグリップ側接点パターン1412とが互いに相対する係合部と不用意に接触することを防ぐことができる。
【0052】
グリップ1400を矢印A方向(+X方向)に押し付けた状態で、締付けつまみ1407を
図7(b)に示す矢印B方向に回転させる。これによって、本体側ねじ1211にグリップ側ねじ1411を螺合させた状態が
図7(c)に示す状態である。
【0053】
図7(c)に示すように、本体側係合部1213とグリップ側係合部1413とが係合した状態で、本体側ねじ1211とグリップ側ねじ1411とが螺合する。これによって、グリップ1400がガタつきなく、グリップ1400を撮像装置本体1000に強固に固定することができる。さらに、締付けつまみ1407を矢印B方向に回転させる。これによって、グリップ側保持部材1416に固定されたグリップ側基板1415のグリップ側接点パターン1412が圧縮バネ1419の付勢力に抗して締付けつまみ1407によって+X方向に押し込まれる。そして、グリップ側接点パターン1412はグリップ側係合部1413の凸形状部よりもX方向において高さH3だけ高い位置に突出する。
【0054】
高さ(つまり、突出量)H3は、本体側接点ピン1212を高さH1に加えて所定の接触圧になるようにさらに押し込んだ位置である。これにより、+X方向に押し込まれたグリップ側接点パターン1412は撮像装置本体1000の本体側接点ピン1212と電気的に接続される。つまり、撮像装置本体1000にグリップ1400が強固に固定できるととともに、容易に本体側接点ピン1212とグリップ側接点パターン1412とを電気的に接続することができる。さらに、撮像装置本体1000とグリップ1400とが強固に固定された状態で電気接続も確実になされるので、信頼性の高い電気接続を確保することができる。
【0055】
グリップ1400を撮像装置本体1000から取り外す際は、
図7(a)乃至
図7(c)で説明した装着と逆の操作を行う。まず、締付けつまみ1407を矢印B方向の反対方向に回してグリップ側ねじ1411を本体側ねじ1211から緩める。これによって、圧縮バネ1419の付勢力によってグリップ側接点パターン1412が本体側接点ピン1212から離間し、撮像装置本体1000とグリップ1400とが電気的に接続されない状態となる。
【0056】
さらに、グリップ側ねじ1411が本体側ねじ1211から抜けて撮像装置本体1000とグリップ1400との固定が解除される。そして、矢印A方向の反対方向にグリップ1400を引き離せば、グリップ1400を撮像装置本体1000から取り外すことができる。
【0057】
ここでは、撮像装置本体側に接点ピンを設け、そして、グリップ側に接点パターンを設けるようにしたが、撮像装置本体側に接点パターンを設け、そして、グリップ側に接点ピンを設けるようにしてもよい。
【0058】
ここで、前述のグリップ側接点パターン1412の一例について説明する。
【0059】
図8は、
図2において交換レンズおよびベルトを取り除いた状態で撮像装置本体およびグリップを-X方向から見た側面図である。
【0060】
図8に示すように、撮像装置本体1000に対してグリップ1400を軸Cが軸C’から軸C”の範囲2001Cにおいて任意の角度に回動させることができる。
【0061】
図9は、
図8に示す撮像装置本体に対してグリップを所定の軸の位置となるように回転させた状態を示す側面図である。
【0062】
図9においては、撮像装置本体1000に対してグリップ1400を軸Dが軸D’の位置になるように角度2001Dで回転させた状態が示されている。ここでは、グリップ側基板1415以外の撮像装置本体1000およびグリップ1400については説明を省略する。
【0063】
図10は、
図1に示すグリップに備えられたグリップ側基板を説明するための図である。
図10(a)はグリップ側基板を抜き出してX方向から見た図であり、
図10(b)は
図10(a)に示す向きと反対側からグリップ側基板を見た図である。
【0064】
図10(a)において、グリップ側基板1415の表面には、グリップ側接点パターン1412として3本の表接点パターン1412a、1412b、および1412cが径方向において所定の間隔をもって同心円状に配置されている。表接点パターン1412a、1412b、および1412cにはそれぞれ、配線引出部(パターン引出部)であるスルーホール2012a、2012b、および2012cが設けられている。表接点パターン1412a、1412b、および1412cは、上記のスルーホールを介してグリップ側基板1415の裏面側の配線部である裏接点パターン2013a、2013b、および2013cに電気的に接続されている。なお、スルーホール2012a、2012b、および2012cの表面には凹凸が存在し、当該表面は撮像装置本体1000の本体側接点ピン1212が接触するには適さない部分である。
【0065】
図10(b)に示すように、グリップ側基板1415には電気コネクタ2014が実装されており、電気コネクタ2014の各ピンは裏接点パターン2013a、2013b、および2013cと電気的に接続されている。グリップ側基板1415とグリップ1400(
図10には示さず)内の基板は電線(図示せず)で接続されており、これによって、電源供給および通信を行うことができる。
【0066】
図11は、
図8および
図9に示す撮像装置本体の本体側接点ピンとグリップのグリップ側基板を説明するための図である。
図11(a)は
図8に示す撮像装置本体の本体側接点ピンとグリップのグリップ側基板を示す図であり、
図11(b)は
図9に示す状態における撮像装置本体の接点部とグリップのグリップ側基板を示す図である。
【0067】
図11(a)において、軸C上に設けられた本体側接点ピン1212の各接点1212a、1212b、および1212cはグリップ側接点パターン1412の表接点パターン1412a、1412b、および1412cに接触する。これによって、電源供給および通信を行うことができる。
【0068】
撮像装置本体1000に対してグリップ1400を
図8に示す範囲2001Cの角度で回動させた場合、本体側接点ピン1212は範囲2001Cの位置で移動する。このため、本体側接点ピン1212がスルーホール2012a、2012b、および2012cに接触する事態とはならない。
【0069】
図11(b)において、撮像装置本体1000に対してグリップ1400が回転し、これによって、グリップ側基板1415が回転する。この際においても、本体側接点ピン1212の各接点1212a、1212b、および1212cはグリップ側接点パターン1412の表接点パターン1412a、1412b、および1412cに接触する。これによって、電源供給および通信を行うことができる。
【0070】
ここで、グリップ側基板1415がフレキシブル基板である場合について説明する。
【0071】
図12は、
図8に示す撮像装置本体にグリップを取り付けた状態を示す左側面図である。また、
図13は
図12に示すグリップを示す斜視図である。
【0072】
図12に示すように、撮像装置本体1000に対してグリップ2002は軸Eが軸E‘から軸E”の範囲2001Eにおいて任意の角度に回動させることができる。また、
図13に示すように、グリップ2002においては撮像装置本体1000と接続する部分はフレキシブル基板2006で構成されている。フレキシブル基板2006以外のグリップ2002の構成部品であるグリップ側取付部材1410およびビス1414などについては、前述の同様であるので説明を省略する。
【0073】
図14は、
図13に示すフレキシブル基板を説明するための図である。
図14(a)はフレキシブル基板を抜き出してX方向から見た図であり、
図14(b)は
図14(a)においてフレキシブル基板のカバーレイを取り除いた状態を示す図である。
【0074】
図14(a)に示すように、フレキシブル基板2006には、グリップ側接点パターン2021として3本の表接点パターン2021a、2021b、および2021cが径方向において所定の間隔をもって配置されている。また、フレキシブル基板2006の一部には、表接点パターン2021a、2021b、および2021cに重なるようにしてカバーレイ2022が設けられている。そして、表接点パターン2021a、2021b、および2021cはカバーレイ2022に覆われて露出しない。
【0075】
図14(b)に示すように、フレキシブル基板2006の下部には折り返し部2007が存在する。表接点パターン2021a、2021b、および2021cはフレキシブル基板2006の裏面側に折り返されて、グリップ2002内の基板(図示せず)に電気的に接続される。
【0076】
図15は、
図12に示す状態における撮像装置本体の接点部とグリップのフレキシブル基板を示す図である。
【0077】
図15に示すように、撮像装置本体1000に対してグリップ2002を範囲2001Eの範囲において回動させる。この場合も、本体側接点ピン1212の各接点1212a、1212b、および1212cはグリップ側接点パターン2021の表接点パターン2021a、2021b、および2021cの範囲2001Eで接触する。これによって、電源供給および通信を行うことができる。
【0078】
ここで、撮像装置本体に本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンの2つの接続ピンが備えられた場合について説明する。
【0079】
図16は、本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを備える撮像装置本体を示す左側面図である。また、
図17は
図16に示す撮像装置本体にグリップを取り付けた状態を示す左側面図である。
【0080】
図16に示すように、本体側取付機構2200はグリップ2002を取り付け可能な本体側取付部材2210を備えている。本体側取付部材2210は略円盤状であり、後述するグリップ2002のグリップねじ(図示せず)と螺合する本体側ねじ2211を本体側取付部材2210の中心に備えている。
【0081】
本体側ねじ2211の外側にはグリップ2002のグリップ側接点パターン2021(
図16には示さず)と電気的に接続する本体側第1接点ピン2311と本体側第2接点ピン2312が備えられている。本体側第1接点ピン2311および本体側第2接点ピン2312の外側にはグリップ2002と係合する本体側係合部2213が備えられている。本体側係合部2213は、その中心から放射状に形成された凸形状部と凹形状部とが所定の間隔をおいて配置されている。そして、本体側係合部2213が同様の凹形状部と凸形状部を有するグリップ側係合部(図示せず)と係合し、グリップ2002と撮像装置本体2500とを強固に固定することができる。
【0082】
図17に示すように、撮像装置本体2500に対して360度回動可能なグリップ2002が取り付けられる。グリップ2002の構成は、前述のグリップと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0083】
図18は、
図14に示すフレキシブル基板と撮像装置本体の本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを抜き出してX方向から見た図である。
【0084】
図18において、撮像装置本体2500の本体側第1接点ピン2311の各接点2311a、2311b、および2311cは表接点パターン2021a、2021b、および2021cと接触している。一方、本体側第2接点ピン2312の各接点2312a、2312b、および2313cはカバーレイ2022の上に接触しており、電気的に接続されない。この場合、撮像装置本体2500とグリップ2002との間の電源供給および通信は、グリップ側接点パターン2021と電気的に接続された本体側第1接点ピン2311を介して行われる。
【0085】
図19は、
図16に示す撮像装置本体に対してグリップ回転させた状態を示す図である。また、
図20は、
図19に示す状態においてフレキシブル基板と本体側第1接点ピンおよび本体側第2接点ピンを抜き出してX方向から見た図である。
【0086】
図19には、撮像装置本体2500に対してグリップ2002を軸Fが軸F’の位置になるように角度2001Fで回転させた状態が示されている。ここでは、撮像装置本体2500に対してグリップ2002を回転させたので、フレキシブル基板2006が回転する。
【0087】
図20に示すように、撮像装置本体2500の本体側第1接点ピン2311の各接点2311a、2311b、および2311cは表接点パターン2021a、2021b、および2021cに接触している。また、本体側第2接点ピン2312の各接点2312a、2312b、および2313cも表接点パターン2021a、2021b、および2021cに接触している。
【0088】
撮像装置本体2500とグリップ2002との通信は本体側第1接点ピン2311および本体側第2接点ピン2312の双方で可能な場合には、本体側第1接点ピン2311を優先して電源供給および通信が行われる。
【0089】
[第1の実施形態における接点保護構造の第1の変形例]
ここで、本発明の第1の実施形態における撮像装置本体1000の本体側取付機構1200の第1の変形例について説明する。ここでは、本体側取付機構3150は接点保護構造を備えている。
【0090】
[第1の接点保護構造の概略]
ここでは、撮像装置本体3100に備えられる接点保護構造について説明する。前述の本体側取付機構1200と同様に、所謂ロゼットと呼ばれるアクセサリの取付け機構が撮像装置本体3100に用いられる。撮像装置本体3100では本体側取付部材3101の半径方向の内側に接点部3102を備えている。接点部3102が撮像装置本体3100の表面に露出している場合、次のような不具合が生じる可能性がある。
【0091】
例えば、接点部3102に無意識に指などが触れて被膜が生じて接触不良を起こす可能性がある。また、別の装置が接点部3102に触れて接点部3102を破壊する可能性がある。さらに、本体側取付部材3101にアクセサリを装着する際、誤ってアクセサリの係合部を接点部3102にぶつけて接点部3102を破壊してしまう可能性がある。
【0092】
これらの不具合を防ぐため、本体側取付機構3150においては電気接点を備えるアクセサリが装着された際に接点部3102を露出させ、それ以外の場合には接点部3102を退避させる構造が用いられる。
【0093】
図21は、本発明の第1の実施形態の変形例による撮像装置本体の外観を示す斜視図である。
【0094】
さらに、
図22は、本発明の第1の実施形態の変形例による本体側取付機構を示す斜視図である。
図22(a)は本体側取付機構を外観側から見た斜視図であり、
図22(b)は本体側取付機構を撮像装置本体の内側から見た斜視図である。
【0095】
また、
図23は本発明の第1の実施形態の変形例においてグリップ側接点パターンおよびグリップ側取付部材が設けられたグリップの外観を示す斜視図である。
【0096】
なお、ここでは、説明の便宜上、
図21に示すように座標系を規定する。そして、Z軸を撮像装置の前後方向(正面レンズ側を+Z方向)、Y軸を撮像装置の上下方向(上面側を+Y方向)、X軸を撮像装置の左右方向(レンズを正面から見て接点保護構造の右側面側を+X方向)とする。
【0097】
図21に示すように、撮像装置本体3100はグリップ3200などのアクセサリを固定するための本体側取付機構3150を有している。本体側取付機構3150は、
図22に示すように、本体側取付板金3151に備えられた本体側固定部3152によって締結部材などで撮像装置本体3100の内部に強固に固定される。強固に固定されることによって、本体側取付機構3150はグリップ3200などのアクセサリが取り付けられても、グリップ3200などのアクセサリを支持することができる。
【0098】
図21および
図22に示すように、本体側取付機構3150は円形の本体側取付部材3101を有している。本体側取付部材3101は円の中心から放射状に凹凸形状の溝が刻まれている。
図23に示すグリップ3200に備えられたグリップ側取付部材3202にも同様に円の中心から放射状に凹凸形状の溝が刻まれている。そして、本体側取付部材3101およびグリップ側取付部材3202の各凹凸形状の溝を係合させることによって、撮像装置本体3100に対するグリップ3200の位置が決定される。
【0099】
本体側取付部材3101の中心には本体側ねじ3103が設けられている。本体側ねじ3103は、
図23に示す第1のグリップ側ねじ3203と螺合して、撮像装置本体3100とグリップ3200とを固定するためのねじである。
【0100】
グリップ3200には、グリップ本体部3250に対して回転操作可能な締付けつまみ3205が備えられている。締付けつまみ3205の回転操作に伴って、第1のグリップ側ねじ3203が回転する。第1のグリップ側ねじ3203の先端には第2のグリップ側ねじ3204が設置されているが、その効果については後述する。
【0101】
本体側取付部材3101とグリップ側取付部材3202とを係合させて、締付けつまみ3205を回転操作して本体側ねじ3103と第1のグリップ側ねじ3203とを螺合させる。これによって、撮像装置本体3100にグリップ3200を固定することができる。
【0102】
図22に示すように、本体側取付機構3150はグリップ3200と電気的に接続するための接点部3102を有している。接点部3102は電気接続部3160によって撮像装置本体3100内部と電気的に接続されている。
【0103】
図23に示すように、グリップ3200には撮像装置本体3100と電気的に接続するためのグリップ側接点パターン3201が設けられている。グリップ側接点パターン3201は接点部3102と接して電気的な接続を行うためのパターンである。グリップ側接点パターン3201はグリップ側取付部材3202と同心円状にパターンが配置されている。このため、グリップ3200を回転させて、撮像装置本体3100に取り付けた際には、グリップ側接点パターン3201と接点部3102とは接することが可能であって電気的な接続を行うことができる。なお、図示の例では、接点部3102は3本のピンを有し、これらのピンに対応するためにグリップ側接点パターン3201は円周に沿って形成された3つのパターンを有している。
【0104】
前述のように、
図21に示す撮像装置本体3100にグリップ3200が固定されている場合には、接点部3102とグリップ側接点パターン3201が接触して電気的な接続が行われる。電気的に接続している場合には、撮像装置本体3100とグリップ3200との間で電源供給および通信などを行うことができる。
【0105】
一方、撮像装置本体3100にグリップ3200が固定されていない状態では、接点部3102を保護するため、接点部3102は退避する。当該退避については後述する。
【0106】
ここで、
図21乃至
図23の構成について再度説明する。
図21に示すように、本体側取付機構3150は、略円盤状の形状を有する本体側取付部材3101を備える。本体側取付部材3101の中心には、本体側ねじ3103が設けられている。本体側取付部材3101の表面の外周には、他の部材と係合するための放射状の凹凸形状部がリング状に形成されており、凹凸形状部の内周側に接点部3102が設けられている。接点部3102は、本体側取付機構3150を介して撮像装置本体3100とグリップ3200とを電気的に接続するための電気接点であり、電気接続部3160によって撮像装置本体3100の内部と電気的に接続されている。
【0107】
一方、
図23に示すように、グリップ3200を構成するグリップ本体部3250には、回転操作可能な締付けつまみ3205が備えられている。締付けつまみ3205の回転操作に伴って、第1のグリップ側ねじ3203が回転する。第1のグリップ側ねじ3203は、円柱状部材の軸方向の中間に設けられている。円柱状部材の先端(第1のグリップ側ねじ3203の先端側)には、第1のグリップ側ねじ3203と同軸に、且つ、第1のグリップ側ねじ3203とは異なるねじピッチで、第2のグリップ側ねじ3204が設けられている。第2のグリップ側ねじ3204の外径は第1のグリップ側ねじ3203の外径よりも短い。
【0108】
グリップ3200に備えられた略円盤状の形状を有するグリップ側取付部材3202の表面の外周部には、本体側取付部材3101と同様に、放射状の凹凸形状部が形成されている。本体側取付部材3101の凹凸形状部とグリップ側取付部材3202の凸凹形状部とを係合させることによって、撮像装置本体3100に対するグリップ3200の位置が決定され、グリップ3200のX軸回りの回転が規制される。こうして本体側取付部材3101の凹凸形状部とグリップ側取付部材3202の凹凸形状部とを係合させた状態で締付けつまみ3205が回転操作されると、本体側ねじ3103と第1のグリップ側ねじ3203とが螺合する。これにより、グリップ3200が撮像装置本体3100に固定される。
【0109】
グリップ3200においてグリップ側取付部材3202の凹凸形状部の内周側には、撮像装置本体3100と電気的に接続するためのグリップ側接点パターン3201が設けられている。グリップ側接点パターン3201は、同心円状に設けられている。これにより、グリップ3200を回転させて撮像装置本体3100に取り付けた際にグリップ側接点パターン3201は、接点部3102と接触して電気的な接続を行うことができる。つまり、撮像装置本体3100にグリップ3200が固定されている状態では、接点部3102とグリップ側接点パターン3201とが電気的に接続されるため、撮像装置本体3100とグリップ3200との間で電源供給や通信などを行うことが可能となる。ここで、
図21乃至
図23に関する再度の説明を終了する。
【0110】
図24は、
図22に示す本体側取付機構を分解して示す斜視図である。
図24(a)は撮像装置本体の外観側から見た際の本体側取付機構3150を分解して示す斜視図であり、
図24(b)は撮像装置本体の内部側から見た際の本体側取付機構3150を分解して示す斜視図である。
【0111】
本体側取付機構3150では、3本のシャフト部材3106および3つのビス3155によって本体側取付部材3101と本体側取付板金3151とが接点ユニット(接点保持部材)3105に共締めされる。接点部3102を有する接点ユニット3105はシャフト部材3106に挿通され、シャフトストッパー3107と本体側取付板金3151との間をシャフト部材3106に沿ってスライド可能である。
【0112】
このため、-X方向に接点ユニット3105がスライドすると、接点部3102の先端が取付部材接点面3101aより-X方向に移動して、接点部3102が露出する。一方、+X方向に接点ユニット3105がスライドすると、接点部3102の先端が取付部材接点面3101aより+X方向に移動して接点部3102が退避する。
【0113】
シャフト部材3106には、接点ユニット3105の他にも第1のバネ部3109および第2のバネ部3110が挿通されている。第1のバネ部3109は接点ユニット3105を+X方向に付勢し、第2のバネ部3110は接点ユニット3105を-X方向に付勢する。
【0114】
接点ユニット3105には、本体側ねじ3103とねじピッチが異なり、第2のグリップ側ねじ3204と螺合するための第2の本体側ねじ3104が設けられている。第2の本体側ねじ3104の軸は本体側ねじ3103と同一の軸上に位置する。なお、第2の本体側ねじ3104による効果について後述する。
【0115】
接点ユニット3105には、接点部3102および電気接続部3160が設けられており、接点ユニット3105の移動に伴って接点部3102および電気接続部3160は-X方向および+X方向に共に移動する。接点部3102は3本のピンを有している。3本のピンの内側(+X方向)には、各ピンに対応する接点バネ3108(
図24には示さず)が3本設けられている。よって、接点部3102のピンが+X方向に力を受けても破損せず、ピンは接点部3102の内側(+X方向)に押し込まれる。
【0116】
撮像装置本体3100と電気接続部3160とは電気的に接続されており、電気接続部3160と接点部3102の3本のピンとは電気的に接続されている。このため、グリップ側接点パターン3201に接点部3102が接している際には、撮像装置本体3100からグリップ3200まで電力および信号を送ることができる。
【0117】
ここで、上記の接点部3102における退避構造について説明する。
【0118】
図25乃至
図27は、
図22乃至
図24に示す本体側取付機構およびグリップ側取付部材の破断斜視図である。
図25(a)は本体側取付部材とグリップ側取付部材とが係合する前の状態の破断斜視図であり、
図25(b)は本体側取付部材とグリップ側取付部材とが係合した状態の破断斜視図である。
【0119】
また、
図26(a)は本体側ねじとグリップ側ねじとが螺合を開始した状態の破断斜視図であり、
図26(b)は第2の本体側ねじと第2のグリップ側ねじとが接触した状態の破断斜視図である。
【0120】
さらに、
図27(a)は第2の本体側ねじと第2のグリップ側ねじとが螺合を開始した状態の破断斜視図であり、
図27(b)は撮像装置本体にグリップが固定された状態の破断斜視図である。
【0121】
図25(a)において、本体側取付部材3101とグリップ側取付部材3202とが接触することなく、グリップ3200と撮像装置本体3100とは離れた状態となる。この状態では、第1のバネ部3109によって、本体側取付部材3101と接点ユニット3105とはX軸に沿って離間する方向、つまり、接点ユニット3105を撮像装置本体内に付勢する方向に力が加えられる。このため、第1のバネ部3109によって、接点ユニット3105に設けられた接点部3102は取付部材接点面3101aより+X方向に位置し、接点部3102は退避することになる。
【0122】
第1のバネ部3109は本体側取付部材3101と接点ユニット3105とをX軸に沿って離間する方向に力を加え、第2のバネ部3110は接点ユニット3105とシャフトストッパー3107とをX軸に沿って離間する方向に力を加える。このため、接点ユニット3105は本体側取付部材3101とシャフトストッパー3107との間で位置が安定せず、接点部3102が
図25(a)に示す状態であっても露出してしまう恐れがある。このため、図示の例では、常に接点部3102が取付部材接点面3101aより+X方向に位置し、接点部3102が退避した状態となるようにする。例えば、第1のバネ部3109および第2のバネ部3110のバネバランスを調整して退避した状態となるようにする。
【0123】
図25(a)に示す状態から本体側取付部材3101とグリップ側取付部材3202との位相を合わせて係合させると、
図25(b)に示す状態となる。この状態で締付けつまみ3205を時計回り(矢印J方向)に回転操作を行う。当該回転操作に伴って、第1のグリップ側ねじ3203が共に時計回り(矢印J方向)に回転する。第1のグリップ側ねじ3203が回転すると、第1のグリップ側ねじ3203と本体側ねじ3103とが螺合して、第1のグリップ側ねじ3203が回転しつつ撮像装置本体の内部(+X方向)に進んで、
図26(a)に示す状態となる。
【0124】
図26(a)に示す状態においては、第2のグリップ側ねじ3204が本体側ねじ3103に干渉しないように、第2のグリップ側ねじ3204の径は第1のグリップ側ねじ3203の径よりも小さい。
図26(a)に示す状態からさらに締付けつまみ3205を時計回り(J方向)に回すと、第1のグリップ側ねじ3203が撮像装置本体の内部(+X方向)にさらに進む。この結果、第1のグリップ側ねじ3203の先端に設けられた第2のグリップ側ねじ3204が接点ユニット3105に設けられた第2の本体側ねじ3104に当接して、
図26(b)に示す状態となる。
【0125】
図示の例では、第1のグリップ側ねじ3203と第2のグリップ側ねじ3204とは同一の部材によって成形され、さらにこれらのねじの回転軸は同一である。このため、第1のグリップ側ねじ3203と第2のグリップ側ねじ3204とは共に回転して、撮像装置本体の内側に進む。
【0126】
第2のグリップ側ねじ3204と第2の本体側ねじ3104が当接した状態で、さらに第1のグリップ側ねじ3203および第2のグリップ側ねじ3204を時計回り(J方向)に回転させる。これによって、当接した箇所から接点ユニット3105を撮像装置本体の内側(+X方向)に押す力が加わる。当該押圧力が加わると、接点ユニット3105を介して第2のバネ部3110が圧縮され接点ユニット3105が撮像装置本体の内側(+X方向)に進む。
【0127】
この際、第2のグリップ側ねじ3204が回転して接点ユニット3105を押し進める間に、第2のグリップ側ねじ3204および第2の本体側ねじ3104のねじ山が噛み合う。ねじ山が噛み合うためには、第2の本体側ねじ3104と第2のグリップ側ねじ3204とが当接してから、最大で第2のグリップ側ねじ3204が1回転する必要がある。
【0128】
このため、少なくとも第1のグリップ側ねじ3203の1回転によって、撮像装置本体の内側(+X方向)に進む距離を、接点ユニット3105は撮像装置本体の内側(+X方向)に移動可能とする必要がある。図示の例では、2回転分で進む距離をスライドできるように、接点ユニット3105、シャフト部材3106、および第2のバネ部3110が構成される。
【0129】
図26(b)に示す状態から、さらに時計回り(J方向)に回転させると、本体側ねじ3103と第1のグリップ側ねじ3203とは螺合して、さらに第1のグリップ側ねじ3203は回転しつつ撮像装置本体の内側(+X方向)に進む。回転に伴って第2の本体側ねじ3104および第2のグリップ側ねじ3204も螺合して、
図27(a)に示す状態となる。
【0130】
図示の例では、第2のグリップ側ねじ3204は第1のグリップ側ねじ3203よりもそのねじピッチが急である。つまり、1回転した際に軸方向に移動する距離は、第1のグリップ側ねじ3203よりも第2のグリップ側ねじ3204の方が大きい。例えば、第2のグリップ側ねじ3204と第1のグリップ側ねじ3203とが同一のねじピッチであるとする。この場合には、本体側ねじ3103と第1のグリップ側ねじ3203および第2の本体側ねじ3104と第2のグリップ側ねじ3204とを同時に螺合させても本体側取付部材3101と接点ユニット3105との距離は変わらない。
【0131】
一方、第2のグリップ側ねじ3204は第1のグリップ側ねじ3203よりもねじピッチを急にすれば、同時に螺合させた際には、接点ユニット3105は本体側取付部材3101に近づく方向(-X方向)にスライドする。接点ユニット3105が本体側取付部材3101に近づく方向(-X方向)にスライドすることによって、接点部3102が取付部材接点面3101aよりも-X方向に移動して接点部3102が露出する。この結果、接点部3102はグリップ側接点パターン3201と接触する。
【0132】
図27(a)に示すように、接点部3102とグリップ側接点パターン3201がとの接触によって導通し、前述のように撮像装置本体3100とグリップ3200とは電源供給および通信を行うことができる。
【0133】
図27(a)に示す状態からさらに回転させると、
図27(b)に示す状態となる。この状態では、第1のグリップ側ねじ3203および本体側ねじ3103によって本体側取付部材3101とグリップ側取付部材3202とが締め付けられた状態となる。そして、この状態では、撮像装置本体3100にグリップ3200がしっかりと固定された状態となる。
【0134】
図27(b)に示す状態では、
図27(a)に示す状態よりも本体側取付部材3101と接点ユニット3105とが接近しており、グリップ側接点パターン3201によって接点部3102は押しつぶされる方向に力が加えられる。しかし、接点部3102の根元にある接点バネ3108が圧縮されるので、接点部3102が押しつぶされて破損することはない。
【0135】
撮像装置本体3100からグリップ3200を取り外す場合には、
図25、
図26、および
図27で説明した操作と逆の手順で操作を行えば、簡単にグリップ3200を取り外すことができる。
【0136】
このように、第1の変形例では、第2のグリップ側ねじ3204とグリップ側接点パターン3201とを有するグリップ3200が取り付けられた場合にのみ、接点部3102が露出して導通させることができる。一方、グリップ3200が取り付けられていない場合には、第2の本体側ねじ3104が螺合することがないので、接点部3102は露出することはない。
【0137】
さらに、グリップ側取付部材3202の周辺に不用意に触れてしまって押し込み方向(+X方向)の力を加えてしまったとしても、接点部3102が露出することがない。このような接点部3102の露出および退避構造によって接点端子に対する意図しない接触および接点端子の破壊を防ぐことができる。
【0138】
[第1の実施形態における接点保護構造の第2の変形例]
ここで、本発明の第1の実施形態における撮像装置本体1000の本体側取付機構1200の第2の変形例について説明する。
【0139】
[第2の接点保護構造の概略]
図28は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例による撮像装置5101の外観を示す斜視図である。
【0140】
撮像装置5101は本体側取付機構5111(
図28には示さず)を有しており、さらに、撮像装置本体5102、撮影レンズ5103、およびグリップ5104を有している。
【0141】
図29は、
図28に示す撮像装置本体5102の外観を示す斜視図である。
【0142】
図29において、撮像装置本体5102に備えられた本体側取付機構5111以外の構成は前述の撮像装置本体1000と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0143】
撮像装置本体5102の側面には、アクセサリの装着が可能な本体側取付機構5111が配置されている。本体側取付機構5111には、アクセサリの一例として、ロゼットの内側に電気接点を有するグリップ5104を装着することができる。
【0144】
図30は、
図29に示す本体側取付機構5111の構造を説明するための図である。
図30(a)は本体側取付機構5111を分解して示す斜視図であり、
図30(b)は
図30(a)に示す接点保護蓋5211の内側の構造を示す斜視図である。
【0145】
なお、ここでは、
図28に示すように、Z軸を撮像装置本体5102の前後方向(正面レンズ側を+Z方向)、Y軸を撮像装置本体5102の上下方向(上面側を+Y方向)とする。また、X軸を撮像装置本体5102の左右方向(撮影レンズ5103を正面から見て右側面側を+X方向)とする。
【0146】
本体側ねじ5261は、グリップ5104に備えられた後述するグリップ側ねじ5311と螺合する雌ねじ部である。本体側取付部材5241は、ビス5243によって撮像装置本体5102に固定された略環状の部材であり、本体側係合部5244およびカム溝5242が設けられている。
【0147】
本体側係合部5244は、本体側取付部材5241の表面に形成された放射状の凹凸形状部であり、後述するグリップ側ロゼット5313と係合する。本体側係合部5244とグリップ側ロゼット5313とが係合することによって、グリップ5104のX軸の回りの回転を抑制することができる。
【0148】
カム溝5242は、本体側取付部材5241の内周側面に所定の形状で形成された溝である。カム溝5242には、後述する接点保護蓋5211の突起5215を嵌めることができる。
【0149】
なお、カム溝5242の詳細については後述する。また、図示の例では、本体側取付部材5241の内周側面にカム溝5242が形成されているが、本体側係合部5244とカム溝5242とを別々の部材に形成するようにしてもよい。
【0150】
本体側取付部材5241の内側には、撮像装置本体5102とグリップ5104との間で電源供給および通信を行うための電気接点である本体側接点ピン5251が設けられている。そして、本体側接点ピン5251は、電気配線(図示せず)によって撮像装置本体5102内の制御回路(図示せず)と接続される。
【0151】
本体側接点ピン5251の各ピンには、所定の機能が割り当てられており、例えば電源端子、通信端子、および接地端として機能する。本体側接点ピン5251は、グリップ5104に備えられた後述するグリップ側接点パターン5314と電気的に接続される。撮像装置本体5102内の制御回路は本体側接点ピン5251を介して、グリップ5104に対して電源供給および通信を行うことができる。
【0152】
接点ブロック5252は、本体側接点ピン5251を保持する。接点ブロックバネ5253は、X方向において、接点ブロック5252を後述するグリップ側接点パターン5314と当接可能な位置へ付勢する部材である。
【0153】
接点保護蓋5211は、本体側取付部材5241の内側に配置されており、開口部5212、接点露出部5213、指かけ5214、突起5215、および接点保護蓋当接部5216が設けられている。
【0154】
開口部5212は、グリップ側ねじ5311を挿入するための開口部である。接点露出部5213は、グリップ5104の装着に伴って接点保護蓋5211がX方向に押し下げられた際、接点露出部5213を介して本体側接点ピン5251が突出する開口部である。接点露出部5213の大きさは、接点ブロック5252の外形に合わせて、接点ブロック5252が通過することが可能な最小の大きさに設定されている。これによって、接点露出部5213から塵埃などの侵入を最小限に抑制することができる。
【0155】
指かけ5214は、ユーザーが接点保護蓋5211を回転させる操作を行う際に指をかける部分であり、ここでは、接点露出部5213と対向する位置に配置された円形の凹形状部である。指かけ5214に指を掛けることによって、ユーザーは接点保護蓋5211を容易に回転させることができる。
【0156】
なお、指かけ5214の位置、形状、および個数は、ユーザーが容易に指をかけることが可能であれば、上記の例には限定されない。
【0157】
突起5215は、接点保護蓋5211の外周側面に同一形状で複数配置された凸形状部である。突起5215を本体側取付部材5241のカム溝5242に嵌めることによって、接点保護蓋5211をカム溝5242の軌跡に沿って移動又は回転させることができる。
【0158】
接点保護蓋5211は、本体側接点ピン5251を機械的に保護するため強度の高い材料で成形することが望ましく、さらに電気的に保護するために樹脂材料などの絶縁性材料(誘電性材料)で成形することが好ましい。
【0159】
接点保護蓋当接部5216は、
図30(b)に示すようにX軸を中心とした円の周方向において、接点露出部5213から略90度離れた位置に配置された凸形状部である。接点保護蓋当接部5216は、接点保護蓋5211が接点ブロック5252を押し下げる動作を行う際に接点ブロック5252に当接する。なお、接点保護蓋5211が回転する際に、接点保護蓋当接部5216が接点ブロック5252の上に容易に乗り上げることができるように接点保護蓋当接部5216に斜面5217を形成してもよい。
【0160】
接点保護蓋保持部5221は、接点保護蓋5211がX軸の回りに回転できるように保持する部材であり、例えば、接点保護蓋保持部5221と接点保護蓋5211とを接触させて滑るようにしてもよく、スラスト軸受などを用いて滑るようにしてもよい。接点保護蓋バネ5231は、接点保護蓋保持部5221を-X方向(本体側ねじ5261の軸方向を接点保護蓋5211側)に付勢する部材であり、前述のカム溝5242により位置が規定される。
【0161】
[カム溝に沿った接点保護蓋の移動]
次に、上記のカム溝5242に沿った接点保護蓋5211の移動の態様について説明する。
【0162】
図31は、
図30に示す本体側取付機構5111における本体側取付部材5241の構造を説明するための図である。
図31(a)は本体側取付部材5241を示す斜視図であり、
図31(b)はカム溝5242の1つ分をX方向に展開した図である。
【0163】
図31(a)に示すように、本体側取付部材5241の内周には、同一形状のカム溝5242がX軸を中心とした円の周方向においてなど間隔となるように複数配置されている。図示の例では、1つ当たり略90度の角度を有するカム溝5242が360度の円周に3つ配置されている。各カム溝5242には接点保護蓋5211の突起5215が1つずつ嵌められている。
【0164】
図31(b)においては、カム溝5242に嵌められた突起5215の取り得る位置が破線の丸で示されている。カム溝5242は、略コの字形状の軌跡を有し、閉位置側の押込溝5275、開位置側の押込溝5276、および開閉用の円周溝5277を有している。閉位置側の押込溝5275および開位置側の押込溝5276はX軸に平行な溝であり、接点保護蓋5211を押し込む動作を行う際に突起5215が通過する。
【0165】
開閉用の円周溝5277はX軸を中心とする円の周方向に平行な溝であり、ユーザーが接点保護蓋5211を回転させて開閉する動作を行う際に突起5215が通過する。カム溝5242を
図31Bに示す形状で形成することによって、突起5215および接点保護蓋5211の移動位置(回転位置)が規制される。そして、接点保護蓋5211の並進又は回転移動に伴って、突起5215は非装着・閉位置5271、非装着・開位置5272、装着・閉位置5273、および装着・開位置5274の各位置を移動する。なお、
図31(b)に示される半押し・閉位置5278と半押し・開位置5279については後述する。
【0166】
図32は、
図31に示す突起の位置に応じた接点保護蓋の位置を説明するための図である。
図32(a)は接点保護蓋が閉まった状態における接点保護蓋の位置を示し、(i)は本体側取付機構に何も装着していない状態を示し、(ii)は本体側取付機構に電気接点を有さないグリップ(以下「接点無しグリップ」という)を装着した状態を示す。さらに、
図32(b)は接点保護蓋が開いた状態における接点保護蓋の位置を示し、(iii)は、本体側取付機構に何も装着していない状態を示し、(iv)は本体側取付機構に接点有りグリップが装着された状態を示す。なお、接点無しグリップの詳細については、
図36および
図37を参照して後述する。
【0167】
図32には、突起5215が、非装着・閉位置5271、非装着・開位置5272、装着・閉位置5273、そして、装着・開位置5274に位置する際の接点保護蓋5211の位置が示されている。
【0168】
図32(a)の(i)において、突起5215は非装着・閉位置5271にあり、本体側接点ピン5251の先端が接点保護蓋5211によって覆われ、撮像装置本体5102の外部から本体側接点ピン5251を見ることができない。
【0169】
図32(a)の(ii)において、突起5215は装着・閉位置5273にあり、本体側接点ピン5251の先端が接点保護蓋5211によって覆われ、撮像装置本体5102の外部から本体側接点ピン5251を見ることができない。また、接点保護蓋5211および接点ブロック5252は接点保護蓋5211を押し下げる動作によって、
図32(a)の(i)の状態と比べて矢印U1および矢印U2で示すようにX方向に押し下げられた位置にある。
【0170】
なお、非装着・閉位置5271および非装着・開位置5272は、
図31に示す開閉用の円周溝5277より局所的に-X方向に突出した位置である。そして、接点保護蓋バネ5231の付勢力によって非装着・閉位置5271又は非装着・開位置5272で突起5215が溝に嵌まる。これによって、突起5215を非装着・閉位置5271又は非装着・開位置5272で安定して保持することができる。
【0171】
図32(b)の(iii)において、突起5215は非装着・開位置5272にあり、接点保護蓋5211の接点露出部5213を介して本体側接点ピン5251を見ることができる。
【0172】
図32(b)の(iv)において、接点保護蓋5211は接点保護蓋5211を押し下げる動作によって、
図32(b)の(iii)に示す状態と比べて矢印U3で示すようにX方向に押し下げられる。その結果、接点保護蓋5211の接点露出部5213を介して本体側接点ピン5251の先端が覗き出た状態となる。
【0173】
なお、装着・閉位置5273および装着・開位置5274では、X方向において溝の終端を設けていない。このような構造とすることで、装着・閉位置5273又は装着・開位置5274から突起5215を嵌めて組み立てることができる。組み立て後に本体側取付部材5241を撮像装置本体5102に固定すれば、撮像装置本体5102の接触面5262(
図30(a)参照)によって突起5215の移動位置が規制される。よって、突起5215がカム溝5242から外れることはない。
【0174】
また、3組のカム溝5242および突起5215を、円周上に配置することによって、突起5215それぞれの位置に応じた接点保護蓋5211の向きが一意に決定される。そして、突起5215が非装着・閉位置5271にある場合と非装着・開位置5272にある場合とで、接点保護蓋5211を安定して保持することができる。また、接点保護蓋5211を押し下げる動作を行う際に、安定して接点保護蓋5211を押し下げることができる。
【0175】
[接点パターンを有するグリップの概略]
次に、撮像装置本体5102の本体側取付機構5111に着脱可能なグリップ5104について説明する。
【0176】
図33は、
図29に示すグリップ5104(
図28参照)を説明するための図である。
図33(a)はグリップ5104の外観を示す斜視図であり、
図33(b)はグリップ5104が備えるグリップ側取付部5307の内部構造を示す断面図である。
【0177】
グリップ5104はユーザーが手で把持する把持部5302を有する。把持部5302は、人の手指に沿う形状に形成されている。ベルト5303は、締め付けることによってユーザーの手が把持部5302から離れるのを防ぐ部材である。
【0178】
ボタン5304、十字キー5305、およびダイヤル5306は操作部材であって、電気配線(図示せず)によってグリップ側接点パターン5314と接続されている。なお、グリップ5104は、グリップ側取付部5307を備えて本体側取付機構5111に取り付け可能な構造であればよく、その外形が
図33(a)に示すものに限定されない。
【0179】
グリップ側取付部5307は、本体側取付機構5111に装着する部分である。グリップ側取付部5307を構成する各部材は、本体側取付機構5111の各部材と対応する機能を有する。
【0180】
グリップ側ねじ5311は、本体側ねじ5261と螺合するおねじ部である。締付けつまみ5312は、グリップ側ねじ5311と機械的に接続されており、ユーザーは、締付けつまみ5312を回すことによってグリップ側ねじ5311を回すことができる。
【0181】
グリップ側ロゼット5313は、その表面に凹凸が形成された係合部であり、本体側係合部5244と係合する。グリップ側ロゼット5313の内側にはグリップ側基板5317が配置されており、グリップ側基板5317には電気接点であるグリップ側接点パターン5314が環状に複数形成されている。
【0182】
撮像装置本体5102にグリップ5104を装着することによって、本体側接点ピン5251とグリップ側接点パターン5314とが接続され、撮像装置本体5102とグリップ5104との間で電源供給および通信を行うことができる。具体的には、グリップ側接点パターン5314は、電気配線(図示せず)によってボタン5304、十字キー5305、ダイヤル5306などの操作部材と接続されている。ユーザーが操作部材のいずれかを操作すると、グリップ側接点パターン5314を介して撮像装置本体5102に所定の操作指示を送ることができる。
【0183】
グリップ側接点パターン5314を環状に配置しているため、撮像装置本体5102に対してグリップ5104をいずれの角度で装着しても、本体側接点ピン5251とグリップ側接点パターン5314とを電気的に接続することができる。なお、グリップ5104の操作部材は、グリップ側接点パターン5314と電気的に直接接続されていてもよく、その間に制御回路(不図示)などが介在していてもよい。
【0184】
グリップ側当接部5315は、グリップ側接点パターン5314が配置された面より+X方向に突出した部分であり、例えば、グリップ側接点パターン5314の外周に配置された環状の凸形状部である。グリップ側当接部5315は接点保護蓋5211を押し込む動作の際に接点保護蓋5211に当接する。
【0185】
[接点パターンを有するグリップを撮像装置に装着する際の動作]
次に、撮像装置本体5102へのグリップ5104の装着について説明する。
【0186】
図34は、
図30に示す本体側取付機構5111の接点保護蓋5211の回動動作および突起5215の位置と、グリップ(接点無しグリップ5105(
図36参照)およびグリップ5104(
図33))の着脱との関係を説明する図である。なお、
図34の下段部に記載の「グリップ」は、グリップ5104を指す。
【0187】
図35は、
図33に示すグリップ5104を取り付ける際の本体側取付機構5111およびグリップ側取付部5307の部材の位置関係を示す図である。
図35(a)は、突起5215が非装着・閉位置5271(
図34の左上)にあるときの接点保護蓋5211の位置(初期位置)を示す図である。
図35(b)は突起5215が非装着・開位置5272(
図34の左下)にあるときの接点保護蓋5211の位置を示す図である。
図35(c)は、撮像装置本体5102にグリップ5104が装着された状態を示す図であり、突起5215が装着・開位置5274(
図34の右下)にあるときの接点保護蓋5211の位置を示す図である。
【0188】
本体側取付機構5111の接点保護蓋5211の初期位置を、
図35(a)に示す位置とする。初期位置においては、本体側接点ピン5251は接点保護蓋5211に覆われて、撮像装置本体5102の外部からは見えない状態にある。このとき、接点保護蓋5211は接点保護蓋バネ5231によって-X方向に付勢され、突起5215は
図31(b)に示すカム溝5242内の非装着・閉位置5271(
図34の左上)に保持されている。
【0189】
次に、ユーザーが撮像装置本体5102とグリップ5104とを電気的に接続するため、接点保護蓋5211を開ける操作を行う。具体的には、接点保護蓋5211の指かけ5214に指をかけて、接点保護蓋バネ5231の付勢力に抗してX方向に押しつつ、-X方向から見て時計回りに回す。この際、接点保護蓋保持部5221によって、接点保護蓋5211は接点保護蓋バネ5231に対してX軸の回りに滑らかに回転する。これによって、
図31(b)に示す接点保護蓋5211の突起5215は非装着・閉位置5271から半押し・閉位置5278を通過して、開閉用の円周溝5277に入る。
【0190】
さらに、接点保護蓋5211を-X方向から見て時計回りに略90度回すと、突起5215は引き続き開閉用の円周溝5277を通過し、半押し・開位置5279を通過して非装着・開位置5272に入る。非装着・開位置5272に入った突起5215は、接点保護蓋バネ5231の付勢力によってその位置が保持される。
【0191】
図35(b)においては、突起5215が非装着・開位置5272にある際の接点保護蓋5211の位置が示されている。突起5215が非装着・開位置5272にある場合には、撮像装置本体5102の外側から本体側接点ピン5251を見ることができるものの、本体側接点ピン5251の先端は接点保護蓋5211から突出していない状態にある。
【0192】
次に、ユーザーが本体側取付機構5111に、グリップ5104を装着する操作を行う。具体的には、締付けつまみ5312を回してグリップ側ねじ5311を本体側ねじ5261にねじ込む。これによって、グリップ側当接部5315が接点保護蓋5211に近付いて当接した後、グリップ側当接部5315が接点保護蓋5211をX方向に押し下げる。その結果、接点保護蓋5211の接点露出部5213を介して本体側接点ピン5251が覗き出て、接点保護蓋5211より本体側接点ピン5251の先端が相対的に-X方向に突出した状態となる。
【0193】
これによって、
図35(c)に示すように、本体側接点ピン5251とグリップ側接点パターン5314とが接触して電気的に接続される。
図35(c)には、撮像装置本体5102にグリップ5104を装着した状態が示されている。このとき、突起5215は、
図31(b)に示す開位置側の押込溝5276を通って装着・開位置5274に移動する。ここで、ユーザー所望の角度でグリップ側ロゼット5313と本体側係合部5244とを係合させることによって、撮像装置本体5102にグリップ5104を任意の角度で固定することができる。なお、グリップ側接点パターン5314が接点保護蓋5211を直接押し込むのではなく、グリップ側当接部5315が接点保護蓋5211を押し込むようにすることで、グリップ側接点パターン5314が摩耗することを防止することができる。
【0194】
このように、ユーザーは撮像装置本体5102の接点保護蓋5211を開けて、グリップ5104を任意の取り付け角度で装着することによって、容易に撮像装置5101を把持可能な状態にすることができる。また、グリップ5104の装着と同時に本体側接点ピン5251とグリップ側接点パターン5314とが電気的に接続され、撮像装置本体5102とグリップ5104との間で電源供給および通信を行うことが可能となる。こうして、ユーザーは、グリップ5104の操作部材を操作することで、撮像装置本体5102に操作指示を送ることが可能になる。
【0195】
なお、撮像装置本体5102に装着されたグリップ5104を取り外す際には、前述の取り付け動作と逆の動作を行えばよい。つまり、ユーザーが締付けつまみ5312を回してグリップ側ねじ5311を緩めると、グリップ5104が取り外されると同時に接点保護蓋5211の突起5215が非装着・開位置5272に移動する。続いてユーザーが接点保護蓋5211を-X方向から見て反時計回りに略90度回すと、突起5215が非装着・閉位置5271に移動して、接点保護蓋5211が本体側接点ピン5251の先端を覆う。これにより、本体側取付機構5111の外側から本体側接点ピン5251が見ることができない状態となる。
【0196】
[接点パターンを備えないグリップを撮像装置本体に装着する際の動作]
次に、撮像装置本体5102に電気接点を有さないグリップ(以下「接点無しグリップ5105」という)を装着する際の動作について説明する。
【0197】
図36は、撮像装置本体5102に着脱可能な接点無しグリップ5105の外観を示す斜視図である。
【0198】
接点無しグリップ5105は、グリップ5104と同様に把持部5302およびグリップ側取付部5307を備えている。なお、接点無しグリップ5105に、ボタン、十字キー、およびダイヤルなどの操作部を設けてもよい。この場合、ケーブル(図示せず)によって撮像装置本体5102と接点無しグリップ5105とを接続することで、撮像装置本体5102から接点無しグリップ5105への給電と、撮像装置本体5102と接点無しグリップ5105の間での通信を行うことができる。
【0199】
図37は、撮像装置本体5102に接点無しグリップ5105を取り付ける際の、本体側取付機構5111とグリップ側取付部5307の構成部材の位置関係を示す図である。
図37(a)は初期状態(非装着・閉位置)を示す図であり、
図37(b)は撮像装置本体5102に接点無しグリップ5105が装着された状態(装着・閉位置)を示す図である。
【0200】
まず、接点保護蓋5211が
図37(a)に示す初期位置にあるとする。この場合、グリップ5104を装着する場合と同様に、本体側接点ピン5251は、接点保護蓋5211に覆われて、突起5215がカム溝5242の非装着・閉位置5271に保持されている。また、接点保護蓋5211が初期位置にある場合、接点保護蓋当接部5216のX方向側に接点ブロック5252が配置された状態となる。
【0201】
次に、ユーザーは、接点保護蓋5211を開ける操作を行わずに、撮像装置本体5102の本体側取付機構5111に接点無しグリップ5105を取り付ける操作を行う。具体的には、締付けつまみ5312を回すと、グリップ側ねじ5311と本体側ねじ5261とが螺合し、グリップ側当接部5315が接点ブロックバネ5253の付勢力に抗して接点保護蓋5211を+X方向に押し下げる。これと同時に、接点保護蓋当接部5216によって接点ブロック5252が+X方向に押し下げられる。
【0202】
この際、突起5215は、
図31(b)に示す閉位置側の押込溝5275を通過して、装着・閉位置5273に移動する。本体側係合部5244とグリップ側ロゼット5313とが係合するまでグリップ側ねじ5311を締め込むと、撮像装置本体5102に対する接点無しグリップ5105の回転が抑制される。こうして、
図37(b)に示すように、撮像装置本体5102に接点無しグリップ5105が装着された状態となる。
【0203】
このように、ユーザーは撮像装置本体5102の接点保護蓋5211を閉めた状態を維持して、接点無しグリップ5105を取り付けることができ、その際に、本体側接点ピン5251の先端が他の部材と触れるのを防止することができる。
【0204】
なお、グリップ側当接部5315が特異な形状をしているか又はグリップ側ねじ5311の近傍までグリップ側ロゼット5313の凹凸形状部が形成されていることがある。このような場合には、接点保護蓋5211を閉めた状態で接点無しグリップ5105を装着することによって、本体側接点ピン5251に意図しない外力が加わって、本体側接点ピン5251が破壊されることを防止することができる。
【0205】
撮像装置本体5102から接点無しグリップ5105を取り外す際には、前述の取り付け動作と逆の動作を行えばよい。ここでは、ユーザーが締付けつまみ5312を回してグリップ側ねじ5311を緩めると、接点無しグリップ5105が取り外されるとともに、接点保護蓋5211の突起5215が非装着・閉位置5271に移動する。
【0206】
[指などの接触に対する保護]
ここで、接点保護蓋5211による本体側接点ピン5251の保護機能について説明する。
【0207】
本体側取付機構5111を介して撮像装置本体5102のアクセサリなどを装着しない場合には、接点保護蓋5211を閉めて、非装着・閉位置5271(前述の初期位置)に保持する。これにより、本体側接点ピン5251は接点保護蓋5211で覆われた状態となるため、指などが本体側接点ピン5251に直接触れることを防止することができる。
【0208】
接点保護蓋5211が非装着・閉位置5271にある際に、指又は他の装置によって意図せず接点保護蓋5211が押し込まれてしまったとする。この場合には、前述の接点無しグリップ5105を撮像装置に装着する際の動作と同様に、接点保護蓋当接部5216によって接点ブロック5252が押し込まれる。これにより、接点ブロック5252および本体側接点ピン5251がX方向側に退避するので、本体側接点ピン5251の先端が他の部材と触れることはない。
【0209】
また、本体側取付機構5111にグリップ5104などを装着しようとして接点保護蓋5211が非装着・開位置5272にあるとする。この場合には、撮像装置本体5102の外部から本体側接点ピン5251を見ることができるものの、接点保護蓋バネ5231の付勢力によって本体側接点ピン5251の先端は接点保護蓋5211から突出していない。このため、グリップ5104が装着されていない状態で指又は他の装置などが接点保護蓋5211に触れても、接点保護蓋5211が押し込まれなければ、本体側接点ピン5251に接触することはないため、本体側接点ピン5251の損傷は防止される。
【0210】
このように、ユーザーの指又は他の装置などが意図せず本体側取付機構5111に触れた場合でも、接点保護蓋5211によって、指又は他の装置などが本体側接点ピン5251の先端を直接触れることがない。その結果、例えば、指が本体側接点ピン5251に接触して被膜が形成されることに起因する接触不良の発生を防ぐことができる。
【0211】
同様に、他の装置が本体側接点ピン5251に接触することによる本体側接点ピン5251が損傷するのを防ぐことができる。
【0212】
[接点パターンを有するグリップを電源供給および通信を行わずに撮像装置本体に装着する際の動作]
ところで、ユーザーによっては、撮像装置5101を把持するためにグリップ5104を用いるが、誤操作防止などのためボタン5304、十字キー5305、およびダイヤル5306などの操作部材を操作したくない場合がある。また、グリップ5104における電力消費を抑えるため、撮像装置本体5102とグリップ5104とを機械的に接続しても電気的には接続したくない場合がある。
【0213】
このような場合、前述の接点無しグリップ5105を撮像装置本体5102に装着する際の動作と同様の手法で、撮像装置本体5102にグリップ5104を装着すればよい。具体的には、接点保護蓋5211を閉めた状態でグリップ5104を装着する。これによって、ユーザーはグリップ5104によって撮像装置5101を容易に把持できるが、本体側接点ピン5251はグリップ側接点パターン5314と電気的に接触しない。
【0214】
このため、グリップ5104の操作部材を操作しても撮像装置本体5102に操作指示は送られないため、撮像装置5101の誤動作を防止することができる。そして、撮像装置本体5102からグリップ5104に給電が行われないので、消費電力を低減することができる。
【0215】
[第1の実施形態における接点保護構造の第3の変形例]
次に、本発明の第1の実施形態における撮像装置本体1000の本体側取付機構1200の第3の変形例について説明する。
【0216】
[第3の接点保護構造の概略]
まず、本発明の第1の実施形態による撮像装置本体の本体側取付機構およびグリップのグリップ側取付機構に関して接点保護構造の別の形態について説明する。
【0217】
図38は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例による撮像装置本体6001に備えられた本体側取付機構6180を分解して示す斜視図である。
【0218】
図38には撮像装置本体6001の全体を示していないが、ここでは、Z軸を撮像装置本体6001の前後方向(不図示の正面レンズ側を+Z方向)としている。また、Y軸を撮像装置本体6001の上下方向(上面側を+Y方向)とし、X軸を撮像装置本体6001の左右方向(不図示の撮影レンズを正面から見て右側面側を+X方向)としている。
【0219】
撮像装置本体6001に取り付けられた本体側取付板金6112には本体側接点ピン6110(第1の電気接点)から電気信号を送受信するFPC6111を挿通すための切欠き部6114が設けられている。また、撮像装置本体6001には、略円環状の形状を有する保護蓋6105をグリップ6003の取り付け側である-X方向に付勢するための保護蓋バネ6108(第1の付勢部材)を収納するバネ収納部6113が設けられている。
【0220】
保護蓋6105は、本体側取付部材6119の内側をX方向に移動可能であり、保護蓋6105の外周はロックレバー6103a~6103c(ロック部材)の係合部6125(
図41及び
図42参照)と係合して所定の位置に支持される。また、ロックレバー6103a~6103cはロックバネ6104a~6104cによって保護蓋6105の中心軸I(
図41参照)に向かう方向(以下「中心軸方向」という)に付勢される。さらに、本体側取付部材6119の表面には凹凸形状を有する係合部である本体側係合部6101(第1の係合部)が設けられている。
【0221】
本体側接点ピン6110は接点保持部6109に対してX方向に移動可能に取り付けられており(
図43および
図44参照)、本体側接点ピン6110は保護蓋6105の接点露出部6106の投影上に配置される。そして、本体側係合部6101は、接点保持部6109とともにビス6102a~6102cによって本体側取付板金6112に固定される。
【0222】
図39は、本発明第1の実施形態によるグリップに配設されたグリップ側取付機構を説明するための図である。
図39(a)はグリップ側取付機構の外観を示す斜視図であり、
図39(b)はグリップ側取付機構の分解斜視図である。
【0223】
グリップ側取付部材6311は、本体側取付部材6119と同様に、その表面に凹凸形状を有する係合部であるグリップ側係合部6301(第2の係合部)を備えている。グリップ側取付部材6311はグリップねじ6302a~6302によってグリップ側取付板金6306に固定される。
【0224】
グリップ側取付部材6311の中心には接点パターン6303(第2の電気接点)が形成された円形状のグリップ側基板6304を取り付ける凹部6307が設けられている。そして、グリップ側基板6304は、例えば、両面テープなどで凹部6307に固定される。また、グリップ側係合部6301およびグリップ側基板6304の中心にはそれぞれ、撮像装置本体6001にグリップ6003を固定するためのグリップ固定ねじ6010(第2のねじ部)を挿通するためのねじ挿通穴6310、および6312が形成されている。
【0225】
グリップ側取付部材6311において、グリップ側係合部6301の内周と凹部6307の外周との間には円周状の凸部6305が設けられており、凸部6305はグリップ側係合部6301の凹凸形状部よりも本体側(+X方向側)に突出している。凸部6305は、グリップ6003を撮像装置本体6001に装着する際に本体側係合部6101の内壁に挿入され、所定の位置に支持された保護蓋6105を撮像装置本体6001の内側(+X方向)に付勢する。
【0226】
次に、グリップ6003の撮像装置本体6001に対する装着について説明する。
【0227】
図40は、
図38に示す本体側係合部6101を示す図である。また、
図41は、
図38に示す撮像装置本体6001と
図39に示すグリップ6003とが未接続の状態の、
図40に示すAA-AA線に沿った断面図である。そして、
図42は、
図39に示すグリップ6003の凸部6305が撮像装置本体6001の本体側係合部6101の内壁に挿入されてロックレバー6103a~6103cに当接した状態を示す、
図40のAA-AA線に沿った断面図である。
【0228】
図43は、
図39に示すグリップ6003の凸形状部6005が保護蓋6105を撮像装置本体6001側に押し込んで本体側接点ピン6110と接点パターン6303が接触した状態を示す、
図40のAA-AA線に沿った断面図である。
図44は、グリップ固定ねじ6010(第2のねじ部)によってグリップ6003を撮像装置本体6001に締め付けた状態を示す、
図40のAA-AA線に沿った断面図である。
【0229】
図41に示すように、撮像装置本体6001に対してグリップ6003が未接続状態では、保護蓋6105は保護蓋バネ6108により-X方向に付勢されている。また、ロックレバー6103a~6103cは、保護蓋6105との係合位置にある。つまり、保護蓋6105は、外周から中心方向にロックバネ6104a~6104cによって中心軸方向に付勢されたロックレバー6103a~6103cと係合している。そのため、保護蓋6105に+X方向に外力が加わっても、保護蓋6105は+X方向に押し込まれない。さらに、伸縮可能な本体側接点ピン6110は保護蓋6105から突出していない。
【0230】
図42において、グリップ6003を撮像装置本体6001側であるX方向(矢印V方向)に押し込むと、グリップ6003の凸部6305によってロックレバー6103a~6103cが外周側(矢印W方向)に押される。これによって、ロックレバー6103a~6103cの係合部6125は保護蓋6105から外れる。
【0231】
さらに、グリップ6003を+X方向に押し込んで、凸部6305に押し込まれたロックレバー6103a~6103cが外周側に完全に退避すると、保護蓋6105は凸部6305によって+X方向に押し込み可能な状態となる。よって、グリップ6003をさらに+X方向に押し込むと、保護蓋6105が+X方向に押し込まれて、本体側接点ピン6110が接点露出部6106を通じて保護蓋6105の面sから突出する。
【0232】
本体側接点ピン6110が突出すると、
図43に示すように、グリップ6003の接点パターン6303と本体側接点ピン6110とが接触する。そして、グリップ6003に設けられたグリップ固定ねじ6010を撮像装置本体6001に設けられた本体側ねじ6116(第1のねじ部)に締め込むと、
図44に示す状態となる。
【0233】
図44に示す状態においては、本体側接点ピン6110は、接点パターン6303によって+X方向にΔLだけ押し込まれて付勢された状態で、接点パターン6303との電気的接触を維持している。
【0234】
次に、上記の本体側接点ピン6110と接点パターン6303とのセルフクリーニングについて説明する。
【0235】
図45は、本体側接点ピン6110と接点パターン6303とのセルフクリーニングを説明するための図である。
図45(a)および
図45(b)は本体側係合部6101を示す図であり、
図45(c)および
図45(d)はグリップ側係合部6301を示す図である。なお、
図45(a)および
図45(c)は正面図であり、
図45(b)および
図45(d)は斜視図である。
【0236】
本体側係合部6101およびグリップ側係合部6301にはそれぞれ角度α毎に凹形状部と凸形状部とが設けられている。そして、本体側係合部6101とグリップ側係合部6301の間で、対向する凹形状部と凸形状部とが互いに噛み合うことで、X軸の回りの回転が抑制されて、係合位置が決められる。また、本体側係合部6101の凹凸形状部、即ち、本体側凹形状部6501と本体側凸形状部6502は、本体側係合部6101の中心から放射状に形成されている。同様に、グリップ側係合部6301の凹凸形状部、即ち、グリップ側凹形状部6601とグリップ側凸形状部6602は、グリップ側係合部6301の中心から放射状に形成されている。
【0237】
図46は、
図45に示す本体側係合部6101とグリップ側係合部6301とが係合する前の状態を示す図である。
図46(a)は本体側凸形状部6502とグリップ側凸形状部6602とが接触した状態を示す図であり、
図46(b)は
図46(a)に示す状態において本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが当接した状態を破断して示す斜視図である。
【0238】
本体側凸形状部6502とグリップ側凸形状部6602が接触する
図46の状態において、本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが接触する。換言すると、グリップ6003の撮像装置本体6001への装着時には、本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが接触すると同時に又は接触後に本体側凸形状部6502とグリップ側凸形状部6602が当接する。この際、本体側接点ピン6110と接点パターン6303との位置関係は、
図43で説明した関係に相当する。
【0239】
図46の状態からグリップ固定ねじ6010を締め込むと、本体側凸形状部6502とグリップ側凹形状部6601とが噛み合って、接点パターン6303と本体側接点ピン6110の間隔がX方向に最大Mだけ縮まる。
【0240】
図47は、
図45に示す本体側係合部6101とグリップ側係合部6301とが係合した状態を示す図である。
図47(a)は、本体側凸形状部6502とグリップ側凹形状部6601とが接触した状態を示す図である。
図47(b)は、
図47(a)に示す状態において本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが当接した状態を示す断面図である。
【0241】
上述のように、接点パターン6303と本体側接点ピン6110の間隔がX方向に最大Mだけ縮まると、
図47に示す状態となる。
【0242】
前述のように、本体側凹形状部6501および本体側凸形状部6502とグリップ側凹形状部6601およびグリップ側凸形状部6602とは、それぞれ、中心から複数の放射状に設けられている。このため、本体側係合部6101およびグリップ側係合部6301の直線方向の移動のみで、本体側凹形状部6501とグリップ側凸形状部6602とを係合させることは容易ではない。よって、本体側凹形状部6501とグリップ側凸形状部6602とが係合する(本体側凸形状部6502とグリップ側凹形状部6601が係合する)ためには、本体側係合部6101とグリップ側係合部6301をX軸まわりに相対的に回転させる必要がある。
【0243】
つまり、
図46に示す状態から
図47に示す状態に移行するためには、グリップ側係合部6301を角度αだけ円周方向に回転させる必要がある。この回転によって、グリップ側係合部6301に固定されたグリップ側基板6304に形成された接点パターン6303が回動する。こうして、本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが接触した状態で接点パターン6303が角度αだけ摺動することで、本体側接点ピン6110と接点パターン6303の接点とが擦れてセルフクリーニングが実行される。
【0244】
このように、撮像装置本体6001は、グリップ6003が未装着の状態においては、本体側接点ピン6110が保護蓋6105から突出することがなく、保護蓋6105が所定の位置に固定される。よって、指又は他の装置などが保護蓋6105に触れても本体側接点ピン6110に接触することがない。これによって、意図しない接触により形成される被膜に起因する本体側接点ピン6110の接触不良の発生や、意図しない他の装置との接触による本体側接点ピン6110の破壊を防ぐことができる。
【0245】
さらに、グリップ6003を撮像装置本体6001に装着すると、本体側接点ピン6110と接点パターン6303とが擦れてセルフクリーニングされる。よって、あえて別の手法や機構を用いることなく、本体側接点ピン6110と接点パターン6303の電気接続の信頼性を確保することができる。
【0246】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態による撮像装置の一例について説明する。
【0247】
図48は、本発明の第2の実施形態による撮像装置7001を正面側から示す斜視図である。また、
図49は、撮像装置7001を背面側から示す斜視図である。
【0248】
なお、ここでは、図示のように座標系を規定し、後述する撮影レンズ側から見た面(
図48において+Z方向から見た面)を正面、正面と対向する面を背面、正面から見て右側の面を右側面、正面から見て左側の面を左側面とする。また、正面から見て上側の面を上面とし、正面から見て下側の面を底面とする。そして、撮影レンズの中心を通るZ方向の軸を光軸とする。
【0249】
撮像装置7001は、撮像装置本体7002、撮影レンズ7003、およびグリップ7004を備えている。撮像装置本体7002は、撮像素子、基板、および記録媒体など(ともに図示せず)などを備える。
【0250】
撮像素子として、CCDセンサ又はCMOSセンサなどが用いられ、撮像素子は撮影レンズ7003を介して結像した光学像に応じた画像信号を出力する。基板は、撮像装置本体7002と撮像装置本体7002に接続されるアクセサリなどを制御する。基板上には、例えば、被写体の撮像によって得られた画像信号に対して所定の画像処理を行う画像処理ICおよびシステム制御IC(ともに図示せず)が実装されており、撮像素子から出力された画像信号に各種の信号処理を施して映像データなどを生成する。
【0251】
記録媒体は、画像処理ICおよびシステム制御ICによって処理された映像データや音声データを記憶する媒体であり、例えば、不揮発性メモリ又はハードディスクドライブが用いられる。
【0252】
図50は、撮像装置7001からグリップ7004を取り外した状態を正面側から示す斜視図である。また、
図51は、撮像装置7001からグリップ7004を取り外した状態を背面側から示す斜視図である。
【0253】
撮像装置本体7002の右側面には、グリップ7004などのアクセサリを取り付けることが可能な本体側取付機構7005(
図50および
図51に示す破線で囲まれた領域)が設けられている。
【0254】
【0255】
図53は、
図50に示す本体側取付機構7005の分解斜視図である。
【0256】
まず、
図52Aおよび
図53を参照して、本体側螺合部材7006は、グリップ7004の後述するグリップ側螺合部材7101と螺合するためのねじ7015を備えている。図示の例では、ねじ7015は中心軸7016を中心とする雄ねじである。
【0257】
本体側取付部材7007は、略円盤状の外形に成形されており、中心から放射状に凸形状部および凹形状部が所定のピッチで配置された本体側係合部7008を備えている。なお、このような形状を有する部材は、一般にロゼットと呼ばれている。
【0258】
本体側係合部7008は同様の凸形状部と凹形状部を有するグリップ側係合部7104と係合してグリップ7004の回動を規制する。
【0259】
本体側螺合部材7006および本体側取付部材7007は、中心軸7016を同一中心としてビス7013によって撮像装置本体7002の内部に配置された本体側取付板金7009に固定される。
【0260】
本体側接点ピン7010は、撮像装置本体7002とグリップ7004との間で電源供給および通信を行うための電気接点である。本体側接点ピン7010は本体側係合部7008の中心から本体側係合部7008の径方向に所定の間隔で複数個配設され、グリップ側接点パターン7103と電気的に接続される。本体側接点ピン7010において、各ピンに対して所定の機能が割り当てられており、本体側接点ピン7010は、例えば、電源端子、通信端子、および接地端子として機能する。
【0261】
撮像装置本体7002に配置された制御回路は、本体側接点ピン7010を介してグリップ7004に対して電源供給を行うとともに、グリップ7004と通信を行うことができる。
【0262】
本体側接点ピン7010は、接点ブロック7018に収容された圧縮バネ(図示せず)によって撮像装置本体7002から突出する方向(-X方向)に付勢される。これにより、グリップ7004が撮像装置本体7002と結合した際に所定の接触圧が確保される。
【0263】
接点ブロック7018に収容された本体側接点ピン7010は、後述するグリップ側接点パターン7103と接触する側と反対の一端が本体側基板7011と半田付けなどによって電気的に接続される。本体側基板7011は電気配線(図示せず)によって本体側制御基板(図示せず)と電気的に接続される。
【0264】
本体側基板7011はビス7014によって本体側取付板金7009に固定され、本体側接点ピン7010は本体側螺合部材7006に挿通される。そして、本体側接点ピン7010は本体側係合部7008の内周側に設けられた接点露出部7012から撮像装置本体7002の外部に露出する。
【0265】
図52Aおよび
図52Bに示すように、本体側螺合部材7006は本体側係合部7008の外周側に配置されている。接点露出部7012は本体側係合部7008よりも内周側に形成されている。つまり、本体側接点ピン7010は本体側係合部7008よりも内周側に配置され、撮像装置本体7002の外部に-X方向に露出している。このとき、本体側係合部7008に設けられた凹凸形状部の凹部の最も深い位置との間で所定のクリアランス(
図52Cに示す符号T1)が確保されるように、本体側接点ピン7010先端および本体側係合部7008の凹部が設計されている。つまり、本体側接点ピン7010先端は本体側係合部7008の凹部の最も深い位置より外側へ突出しない構造となっている。
【0266】
[グリップの構成]
図54は、グリップ7004を背面側から示す斜視図である。
図55はグリップ7004の分解斜視図である。
図56はグリップ7004における撮像装置本体7002との取付部周辺を部分的に示す断面図である。
【0267】
グリップ7004は、ユーザーが撮像装置本体7002を把持しつつ撮影する行為を容易にするため、撮像装置本体7002に対して着脱可能なアクセサリの一種である。なお、撮像装置本体7002に取り付けるアクセサリは、本体側取付機構7005に取り付け可能な構造を有していればグリップ7004には限定されない。
【0268】
グリップ7004においては、外装部材7106は基板、電気的配線部材、および構造部材(ともに図示せず)を内包しており、ユーザーが把持する部分、押しボタンおよびダイヤルなどの操作部が露出する部分などを有している。外装部材7106の一部には、グリップ側螺合部材7101が回動可能に嵌合する円筒突部7109が設けられている。そして、円筒突部7109の+X方向の先端には、接点パターン保持部材7112が収納される嵌合凹部7117が複数個所設けられている。
【0269】
グリップ側螺合部材7101は、本体側螺合部材7006と螺合するためのねじ7105を当該部材の内周側面に備えている。図示の例では、本体側螺合部材7006の雄ねじに螺合するため、グリップ側螺合部材7101のねじ7105は雌ねじとされる。また、グリップ側螺合部材7101は内周嵌合部7108を有している。そして、グリップ側螺合部材7101は外装部材7106に設けられた円筒突部7109の外周面と嵌合して、回転軸7110を中心として外装部材7106に対して回動可能である。
【0270】
グリップ側螺合部材7101は圧縮コイルバネで構成された付勢部材7111によって、後述するグリップ側取付部材7102の側(+X方向)に常時付勢される。付勢部材7111は外装部材7106とグリップ側螺合部材7101との間に圧縮された状態で狭持されている。
【0271】
グリップ側取付部材7102は、本体側取付部材7007と同様に、円盤状の外形に成形され、その中心から放射状に形成された凹凸形状を有するグリップ側係合部7104を備えている。グリップ側係合部7104は本体側係合部7008と係合して、グリップ7004の回転軸7110の中心とする回動を規制する。グリップ側取付部材7102はグリップ側取付板金7107にビス7118によって固定されている。グリップ側取付板金7107はグリップ7004の外装部材7106内にビス7119によって固定されている。
【0272】
グリップ側接点パターン7103は、撮像装置本体7002の本体側接点ピン7010と電気的に接続するための電気接点であり、基板上に同心円状に形成されている。また、グリップ側接点パターン7103は、グリップ7004の外装部材7106に内包された基板(不図示)および配線部材(不図示)によって電気的に接合されている。そして、本体側接点ピン7010とグリップ側接点パターン7103とが接続されることによって、撮像装置本体7002とグリップ7004との間で電源供給および通信を行うことが可能になる。
【0273】
なお、グリップ側接点パターン7103は、例えば、成型回路部品(MID)で構成されている。グリップ側取付部材7102をグリップ側接点パターン7103と接点パターン保持部材7112とで挟み込むようして、グリップ側接点パターン7103は接点パターン保持部材7112にビス7120で結合されている。
【0274】
図55に示すように、接点パターン保持部材7112は嵌合円筒部7113と、当該嵌合円筒部7113から放射状に複数延びる延出部7114とを備えている。嵌合円筒部7113はグリップ側取付部材7102の最内周に設けられた貫通穴7115と嵌合する。接点パターン保持部材7112の延出部7114とグリップ側取付部材7102との間には、バネ7116が押し縮められた状態で収納されている。これによって、接点パターン保持部材7112と結合したグリップ側接点パターン7103をグリップ側取付部材7102側に付勢する方向(-X方向)に荷重が加えられる。
【0275】
接点パターン保持部材7112の延出部7114は、円筒突部7109の先端に設けられた嵌合凹部7117にX方向において所定のストローク分並進動作ができるように収納されている。グリップ側接点パターン7103と接点パターン保持部材7112とはビス7120で結合されているので、2つの部材が一体となって動作することになる。
【0276】
[グリップ装着手順]
次に、撮像装置本体7002に対して、グリップ7004を装着する際の機械的接続および電気接続について説明する。
【0277】
図57Aは、
図48に示す撮像装置本体7002にグリップ7004を装着する前の状態を部分的に示す断面図である。
図57Bは、撮像装置本体7002にグリップ7004を装着する途中の状態を部分的に示す部分断面図である。
図57Cは、撮像装置本体7002にグリップ7004を装着した状態を部分的に示す断面図である。
図57Dは、本体側係合部とグリップ側係合部とが接触した状態を部分的に示す断面図である。
【0278】
図57Aに示すように、撮像装置本体7002にグリップ7004を取り付ける際には、本体側螺合部材7006およびグリップ側螺合部材7101の双方の位置を合わせる。そして、グリップ7004を撮像装置本体7002側に(矢印A方向(+X方向))に押し付ける。グリップ7004は、
図57Aに示す状態では、撮像装置本体7002に固定されておらず、電気的にも接続されていない。
【0279】
撮像装置本体7002に対してグリップ7004を、
図57Aに示す矢印A方向(+X方向)に押し付けると、
図57Bに示すように、本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とを係合させた状態となる。
【0280】
本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とが係合することによって、グリップ7004の撮像装置本体7002に対する取付角度が定まる。その際、本体側係合部7008およびグリップ側係合部7104は放射状に形成されているので、撮像装置本体7002にグリップ7004を固定する前にグリップ7004を任意の角度とすることができる。
【0281】
図57Bの状態では、接点パターン保持部材7112に固定されたグリップ側接点パターン7103は、バネ7116の作用によってグリップ側取付部材7102側(-X方向)に付勢されている。このため、グリップ側接点パターン7103は、グリップ側係合部7104の凹部よりも低い位置に配置されることになる。一方、本体側接点ピン7010は本体側係合部7008の凹部よりも低い位置に設けられている。そのため、
図57Bに示す状態では、本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とは係合しているものの、本体側接点ピン7010とグリップ側接点パターン7103とは離間しているので、電気的に接続されていない。
【0282】
上述の構成によって、本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とを係合させる際に、本体側接点ピン7010とグリップ側接点パターン7103それぞれの対向する係合部が互いに不用意に接触することを防ぐことができる。
【0283】
グリップ7004を矢印A方向(+X方向)に押し付けた状態でグリップ側螺合部材7101を、
図57Bに示す矢印B方向(-X方向から見て時計回りの方向)に回転させることによって、
図57Cに示す状態となる。
図57Cに示す状態では、本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とが係合し、本体側螺合部材7006にグリップ側螺合部材7101が螺合しており、グリップ7004はガタつきなく撮像装置本体7002に強固に固定されている。
【0284】
グリップ側螺合部材7101を矢印B方向(
図57B参照)に回転させると、接点パターン保持部材7112に設けられた延出部7114とグリップ側螺合部材7101とが接触する。さらにグリップ側螺合部材7101を矢印B方向に回転させると
図57Bに示す矢印A方向に接点パターン保持部材7112が移動する。この結果、接点パターン保持部材7112に結合されたグリップ側接点パターン7103が矢印A方向に押し込まれる。矢印A方向に押し込まれたグリップ側接点パターン7103は撮像装置本体7002の本体側接点ピン7010と接触し、電気的に接続される。つまり、撮像装置本体7002にグリップ7004が強固に固定されるととともに、容易に両者を電気的に接続することができる。さらに、撮像装置本体7002とグリップ7004とが強固に固定された状態で電気接続が行われるので、信頼性の高い電気接続を確保することができる。
【0285】
グリップ7004を撮像装置本体7002から取り外す際には、
図57A乃至
図57Cで説明した取り付ける動作と逆の動作を行えばよい。つまり、まず、グリップ側螺合部材7101を矢印B方向と反対方向に回してグリップ側螺合部材7101を弛める。これによって、バネ7116の付勢力によって接点パターン保持部材7112が矢印A方向の反対方向に移動する。その結果、接点パターン保持部材7112に結合されたグリップ側接点パターン7103がグリップ側螺合部材7101の動作に連動して本体側接点ピン7010から離間する。
【0286】
その結果、撮像装置本体7002とグリップ7004とは電気的に接続されなくなる。且つ、グリップ側螺合部材7101が本体側螺合部材7006から外れて、撮像装置本体7002とグリップ7004とが固定されなくなる。そして、矢印A方向の反対方向にグリップ7004を引き離すことによって、グリップ7004を撮像装置本体7002から取り外すことができる。
【0287】
次に、撮像装置本体7002に対してグリップ7004を斜めから近接させた場合について説明する。
【0288】
図57Dには、撮像装置本体7002に対してグリップ7004を斜め方向から近接させて本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とが接触した状態が示されている。
【0289】
撮像装置本体7002に対してグリップ7004を斜めから近接させた場合、まずグリップ7004のグリップ側螺合部材7101が撮像装置本体7002の本体側螺合部材7006に接触する。この状態で、グリップ7004を撮像装置本体7002に装着しようとしても、本体側螺合部材7006およびグリップ側螺合部材7101の双方のねじ形状が螺合しない。このため、グリップ7004を撮像装置本体7002固定することはできない。
【0290】
この場合、ユーザーがグリップ7004を撮像装置本体7002に装着しようとして、グリップ7004を乱雑に動かすと、本体側係合部7008とグリップ側係合部7104とが接触する状態が頻繁に発生する。
【0291】
一方、
図52Cに示したように、本体側係合部7008と本体側接点ピン7010の先端とにはクリアランスT1が設けられている。よって、グリップ側係合部7104が本体側接点ピン7010に衝突して、本体側接点ピン7010が損傷することを防ぐことができる。
【0292】
[接点保護構造の概略]
次に、本発明の第2の実施形態による撮像装置本体7002の本体側取付機構7005の第1の変形例について説明する。
【0293】
前述の撮像装置本体7002に備えられた本体側取付部材7007と同様に、ロゼットと呼ばれるアクセサリの取付け機構が、本発明の第2の実施形態の第1の変形例である撮像装置本体3600に用いられる。撮像装置本体3600においては、本体側取付部材3601の内側に接点部3602を有しているが、接点部3602が撮像装置本体3600の表面に露出している場合、次のような不具合が起こる可能性がある。
【0294】
例えば、接点部3602に意図せず指などが触れて被膜が生じて接触不良を起こす可能性がある。さらには、別の装置が接点部3602に触れて接点部3602を破壊する可能性がある。また、本体側取付部材3601にアクセサリを装着する際に、誤ってアクセサリの係合部を接点部3602にぶつけて接点部3602を破壊してしまう可能性がある。
【0295】
このような不具合を防止するため、撮像装置本体3600では、電気接点およびロゼットを有するアクセサリが装着された際に接点部3602が露出し、それ以外では接点部3602が退避する構造が用いられる。
【0296】
図58は、本発明の第2の実施形態の第1の変形例による撮像装置本体の外観を示す斜視図である。
【0297】
図59は、
図58に示す撮像装置本体3600に備えられた本体側取付機構3650を説明するための図である。
図59(a)は、本体側取付機構3650を撮像装置本体3600の外側から見た斜視図であり、
図59(b)は、本体側取付機構3650を撮像装置本体3600の内側から見た斜視図である。
【0298】
また、
図60は、撮像装置本体3600に着脱可能なグリップ3700の外観を示す斜視図である。
【0299】
なお、ここでは、説明の便宜上、座標系を
図58に示すように規定する。そして、Z軸を撮像装置本体3600の前後方向(不図示のレンズ側(正面側)を+Z方向)、Y軸を撮像装置本体3600の上下方向(上面側を+Y方向)、X軸を撮像装置本体3600の左右方向(正面側から見て右側面側を+X方向)とする。
【0300】
図58において、撮像装置本体3600はグリップ3700などのアクセサリを固定するための本体側取付機構3650を有している。
図59に示すように、本体側取付機構3650には、前述の第2の実施形態での撮像装置本体7002に備えられた本体側取付部材7007と同様に、ロゼットと呼ばれるアクセサリの取付部材が用いられている。本体側取付機構3650は、本体側取付板金3651の本体側固定部3652によって、締結部材などで撮像装置本体3600の本体内部に強固に固定されている。強固に固定されているので、本体側取付機構3650は、取り付けられたグリップ3700などのアクセサリを強固に支えることができる。
【0301】
図58および
図59に示すように、本体側取付機構3650は円形の本体側取付部材3601を有している。本体側取付部材3601において外観に露出する面には、リング状に且つ円の中心から放射状に、凹凸形状部が形成されている。なお、同様に、
図60に示すグリップ3700のグリップ側取付部材3702も、リング状に且つ円中心から放射状に、凹凸形状に形成されている。
【0302】
本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702の各凹凸形状部を係合させると、撮像装置本体3600に対するグリップ3700の位置が決まる。
【0303】
本体側取付部材3601を収容する有底円筒状のアクセサリ固定部3611の外周には第1の本体側ねじ3603が設けられている。第1の本体側ねじ3603は、
図60に示すグリップ3700の第1のグリップ側ねじ3703と螺合して、撮像装置本体3600とグリップ3700とを固定するためのねじ部である。
【0304】
また、グリップ3700には、グリップ本体部3750に対して回転操作することができる締付けつまみ3705が備えられている。締付けつまみ3705の内周面には第1のグリップ側ねじ3703が成形されており、締付けつまみ3705の回転操作に伴って第1のグリップ側ねじ3703が回転する。締付けつまみ3705の内周面の第1のグリップ側ねじ3703より先端(開口)側には第2のグリップ側ねじ3704が成形されている。このため、締付けつまみ3705の回転に伴って第2のグリップ側ねじ3704が回転する。
【0305】
雄ねじとして形成された第1の本体側ねじ3603は、雌ねじとして形成された第1のグリップ側ねじ3703と螺合して、グリップ3700を撮像装置本体3600に固定する。つまり、本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702とを係合させ、締付けつまみ3705を回転操作して第1の本体側ねじ3603と第1のグリップ側ねじ3703とを螺合させる。これによって、撮像装置本体3600にグリップ3700を固定することができる。
【0306】
締付けつまみ3705の先端(開口側)には、第2のグリップ側ねじ3704が雌ねじとして形成されている。よって、締付けつまみ3705を回転させると、第1のグリップ側ねじ3703と第2のグリップ側ねじ3704は一体的に回転する。第2のグリップ側ねじ3704の内径は、第1のグリップ側ねじ3703の内径よりも長い。これは、第2のグリップ側ねじ3704と螺合する後述の第2の本体側ねじ3604の外径が、第1のグリップ側ねじ3703と螺合する第1の本体側ねじ3603の外径よりも長いからである。第2のグリップ側ねじ3704の機能については、後述する。
【0307】
図59に示すように、本体側取付機構3650はグリップ3700と電気的に接続するための接点部3602を有している。接点部3602は電気接続部3660によって撮像装置本体3600内部に電気的に接続される。
【0308】
一方、
図60に示すように、グリップ3700には撮像装置本体3600と電気的に接続するためのグリップ側接点パターン3701が形成されている。グリップ側接点パターン3701は接点部3602と接して電気的な接続を行う。
【0309】
グリップ側接点パターン3701は、グリップ側取付部材3702との軸心を中心として同心円状のパターンとして形成されている。このため、撮像装置本体3600に対して、任意の角度でグリップ3700を回転させて取り付けると、グリップ側接点パターン3701と接点部3602とを接触させて電気的に接続することができる。この状態では、撮像装置本体3600とグリップ3700との間で電源供給や通信などを行うことができる。図示の例では、接点部3602は5本のピンを有し、それぞれのピンに対応するため、グリップ側接点パターン3701は5本の円周状のパターンを有している。
【0310】
撮像装置本体3600にグリップ3700が固定されていない状態では、接点部3602の保護のため、接点部3602は退避する。当該退避については後述する。
【0311】
図61は、
図59に示す本体側取付機構3650の分解斜視図である。
図61(a)は、撮像装置本体3600の外側から見た際の本体側取付機構3650の分解斜視図である。
図61(b)は、撮像装置本体3600の内側から見た本体側取付機構3650の分解斜視図である。
【0312】
本体側取付機構3650において、3本のシャフト部材3606および3つのビス3655によって、本体側取付部材3601、アクセサリ固定部3611、および本体側取付板金3651が共締めされる。接点部3602と電気接続部3660を有する接点ユニット3605は、シャフト部材3606に挿通されている。そして、接点ユニット3605は、シャフトストッパー3607と本体側取付板金3651との間をシャフト部材3606に沿ってスライド可能である。
【0313】
そのため、-X方向に接点ユニット3605がスライドすると、接点部3602の先端が取付部材接点面3601aよりも-X方向に移動して接点部3602が露出する。一方、+X方向に接点ユニット3605がスライドすると、接点部3602の先端が取付部材接点面3601aよりも+X方向に移動して接点部3602が退避する。
【0314】
シャフト部材3606には、接点ユニット3605の他にも第1のバネ部3609および第2のバネ部3610が挿通されている。第1のバネ部3609は接点ユニット3605を+X方向に付勢し、第2のバネ部3610は接点ユニット3605を-X方向に付勢する。
【0315】
接点ユニット3605の外周には、第2のグリップ側ねじ3704と螺合するための第2の本体側ねじ3604が、第1の本体側ねじ3603とは異なるねじピッチで、雄ねじとして形成されている。第2の本体側ねじ3604の軸は、第1の本体側ねじ3603と同一の軸上に位置している。つまり、第2の本体側ねじ3604と第1の本体側ねじ3603は同軸に設けられている。
【0316】
前述の通り、接点ユニット3605は、シャフトストッパー3607と本体側取付板金3651との間をシャフト部材3606に沿ってスライド可能である。そのため、-X方向に接点ユニット3605がスライドすると、接点部3602の先端が取付部材接点面3601aよりも-X方向に移動して接点部3602が露出する。
【0317】
一方、+X方向に接点ユニット3605がスライドすると、接点部3602の先端が取付部材接点面3601aよりも+X方向に移動して、接点部3602は退避する。接点部3602の5本のピンの内側(+X方向側)には、各ピンに対応して後述の接点バネ3608(
図62参照)が5本設けられている。接点部3602のピンは、+X方向に力を受けた場合に、接点バネ3608が縮んで接点部3602の内側(+X方向)に押し込まれることで破損が防止される。
【0318】
電気接続部3660は撮像装置本体3600の内部と電気的に接続されており、電気接続部3660と接点部3602の5本のピンは電気的に接続されている。このために、グリップ側接点パターン3701に接点部3602が接している場合には、撮像装置本体3600の内部からグリップ3700へ電力や電気信号を送ることができる。
【0319】
図62乃至
図64は、本体側取付機構3650とグリップ側取付部材3702との破断斜視図である。
図62(a)は、本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702とが係合する前の状態の破断斜視図である。
図62(b)は、本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702とが係合した状態の破断斜視図である。
図63(a)は、第1の本体側ねじ3603と第1のグリップ側ねじ3703とが螺合を開始した状態の破断斜視図である。
図63(b)は、第2の本体側ねじ3604と第2のグリップ側ねじ3704とが接触した状態の破断斜視図である。
図64(a)は、第2の本体側ねじ3604と第2のグリップ側ねじ3704とが螺合を開始した状態の破断斜視図である。
図64(b)は、撮像装置本体3600にグリップ3700が固定された状態の破断斜視図である。
【0320】
図62(a)では、本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702とが接触することなく、グリップ3700と撮像装置本体3600とが離れた状態が示されている。この状態では、第1のバネ部3609によって、本体側取付部材3601と接点ユニット3605とはX軸に沿って離間する方向、つまり、接点ユニット3605を本体内側に付勢する方向に力が加えられている。このため、第1のバネ部3609によって、接点ユニット3605に設けられた接点部3602は取付部材接点面3601aよりも+X方向に位置して、接点部3602は退避した状態となっている。また、
図62(a)に示す状態では、接点ユニット3605とシャフトストッパー3607とをX軸に沿って離間する方向に、第2のバネ部3610によって力が加えられる。
【0321】
このため、接点ユニット3605は本体側取付部材3601とシャフトストッパー3607と間において位置が安定せず、接点部3602が
図62(a)に示す状態においても露出してしまう恐れがある。そこで、図示の例では、
図62(a)に示す状態においては、常に接点部3602が取付部材接点面3601aよりも+X方向側に位置して、接点部3602が退避した状態となるように第1のバネ部3609と第2のバネ部3610のバネバランスが調整されている。
【0322】
図62(a)に示す状態から、本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702との位相を合わせて係合させると、
図62(b)に示す状態となる。この状態で締付けつまみ3705を時計回り(K方向)に回転操作すると、回転操作に伴って第1のグリップ側ねじ3703が時計回り(矢印K方向)に回転する。第1のグリップ側ねじ3703が回転すると、第1のグリップ側ねじ3703と第1の本体側ねじ3603とが螺合して、第1のグリップ側ねじ3703が回転しつつ撮像装置本体3600の内側(+X方向)に進み、
図63(a)に示す状態となる。
【0323】
図63(a)に示す状態においては、第2のグリップ側ねじ3704が第1の本体側ねじ3603に干渉しないように、第2のグリップ側ねじ3704の径は第1のグリップ側ねじ3703の径よりも大きく設定されている。
【0324】
締付けつまみ3705をさらに時計回り(矢印K方向)に回すと、第1のグリップ側ねじ3703が撮像装置本体3600の内側(+X方向)にさらに進む。そして、第1のグリップ側ねじ3703の先端に設けられた第2のグリップ側ねじ3704が接点ユニット3605に設けられた第2の本体側ねじ3604に当接して、
図63(b)に示す状態となる。
【0325】
第1のグリップ側ねじ3703と第2のグリップ側ねじ3704とは同一部材によって成形され、これらの回転の軸は同一であるため、第1のグリップ側ねじ3703と第2のグリップ側ねじ3704とはともに回転して撮像装置本体3600の内側に進む。
【0326】
第2のグリップ側ねじ3704と第2の本体側ねじ3604とが当接した状態で、第1のグリップ側ねじ3703および第2のグリップ側ねじ3704を時計回り(矢印K方向)にさらに回転させる。すると、当接した部分から、接点ユニット3605を撮像装置本体3600の内側(+X方向)に押す力が加わって、接点ユニット3605を介して第2のバネ部3610が圧縮されて接点ユニット3605が撮像装置本体3600の内側(+X方向)に進む。
【0327】
こうして、第2のグリップ側ねじ3704が回転して接点ユニット3605を押し進める間に、第2のグリップ側ねじ3704および第2の本体側ねじ3604のねじ山が噛み合う。ここで、第2のグリップ側ねじ3704と第2の本体側ねじ3604のねじ山が噛み合うためには、これらが当接してから、最大で第2のグリップ側ねじ3704が1回転する必要がある。このため、少なくとも第1のグリップ側ねじ3703の1回転によって撮像装置本体3600の内側(+X方向)に進む距離を、接点ユニット3605は撮像装置本体3600の内側(+X方向)に移動可能となっている必要がある。
【0328】
図示の例では、接点ユニット3605が第1のグリップ側ねじ3703の2回転分で進む距離をスライドすることができるように、接点ユニット3605、シャフト部材3606、および第2のバネ部3610が構成される。
【0329】
図63(b)に示す状態から、締付けつまみ3705を時計回り(矢印K方向)にさらに回転させる。すると、第1の本体側ねじ3603と第1のグリップ側ねじ3703とが螺合している第1のグリップ側ねじ3703は、回転しつつ撮像装置本体3600の内側(+X方向)に進む。これにより、第2の本体側ねじ3604および第2のグリップ側ねじ3704も螺合して、
図64(a)に示す状態となる。
【0330】
図示の例では、第2のグリップ側ねじ3704は第1のグリップ側ねじ3703よりもそのねじピッチが急である。そのため、1回転した際に、第1のグリップ側ねじ3703よりも第2のグリップ側ねじ3704の方がX方向に移動する距離が大きくなる。
【0331】
仮に第2のグリップ側ねじ3704と第1のグリップ側ねじ3703とが同一のねじピッチであるとする。この場合には、第1の本体側ねじ3603と第1のグリップ側ねじ3703を螺合させると同時に第2の本体側ねじ3604と第2のグリップ側ねじ3704とを螺合させても、本体側取付部材3601と接点ユニット3605の間の距離は変化しない。
【0332】
これに対して、第2のグリップ側ねじ3704のねじピッチを第1のグリップ側ねじ3703のねじピッチよりも急とすることにより、接点ユニット3605を本体側取付部材3601に近づく方向(-X方向)にスライドさせることができる。
【0333】
接点ユニット3605が本体側取付部材3601に近づく方向(-X方向)にスライドすると、接点部3602が取付部材接点面3601aよりも-X方向に移動する。これにより、接点部3602が露出しグリップ側接点パターン3701と接触して、
図64(a)に示す状態となり、撮像装置本体3600とグリップ3700とは電源供給や通信を行うことが可能となる。
【0334】
図64(a)に示す状態から締付けつまみ3705を時計回り(矢印K方向)にさらに回転させると、
図64(b)に示す状態となる。この状態では、第1のグリップ側ねじ3703と第1の本体側ねじ3603とによって本体側取付部材3601とグリップ側取付部材3702とが締め付けられて、撮像装置本体3600にグリップ3700がしっかりと固定される。
【0335】
図64(b)に示す状態は
図64(a)に示す状態よりも、本体側取付部材3601と接点ユニット3605とが接近しており、グリップ側接点パターン3701によって接点部3602は押しつぶされる方向に力が加えられている。しかし、接点部3602の根元に位置する接点バネ3608が圧縮されることで、接点部3602の押しつぶしによる破損を防ぐことができる。
【0336】
撮像装置本体3600からグリップ3700を取り外す場合、
図62乃至
図64で説明した操作の逆の操作を行えば、容易にグリップ3700を取り外すことができる。
【0337】
このように、本体側取付機構3650に対して第2のグリップ側ねじ3704とグリップ側接点パターン3701を有するグリップ3700とが取り付けられた場合にのみ、接点部3602を露出させてグリップ側接点パターン3701と導通させることができる。
【0338】
一方、本体側取付機構3650は、グリップ3700が取り付けられていない場合には、第2の本体側ねじ3604が螺合することがないので、接点部3602は露出することはない。また、グリップ側取付部材3702の周辺に他の機器などが不用意に触れて押し込み方向(+X方向)の外力が加えられても、接点部3602が露出することがない。
【0339】
上述のようにして、接点部3602を状況に応じて露出および退避させることによって、接点端子に対する意図しない接触および接点端子の破壊を防ぐことができる。
【0340】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態による撮像装置の一例について説明する。
【0341】
[グリップの構成]
図65は、本発明の第3の実施形態による撮像装置で用いられるグリップ8001を背面側から見た斜視図である。
図66は、
図65に示すグリップ8001に設けられた撮像装置本体への取付部の分解斜視図である。
図67は、
図65に示すグリップ8001の取付部の部分断面図である。
図68は、グリップ8001の外装部材の一部を詳細に示す図である。
【0342】
図69Aおよび
図69Bは、
図65に示すグリップ8001で用いられる取付部材駆動レバー8121の斜視図である。
図69Cは、取付部材駆動レバー8121の分解斜視図である。
図69Dは、取付部材駆動レバー8121を構成するガイドピン8127の斜視図である。
【0343】
グリップ8001は、ユーザーが前述の撮像装置本体7002(
図48など参照)を把持しつつ撮影する行為を容易にするために用いられ、撮像装置本体7002に対して着脱可能なアクセサリの一種である。なお、撮像装置本体7002に取り付けられるアクセサリは本体側取付機構7005に取り付け可能な構造を有していれよく、グリップ8001には限定されない。また、撮像装置本体7002の構成の詳細については、説明済みであるため、ここでの説明は省略する。
【0344】
グリップ8001の外装部材8106は、基板、配線パターン、および構造部材(ともに図示せず)を内包し、ユーザーが把持する部分と押しボタンおよびダイヤルなどの操作部材が露出する部分とを備えている。
【0345】
図68に示すように、外装部材8106の一部には、後述するグリップ側螺合部材8101が嵌合する円筒突部8109が設けられている。そして、円筒突部8109の円筒側面には、後述する取付部材駆動レバー8121に設けられたガイドピン8127がそれぞれ嵌合する複数のガイド孔8128(略L字型のガイド溝)が設けられている。また、外装部材8106には、取付部材駆動レバー8121に設けられた操作ノブ取付部8124をグリップ8001の外部に露出させるための取付部開口孔8130が設けられている。
【0346】
グリップ側螺合部材8101の内周側面には、本体側螺合部材7006と螺合するためのねじ形状部8105が形成されている。図示の例では、ねじ形状部8105は、本体側螺合部材7006の雄ねじ形状部に螺合するため、雌ねじ形状部である。
【0347】
グリップ側螺合部材8101は内周嵌合部8108を有しており、内周嵌合部8108は、外装部材8106に設けられた円筒突部8109の外周面と嵌合する。これによって、グリップ側螺合部材8101は、回転軸8110を中心として外装部材8106に対して回動可能となる。なお、回転軸8110はグリップ側螺合部材8101の中心を通るX軸と平行である。
【0348】
グリップ側螺合部材8101は、圧縮コイルバネで構成された螺合部材付勢バネ8111によってストッパー部材8118側(+X方向)に常時付勢される。螺合部材付勢バネ8111は外装部材8106とグリップ側螺合部材8101との間に圧縮された状態で狭持されている。
【0349】
ストッパー部材8118は、螺合部材付勢バネ8111の圧縮によって生じた付勢力を受けたグリップ側螺合部材8101が円筒突部8109から脱落するのを防止するための部材であり、円筒突部8109の先端にビス8131によって固定されている。
【0350】
接点パターン8103は、撮像装置本体7002の本体側接点ピン7010と電気的に接続可能な電気接点であって、基板上に同心円状に形成されている。本体側接点ピン7010と接点パターン8103とが接続されると、撮像装置本体7002とグリップ8001との間で電源供給および通信を行うことができる。接点パターン8103は、例えば、成型回路部品(MID)で構成されおり、接点パターン保持部材8119を介して外装部材8106の内部にビス8132で固定される。
【0351】
接点パターン保持部材8119は、グリップ8001の内部にビス(不図示)で固定される。接点パターン保持部材8119は、取付部材嵌合部8120および駆動レバー嵌合部8122を有している。取付部材嵌合部8120には、グリップ側係合部8104が接点パターン保持部材8119に対して並進移動可能に嵌合される。また、駆動レバー嵌合部8122には、取付部材駆動レバー8121が接点パターン保持部材8119に対して回動および並進可能に嵌合される。
【0352】
図66、
図69Aおよび
図69Bに示すように、取付部材駆動レバー8121は前述の駆動レバー嵌合部8122と嵌合する保持部材嵌合部8129を有する。保持部材嵌合部8129の周縁からは台座部8123が延出しており、台座部8123には操作ノブ取付部8124が配置されている。そして、操作ノブ取付部8124の一部は、外装部材8106に設けられた取付部開口孔8130から外部に露出する。
【0353】
操作ノブ取付部8124の先端には、レバー操作ノブ8125がビス8133によって取付部材駆動レバー8121の外側から固定されており、ユーザーは取付部材駆動レバー8121を操作する際にレバー操作ノブ8125を使用する。
【0354】
保持部材嵌合部8129の外周面には、ガイドピン取付部8134が設けられており、ガイドピン取付部8134にはガイドピン8127が固定されている。取付部材駆動レバー8121が外装部材8106に取り付けられた後、円筒突部8109の円周部に設けられたガイド孔8128に嵌合するように円筒突部8109の外周側からガイドピン8127が取り付けられる。
【0355】
図69Dに示すように、ガイドピン8127は、工具穴8135および雄ねじ部8136を有する。ガイドピン8127を取付部材駆動レバー8121に取り付けるには、所定の工具を工具穴8135に挿入して、ガイドピン8127を回転させる。これによって、雄ねじ部8136がガイドピン取付部8134に設けられた雌ねじ部(図示せず)に固定される。雄ねじ部8136に接着剤を塗布して、使用中にガイドピン8127が脱落しないようにすることが望ましい。
【0356】
グリップ側係合部8104は、その表面に所定の凹凸形状部が形成されて、前述の本体側係合部7008と係合する。これにより、グリップ側係合部8104は、グリップ8001が回転軸8110を中心として回動することを規制する。
【0357】
グリップ側係合部8104は、接点パターン8103との間に圧縮保持された取付部材付勢バネ8126によって、取付部材駆動レバー8121の保持部材嵌合部8129の先端側(-X方向)に常時押圧されている。この取付部材付勢バネ8126の押圧力によって、グリップ側係合部8104は取付部材駆動レバー8121の並進動作(X方向の動作)に応じてX方向に連動する。
【0358】
[グリップ装着手順の説明]
ここで、上述の撮像装置本体7002に対してグリップ8001を装着する際の機械的接続および電気接続について説明する。
【0359】
図70は、撮像装置本体7002に対してグリップ8001を装着する前の状態を示す断面図である。
図71は、撮像装置本体7002に対してグリップ8001を装着する途中の状態を示す断面図である。
図72は、撮像装置本体7002に対してグリップ8001の装着が完了した状態を示す断面図である。
【0360】
撮像装置本体7002にグリップ8001を取り付ける際には、
図70に示すように、本体側螺合部材7006とグリップ側螺合部材8101との位置を合わせる。そして、
図71に示すように、グリップ8001を撮像装置本体7002側の方向である矢印A方向(+X方向)に押し付けて、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104とを係合させる。
【0361】
本体側係合部7008とグリップ側係合部8104とが係合することによって、グリップ8001の撮像装置本体7002に対する取付角度が定まる。その際、本体側係合部7008およびグリップ側係合部8104は放射状の凹凸形状に形成されているので、撮像装置本体7002に対してグリップ8001を固定する前に任意の角度で係合させることができる。なお、
図71に示す状態では、撮像装置本体7002とグリップ8001とは固定されておらず、電気的にも接続されていない。
【0362】
グリップ8001を矢印A方向(+X方向)に押し付けた状態で、グリップ側螺合部材8101を
図71に示す矢印B方向(-X方向から見て時計回りの方向)に回転させる。これによって、本体側螺合部材7006にグリップ側螺合部材8101が螺合して
図72に示す状態となる。
【0363】
図72に示すように、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104とが係合した状態で本体側螺合部材7006とグリップ側螺合部材8101とを螺合させる。これによって、グリップ8001をガタつきなく撮像装置本体7002に対して強固に固定することができる。また、このとき、本体側接点ピン7010と接点パターン8103とが接触し、電気的に接続される。
【0364】
グリップ8001を撮像装置本体7002から取り外す際は、
図70乃至
図72で説明した取り付ける動作と逆の動作を行えばよい。つまり、まず、グリップ側螺合部材8101を矢印B方向の反対方向に回してグリップ側螺合部材8101を弛める。これによって、バネ7116の付勢力によって接点パターン8103が本体側接点ピン7010から離間して、撮像装置本体7002とグリップ8001との電気接続が断たれる。また、グリップ側螺合部材8101が本体側螺合部材7006から外れて、撮像装置本体7002とグリップ8001との固定が解かれる。そして、矢印A方向の反対方向にグリップ8001を引き離せば、グリップ8001を撮像装置本体7002から取り外すことができる。
【0365】
次に、グリップ8001が撮像装置本体7002に装着された状態において、グリップ8001の角度を変更する際の手順について説明する。
【0366】
図73は、グリップ側係合部8104が本体側係合部と係合する位置にある際の状態の部分斜視図である。
図74は、撮像装置本体7002にグリップ8001を装着した状態でグリップ側係合部8104の係合を解除した状態を示す断面図である。
図75は、グリップ側係合部8104が本体側係合部7008に対して離間した位置にある状態を部分的に示す斜視図である。なお、
図73と
図75では、グリップ側螺合部材8101、螺合部材付勢バネ8111、およびストッパー部材8118は示されていない。
【0367】
図76は、ガイドピン8127とガイド溝の関係を説明するための図である。
図76(a)は、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104が係合した状態におけるガイドピン8127とガイド孔8128の関係を示す図である。
図76(b)は、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104が離間した状態におけるガイドピン8127とガイド孔8128の関係を示す図である。
【0368】
まず、
図72に示すように、グリップ8001が撮像装置本体7002に装着されてグリップ側係合部8104と本体側係合部7008が係合した状態から、取付部材駆動レバー8121を
図73に示す矢印B方向に回転させるように操作する。
【0369】
取付部材駆動レバー8121を操作すると、取付部材駆動レバー8121のガイドピン8127が外装部材8106のガイド孔8128に沿って、
図76(a)に示す矢印N方向に動作する。この際、ガイドピン8127は取付部材駆動レバー8121の回転軸8110に対して垂直な面(YZ平面)上に配置されたガイド孔8128の領域Pを移動する。このとき、ガイドピン8127は本体側係合部7008とグリップ側係合部8104との係合状態を保ったまま回動する。
【0370】
取付部材駆動レバー8121の回動を続けると、ガイドピン8127は、ガイド孔8128の領域P内を矢印N方向に移動した後、ガイド孔8128の変曲点に到達する。
【0371】
ガイドピン8127がガイド孔8128の変曲点に到達すると、取付部材駆動レバー8121はガイド孔8128に沿って領域Qに移動する。その際、グリップ側係合部8104は取付部材付勢バネ8126の作用によって-X方向の荷重を受けて取付部材駆動レバー8121に付勢されている。このため、取付部材駆動レバー8121が領域Qに移動するにつれて、グリップ側係合部8104が距離T2の分だけ矢印R方向に移動する。つまり、
図74に示すように、本体側係合部7008に対してグリップ側係合部8104が離間するので、グリップ8001は係合状態ではなくなる。言い替えると、グリップ8001はその回転位置が変更可能となる。
【0372】
一方、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104とが係合状態ではなくなっても、撮像装置本体7002の本体側接点ピン7010とグリップ8001の接点パターン8103とは接続された状態を保つ。つまり、本体側係合部7008とグリップ側係合部8104との機械的な接続が解除されるのみで電気的な接続は保たれる。
【0373】
従って、撮像装置本体7002とグリップ8001との固定と電気的な接続を維持しつつ、撮像装置本体7002に対してグリップ8001を回動することができる。
【0374】
所望の角度に再設定した後にグリップ8001を固定するには、ユーザーは、まずレバー操作ノブ8125を用いて取付部材駆動レバー8121を、
図74および
図75に示す位置から+X方向に動作させる。これにより、ガイドピン8127はガイド孔8128の領域Qから領域Pに向かって移動する。そして、取付部材駆動レバー8121に連動して、グリップ側係合部8104は、本体側係合部7008に対して離間した状態から係合した状態へ遷移する。
【0375】
その後、ユーザーは取付部材駆動レバー8121を矢印B方向と逆の方向に回動させる。これによって、
図76(a)に示すように、ガイドピン8127がガイド孔8128の領域Pに移動して、グリップ側係合部8104と本体側係合部7008との係合状態を維持させることができる。
【0376】
このように、撮像装置本体7002からグリップ8001を取り外すことなく、グリップ8001の角度を変更することができる。その際、撮像装置本体7002に対するグリップ8001の電気的な接続状態を保って、グリップ側係合部8104が離間した状態を維持できるので、ローアングル撮影からハイアングル撮影などの撮影姿勢の変更を行いつつ撮影を行うことができる。
【0377】
このように、本発明の実施の形態によれば、撮像装置本体とグリップを強固に固定し、かつ容易に電気接続を行うことができる。この結果、撮像装置の利便性を向上させることができる。さらに、撮像装置本体とグリップが強固に固定された状態で電気接続が確実に行われるので、信頼性の高い電気接続を確保することができる。
【0378】
[撮像装置本体の機能構成]
図77は、第1乃至第3の実施形態における撮像装置本体1000の概略構成を示すブロック図である。
図77を用いて、撮像装置本体1000の機能構成を説明する。
【0379】
撮像装置本体1000は、レンズ通信部4800、センサ基板4302に実装された撮像素子4006、メイン基板4401、カード基板4502、マイク部4012を備える。また、撮像装置本体1000は、外部接続端子4021、着脱可能なバッテリー4070、操作部4044、ファン4404、表示部4040を備える。
【0380】
CPU4041、ROM4042およびRAM4043は、メイン基板4401に実装されている。ROM4042は、電気的に消去・記憶が可能なメモリであって、例えば、EEPROM等が用いられる。ROM4043には、CPU4041の動作用の定数及びプログラム等が記憶される。CPU4041は、ROM4043に記憶されたプログラムを実行して撮像装置本体1000を構成する各部の動作を制御することにより、撮像装置本体1000の統括的な制御を実現する。RAM4043は、システムメモリ、ワークメモリ、画像メモリおよび音声メモリ等として用いられ、CPU4041の動作用の定数、変数およびROM4042から読み出したプログラム等が展開される。
【0381】
撮像素子4006は、CCDセンサ又はCMOSセンサであり、A/D変換器を有する。撮像装置本体1000に装着されたレンズ装置が入射光を撮像素子4007に光学像として結像させる。撮像素子4006は、結像した光学像をアナログ電気信号に変換し、さらにA/D変換器によりデジタル信号に変換して映像信号として出力する。生成されたデジタル映像信号は、メイン基板4401上の映像信号処理部4146に出力される。
【0382】
映像信号処理部4146は、入力されたデジタル映像信号に対して所定の処理を行い、さらに別途取り込んだ音声信号や各種メタデータと合わせることで映像データを生成する。映像信号処理部4146で生成された映像データは、表示部4040に送られて映像として表示される。この際、必要に応じて撮像装置本体1000の動作状況がオンスクリーン・ディスプレイ情報として表示される。
【0383】
なお、撮像素子4006は、複数の位相差検出用画素を備えている。そして、映像信号処理部4146は、複数の位相差検出用画素の出力信号を用いて相関演算を行い、相関演算結果に基づいて取り付けられているレンズ装置の焦点位置を制御して撮像面位相差検出方式のオートフォーカスを行うことができる。また、撮影者によって記録が選択された際には、映像信号処理部4146にて生成された映像データは、所定の処理が加えられることで各種フォーマットに変換された後にカード基板4502に送られ、記録メディアに映像として保存される。
【0384】
撮像装置本体1000は、記録メディアに保存されている記録データを映像信号処理部4146に読み込ませることで元の映像データを再生成することができ、再生成された映像データは表示部4040や外部接続端子4021に対して出力することが可能である。外部接続端子4021に所定のコネクタが接続されている際には、映像信号処理部4146から外部接続端子4021に対して映像信号を出力し外部機器に送信することが可能となっている。
【0385】
マイク部4012から入力された音声信号は、所定レベルにゲインコントロールされた後にA/D変換され、デジタルデータの音声データに変換される。映像データや音声データは、RAM4043に一時記憶される。
【0386】
CPU4041は、RAM4043に一時記憶された映像データや音声データをカード基板4502へ送信する。カード基板4502には記録メディアの挿抜が可能となっており、映像データや音声データを記録メディアに記録する。なお、記録メディアには、SDカードやCF、CFast、XQD、CFexpressなどの規格に準拠したメモリカード等の脱着式のフラッシュメモリが用いられる。
【0387】
ファン4404は、温度検知部(不図示)が取得した温度に基づいて動作し、撮像装置本体1000の内部への吸排気を行う。ファン4404の回転状態はCPU4041によって制御される。操作部4044は、使用者の操作による指示をCPU4031に伝える。操作部4044は、RECボタンや電源スイッチ、操作キーなどを含む。操作部4044が使用者により操作されることで、使用者からの各種指示がCPU4041へ送信される。
【0388】
不図示の電源制御部は、バッテリー検出回路、DC-DCコンバータおよび通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。撮像装置本体1000に電源を供給するバッテリー4070は、例えば、撮像装置本体1000に対して着脱可能であり、例えば、リチウムイオン電池等である。表示部4040は、例えば、液晶表示装置であり、撮像装置本体1000の動作状況等をオンスクリーン・ディスプレイ情報として必要に応じて表示する。
【0389】
撮像装置本体1000のレンズ通信部4800に設けられたレンズ接点部とレンズ装置側のレンズ接点部が接触して導通すると、撮像装置本体1000のCPU4041はレンズ装置の装着を検知する。CPU4041は、レンズ装置の装着を検知すると、レンズ装置の内蔵メモリからレンズ情報を読み出してRAM4043に格納する。
【0390】
撮像装置本体1000において、例えば、撮像素子4006が受信した光は、少なくとも約23フレーム/秒(fps)のデジタル画像データに変換され、カード基板4502により記録メディアに記録される。フレームレートは、約1fps~約250fps以上の範囲で設定することができる。例えば、撮像装置本体1000は、設定される解像度に応じてフレームレートを変更してもよい。すなわち、「5k」の解像度モードでは約1fps~約100fps、「4k」の解像度モードでは約1~約125fpsのフレームレートが設定される。クアッドHDモードでは約1~約125fps、「3k」の解像度モードでは約1~約160fps、「2k」の解像度モードでは約1~約250fpsのフレームレートが設定される。例えば、フレームレートとして、20、23.976、24、30、60、および120フレーム/秒、又はこれらのフレームレートの間の他のフレームレート、又はそれ以上のフレームレートでもよい。
【0391】
撮像装置本体1000は、2k、3k、4k、4.5k、クアッドHD、5k、6k、8k、更にそれ以上の解像度で画像データを出力することができる。2kの解像度とは、例えば、16:9(2048×1152画素)、2:1(2048×1024画素)などである。3kの解像度とは、例えば、16:9(3072×1728画素)、2:1(3072×1536画素)などである。4kの解像度とは、例えば、4096×2540画素、16:9(4096×2304画素)、2:1(4096×2048画素)などであり、4.5kの解像度とは、例えば、4480×1920画素などである。クアッドHDの解像度とは、例えば、3840×2160画素であり、5kの解像度とは、例えば、5120×2700画素であり、6kの解像度とは、例えば、6144×3160画素であり、8kの解像度とは、例えば、7680×4320画素である。撮像装置本体1000は、少なくとも上記に列挙した解像度のいずれかの間の水平解像度を有する画像データを記録又は出力するように構成することができる。
【0392】
解像度は、上述した値のうち少なくとも1つの間(もしくは上述の値の間の何らかの値)であり、約6.5k、7k、8k、9k、又は10k、又はそれらの間の何らかの値を取り得る。本実施形態では、xkの形式(上述した2kおよび4kなど)で表される用語では、「x」の数は近似的な水平解像度を指す。そのため、「4k」の解像度は、約4000以上の水平画素に対応し、「2k」は約2000以上の水平画素に対応する。
【0393】
撮像素子4006は、約0.5インチ(8mm)から、2/3インチ、映画用のS35、35mmフルフレームスチル、および645に及ぶ範囲であることができ、少なくとも約1.0インチ、6cm×17cm以上であることができる。また、少なくとも約10.1×5.35mm、24.4×13.7mm、30×15mm、36×24mm、56×42mm、および186×56mmのサイズを有することもできる。
【0394】
それに加えて、撮像素子4006は、画素領域の所定部分のみを選択的に出力することによって、可変の解像度を提供するように構成することができる。撮像素子4006は、例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタを含むことができる。そのため、撮像素子4006の個々の光電変換素子によって検出された赤色光、緑色光、又は青色光の量を表すデータを出力する。
【0395】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。また、上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0396】
1000 撮像装置本体
1200 本体側取付機構
1210 本体側取付部材
1211 本体側ねじ
1212 本体側接点ピン
1213 本体側係合部
1400 グリップ
1410 グリップ側取付部材
1411 グリップ側ねじ
1412 グリップ側接点パターン
1413 グリップ側係合部
1416 グリップ側保持部材
1419 圧縮バネ
2002 グリップ
2006 フレキシブル基板
2007 折り返し部
2014 電気コネクタ
2021 グリップ側接点パターン
2022 カバーレイ
2210 本体側取付部材
2211 本体側ねじ
2213 本体側係合部
2311 本体側第1接点ピン
2312 本体側第2接点ピン
7002 撮像装置本体
7004 グリップ
7006 本体側螺合部材
7007 本体側取付部材
7008 本体側係合部
7015 ねじ
8101 グリップ側螺合部材
8104 グリップ側係合部