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特許7532072撮像表示装置、およびウェアラブルデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】撮像表示装置、およびウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/64 20060101AFI20240805BHJP
   H04N 5/262 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
H04N5/262 040
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020074083
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021010158
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019121949
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】西出 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】市川 武史
(72)【発明者】
【氏名】前橋 雄
(72)【発明者】
【氏名】沖田 彰
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132786(JP,A)
【文献】特開2017-174125(JP,A)
【文献】特開2010-092436(JP,A)
【文献】特開平11-122544(JP,A)
【文献】特開平08-102924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/262
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子を有し、第1画像情報を取得する撮像部と、
前記撮像部とは別の第2撮像部と第3撮像部と、
前記撮像部からの前記第1画像情報を処理し、第2画像情報を生成する処理部と、
前記処理部からの前記第2画像情報に基づく画像を表示する表示部と、
瞳との距離を含む第1ベクトル情報を取得する瞳検知部と、を備え、
前記処理部は、前記第1ベクトル情報を基に前記第1画像情報を処理することで、前記第2画像情報を生成し、
前記瞳検知部は視線を検出する機能を有し、
前記処理部は、前記視線を基に、前記撮像部と前記第2撮像部と前記第3撮像部のいずれかの第1画像情報を用いることを特徴とする撮像表示装置。
【請求項2】
複数の光電変換素子を有し、第1画像情報を取得する撮像部と、
前記撮像部からの前記第1画像情報を処理し、第2画像情報を生成する処理部と、
前記処理部からの前記第2画像情報に基づく画像を表示する表示部と、
瞳との距離を含む第1ベクトル情報を取得する瞳検知部と、を備え、
前記処理部は、前記第1ベクトル情報を基に前記第1画像情報を処理することで、前記第2画像情報を生成し、
前記処理部は、前記撮像部と前記瞳検知部との間の距離を含む第2ベクトル情報を生成することを特徴とする撮像表示装置。
【請求項3】
前記瞳検知部は、視線を検出する機能を有し、
前記処理部は、前記第1画像情報を処理する時に、前記検出した視線に合わせて前記第1画像情報に関心領域を設定し、前記関心領域の解像度を向上させる処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像表示装置。
【請求項4】
前記撮像表示装置は、前記撮像部とは別の第2撮像部と第3撮像部を有し、
前記瞳検知部は視線を検出する機能を有し、
前記処理部は、前記視線を基に、前記撮像部と前記第2撮像部と前記第3撮像部のいずれかの第1画像情報を用いることを特徴とする請求項2に記載の撮像表示装置。
【請求項5】
前記撮像部は、裏面照射型のCMOSイメージセンサを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項6】
前記撮像部は、フォトンカウンティングセンサを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項7】
前記処理部は、AI部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項8】
前記AI部はディープラーニング機能を備えることを特徴とする請求項7に記載の撮像表示装置。
【請求項9】
前記撮像部は、第1時刻に前記第1画像情報を取得し、
前記処理部は、前記第2画像情報として、前記第1画像情報を基に、前記第1時刻よりも後の第2時刻の第1予測画像情報を生成し、
前記表示部は、前記第2時刻に、前記第1予測画像情報に基づく画像を表示することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項10】
前記第2時刻に、前記撮像部は第3画像情報を取得し、
前記第2時刻よりも後の第3時刻に、前記撮像部は第4画像情報を取得し、前記表示部は前記第3画像情報から生成された第2予測画像情報に基づく画像を表示することを特徴とする請求項9に記載の撮像表示装置。
【請求項11】
前記第1時刻と前記第2時刻の間の第4時刻に、前記撮像部は第5画像情報を得る撮像動作を行い、
前記第1予測画像情報は、少なくとも前記第1画像情報と前記第5画像情報とから生成されていることを特徴とする請求項9または10に記載の撮像表示装置。
【請求項12】
前記複数の光電変換素子は、可視光領域と近赤外光領域の光が検出可能であり、
前記処理部は、前記第1画像情報が含む前記近赤外光領域の情報を前記可視光領域の情報に変換する処理を行うことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項13】
前記表示部は、有機LEDまたは無機LEDを発光素子として有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項14】
前記撮像部は、前記複数の光電変換素子が配された基板と、前記複数の光電変換素子からの信号を処理する回路が配された基板とが積層されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項15】
前記撮像部が設けられた第1チップと、前記表示部が設けられた第2チップと、前記瞳検知部が設けられた第3チップとの少なくとも3つのチップが積層されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の撮像表示装置。
【請求項16】
複数の光電変換素子を有し、第1画像情報を取得するための第1撮像部と、
複数の光電変換素子を有し、第2画像情報を取得するための第2撮像部と、
前記第1画像情報と前記第2画像情報を処理し、第3画像情報を生成するための処理部と、
前記処理部からの前記第3画像情報に基づく第1画像を表示するための第1表示部と、
前記処理部からの前記第3画像情報に基づく第2画像を表示するための第2表示部と、
瞳との距離である第1距離を含む第1ベクトル情報を取得するための第1瞳検知部と、
瞳との距離である第2距離を含む第2ベクトル情報を取得するための第2瞳検知部と、を備え、
前記処理部は、前記第1ベクトル情報と前記第2ベクトル情報に基づき前記第1画像情報と前記第2画像情報を処理することで前記第3画像情報を生成し、
前記処理部は、前記第1撮像部と前記第1瞳検知部との間の第3距離と、前記第2撮像部と前記第2瞳検知部との間の第4距離を含む第3ベクトル情報を生成し、
前記処理部は、前記第1ベクトル情報と前記第2ベクトル情報と前記第3ベクトル情報に基づき前記第1画像情報と前記第2画像情報を処理することによって、前記第3画像情報を生成することを特徴とする撮像表示装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の撮像表示装置と、
前記撮像表示装置に電力を供給する電源部と、を備えることを特徴とするウェアラブルデバイス。
【請求項18】
更に、外部との接続を無線で行うインターフェース部を備えることを特徴とする請求項17に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像表示装置、およびウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスと呼ばれる、撮像表示装置を備えたウェアラブルデバイスが知られている。このようなウェアラブルデバイスの1つの方式では、利用者の目の前の景色が撮像装置を用いて画像として撮り込まれ、その画像が表示装置に表示される。この方式によって、利用者は、表示装置を通しながらも、外界の景色をあたかも直接見ているような感覚を得ることができる。しかし、表示装置に表示される画像と外界の画像との差異が大きいと、利用者は不快感を覚えたり、酔いに繋がったりするため、この差異を抑制するための研究開発が広く行われている。
【0003】
特許文献1には、メガネフレーム上に配置された複数個の撮像素子を使用して撮像された画像情報から、メガネレンズの中心位置で撮像された画像情報を生成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-222254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、メガネレンズの中心位置で撮像された画像情報を生成するが、メガネレンズと利用者の瞳との位置関係を考慮していない。瞳の中心軸とメガネレンズの中心位置とが大きく異なる場合には、撮像された画像と実像で差異が生じうる。特に、表示部を有する撮像表示装置においては、表示画像と現実の事象との差異が生じ、利用者に不快感を与えうる。
【0006】
本発明は、撮像表示装置において、撮像表示装置に表示される画像と現実の事象との差異を低減するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像表示装置の1つの側面は、複数の光電変換素子を有し、第1画像情報を取得する撮像部と、前記撮像部とは別の第2撮像部と第3撮像部と、前記撮像部からの前記第1画像情報を処理し、第2画像情報を生成する処理部と、前記処理部からの前記第2画像情報に基づく画像を表示する表示部と、瞳との距離を含む第1ベクトル情報を取得する瞳検知部と、を備え、前記処理部は、前記第1ベクトル情報を基に前記第1画像情報を処理することで、前記第2画像情報を生成し、前記瞳検知部は視線を検出する機能を有し、前記処理部は、前記視線を基に、前記撮像部と前記第2撮像部と前記第3撮像部のいずれかの第1画像情報を用いることを特徴とする本発明の撮像表示装置の別の1つの側面は、複数の光電変換素子を有し、第1画像情報を取得する撮像部と、前記撮像部からの前記第1画像情報を処理し、第2画像情報を生成する処理部と、前記処理部からの前記第2画像情報に基づく画像を表示する表示部と、瞳との距離を含む第1ベクトル情報を取得する瞳検知部と、を備え、前記処理部は、前記第1ベクトル情報を基に前記第1画像情報を処理することで、前記第2画像情報を生成し、前記処理部は、前記撮像部と前記瞳検知部との間の距離を含む第2ベクトル情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、表示される画像と現実の事象との差異が低減した撮像表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図2】実施例1の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図3】実施例1の撮像表示装置の動作を説明するための表である。
図4】実施例2の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図5】実施例3の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図6】実施例4の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図7】実施例5の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図8】実施例5の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図9】実施例7の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図10】ウェアラブルデバイスを示す模式図である。
図11】実施例9の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図12】実施例9の撮像表示装置を説明するための模式図である。
図13】実施例10の撮像表示装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら各実施例を説明する。各実施例の説明において、他の実施例と同一の構成については説明を省略する場合がある。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
【0011】
(実施例1)
本実施例について、図1および図2を用いて説明する。図1(a)は、本実施例を説明するための撮像表示装置100の模式図である。撮像表示装置100は、撮像部101と、処理部102と、表示部103と、瞳検知部104と、を有する。
【0012】
撮像部101は複数の受光素子を有する。受光素子は例えば光電変換素子であり、外部から入射した光(外部情報)を電気信号に変換し、画像情報を取得する撮像動作を行う。瞳検知部104は、複数の受光素子を有する。受光素子は例えば光電変換素子であり、光を電気信号に変換し、瞳情報を検出する。瞳情報とは、少なくとも瞳検知部104と瞳とのベクトル情報を含み、瞳の大きさ、視線の情報などを含んでもよい。ベクトル情報は、例えば、瞳と瞳検知部104との距離と、瞳検知部104から瞳への方向を含む。処理部102は、撮像部101からの画像情報に対して、瞳検知部104から得られた瞳情報を用いて補正した画像情報(以下、瞳補正画像情報とする)を生成する。表示部103は、複数の発光素子を有する。複数の発光素子は、電気信号を光に変換する。表示部103は、処理部102にて生成された瞳補正画像情報に応じた画像を表示(出力)する。撮像部101と表示部103は、複数の画素がアレイ状に配置されているとも言える。撮像部101の各画素は少なくとも1つの受光素子を有し、表示部103の各画素は少なくとも1つの発光素子を有している。処理部102は、撮像部101からの画像情報を受け、表示部103へ瞳補正画像情報を出力する。また、処理部102は、撮像部101へ撮像動作の制御信号を出力し、表示部103の表示動作の制御信号を出力することもできる。
【0013】
図1(b)は、図1(a)に示す本実施例の撮像表示装置100の変形例を説明するための模式図である。撮像表示装置120の処理部102は、処理装置105と通信を行うことができる。処理部102と処理装置105とは、ネットワークを介して接続する。また、処理装置105は、撮像表示装置120の外部に設けられており、例えば、クラウドに設けられていてもよい。処理部102と処理装置105は、互いに情報をやり取りし、画像情報と瞳の情報から瞳補正画像情報を生成する。図1(b)において、撮像部101で撮像された画像情報は、処理装置105からの情報を得た処理部102によって瞳補正画像情報へと変換される。撮像表示装置120では、このように外部の装置に蓄積された情報を利用して、瞳補正画像情報を生成することができる。
【0014】
図1(c)は、図1(a)に示す本実施例の撮像表示装置100の変形例を説明するための模式図である。撮像表示装置130の処理部102は処理装置106と通信し、処理装置106は更に別の処理装置105と通信する。処理装置106はクラウド上に設けられており、例えばデータの蓄積などを行う。処理部102と処理装置105の間、および処理装置106と処理装置105との間は、ネットワークを介して接続している。図1(c)において、処理部102は、処理装置106に蓄積された設定情報を受信し、設定情報を基に瞳補正画像情報の生成を行う。設定情報は、ユーザーの身体情報や、環境や対象物の基本的な情報等、瞳補正画像情報を生成するための各種値を含む。また、処理部102は撮像部101からの画像情報を含む複数の情報を処理装置106へ送信する。複数の情報は、処理装置106を介して、処理装置105へ送信される。処理装置105は、受けとった複数の情報を基に瞳補正画像情報を生成するための各種値を生成し、処理装置106へ送信する。処理装置106は、蓄積している基本的な情報や各種値を更新し、新たな情報として保持する。撮像表示装置130では、このように外部装置に蓄積された情報を利用して、瞳補正画像情報を生成することができる。
【0015】
ここで、本実施例の撮像表示装置の瞳検知部104について、図2を用いて説明する。図2は、本実施例の撮像表示装置を説明するための模式図である。図2では、図1(a)に示した撮像表示装置100が眼鏡型の筐体を備えている場合を示している。図2では、撮像表示装置100が2つの表示部103を有する場合について示しているが、1つの表示部103と1つの撮像部101を有する構成であってもよい。図2に示すように、瞳検知部104は、瞳検知部1041を少なくとも有する。瞳検知部1041は、瞳と瞳検知部1041の間のベクトル情報を取得する。瞳検知部1041で得られたベクトル情報を基に、処理部102は、瞳と撮像部101との間のベクトル情報を生成する。そして、処理部102は、瞳と撮像部101との間のベクトル情報を用いて、画像情報と実像との間で生じうる対象物の空間的な位置の差がなくなるように補正する。処理部102は、撮像部101で取得された画像情報を補正し、瞳補正画像情報を生成する。瞳補正画像情報によって、あたかも実像であるような表示画像を表示部103に表示することができる。図2のいずれにおいても、ある瞳の中心軸C1とある瞳に対応して設けられる1つの表示部103の中心が一致している場合を示している。Rは撮像部101が撮像する範囲を示している。
【0016】
図2(a)では、撮像部101と瞳検知部1041が瞳の中心軸C1上に配置されている。瞳検知部1041は、瞳から瞳検知部104との間のベクトル情報P1を取得する。撮像部101で取得した画像情報は、ベクトル情報P1に基づき補正を行う。中心軸C1上に瞳検知部1041と撮像部101が設けられていることで、ベクトル情報P1でも瞳と撮像部101との距離のみを考慮して補正を行えばよい。よって、画像情報の処理負荷が小さくなり、処理時間が削減できる。また、消費電力が抑制できる。
【0017】
図2(b)では、撮像部101と瞳検知部1041が共に、瞳の中心軸C1上に位置していない。つまり、撮像部101と瞳検知部1041は、中心軸C1からX方向に所定の距離だけ外側に配置されている。瞳検知部1041は、撮像部101の中心軸C2上に位置している。瞳検知部1041は瞳と瞳検知部104との間のベクトル情報P1を取得する。処理部102は、瞳検知部1041と撮像部101との間のベクトル情報を予め保持している。撮像部101が取得した画像情報は、ベクトル情報P1に基づき補正される。ベクトル情報P1は、中心軸C1から中心軸C2までの距離と、瞳から瞳検知部104までの距離を含む。ここで、撮像部101と瞳検知部1041は同じ中心軸C2に位置しているため、瞳検知部1041で得た情報から瞳と撮像部101との間のベクトル情報を生成することが容易である。また、図2(a)の場合に比べて、表示部103等の他の部分との配置の自由度が向上し、撮像表示装置の小型化などに寄与しうる。
【0018】
図2(c)では、瞳検知部1041は瞳の中心軸C1上に配置されているが、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されていない。撮像部101の中心軸C2は中心軸C1からX方向に所定の距離だけ外側に配置されている。処理部102は、あらかじめ瞳検知部1041と撮像部101とのベクトル情報P2を保持している。瞳検知部1041は、瞳とのベクトル情報P1を取得する。処理部102は、ベクトル情報P2とベクトル情報P1を基に、撮像部101で取得した画像情報を補正し、瞳補正画像情報を取得する。
【0019】
図2(d)では、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されているが、瞳検知部1041は瞳の中心軸C1上に配置されていない。瞳検知部1041の中心軸C3は中心軸C1から所定の距離だけ外側に配されている。本構成においては、処理部102は予め撮像部101と瞳検知部1041との距離を含むベクトル情報P2を保持している。瞳検知部1041は、瞳との距離を含むベクトル情報P1を取得する。処理部102は、ベクトル情報P2とベクトル情報P1を基に、撮像部101で取得した画像情報を補正し、瞳補正画像情報を取得する。
【0020】
図2で示したように、瞳検知部1041を用いることで、撮像部101で得られた画像情報を実際に目視している像のように表示部103に表示することができる。また、瞳検知部1041は複数個であってもよく、複数の瞳情報から精度の高い1つの瞳情報を生成しても良い。図2のベクトル情報は、X方向とY方向の情報として示したが、実際には、紙面奥行き方向、すなわちZ方向の情報を含みうる。
【0021】
次に、図3を用いて他の例と比較しながら、本実施例の撮像表示装置について説明する。図3は、本実施例の撮像表示装置の動作を説明するための表である。図3では、説明を簡易にするため、図2で示した構成の一部を用いて説明する。具体的には、眼鏡型の撮像表示装置において、眼鏡の片目に対応した部分のみを抽出している。
【0022】
図3は、例1~例3の構成と、実像あるいは表示部103にて表示される表示画像と、撮像部101にて取得される画像情報とを示している。例1は実際の目で見た場合を、例2と例3は本実施例の場合を示している。
【0023】
まず、例1は実際に目で見る場合について示すものである。その時の瞳と対象物の位置関係は、対象物が瞳の中心軸C1上に位置する。例1の実像に示すように、対象物が瞳の中心軸上にあり、対象物が所定の直線距離だけ離れた位置にあり、対象物の大きさが所定の大きさであると認識される。
【0024】
例2は、本実施例の場合を示すものである。例2では、対象物は瞳の中心軸C1上に位置するが、撮像部101は中心軸C1からX方向に沿って所定の距離だけ外側に配されている。つまり、例2では、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されていない。従って、撮像部101で取得される画像情報において、対象物はX方向に沿って正の方向に寄っている。更に、瞳と撮像部101との距離だけ対象物に近づいて撮像しているため、実像に対して撮像部101が取得する画像情報では被写体が大きくなっている。しかし、例2では、対象物を瞳の中心軸C1上で得られたものとなるように補正するため、表示画像では対象物は中心に表示され、実像に近い画像が得られる。
【0025】
例3は、本実施例の撮像表示装置の場合を示すものである。例3では例2に更に、撮像部101と瞳との距離を基に撮像画像を補正している。例3では、例2と同様に、対象物は瞳の中心軸C1上に位置するが、撮像部101は中心軸C1から所定の距離だけ外側に配されている。つまり、例3では、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されていない。従って、撮像部101で取得される画像情報において、対象物は紙面に対して右に寄っている。更に、瞳と撮像部101との距離だけ対象物に近づいて撮像しているため、実像に対して撮像部101が取得する画像情報では被写体が大きくなっている。しかし、例3では、撮像部101で得られた画像情報は、瞳と撮像部101との位置と距離を基に補正される。つまり、例3の表示画像に示されるように、対象物の位置が瞳の中心軸C1上に位置し、対象物が所定の直線距離だけ離れた位置にあり、対象物の大きさが所定の大きさであるように表示される。従って、撮像部101にて取得された画像情報に比べて、表示画像では、対象物が中心に位置し、対象物が離れて位置し、対象物が小さく表示される。例3の表示画像は、例3の撮像部101が取得する画像情報に比べて、例1に示す実像に近づいていることがわかる。
【0026】
以上のように、本実施例の撮像表示装置によって、利用者は不快感を覚えることなく好適に利用することができる。例えば、利用者によって瞳の位置が異なるため、撮像部と例えば眼鏡型の撮像表示装置において、1つの目に対応した撮像表示装置の中心と撮像部との間のベクトル情報を基に表示画像を生成すると、実像と表示画像にずれが生じうる。しかし、本実施例の撮像表示装置によれば、瞳検知部によって精度の高い表示画像を生成することが可能となり、より実像に近づいた表示画像を生成することができる。
【0027】
次に、撮像表示装置100の構造について説明する。まず、撮像部101が有する光電変換素子は、例えば、フォトダイオード、光電変換膜などを含みうる。フォトダイオードなどの材料は、例えば、シリコン、ゲルマニウム、インジウム、ガリウム、ヒ素等が挙げられる。フォトダイオードの形態としては、例えば、PN接合型フォトダイオード、PIN型フォトダイオード、アバランシェ型フォトダイオード等が挙げられる。
【0028】
撮像部101は、例えばCMOSイメージセンサを用いることができ、それは表面照射型でも裏面照射型でも良い。また、CMOSイメージセンサは、フォトダイオードが配置された半導体基板と、走査回路や制御回路が配置された半導体基板とが積層した構造を有していてもよい。
【0029】
また、光電変換膜の材料は有機材料と無機材料とがある。有機の光電変換膜としては、例えば、一対の電極間に光電変換する有機層を少なくとも一層含んだ構造を有する。有機の光電変換膜は、一対の電極間に複数の有機層が積層された構造を有してもよい。有機層は単一材料でも複数の材料が混合されていてもよい。また、有機層は、例えば、真空蒸着プロセスや塗布プロセス等を用いて形成することができる。無機の光電変換膜は、例えば、有機層の代わりに、微細な半導体結晶を含有する量子ドット薄膜層を用いた量子ドット型や、ペロブスカイト構造の遷移金属酸化物等からなる光電変換層を有するペロブスカイト型などが挙げられる。
【0030】
表示部103は、複数の発光素子を有する。発光素子は、例えば、液晶(LCD)、無機発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、量子ドットLED(QLED)等である。無機LEDに使用される材料は、例えば、アルミニウム、ガリウム、ヒ素、リン、インジウム、窒素、セレン、亜鉛、ダイヤモンド、酸化亜鉛、ペロブスカイト半導体等である。これらを用いてpn接合構造にすることで、それぞれ材料のバンドギャップ差に相当するエネルギー(波長)を有する光が放出される。有機LEDは、例えば、一対の電極間に少なくとも1種の有機発光材料を含有した発光層を有し、複数の発光層を有していてもよく、複数の有機層が積層された構造を有しても、発光層は単一材料でも複数の材料が混合されていてもよい。発光層からの光は、蛍光でも燐光でもよく、単色発光(青色、緑色、赤色等)でも白色発光でもよい。また、有機層は、例えば、真空蒸着プロセスや塗布プロセス等を用いて形成することができる。
【0031】
瞳検知部104は、複数の受光素子を有する。受光素子は、例えば、画像情報を得るための上記撮像部で挙げた光電変換素子や、瞳との間の距離情報を取得するための測距センサ等が挙げられる。測距センサは、TOF(Time-Of-Flight)方式等が挙げられるが、その他の距離情報を含むベクトル情報が取得できる素子でも良い。
【0032】
更に、撮像表示装置は、撮像部101と処理部102と表示部103と瞳検知部104の少なくとも4つのチップが積層され、半導体プロセスによって互いに電気的に接続した構造を有していてもよい。撮像部101、処理部102、表示部103、瞳検知部104の構成については、適宜、変更が可能である。
【0033】
(実施例2)
本実施例について、図4を用いて説明する。図4(a)~(e)は、本実施例の撮像表示装置を説明する模式図である。他の構成については、実施例1と同様である。本実施例では、瞳検知部104は、更に、視線の動きや瞳の状態を検出する機能を有する。瞳検知部104は、瞳検知部1041に加えて、瞳情報を画像情報として得るための瞳検知部1042を有している。本実施例では瞳の画像情報から視線や瞳の状態を検出する瞳情報を取得する。処理部102では、瞳検知部1041と瞳検知部1042の情報を基に瞳基準での補正処理が行われ、生成された瞳補正画像情報が表示部103に表示される。これにより、視線の動きや瞳の状態を検知、補正することができるため、視線に応じた画像が表示部103に表示される。具体的には、例えば、関心領域(ROI領域とも称する)以外の領域の解像度を低下させて表示させることや、関心領域を拡大、縮小させた画像を表示させることができる。関心領域は、視線追跡結果を基に処理部102によって推定される。また、瞳孔の大きさなど瞳の状態に応じて、輝度を調整させ、実像に近づけた瞳補正画像情報を生成することもできる。したがって、眼で直接見た場合の画像と、撮像表示装置に表示される画像が一致することに加えて、視線に応じた画像が表示されるため、利用者にとってより不快感のない画像、つまり直接眼で見ている画像に近づいた表示画像を得ることができる。
【0034】
また、瞳検知部1042は、瞳の画像を取得する方法以外にも、目の虹彩の外縁を検出する方法や赤外線を照射して角膜反射を利用して瞳の位置を特定する方法などがある。瞳検知部1042は、アイトラッキングにおける任意の手法を適用することができる。
【0035】
ここで、本実施例の撮像表示装置の瞳検知部104について、図4を用いて説明する。図4図2と対応した図である。撮像部101と瞳検知部1041に関しては実施例1と同様である。瞳検知部1042は、瞳の情報及び状態が撮像できる位置であれば、瞳の中心軸C1の上に位置していてもよく、中心軸C1上に位置していなくてもよい。
【0036】
図4(a)では、図2(a)のように瞳の中心軸C1上に撮像部101と瞳検知部1041が位置している。そして、瞳検知部1042は中心軸C1上に位置している。つまり、瞳検知部1041と瞳検知部1042は同じ位置にあるものとみなせる。このような場合には、図2(a)と同様にベクトル情報P1を用いて瞳補正画像情報を生成することができる。また、瞳検知部1042と瞳検知部1041とのベクトル情報は、撮像表示装置を製造する際など事前に処理部102が保持可能である。
【0037】
図4(b)では、図2(b)のように瞳の中心軸C1上に撮像部101と瞳検知部1041がない。撮像部101の中心軸C2上に瞳検知部1041が位置しており、中心軸C1と中心軸C2はオフセットしている。そして、瞳検知部1042は、中心軸C2に位置している。つまり、瞳検知部1041と瞳検知部1042は同じ位置にあるものとみなせる。このような場合においても、図2(b)と同様に瞳補正画像情報を生成することができる。
【0038】
図4(c)では、図2(c)のように瞳検知部1041は瞳の中心軸C1上に配置されているが、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されていない。撮像部101は中心軸C1からオフセットした中心軸C2を有する。瞳検知部1042は中心軸C1上には位置されている。つまり、瞳検知部1041と瞳検知部1042は同じ位置にあるものとみなせる。このような場合には、図2(c)と同様に瞳補正画像情報を生成することができる。
【0039】
図4(d)では、図2(b)のように瞳の中心軸C1上に撮像部101と瞳検知部1041がない。撮像部101の中心軸C2上に瞳検知部1041が位置しており、中心軸C1と中心軸C2はオフセットしている。そして、瞳検知部1042は、中心軸C1上に位置する。このような場合においては、図2(b)と同様に瞳補正画像情報を生成することができる。ここで、瞳検知部1042からの瞳情報は、瞳検知部1041と瞳検知部1042との間のベクトル情報P3を用いて、補正されうる。
【0040】
図4(e)では、図2(c)のように瞳検知部1041は瞳の中心軸C1上に配置されているが、撮像部101は瞳の中心軸C1上に配置されていない。撮像部101は中心軸C1からオフセットした中心軸C2を有する。瞳検知部1042は中心軸C1上にも中心軸C2上にも配置されていない。瞳検知部1042は、中心軸C1からオフセットし、中心軸C2からオフセットした中心軸C3を有する。処理部102は、あらかじめ瞳検知部1041と撮像部101とのベクトル情報P2と、瞳検知部1042と瞳検知部1041とのベクトル情報P3とを有している。瞳検知部1041は、瞳とのベクトル情報P1を取得する。処理部102は、ベクトル情報P1~P3を基に、撮像部101で取得した画像情報を補正し、瞳補正画像情報を取得する。
【0041】
また、瞳検知部1042を複数個用いて、瞳情報を取得しても良い。
【0042】
(実施例3)
本実施例の撮像表示装置を、図5(a)~図5(c)を用いて説明する。図5(a)~図5(c)は、実施例1の図1(a)~図1(c)の変形例である。
【0043】
図5(a)は、本実施例の撮像表示装置200を説明する模式図である。撮像表示装置200は、実施例1の図1(a)において説明した処理部102が、更に人工知能(以下、AI;Artificial Intelligence)部を搭載したAI部107を有している点が異なる。AI部107はディープラーニング(深層学習)機能を有していてもよい。これにより、処理部102では、瞳検知部104の取得情報を基に瞳を基準とした補正処理が行われる際に、AI部107のディープラーニング機能により、瞳補正処理の精度を高めること及び速度を速めることができる。
【0044】
例えば、温度湿度情報、加速度情報、圧力情報等の環境情報と合わせて学習させ、より精度の高い瞳補正画像情報を生成することができる。また、利用者の過去の瞳情報から行動パターンを学習させ、より速く瞳補正画像情報を生成することができる。瞳補正処理の精度を高めることで、眼で直接見る情報と撮像表示装置に表示される情報との差異が小さくなり、利用者はより快適に使用できる。また、瞳補正処理の速度を速めることで、画像情報を取得してから表示するまでの時間を短縮でき、よりレイテンシーを小さくすることができる。もちろん、これらに限ったことではなく、AI部107において、撮像表示装置の性能を高める機能ならば特に指定はない。
【0045】
図5(b)は、図1(b)に示す撮像表示装置120の変形例を示す。撮像表示装置220の処理部102は、処理装置105と通信を行っている。処理部102と処理装置105とは、ネットワークを介して接続する。また、処理装置105は、撮像表示装置220の外部に設けられており、例えば、クラウドに設けられていてもよい。撮像表示装置220では、処理部102ではなく処理装置105がAI部107を有する。処理部102と処理装置105は、互いに情報をやり取りし、画像情報及び瞳情報から瞳補正画像情報を生成する。図5(b)において、撮像部101及び瞳検知部104で取得した画像情報及び瞳情報は、処理装置105からの情報を得た処理部102によって瞳補正画像情報へと変換される。撮像表示装置220では、このように外部の装置に蓄積された情報を利用して、瞳補正画像情報を生成することができる。
【0046】
図5(c)は、図1(a)に示す撮像表示装置130の変形例を説明するための模式図である。撮像表示装置230の処理部102はAI部107を有する。処理部102は処理装置106と通信し、処理装置106は更に別の処理装置105と通信する。処理装置106はクラウド上に設けられており、例えばデータの蓄積などを行う。処理装置105は撮像表示装置230や処理装置106とは別に設けられており、AI部107を有する。処理部102と処理装置105の間、および処理装置106と処理装置105との間は、ネットワークを介して接続している。図5(c)において、処理部102は、処理装置106に蓄積された設定情報を受信し、設定情報を基に瞳補正画像情報の生成を行う。設定情報は、環境や対象物の基本的な情報や、瞳補正画像情報を生成するための各種値を含む。また、処理部102は撮像部101及び瞳検知部104からの画像情報及び瞳情報を含む複数の情報を処理装置106へ送信する。複数の情報は、処理装置106を介して、処理装置105へ送信される。処理装置105は、受けとった複数の情報を基に瞳補正画像情報を生成するための各種値を生成し、処理装置106へ送信する。処理装置106は、蓄積している基本的な情報や各種値を更新し、新たな情報として保持する。撮像表示装置230では、このように外部装置に蓄積された情報を利用して、瞳補正画像情報を生成することができる。
【0047】
図5(a)において、処理部102は、撮像部101及び瞳検知部104で得られた画像情報及び瞳情報を基に瞳補正画像情報として表示部103に伝達する。更に、処理部102では、画像情報及び瞳情報だけではなく温度湿度情報、加速度情報、圧力情報等のその他情報も合わせて処理することができる。図5(b)の処理部102と、図5(c)の処理部102、処理装置105、および処理装置106も図5(a)の場合と同様である。
【0048】
本実施例の撮像表示装置をウェアラブルデバイスとして使用する場合、処理部での処理データ量は少ないほど好ましい。なぜなら、ウェアラブル端末は可能な限り軽量化、薄型化の必要があり、データ処理の負荷が小さいほど処理部のチップを小さくできるためである。データ処理量の負荷を減らす方法として、例えば、図5(b)や図5(c)のようにAI処理を別装置(クラウド等)で行うことが挙げられる。また、処理量を減らす方法として、関心領域以外の部分の解像度を低下させる、関心領域以外の部分を静止画にする、関心領域以外の部分をカラーでなくモノクロで処理を行う等が挙げられる。
【0049】
(実施例4)
本実施例では、撮像部101で撮像された画像情報に、瞳情報だけでなく予測を含む補正が行われる。予測を含む補正とは、処理部102は、瞳補正と同時に、撮像部101で取得された画像情報から未来を予測した予測画像情報を生成する。予測画像情報は表示部103に表示される。処理部102では、撮像部101で撮像された画像情報及び瞳検知部104で取得した情報を基に瞳基準での補正処理を行うだけではなく、未来を予測した予測画像情報も生成する機能を有することが特徴である。これにより、瞳の位置を基準とした瞳補正画像情報が表示されるだけでなく、画像情報を取得してから表示するまでの時間的な差、つまり、レイテンシーを低減することができる。このため、例えば、ユーザーが、動いている物体を掴む等の動作を行う際に、好適に用いることができる。この際、処理部102は、図5(a)~図5(c)に示したように、AI部107を有していてもよい。更に、AI部107において、撮像表示装置の性能を高める補正を行ってもよい。
【0050】
未来を予測した予測画像情報を生成する動作について図6を用いて説明する。図6(a)と図6(b)は、本実施例の撮像表示装置の動作を説明する図であり、ある時間における1フレームの画像情報と予測画像情報の関係を説明するための図である。図6(a)と図6(b)において、時刻Tnにおける画像情報をAn、処理部で処理後の未来の画像情報(予測画像情報)をBnとする。
【0051】
図6(a)を用いて本実施例の撮像表示装置の動作について説明する。本動作において、撮像部101は、時刻T-2に画像情報A-2を、時刻T-1に画像情報A-1を、時刻Tに画像情報Aを、時刻T+1に画像情報A+1を得る撮像動作を行う。次に、処理部102は、入力された画像情報A-1、A、A+1を基に、予測画像情報B、B+1、B+2を生成する。そして、処理部102は、予測画像情報B、B+1、B+2を表示部103へ出力する。表示部103は、時刻Tに予測画像情報Bに基づく画像を、時刻T+1に予測画像情報B+1に基づく画像を、時刻T+2に予測画像情報B+2に基づく画像を表示する表示動作を行う。
【0052】
つまり、ある時刻T-1に、撮像部101は画像情報A-1を得る撮像動作を行い、ある時刻T-1よりも後の時刻Tに、撮像部101は画像情報A-1とは別の画像情報Aを得る撮像動作を行う。時刻Tに、表示部103は画像情報A-1から生成された予測画像情報Bに応じた画像を表示する表示動作を行う。更に、時刻Tよりも後の時刻T+1に、撮像部101は、画像情報Aとは別の画像情報A+1を得る撮像動作を行う。そして、表示部103は、画像情報Aから生成された予測画像情報B+1に応じた画像を表示する表示動作を行う。
【0053】
更に、本実施例の予測画像情報を表示するタイミングについて説明する。本実施例の処理部102では、ある時刻において、撮像部101で撮像された画像情報と、表示部103が表示する画像との間に遅延が少なくなるように予測画像情報を生成する。その予測画像情報を表示するタイミングを次のように設定すると好ましい。
【0054】
まず、撮像部101にて任意の時間Tnに画像が撮像されるとする。表示部103にて時刻Tnの予測画像情報が生成され、表示部103にて時刻Tnの予測画像情報にもとづく画像が表示される時刻をTmとする。ここで、撮像されるタイミングと表示されるタイミングの差分ΔTを式(1)で示すことができる。
ΔT=Tn-Tm・・・(1)
ここで、表示部103が1秒あたりに表示する画像の枚数である表示フレームレートDFR(fps;frame per second)とする。この差分ΔTが式(2)を満たすように撮像表示装置が制御される。より好ましくは、差分ΔTが式(3)を満たすように撮像表示装置が制御される。
-2/DFR≦ΔT≦2/DFR・・・(2)
-1/DFR≦ΔT≦1/DFR・・・(3)
例えば、表示フレームレートが240(fps)の場合、撮像されてから表示されるまでの1画像(1フレーム)の時間は約4×10-3(秒)である。したがって、差分ΔTは次のようになる。
-4×10-3≦ΔT≦4×10-3・・・(4)
このようなタイミングで予測画像情報にもとづく画像を表示することで、実画像と表示される画像の間の遅延が少ない動画表示が可能となる。この動画表示は、いわゆるリアルタイム表示とも言える。従って、本実施例ではリアルタイム表示、厳密には擬似的リアルタイム表示が可能となる。本実施例は、静止画でも適用可能であるが、動画において行うことが効果的である。
【0055】
なお、このようなタイミングで表示する他に、予測画像情報を生成する際にも、この時刻の幅は利用できる。任意の時間に撮像部101にて撮像される画像情報をAnとする。同時刻に表示部103が表示する画像情報をDnとする。ここで、画像情報の差分、すなわち時間的なずれ量をΔA=Dn-Anとすることができる。ここで、図6(a)の実施例においては、Dn=Bnとなっている。つまり、ある時刻における撮像部101で撮像された画像情報、つまりその時刻の現実の事象(実画像)と、表示部103で表示された画像情報の時間的な差分が±4×10-3(秒)であればよい。画像情報の時間的な差分が±4×10-3(秒)とは、表示部103にて表示された画像が、ある時刻における実画像に対して4×10-3(秒)遅延した画像、あるいは4×10-3(秒)未来の画像となることである。予測画像情報はこのような条件で生成されると好ましい。なお、画像情報Anと画像情報Dnの比較は、例えば、画像情報Anと画像情報DnのRAWデータを用いて行うことができる。そして、差分の二乗平均平方根をとったときに±4×10-3(秒)以内に画像情報Dnが存在するようにすればよい。この差分の情報を用いて、処理部102は、次の予測画像情報を生成する際の各種パラメーターを設定する。
【0056】
なお、特に、付加的な画像処理を行う場合には、遅延は100×10-3(秒)となる。しかし、本実施例の予測画像情報を生成することによって、実画像との時間的な差異のない表示を行うことができる。
【0057】
また、付加的な画像処理とは、例えば、暗い画像の輝度をあげる暗視野画像処理、小さな被写体を拡大して表示する拡大画像処理、温度を画像表示する温度表示処理などである。本実施例の動作によれば、このような画像処理を行う時間を加えてもリアルタイム表示が可能となる。
【0058】
次に、図6(b)における動作を説明する。本動作において、撮像部101は、時刻T-2に画像情報A-2を、時刻T-1に画像情報A-1を、時刻Tに画像情報Aを、時刻T+1に画像情報A+1を得る撮像動作を行う。次に、処理部102は、入力された画像情報A-1、A、A+1を基に、予測画像情報B+1、B+2、B+3を生成する。そして、処理部102は、予測画像情報B+1、B+2、B+3を表示部103へ出力する。表示部103は、時刻Tに予測画像情報B+1に基づく画像を、時刻T+1に予測画像情報B+2に基づく画像を、時刻T+2に予測画像情報B+3に基づく画像を表示する表示動作を行う。つまり、時刻Tに撮像されるであろう画像情報を予測し、時刻Tに表示させている。このように、撮像時刻よりも未来の時刻の情報を撮像時刻に表示させることが可能となる。この動作を連続的に繰り返すことで、実画像よりも未来の画像を連続的に表示する、すなわち映像として表示することができる。
【0059】
予測画像情報の元となる画像情報について説明する。例えば、図6(a)の説明において、予測画像情報Bは画像情報A-1を基に生成される。図6(b)の説明において、予測画像情報B+1は画像情報A-1を基に生成される。つまり、1つの予測画像情報は1つの画像情報を基に生成される。しかし、1つの予測画像情報を2つ以上の画像情報に基づき生成してもよい。例えば、図6(a)において予測画像情報Bは画像情報A-2、A-1を基に生成されてもよく、図6(b)においては、予測画像情報B+1は画像情報A-2、A-1を基に生成されてもよい。従って、予測画像情報を、少なくとも1つの画像情報を利用して生成することが可能である。
【0060】
本実施例のフレームレートについて説明する。まず、撮像部101の1秒あたりに取得する画像情報の枚数を撮像のフレームレートSFR(fps)とする。そして、上述のように表示部103の1秒あたりに表示する画像情報の枚数を表示のフレームレートDFR(fps)とする。このとき、本実施例の図6(a)および図6(b)におけるフレームレートの関係は、SFR=DFRである。しかし、撮像と表示のフレームレートは異なっていてもよく、特に、SFR≧DFRであることが望ましい。複数の撮像された画像情報から予測画像情報を生成することができるためである。
【0061】
本実施例の撮像表示装置によって、ユーザーの不快感を低減した撮像表示装置を提供することができる。
【0062】
(実施例5)
本実施例の撮像表示装置について、図7および図8を用いて説明する。図7(a)は図1(b)に対応した撮像表示装置720を示している。図7(b)は撮像部101を示すブロック図であり、本実施例において撮像部101は、n個(nは自然数)の撮像部101(1)~101(n)を有する。また、瞳検知部104は、視線情報を含む瞳を画像情報として取得することができる。処理部102は、瞳検知部104が検知した視線情報を取得し、複数の撮像部101の動作を切り替えることができる。複数の撮像部101は、例えば、実施例1に示すようなフォトダイオードを有する撮像装置が挙げられる。また、SPAD(シングル フォトン アバランシェ ダイオード)等のフォトンカウンティングセンサであってもよい。SPADは、アバランシェ型ダイオードを有する撮像装置である。その場合には、低輝度の環境下でも鮮明な画像情報として表示させることができる。
【0063】
図8(a)は、本実施例の撮像表示装置720の断面模式図である。撮像表示装置720は、複数の撮像部101を有する。図8(a)では、3つの撮像部101(1)~撮像部101(3)を有するものとする。瞳検知部104は、視線を検出する。視線が撮像部101(2)近傍にある場合には、処理部102は次のような動作を行うことができる。複数の撮像部のうち撮像部101(2)が取得した画像情報のみを使用して瞳補正画像情報を生成する。処理部102は、その他の撮像部101(1)と撮像部101(3)が得た画像情報は使用しない。あるいは、処理部102は、撮像部101(2)が取得した画像情報は全て用い、その他の撮像部101(1)と撮像部101(3)が取得した画像情報は情報量を削減して用いて瞳補正画像情報を生成することができる。ここで、画像情報の削減方法としては、輝度情報のみを用いる方法、画素数を間引いた解像度の低い画像とする方法、複数画素ごとの平均値または中央値を使用する方法がある。更に削減方法としては、画素信号値の撮像部からの出力bit数を削減して用いる方法、測距や合焦に必要な情報のみを用いる方法などもありうる。これら画像情報の情報量の削減は、撮像部101内で行ってもよく、処理部102で行っても良い。また、処理部102が視線近傍の撮像部にて取得した画像情報のみを使用する場合、その他の撮像部101(1)や撮像部101(3)はスリープモードにする、電源供給を止めるなど、消費電力を抑える状態に遷移させても良い。処理部102によってこれら制御を行うことができる。
【0064】
図8(b)は、図8(a)の変形例を示している。図8(b)では、撮像部101は、瞳検知部104が検知した視線情報にもとづいて、所望の位置に移動できる。図8(b)において、撮像部101には複数の撮像素子が配置され、そのうち撮像部101(2)が視線上に配置されている。視線が動くと、瞳検知部がそれを検知し、撮像部101(2)が視線上に配置されるよう撮像部101が移動する。移動には、撮像表示装置の筐体に動力部を設けることによって行うことが可能である。これにより、図8(a)の場合に比べて、撮像部101の移動が必要になるが、複数の撮像素子の役割を切り替える動作が不要となる、さらに視線と各撮像部の位置関係が1つに決まるため、後段の画像処理の負荷を減らすことができる。
【0065】
本実施例の撮像表示装置において、複数の撮像部101が配置される面が湾曲している場合には、瞳と撮像部101との間のベクトル情報が一定となるため、後段の画像処理の負荷をさらに削減できるため、より好適である。
【0066】
(実施例6)
本実施例の撮像表示装置は、可視光以外(近赤外、赤外、紫外など)の光を利用した画像を表示することができる。例えば、撮像部101は可視光領域を検出可能な光電変換素子と、可視光領域以外の波長帯の光を検出可能な光電変換素子を有する。例えば、撮像部101は少なくとも2つの撮像装置を有する。1つは可視光用の光電変換素子が配された撮像装置であり、もう1つは可視光外用の光電変換素子が配された撮像装置である。または、撮像部101は1つの撮像装置を有する。1つの撮像装置が可視光用の光電変換素子と、可視光外用の光電変換素子を少なくとも1つずつ有していてもよい。
【0067】
このような撮像部101によって、可視光領域の画像情報に加えて、近赤外光領域を含む可視光外の領域の画像信号も取得することができる。処理部102では、これらの画像情報を利用して、1つの可視光領域の瞳補正画像情報を生成する。つまり、瞳情報と近赤外光領域の情報とを用いて、画像情報を補正し、瞳補正画像情報を生成する。これにより、可視光領域の感度が低い状況においても、感度が向上した画像が表示される。つまり、本実施例の撮像表示装置によれば、人の眼には見えない像も表示させることができる。このような本実施例の撮像表示装置は、例えば、暗視装置、監視装置、双眼鏡、望遠鏡、医療用検出器等にも適用可能である。
【0068】
(実施例7)
本実施例の撮像表示装置について、図9を用いて説明する。図9は、図2と対応した撮像表示装置100の模式図である。図2では、瞳の中心軸C1と表示部103の中心が一致していたが、本実施例では、瞳の中心軸C1と表示部103の中心軸C4が一致していない場合について説明する。図9のその他の構成は、図2と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図9(a)では、表示部103の中心軸C4は、瞳の中心軸C1からX方向に所定の距離だけ離れて配置されている。撮像部101と瞳検知部1041は表示部103の中心軸C4上に配置されている。瞳検知部1041は、瞳から瞳検知部104との間のベクトル情報P1を取得する。撮像部101で取得した画像情報は、表示部103と瞳との位置を含めて、ベクトル情報P1に基づき補正される。このような瞳補正画像情報を用いることで、表示部103では画像の中心位置が瞳の位置に合わせて変更させた画像を表示することができる。このような処理によって、より実像との差を低減することが可能となる。
【0070】
図9(b)は図9(a)と同様に、表示部103の中心軸C4は、瞳の中心軸C1からX方向に所定の距離だけ離れて配置されている。撮像部101は表示部103の中心軸C4上に配置されている。瞳検知部1041は瞳の中心軸C1上に配置されている。瞳検知部1041は、瞳から瞳検知部104との間のベクトル情報P1を取得する。また、処理部102は瞳検知部1041と撮像部101との間のベクトル情報P2を保持している。ベクトル情報P1およびベクトル情報P2を用いて、撮像部101で取得した画像情報は、補正される。このような瞳補正画像情報を用いることで、表示部103では画像の中心位置が瞳の位置に合わせて変更させた画像を表示することができる。このような処理によって、より実像との差を低減することが可能となる。
【0071】
(実施例8)
図10を参照して、各実施例の撮像表示装置のウェアラブルデバイスへの適用例について説明する。撮像表示装置は、例えばスマートグラス、HMD(Head Mounted Display)、スマートコンタクトレンズのようなウェアラブルデバイスに適用できる。
【0072】
図10は、スマートグラス1000を説明するための模式図である。スマートグラス1000は、眼鏡型撮像表示装置や眼鏡とも称する。スマートグラス1000は、眼鏡型の筐体を有する。筐体は、フレームとも称する。フレームには各実施例の撮像表示装置が設けられている。具体的には、スマートグラス1000は、少なくとも撮像部1001と、処理部1002と、表示部1003、瞳検知部1004とを有する。2つの撮像部1001は眼鏡のフレーム側面に設けられている。しかし、撮像部1001は、レンズに設けられていてもよい。処理部1002は眼鏡のテンプル(つる)に格納されている。表示部1003は、表示形式によって任意の位置に設けられるが、レンズ1011に含まれていても良い。いずれの場合にも、表示部1003はレンズ1011に画像を表示させる。瞳検知部1004は、2つの眼鏡レンズの中央の瞳側に格納されているが、レンズやフレーム側面に設けられていても良い。なお、処理部1002は、AI部を含んでいてもよい。スマートグラス1000は、外部インターフェースを有し、処理部1002が外部のAI部とやり取りを行ってもよい。また、フレームは電源部を有していてもよく、外部との接続を無線で行うためのインターフェース部を有していてもよい。
【0073】
図10のスマートグラス1000は、左目用と右目用の2個の撮像表示装置を有していてもよい。この場合、左目用と右目用の撮像表示装置において、撮像および表示のタイミングを任意に設定することもできる。具体的には、同時刻に撮像し、別時刻に表示する動作や、別時刻に撮像して同時刻に表示する動作である。
【0074】
また、図10のように、撮像部1001と表示部1003とが別の位置に設けられていてもよいが、撮像部1001と表示部1003と瞳検知部1004が視線状において積層するように設けられていてもよい。
【0075】
(実施例9)
本実施例の撮像表示装置について、図11を用いて説明する。図11(a)は本実施例の撮像表示装置810を説明するための模式図である。図11(a)は図7(a)と対応した模式図であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。また、他の実施例と同様な構成や動作については説明を省略する。本実施例では、撮像部と瞳との位置関係を考慮することによって、撮像表示装置に表示される画像と現実の事象との差異を低減することを可能にする技術を説明する。
【0076】
図11(a)において、瞳検知部104は、視線情報を含む瞳を画像情報として取得することができる。処理部102は、瞳検知部104が検知した視線情報を取得し、複数の撮像部101の重み付けを設定し一つの画像情報を生成することができる。具体的には、瞳検知部104が検知した視線情報を基に複数の撮像部101の中から主となる撮像部101を設定し、その画像情報に対して、主となる撮像部以外の撮像部101で得られた画像情報で補間するように一つの画像情報を生成することができる。これにより、撮像部と瞳の位置関係を含めた画像を生成することができるため、表示される画像と現実の事象との差異を低減することができる。また、本実施例の技術により、広範囲の外部情報を表示部に表示することができる。ここで、広範囲とは画角や距離などを含む。
【0077】
図11(b)及び図11(c)を用いて、本実施例の動作について説明する。図11(c)は、撮像表示装置810の断面模式図である。撮像表示装置810は、複数の撮像部101を有するものとする。各撮像部101は、例えば、フォトダイオードを含むイメージセンサでありうる。撮像表示装置810は、少なくとも2つの撮像部を有する。具体的には、撮像表示装置810は、撮像部101(4)と撮像部101(5)とを有する。瞳検知部104は、視線を検出する。
【0078】
図11(b)は撮像表示装置810の動作フローチャートである。まず、撮像部101(4)と撮像部101(5)のそれぞれは画像情報を取得する。瞳検出部104は、瞳の位置、瞳情報を検出する。瞳情報として、視線情報を含む。例えば、瞳中心軸に対して視線がどちらへ傾いているのか等を検出する。視線が瞳中心軸よりも撮像部101(4)側にある場合には、処理部102は次のような動作を行う。
【0079】
まず、処理部102は、複数の撮像部101が取得した画像情報から、瞳補正画像情報を生成する。視線情報を基に、複数の撮像部のうち撮像部101(4)が取得した画像情報を、主となる画像情報に設定する。その画像情報に対して、主となる撮像部以外の撮像部101で得られた画像情報で補間するように一つの画像情報を生成する。このような処理により、撮像部と瞳の位置関係、例えば撮像部と視線との位置関係が考慮された自然が表示画像を生成することができる。よって、撮像表示装置に表示される画像と現実の事象との差異を低減することが可能となる。また、処理部102にAI部を有し、ディープラーニングを用いることにより、複数の画像情報から一つの画像情報を生成する際の精度と処理速度を高めることもできる。
【0080】
本実施例では、撮像部101(4)と撮像部(5)から画像を取得した後の処理を説明したが、視線を検出したのちに、主となる撮像部101(4)を選択し、副となる撮像部101(5)を選択してもよい。そして、主となる撮像部101(4)と副となる撮像部1010(5)は画像情報を取得し、処理部102で上述の処理を行ってもよい。
【0081】
また、図12に示すような別の動作を行ってもよい。図12は、図11(b)に対応した本実施例の別の動作フローチャートである。瞳検知部104は、視線を検出する。視線を検出したのちに、視線の位置に応じて、主となる撮像部101(4)と副となる撮像部101(5)を選択する。次に、各撮像部の撮影条件を設定する。例えば、撮像部101(4)は主となる撮像部として高解像度撮影に設定され、撮像部101(5)は副となる撮像部として低解像度撮影に設定される。その後、2つの画像情報から1つの画像情報を生成することで、撮像部と視線との位置関係が考慮された表示画像を生成することができる。
【0082】
(実施例10)
本実施例の撮像表示装置について、図13を用いて説明する。図13(a)は、本実施例の撮像表示装置910を説明するための模式図である。図13(a)は図7(a)と対応した模式図であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。また、他の実施例と同様な構成や動作については説明を省略する。本実施例では、撮像部と瞳との位置関係を考慮することによって、撮像表示装置に表示される画像と現実の事象との差異を低減することを可能にする技術を説明する。
【0083】
図13(a)において、瞳検知部104は、視線情報を含む瞳を画像情報として取得することができる。処理部102は、瞳検知部104が検知した視線情報を取得し、複数の撮像部101の重み付けを設定し一つの画像情報を生成することができる。具体的には、処理部102は、瞳検知部104が検知した視線情報から視線領域を設定する。処理部102は、視線領域を基に複数の撮像部101の中から視線領域の画像情報を作成するための撮像部101と、最も広い範囲の外部情報を取得することができる別の撮像部101を選択する。そして、処理部102は、少なくともこれらの画像情報を一つの画像情報として生成する。撮像表示装置910を用いることで、少なくとも1つの表示が可能となる。1つは、広範囲の外部情報を表示部に表示することができる。別の1つは、視線領域を高解像度で表示し、それ以外の領域を低解像度で表示させることができる。撮像表示装置910によって、より自然な表示画像を表示させることができ、画像処理の負荷も減らすことができる。
【0084】
図13(b)及び図13(c)を用いて、本実施例の動作について説明する。図13(c)は、本実施例の撮像表示装置910の断面模式図である。撮像表示装置910は、複数の撮像部101を有するものとする。各撮像部101は、例えば、フォトダイオードを含むイメージセンサでありうる。撮像表示装置910は、少なくとも2つの撮像部を有する。具体的には、撮像表示装置910は、撮像部101(6)と撮像部101(7)とを有する。瞳検知部104は、視線領域を検出する。
【0085】
図13(b)は本実施例の撮像表示装置910の動作フローチャートである。まず、撮像部101(6)と撮像部101(7)のそれぞれは画像情報を取得する。瞳検出部104は、視線領域を検出する。視線領域は、視線が向けられている領域を意味する。ここで視線は撮像部101(6)側に位置しているものとする。得られた視線領域を基に、処理部102は次のような動作を行う。
【0086】
処理部102は、複数の撮像部101が取得した画像情報から、瞳補正画像情報を生成する。また、撮像部101(6)が取得した画像情報と、瞳検知部104で得られた視線情報とから、視線領域に関する画像情報を抽出する。一方で、撮像部101(7)が取得した画像情報に対して、視線領域に関してのみ抽出した撮像部101(6)由来の画像情報を合成することで、一つの画像情報を生成する。このような処理により、視線が考慮された表示画像を生成することができる。よって、撮像表示装置に表示される画像と現実の事象との差異を低減することが可能となる。また、処理部102にAI部を有し、ディープラーニングを用いることにより、複数の画像情報から一つの画像情報を生成する際の精度と処理速度を高めることもできる。また、本実施例についても、図12に示すような撮像部の選択を行った後に画像情報の取得をしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 撮像表示装置
101 撮像部
102 処理部
103 表示部
104 瞳検知部
1041 瞳検知部
1042 瞳検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13