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特許7532077制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/34 20210101AFI20240805BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20240805BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240805BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240805BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20240805BHJP
   H04N 23/67 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
G02B7/34
G02B7/28 N
G02B7/36
G03B13/36
G03B17/18
H04N23/67
H04N23/67 100
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020076366
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021173827
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】松井 遥平
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-194240(JP,A)
【文献】特開2019-066542(JP,A)
【文献】特開平01-077007(JP,A)
【文献】特開平08-262315(JP,A)
【文献】特開2019-148668(JP,A)
【文献】特開2013-105052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/34
G02B 7/28
G02B 7/36
G03B 13/36
G03B 17/18
H04N 23/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示枠に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出する算出手段と、
前記複数の測距枠から、AF制御に用いられる一つのデフォーカス量に対応する一つの測距枠を選択する選択手段と、を有し、
前記選択手段は、至近優先方式で、前記一つの測距枠を選択するためのAF動作を行い、
前記選択手段は、コントラスト検出処理により低コントラストと判定された低コントラスト枠の数が前記複数の測距枠の数に占める割合が所定の割合以上である場合、前記AF動作を前記至近優先方式から他の優先方式へ変更することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記他の優先方式は、連続性優先方式であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記複数の測距枠を、第一の優先領域および第二の優先領域の少なくとも二つの優先領域に区分することを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項4】
前記連続性優先方式において連続性があると判定される閾値は、前記第一の優先領域と前記第二の優先領域とで異なることを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記連続性優先方式において連続性があると判定される閾値は、前記第一の優先領域のほうが前記第二の優先領域よりも小さいことを特徴とする請求項またはに記載の制御装置。
【請求項6】
表示枠に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出する算出手段と、
前記複数の測距枠から、AF制御に用いられる一つのデフォーカス量に対応する一つの測距枠を選択する選択手段と、を有し、
前記選択手段は
コントラスト検出処理により低コントラストと判定された低コントラスト枠の数が前記複数の測距枠の数に占める割合が所定の割合以下である場合、前記低コントラスト枠よりも、前記コントラスト検出処理により高コントラストと判定された高コントラスト枠を優先させるように、至近優先方式で前記一つの測距枠を選択するためのAF動作を行い、
前記割合が前記所定の割合以下でない場合、他の優先方式で前記AF動作を行うことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
前記選択手段は、被写体距離が所定の距離以上の場合、前記AF動作を変更することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の制御装置と、
撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
表示枠に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出する算出ステップと、
前記複数の測距枠から、AF制御に用いられる一つのデフォーカス量に対応する一つの測距枠を選択する選択ステップと、を有し、
前記選択ステップにおいて、
至近優先方式で、前記一つの測距枠を選択するためのAF動作を行い、
コントラスト検出処理により低コントラストと判定された低コントラスト枠の数が前記複数の測距枠の数に占める割合が所定の割合以上である場合、前記AF動作を前記至近優先方式から他の優先方式へ変更することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、過去複数回の像面位置の変化を時刻による所定の関数とみなし、その関数を求めることで撮影レンズの動体予測駆動を行う方法が開示されている。特許文献2には、焦点調節に用いる一対の電気信号列を複数ブロックに分割し、ブロックごとにデフォーカス量の演算と遠近競合判定を行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-021794号公報
【文献】特開平8-015603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示されているように、分割ブロックに分割されて各測距点が小さくなると、S/N比が低下するため、低輝度または低コントラストの状態において、測距結果のバラつきが大きくなりやすい。このため、特許文献1に開示されているような方法を実行する際に、安定した自動焦点調整動作(AF動作)を行うことが難しい。
【0005】
そこで本発明は、安定した自動焦点調整動作を行う制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての制御装置は、表示枠に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出する算出手段と、前記複数の測距枠から、AF制御に用いられる一つのデフォーカス量に対応する一つの測距枠を選択する選択手段とを有し、前記選択手段は、至近優先方式で、前記一つの測距枠を選択するためのAF動作を行い、前記選択手段は、コントラスト検出処理により低コントラストと判定された低コントラスト枠の数が前記複数の測距枠の数に占める割合が所定の割合以上である場合、前記AF動作を前記至近優先方式から他の優先方式へ変更する
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安定した自動焦点調整動作を行う制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】各実施形態における撮像装置のブロック図である。
図2】各実施形態におけるサーボモード処理を示すフローチャートである。
図3】各実施形態における焦点検出処理を示すフローチャートである。
図4】各実施形態における表示枠、測距枠、および優先領域の一例を示す図である。
図5】第一および第二の実施形態における測距枠の選択方法を示すフローチャートである。
図6】第一の実施形態における至近優先のフローチャートである。
図7】各実施形態における連続性優先のフローチャートである。
図8】第一の実施形態における測距枠の選択方法の一例を示す図である。
図9】第二の実施形態における至近優先のフローチャートである。
図10】第三の実施形態における測距枠の選択方法を示すフローチャートである。
図11】第三の実施形態における測距枠の選択方法の一例を示す図である。
図12】第四の実施形態における測距枠の選択方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態に共通の部分に関して重複する説明は省略する。
【0010】
(第一の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第一の実施形態における撮像装置について説明する。図1は、撮像装置(レンズ交換式カメラ、カメラシステム)10のブロック図である。撮像装置10は、カメラ本体(撮像装置本体)200と、カメラ本体200に対して着脱可能(交換可能)なレンズユニット(レンズ装置)100とを備えて構成される。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、カメラ本体とレンズユニットとが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0011】
レンズユニット100は、レンズユニット100の全体の動作を統括制御するレンズ制御部106を有する。カメラ本体200は、レンズユニット100を含む撮像装置10の全体の動作を統括するカメラ制御部212を有する。レンズ制御部106とカメラ制御部212とは、レンズマウントに設けられた端子を通じて相互に通信可能である。
【0012】
まず、レンズユニット100の構成について説明する。固定レンズ101、絞り102、およびフォーカスレンズ103は、撮像光学系を構成する。絞り102は、絞り駆動部104により駆動され、後述する撮像素子201への入射光量を制御する。フォーカスレンズ103は、フォーカスレンズ駆動部105により駆動され、フォーカスレンズ103の位置に応じて撮像光学系の合焦距離が変化する。絞り駆動部104およびフォーカスレンズ駆動部105は、レンズ制御部106により制御され、絞り102の開口量およびフォーカスレンズ103の位置をそれぞれ決定する。
【0013】
レンズ操作部107は、ユーザがレンズユニット100の動作に関する設定を行うための入力デバイス群である。レンズ操作部107の操作により、AF(オートフォーカス)/MF(マニュアルフォーカス)モードの切り替え、MFによるフォーカスレンズ103の位置調整、フォーカスレンズ103の動作範囲設定、手ブレ補正モードの設定などを行うことができる。レンズ制御部106は、ユーザによるレンズ操作部107の操作に応じた制御を行う。
【0014】
レンズ制御部106は、後述するカメラ制御部212から受信した制御命令や制御情報に応じて、絞り駆動部104やフォーカスレンズ駆動部105を制御する。またレンズ制御部106は、レンズ制御情報をカメラ制御部212に送信する。
【0015】
次に、カメラ本体200の構成について説明する。カメラ本体200は、レンズユニット100の撮像光学系を通過した光束から撮像信号を取得することができるように構成されている。
【0016】
撮像素子201は、CCDセンサやCMOSセンサにより構成され、レンズユニットの撮像光学系を介して形成された光学像を光電変換する。すなわち、撮像光学系から入射した光束は撮像素子201の受光面上に結像し、撮像素子201に配列された画素に設けられたフォトダイオードにより、入射光量に応じた信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、カメラ制御部212の指令に従って、タイミングジェネレータ214が出力する駆動パルスより、信号電荷に応じた電圧信号として撮像素子201から順次読み出される。
【0017】
本実施形態において、撮像素子201の各画素は、2つ(一対)のフォトダイオードA、Bとこれら一対のフォトダイオードA、Bに対して設けられた1つのマイクロレンズとより構成されている。各画素は、入射する光をマイクロレンズで分割して一対のフォトダイオードA、B上に一対の光学像を形成し、該一対のフォトダイオードA、Bから後述するAF信号に用いられる一対の画素信号(A信号およびB信号)を出力する。また、一対のフォトダイオードA、Bの出力を加算することで、撮像信号(A+B信号)を得ることができる。
【0018】
複数の画素から出力された複数のA信号はA信号同士、複数のB信号はB信号同士でそれぞれ合成することにより、撮像面位相差検出方式によるAF(撮像面位相差AF)に用いられるAF信号(焦点検出用信号)としての一対の像信号が得られる。後述するAF信号処理部204は、一対の像信号に対する相関演算を行い、一対の像信号のずれ量である位相差(像ずれ量)を算出し、像ずれ量から撮像光学系のデフォーカス量(およびデフォーカス方向)を算出する。
【0019】
CDS/AGC/ADコンバータ202は、撮像素子201から読み出されたAF信号および撮像信号に対して、リセットノイズを除去するための相関二重サンプリング、ゲイン調節、およびAD変換を行う。CDS/AGC/ADコンバータ202は、これらの処理を行った撮像信号およびAF信号をそれぞれ、画像入力コントローラ203およびAF信号処理部204に出力する。
【0020】
画像入力コントローラ203は、CDS/AGC/ADコンバータ202から出力された撮像信号を、バス21を介してSDRAM209に画像信号として格納する。SDRAM209に格納された画像信号は、バス21を介して表示制御部205により読み出され、表示部206に表示される。また、画像信号の記録を行う録画モードでは、SDRAM209に格納された画像信号は、記録媒体制御部207により半導体メモリ等の記録媒体208に記録される。ROM210は、カメラ制御部212が実行する制御プログラムや処理プログラムおよびこれらの実行に必要な各種データ等を格納している。フラッシュROM211は、ユーザにより設定されたカメラ本体200の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0021】
AF信号処理部(焦点検出装置)204は、CDS/AGC/ADコンバータ202から出力されたAF信号である一対の像信号に対して相関演算を行い、一対の像信号の像ずれ量や信頼性を算出する。信頼性は、二像一致度と相関変化量の急峻度を用いて算出される。またAF信号処理部204は、撮像画面内で焦点検出およびAFを行う領域である測距領域(焦点検出領域)の位置および大きさを設定する。AF信号処理部204は、測距領域で算出した像ずれ量(検出量)および信頼性の情報をカメラ制御部212に出力する。
【0022】
カメラ制御部212は、AF制御部2121、動き判定部2122、記憶部2123、および予測部2124を有する。AF制御部2121は、換算したデフォーカス量に基づいて焦点位置を移動させるようにレンズ制御部106に指示を行う。動き判定部2122は、記憶部2123がメモリ回路215に記憶させた撮影時刻とデフォーカス量から算出した被写体像面位置とに基づいて動き判定を行う。AF制御部2121は、将来の像面位置を予測部2124を用いて予測し、予測した像面位置にフォーカスレンズ103が到達するために必要なレンズ駆動量を算出し、レンズ制御部106に指示を行う。
【0023】
カメラ制御部212は、カメラ本体200内の各部と情報をやり取りしながら各部を制御する。またカメラ制御部212は、ユーザ操作に基づくカメラ操作部213からの入力に応じて、電源のON/OFF、各種設定の変更、撮像処理、AF処理、記録画像の再生処理等、ユーザ操作に対応する様々な処理を実行する。またカメラ制御部212は、レンズユニット100(レンズ制御部106)に対する制御命令やカメラ本体200の情報をレンズ制御部106に送信し、また、レンズユニット100の情報をレンズ制御部106から取得する。カメラ制御部212は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM210に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、レンズユニット100を含む撮像装置10の全体の制御を司る。
【0024】
カメラ制御部212は、AF信号処理部204により算出された測距領域での像ずれ量を用いてデフォーカス量を算出し、デフォーカス量に基づいてレンズ制御部106を通じてフォーカスレンズ103の駆動を制御する。以下、カメラ本体200で行われる処理について説明する。カメラ制御部212は、コンピュータプログラムである撮像処理プログラムに従って以下の処理を行う。
【0025】
図2を参照して、カメラ本体200の撮影処理、特にAF制御部2121を含むカメラ制御部212で行われるサーボモード処理について説明する。図2は、サーボモード処理を示すフローチャートである。
【0026】
まずステップS201において、カメラ制御部212は、カメラ操作部213のSW1(撮影開始スイッチ)の状態を判定する。SW1がオン状態である場合、ステップS202に移行する。一方、SW1がオフ状態である場合、サーボモード処理を終了する。
【0027】
ステップS202において、カメラ制御部212(AF信号処理部204)は、焦点検出処理を行う。なお、焦点検出処理の詳細については、図3を参照して後述する。ここで、図4を参照して、ステップS202の焦点検出処理を行う測距枠について説明する。図4は、表示枠、測距枠、および優先領域の一例を示す図である。
【0028】
図4(a)は、1つの測距表示枠(表示枠)を示す。図4(b)は、図4(a)の測距表示枠に対応する領域を5×5の合計25枠の測距枠に分割した状態を示す図である。本実施形態において、図4(b)に示されるように、25枠の測距枠のうち中央の1行の領域を第一の優先領域、それ以外の領域を第二の優先領域とする。
【0029】
図4(c)は、1つの測距表示枠(表示枠1)と、その周辺に8つの測距表示枠(表示枠2)が存在する場合を示す図である。図4(d)は、それぞれに対応する領域を9×9の合計81枠に分割した状態を示す図である。表示枠1に対応する優先領域(第一の優先領域および第二の優先領域)は図4(b)と同様であり、表示枠2に対応する優先領域を第三優先領域とする。なお優先領域は、地面に対する位置関係が中央、上方、下方によって変えることや、図4(d)における第一の優先領域および第二の優先領域を3×3枠までにするなど数を変更することも可能である。また、より細分化した行や列単位(例えば18×18の合計324枠で設定することも可能である。以下の説明では、図4の分割、優先領域の測距枠が設定されものとして説明を行う。
【0030】
続いて、図2のステップS203において、カメラ制御部212は、測距枠選択処理を行う。なお、測距枠選択処理の詳細については、図5を参照して後述する。続いてステップS204において、カメラ制御部212は、動体判定処理を行う。なお、動体判定処理の詳細については省略する。例えば、ステップS203にて決定した測距枠(主枠)の焦点検出結果に基づいて、メモリ回路215に記憶させた撮影時刻とデフォーカス量とから算出した被写体像面位置が連続的に所定量以上変化しているかなどの判定方法がある。
【0031】
続いてステップS205において、カメラ制御部212は、ステップS204の動体判定処理により被写体が動体であるか否かを判定する。被写体が動体である場合、ステップS206へ進む。一方、被写体が動体でない場合、ステップS207へ進む。
【0032】
ステップS206において、カメラ制御部212(予測部2124)は、記憶部2123によりメモリ回路215に記憶された、撮影時刻とデフォーカス量とから算出した被写体像面位置を用いて予測演算処理を行い、将来の像面位置を算出する。なお、予測方法の詳細については省略するが、2次曲線を予測関数とする方法や、最新の2点だけを求めて1次曲線により予測する方法がある。また、最小二乗法により、以下の式(1)で表される予測式f(t)を統計演算によって求めてもよい。
【0033】
f(t)=α+βt+γt ・・・(1)
続いてステップS207において、カメラ制御部212は、焦点状態が合焦状態であるか否かを判定する。焦点状態が合焦状態である場合、ステップS201へ戻る。一方、焦点状態が合焦状態でない場合、ステップS208へ進む。
【0034】
ステップS208において、カメラ制御部212は、焦点検出処理が終了したか否かを判定する。焦点検出処理が終了した場合、カメラ制御部212はサーボモード処理を終了する。一方、焦点検出処理が終了していない場合、ステップS209へ進む。焦点検出処理を終了したか否かの判定の例としては、フォーカスレンズ103が駆動可能な範囲の全域をスキャンしたなど、これ以上フォーカスレンズ103を移動させても合焦状態とならないと判定された場合がある。
【0035】
ステップS209において、カメラ制御部212は、ステップS206にて算出された像面位置に基づいて、現在のフォーカスレンズ103の像面位置との差分を算出し、フォーカスレンズ103の駆動量を算出する。
【0036】
次に、図3を参照して、焦点検出処理(ステップS202)の一例を説明する。図3は、焦点検出処理を示すフローチャートである。まずステップS301において、AF信号処理部204は、撮像素子201における測距領域に含まれる複数の画素からAF信号としての一対の像信号(像データ)を取得する。
【0037】
続いてステップS302において、AF信号処理部204は、ステップS301にて取得した像データのピークおよびボトムの情報などに基づいて、コントラスト検出を行う。コントラスト検出は、結果を数値として保持することも可能であるが、本実施形態では、所定のコントラスト値以上のコントラスト値を高コントラスト、所定のコントラスト値未満のコントラスト値を低コントラストとして説明を行う。
【0038】
続いてステップS303において、AF信号処理部204は、取得した一対の像信号を1画素(1ビット)ずつ相対的にシフトさせながら、一対の像信号の相関量を算出する。続いてステップS304において、AF信号処理部204は、ステップS303にて算出した相関量に基づいて、相関変化量を算出する。続いてステップS305において、AF信号処理部204は、ステップS304にて算出した相関変化量を用いて像ずれ量を算出する。続いてステップS306において、AF信号処理部204は、ステップS305にて算出された測距領域の像ずれ量を用いて、測距領域のデフォーカス量を算出する。
【0039】
続いてステップS307において、AF信号処理部204は、ステップS306にて算出されたデフォーカス量に基づいて、信頼性を算出する。信頼性算出は、コントラスト検出と同様に数値として保持することも可能であるが、ここでは所定数値を閾値とする。例えば、合焦に足りる「フォーカスOK」、デフォーカス量を信頼できる「デフォーカスOK」、デフォーカスの方向は信頼できる「方向OK」、何も信頼できない「NG」の4段階に分割する。なお、ここでいう信頼性とは、ステップS302にて検出されるコントラストとは別のものであり、必ずしも“低コントラスト=低信頼性”とはならない。これら一連の焦点検出処理を設定された各測距枠、例えば図4(b)に示される設定の場合には25枠の全てに対して行う。
【0040】
次に、図5乃至図8を参照して、測距枠選択処理(ステップS203)について説明する。図5は、測距枠選択処理(測距枠の選択方法)を示すフローチャートである。
【0041】
まずステップS501において、カメラ制御部212は、ステップS302のコントラスト検出処理により低コントラストと判定された枠(低コントラスト枠)の数が表示枠内の全測距枠に占める割合が所定の割合以上であるか否かを判定する。低コントラスト枠の表示枠内の割合が所定の割合以上である場合、ステップS503へ進む。一方、低コントラスト枠の表示枠内の割合が所定の割合より低い場合、ステップS502へ進む。
【0042】
図8は、ステップS202における焦点検出処理の結果の一例を示す図であり、図4(b)と対応する。各測距枠内に記載されている数値はデフォーカス量を表しており、数値が小さいほど至近のデフォーカスを示している。また、斜線で表現されている測距枠は、ステップS302のコントラスト検出処理により、高コントラストの測距枠(高コントラスト枠)と判定された測距枠を示している。図8の例では、全25枠中5枠が高コントラスト枠、20枠が低コントラスト枠と判定されている。このため、例えば、所定の割合を7割以上とした場合、図8の測距結果を例にすると、低コントラスト枠の割合は80%であるため、ステップS503へ進む。
【0043】
次に、図6を参照して、ステップS502の至近優先を説明する。まずステップS601において、カメラ制御部212は、測距結果が第一の優先領域に含まれているか否か、および、至近方向の測距結果を算出しているか否かを判定する。ここで、至近方向の測距結果か否かの判定を行うことで、測距枠内に複数の被写体が含まれるような場合でも、背景方向のコントラストが高い被写体などにピントが合うことを防ぐことができる。測距結果が第一の優先領域に含まれており、かつ至近方向の測距結果を算出している場合、ステップS602へ進む。一方、測距結果が第一の優先領域に含まれていないか、または、至近方向の測距結果を算出していない場合、ステップS605へ進む。
【0044】
ステップS602において、カメラ制御部212は、仮主枠に対してステップS307にて算出した信頼性が高いか否かを判定する。信頼性が高いと判定された場合、ステップS604へ進み、仮主枠を更新(決定)する。一方、信頼性が低いと判定された場合、ステップS603へ進む。ステップS603において、カメラ制御部212は、仮主枠と信頼性が同じであって、かつ、仮主枠よりも至近の測距結果(デフォーカス)を算出しているか否かを判定する。仮主枠と信頼性が同じであって、かつ、仮主枠よりも至近の測距結果を算出している場合、ステップS604へ進み、仮主枠が更新される。一方、仮主枠と信頼性が異なるか、または、仮主枠よりも至近の測距結果を算出していない場合、ステップS605へ進む。
【0045】
ステップS605において、カメラ制御部212は、ステップS601の判定を全測距枠に関して行ったか否かを判定し、全測距枠に関する判定が完了するまでステップS601~S605を繰り返す。全測距枠に関する判定が完了した場合、ステップS606へ進む。ステップS606において、カメラ制御部212は、仮主枠を主枠として決定し、本処理を終了する。
【0046】
至近優先は、フォーカスレンズ103の位置によらず、ユーザが測距枠内にとらえている最も至近の被写体にピントを合わせることができる。このため至近優先は、SW1開始直後でまだ被写体を捉えていない状態や、ピントが遠方にある状態から手前にいる被写体にピントを合わせたいような場合に有効な選択方式である。
【0047】
次に、図7を参照して、ステップS503の連続性優先(連続性優先1)を説明する。図7は、連続性優先のフローチャートである。
【0048】
まずステップS701において、カメラ制御部212は、測距結果が優先領域であるか否か、および、測距結果が予測に対して所定範囲以内であるか否かを判定する。ここで予測位置とは、ステップS206の予測演算処理により算出された結果である。被写体が動体と判定されていない場合、現在のレンズ位置となる。優先領域であるか否かの閾値は、ステップS503(連続性優先1)では第一の優先領域よりも上位であり、後述するステップS505(連続性優先2)では第二の優先領域よりも上位であるように、連続性優先を行うタイミングにより異ならせることができる。予測に対する所定範囲についても同様に、連続性優先を行うタイミングにより異ならせることが可能である。この場合、前段の連続性優先のほうが狭い所定範囲となるように設定される。測距結果が優先領域であり、かつ予測に対して所定範囲以内である場合、ステップS702へ進む。一方、測距結果が優先領域ではないか、または、予測に対して所定範囲以内でない場合、ステップS705へ進む。
【0049】
ステップS702において、カメラ制御部212は、仮主枠よりもステップS307にて算出した信頼性が高いか否かを判定する。信頼性が高いと判定された場合、ステップS704へ進み、カメラ制御部212は仮主枠を更新(決定)する。一方、信頼性が低いと判定された場合、ステップS703へ進む。ステップS703において、仮主枠と信頼性は同じであって、かつ仮主枠よりも予測に近いデフォーカスを算出していた場合、ステップS704へ進み、カメラ制御部212は仮主枠を更新(決定)する。一方、仮主枠と信頼性が同じではないか、または、仮主枠よりも予測に近いデフォーカスを算出していない場合、ステップS705へ進む。
【0050】
ステップS705において、カメラ制御部212は、ステップS701の判定を全測距枠に関して行ったか否かを判定する。判定が全測距枠に関して行われていない場合、ステップS701~S705を繰り返す。一方、全測距枠に関する判定が完了した場合、ステップS706へ進む。ステップS706において、カメラ制御部212は、優先領域内で仮主枠が決定しているか否かを判定する。仮主枠が決定されている場合、ステップS712へ進み、カメラ制御部212は、仮主枠を主枠として決定して本処理を終了する。一方、仮主枠が決定されていない場合、ステップS707へ進み、測距結果が予測に対して所定範囲以内であるか否かを判定する。前述のように、ここでの所定範囲は、ステップS701の所定範囲よりも広く設定することが可能である。なお、ステップS708~ステップS711はそれぞれ、ステップS702~ステップS705と同様のため、それらの説明を省略する。連続性優先は、被写体をとらえた後にその被写体に対して追従状態が続いている場合、特に予測を用いている場合に有効な選択方式となる。
【0051】
続いて、図5のステップS504において、カメラ制御部212は、ステップS502の至近優先またはステップS503の連続性優先1により決定された主枠が存在するか否かを判定する。主枠が存在する場合、本処理を終了する。一方、主枠が存在しない場合、ステップS505の連続性優先2へ進む。ステップS505の連続性優先2は、前述したように優先領域の考え方と予測に対する所定範囲内とする閾値が異なるものであり、処理の流れは同様のため、その説明は省略する。
【0052】
以上の測距枠選択による結果を、図8の例で、ステップS206の予測演算処理により算出された予測位置は「35」であるものとして考える。仮にステップS501の処理がない場合、至近優先によって第一の優先領域で最も至近のデフォーカスを算出している測距枠801が主枠として選択される。
【0053】
被写体が大きく至近方向に動いた場合や、至近の被写体をフレーミングし直した場合、「3」というデフォーカス結果をもとにレンズ駆動することに問題はない。しかし、この例のような場合、この測距枠は低コントラストの測距枠であるため、バラつきによる結果である可能性が高く、この測距枠を主枠としてフォーカスレンズを駆動した場合、「35」に対する連続性が低いため、ピント追従が不安定になる可能性がある。しかし、ステップS501の処理で低コントラスト枠の割合が所定以上であると判定できれば、連続性優先によって、測距枠802を選択可能となり、連続性のある安定したフォーカスレンズ駆動を行うことができる。
【0054】
以上のように、本実施形態において、制御装置(カメラ本体200)は、算出手段(AF信号処理部204)および選択手段(AF制御部2121)を有する。算出手段は、表示枠(測距表示枠)に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出する。選択手段は、複数の測距枠から、AF制御に用いられる一つのデフォーカス量に対応する一つの測距枠を選択する。また選択手段は、低コントラスト枠(コントラスト検出処理により低コントラストと判定された枠)の数が複数の測距枠の数に占める割合に基づいて、一つの測距枠を選択するためのAF動作を変更する。好ましくは、選択手段は、前記割合が所定の割合以上であるか否かに基づいて、AF動作を変更する。より好ましくは、選択手段は、前記割合が所定の割合以上である場合、AF動作を至近優先方式から他の優先方式(例えば、連続性優先方式)へ変更する。なお、他の優先方式は、例えば連続性優先方式であるが、これに限定されるものではない。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、高コントラストおよび低コントラストの測距結果の割合に応じて自動焦点調整動作(AF動作)を切り替えることで、安定した自動焦点調整動作が可能となる。
【0056】
(第二の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。図9は、本実施形態における至近優先を示すフローチャートである。図9は、ステップS903にて高コントラストの測距枠を優先して選択する点で、図6と異なる。
【0057】
コントラストが高いか否かの判定は、その数値の大小で判定してもよう、または、高コントラストまたは低コントラストと判定した結果から、高コントラストと判定された結果を優先してもよい。第一の実施形態にて説明したように、ステップS901にて至近方向の測距結果か否かの判定を行う。このため、ステップS903にて高コントラストの測距枠の優先度を高くしても、背景方向のコントラストが高い被写体などにピントが合うことを防ぐことができる。以上の至近優先による選択結果を、図8の例で考えると、第一の優先領域に含まれる高コントラスト枠の中で、最至近のデフォーカスを算出しているのは測距枠803の「31」である。
【0058】
本実施形態において、選択手段(AF制御部2121)は、低コントラスト枠よりも高コントラスト枠を優先させるように、一つの測距枠を選択するためのAF動作を行う。好ましくは、AF動作は、至近優先方式である。また好ましくは、選択手段は、複数の測距枠を、第一の優先領域および第二の優先領域の少なくとも二つの優先領域に区分する。
【0059】
以上説明したように、ステップS501にて低コントラスト枠の割合が所定の割合以下であると判定された場合でも、第一の優先領域に高コントラストの測距枠が存在すれば、バラつきの小さい測距枠の中から最至近の測距結果を選択することができる。このように本実施形態によれば、高コントラストの測距結果を優先することで、安定した自動焦点調整動作(AF動作)が可能となる。
【0060】
(第三の実施形態)
次に、図10および図11を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。図10は、本実施形態における測距枠選択(測距枠の選択方法)を示すフローチャートである。図11は、測距枠の選択方法の一例を示す図である。図11(a)は、ステップS202における焦点検出処理の結果の一例とその際の測距枠選択の一例の説明図であり、図4(b)と対応する。図11(b)は、図4(d)と対応する。
【0061】
各測距枠内に記載されている数値はデフォーカス量を表しており、数値が小さいほど至近のデフォーカスを示している。また、斜線で表現されている測距枠はステップS307の信頼性算出によって、高信頼性と判定された測距枠を示している。高信頼性とは「フォーカスOK」、「デフォーカスOK」、「方向OK」、「NG」のうち、「フォーカスOK」と「デフォーカスOK」のことを言い、後述するステップS1002とステップS1003の信頼性が所定以上であることと等価であることとする。図11(a)の例では、全25枠中17枠が高信頼性、8枠が低信頼性と判定され、図11(b)の例では全81枠中57枠が高信頼度、24枠が低信頼度と判定されていることを表現している。
【0062】
まず、図10のステップS1001において、カメラ制御部212は、図6の至近優先で仮主枠を決定する。図11の例では、第一の優先領域で再至近のデフォーカス量を算出している測距枠1101が主枠となる。
【0063】
続いてステップS1002において、カメラ制御部212は、ステップS1001にて主枠が決定されており、かつ、選択された主枠の信頼性が所定の信頼性以上であるか否かを判定する。主枠が存在し、かつ信頼性が所定の信頼性以上である場合、ステップS1004へ進む。一方、主枠が存在しないか、または信頼性が所定の信頼性未満である場合、ステップS1003へ進む。図11(a)の例では、測距枠1101の信頼性は所定の信頼性未満であるため、ステップS1003へ進む。
【0064】
ステップS1003において、カメラ制御部212は、信頼性が所定の信頼性以上と判定された枠の数が、表示枠内の全測距枠に占める割合が所定の割合以上であるか否かを判定する。信頼性が所定の信頼性以上と判定された枠の数が、表示枠内の全測距枠に占める割合が所定の割合以上である場合、ステップS1005へ進む。一方、信頼性が所定の信頼性以上と判定された枠の数が、表示枠内の全測距枠に占める割合が所定の割合未満である場合、ステップS1004へ進む。例えば、所定の割合を6割以上とした場合、図11(a)の測距結果を例にすると、高信頼性枠の割合は68%のため、ステップS1005へ進む。
【0065】
ステップS1005において、カメラ制御部212は、図7を参照して説明した連続性優先2で主枠を決定する。連続性優先では、高信頼性の測距枠の中から最も予測に近いデフォーカス量を算出している測距枠が選択される。予測位置を「30」として図11(a)を例にすると、測距枠1102が主枠となる。
【0066】
また、図11(b)の測距結果のように第三優先領域まで存在する場合を例にすると、ステップS1003では、第一~第三優先領域までを含む全測距結果に対する割合で判定をし、高信頼度枠の割合は70%となるため、同様にステップS1005へ進む。ステップS1005の連続性優先2では、ステップS701で第二の優先領域が優先されるため、第二の優先領域に予測範囲内に含まれる測距結果がなかった場合に初めて、第三優先領域から主枠が決定される。
【0067】
以上のように、第一の優先領域に対しては至近優先が、第二、第三優先領域では同様に連続性優先が適応されるが、連続性優先においては第二の優先領域の結果が優先される。なお、ステップS1001から信頼性の高い測距枠を優先させないのは、ボケた被写体は信頼性が低くなりやすいためである。ピントの初期位置が背景である場合や、一度背景にピントが合った後に、至近側のボケた被写体にピントを合わせたい場合、その被写体に対するデフォーカスを算出している測距枠を選択することができない。
【0068】
以上のように、本実施形態において、算出手段は、表示枠に対応する領域を分割した複数の測距枠に対応する複数のデフォーカス量をそれぞれ算出するとともに、複数のデフォーカス量のそれぞれの信頼性を算出する。表示枠に対応する領域は、第一の優先領域と第二の優先領域の少なくとも二つの優先領域を有する。選択手段は、第一の優先領域から選択された信頼性が所定の信頼性よりも低く、信頼性が所定の信頼性よりも高い枠が表示枠に対応する領域に所定の割合以上含まれる場合、一つの測距枠を選択するためのAF動作を変更する。好ましくは、選択手段は、AF動作を至近優先方式から他の優先方式へ変更する。なお、他の優先方式は、例えば連続性優先方式であるが、これに限定されるものではない。また好ましくは、選択手段は、至近優先方式を第一の優先領域において行い、連続性優先方式を第二の優先領域において行う。
【0069】
このように本実施形態では、第一の優先領域から選択した測距結果の信頼性が所定の信頼性以下であり、信頼度が所定の信頼性以上の枠が1つの測距表示枠に対応する領域に所定割合以上含まれる場合に自動焦点調整動作(AF動作)を切り替える。このため本実施形態によれば、安定した自動焦点調整動作が可能となる。
【0070】
(第四の実施形態)
次に、図12を参照して、本発明の第四の実施形態について説明する。図12は、本実施形態における測距枠選択(測距枠の選択方法)を示すフローチャートである。
【0071】
まずステップS1201において、カメラ制御部212は、被写体距離が所定の距離以上離れているか、または被写体捕捉前の状態であるか否かを判定する。被写体距離が所定の距離以上離れているか、または被写体補足前の状態である場合、ステップS1202へ進む。一方、被写体距離が所定の距離以上離れておらず、かつ被写体補足前の状態でない場合、ステップS1206へ進む。
【0072】
ステップS1202において、カメラ制御部212は、被写体捕捉中であるか否かを判定する。ここで被写体捕捉中という状態は、主要被写体に対するピントが所定の焦点深度内である状態が、所定期間、または所定回数以上継続した後の状態のことをいう。被写体補足中である場合、ステップS1203へ進む。一方、被写体補足中でない場合、ステップS1204へ進む。
【0073】
ステップS1203において、カメラ制御部212は、図5のステップS501と同様の判定を行い、ステップS1204の至近優先かステップS1205の連続性優先に進む。なお、ステップS1204の至近優先は図9を参照して説明した内容と同様であり、ステップS1205の連続性優先は図7を参照して説明した内容と同様である。以降のステップS1206~S1209の処理はそれぞれ、図10のステップS1002~S1005にて説明した処理と同様である。
【0074】
本実施形態では、被写体距離と被写体捕捉状態の判定を追加している。至近優先は、SW1開始直後でまだ被写体を捉えていない状態や、ピントが遠方にある状態から手前にいる被写体にピントを合わせたいような場合に有効な選択方式である。連続性優先は、被写体をとらえた後その被写体に対して追従状態が続いている場合、特に予測を用いているような場合に有効な選択方式である。
【0075】
また各実施形態において、好ましくは、選択手段は、被写体距離が所定の距離以上の場合、AF動作を変更する。また好ましくは、選択手段は、被写体を捕捉している場合、AF動作を変更する。また好ましくは、連続性優先方式において連続性があると判定される閾値は、第一の優先領域と第二の優先領域とで異なる。また好ましくは、連続性優先方式において連続性があると判定される閾値は、第一の優先領域のほうが第二の優先領域よりも小さい。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0077】
各実施形態によれば、サーボモードにおいて、高コントラストおよび低コントラストの測距結果の割合に応じてAF動作を切り替えることができる。このため各実施形態によれば、安定した自動焦点調整動作を行う制御装置、撮像装置、制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
200 カメラ本体(制御装置)
204 AF信号処理部(算出手段)
2121 AF制御部(選択手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12