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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】吊金具
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/66 20060101AFI20240805BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B66C1/66 P
F16B45/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020098792
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021191714
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正次
(72)【発明者】
【氏名】矢野 喜明
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-261283(JP,A)
【文献】実開昭53-093869(JP,U)
【文献】実開昭51-017975(JP,U)
【文献】特開2018-178475(JP,A)
【文献】実開昭50-073166(JP,U)
【文献】実開平03-080081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00- 3/20
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚重機のフックと吊上対象物との間に配置する溶接式の吊金具であって、
前記フックに直接若しくは間接的に吊下げられる保持部材と、前記吊上対象物の表面形状に沿って配置され、前記吊上対象物と前記保持部材とを溶接部を介して連結するための複数の接合部材と、を備え
前記保持部材が筒状若しくは柱状であり、前記接合部材が平板状であり、
前記保持部材の外周面と、前記接合部材の平面方向と、が交差するように配置した吊金具。
【請求項2】
前記保持部材及び前記接合部材が平板形状であり、
前記保持部材の平面方向と、前記接合部材の平面方向と、が交差するように配置した請求項1記載の吊金具。
【請求項3】
複数の前記接合部材を、前記保持部材を挟んで対向するように配置した請求項2記載の吊金具。
【請求項4】
複数の前記接合部材を、前記保持部材の外周を囲繞するように配置した請求項記載の吊金具。
【請求項5】
前記保持部材の端部と前記吊上対象物とを溶接部を介して連結する補助接合部材を備えた請求項1~の何れかの項に記載の吊金具。
【請求項6】
前記保持部材が前記吊上対象物から離れるに連れて縮幅した部分を有する請求項1,2,の何れかの項に記載の吊金具。
【請求項7】
前記保持部材が複数の平板材で形成された請求項1,2,の何れかの項に記載の吊金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚重機のフックと吊上対象物との間に配置する吊金具に関し、詳しくは、重量が100t~1000t程度の吊上対象物と揚重機のフックとの間に配置する吊金具に関する。
【背景技術】
【0002】
揚重量を使用して重量物を吊上げる場合、一般に、揚重機のフックと吊上対象物との間には玉掛けワイヤが配置されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1,2に記載されているように、玉掛けワイヤは、ワイヤの両端をリング状に湾曲させ、ワイヤの端部とワイヤ本体とをクランプで一体的に結合することにより形成されている。
【0003】
従来、玉掛け作業者は、吊上対象物の重量や形状に応じた外径、長さを有する玉掛けワイヤを選択して使用し、大重量の吊上対象物を吊上げる場合は、複数の玉掛けワイヤを組み合わせて使用することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-73182号公報
【文献】登録実用新案第3051164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、特許文献1,2などに記載されている玉掛けワイヤは揚重機を使用した吊上作業において広く使用されているが、吊上対象物がワイヤを掛け難い形状(例えば、球体形状、半球形状、球体形状に近い多面体形状など)あるいは引っ掛けたワイヤが滑って抜け易い形状である場合、玉掛けワイヤのみで吊り上げるのは不可能であり、玉掛けワイヤと吊上対象物との間に何らかの治具を介在させる必要がある。
【0006】
また、吊上対象物の重量が大きくなると大外径の玉掛けワイヤを使用しなければならないが、大外径のワイヤは曲げ難いので、玉掛けワイヤの製造工程においてワイヤの両端に的確なサイズのリング部を形成する作業も困難となる。また、大外径の玉掛けワイヤはそれ自体の重量も大きくなるので、取り扱い性が悪くなる。
【0007】
例えば、重量が500tの吊上対象物と揚重機のフックとの間に2本の玉掛けワイヤを配置して吊り上げようとする場合、外径が175mm程度のワイヤが必要であるが、このような大外径のワイヤの両端に形成可能なリング部の最小曲げ半径は2800mm程度になるため、取り扱い性が悪く、吊上対象物の上部に広い空間を確保する必要がある。また、大外径のワイヤや端末金具が特注品となるのでコストが上昇する。
【0008】
また、ワイヤが大径になると、ワイヤの両端に形成されるリング部の外径並びに二つのリング部間の直線距離が正確な玉掛けワイヤを形成することが難しくなるため、同一サイズで同一形状の玉掛けワイヤを量産することが困難である。このため、大径ワイヤで形成された複数の玉掛けワイヤを使用して吊上対象物を吊り上げる場合、複数の玉掛けワイヤ間のサイズや形状のバラつきなどにより、吊り上げられた吊上対象物を安定姿勢に保つことが困難となることがある。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、玉掛けワイヤを使用することなく、重量100t~1000t程度の吊上対象物を容易且つ安全に吊上可能であり、吊上対象物の表面に凹凸、曲面、段差、傾斜などがあっても安全に吊上可能な吊金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る吊金具は、揚重機のフックと吊上対象物との間に配置する溶接式の吊金具であって、
前記フックに直接若しくは間接的に吊下げられる保持部材と、前記吊上対象物の表面形状に沿って配置され、前記吊上対象物と前記保持部材とを溶接部を介して連結するための複数の接合部材と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記吊金具においては、前記保持部材及び前記接合部材が平板形状であり、
前記保持部材の平面方向と、前記接合部材の平面方向と、が交差するように配置することができる。
【0012】
前記吊金具においては、複数の前記接合部材を、前記保持部材を挟んで対向するように配置することができる。
【0013】
前記吊金具においては、前記保持部材が筒状若しくは柱状であり、前記接合部材が平板状であり、
前記保持部材の外周面と、前記接合部材の平面方向と、が交差するように配置することもできる。
【0014】
前記吊金具においては、複数の前記接合部材を、前記保持部材の外周を囲繞するように配置することもできる。
【0015】
前記吊金具においては、前記保持部材の端部と前記吊上対象物とを溶接部を介して連結する補助接合部材を設けることもできる。
【0016】
前記吊金具においては、前記保持部材が前記吊上対象物から離れるに連れて縮幅した部分を有するようにすることもできる。
【0017】
前記吊金具においては、前記保持部材を複数の平板材で形成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、玉掛けワイヤを使用することなく、重量100t~1000t程度の吊上対象物を容易且つ安全に吊上可能であり、吊上対象物の表面に凹凸、曲面、段差、傾斜などがあっても安全に吊上可能な吊金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略正面図である。
図2図1中のA-A線における一部省略断面図である。
図3】本発明の第二実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略正面図である。
図4】本発明の第三実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略側面図である。
図5】本発明の第四実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略斜視図である。
図6】本発明の第五実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略斜視図である。
図7】本発明の第六実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略斜視図である。
図8】本発明の第七実施形態である吊金具を吊上対象物に取り付けた状態を示す一部省略斜視図である。
図9図8中の矢線B方向から見た一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図9に基づいて、本発明の実施形態である吊金具10,20,30,40,50,60,70について説明する。なお、吊金具20,30,40,50,60,70の構成部分において図1図2に示す吊金具10の構成部分と共通する部分については図1図2中の符号と同符号を付して説明を省略することがある。
【0021】
初めに、図1図2に基づいて、本発明の第一実施形態である吊金具10について説明する。吊金具10は、重量100t~1000t程度の吊上対象物Gを、揚重機(図示せず)を使用して吊り上げる場合に、揚重機のフックFと吊上対象物Gとの間に配置する金属製の器具である。
【0022】
吊金具10は、フックFに吊下げられる保持部材1と、吊上対象物Gの表面Gaの形状に沿って配置され、吊上対象物Gと保持部材1とを溶接部W1,W2を介して連結するための複数の接合部材2と、を備えている。
【0023】
保持部材1及び接合部材2は平板形状の金属板で形成され、図1に示すように、保持部材1は吊上対象物Gから離れるに連れて縮幅した部分(山形部分)を有している。図2に示すように、接合部材2は不等辺五角形状をなしている。保持部材1は底辺部1bを吊上対象物Gの表面Gaに向け、表面Gaと底辺部1bと間に所定距離の隙間Sを設けた状態で配置されている。保持部材1において、底辺部1bと対向する頂点部1a寄りの部分には揚重機のフックFを引き掛けるための貫通孔1cが開設されている。
【0024】
保持部材1の平面方向と、接合部材2の平面方向と、は互いに交差(直交)するように配置され、複数の接合部材2は、それぞれ保持部材1を挟んで対向するように配置されている。保持部材1と接合部材2とは縦方向に延びる溶接部W1によって接合され、接合部材2と吊上対象物Gとは横方向に延びる溶接部W2によって接合されている。
【0025】
吊金具10は、保持部材1と複数の接合部材2とを作業現場に搬入し、保持部材1と接合部材2とを溶接部W1によって接合し、接合部材2と吊上対象物Gとを溶接部W2によって接合することによって形成することができる。吊上対象物Gの外形寸法、形状などを事前に調査することができない場合であっても、作業現場にて複数の構成部材(保持部材1と接合部材2)を吊上対象物Gに対して溶接することによって強固な吊金具10を形成することができる。
【0026】
図1に示すように、溶接部W1,W2を介して吊上対象物Gの表面Gaに接合された状態にある吊金具10の保持部材1の貫通孔1cに揚重機のフックFを引き掛けた後、揚重機を作動させてフックFを上昇させれば、吊上対象物Gを容易且つ安全に吊り上げることができる。
【0027】
保持部材1と複数の接合部材2は吊上対象物Gの重量並びに表面Gaの状態に応じたサイズ、形状に形成するが、保持部材1及び接合部材2の原材料である金属板の加工は、大径ワイヤのリング部の曲げ加工に比べ容易かつ高精度で行うことができるので、吊上対象物Gに的確に対応した吊金具10を形成することができる。
【0028】
このように、吊金具10を使用すれば、玉掛けワイヤを使用することなく、重量100t~1000t程度の吊上対象物Gを容易且つ安全に吊り上げることができる。
【0029】
次に、図3に基づいて、本発明の第二実施形態である吊金具20について説明する。
【0030】
図3に示すように、吊金具20は吊上対象物Gの表面Gaに取り付けられている。吊上対象物Gの表面Gaには、保持部材1の底辺部1bの長手方向に沿って不規則な形状の凹凸や段差などがあるが、複数の接合部材2を配置するそれぞれ部分における保持部材1の底辺部1bと吊上対象物Gの表面Gaとの実際の距離に応じた縦方向の長さを有する接合部材2を配置して溶接することにより、保持部材1と吊上対象物Gとを強固に連結することができる。
【0031】
吊金具20においては、吊上対象物Gの表面Gaの形状に沿って配置された複数の接合部材2が、それぞれ吊上対象物Gと保持部材1とを溶接部W1,W2を介して連結するので、吊上対象物Gの表面Gaに凹凸、曲面、段差、傾斜などがあっても安全に吊り上げることができる。また、吊金具20においては、保持部材1の両端部と吊上対象物Gとを溶接部W3,W4を介して連結する補助接合部材22,22を設けているので、保持部材1と吊上対象物Gとの連結強度の向上に有効である。
【0032】
次に、図4に基づいて、本発明の第三実施形態である吊金具30について説明する。
【0033】
図4に示す吊金具30は吊上対象物Gの表面Gaに取り付けられている。吊上対象物Gの表面Gaには、保持部材1の底辺部1bの長手方向と交差する方向に沿って円弧状をなす凹曲面部Gbあるが、複数の接合部材32の底辺部(溶接部W2で接合する部分)の長手方向の形状を、凹曲面部Gbの曲率に沿った凸曲面形状に加工して溶接することにより、保持部材1と吊上対象物Gとを強固に連結することができる。
【0034】
このように、吊金具30においては、吊上対象物Gの表面Gaの凹曲面部Gbの形状に沿って底辺部を加工して配置された複数の接合部材32が、それぞれ吊上対象物Gと保持部材1とを溶接部W1,W2を介して連結するので、吊上対象物Gの表面Gaに凹曲面部Gbがあっても安全に吊り上げることができる。
【0035】
次に、図5に基づいて、本発明の第四実施形態である吊金具40について説明する。
【0036】
図4に示す吊金具40においては、保持部材41が四角筒状であり、複数の接合部材42が平板状であり、保持部材41の底辺部41bは吊上対象物Gの表面Gaから離れた状態に配置されている。保持部材41の上面には溶接部W5を介して蓋体43が接合され、蓋体43の上面には、揚重機のフックFを引き掛けるための貫通孔1cを有する半円板形状の連結部材44が溶接部W6により起立姿勢で接合されている。
【0037】
保持部材41の外周面41aと各接合部材42の平面方向とは交差(直交)するように配置され、複数の接合部材42は保持部材41の外周を囲繞するように配置されている。保持部材41の外周面41aと接合部材42とは縦方向の溶接部W1により接合され、接合部材42と吊上対象物Gの表面Gaとは横方向の溶接部W2により接合されている。
【0038】
吊金具40の保持部材41が四角筒形状であることにより、複数の接合部材42を比較的狭い領域に集中して配列することができるため、吊上対象物Gの表面Gaが狭い場合においても、保持部材41と吊上対象物Gとを強固に連結して、安全に吊り上げることができる。
【0039】
次に、図6に基づいて、本発明の第五実施形態である吊金具50について説明する。
【0040】
図6に示す吊金具50においては、保持部材51が四角筒形状であり、複数の接合部材52が平板状であり、保持部材51の底辺部51bは吊上対象物Gの表面Gaから離れた状態に配置されている。保持部材51の上面には溶接部W5を介して蓋体53が接合され、蓋体53の上面には、揚重機のフックFを引き掛けるための貫通孔1cを有する半円板形状の連結部材54が溶接部W6により起立姿勢で接合されている。
【0041】
保持部材51の外周面51aと各接合部材52の平面方向とは交差(直交)するように配置され、複数の接合部材52は保持部材51の外周を囲繞するように配置されている。保持部材51の外周面51aと接合部材52とは縦方向の溶接部W1により接合され、接合部材52と吊上対象物Gの表面Gaとは横方向の溶接部W2により接合されている。
【0042】
吊金具50においては、四角筒形状の保持部材51の外周面51aのそれぞれに複数の接合部材52が配列されているので、図5に示す吊金具40よりも多くの接合部材52を狭い領域に集中して配列することができる。このため、大重量の吊上対象物Gの表面Gaが狭い場合においても、保持部材51と吊上対象物Gとを強固に連結して、安全に吊り上げることができる。
【0043】
次に、図7に基づいて、本発明の第六実施形態である吊金具60について説明する。
【0044】
図7に示す吊金具60においては、保持部材61が円筒形状であり、複数の接合部材62が平板状であり、保持部材61の底辺部61bは吊上対象物Gの表面Gaから離れた状態に配置されている。保持部材61の上面には溶接部W5を介して蓋体63が接合され、蓋体63の上面には、揚重機のフックFを引き掛けるための貫通孔1cを有する半円板形状の連結部材64が溶接部W6により起立姿勢で接合されている。
【0045】
保持部材61の外周面61aと各接合部材62の平面方向とは交差するように配置され、複数の接合部材62は保持部材61の外周を囲繞するように配置されている。保持部材61の外周面61aと接合部材62とは縦方向の溶接部W1により接合され、接合部材62と吊上対象物Gの表面Gaとは横方向の溶接部W2により接合されている。
【0046】
吊金具60の保持部材61が円筒形状であることにより、複数の接合部材52を比較的狭い領域に集中して配列することができるため、吊上対象物Gの表面Gaが狭い場合においても、保持部材61と吊上対象物Gとを強固に連結して、安全に吊り上げることができる。
【0047】
次に、図8図9に基づいて、本発明の第七実施形態である吊金具70について説明する。
【0048】
図8図9に示す吊金具70においては、保持部材71が複数の平板材71x,71yで形成されている。平板材71xは図1に示す吊金具10の保持部材1と同じ形状であり、平板材71yは平板材71xと同じ厚さであり、不等辺六角形状をなしている。平板材71x,71yは平面視形状が十字形状をなすように交差して連結され、平板材71x,71yの底辺部71xb,71ybは球体形状の吊上対象物Gの表面Gaから離れた状態に配置されている。なお、保持部材71は、平板材71x,71yの交差部分を溶接部W7で接合することによって形成されている。
【0049】
平板材71xの底辺部71xbの長手方向に沿って複数の接合部材72xが配列され、平板材71yの底辺部71ybの長手方向に沿って複数の接合部材72yが配列されている。複数の接合部材72xは平板材71xと交差(直交)するとともに平板材71xを挟んで対向する位置に配置されている。複数の接合部材72yは平板材71yと交差(直交)するとともに平板材71yを挟んで対向する位置に配置されている。
【0050】
平板材71xと接合部材72xは縦方向の溶接部W1により接合され、接合部材72xと吊上対象物Gの表面Gaとは横方向の溶接部W2により接合されている。平板材71yと接合部材72yは縦方向の溶接部W1により接合され、接合部材72yと吊上対象物Gの表面Gaとは横方向の溶接部W2により接合されている。
【0051】
図8図9に示すように、球体形状の吊上対象物Gの表面Gaは凸曲面をなしているので、保持部材71を構成する平板材71x,71yの底辺部71xb,71ybと吊上対象物Gの表面Gaとの距離は、底辺部71xb,71ybの長手方向の中央部分から端部に向かって離れるに連れて徐々に大きくなっているが、複数の接合部材72x,72yの縦方向の長さをそれぞれの配置位置に合わせて設定するとともに、それぞれの接合部材72x,72yの底辺部(溶接部W2で接合する部分)の長手方向の形状を吊上対象物Gの表面Gaの曲率に沿った凹曲面形状とすることにより、保持部材71と吊上対象物Gとを強固に連結することができる。
【0052】
図8図9に示すように、吊上対象物Gが球体形状である場合、玉掛けワイヤのみによる吊上作業は不可能に近いが、吊金具70を使用することにより、安全に吊り上げることができる。また、球体形状の吊上対象物Gは吊金具70を取り付けることができる領域が狭いが、保持部材71が複数の平板材71x,71yで形成され、吊上対象物Gの表面Gaと平板材71x,71yとの間に配置された複数の接合部材72x,72yがそれぞれ溶接部W1,W2を介して接合されているので、保持部材71と吊上対象物Gとを極めて強固に連結することができる。
【0053】
なお、図1図9に基づいて説明した吊金具10,20,30,40,50,60,70は、本発明に係る吊金具を例示するものであり、本発明に係る吊金具は、前述した吊金具10,20,30,40,50,60,70に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、重量100t~1000t程度の吊上対象物を吊り上げる作業を必要とする様々な産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1,41,51,61,71 保持部材
1a 頂点部
1b,41b,51b,61b,71xb,71yb 底辺部
1c 貫通孔
1d 縮幅した部分
2,32,42,52,72x,72y 接合部材
10,20,30,40,50,60,70 吊金具
22 補助接合部材
41a,51a,61a 外周面
43,53,63 蓋体
44,54,64 連結部材
F フック
G 吊上対象物
Ga 表面
Gb 凹曲面部
S 隙間
W1,W2,W3,W4,W5,W6,W7 溶接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9