(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240805BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240805BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240805BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/00 502
G03G21/16 161
G03G21/16 195
G03G21/14
G03G21/00 510
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2020102666
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上杉 拓志
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-077562(JP,A)
【文献】特開2012-111564(JP,A)
【文献】実開平04-022442(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/00
G03G 21/18
G03G 21/14
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成装置において、
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に構成された着脱ユニットと、
前記装置本体において搬送される記録材をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材にガイドされる前記記録材に接触しないときに第1位置にあり、前記記録材と接触すると第2位置に移動する第1移動部材と、
前記着脱ユニットと接触しないときに非
接触位置にあり、前記着脱ユニットと接触すると
接触位置に移動する第2移動部材と、
発光部と受光部とを備えた光学センサと、
前記発光部の光を前記受光部が受光することを許容する透過位置と、前記受光を遮る遮光位置と、に移動可能なフラグ部材と、
を備え、
前記フラグ部材は、前記第1移動部材が前記第1位置にあり、前記第2移動部材が前記
接触位置にあるときは、前記透過位置と前記遮光位置のいずれか一方の位置にあり、前記第1移動部材が前記第2位置にあるとき、または前記第2移動部材が前記非
接触位置にあるときは、前記透過位置と前記遮光位置のいずれか他方の位置にあ
り、
前記第2移動部材が前記接触位置にあるとき、前記第2移動部材と前記フラグ部材は接触していないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記フラグ部材は、
前記装置本体に対して回転可能に設けられており、
前記第1移動部材が前記第2位置にあるときは、前記一方の位置としての前記遮光位置から、第1の回転方向に回転して、前記他方の位置としての第1の透過位置へ移動し、
前記第2移動部材が前記非
接触位置にあるときは、前記一方の位置としての前記遮光位置から、前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転して、前記他方の位置としての第2の透過位置へ移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フラグ部材は、前記装置本体との間に設けられた付勢部材により、前記第1の回転方向に付勢されており、
前記第1移動部材は、前記ガイド部材に対して回転可能に設けられるとともに、前記フラグ部材に対して前記第2の回転方向に当接する第1係止部を有し、
前記第1係止部は、前記第1移動部材が前記第1位置にあるときは、前記第1移動部材と前記ガイド部材との間に設けられた付勢部材から前記第1移動部材が受ける付勢力により、前記フラグ部材が前記遮光位置に留まるように前記フラグ部材を係止し、前記第1移動部材が前記第1位置から前記第2位置へ移動することで、前記フラグ部材に対して前記第1の回転方向に移動し、前記フラグ部材が前記遮光位置から前記第1の透過位置へ移動することを許容することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2移動部材は、前記ガイド部材に対して回転可能に設けられるとともに、前記フラグ部材に対して前記第2の回転方向に当接する第2係止部を有し、
前記第2係止部は、前記第2移動部材が前記
接触位置にあるときは、前記フラグ部材と接触しないように前記フラグ部材に対して前記第1の回転方向に離間した退避位置にあり、前記第2移動部材が前記
接触位置から前記非
接触位置へ移動することで、前記退避位置から前記第2の回転方向に回転して前記フラグ部材と当接し、前記第2移動部材と前記ガイド部材との間に設けられた付勢部材から前記第2移動部材が受ける付勢力により、前記フラグ部材を前記第2の回転方向に回転させて前記第2の透過位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記第1係止部の前記第2の回転方向の移動が、前記フラグ部材を前記遮光位置に留める回転位相までで規制されるように、前記第1移動部材の回転を規制する規制部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1移動部材は、前記ガイド部材のガイド面から突出して記録材と接触する接触部を有し、
前記規制部は、前記接触部の前記ガイド面における移動を規制することで、第1移動部材の回転を規制することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1移動部材は、前記ガイド部材における記録材の搬送経路の搬送方向と直交する幅方向の一方の端部側に設けられた第1の接触部と、他方の端部側に設けられた第2の接触部と、を含み、前記第1の接触部と前記第2の接触部のいずれもが前記記録材と接触すると前記第2位置に移動することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の接触部と前記第2の接触部の前記幅方向の間隔は、前記ガイド部材がガイド可能な記録材のうち最大サイズの記録材の幅に対応していることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記着脱ユニットは、記録材の画像の形成に用いられるトナーを収容するトナーカートリッジであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記着脱ユニットは、記録材を収容するカセットであることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置を制御する制御部であって、前記受光部の前記光の受光状態から検知される前記フラグ部材の位置に基づいて、前記着脱ユニットの有無と、前記ガイド部材にガイドされる前記記録材の大きさと、を検知する制御部を備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、画像形成装置の電源が投入されて最初に検知される前記フラグ部材の位
置が前記他方の位置の場合には、前記着脱ユニットが前記装置本体に装着されていない、または、前記ガイド部材に前記記録材が残留している、のいずれかの状態であると判断することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、画像形成装置の電源が投入されて最初に検知される前記フラグ部材の位置が前記一方の位置の場合には、画像形成動作の準備が完了した状態であると判断することを特徴とする請求項11又は12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置におけるシートの幅方向の大きさの検知および着脱ユニットの有無を検知する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置において、シートの幅方向の大きさを検知する機構に関する特許として、特許文献1に記載の発明がある。特許文献1の装置は、搬送されたシートと接触することで移動する第一センサアームと、シートの移動方向と直交する長手方向で第一センサアームとは異なる位置に配置された第二センサアームを有している。また、第一、第二センサアームの両方に接続し、両方のセンサアームがシートとの接触により移動した場合にのみ移動可能に配置されたセンサフラグ、センサフラグの動作により発光部と受光部間の光路が透過と遮光に切り替わるフォトインタラプタを有している。第一センサアームと第二センサアームの間隔は、本件で定義される大サイズ紙の幅より狭く、小サイズ紙の幅より広く配置されている。大サイズ紙が搬送された時には、シートとの接触により第一、第二両方のセンサアームが移動することでセンサフラグが移動して、フォトインタラプタの信号が遮光から透過へと切り替わり、大サイズ紙が搬送されていることを検知する。小サイズ紙が搬送された時には、シートの幅が二つのセンサアームの配置間隔より狭く、いずれのセンサアームにも接触しないためセンサフラグが移動せず、フォトインタラプタの信号の遮光状態が維持され、搬送されたシートが小サイズ紙であることを検知できる。なお、シートが搬送経路の中央ではなく、どちらか一方に片寄せされた状態で搬送された場合、シートとの接触により片寄された側のセンサアームが移動する場合がある。このときは、接触していないもう一方のセンサアームは移動しないため、センサフラグは移動せず、フォトインタラプタの信号の遮光状態が維持されることで、搬送されたシートが小サイズ紙であることを検知できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシートサイズ検知装置では、センサの一種であるフォトインタラプタを用いてシートサイズの検知を行っている。画像形成装置においては、フォトインタラプタを用いた同様のセンサが、他の検知手段にも用いられる。例えば、開閉可能なドアの開状態・閉状態を検知する開閉検知機構、シートを積載するカセットやトナーカートリッジなどの装置本体に対して挿抜可能な着脱ユニットの挿入状態・非挿入状態を検知する機構などである。これらの検知機構には、それぞれセンサが設けられ、各用途に合わせた検知を行うが、機能の数だけセンサが増加し、構成の複雑化やコストアップに繋がっていた。
【0005】
本発明は、専用のセンサを設けることなく、一つのセンサで、シートの幅方向の大きさの検知と、着脱ユニットの有無の検知と、を可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、
装置本体と、
前記装置本体に着脱可能に構成された着脱ユニットと、
前記装置本体において搬送される記録材をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材にガイドされる前記記録材に接触しないときに非通紙位置にあり、前記記録材と接触すると通紙位置に移動する第1移動部材と、
前記着脱ユニットと接触しないときに非接触位置にあり、前記着脱ユニットと接触すると接触位置に移動する第2移動部材と、
発光部と受光部とを備えた光学センサと、
前記発光部の光を前記受光部が受光することを許容する透過位置と、前記受光を遮る遮光位置と、に移動可能なフラグ部材と、
を備え、
前記フラグ部材は、前記第1移動部材が前記第1位置にあり、前記第2移動部材が前記接触位置にあるときは、前記透過位置と前記遮光位置のいずれか一方の位置にあり、前記第1移動部材が前記第2位置にあるとき、または前記第2移動部材が前記非接触位置にあるときは、前記透過位置と前記遮光位置のいずれか他方の位置にあり、
前記第2移動部材が前記接触位置にあるとき、前記第2移動部材と前記フラグ部材は接触していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート幅の検知と着脱ユニットの有無の検知を行うための光学センサを兼用することが可能になる。これにより、画像形成装置の構成の簡素化およびコストダウンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の実施例1のシート幅および着脱ユニット有無検知機構の正面斜視図
【
図3】本発明の実施例1のシート幅および着脱ユニット有無検知機構の背面斜視図
【
図5】本発明の実施例1のセンサフラグおよび着脱ユニット有無検知機構の正面斜視図
【
図6】本発明の実施例1の装置起動からシート幅判断までのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
(実施例1)
図1~
図6を参照して、本発明の実施例1に係る画像形成装置に備えられたシート幅および着脱ユニット有無検知機構について説明する。
【0011】
<画像形成装置>
図1を参照して、本発明の実施例1に係る画像形成装置について説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【0012】
本実施例に係る画像形成装置1において、
図1に示すように、カセット30に収容された記録材としてのシートSは、シートSを画像形成装置1に設けられた給紙部2の位置までシートSを上昇させる、シート上昇手段3上にセットされる。本実施例に係る画像形成装置1において、シート上昇手段3に配置されたシートSに印刷を行う場合、シートSは給紙部2から搬送ローラ対4を通過して転写部5に至り、画像形成を行った後、定着部6を経る搬送経路を通り排紙部7より排紙トレイ8に排出される。画像形成装置1の各種動作を制御する制御部としてのコントローラ20は、後述するシート幅および着脱ユニット
有無検知機構により、光学センサの受光状態に基づいて、シート幅の検知と着脱ユニットの有無とを検知する。
【0013】
<シート幅および着脱ユニット有無検知機構>
図2および
図3を参照して、実施例1に係るシート幅および着脱ユニット有無検知機構の概略構成について述べる。
図2は、
図1の画像形成装置1においてXで示した範囲を、本体正面側である矢印A側の斜め方向から見た斜視図であり、シート幅検知手段を含む搬送路を示している。
図3は、Xで示した範囲を本体背面側である矢印B側の斜め方向から見た斜視図であり、本実施例に係るシート幅検知手段および着脱ユニット有無検知機構を示している。
【0014】
図2のPは搬送ローラ対4から転写部5に至るシートSの搬送路であり、L1は小サイズシートの搬送領域、L2は大サイズシート(ガイド可能な最大サイズ)の搬送領域を示している。この搬送路Pにおいて、小サイズシートL1と大サイズシートL2の2種類のシートSの幅方向(搬送方向Cと直交する方向)の中心が、搬送路Pの搬送基準O-O‘と一致するように搬送されるものとする。
【0015】
図3の第一レバー10および第二レバー11は、ガイド部材としての搬送ガイド13の第一レバー保持部13aおよび第二レバー保持部13bにより回転可能に保持されており、搬送方向Cと直交する方向において搬送基準O-O‘を挟んで異なる位置に配置される。また、第1移動部材としての第一レバー10および第二レバー11は、付勢部材としてのレバーバネ14により矢印aの方向に付勢され、
図2中の搬送ガイド13に設けられた回転止め13cにより回動力を係止される。
【0016】
図2において、搬送ガイド13のガイド面13から突出する第一レバー10または第二レバー11のある領域にシートSが搬送されると、シートSが、幅方向の一方の端部側の第一レバー10の接触部10a、あるいは他方の端部側の第二レバー11の接触部11aに接触(当接)する。シートSに押されることで、第一レバー10または第二レバー11は矢印aと逆方向に回動する。シートSの通過が終了すると、第一レバー10または第二レバー11は、レバーバネ14の付勢力により矢印aの方向に回動し、規制部としての搬送ガイド13の回転止め13cに接触することで係止される。この回転止め13cは、第一レバー10と第二レバー11の回転移動可能な範囲をセンサフラグ12が所定の遮光位置に留まる回転位相までで規制する規制部として機能する。
【0017】
図3および
図4を用いて、フラグ部材としてのセンサフラグ12の動作について説明する。
図4は、
図3におけるセンサフラグ12とフォトインタラプタ16の周辺を拡大した斜視図である。センサフラグ12は、搬送ガイド13のセンサフラグ保持部13dにより回動可能に保持され、付勢部材としてのセンサフラグバネ15により矢印a(第2の回転方向)とは逆方向の矢印bの方向(第1の回転方向)に付勢される。また、アーム12aにおいて第一レバー10の係止部10bに接触することで矢印b方向の回動力を係止され、さらにアーム12bにおいて第二レバー11の係止部11bに接触することでアームa部と同様に矢印b方向の回動力を係止されている。
【0018】
搬送路Pにおいて、大サイズシートL2が搬送されると、シートSの先端が第一レバー10および第二レバー11の接触部10aおよび接触部11aに接触する。これにより、第一レバー10および第二レバー11の両方が矢印aとは逆方向に回動し、アーム12aおよびアーム12bでのセンサフラグ12の回動力の係止が解除される。このとき、センサフラグ12はセンサフラグバネ15の付勢力により、第一レバー10および第二レバー11とともに矢印bの方向に回動する。センサフラグバネ15の付勢力によるセンサフラグ12の矢印bの方向の回動力は、レバーバネ14の付勢力による第一レバー10の矢印
aの方向の回動力、第二レバー11の矢印aの方向の回動力のいずれに対しても小さい。
【0019】
したがって、第一レバー10および第二レバー11の両方が矢印aとは逆方向に回動してはじめて、センサフラグ12は矢印bの方向に回動可能であり、第一レバー10または第二レバー11のどちらか一方のみが矢印aとは逆方向に回動しても、アーム12aあるいはアーム12bのいずれか一方は、第一レバー10の係止部10bまたは第二レバー11の係止部11bにより係止されたままであるため、センサフラグ12は矢印bの方向に回動することはない。
【0020】
図4(a)は、第一レバー10および第二レバー11が搬送ガイド13の回転止め13cに係止された状態におけるセンサフラグ12の位置(遮光位置)を表している。センサフラグ12の遮光部12cが、光学センサとしてのフォトインタラプタ16の光軸16aを遮断することで、フォトインタラプタ16の信号は「遮光(OFF)」になる。このときの第一レバー10、第二レバー11の位置を「第1位置」とし、センサフラグ12の位置を「待機位置」(非通紙位置)とする。
【0021】
図4(b)は搬送路Pに大サイズシートL2が搬送され、第一レバー10および第二レバー11が
図3中の矢印aとは逆方向に回動し、センサフラグ12が矢印bの方向に回動した状態(第1の透過位置にある状態)を表している。このとき、センサフラグ12の遮光部12cは、フォトインタラプタ16の光軸16aから離れた位置にあり、光軸16aを遮断しないため、受光部による発光部の光の受光が許容され、フォトインタラプタ16の信号は「透過(ON)」となる。このときの第一レバー10、第二レバー11の位置を「第2位置」とし、センサフラグ12の位置を「通紙位置」とする。
【0022】
大サイズシートL2が通過している間は、第一レバー10の接触部10aおよび第二レバー11の接触部aがシートSに接触し続けることで第一レバー10および第二レバー11の回動状態が維持されるため、フォトインタラプタ16の信号は「透過(ON)」を維持する。このように、フォトインタラプタ16の信号の「遮光(OFF)」から「透過(ON)」への変化から、大サイズシートL2が搬送されていることを検知できる。
【0023】
大サイズシートL2が通過した後、第一レバー10および第二レバー11が通紙位置から待機位置へ戻ると、センサフラグ12は
図4(b)の通紙位置から
図4(a)の待機位置へと戻り、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」から「遮光(OFF)」へと戻る。また、小サイズシートL1が搬送された際には、第一レバー10および第二レバー11が回動しないことから、センサフラグ12の位置は
図4(a)待機位置のままであり、シートSが搬送路Pを通過中であっても、フォトインタラプタ16の信号の「遮光(OFF)」が維持されることで、小サイズシートL1が搬送されていることを検知できる。以下の表1に本実施例における、第一レバー10、第二レバー11、センサフラグ12のそれぞれの位置状態における、フォトインタラプタ16の信号の組み合わせを示す。
【0024】
【0025】
図3と
図5を参照して、トナーカートリッジ9などの着脱ユニットの有無を検知する機
構の構成と動作について説明する。
図5は、センサフラグ12、フォトインタラプタ16、第三レバー17について、本体正面側である矢印A側の斜め方向から見た斜視図である。
【0026】
図3に示すように、第2移動部材としての第三レバー17は、搬送ガイド13の第三レバー保持部13eにより回動可能に保持され、第三レバーバネ18により矢印cの方向に付勢される。
図5(a)は待機位置(装着位置)におけるセンサフラグ12および第三レバー17の関係を示している。
【0027】
トナーカートリッジ9が画像形成装置1に挿入されると、トナーカートリッジ9の押圧部9aが第三レバー17の検知部17aに接触して矢印Dの方向に押すことで、第三レバー17を矢印cとは逆方向の矢印dの方向に回動させる。これにより、接触部17bは、アーム12bから矢印bの方向(第1の回転方向)に離間した退避位置に移動する。このとき、センサフラグ12のアーム12bと第三レバー17の接触部17bは接触しないため、センサフラグ12はセンサフラグバネ15の付勢力により矢印bの方向に回転する。その結果、センサフラグ12は第一レバー10の接触部10aおよび第二レバー11の接触部11afにそれぞれ係止されるため、待機位置で停止し、フォトインタラプタ16の
信号は「遮光(OFF)」となる。
【0028】
次に、トナーカートリッジ9が挿入されていない時のセンサフラグ12と第三レバー17の動作について、
図5(b)を用いて説明する。
【0029】
トナーカートリッジが挿入されていない状態において、第三レバー17の検知部17aには、トナーカートリッジ9の押圧部9aからの押圧力が働かないため、第三レバーバネ18の付勢力により、第三レバー17は矢印cの方向に回動する。このとき、第三レバー17は、アーム17aにおいてセンサフラグ12のアーム12bに接触することで、センサフラグ12を矢印bとは逆方向の矢印eの方向(第2の回転方向)に回転させる。
【0030】
センサフラグ12が
図5(b)に示す搬送ガイド13の回転止め13fに接触すると、第三レバー17の矢印c方向の回転が係止される。このとき、センサフラグ12の遮光部12cが、フォトインタラプタ16の光軸16aから離れることで光軸16aの「遮光(OFF)」が解除され、フォトインタラプタ16の信号は「透過(ON)」となる。センサフラグ12が第三レバー17と接触して回動し、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」となった時の、第一レバー10、第二レバー11、センサフラグ12、第三レバー17の位置を「検知位置」(非装着位置)とする。
【0031】
図6および表2を参照して、本実施例におけるトナーカートリッジ9の挿入状態、非挿入状態の判断および、搬送されたシートSの幅方向のサイズ検知(L1、L2の判断)について説明する。
図6は、画像形成装置1に電源が投入された状態から、搬送されたシートSの幅方向のサイズの判断を行うまでのフローチャートである。表2は、
図6のフローチャートの各項目における、各要素の位置関係と、その状況に応じて画像形成装置1が下す判断についてまとめたものである。
図6のフローチャートの各項目番号(1)~(7)が表2の番号に対応している。
【0032】
【0033】
図6の(1)において画像形成装置1に電源が投入されると、画像形成装置1は(2)でフォトインタラプタ16の信号の状態を確認する。最初に検知されるフォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」であった場合、センサフラグ12が検知位置(
図5b)か通紙位置(
図4b)のいずれかにある、(3)の状態であることがわかる。この場合、次の二つの状況が想定される。
【0034】
<トナーカートリッジが挿入されていない>
トナーカートリッジ9が画像形成装置1に挿入されておらず、第三レバー17が検知位置にあることで、センサフラグ12が
図5(b)の矢印eの方向に検知位置(
図5b)まで回動し、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」になる。
【0035】
<画像形成装置内にシートが残留している>
外的要因や動作不良によりシートSの搬送中に画像形成装置1が停止し、搬送路PにシートSが残留・停止していると、第一レバー10および第二レバー11が、シートSに押されて
図3の矢印aの方向と逆方向に回動する場合がある。その結果、第一レバー10および第二レバー11によるセンサフラグ12の係止が解除され、センサフラグ12が通紙位置(
図4b)まで矢印bの方向に回動し、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」になる。
【0036】
上述したように、
図6の(3)の状態を画像形成装置1が認識した場合には、操作者はトナーカートリッジを挿入する、あるいは装置内に残留しているシートSを取り除く作業を行う必要があり、画像形成装置1は表示部等を通じて、操作者にいずれかの作業を促すことができる。
【0037】
また、
図1に示すようなCパス形状の画像形成装置1では、トナーカートリッジ9の挿抜および残留しているシートSの取り出し動作のいずれの作業においても、装置前方に設けられた開閉式のドアを開ける必要がある。画像形成装置1の表示部等からの指示により開閉ドアを開けた時、操作者はトナーカートリッジ9の有無を目視で確認することができるため、トナーカートリッジ9が挿入されているにもかかわらず、印刷準備が完了していない場合には、即座にシートSが装置内に残留している状態であると判断することができる。
【0038】
図6の(2)でフォトインタラプタ16の信号の状態を確認した際に、信号が「遮光(OFF)」であった場合、センサフラグ12が待機位置(
図4a)にある、(4)の状態であることがわかる。これは、第一レバー10および第二レバー11が待機位置にあり、かつ第三レバー17が検知位置(
図5b)から待機位置(
図5a)まで回動している状況
に限定される。
【0039】
したがって、トナーカートリッジ9が画像形成装置1に挿入されており、かつ装置内に残留しているシートSが少なくとも第一レバー10および第二レバー11の回動軌跡範囲には存在しないことが確認できる。この状況においてはじめて、画像形成装置1は印刷準備(画像形成動作の準備)が完了したことを判断する。(4)の状態の後、印刷を開始してシートSが搬送路Pに到達すると、あらためてフォトインタラプタ16の信号の状態を確認する。このときシートSが、第一レバー10および第二レバー11の位置まで到達するのに十分な時間が経過しているのにもかかわらず、フォトインタラプタ16の信号が「遮光(OFF)」のままであった場合、画像形成装置1は通紙されたシートSが小サイズシートL1であると判断する。
【0040】
一方(5)において、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」であった場合、第一レバー10および第二レバー11がシートSに接触して回動し、係止が解除されたセンサフラグ12が通紙位置(
図4b)まで回動したことがわかる。したがって、画像形成装置1は通紙されたシートSが大サイズシートL2であると判断する。
【0041】
本実施例によれば、画像形成装置のシート幅および着脱ユニット有無検知機構において、以下の利点を有する。
【0042】
シート幅を検知する機構とシート幅の検知に対応したフォトインタラプタを備える画像形成装置において、トナーカートリッジ等の装置本体に対して着脱可能な着脱ユニットの有無を検知するレバー部材を設け、シート幅検知機構と連動させることで、新たに専用のフォトインタラプタを設けることなく着脱ユニットの有無を検知でき、画像形成装置の構成の簡素化およびコストダウンを実現できる。
【0043】
なお、本実施例では、
図6の(3)の状態において印刷準備が完了しない原因が、トナーカートリッジ9が挿入されていないためなのか、あるいは画像形成装置1の内部にシートSが残留しているためなのかを判断することができない。しかし、異なる目的で備えられた他のフォトインタラプタの信号状態と組み合わせることで、(3)の状況において画像形成装置1がどちらの状態にあるかを特定することができる。
【0044】
たとえば、搬送部Pの第一レバー10および第二レバー11がある範囲に、シートSの先端位置を検知するためのシート先端検知レバーと、それに対応したフォトインタラプタを備える画像形成装置が多い。(3)の状況において、シート先端位置検知用のフォトインタラプタの信号がシート先端検知レバーの通紙位置に対応した信号であるとき、シート先端検知レバーがシートSに接触して移動し、通紙位置にあることがわかる。したがって、フォトインタラプタ16の信号が「透過(ON)」なのは、トナーカートリッジ9が挿入されていないからではなく、搬送路P上にシートSが残留しているためであると判断できる。
【0045】
一方(3)の状況において、シート先端位置検知用のフォトインタラプタの信号が、シート先端検知レバーの待機位置に対応した信号であるとき、搬送路P上にシートSが残留している可能性は低く、トナーカートリッジ9が挿入されていない状態であると判断できる。
【0046】
本実施例では、一方の位置としての待機位置におけるフォトインタラプタ16の信号を「遮光(OFF)」、他方の位置としての通紙位置および検知位置におけるフォトインタラプタ16の信号を「透過(ON)」としたが、これに限定されない。センサフラグ12の遮光部12cの形状を変更することで、他方の位置としての待機位置を「透過(ON)
」、一方の位置としての通紙位置および検知位置を「遮光(OFF)」に割り当てることも可能である。
【0047】
本実施例では、画像形成装置1に着脱される着脱ユニットとしてトナーカートリッジ9を例に挙げ、その着脱状態の検知について述べたが、本件における着脱ユニットはトナーカートリッジ9に限定されるものではない。例えば、シートSを積載し画像形成装置1に対して挿抜可能なカセット30の挿入/非挿入状態の検知についても、同様に適応できる。さらに、着脱ユニットの着脱状態の検知以外にも適用可能である。例えば、画像形成装置1に対して開閉可能なドア部材の開閉状態の検知についても、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
9…トナーカートリッジ、10…第一レバー、11…第二レバー、12…センサフラグ、13…搬送ガイド、14レバーバネ、15…センサフラグバネ、16…フォトインタラプタ、17…第三レバー、18…第三レバーバネ、P…搬送路、S…シート、O-O‘…搬送基準、L1…小サイズシート、L2…大サイズシート