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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G03G21/18 103
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020102705
(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公開番号】P2021196493
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】種田 宇志
(72)【発明者】
【氏名】勝箭 翔平
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-278415(JP,A)
【文献】特開2019-128565(JP,A)
【文献】特開2008-003434(JP,A)
【文献】特開2004-302019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムを有し、前記感光体ドラムの一部が露出する露出部が形成されているユニットを備えるプロセスカートリッジであって、
前記プロセスカートリッジを水平面上に自立するように載置した姿勢で接地するための第1の接地部及び第2の接地部含む複数の接地部を有し、
前記第1の接地部及び第2の接地部のそれぞれを通る2つの鉛直線の間に前記感光体ドラムの回転中心が位置するように構成されており、
前記プロセスカートリッジが前記姿勢で接地した状態で、前記感光体ドラムの最下部と水平面との間に位置するように設けられ、前記感光体ドラムの表面への他の物の接触を妨げるドラム保護部を更に有し、
前記第1の接地部は、前記感光体ドラムの回転軸の方向に見て、プロセスカートリッジの重心を通る鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側の領域にあり、水平方向において前記感光体ドラムの回転中心よりも前記重心から離れた位置で前記水平面に接地し、
前記第2の接地部は、前記鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側と反対側の領域で前記水平面に接地することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記ドラム保護部は、前記感光体ドラムの最下部において潜像が形成される領域の少なくとも一部と前記水平面との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記ドラム保護部は、前記感光体ドラムの長手方向において、前記潜像が形成される領域の全体と前記水平面との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記2つの鉛直線の間にプロセスカートリッジの重心が位置するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
画像形成装置本体に対する挿抜時の第1の姿勢で水平面上に置かれた際に、自立する第2の姿勢に変化するように構成されており、
水平面上で前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変化する過程で、前記感光体ドラムが水平面に当接しないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記第1の姿勢で水平面上に置かれた際に接地する、前記第1の接地部と前記第2の接地部のうちの一方の接地部を通る鉛直線に対して、前記第1の姿勢のプロセスカートリッジの重心が前記感光体ドラム側に位置するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
記プロセスカートリッジの使用開始前から交換後までの前記プロセスカートリッジの重心の位置の変化に関わらず、前記重心から前記第1の接地部までの長さが、前記重心から前記第2の接地部までの長さよりも長いことを特徴とする請求項5または6に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
現像ローラを介して前記感光体ドラムへ供給するトナーを収容するトナー室と、
前記感光体ドラムから除去されたトナーを貯蔵する廃トナー室と、を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
感光体ドラムを有し、前記感光体ドラムの一部が露出する露出部が形成されているユニットを備えるプロセスカートリッジであって、
前記プロセスカートリッジを把持する際に用いられる把持部を有し、
前記把持部を持ってプロセスカートリッジを持ち上げ、前記把持部とプロセスカートリッジの重心とが同じ鉛直線上に位置する第3の姿勢の状態で、前記感光体ドラムが前記重心よりも下方に位置するように構成されており、
前記第3の姿勢において、前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記鉛直線よりも前記感光体ドラム側にある最下点の第1の接地部と、前記鉛直線を挟んで前記第1の接地部と反対側に位置する第2の接地部と、を更に有し、
水平面上で前記第3の姿勢から第4の姿勢へ変化して前記第2の接地部が水平面に接地した状態において、前記第1の接地部も前記水平面に接地し
前記第1の接地部は、前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記第4の姿勢のプロセスカートリッジの重心を通る鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側の領域にあり、水平方向において前記感光体ドラムの回転中心よりも前記重心から離れた位置で前記水平面に接地し、前記第2の接地部は、前記鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側と反対側の領域で前記水平面に接地していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記プロセスカートリッジを水平面上に載置した場合に前記感光体ドラムが水平面に当接せずに自立する姿勢が4つ以上あるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ及びプロセスカートリッジが着脱可能な電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、プロセスカートリッジ方式の装置構成が知られている。すなわち、トナー補給やメンテナンスを容易にするために、感光体ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段などを枠体内にまとめてカートリッジ化し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジとしたものである。
【0003】
そのような画像形成装置において、プロセスカートリッジを交換やメンテナンスのために装置本体から取り外した場合に、プロセスカートリッジ単体で載置面に置かれることがある。このとき、プロセスカートリッジの扱いに慣れていないユーザがプロセスカートリッジを載置面に置くと、感光体ドラムが不用意に載置面に当接し、感光体ドラムを傷つけてしまう可能性が考えられる。
【0004】
そこで、特許文献1には、カートリッジに関する情報を記憶するメモリと、装置本体へカートリッジを装着する際に、装置本体に備えられた被ガイド部を案内し、装置本体に備えられた本体接点をメモリのメモリ接点に案内するガイドと、把持部と、を有するカートリッジが開示されている。このカートリッジにおけるガイドは、把持部を把持してカートリッジを吊り下げたときのカートリッジの底部に設けられ、カートリッジが載置面に置かれたときにカートリッジを支持する支持部の一部を構成している。
【0005】
そして、特許文献1に記載のカートリッジによれば、ユーザが装置本体から取り外したプロセスカートリッジをガイドが載置面に当接するように置いたときに、ガイドの面取り面がカートリッジの姿勢を安定させることにより、感光体ドラムへの傷を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-128565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ユーザが常にプロセスカートリッジを所望の姿勢で載置面に置くとは限らない。その場合、感光体ドラムが載置面やその他のものに当接し、感光体ドラムを傷つける可能性がある。
【0008】
本発明は、感光体ドラムを備えるプロセスカートリッジを装置本体から取り外して載置した際に、感光体ドラムが傷つきにくくなる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジは、
感光体ドラムを有し、前記感光体ドラムの一部が露出する露出部が形成されているユニットを備えるプロセスカートリッジであって、
前記プロセスカートリッジを水平面上に自立するように載置した姿勢で接地するための第1の接地部及び第2の接地部含む複数の接地部を有し、
前記第1の接地部及び第2の接地部のそれぞれを通る2つの鉛直線の間に前記感光体ドラムの回転中心が位置するように構成されており、
前記プロセスカートリッジが前記姿勢で接地した状態で、前記感光体ドラムの最下部と水平面との間に位置するように設けられ、前記感光体ドラムの表面への他の物の接触を妨げるドラム保護部を更に有し、
前記第1の接地部は、前記感光体ドラムの回転軸の方向に見て、プロセスカートリッジの重心を通る鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側の領域にあり、水平方向において前記感光体ドラムの回転中心よりも前記重心から離れた位置で前記水平面に接地し、
前記第2の接地部は、前記鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側と反対側の領域で前記水平面に接地することを特徴とする。

【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジは、
感光体ドラムを有し、前記感光体ドラムの一部が露出する露出部が形成されているユニットを備えるプロセスカートリッジであって、
前記プロセスカートリッジを把持する際に用いられる把持部を有し、
前記把持部を持ってプロセスカートリッジを持ち上げ、前記把持部とプロセスカートリッジの重心とが同じ鉛直線上に位置する第3の姿勢の状態で、前記感光体ドラムが前記重心よりも下方に位置するように構成されており、
前記第3の姿勢において、前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記鉛直線よりも前記感光体ドラム側にある最下点の第1の接地部と、前記鉛直線を挟んで前記第1の接地部と反対側に位置する第2の接地部と、を更に有し、
水平面上で前記第3の姿勢から第4の姿勢へ変化して前記第2の接地部が水平面に接地した状態において、前記第1の接地部も前記水平面に接地し
前記第1の接地部は、前記感光体ドラムの回転軸の方向から見て、前記第4の姿勢のプロセスカートリッジの重心を通る鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側の領域にあり、水平方向において前記感光体ドラムの回転中心よりも前記重心から離れた位置で前記水平面に接地し、前記第2の接地部は、前記鉛直線に対して前記感光体ドラムが位置する側と反対側の領域で前記水平面に接地していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、感光体ドラムを備えるプロセスカートリッジを装置本体から取り外して載置した際に、感光体ドラムが傷つきにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】姿勢P1におけるカートリッジの断面図
図2】電子写真画像形成装置の画像形成装置本体及びカートリッジの断面図
図3】カートリッジの断面図
図4】カートリッジの構成を説明する斜視図
図5】カートリッジの構成を説明する斜視図
図6】カートリッジの装着を説明するための画像形成装置のガイド部の断面図
図7】カートリッジの位置決めを説明するための画像形成装置の断面図
図8】カートリッジが装置本体から駆動力を受ける構成を説明する斜視図
図9】カートリッジの姿勢P1の外観図
図10】カートリッジの姿勢P2の外観図
図11】カートリッジの姿勢P3の外観図
図12】カートリッジの姿勢P4の外観図
図13】カートリッジをドラム露出方向から見た外観図
図14】姿勢P2におけるカートリッジの断面図
図15】姿勢P4におけるカートリッジの断面図
図16】カートリッジ挿抜方向を示す外観図
図17】カートリッジの姿勢P5の外観図
図18】姿勢P5におけるカートリッジの断面図
図19】水平面上でカートリッジが姿勢P5から姿勢P1になるまでの遷移図
図20】カートリッジの姿勢P6の外観図
図21】カートリッジの転がりの遷移図
図22】ユーザがカートリッジを水平面垂直方向に持ち上げる際の外観図
図23】ユーザがカートリッジをドラム側に傾け持ち上げる際の外観図
図24】ユーザがカートリッジをドラムと逆側に傾け持ち上げる際の外観図
図25】カートリッジの姿勢P7の外観図
図26】水平面上でカートリッジが姿勢P7から姿勢P1になるまでの遷移図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
【0014】
電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザビームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。なお、以下の説明では、電子写真感光体ドラムの回転軸線方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置本体から電子写真感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
【0015】
図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。図2は、本発明の一実施形態である電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。図3は、カートリッジBの断面図である。ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。
【0016】
<電子写真画像形成装置全体構成>
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光体ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光体ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。
【0017】
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
【0018】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム62あるいは、単にドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0019】
バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する(図3参照)。露光装置3は、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。そのレーザー光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザー開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0020】
一方、図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
【0021】
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
【0022】
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナーで形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。また、図2に示すように、レーザー光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5bによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
【0023】
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
【0024】
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニング部材77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナーTは、クリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光体ドラム62を有する感光体ドラムユニットである。
【0025】
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77がドラム62に作用するプロセス手段である。
【0026】
<カートリッジ全体の構成>
次にカートリッジBの全体構成について図3図4図5を用いて説明する。図3はカートリッジBの断面図、図4図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。なお、本実施形態においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0027】
カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
【0028】
図3に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される(図4参照)。広義には、ドラム軸受73とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0029】
非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)が回転可能に支持される構成となっている。各ドラムフランジは軸受部によって回転可能に支持される被軸受部である。
【0030】
図3に示すように、クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。すなわち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向Rの上流側を向くようにドラム62に当接している。
【0031】
クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。また、図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0032】
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受67を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線が延びる方向(軸線方向)と略平行である。そのため以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向を意図する。帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
【0033】
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材26(図4参照)、27(図5参照)により回転可能に現像容器23に取り付けられている。
【0034】
また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図4図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微少隙間をもって保持される。
【0035】
また、図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように現像容器23の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌するとともに、トナー供給室28へトナーを搬送する。図4図5に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。
【0036】
現像ユニット20とクリーニングユニット60の結合の際には、まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する軸受部材26の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する軸受部材27の現像第2支持ボス27aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス27aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。すなわち、ドラム62に対して現像ローラ32が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
【0037】
本実施形態においては非駆動側付勢部材46L(図5参照)、駆動側付勢部材46R(図4参照)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、駆動側付勢部材46Rと非駆動側付勢部材46Lが、現像ユニット20をクリーニングユニット60に付勢させることで現像ローラ32をドラム62の方向へ確実に押し付けるよう構成する。さらに、現像容器23は、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38を備えている。すなわち、ドラム62と現像ローラ32が間隔保持部材38を介して所定の接触圧で接触することで、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持され、それぞれの相対位置が決まる。
【0038】
<カートリッジ装着>
次に、カートリッジBの装着について、図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)を用いて具体的に説明する。図6(a)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの駆動側ガイド部の断面図であり、図6(b)はカートリッジBの装着を説明するための画像形成装置Aの非駆動側ガイド部の断面図である。図7(a)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの駆動側断面図である。図7(b)はカートリッジBの位置決めを説明するための画像形成装置Aの非駆動側断面図である。
【0039】
カートリッジBの装着の説明をする。図6(a)、図6(b)に示すように、第1駆動側板15は、ガイドとしてのガイドレール上15gとガイドレール15hとを有しており、非駆動側板16はガイドレール上16dとガイドレール16eとを有している。また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73は、被回転止め部73cを有している。なお、カートリッジBの装着方向は、ドラム62(図3参照)の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。
【0040】
また、クリーニング枠体71は、長手方向において非駆動側に、第1位置決め部としての被位置決め部71dと、第2位置決め部としての被回転止め部71fとを有している。カートリッジBを装置本体Aのカートリッジ挿入口17から装着すると、カートリッジBの駆動側は、カートリッジBの被回転止め部73cが装置本体Aのガイドレール15hにガイドされる。カートリッジBの非駆動側は、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとが、装置本体Aのガイドレール上16dとガイドレール16eとにガイドされる。これによって、カートリッジBは装置本体Aに装着される。
【0041】
次に、開閉扉13を閉じる状態を説明する。図6(a)、図6(b)、図7(a)、図7(b)に示すように、第1駆動側板15は、位置決めとしての位置決め部15aと位置決め部15bと回転止め部15cを有しており、非駆動側板16は、位置決め部16aと回転止め部16cを有している。ドラム軸受73は、被位置決め部(第1の被位置決め部、第1の突起、第1の張出部)73dと被位置決め部(第2の被位置決め部、第2の突起、第2の張出部)73fとを有している。
【0042】
また、カートリッジ押圧部材1、2は、開閉扉13の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ19、21は、それぞれ画像形成装置Aに設けられた前板の長手方向において両端に取り付けられている。ドラム軸受73は付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体71は非駆動側にて被押圧部71oを有す(図3参照)。開閉扉13を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、71oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ19、21によって付勢されたカートリッジ押圧部材1、2によって押圧される(図7参照)。
【0043】
これによって、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部73dと被位置決め部73fと回転止め部73cとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部15aと位置決め部1
5bと回転止め部15cとに固定される。この結果、カートリッジBやドラム62が駆動側で位置決めされる。また、非駆動側において、カートリッジBの被位置決め部71dと被回転止め部71fとがそれぞれ装置本体Aの位置決め部16aと回転止め部16cとに固定される。これによって非駆動側にてカートリッジBやドラム62が位置決めされる。
【0044】
これまで、装置本体Aに対して、カートリッジBの位置を決める構成の一例として記載したが、位置決めとしての手段を限定する趣旨の記載ではない。カートリッジBの駆動側の被位置決め部73d、被回転止め部73f、及び、非駆動側の被位置決め部71d、被回転止め部71fに直接作用して、位置決め部それぞれを固定する構成でもよい。
【0045】
次に、カートリッジBが装置本体Aから駆動力を受ける構成について、図8(a)、図8(b)、図8(c)、図8(d)を用いて説明する。図8(a)は、装置本体Aの駆動部の構成を示す図で、図8(b)は、カートリッジBの駆動部の構成を示す図である。図8(c)は、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合する前の状態を示す図である。図8(d)は、装置本体Aの電源が入って、装置本体AとカートリッジBの駆動部が係合した状態を示す図である。
【0046】
図8(a)に示すように、装置本体Aには、装置本体Aの駆動源(不図示)から駆動力を受けて、カートリッジBに駆動力を伝達する駆動伝達部材81が設けられている。また、図8(b)に示すように、カートリッジBには、駆動伝達部材81と係合して駆動力を受けるために、駆動側ドラムフランジ63に駆動受動部63bが設けられている。ここで、開閉扉13を閉じて、装置本体Aの電源を入れると、駆動伝達部材81は、図8(c)の矢印E方向に移動する。そして、図8(d)のように、駆動伝達部材81の駆動伝達部81bと、駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bとが係合し、駆動側ドラムフランジ63を介して、ドラム62が回動する。
【0047】
また、駆動伝達部材81の外周部には歯車形状81gが設けられている。さらに、カートリッジBの現像ローラ32の端部には現像ローラギア90が結合されている。そして、図8(d)に示した駆動側ドラムフランジ63の駆動受動部63bが係合した状態のとき、駆動伝達部材81に設けられた歯車形状81gと現像ローラギア90も噛み合うように配置される。すなわち、駆動伝達部材81によって、駆動側ドラムフランジを介してドラム62が回動すると同時に、現像ローラギア90を介して現像ローラ32も回動する。
【0048】
<カートリッジの自立姿勢>
次に、水平面HS上でカートリッジBが安定して自立する姿勢を、図9図10図11図12を用いて説明する。カートリッジBが水平面上で安定して自立する姿勢は4姿勢あり、それぞれドラム軸方向から見た重心Gとドラム露出部333の位置関係によって分類される。図9は非駆動側から見て重心Gに対して図中下方にドラム露出部333がある姿勢P1を表す外観図である。図10は非駆動側から見て重心Gに対して図中左方にドラム露出部333がある姿勢P2を表す外観図である。図11は非駆動側から見て重心Gに対して図中上方にドラム露出部333がある姿勢P3を表す外観図である。図12は駆動側から見て重心Gに対して図中左方にドラム露出部333がある姿勢P4を表す外観図である。
【0049】
図9に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60の非駆動側に第一突出部301を有し、現像ユニット20の非駆動側に第二突出部302を有する。図10に示すように、カートリッジは現像ユニット20の非駆動側に第三突出部303及び第四突出部304を有する。図11に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60に把持部305を有し、現像ユニット20に容器後端部306を有する。図12に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット60に第五突出部308及び第六突出部30
9を有する。
【0050】
図9に示すように、カートリッジBは姿勢P1において第一突出部端部301a及び第二突出部前端部302aの2点が接地している。図10に示すように、カートリッジは姿勢P2において第三突出部303及び第四突出部304の2点が接地している。図11に示すように、カートリッジは把持部端部305a及び容器後端部306の2点が接地している。図12に示すように、カートリッジは第五突出部308及び第六突出部309の2点が接地している。
【0051】
図9図10図11図12に示すように、姿勢P1、姿勢P2、姿勢P3、姿勢P4は非駆動側乃至駆動側方向から見てそれぞれ2点で接地する構成であり、かつ接地点間(それぞれ331a、331b、331c、331d)の図中上方に重心Gが位置する構成である。この構成により、接地する2点間上方に重心Gがあるため、カートリッジBは姿勢P1、姿勢P2、姿勢P3、姿勢P4において、安定して自立することができる。
【0052】
なお、カートリッジは通常3点支持で自立し、駆動側2点支持かつ非駆動側1点支持、または、非駆動側2点支持かつ駆動側1点支持となる。ここで、カートリッジBの剛性により、長手にわたってカートリッジBの姿勢は保たれる。よって、カートリッジBの長手にわたる姿勢は、2点支持している駆動側乃至非駆動側の姿勢に依存する。
【0053】
<安定した姿勢でのドラム保護>
次に、安定した姿勢におけるドラム62を保護する構成を説明する。カートリッジBのドラムは一部が露出していることから、カートリッジBを障害物がある水平面に置いた場合、ドラム表面が傷つく可能性がある。ドラム62を保護するためには、ドラム表面の中でも水平面と対向する領域を保護することが有効である。特に、ドラム62の最下点が障害物に接触する可能性が最も高い。そこで、ドラム62が水平面と対向する領域において、ドラム最下点が障害物と接触することを防ぐ構成にすることにより、ユーザの使用によってドラム表面が傷つく可能性を低減する。
【0054】
図1図9図13を用いて姿勢P1におけるドラム62の表面を保護する構成を説明する。図1はカートリッジBが姿勢P1のときの駆動側から見た断面図である。図13はカートリッジBをドラム露出部333方向からみた外観図である。
【0055】
図1に示すように、ドラム中心軸310から鉛直方向下部のドラム外形部に第一ドラム最下点62aが配置される。また、第一対向領域322aにおいて、第一ドラム最下点62aより下方に第一保護部311aを有する。図13に示すように、この第一保護部311aはドラム軸方向に延在している。より好ましくは、第一保護部311aは、潜像が形成される領域R1の少なくとも一部と水平面HSとの間に設けられているとよい。
【0056】
図1に示すように、姿勢P1では第一ドラム最下点62aより下方に第一保護部311aが存在しているため、水平面と第一ドラム最下点62aの間には常に第一保護部311aが存在する。この構成により、姿勢P1でカートリッジBが水平面上に置かれたとき、仮に水平面上に障害物が存在していたとしても、ドラム62が障害物に接触するよりも前に第一保護部311aが接触するので、ドラム62と障害物が強く接触することを防ぐことができる。
【0057】
また、図13に示したように、第一保護部311aはドラム軸方向に延在しているため、ドラム軸方向長手に渡り第一ドラム最下点62aより下方に第一保護部311aが存在している。この構成により、障害物がドラム長手方向上のどこにあったとしても、その位置に関わらずドラム62を保護することができる。
【0058】
次に、図13図14を用いて姿勢P2におけるドラム62を保護する構成を説明する。図14は姿勢P2におけるカートリッジBを駆動側から見た断面図である。図14に示すように、ドラム中心軸310から鉛直方向下部のドラム外形部に第二ドラム最下点62bが配置される。また、第二対向領域322bにおいて、第二ドラム最下点62bより下方に第一保護部311aを有する。図13に示すように、この第一保護部311aはドラム軸方向に延在している。
【0059】
図14に示すように、姿勢P2では第二ドラム最下点62bより下方に第一保護部311aが存在しているため、水平面と第二ドラム最下点62bの間には常に第一保護部311aが存在する。この構成により、姿勢P2でカートリッジBが水平面上に置かれたとき、仮に水平面上に障害物が存在していたとしても、ドラム62が障害物に接触するよりも前に第一保護部311aが接触する。これにより、ドラム62と障害物が強く当接することを防ぐことができる。
【0060】
また、図13に示したように、第一保護部311aはドラム軸方向に延在しているため、ドラム軸方向長手に渡り第二ドラム最下点62bより下方に第一保護部311aが存在している。この構成により、障害物がドラム長手方向上のどこにあったとしても、その位置に関わらずドラム62を保護することができる。
【0061】
次に、図11を用いて姿勢P3でのドラム62を保護する構成を説明する。図11に示すように、カートリッジ最下部に把持部305及び容器後端部306が位置する。また、ドラム露出部333は水平面垂直方向上方側に位置している。この姿勢ではドラム62の下部にはカートリッジ容器本体が存在するため、ドラム62が接地面と接触することはなく保護される。
【0062】
次に、図12図13図15を用いて姿勢P4でのドラム62を保護する構成を説明する。図15は姿勢P4におけるカートリッジBの断面図である。図15に示すように、ドラム中心軸310から鉛直方向下部のドラム外形部に第四ドラム最下点62cが配置される。また、第四対向領域322cにおいて、第四ドラム最下点62cより下方に第二保護部311bを有する。
【0063】
図13に示すように、第二保護部311bはドラム軸方向に延在している。図15に示すように、姿勢P4では第四ドラム最下点62cより下方に第二保護部311bが存在しているため、水平面とドラム最下部の間には常に第二保護部311bが存在する。この構成により、姿勢P4でカートリッジBが水平面上に置かれたとき、仮に水平面上に障害物が存在していたとしても、ドラム62が障害物に接触するよりも前に第二保護部311bが接触する。これにより、ドラム62と障害物が強く当接することを防ぐことができる。
【0064】
また、図13に示したように、第二保護部311bはドラム軸方向に延在しているため、ドラム軸方向長手に渡り第四ドラム最下点62cより下方に第二保護部311bが存在している。この構成により、障害物がドラム長手方向上のどこにあったとしても、その位置に関わらずドラム62を保護することができる。
【0065】
<カートリッジ抜脱時のドラムの保護>
次に、図1図16図17図18図19を用いて、ユーザがカートリッジBを装置本体Aから抜脱し(取り外し)水平面に置いたとき、姿勢が安定する構成を説明する。図16は本体からカートリッジBを挿抜する方向Hを示す。図17はユーザがカートリッジBを抜脱した姿勢で水平面上に置いた瞬間の外形図である(以下姿勢P5と称する)。図18は姿勢P5のときのカートリッジ断面図である。図19は姿勢P5で水平面上に置
かれたカートリッジBが安定した自立をする姿勢P1になるまでの動作図である。
【0066】
図16で示すように、ユーザは把持部305を使って方向Hにカートリッジを抜脱する。図17で示すように、姿勢P5で水平面に置く際、まず第二突出部後端部302bが接地する。重心Gは第二突出部後端部302bから出る鉛直線V3からみてドラム側に配置されている。また、図18で示すように、第五対向領域322dにおいて、第一保護部311aは第五ドラム最下点62dより下方に配置されている。図19に示すように、ユーザが水平面にカートリッジBを姿勢P5の状態で置くと、ドラム62が水平面に近づく第一順回転方向Kaの向きに回転し、姿勢P1の状態で安定して自立する。
【0067】
ユーザが図16で示す方向Hにカートリッジを抜脱し、その姿勢を保ちながら水平面に置いたとき、図17のように第二突出部後端部302bが接地する。その後、ユーザが静かに手をはなした場合、図18に示すように、姿勢P5のときの重心Gは第二突出部後端部302bからみてドラム側に配置されているため、図19に示すようにカートリッジBは第二突出部後端部302bを支点に第一順回転方Kaへ回転する。
【0068】
回転したカートリッジは第一突出部端部301aが接地し、前述したように姿勢P1の状態で安定して自立する。また、図1図18に示すように、姿勢P1と姿勢P5において、ドラム最下点(図中62a、62d)より下方に第一保護部311aが配置されている。この構成により、カートリッジBが姿勢P5から姿勢P1に遷移するまでの間、常にドラム最下部より下方に第一保護部311aが配置されることになるので、カートリッジBの姿勢に関わらずドラム62が保護される。
【0069】
<カートリッジの転がり防止>
前述した通り、カートリッジBを本体から抜脱し水平面に置いたとき、カートリッジBは姿勢P5から姿勢P1の状態に遷移する。しかし、姿勢P5から更に回転し、姿勢P1の状態を超えてカートリッジBが転がってしまった場合、ドラム62の保護を保証することができない。そこで、図9図10図20図21を用いてカートリッジBの転がりを防止する構成を説明する。図20はカートリッジBが第一突出部301を支点に回転した際、最も重心Gが高くなる姿勢P6の外観図である。図21(a)は姿勢P5から回転し、姿勢P1を経由し姿勢P4になったときのカートリッジBの遷移図である。図21(b)は姿勢P5から回転し姿勢P1を経由するも回転が途中で止まり、その後姿勢P1に戻ったときの遷移図である。
【0070】
図21(a)に示すように、カートリッジBが姿勢P5の状態から第二突出部後端部302bを支点に第一順回転方向Kaへ回転すると、姿勢P1に遷移する。その後、支点は第二突出部前端部302aとなる。次に第一突出部301が接地すると、回転支点は第一突出部端部301a、第一突出部端部301bへと遷移し、更に第二順回転方向Kbへ回転を続けた場合、カートリッジは姿勢P4に遷移する。
【0071】
また、図21(b)に示すように、カートリッジBが姿勢P5の状態から第二突出部後端部302bを支点に第一順回転方向Kaへ回転すると、姿勢P1に遷移する。その後支点は第二突出部前端部302aとなる。次に第一突出部301が接地するが、姿勢P6に遷移する前に回転が止まった場合、カートリッジは第一逆回転方向Kbへ回転し、姿勢P1へと変化する。
【0072】
図21(a)に示すように、カートリッジBが姿勢P5から姿勢P6を経て姿勢P4に遷移する場合、姿勢P6の時点でカートリッジBが回転速度を持つ必要がある。姿勢P6で回転速度を持つ場合、カートリッジBの重心Gは垂直線左側に移動し、カートリッジBは第三順回転方向Kbに回転を続け、姿勢P4へと遷移する。
【0073】
一方、カートリッジが姿勢P6まで遷移することができない場合、図21(b)に示すようにカートリッジBは第一逆回転方向Kcの向きに回転し姿勢P1へ遷移する。ここで、カートリッジが姿勢P6のときに回転速度を持つためには、エネルギー保存則より、重心Gの運動エネルギーと位置エネルギーの合計が、姿勢P6よりも姿勢P2の方が大きい必要がある。
【0074】
ユーザがカートリッジを静かに置いた場合、姿勢P2の運動エネルギーがほぼゼロと考えられるので、重心Gの位置エネルギーが姿勢P6よりも姿勢P2の方が大きい必要がある。しかし、図9に示すように、第一突出部端部301aから重心Gまでの距離L1よりも第二突出部後端部302bから重心Gまでの距離L2の方が短い。この構成により、姿勢P5の最大エネルギーよりも姿勢P6の最大エネルギーの方が大きく、カートリッジBは姿勢P6に遷移することができない。以上より、姿勢P6の状態から第一順回転方向Kaへ回転したカートリッジBは姿勢P1へ遷移することとなり、カートリッジBの転がりを抑制できる。
【0075】
<カートリッジ挿入時のドラム保護>
次に、本体から抜脱され姿勢P1の状態で水平面上に置かれたカートリッジBについて、ユーザがカートリッジBを再び本体に挿入するために持ち上げカートリッジBの姿勢が変化した際のドラムの保護を、図1図22図23図24を用いて説明する。図22はユーザが姿勢P1のカートリッジBを水平面に垂直な向きに持ち上げた(第一持上方向Ma)ときの外観図である。図23はユーザが姿勢P1のカートリッジBをドラム方向に傾けて持ち上げた(第二持上方向Mb)ときの外観図である。図24はユーザが姿勢P1のカートリッジBをドラムとは反対方向に傾けて持ち上げた(第三持上方向Mc)ときの外観図である。
【0076】
図1に示すように、カートリッジBは第一突出部301と第二突出部302を有し、第一突出部301と第二突出部302から延ばした鉛直線V1,V2間にドラム中心軸310を有する。図23に示すように、ユーザがカートリッジBを第二持上方向Mbの向きに持ち上げたとき、カートリッジBは第一突出部301を支点に持上順回転Kdの向きに姿勢が回転する。図24に示すように、ユーザがカートリッジBを第三持上方向Mcの向きに持ち上げたとき、カートリッジBは第二突出部302を支点に持上逆回転方向Keの向きに姿勢が回転する。
【0077】
図22に示すように、カートリッジを水平面垂直線上に持ち上げたとき、第一ドラム最下点62aは水平面から離れる方向に移動する。この構成により、カートリッジBが水平面上の物体に接触することはないので、ドラム62は保護される。図23に示すように、第一突出部301を支点に回転したとき、第一ドラム最下点62aは水平面からみて上方に移動する。この構成により、カートリッジBが水平面上の物体に接触することはないので、同様にドラム62は保護される。また、図24に示すように、第二突出部302を支点に回転したときも同様に、ドラム最下点は水平面HSからみて上方に移動する。この構成により、感光体ドラム62が水平面上の物体に接触することはないので、同様にドラムは保護される。以上より姿勢P1で置かれたカートリッジに関して、ユーザの持上方向に関わらずドラムを保護することができる。
【0078】
<不安定把持された場合のカートリッジ保護>
次に、カートリッジBが重力方向に釣られた不安定な状態で水平面上に置かれた場合のカートリッジの姿勢の遷移を図25図26を用いて説明する。図25はカートリッジBが把持部305を支点に重力方向に釣られたときのカートリッジの姿勢P7を示す。図26はカートリッジが姿勢P7の状態から水平面HSに置かれた後のカートリッジの動作説
明図である。
【0079】
図25に示すように、カートリッジBは、ドラム62、把持部305を有する。カートリッジBは把持部305で重力方向(鉛直線V4が延びる方向)に釣られていることから、把持部305はカートリッジBの頂点であり、重心Gは把持部端部305aの鉛直方向下部に位置する。ドラム62は重心Gを基準に垂直方向反対側に位置する。また、第一突出部301と第二突出部302を有し、第一突出部301は鉛直線V3からみてドラム側最下点に位置し、重心からみて水平方向に第二突出部302よりも離れて位置する。
【0080】
図26に示すように、図25の姿勢P7で水平面に置かれたカートリッジBは姿勢P1となり安定して自立する。図25に示したように、第一突出部301は最下点になることから、水平面に対し第一に接地する。このとき、重心Gは接地点に対して第二突出部302側にあることから、カートリッジBは第一突出部301を中心に第三逆回転方向KFCに回転する。その結果、第二突出部302が接触し、姿勢P1となるので、カートリッジBは安定して自立する。このような構成にすることで、カートリッジBが把持部305で吊されるような不安定な状態で水平面に置かれた場合においても、カートリッジBの姿勢を安定させることができる。
【0081】
以上示したように本実施形態によれば、カートリッジに簡易な構成を加えることで、ユーザの操作によって取り得る姿勢や動作においてドラムを保護することが可能となる。
【0082】
また、プロセスカートリッジは使用するにつれて、トナーが消費され廃トナーを収容するので重心Gの位置が変化する。しかし、本件で示した重心とその他カートリッジの位置関係は使用に伴い重心Gの位置が変化したとしても成立しているため、ユーザがどのタイミングでカートリッジを操作したとしてもドラムを保護することが可能である。
【0083】
以下に、上述の実施形態に記載のプロセスカートリッジの例を列挙する。なお、本発明を実施するに当たり、上記で示した実施形態に記載の構成や配置を、矛盾がない範囲において適宜選択して、組み合わせることは可能である。
【0084】
本発明のある態様のカートリッジBは、図1に示すように、ドラム62を有し、ドラム62の一部が露出するドラム露出部333が形成されている現像ユニット20及びクリーニングユニット60を備える。カートリッジBは、カートリッジを水平面HS上に自立するように載置した姿勢で接地する第一突出部301及び第二突出部302(2つの接地部)を有する。また、カートリッジBは、第一突出部301及び第二突出部302のそれぞれを通る2つの鉛直線V1,V2の間にドラム62のドラム中心軸310(回転軸中心)が位置するように構成されている。そして、カートリッジBは、カートリッジが自立する姿勢P1で接地した状態で、ドラム62の第一ドラム最下点62aと水平面HSとの間に位置するように設けられ、ドラム62の表面への他の物の接触を妨げる第一保護部311a(ドラム保護部)を更に有する。
【0085】
これにより、カートリッジBが載置される水平面HSとドラム62の第一ドラム最下点62aとの間に、ドラム62の表面への他の物の接触を妨げる第一保護部311aが設けられているため、カートリッジBを装置本体Aから取り外して載置場所に載置した際に、ドラム62が傷つきにくくなる。
【0086】
第一保護部311aは、ドラム62の第一ドラム最下点62aにおいて潜像が形成される領域R1の少なくとも一部と水平面HSとの間に設けられている。ドラム62の潜像が形成される領域R1は、傷が付くと現像される画像に影響が出やすい。そこで、潜像が形成される領域R1の少なくとも一部と水平面HSとの間に第一保護部311aや第二保護
部311bを設けることで、現像される画像への影響が大きい領域へ傷等がつくことを抑制できる。
【0087】
また、第二保護部311bのように、ドラム62の長手方向において、潜像が形成される領域R1のほぼ全体と水平面HSとの間に設けられていい。これにより、ドラム62の長手方向の全体にわたって傷等がつくことが抑制できる。
【0088】
カートリッジBは、ドラム62のドラム中心軸310の方向から見て、2つの鉛直線V1,V2の間にカートリッジBの重心Gが位置するように構成されている。これにより、水平面HSに自立するように載置したカートリッジBの姿勢が保持されやすくなる。
【0089】
装置本体Aに対する挿抜時の姿勢P5(第1の姿勢)で水平面HS上に置かれた際に、自立する姿勢P1(第2の姿勢)に変化するように構成されている。カートリッジBは、図19に示すように、水平面HS上で姿勢P5から姿勢P1に変化する過程で、ドラム62が水平面HSに当接しないように構成されている。これにより、仮にカートリッジBを姿勢P5で水平面HSに載置した後に姿勢が変化しても、ドラム62が水平面HSに当接することが防止できる。
【0090】
カートリッジBは、ドラム62のドラム中心軸310の方向から見て、姿勢P5で水平面HS上に置かれた際に接地する、第二突出部後端部302bを通る鉛直線V3に対して、姿勢P5のカートリッジBの重心Gがドラム側に位置するように構成されている。これにより、姿勢P5のカートリッジBが第二突出部後端部302bを支点として姿勢P1に向けて回転する。
【0091】
カートリッジBが有する2つの接地部は、図9に示すように、姿勢P1で接地する第一突出部301(第1の接地部)および第二突出部302(第2の接地部)を有している。第一突出部301は、ドラム62のドラム中心軸310の方向から見て、姿勢P1のカートリッジBの重心Gを通る鉛直線V5に対してドラムが位置する側に位置し、第二突出部302は、ドラム62が位置する側と反対側に位置し、カートリッジBの使用開始前から交換後までのカートリッジGの重心の位置の変化に関わらず、重心Gから第一突出部301までの距離L1が、重心Gから第二突出部302までの距離L2よりも長い。これにより、カートリッジBの転がりを抑制できる。
【0092】
カートリッジBは、現像ローラ32を介してドラム62へ供給するトナーTを収容するトナー室29と、ドラム62から除去されたトナーTを貯蔵する廃トナー室71bと、を備えている。カートリッジBが繰り返し利用されることで、トナー室29のトナーTが消費され、その一部がクリーニング部材77により廃トナー室71bへ回収される。そのため、カートリッジBの重心Gの位置は変化しうるが、本実施形態に係るカートリッジBは、重心Gの位置の変化を前提に複数の自立した姿勢を実現できる。
【0093】
本発明の別の態様のカートリッジBは、ドラム62を有し、ドラム62の一部が露出するドラム露出部333が形成されているユニットを備える。カートリッジBは、カートリッジBを把持する際に用いられる把持部305を有する。把持部305を持ってカートリッジBを持ち上げ、把持部305とカートリッジBの重心とが同じ鉛直線V4上に位置する姿勢P7(第3の姿勢)の状態で、ドラム62が重心Gよりも下方に位置するように構成されており、姿勢P7において、ドラム62のドラム中心軸310の方向から見て、鉛直線V4よりもドラム側にある最下点の第一突出部301と、鉛直線V4を挟んで第一突出部301と反対側に位置する第二突出部302と、を更に有する。水平面HS上で姿勢P7から姿勢P1へ変化して第二突出部302が水平面HSに接地した状態において、第一突出部301も水平面HSに接地している。
【0094】
これにより、把持部305を持って持ち上げたカートリッジBを、水平面HSに載置して姿勢が変わっても第一突出部301及び第二突出部302で安定した自立を実現できる。
【0095】
なお、上述のように、本実施形態に係るカートリッジBは、カートリッジを水平面HS上に載置した場合にドラム62が水平面HSに当接せずに自立する姿勢が4つ(姿勢P1~P4)以上あるように構成されている。これにより、装置本体Aから取り出したカートリッジBを水平面HSに載置する際の姿勢にユーザが余り気をつけずにすむ。
【符号の説明】
【0096】
20…現像ユニット、29…トナー室、32…現像ローラ、62…感光体ドラム、62a…第一ドラム最下点、71b…廃トナー室、301…第一突出部、301a…第一突出部端部、301b…第一突出部端部、302…第二突出部、302a…第二突出部前端部、302b…第二突出部後端部、305…把持部、306…容器後端部、308…第五突出部、309…第六突出部、310…ドラム中心軸、311a…第一保護部、311b…第二保護部、333…ドラム露出部、A…装置本体、B…カートリッジ、L1…距離、L2…距離、P1…姿勢、P2…姿勢、P3…姿勢、P4…姿勢、P5…姿勢、P6…姿勢、P7…姿勢、R1…領域、V1…鉛直線、V2…鉛直線、V3…鉛直線、V4…鉛直線、V5…鉛直線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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