(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】撮像装置、照明装置、カメラ本体、及びレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
G03B 15/05 20210101AFI20240805BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240805BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240805BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240805BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B15/05
G02B7/02 E
G03B15/03 U
H04N23/56
H04N23/66
(21)【出願番号】P 2020108013
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武彦
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-081122(JP,A)
【文献】特開2010-185958(JP,A)
【文献】特開2009-122523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
H01L 27/14-27/148
H01L 29/76
H10K 39/32-39/34
H04N 5/30-5/33
H04N 23/11
H04N 23/20-23/30
H04N 25/00
H04N 25/20-25/61
H04N 25/615-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体と照明装置を備える撮像装置であって、
前記照明装置は、照明光を照射する発光部と前記カメラ本体と着脱可能なベース部と、前記発光部の光照射方向を変更させる駆動部と、を有し、
前記カメラ本体に装着されるレンズ鏡筒または前記カメラ本体に、前記照明装置の前記光照射方向を
操作量に応じて変更させるための信号を出力する操作部を設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記レンズ鏡筒に設けられ、レンズの光軸周りに回転操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記照明装置の前記光照射方向を変更するためのタッチパネルを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記操作部は、操作量に応じた角度だけ前記照明装置の前記光照射方向を変更するための前記信号を生成する第1操作部材と第2操作部材を含み、
前記第1操作部材の操作に応じて変化する前記照明装置の前記光照射方向を、前記第2操作部材で変更するように構成したことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記レンズ鏡筒は、前記操作部からの前記信号を前記照明装置または前記カメラ本体のいずれかに送信する送信部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記照明装置の前記光照射方向は、前記ベース部と前記発光部との相対角度を変更することによって変更されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記相対角度は、第1の相対角度と、前記第1の相対角度と直交する第2の相対角度を含むことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記操作部から出力される前記信号は、前記第1の相対角度を変更する信号と前記第2の相対角度を変更する信号の少なくとも一方であることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
照明光を照射する発光部と、カメラ本体と着脱可能なベース部と、前記発光部の光照射方向を変更するための駆動部と、を有する照明装置であって、
前記カメラ本体に装着されるレンズ鏡筒または前記カメラ本体に設けた操作部からの
操作量に応じた信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記信号に応じて前記駆動部によって、前記照明装置の前記光照射方向を
前記操作量に応じて変更させる制御部と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
前記受信部は、前記操作部からの前記信号に基づき生成されたワイヤレス信号を受信することを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
照明光を照射する発光部と、カメラ本体と着脱可能なベース部と、前記発光部の光照射方向を変更するための駆動部と、を有する照明装置が装着可能な前記カメラ本体に対して装着可能なレンズ鏡筒であって、
操作に応じて、前記照明装置の前記光照射方向を変更させるための信号を生成する操作部と、
前記操作部によって生成された前記信号を、前記照明装置または前記カメラ本体に対して送信する送信部と、
を有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記操作部は、レンズの光軸周りに回転操作可能であることを特徴とする請求項11に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
前記操作部は、前記発光部の光照射方向を変更するためのタッチパネルを含むことを特徴とする請求項11に記載のレンズ鏡筒。
【請求項14】
前記操作部は、操作量に応じた角度だけ前記発光部の前記光照射方向を変更するための前記信号を生成する第1操作部材と第2操作部材を含み、
前記第1操作部材の操作に応じて変化する前記発光部の前記光照射方向を、前記第2操作部材で変更するように構成したことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項15】
前記発光部の前記光照射方向は、前記ベース部と前記発光部との相対角度を変更することによって変更されることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、照明装置、カメラ本体、及びレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの光学機器による撮影において、被写体に照明を照射するためにストロボ装置(照明装置)が用いられている。またストロボ装置を用いて被写体に自然な照明を照射して撮影する手法として、バウンス撮影が挙げられる。
【0003】
バウンス撮影では、ストロボ装置が発光するストロボ光を天井や壁などの反射体に向けて照射し、反射体で拡散したバウンス光によって被写体に間接的に照明を照射する。ストロボ装置から被写体あるいは反射体までの距離が変わると、バウンス撮影でストロボ光が反射する角度は変化する。そのため被写体への照明の照射角度が変化する。従って、適切な撮影を行うためには、撮影者はそれらの条件に変化が生じた場合は、ストロボ光の照射角度を調整する必要がある。照射角度の調整は、撮影者がストロボ装置を直接把持して変更することが一般的であった。
【0004】
特許文献1には、ストロボ光の照射角度を自動で調整するシステムの一例が開示されている。このシステムでは、測距回路1によって被写体までの距離を測距し、測距回路2によってカメラ上方の物体までの距離を測定する。バウンス撮影時には測距回路1及び2からの距離情報に基づいて、モータドライバ回路によりストロボ照射角度を適切な位置に駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、ストロボ光の照射角度を自動で変更している。しかしモータドライバ回路により駆動されたストロボ照射角度や照射方向が、撮影者自身の意図と異なったものになってしまう問題があった。
【0007】
また、撮影者がストロボ光の照射角度や照射方向を調整するためには、撮影者がストロボ装置を直接把持して照射角度や照射方向を調整していた。従って、操作が煩雑となり、カメラのファインダーやモニターから目を離すことや、カメラ本体あるいはレンズ鏡筒から手を離してしまう場合もあった。その場合、ストロボ光の照射角度を調整している間に意図していた撮影の瞬間を撮り逃してしまうこともあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ストロボ光の照射方向等を容易に調整することが可能となる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、カメラ本体と照明装置を備える撮像装置であって、照明装置は、照明光を照射する発光部とカメラ本体と着脱可能なベース部と、発光部の光照射方向を変更させる駆動部と、を有し、カメラ本体に装着されるレンズ鏡筒またはカメラ本体に、照明装置の光照射方向を操作量に応じて変更させるための信号を出力する操作部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、例えば、ストロボ光の照射方向等を容易に調整することが可能となる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1におけるストロボ操作システムを構成するカメラ用交換レンズとカメラ本体とストロボ装置の断面図である。
【
図2】実施例1におけるストロボ操作システムの全体を示す斜視図である。
【
図3】実施例1のストロボ発光部がティルト動作により略30度上方向に変化した状態を示す図である。
【
図4】実施例1のストロボ発光部がティルト動作により略60度上方向に変化した状態を示す図である。
【
図5】実施例1のストロボ発光部がパン動作により略45度左方向に変化した状態を示す図である。
【
図6】実施例1のストロボ発光部がパン動作により略45度右方向に変化した状態を示す図である。
【
図7】実施例2におけるストロボ操作システムの全体を示す斜視図である。
【
図8】実施例3におけるストロボ操作システムの全体を示す斜視図である。
【
図9】実施例3におけるタッチパネル付近の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施例1>
図1は、実施例1のストロボ操作システムを構成するカメラ用交換レンズ(レンズ鏡筒)とカメラ本体100とストロボ装置(照明装置)400の断面図を示している。なお、この交換レンズは、4群構成の変倍光学系を有する。各群は第1群レンズL1、光軸方向(光軸に沿った方向)に進退することにより合焦動作を行う第2群レンズL2、第3群レンズL3、第4a群レンズL4a、第4b群レンズL4bである。また第1群レンズL1、第2群レンズL2、第3群レンズL3、第4a群レンズL4a、第4b群レンズL4bが光軸方向に進退することにより、変倍動作が行われる。なお、ここで光軸とは、レンズ鏡筒の光学系の光軸を指す。
【0013】
カメラ本体100は、CCDやCMOS等の撮像素子100aを有する。また外部ストロボ装着部を有する。外部ストロボ装着部には不図示のカメラ側接点100bが設けられている。ストロボ装置400を外部ストロボ装着部に装着すると、ストロボ装置400に設けられた不図示のストロボ側接点402aとカメラ側接点100bとが接触する。カメラ側接点100bとストロボ側接点402aとは、カメラ本体100とストロボ装置400とが通信を行うために設けられている。
【0014】
マウント101は、カメラ本体100に着脱可能に取り付けるためのバヨネット部を有しており、固定筒102にビス止め固定されている。固定筒102には、不図示の目盛窓とSWパネルが取り付けられている。SWパネルに設けられたスイッチを切り替えることによって、オートフォーカスなどの機能を選択して使用することができる。外装環103は、マウント101と固定筒102との間に挟み込まれて固定されている。
【0015】
案内筒104は、固定筒102にビス止め固定されることでカメラ本体100に対して固定部を構成している。案内筒104の外周には、1群コロ213や不図示のインナーカム筒コロ、3群カム筒コロ、4群コロによって光軸周りの回転のみ可能となっているカム筒105が嵌合している。これにより、カム筒105を回転させると案内筒104に設けられた光軸方向の案内溝とカム筒105に設けられたカム溝との交点が移動する。この交点の移動に従い、コロを介して各群のレンズ保持枠を光軸方向へ移動させることができる。
【0016】
フィルタ枠210の先端外周にはバヨネット部が、内周にはネジ部が設けられていて、それぞれフードやフィルタなどのアクセサリが装着可能となっている。また、フィルタ枠210には第1群レンズL1を保持する1群保持枠211がビス止め固定されている。フィルタ枠210と1群保持枠211との当接部はそれぞれ周方向に延びる斜面形状に形成されている。よって1群保持枠211を回転させてフィルタ枠210に取り付けることにより、1群保持枠211のフィルタ枠210に対する光軸方向の取り付け位置を選択することができる。これにより、製造誤差による広角側と望遠側の焦点位置のズレを補正することができる。フィルタ枠210は直進筒212にビス止め固定されている。直進筒212には1群コロ213がビス止め固定されている。
【0017】
第4a群レンズL4aおよび第4b群レンズL4bを保持する4群保持枠241は、4群ベース243に保持されている。4群ベース243には不図示の4群コロがビス止め固定されている。4群コロは案内筒104に設けられた光軸方向の案内溝とカム筒105に設けられたカム溝と係合している。従って、案内筒104に対してカム筒105が回転すると、案内溝とカム溝との交点が移動することで4群コロが光軸方向へ移動する。それにより、4群ベース243と一体となって第4a群レンズL4aおよび第4b群レンズL4bの光軸方向への移動が行われる。
【0018】
また4群ベース243の内周において、4群保持枠241の前方には開放口径の決定および有害光のカットを目的とする副絞り311が弾性結合されている。4群ベース243の外周には、不図示の3群カム筒コロによって光軸周りの回転のみ可能となっている3群カム筒230が嵌合している。3群カム筒230には3群カム筒コロがビス止め固定されていて、カム筒105に設けられた直進溝と係合している。
【0019】
第3群レンズL3を保持する3群保持枠231には、不図示の3群コロがビス止め固定されている。3群コロは4群ベース243に設けられた光軸方向の案内溝と3群カム筒230に設けられたカム溝と係合している。従って、4群ベース243に対して3群カム筒230が回転すると、案内溝とカム溝との交点が移動することで3群コロが光軸方向へ移動する。
【0020】
それにより、4群ベース243に保持された第4a群レンズL4aおよび第4b群レンズL4bと、3群保持枠231に保持された第3群レンズL3との間隔が変化する。また案内筒104に対してカム筒105が回転すると、4群ベース243と3群カム筒230との光軸方向への移動が行われる。それにより、4群ベース243と3群カム筒230とに3群コロで支持された3群保持枠231が光軸方向へ移動することでも、第3群レンズL3の移動が行われる。また絞り駆動部と絞り羽根部とから構成される電磁絞りユニット301は、3群保持枠231の前方にビス止め固定されている。
【0021】
ズーム操作環106は、周方向に設けられている溝にバヨネット形状が係合することで、光軸方向の移動が規制された状態で光軸周りの回転のみが可能となっている。ズーム操作環106の外周にはズームゴム107が巻き付けられている。ズーム操作環106の内周には不図示のズームキーがビス止め固定されていて、カム筒105に設けられた凹部と係合している。これにより、ズームキーを介してズーム操作環106と一体的にカム筒105を回転させることができる。ズーム操作環106にビス止め固定された不図示のズームブラシは、エンコーダフレキシブル基板のグレイコードパターン上を摺動して、ズーム操作環106とエンコーダフレキシブル基板の位置関係を検出するために用いられる。
【0022】
フォーカスユニット108は、案内筒104にビス止め固定されている。フォーカスユニット108は主として振動型モータと作動機構とで構成されている。振動型モータのロータ回転量とフォーカス操作環109の回転量に応じた不図示のフォーカスキーの回転量を出力する。フォーカス操作環109の外周にはフォーカスゴム110が巻き付けられている。またフォーカスユニット108から円弧上に延出した延出部の内周には、不図示のスケール基板が貼り付けられている。それに対向するように配置された不図示の位置検出センサによって、フォーカス操作によるフォーカスキーの回転量を検出する。更に、フォーカスユニット108の外周側におけるエンコーダフレキシブル基板が設けられていない位相には突出部が設けられている。この突出部には不図示のコロがビス止め固定されている。
【0023】
インナーカム筒201には、不図示のインナーカム筒コロ202がビス止め固定されている。このコロは案内筒104に設けられたカム溝およびカム筒105に設けられた光軸方向溝に係合する。このためインナーカム筒201はカム筒105と一体的に回転しながら光軸方向に進退する。
【0024】
第2群レンズL2を保持する2群保持枠222は、外周に取り付けられた不図示の2群カムフォロア223がインナーカム筒201の内周に設けられたカム溝に係合している。また2群保持枠222から延出した不図示のフォーカスキー係合形状222aは、フォーカスキーと一体的に回転するよう係合している。このため、2群保持枠222はカム筒105が回転する(フォーカスキーは停止)と、インナーカム筒201の光軸方向進退量とインナーカム筒201のカム溝の回転に伴う係合点の光軸方向変化量の合計量だけ光軸方向に進退する。またフォーカスキーが回転する(カム筒105は停止)と、回転しながらインナーカム筒201のカム溝との係合点の光軸方向変化量に応じて進退する。
【0025】
実施例1の交換レンズでは、これらの機構によりインナーフォーカスにおける焦点距離変化に伴う焦点位置ズレをメカ的に補正して第2群レンズL2を光軸方向に進退させる。
【0026】
メイン基板114は、フォーカスユニット108、電磁絞りユニット301、およびフレキシブル基板(エンコーダフレキシブル基板と可撓性フレキシブル基板を含む)を介して、または直接電気的に接続され、各種制御を行う。
【0027】
コントロールリング111は、光軸方向の移動が規制された状態で光軸周りに回転操作可能な部材であって、光軸周りの回転のみが可能となっている。コントロールリング111の回転量は不図示の位置検出センサにより検出される。検出された回転量の情報は、フレキシブル基板を介してメイン基板114に送られる。
【0028】
接点ブロック115は、マウント101にビス止め固定され、メイン基板114とフレキシブル基板を介して接続される。接点ブロック115はカメラ本体100との通信および電源の供給を行うために設けられている。裏蓋116はマウント101に弾性結合して有害光をカットしている。保護ゴムリング117はマウント101に弾性結合している。
【0029】
以上のように構成された交換レンズでは、ズーム操作環106を回転させるとズームキーを介してカム筒105が回転し、上記機構に従い全てのレンズが光軸方向に進退して変倍が行われる。なおこの際、3群カム筒230は4群ベース243と光軸方向に一体となって進退する。そして3群カム筒230にビス止め固定された不図示の3群カム筒コロが案内筒104に設けられたカム溝に沿って動くことで、4群ベース243に対して光軸周りに回転する。それにより、第3群レンズL3を保持する3群保持枠231の光軸方向への駆動が行われる。また4群ベース243の光軸方向の進退により、副絞り311に設けられた不図示の副絞りコロが案内筒104に設けられたカム溝に係合して駆動され、開閉動作が行われる。
【0030】
一方、オートフォーカス時には振動型モータの駆動により、マニュアルフォーカス時にはフォーカス操作環109を回転させることで、それぞれフォーカスキーが回転する。これにより上記機構に従って第2群レンズL2が進退し、合焦を行うことができる。
【0031】
次に、
図2から
図6を用いて、実施例1におけるストロボ装置400の照射方向の操作について説明する。
図2は、実施例1におけるストロボ操作システムを構成するレンズ鏡筒とカメラ本体100とストロボ装置400の全体斜視図である。ストロボ装置400は、ストロボ発光部(照明発光部)401とストロボベース部402と、照射方向を変更するためのストロボ駆動モータ(駆動部)で構成されている。
図2から
図8に示すようにカメラを正立させたときに、x軸はレンズ鏡筒の光軸に直交する水平方向の軸であり、y軸は光軸に直交する鉛直方向の軸であり、z軸は光軸と平行な軸である。x軸、y軸、及びz軸は相互に直交している。また、ストロボ発光部401はストロボベース部402に対してx軸周りのティルト回転と、y軸周りのパン回転とが、それぞれ独立してできるように構成されている。
【0032】
ストロボ発光部401は、カメラ本体100内に設けたマイコン等のカメラシステムからの発光指示情報に基づいて、ストロボ光(照明光)を、ストロボ発光部401の発光窓401aを介して照射(発光)する。なお、
図2の状態においてストロボ発光部401は被写体に対して正面を向いていて、z軸方向を発光分布の中心とするストロボ光を被写体側に照射する。この時、ストロボ発光部401の照射方向はz軸方向となっている。
【0033】
ストロボベース部402は、カメラ本体100と着脱可能に構成され、底面にストロボ側接点402aが設けられており、カメラ本体100に設けられたカメラ側接点100bと電気的に接続して通信が行われる。この通信によって、例えばカメラ本体100からストロボ装置400に対してストロボ発光部401の発光量の情報や、ストロボ駆動モータの回転量の指示情報等の信号が通信される。
【0034】
ストロボ駆動モータは、ストロボ装置400の内部に有している不図示のアクチュエータである。ストロボ駆動モータが回転することで、ストロボ発光部401をストロボベース部402に対して駆動させることができ、ストロボベース部402に対して、ストロボ発光部401は相対角度が変更可能となる。これによって、ストロボ光の照射方向(光照射方向)が変更可能となる。なお、ストロボ駆動モータはストロボ発光部401をx軸周りに回転駆動する第1のモータと、ストロボ発光部401をy軸周りに回転駆動する第2のモータを有する。
【0035】
ストロボ駆動モータの回転によりストロボ発光部401がx軸周りで回転駆動されることで、ストロボ光の照射方向はカメラ本体100に対して鉛直方向で変化する。以降、当該動作をティルト動作と呼ぶ。また、ストロボ駆動モータの回転によりストロボ発光部401が、y軸周りで回転駆動されることで、ストロボ光の照射方向はカメラ本体100に対して左右方向で変化する。以降、当該動作をパン動作と呼ぶ。
【0036】
バウンス撮影においては、ストロボ光を天井や壁などの反射体に向けて照射し、反射体で拡散したバウンス光によって被写体に間接的に照明を照射する。従って、バウンス撮影時には被写体までの距離およびストロボ光が反射する反射体までの距離に応じて、ストロボ光の照射方向を適切に設定することが必要である。また、被写体や反射体までの距離以外にも、撮影機材や撮影者の意図などに応じて、例えば上述のストロボ光の照射方向の適切な条件は異なる。そのため、バウンス撮影においてはストロボ光の照射方向を撮影毎に適切に設定することが必要である。
【0037】
実施例1においては、ストロボ発光部401がティルト動作及びパン動作により2軸周りで回転駆動されることで、ストロボ発光部401から照射されるストロボ光の照射方向を自由に調整することが可能となっている。また、実施例1では、ストロボ光の照射方向の調整は、操作部として機能するコントロールリング111を用いて行う。操作部には、ファンクションボタン(第2操作部材)112も含まれる。以下、ストロボ発光部401から照射されるストロボ光の照射方向の調整方法について説明する。
【0038】
まず、コントロールリング111を光軸周りに回転させてその回転量と回転方向とを、レンズ鏡筒の内部に設けられた不図示のエンコーダを介してメイン基板114が検出する。これにより、ストロボ装置400のストロボ発光部401が例えばティルト動作のためのx軸周りの回転動作を行うための回転指示情報として第2の駆動信号が生成される。第2の駆動信号は、送信回路を含むメイン基板114から接点ブロック115を介して、カメラ本体100に送信される。なお、実施例1においては、メイン基板114は、第2の駆動信号をカメラ本体100に送信するレンズ鏡筒側の送信部としても機能する。カメラ本体100では、第2の駆動信号を受信し、マイコンで処理することで、第1の駆動信号を生成する。なお、実施例1においては、マイコンは、第2の駆動信号を受信し、且つストロボ装置400に第1の駆動信号を送信するための、カメラ本体100側の送受信部(通信部)としても機能する。第1の駆動信号はカメラ側接点100bを介して、ストロボ装置400に送られる。
【0039】
ストロボ装置400に送られた第1の駆動信号は、ストロボ装置400内に設けた不図示の制御部が受信し、第1の駆動信号に応じてストロボ駆動モータを回転駆動させる。なお、ストロボ装置400内に設けた制御部は、第1の駆動信号を受信する受信部としても機能する。ストロボ発光部401を駆動することで、ストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対的なティルト角度が変化するため、ストロボ発光部401のティルト角度調整が可能となる。
【0040】
具体的には、ストロボ発光部401の角度調整をする際に、カメラ本体100から被写体を見た状態で、コントロールリング111の例えば時計回り方向の回転により、ストロボ発光部401の向きは上方向にティルト駆動される。このストロボベース部402に対するストロボ発光部401のティルト方向の相対角度を第1の相対角度とする。この場合、メイン基板114は、前述のように、ティルト動作における第1の相対角度を変更する信号として第2の駆動信号を生成する。一方、コントロールリング111の反時計回り方向の回転により、ストロボ発光部401の向きは下方向にティルト駆動される。
【0041】
例えばティルト動作の軸に関してストロボ発光部401の照射方向を調整した後で、パン動作の軸に関するストロボ発光部401の照射方向の調整を行う場合には、ファンクションボタン112を光軸と略直交する方向に押しこむ。それによって、レンズ鏡筒の内部に設けられた不図示のスイッチが押される。スイッチはフレキシブル基板を介してメイン基板114に電気的に接続されている。そして、ファンクションボタン112が押しこまれたことをメイン基板114が検知すると、コントロールリング111の回転によるストロボ光の照射方向駆動は、パン動作のためのy軸周りの回転動作に切り替わる。ここで、ストロボベース部402に対するストロボ発光部401のパン方向の相対角度を第2の相対角度とする。第2の相対角度は第1の相対角度に対して直交している。
【0042】
ファンクションボタン112が押しこまれた状態において、カメラ本体100から被写体を見た状態で、コントロールリング111を時計回り方向に回転すると、ストロボ発光部401は例えば右方向にパン回転駆動される。一方、コントロールリング111の反時計回り方向の回転により、ストロボ発光部401は左方向にパン回転駆動される。
【0043】
このように、ティルト動作及びパン動作のいずれも、コントロールリング111を光軸周りに回転させてその操作量(回転量)を検出する。そして検出した操作量(回転量)に応じた角度だけ、ストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対角度を変更することができる。これによりストロボ光の照射方向の調整が可能となる。
【0044】
さらに、この状態(パン動作の状態)で、ファンクションボタン112を再度押すと、コントロールリング111の回転によるストロボ光の照射方向駆動は、ティルト動作の軸の操作に切り替わる。このときファンクションボタン112は再び突出した状態を維持する。このように、ファンクションボタン112を押すたびに、パン動作とティルト動作にそれぞれ切り替わるとともにファンクションボタン112は突出量が切り換わるような構造となっている。そして、パン動作とティルト動作の際には、上述のようにコントロールリング111を操作することでコントロールリング111の回転方向と操作量(回転量)に応じてストロボ発光部401が駆動し、ストロボ光の照射方向を繰り返し調整することが可能となる。
【0045】
なお、上記のように、ファンクションボタン112は1回押し込むと押し込まれた状態を維持し、もう一回押し込むと、突出した状態を維持するような2つの安定状態を有する構造となっている。これによって、操作者はファンクションボタン112がティルト用の位置になっているのか、パン用の位置になっているのかを目視しなくても手探りで判断することができる。なお、上記のような構造のファンクションボタン112を用いる代わりに、例えば2つの安定状態を有するスライドスイッチなどを用いても良い。即ちスライドスイッチを一方の側にスライドすると、その位置を維持し、他方の側にスライドするとその位置を維持するようなスライドスイッチなどを用いても良い。そのような構造であっても手探りで適切な操作が可能となる。
【0046】
以上の操作によって、ストロボ発光部401から照射されるストロボ光の照射方向の調整が簡単にできるようになる。このストロボ発光部401を駆動させ、ストロボ光の照射方向の調整が行われた後の状態の一例を、
図3から
図6に示す。なお、
図3から
図6に示しているストロボ発光部401の照射方向は、上述のようにカメラ本体100から被写体を見た状態における方向である。
図3はストロボ発光部401の照射方向がティルト動作により略30度上方向に変化した状態を示す図である。
図4はストロボ発光部401の照射方向がティルト動作により略60度上方向に変化した状態を示す図である。
図5はストロボ発光部401の照射方向がパン動作により略45度左方向に変化した状態を示す図である。
図6はストロボ発光部401の照射方向がパン動作により略45度右方向に変化した状態を示す図である。
【0047】
なお、実施例1において、ストロボ発光部401の調整はティルト動作を行った後にパン動作を行っているが、これに限定するものではない。パン動作の調整を行った後に、ティルト動作の調整を行っても良い。
【0048】
また、コントロールリング111の回転方向とストロボ発光部401の駆動方向との関係性は、これに限定するものではない。ティルト動作を例にすると、実施例1では、カメラ本体100から被写体を見た状態で、コントロールリング111の時計回り方向の回転により、ストロボ発光部401は上方向に駆動されるようにしている。これを反時計回り方向の回転で、ストロボ発光部401を上方向に駆動するようにしても良い。その場合、時計回り方向の回転でストロボ発光部401は下方向に駆動される。
【0049】
さらに、例えば、ストロボ発光部401を上下方向に駆動させる動作とコントロールリング111の時計回り及び反時計回り方向の回転の対応付けを切り替えるための切り替えボタンを備えるようにしても良い。その場合、ストロボ装置400、レンズ鏡筒、カメラ本体100の少なくとも一つに備えても良い。パン動作の場合も同様に上述した構成とするようにしても良い。また、上記の切り替えボタンの機能をカメラ本体100のディスプレイ(表示部)上の設定画面で設定できるようにしても良い。
【0050】
以上のように、実施例1では、ストロボ光の照射方向を変更するストロボ駆動モータを駆動させる信号をレンズ鏡筒に設けられたコントロールリング111とファンクションボタン112の操作によって生成している。それにより、撮影者はカメラ本体100とレンズ鏡筒を保持し、カメラ(カメラ本体)を構えてファインダーやモニターを覗いた姿勢のまま、ストロボ光の照射角度を容易に調整することが可能となる。従って、ストロボ光の照射方向を任意の方向に容易に調整することが可能となる。それによりカメラ本体100やレンズ鏡筒の保持を安定的に行いつつ、ストロボ光の照射方向の調整を撮影者が容易に操作可能な機構を有する撮像装置を提供することができる。
【0051】
<実施例2>
図7は、実施例2におけるストロボ操作システムを備えるレンズ鏡筒とカメラ本体100とストロボ装置400の全体斜視図である。カメラ本体100、レンズ鏡筒、及びストロボ装置400の構成において、実施例1と同様の構成についての説明は省略する。実施例2では、ストロボ光の照射方向の調整は、レンズ鏡筒に設けられたファンクションボタン(第2操作部材)112と操作ボタン(第1操作部材)500を用いて行う。実施例2の操作部にはファンクションボタン112と操作ボタン500が含まれる。
【0052】
操作ボタン500は、光軸直交面内で移動可能となるように固定筒102に保持されたシーソースイッチである。操作ボタン500は、上側ボタン500aと下側ボタン500bを有し、上側ボタン500aを光軸と略直交する方向に押すと、レンズ鏡筒の内部に設けられたアップスイッチがONされる。下側ボタン500bを光軸と略直交する方向に押すと、レンズ鏡筒の内部に設けられたダウンスイッチがONされる。
【0053】
上記アップスイッチ及びダウンスイッチはフレキシブル基板を介してメイン基板114に電気的に接続されている。上側ボタン500aまたは下側ボタン500bが押されたことを検知すると、ストロボ装置400のストロボ発光部401がティルト動作のためのx軸回りの回転動作を行うための回転指示情報として第2の駆動信号が生成される。第2の駆動信号はメイン基板114から接点ブロック115を介して、カメラ本体100に送信される。カメラ本体100では、第2の駆動信号を受信し、マイコンで処理することで、第1の駆動信号を生成する。
【0054】
第1の駆動信号は、カメラ側接点100bを介して、ストロボ装置400に送られる。ストロボ装置400に送られた第1の駆動信号は、ストロボ装置400内の制御部が受信し、第1の駆動信号に応じてストロボ駆動モータによってストロボ発光部401をティルト回転させる。ストロボベース部402に対するストロボ発光部401のティルト角度が変化するため、ストロボ発光部401の照射方向のティルト角度調整が行われる。
【0055】
具体的には、上側ボタン500aを押すことで、ストロボ発光部401は上方向に駆動される。下側ボタン500bを押すことで、ストロボ発光部401は下方向に駆動される。ティルト動作の軸に関してストロボ発光部401の照射方向を調整した後、パン動作の軸に関するストロボ発光部401の照射方向の調整を行う。ファンクションボタン112を光軸と略直交する方向に押すと、レンズ鏡筒の内部に設けられたスイッチが押される。
【0056】
スイッチは、フレキシブル基板を介してメイン基板114に電気的に接続されている。そして、ファンクションボタン112が押されたことをメイン基板114が検知すると、操作ボタン500の操作によるストロボ光の照射方向駆動は、パン動作の軸の操作に切り替わる。上側ボタン500aまたは下側ボタン500bを光軸と略直交する方向に押すことで、ティルト動作の軸に関するストロボ光の照射方向の調整と同様にストロボ発光部401のパン角度調整が可能となる。なお、パン動作においては、上側ボタン500aを押すことにより、ストロボ発光部401は、カメラ本体100から被写体を見た状態で右方向に駆動される。下側ボタン500bを押すことにより、ストロボ発光部401は、逆に左方向に駆動される。このように、ティルト動作及びパン動作のいずれも、上側ボタン500a及び下側ボタン500bの操作、例えば、押す時間の長さ、または押した回数等に応じて、ストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対角度を変更することができる。従って、ストロボ光の照射方向の調整が可能となる。
【0057】
また、ファンクションボタン112を再度押すと、操作ボタン500の操作によるストロボ光の照射方向駆動は、ティルト動作の軸の操作に切り替わる。実施例1と同様に、ファンクションボタン112を押すたびに、パン動作・ティルト動作に切り替わるとともに、ファンクションボタン112の突出量が切換わり、操作ボタン500の操作に応じて、ストロボ光の照射方向を繰り返し調整することが可能である。なお、実施例2において、ストロボ発光部401の調整はティルト動作を行った後にパン動作を行っているが、これに限定するものではない。パン動作の調整を行った後に、ティルト動作の調整を行っても良い。
【0058】
また、操作ボタン500の操作内容とストロボ発光部401の駆動方向との関係性は、これに限定するものではない。ティルト動作を例にすると、実施例2では、上側ボタン500aを押すことで、ストロボ発光部401は上方向に駆動される。下側ボタン500bを押すことで、ストロボ発光部401は下方向に駆動される。これを、上側ボタン500aを押すことで、ストロボ発光部401は上方向に駆動され、下側ボタン500bを押すことで、ストロボ発光部401は上方向に駆動されるようにしても良い。さらに、例えば、ストロボ発光部401を上方向に駆動させるボタンを上側ボタン500aと下側ボタン500bのどちらに対応付けるかを切り替えるための切り替えボタンをストロボ装置400、レンズ鏡筒、またはカメラ本体100のいずれかに備えても良い。パン動作の場合も同様に上述した構成とするようにしても良い。またカメラ本体100のディスプレイの画面上で上記の対応関係を設定できるようにしても良い。
【0059】
以上のように、実施例2では、ストロボ光の照射方向を変更するストロボ駆動モータを駆動させる信号をレンズ鏡筒に設けられた操作ボタン500を操作することによって生成している。それにより、撮影者はカメラ本体100とレンズ鏡筒を保持し、カメラ(カメラ本体)を構えてファインダーやモニターを覗いた姿勢のままストロボ光の照射角度を容易に調整することが可能となる。従って、ストロボ光の照射方向を任意の方向に容易に調整することが可能となる。それによりカメラ本体100やレンズ鏡筒の保持を安定的に行いつつ、ストロボ光の照射角度の調整を撮影者が容易に操作可能な機構を有する撮像装置を提供することができる。
【0060】
<実施例3>
図8は、実施例3におけるストロボ操作システムを備えるレンズ鏡筒とカメラ本体100とストロボ装置400の全体斜視図である。カメラ本体100、レンズ鏡筒、及びストロボ装置400の構成において実施例1と同様の構成についての説明は省略する。実施例3では、ストロボ光の照射方向の調整は、レンズ鏡筒に設けられたタッチパネル(第3操作部材)600等の操作部を用いて行う。実施例3の操作部にはタッチパネル600が含まれる。
【0061】
タッチパネル600は、撮影者が指で表面にふれたときの微小な静電容量変化をとらえて、その接触位置を特定するものである。
図9は、タッチパネル600付近の拡大図である。タッチパネル600の表面の触れる位置に応じて、ストロボ装置400がティルト動作・パン動作の軸に関する回転動作を行うための回転指示情報として第2の駆動信号が生成される。第2の駆動信号はメイン基板114から接点ブロック115を介して、カメラ本体100に送信される。カメラ本体100では第2の駆動信号を受信し、マイコンで処理することで、第1の駆動信号を生成する。
【0062】
第1の駆動信号はカメラ側接点100bを介して、ストロボ装置400に送られる。ストロボ装置400に送られた第1の駆動信号は、ストロボ装置400内に有する制御部が受信し、第1の駆動信号に応じて、ストロボ駆動モータを回転駆動させる。ストロボ装置400は、ストロボ発光部401を駆動させることで、ストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対角度が変化するため、ティルト動作及びパン動作のストロボ発光部401の角度調整(照射方向の調整)が可能となる。
【0063】
具体的には、タッチパネル600の表面に設けた十字形状の突起であるタッチパネル指標600aに対して、相対的に鉛直上側のタッチパネル600の表面に触れることで、ストロボ発光部401はティルト動作の上方向に駆動される。また、タッチパネル指標600aに対して、相対的に鉛直下側のタッチパネル600の表面に触れることで、ストロボ発光部401はティルト動作の下方向に駆動される。また、タッチパネル指標600aに対して、相対的に被写体側のタッチパネル600の表面に触れることで、ストロボ発光部401はパン動作の左方向に駆動される。また、タッチパネル指標600aに対して、相対的にカメラ本体100側のタッチパネル600の表面に触れることで、ストロボ発光部401はパン動作の右方向に駆動される。このようにしてタッチパネル600を操作することで、ストロボ装置400の照射方向の調整が行われる。
【0064】
なお、実施例3において、タッチパネル指標600aに対して触れる位置に応じてストロボ発光部401が駆動される方向を具体的に説明した。しかし、タッチパネル600の表面上での操作内容とストロボ発光部401の駆動方向との関係性は、これに限定するものではない。
【0065】
例えば、タッチパネル指標600aに対して、相対的に鉛直上下方向のタッチパネル表面に触れることで、ストロボ発光部401が左右方向のパン動作を行うようにしても良い。そして、相対的に鉛直左右方向のタッチパネル表面に触れることで、ストロボ発光部401が上下方向にティルト動作を行うようにしても良い。このように、ティルト動作及びパン動作のいずれもタッチパネル600を操作、例えば、タッチパネル指標600aを押す時間の長さや強弱、または押した回数等に応じてストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対角度を変更することができる。従って、ストロボ光の照射方向の調整が容易に可能となる。
【0066】
また、実施例3においては十字形状の突起であるタッチパネル指標600aをタッチパネル600上の略中央に設けることによって手探りでもパン方向やティルト方向を把握することができるようにしている。しかし、4つのタッチパネルを上下左右に独立に設けても良い。あるいは、タッチパネル600の代わりに機械的な十字形状のシーソースイッチ等の構造にしても良い。
【0067】
以上のように、実施例3では、ストロボ光の照射方向を変更するためのストロボ駆動モータを駆動させる信号をレンズ鏡筒に設けられたタッチパネル600の表面にあるタッチパネル指標600aを基準に操作することによって生成している。それにより、撮影者はカメラ本体100とレンズ鏡筒を保持し、カメラ(カメラ本体)を構えてファインダーやモニターを覗いた姿勢のままストロボ光の照射角度を容易に調整することが可能となる。従って、ストロボ光の照射方向を任意の方向に容易に調整することが可能となる。それによりカメラ本体100やレンズ鏡筒の保持を安定的に行いつつ、ストロボ光の照射角度の調整を撮影者が容易に操作可能な機構を有する撮像装置を提供することができる。
【0068】
上記各実施例で示したように、撮影者はコントロールリング111やファンクションボタン112、操作ボタン500、及びタッチパネル600といった第2の駆動信号を生成させる操作部を操作することで、ストロボ光の照射方向を調整可能となる。例えば、撮影者がカメラ本体100を右手で把持し、レンズ鏡筒に左手を添えていた場合は、左手を光軸に沿って前方向にずらしてコントロールリング111を把持することでストロボ装置400の照射方向を調整する。あるいはその左手の指先でファンクションボタン112や操作ボタン500、タッチパネル600に触れて操作することでストロボ発光部401の照射方向を調整することができる。
【0069】
従って、撮影者がカメラ本体100のファインダーやモニターから目を離す、またはカメラ本体100あるいはレンズ鏡筒から手を離す必要がない。そのためカメラ本体100やレンズ鏡筒の保持を安定的に行いつつ、ストロボ光の照射方向の角度調整を撮影者自身で容易に行うことが可能となり、シャッターチャンスを逃すことがなくなる。また、レンズ鏡筒に設けられている上述の操作部を操作することで行われるストロボベース部402に対するストロボ発光部401の相対角度変化は、ストロボ発光部401から照射されるストロボ光の照射角度範囲を変更することで行われるようにしても良い。あるいは照射方向を変更するための操作部とは別に照射角度範囲を変更するための操作部を設けても良い。
【0070】
上記各実施例では、ストロボ光の照射方向に関する第2の駆動信号がレンズ鏡筒で生成されている。その第2の駆動信号はレンズ鏡筒とカメラ本体100とで通信され、カメラ本体100のマイコンによって処理されて第1の駆動信号が生成される。そしてカメラ本体100から第1の駆動信号をストロボ装置400に送り、ストロボ装置400内に有する制御部が受信後、ストロボ発光部401が駆動して、ストロボ光の照射方向の調整が行われる。しかし、レンズ鏡筒においてストロボ光の照射方向に関する回転指示情報として第2の駆動信号が生成された後、レンズ鏡筒内に設けたマイコンによって第2の駆動信号を処理して、第1の駆動信号を生成するようにしても良い。
【0071】
その場合、レンズ鏡筒から、カメラ本体100を介さずに、第1の駆動信号を直接、ストロボ装置400に送信する。無線(ワイヤレス)通信がその一例として挙げられる。具体的には、レンズ鏡筒のマイコンからストロボ装置400に送られる第1の駆動信号(ワイヤレス信号)をストロボ装置400内に有する制御部が受信することで、ストロボ発光部401を回転駆動し、ストロボ光の照射方向の調整が行われる。ストロボ光の照射方向の調整方法は上記各実施例と同様である。この場合、レンズ鏡筒に設けたマイコンはレンズ鏡筒側の無線通信部として機能し、ストロボ装置400内の制御部は、ストロボ装置400側の無線通信部としても機能する。
【0072】
さらに、カメラ本体100のマイコンにも無線通信機能を持たせても良い。この場合、カメラ本体100のマイコンはカメラ本体100側の無線通信部としても機能する。そして、レンズ鏡筒側の無線通信部、カメラ本体100側の無線通信部、ストロボ装置400側の無線通信部がそれぞれ無線通信によって第1の駆動信号及び第2の駆動信号を送受信するようにしても良い。また、これらの無線通信方式は、IEEE802.15の規格(Bluetooth(登録商標))、BLE(Bluetooth Low Energy)、ZigBee(登録商標)などであっても良い。
【0073】
なお、上記各実施例において、コントロールリング111、ファンクションボタン112、操作ボタン500、タッチパネル600等を上記の各実施例のレンズ鏡筒にそれぞれ設けるように構成しても良い。そして、操作者が状況に応じて上記の操作部のいずれかを操作することで第2の駆動信号を生成させるようにしても良い。それによって、例えばカメラ本体100の姿勢に拘わらず、いずれかの操作部を操作することで、第2の駆動信号を生成することができる。
【0074】
また、上記実施例では、コントロールリング111やファンクションボタン112、操作ボタン500、タッチパネル600等の操作部はレンズ鏡筒に設けられているが、これに限らず、カメラ本体100に設けるように構成しても良い。
【0075】
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて詳述してきたが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0076】
100 カメラ本体
107 ズームゴム
110 フォーカスゴム
111 コントロールリング
112 ファンクションボタン
400 ストロボ装置
401 ストロボ発光部
401a 発光窓
402 ストロボベース部