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特許7532117可撓性の耐伸張性遠位部分を有する医療装置送達部材
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  • 特許-可撓性の耐伸張性遠位部分を有する医療装置送達部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】可撓性の耐伸張性遠位部分を有する医療装置送達部材
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114720
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021010730
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】16/502,767
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】タイソン・モンティドロ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ソラウン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ブルームンズティック
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0192162(US,A1)
【文献】特表2016-511065(JP,A)
【文献】特表2016-512085(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109770985(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
A61F 2/95
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み可能医療装置を身体の血管の標的位置に送達するための送達部材であって、
前記植込み可能医療装置を受容するように成形された遠位端を備える遠位ハイポチューブと、
前記遠位ハイポチューブの近位端に付着された支持コイルセクションと、
前記支持コイルセクションの近位端に付着された近位ハイポチューブと、
前記遠位ハイポチューブ、前記支持コイルセクション、及び前記近位ハイポチューブを通って延在するルーメンと、
前記支持コイルセクションの外側表面の少なくとも大部分を覆う可撓性スリーブと、
前記ルーメンの一部分を通って延在し、前記近位ハイポチューブに付着され、前記遠位ハイポチューブに付着された、耐伸張性部材と、を備える、送達部材。
【請求項2】
前記遠位ハイポチューブの前記遠位端に係合された前記植込み可能医療装置に係合し、かつこれを展開するよう移動可能な係合システムを更に備え、前記係合システムが、
前記植込み可能医療装置の開口部を通って延在し、それによって前記係合システムを前記植込み可能医療装置に係合させ、前記植込み可能医療装置の前記開口部から後退して前記植込み可能医療装置を展開するように移動可能である、ループワイヤと、
前記ルーメンを通って延在し、前記ループワイヤに係合し、それによって前記係合システムを前記植込み可能医療装置に係合させ、近位に後退して、前記ループワイヤを係合解除して、前記植込み可能医療装置を展開するように移動可能であるプルワイヤと、を含む、請求項1に記載の送達部材。
【請求項3】
前記遠位ハイポチューブが、圧縮状態から細長い状態に移動可能な圧縮可能部分を含み、
前記係合システムが、前記植込み可能医療装置に係合しているとき、前記圧縮可能部分を前記圧縮状態に維持する、請求項2に記載の送達部材。
【請求項4】
前記支持コイルセクションが、
前記支持コイルセクションの前記近位端から延在する非放射線不透過性近位コイルと、
前記支持コイルセクションの前記遠位端から延在する非放射線不透過性遠位コイルと、
前記非放射線不透過性近位コイルと前記非放射線不透過性遠位コイルとの間に延在する放射線不透過性中央コイルと、を備える、請求項1に記載の送達部材。
【請求項5】
前記支持コイルセクションが、
前記支持コイルセクションを形成し、前記ルーメンの一部分を画定するように巻かれたワイヤを含み、前記ワイヤが、約0.02032mm~約0.127mm(約0.0008インチ~約0.005インチ)の直径を含む、請求項1に記載の送達部材。
【請求項6】
前記可撓性スリーブがポリマーを含み、
前記可撓性スリーブが、前記ポリマーの潤滑性を高めるのに有効な添加剤を含む、請求項1に記載の送達部材。
【請求項7】
前記可撓性スリーブが、前記近位ハイポチューブ及び前記遠位ハイポチューブに付着されている、請求項1に記載の送達部材。
【請求項8】
前記耐伸張性部材が押出チューブである、請求項1に記載の送達部材。
【請求項9】
前記送達部材が、前記支持コイルセクションの前記近位端から前記遠位ハイポチューブの前記遠位端まで測定可能な長さを含み、前記長さが約40cmである、請求項1に記載の送達部材。
【請求項10】
前記近位ハイポチューブが、前記近位ハイポチューブの遠位端に接近する螺旋状の切断部分を備える、請求項1に記載の送達部材。
【請求項11】
植込み可能医療装置を送達するための送達部材を構築する方法であって、
内部を通る第1のルーメンを含む第1ハイポチューブを選択することと、
内部を通る第2のルーメンを含む第2ハイポチューブを選択することと、
前記第2ハイポチューブの遠位端から前記第1ハイポチューブの近位端まで延在するワイヤコイルセクションを形成し、前記ワイヤコイルセクションが、内部を通る第3のルーメンを画定するようにすることと、
前記第3のルーメンを通って耐伸張性部材を延在させることと、
前記耐伸張性部材を前記第1ハイポチューブ及び前記第2ハイポチューブに付着させることと、
可撓性スリーブを選択することと、
前記ワイヤコイルセクションの外側表面の少なくとも大部分を前記可撓性スリーブで覆うことと、
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記ワイヤコイルセクションを形成する工程が、
前記第2ハイポチューブの前記遠位端から遠位に延在する非放射線不透過性近位コイルを形成することと、
前記第1ハイポチューブの前記近位端から近位に延在する非放射線不透過性遠位コイルを形成することと、
前記非放射線不透過性近位コイルと前記非放射線不透過性遠位コイルとの間に延在する放射線不透過性中央コイルを形成することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ワイヤコイルセクションを形成する工程が、
約0.02032mm~約0.127mm(約0.0008インチ~約0.005インチ)の直径を備えるワイヤを選択することと、
前記ワイヤを巻き取って前記ワイヤコイルセクションを形成し、内部を通る前記第3のルーメンを画定することと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記可撓性スリーブを選択する工程が、
ポリマーと、前記ポリマーの潤滑性を高めるのに有効な添加剤とを含む前記可撓性スリーブを選択すること、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第3のルーメンを通って前記耐伸張性部材を延在させる工程が、
前記第3のルーメンを通って実質的に管状である前記耐伸張性部材を延在させること、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの前記遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記第1ハイポチューブを圧縮することと、
前記植込み可能医療装置を、圧縮された前記第1ハイポチューブの前記遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付けることと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ループワイヤを前記第1のルーメン内に位置決めすることと、
プルワイヤを前記第1のルーメン、前記第3のルーメン、及び前記のルーメンを通って延在するように位置決めすることと、を更に含み、
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの前記遠位端に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記植込み可能医療装置の開口部を通って前記ループワイヤを延在させることと、
前記プルワイヤを、前記植込み可能医療装置の前記開口部を通って延在する前記ループワイヤの一部分に係合させることと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの前記遠位端に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記プルワイヤを前記第2ハイポチューブの近位端から近位に延在させるよう位置決めすること、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、ヒト対象の身体の血管を介してナビゲート可能な血管内医療装置システムに関する。より具体的には、本発明は、植込み可能医療装置を身体の血管の標的位置に送達及び展開するための送達システムと送達部材、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の血管構造の中に治療装置(例えば拡張バルーン、ステント及び塞栓コイル)を位置決めして配置するためのカテーテル送達システムを使用することは、血管内疾患を治療するための標準手技となっている。そのような装置は、特に、従来の手術手技が不可能である場合、又は患者に大きな危険をもたらす領域を治療する場合、例えば脳血管の中の動脈瘤を治療する場合に有効であることが見出されている。脳血管を囲む繊細な組織、例えば脳組織のために、脳血管の欠陥を治療するための外科手技を実行することは、非常に難しく、往々にして危険な場合がある。カテーテルベースのインプラント送達システムの進歩によって、このような場合の代替的な治療が実現されてきた。カテーテル送達システムの利点として挙げられるのは、周囲の組織への外傷のリスクを低減することが見出されているアプローチによって血管を治療するための方法を提供すること、及び過去に手術不能であると考えられていた血管の治療を可能にすることである。
【0003】
一般に、これらの手技は、送達カテーテルを患者の血管構造の中に挿入することと、それを血管構造を通して所定の送達部位まで導くこととを含む。塞栓コイルなどの血管閉塞装置は、送達部材(例えばマイクロカテーテル)の遠位端においてインプラント係合/展開システム(本明細書では「係合システム」又は「展開システム」と同等に称される)に取り付けることができる。それは、送達カテーテルを通って送達カテーテルの遠位端から送達部位へとコイルを押し出す。例示的な送達部材及び係合/展開システムは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第15/850,993号及び米国特許出願公開第15/964,857号に記載されている。
【0004】
このような治療手技を適切に実行することに関連している困難の一部は、送達部材及び係合システムが治療を通して安定した位置に留まることを確実にすることを含む。例えば、動脈瘤の治療のいくつかの用途では、動脈瘤が塞栓物質で次第に充填されていくにつれて、植込まれている塞栓物質からの押し戻しが増加することに起因して送達部材が移動する傾向がある可能性がある。送達部材が治療中に移動する場合、医師は、塞栓物質の配置を正確に制御することができない場合があり、動脈瘤を充填するのを停止するように選択する場合がある。このような例では、動脈瘤を十分に充填することができない。これは再開通をもたらし得ることである。更に、送達部材及び/又はそれと接する係合システムの過剰な移動又は伸張は、塞栓コイルの早期の取り外しをもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、安定性の改善されたインプラント送達部材及びインプラント係合システムを提供するための改良された方法、装置、及びシステムに対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上述の必要性を満たすシステム、装置、及び方法を提供することである。一般に、本発明の目的は、可撓性遠位部分を有する植込み可能医療装置を送達及び展開するための送達部材を提供することである。
【0007】
送達部材の遠位部分の剛性は、送達部材の遠位端が蛇行性の遠位の解剖学的構造を通って前進する際に、塞栓物質の送達に使用されるマイクロカテーテルを動脈瘤から引き戻すことができる。塞栓物質を前進させながらマイクロカテーテルが引き戻されると、マイクロカテーテルは動脈瘤から出ることが可能になり、医師が塞栓コイルの制御を失う可能性があり、塞栓物質の配置を正確に制御することができず、治療を完了することができない場合がある。
【0008】
可撓性は、送達部材の遠位部分に沿って巻かれる、長さのあるコイルを組み込むことによって設けることができる。巻かれたコイルは、コイルの外側の周囲に位置決めされた可撓性ポリマースリーブによって保護することができる。巻かれたコイルは、巻かれたコイルのいずれかの端部においてハイポチューブに付着された耐伸張性チューブが伸びることを阻止することができる。
【0009】
植込み可能医療装置を身体の血管の標的位置に送達するための例示的な送達部材は、遠位ハイポチューブと、支持コイルセクションと、近位ハイポチューブと、支持コイルセクションを覆う可撓性スリーブと、支持コイルセクションにわたって延在する耐伸張性部材と、を含むことができる。遠位ハイポチューブ、支持コイルセクション、及び近位ハイポチューブは、内部を通るルーメンを有する連続した管状構造を形成することができる。可撓性スリーブは、支持コイルセクションの一部又は全てを覆って、支持コイルセクションの径方向の拡張を防止し、支持コイルセクションが血管構造を通って摺動する能力を促進することができる。耐伸張性部材は、近位ハイポチューブ及び遠位ハイポチューブに付着され得、それによって支持コイルセクションの全体にわたって延在する。
【0010】
送達部材はまた、植込み可能医療装置に係合し、展開するために移動することができる係合システムを含むことができる。係合システムは、ループワイヤ及びプルワイヤを含むことができる。ループワイヤは、植込み可能医療装置内の開口部を通って延在することができ、プルワイヤは、ループワイヤに係合することができ、それによって、係合システムを植込み可能医療装置に係合させることができる。プルワイヤは、送達部材のルーメンの内部に位置決めすることができ、ループワイヤを係合解除するために近位に後退させることができる。プルワイヤから係合解除されると、ループワイヤは、植込み可能医療装置の開口部から後退するように移動可能であり、それによって植込み可能医療装置を展開することができる。
【0011】
係合システムを移動させて植込み可能医療装置を展開するとき、遠位ハイポチューブの少なくとも一部分が圧縮されて、係合システムが移動すると伸びることができる。
【0012】
支持コイルセクションは、非放射線不透過性近位コイルと、非放射線不透過性遠位コイルと、非放射線不透過性コイル間に位置決めされた放射線不透過性中央コイルとを含むことができる。
【0013】
支持コイルセクションは、送達部材のルーメンの一部分を画定するように巻かれたワイヤから作製することができる。支持コイルが作製されるワイヤは、約0.8ミル~約5ミル(約20nm~約130nm)の断面直径を有し得る。
【0014】
可撓性スリーブは、ポリマーを含むことができる。可撓性スリーブは、ポリマーの潤滑性を高めるための添加剤を含むことができる。
【0015】
可撓性スリーブは、近位ハイポチューブ及び遠位ハイポチューブに付着され得る。これにより、構成された可撓性スリーブは、コイルセクションの全体及び近位ハイポチューブの少なくとも一部分、及び/又は遠位ハイポチューブの少なくとも一部分を覆うことができる。
【0016】
耐伸張性部材は、押出チューブであってもよい。
【0017】
支持コイルセクション及び遠位ハイポチューブは、支持コイルの近位端から遠位ハイポチューブの遠位端まで測定された長さを有することができ、この長さは、約30cm~約50cm、又はより具体的には約40cmである。
【0018】
近位ハイポチューブは、その遠位端付近に螺旋状の切断部分を含むことができる。
【0019】
上記の例などの送達部材を設計又は構築するための例示的な方法は、第1ハイポチューブ及び第2ハイポチューブを選択する工程と、2つのハイポチューブ間にワイヤコイルセクションを形成する工程と、ワイヤコイルセクションのルーメンを通って耐伸張性部材を延在させる工程と、第1ハイポチューブ及び第2ハイポチューブに耐伸張性部材を付着させる工程と、可撓性スリーブを選択する工程と、支持コイルセクションを可撓性スリーブで覆う工程と、植込み可能医療装置を治療中に第1ハイポチューブから取り外し可能になるように植込み可能医療装置を第1ハイポチューブの遠位端に取り付ける工程とを含むことができる。
【0020】
ワイヤコイルセクションを形成する工程は、非放射線不透過性近位コイルを形成することと、非放射線不透過性遠位コイルを形成することと、非放射線不透過性近位コイルと非放射線不透過性遠位コイルとの間に延在する放射線不透過性中央コイルを形成することと、を含むことができる。あるいは、ワイヤコイルセクションは、放射線不透過性セクションを含む必要はない。ワイヤコイルセクションを形成する工程は、追加的に又は代替的に、約0.8ミル~約5ミル(約20nm~約130mm)の直径を有するワイヤを選択することと、ワイヤを巻き取ってワイヤコイルセクションを形成し、ワイヤコイルセクションのルーメンを画定するようにすることを含むことができる。
【0021】
可撓性スリーブを選択する工程は、ポリマーの潤滑性を高めるための添加剤を有するポリマースリーブを選択することを含むことができる。
【0022】
ワイヤコイルのルーメンを通るよう耐伸張性部材を延在させる工程は、ワイヤコイルのルーメンを通るよう実質的に管状の耐伸張性部材を延ばすことを含み得る。
【0023】
植込み可能医療装置を第1ハイポチューブに取り付ける工程は、第1ハイポチューブを圧縮する工程、及び植込み可能医療装置を圧縮された第1ハイポチューブの遠位端に取り付ける工程を含み得る。
【0024】
送達部材を設計又は構築するための例示的な方法は、第1ハイポチューブのルーメン内部にループワイヤを位置決めすることと、プルワイヤを第1ハイポチューブ、ワイヤコイルセクション、及び第2ハイポチューブのルーメンを通って延在するように位置決めすることとを更に含むことができる。植込み可能医療装置を取り付ける工程は、追加的に又は代替的に、植込み可能医療装置の開口部を通るようループワイヤを延在させること、及び植込み可能医療装置の開口部を通って延在するループワイヤの一部分にプルワイヤを係合させることを含み得る。植込み可能医療装置を取り付ける工程は、追加的に又は代替的に、プルワイヤを位置決めして第2ハイポチューブの近位端から近位方向に延在させることを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記及び更なる態様は、
添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ以上の実装形態を描写している。
図1】本発明の態様による、送達部材の断面図である。
図2A】本発明の態様による、可撓性スリーブの断面図である。
図2B】本発明の態様による耐伸張性チューブの断面図である。
図2C】本発明の態様による、遠位ハイポチューブ及び近位ハイポチューブに付着させたワイヤコイルの断面図である。
図3A】本発明の態様による、インプラントを展開するためのシーケンスを概観した、係合システムの図である。
図3B】本発明の態様による、インプラントを展開するためのシーケンスを概観した、係合システムの図である。
図3C】本発明の態様による、インプラントを展開するためのシーケンスを概観した、係合システムの図である。
図3D】本発明の態様による、インプラントを展開するためのシーケンスを概観した、係合システムの図である。
図4】本発明の態様による、送達部材を設計及び/又は構築するための方法の工程を概説したフローチャートである。
図5】本発明の態様による例示的な送達部材を含む送達システムを使用するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
血管内処置中、例えば動脈瘤閉塞治療中に、治療装置の送達部材の遠位部分に可撓性が欠如していることは、インプラント又は他の医療処置用装置が動脈瘤又は他の治療部位に配置されている間、送達部材を治療部位から引き戻すか、別様に位置から移動させ得る。したがって、より可撓性である遠位部分を有する送達部材及び係合システムは、同様の課題に直面する他の用途に加えて、神経血管の解剖学的構造に医療装置を送達するために安定したシステムを提供することができる。しかし、可撓性構造体は、蛇行性の解剖学的構造をナビゲートする際に変形、延在、又は拡張する傾向がある場合がある。送達部材の変形は、送達部材が治療部位にナビゲートし得ること、及び/又は医療装置を効果的に展開し得ることを阻止することがある。送達部材が伸びることは、医療装置の早期の展開をもたらすことがある。
【0027】
本発明の目的は、医療治療用装置の送達及び展開を通して、耐伸張性で構造的に安定している高度に可撓性の遠位部分を有する送達部材を提供することである。説明を容易にするために、医療治療用装置は、本明細書では一般に「インプラント」と称されるが、当業者によって認識され、理解されるように、本発明の態様は、植込まれていない医療治療用装置を送達及び展開するために適用され得る。
【0028】
本発明によれば、いくつかの例では、送達部材の高度に可撓性の遠位部分は、コイル状ワイヤ、外側スリーブ、及び内側の耐伸張性部材を含むことができる。コイル状ワイヤは、コイルの形状に巻かれた実質的に線形のワイヤ、及び/又は螺旋パターンでレーザー切断されるハイポチューブで形成することができる。コイル状ワイヤがレーザー切断のハイポチューブから形成される場合、螺旋は、より可撓性のあるコイルを設けるように、コイル内の巻線を接続する干渉的な切断がない場合がある。外側スリーブは、コイル状ワイヤが半径方向に変形することを阻止することができ、かつ/又はインプラントの送達中に血管壁が摺動することができる平滑な表面を設けることができる。耐伸張性部材は、インプラントの送達中にコイル状ワイヤが伸びることを阻止することができる。したがって、コイル状ワイヤ、外側スリーブ、及び耐伸張性部材の組み合わせは、少なくともいくつかの公知の送達部材よりも高い可撓性及び高い安定性を有する送達部材の遠位部分を設けることができる。
【0029】
図面を参照すると、図1に示すように、例示的な送達部材10は、近位チューブ100と、コイルセクション200と、遠位チューブ300と、コイルセクションを取り囲むスリーブ500と、コイルセクション200のルーメン内の耐伸張性部材600とを含むことができる。近位チューブ100は、コイルセクション200及び遠位チューブ300を有する送達部材10の長さの大部分を延在することができ、治療部位におけるインプラントの配置中に生じ得る大部分の押し戻しを吸収するのに十分な長さを形成する。いくつかの例では、長さは、約30cm~約50cm、又はより具体的には約40cmを測定することができる。近位チューブ100は、コイルセクション200の近位端202に接続された遠位端104を有することができ、コイルセクション200は、遠位コイル300の近位端302に接続された遠位端204を有することができる。
【0030】
図2Aは、スリーブ500の断面図である。図2Bは、耐伸張性部材600の断面図である。図2Cは、組み立てられた近位チューブ100コイルセクション200及び遠位チューブ300の断面図である。
【0031】
コイルセクション200は、近位ハイポチューブ100及び/又は遠位ハイポチューブ300とは別個に形成され得る。別個に形成されたコイルセクション200は、溶接部712、714、又は近位チューブ100及び/又は遠位チューブ300への他の適切な取り付けで付着させることができる。加えて、又は代替的に、コイルセクションの少なくとも一部分は、ハイポチューブの螺旋状レーザー切断部分で形成されてもよい。別個に形成されたコイルセクション200は、特定の直径Dを有する特定の断面(例えば円形)を有するワイヤを選択することによって、又は可撓性を増大させる材料特性を有するワイヤを選択することによって、螺旋状の切断管と比較してより可撓性にすることができる。反対に、レーザー切断部分は、単一のハイポチューブを切断して近位チューブ100、コイルセクション200、及び遠位ハイポチューブ300を形成し、溶接部712、714、又は他の取り付けを削減又は削除することによって、レーザー切断部分をより容易に製作することができる。いずれの場合も、コイル200のワイヤは、約0.8ミル及び5ミル(約20nm~約130nm)を含む範囲内で測定される直径Dを有することができる。
【0032】
コイルセクションは、鋼などの非放射線不透過性材料から主に形成することができ、白金及び/又はタングステンなどの放射線不透過性材料から作製された放射線不透過性セクション216を含むことができる。放射線不透過性セクション216は、コイル212の近位の非放射線不透過性セクションとコイル214の遠位の非放射線不透過性セクションとの間に位置決めすることができる。放射線不透過性セクション216は、治療手技中に医師が送達部材の遠位部分の配置を容易に可視化することができるように、送達部材10の遠位端304から所定の距離に位置決めされ得る。近位セクション212、放射線不透過性セクション216、及び遠位セクション214は、同心円状に溶接され得る。
【0033】
コイルセクション200は、本明細書において総称的に「スリーブ」と称される可撓性スリーブ又は溶融ジャケット500によって包囲され得る。スリーブは、ナビゲーション中にコイル200が径方向に拡張すること、及び/又は血管壁に係合することを阻止することができる。スリーブ500は、ポリマーを含み得る。ポリマーは、スリーブ500の潤滑性を増大させるための添加剤を含むことができ、スリーブが身体の血管を通って容易に摺動できるようにする。図2Aに示すように、スリーブ500は、約0.5ミル及び約2ミル(約0.01mm~約0.05mm)を含む範囲内で測定される壁厚Tを有することができる。スリーブ500は、血管内ナビゲーションの間の摩擦を更に最小限に抑えるために、親水性コーティングで更にコーティングすることができる。スリーブ500は、コイル200、近位ハイポチューブ100及び/又は遠位ハイポチューブ300に融合又は接着され得る。
【0034】
耐伸張性部材600は、血管内ナビゲーションの間にコイル200が伸びるのを阻止するように位置決めすることができる。耐伸張性部材600は、コイル200のルーメン208の内部に適合するように寸法決めされたチューブを含むことができる。耐伸張性チューブ600はまた、コイル200の長さの全体を通って延在するように寸法決めされてもよく、近位チューブ100のルーメン108と共に、遠位コイル300のルーメン308内に延在するように寸法決めされ得る。耐伸張性部材600は、接着接合部702、704又は他の適切な取り付けで、近位チューブ100及び遠位チューブ300に取り付けることができる。耐伸張性部材600は、耐伸張性部材600及びコイルセクション200が、互いに独立してある程度移動することができるように、コイルセクション200に取り付けられない状態を保ち得る。
【0035】
送達部材10は、治療用装置を展開するために機械的に作動され得る、治療部位への送達中の医療治療用装置を係合するための機械的係合システムを含むことができる。機械的に作動される係合システムは、多くの場合、医療治療用装置を展開するために医師によって近位端で操作され得る送達部材を通って延在する1つ以上の内側細長部材又はプルワイヤを含む。こうしたワイヤ又は内側細長部材は、本明細書では「プルワイヤ」と総称される。
【0036】
図3A~3Dは、プルワイヤ140と、インプラント又は他の医療治療用装置を送達部材10に固定するように位置決めされ得、送達部材10から医療治療用装置を解放するように移動され得るループワイヤ400とを含む機械的係合システムを含む送達部材10を示す。ループワイヤ400は、溶接部408又は他の又は他の好適な取り付けにより遠位チューブ300に付着させることができる(図1を参照)。耐伸張性部材600は、プルワイヤ140が近位チューブ100、コイルセクション200、及び遠位チューブ300のルーメン108、208、308を通過できるように寸法決めされ得る。例えば、耐伸張性部材600は、管状でそれを通るルーメンを有するのでもよく、プルワイヤ140は、管状耐伸張性部材600のルーメンを通って延在することができる。耐伸張性部材600の製造中、耐伸張性部材600は、プルワイヤ140の上に押出成形され得る。
【0037】
コイル200、スリーブ500、及び耐伸張性部材600の組み合わせは、神経血管を含む蛇行性の解剖学的構造をナビゲートするのに好適な送達部材10の高度に可撓性の遠位部分を設けることができる。耐伸張性部材600は、コイル200を支持して、血管のナビゲーション中にコイル200が著しいほどに延在するのを防ぐことができ、それによって、それを通って延在するプルワイヤ140の張力を低減し、取り付けられた医療治療用装置が早期に展開する可能性を低減することができる。
【0038】
近位チューブ100は、可撓性セクション106の可撓性を増加するために材料が除去された可撓性セクション106を含むことができる。可撓性セクション106は、螺旋パターンで切断することができる。可撓性セクション106の螺旋パターンは、螺旋内に巻線を接続する干渉的な切断を欠くことができる。耐伸張性部材600は、可撓性セクション106を通って延在し、可撓性セクション106から近位方向に近位チューブ100に取り付けられ得る。これにより、耐伸張性部材600は、近位チューブ100及びコイルセクション200の可撓性セクション106が伸びるのを阻止することができる。スリーブ500は、可撓性セクション106の少なくとも一部分を覆って、血管内ナビゲーション中に可撓性セクションの変形を阻止し、かつ/又は血管構造及び可撓性セクション106との摩擦を低減することができる。いくつかの例では、スリーブ500は、近位チューブ100の約10cmを近位チューブ100の遠位端104に接近させる及び/又は含むことができる。
【0039】
遠位チューブ300は、圧縮可能部分306を含み得る。圧縮可能部分306は、細長い状態と圧縮状態との間で軸方向に調節可能であり得る。圧縮部分306は、レーザー切断操作により形成されたチューブ300の螺旋状の切断部分から形成される。加えて又は代替的に、圧縮可能部分は、巻線、螺旋状のリボン、又は本発明による軸方向の調節を可能にする他の構成で形成することができる。好ましくは、圧縮可能部分306は静止時に細長い状態にあり、他に拘束がない限り、圧縮状態から細長い状態に自動的又は弾性的に戻る。
【0040】
図3A~3Dは、機械的係合/展開システムを使用した医療装置12の取り外しを示す。図3Aは、医療装置12の係止部分18に係止された係合システム140、400を示す。遠位チューブ300の圧縮可能部分306は圧縮されてもよく、ループワイヤ400の遠位端404にあるループワイヤ400の開口部405は、係止部分18を通って配置され得る。プルワイヤ140が開口部405を通して配置されるとき、もはや医療装置12が固定されている。図3Bは、医療装置12の解放シーケンスを開始するために、近位側に引っ張られているプルワイヤ140を示す。図3Cは、プルワイヤ140が開口部405から出て、ループワイヤ400がない状態で引っ張られる時点を示す。ループワイヤ400の遠位端部404は脱落し、又は係止部分18から出る。図から分かるように、これで医療装置12を取り外しシステム10に保持しているものは何もない。図3Dは、解放シーケンスの終了時を示す。ここで、圧縮可能部分306は元の形状に拡張し、又は戻り、前方に「弾ける」。遠位側チューブ300の遠位端304により弾性力Eが医療装置12に付与され、これを「押し出し」、医療装置12のクリーンな分離と送達を確実に行う。
【0041】
上述の図面の説明は、本発明による略中空又は略管状構造体100、200、300、500、600を示す。本明細書で使用されるとき、用語「管状」及び「管」は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造や、断面が厳密に円形である構造、長さにわたって均一な断面である構造に制限されるものではない。例えば、管状構造又は管状系は、一般に、実質的に直円柱構造として図示される。しかしながら、管状系は、本発明の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外側表面を有し得る。
【0042】
図4は、本明細書に記載される例示的な送達部材などの送達部材を構築又は設計するための方法工程を含むフローチャートである。図4に概説される方法800を参照すると、工程810において、第1ハイポチューブ、第2ハイポチューブ、可撓性スリーブ、ワイヤコイル、及び耐伸張性部材を選択することができる。第1ハイポチューブは、本明細書に記載されるような近位ハイポチューブ100であってもよく、ないしは別様で当業者に公知のものであってもよい。第2ハイポチューブは、本明細書に記載されるような遠位ハイポチューブ300であってもよく、ないしは別様で当業者に公知のものであってもよい。可撓性スリーブは、本明細書に記載されるスリーブ又は溶融ジャケット500であってもよく、又は当業者には別様に公知のものであってもよい。ワイヤコイルは、本明細書に記載されるような支持コイル、コイルセクション200、又は当業者に公知のものを含むことができる。耐伸張性部材は、本明細書に記載されるような、又は別様に当業者に公知のような、耐伸張性部材600であり得る。
【0043】
工程820では、耐伸張性部材は、ワイヤコイルのルーメンに位置決めされ得る。工程820では、位置決めされた耐伸張性部材は、実質的に管状であり得る。工程830では、第1ハイポチューブ、ワイヤコイル、及び第2ハイポチューブを互いに取り付けることができる。工程840において、耐伸張性部材は、第1ハイポチューブ及び第2ハイポチューブに取り付けられる。第1ハイポチューブ、ワイヤコイル、及び第2ハイポチューブは、本明細書に図示及び記載されるように、又は当業者に理解されるような他の手段によって取り付けることができる。工程820、830、及び840は、その順序で実行される必要はなく、同時に実行することができる。例えば、耐伸張性部材は、工程840に示されるように、第1ハイポチューブ及び第2ハイポチューブのうちの1つに取り付けられてもよく、その後、耐伸張性部材が取り付けられるハイポチューブは、工程830に示されるようにワイヤコイルに取り付けられ得、次に、工程820に示されるように、耐伸張性部材をワイヤコイルを通って位置決めすることができ、次いで、工程830に示されるように、ハイポチューブの他方をワイヤコイルに取り付けることができ、次いで、工程840に示されるように、耐伸張性部材をその他のハイポチューブに取り付けることができる。
【0044】
工程850では、ワイヤコイルを可撓性スリーブで覆うことができる。可撓性スリーブは、ワイヤコイルの外側表面の一部又は全部を覆うことができる。工程850はまた、可撓性スリーブをワイヤコイルに融合させる工程、及び/又は別の方法で可撓性スリーブを送達部材に付着させる工程を含むことができる。第2ハイポチューブが可撓性セクションを有する場合、工程850において、可撓性スリーブはまた、可撓性セクションの少なくとも一部分を覆うように位置決めされ得る。
【0045】
工程860では、インプラントを第1ハイポチューブの遠位端に取り外し可能に取り付けることができる。工程860では、第1ハイポチューブ内にループワイヤを位置決めすることによってインプラントを取り付けることができ、プルワイヤを第1ハイポチューブ、コイルワイヤ、及び第2ハイポチューブを通って延在させ、インプラントをループワイヤ及びプルワイヤで固定することによって位置決めすることができる。プルワイヤは、第2ハイポチューブの近位端から延在することができる。第1ハイポチューブが圧縮可能部分を有する場合、工程860で圧縮可能部分を圧縮することができ、圧縮可能部分が圧縮されている間にインプラントを送達部材に取り付けることができる。
【0046】
図5は、本明細書に記載される送達部材の例などの送達部材を含むシステムを使用して血管内処置を投与するための方法工程を含むフローチャートである。図5に概説される方法900を参照すると、工程910では、遠位ハイポチューブ、近位ハイポチューブ、ハイポチューブの間に同軸に位置決めされたコイルセクション、コイルセクションを覆う可撓性スリーブ、コイルセクションの内部に位置決めされた耐伸張性部材、及び遠位ハイポチューブに又はその近くに取り付けられた医療治療用装置を有するシステムを選択することができる。本システムは、本明細書に記載及び例示されるような血管内処置、又は当業者には別様に公知であるような血管内処置に好適であり得る。
【0047】
工程920では、システムはカテーテルを通して、動脈瘤の部位又は血管内の他の異常などの治療部位へと移動させることができる。工程930では、システムは、カテーテルを通って移動するときに屈曲させることができる。工程940において、システムのコイルセクションは、可撓性スリーブ及び耐伸張性部材によって変形することを防止することができ、コイルが長手方向に延在することを耐伸張性部材が阻止することができる一方で、可撓性スリーブは、コイルセクションコイルが半径方向に変形することを阻止することができる。
【0048】
工程950では、医療治療用装置が展開され得る。医療治療用装置がインプラントである場合、工程950では、インプラントを取り外すことができる。工程960では、遠位チューブは、医療治療用装置を遠位チューブから押し出すように延在し得る。医療治療用装置が工程950で取り外されたインプラントである場合、工程960では、遠位チューブの拡張に応答して、取り外したインプラントを遠位チューブから放出することができる。
【0049】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、代替的な構成要素の構成、代替材料、代替的な医療治療用装置、医療治療用装置を展開するための代替的な手段、個々の構成要素の代替的な幾何学的形状、構成部品を取り付けるための代替的な手段などを含む、送達システム、送達部材、及び係合システムの多くの変形及び修正を企図している。これらの修正は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 植込み可能医療装置を身体の血管の標的位置に送達するための送達部材であって、
前記植込み可能医療装置を受容するように成形された遠位端を備える遠位ハイポチューブと、
前記遠位ハイポチューブの近位端に付着された支持コイルセクションと、
前記支持コイルセクションの近位端に付着された近位ハイポチューブと、
前記遠位ハイポチューブ、前記支持コイルセクション、及び前記近位ハイポチューブを通って延在するルーメンと、
前記支持コイルセクションの外側表面の少なくとも大部分を覆う可撓性スリーブと、
前記ルーメンの一部分を通って延在し、前記近位ハイポチューブに付着され、前記遠位ハイポチューブに付着された、耐伸張性部材と、を備える、送達部材。
(2) 前記遠位ハイポチューブの遠位端に係合された前記植込み可能医療装置に係合し、かつこれを展開するよう移動可能な係合システムを更に備え、前記係合システムが、
前記植込み可能医療装置の開口部を通って延在し、それによって前記係合システムを前記植込み可能医療装置に係合させ、前記植込み可能医療装置の前記開口部から後退して前記植込み可能医療装置を展開するように移動可能である、ループワイヤと、
前記ルーメンを通って延在し、前記ループワイヤに係合し、それによって前記係合システムを前記植込み可能医療装置に係合させ、近位に後退して、前記ループワイヤを係合解除して、前記植込み可能医療装置を展開するように移動可能であるプルワイヤと、を含む、実施態様1に記載の送達部材。
(3) 前記遠位ハイポチューブが、圧縮状態から細長い状態に移動可能な圧縮可能部分を含み、
前記係合システムが、前記植込み可能医療装置に係合しているとき、前記圧縮可能部分を前記圧縮状態に維持する、実施態様2に記載の送達部材。
(4) 前記支持コイルセクションが、
前記支持コイルセクションの前記近位端から延在する非放射線不透過性近位コイルと、
前記支持コイルセクションの前記遠位端から延在する非放射線不透過性遠位コイルと、
前記非放射線不透過性近位コイルと前記非放射線不透過性遠位コイルとの間に延在する放射線不透過性中央コイルと、を備える、実施態様1に記載の送達部材。
(5) 前記支持コイルセクションが、
前記支持コイルセクションを形成し、前記ルーメンの一部分を画定するように巻かれたワイヤを含み、前記ワイヤが、約0.02032mm~約0.127mm(約0.0008インチ~約0.005インチ)の直径を含む、実施態様1に記載の送達部材。
【0051】
(6) 前記可撓性スリーブがポリマーを含み、
前記可撓性スリーブが、前記ポリマーの潤滑性を高めるのに有効な添加剤を含む、実施態様1に記載の送達部材。
(7) 前記可撓性スリーブが、前記近位ハイポチューブ及び前記遠位ハイポチューブに付着されている、実施態様1に記載の送達部材。
(8) 前記耐伸張性部材が押出チューブである、実施態様1に記載の送達部材。
(9) 前記送達部材が、前記支持コイルセクションの前記近位端から前記遠位ハイポチューブの前記遠位端まで測定可能な長さを含み、前記長さが約40cmである、実施態様1に記載の送達部材。
(10) 前記近位ハイポチューブが、前記近位ハイポチューブの遠位端に接近する螺旋状の切断部分を備える、実施態様1に記載の送達部材。
【0052】
(11) 植込み可能医療装置を送達するための送達部材を構築する方法であって、
内部を通る第1のルーメンを含む第1ハイポチューブを選択することと、
内部を通る第2のルーメンを含む第2ハイポチューブを選択することと、
前記第2ハイポチューブの遠位端から前記第1ハイポチューブの近位端まで延在するワイヤコイルセクションを形成し、前記ワイヤコイルセクションが、内部を通る第3のルーメンを画定するようにすることと、
前記第3のルーメンを通って耐伸張性部材を延在させることと、
前記耐伸張性部材を前記第1ハイポチューブ及び第2ハイポチューブに付着させることと、
可撓性スリーブを選択することと、
前記支持コイルセクションの前記外側表面の少なくとも大部分を前記可撓性スリーブで覆うことと、
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付けることと、を含む、方法。
(12) 前記ワイヤコイルセクションを形成する工程が、
前記第2ハイポチューブの前記遠位端から遠位に延在する非放射線不透過性近位コイルを形成することと、
前記第1ハイポチューブの前記近位端から近位に延在する非放射線不透過性遠位コイルを形成することと、
前記非放射線不透過性近位コイルと前記非放射線不透過性遠位コイルとの間に延在する放射線不透過性中央コイルを形成することと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記ワイヤコイルセクションを形成する工程が、
約0.02032mm~約0.127mm(約0.0008インチ~約0.005インチ)の直径を備えるワイヤを選択することと、
前記ワイヤを巻き取って前記ワイヤコイルセクションを形成し、内部を通る前記ルーメンを画定することと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記可撓性スリーブを選択する工程が、
ポリマーと、前記ポリマーの潤滑性を高めるのに有効な添加剤とを含む前記可撓性スリーブを選択すること、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記第3のルーメンを通って耐伸張性部材を延在させる工程が、
前記第3のルーメンを通って実質的に管状である前記耐伸張性部材を延在させること、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
【0053】
(16) 前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記第1ハイポチューブを圧縮することと、
前記植込み可能医療装置を、圧縮された前記第1ハイポチューブの前記遠位端に接近して前記送達部材に取り外し可能に取り付けることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(17) ループワイヤを前記第1のルーメン内に位置決めすることと、
プルワイヤを前記第1のルーメン、第3のルーメン、及び第1のルーメンを通って延在するように位置決めすることと、を更に含み、
前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの遠位端に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記植込み可能医療装置の開口部を通って前記ループワイヤを延在させることと、
前記プルワイヤを、前記植込み可能医療装置の前記開口部を通って延在する前記ループワイヤの一部分に係合させることと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記植込み可能医療装置を前記第1ハイポチューブの遠位端に取り外し可能に取り付ける工程が、
前記プルワイヤを前記第2ハイポチューブの近位端から近位に延在させるよう位置決めすること、を更に含む、実施態様17に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5