(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】再挿入のための血塊回収装置の洗浄
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020118990
(22)【出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-05-26
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エチャリ
(72)【発明者】
【氏名】カーク・ジョンソン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509148(JP,A)
【文献】特表2004-514466(JP,A)
【文献】特表2005-534429(JP,A)
【文献】特表2010-517642(JP,A)
【文献】特開2002-191681(JP,A)
【文献】特表2018-508270(JP,A)
【文献】国際公開第2018/093817(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/222767(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血塊回収装置を洗浄するためのシステムであって、
止血弁アセンブリであって、
遠位端と、
送達カテーテルを受容するようにサイズ決めされた前記遠位端における入口と、
近位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に配置された、長手方向軸を有する中空内部内腔と、
前記近位端における回転装置ロックと、を備える、止血弁アセンブリと、
前記血塊回収装置を受容するようにサイズ決めされ、前記止血弁アセンブリの前記中空内部内腔内に配置され、前記遠位端よりも近位側であって、前記回転装置ロックよりも遠位側に位置し、前記血塊回収装置から血塊を遊離させる、洗浄器具と、を備え、
前記回転装置ロックは、前記回転装置ロックが前記血塊回収装置を締め付けることにより、前記血塊回収装置の長手方向の移動を阻止すると共に、前記血塊回収装置と前記回転装置ロックとの間から流体が漏れることを阻止するロック状態と、前記回転装置ロックが前記血塊回収装置を締め付けず、前記血塊回収装置の前記長手方向の移動を許容する非ロック状態との間で状態変化できる、システム。
【請求項2】
血塊回収装置を洗浄するためのシステムであって、
止血弁アセンブリであって、
遠位端と、
送達カテーテルを受容するようにサイズ決めされた前記遠位端における入口と、
近位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に配置された、長手方向軸を有する中空内部内腔と、
前記近位端における回転装置ロックと、
前記近位端と前記遠位端との間に配置され、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸を中心に回転可能であり、前記中空内部内腔の一部を構成する内腔を有する、ハブと、
前記ハブの近位側に位置し、前記中空内部内腔の一部を構成し、前記ハブの前記内腔と連通する第1の内腔を有する、第1の止血弁アセンブリ本体部分と、
前記ハブの遠位側に位置し、前記中空内部内腔の一部を構成し、前記ハブの前記内腔と連通する第2の内腔を有する、第2の止血弁アセンブリ本体部分と、を備える、止血弁アセンブリと、
前記ハブの前記内腔内に配置された洗浄器具と、を備え、
前記ハブは、前記第1の止血弁アセンブリ本体部分および前記第2の止血弁アセンブリ本体部分から取り外し可能であり、
前記回転装置ロックは、前記回転装置ロックが前記血塊回収装置を締め付けることにより、前記血塊回収装置の長手方向の移動を阻止すると共に、前記血塊回収装置と前記回転装置ロックとの間から流体が漏れることを阻止するロック状態と、前記回転装置ロックが前記血塊回収装置を締め付けず、前記血塊回収装置の前記長手方向の移動を許容する非ロック状態との間で状態変化できる、システム。
【請求項3】
前記洗浄器具は、前記洗浄器具の側壁から半径方向に延在する複数の毛を備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の毛は、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸と同軸である、実質的に軸対称の開口部を形成する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記洗浄器具は、前記洗浄器具の側壁から半径方向に延在する複数の毛を備え、
前記複数の毛は、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸と同軸である、実質的に軸対称の開口部を形成し、
前記洗浄器具の前記複数の毛によって形成された前記開口部は、前記止血弁アセンブリの前記中空内部内腔よりも前記半径方向に拘束性であるようにサイズ決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記洗浄器具は、前記洗浄器具の側壁から半径方向に延在する複数の毛を備え、
前記複数の毛は、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸と同軸である、実質的に軸対称の開口部を形成し、
前記洗浄器具の前記複数の毛によって形成された前記開口部は、前記ハブの前記内腔よりも前記半径方向に拘束性であるようにサイズ決めされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
吸引源を受容するようにサイズ決めされた接続ポートを更に備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記洗浄器具は、前記止血弁アセンブリから取り外し可能である、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項9】
前記止血弁アセンブリは、
第1の体腔と前記第1の体腔の近位に位置する第2の体腔との間に配置された中央枝部と、
前記中央枝部の長さ内に配置された封止部と、
吸引源を受容するようにサイズ決めされた前記第1の体腔と流路を共有する接続ポートと、
流体注入を受容するようにサイズ決めされた前記第2の体腔と流路を共有する第1の接続ポート、及び吸引源を受容するようにサイズ決めされた前記第2の体腔と流路を共有する第2の接続ポートと、を更に備える、請求項1または2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、血塊回収装置及び血管内治療中に血管から急性閉塞物を除去する他の装置の洗浄を容易にするための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血塊回収装置は、特に患者が急性虚血性脳卒中(AIS)、心筋梗塞(MI)、及び肺塞栓症(PE)などに罹患している場合に、血管内介入のための機械的血栓除去に使用される。特に比較的大きい血塊が脳管など脈管構造の特に狭い空間に形成される場合、血塊除去には複数回の試行が必要であることが多い。
【0003】
閉塞性血塊の治療における課題を考慮すると、器具及び実行に相当な注意が与えられてきた。典型的な機械的血栓除去処置の手順は、患者内の治療部位での血流を減速又は逆転させて、血塊又は血栓物質の除去及び回収を補助することを伴う。送達システムは、中間カテーテル又はアクセスカテーテルに直接吸引するための供給源を有し得、この供給源は、多くの場合、回転止血弁アセンブリ及び血塊回収装置と共に使用される。この仕組みは、処置の実行には便利であるが、血塊回収装置が、典型的には、捕捉を試行した後に毎回洗浄するために、送達システムから完全に取り外される必要があることを意味する。洗浄は、多くの場合、注射器からの生理食塩水のラグ及び/又はジェットを使用して、医師によって手動で行われる。
【0004】
更なる処置上の課題は、その本体自体によって提示される。近傍の脈管構造は、血塊へのアクセスの獲得に関連する経路が蛇行していることに加えて、多くの場合、脆弱であり得る。血管樹内の異なる血管における構造的及び機能的多様性は、それらの関連する生物力学的特性の違いをもたらす。例えば、神経脈管の血管は、身体の他の部分の同様の大きさの血管よりも繊細であることが多い。これらの血管のサイズが小さく、かつ脆弱であることは、血塊回収装置の妨げとなり得ることが多い。例えば、ステント様血塊回収装置(ステントリーバー)は、除去に備えて閉塞部をしっかりと把持する手段として、壁に半径方向張力を加えることに依存する。しかしながら、血管壁への過剰な力は、出血及び穿孔をもたらし得る。加えて、回収の重要な初期工程中は、血塊をしっかり把持することが望ましい場合があるが、血塊がその滞留位置から離れると、装置の取り外し後の洗浄がより困難かつ時間集約的になり得る。
【0005】
血塊は、血管の形状を採る単純な管状構造から、一度に複数の血管にまたがり得る長いストランド状の配置にまで及ぶ、複雑な形態及び一貫性を採り得る。血塊の年齢はまた、そのコンプライアンスに影響を及ぼし得、古い血塊は、新しい血塊よりも圧縮性が低い傾向にあり、血圧の相互作用は、血管自体をより歪めることができる。経験的にも、血塊回収装置との相互作用の性質に応じて、血塊の機械的特性が有意な方法で影響され得ることも実証されている。
【0006】
血栓除去は、期間の増加が患者へのリスクを高める、多大な時間的制約を受ける処置であるため、これらの処置の速度及び有効性を改善するための改善された方法、装置、及びシステムに対する必要性が常に存在する。上記の一部又は全てなど多くの理由から、医師は、遭遇する課題を満たすように処置を調節する必要があることが多い。作業を長期化させる1つの障害は、閉塞物が最初の試行で完全に除去されない場合、現在の血塊回収装置及びその方法では、医師が血塊物の一掃を複数回試行する必要があることである。処置の目的は閉塞物を除去し、血管を再疎通させることであるため、回収装置は、その後試行する前に捕捉されたデブリを除去しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、捕捉を試行する合間に、その場で回収装置を洗浄する容易な手段はない。すなわち、装置は、試行後に毎回洗浄するために、本体及び送達システムから完全に取り外される必要がある。これが行われるたびに、標的部位へのアクセスが失われる。更に、このプロセスは、送達システムの弁ガスケット、及び潜在的に作業に使用される他のアクセサリデバイスの操作を必要とし、その一方で、汚染への暴露も増加させるため、処置に更に時間がかかることになる。既存の装置及び方法は、これらの課題に適切又は完全に対処していない。本発明は、回収装置の取り出し経路に洗浄器具を配置することによって、これらを解決する。結果として、装置の洗浄においてかなりの時間が節約され、それによって治療が成功する可能性が高まる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、上述の必要性を満たすシステム、装置、及び方法を提供することである。概して、本発明の目的は、血塊回収装置のための送達システム、及び血塊回収装置の回収経路に位置付けられた送達システムに組み込まれるか、又は嵌合される洗浄器具を提供することである。洗浄器具は、装置をその展開構成で受容するようにサイズ決めされた開口部、つまり入口通路を有し、血管への再挿入のために装置を準備するプロセスを改善し、したがって、物質捕捉の試行を更に容易にし、侵襲的処置の総処置時間を短縮することを意図する。
【0009】
血塊回収装置のための送達システムは、1つ以上の止血弁アセンブリ、1つ以上のワイヤ把持装置、及び吸引流路と直列に存在する1つ以上の制御可能な吸引源の組み合わせを備え得る。回転止血弁アセンブリは、バックブリード及び失血を最小限に抑えつつ、マイクロカテーテル、ガイドワイヤ、及びアクセサリデバイスの導入(多くの場合、中間カテーテル又はガイドカテーテルを通る)を容易にする。これは、カテーテル及び他のアクセサリ装置が供給される内部内腔への入口通路を用い、次いで、調節可能な回転ガスケットを使用して止血封止状態を維持することによって達成される。ガスケットが開放されると、デバイスは通路内に導入されることができる。このガスケットを閉鎖し、締めると、装置ロックとしても機能しつつ、失血を制御することができ、装置を圧縮把持して、血管又は中間カテーテル若しくはガイドカテーテル内部の静止位置を維持することができる。吸引源は、典型的には、回転止血弁アセンブリのサイドアーム又は接続ポートに接続されて、1つ以上のカテーテルに真空をもたらす、及び/又は真空を調節する。注射器又は真空ポンプは接続されて、カテーテル内腔を介してカテーテルの遠位端と連結し、血塊が回収される際に真空/吸引を適用することができる。接続ポートはまた、生理食塩水洗浄の導入、放射線造影剤又は他の製品及び薬剤の注入に使用することもできる。
【0010】
血塊の捕捉及び回収に一般に使用される方法及び装置の設計は、先行技術に開示されている。血塊係合部を有する血塊回収装置に、制約送達構成及び拡張展開構成をもたらす工程を介して閉塞性血塊を除去する方法を開示する。マイクロカテーテルは、ガイド又は中間カテーテルから閉塞性血塊に向かって、及びそれを横切って前進する。装置はマイクロカテーテル内に装着され、閉塞部まで前進し、血塊を捕捉するために展開される。次いで、装置及び捕捉した血塊は、回収カテーテルに回収され、血管から引き出され得る。
【0011】
血塊を物理的に捕捉するために様々な設計が提案されており、ほとんどの血塊回収装置は、多数の共通の特徴及び形状を共有する。例えば、2013年3月14日に出願された米国特許仮出願第61/785,213号に対する優先権を主張する米国特許出願第2014/0371779号は、拡張して捕捉する血塊にまたがる、拡張可能な血塊係合要素を有する細長い部材を開示する。この設計は、折り畳み送達構成で潜在的なエネルギーを蓄積し、閉塞性血塊に隣接する標的部位において送達マイクロカテーテルを出るときに展開螺旋状構成へと拡張する。この係合要素は、展開時に閉塞部にわたる流体管腔を形成し得る内側及び外側拡張部材を有し得、その一方で、血管から血塊を係合解除する初期工程のために、血塊をしっかり把持するように埋め込まれた複数の支柱も有する。次に血塊を回収するために、装置及び血塊を近位に後退させて、より大きな直径を有するガイド又は中間カテーテルに入れる必要があり得る。次いで、装置及び血塊は、より大きいカテーテルを通して患者から引き出される、又は、より堅固な血塊を先端若しくはより大きいカテーテル(直列で引き寄せられる)に詰めるのに十分に引き戻されるのいずれかであってよい。かかる装置を操作するために医師が使用する制御部材は、多くの場合、ワイヤ、可撓性シャフト、又はいくつかの他の内部の細長い部材である。
【0012】
コルクスクリュー形状の装置及び一定吸引モデルなど他の設計も一般的である。開示する一実施例は、ガイドカテーテルと、遠位口を有する中間カテーテルを有し、ガイドカテーテルの内腔内で前進可能であるように構成された中間カテーテルと、を有することを含む。中間カテーテルは、閉塞性血塊に隣接する位置まで血管内を前進し、その地点でガイドカテーテルの近位端に吸引が適用される。吸引は、中間カテーテルの遠位内腔を通って方向付けられて、血塊を口内へと吸引する。次いで、カテーテル及び血塊は、脈管構造から一緒に回収され得る。
【0013】
捕捉に使用される装置にかかわらず、本発明の目的は、標的部位からの引き寄せ中に装置を洗浄するためのシステムを提供することである。本発明の一実施例では、洗浄器具は、回収経路に沿って回転止血弁アセンブリと共に位置し、引き寄せ中に血塊回収装置を受容する準備が整っている。器具は、展開構成の装置を受容するようにサイズ決めされた開口部、つまり入口通路を有する。回収経路は、止血弁アセンブリの内部内腔の長手方向中心線に実質的に沿って送達マイクロカテーテルの経路をたどる。回収プロセスは、止血弁アセンブリの接続ポートに接続された供給源からの吸引を伴う。洗浄器具は、様々な軸方向長さであり得、回収装置と物理的に接触していても、接触していなくてもよい。洗浄器具は、ブラシ、流体スプレー、又は回収経路に沿って引き寄せられる際に回収装置の周辺部の周囲を同時に洗浄するように位置付けられ、構成された他の機構を含み得る。洗浄器具を通る取り出し経路に沿った装置の操作は、マイクロカテーテル及び/又は装置シャフトに推進力を印加することによって実行される。
【0014】
ブラシ毛は、洗浄器具の側壁から半径方向に延在し得、毛は、回転止血弁アセンブリの長手方向軸と実質的に軸対称である開口部、つまり入口を形成する。開口部、つまり入口は、止血弁アセンブリの内部内腔よりも半径方向により拘束性であり得、洗浄器具の近位端から遠位端まで延在し得る。毛は、様々な長さ及び形状であってよく、それらの形成された開口部は、円筒形、テーパ状、又は使用される回収装置に特有の他の形状であり得る。いくつかの実施例では、毛は、単純な均質管状構造であり得る。他の実施例では、血塊の組成又は使用される回収装置の形状に応じて、形状及び/又は材料組成の変化を通じて毛の屈曲特性を調整することが有利であり得る。したがって、毛は、洗浄器具の軸方向長さ、長手方向軸からの毛の半径方向長さ、又は開口部の周辺部の周囲での一定の半径方向位置のいずれかに沿って3次元的に変化し得る、複合的な剛性を有し得る。
【0015】
洗浄器具はまた、止血弁アセンブリの内部内腔の長手方向軸を中心に回転可能であり得る。回転可能なハブ、つまりカラー内に配置された洗浄器具は、装置の周囲領域の全ての角点から血栓物質を容易に除去できるようにする。周辺部の周囲の洗浄はまた、毛によって印加される洗浄力の方向を変えることによって、大型の血塊物質片の破断を補助し得る。より小型の血栓物質片は、多くの場合、吸引又は濾過によって回収経路から容易に除去され、確実に血管内に再導入されないように支援する。加えて、回転可能な器具は、毛、スプレー源、又は他の洗浄要素の密度の変化を可能にし得る。先の実施例と同様に、装置は、回収装置が送達され、脈管構造から取り出されるのと同様に、送達システムの遠位端から延出する装置シャフトに推進力を印加することによって、洗浄器具を通って取り出し経路に沿って移動する。装置は、印加される力の方向を交互にすることによって、洗浄器具の上流及び下流に移動させることができる。
【0016】
更なる例示的な装置は、回転止血弁アセンブリと、間に配設された枝部材によって分離された1つ以上の体腔と、を有する送達システムを備えることができ、体腔が回収経路を共有できるようにする。枝部材は、上流若しくは下流の流体及び/又は圧力差から個々の体腔を隔離することができる封止部を組み込むことができる。各体腔はまた、当該体腔と流路を共有する1つ以上の接続ポートを有し得、接続ポートは、流体注入源又は吸引源を受容するようにサイズ決めされる。一実施例では、血塊回収装置が体腔に引き込まれると、ヘパリン化生理食塩水又はいくつかの他の流体が体腔の第1の接続ポートを通して注入され、第2の接続ポートに連結された吸引源と共に使用され得る。かかる構成は、他から独立した1つ以上の体腔内の装置のフラッシュ及び洗浄を可能にし得る。ブラシ又は櫛など追加の洗浄器具はまた、体腔に、又は回収経路に沿った他の場所に組み込まれ得る。
【0017】
流体スプレー(fluid spays)又はフラッシュを用いる洗浄システムも使用することができ、その多くは、装置との固体の物理的接触を伴わないという利点を有し得る。流体スプレーは、気体状若しくは液状、又はその両方であり得、調整弁又はスロットルを介して調節されて、血塊回収装置から血塊物質を除去すること、及び後に血管に再挿入される前に、血塊回収装置を消毒することの両方を行う。スプレーは、例えばノズルのシステムから送達され得る。ノズルは、同時に噴霧するように構成され得、又は1つ以上のノズルが、他のノズルから独立して動作可能であり得る。例えば、システムは、回収軸の周囲の環状パターンの周辺部に配設された複数のノズルを含み得る。ノズルは、止血弁アセンブリの近位への取り付けを可能にするルアー取り付け具を有し得る、ハウジング又はエンクロージャの内部に構成され得る。エンクロージャは、回収経路に沿って位置する遠位口を有し、止血弁アセンブリの長手方向軸と軸を共有することができる。血塊回収装置がこの口を通って引き出されると、ノズルは、捕捉部上に流体を噴霧することができる。かかるシステムの更なる利点は、洗浄が回収装置の周囲領域全体に向けられることである。流体及び遊離物質デブリは、真空源を介して抽出され得る、又は更なる実験室分析のために除去された物質を回収することが望ましい場合には、洗浄器具にフィルタ又はリザーバが供給され得る。
【0018】
多くの場合、洗浄器具は、送達システムから容易に取り外し可能であって、システムから独立してより迅速に洗浄及び/又は交換できることが望ましい場合がある。本発明の一実施例では、洗浄装置は、ルアー又はねじ接続を使用して止血弁アセンブリと直列に接続され得る。本発明の他の実施例では、取り外された洗浄器具は使い捨てであり得、処置の合間に消毒する必要性を排除する。更に他の実施例では、血塊回収装置から遊離した物質が、洗浄器具で詰まる可能性がある。器具を取り外すことにより、この物質を更なる組織学的実験室分析又は廃棄のために回収できるようにし得る。取り外しできることにより、医師は、同一処置中に複数の構成の洗浄装置を選択して使用するという選択肢を有することが可能になり、それにより、治療を成功させる可能性が高まる。
【0019】
患者への再挿入に備えて血塊回収装置を洗浄する例示的な方法は、以下の工程及びその変形の一部又は全てを含み得る。工程は、順不同で列挙される。血塊回収装置のための送達システムは、接続ポート、内部内腔、及び回転装置ロックを有する止血弁アセンブリと、血塊回収装置を受容するようにサイズ決めされた開口部を有する洗浄器具と、を有し得る。多くの場合、真空ポンプ又はシリンジを備える吸引源が設けられ、止血弁アセンブリの接続ポートに接続され得る。送達システム及び血管を通って閉塞性血塊の近位の位置に至る経路が設けられ得、洗浄器具は、経路内に配置され得る。捕捉した血塊を含む血塊回収装置は、経路に沿って引き寄せられ得る。
【0020】
血塊回収装置が送達システムの内部の経路に沿って留まっている間に、洗浄器具が用いられて、装置の捕捉部の周囲領域から血塊物質を遊離させ得る。洗浄器具は、捕捉部の周囲領域全体を洗浄するように配置され得る。洗浄プロセス中、医師は装置を操作して、装置を洗浄器具に繰り返し曝露することを可能にし、洗浄プロセスの有効性の確保を支援する。吸引源は、血液の逆流を防止し、遊離した血栓物質を経路から除去するために用いることができる。望ましい場合には、遊離した血栓物質を濾過し、更なる実験室分析のために収集することができる。
【0021】
洗浄が完了すると、血塊回収装置は、血管内に再挿入されて、更なる捕捉を試行し得る。洗浄器具では、捕捉試行の合間又は処置の終了時のいずれかにおいて、独立した洗浄又は廃棄のためにシステムから取り外すことが更に可能である。
【0022】
本開示のその他の態様及び特徴は、以下の詳細な説明を添付の図と併せて考察することで、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面の以下の説明と併せて更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することが重視されている。図は、限定としてではなく単なる例示として、本発明の装置の1つ以上の実装形態を描写している。当業者は、ユーザーの要望により良く合うように、複数の図から要素を着想して組み合わせ得ることが期待される。
【
図1】本発明の複数の態様による、回転止血弁アセンブリ内に構成された洗浄器具を備える送達システムを用いて、血塊回収装置を洗浄するためのシステムの図である。
【
図2a】毛を有する取り外し可能な洗浄器具、及び器具が本発明の複数の態様による止血弁アセンブリに一体化され、血塊回収経路を共有する方法の複数の図を示す。
【
図2b】毛を有する取り外し可能な洗浄器具、及び器具が本発明の複数の態様による止血弁アセンブリに一体化され、血塊回収経路を共有する方法の複数の図を示す。
【
図3a】血塊回収装置が回収経路に沿って引き寄せられたときの、洗浄器具と捕捉した血塊を含む装置との相互作用の例を示す。
【
図3b】血塊回収装置が回収経路に沿って引き寄せられたときの、洗浄器具と捕捉した血塊を含む装置との相互作用の例を示す。
【
図3c】血塊回収装置が回収経路に沿って引き寄せられたときの、洗浄器具と捕捉した血塊を含む装置との相互作用の例を示す。
【
図4a】本発明の複数の態様による、回転可能なハブ内の回収経路に沿って配置された洗浄器具の側面図及び断面図である。
【
図4b】本発明の複数の態様による、回転可能なハブ内の回収経路に沿って配置された洗浄器具の側面図及び断面図である。
【
図5a】洗浄器具及び止血弁アセンブリを含むシステムの図であり、止血弁アセンブリは複数の体腔を有し、流体注入源及び吸引源を受容するように構成されている。
【
図5b】洗浄器具及び止血弁アセンブリを含むシステムの図であり、止血弁アセンブリは複数の体腔を有し、流体注入源及び吸引源を受容するように構成されている。
【
図6】取り外し可能なエンクロージャが、止血弁アセンブリと一体化された洗浄器具を有して、回収経路を共有するシステムを示す。
【
図7】本発明の複数の態様による、洗浄器具及び収集装置を有する、
図6のエンクロージャの側面図である。
【
図8a】本発明の複数の態様による、捕捉した血塊を含む血塊回収装置を洗浄するスプレーノズルの図である。
【
図8b】本発明の複数の態様による、捕捉した血塊を含む血塊回収装置を洗浄するスプレーノズルの図である。
【
図8c】本発明の複数の態様による、捕捉した血塊を含む血塊回収装置を洗浄するスプレーノズルの図である。
【
図9】本発明の複数の態様による、血管への再挿入に備えた血塊回収装置の洗浄方法をそれぞれ概説するフロー図である。
【
図10】本発明の複数の態様による、血管への再挿入に備えた血塊回収装置の洗浄方法をそれぞれ概説するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本発明の具体的な実施例が図面を参照して詳細に説明するが、同一の参照番号は、機能的に類似又は同一の要素を示す。しかしながら、本発明は、構成及び詳細において変化し得る、記載の実施例に限定されない。用語「遠位」及び「近位」は、以下の説明をとおして使用され、処置医師に対する位置及び方向を指すことを意味する。したがって、「遠位」又は「遠位に」は、医師に対して離れた位置又は医師から離れる方向を指す。同様に、「近位」又は「近位に」は、医師に対して近い位置又は医師に向かう方向を指す。
【0025】
例示的な実施形態について説明する際、話を分かりやすくするために、術語を利用する。各用語は、当業者によって理解されるその最も広い意味を有することが企図されており、類似の目的を実現するために同様に作用する全ての技術的な均等物を含むことが意図される。方法の1つ又は2つ以上の工程への言及は、追加の方法工程又は明示的に識別されたそれらの工程間に介在する方法工程の存在を排除しないことも理解されたい。方法の各工程は、開示される技術の範囲から逸脱することなく、本明細書に述べられる順序とは異なる順序で行うことができる。同様に、装置又はシステムにおける1つ又は2つ以上の構成要素への言及は、追加の構成要素又は明示的に識別されたそれらの構成要素間に介在する構成要素の存在を排除しないことも理解されたい。
【0026】
本明細書で検討されるとき、「患者」又は「被験者」は、人間又は任意の動物であることができる。動物は、限定されるものではないが、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含む、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。
【0027】
冠血管、肺血管、又は脳血管にかかわらず、その中の様々な血管にアクセスすることは、周知の手順工程及び多数の従来の市販製品の使用を伴う。カテーテル、マイクロカテーテル、血管造影物質及びガイドワイヤなどこれらのアクセス製品は、検査処置及び医療処置において広く使用されている。これらの製品が、以下の説明において本発明のシステム及び方法と共に使用される場合、それらの機能及び正確な構成は、詳細には記載されない。
【0028】
本明細書をとおして言及する血塊回収装置は、多数の市販製品のいずれかであってよく、それらのほとんどは多くの共通の特徴を共有する。捕捉時に血塊を圧縮する装置は、血塊をより強固にする、つまり「粘着性を高める」傾向にあり、回収を複雑化させ得る。他の装置は、血管壁から血塊をはがしつつ、圧縮を最小限に抑えるように、血塊と血管との間で拡張するように意図されている。捕捉後に血塊特性が進化する方法にかかわらず、血塊特性は、回収装置が与える把持力のレベルに、次いで、洗浄プロセス中に、血塊が装置から遊離する方法に影響を及ぼし得る。この設計の利点は、処置医師に高度の柔軟性を提供しつつも、装置の周囲領域全体との相互作用を可能にすることである。この設計が、より迅速な追跡回収の試行を可能にすることより、血塊特性及び医師の制御能力を超え得る他の詳細の潜在的な悪影響を軽減する。
【0029】
図1は、患者の血管20からの血塊40の回収に使用されている、洗浄器具120を有する、本発明の血塊回収システム100を示す。ガイドカテーテルが使用されて、デバイスを標的部位に方向付けることができる。血塊回収装置60は、送達マイクロカテーテル70の遠位端72から展開され得、血塊を捕捉するために拡張遠位受容部62を有する細長い近位シャフト64を含み得る。送達システムは、送達カテーテル70のためにサイズ決めされ、これを止血封止する遠位端102と、近位端104と、及び内部内腔108と、を有する回転止血弁アセンブリ101を備える。血塊回収装置60を受容するようにサイズ決めされた入口又は通路を有する洗浄器具120は、血塊回収装置の回収経路に沿って配置され、止血弁アセンブリ101と回収経路を共有することができる。アセンブリは、吸引源を接続するようにサイズ決めされ、吸引源を接続するために使用され得るが、流体注入など他の機能のためにも構成され得る接続ポート110のうちの1つ以上を有し得る。典型的には、制御弁は、吸引された血液又は他の流体の流れを調節するために含まれる。
【0030】
血塊回収装置60の展開、並びに後退中及び洗浄準備中及び洗浄中の装置の位置は、放射線不透過性化合物の適用、又は送達マイクロカテーテル70、ガイドカテーテル、及び/若しくは血塊回収装置上での放射線不透過性マーカー68の配置によって支援され得る。例えば、放射線不透過性化合物は、受容部62に組み込まれ得、又は1つ以上の放射線不透過性マーカー68は、受容部に遠位及び近位の両方である細長いシャフト66の遠位端付近に追加されて、医師のために処置中の装置の末端部の印を付け得る。好適な実施例は、他の装置及び埋め込み物に関連して頻繁に使用され、当該技術分野において周知である。
【0031】
回転止血弁アセンブリ101は、内部内腔108に沿って弁アセンブリの近位端104から遠位端102まで延在する長手方向軸114を画定する。止血弁アセンブリ101の回転装置ロック112は、ガスケット又は節部の閉鎖状態、半開放状態、及び/又は開放状態を介して関節運動することができる。回転装置ロック112が半開放位置にあるとき、血塊回収装置60のシャフト64など止血弁アセンブリ101を通過する付属品は、送達マイクロカテーテル70の内腔を通って後退又は搬送され得る。ガスケットの位置決めには、注意を払う必要がある。シャフト64の周囲のガスケットからの空気漏れが存在する場合には、適用された吸引の有効性が低下する。しかしながら、ガスケットがシャフトを締め付けすぎる場合、処置中のシャフトの自由な、及び/又は適切な関節運動を妨げ得る。半開放状態にあるとき、回転装置ロック112のガスケットは、吸引中に止血弁アセンブリの接続ポート110に真空が適用されるときに空気の侵入を阻止するのに十分な封止をもたらす。一実施例の血栓除去処置では、カテーテルが真空下にあり、回転装置ロック112のガスケットからの空気漏れがない間に、血塊回収装置60は血塊40を捕捉し、ガイドカテーテルへと後退することができる。
【0032】
図2aは、本発明の血塊回収システム100の洗浄器具120を示す。洗浄器具120は、器具の側壁122から半径方向内向きに延在し、止血弁アセンブリの長手方向軸と同軸である開口部126を形成する、毛要素124を有し得る。開口部は、洗浄器具の近位端から洗浄器具の遠位端まで延在する。毛構成の利点は、血塊回収装置が遠位端においてより低い軸方向剛性を有し得ることであり、このことは、装置がその後の洗浄中に器具内で自己中心化し得るために、送達可能性に関する利点を有する。
【0033】
図2bの断面図に見られるように、毛124によって画定される開口部126は、止血弁アセンブリ101の内部内腔108よりも半径方向に拘束性であり得る。毛は、この構成のように単純な均質円筒構造である器具の長さに沿った体積開口部を有し得、又は、より複雑なテーパ状、円錐形、又は使用される回収装置の形状によく適した他の形状であり得る。好ましい実施例では、毛の剛性及び屈曲特性は、例えば、血塊のフィブリン含有量が高く、特に堅固であるときに、捕捉される血塊の予想される安定性に合わせて調整される。このようにして、洗浄器具は、それぞれの治療の必要性に適応して、効率の向上を可能にし得る。
【0034】
図に示す洗浄器具は、本発明の一態様を例示するために使用される。当然ながら、本発明は、任意の形状又はサイズの洗浄器具に適用され得、複数の部分から作製され得る。
【0035】
集合的に、
図3a~
図3cは、血塊回収装置60が毛124を備える洗浄器具120を通って引き寄せられる、例示的なシーケンスの側面図を示す。器具は、止血弁アセンブリの内部内腔108内に配置され得る。毛は、内部内腔よりも半径方向に拘束性であり得、血塊回収装置60の捕捉部、つまり受容部62のためにサイズ決めされ得る。医師は、装置のシャフト64を使用して、回収経路に沿って装置を下流から引き寄せる。
図3bは、洗浄器具に近づく際に、内腔を通って止血弁アセンブリの近位端に向かって移動する装置を示す。この図に示す捕捉部、つまり受容部62は、複数の支柱を備え、捕捉した血塊40を有し得るが、その周辺部の様々な半径方向位置に位置する脈管構造からのより小さい血栓物質42又はデブリも含有し得る。医師は、受容部62が空であり、デブリ42が遊離するまで、必要に応じて何回でも毛を通って、装置を近位に及び遠位に操作し得る。
【0036】
この回収プロセス中に真空源を使用して脈管構造内の流れを逆転させて、洗浄中に遊離した血塊断片が漏れたり、遠位に通過したりしないようにすることが必要であり得る。この負圧差は、物質が装置から遊離した後に維持され、更には増加されて、回収経路及び内腔から物質を更に除去することができる。次いで、血塊回収装置が脈管構造に再導入されて患者の血管の再疎通を完了すると、真空は更に変更又は除去され得る。
【0037】
図4aは、システム400の別の実施例の側面図を示す。前の実施例と同様に、血塊回収装置は、止血弁アセンブリ101の遠位端102から近位端104に向かって内部内腔108を通って回収経路に沿って引き抜かれる。洗浄器具120は、回転可能なハブ460内に配置される。ハブは、システムとの連結を容易にするために、ハブの遠位端及び近位端においてルアーコネクタなどの1つ以上の取り付け具462及び464を有し得、止血弁アセンブリ101の長手方向軸114を中心に回転することができる。取り付け具はまた、止血弁アセンブリからハブを容易に取り外しできるようにする。かかるシステムは、多くの利点をもたらす。かかるシステムにより、ハブは、その近位端及び/又は遠位端において接続具を有して構成されている、任意の標準的な止血弁アセンブリと嵌合できるようになる。医師は、装置の周囲領域全体で特に強固な血塊物質を除去するために必要なだけハブを回転させ得る。次いで、システム400から血塊物質を除去することは、止血弁アセンブリ101の接続ポート110に接続された真空源(ここでは図示せず)を使用することによって達成され得る。好ましい実施例では、洗浄器具は接続ポートの近位に位置する。あるいは、医師は、デブリがハブ内に留まることができるようにし、このデブリは、遠位取り付け具462を操作することによって止血弁アセンブリから速やかに除去され得る。次いで、ハブは、独立して洗浄されるか、又は廃棄されてよく、望ましい場合には、更なる分析のために血塊物質が収集され得る。
【0038】
図4bは、内部に配置された洗浄器具120を示すハブ460の切欠図を示す。洗浄器具及び毛124の最適サイズは、血塊回収装置及び標的血塊自体のサイズに大きく依存する。一実施例では、毛124は、洗浄器具側壁122の周辺部全体の周囲に配置される。別の実施例では、毛は、器具側壁の周辺部の周囲の選択されたクロック位置にのみ配置され得る。この場合も、毛は、単純な均質管状構造である器具の長さに沿った体積開口部を有し得、又は、より複雑なテーパ状、円錐形、又は使用される回収装置の形状によく適した他の形状であり得る。本発明の前の実施例に記載したように、毛の剛性及び屈曲特性は、捕捉される血塊の安定性及び堅固さに合わせて調整することができ、望ましい場合には、化合物の剛性を有するように構成されることもできる。
【0039】
この構成では、最初の洗浄が失敗した又は役に立たない場合、医師が処置の途中で洗浄器具を交換することさえも可能である。第1の洗浄器具は、ハブの遠位取り付け具を操作することにより取り外すことができ、次いで、異なる特徴又は特性を有する第2の洗浄器具を止血弁アセンブリに取り付けることができる。
【0040】
本発明の目的は、無菌性及び高レベルの洗浄力を維持しつつ、回収を試行する合間に装置を操作する、又は送達システムから装置を取り外す必要性を排除することである。洗浄中の血塊の更なる凝集及び破断は、システムからの排出を容易にし得る。滅菌並びに凝固及び破断の阻止の両方を行うために、動脈ライン及び静脈ラインのカニューレを一掃する、多くの一般に使用される方法が存在し、これらの方法は、血塊回収装置内で捕捉した血塊の除去及び分離を支援するために使用され得る。多くの場合、生理食塩水又はヘパリン化生理食塩水などのフラッシュが用いられる。血塊の破断は、アルテプラーゼ、レテプラーゼ、及びテネクテプラーゼなど組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)のような線維素溶解因子の導入によって達成することができる。
【0041】
図5に示す別の事例では、システム500は、近位端104と、送達マイクロカテーテルのためにサイズ決めされた遠位端102と、回転装置ロック112と、長手方向中心線114と、1つ以上の中央分枝部516によって分離された少なくとも2つの内部体腔と、を備える回転止血弁アセンブリ501を含み得る。中央枝部は、内部に配置された密閉可能な機械的封止部、つまりガスケット518を有し得る。一実施例では、止血弁アセンブリは、第1の体腔515と、第1の体腔に近位の第2の体腔517と、を有し得、血塊回収装置の回収経路を共有する。封止部518が開放しているとき、第1の体腔及び第2の体腔は、共通の流路を共有する。封止部が閉鎖されると、共通流路は、第2の体腔内の第2の流路から隔離された第1の体腔内の第1の流路に分割される。第1の体腔は、第1の体腔と流路を共有し、真空ポンプ又はシリンジなど吸引源を受容するようにサイズ決めされた、少なくとも1つの接続ポート510を有し得る。第2の体腔は、少なくとも第1の接続ポート509と、第2の接続ポート511と、を有し得、第1の接続点及び第2の接続点のそれぞれは、第2の体腔と流路を共有する。第1の接続ポート509、又は第2の体腔は、水、ヘパリン化生理食塩水、及び/又はtPAなどの流体注入を受容するようにサイズ決めされ得、血塊回収装置が内部に引き込まれたときに第2の体腔をフラッシュするように構成されている。第2の体腔の第2の接続ポート511は、第2の体腔の内容物を排出するための吸引源を受容するようにサイズ決めされる。吸引源は、第1の体腔の接続ポート510に接続されたものと同一であってよく、又は第2の供給源であってよく、第2の体腔に引き込まれた真空圧は、第1の体腔に引き込まれたものとは異なる。封止部518は、第2の体腔の内容物が下流に移動するのを防止する。望ましい場合には、更なる接続ポートが止血弁アセンブリ501のフランクに構成されて、医師に更なる処置上の柔軟性を可能にすることができる。
【0042】
毛を備える洗浄器具520はまた、本実施例の止血弁アセンブリ501と更に一体化され得る。あるいは、洗浄器具は、前述のシステム400に見られるように回転可能なハブ内に配置され、システム500に接続され得る。洗浄器具は、流体フラッシュと協働して使用されて、回収装置からの血塊物質の除去を支援することができる。
【0043】
更なる実施例では、
図6に示すシステム600は、止血弁アセンブリ101と一体化されたハウジング、つまりエンクロージャ680を備える。エンクロージャは、止血弁アセンブリの近位端104の上流かつ近位に取り付けられるように構成されている。エンクロージャは、止血弁アセンブリ101又は送達システム内の他の装置と連結し、連結解除するための、ルアー接続部など遠位取り付け部682及び近位付け部684を有し得る。前述の実施例と同様に、止血弁アセンブリは、吸引源を取り付けるための接続ポート110を有する。止血弁アセンブリはまた、送達カテーテルのためにサイズ決めされた遠位端102と、血塊回収装置の回収経路に沿った長手方向軸114を有する内部内腔108と、を有し得る。
【0044】
システム600のエンクロージャ680の内部の図を
図7に示す。エンクロージャは、止血弁アセンブリの長手方向軸114及び回収経路と軸を共有する周囲開口部730を有する遠位口794を有し得る。洗浄器具720は、軸114の周囲に環状パターンで配置され、回収経路に沿って引き寄せられるときに、血塊回収装置60の周囲領域上に流体を噴霧する798ように構成された複数のノズル726を遠位口の近位に含み得る。これにより、洗浄プロセスは、流体以外と物理的に接触することなく、かつ装置をシステム外の汚染物質に曝露することなく行われ得る。前の実施例と同様に、シャフト64を使用した血塊回収装置の関節運動によって、洗浄器具のスプレーに繰り返し曝露すること、又はtPAなど分解性線維素溶解薬がシステム内で使用される場合、装置がスプレー内に存在することの両方が可能になる。
【0045】
ノズル726は、バランスの取れた形で同時に噴霧する798ように構成され得、又は1つ以上のノズルが、他のノズルから独立して動作可能であり得る。回収装置の捕捉部62へのスプレーの入射角はノズルによって異なり得、
図8aに示すように、回収経路に対してほぼ垂直から著しく更に傾斜した角度までの範囲である。かかる配置は、スプレー798から血塊40に作用する力の方向を変化させつつ、血塊のより多くの表面積をスプレーに曝露するという利点を更にもたらす。スプレーは、気体状若しくは液状、又はその両方であり、体積流量を変化させるようにスロットルを介して調節され得る。スプレーは、捕捉部62から血塊物質を除去すること、及び後に血管に再挿入される前に、血塊回収装置を消毒することの両方を行うように構成され得る。
【0046】
図6及び
図7に示すエンクロージャは、本発明の複数の態様による実施例を示すために使用される。当然ながら、本発明は、任意の形状又はサイズのエンクロージャに適用され得、複数の部分から作製され得、ユーザーが内部を見ることができる材料で作製され得る。エンクロージャは、回収経路上に位置する限り対称であっても、対称でなくてもよい。
【0047】
流体及び遊離物質デブリ42は、真空源を介して除去され得るか、又は更なる実験室分析のために除去された血塊物質を収集することが望ましい場合には、エンクロージャ680は、フィルタ788と、収集リザーバ、つまりボウル790と、を有する収集装置792を更に含み得る。収集装置792は、ねじ山又はエンクロージャへの他の取り付け手段を有し得、機械的血栓除去処置中の任意の時点で収集装置を取り外すことができる。
【0048】
実験室分析は、血液試験、Alberta Stroke Program Early CT Score(例えば、ASPECTS)など脳卒中の重大度を分析する定量法を含む非造影コンピュータ断層撮影、並びに患者の病歴、脳卒中の重大度(National Institute of Health Stroke Severity(NIHSS)臨床検査及び/又は神経学的検査など)を考慮してソフトウェア(e-ASPECTS)を使用したASPECTSの自動評価など様々な工程の一部又は全てが挙げられるが、これらに限定されない血塊分析を含み得る。
【0049】
患者の病歴としては、患者の年齢が18歳~85歳であるかどうか、0若しくは1のmRSスコア、0~1のmTICIの流れを伴う内部頸動脈(internal carotid artery、ICA)、M1若しくはM2のMCA、VA、若しくはBAの閉塞(T若しくはL閉塞を含む)の血管造影による確認、MRI基準:視覚的に査定される拡散制限の体積≦50mL、基線CT若しくはCTA源画像上の6~10のASPECTSスコアを含むCT基準、若しくは、大幅に低減されたCBVの体積≦50mL、6カ月未満の可能性が高い平均余命、妊娠若しくは授乳中の女性、造影媒体に対する重度のアレルギーの履歴、治療時に知られているニッケルアレルギー、治療時に知られている現在のコカインの使用、過去3カ月以内に患者に脳卒中が生じたこと、患者が8未満若しくは25超のNIHSSスコアを呈すること、若しくは臨床的に関係する連続昏睡状態にあると医師が査定したこと、3.0超の国際規格化率(International Normalized Ratio、INR)を有するワルファリン抗凝血若しくは任意の新規な抗凝血剤の使用、50,000/μL未満の血小板数、50mg/dL未満のグルコース、任意の知られている出血性若しくは凝固欠陥、3.0超の血清クレアチニン若しくは30未満の糸球体濾過率(Glomerular Filtration Rate、GFR)を有する不安定な腎不全、過去48時間内に直接トロンビン阻害剤を受けた患者、通常の1.5倍未満の部分トロンボプラスチン時間(partial thromboplastin time、PTT)が適格であること、重度高血圧症を呈する患者(SBP>220mmHg及び/若しくはDBP>120mmHg)、大脳血管炎、神経状態の改善、両側脳卒中若しくは複数の領域内の脳卒中を示唆する臨床症状、脳卒中による進行中の発作、進行中の全身感染の形跡、転移を伴うがん、最近の出血を示すCT若しくはMRIの形跡、質量効果若しくは頭蓋内腫瘤(小型髄膜腫を除く)を示す基線CT若しくはMRI、大動脈解離の疑い、推定される敗血性塞栓、若しくは細菌性心内膜炎の疑い、治療を必要とする若しくは閉塞部位へのアクセスを妨げる近位血管内の狭窄症若しくは閉塞、頭蓋外若しくは頭蓋内大脳動脈内の解離の形跡、並びに/又は複数の血管領域(例えば、両側前方循環、若しくは前方/後方循環)内の閉塞などの要因を挙げることができる。
【0050】
実験室分析はまた、CT走査を含み得、それによって1つの通常のX線と、第2のより低電力のX線とを同時に使用して、画像を取得する。2つのX線は、異なる管電位を使用して異なるスペクトルを生成する。米国特許出願第16/001,427号に記載されているようなCT走査を使用する1つのアプローチは、本明細書に逐語的に記載されているかのように、全体として参照により本明細書に組み込まれる。血塊を評価するために、患者の脳のMRI及び/又は高度MR画像を使用することもまた、本明細書における実験室分析に関連して企図される。高度MR画像は、選択された区域内の水分子の運動自由度、微小血管の保全及び血行力学特性、並びに血塊の化学的構成を評価する高性能の磁気共鳴撮像技法を含むことができる。高度MRとしては、潅流撮像、拡散強調撮像、及びMR分光法、並びに磁気共鳴血管造影、及び/又は磁気共鳴静脈造影を挙げることができる。
【0051】
実験室分析はまた、頸動脈超音波、脳血管造影、心臓超音波検査、血管内超音波(IVUS)、及び/又は光コヒーレンス断層撮影(OCT)を含むことができる。
【0052】
実験室分析はまた、特に患者に対する準備を必要としないため、脳の構造を見て1つ以上の血塊を評価するために、1つ以上の血液試験、並びに脳区域を含む患者の非造影及び/又は造影CT走査を含むことができる。
【0053】
流体リザーバ790内の、又はフィルタ788に詰まった遊離物質デブリ42の分析については、分析は、近赤外分光法(NIR)及び/又はラマン分光法など分光技術を含んで、それぞれの閉塞部の化学組成及び物理的特性に関連するスペクトルを生成することができる。この点で、スペクトル帯域内に含まれる情報を解釈して、試験されている物質の性質をほぼ瞬時に分析することができる。特定の実施形態では、NIR分光法及び/又はラマン分光法に関連する器具は、血塊回収システムに関連するマイクロカテーテルに含まれ得る。
【0054】
実験室分析はまた、NIR分光光度計又はラマン分光光度計に接続された光ファイババンドルのコアを有するカテーテルを用いて、流体及び遊離物質デブリ42を走査することを含み得る。透過光のスペクトルを生成することができ、この情報を使用して、光が反射した物質の組成を予測することができる。例えば、電磁スペクトルの近赤外部分内の光吸収から、血塊のバルク組成に対応する化学的情報を解読することができ、その化学的情報を使用して、血塊内のRBC、水、フィブリンなど相対組成を測定することができる。この実施形態で検出することができる物理的情報は、光の散乱及び拡散に起因する血塊の小型さ及び組織に関係することができる。
【0055】
実験室分析はまた、流体及び遊離物質デブリ42に関連する基準を判定することを含み得る。例えば、赤血球数、白血球数、血清レベル、フィブリンレベルなどを確立して、血塊を分類することができる。次いで、血塊のサンプルを視覚又は触覚分析にかけて、更なる処置に使用される適切な装置の選択を支援することができる。血塊組成の標示を提供することができ、有利には、以下のように出血性脳卒中の存在の除外を含む定性的観点及び定量的観点の両方で血塊の分類が可能になる。かかる情報としては、細胞の構成物質、細胞外の構成物質、構成要素の形態、組織、及び分布、透過性、粘着性、水分量、耐崩壊性、フィブリン架橋密度、繊維の直径、弾性率、歪み、変形(例えば、弾性、塑性、粘弾性)、圧縮性、並びに/又は破壊挙動を挙げることができる。本明細書では、限定ではなく、そのような標示の例示的な表を提供するが、本明細書に開示する実施形態と共に使用するための他の定性的及び/又は定量的標示も企図される。
【0056】
システム600のエンクロージャ680は、止血弁アセンブリから取り外すことなく、エンクロージャの内部に入るためのアクセスポート686を更に備え得る。アクセスポートは、任意の様々な形状であってよく、ヒンジ式又は摺動可能であり得るカバーを有して、使用されていないときにポートを封止することができる。アクセスポートは、システム600から血塊回収装置を取り外すことなく、医師が標的機能を実行できるようにし得る。例えば、線維素溶解を更に促進する方法を用いて、強固な血塊を標的化することができる。
図8bに更に示すように、手動で関節運動させたスプレーノズル896を導入して、洗浄器具720のスプレー798のパターンを増加させることができる。例えば、血塊回収装置60の捕捉部62のより隔離された部分に詰まった血栓断片42が選択的に標的化される。
図8cは、アクセスポートが、熱、又は蒸気、紫外線、若しくはガス蒸気滅菌剤(例えば、エチレンオキシド、オゾン)など別の滅菌手段を更に選択的に適用できるようにすることを示す。
【0057】
システム600は、本明細書に開示する実施例及び原理に従って設計され得、添付の図面に示すように、具体的に設計又は成形される必要はない。
【0058】
図9及び
図10は、患者の血管に再挿入して、連続して捕捉を試行することに備えて、血塊回収装置を洗浄する方法の工程をそれぞれ含むフロー図である。方法の工程は、本明細書に説明される例示的なシステム、デバイス、及び/又は装置のいずれかによって、又は当業者に既知である手段によって実施され得る。
【0059】
図9に概説する方法900を参照すると、工程910は、1つ以上の接続ポート、内部内腔、及び回転装置ロックを有する止血弁アセンブリと、血塊回収装置を受容するようにサイズ決めされた開口部を有する洗浄器具と、を備える、血塊回収装置のための送達システムを提供することを説明する。工程920において、洗浄器具は送達システムから取り外し可能である。工程930において、送達システムは、吸引源、洗浄器具、回転装置ロック、及び止血弁アセンブリを統合するための一般的なハウジングを有する。工程940において、止血弁アセンブリの接続ポートに吸引源、一般には真空ポンプ又はシリンジを取り付ける。
【0060】
工程950において、送達システム及び患者の血管を通って閉塞性血塊に近位の位置に至る経路が画定される。血塊回収装置は、血塊を捕捉するために使用され、従来既知の技術を用いて回収される。工程960において、経路に沿って捕捉した血塊と共に血塊回収装置を引き寄せる。装置が経路に沿って送達システムの内部にある間、工程970において、洗浄器具を用いて、血塊回収装置の捕捉部から捕捉した血塊物質を遊離させる。
【0061】
図10に概説する方法1000を参照すると、工程1010において、医師は、血塊回収装置のシャフト、つまり制御部材を操作して、装置の捕捉部を洗浄器具に繰り返し曝露する。工程1020において、吸引源を使用して血液の逆流を防止し、その一方ではまた、遊離した血栓物質を回収経路から除去する。工程1030において、システム内に濾過要素が設けて、更なる実験室分析のために血塊物質及びデブリを回収する。工程1040において、更なる血栓物質の捕捉を後で試行するために、洗浄した血塊回収装置を血管に再挿入する。工程1050において、洗浄及び/又は廃棄のためにシステムから洗浄器具を取り外す。
【0062】
「備える(comprising)」又は「含む(containing)」又は「含む(including)」とは、少なくとも指定された化合物、要素、粒子、又は方法ステップが、組成又は物品又は方法内に存在するが、他の化合物、物質、粒子、方法ステップが、指定されたものと同じ機能を有する場合でも、他のそのような化合物、物質、粒子、方法ステップの存在を除外しないことを意味する。
【0063】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別途明白に指示しない限り、複数の指示対象も含むことにも留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」又は「およそ」の1つの特定の値から「約」又は「およそ」の別の特定の値として表すことができる。そのような範囲を表すとき、他の例示的な実施形態も、1つの特定の値から他の特定の値を含む。
【0064】
様々な特許、特許出願、及び公開を含み得るいくつかの参照について、参照リストに引用し、本明細書に提供する開示で論じた。かかる参照の引用及び/又は議論は、本開示の説明を明確にするためだけに提供されるものであり、かかる参照が、本明細書に記載する開示のいずれかの態様に対する「従来技術」であることを認めるものではない。表記に関して、「[n]」は、リスト内の第nの参照に対応する。本明細書で引用及び議論する全ての参照は、各参照が参照により個別に組み込まれた場合と同じ程度に、全体として参照により本明細書に組み込まれている。
【0065】
本明細書に含まれる記述は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本発明の特定の実施例を説明しているが、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、装置及び方法に対する様々な修正を行うことができる。例えば、本明細書に記載する実施例は、特定の構成要素に言及するが、本発明は、記載する機能性を達成するために様々な構成要素の組み合わせを利用し、記載する機能性を達成するために別の材料を利用し、様々な実施例からの構成要素を組み合わせ、様々な実施例からの構成要素を既知の構成要素と組み合わせるなどの、他の実施例を含む。本発明は、本明細書に記載の構成部品の代わりに、他の周知の市販製品を用いることを企図する。本発明に関わる当業者には、これらの修正は多くの場合に明らかであり、以下の「特許請求の範囲」内にあることが意図される。
【0066】
〔実施の態様〕
(1) 血塊回収装置を洗浄するためのシステムであって、
止血弁アセンブリであって、
遠位端と、
送達カテーテルを受容するようにサイズ決めされた前記遠位端における入口と、
近位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に配置された、長手方向軸を有する中空内部内腔と、
前記近位端における回転装置ロックと、を備える、止血弁アセンブリと、
血塊回収装置を受容するようにサイズ決めされ、前記血塊回収装置の回収経路を前記止血弁アセンブリと共有する洗浄器具と、を備える、システム。
(2) 前記洗浄器具は、前記洗浄器具の側壁から半径方向に延在する複数の毛を備える、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記毛は、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸と同軸である、実質的に軸対称の開口部を形成する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記洗浄器具の前記毛によって形成された前記開口部は、前記止血弁アセンブリの内腔よりも半径方向に拘束性であるようにサイズ決めされている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記洗浄器具は、前記止血弁アセンブリの前記長手方向軸を中心に回転可能である、取り外し可能なハブ内に配置されている、実施態様1に記載のシステム。
【0067】
(6) 吸引源を受容するようにサイズ決めされた接続ポートを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記洗浄器具は、前記止血弁アセンブリから取り外し可能である、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記止血弁アセンブリは、
第1の体腔と前記第1の体腔の近位に位置する第2の体腔との間に配置された中央枝部と、
前記中央枝部の長さ内に配置された封止部と、
吸引源を受容するようにサイズ決めされた前記第1の体腔と流路を共有する接続ポートと、
流体注入を受容するようにサイズ決めされた前記第2の体腔と流路を共有する第1の接続ポート、及び吸引源を受容するようにサイズ決めされた前記第2の体腔と流路を共有する第2の接続ポートと、を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(9) 血塊回収装置を受容するようにサイズ決めされ、前記止血弁アセンブリと前記血塊回収装置の回収経路を共有する洗浄器具を更に備える、実施態様8に記載のシステム。
(10) 物理的に接触することなく回収経路に沿って血塊回収装置を洗浄するためのシステムであって、前記システムは、
血塊回収装置及び捕捉した血塊を受容するためにサイズ決めされた遠位口を備えるエンクロージャであって、前記口は、前記回収経路に沿って位置する軸を有する、エンクロージャと、
前記軸の周囲の周辺部と、
前記エンクロージャの前記口の周囲で周方向に存在する洗浄器具であって、前記洗浄器具は、前記回収経路を共有するが、前記回収経路を妨害しない、洗浄器具と、を備える、システム。
【0068】
(11) 前記エンクロージャは、前記エンクロージャを止血弁アセンブリと嵌合させるための取り付け具を更に備え、前記口の軸は、前記止血弁アセンブリの長手方向軸と整列する、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記洗浄器具は複数のノズルを備え、各ノズルは、前記周辺部の周囲で環状に周方向に分布し、前記血塊回収装置が前記回収経路に沿って前記口を通って引き込まれる際に、前記血塊回収装置の前記捕捉部の前記周囲領域上で流体を噴霧するようにサイズ決めされている、実施態様10に記載のシステム。
(13) 前記エンクロージャは収集装置を更に備え、前記装置は、
遊離した血栓物質を捕捉するための濾過要素と、
前記濾過要素を通過する流体を収集する収集ボウルと、を備える、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記エンクロージャはアクセスポートを更に備え、前記ポートは、
外部スプレーノズルの手動関節運動、及び
前記血塊回収装置を滅菌するための滅菌媒体の導入、
を行うために構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(15) 血管への再挿入に備えて血塊回収装置を洗浄する方法であって、
接続ポート、内部内腔、及び回転装置ロックを有する止血弁アセンブリと、洗浄器具と、を備える、前記血塊回収装置のための送達システムを提供する工程と、
前記接続ポートに取り付けられた吸引源を提供する工程と、
前記送達システム及び血管を通って閉塞性血塊の近位の位置に至る経路を提供する工程と、
捕捉した血塊を含む前記血塊回収装置を前記経路に沿って引き寄せる工程と、
前記血塊回収装置が前記送達システムの内部の前記経路に沿って留まっている間に、前記洗浄器具を用いて、前記装置の捕捉部から前記血塊物質を遊離させる工程と、
前記吸引源を用いて、前記処置中の血液の逆流を防止し、遊離した血栓物質を前記経路から除去する工程と、
洗浄した前記血塊回収装置を前記血管に再挿入する工程と、を含む、方法。
【0069】
(16) 前記血塊回収装置が前記送達システムを通って移動する際に前記周囲領域を洗浄することができるように、前記洗浄器具を前記装置の前記回収経路内に配置する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記吸引源を用いて、前記処置中の血液の逆流を防止し、前記経路から遊離した血栓物質を除去する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記シャフトを操作する力を加えて、前記洗浄器具に前記血塊回収装置を繰り返し曝露し、前記血塊回収装置の前記捕捉部の前記周囲領域からの血栓物質の遊離を促進する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 更なる分析のために前記遊離した血栓物質を濾過する工程を更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 洗浄又は廃棄のために前記送達システムから前記洗浄器具を取り外す工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。