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  • 特許-逆止め弁 図1
  • 特許-逆止め弁 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】逆止め弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/18 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
F16K15/18 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020121270
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022018274
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム
(72)【発明者】
【氏名】稲石 文典
(72)【発明者】
【氏名】吉本 一哉
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-023571(JP,U)
【文献】実開昭50-094529(JP,U)
【文献】実開昭52-007434(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104896155(CN,A)
【文献】実開昭51-137120(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径孔と小径孔より大径の大径孔とを連設して流体が流れる流路を弁本体に形成し、流路には小径孔と大径孔との連設段部に弁座を形成し、弁座に着座する弁体を弁本体内へ移動自在に収装し、弁体を弁座への着座方向に付勢するばねと、弁体を移動自在に支持する支持部材とを弁本体の内部に設け、支持部材には弁本体の外部に連通する連通孔を形成し、連通孔には棒状の手動操作部材を挿通し、手動操作部材は弁体へ着脱自在に接続すると共に、端部を弁本体の外部に位置し、弁本体には径方向中心に位置決め孔を貫通形成する位置決め部材を設け、位置決め孔に支持部材を挿通して弁本体に位置決めすることを特徴とする逆止め弁。
【請求項2】
前記弁体は弁座に着座する弁部と、前記支持部材へ摺動自在に嵌装する支持部を有し、支持部に前記手動操作部材を着脱自在に接続したことを特徴とする請求項1に記載の逆止め弁。
【請求項3】
前記手動操作部材は、前記弁体の前記支持部に螺着したことを特徴とする請求項2に記載の逆止め弁。
【請求項4】
前記手動操作部材には、前記外部に位置する前記端部にナット部材を進退自在に螺着し、ナット部材は前記弁本体に係合可能としたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の逆止め弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁座に着座する弁体を備え、一方向へは流体を自由流れで流し、一方向と逆方向の他方向へは流体の流れを阻止する逆止め弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の逆止め弁は、ばねで付勢した弁体を弁座に着座し、流体の一方向の流れでは、弁体を弁座から離脱して流体を自由流れで流している。また、流体の他方向への流れでは、弁体を弁座に着座して流体の流れを阻止している。そして、手動操作により圧抜きを行う際には、手動により工具で開弁操作軸を押圧し、開弁操作軸で弁体を押して弁座から離脱するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-219101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の逆止め弁では、流体が流れる流路に、手動により弁体を押圧する開弁操作軸が配置されているため、移動する開弁操作軸により流路中の流体の流れに影響を及ぼす問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、弁体を手動操作する手動操作部材が、流路中の流体の流れに影響を及ぼさず、流体の良好な流れを得る逆止め弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
小径孔と小径孔より大径の大径孔とを連設して流体が流れる流路を弁本体に形成し、流路には小径孔と大径孔との連設段部に弁座を形成し、弁座に着座する弁体を弁本体内へ移動自在に収装し、弁体を弁座への着座方向に付勢するばねと、弁体を移動自在に支持する支持部材とを弁本体の内部に設け、支持部材には弁本体の外部に連通する連通孔を形成し、連通孔には棒状の手動操作部材を挿通し、手動操作部材は弁体へ着脱自在に接続すると共に、端部を弁本体の外部に位置し、弁本体には径方向中心に位置決め孔を貫通形成する位置決め部材を設け、位置決め孔に支持部材を挿通して弁本体に位置決めすることを特徴とする逆止め弁がそれである。
【0007】
この場合、前記弁体は弁座に着座する弁部と、前記支持部材へ摺動自在に嵌装する支持部を有し、支持部に前記手動操作部材を着脱自在に接続した。また、前記手動操作部材は、前記弁体の前記支持部に螺着してもよい。また、前記手動操作部材には、前記外部に位置する前記端部にナット部材を進退自在に螺着し、ナット部材は前記弁本体に係合可能としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、弁体を移動自在に支持する支持部材を弁本体の内部に設け、支持部材には弁本体の外部に連通する連通孔を形成し、連通孔には棒状の手動操作部材を挿通し、手動操作部材は弁体へ着脱自在に接続すると共に、端部を弁本体の外部に位置し、弁本体には径方向中心に位置決め孔を貫通形成する位置決め部材を設け、位置決め孔に支持部材を挿通して弁本体に位置決めする。このため、弁体を外部から手動操作する手動操作部材を弁体を支持する支持部材の内部に設けるから、手動操作部材が流路中の流体の流れに影響を及ぼさず、流体の良好な流れを得ることができる。また、手動操作部材は端部を弁本体の外部に位置した。このため、手動操作部材を弁体に接続したままにすることで、弁体の動きに手動操作部材が連動するから、作業者が弁体の動きを外部から視認することができる。また、弁本体には径方向中心に位置決め孔を貫通形成する位置決め部材を設け、位置決め孔に支持部材を挿通して弁本体に位置決めする。このため、支持部材と弁本体の弁座との同芯度を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、弁体は弁座に着座する弁部と、支持部材へ摺動自在に嵌装する支持部を有し、支持部に手動操作部材を着脱自在に接続した。このため、手動操作部材を引いて操作することができるから、弁体の弁部を弁座から確実に離脱させることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、手動操作部材は、弁体の支持部に螺着した。このため、弁体の支持部に手動操作部材を容易に着脱することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、手動操作部材には、外部に位置する端部にナット部材を進退自在に螺着し、ナット部材は弁本体に係合可能とした。このため、手動操作部材により弁体を開いた状態で、ナット部材を回動して進入し弁本体に係合することで、作業者が手動操作部材から手を放しても、弁体の開状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示した逆止め弁の縦断面図である。
図2図1とは異なる状態を示した逆止め弁の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1は弁本体で、本体2と蓋部材3と弁座部材4とから構成している。本体2は軸方向に大径孔2Aを貫通形成している。5は流体の流出口で、大径孔2Aの軸方向と直交する本体2の一側面に開口形成し、大径孔2Aの軸方向略中央部に接続している。蓋部材3は本体2の軸方向の一端面に取付け、大径孔2Aの一端開口を閉塞している。弁座部材4は本体2の軸方向他端に取付け、大径孔2Aの一端開口と対向する他端開口を閉塞している。弁座部材4は軸方向に小径孔4Aを貫通形成し、小径孔4Aと大径孔2Aとを連設して流体が流れる流路7を形成する。大径孔2Aは小径孔4Aより大径に形成し、小径孔4Aと大径孔2Aとの連設段部に弁座8を形成している。9は流体の流入口で、小径孔4Aの他端が開口する弁座部材4の一側面に開口形成している。
【0014】
10は弁本体1の内部に設けた円柱形状の支持部材で、根元部を蓋部材3に複数のボルト部材11で取付けて大径孔2Aに収装し、先端部を弁座部材4と対向している。支持部材10には連通孔12と嵌装孔13とを連設して軸方向に貫通形成している。連通孔12は蓋部材3に貫通形成の貫通孔14を介して弁本体1の外部に連通している。嵌装孔13は支持部材10の先端部に開口している。15は弁本体1の内部に移動自在に収装した弁体で、弁座8に面接触で着座する円板状の弁部16と、弁部16より小径で支持部材10の嵌装孔13へ摺動自在に嵌装する円柱状の支持部17とを連設して有している。18は弁体15の支持部17に装着したシール部材で、嵌装孔13と支持部17との間を密封し、流路7を流れる流体が連通孔12より弁本体1の外部に漏出するのを防止する。
【0015】
19は弁体15を弁座8への着座方向に付勢するばねで、支持部材10の先端部と弁体15の弁部16との間に介装している。20は棒状の手動操作部材で、外周面にねじ部を螺刻し、連通孔12に挿通している。手動操作部材20は一端部を弁体15の支持部17に着脱自在に螺着して接続すると共に、他端部を蓋部材3より突出して弁本体1の外部に位置している。21は手動操作部材20に挿通した円板で、蓋部材3に貫通形成の貫通孔14より大径に形成し、弁本体1を構成する蓋部材3に当接可能としている。22は手動操作部材20の他端部に回動操作で進退自在に螺着したナット部材で、円板21の軸方向外側に連接し、円板21を介して弁本体1に係合可能としている。
【0016】
23は円板状の位置決め部材で、本体2と蓋部材3との間に挟持し、径方向中心に位置決め孔24を貫通形成している。位置決め部材23の位置決め孔24には、支持部材10の根元部を挿通して支持部材10を位置決めし、支持部材10と弁座8との同芯度を得るようにしている。
【0017】
次にかかる構成の作動を説明する。
図1は、弁体15が弁座8に着座した状態を示している。
この状態で、流路7の流入口9から流出口5に流体を流す一方向の流れでは、流入口9から小径孔4Aに流れる流体が弁体15の弁部16に作用し、弁体15は弁部16に作用する流体の圧力に基づく作用力でばね19力に抗して図1左方向に移動し、弁座8から離脱する。流入口9から小径孔4Aに流れる流体は、弁座8、大径孔2Aを流れて流出口5に流れる。
【0018】
前述とは逆に、流路7の流出口5から流入口9に流体が流れようとする他方向の流れでは、弁体15はばね19力と弁部16の背面に作用する流体の圧力に基づく作用力で図1のとおり弁座8に着座する。流出口5から大径孔2Aに流れる流体は、小径孔4Aから流入口9への流れを阻止される。
【0019】
弁体15が弁座8に着座する図1の状態で、流出口5側の圧抜きや脱気を行うには、蓋部材3から外部に突出した手動操作部材20の他端部を作業者が図1左方向に引き操作する。弁体15は図1左方向に移動し、弁部16が弁座8から離脱して流出口5側の圧抜きや脱気が行われる。
【0020】
そして、図2に示すとおり、作業者がナット部材22を回動操作し、ナット部材22が円板21を介して弁本体1に係合するまで進入する。この状態では、作業者が手動操作部材20から手を放しても、弁体15の開状態を維持する。
【0021】
流出口5側の圧抜きや脱気が終了すると、作業者がナット部材22を前述と逆方向に回動操作し、ナット部材22を図1の状態まで後退する。この状態で、作業者が引き操作している手動操作部材20から手を放すと、弁体15はばね19力で図1位置に復帰する。そして、通常時には、弁体15の支持部17に螺着で接続した手動操作部材20を取外してもよい。また、通常時に、手動操作部材20を弁体15の支持部17に接続しておくと、作業者が弁体15の動きを外部から視認することができる。
【0022】
かかる作動において、弁体15を移動自在に支持する支持部材10を弁本体1の内部に設け、支持部材10には弁本体1の外部に連通する連通孔12を形成し、連通孔12には棒状の手動操作部材20を挿通し、手動操作部材20は弁体15へ着脱自在に接続すると共に、端部を弁本体1の外部に位置した。このため、弁体15を外部から手動操作する手動操作部材20を弁体15を支持する支持部材10の内部に設けるから、手動操作部材20が流路7中の流体の流れに影響を及ぼさず、流体の良好な流れを得ることができる。また、手動操作部材20は端部を弁本体の外部に位置した。このため、手動操作部材20を弁体15に接続したままにすることで、弁体15の動きに手動操作部材20が連動するから、作業者が弁体15の動きを外部から視認することができる。
【0023】
また、弁体15は弁座8に着座する弁部16と、支持部材10へ摺動自在に嵌装する支持部17を有し、支持部17に手動操作部材20を着脱自在に接続した。このため、手動操作部材20を引いて操作することができるから、弁体15の弁部16を弁座8から確実に離脱させることができる。
【0024】
また、手動操作部材20は、弁体15の支持部17に螺着した。このため、弁体15の支持部17に手動操作部材20を容易に着脱することができる。
【0025】
また、手動操作部材20には、外部に位置する端部にナット部材22を進退自在に螺着し、ナット部材22は弁本体1に係合可能とした。このため、手動操作部材20により弁体15を開いた状態で、ナット部材22を回動して進入し弁本体1に係合することで、作業者が手動操作部材20から手を放しても、弁体の開状態を維持することができる。
【0026】
また、小径孔4Aは、本体2と別に設けた弁座部材4に形成した。このため、小径孔4Aの口径を変更する際には、弁座部材4を異なる口径の小径孔を形成した弁座部材に取り替えればよく、大型で取り扱いしづらい本体2の変更を不要にでき、容易に変更できる。
【0027】
なお、前述の一実施形態では、弁座8を形成した弁座部材4を本体2と別部材としたが、弁座部材を本体と一体形成して本体に弁座を形成してもよい。また、弁体15は弁座8に面接触で着座したが、弁座に線接触で着座する弁体としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1:弁本体
2A:大径孔
4A:小径孔
7:流路
8:弁座
10:支持部材
12:連通孔
15:弁体
19:ばね
20:手動操作部材
図1
図2