(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240805BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240805BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240805BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240805BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240805BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240805BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L21/90 C
H01L21/90 J
(21)【出願番号】P 2020123481
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成影 壮司
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102685(JP,A)
【文献】特開2017-147337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0141122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H10B 43/50
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
H01L 21/768
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の導電膜上に設けられ、複数の絶縁層と複数の導電層が一層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向に当該積層体を貫通し、複数のメモリセルが形成される第1柱状部と、
前記積層体を前記積層方向に貫通し、当該積層体を複数のブロックに区分けする第1分離部と、
前記第1柱状部と前記第1分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体内において前記積層方向へ局所的に延びる第1支持柱と
を備え
、
前記第1柱状部は、前記第1分離部が伸びる方向に沿って複数配列され、
複数の前記第1柱状部の近傍には、前記第1支持柱が前記第1柱状部と対応して設けられ、
前記第1支持柱は、前記第1柱状部の径よりも小さな径を有し、
前記第1支持柱の下端部は、前記第1分離部の下端部よりも上方に位置し、
前記第1支持柱は、絶縁性材料でシームレスに形成されている、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記所定の導電膜上に設けられ、前記積層体からそれぞれ異なる長さで延びる前記複数の導電層を含む階段部と当該階段部を覆う絶縁体部とを有する階段領域と、
前記階段部の複数の導電層の積層方向に前記階段領域を貫通する第2柱状部と、
前記積層方向に前記階段領域を貫通し、前記第1柱状部を複数のブロックに区分けする、前記第1分離部と連続した第2分離部と、
前記第2柱状部と前記第2分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体において前記積層方向へ局所的に延びる第2支持柱と
を更に備える、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1支持柱は、前記第1分離部のうちの幅が最大となる部分よりも低い、請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1支持柱の前記第1分離部への接触が許容される、請求項
1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
所定の導電膜上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第1積層体を形成し、
前記第1積層体を前記所定の導電膜の上面まで貫通する第1支持柱を形成し、
前記第1積層体及び前記第1支持柱の上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第2積層体を形成することにより、前記第1積層体及び前記第2積層体を含む積層体を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通する第1柱状部を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通し、前記積層体を複数のブロックに区分けするスリットを形成し、
前記スリットを介して、前記犠牲層を導電層に置き換え、
前記スリットを絶縁膜と導電部で埋め込むことを含
み、
前記第1支持柱を形成するときは、前記第1積層体を貫通し前記所定の導電膜の上面に達するホールを形成し、前記ホールに絶縁性材料をシームレスに埋め込み、
前記第1柱状部を形成するときは、前記第1柱状部が、前記スリットが伸びる方向に沿うとともに、前記第1支持柱の近傍に前記第1支持柱と対応し、かつ前記第1支持柱の径より大きい径を有するように形成し、
前記スリットを形成するときは、前記積層体を前記積層方向に貫通し、前記所定の導電膜に前記スリットの下端部を規定する凹部を形成する、
半導体記憶装置の製造方法。
【請求項6】
所定の導電膜上に設けられ、複数の絶縁層と複数の導電層が一層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向に当該積層体を貫通し、複数のメモリセルが形成される第1柱状部と、
前記積層体を前記積層方向に貫通し、当該積層体を複数のブロックに区分けする第1分離部と、
前記第1柱状部と前記第1分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体内において前記積層方向へ局所的に延びる第1支持柱と
前記第1柱状部と前記第1分離部の間において、前記所定の導電膜から離間し、前記積層体内に局所的に延びる第3支持柱と、を備え、
前記第3支持柱は、前記積層方向と交差する方向に前記第1支持柱からずれている、
半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1支持柱の、前記第1分離部、または前記第1柱状部への接触が許容される、
請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
所定の導電膜上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第1積層体を形成し、
前記第1積層体を前記所定の導電膜の上面まで貫通する第1支持柱を形成し、
前記第1積層体及び前記第1支持柱の上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第2積層体を形成し、
前記第2積層体の、前記第1支持柱に対して積層方向かつ前記積層方向と交差する方向にずれた位置を貫通する第3支持柱を形成し、
前記第2積層体及び前記第3支持柱の上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第3積層体を形成することにより、前記第1積層体、前記第2積層体、及び前記第3積層体を含む積層体を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通する第1柱状部を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通し、前記積層体を複数のブロックに区分けするスリットを形成し、
前記スリットを介して、前記犠牲層を導電層に置き換え、
前記スリットを絶縁膜と導電部で埋め込むことを含む、
半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置および半導体記憶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば3次元メモリ構造を有する半導体記憶装置は、複数の絶縁層と複数の導電層とが一層ずつ交互に積層された積層体と、この積層体を貫通し、複数のメモリセルがそれぞれ形成される複数の柱状部とを有している。また、そのような半導体記憶装置は、複数の柱状部が形成される領域を幾つかのグループに区分けするため、積層体を貫通する分離部を有している。分離部はまた、積層体の上部配線と下部配線とをつなぐ貫通配線としても機能する場合がある。
【0003】
分離部を形成する場合、製造プロセス上の事情により、分離部の幅は、上端に近い部分で最大となり、下端に向かって狭くなる。このような傾向は、記憶容量の増大のために積層体の積層数が増大し、分離部が高くなると、より顕著になる。また、柱状部についても同様な状況が生じる。分離部の幅の広い部分と、柱状部の幅の広い部分とが接触しないように両者の間隔を設定すると、幅の狭い部分の間の間隔が広くなる。導電層は、複数の絶縁層と複数の犠牲層とが一層ずつ交互に積層された後に、犠牲層を除去し、犠牲層が除去された空間に導電性材料が埋め込まれて形成される。分離部の狭い部分と柱状部の狭い部分との間隔が広すぎる場合には、犠牲層が除去された後に、残った絶縁層が撓んでしまい、導電性材料の埋め込みができない事態ともなる。
【0004】
一方、これを避けるために分離部と柱状部の間隔を広くすると、幅の広い部分どうしが接触してしまい、短絡が生じてしまうおそれがある。すなわち、分離部と柱状部の接触を避けつつ、積層体の下方部分において導電層を形成することが難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-152412号公報
【文献】特開2019-102685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの実施形態は、複数の絶縁層と複数の導電層が一層ずつ交互に積層される積層体を貫通する複数の柱状部と、当該複数の柱状部を区分けする分離部とを有する半導体記憶装置において、分離部と柱状部の接触を避けつつ、積層体の下方部分において導電層を容易に形成することが可能な半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による半導体記憶装置は、所定の導電膜上に設けられ、複数の絶縁層と複数の導電層が一層ずつ交互に積層された積層体と、前記積層体を積層方向に貫通し、複数のメモリセルを構成する第1柱状部と、前記積層体を貫通し、当該階段領域を複数のブロックに区分けする第1分離部と、前記第1柱状部と前記第1分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体内へ局所的に延びる第1支持柱とを備え、前記第1柱状部は、前記第1分離部が伸びる方向に沿って複数配列され、複数の前記第1柱状部の近傍には、前記第1支持柱が前記第1柱状部と対応して設けられ、前記第1支持柱は前記第1柱状部の径よりも小さな径を有し、前記第1支持柱の下端部は、前記第1分離部の下端部よりも上方に位置し、前記第1支持柱は、絶縁性材料でシームレスに形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態による半導体記憶装置を模式的に示す上面ブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の半導体記憶装置のメモリ領域と階段領域の一部拡大図である。
【
図3】
図3は、
図2のA-A線に沿った断面を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、
図2のB-B線に沿った断面を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図5に引き続いて模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図6に引き続いて模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図7に引き続いて模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図8に引き続いて模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図9に引き続いて模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図10に引き続いて模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図11に引き続いて模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図12に引き続いて模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図13に引き続いて模式的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態の半導体記憶装置の製造方法により形成されるメモリ領域の断面を
図14に引き続いて模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態による半導体記憶装置の階段領域の断面を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態による半導体記憶装置の階段領域の断面を模式的に示す別の図である。
【
図18】
図18は、比較例による半導体装置のメモリ領域の断面を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、比較例による半導体装置のメモリ領域の断面を模式的に示す他の図である。
【
図20】
図20は、比較例による半導体装置の階段領域の断面を模式的に示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態による半導体装置の別の変形例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態による半導体装置の更に別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間、または、種々の層の厚さの間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきである。
【0010】
図1は、実施形態による半導体記憶装置を模式的に示す上面ブロック図である。図示のとおり、半導体記憶装置1は、メモリ領域MAと、階段領域SAと、周辺領域PAとを有している。メモリ領域MAには複数のメモリセルが設けられ、階段領域SAには、メモリ領域MAの複数のメモリセルの各々と電気的に接続する導電部が設けられている。周辺領域PAには、メモリセルを制御する回路等が設けられている。
【0011】
図2は、半導体記憶装置1のメモリ領域MAと階段領域SAの一部拡大図であり、例えば
図1における部位Rに相当する。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面を模式的に示す図であり、
図4は、
図2のB-B線に沿った断面を模式的に示す図である。ただし、
図3において、第1柱状部CL(後述)と接続する上層配線(ビット線等)は省略されている。
【0012】
図2を参照すると、メモリ領域MAは、積層体SL、複数の第1柱状部CL、及び分離部PPを有している。積層体SLは、
図3に示すように、ベースボディ10上に形成され、一層ずつ交互に積層された複数の絶縁層11と複数の導電層12とを有している。ベースボディ10は、導電性であり、例えばシリコン基板でよく、シリコン基板上に堆積された単結晶シリコン層であってもよい。
【0013】
複数の第1柱状部CLは、
図2に示すようにX方向に沿って一列に配列されるとともに、X方向と直交するY方向に沿っては互い違いに配列されている。また、
図3に示すように、第1柱状部CLは、積層体SLの上面から積層体SLを貫通し、ベースボディ10内に到達する貫通孔MHを埋め込むように形成される。第1柱状部CLの各々は、メモリ膜30、シリコン膜40、およびコア膜50を有している。ここで、積層体SLの導電層12のうち、最下層の導電層12と第1柱状部CLが接触する部分は、ソース側選択トランジスタを構成し、最上層の導電層12と第1柱状部CLが接触する部分は、ドレイン側選択トランジスタを構成し、残りの導電層12(ワードライン)と第1柱状部CLが接触する部分は、メモリセルを構成する。
【0014】
分離部PPは、
図2に示すようにX方向に伸び、メモリ領域MAを複数のブロックB1,B2,・・・に分離する。分離部PPは、
図3に示すように、積層体SLを上面から貫通してベースボディ10の内部まで到達するスリットST内に形成され、スリットSTの内側面を覆う絶縁膜PPIと、その内側を埋める導電部PPCとを有する。導電部PPCは、ベースボディ10に接続し、図示しない上部電極とベースボディ10とを電気的に接続する。
【0015】
階段領域SAは、
図2に示すように、コンタクトCC、第2柱状部HR、及び分離部PPを有している。また、階段領域SAにおいては、
図4に示すように、異なる長さを有する導電層12が絶縁層11を介して積層されている。個々の導電層12は、積層体SLから階段領域SAへと連続的に延出している。ここで、複数の導電層12のうちのいずれの導電層12も、その下の導電層12に比べ、短い延出長を有している。すなわち、階段領域SAには、複数の導電層12が、階段領域SAからメモリ領域MAに向かう方向に沿って高くなるように階段状に形成されている。階段状に形成された複数の導電層12の各テラス面TS(階段の踏み板面に相当)に対して、積層体SLの上面から延びるコンタクトCCが接続している。
【0016】
コンタクトCCは、導電性を有し、例えばタングステンまたはモリブデンなどの金属を含むことができる。コンタクトCCは、図示しない上層配線(ワード配線)と接続されている。その上層配線は、例えば周辺領域PA(
図1)に設けられた回路部と電気的に接続されている。回路部により、コンタクトCCおよび導電層12を通して、メモリセルへ印加される電圧が制御される。
【0017】
なお、テラス面TSの上方には絶縁体SAIが形成され、図示しない上層配線と導電層12が絶縁されるとともに、隣接する2つのコンタクトCCが絶縁されている。
【0018】
第2柱状部HRは、階段状の導電層12と絶縁体SAIを貫通するように形成されたホール内に絶縁材料を埋め込むことにより形成される。第2柱状部HRは、導電層12を形成するときに、複数の絶縁層11を支持するために利用される。また、
図2に示すように、階段領域SAには、メモリ領域MAから連続的に分離部PP(スリットST)が伸びている。
【0019】
メモリ領域MAと階段領域SAの双方において、
図2に平面的な位置を示すように、複数の支持柱SPが、分離部PPに沿って設けられている。本実施形態では、支持柱SPは、第1柱状部CLと分離部PPの間、及び第2柱状部HRと分離部PPの間に設けられている。より具体的には、支持柱SPは、分離部PPと直交し第1柱状部CL(階段領域SAにおいては第2柱状部HR)を通る直線上に配置されてよい。また、支持柱SPは、分離部PPと第1柱状部CL(階段領域SAにおいては第2柱状部HR)の中点に配置されてよく、その中点よりも分離部PPの近くに配置されてもよく、中点よりも第1柱状部CL(階段領域SAにおいては第2柱状部HR)の近くに配置されてもよい。
【0020】
また、
図3に示すように、支持柱SPは、積層体SLを貫通することなく、積層体SLの下層部分に設けられている。換言すると、支持柱SPは、ベースボディ10の上面から積層体SLへ局所的に伸びている。支持柱SPの高さは、積層体SLの積層数や、第1柱状部CLと分離部PPとの間の距離に基づいて、適宜、決定されてよい。また、支持柱SPの高さを決定するときには、第2柱状部HRと分離部PPとの間の距離を考慮してもよい。さらに、支持柱SPの分離部PPと平行な方向(X方向)の長さと、分離部PPと直交する方向(Y方向)の長さとについても適宜決定されてよい。さらにまた、後述のとおり、分離部PPは、その上方部において広い幅を有し、下端において狭い幅を有する傾向にあるため、そのような形状を考慮して、支持柱SPの形状や配置が決定されても良い。
【0021】
次に、
図5~
図15参照しながら、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図5~
図15は、本実施形態の半導体記憶装置の製造方法における主な工程の後のメモリ領域MAの断面を模式的に示す図である。以下、メモリ領域MAを中心に本製造方法を説明する。
【0022】
始めに、
図5に示されるように、ベースボディ10上に積層体SLの下層部分SLLが形成される。下層部分SLLは、一層ずつ交互に積層される複数の絶縁層11と複数の犠牲層120とを有する。下層部分SLLの表面には犠牲層120が露出している。犠牲層120は、例えば窒化シリコン層で形成されてよく、絶縁層11は、例えば酸化シリコンにより形成されてよい。なお、図示の例では、下層部分SLLは2つの絶縁層11と2つの犠牲層120とを有しているが、これに限られることはなく、下層部分SLLの高さにより支持柱SPの高さが決まるため、形成すべき支持柱SPの高さに応じて、下層部分SLLの層数を決定してよい。
【0023】
次に、
図6に示すように、下層部分SLLを貫通してベースボディ10の上面に達するホール21が形成される。具体的には、予め定められたホール21が形成されるべき位置に開口を有するフォトレジスト層(不図示)が下層部分SLLの表面上に形成され、このフォトレジスト層をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)法によって下層部分SLLがエッチングされる。ここで、ベースボディ10は、エッチングストッパーとして機能し、ホール21の底面として露出する。
【0024】
続けて、ホール21が例えば酸化シリコンで埋め込まれ、
図7に示すように、支持柱SPが形成される。具体的には、まず、例えばTEOSを原料としたプラズマ化学気相堆積(CVD)法などによりホール21が酸化シリコンで埋め込まれる。このとき、支持柱SPにボイドが形成されないように、酸化シリコンは、ホール21に対して、コンフォーマルにシームレスに堆積されることが望ましい。ホール21が酸化シリコンで埋め込まれた後、下層部分SLLの表面に残る酸化シリコン膜が、例えば化学機械平坦化(CMP)法やエッチバック法により除去される。これにより、支持柱SPが形成され、下層部分SLLの最上層である犠牲層120が露出する。
【0025】
次に、支持柱SP及び下層部分SLLの表面上に複数の絶縁層11と複数の犠牲層120が一層ずつ交互に積層され、下層部分SLLを含む積層体SLが得られる。ここまでの工程は、メモリ領域MA及び階段領域SAにおいて同一であり、両領域MA,SAにおいて同一の構造が形成される。この後、階段領域SAでは、積層体SLが部分的にエッチングされ、犠牲層120がテラス面TSとして露出する階段形状を有することとなる(
図4参照)。このエッチングには、インプリント法により形成した階段形状を有するマスク層を利用することができる。ただし、一様の厚さを有するレジストマスク層をシュリンクしつつ、積層体SLをエッチングすることによって階段形状を形成してもよい。
【0026】
次いで、階段形状を有する積層体SLの上に、絶縁体SAI(
図4)が形成される。絶縁体SAIは、例えば酸化シリコンにより形成されてよく、この形成にはTEOSを原料としたプラズマCVD法を利用することができる。絶縁体SAIの上面は、メモリ領域MAにおける積層体SLの上面と同一面を形成する。
【0027】
続けて、
図8に示すように、メモリ領域MAには、積層体SLを積層方向に貫通してベースボディ10に到達する貫通孔MHが形成される。具体的には、貫通孔MHが形成されるべき位置に開口を有するフォトレジスト層(不図示)が積層体SLの表面に形成され、このフォトレジスト層をマスクとしたRIE法により、積層体SLがエッチングされる。このとき、ベースボディ10もまたエッチングされ、ベースボディ10の表面に凹部が形成される。これにより、貫通孔MHが形成される。
【0028】
この後、貫通孔MHに第1柱状部CLが形成される。具体的には、まず、
図9に示すようにメモリ膜30が形成される。メモリ膜30の形成には、例えば原子層堆積(ALD)法を利用することができ、これにより、貫通孔MHの内周面および底面に沿ってコンフォーマルなメモリ膜30を得ることができる。メモリ膜30は、図示を省略するが、貫通孔MHの内面に堆積されるブロック絶縁膜と、ブロック絶縁膜の内面に堆積される電荷蓄積膜と、電荷蓄積膜の内面に堆積されるトンネル絶縁膜とを有している。
【0029】
ブロック絶縁膜は、例えば酸化シリコンにより形成されてよい。ブロック絶縁膜は、電荷蓄積膜に蓄積された電荷が導電層12へ放出されるのを防止する。また、ブロック絶縁膜は、導電層12から第1柱状部CLへの電荷のバックトンネリングを防止する。
【0030】
トンネル絶縁膜は、例えば酸化シリコンにより形成されてよい。トンネル絶縁膜は、チャネルとして機能するシリコン膜40(
図3)から電荷蓄積膜に電荷が注入される際、または電荷蓄積膜に蓄積された電荷がシリコン膜40に放出される際に電位障壁として機能する。トンネル絶縁膜は例えば酸化シリコンで形成されてよく、電荷蓄積膜は例えば窒化シリコンにより形成され得る。
【0031】
メモリ膜30の形成後、メモリ膜30のうち貫通孔MHの底面に堆積された部分がRIE法によりエッチングされる。さらに、このエッチングにより露出することとなったベースボディ10がエッチングされ、貫通孔MHから延びる凹部が形成される。
【0032】
この後、メモリ膜30が形成された貫通孔MH内に導電性のシリコンが例えばALD法によりコンフォーマルに堆積され、
図10に示すように、有底円筒形状を有するシリコン膜40が得られる。シリコン膜40の下端は、ベースボディ10の凹部に位置し、これにより、シリコン膜40がベースボディ10と電気的に確実に接続される。
【0033】
続けて、
図11に示すように、シリコン膜40の内側にコア膜50が形成される。コア膜50は、例えば酸化シリコンにより形成され得る。以上のようにして、貫通孔MH内にメモリ膜30、シリコン膜40、およびコア膜50を含む第1柱状部CLが形成される。
【0034】
この後、階段領域SAには第2柱状部HR(
図2)が形成される。すなわち、まず、所定の位置において階段領域SA(階段形状の積層体SLと、絶縁体SAI)を貫通してベースボディ10に到達するホールがRIE法により形成される。次いで、このホールが、例えば、CVD法により酸化シリコンにより埋め込まれて、第2柱状部HRが得られる。
【0035】
次に、
図12に示すように、スリットSTが形成される。具体的には、スリットSTは、所定のフォトレジスト層(不図示)をマスクとし、積層体SL(階段領域SAにおいては、絶縁体SAI(
図4)と階段状の積層体SL)をRIE法によりエッチングすることにより形成される。このとき、ベースボディ10の表面もまたエッチングされ、ベースボディ10には凹部が形成される。換言すると、スリットSTの下端部は、ベースボディ10の凹部により規定される。なお、
図2に示したように、スリットSTは、メモリ領域MAから階段領域SAまでX方向に連続的に伸びている。
【0036】
次に、スリットST内へエッチング液が供給され、積層体SL中の犠牲層120が除去される。犠牲層120は、本実施形態においては窒化シリコンで形成されているため、例えばリン酸を含むエッチング液をスリットST内へ供給すると、犠牲層120を選択的に除去することができる。なお、所定のエッチングガスを用いたドライエッチング法により、犠牲層120を選択的に除去してもよい。
【0037】
犠牲層120が除去されると、
図13に示すように、上下に隣接する2つの絶縁層11の間に空隙13が形成される。ここで、複数の絶縁層11は、メモリ領域MAでは、第1柱状部CLにより支持され、これにより、上下に隣接する2つの絶縁層11の間に空隙13が維持される。また、積層体SLの下層部においては、幾つかの絶縁層11は支持柱SPによっても支持される。これによる効果は後述する。
【0038】
その後、空隙13が導電性材料により埋め込まれ、導電層12が形成される。具体的には、例えばALD法により、タングステンまたはモリブデンを含む有機金属ガスなどのソースガスがスリットSTを通して空隙13に供給され、空隙13にタングステンまたはモリブデンが堆積される。このようにして、
図14に示すように、導電層12が形成される。これにより、積層体SLは、一層ずつ交互に積層された複数の絶縁層11と複数の導電層12とを有することとなる。
【0039】
なお、犠牲層120はメモリ領域MAから階段領域SAまで伸び、階段領域SAでは、下方の犠牲層120ほど長い延出長を有し、全体として階段形状が形成されている。このため、犠牲層120の除去後には、空隙13もまた階段状に階段領域SAにまで延びることとなる。したがって、空隙13がタングステン又はモリブデンで埋め込まれることにより得られた導電層12もまた、犠牲層120の形状を反映し、階段形状を有している(
図4参照)。なお、犠牲層120が除去された後、階段領域SAにおいては、絶縁層11は、第2柱状部HR(
図2)により支持され、これにより、上下に隣接する2つの絶縁層11の間に空隙13が維持される。また、メモリ領域MAと同様に、階段領域SAにおいても、下層の絶縁層11は支持柱SPによっても支持されている。
【0040】
次に、導電層12の形成時にスリットSTの内面および底面に堆積された金属が除去された後、例えばALD法により、スリットSTの内周面および底面に絶縁膜PPIが形成される(
図15)。絶縁膜PPIのうちスリットSTの底面に形成された部分がRIE法で除去された後、スリットST内に導電性材料が充填され、導電部PPCが形成される(
図3参照)。導電部PPCの下端はベースボディ10に物理的に且つ電気的に接触する。
【0041】
この後、階段領域SAにおいては、コンタクトCC(
図1、
図3)が形成される。具体的には、階段領域SAの上面(酸化シリコン膜の上面)に、コンタクトCCが形成されるべき位置に開口を有するマスク層が形成され、これを用いたRIE法により、コンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、階段領域SAの上面から各導電層12の上面まで達する。次いで、コンタクトホールが、例えばタングステンなどの金属により埋め込まれ、コンタクトCCが得られる。以上により、半導体記憶装置1の製造が終了する。
【0042】
なお、本実施形態による半導体記憶装置1の階段領域SAにおいては、
図16に示すように、第1柱状部CLは設けられておらず、支持柱SPは、第2柱状部HRと分離部PP(スリットST)の間に配置される。
図16は、
図2におけるC-C線に沿った断面を模式的に示す図である。
【0043】
また、
図17は、階段領域SAにおいて、メモリ領域MAから更に離れた位置にある第2柱状部HR等の断面を
図16と同様に模式的に示す図である。メモリ領域MAから離れた位置では、階段形状の導電層12の段数が少なく、その代わりに、その上の絶縁体SAIは厚くなっている。このようにメモリ領域MAから離れた、絶縁体SAIが厚い部分では、スリットSTの幅が広くなる傾向にある。これは、単一の材料(例えば酸化シリコン)で形成される絶縁体SAIのエッチングレートが、絶縁層11と犠牲層120による積層体SLのエッチングレートよりも大きいためと考えられる。このようにスリットSTの幅が広くなると、スリットSTと支持柱SPの間の間隔は狭くなり、場合によっては、支持柱SPと、スリットSTに埋め込まれる分離部PPとが接触してしまう事態ともなる。ただし、支持柱SPは、絶縁性材料で形成されるため、分離部PPと接触してしまっても、支持柱SPと、分離部PPの導電部PPCとの間で短絡は殆ど生じない。支持柱SPと第1柱状部CLとも同様である。また、支持柱SPは、第2柱状部HRと接触しても構わない。
【0044】
次に、比較例と対比しながら、本実施形態による半導体記憶装置1及びその製造方法の利点について説明する。比較例による半導体記憶装置は、本実施形態による半導体記憶装置1における支持柱SPを有していないけれども、これを除いて同一の構成を有している。また、比較例による半導体記憶装置は、本実施形態による半導体記憶装置1の製造方法における支持柱SPの形成に係わる工程を省略すれば、製造することができる。
図18から
図20は、比較例による半導体記憶装置の階段領域の一部断面図であり、本実施形態による半導体記憶装置1の製造方法における、犠牲層120を除去した後の一部断面図に対応している。
【0045】
図18を参照すると、犠牲層が除去されているために、絶縁層11の間には空隙13が形成され、各絶縁層11のうちのスリットSTに向かって延びる部分は、第2柱状部HRにより片持ち支持されている。この場合、図示のように、絶縁層11のうち例えば上下に隣接する2つの絶縁層11U、11Lが、その先端部にて互いに接触することがある。この接触により、これら2つの絶縁層11U、11Lの空隙130には導電性材料を導入することができず、よって、絶縁層11U、11Lの間には導電層を形成できなくなってしまう。
【0046】
これを防ぐためには、例えば、
図19に示すように、スリットSTと第2柱状部HRの間隔を狭くすることが考えられる。このようにすれば、片持ち支持される部分11Cが短くなるため、撓み難くなり、よって上下に隣接する2つの絶縁層11が接触することが回避され得る。
【0047】
しかしながら、スリットSTと第2柱状部HRの間隔を狭くしようとすれば、スリットSTを形成するときに、スリットSTが第2柱状部HRまで広がってしまう(両者が互いに接触してしまう)可能性がある。図示のとおり、スリットSTは、上方において広い幅WWSを有し、下端において狭い幅NWSを有する傾向がある。これは、スリットSTの形成時に、上方の所定の部分がエッチングガス中の活性種に長い時間、かつ/又は高濃度に晒されることにより生じると考えられる。同様に、第2柱状部HRもまた、上方において広い幅WWHを有し、下端において狭い幅NWHを有する傾向にある。
【0048】
スリットST及び第2柱状部HRがこのような形状を有するため、下端に近い部分では両者間の間隔を確保できるものの、スリットSTにおける広い幅WWSを有する部分と、第2柱状部HRの広い幅WWHを有する部分とが、互いに近接することとなる。そうすると、スリットSTの形成時のエッチング速度のバラつきによっては、スリットSTが第2柱状部HRに接触してしまうことにもなりかねない。
【0049】
特に、階段領域におけるメモリ領域から離れた位置においては、絶縁体SAIが厚くなっており、上述のとおり、スリットSTの形成時に横方向にエッチングが進み、スリットSTの幅が広くなるおそれがある。そのため、スリットSTが第2柱状部HRに接触する可能性が高いと考えられる。
図20に示すように、スリットSTのエッチング中にスリットSTが第2柱状部HRに接触してしまうと、第2柱状部HRを構成する絶縁性材料(例えば酸化シリコン)もまたエッチングされてしまう。ここで、CVD法により形成された第2柱状部HRには、
図20に示すようにボイドVが形成される場合がある。この場合には、スリットSTとボイドVとが連通してしまうことになりかねない。スリットSTは、後に絶縁膜PPIと導電部PPCとで埋め込まれるが、導電部PPCを構成する導電性材料がボイドVにまで入り込むと、導電部PPCと、絶縁層11の間に形成される導電層との間で、導電性材料を通した電流のリークが生じるおそれがある。
【0050】
以上のとおり、スリットST及び第2柱状部HRの間隔が広い場合には、上下の絶縁層11が接触して導電層の形成が阻害される可能性があり、スリットST及び第2柱状部HRの間隔が狭い場合には、スリットSTと第2柱状部HRが接触してしまう可能性がある。
【0051】
なお、スリットSTが、上方において広い幅を有し、下端において狭い幅を有する傾向は、階段領域だけでなくメモリ領域においても見られる。このため、比較例においては、メモリ領域で、スリットSTが、幅の広い部分で第1柱状部CLに接触してしまう可能性がある。仮にスリットSTが第1柱状部CLに接触してしまうと、スリットSTに導電部PPCを形成した際に、導電部PPCと、第1柱状部CLのシリコン膜40(例えば
図11参照)との間で短絡や、電流のリークが生じてしまう。
【0052】
一方、本実施形態による半導体記憶装置1及びその製造方法では、
図13に示すように、第1柱状部CLにより片持ち支持される絶縁層11のうち、ベースボディ10に近い部分(すなわち、第1柱状部CLとスリットSTの間隔が広い部分)の絶縁層11は、ベースボディ10の上面から積層体SL内へ局所的に延びる支持柱SPにより支持されている。このため、上下に隣接する2つの絶縁層11が撓んで接触するのを回避することが可能となる。また、第1柱状部CLの幅の広い部分と、スリットSTの幅の広い部分との間の間隔は、両者が接触しない程度に維持され得る。すなわち、支持柱SPにより、上下に隣接する絶縁層11が接触するのを回避しつつ、分離部PPと第1柱状部CL(又は第2柱状部HR)との接触も回避することが可能となる。
【0053】
なお、積層体SLの積層数を多くした場合には、貫通孔MHやスリットSTを形成するための積層体SLのエッチング時間が長くなるため、第1柱状部CL及び分離部PP(スリットST)における幅の広い部分もまた大きくなり易い。第1柱状部CL及び分離部PP(スリットST)の間隔を考慮すると、積層体SLの下層部における第1柱状部CL及び分離部PP(スリットST)の間隔は例えば150~200nmにもなり得る。このような比較的大きな間隔であっても、下層部の絶縁層11は、支持柱SPにより支持されるため、絶縁層11間での接触が回避され得る。
【0054】
また、半導体記憶装置1の記憶容量を増加させる観点から、メモリ領域MAにおける第1柱状部CLと分離部PPの間の間隔は、両者の幅が広い部分で接触しない範囲で、小さい方がよい。したがって、これらの間に形成される支持柱SPによって、第1柱状部CLと分離部PPの間隔がむしろ広くなってしまうのを避けるため、支持柱SPは、分離部PPのうちの幅が最大となる部分よりも低いことが望ましい。すなわち、分離部PPのうちの幅が最大となる部分よりも低い、分離部PPと第1柱状部CLの間隔が比較的広い範囲に支持柱SPが設けられれば、分離部PPと第1柱状部CLの間隔が不要に広くなるのを防止することができる。
【0055】
以上、実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
例えば、
図21に示すように、メモリ領域MAにおいて、追加の支持柱ASPを設けても良い。追加の支持柱ASPは、支持柱SPと同様に、酸化シリコンでシームレスに形成される。図示の例では、追加の支持柱ASPは、分離部PPと第1柱状部CLとの間において、積層体SLの積層方向に局所的に延びている。また、追加の支持柱ASPは、支持柱SPに対し、上方に、かつ水平方向にずれて配置されている。さらに、図示の例では、追加の支持柱SPは、分離部PPよりも第1柱状部CLの近くに配置されている。ただし、図示の例に限らず、追加の支持柱ASPは、支持柱SPと離間しつつ垂直方向に整列するように設けられて良い。また、追加の支持柱ASPは、支持柱SPに対して、水平方向にずれるとともに、上下方向に重複しても良い。すなわち、追加の支持柱ASPの底面が支持柱SPの上面よりも低くても良い。
【0057】
上述のとおり、支持柱SPに関しては、積層体SL中の絶縁層11と導電層12の積層数や、分離部PPと第1柱状部CLの間隔などに応じて、その位置、高さ、及び幅を決定して良いが、それだけではなく、追加の支持柱ASPを適所に設けることにより、製造中の絶縁層11の撓みを更に低減することが可能となる。また、支持柱SPよりも上方に追加の支持柱ASPを設けることにより、分離部PP(スリットST)と第1柱状部CLとの接触を妨げることが可能となる。なお、追加の支持柱ASPは、酸化シリコンなどの絶縁性材料で形成されるため、分離部PPや第1柱状部CLに仮に接触してしまっても、電流のリークが生じる可能性は低い。
【0058】
なお、追加の支持柱ASPは、
図5から
図7までを参照しながら説明した支持柱SPの製造工程の後に、この製造工程を繰り返すことにより、形成することができる。また、追加の支持柱ASPの高さや幅(分離部PPの延在方向に沿った長さ)なども、支持柱SPと同様に、積層体SL中の絶縁層11と導電層12の積層数や、分離部PPと第1柱状部CLの間隔などに応じて決定されて良い。
【0059】
また、
図22に示すように、階段領域SAにおいても追加の支持柱ASPを設けても良い。図示のとおり、追加の支持柱ASPは、分離部PPと第2柱状部HRとの間において、支持柱SPの上方に配置されている。また、追加の支持柱SPは、支持柱SPから水平方向にずれており、分離部PPよりも第2柱状部HRの近くに配置されている。追加の支持柱SPを適所に設けることにより、階段領域SAにおいても、製造中の絶縁層11の撓みが更に低減され得る。なお、追加の支持柱ASPは、階段領域SAとメモリ領域MAの双方に又はいずれか一方に設けられて良い。
【0060】
また、上述の実施形態による製造方法においては、貫通孔MH内にメモリ膜30を形成した後に(
図9)、メモリ膜30のうちの底面部分を除去し、シリコン膜40を形成したが(
図10)、メモリ膜30の形成後にその内周面及び底面にシリコンによる薄膜を形成してもよい。この場合、その薄膜のうちの底面部分と、メモリ膜30のうちの底面部分とが除去された後に、シリコン膜40が形成される。このようにすることにより、メモリ膜30の底面部分を除去するときに、シリコンの薄膜によって、メモリ膜30がエッチングガス中の活性種に晒されるのを妨げられる。
【0061】
また、上述の実施形態による製造方法においては、第2柱状部HRは、第1柱状部CLと別途に形成されたが、同時に形成されてもよい。すなわち、貫通孔MHを形成するときに、第2柱状部HR用のホールが形成され、貫通孔MHをメモリ膜30、シリコン膜40、およびコア膜50で埋め込んで第1柱状部CLを形成するときに、第2柱状部HR用のホールにもメモリ膜30、シリコン膜40、およびコア膜50が埋め込まれてもよい。ただし、この場合、第2柱状部HRのシリコン膜40がベースボディ10に接触していないことが望ましい。
【0062】
(付記)
(1)
所定の導電膜上に設けられ、複数の絶縁層と複数の導電層が一層ずつ交互に積層された積層体と、
前記積層体の積層方向に当該積層体を貫通し、複数のメモリセルが形成される第1柱状部と、
前記積層体を前記積層方向に貫通し、当該積層体を複数のブロックに区分けする第1分離部と、
前記第1柱状部と前記第1分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体内において前記積層方向へ局所的に延びる第1支持柱と
を備える、半導体記憶装置。
(2)
前記所定の導電膜上に設けられ、前記積層体からそれぞれ異なる長さで延びる前記複数の導電層を含む階段部と当該階段部を覆う絶縁体部とを有する階段領域と、
前記階段部の複数の導電層の積層方向に前記階段領域を貫通する第2柱状部と、
前記積層方向に前記階段領域を貫通し、前記第1柱状部を複数のブロックに区分けする、前記第1分離部と連続した第2分離部と、
前記第2柱状部と前記第2分離部の間において、前記所定の導電膜の上面から前記積層体において前記積層方向へ局所的に延びる第2支持柱と
を更に備える、(1)に記載の半導体記憶装置。
(3)
前記第1支持柱は、前記第1分離部のうちの幅が最大となる部分よりも低い、(1)又は(2)に記載の半導体記憶装置。
(4)
前記第1支持柱は絶縁性材料で形成される、(1)から(3)のいずれかに記載の半導体記憶装置。
(5)
前記第1支持柱の前記第1分離部への接触が許容される、(4)に記載の半導体記憶装置。
(6)
前記第1柱状部と前記第1分離部の間に追加の前記第1支持柱を更に備える、(1)に記載の半導体記憶装置。
(7)
前記第2柱状部と前記第2分離部の間に追加の前記第2支持柱を更に備える、(2)に記載の半導体記憶装置。
(8)
所定の導電膜上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第1積層体を形成し、
前記第1積層体を前記所定の導電膜の上面まで貫通する第1支持柱を形成し、
前記第1積層体及び前記第1支持柱の上に、複数の絶縁層と複数の犠牲層を一層ずつ交互に積層して第2積層体を形成することにより、前記第1積層体及び前記第2積層体を含む積層体を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通する第1柱状部を形成し、
前記積層体を積層方向に貫通し、前記積層体を複数のブロックに区分けするスリットを形成し、
前記スリットを介して、前記犠牲層を導電層に置き換え、
前記スリットを絶縁膜と導電部で埋め込むことを含む、半導体記憶装置の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
1…半導体記憶装置、MA…メモリ領域、SA…階段領域、PA…周辺領域、SL…積層体、CL…第1柱状部、PP…分離部、PPI…絶縁膜、PPC…導電部、10…ベースボディ、11…絶縁層、12…導電層、MH…貫通孔、30…メモリ膜、40…シリコン膜、50…コア膜、CC…コンタクト、HR…第2柱状部、TS…テラス面、SAI…絶縁体、ST…スリット、SLL…下層部分、120…犠牲層、21…ホール、SP…支持柱、ASP…追加の支持柱、13…空隙。