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特許7532145画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240805BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240805BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B41J29/38 801
B41J29/38 204
G06F3/12 312
G06F3/12 339
G06F3/12 373
H04N1/00 127A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020135742
(22)【出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022032197
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 聡一朗
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-056761(JP,A)
【文献】特開2018-058312(JP,A)
【文献】特開2007-018123(JP,A)
【文献】特開2012-151781(JP,A)
【文献】特開2020-112976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0033444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーと通信する機能を有する画像処理装置であって、
媒体に印刷を実行する印刷手段と、
前記画像処理装置の動作履歴を示す動作ログを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶している前記動作ログを前記サーバーに送信する送信手段と、
前記送信手段による前記サーバーへの送信に成功した前記動作ログを前記記憶手段から削除する削除手段と、
前記サーバーと通信可能か否かを推定する推定処理を実行する推定手段を備え、
前記推定手段は、ユーザからの指示を受け付けたことに応じて開始される前記印刷手段を用いた印刷処理の実行中に前記サーバーと通信することなく、前記推定処理を実行し、
前記推定処理では、
前記画像処理装置にIPアドレスが割り当てられ、かつ、前記削除手段による前記動作ログの削除により前記記憶手段に動作ログが存在しない場合には、前記サーバーと通信できると推定され、
前記送信手段による送信が成功していない動作ログが前記記憶手段に存在する場合には、前記サーバーと通信できないと推定されることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
記ユーザからの指示として印刷ジョブの実行指示を受け付けてから、前記印刷処理の中で、当該印刷ジョブの1ページ目の印刷部による印刷が実行される前に、前記推定処理が実行され、
前記印刷ジョブが複数ページの印刷ジョブである場合は、さらに、前のページの印刷が終了してから次のページの印刷が実行される前に、前記推定処理が実行される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記推定処理では、さらに、前記画像処理装置にIPアドレスが割り当てられていない場合に、前記サーバーと通信できないと推定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
記記憶手段は、前記サーバーと通信できないと推定された状況で行われた印刷の処理数と、前記サーバーと通信できないと推定された状況で行われる印刷の上限処理数と、を更に記憶し、
前記印刷手段は、前記推定処理で前記サーバーと通信できないと推定され、かつ、前記処理数が前記上限処理数に達していない場合、印刷を実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記動作ログは、前記印刷手段における前記処理数と、消耗品の消費量とを含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記印刷処理の終了時または前記画像処理装置の起動時に前記サーバーとの通信処理を実行することで前記記憶手段に記憶している前記動作ログを送信することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
媒体に印刷を実行する印刷手段と、画像処理装置の動作履歴を示す動作ログを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶している前記動作ログをサーバーに送信する送信手段と、前記送信手段による前記サーバーへの送信に成功した前記動作ログを前記記憶手段から削除する削除手段と、前記サーバーと通信可能か否かを推定する推定処理を実行する推定手段と、を有した画像処理装置と、
接続機器にIPアドレスを割り当てる中継機器を経由しネットワークを介して前記画像処理装置と接続された前記サーバーと、を備えた画像処理システムであって、
前記推定手段は、ユーザからの指示を受け付けたことに応じて開始される前記印刷手段を用いた印刷処理の実行中に前記サーバーと通信することなく、前記推定処理を実行し、
前記推定処理では、
前記画像処理装置にIPアドレスが割り当てられ、かつ、前記削除手段による前記動作ログの削除により前記記憶手段に動作ログが存在しない場合に、前記サーバーと通信できると推定され、
前記送信手段による送信が成功していない動作ログが前記記憶手段に存在する場合には、前記サーバーと通信できないと推定されることを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
サーバーと通信する機能を有する画像処理装置の制御方法であって、
媒体に印刷を実行する印刷工程と、
前記画像処理装置の動作履歴を示す動作ログを記憶手段に記憶する記憶工程と、
前記記憶工程で記憶した前記動作ログを前記サーバーに信する送信工程と、
前記送信工程により前記サーバーへの送信に成功した前記動作ログを前記記憶手段から削除する削除工程と、
前記サーバーと通信可能か否かを推定する推定処理を実行する推定工程と、
を有し、
前記推定工程において、ユーザからの指示を受け付けたことに応じて開始される前記印刷工程における印刷処理の実行中に前記サーバーと通信することなく、前記推定処理を実行し、
前記推定処理では、
前記画像処理装置にIPアドレスが割り当てられ、かつ、前記削除工程における前記動作ログの削除により前記記憶手段に動作ログが存在しない場合には前記サーバーと通信できると推定され、
前記送信工程における送信が成功していない動作ログが前記記憶手段に存在する場合には前記サーバーと通信できないと推定されることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システムに関し、特に、画像処理装置とサーバーとの接続状況の判定を行う画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンタの記憶部が記憶している、サーバーと通信せずに印刷が可能な印刷上限枚数に関する情報と、サーバーとの通信によって得られる印刷許可情報と、のいずれか一方に基づいて印刷量を決定し印刷を実行することが記載されている。これによって、プリンタとサーバーとの通信速度が遅い場合でも、時間を要さずに印刷を実行可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-58312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、プリンタが印刷中にサーバーと通信することで印刷許可情報を取得しようとすると、ネットワークの回線状態やサーバーの状態によっては応答に時間がかかり、その結果、印刷速度が低下する虞がある。
【0005】
よって本発明は、処理速度の低下を抑制することができる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明の画像処理装置は、サーバーと通信する機能を有する画像処理装置であって、媒体に印刷を実行する印刷手段と、前記画像処理装置の動作履歴を示す動作ログを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶している前記動作ログを前記サーバーに送信する送信手段と、前記送信手段による前記サーバーへの送信に成功した前記動作ログを前記記憶手段から削除する削除手段と、前記サーバーと通信可能か否かを推定する推定処理を実行する推定手段を備え、前記推定手段は、ユーザからの指示を受け付けたことに応じて開始される前記印刷手段を用いた印刷処理の実行中に前記サーバーと通信することなく、前記推定処理を実行し、前記推定処理では、前記画像処理装置にIPアドレスが割り当てられ、かつ、前記削除手段による前記動作ログの削除により前記記憶手段に動作ログが存在しない場合には、前記サーバーと通信できると推定され、前記送信手段による送信が成功していない動作ログが前記記憶手段に存在する場合には、前記サーバーと通信できないと推定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理速度の低下を抑制することができる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像処理システムの構成を示した図である。
図2】中継機器と接続されたプリンタの画像処理システムの構成を示す図である。
図3】不揮発性メモリの構成を示す図である。
図4】プリンタにおける印刷処理を示したフローチャートである。
図5図4のS402における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明を適用可能な画像処理システム600の構成を示した図である。画像処理システム600は、プリンタ100とネットワーク400とを接続する中継機器300と、プリンタ100の動作ログを収集するサーバー500とを備えている。プリンタ100を、中継機器300を経由してネットワーク400に接続すると、プリンタ100は、サーバー500に登録される。プリンタ100がサーバー500に登録されることによって、プリンタ100とサーバー500とは相互通信可能な状態となる。中継機器300は、接続機器にIPアドレスを自動的に割り当てる。よってプリンタ100は、中継機器300と接続されることで自動的にIPアドレスが割り当てられる。中継機器300は、例えば無線LANルーターなどの機器などが挙げられる。また、中継機器300から割り当ているIPアドレスには、有効期限が設定されている。有効期限を過ぎたIPアドレスは、プリンタ100から解放されることになる。有効期限内にプリンタ100からIPアドレスの更新要求があると、中継機器300は、プリンタ100に割り当てているIPアドレスの有効期限を更新する。プリンタ100は、起動時や印刷実行時の各動作を動作ログとして記憶する。記憶された動作ログは、中継機器300とネットワーク400を介してサーバー500に送信される。送信されなかった動作ログは未送信の動作ログとして記憶される。送信が完了した動作ログは、プリンタ100内から削除される。なお、サーバー500は、例えば、プリンタ100等から送信される動作ログに基づいて消耗品の自動配送処理を実行することができる。例えば、サーバー500が、動作ログに基づいてインク残量が所定値よりも少ないと判定した場合、インクを自動的にプリンタ100のユーザーに送信しても良い。消耗品は、インクに限らず、用紙でも良い。
【0011】
図2は、中継機器300と接続されたプリンタ100の構成を示す図である。プリンタ100は、装置全体の制御を行うメインボード110、給紙ユニット101、排紙ユニット102、操作パネル103および無線LANユニット104を備えている。メインボード110に配置されるマイクロプロセッサ形態のCPU111は、内部バス112を介して接続されているROM形態のプログラムメモリ113に格納されている制御プログラムと、RAM形態のデータメモリ114の内容とに従って動作する。CPU111は、操作部制御回路115を制御することによって操作パネル103にプリンタ100の状態の表示や機能選択メニューの表示を行ったり、ユーザーからの操作を受け付けたりすることができる。
【0012】
CPU111は、無線LAN通信制御部116を通じて無線LANユニット104を制御することで、中継機器300と通信ネットワーク400を介してサーバーと通信することができる。CPU111は、給紙ユニット制御回路117を制御して給紙ユニット101から紙を給紙し、印刷部118に搬送する。CPU111は、印刷部118を制御して給紙ユニット101から送られてきた紙に画像を印刷する。CPU111は、排紙ユニット制御回路119を制御して印刷部118から紙を取り込み排紙ユニット102に送る。
排紙ユニット102には排紙センサ120が搭載されており、排紙中の紙の状態を検知する。不揮発性メモリ121は、フラッシュメモリ等で構成され、電源を切った後でも保存しておきたいデータを格納する。電源部122は、交流商用電源123と接続され、プリンタ100に電源を供給する。
【0013】
図3は、不揮発性メモリ121の構成を示す図である。不揮発性メモリ121には、オフライン印刷枚数(処理数)206と、オフライン印刷上限枚数(上限処理数)201と、動作ログ203とが格納されている。オフライン印刷枚数206には、プリンタ100がサーバー500と通信できない状態で印刷した枚数が格納されている。オフライン印刷上限枚数201には、プリンタ100がサーバー500と通信できない状態で印刷できる上限枚数が格納されている。動作ログ203は、プリンタ100の動作履歴である。例えば、動作ログ203には、処理対象となる印刷ジョブで使用した印刷枚数204、その印刷ジョブの種類(メンテナンスジョブまたは通常の印刷ジョブ)、インク消費量205などの消耗品の消費量が含まれる。
【0014】
図4は、プリンタ100における印刷処理を示したフローチャートである。以下このフローチャートを用いて本実施形態における印刷処理を説明する。図4で示される一連の処理は、プリンタ100のCPU111がプログラムメモリ113に記憶されているプログラムコードをデータメモリ114に展開し実行することにより行われる。あるいはまた、図4におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する。
【0015】
クライアント端末200においてユーザーが印刷処理の開始を指示すると、CPU111はS401で、クライアント端末200から送信されたジョブを受け取る。その後、CPU111はS402で、プリンタ100のネットワーク接続状態の判定を行う。なお、このS402における判定処理の詳細については、後述する図5のフローチャートで説明する。S402における判定でオンライン判定(Y)と判定された場合、CPU111の処理はS403に移行し、オフライン判定(N)である場合S406に移行する。
【0016】
S403に移行した場合、CPU111は、印刷部118で1ページの印刷を行う。即ち、オンライン判定されると、S401で開始した所定の処理(印刷処理)の実行が許可され、印刷処理が行われる。その後、CPU111はS404で、印刷が予定されている次のページがあるか否かを判定する。次のページがある場合(Y)、CPU111の処理はS402に戻って処理を繰り返す。次のページがない場合(N)、CPU111の処理はS405に移行する。なお、S402においてYesと判定された場合に実行されるS403の印刷処理はオンライン状態で印刷が行われている。そのため、S402においてYesと判定された場合においては、後述するS406の判定処理も、S407のオフライン印刷枚数206の加算処理も行われない。 S402からS406に移行した場合、CPU111は、不揮発性メモリ121を参照してオフラインにおける印刷枚数が上限に達しているか否かを判定する。上限に達していない場合(N)、S407に移行して不揮発性メモリ121内のオフライン印刷枚数206を1加算する。その後、CPU111はS403に移行する。上限に達している場合(Y)、S405に移行する。
【0017】
S405に移行した場合は、動作ログ203をサーバー500に送る送信処理を行って印刷処理を終了する。動作ログ203のサーバー500への送信が成功した場合、不揮発性メモリ121から動作ログ203が削除される。一方、プリンタ100がオフラインで動作ログ203の送信が失敗した場合、動作ログ203の情報は未送信の動作ログ203としてプリンタ100に残る。S405において動画ログを送信する場合、CPU111は、サーバー500に対して送信リクエストを送信する。ここでCPU111は、サーバー500から送信リクエストに対するレスポンスを受信した場合、動作ログ203を送信する。一方、CPU111が、送信リクエストに対するレスポンスをサーバー500から受信できない場合、動作ログ203を不揮発性メモリ121に残す。また、S405の処理は、別のタイミングで行われても構わない。例えば、S404においてNoと判定された場合、プリンタ100の状態は、印刷状態からアイドル状態へ遷移する。このアイドル状態においてCPU111が、サーバー500からレスポンスを受信できなかった場合、動作ログ203が不揮発性メモリ121に残る。そして、例えば、翌日に印刷装置の起動時に、S405の処理が単独で実行されても良い。ここでCPU111が、送信リクエストに対するレスポンスをサーバー500から受信できた場合、不揮発性メモリ121に残っていた動作ログ203を送信することとなる。つまり、サーバーとの通信処理を実行することでサーバー通信可能か否かの通信判定処理は、印刷処理の終了時またはプリンタ100の起動時に行われる。
【0018】
なお、プリンタ100は、例えば、プリンタ100において消耗品の自動配送モードが有効化された場合(または動作ログの送信が許可された場合)、図4の処理を行っても良い。逆に、自動配送モードが有効化されていないのであれば、CPU111は、S401、S403、S405のみを実行しても良い。また、自動配送モードの有効と無効の切り替えは、プリンタ100の操作パネルを使って行われても良いし、サーバー500からの指示で切り替えられても良い。
【0019】
本実施形態では、プリンタ100のネットワーク接続状態を判定するにあたり、プリンタ100と中継機器300との接続状態および未送信の動作ログ203の有無を確認して接続状態を推定することで、プリンタ100がオンラインか否かを判定する。プリンタ100と中継機器300との接続状態は、例えば、プリンタ100にIPアドレスが割り当てられているか否かで判定することができる。
【0020】
つまり、プリンタ100にIPアドレスが割り当てられていれば、プリンタ100は中継機器300と接続されており、中継機器300を介してサーバー500とも接続されていると推定することができる。さらに、未送信の動作ログ203が無ければ、動作ログ203はサーバー500に送られており、プリンタ100はサーバー500と接続されていると推定することができる。このように本実施形態では、プリンタ100がサーバー500との通信を行うことなく、プリンタ100とサーバー500との接続状態がオンラインか否かを判定することができる。以下、プリンタ100のネットワーク接続状態の判定方法について説明する。
【0021】
図5は、図4のS402における処理を示すフローチャートである。なお、S402(図5)は、印刷処理の実行中にサーバー500と通信可能か否かを判定するための処理である。以下、このフローチャートを用いて本実施形態におけるネットワーク接続状態の判定処理について説明する。
【0022】
ネットワーク接続状態の判定処理が開始されると、CPU111はS501で、無線LANユニット104が中継機器300と接続され、プリンタ100にIPアドレスが割り当てられているか否か判定する。プリンタ100にIPアドレスが割り当てられていれば(Y)、CPU111の処理はS502に移行して、不揮発性メモリ121内にサーバー500に送信していない動作ログ203が存在するか否か判定する。動作ログ203が存在しない場合(Y)、CPU111はS503でネットワーク接続状態はオンラインであると判定して処理を終了する。
【0023】
S501でプリンタ100にIPアドレスが割り当てられていない場合(N)、またはS502で未送信の動作ログ203が存在する場合(N)、CPU111の処理はS504に移行して、ネットワーク接続状態はオフラインであると判定して処理を終了する。なお、本実施形態において、オフラインとはサーバー500と通信できない状況に相当し、オンラインとはサーバー500と通信できる状況に相当する。
【0024】
このように、プリンタ100と中継機器300との接続状態および未送信の動作ログ203の有無を確認することで、プリンタ100とサーバー500との接続状態がオンラインか否かを判定する。なお、S501においてIPアドレスを使って判定する処理は一例であり、別の処理で判定されても良い。例えば、プリンタ100にService Set Identifier(SSID)が設定されているか否かによってS501の判定が行われても良い。
【0025】
ここでS402(つまり、図5)の判定処理において、サーバー500からのレスポンスを使わずにプリンタ100に保持された情報のみを使って判定する理由について説明する。S402の判定は、例えば、1ページ目の印刷処理が終了してから2ページ目の印刷処理が行われる間に行われる。このようなタイミングで送信リクエストに対するレスポンスを使った判定処理が行われる場合、CPU111は、サーバー500からレスポンスを受信するまで2ページ目を印刷できなくなり、印刷処理効率が低下するおそれがある。一方、S402において図5のような判定処理を行うことで、サーバー500との通信なしで判定できるため、上述した課題の発生を軽減できる。
これによって、処理速度の低下を抑制することができる画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、プリンタを例に説明したが、本発明はプリンタに限定するものでなく、画像を読取る読取り装置等の所定の画像処理を行う装置に適用可能である。
【0027】
(その他の実施形態)
以下、本発明のその他の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0028】
上記実施形態では、プリンタ100の印刷動作中にサーバー500との接続状態を判定することを説明した。しかし、プリンタ100の起動時や待機時の接続状態確認に用いてもよい。
【0029】
また、最後に動作ログの送信に成功した時刻を不揮発性メモリ121に記憶しておき、送信成功時刻から所定の時刻経過まではオンラインであると判定する条件を用いて接続状態の判定を行ってもよい。
【0030】
また、印刷枚数やインク消費量等の消耗品の消費量によって利用料を決めてサーバーがサービスを管理する画像処理システムに本発明を適用してもよい。
【0031】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0032】
100 プリンタ
104 無線LANユニット
111 CPU
200 クライアント端末
203 動作ログ
300 中継機器
400 ネットワーク
500 サーバー
600 画像処理システム
図1
図2
図3
図4
図5