(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240805BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20240805BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240805BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G15/16
B65H5/36
G03G15/00 455
B65H5/06 D
(21)【出願番号】P 2020141383
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】手塚 峻太郎
(72)【発明者】
【氏名】山縣 正典
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-244446(JP,A)
【文献】特開2006-215134(JP,A)
【文献】特開2016-050117(JP,A)
【文献】特開2017-078788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
B65H 5/36
G03G 15/00
B65H 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に担持された前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記像担持体との間に転写部を形成し、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記転写部においてシートに転写する転写部材と、
前記転写部に向けてシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部と前記転写部との間でシートが通過する搬送路に対して前記像担持体と同じ側に配置され、前記搬送部によって搬送されるシートを前記転写部に向けて案内するガイド部材と、
前記ガイド部材に対向するように配置されると共に、前記搬送路に突出した第1位置と、前記第1位置よりも前記ガイド部材から離れた第2位置と、の間で移動可能な回転体であって、前記搬送部によって搬送されるシートに対して従動回転する回転体と、
前記回転体を前記第1位置に向けて付勢する付勢部と、を備え、
前記付勢部は、第1の剛性を有する第1シートが前記搬送部及び前記転写部に跨って搬送されている際に、前記回転体が前記第1位置に位置し、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する第2シートが前記搬送部及び前記転写部に跨って搬送されている際に、前記回転体が前記第2シートに押圧されて前記第2位置に位置するように、付勢力が設定さ
れ、
ガイド部材は、シート搬送方向において前記回転体よりも下流に位置しシートに接触可能な接触部を有し、
前記回転体は、前記第1位置において、前記第1シートが前記接触部に接触するように前記第1シートを案内する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材及び前記接触部は、それぞれ第1ガイド部材及び第1接触部であり、
前記第1ガイド部材に対向するように配置され、前記搬送路に対して前記回転体と同じ側に配置される第2ガイド部材を更に備え、
前記第2ガイド部材は、前記シート搬送方向において前記第1接触部と前記転写部との間に配置され、シートに接触可能な第2接触部を有し、
前記第1シートは、前記第1位置に位置する前記回転体、前記第1接触部及び前記第2接触部によって、搬送される際の姿勢が規制される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2シートは、前記搬送部及び前記転写部に跨って搬送されている際に、前記第2位置に位置する前記回転体及び前記第2接触部に接触すると共に、前記第1接触部に接触しない、
ことを特徴とする請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
回動軸を中心に回動可能に支持されると共に、前記回転体を回転可能に支持する支持部材を更に備え、
前記回動軸は、シート搬送方向において前記回転体よりも上流に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1シートは、第1の坪量を有し、
前記第2シートは、前記第1の坪量よりも大きい第2の坪量を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写ニップにおいて像担持体からシートにトナー像を転写する転写ローラと、転写ニップに向けてシートを搬送するレジストローラ対と、を有するプリンタが提案されている(特許文献1参照)。レジストローラ対と転写ニップとの間には、シートを案内する上搬送ガイド及び下搬送ガイドが設けられており、上搬送ガイドには、ガイドコロ及び補助ガイド部が設けられている。レジストローラを通過したシートの先端部は、ガイドコロに沿って搬送され、シートの後端部は、ガイドコロを通過した後、補助ガイド部に沿って搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特にシート搬送速度や画像形成速度が速いプリンタにおいては、転写ニップの手前でシートのバタつきや振動が生じた際に、シートに転写される画像に乱れが生じてしまうことがあった。
【0005】
上記特許文献1に記載のプリンタは、ガイドコロ及び補助ガイド部が上搬送ガイドのシート搬送方向における上流端部に設けられているため、ガイドコロ及び補助ガイド部と、転写ニップと、の間に距離があった。このため、転写ニップ近傍でのシートの挙動を抑えることができず、シートのバタつきが発生し、画像不良が発生してしまう。また、シートの拘束力を高めてシートのバタつきを抑えようとすると、搬送抵抗が大きくなって搬送不良を起こしてしまうという課題があり、これらシートの拘束力と搬送抵抗は、シートの剛性によって適切な値が異なる。
【0006】
そこで、本発明は、シートの剛性に拘わらず画像不良及び搬送不良を低減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像形成装置において、静電潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に担持された前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、前記像担持体との間に転写部を形成し、前記像担持体に担持された前記トナー像を前記転写部においてシートに転写する転写部材と、前記転写部に向けてシートを搬送する搬送部と、前記搬送部と前記転写部との間でシートが通過する搬送路に対して前記像担持体と同じ側に配置され、前記搬送部によって搬送されるシートを前記転写部に向けて案内するガイド部材と、前記ガイド部材に対向するように配置されると共に、前記搬送路に突出した第1位置と、前記第1位置よりも前記ガイド部材から離れた第2位置と、の間で移動可能な回転体であって、前記搬送部によって搬送されるシートに対して従動回転する回転体と、前記回転体を前記第1位置に向けて付勢する付勢部と、を備え、前記付勢部は、第1の剛性を有する第1シートが前記搬送部及び前記転写部に跨って搬送されている際に、前記回転体が前記第1位置に位置し、前記第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する第2シートが前記搬送部及び前記転写部に跨って搬送されている際に、前記回転体が前記第2シートに押圧されて前記第2位置に位置するように、付勢力が設定され、ガイド部材は、シート搬送方向において前記回転体よりも下流に位置しシートに接触可能な接触部を有し、前記回転体は、前記第1位置において、前記第1シートが前記接触部に接触するように前記第1シートを案内する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、シートの剛性に拘わらず画像不良及び搬送不良を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
【
図4】第1の剛性を有する第1シートが搬送される際のコロ部材の動作を示す断面図。
【
図5】第2の剛性を有する第2シートが搬送される際のコロ部材の動作を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔全体構成〕
画像形成装置としてのプリンタ1は、モノクロのトナー像を形成する電子写真方式のレーザビームプリンタである。なお、以下の説明において、シートSとは、プリンタ1によって画像が形成されるものであって、例えば、紙、OHTシート等が含まれ、コート紙、薄紙、普通紙及び厚紙等の複数の種類のシートも含まれる。
【0011】
プリンタ1は、
図1に示すように、積載されたシートを給送するシート給送部40と、シート給送部40によって給送されたシートを搬送すると共にシートに画像を形成する画像形成部50と、を有している。また、プリンタ1は、シートに転写された画像を定着させる定着器9と、シートを排出トレイ11に排出可能な排出ローラ対10と、を有している。
【0012】
プリンタ1に画像形成ジョブが出力されると、プリンタ1に接続された外部のコンピュータ等から入力された画像情報に基づいて、画像形成部50による画像形成プロセスが開始される。画像形成部50は、後述する転写前ガイド機構20と、レーザスキャナ7と、感光ドラム5と、帯電ローラ5a(
図2参照)と、現像ローラ8と、転写ローラ6と、を有している。感光ドラム5、帯電ローラ5a及び現像ローラ8は、一体となって交換できるようにカートリッジ化されている。感光ドラム5及び転写ローラ6は、転写部としての転写ニップT1を形成している。
【0013】
レーザスキャナ7は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム5に向けてレーザ光を照射する。このとき、像担持体としての感光ドラム5は、帯電ローラ5aにより予め帯電されており、レーザ光が照射されることで感光ドラム5上に静電潜像が形成される。その後、現像部としての現像ローラ8によりこの静電潜像が現像され、感光ドラム5上にモノクロのトナー像が形成される。
【0014】
上述の画像形成プロセスに並行して、シート給送部40からシートSが給送される。シート給送部40は、プリンタ1の装置本体1Aに対して引出し及び装着可能なカセット2と、給送ローラ41と、分離ローラ対42と、を有している。カセット2に収容されたシートSは、給送ローラ41によって給送され、給送ローラ41によって給送されたシートSは、分離ローラ対42によって1枚ずつに分離される。
【0015】
なお、カセット2には、シートを支持可能かつ昇降可能な中板を設けてもよく、例えば画像形成ジョブが入力されることによって中板を上昇させ、中板に支持されたシートと給送ローラ41とを接触させてもよい。また、分離ローラ対42は、ローラ対の一方がパッド等でもよく、トルクリミッタ方式やリタードローラ方式等を適用できる。
【0016】
分離ローラ対42によって1枚ずつに分離されたシートSは、搬送部としての搬送ローラ対4によって搬送される。なお、シートSの斜行を補正可能なレジストレーションローラ対から構成されてもよい。シートSは、停止状態のレジストレーションローラ対のニップに突き当たることで斜行が補正される。レジストレーションローラ対は、転写ニップT1におけるトナー像の転写タイミングに合わせて、シートSを搬送する。
【0017】
搬送ローラ対4によって搬送されたシートSは、転写前ガイド機構20によって転写ニップT1に案内される。シートSには、転写部材としての転写ローラ6に印加された静電的負荷バイアスによって、転写ニップT1において感光ドラム5上のトナー像が転写される。感光ドラム5上に残った残トナーは、不図示のクリーニングブレードによって回収される。トナー像が転写されたシートSは、定着器9によって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着器9を通過したシートSは、排出ローラ対10によって排出トレイ11に排出される。
【0018】
[転写前ガイド機構]
次に、
図2及び
図3を用いて、転写前ガイド機構20の構成について説明する。転写前ガイド機構20は、
図2に示すように、第1ガイド部材21と、第2ガイド部材22と、第3ガイド部材28と、コロ部材23と、支持部材24と、加圧バネ25と、を有する。
【0019】
第2ガイド部材22及び第3ガイド部材28は、ガイド部材としての第1ガイド部材21に対向するように配置され、これら第1ガイド部材21、第2ガイド部材22及び第3ガイド部材28によって、搬送路26が形成される。搬送ローラ対4と転写ニップT1との間において、シートSは搬送路26を通過する。
【0020】
第1ガイド部材21は、搬送路26に対して感光ドラム5と同じ側に配置され、第2ガイド部材22、第3ガイド部材28、コロ部材23、支持部材24及び加圧バネ25は、搬送路26に対して転写ローラ6と同じ側に配置されている。回転体としてのコロ部材23は、第1ガイド部材21に対向するように配置されると共に、シート搬送方向CDにおいて第2ガイド部材22と第3ガイド部材28との継ぎ目部分近傍に配置されている。コロ部材23は、搬送ローラ対4によって搬送されるシートSに対して従動回転する。第1ガイド部材21は、コロ部材23から離れる方向に湾曲した湾曲部21bを有しており、第2ガイド部材22は、シートを転写ニップT1よりもやや感光ドラム5寄りに案内する。
【0021】
このため、搬送路26は、緩やかなS字状に形成され、
図2において破線で示すシートSは、感光ドラム5に沿うような角度で転写ニップT1に進入する。よって、シートSが感光ドラム5に突入する際の衝撃を抑制し、シートSの先端によって感光ドラム5にダメージが発生することを低減できる。また、感光ドラム5からシートSへトナーを転写する際のトナーの散りを低減できる。
【0022】
第1ガイド部材21のシート搬送方向CDにおける下流端部には、シートSに接触可能な接触部21aが設けられており、第2ガイド部材22のシート搬送方向CDにおける下流端部には、シートSに接触可能な接触部22aが設けられている。第1接触部としての接触部21aは、シート搬送方向CDにおいてコロ部材23よりも下流に位置し、第2接触部としての接触部22aは、シート搬送方向CDにおいて接触部21aと転写ニップT1との間に配置されている。
【0023】
支持部材24は、回動軸24aを中心に回動可能に支持されており、コロ部材23は、支持部材24の先端部に回転可能に支持されている。回動軸24aは、シート搬送方向CDにおいてコロ部材23よりも上流に配置されている。コロ部材23は、支持部材24が回動することで第1位置(
図2及び
図4に示す位置)と第2位置(
図5に示す位置)との間で移動可能に設けられている。コロ部材23は、第1位置において搬送路26に突出しており、第2位置において第1位置よりも第1ガイド部材21から離れている。
【0024】
コロ部材23は、支持部材24が加圧バネ25に付勢されることによって、第1位置に向けて付勢されており、支持部材24の回動範囲は、
図4に示すように、第1規制部材27a及び第2規制部材27bによって規制されている。コロ部材23が第1位置に位置する際には、支持部材24は第1規制部材27aに当接しており、コロ部材23が第2位置に位置する際には、支持部材24は第2規制部材27bに当接している。付勢部としての加圧バネ25は、圧縮コイルバネから構成されている。
【0025】
図3に示すように、コロ部材23は、シート搬送方向CDに直交する幅方向Wにおいて複数並設されている。第3ガイド部材28は、シートSを複数のコロ部材23に向けて案内する複数のリブ28aが設けられている。第2ガイド部材22は、複数のコロ部材23が搬送路26へ突出するための複数の開口部22bを有している。なお、複数のコロ部材23は、1つの支持部材24に支持されてもよく、コロ部材23の数と同じ数だけ支持部材24を設けてもよい。
【0026】
[コロ部材の動作]
次に、剛性の異なる2つのシートが搬送される際の、コロ部材23の動作について説明する。
図4は、第1の剛性を有する第1シートS1が搬送される際のコロ部材23の動作を示す断面図である。
図5は、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する第2シートS2が搬送される際のコロ部材23の動作を示す断面図である。
【0027】
第1シートS1は、例えば薄紙や普通紙が含まれ、薄紙は、例えば52~63g/m2の坪量を有し、普通紙は、例えば64~105g/m2の坪量を有する。すなわち、第1シートS1は、第1の坪量を有する。第2シートS2は、例えば厚紙やコート紙が含まれ、厚紙は、例えば106~300g/m2の坪量を有する。すなわち、第2シートS2は、第1の坪量よりも大きい第2の坪量を有する。
【0028】
第1シートS1は、
図4に示すように、搬送ローラ対4によって搬送され、搬送路26を通って転写ニップT1に案内される。この時、コロ部材23は、搬送ローラ対4及び転写ニップT1に跨って搬送されている第1シートS1に接触しており、第1ガイド部材21に沿って湾曲した第1シートS1の反力(コシ)によって押圧される。しかし、第1シートS1は、比較的剛性が小さいため、第1シートS1の上記反力は、加圧バネ25の付勢力よりも小さい。
【0029】
よって、第1シートS1は、加圧バネ25の付勢力に打ち勝ってコロ部材23を第1位置から第2位置へ向けて押し込むことができず、コロ部材23は、第1位置に位置している。第1位置に位置するコロ部材23は、第1シートS1が第1ガイド部材21の接触部21aに接触するように、第1シートS1を案内している。また、第1シートS1は、第2ガイド部材22の接触部22aにも接触している。
【0030】
すなわち、第1シートS1は、第1位置に位置するコロ部材23及び接触部21a,22aによって、第1シートS1の厚み方向において挟持され、搬送される際の姿勢が規制される。これにより、第1シートS1のバタつきや振動が抑えられて安定したシート搬送が可能となり、画像不良を低減できる。また、第1シートS1は、比較的剛性が低いため、第1位置に位置するコロ部材23及び接触部21a,22aによって拘束されても、搬送抵抗が過大にはならず、搬送不良は低減できている。
【0031】
一方で、第1シートS1に比して剛性の高い第2シートS2は、
図5に示すように、搬送ローラ対4によって搬送され、搬送路26を通って転写ニップT1に案内される。この時、コロ部材23は、搬送ローラ対4及び転写ニップT1に跨って搬送されている第2シートS2に接触しており、第1ガイド部材21に沿って湾曲した第2シートS2の反力(コシ)によって押圧される。第2シートS2は、比較的剛性が高いため、第2シートS2の上記反力は、加圧バネ25の付勢力よりも大きい。
【0032】
よって、第2シートS2は、加圧バネ25の付勢力に打ち勝ってコロ部材23を第1位置から第2位置に押圧し、コロ部材23は、第2規制部材27bに突き当たって第2位置に位置している。ところで、コロ部材23は、コロ部材23よりもシート搬送方向CDにおいて上流に位置する回動軸24aを中心に第1位置から第2位置に揺動する。このため、第2シートS2から加わる力でコロ部材23が回転する方向と、コロ部材23が回動軸24aを中心に揺動する方向と、が一致し、スムーズにコロ部材23を第2位置へ移動させることができる。
【0033】
搬送ローラ対4及び転写ニップT1に跨って搬送されている第2シートS2は、第2位置に位置するコロ部材23及び第2ガイド部材22の接触部22aに接触するが、第1ガイド部材21の接触部21aには接触しない。
【0034】
すなわち、第2シートS2は、第1シートS1のように、コロ部材23及び接触部21a,22aによって、第2シートS2の厚み方向において挟持されない。比較的剛性が高い第2シートS2は、一般的に第1シートS1よりもバタつきが発生し難いため、コロ部材23及び接触部21a,22aによって搬送される際の姿勢が規制されなくとも、画像不良の発生は低減できている。
【0035】
また、第2シートS2は、自身の反力によってコロ部材23を第2位置に押圧するため、第2シートS2の湾曲が少なくなると共に、第1ガイド部材21の接触部21aとは摺擦しない。このため、第2シートS2を搬送する際の搬送抵抗を低減でき、搬送抵抗の増大に起因する搬送不良を低減できる。また、コロ部材23は、第1シートS1及び第2シートS2に対して従動回転するので、シートがガイド等の固定部材と摺擦する場合に比して、シートの搬送抵抗を更に低減することができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、加圧バネ25の付勢力を、シートSの剛性に応じてコロ部材23の位置が変化するように設定した。具体的には、第1の剛性を有する第1シートS1が搬送される際には、コロ部材23は第1位置に位置し、第1の剛性よりも大きい第2の剛性を有する第2シートS2が搬送される際には、コロ部材23は第2シートS2の反力によって第2位置に位置する。
【0037】
このように加圧バネ25の付勢力を決定することで、シートの剛性に拘わらず、シートのバタつきを抑えると共に搬送不良を低減できるため、画像不良及び搬送不良を低減できる。また、支持部材24の回動軸24aがシート搬送方向CDにおいてコロ部材23よりも上流に配置されているので、第2シートS2によってコロ部材23が押圧される際に、スムーズにコロ部材23を第2位置へ移動させることができる。
【0038】
<その他の実施形態>
上述した実施の形態では、コロ部材23の第2位置は、支持部材24が第2規制部材27bに突き当たることで規定されていたが、これに限定されない。例えば、第2規制部材27bを省いてもよい。
【0039】
また、
図5に示すように、第2シートS2が搬送される際には、コロ部材23は、支持部材24が第2規制部材27bに突き当たる第2位置に位置していたが、これに限定されない。例えば、第2シートS2が搬送される際に、支持部材24は、第1規制部材27a及び第2規制部材27bの両方に当接しない位置に位置してもよい。すなわち、加圧バネ25の付勢力は、第1シートS1の反力によってはコロ部材23が第1位置から移動せず、第2シートS2の反力によってはコロ部材23が第1位置から移動するように設定されていればよい。
【0040】
また、上述した実施の形態では、搬送ローラ対4及び転写ニップT1に跨って搬送されている第2シートS2は、第1ガイド部材21の接触部21aに接触していないが、これに限定されない。例えば、第2シートS2は、コロ部材23及び接触部21a,22aによって強く拘束されなければ、接触部21aに対して接触してもよい。
【0041】
また、上述した実施の形態では、支持部材24の回動軸24aが、シート搬送方向CDにおいてコロ部材23よりも上流に配置されているが、コロ部材23よりも下流に配置されていてもよい。
【0042】
また、上述した実施の形態では、コロ部材23は、円筒形状のローラによって構成されていたが、これに限定されない。例えば、コロ部材23は、球やベルトによって構成されてもよい。
【0043】
また、上述した実施の形態では、加圧バネ25に圧縮コイルバネを用いているが、これに限定されない。例えば、加圧バネ25は、ねじりコイルバネや板バネ等の他の弾性部材を適用してもよい。
【0044】
また、上述した実施の形態では、感光ドラム5及び転写ローラ6によって転写ニップT1が形成されていたが、これに限定されない。例えば、転写ローラ6に代えて、コロナ帯電器を適用してもよく、この場合、転写ニップT1は形成されず、転写ローラ6とコロナ帯電器によってシートが転写される部分を転写部とする。
【符号の説明】
【0045】
4:搬送部(搬送ローラ対)/5:像担持体(感光ドラム)/6:転写部材(転写ローラ)/8:現像部(現像ローラ)/21:ガイド部材、第1ガイド部材/21a:接触部、第1接触部/22:第2ガイド部材/22a:第2接触部/23:回転体(コロ部材)/24:支持部材/24a:回動軸/25:付勢部(加圧バネ)/26:搬送路/CD:シート搬送方向/S1:第1シート/S2:第2シート/T1:転写部(転写ニップ)