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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】白色トナー及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20240805BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20240805BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240805BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240805BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240805BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/09
G03G9/087 331
G03G9/097 368
G03G15/20 505
G03G15/01 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020148561
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042895
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】越智 紅一郎
(72)【発明者】
【氏名】井田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】千本 裕也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 克之
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-341562(JP,A)
【文献】特開2017-173411(JP,A)
【文献】特開2003-255606(JP,A)
【文献】特開2018-049182(JP,A)
【文献】特開2011-237792(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08ー9/097
G03G 15/20
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂L、樹脂H、及び白色顔料を含有する白色トナー粒子を有する白色トナーであって、
該樹脂Hと該樹脂Lの1/2軟化温度をそれぞれ、TH(℃)、TL(℃)としたときに
TH-TL≧40
であり、
該白色トナー粒子の断面観察において、
(i)白色トナー粒子の断面が、マトリクスにドメインが分散したマトリクス-ドメイン構造を有し、
(ii)該マトリクスが、該樹脂Lを有し、
(iii)該ドメインが、平均0個以上1個以下(但し、平均0個である場合を除く)の該白色顔料と、該白色顔料の表面に形成された該樹脂Hを含有する被覆層とを有し、かつ
(iv)該被覆層の平均膜厚が、100nm以上であり、
該白色トナー粒子中における該白色顔料の含有量が、該白色トナー粒子の全体積に対して、15.0体積%以上25.0体積%以下であり、
走査型プローブ顕微鏡により撮影された該白色トナー粒子の断面観察において、該白色顔料の断面の基準点から該白色顔料の表面に向かって5°おきに72等分割する直線を引いたとき(但し、該基準点は、該白色トナー粒子の該断面の最大径の中点である)、
該直線上における該白色顔料の表面から該樹脂Hの被覆層表面まで測定した該樹脂Hを含む被覆層の厚さの変動係数が、20%以下である、ことを特徴とする白色トナー。
【請求項2】
前記TLが、120℃以下である請求項1に記載の白色トナー。
【請求項3】
前記THが、130℃以上である請求項1又は2に記載の白色トナー。
【請求項4】
前記白色顔料の体積平均粒径が、200nm以上300nm以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の白色トナー。
【請求項5】
前記白色顔料が、酸化チタンである請求項1~4のいずれか1項に記載の白色トナー。
【請求項6】
転写材上に形成された未定着白色トナー画像を加熱して、転写材に定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該未定着白色トナー画像が、請求項1~のいずれか1項に記載の白色トナーを含み、
該定着工程における、定着温度をT(℃)としたとき、該定着温度T(℃)と前記樹脂Hの1/2軟化温度TH(℃)とが、
T ≦ TH-10
を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法において使用する白色トナー及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンターなどの画像形成装置の発達に伴い、多彩なメディアに対応できるトナーが求められている。その中、透明トナーや白色トナーのような特色トナーを用いて高付加価値な印字物を得る技術が開発されている。
白色トナーは、色紙や透明フィルムへ白色の画像を形成するために重要であり、高い隠蔽性を達成するために、例えば酸化チタンのような高屈折率の材料を用いた白色トナーが開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-56514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、白色トナーを用いて白色の画像を形成し、十分な白色を表現するためには、下地の色を隠蔽し、認識できなくすることが好ましい。そのような画像の隠蔽性は、定着後のトナー画像膜中(以下、単に「画像中」ともいう。)で光が散乱することで発現するため、顔料自体が無色であり、且つ結着樹脂との屈折率の差が大きいこと、すなわち屈折率の高い材料が求められる。また、白色トナーにおいては、十分な隠蔽性を発現するため、上記のような白色顔料を他色のトナーに比較して多量に、且つ分散性良く白色トナー中に含むことが好ましい。しかしながら、白色トナーをメディア上に定着するとき、バインダー樹脂が熱により変形し、結果的に、定着時において、画像中における白色顔料の分散状態が、変化する場合がある。このとき、白色顔料が互いに隣接すると、光の散乱効率が低下し、白色度が低下してしまう課題があった。
【0005】
一方で、熱により変形しにくい樹脂を用いると、低温定着性が悪化してしまう課題があった。また、白色度を上げるためには白色トナー中の白色顔料の量を増やすことが考えられるが、白色顔料は他の白色トナー構成材料と比較して低抵抗であるため、白色トナーの帯電維持性が悪化してしまう課題があった。
このような問題に対し、本発明の目的は、白色度、低温定着性及び帯電維持性に優れた白色トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意検討した結果、以下の要件を具備することで白色トナーの定着時にも白色顔料が互いに近接せずに存在し、白色度、低温定着性及び帯電維持性を確保できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明に係る白色トナーは、
樹脂L、樹脂H、及び白色顔料を含有する白色トナー粒子を有する白色トナーであって、
該樹脂Hと該樹脂Lの1/2軟化温度をそれぞれ、TH(℃)、TL(℃)としたときに
TH-TL≧40
であり、
該白色トナー粒子の断面観察において、
(i)トナー粒子の断面が、マトリクスにドメインが分散したマトリクス-ドメイン構造を有し、
(ii)該マトリクスが、該樹脂Lを有し、
(iii)該ドメインが、0個以上1個以下の該白色顔料と、該白色顔料の表面に形成された該樹脂Hを含有する被覆層とを有し、かつ
(iv)該被覆層の平均膜厚が100nm以上であり、
該白色トナー粒子中における該白色顔料の含有量が、該白色トナー粒子の全体積に対して、15.0体積%以上25.0体積%以下である、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成方法は、転写材上に形成された未定着白色トナー画像を加熱して、転写材に定着する定着工程を含む画像形成方法であって、
該未定着白色トナー画像が、本発明に係る白色トナーを含み、
該定着工程における、定着温度をT(℃)としたとき、該定着温度T(℃)と前記樹脂Hの1/2軟化温度TH(℃)とが、
T ≦ TH-10
を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、白色度、低温定着性及び帯電維持性に優れた白色トナーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0011】
本発明の態様は、樹脂L、樹脂H、及び白色顔料を含有する白色トナー粒子を有する白色トナーであって、
該樹脂Hと該樹脂Lの1/2軟化温度をそれぞれ、TH(℃)、TL(℃)としたときに
TH-TL≧40
であり、
該白色トナー粒子の断面観察において、
(i)トナー粒子の断面が、マトリクスにドメインが分散したマトリクス-ドメイン構造を有し、
(ii)該マトリクスが、該樹脂Lを有し、
(iii)該ドメインが、0個以上1個以下の該白色顔料と、該白色顔料の表面に形成された該樹脂Hを含有する被覆層とを有し、かつ
(iv)該被覆層の平均膜厚が100nm以上であり、
該白色トナー粒子中における該白色顔料の含有量が、該白色トナー粒子の全体積に対して、15.0体積%以上25.0体積%以下である、ことを特徴とする白色トナーに関する。
【0012】
本発明の効果が発現するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
本発明にて用いる白色顔料は、100nm以上の膜厚の樹脂Hで被覆されており、樹脂Hと樹脂Lの1/2軟化温度をそれぞれ、TH(℃)、TL(℃)としたときに
TH-TL≧40
の関係式を満たす。これにより、定着時に樹脂Lは熱によって変形するが、樹脂Hは熱によって変形しにくい。従って、定着後も白色顔料が互いに凝集せず、分散した状態で画像中に存在することにより、光の散乱が効果的に行われ、高い白色度を有していると考えている。
【0013】
又、白色トナー粒子の断面観察における要件(i)、(ii)及び(iii)と本発明の効果の関係は以下のように考えている。
(i)の要件を具備することで、白色トナー粒子中における、白色顔料の分散性が確保され、高い白色度を維持できる。
(ii)の要件を具備することで、定着時において軟化温度の低い樹脂への良好な熱伝達性が確保され、低温定着性が確保される。
(iii)の要件を具備することで、白色顔料粒子の良好な分散性が確保され、高い白色度を維持できる。
【0014】
又、白色顔料の含有量が、白色トナー粒子の全体積に対して、15.0体積%以上25.0体積%以下であることで、白色度、低温定着性及び帯電維持性のバランスを良好に維持できると考えている。
【0015】
以下、本発明の詳細について説明する。
<白色顔料>
本発明の白色トナー粒子は白色顔料を含む。ここで白色顔料とは、無彩色の粒子であることを示す。
白色顔料の例としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ、クレー、タルク等が挙げられる。
これらの中でも、酸化チタンは屈折率が高く、結果として隠蔽性が高くなるため好ましい。
【0016】
白色顔料は、後述する樹脂Lのマトリクス中に、平均膜厚100nm以上の樹脂Hで被覆されている。樹脂Hによって被覆されることで、定着後も白色顔料が互いに凝集せず、分散した状態で画像中に存在することにより、光の散乱が効果的に行われ、高い白色度を有する。
被覆される平均膜厚が、100nm未満の場合、光の散乱が効果的に行われず、白色度が低下する。
【0017】
また、走査型プローブ顕微鏡により撮影された前記白色トナー粒子の断面観察において、白色顔料の断面の基準点から白色顔料の表面に向かって5°おきに72等分割する直線を引いたとき、直線上における白色顔料の表面から樹脂Hの被覆層表面までの距離まで測定した樹脂Hを含む被覆層の変動係数が、20%以下であることが好ましい。被覆厚さの変動係数が20%より大きい場合、被覆膜厚にむらが存在することに起因し、定着後の白色度が低下しやすい。
【0018】
前記無機白色顔料は、白色トナー粒子中に15.0体積%以上25.0体積%以下含有される。上述の範囲にあることで、白色トナーとして用いるときに帯電維持性を損なわず、十分な白色度を得ることができる。
【0019】
白色顔料の体積平均粒径は、200nm以上300nm以下であることが好ましい。200nmより小さい場合、白色度が低下する。また、300nmより大きい場合、白色度が低下する。
【0020】
<樹脂L、樹脂H>
本発明で用いる樹脂L、樹脂Hは、樹脂として、1/2軟化温度の条件を満たす限り公知の重合体を使用することが可能であり、具体的には下記の重合体を用いることが可能である。
【0021】
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
これらの樹脂の中でもポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂が白色顔料と親和性が高く、結果として白色顔料が良好に分散するため、帯電維持性及び白色度が良好となる。
【0023】
ポリエステル樹脂は、アルコール成分及び酸成分の縮重合物であることが好ましい。ポリエステル樹脂を生成するモノマーとしては以下の化合物が挙げられる。
【0024】
アルコール成分としては、以下のような2価であるジアルコール成分が挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフノェールA、ビスフェノール及びその誘導体、ジオール類が挙げられる。
アルコール成分には、3価以上の多価アルコールとして、1,2,3-プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを用いてもよい。
【0025】
アルコール成分としてはビスフェノールが好ましく、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物がより好ましい。
【0026】
酸成分としては、以下のような2価のカルボン酸が挙げられる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸のようなベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6以上18以下のアルキル基若しくは炭素数6以上18以下のアルケニル基で置換されたこはく酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
【0027】
酸成分には3価以上の多価カルボン酸を用いることも好ましい。例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステルが挙げられる。
【0028】
樹脂Hと樹脂Lの1/2軟化温度をそれぞれ、TH(℃)、TL(℃)としたとき、それらの関係は
TH-TL≧40
である。上述の範囲にあることで、定着後も白色顔料が互いに凝集せず、分散した状態で画像中に存在することにより、光の散乱が効果的に行われ、高い白色度を有する。
【0029】
樹脂Lの1/2軟化温度TL(℃)は、120℃以下であることが好ましい。120℃より高い場合、白色トナーの低温定着性が損なわれやすい。
【0030】
樹脂Hの1/2軟化温度TH(℃)は、130℃以上であることが好ましい。130℃より低い場合、樹脂Hが熱により変形しやすく、白色度が低下しやすい。
【0031】
<ワックス>
本発明の白色トナー粒子には、ワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、ポリエチレンのような低分子量ポリオレフィン類;加熱により融点(軟化点)を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリルのようなエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油のような植物系ワックス;ミツロウのような動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックスのような鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物が挙げられる。
【0032】
ワックスの含有量は樹脂100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下であることが好ましい。
【0033】
ワックスの融点は50℃以上100℃以下であることが好ましく、70℃以上100℃以下であることがより好ましい。
【0034】
<荷電制御剤>
白色トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。白色トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色で白色トナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
【0035】
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤は白色トナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
【0036】
荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0037】
<外添剤>
白色トナー粒子には、必要に応じて外添剤を含有させることもできる。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの無機微粒子(無機微粉体)が好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物などの疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
【0038】
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m/g以上、400m/g以下の無機微粒子が好ましく、耐久性安定化のためには、比表面積が10m/g以上、50m/g以下の無機微粒子であることが好ましい。白色トナーの流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲内の無機微粒子を併用してもよい。
【0039】
外添剤は、白色トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。白色トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーなどの公知の混合機を用いることができる。
【0040】
<現像剤>
白色トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが、長期にわたり安定した画像が得られるという点で好ましい。すなわち、白色トナー及び磁性キャリアを含有する二成分系現像剤であることが好ましい。
【0041】
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、あるいは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
【0042】
白色トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
【0043】
<白色トナー粒子、白色トナーの製造方法>
白色トナー粒子を製造する方法としては、特に制限されず、懸濁重合法、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知の製造方法を採用できる。
【0044】
得られた白色トナー粒子はそのまま白色トナーとして用いてもよい。得られた白色トナー粒子に対し、無機微粒子、及び必要に応じて他の外添剤を混合して、白色トナーを得てもよい。白色トナー粒子と無機微粒子、及びその他の外添剤との混合は、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を用いることができる。
【0045】
以下、粉砕法での白色トナーの製造手順の一例について説明する。
原料混合工程では、白色トナー粒子を構成する材料として、例えば、非晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂、ワックス、白色顔料、及び必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
【0046】
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
【0047】
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0048】
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)などの分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(白色トナー粒子)を得る。中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)は、分級と同時に白色トナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
【0049】
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック社製)を用いて、球形化処理などの白色トナー粒子の表面処理を行うこともできる。
【0050】
さらに、必要に応じて、白色トナー粒子の表面に無機微粒子などの外添剤が外添処理される。外添処理する方法としては、白色トナー粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
【0051】
本発明の白色トナーは、公知の画像形成方法に用いることができる。具体的には、電子写真感光体を帯電する工程と、帯電した感光体に静電潜像を形成する工程と、静電潜像を白色トナーにより現像して感光体上に白色トナー像を形成する工程と、感光体上の白色トナー像を転写材(転写紙)に転写する工程と、転写材上に形成された未定着白色トナー画像を加熱して転写材に定着する定着工程と、転写工程後に該感光体上の残留白色トナーをクリーニングブレードにより除去する工程を有する画像形成方法に好適に用いられる。本発明のトナーは、公知の画像形成方法に用いることができる。具体的には、電子写真感光体を帯電する工程と、帯電した該感光体に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像をトナーにより現像して該感光体上にトナー像を形成する工程と、該感光体上の該トナー像を転写材(転写紙)に転写する工程と、転写された該トナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する工程と、転写工程後に該感光体上の残留トナーをクリーニングブレードにより除去する工程を有する画像形成方法に好適に用いられ、該感光体表面の弾性変形率が50%以上であることが好ましい。
【0052】
本発明において、前記定着工程における、定着温度をT(℃)としたとき、定着温度T(℃)と樹脂Hの1/2軟化温度TH(℃)とが、
T ≦ TH-10の関係を満足することが必要である。
この関係を満足することで、定着後も白色顔料が互いに凝集せず、分散した状態で画像中に存在することにより、光の散乱が効果的に行われ、高い白色度を有する画像が得られる。
【0053】
以下、本発明に関連する物性の測定方法について記載する。
<白色トナー粒子中の樹脂の白色顔料含有量の測定>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。
遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。
この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
【0054】
次に、遠心分離用チューブを振とう機にて振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、白色トナー粒子と外れた外添剤が分離する。
【0055】
白色トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、白色トナー粒子を採取して減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、外添剤が分離された白色トナー粒子を得る。
【0056】
さらに、得られた白色トナー粒子の質量を測定後、テトラヒドロフラン、トルエン及びヘキサンなどによって白色顔料以外の可溶分を溶解させる。ろ過後、水中に再分散させ、遠心分離にて残存していた外添剤を除去することで白色顔料を回収し、その質量を測定する。
得られた白色顔料を、乾式自動密度計アキュピック1330((株)島津製作所製)を用いて以下の方法で密度を測定する。23℃/50%RHの環境に24時間放置したサンプルを1g精秤し、測定用セル(10cm)に入れ、本体試料室に挿入する。自動測定の測定条件は、20.000psig(2.392×10kPa)で調整されたヘリウムガスを用いる。試料室内に10回パージした後、試料室内の圧力変化が0.005psig/分(3.447×10-2kPa/分)になる状態を平衡状態とし、平衡状態になるまで繰り返しヘリウムガスをパージする。平衡状態のときの本体試料室の圧力を測定した。その平衡状態に達したときの圧力変化により、サンプル体積を算出し、以下の式から真密度を測定できる。
サンプルの真密度(g/cm)=サンプル質量(g)/サンプル体積(cm
また、トナー粒子の真密度も同様にして、トナー粒子を乾式自動密度計アキュピック1330((株)島津製作所製)を用いて算出する。
得られた真密度を用い、トナー粒子中に含まれる白色顔料の質量を用いて、トナー粒子中に含まれる含有量(体積%)を算出する。
【0057】
<白色顔料の体積平均粒径>
上述したように白色トナーより分離した白色顔料を、テトラヒドロフランに1重量%に分散させ、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Nanotrac Wave、マイクロトラック・ベル社製)を用いて体積平均粒径を測定した。
【0058】
<白色トナー粒子中の特定構造の評価>
白色トナー粒子の断面観察において、以下の特定構造を形成しているかどうかについては、ミクロトームで切断した白色トナー粒子の断面を、走査型プローブ顕微鏡(パシフィックナノテクノロジー社製、Nano-R)を用いて、マテリアルセンシングモード(位相モード)にて測定し、下記特定構造を取っているかどうかについて、トナー粒子断面の各箇所の硬さを計測することで判定する。
特定構造;
(i)マトリクスにドメインが分散したマトリクス-ドメイン構造が観察される。
(ii)前記マトリクスが、前記樹脂Lである。
(iii)前記ドメインが、0個以上1個以下の前記白色顔料と、前記白色顔料表面に形成された該樹脂Hを含有する被覆層とを有している。
また、上記(iii)については、全体の平均から判断する。
【0059】
<白色顔料の樹脂Hによる被覆膜厚の測定>
ミクロトームで切断した白色トナー粒子の断面を、走査型プローブ顕微鏡(パシフィックナノテクノロジー社製、Nano-R)を用いて、マテリアルセンシングモード(位相モード)にて測定を行い、樹脂Hによる白色顔料の被覆膜厚を測定した。尚、膜厚の測定において、白色顔料の断面の基準点から白色顔料の表面に向かって5°おきに72等分割する直線(半径)を引き、その算術平均値を膜厚とした。
【0060】
<白色顔料の樹脂Hの被覆厚さの変動係数の測定>
上述のように走査型プローブ顕微鏡により撮影された該白色トナー粒子の断面観察像において、白色トナー粒子の断面の最大径の中点を基準点とする。白色顔料の断面の基準点から白色顔料の表面に向かって5°おきに72等分割する直線(半径)を引く。尚、72等分する際の1本目の線は、最大径を構成する線とする。直線上における白色顔料の表面から樹脂Hの被覆層表面までの距離まで測定し、それを用いて樹脂Hの被覆厚さの変動係数を算出する。
【0061】
<樹脂の1/2軟化温度の測定>
樹脂の1/2軟化温度の測定は、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用いて測定する。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を樹脂の1/2軟化温度とする。
なお、樹脂の1/2軟化温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線において、ピストンの降下量がXとSminの和となるときの温度を、1/2法における溶融温度とする。測定試料には、1.2gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(標準手動式ニュートンプレス NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
【0062】
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:60℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【実施例
【0063】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてさらに詳細に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
【0064】
<白色顔料マスターバッチ1の製造方法>
5Lのタンクにトルエン100部をいれ、さらに以下の材料を投入した。そして、フルゾーン翼を用いて200rpmで攪拌しながらトルエン中に材料を分散させた。
・酸化チタン(ルチル型、250nm): 62部
・ポリエステル樹脂H1(Tm:140℃): 38部
その後、トルエンを除去することで、酸化チタンにポリエステル樹脂1が被覆された白色顔料マスターバッチを得た。
【0065】
<白色顔料マスターバッチ2~11の製造方法>
白色顔料マスターバッチ1の製造方法において、フルゾーン翼の攪拌速度及び酸化チタンの種類、量、ポリエステル樹脂の種類を表1のように変更し、白色顔料マスターバッチ2~11を得た。
【0066】
【表1】
【0067】
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1:58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2:26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、水20部をフラスコに入れ、攪拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温及び保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。
その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。
次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。磁性キャリア1の体積基準の50%粒径(D50)は、34.2μmであった。
【0068】
<実施例1>
・ポリエステル樹脂L1(Tm:95℃):22部
・白色顔料マスターバッチ1:73部
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃): 4部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業社製):1部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度を130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物25℃まで冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF-300(ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、白色トナー粒子1を得た。
得られた白色トナー粒子100部に対して、一次粒子径が10nmの疎水化処理されたシリカ微粉体1.5部及び1次粒子径が100nmの疎水化処理されたシリカ微粉体2.5部をヘンシェルミキサー(三井鉱山製)で乾式混合して白色トナー1を得た。白色トナー1の体積基準のメジアン径は6.5μmであった。
【0069】
<実施例2~9>
白色トナーの製造例1において、使用した材料、質量部を表2に示したものに変更したこと以外は同様にして製造を行い、白色トナー2~9を得た。
【0070】
【表2】
【0071】
表2に記載されている特定構造とは、以下の(i)、(ii)及び(iii)の要件を満たす構造をいう。
(i)トナー粒子の断面が、マトリクスにドメインが分散したマトリクス-ドメイン構造を有する。
(ii)前記マトリクスが、前記樹脂Lを有する。
(iii)前記ドメインが、0個以上1個以下の前記白色顔料と、前記白色顔料表面に形成された該樹脂Hを含有する被覆層とを有する。
(i)に関しては、白色トナー粒子の断面画像を走査型プローブ顕微鏡で観察した際、マトリクス中にドメインが1つ以上独立して分散されていたときに、そのような構造を有していると判断した。(ii)に関しては、白色トナー粒子の断面画像を走査型プローブ顕微鏡で観察したときにマトリクスとドメインの硬さを比較し、マトリクスの樹脂が樹脂Lである場合に、そのような構造を有していると判断した。(iii)に関しては、白色トナー粒子の断面画像を走査型プローブ顕微鏡で観察した際のドメイン中に白色顔料を0個以上1個以下有している場合に、そのような構造を有していると判断した。
【0072】
<比較例1~6>
白色トナーの製造例1において、使用した材料、質量部を表2に示したものに変更したこと以外は同様にして製造を行い、白色トナー10~14を得た。
上記各白色トナーを用いて、下記の評価試験を行った。評価結果を表3に示す。
【0073】
<ハンター白色度>
92.0部の磁性キャリア1に対して、8.0部の白色トナーを加え、V型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤を得る。それを用い、市販のフルカラーデジタル複写機(image RUNNER ADVANCE C5051、キヤノン(株)製)から取り外した定着ユニットを用いて、紙上の白色トナーの載り量0.50mg/cmの未定着画像を出力し、表3に示す定着温度T(℃)にて定着画像を得る。得られた定着画像の画像濃度を、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を使用して測定した。このときの画像濃度を、以下の基準に従って評価した。B以上を良好と判断した。評価結果を表5に示す。
(評価基準)
A:L* 82以上
B:L* 79以上、82未満
C:L* 76以上、79未満
D:L* 76未満
【0074】
<低温定着性>
紙:カラーペーパー 中厚口(長門屋商店)
紙上の白色トナーの載り量:0.50mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
定着温度:150℃
プロセススピード:377mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。白色トナーの画像濃度変化率の値を低温定着性の評価指標とした。
画像濃度変化率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摩擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。
そして、下記式を用いて摩擦前後での画像濃度の変化率を算出した。得られた画像濃度の変化率を下記の評価基準に従って評価した。評価結果は、「B」以上を良好とした。
画像濃度の変化率=(摩擦後の画像濃度-摩擦前の画像濃度)/摩擦前の画像濃度×100
(評価基準)
A:画像濃度の変化率3.0%未満
B:画像濃度の変化率3.0%以上、10.0%未満
C:画像濃度の変化率10.0%以上
【0075】
<帯電維持性の評価>
白色トナー0.01gをアルミパンに計量し、ストロコロン帯電装置を用いて-600Vに帯電させた。続いて、温度25℃、湿度50%RHの雰囲気下で表面電位計(トレックジャパン製:model347)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定した。測定結果を下記式に代入して電荷保持率を算出し、下記基準で評価した。B以上を良好と判断した。評価結果を表2に示す。
式:30分後の電荷保持率(%)=[30分後の表面電位]/[初期表面電位]×100
(評価基準)
A:30分後の電荷保持率が90%以上
B:30分後の電荷保持率が50%以上90%未満
C:30分後の電荷保持率が50%未満
評価結果は、「B」以上を良好とした。
【0076】
【表3】