(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】充放電機能を有する車体部材
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240805BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240805BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240805BHJP
H01M 50/477 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240805BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20240805BHJP
H01M 50/102 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20240805BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20240805BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/0562
H01M4/133
H01M4/587
H01M50/477
H01M50/586
H01M50/591
H01M50/249
B62D25/06 Z
H01M50/102
H01M50/117
H01M50/486
H01M10/44 Z
(21)【出願番号】P 2020150231
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0024671
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 元 基
(72)【発明者】
【氏名】呉 熙 大
(72)【発明者】
【氏名】金 ミン 洙
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-97031(JP,A)
【文献】特開2002-216846(JP,A)
【文献】特表2019-507473(JP,A)
【文献】特開2004-303715(JP,A)
【文献】特開2016-115395(JP,A)
【文献】特開2011-154900(JP,A)
【文献】特開2012-22933(JP,A)
【文献】特表2011-530444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00-4/62
H01M 50/10-50/198
H01M 50/20-50/298
H01M 50/40-50/497
H01M 50/50-50/598
B62D 25/06
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を構成するルーフ部材であって、
炭素繊維を含む第1陰極部と、前記第1陰極部の一面に接触して配置され、陽極活物質および固体電解質を含んで形成された第1陽極部とからなり、前記第1陰極部と前記第1陽極部を貫通する少なくとも1つの第1ビアホールが形成された第1セル部と、
炭素繊維を含む第2陰極部と、前記第2陰極部の他面に接触して配置され、陽極活物質および固体電解質を含んで形成された第2陽極部とからなり、前記第2陰極部と前記第2陽極部を貫通する少なくとも1つの第2ビアホールが形成された第2セル部と、
ハニカム構造で形成され、両面に前記第1ビアホールおよび前記第2ビアホールに挿入される少なくとも1つの挿入突起が形成され、前記第1セル部の一面と前記第2セル部の他面との間に介在して前記第1セル部と前記第2セル部とを絶縁させる補強絶縁層と、
前記第1セル部の前記第1陽極部に接続された第1陽極集電体と、
前記第2セル部の前記第2陽極部に接続され、前記第1陽極集電体と並列に接続される第2陽極集電体と、
前記第1セル部の前記第1陰極部に接続された第1陰極集電体と、
前記第2セル部の前記第2陰極部に接続され、前記第1陰極集電体と並列に接続される第2陰極集電体と、を含むことを特徴とする充放電機能を有する車体部材。
【請求項2】
前記第1陰極集電体は前記第1セル部の他側の表面に積層され、
前記第2陰極集電体は前記第2セル部の一側の表面に積層され、
前記第1陰極集電体の他側の表面と前記第2陰極集電体の一側の表面には複合素材で形成されたスキン層がさらに積層されていることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項3】
前記スキン層は、ガラス繊維強化シートからなることを特徴とする請求項2に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項4】
前記スキン層と前記補強絶縁層の挿入突起とが直接接着されていることを特徴とする請求項2に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項5】
前記スキン層と前記補強絶縁層の挿入突起とが直接接着された接着領域の周辺には、前記第1セル部、前記第2セル部、前記第1陰極集電体、および前記第2陰極集電体が加圧成形によって圧縮されるように変形したオーバーラップ領域が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項6】
前記補強絶縁層は、可塑性ポリマーで形成され、
前記接着領域では、前記スキン層と前記補強絶縁層とが接着剤によって接着されているか、または前記スキン層を形成する樹脂と前記補強絶縁層を形成する樹脂とが互いに融着されて接着されていることを特徴とする請求項5に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項7】
前記第1陰極部および前記第2陰極部は、炭素繊維が互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項8】
前記第1陽極部は、前記第1陰極部の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第1陽極層と、前記第1陰極部と前記第1陽極層との間で前記第1陰極部および前記第1陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第1固体電解質層とで形成され、
前記第2陽極部は、前記第2陰極部の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第2陽極層と、前記第2陰極部と前記第2陽極層との間で前記第2陰極部および前記第2陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第2固体電解質層とで形成され、
前記第1陽極層と前記第2陽極層との間は前記補強絶縁層で絶縁されることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項9】
前記ルーフ部材は多数個が備えられ、
それぞれの車体部材を構成する前記第1陽極集電体と前記第2陽極集電体とは互いに並列に接続され、
それぞれの車体部材を構成する前記第1陰極集電体と前記第2陰極集電体とは互いに並列に接続され、
前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とは、スイッチによって車両のオルタネータまたは電子機器手段に選択的に接続され、
前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とが車両のオルタネータに電気的に接続されている間、前記車体部材を介した充電が行われ、
前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とが車両の電子機器手段に接続されている間、前記車体部材を介した放電によって発生した電源を車両の電子機器手段に供給することを特徴とする請求項1に記載の充放電機能を有する車体部材。
【請求項10】
多数個が備えられる前記ルーフ部材は、少なくとも1つが車両のルーフパネルを形成し、残りは車両のルーフレールを形成することを特徴とする請求項9に記載の充放電機能を有する車体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電機能を有する車体部材に関し、より詳細には、軽量化および補強の目的で使用される炭素繊維を活用した、充放電機能を有する車体部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を構成する車体構造および各種部品は、スチール素材を用いて製造するのが一般的であったが、最近では、軽量化による燃費向上のために、繊維強化樹脂複合材などの複合素材がスチール素材の代わりに使用されている。
【0003】
一般に、繊維強化樹脂複合材は、素材に付加される荷重を担う役割を果たす強化材、および強化材と結合して素材の全体的な形状を具現しながら、素材に付加される荷重を強化材に伝達する役割を果たす母材を基本構造とする。この時、強化材としては、通常、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維型強化材が多用され、母材としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを含む熱硬化性樹脂や、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)樹脂などを含む熱可塑性樹脂などの樹脂(resin)型母材が多用される。
【0004】
一方、車両を構成する部品の多くは、バッテリーから供給される電源によって作動する電子機器手段であって、最近では、電子機器手段の増加に伴い、車両のバッテリー容量を増加させることについての研究が持続的に行われている。
【0005】
本発明は、繊維強化樹脂複合材の強化材として使用される炭素繊維が二次電池を構成する陰極として活用できることに着目したものであり、車両の軽量化および強度補強のために使用される強化材を活用して、充放電が可能な車両用バックビームを提案した。
【0006】
なお、上述の背景技術として説明した内容は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、車体を構成するルーフパネルおよびルーフレールに補強材として使用される炭素繊維を二次電池の陰極として活用した、充放電機能を有する車体部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による充放電機能を有する車体部材は、車体を構成するルーフ部材であって、炭素繊維を含む第1陰極部と、前記第1陰極部の一面に接触して配置され、陽極活物質および固体電解質を含んで形成された第1陽極部とからなり、前記第1陰極部と前記第1陽極部を貫通する少なくとも1つの第1ビアホールが形成された第1セル部と、炭素繊維を含む第2陰極部と、前記第2陰極部の他面に接触して配置され、陽極活物質および固体電解質を含んで形成された第2陽極部とからなり、前記第2陰極部と前記第2陽極部を貫通する少なくとも1つの第2ビアホールが形成された第2セル部と、ハニカム構造で形成され、両面に前記第1ビアホールおよび前記第2ビアホールに挿入される少なくとも1つの挿入突起が形成され、前記第1セル部の一面と前記第2セル部の他面との間に介在して前記第1セル部と前記第2セル部とを絶縁させる補強絶縁層と、前記第1セル部の前記第1陽極部に接続された第1陽極集電体と、前記第2セル部の前記第2陽極部に接続され、前記第1陽極集電体と並列に接続される第2陽極集電体と、前記第1セル部の前記第1陰極部に接続された第1陰極集電体と、前記第2セル部の前記第2陰極部に接続され、前記第1陰極集電体と並列に接続される第2陰極集電体と、を含むことを特徴とする。
【0010】
前記第1陰極集電体は前記第1セル部の他側の表面に積層され、前記第2陰極集電体は前記第2セル部の一側の表面に積層され、前記第1陰極集電体の他側の表面と前記第2陰極集電体の一側の表面には複合素材で形成されたスキン層がさらに積層されていることが好ましい。
前記スキン層は、ガラス繊維強化シートからなることが好ましい。
前記スキン層と前記補強絶縁層の挿入突起とが直接接着されていることが好ましい。
前記スキン層と前記補強絶縁層の挿入突起とが直接接着された接着領域の周辺には、第1セル部、第2セル部、第1陰極集電体、および第2陰極集電体が加圧成形によって圧縮されるように変形したオーバーラップ領域が形成されていることが好ましい。
前記補強絶縁層は、可塑性ポリマーで形成され、前記接着領域では、前記スキン層と補強絶縁層とが接着剤によって接着されているか、またはスキン層を形成する樹脂と補強絶縁層を形成する樹脂とが互いに融着されて接着されていることが好ましい。
【0011】
前記第1陰極部および前記第2陰極部は、炭素繊維が互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層して形成されていることが好ましい。
前記第1陽極部は、前記第1陰極部の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第1陽極層と、前記第1陰極部と第1陽極層との間で前記第1陰極部および前記第1陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第1固体電解質層とで形成され、前記第2陽極部は、前記第2陰極部の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第2陽極層と、前記第2陰極部と前記第2陽極層との間で前記第2陰極部および第2陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第2固体電解質層とで形成され、前記第1陽極層と前記第2陽極層とは前記補強絶縁層で絶縁され得る。
前記ルーフ部材は多数個が備えられ、それぞれの車体部材を構成する前記第1陽極集電体と前記第2陽極集電体とは互いに並列に接続され、それぞれの車体部材を構成する前記第1陰極集電体と前記第2陰極集電体とは互いに並列に接続され、前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とは、スイッチによって車両のオルタネータまたは電子機器手段に選択的に接続され、前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とが車両のオルタネータに電気的に接続されている間、前記車体部材を介した充電が行われ、前記第1陽極集電体および前記第2陽極集電体と前記第1陰極集電体および前記第2陰極集電体とが車両の電子機器手段に接続されている間、前記車体部材を介した放電によって発生した電源を車両の電子機器手段に供給し得る。
多数個が備えられる前記ルーフ部材は、少なくとも1つが車両のルーフパネルを形成し、残りは車両のルーフレールを形成し得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両用車体を構成するルーフパネルおよびルーフレールの剛性補強のために使用される炭素繊維を二次電池の陰極として活用し、ルーフパネルおよびルーフレールの内部に固体電解質および陽極の役割を果たす手段を一緒に内蔵して、ルーフパネルおよびルーフレールに充放電が可能な二次電池機能を付加することができるという効果を奏する。
【0013】
また、ルーフパネルおよびルーフレールをそれぞれ充放電が可能な二次電池で製作し、それぞれを並列に接続して二次電池の容量を増大させる効果を奏する。
【0014】
また、ビアホールが形成された第1セル部と第2セル部との間に挿入突起が形成されたハニカム構造の補強絶縁層を配置することにより、ハニカム構造による剛性補強と共に挿入突起がビアホールに挿入され、層間せん断強度を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材が適用される車両を示す図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す断面図である。
【
図2b】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す断面図である。
【
図3a】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す斜視図である。
【
図3b】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す要部拡大斜視図である。
【
図3c】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す要部拡大斜視図である。
【
図4a】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を構成する主要構成の斜視図および要部拡大斜視図である。
【
図4b】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を構成する主要構成の斜視図である。
【
図4c】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を構成する主要構成の斜視図および要部拡大斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態の具体例を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現される。ただし、本実施形態は、本発明の開示を完全なものとし、本発明の技術分野において通常の知識を有する者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面上における同一の符号は同一の要素を指し示す。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材が適用される車両を示す図であり、
図2aおよび
図2bは、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す断面図であり、
図3a~
図3cは、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す斜視図および要部拡大斜視図であり、
図4a~
図4cは、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を構成する主要構成の斜視図および要部拡大斜視図であり、
図5は、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材を示す回路図である。
【0018】
この時、
図2aは、各構成要素を積層した後、加圧成形する前を示す断面図であり、
図2bは、各構成要素を積層した後、加圧成形した後を示す断面図である。また、
図3bは、
図3aの「V1」部分を示す拡大図であり、
図3cは、
図3aの「V2」部分を示す拡大図である。
図4aは、第1セル部を示す図であり、
図4bは、補強絶縁層を示す図であり、
図4cは、第2セル部を示す図である。
【0019】
まず、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材は、車体を構成する様々な部品に適用できる。以下では、車体部材の例として車体のルーフ部材、すなわちルーフパネルとルーフレールを説明する。
【0020】
図示の如く、本発明の一実施形態による充放電機能を有する車体部材は、多数個が備えられ、少なくとも1つが車体10のルーフパネル20を形成し、残りは車体10のルーフレール30を形成する。この時、ルーフパネル20とルーフレール30を形成するそれぞれの車体部材(20、30)は、それぞれ充放電機能を有する二次電池の役割を果たす。
【0021】
このため、それぞれの車体部材(20、30)は、第1セル部100、第2セル部200、補強絶縁層300、スキン層400、陽極集電体(500a、500b)および陰極集電体(600a、600b)を含んでなる。
【0022】
第1セル部100は、1つの単位セルを形成する手段であって、炭素繊維を含む第1陰極部110と、第1陰極部110の一面に接触して配置され、陽極活物質と固体電解質を含んで形成された第1陽極部120とから構成される。
【0023】
この時、第1陰極部110は、ルーフパネル20およびルーフレール30の形状を具現しながら剛性を補強する補強手段であって、本実施形態では、充放電機能を果たすための陰極の役割も一緒に果たす。このため、第1陰極部110は、リチウムイオンの酸化および還元が円滑に行われる炭素材質の炭素繊維を含む複合素材で形成される。
【0024】
この時、第1セル部100は、剛性の補強のために、互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層させて設けられる。
【0025】
第1陽極部120は、充放電機能を行うための陽極の役割とともに全固体分離膜の役割を一緒に行う手段であって、通常の二次電池において陽極として使用される陽極活物質素材を含んで具現される。例えば、第1陽極部120はリチウム金属酸化物を含み得る。また、第1陽極部120は、通常の二次電池において固相の電解質、すなわち固体電解質として使用される素材を用いて具現される。
【0026】
例えば、第1陽極部120は、第1陰極部110の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第1陽極層121と、第1陰極部110と第1陽極層121との間で第1陰極部110および第1陽極層121にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第1固体電解質層122とで形成される。この時、第1固体電解質層122の内部には、第1陰極部110と第1陽極層121とを分離させる第1分離膜123がさらに介在する。
【0027】
一方、第1セル部100には、第1陰極部110と第1陽極部120を貫通する少なくとも1つの第1ビアホール101が形成される。敷衍すると、第1セル部100には、第1陰極部110、第1分離膜123が介在された第1固体電解質層122、および第1陽極層121を順次貫通する第1ビアホール101が形成される。
【0028】
第2セル部200も、第1セル部100と同様に、1つの単位セルを形成する手段であって、炭素繊維を含む第2陰極部210と、第2陰極部210の他面に接触して配置され、陽極活物質と固体電解質を含んで形成された第2陽極部220とから構成される。
【0029】
この時、第2陰極部210は、ルーフパネル20およびルーフレール30の形状を具現しながら剛性を補強する補強手段であって、本実施形態では充放電機能を行うための陰極の役割も一緒に果たす。このため、第2陰極部210は、リチウムイオンの酸化および還元が円滑に行われる炭素材質の炭素繊維を含む複合素材で形成される。
【0030】
この時、第2セル部200も、剛性の補強のために、互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層させて設けられる。
【0031】
第2陽極部220は、充放電機能を行うための陽極の役割とともに全固体分離膜の役割を一緒に果たす手段であって、通常の二次電池において陽極として使用される陽極活物質素材を含んで具現される。例えば、第2陽極部220はリチウム金属酸化物を含み得る。また、第2陽極部220は、通常の二次電池において固相の電解質、すなわち固体電解質として使用される素材を用いて具現される。
【0032】
例えば、第2陽極部220は、第2陰極部210の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布された第2陽極層221と、第2陰極部210と第2陽極層221との間で第2陰極部210および第2陽極層221にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成された第2固体電解質層222とで形成される。この時、第2固体電解質層222の内部には、第2陰極部210と第2陽極層221とを分離させる第2分離膜223がさらに介在する。
【0033】
また、第2セル部200には、第2陰極部210と第2陽極部220を所定の領域で貫通する少なくとも1つの第2ビアホール201が形成される。敷衍すると、第2セル部200には、第2陰極部210、第2分離膜223が介在された第2固体電解質層222、および第2陽極層221を順次貫通する第2ビアホール201が形成される。
【0034】
この時、第2ビアホール201は、第1ビアホール101が形成された位置に対応する位置に形成され、第1ビアホール101と第2ビアホール201とが連通するように形成されることが好ましい。
【0035】
第1陽極層121と第2陽極層221との間には、補強絶縁層300が配置されて絶縁される。よって、第1セル部100と第2セル部200は、補強絶縁層300を基準に互いに対称となるように配置される。
【0036】
補強絶縁層300は、第1セル部100と第2セル部200とを絶縁させる役割を果たすとともに、第1セル部100と第2セル部200を構造的に強固に維持させる役割を果たす。このため、補強絶縁層300は、ハニカム構造を有するパネル状に形成される。
【0037】
補強絶縁層300の両面には、第1ビアホール101および第2ビアホール201に挿入される少なくとも1つの挿入突起310が形成される。例えば、第1セル部100と対面する補強絶縁層300の他面には、第1ビアホール101に挿入される第1挿入突起311が形成され、第2セル部200と対面する補強絶縁層300の一面には、第2ビアホール201に挿入される第2挿入突起312が形成される。
【0038】
一方、本実施形態においては、それぞれが1つの単位セルを構成する第1セル部100と第2セル部200とを電気的に並列接続して充放電容量を増加させる。
【0039】
このため、第1セル部100の第1陽極部120に接続された第1陽極集電体500aが備えられ、第2セル部200の第2陽極部220に接続された第2陽極集電体500bが備えられることにより、第1陽極集電体500aと第2陽極集電体500bとが並列に接続される。
【0040】
また、第1セル部100の第1陰極部110に接続された第1陰極集電体600aが備えられ、第2セル部200の第2陰極部120に接続された第2陰極集電体600bが備えられることにより、第1陰極集電体600aと第2陰極集電体600bとが並列に接続される。
【0041】
この時、第1陽極集電体500aと第1陰極集電体600aは、第1セル部100に形成された第1ビアホール101が連通するように形成され、第2陽極集電体500bと第2陰極集電体600bは、第2セル部200に形成された第2ビアホール201が連通するように形成されることが好ましい。
【0042】
一方、車体部材(20、30)の最外郭層にはスキン層400が積層され、車体部材(20、30)を他の車体部材(20、30)から絶縁させると同時に、車体部材(20、30)を構成する要素の積層構造が安定的に維持されるようにする。
【0043】
例えば、第1陰極集電体600aの他側の表面に第1スキン層410が積層され、第2陰極集電体600bの一側の表面には第2スキン層420が積層される。
【0044】
この時、第1スキン層410と第2スキン層420は、電気的に不導体であるガラス繊維と樹脂で形成されたガラス繊維強化シートからなることが好ましい。
【0045】
一方、スキン層400と補強絶縁層300の挿入突起310とは、直接接着されることが好ましい。例えば、補強絶縁層300の第1挿入突起311は、第1ビアホール101を貫通しながらその端部が第1スキン層410に直接接着され、補強絶縁層300の第2挿入突起312は、第2ビアホール201を貫通しながらその端部が第2スキン層420に直接接着され得る。このとき、スキン層400と補強絶縁層300の挿入突起310とが直接接着される領域を接着領域A1と称する。
【0046】
よって、接着領域A1では、スキン層400と補強絶縁層300とが接着剤によって接着される。
【0047】
また、車体部材(20、30)の積層強度を向上させるために、第1セル部100、第2セル部200、補強絶縁層300、スキン層400、陽極集電体(500a、500b)および陰極集電体(600a、600b)を熱間で加圧して成形する(
図2b参照)。
【0048】
この時、接着領域A1では、スキン層400を形成する樹脂と、補強絶縁層300を形成する樹脂とが互いに融着されて接着される。
【0049】
また、接着領域A1の周辺には、第1セル部100、第2セル部200、第1陰極集電体600a、および第2陰極集電体600bが加圧成形によって圧縮されるように変形したオーバーラップ領域A2が形成される。このように、オーバーラップ領域A2では、第1陰極集電体600aおよび第2陰極集電体600bが接着領域A1の方向に傾きながら、傾斜形状に変形が発生し、このような変形により車体部材(20、30)の積層強度が向上するとともにせん断強度も向上する。
【0050】
一方、車体10を構成する車体部材(20、30)は、通常、1つのルーフパネル20と多数のルーフレール30からなる。
【0051】
このため、
図5に示すように、車体部材(20、30)が1つのルーフパネル20と多数のルーフレール30からなる場合、ルーフパネル20を構成する第1陽極集電体500aと第2陽極集電体500bとは互いに並列に接続され、第1陰極集電体600aと第2陰極集電体600bとは互いに並列に接続される。それぞれのルーフレール30を構成する第1陽極集電体500a同士は互いに並列に接続され、第1陰極集電体600a同士は互いに並列に接続され、第2陽極集電体500b同士は互いに並列に接続され、第2陰極集電体600b同士は互いに並列に接続される。
【0052】
このように構成される第1陽極集電体500aおよび第2陽極集電体500bと第1陰極集電体600aおよび第2陰極集電体600bとは、スイッチ3によって車両のオルタネータ1または電子機器手段2に選択的に接続される。
【0053】
このため、第1陽極集電体500aおよび第2陽極集電体500bと第1陰極集電体600aおよび第2陰極集電体600bとが車両のオルタネータ1と電気的に接続されている間、ルーフパネル20およびルーフレール30を介した充電が行われる。
【0054】
そして、第1陽極集電体500aおよび第2陽極集電体500bと第1陰極集電体600aおよび第2陰極集電体600bとが車両の電子機器手段2に接続されている間、ルーフパネル20およびルーフレール30を介した放電によって発生した電源を車両の電子機器手段2に供給される。
【0055】
この時、電子機器手段2は、車両に備えられ、電源の供給により作動する構成品を意味する。例えば、室内に備えられるルームランプなどの各種ランプなどが該当する。
【0056】
また、ルーフパネル20と多数のルーフレール30からなる車体部材は、車体10の構造上、多数のルーフレール30が互いに等間隔で離隔した状態で配置され、その上部にルーフパネル20が配置されて構成される。この時、多数のルーフレール30とルーフパネル20とはスキン層400によって絶縁される。
【0057】
以上、本発明を図面及び上述した実施形態を参照しながら説明したが、本発明は、これに限定されない。よって、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想から逸脱することなく、多様に変更実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 オルタネータ
2 電子機器手段
3 スイッチ
10 車体
20 ルーフパネル
30 ルーフレール
100 第1セル部
101 第1ビアホール
110 第1陰極部
120 第1陽極部
121 第1陽極層
122 第1固体電解質層
123 第1分離膜
200 第2セル部
201 第2ビアホール
210 第2陰極部
220 第2陽極部
221 第2陽極層
222 第2固体電解質層
223 第2分離膜
300 補強絶縁層
310 挿入突起
311 第1挿入突起
312 第2挿入突起
400 スキン層
410 第1スキン層
420 第2スキン層
500a 第1陽極集電体
500b 第2陽極集電体
600a 第1陰極集電体
600b 第2陰極集電体