(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、駅務システム、及び駅務処理方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240805BHJP
【FI】
G07B15/00 F
(21)【出願番号】P 2020151422
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大林 知弘
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-38747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車券を搬送する搬送機構と、前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、前記乗車券
に記録された乗車券情報を読み取る処理部と、を具備し、予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を
判定する投入枚数判定処理と、
判定された投入枚数に基づいて前記分離機構
を制御する分離処理
と、前記処理部
で読み取った前記乗車券情報に基づいて通行判定を行う
通行判定処理と、を含む処理を行う改札機との通信を中継する通信インタフェースと、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記
処理の処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、前記画面表示用データを出力するプロセッサと、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記投入枚数判定処理にて判定された前記投入枚数と、前記改札機が
前記分離処理の際に前記通過センサの検出結果に基づいて決定した分離枚数と、
前記通行判定処理にて行った前記通行判定の結果である通行判定結果と、の関係を示す区分情報と、前記厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す前記画面表示用データを生成する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記区分情報は、前記投入枚数と前記分離枚数との比較結果と、前記通行判定結果とを示す情報である請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記厚さ検出結果毎のデータ数を前記区分情報毎に示すヒストグラムを含む前記画面表示用データとして生成する請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記改札機において現在設定されている前記閾値を前記ヒストグラムに重ねて前記画面表示用データ内に表示させる請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、操作入力に基づいて前記改札機に前記閾値を変更する為の制御信号を送信する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、複数の前記改札機から取得した情報に基づいて、前記画面表示用データを生成する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、複数の前記改札機から取得した情報のうち、前記画面表示用データの生成に用いるデータを、前記改札機の種類、出場駅、入場駅、地域、または時間帯に基づいて抽出する請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
改札機と、前記改札機と通信する情報処理装置とを有する駅務システムであって、
前記改札機は、
乗車券を搬送する搬送機構と、
前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、
重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、
前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、
前記乗車券
に記録された乗車券情報を読み取る処理部と、
予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を
判定する投入枚数判定処理と、前記
判定された投入枚数に基づいて前記分離機構
を制御する分離処理
と、前記処理部
で読み取った前記乗車券情報に基づいて通行判定を行う
通行判定処理と、を含む処理を行う第1プロセッサと、
を具備し、
前記情報処理装置は、
前記改札機との通信を中継する通信インタフェースと、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記
処理の処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、前記画面表示用データを出力する第2プロセッサと、
を具備する駅務システム。
【請求項10】
乗車券を搬送する搬送機構と、前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、前記乗車券
に記録された乗車券情報を読み取る処理部と、第1プロセッサとを有する改札機と、前記改札機との通信を中継する通信インタフェースと、第2プロセッサとを有する情報処理装置とにおける駅務処理方法であって、
前記第1プロセッサは、
予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を
判定する投入枚数判定処理と、前記
判定された投入枚数に基づいて前記分離機構
を制御する分離処理
と、前記処理部
で読み取った前記乗車券情報に基づいて通行判定
を行う通行判定処理と、を含む処理を行い、
前記第2プロセッサは、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記
処理の処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、
前記画面表示用データを出力する、
駅務処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、駅務システム、及び駅務処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅には、各種の駅務処理を行なう駅務機器が設置されている。駅務機器は、例えば、改札機、券売機、及び精算機などがある。このような駅務機器では、例えば情報を記憶する磁気層が設けられた磁気乗車券が乗車券として用いられている。
【0003】
改札機は、搬送機構、磁気券処理部、厚みセンサ、及び分離機構を備える。搬送機構は、磁気乗車券を改札機の筐体内に取り込み、搬送する。磁気券処理部は、磁気乗車券から情報を読み取る磁気ヘッドを備える。厚みセンサは、筐体内に取り込まれた磁気乗車券の厚さを検出する。分離機構は、重ねられた状態の磁気乗車券を分離し、1枚ずつ後段の搬送路に供給する。
【0004】
磁気ヘッドは、磁気乗車券が重なっている場合、情報を読み取ることができない。この為、改札機は、厚さセンサの検出結果と予め設定された閾値とに基づいて、投入された磁気乗車券の枚数(投入枚数)を判定する。改札機は、投入枚数の判定結果に基づいて、分離機構により磁気乗車券を分離させ、磁気乗車券を1枚ずつ磁気ヘッドの読取位置に搬送する。
【0005】
しかしながら、上記の閾値の設定が、厚みセンサの値に対して不適切である場合、磁気乗車券の分離が適切かつ効率よく行われない可能性がある。例えば、閾値が高すぎる場合、実際の枚数よりも投入枚数が少ないと判断され、分離されない可能性がある。また例えば、閾値が低すぎる場合、実際の枚数よりも投入枚数が多いと判断され、不要な分離処理が実行され、スループットが低下する可能性がある。上記の閾値は、改札機が設置されている現場を保守員が訪れ、保守員によって調整されている。例えば、厚みセンサを適切に調整するためには、保守員が閾値に即したセンサ値を出力するように厚みセンサの位置等を調整する必要がある。また、保守員が、厚みセンサのセンサ値に即した閾値を設定する必要がある。この為、閾値の調整に手間がかかる、調整に時間を要するなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、利便性が高い情報処理装置、駅務システム、及び駅務処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る情報処理装置は、通信インタフェースと、プロセッサとを具備する。通信インタフェースは、乗車券を搬送する搬送機構と、前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、前記乗車券に記録された乗車券情報を読み取る処理部と、を具備し、予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を判定する投入枚数判定処理と、判定された投入枚数に基づいて前記分離機構を制御する分離処理と、前記処理部で読み取った前記乗車券情報に基づいて通行判定を行う通行判定処理と、を含む処理を行う改札機との通信を中継する。プロセッサは、前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記処理の処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、前記画面表示用データを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る駅務システムの構成例について説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る改札機の構成例について説明するための説明図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る改札機の動作の例について説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る改札機の動作の例について説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る改札機における処理結果の例について説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る情報処理装置の動作の例について説明するための説明図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る情報処理装置において表示される画面の例について説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る情報処理装置において表示される画面の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら情報処理装置、駅務システム、及び駅務処理方法について詳細に説明する。
図1は、駅務システム1の例について説明する為の説明図である。
駅務システム1は、鉄道の駅などに設置される種々の駅務機器により構成されるものである。このような駅務システム1では、例えば駅務機器を利用する為の乗車券情報を記憶する磁気層が設けられた磁気乗車券(以下単に乗車券2と称する)が用いられている。なお、乗車券は、磁気乗車券に限られず、搬送機構によって搬送されるものであれば如何なるものであってもよい。
【0011】
駅務システム1は、情報処理装置11と、複数の駅(例えばA駅12、B駅13、及びC駅14)の種々の駅務機器とにより構成されている。
【0012】
情報処理装置11は、駅務システム1における種々の情報処理を行う構成である。情報処理装置11は、例えば、複数の駅ごと、路線ごと、または鉄道会社ごとに設けられる。情報処理装置11は、例えば、各駅の駅務機器とネットワークを介して通信可能に構成されている。情報処理装置11は、システムコントローラ21、通信インタフェース22、操作インタフェース23、及びディスプレイ24を備える。
【0013】
システムコントローラ21は、情報処理装置11の種々の制御を行う。システムコントローラ21は、プロセッサ25及びメモリ26を備える。
【0014】
プロセッサ25は、演算処理を実行する演算素子(例えばCPU)を備える。プロセッサ25は、システムコントローラ21の動作の主体となる。プロセッサ25は、メモリ26に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0015】
メモリ26は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。メモリ26は、不揮発性メモリとして構成される。さらに、メモリ26は、プロセッサ25の処理中のデータなどを一時的に格納してもよい。
【0016】
通信インタフェース22は、他の機器との通信を中継する為のインタフェースである。通信インタフェース22は、ネットワークを介する各駅の駅務機器と情報処理装置11との通信を中継する。
【0017】
操作インタフェース23は、情報処理装置11を操作するオペレータ(駅務機器の保守員)による操作に用いられる構成である。操作インタフェース23は、種々の操作部材を有する。操作インタフェース23は、操作部材の操作に応じた操作信号をシステムコントローラ21に供給する。操作部材は、例えば、タッチセンサ、テンキー、電源キー、用紙フィードキー、種々のファンクションキー、またはキーボードなどである。タッチセンサは、例えば、抵抗膜式タッチセンサ、または静電容量式タッチセンサ等である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、ディスプレイ24と一体にタッチパネルとして構成されることにより、ディスプレイ24に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号をシステムコントローラ21に入力する。
【0018】
ディスプレイ24は、システムコントローラ21または図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する。例えば、ディスプレイ24は、駅務機器の種々の設定の為の画面を表示する。
【0019】
次に、各駅に設けられた駅務機器について説明する。なお、A駅12、B駅13、C駅14に設けられた駅務機器は、同じ構成である為、A駅12の駅務機器を例に挙げて説明する。
【0020】
A駅12には、図示されない券売機、監視盤31、及び改札機32などの駅務機器が設けられている。
【0021】
券売機は、乗車券2の発行などを行う。券売機は、操作入力に基づいて、乗車券情報を生成する。乗車券情報は、「識別情報」、「有効区間」、「発行駅」、及び「発行日」などの情報を含む。
【0022】
「有効区間」は、乗車券2により乗車が可能な駅の区間を示す情報である。「発行駅」は、乗車券2を発行した券売機が配置されている駅を示す情報である。「発行日」は、乗車券2が発行された日時を示す情報である。「有効期限」は、乗車券2を利用可能な期限(または期間)を示す情報である。
【0023】
券売機は、乗車券情報を用いて、磁気乗車券(乗車券2)を発行する。具体的には、券売機は、乗車券2の券媒体の磁気層に乗車券情報を書き込み、券売機から排出することにより、乗車券2を発行する。
【0024】
監視盤31は、情報処理装置11との通信、改札機32の状態監視、改札機32の動作モードの制などを行う。監視盤31は、駅毎に配置される。
【0025】
改札機32は、乗車券2から乗車券情報を読み取り、乗車券2を所持する利用者の通行の可否を判定する通行判定処理の結果に応じて、ドアの動作を制御する。これにより、改札機32は、利用者の通行を制御する。改札機32は、改札内への入場に関する入場通行判定と、改札内からの出場に関する出場通行判定処理とのいずれかを行うように、予め設定されている。本実施形態では、磁気乗車券に基づいて処理を行う構成について説明するが、改札機32は、二次元コード乗車券またはICカード乗車券などの乗車券に基づいて通行判定処理を行う構成をさらに備えていてもよい。
【0026】
図1に示されるように、改札機32は、システムコントローラ41、通信インタフェース42、ディスプレイ43、搬送機構44、分離機構45、整列機構46、厚さセンサ47、通過センサ48、磁気券処理部49、及びドア駆動機構50を備える。また、
図2は、改札機32の筐体内に設けられた搬送機構44、分離機構45、整列機構46、厚さセンサ47、通過センサ48、及び磁気券処理部49の構成例を示す。
【0027】
改札機32の一対の筐体は、並行に配置されることによって、通路を構成する。改札機32は、筐体の通路側に設けられ、ドア駆動機構50によって回動される図示されないドアを備える。
【0028】
システムコントローラ41は、改札機32の種々の制御を行う。システムコントローラ41は、プロセッサ51及びメモリ52を備える。
【0029】
プロセッサ51は、演算処理を実行する演算素子(例えばCPU)を備える。プロセッサ51は、システムコントローラ41の動作の主体となる。プロセッサ51は、メモリ52に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0030】
メモリ52は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。メモリ52は、不揮発性メモリとして構成される。さらに、メモリ52は、プロセッサ51の処理中のデータなどを一時的に格納してもよい。メモリ52に記憶されているプログラムは、例えば、プロセッサ51に、通行判定処理を行わせるためのプログラムである。また、メモリ52に記憶されているプログラムは、例えば、プロセッサ51に、ドア駆動機構50を制御させるためのプログラムである。
【0031】
通信インタフェース42は、他の機器との通信を中継する為のインタフェースである。通信インタフェース42は、監視盤31と改札機32との通信を中継する。また、通信インタフェース42は、ネットワークを介した情報処理装置11との直接の通信を中継する構成であってもよい。
【0032】
ディスプレイ43は、システムコントローラ41または図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する構成である。ディスプレイ43は、例えば、通行判定処理の結果を示す画面が表示される。
【0033】
搬送機構44は、乗車券2を搬送する。搬送機構44は、取込機構61、第1搬送路62、第2搬送路63、第3搬送路64、及び排出機構65を有する。例えば、取込機構61、第1搬送路62、第2搬送路63、第3搬送路64、及び排出機構65は、それぞれ図示されない動力源(モータ)の動力によって駆動される複数のローラと、乗車券2の搬送を誘導する複数のガイド部材と、を備える。複数のモータは、システムコントローラ41の制御に基づいて、軸を回転させることにより、軸の回転に連動するローラを回転させ、ローラにより乗車券2を搬送する。
【0034】
取込機構61は、利用者が所持する乗車券2を取り込み、第1搬送路62に供給する構成である。取込機構61は、複数枚重ねられた状態の乗車券2を取り込み可能に構成されている。
【0035】
第1搬送路62は、取込機構61により供給された乗車券2を分離機構45に搬送する。
【0036】
第2搬送路63は、分離機構45により供給された乗車券2を整列機構46に搬送する。
【0037】
第3搬送路64は、整列機構46により供給された乗車券2を排出機構65に搬送する。
【0038】
排出機構65は、第3搬送路64により供給された乗車券2を、改札機32の筐体から排出する構成である。排出機構65は、複数枚重ねられた状態の乗車券2を排出可能に構成されている。
【0039】
分離機構45は、第1搬送路62の下流側に設けられる。分離機構45は、第1搬送路62から供給された乗車券2を1枚ずつ分離して下流側の第2搬送路63に供給する。即ち、分離機構45は、複数枚重ねられた乗車券2が取込機構61に投入された場合に、複数枚の乗車券2を所定の間隔で1枚ずつ下流側の第2搬送路63に供給する。
【0040】
分離機構45は、例えば、1対のローラにより構成される。分離機構45の1対のローラは、第1搬送路62から供給された乗車券2を挟むように配置されている。
【0041】
分離機構45は、1対のローラにより乗車券2を送り出す方向に応力を与えることにより、第1搬送路62から供給された乗車券2を第2搬送路63にそのまま送り出すことができる。
【0042】
また、分離機構45は、1対のローラの一方が乗車券2を送り出す方向に応力を与え、他方のローラが停止する、または、乗車券2を第1搬送路62側に戻す方向に応力を与える。これにより、分離機構45は、重なった状態の乗車券2のうちの1枚を第2搬送路63に送り出す分離処理を行うことができる。
【0043】
整列機構46は、第2搬送路63の下流側に設けられる。分離機構45は、第2搬送路63から供給された乗車券2を複数枚重ねて下流側の第3搬送路64に供給する。即ち、整列機構46は、分離機構45によって複数枚の乗車券2の分離を行っている場合、第2搬送路63から供給された複数枚の乗車券2を重ねて下流側の第3搬送路64に供給する。
【0044】
厚さセンサ47は、取込機構61により取り込まれた乗車券2の厚さを検出し、検出結果をシステムコントローラ41に供給する。即ち、厚さセンサ47は、第1搬送路62を搬送される乗車券2の厚さを検出する。乗車券2が重ねられて第1搬送路62を搬送されている場合、厚さセンサ47は、重なった状態の乗車券2の厚さを検出する。
【0045】
通過センサ48は、搬送路上の乗車券2の通過を光学的に検出する。通過センサ48は、少なくとも分離機構45と磁気券処理部49との間の第2搬送路63上において、乗車券2の通過を検出する。通過センサ48は、搬送路上の検出位置を乗車券2が通過したことを検出する。通過センサ48は、検出位置に乗車券2が存在するか否かに応じて異なる信号をシステムコントローラ41に供給する。
【0046】
通過センサ48は、例えば、投光器と受光器との組み合わせによって構成される。通過センサ48は、投光器からの光が搬送されている乗車券2によって遮られている場合、受光器からシステムコントローラ41への出力信号がオフ(Low)になるように構成されている。また、通過センサ48は、投光器からの光が搬送されている乗車券2によって遮られずに受光器に入射している場合、受光器の出力信号がオン(High)になるように構成されている。なお、改札機32は、さらに通過センサを多数備える構成であってもよい。
【0047】
磁気券処理部49は、乗車券2に対して磁気による処理を行う構成(乗車券の処理部)である。磁気券処理部49は、第1磁気ヘッド71及び第2磁気ヘッド72を備える。
【0048】
第1磁気ヘッド71は、媒体の磁気層から磁気によって記録された情報を読み取る構成である。第1磁気ヘッド71は、乗車券2の磁気層に磁気によって記録された乗車券情報を読み取る。第1磁気ヘッド71は、第2搬送路63上の所定の検出位置を通過する乗車券2から乗車券情報を読み取る。第1磁気ヘッド71は、読み取った乗車券情報をシステムコントローラ21に送信する。
【0049】
第2磁気ヘッド72は、媒体の磁気層に磁気によって情報を記録する構成である。第2磁気ヘッド72は、例えば、通行判定処理の結果に基づいて、乗車券2の磁気層に磁気によって情報を記録する。第2磁気ヘッド72は、第2搬送路63上の少なくとも第1磁気ヘッド71よりも下流側の所定の検出位置を通過する乗車券2に対して、時期による情報の記録を行う。
【0050】
ドア駆動機構50は、システムコントローラ41の制御に基づいて、改札機32の1対の筐体の通路側に設けられたドアを駆動する構成である。ドア駆動機構50は、ドアを駆動して閉じることにより、通路を塞ぎ、利用者の通路の通行を防ぐ。また、ドア駆動機構50は、ドアを駆動して開くことにより、利用者の通路の通行を促す。
【0051】
次に、改札機32における動作について説明する。
図3は、改札機32の動作について説明する為のフローチャートである。
改札機32の搬送機構44の取込機構61は、利用者が投入した乗車券2を取り込み、第1搬送路62に供給する(ステップS11)。
【0052】
乗車券2が第1搬送路62によって搬送され、厚さセンサ47の検出位置を通過した場合、厚さセンサ47は、乗車券2(投入されたシート状の媒体)の厚さを検出する(ステップS12)。
【0053】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、厚さセンサ47から厚さの検出結果を取得する。プロセッサ51は、メモリ52に予め設定された閾値(投入枚数判定用閾値)と、厚さの検出結果とに基づいて、何枚の乗車券2が投入されたかを判定する(ステップS13)。
【0054】
メモリ52には、例えば、厚さの検出結果と比較される複数の閾値が設定されている。複数の閾値は、乗車券2が0枚であるか1枚であるかを判定する為の第1閾値、乗車券2が1枚であるか2枚であるかを判定する為の第2閾値、乗車券2が2枚であるか3枚であるかを判定する為の第3閾値、及び乗車券2が3枚であるか4枚であるかを判定する為の第4閾値などである。即ち、メモリ52に記憶されている複数の閾値は、投入された乗車券2の枚数を判定するための投入枚数判定用閾値である。
【0055】
例えば、プロセッサ51は、厚さが第1閾値未満である場合、乗車券2の「投入枚数」が0枚であると判断する。また、例えば、プロセッサ51は、厚さが第1閾値以上第2閾値未満である場合、乗車券2の「投入枚数」が1枚であると判断する。また、例えば、プロセッサ51は、厚さが第2閾値以上第3閾値未満である場合、乗車券2の「投入枚数」が2枚であると判断する。また、例えば、プロセッサ51は、厚さが第3閾値以上第4閾値未満である場合、乗車券2の「投入枚数」が3枚であると判断する。即ち、プロセッサ51は、厚さの検出結果と投入枚数判定用閾値とに基づいて、乗車券2の「投入枚数」を判定する。
【0056】
次に、プロセッサ51は、乗車券2が重なっているか否か判断する(ステップS14)。即ち、プロセッサ51は、投入枚数が2枚以上であるか否か判断する。プロセッサ51は、乗車券2が重なっていると判断した場合(ステップS14、YES)、ステップS15の処理を行う。また、プロセッサ51は、乗車券2が重なっていないと判断した場合(ステップS14、NO)、ステップS16の処理に移行する。
【0057】
プロセッサ51は、分離処理を実行するように分離機構45を制御する(ステップS15)。上記したように、分離機構45は、1対のローラにより重なった状態の乗車券2を1枚ずつ第2搬送路63に供給する。
【0058】
通過センサ48は、分離機構45から第2搬送路63に供給された乗車券2の通過を検出する(ステップS16)。上記したように、通過センサ48は、検出位置の乗車券2の通過に応じた信号をシステムコントローラ41に供給する。
【0059】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、通過センサ48からの信号(光学センサの観測波形)に基づいて、分離された乗車券2の枚数(分離枚数)を判定する(ステップS17)。具体的には、プロセッサ51は、通過センサ48の出力信号のLowの数に基づいて、分離機構45によって分離されて第2搬送路63を搬送されている乗車券2の枚数を判定する。
【0060】
磁気券処理部49は、第1磁気ヘッド71により乗車券2の磁気層に記録された乗車券情報を読み取る(ステップS18)。磁気券処理部49は、取得した乗車券情報をシステムコントローラ41に供給する。
【0061】
システムコントローラ41のプロセッサ51は、取得した乗車券情報に基づいて、乗車券2を所持する利用者の通行を許可するか否かを判定する通行判定処理を行う(ステップS19)。例えば、乗車券2が複数枚である場合、プロセッサ51は、複数枚の乗車券2から取得した乗車券情報に基づいて、通行判定処理を行う。プロセッサ51は、利用者の通行を許可する場合、通行判定処理の結果(通行判定結果)が「正常」であると判定し、利用者の通行を許可しない場合、通行判定結果が「異常」であると判定する。
【0062】
磁気券処理部49は、通行判定結果に基づいて、第2磁気ヘッド72により乗車券2の磁気層に情報を書き込む(ステップS20)。
【0063】
また、システムコントローラ41のプロセッサ51は、通行判定結果に基づいて、ドア駆動機構50によりドア制御を行う(ステップS21)。具体的には、プロセッサ51は、通行判定結果が「正常」である場合、ドア駆動機構50によりドアを駆動して開くことにより、利用者の通路の通行を促す。また、プロセッサ51は、通行判定結果が「異常」である場合、ドア駆動機構50によりドアを駆動して閉じることにより、通路を塞ぎ、利用者の通路の通行を防ぐ。
【0064】
さらに、システムコントローラ41のプロセッサ51は、通行判定結果、厚さの検出結果、投入枚数の判定結果、及び分離枚数の判定結果に基づいて、保守用レポートを作成し、情報処理装置11に送信し(ステップS22)、
図3の処理を終了する。プロセッサ51は、逐次保守用レポートを作成して情報処理装置に送信してもよいし、所定期間の間保守用レポートを蓄積し、まとめて情報処理装置11に送信してもよい。
【0065】
保守レポートは、「厚さ検出結果」、及び「区分情報」を有する。「区分情報」は、通行判定結果と、投入枚数の判定結果と、分離枚数の判定結果とに基づいて、処理結果を分類した結果を示す情報である。
【0066】
図4は、処理結果の分類(区分情報の生成)に用いられる区分情報テーブルについて説明する為の説明図である。区分情報テーブルでは、通行判定結果と、投入枚数と分離枚数との比較結果(枚数比較結果)と、区分情報とが対応付けられている。
【0067】
枚数比較結果は、投入枚数と分離枚数との比較結果である。例えば、枚数比較結果は、分離枚数に対して投入枚数を多く検知したか、分離枚数に対して投入枚数を少なく検知したか、投入枚数と分離枚数とが一致するかを示す。
【0068】
区分情報は、通行判定結果と枚数比較結果とが組合せ毎に設定された分類を示す情報である。
【0069】
例えば、通行判定結果が「正常」であり、枚数比較結果が「一致(分離枚数に対して投入枚数が一致)」である場合、区分情報テーブル上で「区分A(正・同)」が設定されている。
【0070】
また、通行判定結果が「正常」であり、枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、区分情報テーブル上で「区分B(正・多)」が設定されている。
【0071】
また、通行判定結果が「正常」であり、枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、区分情報テーブル上で「区分C(正・少)」が設定されている。
【0072】
また例えば、通行判定結果が「異常」であり、枚数比較結果が「一致(分離枚数に対して投入枚数が一致)」である場合、区分情報テーブル上で「区分D(異・同)」が設定されている。
【0073】
また、通行判定結果が「異常」であり、枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、区分情報テーブル上で「区分E(異・多)」が設定されている。
【0074】
また、通行判定結果が「異常」であり、枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、区分情報テーブル上で「区分F(異・少)」が設定されている。
【0075】
枚数比較結果が「一致(分離枚数に対して投入枚数が一致)」である場合、複数枚重ねられた乗車券2を正しく分離機構45により分離できたと判断することができる。
【0076】
枚数比較結果が「多く検知(分離枚数に対して投入枚数が多い)」である場合、実際の乗車券2の枚数よりも投入された乗車券2が多いと判断したものと判断することができる。
【0077】
枚数比較結果が「少なく検知(分離枚数に対して投入枚数が少ない)」である場合、実際の乗車券2の枚数よりも投入された乗車券2が少ないと判断したものと判断することができる。
【0078】
図5は、改札機32における処理結果について説明する為の説明図である。
改札機32は、投入された単数または複数の乗車券2を1つの処理単位とし、処理単位毎に、厚さ検出結果と、通行判定結果と、投入枚数の判定結果と、分離枚数の判定結果とを対応付ける。さらに、システムコントローラ41のプロセッサ51は、通行判定結果、厚さ検出結果、投入枚数の判定結果、及び分離枚数の判定結果に基づいて、保守用レポートを作成し、上位装置である情報処理装置11に送信する。
【0079】
具体的には、プロセッサ51は、
図5の処理結果と、
図4の区分情報テーブルとに基づいて、処理単位毎に区分情報を設定する。さらに、プロセッサ51は、厚さ検出結果と区分情報とを処理単位毎に対応付けて保守用レポートを生成する。また、プロセッサ51は、投入枚数判定用閾値を保守用レポートに添付してよい。
【0080】
図6は、情報処理装置11の動作について説明する為のフローチャートである。
情報処理装置11のシステムコントローラ21のプロセッサ25は、改札機32から保守用レポートを取得する(ステップS31)。プロセッサ25は、改札機32から保守用レポートを取得すると、メモリ26、図示されない情報処理装置11内部のストレージ装置、または通信インタフェース22を介して接続された外部のストレージ装置に保守用レポートを記憶する。また、プロセッサ25は、保守用レポートの記憶先から、必要に応じて保守用レポートを読み出す。
【0081】
プロセッサ25は、所定期間の保守用レポートを読み出し、読み出した保守用レポートに基づいて、厚さ検出結果と区分情報とに関するグラフを含む画面データ(画面表示用データ)を生成する(ステップS32)。即ち、プロセッサ25は、複数のデータを含む保守用レポートに基づいて、厚さ検出結果と区分情報とに関してグラフィカル表示を行う。グラフィカル表示は、例えば、厚さ検出結果の分布と、閾値(投入枚数判定用閾値)と、区分情報とに関するヒストグラムである。
【0082】
また、プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値をステップS32で生成した画面表示用データに表示させる(ステップS33)。例えばプロセッサ25は、改札機32において現在設定されている投入枚数判定用閾値をヒストグラムに重ねて画面表示用データ内に表示させる。
【0083】
プロセッサ25は、グラフ(ヒストグラム)及び投入枚数判定用閾値などを含む画面表示用データを出力する(ステップS34)。例えば、プロセッサ25は、生成した画面表示用データをディスプレイ24に表示させる。また、プロセッサ25は、生成した画面表示用データを通信インタフェース22を介して他の機器に送信して表示させてもよい。
【0084】
プロセッサ25は、操作インタフェース23による操作入力に基づいて、投入枚数判定用閾値を変更するか否か判断する(ステップS35)。プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値を変更しないと判断した場合(ステップS35、NO)、
図6の処理を終了する。
【0085】
また、プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値を変更すると判断した場合(ステップS35、YES)、操作入力に応じて変更後の閾値を決定する(ステップS36)。
【0086】
プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値の変更を指示する制御信号を改札機32に送信する(ステップS37)。投入枚数判定用閾値の変更を指示する制御信号には、操作入力に応じて決定された変更後の閾値を示す情報が含まれている。投入枚数判定用閾値の変更を指示する制御信号には、第1閾値、第2閾値、第3閾値、及び第4閾値のいずれか、または複数の変更後の閾値を示す情報が含まれている。
【0087】
改札機32のシステムコントローラ41のプロセッサ51は、情報処理装置11から投入枚数判定用閾値の変更を指示する制御信号を受信した場合、メモリ52の投入枚数判定用閾値を、制御信号に含まれている変更後の閾値に変更する。
【0088】
図7は、厚さ検出結果と区分情報とに関するグラフの例について説明する為の説明図である。
図7の例では、グラフがヒストグラムである例について説明する。
図7の横軸は、厚さ検出結果を示す。
図7の縦軸は、データ数(頻度)を示す。
【0089】
図7の例では、プロセッサ25は、区分ごとに視覚的に判別可能な状態でヒストグラムを表示させている。即ち、
図7のヒストグラムでは、区分毎のデータ数が厚さ毎に示されている。
【0090】
また、
図7に示されるように、プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値を表示させる。具体的には、プロセッサ25は、投入枚数判定用閾値として、第1閾値、第2閾値、及び第3閾値をヒストグラムに表示させている。第1閾値以上第2閾値未満のデータは、厚さ検出結果に基づいて、投入枚数が1枚であると判定されたデータである。第2閾値以上第3閾値未満のデータは、厚さ検出結果に基づいて、投入枚数が2枚であると判定されたデータである。第3閾値以上のデータは、厚さ検出結果に基づいて、投入枚数が3枚であると判定されたデータである。
【0091】
また、プロセッサ25は、操作インタフェース23による操作入力に基づいて、区分ごとにヒストグラムに表示させるか否かを切り替えることができる。
【0092】
図8は、
図7のヒストグラムから「区分A」の情報を除いたグラフである。即ち、
図8のヒストグラムに示されているデータは、「区分B」、「区分C」、「区分D」、「区分E」、及び「区分F」のいずれかに該当するデータである。
【0093】
「区分F」は、利用者が投入した複数枚の乗車券2に対して分離処理が正しく行われず、磁気券処理部49によって乗車券2から乗車券情報の読取が正しく行われていなかった可能性がある。即ち、「区分F」は、本来通行判定結果が正常になるケースにおいて、重なった乗車券2に対して分離処理が正しく行われず、通行判定結果が異常になる可能性がある。この為、投入枚数判定用閾値は、「区分F」のデータが生じないように設定されることが望ましい。
【0094】
この為、情報処理装置11を操作する保守員は、
図7または
図8のグラフ表示を確認し、「区分F」のデータが生じないように閾値を変更する操作を行う。具体的には、保守員は、閾値近傍に「区分F」のデータが存在する場合、「区分F」のデータの厚さ検出結果よりも低い値に閾値を変更する為の操作を操作インタフェース23により行う。
【0095】
図8の例では、第2閾値近傍の厚さ検出結果が厚さ「29」及び厚さ「30」であるデータの中に、「区分F」のデータが含まれている。この為、保守員は、第2閾値を厚さ「29」より低い値に変更する為の操作を操作インタフェース23により行う。この結果、情報処理装置11のシステムコントローラ21のプロセッサ25は、投入枚数判定用閾値の第2閾値の変更後の閾値として、厚さ「29」より低い値を示す制御信号を改札機32に送信する。改札機32のシステムコントローラ41のプロセッサ51は、メモリ52の投入枚数判定用閾値の第2閾値を制御信号に応じて厚さ「29」より低い値に設定する。これにより、において、「区分F」の処理が生じることを防ぐことができる。
【0096】
しかしながら、閾値が低すぎると、1枚が2枚と判断され、分離処理の回数が嵩み、スループットの低下を招く。この為、保守員は、「区分F」のケースが生じず、且つ分離処理の回数が嵩まないように閾値を設定する必要がある。例えば、情報処理装置11は、スループットを優先した閾値を改札機32に設定してもよい。また、例えば、情報処理装置11は、「区分F」の排除を優先した閾値を改札機32に設定してもよい。またさらに、情報処理装置11は、スループットの優先と、「区分F」の排除の優先とを改札機32の動作モードを制御する監視盤31によって切り替えることができるように、複数の閾値(のセット)を改札機32に送信する構成であってもよい。
【0097】
上記したように、駅務システム1における改札機32は、搬送機構44と、厚さセンサ47と、分離機構45と、通過センサ48と、磁気券処理部49と、プロセッサ51とを備える。搬送機構44は、乗車券2を搬送する。厚さセンサ47は、乗車券2の厚さを検出する。分離機構45は、重なった乗車券2を1枚ずつ分離させる。通過センサ48は、分離機構45の搬送路後段側、即ち第2搬送路63において乗車券2の通過を検出する。磁気券処理部49は、乗車券2を処理する。プロセッサ51は、予め設定された閾値(投入枚数判定用閾値)と厚さセンサ47による厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を決定する。プロセッサ51は、決定された投入枚数に基づいて分離機構45により分離処理を行うように分離機構45を制御する。プロセッサ51は、磁気券処理部49の処理結果に基づいて通行判定を行う。プロセッサ51は、通行判定結果、投入枚数、分離処理により分離した乗車券2の枚数(分離枚数)、及び厚さ検出結果に基づいて、保守用レポートを作成し、情報処理装置に送信する。
【0098】
情報処理装置11のシステムコントローラ21のプロセッサ25は、改札機32から取得した情報(保守用レポート)に基づいて、改札機32における乗車券2に基づく処理結果と、厚さセンサ47による厚さ検出結果と、閾値(改札機32の投入枚数判定用閾値)との関係を示す画面表示用データを生成し、画面表示用データを出力する。これにより、情報処理装置11は、改札機32において設定されている投入枚数判定用閾値と改札機32における処理結果とを確認する為の画面を出力することができる。これにより、保守員は、情報処理装置11を用いることにより、改札機32が設置されている現場を訪れることなく、改札機32における処理結果を確認しながら、改札機32における閾値調整を行うことができる。
【0099】
また、改札機32のプロセッサ51は、通過センサ48の検出結果に基づいて、実際に分離機構45によって分離された分離枚数を判定(決定)する。プロセッサ51は、投入枚数の判定結果と、分離枚数と、通行判定の結果である通行判定結果と、の関係を示す区分情報を生成する。プロセッサ51は、区分情報と厚さ検出結果とを対応付けて保守用レポートとして情報処理装置11に送信する。これにより、情報処理装置11のプロセッサ25は、区分情報と、厚さ検出結果と、閾値との関係を示す画面表示用データを生成することができる。
【0100】
また、区分情報は、投入枚数と分離枚数との比較結果と、通行判定結果(正常または異常)とを示す情報である。これにより、プロセッサ25は、投入枚数と分離枚数との比較結果と、通行判定結果との関係を画面表示用データに示すことができる。
【0101】
また、プロセッサ25は、操作入力に基づいて改札機32に閾値(投入枚数判定用閾値)を変更する為の制御信号を送信する。これにより、情報処理装置11は、改札機32における処理結果を保守員に確認させつつ、保守員の操作に応じて改札機32の投入枚数判定用閾値を変更させることができる。
【0102】
また、情報処理装置11が画面表示用データの生成に用いる保守用レポートは、1台の改札機32から取得したものではなく、複数の改札機32から取得したものであってもよい。
【0103】
例えば、改札機32のプロセッサ51は、乗車券2が投入される毎に生成される保守用レポートに、改札機32の種類を示す情報、出場駅を示す情報、入場駅を示す情報、改札機32が設置された地域を示す情報、及び時間帯のうちのいずれか、または複数を添付する。プロセッサ51は、例えば、乗車券2から読み取った乗車券情報、通行判定の結果などに基づいて、出場駅を示す情報、入場駅を示す情報、改札機32が設置された地域を示す情報、及び時間帯を示す情報などを生成する。
【0104】
このように、保守レポートに時間帯などを示す情報が付加されている場合、プロセッサ25は、時間的な条件を絞り込んで、
図7及び
図8に示されるようなヒストグラムを表示させることができる。これにより、例えば、長期間の間に収集した保守レポートに基づくヒストグラムには現れない変化が、短期間の間に収集した保守レポートに基づくヒストグラムに現れる可能性がある。また、短期間の間に収集した保守レポートに基づくヒストグラムには現れない変化が、長期間の間に収集した保守レポートに基づくヒストグラムに現れる可能性がある。またさらに、特定の時間帯に現れる変化が、時間帯を絞り込んだ保守レポートに基づくヒストグラムに現れる可能性がある。このように、保守レポートを絞り込む要素を保守レポートの生成時に付加することにより、プロセッサ25は、より有用なグラフを生成することができる。
【0105】
情報処理装置11のプロセッサ25は、複数の改札機32から保守用レポートを取得し、メモリ26または図示されないストレージ装置などに記憶する。プロセッサ25は、記憶されている複数の保守用レポートから任意の抽出条件に基づいて保守用レポートを抽出し、抽出した保守用レポートに基づいて、
図7及び
図8に示されるような画面表示用データを生成する構成であってもよい。
【0106】
具体的には、プロセッサ25は、操作インタフェース23による操作入力に基づいて、改札機の種類、出場駅、入場駅、地域、または時間帯などの抽出条件を設定する。プロセッサ25は、複数の改札機32から取得した複数の保守用レポートから、画面表示用データの生成に用いる保守用データを設定された抽出条件に基づいて抽出する。プロセッサ25は、抽出した保守用レポートに基づいて、グラフを生成し、画面表示用データ内に表示させる。このような構成によると、グラフに改札機の種類、出場駅、入場駅、地域、または時間帯などに起因して生じる偏りが現れる可能性がある。この為、保守員による閾値調整の精度を向上させることができる。
【0107】
なお、上記の実施形態では、改札機32が区分情報テーブルを備えており、改札機32のプロセッサ51が区分情報を生成する構成であると説明したが、この構成に限定されない。区分情報テーブルを情報処理装置11が有する構成であってもよい。この場合、改札機32は、通行判定結果、投入枚数、分離枚数、及び厚さ検出結果を対応付けて、保守用レポートとして情報処理装置11に送信する。情報処理装置11のプロセッサ25は、改札機32から取得した保守用レポートに基づいて、各データ毎に区分情報を生成し、生成した区分情報と厚さ検出結果と、改札機32において設定されている投入枚数判定用閾値とに基づいて、画面表示用データを生成する。このような構成によると、改札機32において区分情報の生成を行う必要が無いため、改札機32の構成を簡素化することができる。
【0108】
また、上記の実施形態では、監視盤31を介して改札機32と接続された情報処理装置11が保守用レポートの取得及び画面表示用データの生成を行う構成であると説明したが、この構成に限定されない。監視盤31が情報処理装置11の機能を備えていてもよい。即ち、監視盤31が改札機32から保守用レポートを収集し、投入枚数と分離枚数と通行判定結果との関係と、厚さ検出結果とを示す画面表示用データを生成する構成であってもよい。
【0109】
また、上記の実施形態では、改札機32に投入された券媒体を単に乗車券2と称しているが、乗車券2以外のものシート状の媒体が混じっている状態でもよい。この場合も、改札機32は、厚さセンサ47により厚さ検出を行い、分離機構45により分離処理を行う。
【0110】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
なお、以下に本願の出願当初の特許請求の範囲の記載を付記する。
[C1]
乗車券を搬送する搬送機構と、前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、前記乗車券を処理する処理部と、を具備し、予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を決定し、決定された投入枚数に基づいて前記分離機構により分離処理を行うように前記分離機構を制御し、前記処理部の処理結果に基づいて通行判定を行う改札機との通信を中継する通信インタフェースと、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記乗車券に基づく処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、前記画面表示用データを出力するプロセッサと、
を具備する情報処理装置。
[C2]
前記プロセッサは、前記投入枚数と、前記改札機が前記通過センサの検出結果に基づいて決定した分離枚数と、前記通行判定の結果である通行判定結果と、の関係を示す区分情報と、前記厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す前記画面表示用データを生成する[C1]に記載の情報処理装置。
[C3]
前記区分情報は、前記投入枚数と前記分離枚数との比較結果と、前記通行判定結果とを示す情報である[C2]に記載の情報処理装置。
[C4]
前記プロセッサは、前記厚さ検出結果毎のデータ数を前記区分情報毎に示すヒストグラムを含む前記画面表示用データとして生成する[C2]または[C3]に記載の情報処理装置。
[C5]
前記プロセッサは、前記改札機において現在設定されている前記閾値を前記ヒストグラムに重ねて前記画面表示用データ内に表示させる[C4]に記載の情報処理装置。
[C6]
前記プロセッサは、操作入力に基づいて前記改札機に前記閾値を変更する為の制御信号を送信する[C1]乃至[C5]のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[C7]
前記プロセッサは、複数の前記改札機から取得した情報に基づいて、前記画面表示用データを生成する[C1]乃至[C6]のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[C8]
前記プロセッサは、複数の前記改札機から取得した情報のうち、前記画面表示用データの生成に用いるデータを、前記改札機の種類、出場駅、入場駅、地域、または時間帯に基づいて抽出する[C7]に記載の情報処理装置。
[C9]
改札機と、前記改札機と通信する情報処理装置とを有する駅務システムであって、
前記改札機は、
乗車券を搬送する搬送機構と、
前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、
重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、
前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、
前記乗車券を処理する処理部と、
予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を決定し、前記決定された投入枚数に基づいて前記分離機構により分離処理を行うように前記分離機構を制御し、前記処理部の処理結果に基づいて通行判定を行う第1プロセッサと、
を具備し、
前記情報処理装置は、
前記改札機との通信を中継する通信インタフェースと、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記乗車券に基づく処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、前記画面表示用データを出力する第2プロセッサと、
を具備する駅務システム。
[C10]
乗車券を搬送する搬送機構と、前記乗車券の厚さを検出する厚さセンサと、重なった前記乗車券を1枚ずつ分離させる分離機構と、前記分離機構の搬送路後段側において前記乗車券の通過を検出する通過センサと、前記乗車券を処理する処理部と、第1プロセッサとを有する改札機と、前記改札機との通信を中継する通信インタフェースと、第2プロセッサとを有する情報処理装置とにおける駅務処理方法であって、
前記第1プロセッサは、
予め設定された閾値と前記厚さセンサによる厚さ検出結果とに基づいて投入枚数を決定し、
前記決定された投入枚数に基づいて前記分離機構により分離処理を行うように前記分離機構を制御し、
前記処理部の処理結果に基づいて通行判定を行い、
前記第2プロセッサは、
前記改札機から取得した情報に基づいて、前記改札機における前記乗車券に基づく処理結果と、前記厚さセンサによる厚さ検出結果と、前記閾値との関係を示す画面表示用データを生成し、
前記画面表示用データを出力する、
駅務処理方法。
【符号の説明】
【0112】
1…駅務システム、2…乗車券、11…情報処理装置、21…システムコントローラ、22…通信インタフェース、23…操作インタフェース、24…ディスプレイ、25…プロセッサ、26…メモリ、31…監視盤、32…改札機、41…システムコントローラ、42…通信インタフェース、43…ディスプレイ、44…搬送機構、45…分離機構、46…整列機構、47…厚さセンサ、48…通過センサ、49…磁気券処理部、50…ドア駆動機構、51…プロセッサ、52…メモリ、61…取込機構、62…第1搬送路、63…第2搬送路、64…第3搬送路、65…排出機構、71…第1磁気ヘッド、72…第2磁気ヘッド。