(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/185 20200101AFI20240805BHJP
【FI】
H05B47/185
(21)【出願番号】P 2020165573
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小松 隆寿
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 幸士
(72)【発明者】
【氏名】照井 敏生
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-204054(JP,A)
【文献】特開2015-156276(JP,A)
【文献】特開2005-142116(JP,A)
【文献】特開2011-141999(JP,A)
【文献】特表2016-534488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの通信ラインにより接続された複数の機器と、
前記通信ラインを介して前記複数の機器を制御する制御装置と、を備え、
前記複数の機器は、それぞれ個別の識別情報が付与されており、
前記制御装置は、前記複数の機器の管理情報を有し、そして、前記通信ラインを介して、前記複数の機器の状態情報を取得し、前記状態情報と前記管理情報に基づいて前記複数の機器を制御
し、
前記複数の機器は、天候に応じて点灯状態が変化する第1照明及び第2照明として構成され、
前記制御装置は、前記天候が晴天の場合は、前記第1照明、前記第2照明ともに点灯させ、前記天候が曇天の場合は、予め定めた切り替え条件に従って、前記第1照明、前記第2照明の一方を点灯させ、他方を消灯させることで前記第1照明と前記第2照明との運転時間を均一化させている、ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記状態情報には、故障の有無及び累積運転時間の少なくともいずれかが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記曇天の回数に応じて前記第1照明と前記第2照明とを切り替えて点灯させることを特徴とする請求項
1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記制御装置は、現在の日時に応じて前記第1照明と前記第2照明とを切り替えて点灯させることを特徴とする請求項
1または2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1照明及び前記第2照明それぞれの累積点灯時間に応じて前記第1照明と前記第2照明と切り替えて点灯させることを特徴とする請求項
1または2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1照明及び前記第2照明は、トンネル内の入口付近に設置されていることを特徴とする請求項
1から5のうちいずれか一項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの通信ラインにより接続された複数の機器と、通信ラインを介して複数の機器を制御する制御装置と、を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の機器と、複数の機器を制御する制御装置と、を備える通信システムにおいて、制御装置から一律制御を行う場合、システム全体として、不要な機器に対しても運転を余儀なくされ、不必要な電力消費が行われたり、寿命が期待よりも短縮する場合がある。
【0003】
上記通信システムの具体例としては道路トンネル等に設置される照明システムが挙げられる。この種の照明システムにおいては、屋外輝度により照度調整を行う制御方法が用いられている。例えば、一般道や高速道路のトンネルには、トンネル内に均等に設置される基本照明の他に、視覚の暗順応に対応した入口部照明が設置されている。このような入口部照明は外部の屋外輝度に基づいて制御を行い必要な照度を確保している。
【0004】
例えば、特許文献1には、トンネル内に配置される照明器具として、基本照明、曇天用照明、晴天用照明が配設されることが記載されている。そして、基本照明はトンネル内にほぼ等間隔で設置され、曇天用照明はトンネルの入口および出口部分に設置されて昼間で晴天の際にも継続して点灯され、晴天用照明はトンネルの入口および出口部分に設置されて昼間で晴天の際にのみ点灯されることが記載されている。
【0005】
また、特許文献1に記載の発明は、基本照明、曇天用照明、晴天用照明でそれぞれ別の回路により構成されているが、特許文献2には、複数の照明器具が1台の照明制御装置にバス配線によって接続されているものがあることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-106282号公報
【文献】特開2018-97933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の照明器具をバス配線で接続することで、配線系統を少なくすることが可能となる。また、照明器具を調光可能なLED照明とすることで、きめ細かい輝度の調光が可能となり、入口部照明曲線に近い輝度で照明することも可能となる。
【0008】
しかしながら、特許文献に記載のシステムは、一律制御であるために、曇天用照明の照明器具は曇天だけでなく晴天の際にも継続して点灯され、晴天用照明の照明器具は晴天の際にのみ点灯されるので、点灯時間に偏りが発生してしまい、照明器具としての寿命にも偏りが発生していた。また、消費電力も無駄に消費される場合もあった。この問題は、照明器具をバス接続した場合であっても、曇天用照明や晴天用照明といった区別をして使用する限りは避けられない。
【0009】
そこで、本発明は、機器の状態監視が遠隔から確実に行え、機器の長寿命化を図ることができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、1つの通信ラインにより接続された複数の機器と、前記通信ラインを介して前記複数の機器を制御する制御装置と、を備え、前記複数の機器は、それぞれ個別の識別情報が付与されており、前記制御装置は、前記複数の機器の管理情報を有し、そして、前記通信ラインを介して、前記複数の機器の状態情報を取得し、前記状態情報と前記管理情報に基づいて前記複数の機器を制御することを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御装置が、複数の機器の管理情報を有し、そして、通信ラインを介して、複数の機器の状態情報を取得し、状態情報と管理情報に基づいて前記複数の機器を制御するので、機器の状態監視が遠隔から確実に行え、機器の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる通信システムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示された制御装置の機能構成図である。
【
図3】
図1に示された照明器具の機能構成図である。
【
図4】
図2に示された制御部の監視動作のフローチャートである。
【
図6】
図2に示された制御部において割り込みが発生した場合の動作のフローチャートである。
【
図7】
図1に示された通信システムにおける点灯時間の偏りを減らすための制御のフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施形態にかかる通信システムにおける点灯時間の偏りを減らすための制御のフローチャートである。
【
図9】本発明の第3実施形態にかかる通信システムにおける点灯時間の偏りを減らすための制御のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、
図1~
図7を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる通信システムとしての照明システムの機能構成図である。
【0014】
照明システム1は、制御装置2と、照明器具3と、を備えている。制御装置2と、照明器具3と、は、電力線Lにてバス配線により接続されている。そして、電力線Lにて、制御装置2から照明器具3に電力を供給するとともに、電力線通信により後述する各種情報の送受が行われる。即ち、第1照明及び第2照明は、同一系統の電源ライン及び通信ライン(1つの通信ライン)で接続されている。なお、本実施形態にかかる照明器具3は、道路トンネル内(屋内)に設置され、トンネル照明として機能する。
【0015】
制御装置2は、
図2に示すように、自動調光部21と、制御部22と、通信部23と、を備えている。
【0016】
自動調光部21は、トンネルの入口付近に設けられ屋外の輝度を観測し、観測信号を出力する受光部(不図示)を備え、受光部からの観測信号に基づいて入口部照明曲線を決定し、各照明器具3に入口部照明曲線の輝度値に合うように輝度調整情報を制御部22に出力する。
【0017】
制御部22は、自動調光部21から出力された輝度調整情報を含む制御情報を出力する。また、制御情報としては、照明器具3毎に付与されたIDの存在確認をするための存在確認情報や機器の状態に関する情報の返信を求める状態確認情報も挙げられる。また、制御部22は、各照明器具3の管理情報を有している。管理情報の詳細は後述する。即ち、制御部22は電力線L(通信ライン)を介して照明器具3(複数の機器)を制御する制御装置として機能する。
【0018】
通信部23は、電力線Lを介して制御部22が出力した制御情報を電力線通信により照明器具3へ送信する。なお、本実施形態では通信部23は、各照明器具3と電力線通信をするものとして説明するが、無線通信であってもよく、バス配線(方式)等の1つの通信経路による通信であれば通信方式は特に限定されない。なお、電力線Lは、不図示の受電設備等により複数の照明器具3に電力を供給しているのはいうまでもない。当該受電設備等は制御装置2が備えてもよいし、外部に設けてもよい。
【0019】
照明器具3は、屋内としての道路トンネル内に所定の間隔を空けて設けられた灯具であり、基本照明としてA1~A4、第1入口照明としてB1~B3、第2入口照明としてC1~C3を有している。なお、基本照明は、A4以降も設置されているが紙面の都合上省略する。
【0020】
本実施形態では、入口照明としてB1~B3とC1~C3の2系統を有している。これらの照明器具3は、従来は晴天用と曇天用に系統が分けられていたものである(照明器具3の設置位置等は従来と同じ)。即ち、第1入口照明及び第2入口照明は、屋内に設置され、天候に応じて点灯状態が変化する第1照明及び第2照明として機能する。本実施形態では、後述するように、一方の系統が晴天用、他方の系統が曇天用といった固定的な点灯パターンによる制御は行わない。
【0021】
照明器具3は、
図2に示すように、通信部31と、定電流制御部32と、出力監視部33と、LED光源34と、を備えている。なお、本実施形態は照明器具3として全て同じ照明器具3を利用するとして説明するが、基本照明は常時点灯するので、通信機能を有しなくてもよい。
【0022】
通信部31は、制御装置2と電力線Lを介して接続されている。通信部31は、制御装置2からのLED光源34の輝度調整情報等の制御情報を受信する。また、通信部31には、予めID等の個別の識別情報が付与されており、制御装置2との通信において他の照明器具3と識別できるようになっている。
【0023】
定電流制御部32は、LED光源34を定電流制御するための整流回路や定電流駆動回路等の回路により構成されている。LED光源34を構成する発光ダイオードは一般的に定電流駆動することが知られている。定電流制御部32は、電力線Lを介して交流電力の供給を受け(AC入力)、その交流電力を直流に変換しLED光源34の発光ダイオードを定電流駆動するための電流(出力電流)を生成・出力する。定電流制御部32は、通信部31が受信した輝度調整情報に基づいた電流値となるように制御する。
【0024】
出力監視部33は、定電流制御部32の出力回路に付加されたセンシング回路である。このセンシング回路は通常抵抗素子で構成されるのが一般的である。出力監視部33の監視結果は、定電流制御部32に出力される。そして、定電流制御部32は、出力監視部33の検出結果に基づいて定電流制御部32の動作をフィードバック制御する。これにより、定電流制御部32の出力電流値を調光度(調整すべき輝度)に応じた電流値により適切にLED光源34を調光することができる。
【0025】
LED光源34は、上述したように光源として発光ダイオードを用いている。LED光源34は、定電流制御部32から供給された駆動電流(出力電流)により駆動(発光)される。本実施形態では各照明器具3が通信機能を有することで、個別調光が可能となっているので、入口部照明曲線に応じた輝度に調整が容易であり、最小限の電力で基準の明るさを満足できるようになる。なお、光源としては、調光制御が可能であれば、発光ダイオードでなくてもよい。
【0026】
次に、上述した構成の照明システム1における制御部2の動作を
図4~
図7を参照して説明する。
図4は、制御部2の監視動作(通常動作)のフローチャートである。
【0027】
まず、制御部2は、ID存在検知処理を行う(ステップS11)。このID存在検知処理は、予め設定されたIDとなりうる数値の範囲について、存在の有無を検知するために存在確認情報を送信する。そして、存在確認情報に対して応答があったか否か判断する(ステップS12)。存在確認情報に対して応答がない場合は(ステップS12;なし)、遠隔監視装置等の上位装置へ異常通知を行う(ステップS19)。
【0028】
一方、存在確認情報に対して応答がある場合は(ステップS12;あり)、照明器具3の状態確認のため状態確認情報を送信する(ステップS13)。そして、状態確認情報に対して応答があったか否か判断する(ステップS14)。即ち、電力線L(通信ライン)を介して、照明器具3(複数の機器)の状態情報を取得している。この状態情報としては、例えば照明器具3自身に設定されたIDの他、故障の有無や故障の兆候の有無、あるいは累積点灯時間(運転時間)等が挙げられる。状態確認情報に対して応答がない場合は(ステップS14;なし)、遠隔監視装置等の上位装置へ異常通知を行う(ステップS19)。
【0029】
一方、状態確認情報に対して応答がある場合は(ステップS14;あり)、照明器具3の管理情報と状態確認情報に対する応答とを照合して確認する(ステップS15)。状態確認情報に対する応答には、上述したように、当該照明器具3のID、不点灯状態となっている等の故障の有無や累積点灯時間等が含まれている。
【0030】
管理情報の例を
図5に示す。
図5に示したように、管理情報は、IDと、そのIDが実装か未実装か(対応する照明器具3が設置されているか否か)や対応する照明器具3が入口照明か基本照明か等の識別が含まれている。
【0031】
そして、存在情報と一致したか否か確認する(ステップS16)。存在情報と一致とは、ステップS14で判定した応答に含まれるIDが管理情報で実装されているIDと一致するか確認することである。存在情報と一致した場合は(ステップS16;一致)、上位装置へ状態通知をする(ステップS17)。通知する状態としては、故障の有無または故障予測(故障の兆候の有無)や、累積点灯時間等が挙げられる。
【0032】
一方、存在情報と一致しない場合は(ステップS16;不一致)、上位装置へ通知する(ステップS18)。つまり、管理情報または照明器具3の設定情報にエラー等がある旨通知する。
【0033】
次に、制御部2の割り込み動作を
図6のフローチャートを参照して説明する。制御部は、通常は
図4のフローチャートで説明した監視動作を行っているが、後述する調光制御や時刻同期制御及び特殊制御等を行う際には割り込みを発生させて
図6のフローチャートにより動作する。なお、以下の制御は、ステップS16において存在情報が一致したIDを持つ照明器具3について行われる。即ち、状態情報と管理情報に基づいて照明器具3(複数の機器)を制御している。
【0034】
まず、監視中か否か判定する(ステップS21)。即ち、割り込みがなされたか否かを判定する。監視中である場合、つまり割り込みがされない場合は(ステップS21;YES)、本ステップを繰り返す。つまり監視を継続する。
【0035】
一方、監視中でない場合、つまり割り込みがされた場合は(ステップS21;NO)、調光制御を行う(ステップS22)。調光制御では、照明器具3に対して自動調光部21からの輝度調整情報に基づいて適切な輝度となるように調光するために、各照明器具3に対して対応する輝度調整情報を含む制御情報を生成して通信部23を介して送信する。この制御情報には勿論IDが含まれるため、各照明器具3では自身の制御情報のみを受信することができる。また、この調光制御では点灯時間の偏りを減らすための制御(後述する)も行われる。即ち、照明器具3(複数の機器)の運転時間を均一化させるように制御をしている。詳細は後述する。
【0036】
次に、時刻同期制御を行う(ステップS23)。時刻同期制御とは、照明器具3が計時機能を有する場合に、同期させる制御を行うことである。具体的には、照明器具3と同期させるため時刻情報を制御情報として送信する。
【0037】
次に、特殊制御を行う(ステップS24)。特殊制御とは、照明器具3の初期化等の制御である。なお、時刻同期制御や特殊制御は、必要に応じて行えばよく毎回行わなくてもよい。
【0038】
次に、上述した点灯時間の偏りを減らすための制御について
図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示したフローチャートは、制御部22で実行される。
【0039】
まず、自動調光部21が計測した屋外輝度を示す情報を取得し(ステップS31)、観測(測定)された屋外輝度に基づいて現在の天候が晴天か否か判定する(ステップS32)。天候の判定は、例えば晴天と判定する屋外輝度の閾値を設定し、当該閾値以上であれば晴天と判定するといった周知の方法を用いればよい。
【0040】
現在の天候が晴天であった場合は(ステップS32;Yes)、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)を点灯させる(ステップS33)。つまり、晴天の場合は、全ての照明器具について点灯するように、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)の各系統に属する照明器具3について点灯するように制御情報を送信する。なお、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)については、各照明器具3の設置位置において、晴天時の入口部照明曲線に沿った輝度となるような調光度で点灯するよう制御される。
【0041】
現在の天候が晴天でない場合は(ステップS32;No)、曇天か否か判定する(ステップS34)。曇天の判定も晴天と同様に屋外輝度の閾値等を設定し判定すればよい。現在の天候が曇天の場合は(ステップS34;Yes)、予め定めた切り替え条件として現在までの曇天の回数を判定する(ステップS35)。制御部22では、設置後から曇天と判定された回数を計数しており、今回の曇天が偶数回目か奇数回目か判定する。
【0042】
今回の曇天が奇数回目である場合は(ステップS35;奇数)、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)を点灯させる(ステップS36)。つまり、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)の各系統に属する照明器具3について点灯するように制御情報を送信する。なお、このとき第2入口照明(C1~C3)に属する照明器具3は消灯させる。そのため、第2入口照明に属する照明器具3は消灯するように制御情報を送信する。また、第1入口照明(B1~B3)については、各照明器具3の設置位置において、曇天時の入口部照明曲線に沿った輝度となるような調光度で点灯するよう制御される。
【0043】
今回の曇天が偶数回目である場合は(ステップS35;偶数)、基本照明(A1~A4)、第2入口照明(C1~C3)を点灯させる(ステップS37)。つまり、基本照明(A1~A4)、第2入口照明(C1~C3)の各系統に属する照明器具3について点灯するように制御情報を送信する。なお、このとき第1入口照明(B1~B3)に属する照明器具3は消灯させる。そのため、第1入口照明に属する照明器具3は消灯するように制御情報を送信する。また、第2入口照明(C1~C3)については、各照明器具3の設置位置において、曇天時の入口部照明曲線に沿った輝度となるような調光度で点灯するよう制御される。
【0044】
このように、曇天の場合は、現在までの曇天の回数に応じて第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)を交互に切り替えて点灯させている。即ち、天候が晴天の場合は、第1入口照明(第1照明)、第2入口照明(第2照明)ともに点灯させ、天候が曇天の場合は、第1入口照明(第1照明)、第2入口照明(第2照明)の一方を点灯させ、他方を消灯させている。
【0045】
現在の天候が曇天でない場合は(ステップS34;No)、基本照明を点灯させる(ステップS38)。つまり、基本照明(A1~A4)について点灯するように制御情報を送信する。なお、このとき第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)に属する照明器具3は消灯させる。そのため、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)に属する照明器具3は消灯するように制御情報を送信する。このステップS18は、天候が晴天でも曇天でもない場合(例えば雨天)の点灯処理である。
【0046】
本実施形態によれば、照明システム1は、1つの電力線Lにより接続された複数の照明器具3と、電力線Lを介して複数の照明器具3を制御する制御装置2と、を備えている。そして、複数の照明器具3は、それぞれ個別のIDが付与されている。そして、制御装置2は、複数の照明器具3の管理情報を有し、そして、電力線Lを介して、複数の照明器具3の状態情報を取得し、状態情報と管理情報に基づいて複数の照明器具3を制御している。このようにすることにより、照明器具3の状態監視が遠隔から確実に行え、照明器具3の長寿命化を図ることができる。
【0047】
また、状態情報には、故障の有無及び累積運転時間の少なくともいずれかが含まれているので、故障の有無を迅速に把握することが可能となる。また、累積点灯時間により交換等のメンテナンスの時期を適切に判断することができる。
【0048】
また、照明システム1は、トンネル内に設置され、常時点灯する基本照明(A1~A4)と、トンネル内に設置され、天候に応じて点灯状態が変化する第1入口照明(B1~B3)及び第2入口照明(C1~C3)と、を備え、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)の一方を点灯させ、他方を消灯させる制御部22と、を備えている。そして、制御部22が、天候が晴天の場合は、第1入口照明(B1~B3)、第2入口照明(C1~C3)ともに点灯させ、天候が曇天で、曇天の回数が奇数の場合は、第1入口照明(B1~B3)を点灯させ、天候が曇天で、曇天の回数が偶数の場合は、第1入口照明(B1~B3)を点灯させている。
【0049】
照明システム1が上記のように構成されることにより、天候の曇天の場合は、曇天の回数により第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)を切り替えて使用することができる。したがって、第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)との点灯時間の偏りを減らし、点灯パターンが固定されずバランスの取れた点灯なる。つまり、複数の照明器具3の運転時間を均一化させるように制御することが可能となるため、照明器具3の長寿命化を図ることができる。また、自動調光部21の観測結果を利用できるので、新たなセンサ等の設置が不要であり、低コストに実現することができる。
【0050】
また、照明器具3は、トンネル内に設置され、第1入口照明(B1~B3)及び第2入口照明(C1~C3)は、トンネルの入口付近に設置されているので、入口部照明として機能して、視覚の暗順応に対応させることができる。
【0051】
また、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)及び第2入口照明(C1~C3)は、同一系統の電源ライン及び通信ラインで接続されているので、バス配線により接続することができ、基本照明、晴天用照明、曇天用照明といった系統ごとに配線をする必要がなくなる。したがって、1系統の配線で簡素化することができ、設備費低減や施工時間の短縮化が図れる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる照明システムを
図8を参照して説明する。前述した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態は、構成は第1実施形態と同様であるが、点灯時間の偏りを減らすための制御が異なる。本実施形態にかかる照明システム1における点灯時間の偏りを減らすための制御について
図8のフローチャートを参照して説明する。
【0054】
図8のフローチャートにおいては、ステップS35がステップS35Aに変更となっている。ステップS35Aは、予め定めた切り替え条件として現在の日時を判定する。具体的には曜日を判定する。本日の曜日が月曜日、水曜日、金曜日、日曜日の場合は(ステップS35A;月水金日)、基本照明(A1~A4)、第1入口照明(B1~B3)を点灯させる(ステップS36)。本日の曜日が火曜日、木曜日、土曜日の場合は(ステップS35A;火木土)、基本照明(A1~A4)、第2入口照明(C1~C3)を点灯させる(ステップS37)。勿論点灯していない方の系統は消灯する。即ち、制御部22(点灯制御部)は、現在の日時に応じて第1入口照明(第1照明)と第2入口照明(第2照明)とを切り替えて点灯させている。
【0055】
なお、曜日ではなく、日付で判定してもよい。例えば本日の日付が奇数日(5日、21日など)か偶数日(2日、18日など)かで判定してもよい。あるいは月(奇数月、偶数月)や時刻(奇数時、偶数時)であってもよい。
【0056】
本実施形態によれば、現在の日時(曜日)に応じて第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)とを切り替えて点灯させるので、1日毎に曇天用の照明を切り替えることができ、第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)との点灯時間の偏りを減らし、点灯パターンが固定されずバランスの取れた点灯となり、照明器具3の長寿命化を図ることができる。また、曜日等の判定には、制御装置2にカレンダーを持たせたり、外部から日付情報を取得したりすればよく、機能追加が容易である。
【0057】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態にかかる照明システムを
図9を参照して説明する。前述した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態は、構成は第1実施形態と同様であるが、点灯時間の偏りを減らすための制御が異なる。本実施形態にかかる照明システム1における点灯時間の偏りを減らすための制御について
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0059】
図9のフローチャートにおいては、ステップS35がステップS35Bに変更となっている。ステップS35Bは、予め定めた切り替え条件として第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)の累積点灯時間を判定する。具体的には、第1入口照明の累積点灯時間<第2入口照明の累積点灯時間の関係が成立する場合は第1入口照明(B1~B3)を点灯させる(ステップS36)。第1入口照明の累積点灯時間>第2入口照明の累積点灯時間の関係が成立する場合は第2入口照明(C1~C3)を点灯させる(ステップS37)。勿論点灯していない方の系統は消灯する。即ち、制御部22(点灯制御部)は、第1入口照明(第1照明)及び第2入口照明(第2照明)それぞれの累積点灯時間に応じて第1入口照明(第1照明)と第2入口照明(第2照明)と切り替えて点灯させている。
【0060】
累積点灯時間は、状態情報により各照明器具3が算出した累積点灯時間を通信により制御部22が取得する。あるいは、制御部22が点灯を指示してから消灯を指示するまでの時間を累積してもよい。
【0061】
本実施形態によれば、制御部22は、第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)それぞれの累積点灯時間に応じて第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)とを切り替えて点灯させるので、第1入口照明(B1~B3)と第2入口照明(C1~C3)との点灯時間の偏りを減らし、点灯パターンが固定されずバランスの取れた点灯となり、照明器具3の長寿命化を図ることができる。特に累積点灯時間により切り替えるため、点灯時間の偏重をより精度良く管理できる。
【0062】
なお、上述した実施形態では、第1入口照明と第2入口照明とは別の照明器具3として構成したが、例えば1つの照明器具として、発光領域を分割することで第1入口照明と第2入口照明として機能するようにしてもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、入口照明として第1入口照明と第2入口照明の2系統を設けたが、基本照明と1系統の入口照明としてこれらの照明に本発明を適用してもよい。そして、基本照明のうち入口照明の設置範囲については、本実施形態のように天候に応じて消灯するようにしてもよい。勿論入口部照明曲線といった基準とする輝度は満たすために制御装置2から輝度調整情報を含む制御情報を送信する。
【0064】
あるいは、
図1に示した構成で基本照明も曇天の場合は消灯するように制御してもよい。例えば曇天の回数の場合であれば、回数に応じて消灯する照明を第1入口照明、第2入口照明、基本照明の順に点灯(あるいは消灯)するようにすればよい。このとき、消灯する基本照明はトンネル等の入口付近のみとする。
図1の構成では、制御装置2からの通信で点灯の制御をしているので、このような制御は可能である。つまり、3系統以上ある場合であっても、そのうち1つが第1照明、他の1つが第2照明として機能すればよい。
【0065】
また、上述した実施形態では通信システムの例として照明システム1で説明したが、それに限らない。例えば、街路灯や交通表示板等の1つの通信ラインにより接続された複数の機器と、通信ラインを介して複数の機器を制御する制御装置と、を備え、制御装置が複数の機器を制御するシステムであれば適用できる。また、照明機器等に限らず、コンピュータ端末等の機器であってもよい。
【0066】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の通信システムの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 照明システム(通信システム)
22 制御部(制御装置)
3 照明器具(複数の機器)
A1~A4 基本照明
B1~B3 第1入口照明(第1照明)
C1~C3 第2入口照明(第2照明)