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特許7532190バルーン表面の温度測定によるバルーンカテーテルアブレーション電極のタッチ表示
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】バルーン表面の温度測定によるバルーンカテーテルアブレーション電極のタッチ表示
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020171000
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2021062210
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-08-29
(31)【優先権主張番号】16/598,503
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エイド・アダウィ
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー・ロム
(72)【発明者】
【氏名】ナクディモン・ニシム・レビー
(72)【発明者】
【氏名】エリヤフ・ラブナ
(72)【発明者】
【氏名】シュムエル・アウアーバッハ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136356(JP,A)
【文献】特開2017-217473(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0223704(US,A1)
【文献】特表2009-500052(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276709(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
カテーテルであって、
患者の器官内の標的位置で前記器官の空洞に挿入するためのシャフトであって、流体を流して一時的な血液の特性を引き起こすための内腔を有する、シャフトと、
前記シャフトの遠位端に連結された拡張可能なバルーンであって、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサとを備え、前記1つ又は2つ以上のセンサが、前記血液の特性を測定するように各々構成されている、拡張可能なバルーンと、を備える、カテーテルと、
プロセッサであって、
測定された前記血液の特性に基づいて、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように、かつ
各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示をユーザーに出力するように、構成された、プロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、温度センサを備え、前記血液の特性が、温度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記血液の特性が、双極電気インピーダンスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記第2の電極が、基準電極であり、前記血液の特性が、単極電気インピーダンスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記第2電極が、基準電極であり、前記血液の特性が、単極電気インピーダンスを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、pHセンサを備え、前記血液の特性が、pHを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記血液の特性が前記流体の流れを止めた後に元の値に戻る速度を推定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記流体の流れの開始から前記血液の特性が定常値に達するまでの持続時間を推定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、各電極の近くに到達した前記血液の特性の極値を判定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体が、冷却材を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体が、生理食塩水を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記空洞が、心臓の肺静脈及び心臓の左心房のうちの1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用プローブに関し、具体的には、心臓高周波(radiofrequency、RF)バルーンアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
遠位端に生物物理学的センサを装備した医療用プローブは、以前に特許文献で提案されていた。例えば、米国特許出願公開第2014/0276709号は、アブレーションカテーテルを含む医療システムを説明している。アブレーションカテーテルは、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間に配置された管腔を備えた細長いシャフトを含む。アブレーションカテーテルはまた、管腔と流体連通している膨張可能な要素、第1の温度を測定するように動作可能な第1の温度センサ、及び第2の温度を測定するように動作可能な第2の温度センサを含む。第1の温度センサ及び第2の温度センサは、膨張可能な要素の少なくとも一部によって長手方向に互いに分離されている。膨張流体の連続的な流れを使用して、第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との間の温度差が維持される。温度差を維持すると、閉塞の評価が容易になり得る。具体的には、完全な閉塞がある場合、第1の温度センサの第1の温度は、第2の温度センサの第2の温度よりも摂氏数度低くなる。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2016/0157914号は、病変の質を予測するための方法、システム、及びデバイスを説明している。具体的には、病変の質は、生理食塩水注入を使用した肺静脈閉塞の評価、及び治療デバイスの低温バルーンの遠位に位置する熱電対によって記録された温度測定の評価に基づいて予測され得る。閉塞の質は、熱電対によって記録された温度がおよそ32℃からおよそ38℃に上昇するのに要する時間、所定の期間にわたる温度変化率、及び/又一定量の造影剤を含む生理食塩水の肺静脈内の散逸率に基づいて評価することができる。例えば、閉塞の質は、良い、中程度、又は悪いと評価することができる。この評価は、迅速かつ簡単にオペレータに伝えることができる。
【0004】
米国特許出願公開第2008/0097422号は、組織領域と接触して電極構造体を展開するシステム及び方法を説明している。電極構造体は、電極構造体の既知の位置にセンサを担持して、動作状態を監視する。システム及び方法は、電極構造体の理想化された画像及び電極構造体上のセンサの位置に対応する理想化された画像上の空間位置における監視された動作状態を表すインジケータ画像を生成するインターフェースを提供する。インターフェースは、理想化された画像及びインジケータ画像を含むビュー画像を表示する。システム及び方法は、ビュー画像が表示画面に表示されている間に電極構造体にエネルギーを加えて組織領域を加熱させる。一実施形態では、各電極は、1つ又は2つ以上の温度センサを担持する。各電極は、2つの温度センサを担持することができ、一方は、電極の露出した遠位端付近の温度条件を検知し、他方は、電極の外側の電気的に絶縁された位置の温度条件を検知する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、方法を提供し、本方法は、カテーテルの遠位端に連結された拡張可能なバルーンを患者の器官内の標的位置に位置決めすることであって、拡張可能なバルーンが、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサと、を含み、1つ又は2つ以上のセンサが、血液の特性を測定するように各々構成されている、位置決めすることを含む。拡張可能なバルーンは、標的位置で拡張される。流体は、カテーテルの内腔を通して、各電極の近くの血液に流れる。血液の特性の時間依存性は、各電極の近接する、1つ又は2つ以上のセンサを介して測定される。プロセッサを使用して、血液の特性の測定された依存性に基づいて、各電極が組織と物理的に接触しているか否かが判定される。各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示は、ユーザーに出力される。
【0006】
いくつかの実施形態では、流体を流すことは、バルーンを介して灌注流体を連続的に適用することを含む。他の実施形態では、流体を流すことは、流体をボーラス注入することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサの各々は、温度センサを含み、血液の特性は、温度を含む。
【0008】
一実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサの各々は、第1の電極及び第2の電極を含み、血液の特性は、双極電気インピーダンスを含む。別の実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサの各々は、第1の電極及び第2の電極を含み、第2の電極は、基準電極であり、血液の特性は、単極電気インピーダンスを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサの各々は、pHセンサを含み、血液の特性は、pHを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、血液の特性のベースラインを判定することと、ベースラインを測定された時間依存性と比較することと、を含む。
【0011】
一実施形態では、ベースラインを判定することは、組織と接触しないように意図的に操作される電極の1つ又は2つ以上のセンサを使用して血液の特性を測定することを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、血液の特性が流体の流れを止めた後に元の値に戻る速度を推定することを含む。他の実施形態では、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、流体の流れの開始から血液の特性が定常値に達するまでの持続時間を推定することを含む。
【0013】
一実施形態では、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、各電極の近くに到達した血液の特性の極値を判定することを含む。
【0014】
別の実施形態では、特性の依存性を測定することは、特性を較正された特性と比較することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、流体は冷却剤を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、流体は生理食塩水を含む。
【0017】
一実施形態では、流体を流すことは、対照流体を注入するために使用される管腔を通して流体を注入することを含む。別の実施形態では、流体を流すことは、バルーン内の灌注孔を通して流体を注入することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、空洞は、心臓の肺静脈及び心臓の左心房のうちの1つを含む。
【0019】
本発明の実施形態によれば、カテーテルとプロセッサとを含むシステムが更に提供される。カテーテルは、患者の器官内の標的位置で器官の空洞に挿入するためのシャフトであって、流体を流して一時的な血液の特性を引き起こすための内腔を有する、シャフトを含む。カテーテルは更に、シャフトの遠位端に連結された拡張可能なバルーンであって、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサとを備え、1つ又は2つ以上のセンサは、血液の特性を測定するように各々構成されている、拡張可能なバルーンを含む。プロセッサは、測定された血液の特性の依存性に基づいて、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定し、各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示をユーザーに出力するように構成されている。
【0020】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による、カテーテルベースの位置追跡及びバルーンアブレーションシステムの概略絵図である。
図2】本発明の実施形態による、肺静脈(pulmonary vein、PV)及びその小孔の領域に配備された図1のバルーンカテーテルの遠位端の概略絵画側面図である。
図3】本発明の実施形態による、図1のバルーンカテーテルの2つのアブレーション電極に近接する検知された温度のプロットを時間の関数として示すグラフである。
図4】本発明の実施形態による、図1のバルーンカテーテルのアブレーション電極のタッチを示す方法を概略的に示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態による、RFアブレーション中を含む、図1のバルーンカテーテルのアブレーション電極の近くで検知された温度を時間の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
概論
心臓内バルーンカテーテルなどの医療用プローブを使用して効率的なアブレーションを行うには、組織がアブレーションされる前に、バルーン上に配置されたアブレーション電極が組織と良好に物理的に接触していることが重要である。例えば、肺静脈(PV)隔離の場合、全てのアブレーション電極は、PVの小孔の外周に良好に接触するべきである。しかしながら、例えば、遠位血管(例えば、PVの)の閉塞をチェックすることにより、小孔のそのような組織との良好な接触をチェックすることは冗漫であり、従来、透視法のような別のモダリティに依存している。更に、完全閉塞がない場合、蛍光透視法を使用して、どの特定のアブレーション電極が良好な組織接触を有しないかを特定することは困難である。
【0023】
本明細書に説明される本発明の実施形態は、例えば、アブレーションの直前に、心臓バルーンのアブレーション電極が組織にいかにうまくタッチするかどうかを監視するための改善された技術を提供する。開示された技術は、局部灌注及び/又は血液とは異なる性質を有する流体の注入を使用して電極の物理的接触の程度を推定し、結果として生じる血液性質の一時的変化を測定することができるシステム及び方法を提供する。血液性質の検知された一時的変化に基づいて、プロセッサは、バルーンアブレーションカテーテルの各アブレーション電極が組織にタッチしているか否かを判定することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、システムが提供されており、システムはカテーテルを含み、カテーテルは、(i)患者の器官内の標的位置で器官の空洞に挿入するためのシャフトであって、シャフトは、内腔を有し、内腔は、流体を流して一時的な血液の特性を引き起こすように構成されている、シャフトと、(ii)シャフトの遠位端に連結された拡張可能なバルーンであって、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサとを含み、1つ又は2つ以上のセンサが、血液の特性を測定するように各々構成されている。システムは更に、プロセッサを含み、プロセッサは、(a)測定された血液の特性の依存性に基づいて、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように、かつ、(b)各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示をユーザーに出力するように構成されている。
【0025】
一実施形態では、プロセッサは、血液の特性のベースラインを判定することと、ベースラインを測定された時間依存性と比較することとによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定する。場合によっては、ベースラインを判定することは、組織と接触しないように意図的に操作される電極の1つ又は2つ以上のセンサを使用して血液の特性を測定することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、血液の特性が流体の流れを止めた後に元の値に戻る速度を推定することにより、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定する。別の実施形態では、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、各電極の近くに到達した血液の特性の極値を判定することを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のセンサの各々は、温度センサを含み、血液の特性は、温度を含む。生理食塩水などの血液に冷却効果を有する流体は、灌注孔を通って血流へとバルーンから圧送される。バルーンのアブレーション電極の各々に配置された1つ又は2つ以上の温度センサは、流体の放出後に(電極の各々の)温度対時間を取得する。温度プロファイル(経時的な温度変動)は、電極が組織と良好に接触しているか否かに応じて異なる。
【0028】
別の実施形態では、温度に対する促進された一時的な効果を達成するために、例えば、低温の生理食塩水又はグルコース溶液などの冷却流体を、造影流体を注入するために使用される管腔などの別個の管腔を通して注入することができる。
【0029】
一実施形態では、各電極に近接する時間における血液の特性の依存性を測定することは、較正された特性と特性を比較することを含む。例えば、身体内の血液温度と比較して、所与の低温を有する冷却剤が調製される。冷却剤注入後、組織と接触している電極の温度と血液と接触している電極の温度との間の結果として得られるピーク差は、元の冷却剤温度に対して較正することができる。較正に基づいて、現場の医師は、電極と組織の間の物理的接触が実際に達成されたことを示す、電極温度の予想されるピーク差について予測する。
【0030】
他の物理的効果は、開示された技術を用いて、必要な変更を加えて、生成、検知、及び分析することができる。例えば、圧送又は注入された流体は、血液のpHに局部的に影響を及ぼし、バルーンのアブレーション電極の各々に配置されたpHセンサは、流体の放出後、(各電極の)時間に対して異なるpHを取得する。別の例として、圧送又は注入された流体は、血液のCO含有量に局部的に影響を与える可能性があり、バルーンのアブレーション電極の各々に配置されたCOセンサは、流体の放出後、(各電極の)時間に対して異なるPCOを取得する。PCOは、本明細書では、血液中の二酸化炭素の分圧として定義される。上記の物理的影響の各々におけるピーク及び/又は定常状態の差は、これらの値(i)血中、(ii)体内、及び(iii)体外液中の差にも関連しており、これらの関連は、較正することができる。予測は、予想されるピーク差で行うことができ、予測は、物理的接触のレベルを示すために使用される。
【0031】
一実施形態では、2つの電極で作製されたセンサは、血液及び心臓組織を介して電極間インピーダンスに異なる影響を与える一時的な血液性質の関数として、双極電気インピーダンスの変化を測定する。別の実施形態では、センサは、一時的な血液性質の関数として単極電気インピーダンスを測定するために、1つの電極及び基準電極を使用する。例えば、血液のインピーダンスは、圧送された生理食塩水の存在下で変化し、2つの異なるセンサを有するインピーダンス及び温度プロファイルの両方を測定することは、技術を更に改善することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、開示された技術に基づいて、プロセッサは更に、ノータッチとフルタッチとの間のスケールでタッチ値を提供し、バルーンの全ての電極のタッチ値を視覚的に示すように構成される。
【0033】
電極ごとに組織タッチ表示をアブレーションバルーンの全周囲にわたって提供することにより、開示された技術は、組織に対するバルーンカテーテルの位置決めの精度を改善し、それによってバルーンアブレーションの有効性を改善することができる。更に、開示された技術は、造影剤を使用してX線透視撮像を必要とせず、したがって患者及び医師の両方に安全である。
【0034】
したがって、開示された技術は、組織との個々のバルーン電極タッチの完全かつ安全なリアルタイム評価を提供し、不整脈の治療として、肺静タッチ脈(PV)隔離などの心臓バルーンアブレーション治療の結果を改善し得る。
【0035】
システムの説明
図1は、本発明の例示的な一実施形態による、カテーテルに基づく位置追跡及びバルーンアブレーションシステム20の概略的な描写図である。システム20は、挿入図25に見られるように、カテーテルのシャフト22の遠位端22aにRFアブレーション拡張可能なバルーン40が嵌め込まれたカテーテル21を含む。挿入図25に更に示されるとおり、遠位端22aは、拡張可能なバルーン40のすぐ近位の遠位端22a内に収容されている磁気センサ39を備える。
【0036】
カテーテル21の近位端は、制御コンソール24に接続されている。コンソール24は、システム20が遠位端22aに提供される灌注を制御することを可能にする灌注モジュール46を含む。本明細書に説明される実施形態では、カテーテル21は、心臓26内の組織の電気的検知及び/又は高周波(RF)アブレーションなどの任意の好適な治療及び/又は診断目的で使用することができる。その機能を実行するために、システム20は、温度検知モジュール49を更に含み、この機能は、以下に説明されている。
【0037】
医師30は、シース23を介してシャフト22の遠位端22aを、台29に横たわる患者28の心臓26に挿入する。医師30は、カテーテルの近位端部付近にあるマニピュレータ32、及び/又はシース23からの偏向を使用してシャフト22を操作することによって、心臓26内の標的位置へシャフト22の遠位端をナビゲートする。遠位端22aの挿入中に、バルーン40は、シース23によって畳み込まれた構成で維持されている。バルーン40を畳み込まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置までの経路に沿って血管外傷を最小限に抑える働きをする。
【0038】
心臓26内の遠位端22aのナビゲーションの間、コンソール24は、例えば、心臓内のアブレーションバルーン40の位置を測定し、任意選択的に、追跡された位置をディスプレイ27上に提示する目的のために、外部磁場発生器36からの磁場に応答して磁気センサ39から信号を受信する。磁場発生器36は、例えば、患者の台29の下など、患者28の外部の既知の位置に配置される。コンソール24はまた、磁場発生器36を駆動するよう構成されているドライバ回路34を備える。
【0039】
ある実施形態では、位置センサ39から受信した位置信号は、位置追跡及びアブレーションシステム20の座標系におけるアブレーションバルーン40の位置を示す。外部磁場を使用するこの位置検知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に説明されており、これらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
シャフト22の遠位端22aが標的位置に到達すると、医師30は、シース23を後退させ、バルーン40を膨張させ、図2において説明されるように、シャフト22を更に操作してバルーン40を肺静脈の小孔と接触させる。見て分かるように、バルーン40は、バルーン40の外周上に配置された複数のRFアブレーション電極44を備える。各電極構造体は、図2に示す1つ又は2つ以上の温度センサを含む。
【0041】
制御コンソール24は、カテーテル21からの信号を受信するとともに、心臓26の左心房内でカテーテル21を介して治療を施し、更にシステム20の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインターフェース回路38を備えたプロセッサ41、典型的には汎用コンピュータを備える。プロセッサ41は、典型的には、本明細書に説明される機能を実行するようにプログラムされた、システム20のメモリ48内のソフトウェアを含む。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは記憶されてもよい。具体的には、プロセッサ41は、以下で更に説明するように、本開示の工程をプロセッサ41が行うことを可能にする、図4に含まれている、本明細書に開示される専用アルゴリズムを実行する。
【0042】
バルーン表面の温度測定によるバルーンカテーテルアブレーション電極のタッチ表示
図2は、本発明の実施形態による、肺静脈(PV)13及びその小孔11の領域に配備された図1のバルーンカテーテルの概略絵画側面図である。バルーンカテーテルは、不整脈の原因を隔離するために小孔11の組織をアブレーションするために使用される。バルーン40は、10個の大面積電極50がその上に配置された、HELIOSTAR多電極RFバルーンアブレーションカテーテル(Biosense Websterにより作製)で使用されるバルーンと同様であり得る。損傷生成中に、組織に応じて、異なるレベルのRFエネルギーを10個の電極の各々に独立して送達することができる。加えて、HELIOSTARバルーン設計は、単一のRFエネルギーを適用したPV隔離などの隔離を達成することができる。
【0043】
図2に見られるように、遠位端22aは、生理食塩水などの流体が流れることができる内腔57を含む。バルーン40は、流体(例えば、生理食塩水)がバルーン40の内部から出て、小孔11の組織アブレーション部位を冷却することができる灌注孔55が形成された外部膜を有する。図2は、ジェットストリームとしてバルーン40を出る流体を示しているが、流体は、流体がバルーンから染み出る速度を含む、任意の所望の流量又は圧力でバルーンを出ることができることが理解される。
【0044】
図2に更に見られるように、バルーン40の膜は、アブレーション電極50を支持及び担持し、1つ又は2つ以上の温度センサ60が各電極構造体に含まれる。センサ60によって測定された温度は、以下に説明されるように、小孔組織によるアブレーション電極のタッチを表示するために使用される。
【0045】
図2に示される側面描写図は、他の実施形態が可能である例として選択されている。例えば、別の実施形態では、冷却流体は、造影流体を注入するために現在使用されている管腔など、別個の管腔(図示せず)を通ってPV13に出ることができる。
【0046】
生理食塩水潅注の方法
図3は、本発明の実施形態による、図1のバルーンカテーテルの2つのアブレーション電極に近接する検知された温度のプロット70及び72を時間の関数として示すグラフである。プロット70及び72は、組織と接触している電極50及び接触していない電極50のそれぞれの温度が、開示されたタッチ検出プロセス中の期間にわたってどのように変化するかを示している。グラフは、図5に説明されるアブレーションの影響を含まないことに留意されたい。
【0047】
最初は、約t=0以前の時点で、灌注はまだ低流量(例えば、5mL/分)であり、バルーン40が収縮し、電極温度が血液温度(37℃)とほぼ同じに保たれる。次いで、時間t=0の数秒以内に、例えば、医師がアブレーションを準備することによって、高流量(例えば、35mL/分)の灌注が適用される。灌注生理食塩水は、図2に示されるように灌注孔55を通ってバルーン40から流れ、バルーン40も完全に膨張する。その時点で、時間t=0の数秒後、バルーン40は、例えば、小孔11と接触して標的組織に既に位置決めされている。ここで、医師が組織と接触してしっかりと位置決めされている、バルーン40は、多分、セグメント的な漏れ領域を除いて、おそらくPV13を閉塞する。
【0048】
左側(t=28秒まで)に示されているように、閉塞電極上(プロット70は良好な接触を示す)及び非閉塞電極(プロット72は不良な接触を示す)のセンサの結果として得られる温度と時間のプロットの大きさの違いがある。
【0049】
冷却剤注入方法
時間t=28秒(ライン74)で、医師は別のルーメンを通して少量の冷却された希釈液(例えば、20mLの生理食塩水又は低温のグルコース)をPV13に注入する。この注入は、手動で、又はポンプによって自動的に、数秒などの短い時間間隔で実施され、正確な時間は容量と注入速度に依存するが、冷却液のブースト注入(ボーラス)としても説明され得る。
【0050】
注入された冷却液により、両方のセンサが検知する血液の温度が更に急速に低下するが、プロット72では接触が不十分なため、特に急激に低下し、温度が時間t=32秒(ライン76)の数秒後に34℃から約27℃に低下する。
【0051】
急速温度降下を引き起こす1つの機構は、血流自体であり、ここで、冷却された流動血液は、電極からの対流によって熱を除去する。電極が組織に接触している場合、組織を介した、及びバルーン膜(バルーン内の冷たい生理食塩水へ)を介した熱伝導の機構が遅くなるため、温度低下の効果が遅く、穏やかになる。
【0052】
図3に示すように、2つの電極の温度は、t=32秒後の回復率が大きく異なり、閉塞領域の温度は、低いまま(約26℃)、一方漏れ領域の温度は、急速に30℃まで上昇する。更に見られるように、65<t<105秒の間、異なる定常状態温度の期間75及び77は、それぞれ約26℃対約30℃に到達する。閉塞電極と非閉塞電極の間で測定された4度(4℃)の差は、部分閉塞を検出するために使用することができ、並びにバルーンの周囲で部分閉塞が発生した場所を検出できるため、医師は、バルーンカテーテルの小孔11との接触を改善することができる。
【0053】
最後に、時間t=105秒(ライン78)で閉塞物を解放すると、全ての電極の温度は、血液温度(約37℃)に戻る。閉塞状態は、例えば、アブレーションが実施された後にバルーン40を後退させることによって除去され、小孔11は、血流に完全に再開放される。
【0054】
図3のプロットは、例として挙げたものである。ブースト注入は、単独で適用されてもよく、又は、例えば、冷却を早めるために、灌注に加えることができる。灌注を単独で使用すると、同様の定常状態の温度が達成され、接触している電極及び接触していない電極では、それぞれ約26℃対約30℃になる。
【0055】
他の流体タイプ及び検知方法は、閉塞電極と非閉塞電極との間の測定可能な差を生成することができる。例えば、低張又は高張食塩水のいずれかが注入されてもよく、結果として得られる、電極における圧力センサによって測定される一時的な血圧波が得られる。上記のように、pHやCOの含有量などの一時的な血液の化学的性質は、関連する流体が注入され、関連するセンサが電極に配置されている場合にも使用することができる。
【0056】
図4は、本発明の実施形態による、図1のバルーンカテーテルのアブレーション電極50のタッチを表示する方法を概略的に示すフローチャートである。提示された実施形態によれば、アルゴリズムは、医師30がバルーンカテーテル位置決め工程80で、小孔11などの患者の器官の空洞内の標的位置にバルーンカテーテルを位置決めするときに始まるプロセスを実行する。次に、医師30は、バルーン拡張工程82において、例えば、バルーン40を膨張させて灌注速度を増加させて空洞を閉塞することによって、バルーン40を拡張する。この段階で、医師30は、バルーン40を更に操作して、拡張されたバルーン40を、例えば、小孔11の全周にわたって組織とより強く接触させることができる。次に、冷却剤注入工程84において、医師30は、カテーテルの内腔を通して冷却された流体を注入する。次の温度監視工程86で、プロセッサ41は、1つ又は2つ以上の温度センサからの測定値を使用して、アブレーション電極の近くで結果として得られる温度を監視する。プロセッサ41は、各電極に近接して一定の持続期間(通常、数十秒)にわたって到達及び維持される温度降下量及び/又は定常状態温度を監視することができる。
【0057】
その後のタッチ監視工程88では、プロセッサ41は、監視された結果として得られる温度に基づいて、各バルーン電極当たりのタッチ表示を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、タッチ表示は、音声及び/又は視覚バイナリ表示(タッチ/非タッチ)である。他の実施形態では、ファジーメトリックタッチ表示が使用され、電極がどれだけタッチしているかを示す(100%=完全タッチ、0%=タッチなし、90%=ほぼ完全タッチなど)。ファジー表示は、異なる色の陰影、異なる音ピッチ、異なる音ボリューム、百分率、ゲージなどの表示された数などとして実装することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ41は、タッチなしと完全タッチとの間の範囲のタッチインデックスを提供し、バルーン電極当たりのタッチインデックスを視覚的に表示するように更に構成される。
【0059】
最後に、表示工程90において、プロセッサ41は、評価された物理的接触を医師30に表示する。
【0060】
図4に示す例示的なフローチャートは、純粋に概念を明確にする目的で選択されている。代替的な実施形態では、造影剤の注入、続いて蛍光透視撮像などの追加の工程が実施されてもよい。接触力検知はまた、アブレーション前のバルーン位置決めの品質を監視するために適用されてもよい。
【0061】
図5は、本発明の実施形態による、RFアブレーション中を含む、図1のバルーンカテーテルのアブレーション電極の近くで検知された温度を時間の関数として示すグラフである。図5は、開示された技術の臨床試験中に得られた。
【0062】
プロット170及び172は、組織と接触している2つの電極50及び接触していない電極50のそれぞれの温度が、開示されたタッチ検出プロセス中の期間にわたってどのように変化するかを示している。
【0063】
最初は、約t=4200より前の時点で、灌注はまだ低流量(例えば、5mL/分)であり、バルーン40が収縮し、電極温度がやや低い血液温度(すなわち約35℃に)とほぼ同じに保たれる。次いで、時間t=4200秒後の数秒以内に、医師がアブレーションを準備することによって、高流量(例えば、35mL/分)の灌注が適用される。
【0064】
図5(に示されているように、t=4200秒の直後、閉塞電極上(プロット170は良好な接触を示す)及び非閉塞電極(プロット172は不良な接触を示す)のセンサの結果として得られる温度と時間のプロット間に大きな差が発現する。定常状態の温度相において、4260<t<4310の時間の間、2つの閉塞領域内の温度は、低いままであり(約27.5℃)、漏れ領域温度は、31℃まで急速に上昇する。典型的に、組織との接触が良好ではない電極の温度は、血液の温度(すなわち、約37℃)により大きく影響され、プロット172に示すように、漏れ領域の温度が急速に上昇する。
【0065】
更に見られるように、RFアブレーション中、4310<t<4360秒で、開示された技術によって組織と良好に接触していることが見出された電極は、45℃~50℃の範囲の臨床的に有効なアブレーション温度に達する。一方、開示された技術によって組織との接触が悪いことが判明した電極は、RFエネルギーを周囲の流れる血液に放散するため、35℃を超えて大幅に加熱することはできない。
【0066】
温度を測定することに加えて、アブレーション電極の各々と患者の皮膚に取り付けられた表面電極との間のインピーダンスを測定することが可能であり得る。インピーダンスの変化は、電極が組織に接触するタイミングで、閉塞電極の温度の大幅な低下に対応して(すなわち、プロット170と良好に対応して)観察可能であり得る。一方、非閉塞電極では、バルーンが膨張した後も電極が血液に浸されているため、インピーダンス応答は(時間の関数として)フラットのままであると予想される。両方の検出方法(すなわち、温度変化とインピーダンス応答)を使用すると、開示された技術の精度を改善し得る。
【0067】
本明細書で説明する実施形態は主に肺静脈隔離に対処するが、本明細書で説明する方法及びシステムは、電気生理学的マッピング及び腎除神経など、閉塞の決定を必要とする他の用途でも使用することができる。
【0068】
したがって、上で説明される実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上で具体的に図示及び説明されるものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上で説明される様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、従来技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれる文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
カテーテルの遠位端に連結された拡張可能なバルーンを患者の器官内の標的位置に位置決めすることであって、前記拡張可能なバルーンが、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサとを備え、前記1つ又は2つ以上のセンサが、血液の特性を測定するように各々構成されている、位置決めすることと、
前記拡張可能なバルーンを前記標的位置で拡張させることと、
前記カテーテルの内腔を通して、各電極の近くの血液に流体を流すことと、
前記1つ又は2つ以上のセンサを介して、各電極に近接する前記血液の特性の時間依存性を測定することと、
前記血液の特性の測定された前記依存性に基づいて、プロセッサを使用して、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することと、
各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示をユーザーに出力することと、を含む、方法。
(2) 前記流体を流すことが、前記バルーンを介して灌注流体を連続的に適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記流体を流すことが、前記流体をボーラス注入することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、温度センサを備え、前記血液の特性が、温度を含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記血液の特性が双極電気インピーダンスを含む、実施態様1に記載の方法。
【0070】
(6) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記第2の電極が、基準電極であり、前記血液の特性が、単極電気インピーダンスを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、pHセンサを備え、前記血液の特性が、pHを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することが、前記血液の特性のベースラインを判定することと、前記ベースラインを測定された前記時間依存性と比較することと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記ベースラインを判定することが、組織と接触しないように意図的に操作された電極の前記1つ又は2つ以上のセンサを使用して前記血液の特性を測定することを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、前記血液の特性が前記流体の流れを止めた後に元の値に戻る速度を推定することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0071】
(11) 各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することは、前記流体の流れの開始から前記血液の特性が定常値に達するまでの持続時間を推定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定することが、各電極の近くに到達した前記血液の特性の極値を判定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(13) 前記特性の前記依存性を測定することが、前記特性を較正された特性と比較することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記流体が、冷却材を含む、実施態様1に記載の方法。
(15) 前記流体が、生理食塩水を含む、実施態様1に記載の方法。
【0072】
(16) 前記流体を流すことが、造影流体を注入するために使用される管腔を通して前記流体を注入することを含む、実施態様1に記載の方法。
(17) 前記流体を流すことが、前記バルーンの灌注孔を通して前記流体を注入することを含む、実施態様1に記載の方法。
(18) 前記空洞が、心臓の肺静脈及び心臓の左心房のうちの1つを含む、実施態様1に記載の方法。
(19) システムであって、
カテーテルであって、
患者の器官内の標的位置で前記器官の空洞に挿入するためのシャフトであって、流体を流して一時的な血液の特性を引き起こすための内腔を有する、シャフトと、
前記シャフトの遠位端に連結された拡張可能なバルーンであって、複数の電極と、各電極に近接する1つ又は2つ以上のセンサとを備え、前記1つ又は2つ以上のセンサが、前記血液の特性を測定するように各々構成されている、拡張可能なバルーンと、を備える、カテーテルと、
プロセッサであって、
前記血液の特性の測定された前記依存性に基づいて、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように、かつ
各電極が組織と物理的に接触しているか否かの表示をユーザーに出力するように、構成された、プロセッサと、を備える、システム。
(20) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、温度センサを備え、前記血液の特性が、温度を含む、実施態様19に記載のシステム。
【0073】
(21) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記血液の特性が、双極電気インピーダンスを含む、実施態様19に記載のシステム。
(22) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記第2の電極が、基準電極であり、前記血液の特性が、単極電気インピーダンスを含む、実施態様19に記載のシステム。
(23) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、第1の電極及び第2の電極を備え、前記第2電極が、基準電極であり、前記血液の特性が、単極電気インピーダンスを含む、実施態様19に記載のシステム。
(24) 前記1つ又は2つ以上のセンサの各々が、pHセンサを備え、前記血液の特性が、pHを含む、実施態様19に記載のシステム。
(25) 前記プロセッサは、前記血液の特性のベースラインを判定することと、前記ベースラインを測定された前記時間依存性と比較することと、によって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
【0074】
(26) 前記プロセッサは、前記血液の特性が前記流体の流れを止めた後に元の値に戻る速度を推定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
(27) 前記プロセッサは、前記流体の流れの開始から前記血液の特性が定常値に達するまでの持続時間を推定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
(28) 前記プロセッサは、各電極の近くに到達した前記血液の特性の極値を判定することによって、各電極が組織と物理的に接触しているか否かを判定するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
(29) 前記プロセッサが、前記特性を較正された特性と比較することによって、前記特性の依存性を測定するように構成されている、実施態様19に記載のシステム。
(30) 前記流体が、冷却材を含む、実施態様19に記載のシステム。
【0075】
(31) 前記流体が、生理食塩水を含む、実施態様19に記載のシステム。
(32) 前記空洞が、心臓の肺静脈及び心臓の左心房のうちの1つを含む、実施態様19に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5