(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】分光モジュール
(51)【国際特許分類】
G01J 3/36 20060101AFI20240805BHJP
G01J 3/51 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G01J3/36
G01J3/51
(21)【出願番号】P 2020171145
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020000938
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】村上 和雅
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532293(JP,A)
【文献】特開2012-242117(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173992(JP,U)
【文献】特開平10-078353(JP,A)
【文献】米国特許第6650357(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0108719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01J 4/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配列された複数のビームスプリッタと、
前記複数のビームスプリッタに対して前記第1方向と交差する第2方向における一方の側に配置され、それぞれが前記複数のビームスプリッタのそれぞれと向かい合う複数のバンドパスフィルタと、
前記複数のバンドパスフィルタに対して前記第2方向における前記一方の側に配置され、それぞれが前記複数のバンドパスフィルタのそれぞれと向かい合う複数の受光領域を有する光検出器と、
前記複数のバンドパスフィルタと前記光検出器との間に配置された遮光部と、を備え、
前記遮光部は、前記複数のバンドパスフィルタから前記複数の受光領域に至る複数の光路のそれぞれが通る光通過空間を介在させつつ前記第1方向に沿って配列された複数の壁部を有し、
前記複数の壁部のうち隣り合う第1壁部及び第2壁部は、前記複数のバンドパスフィルタのうち前記第1壁部及び前記第2壁部の間の前記光通過空間に対応するバンドパスフィルタに接触しており、
前記第1方向及び前記第2方向の両方向と交差する第3方向における前記光通過空間の幅は、前記第3方向における前記バンドパスフィルタの幅よりも大きい、分光モジュール。
【請求項2】
前記第3方向における前記光通過空間の幅は、前記第1方向における前記光通過空間の幅よりも大きい、請求項1に記載の分光モジュール。
【請求項3】
前記光検出器は、配線基板及び複数の光検出素子を有し、
前記複数の光検出素子のそれぞれは、前記複数の受光領域のそれぞれを含み、
前記複数の光検出素子は、接着剤によって前記配線基板に固定されている、請求項1又は2に記載の分光モジュール。
【請求項4】
前記複数の光検出素子のそれぞれは、前記光通過空間内に位置している、請求項3に記載の分光モジュール。
【請求項5】
前記複数のバンドパスフィルタを支持する支持体を更に備え、
前記支持体には、前記支持体及び前記バンドパスフィルタによって画定された離間空間が形成されており、
前記離間空間は、前記光通過空間と連通している、請求項1~4のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項6】
前記複数のバンドパスフィルタのそれぞれは、接着剤によって前記支持体に固定されている、請求項5に記載の分光モジュール。
【請求項7】
前記支持体には、前記第2方向における前記一方の側に開口する複数の凹部が形成されており、
前記複数の凹部のそれぞれには、前記複数のバンドパスフィルタのそれぞれが収容されており、
前記離間空間は、前記複数の凹部のうち前記バンドパスフィルタを収容する凹部の内面、及び、前記バンドパスフィルタの側面によって画定されている、請求項5又は6に記載の分光モジュール。
【請求項8】
前記離間空間は、前記光通過空間に開口している、請求項7に記載の分光モジュール。
【請求項9】
前記支持体には、前記バンドパスフィルタに対して、前記離間空間として複数の離間空間が形成されている、請求項8に記載の分光モジュール。
【請求項10】
前記第2方向における前記凹部の深さは、前記第2方向における前記光通過空間の幅よりも大きい、請求項7~9のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項11】
前記第1壁部及び前記第2壁部は、前記バンドパスフィルタの光出射面のうちクリアアパーチャの外側の領域に接触している、請求項1~10のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項12】
前記第1方向における前記第1壁部の幅、及び前記第1方向における前記第2壁部の幅のそれぞれは、前記第1方向における前記光通過空間の幅よりも小さい、請求項1~11のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項13】
前記複数のバンドパスフィルタは、空間を介して互いに離間している、請求項1~12のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項14】
前記遮光部は、前記光検出器と別体で形成されており、
前記光通過空間は、前記遮光部に形成された光通過開口である、請求項1~13のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【請求項15】
前記光検出器は、配線基板を有し、
前記遮光部は、前記配線基板と一体で形成されており、
前記光通過空間は、前記第1壁部、前記第2壁部及び前記配線基板によって画定されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の分光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
測定光を複数の波長帯域の光に分光して各波長帯域の光を検出する分光モジュールとして、特許文献1には、複数のビームスプリッタと、複数のビームスプリッタと向かい合う複数のバンドパスフィルタと、複数のビームスプリッタとは反対側において複数のバンドパスフィルタと向かい合う複数の光検出素子と、それらを収容する筐体と、を備えるデバイスが記載されている。特許文献1に記載のデバイスでは、複数のバンドパスフィルタと複数の光検出素子との間に、複数の開口を有する支持用バッフルが配置されており、複数のバンドパスフィルタから複数の光検出素子に至る複数の光路のそれぞれが、複数の開口のそれぞれを通っている。これにより、このデバイスでは、隣り合う光路間での光のクロストークの発生が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなデバイスでは、支持用バッフルを厚くすると、複数のバンドパスフィルタから複数の光検出素子に至る複数の光路のそれぞれが長くなり、各光検出素子から出力される電気信号のS/N比が低下するおそれがある。その一方で、支持用バッフルを薄くすると、支持用バッフルの各開口内の空間が狭くなり、例えば、光検出素子が当該空間に配置され且つ各光検出素子の固定に接着剤が用いられている場合に、当該接着剤から発せられたアウトガスの濃度が高まって、各光検出素子の受光領域が劣化するおそれがある。
【0005】
本発明は、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域の劣化を抑制することができる分光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光モジュールは、第1方向に沿って配列された複数のビームスプリッタと、複数のビームスプリッタに対して第1方向と交差する第2方向における一方の側に配置され、それぞれが複数のビームスプリッタのそれぞれと向かい合う複数のバンドパスフィルタと、複数のバンドパスフィルタに対して第2方向における一方の側に配置され、それぞれが複数のバンドパスフィルタのそれぞれと向かい合う複数の受光領域を有する光検出器と、複数のバンドパスフィルタと光検出器との間に配置された遮光部と、を備え、遮光部は、複数のバンドパスフィルタから複数の受光領域に至る複数の光路のそれぞれが通る光通過空間を介在させつつ第1方向に沿って配列された複数の壁部を有し、複数の壁部のうち隣り合う第1壁部及び第2壁部は、複数のバンドパスフィルタのうち第1壁部及び第2壁部の間の光通過空間に対応するバンドパスフィルタに接触しており、第1方向及び第2方向の両方向と交差する第3方向における光通過空間の幅は、第3方向におけるバンドパスフィルタの幅よりも大きい。
【0007】
上記分光モジュールでは、複数のバンドパスフィルタと光検出器との間に配置された遮光部が、光通過空間を介在させつつ第1方向に沿って配列された複数の壁部を有しており、複数の壁部のうち隣り合う第1壁部及び第2壁部が、第1壁部及び第2壁部の間の光通過空間に対応するバンドパスフィルタに接触している。これにより、隣り合う受光領域間において光のクロストークの発生を抑制することができる。また、複数のビームスプリッタ及び複数のバンドパスフィルタが配列された第1方向、並びに複数のバンドパスフィルタと複数の受光領域とが向かい合う第2方向の両方向と交差する第3方向における光通過空間の幅が、第3方向におけるバンドパスフィルタの幅よりも大きい。これにより、各バンドパスフィルタから各受光領域に至る光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するために第1壁部及び第2壁部を低くしても、第3方向における光通過空間の幅が大きいため、例えば、光検出器において部品同士の固定に接着剤が用いられ、当該接着剤からアウトガスが発生したとしても、光通過空間内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。よって、この分光モジュールによれば、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域の劣化を抑制することができる。
【0008】
本発明の分光モジュールでは、第3方向における光通過空間の幅は、第1方向における光通過空間の幅よりも大きくてもよい。これによれば、第1方向に沿った光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するために第1方向における光通過空間の幅を狭めても、光通過空間を広くすることができる。
【0009】
本発明の分光モジュールでは、光検出器は、配線基板及び複数の光検出素子を有し、複数の光検出素子のそれぞれは、複数の受光領域のそれぞれを含み、複数の光検出素子は、接着剤によって配線基板に固定されていてもよい。これによれば、複数の光検出素子のそれぞれを配線基板に容易に且つ確実に固定することができる。また、当該接着剤からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域の劣化を抑制することができる。
【0010】
本発明の分光モジュールでは、複数の光検出素子のそれぞれは、光通過空間内に位置していてもよい。これによれば、複数の受光領域が分離されることにより隣り合う受光領域間において光学的なクロストークが生じるのを防ぎつつ、複数のバンドパスフィルタから複数の光検出素子に至る光路を短くすることができるため、S/N比を向上させることができる。また、複数の光検出素子のそれぞれが遮光部に囲まれた状態において光通過空間内の接着剤等からアウトガスが発生した場合であっても、光通過空間が広いため、光通過空間内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。
【0011】
本発明の分光モジュールは、複数のバンドパスフィルタを支持する支持体を更に備え、支持体には、支持体及びバンドパスフィルタによって画定された離間空間が形成されており、離間空間は、光通過空間と連通していてもよい。これによれば、光通過空間内で発生したアウトガスを離間空間に逃がすことができるため、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0012】
本発明の分光モジュールでは、複数のバンドパスフィルタのそれぞれは、接着剤によって支持体に固定されていてもよい。これによれば、複数のバンドパスフィルタのそれぞれを支持体に容易に且つ確実に固定することができる。また、当該接着剤からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域の劣化を抑制することができる。
【0013】
本発明の分光モジュールでは、支持体には、第2方向における一方の側に開口する複数の凹部が形成されており、複数の凹部のそれぞれには、複数のバンドパスフィルタのそれぞれが収容されており、離間空間は、複数の凹部のうちバンドパスフィルタを収容する凹部の内面、及び、バンドパスフィルタの側面によって画定されていてもよい。これによれば、光通過空間と連通する離間空間を容易に且つ確実に確保することができる。
【0014】
本発明の分光モジュールでは、離間空間は、光通過空間に開口していてもよい。これによれば、支持体の構造の単純化を図りつつ、離間空間を光通過空間と確実に連通させることができる。
【0015】
本発明の分光モジュールでは、支持体には、バンドパスフィルタに対して、離間空間として複数の離間空間が形成されていてもよい。これによれば、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0016】
本発明の分光モジュールでは、第2方向における凹部の深さは、第2方向における光通過空間の幅よりも大きくてもよい。これによれば、複数のバンドパスフィルタから複数の受光領域に至る複数の光路を短くしつつ、離間空間を広くすることができる。
【0017】
本発明の分光モジュールでは、第1壁部及び第2壁部は、バンドパスフィルタの光出射面のうちクリアアパーチャの外側の領域に接触していてもよい。これによれば、複数のバンドパスフィルタのそれぞれの機能を十分に発揮させて、S/N比を向上させることができる。
【0018】
本発明の分光モジュールでは、第1方向における第1壁部の幅、及び第1方向における第2壁部の幅のそれぞれは、第1方向における光通過空間の幅よりも小さくてもよい。これによれば、第1方向に沿った光路を短くしつつ、遮光部の小型化を図ることができる。また、第1方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0019】
本発明の分光モジュールでは、複数のバンドパスフィルタは、空間を介して互いに離間していてもよい。これによれば、第1方向に沿った光路を短くしつつ、複数のバンドパスフィルタの配列ピッチを狭めて、分光モジュールの小型化を図ることができる。また、第1方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0020】
本発明の分光モジュールでは、遮光部は、光検出器と別体で形成されており、光通過空間は、遮光部に形成された光通過開口であってもよい。これによれば、複数の壁部及び光通過空間を有する遮光部を確実に得ることができる。
【0021】
本発明の分光モジュールでは、光検出器は、配線基板を有し、遮光部は、配線基板と一体で形成されており、光通過空間は、第1壁部、第2壁部及び配線基板によって画定されていてもよい。これによれば、分光モジュールの部品点数を削減して分光モジュールの低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域の劣化を抑制することができる分光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態の分光モジュールの断面図である。
【
図2】
図1に示されるII-II線に沿っての断面図である。
【
図3】
図1に示される第1支持体の一部分の平面図である。
【
図4】
図1に示される第2支持体の一部分の断面図である。
【
図5】
図4に示されるV-V線に沿っての断面図である。
【
図6】
図4に示されるVI-VI線に沿っての断面図である。
【
図7】光入射部の光軸に対する複数のビームスプリッタの配置の関係を示す図である。
【
図8】第2実施形態の分光モジュールの断面図である。
【
図9】
図8に示されるIX-IX線に沿っての断面図である。
【
図10】
図8に示される第1支持体の一部分の平面図である。
【
図11】
図8に示される第2支持体の一部分の断面図である。
【
図12】
図11に示されるXII-XII線に沿っての断面図である。
【
図13】
図11に示されるXIII-XIII線に沿っての断面図である。
【
図14】第1変形例の第2支持体の一部分の断面図である。
【
図15】第2変形例の第2支持体の一部分の断面図である。
【
図16】第3変形例の第2支持体の一部分の断面図である。
【
図17】第4変形例の遮光部材の一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
[分光モジュールの構成]
【0025】
図1及び
図2に示されるように、分光モジュール1は、筐体2と、複数のビームスプリッタ3と、複数のバンドパスフィルタ4と、第1支持体5と、第2支持体(支持体)6と、光検出器7と、遮光部材(遮光部)8と、を備えている。複数のビームスプリッタ3は、X方向(第1方向)に沿って配列されている。複数のバンドパスフィルタ4は、複数のビームスプリッタ3に対してX方向に垂直なZ方向(第1方向と交差する第2方向)における一方の側に配置されている。光検出器7は、複数のバンドパスフィルタ4に対してZ方向における一方の側に配置されている。光検出器7は、複数の受光領域7aを有している。
【0026】
各ビームスプリッタ3は、例えばハーフミラーであり、X方向に沿って入射した光のうち一部の光をZ方向における一方の側に反射し、当該入射した光のうち一部の光以外の光をX方向における一方の側に透過させる。各バンドパスフィルタ4は、Z方向において各ビームスプリッタ3と向かい合っており、各ビームスプリッタ3からZ方向に沿って入射した光のうち所定の波長帯域の光をZ方向における一方の側に透過させる。各バンドパスフィルタ4は、互いに異なる波長帯域の光を透過させる。各受光領域7aは、Z方向において各バンドパスフィルタ4と向かい合っており、各バンドパスフィルタ4からZ方向に沿って入射した光を検出する。各受光領域7aは、互いに異なる光検出チャネルを構成している。分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3及び複数のバンドパスフィルタ4によって測定光Lが複数の波長帯域の光に分光され、光検出器7によって各波長帯域の光が検出される。
【0027】
各ビームスプリッタ3は、例えば、ダイクロイックミラーであって、検出波長帯域の光を90%以上の反射率で反射させることで、効率的に各バンドパスフィルタ4へ導光させる。一方で、ダイクロイックミラーは、非検出波長帯域の光も10%程度の反射率で反射させて各バンドパスフィルタ4へ導光させる。ここで、仮に各バンドパスフィルタ4が存在しない場合、光検出器7における非検出波長帯域の光の検出割合はダイクロイックミラーの反射率に依存して約10%となるため、非検出波長帯域の光に対する遮光性能が十分に発揮されず、選択的な波長検出が困難となる。一方で、各バンドパスフィルタ4が存在する場合、各バンドパスフィルタ4は、非検非検出波長帯域の光の透過率を0.01%以下とする特性を有することから、光検出器7における非検出波長帯域の光の検出割合も0.01%以下となる。したがって、各バンドパスフィルタ4を有する分光モジュール1では、非検出波長帯域の光に対する遮光性能が十分に発揮され、選択的な波長検出が可能となる。なお、非検出波長帯域が0.01%以下となるようなビームスプリッタの製造は技術的に対応できる可能性はあるが、コストの面から現実的ではない。
[筐体の構成]
【0028】
図1及び
図2に示されるように、筐体2は、複数のビームスプリッタ3、複数のバンドパスフィルタ4、第1支持体5、第2支持体6、光検出器7及び遮光部材8を収容している。筐体2は、本体部20を有している。本体部20は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24によって構成されている。第1壁部21及び第2壁部22は、X方向において向かい合っている。第2壁部22は、第1壁部21に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部23は、第1壁部21及び第2壁部22に対してX方向及びZ方向の両方向に垂直なY方向における一方の側に位置している。第4壁部24は、第1壁部21、第2壁部22及び第3壁部23に対してZ方向における他方の側(一方の側とは反対側)に位置している。
【0029】
第1壁部21には、X方向に沿って筐体2内に測定光Lを入射させる第1光入射孔2aが形成されている。第3壁部23には、X方向及びZ方向の両方向に平行な内側表面2bが形成されている。内側表面2bには、第3壁部23に形成された複数の位置決め孔2cのそれぞれが開口している。第3壁部23は、第2支持体6と一体的に形成されている。本体部20及び第2支持体6は、第3壁部23の内側表面2bを底面91とする凹部9を構成している。すなわち、筐体2は、第3壁部23の内側表面2bを底面91とする凹部9を画定している。本体部20及び第2支持体6は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
【0030】
筐体2は、蓋部25と、シールドカバー26と、を更に有している。蓋部25は、凹部9の開口を塞ぐように本体部20及び第2支持体6に取り付けられている。シールドカバー26は、Z方向における一方の側から光検出器7を覆うように本体部20及び蓋部25に取り付けられている。
[ビームスプリッタ及び第1支持体の構成]
【0031】
図1及び
図2に示されるように、第1支持体5は、複数のビームスプリッタ3を支持している。各ビームスプリッタ3は、板状を呈しており、1mm以下の厚さを有している。各ビームスプリッタ3は、各ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合に長尺状を呈しており、各ビームスプリッタ3の長手方向に垂直な方向は、Y方向に平行な方向である。各ビームスプリッタ3は、同一の形状を呈している。各ビームスプリッタ3は、例えば長方形板状を呈している。
【0032】
第1支持体5は、第1壁部51、第2壁部52、第3壁部53、第4壁部54及び第5壁部55によって構成されている。第1壁部51及び第2壁部52は、X方向において向かい合っている。第2壁部52は、第1壁部51に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部53及び第4壁部54は、Y方向において向かい合っている。第3壁部53は、第1壁部51及び第2壁部52に対してY方向における一方の側に位置している。第4壁部54は、第1壁部51及び第2壁部52に対してY方向における他方の側に位置している。第5壁部55は、第1壁部51、第2壁部52、第3壁部53及び第4壁部54に対してZ方向における他方の側に位置している。第1支持体5は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
【0033】
第1壁部51には、X方向に沿って複数のビームスプリッタ3に測定光Lを入射させる第2光入射孔5aが形成されている。第3壁部53には、X方向及びZ方向の両方向に平行な外側表面5bが形成されている。外側表面5bには、複数の位置決めピン5cが設けられている。第1支持体5は、各位置決めピン5cが筐体2の各位置決め孔2cに嵌められることでX方向及びZ方向の両方向に平行な面内での(当該面に沿っての)第1支持体5の位置が規定された状態で、外側表面5bが筐体2の内側表面2bに接触するように第3壁部23に取り付けられている。
【0034】
第1支持体5は、外側表面5bが筐体2の内側表面2b(すなわち、凹部9の底面91)に接触した状態で、凹部9内に配置されている。凹部9の側面92は、複数の離間領域92aを含んでいる。各離間領域92aは、第1支持体5から離間している。本実施形態では、側面92は、本体部20の第1壁部21、第2壁部22及び第4壁部24のそれぞれの内側表面、並びに、第2支持体6における第4壁部24側の表面によって、構成されている。なお、側面92は、少なくとも1つの離間領域92aを含んでいればよい。また、離間領域92aは、側面92の全体であってもよい。
【0035】
第1支持体5には、複数の溝56が形成されている。各ビームスプリッタ3は、各溝56に配置されている。これにより、第1支持体5には、それぞれが溝56及びビームスプリッタ3からなる複数の組合せが設けられている。以下、当該複数の組合せのそれぞれを「対応する溝56及びビームスプリッタ3」という。
【0036】
図1及び
図3に示されるように、各溝56は、第5壁部55の外側表面に開口している。各溝56の延在方向は、Y方向に平行な方向である。各溝56の深さ方向は、Y方向に垂直な方向のうち、深い位置ほどX方向における一方の側に位置するように45°傾斜した方向である。各溝56は、1対の側面56a,56bと、底面56cと、を有している。1対の側面56a,56bは、各溝56の幅方向(延在方向及び深さ方向の両方向に垂直な方向)において向かい合っている。側面56aには光通過開口57aが形成されており、側面56bには光通過開口57bが形成されている。
【0037】
本実施形態では、各溝56は、延在方向における各溝56の両端部がそれぞれ第3壁部53及び第4壁部54に位置するように形成されている。光通過開口57aは、Y方向において向かい合う第3壁部53及び第4壁部54間の空間によって側面56aが切り欠かれることで側面56aに形成されており、光通過開口57bは、当該空間によって側面56bが切り欠かれることで側面56bに形成されている。また、底面56cは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0038】
対応する溝56及びビームスプリッタ3において、溝56は、ビームスプリッタ3の厚さの2倍以上の幅(すなわち、1対の側面56a,56b間の距離)を有している。一例として、ビームスプリッタ3の厚さは0.5mmであり、溝56の幅は2.5mm~3.0mmである。対応する溝56及びビームスプリッタ3において、ビームスプリッタ3は、1対の側面56a,56bのうちZ方向における一方の側に位置する側面56a、及び、底面56cに接触するように、溝56に配置されている。この状態で、ビームスプリッタ3は、例えば接着剤によって側面56a及び底面56cに固定されている。
【0039】
図1に示されるように、分光モジュール1では、第1光入射孔2a及び第2光入射孔5aによって光入射部10が構成されている。光入射部10は、X方向に沿って複数のビームスプリッタ3に入射する光を画定する。第2光入射孔5aは、X方向から見た場合に第1光入射孔2aを含んでいる。この場合には、第1光入射孔2aの中心線が光入射部10の光軸Aとなる。一例として、X方向から見た場合に、第1光入射孔2aは円形状を呈しており、第2光入射孔5aはZ方向を長手方向とする長円状を呈している。一例として、X方向から見た場合に、第1光入射孔2aは、第2光入射孔5aのうちZ方向における一方の側の部分と重なっている。これによれば、第1支持体5にビームスプリッタ3が配置された際に第1光入射孔2a及び第2光入射孔5aを介してビームスプリッタ3の中心を確認することができる。
[バンドパスフィルタ及び第2支持体の構成]
【0040】
図4及び
図5に示されるように、第2支持体6は、複数のバンドパスフィルタ4を支持している。各バンドパスフィルタ4は、光透過基板41と、干渉膜42と、遮光膜43と、を有している。光透過基板41は、例えば長方形板状を呈している。干渉膜42は、光透過基板41の光入射面41aに設けられている。干渉膜42は、例えば誘電体多層膜である。遮光膜43は、光透過基板41の側面41bに設けられている。遮光膜43は、例えば黒色の塗装膜である。各バンドパスフィルタ4では、干渉膜42における光透過基板41とは反対側の表面がバンドパスフィルタ4の光入射面4aであり、光透過基板41における干渉膜42とは反対側の表面がバンドパスフィルタ4の光出射面4bであり、遮光膜43の外側表面がバンドパスフィルタ4の側面4cである。なお、
図1及び
図2では、構成の簡易化が図られた状態で各バンドパスフィルタ4が図示されている。
【0041】
第2支持体6は、支持部61を有している。支持部61には、Z方向における一方の側に開放されるように支持面61aが形成されている。支持面61aがZ方向における一方の側に開放されているとは、第2支持体6のみの状態でZ方向における一方の側から支持部61を見た場合に支持面61aが露出していること(すなわち、支持面61aが視認可能であること)を意味する。複数のバンドパスフィルタ4は、X方向に沿って配列されるように、支持面61aに配置されている。各バンドパスフィルタ4は、接着剤S11によって支持面61aに固定されている。支持面61aは、Z方向に垂直な面であり、各バンドパスフィルタ4の光入射面4aのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が支持面61aに接触するように支持部61に形成されている。クリアアパーチャ40は、バンドパスフィルタ4の機能が保証された有効開口領域である。支持部61には、複数のビームスプリッタ3から複数のバンドパスフィルタ4に至る複数の光路(
図1に示される破線)が通る1つの光通過開口61bが形成されている。これにより、支持面61aは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0042】
第2支持体6は、規制部62を更に有している。規制部62は、支持部61に対してZ方向における一方の側に位置するように第2支持体6に設けられている。規制部62は、各バンドパスフィルタ4がZ方向に垂直な方向に移動することを規制している。規制部62は、各バンドパスフィルタ4の側面4cに接触するように設けられた複数の接触部分62a、及び各バンドパスフィルタ4の側面4cから離間するように設けられた複数の離間部分62bによって、構成されている。規制部62は、複数のバンドパスフィルタ4を完全に仕切っていない。つまり、複数のバンドパスフィルタ4は、Z方向に垂直な方向への移動が規制部62によって規制された状態で、空間を介して互いに離間している。
【0043】
図1及び
図2に示されるように、第2支持体6には、Z方向における一方の側に開口する凹部63が形成されている。凹部63の底面63aは、規制部62における支持部61とは反対側の表面である。Z方向における支持面61aと底面63aとの距離は、各バンドパスフィルタ4の厚さ(すなわち、Z方向における光入射面4aと光出射面4bとの距離)よりも小さい。これにより、各バンドパスフィルタ4における支持部61とは反対側の一部分は、底面63aから突出しており、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bは、底面63aよりもZ方向における一方の側に位置している(
図4参照)。底面63aには、複数の位置決めピン(第1係合部)6aが設けられている。
【0044】
凹部63の底面63aには、Z方向における一方の側に開口する複数の凹部65が形成されている。各凹部65の側面は、規制部62の内面であり、各凹部65の底面は、支持部61における支持面61aである。各凹部65には、1つのバンドパスフィルタ4が収容されている。
【0045】
図5に示されるように、第2支持体6には、各バンドパスフィルタ4に対して、複数の離間空間65aが形成されている。各離間空間65aは、第2支持体6及びバンドパスフィルタ4によって画定されている。具体的には、各離間空間65aは、凹部65の内面、及び、バンドパスフィルタ4の側面4cによって画定されている。本実施形態では、各離間空間65aは、凹部65のうち離間部分62bの内面、及び、側面4cによって画定されている。
[光検出器及び遮光部材の構成]
【0046】
図1及び
図2に示されるように、光検出器7は、配線基板71と、複数の光検出素子72と、コネクタ73と、を有している。複数の光検出素子72は、X方向に沿って配列されるように、配線基板71における複数のバンドパスフィルタ4側の表面71aに実装されている。各光検出素子72は、接着剤S12によって配線基板71に固定されている。各光検出素子72は、PDチップ等のディスクリート半導体素子であり、各受光領域7aを有している。コネクタ73は、配線基板71における表面71aとは反対側の表面71bに取り付けられている。コネクタ73は、各光検出素子72に対して電気信号等を入出力するためのポートである。コネクタ73は、シールドカバー26に形成された開口26aを介して筐体2の外側に延在している。光検出器7は、凹部63の開口を塞ぐように第2支持体6に取り付けられている。本実施形態では、配線基板71が凹部63の開口を塞ぐように第2支持体6に取り付けられており、複数の光検出素子72が凹部63内に位置している。
【0047】
遮光部材8は、複数のバンドパスフィルタ4と光検出器7との間に配置されている。遮光部材8は、弾性材料によって形成されており、圧縮された状態で第2支持体6の凹部63に配置されている。この状態で、複数のバンドパスフィルタ4は、第2支持体6の支持部61と遮光部材8とによって挟持されている。遮光部材8における複数のバンドパスフィルタ4側の表面は、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bと接触している。遮光部材8における光検出器7側の表面は、配線基板71の表面71aと接触している。
【0048】
遮光部材8には、複数の光通過開口(光通過空間)8aが形成されている。遮光部材8は、複数の壁部81を有している。
図1及び
図6に示されるように、各壁部81は、光通過開口8aを介在させつつX方向に沿って配列されている。すなわち、複数の壁部81のそれぞれは、隣り合う光通過開口8a間に配列されている。複数のバンドパスフィルタ4から複数の受光領域7aに至る複数の光路のそれぞれは、複数の光通過開口8aのそれぞれを通っている。つまり、複数のバンドパスフィルタ4から複数の受光領域7aに至る複数の光路は、遮光部材8によって互いに分離されている。本実施形態では、光検出器7の各光検出素子72が遮光部材8の各光通過開口8a内に位置している。各光通過開口8a内では、光検出素子72の端子と配線基板71の端子とがワイヤ74によって電気的に接続されており、ワイヤ74が樹脂部材75によって覆われている。
図4に示されるように、各光通過開口8aは、各光出射面4bと各受光領域7aとの間において形成されている。
【0049】
図4及び
図6に示されるように、複数の壁部81のうち隣り合う第1壁部81a及び第2壁部81bは、第1壁部81a及び第2壁部81bの間の光通過開口8aに対応するバンドパスフィルタ4に接触している。
【0050】
図6に示されるように、Y方向における光通過開口8aの幅は、X方向における光通過開口8aの幅よりも大きい。すなわち、光通過開口8aは、Y方向を長手方向とする長尺状を呈している。本実施形態では、光通過開口8aは、Y方向を長手方向とする長方形状を呈している。Y方向における光通過開口8aの幅は、遮光部材8において、第1壁部81a及び第2壁部81bに対してY方向における一方の側に位置する部分82aから、第1壁部81a及び第2壁部81bに対してY方向における他方の側に位置する部分82bまでの距離である。X方向における光通過開口8aの幅は、遮光部材8において、X方向における第1壁部81aから第2壁部81bまでの距離である。X方向における第1壁部81aの幅、及びX方向における第2壁部81bの幅のそれぞれは、X方向における光通過開口8aの幅よりも小さい。なお、本明細書において、Y方向における光通過開口8aの幅が、X方向における光通過開口8aの幅よりも大きいとの表現は、Y方向とX方向とを一致させた状態で、Y方向に対応する光通過開口8aとX方向に対応する光通過開口8aとを重ねた場合に、Y方向とX方向とを一致させた方向においてY方向に対応する光通過開口8aの一部がはみ出ることを意味する。
【0051】
図6に示されるように、Y方向における光通過開口8aの幅は、Y方向におけるバンドパスフィルタ4の幅よりも大きい。本実施形態では、Z方向から見た場合に、Y方向においてバンドパスフィルタ4に対して光通過開口8aが片側(具体的には、第3壁部23側)に位置するように、第1壁部81a及び第2壁部81bがバンドパスフィルタ4に接触している。なお、本明細書において、Y方向における光通過開口8aの幅が、Y方向におけるバンドパスフィルタ4の幅よりも大きいとの表現は、Y方向において光通過開口8aとバンドパスフィルタ4とを重ねた場合に、Y方向において光通過開口8aの一部がはみ出ることを意味する。
【0052】
凹部65に形成された各離間空間65aのうちの特定の離間空間65aは、遮光部材8の光通過開口8aと連通している。具体的には、光通過開口8aと連通している離間空間65aは、光通過開口8aに開口している。換言すれば、光通過開口8aと連通している離間空間65aの少なくとも一部は、光通過開口8aの一部と連続しており、Z方向から見た場合に光通過開口8aの一部と重なっている。各凹部65には、例えば4つの離間空間65aが形成されており、当該4つの離間空間65aのうち、第3壁部23側の2つの離間空間65aが、1つの光通過開口8aに開口している。
【0053】
図6に示されるように、各光通過開口8aは、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が遮光部材8に接触するように遮光部材8に形成されている。つまり、遮光部材8は、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が遮光部材8に接触するように構成されている。なお、
図6では、バンドパスフィルタ4が二点鎖線で図示されている。具体的には、
図6に示されるように、第1壁部81a及び第2壁部81bは、バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域に接触している。
【0054】
図2に示されるように、遮光部材8には、複数の位置決め孔(第2係合部)8bが形成されている。配線基板71には、複数の位置決め孔7bが形成されている。各位置決め孔7bは、Z方向から見た場合に各位置決め孔8bと重なっている。遮光部材8は、第2支持体6の各位置決めピン6aが各位置決め孔8bに嵌められることでZ方向に垂直な方向における各光通過開口8aの位置が規定された状態で、凹部63に配置されている。光検出器7は、遮光部材8の各位置決め孔8bを貫通した各位置決めピン6aが各位置決め孔7bに嵌められることでZ方向に垂直な方向における各受光領域7aの位置が規定された状態で、第2支持体6に取り付けられている。
[複数のビームスプリッタの配置]
【0055】
図7に示されるように、複数のビームスプリッタ3は、各ビームスプリッタ3の中心3aがX方向に平行なラインα上に位置するように配置されている。ビームスプリッタ3の中心3aは、ビームスプリッタ3の厚さ方向から見た場合におけるビームスプリッタ3の中心(重心)である。各ビームスプリッタ3は、1mm以下の同一の厚さを有しており、X方向に沿って45°の入射角で光が入射するように配置されている。光入射部10の光軸Aは、各ビームスプリッタ3の中心3aを通るラインαに対してZ方向における一方の側に位置している。なお、
図7では、光入射部10が模式的に図示されている。
【0056】
各ビームスプリッタ3では、屈折が生じるため、入射光の光軸に対して透過光の光軸が光入射部10の光軸Aから離れる側にシフトする。分光モジュール1では、各ビームスプリッタ3が同一の厚さを有しており且つX方向に沿って45°の入射角で光が入射するように各ビームスプリッタ3が配置されているため、各ビームスプリッタ3において光の屈折量が等しくなる。光の屈折量とは、ビームスプリッタ3において、入射光の光軸に対して透過光の光軸が光入射部10の光軸Aから離れる側にシフトする量を意味する。
【0057】
各ビームスプリッタ3における光の屈折量をΔZとし、ビームスプリッタ3の個数をMとすると、Z方向における「最前段のビームスプリッタ3における入射光の光軸」と「最後段のビームスプリッタ3における入射光の光軸」との距離は、ΔZ(M-1)となる。最前段のビームスプリッタ3とは、最も前段(光の進行方向における上流側)に配置されたビームスプリッタ3を意味し、最後段のビームスプリッタ3とは、最も後段(光の進行方向における下流側)に配置されたビームスプリッタ3を意味する。
【0058】
分光モジュール1では、Z方向における光軸Aとラインαとの距離がΔZ(M-1)/2となるように、光入射部10の光軸Aに対して複数のビームスプリッタ3が配置されている。これにより、中段(光の進行方向における中流側)に配置されたビームスプリッタ3において、入射光の光軸がビームスプリッタ3の中心3a又は中心3a付近を通ることになる。
【0059】
一例として、各ビームスプリッタ3の厚さが0.5mm、屈折率が1.5であり、ビームスプリッタ3への入射角が45°、ビームスプリッタ3の配置個数が10である場合には、光の屈折量ΔZの値は0.165mmとなる。したがって、Z方向における光軸Aとラインαとの距離は、ΔZ(M-1)/2=0.165×(10-1)/2=約0.74mmとなる。この場合には、最前段から5個目及び6個目のビームスプリッタ3のそれぞれにおいて、入射光の光軸が各ビームスプリッタ3の中心3a付近を通ることになる。光入射部10によって画定される測定光Lの直径(すなわち、最前段のビームスプリッタ3における入射光の直径)が4mmである場合には、長手方向における各ビームスプリッタ3の長さが10mmあれば、全てのビームスプリッタ3においてクリアアパーチャ内に入射光が収まることになる。
【0060】
分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチが、複数の受光領域7aの配列ピッチに、各ビームスプリッタ3における光の屈折量を加えた値となっている。複数のビームスプリッタ3の配列ピッチとは、複数のビームスプリッタ3がX方向に沿って等間隔で配列された場合における「隣り合うビームスプリッタ3の中心3a間の距離」を意味する。複数の受光領域7aの配列ピッチとは、複数の受光領域7aがX方向に沿って等間隔で配列された場合における「隣り合う受光領域7aの中心間の距離」を意味する。複数のビームスプリッタ3の配列ピッチをP1とし、複数の受光領域7aの配列ピッチP2とすると、P1=P2+ΔZとなる。したがって、ビームスプリッタ3の個数をMとすると、X方向における「最前段のビームスプリッタ3」と「最後段のビームスプリッタ3」との距離は、P1(M-1)=(P2+ΔZ)(M-1)=P2(M-1)+ΔZ(M-1)となる。このように、複数のビームスプリッタ3の配列ピッチは、複数の受光領域7aの配列ピッチだけでなく、各ビームスプリッタ3における光の屈折量の影響も累積的に受ける。
【0061】
以上のことから、「複数のビームスプリッタ3の全体において、バンドパスフィルタ4から離れる側にも、複数のビームスプリッタ3が並ぶ方向における後段側にも、累積された光の屈折量の総和を十分に小さくして、モジュール全体の小型化を図る」上では、各ビームスプリッタ3は、1mm以下の厚さを有していることが好ましく、0.5mm以下の厚さを有していることがより好ましい。ただし、ビームスプリッタ3の強度を確保する上では、各ビームスプリッタ3は、0.1mm以上の厚さを有していることが好ましい。
[作用及び効果]
【0062】
分光モジュール1では、第2支持体6において、Z方向における一方の側に開放されるように支持部61に形成された支持面61aに、複数のバンドパスフィルタ4が配置されている。ここで、第2支持体6において、Z方向における一方の側は、複数のビームスプリッタ3が支持される側とは反対側である。そのため、分光モジュール1の製造時において、複数のビームスプリッタ3を支持する第1支持体5が第2支持体6に取り付けられた後に、例えばバンドパスフィルタ4に損傷等が発見されても、当該バンドパスフィルタ4を交換するために当該第1支持体5を第2支持体6から取り外す必要がない。また、複数のバンドパスフィルタ4を第2支持体6に取り付けるタイミングも、複数のビームスプリッタ3を支持する第1支持体5を第2支持体6に取り付けるタイミングに左右されない。更に、複数のバンドパスフィルタ4を第2支持体6に取り付ける際にZ方向における一方の側から各バンドパスフィルタ4を視認することができる。よって、分光モジュール1によれば、製造効率の向上を図ることができる。
【0063】
また、分光モジュール1では、各バンドパスフィルタ4がZ方向に垂直な方向に移動することを規制する規制部62が第2支持体6に設けられている。これにより、例えば接着剤S11等を用いなくても各バンドパスフィルタ4の位置精度を確保することができる。
【0064】
また、分光モジュール1では、各バンドパスフィルタ4の側面4cに接触するように設けられた複数の接触部分62a、及び各バンドパスフィルタ4の側面4cから離間するように設けられた複数の離間部分62bによって、規制部62が構成されている。これにより、例えば分光モジュール1の製造時において、バンドパスフィルタ4に損傷等が発見された場合に、当該バンドパスフィルタ4と離間部分62bとの間に例えば治工具を挿し込むことで、第2支持体6から当該バンドパスフィルタ4を容易に取り外すことができる。
【0065】
また、分光モジュール1では、複数のビームスプリッタ3から複数のバンドパスフィルタ4に至る複数の光路が通る1つの光通過開口61bが支持部61に形成されている。これにより、支持部61の構造の単純化を図ることができる。
【0066】
また、分光モジュール1では、各バンドパスフィルタ4の光入射面4aのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が支持面61aに接触するように、支持面61aが支持部61に形成されている。これにより、各バンドパスフィルタ4の機能が十分に発揮されるため、各受光領域7aから出力される電気信号においてS/N比を向上させることができる。つまり、分光モジュール1では、光入射面4aのうちクリアアパーチャ40の外側の領域に支持面61aが接触しているため、各バンドパスフィルタ4の有効開口面積を最大限に活用することができる。
【0067】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4と光検出器7との間に遮光部材8が配置されており、複数のバンドパスフィルタ4から複数の受光領域7aに至る複数の光路が遮光部材8によって互いに分離されている。これにより、隣り合う受光領域7a間において光学的なクロストークが生じるのを抑制することができる。
【0068】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4が支持部61と遮光部材8とによって挟持されている。これにより、例えば接着剤S11等を用いなくても、各バンドパスフィルタ4を確実に保持することができる。また、各バンドパスフィルタ4と遮光部材8との間の隙間が小さくなるため、隣り合う受光領域7a間において光学的なクロストークが生じるのを確実に抑制することができる。
【0069】
また、分光モジュール1では、遮光部材8が弾性材料によって形成されている。これにより、各バンドパスフィルタ4が破損するのを抑制しつつ、各バンドパスフィルタ4に遮光部材8を接触させることができるため、隣り合う受光領域7a間において光学的なクロストークが生じるのをより確実に抑制することができる。
【0070】
また、分光モジュール1では、Z方向における一方の側に開口する凹部63が第2支持体6に形成されており、Z方向における支持面61aと凹部63の底面63aとの距離が各バンドパスフィルタ4の厚さよりも小さく、光検出器7が凹部63の開口を塞ぐように第2支持体6に取り付けられており、遮光部材8が圧縮された状態で凹部63に配置されている。これにより、各バンドパスフィルタ4をより確実に保持することができる。また、各バンドパスフィルタ4及び光検出器7に遮光部材8を確実に接触させることができるため、隣り合う受光領域7a間において光学的なクロストークが生じるのをより確実に抑制することができる。特に、比較的硬質な金属からなる第2支持体6、及び弾性材料からなる遮光部材8を用いて各バンドパスフィルタ4を挟持することで、各バンドパスフィルタ4の破損を抑えつつ、各バンドパスフィルタ4を安定して保持することができる。
【0071】
また、分光モジュール1では、複数の位置決め孔8bが遮光部材8に形成されており、それぞれが複数の位置決め孔8bのそれぞれに嵌められた複数の位置決めピン6aが第2支持体6に設けられている。これにより、単純な構造で第2支持体6に対して遮光部材8を位置決めすることができ、延いては、各バンドパスフィルタ4に対して遮光部材8の各光通過開口8aを位置決めすることができる。
【0072】
また、分光モジュール1では、各バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域が遮光部材8に接触するように、遮光部材8が構成されている。これにより、各バンドパスフィルタ4の機能が十分に発揮されるため、各受光領域7aから出力される電気信号においてS/N比を向上させることができる。また、分光モジュール1では、光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域に遮光部材8が接触しているため、各バンドパスフィルタ4の有効開口面積を最大限に活用することができる。
【0073】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4が空間を介して互いに離間しており、各バンドパスフィルタ4において光透過基板41の側面41bに遮光膜43が設けられている。これにより、例えば隣り合うバンドパスフィルタ4間に壁部等を設けなくても、各バンドパスフィルタ4において光透過基板41の側面41bから迷光が入射するのを抑制することができる。更に、光透過基板41の側面41bから迷光が入射するのが抑制されるため、各バンドパスフィルタ4から光検出器7側に迷光が進入するのを抑制することができる。また、複数のバンドパスフィルタ4が空間を介して互いに離間しているため、X方向において隣り合うバンドパスフィルタ4同士を近づけることにより光路長を短くすることができ、光量のロスを低減することができる。そのため、配線基板71の回路において電気信号の増幅率を抑えることができ、S/N比の更なる向上を図ることができる。更に、X方向における筐体2の長さを縮小することができるため、分光モジュール1を小型化することができる。
【0074】
また、分光モジュール1では、各バンドパスフィルタ4において光透過基板41の光入射面41aに干渉膜42が設けられている。これにより、各バンドパスフィルタ4において光透過基板41内での乱反射に起因して迷光が発生するのを抑制することができる。更に、各バンドパスフィルタ4から光検出器7側に迷光が進入するのを抑制することができる。
【0075】
また、分光モジュール1では、配線基板71の表面71aに複数の光検出素子72が実装されることで、光検出器7が構成されている。1つの半導体基板に複数の受光領域7aが形成されたPDアレイ等では、当該1つの半導体基板内において電気的なクロストークが発生するおそれがあるが、互いに電気的に独立した複数の光検出素子72を用いることにより、隣り合う受光領域7a間を絶縁することが可能となるため、そのような事態を確実に防止することができる。
【0076】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4と光検出器7との間に配置された遮光部材8が、光通過開口8aを介在させつつX方向に沿って配列された複数の壁部81を有しており、複数の壁部81のうち隣り合う第1壁部81a及び第2壁部81bが、第1壁部81a及び第2壁部81bの間の光通過開口8aに対応するバンドパスフィルタ4に接触している。これにより、隣り合う受光領域7a間における光のクロストークの発生を抑制することができる。また、複数のビームスプリッタ3及び複数のバンドパスフィルタ4が配列されたX方向、並びに複数のバンドパスフィルタ4と複数の受光領域7aとが向かい合うZ方向の両方向と直交(交差)するY方向(第3方向)における光通過開口8aの幅が、Y方向におけるバンドパスフィルタ4の幅よりも大きい。これにより、各バンドパスフィルタ4から各受光領域7aに至る光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するために第1壁部81a及び第2壁部81bを低くしても、Y方向における光通過開口8aの幅が大きいため、例えば、各光検出素子72を配線基板71に固定するための接着剤S12等からアウトガスが発生したとしても、光通過開口8a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。よって、この分光モジュール1によれば、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域7aの劣化を抑制することができる。また、分光モジュール1によれば、Y方向における各バンドパスフィルタ4の幅が短いため、各バンドパスフィルタ4の小型化を図ることができる。
【0077】
光通過開口8a内で発生するアウトガスの濃度の高まりの抑制について更に述べる。当該アウトガスの濃度の高まりの抑制のために、例えば、X方向における光通過開口8aの幅を大きくすると、X方向に沿った光路(具体的には、複数のビームスプリッタ3が配列された方向に沿った光路)が長くなる結果、S/N比が低下してしまう。これに対し、分光モジュール1によれば、X方向に沿った光路及びZ方向に沿った光路が長くなることを回避しつつ、光通過開口8a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。また、例えば、アウトガスを外部に逃がすために、配線基板71に通気孔が形成される場合、当該通気孔を介して逆光が光通過開口8a内に進入することに起因して光の誤検出が発生するリスクがある。また、当該通気孔が形成される場合、当該通気孔からパーティクルが進入して受光領域7aに付着することに起因して、光の検出精度が低下するリスクがある。分光モジュール1によれば、そのようなリスクを回避しつつ、アウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。
【0078】
また、分光モジュール1では、Y方向における光通過開口8aの幅が、X方向における光通過開口8aの幅よりも大きい。これにより、X方向に沿った光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するためにX方向における光通過開口8aの幅を狭めても、光通過開口8aを広くすることができる。
【0079】
また、分光モジュール1では、光検出器7が、配線基板71及び複数の光検出素子72を有し、複数の光検出素子72のそれぞれは、複数の受光領域7aのそれぞれを含み、複数の光検出素子72は、接着剤S12によって配線基板71に固定されている。これにより、複数の光検出素子72のそれぞれを配線基板71に容易に且つ確実に固定することができる。また、接着剤S12からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域7aの劣化を抑制することができる。
【0080】
また、分光モジュール1では、複数の光検出素子72のそれぞれが、光通過開口8a内に位置している。これにより、複数の受光領域7aが互いに分離されることにより隣り合う受光領域7a間において光学的なクロストークが生じるのを防ぎつつ、複数のバンドパスフィルタ4から複数の光検出素子72に至る光路を短くすることができるため、S/N比を向上させることができる。また、複数の光検出素子72のそれぞれが遮光部材8に囲まれた状態において光通過開口8a内の接着剤S12等からアウトガスが発生した場合であっても、光通過開口8aが広いため、光通過開口8a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。
【0081】
複数の受光領域7aの劣化の抑制の効果は、本実施形態のように、複数の光検出素子72(ディスクリート半導体素子)のそれぞれが光通過開口8aに位置している構成において特に有効である。具体的には、例えば、複数のディスクリート半導体素子のそれぞれが光通過開口に位置している構成(すなわち、複数のディスクリート半導体素子のそれぞれが遮光部材に囲まれている場合)において、光通過開口の広さが十分でないと、光通過開口内の接着剤等からアウトガスが発生した場合、アウトガスの濃度が高まることが懸念される。これに対し、分光モジュール1によれば、光通過開口8aが広いため、そのようなリスクを回避し、受光領域7aの劣化を抑制することができる。
【0082】
また、分光モジュール1では、第2支持体6が複数のバンドパスフィルタ4を支持しており、第2支持体6には、第2支持体6及びバンドパスフィルタ4によって画定された離間空間65aが形成されており、離間空間65aは、光通過開口8aと連通している。これにより、光通過開口8a内で発生したアウトガスを離間空間65aに逃がすことができるため、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0083】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4のそれぞれが、接着剤S11によって第2支持体6に固定されている。これにより、複数のバンドパスフィルタ4のそれぞれを第2支持体6に容易に且つ確実に固定することができる。また、接着剤S11からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域7aの劣化を抑制することができる。
【0084】
また、分光モジュール1では、第2支持体6には、Z方向における一方の側に開口する複数の凹部65が形成されており、複数の凹部65のそれぞれには、複数のバンドパスフィルタ4のそれぞれが収容されており、離間空間65aは、複数の凹部65のうちバンドパスフィルタ4を収容する凹部65の内面、及び、バンドパスフィルタ4の側面4cによって画定されている。これにより、光通過開口8aと連通する離間空間65aを容易に且つ確実に確保することができる。
【0085】
また、分光モジュール1では、離間空間65aが、光通過開口8aに開口している。これにより、第2支持体6の構造の単純化を図りつつ、離間空間65aを光通過開口8aと確実に連通させることができる。
【0086】
また、分光モジュール1では、第2支持体6には、各バンドパスフィルタ4に対して、複数の離間空間65aが形成されている。これにより、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0087】
また、分光モジュール1では、第1壁部81a及び第2壁部81bが、バンドパスフィルタ4の光出射面4bのうちクリアアパーチャ40の外側の領域に接触している。これにより、複数のバンドパスフィルタ4のそれぞれの機能を十分に発揮させて、S/N比を向上させることができる。
【0088】
また、分光モジュール1では、X方向における第1壁部81aの幅、及びX方向における第2壁部81bの幅のそれぞれが、X方向における光通過開口8aの幅よりも小さい。これにより、X方向に沿った光路を短くしつつ、遮光部材8の小型化を図ることができる。また、X方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0089】
また、分光モジュール1では、複数のバンドパスフィルタ4が、空間を介して互いに離間している。これにより、X方向に沿った光路を短くしつつ、複数のバンドパスフィルタ4の配列ピッチを狭めて、分光モジュール1の小型化を図ることができる。また、X方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0090】
また、分光モジュール1は、遮光部として光検出器7と別体で形成された遮光部材8を備えており、遮光部材8には、光通過空間として光通過開口8aが形成されている。これにより、複数の壁部及び光通過空間を有する遮光部(遮光部材8)を確実に得ることができる。
[第2実施形態]
[分光モジュールの構成]
【0091】
図8及び
図9に示されるように、分光モジュール101は、筐体102と、複数のビームスプリッタ103と、複数のバンドパスフィルタ104と、第1支持体105と、第2支持体(支持体)106と、光検出器107と、遮光部材(遮光部)108と、を備えている。複数のビームスプリッタ103は、X方向に沿って配列されている。複数のバンドパスフィルタ104は、Z方向における一方の側に配置されている。光検出器107は、複数のバンドパスフィルタ104に対してZ方向における一方の側に配置されている。光検出器107は、複数の受光領域107aを有している。
【0092】
各ビームスプリッタ103は、第1実施形態の各ビームスプリッタ3と同様の構成を有している。各バンドパスフィルタ104は、Z方向において各ビームスプリッタ103と向かい合っており、各ビームスプリッタ103からZ方向に沿って入射した光のうち所定の波長帯域の光をZ方向における一方の側に透過させる。各バンドパスフィルタ104は、互いに異なる波長帯域の光を透過させる。複数のビームスプリッタ103及び複数のバンドパスフィルタ104は、第1実施形態の複数のビームスプリッタ103及び複数のバンドパスフィルタ104と同様の位置に配置されている。各受光領域107aは、Z方向において各バンドパスフィルタ104と向かい合っており、各バンドパスフィルタ104からZ方向に沿って入射した光を検出する。各受光領域107aは、互いに異なる光検出チャネルを構成している。分光モジュール101でも、第1実施形態の分光モジュール1と同様の態様で、複数のビームスプリッタ103及び複数のバンドパスフィルタ104によって測定光10Lが複数の波長帯域の光に分光され、光検出器107によって各波長帯域の光が検出される。
[筐体の構成]
【0093】
図8及び
図9に示されるように、筐体102は、複数のビームスプリッタ103、複数のバンドパスフィルタ104、第1支持体105及び第2支持体106を収容している。筐体102は、本体部120を有している。本体部120は、第1壁部121、第2壁部122、第3壁部123及び第4壁部124によって構成されている。第1壁部121及び第2壁部122は、X方向において向かい合っている。第2壁部122は、第1壁部121に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部123は、第1壁部121及び第2壁部122に対してY方向(第3方向)における一方の側に位置している。第4壁部124は、第3壁部123に対してY方向における他方の側に位置している。
【0094】
第1壁部121には、X方向に沿って筐体102内に測定光10Lを入射させる光入射孔102aが形成されている。第2壁部122には、X方向に沿って筐体102内から測定光10Lを出射させる光出射孔102bが形成されている。光出射孔102bの光軸10Bは光入射孔102aの光軸10AよりもZ方向において他方の側に位置している。第3壁部123及び第4壁部124は、第2支持体106と一体的に形成されている。
【0095】
本体部120は、Z方向における他方の側の表面102cを有している。
図8及び
図9に示されるように、表面102cには、Z方向における他方の側に開口する第1凹部125が形成されている。第1凹部125は、本体部120の第1壁部121、第2壁部122、第3壁部123、及び第4壁部124のそれぞれの内側表面によって、構成されている。第1凹部125の底面125aには、Z方向における他方の側に開口する第2凹部126が形成されている。第2凹部126は、第1壁部121、第2壁部122、第3壁部123、及び第4壁部124のそれぞれの内側表面、並びに第2支持体106においてZ方向における他方の側の表面によって、構成されている。また、底面125aには、複数の位置決めピン(図示せず)が設けられている。本体部120及び第2支持体106は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
[ビームスプリッタ及び第1支持体の構成]
【0096】
図8及び
図9に示されるように、第1支持体105は、複数のビームスプリッタ103を支持している。第1支持体105は、第1壁部151、第2壁部152、第3壁部153、第4壁部154及び第5壁部155によって構成されている。第1壁部151及び第2壁部152は、X方向において向かい合っている。第2壁部152は、第1壁部151に対してX方向における一方の側に位置している。第3壁部153及び第4壁部154は、Y方向において向かい合っている。第3壁部153は、第1壁部151及び第2壁部152に対してY方向における一方の側に位置している。第4壁部154は、第1壁部151及び第2壁部152に対してY方向における他方の側に位置している。第5壁部155は、第1壁部151、第2壁部152、第3壁部153及び第4壁部154に対してZ方向における他方の側に位置している。第1支持体105は、例えば、金属によって一体的に形成されている。
【0097】
第1壁部151には、X方向に沿って複数のビームスプリッタ103に測定光10Lを入射させる光入射開口105aが形成されている。第2壁部152には、X方向に沿って複数のビームスプリッタ103に測定光10Lを出射させる光出射開口105bが形成されている。光入射開口105a及び光出射開口105bは、Z方向において一方の側に開口している。
【0098】
第5壁部155は、蓋部155aを構成している。蓋部155aには、複数の位置決め孔(図示せず)が形成されている。蓋部155aは、第1凹部125の開口を塞ぐように本体部120に取り付けられている。蓋部155aは、Z方向から見た場合に、第1凹部125と同一の形状を呈しており、第1凹部125と密着可能に構成されている。第1壁部151、第2壁部152、第3壁部153、第4壁部154は、第2凹部126内に配置されている。第1支持体105は、底面125aの各位置決めピンが蓋部155aの各位置決め孔に嵌められることでX方向及びY方向の両方向に平行な面内での(当該面に沿っての)第1支持体105の位置が規定された状態で、第1支持体105が第1凹部125及び第2凹部126内に収容された状態で筐体102に取り付けられている。第1支持体105は、例えばねじ等によって筐体102に固定されている。
【0099】
第1支持体105には、複数の溝156が形成されている。
図8及び
図10に示されるように、各溝156は、Z方向において第5壁部155とは反対側(Z方向において一方の側)の外側表面に開口しており、各溝156の深さ方向は、Y方向に垂直な方向のうち、深い位置ほどX方向における他方の側に位置するように45°傾斜した方向である点で、第1実施形態の溝56と主に相違する。各溝156の延在方向は、Y方向に平行な方向である。各溝156は、1対の側面156a,156bと、底面156cと、を有している。1対の側面156a,156bは、各溝156の幅方向(延在方向及び深さ方向の両方向に垂直な方向)において向かい合っている。側面156aには光通過開口157aが形成されており、側面156bには光通過開口157bが形成されている。底面156cは、1対の側面156a,156bに対してZ方向における他方の側に位置している。
【0100】
本実施形態では、各溝156は、延在方向における各溝156の両端部がそれぞれ第3壁部153及び第4壁部154に位置するように形成されている。光通過開口157aは、Y方向において向かい合う第3壁部153及び第4壁部154間の空間によって側面156aが切り欠かれることで側面156aに形成されており、光通過開口157bは、当該空間によって側面156bが切り欠かれることで側面156bに形成されている。また、底面156cは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0101】
対応する溝156及びビームスプリッタ103において、溝156は、ビームスプリッタ103の厚さの2倍以上の幅(すなわち、1対の側面156a,156b間の距離)を有している。対応する溝156及びビームスプリッタ103において、ビームスプリッタ103は、1対の側面156a,156bのうちZ方向における他方の側に位置する側面156a、及び、底面156cに接触するように、溝156に配置されている。この状態で、ビームスプリッタ103は、例えば接着剤によって側面156a及び底面156cに固定されている。
【0102】
図8に示されるように、分光モジュール101では、光入射孔102a及び光入射開口105aによって光入射部110が構成されている。光入射部110は、X方向に沿って複数のビームスプリッタ103に入射する光を画定する。複数のビームスプリッタ103と光入射部110の光軸10Aとの位置関係は、第1実施形態の複数のビームスプリッタ3と光入射部10の光軸Aとの関係と同様である。すなわち、分光モジュール101でも、Z方向における光軸10Aと各ビームスプリッタ103の中心が通り且つX方向に平行なラインとの距離がΔZ(M-1)/2となるように、光入射部110の光軸10Aに対して複数のビームスプリッタ103が配置されている。また、分光モジュール101では、光出射孔102b及び光出射開口105bによって光出射部130が構成されている。光出射部130は、X方向に沿って複数のビームスプリッタ103から出射する光を画定する。
[バンドパスフィルタ及び第2支持体の構成]
【0103】
図11及び
図12に示されるように、第2支持体106は、複数のバンドパスフィルタ104を支持している。各バンドパスフィルタ104は、光透過基板141と、干渉膜142と、遮光膜143と、を有している。光透過基板141は、例えば、Y方向を長手方向とする長方形板状を呈している。干渉膜142は、光透過基板141の光入射面141aに設けられている。干渉膜142は、例えば誘電体多層膜である。遮光膜143は、光透過基板141の側面141bに設けられている。遮光膜143は、例えば黒色の塗装膜である。各バンドパスフィルタ104では、干渉膜142における光透過基板141とは反対側の表面がバンドパスフィルタ104の光入射面104aであり、光透過基板141における干渉膜142とは反対側の表面がバンドパスフィルタ104の光出射面104bであり、遮光膜143の外側表面がバンドパスフィルタ104の側面104cである。なお、
図1及び
図2では、構成の簡易化が図られた状態で各バンドパスフィルタ104が図示されている。
【0104】
第2支持体106は、支持部161を有している。支持部161には、Z方向における一方の側に開放されるように支持面161aが形成されている。複数のバンドパスフィルタ104は、X方向に沿って配列されるように、支持面161aに配置されている。各バンドパスフィルタ104は、接着剤S21によって支持面161a(第2支持体106)に固定されている。支持面161aは、Z方向に垂直な面であり、各バンドパスフィルタ104の光入射面104aのうちクリアアパーチャ140の外側の領域が支持面161aに接触するように支持部161に形成されている。クリアアパーチャ140は、バンドパスフィルタ104の機能が保証された有効開口領域である。支持部161には、複数のビームスプリッタ103から複数のバンドパスフィルタ104に至る複数の光路(
図8に示される破線)が通る1つの光通過開口161bが形成されている。これにより、支持面161aは、Y方向において2つの領域に分離されている。
【0105】
第2支持体106は、規制部162を更に有している。規制部162は、支持部161に対してZ方向における一方の側に位置するように第2支持体106に設けられている。規制部162は、各バンドパスフィルタ104がZ方向に垂直な方向に移動することを規制している。規制部162は、各バンドパスフィルタ104の側面104cに接触するように設けられた複数の接触部分162a、及び各バンドパスフィルタ104の側面104cから離間するように設けられた複数の離間部分162bによって、構成されている。規制部162は、複数のバンドパスフィルタ104を完全に仕切っていない。つまり、複数のバンドパスフィルタ104は、Z方向に垂直な方向への移動が規制部162によって規制された状態で、空間を介して互いに離間している。
【0106】
第2支持体106のZ方向における一方の側の表面106bには、Z方向における一方の側に開口する複数の凹部163が形成されている。各凹部163の側面は、規制部162の内面であって、各凹部163の底面は、支持部161における支持面161aである。各凹部163には、1つのバンドパスフィルタ104が収容されている。Z方向における支持面161aと表面106bとの距離は、各バンドパスフィルタ104の厚さ(すなわち、Z方向における光入射面104aと光出射面104bとの距離)よりも小さい。これにより、各バンドパスフィルタ104における支持部161とは反対側の一部分は、表面106bから突出しており、各バンドパスフィルタ104の光出射面104bは、表面106bよりもZ方向における一方の側に位置している(
図11参照)。
【0107】
図12に示されるように、第2支持体106には、各バンドパスフィルタ104に対して、複数の離間空間163aが形成されている。各離間空間163aは、第2支持体106及びバンドパスフィルタ104によって画定されている。具体的には、各離間空間163aは、凹部163の内面、及び、バンドパスフィルタ104の側面104cによって画定されている。本実施形態では、各離間空間163aは、凹部163のうち離間部分162bの内面、及び、側面104cによって画定されている。
[光検出器及び遮光部材の構成]
【0108】
図8及び
図9に示されるように、光検出器107は、配線基板171と、複数の光検出素子172と、複数の端子173と、を有している。配線基板171における複数のバンドパスフィルタ104側の表面171aには、Z方向における他方の側に開口する凹部176が形成されている。複数の光検出素子172は、X方向に沿って配列されるように、凹部176の底面176aに実装されている。すなわち、本実施形態では、複数の光検出素子172が凹部176内に位置している。各光検出素子172は、接着剤S22によって配線基板171に固定されている。各光検出素子172は、PDチップ等のディスクリート半導体素子であり、各受光領域107aを有している。複数の端子173は、配線基板171における側面171bに取り付けられている。各端子173は、各光検出素子172に対して電気信号等を入出力するための端子である。複数の端子173は、Z方向における一方の側に延在している。光検出器107は、規制部162と凹部176とが向かい合うように第2支持体106に取り付けられている。
【0109】
遮光部材108は、複数のバンドパスフィルタ104と光検出器107との間に配置されている。遮光部材108は、弾性材料によって形成されており、圧縮された状態で光検出器107の凹部176に配置されている。この状態で、複数のバンドパスフィルタ104は、第2支持体106の支持部161と遮光部材108とによって挟持されている。遮光部材108における複数のバンドパスフィルタ104側の表面は、各バンドパスフィルタ104の光出射面104bと接触している。遮光部材108における光検出器107側の表面は、配線基板171の表面171aと接触している。
【0110】
遮光部材108には、複数の光通過開口(光通過空間)108aが形成されている。遮光部材108は、複数の壁部181を有している。
図8及び
図13に示されるように、各壁部181は、光通過開口108aを介在させつつX方向に沿って配列されている。すなわち、複数の壁部181のそれぞれは、隣り合う光通過開口108a間に配列されている。複数のバンドパスフィルタ104から複数の受光領域107aに至る複数の光路のそれぞれは、複数の光通過開口108aのそれぞれを通っている。つまり、複数のバンドパスフィルタ104から複数の受光領域107aに至る複数の光路は、遮光部材108によって互いに分離されている。本実施形態では、光検出器107の各光検出素子172が遮光部材108の各光通過開口108a内に位置している。各光通過開口108a内では、光検出素子172の端子(図示せず)と配線基板171の端子173とがワイヤ174によって電気的に接続されており、ワイヤ174が樹脂部材175によって覆われている。
図11に示されるように、各光通過開口108aは、各光出射面104bと各受光領域107aとの間において形成されている。
図11及び
図13に示されるように、複数の壁部181のうち隣り合う第1壁部181a及び第2壁部181bは、第1壁部181a及び第2壁部181bの間の光通過開口108aに対応するバンドパスフィルタ104に接触している。
【0111】
図13に示されるように、Y方向における光通過開口108aの幅は、X方向における光通過開口108aの幅よりも大きい。すなわち、光通過開口108aは、Y方向を長手方向とする長尺状を呈している。本実施形態では、光通過開口108aは、Y方向を長手方向とする長方形状を呈している。Y方向における光通過開口108aの幅は、遮光部材108において、第1壁部181a及び第2壁部181bに対してY方向における一方の側に位置する部分182aから、第1壁部181a及び第2壁部181bに対してY方向における他方の側に位置する部分182bまでの距離である。X方向における光通過開口108aの幅は、遮光部材108において、X方向における第1壁部181aから第2壁部181bまでの距離である。X方向における第1壁部181aの幅、及びX方向における第2壁部181bの幅のそれぞれは、X方向における光通過開口8aの幅よりも小さい。なお、本明細書において、Y方向における光通過開口108aの幅が、X方向における光通過開口108aの幅よりも大きいとの表現は、Y方向とX方向とを一致させた状態で、Y方向に対応する光通過開口108aとX方向に対応する光通過開口108aとを重ねた場合に、Y方向とX方向とを一致させた方向においてY方向に対応する光通過開口108aの一部がはみ出ることを意味する。
【0112】
図13に示されるように、Y方向における光通過開口108aの幅は、Y方向におけるバンドパスフィルタ104の幅よりも大きい。本実施形態では、Z方向から見た場合に、Y方向においてバンドパスフィルタ104に対して光通過開口108aが両側に位置するように、第1壁部181a及び第2壁部181bがバンドパスフィルタ104に接触している。なお、本明細書において、Y方向における光通過開口108aの幅が、Y方向におけるバンドパスフィルタ104の幅よりも大きいとの表現は、Y方向において光通過開口108aとバンドパスフィルタ104とを重ねた場合に、Y方向において光通過開口108aの一部がはみ出ることを意味する。
【0113】
凹部163に形成された各離間空間163aは、遮光部材108の光通過開口108aと連通している。具体的には、各離間空間163aは、光通過開口108aに開口している。換言すれば、各離間空間163aの少なくとも一部は、光通過開口108aの一部と連続しており、Z方向から見た場合に光通過開口108aの一部と重なっている。各凹部163には、例えば4つの離間空間163aが形成されており、当該4つの離間空間163aが、1つの光通過開口108aに開口している。また、本実施形態では、Z方向における凹部163の深さは、Z方向における光通過開口108aの幅よりも大きい。一例として、凹部163の厚さは、2.5mm以上であって、Z方向における光通過開口108aの厚さ(すなわち、Z方向における遮光部材108の厚さ)は、1.0~1.2mmである。
【0114】
図12に示されるように、各光通過開口108aは、各バンドパスフィルタ104の光出射面104bのうちクリアアパーチャ140の外側の領域が遮光部材108に接触するように遮光部材108に形成されている。つまり、遮光部材108は、各バンドパスフィルタ104の光出射面104bのうちクリアアパーチャ140の外側の領域が遮光部材108に接触するように構成されている。具体的には、
図13に示されるように、第1壁部181a及び第2壁部181bは、バンドパスフィルタ104の光出射面104bのうちクリアアパーチャ140の外側の領域に接触している。
【0115】
図9に示されるように、第2支持体106には、複数の位置決め孔106aが形成されている。複数の位置決め孔106aは、最前段のバンドパスフィルタ104に対してY方向における第3壁部123側、及び最後段のバンドパスフィルタ104に対してY方向における第3壁部123側に1つずつ形成されている。各位置決め孔106aは、筐体102の第2凹部126における底面126aから第2支持体106のZ方向における一方の側の表面に至るように形成されている。配線基板171の底面176aには、複数の位置決めマーク107bが形成されている。各位置決めマーク107bは、Z方向における他方の側から見た場合に、光検出素子172に対してY方向においてワイヤ174とは反対側に形成されている。各位置決め孔106aは、Z方向における他方の側から見た場合に位置決めマーク107bと重なっている。これにより、第2支持体106(すなわち、筐体102)と光検出器107との組付けの際に、光検出器107に対する第2支持体106の正しい組付け位置を確認することができる。
[作用及び効果]
【0116】
分光モジュール101では、複数のバンドパスフィルタ104と光検出器107との間に配置された遮光部材108が、光通過開口108aを介在させつつX方向に沿って配列された複数の壁部181を有しており、複数の壁部181のうち隣り合う第1壁部181a及び第2壁部181bが、第1壁部181a及び第2壁部181bの間の光通過開口108aに対応するバンドパスフィルタ104に接触している。これにより、隣り合う受光領域107a間における光のクロストークの発生を抑制することができる。また、複数のビームスプリッタ103及び複数のバンドパスフィルタ104が配列されたX方向、並びに複数のバンドパスフィルタ104と複数の受光領域107aとが向かい合うZ方向の両方向と直交(交差)するY方向(第3方向)における光通過開口108aの幅が、Y方向におけるバンドパスフィルタ104の幅よりも大きい。これにより、各バンドパスフィルタ104から各受光領域107aに至る光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するために第1壁部181a及び第2壁部181bを低くしても、Y方向における光通過開口108aの幅が大きいため、例えば、各光検出素子172を配線基板171に固定するための接着剤S22等からアウトガスが発生したとしても、光通過開口108a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。よって、この分光モジュール101によれば、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域107aの劣化を抑制することができる。また、分光モジュール101によれば、Y方向における各バンドパスフィルタ104の幅が短いため、各バンドパスフィルタ104の小型化を図ることができる。
【0117】
光通過開口108a内で発生するアウトガスの濃度の高まりの抑制について更に述べる。当該アウトガスの濃度の高まりの抑制のために、例えば、X方向における光通過開口108aの幅を大きくすると、X方向に沿った光路(具体的には、複数のビームスプリッタ103が配列された方向に沿った光路)が長くなる結果、S/N比が低下してしまう。これに対し、分光モジュール101によれば、X方向に沿った光路及びZ方向に沿った光路が長くなることを回避しつつ、光通過開口108a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。また、例えば、アウトガスを外部に逃がすために、配線基板171に通気孔が形成される場合、当該通気孔を介して逆光が光通過開口108a内に進入することに起因して光の誤検出が発生するリスクがある。また、当該通気孔が形成される場合、当該通気孔からパーティクルが進入して受光領域107aに付着することに起因して、光の検出精度が低下するリスクがある。分光モジュール101によれば、そのようなリスクを回避しつつ、アウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。
【0118】
また、分光モジュール101では、Y方向における光通過開口108aの幅が、X方向における光通過開口108aの幅よりも大きい。これにより、X方向に沿った光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するためにX方向における光通過開口108aの幅を狭めても、光通過開口108aを広くすることができる。
【0119】
また、分光モジュール101では、光検出器107が、配線基板171及び複数の光検出素子172を有し、複数の光検出素子172のそれぞれは、複数の受光領域107aのそれぞれを含み、複数の光検出素子172は、接着剤S22によって配線基板171に固定されている。これにより、複数の光検出素子172のそれぞれを配線基板171に容易に且つ確実に固定することができる。また、接着剤S22からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域107aの劣化を抑制することができる。
【0120】
また、分光モジュール101では、複数の光検出素子172のそれぞれが、光通過開口108a内に位置している。これにより、複数の受光領域107aが互いに分離されることにより隣り合う受光領域107a間において光学的なクロストークが生じるのを防ぎつつ、複数のバンドパスフィルタ104から複数の光検出素子172に至る光路を短くすることができるため、S/N比を向上させることができる。また、複数の光検出素子172のそれぞれが遮光部材108に囲まれた状態において光通過開口108a内の接着剤S22等からアウトガスが発生した場合であっても、光通過開口108aが広いため、光通過開口108a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。
【0121】
複数の受光領域107aの劣化の抑制の効果は、本実施形態のように、複数の光検出素子172(ディスクリート半導体素子)のそれぞれが光通過開口108a内に位置している構成において特に有効である。具体的には、例えば、複数のディスクリート半導体素子のそれぞれが光通過開口内に位置している構成(すなわち、複数のディスクリート半導体素子のそれぞれが遮光部材に囲まれている場合)において、光通過開口の広さが十分でないと、光通過開口内の接着剤等からアウトガスが発生した場合、アウトガスの濃度が高まることが懸念される。これに対し、分光モジュール101によれば、光通過開口108aが広いため、そのようなリスクを回避し、受光領域107aの劣化を抑制することができる。
【0122】
また、分光モジュール101では、第2支持体106が複数のバンドパスフィルタ104を支持しており、第2支持体106には、第2支持体106及びバンドパスフィルタ104によって画定された離間空間163aが形成されており、離間空間163aは、光通過開口108aと連通している。これにより、光通過開口108a内で発生したアウトガスを離間空間163aに逃がすことができるため、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0123】
また、分光モジュール101では、複数のバンドパスフィルタ104のそれぞれが、接着剤S21によって第2支持体106に固定されている。これにより、複数のバンドパスフィルタ104のそれぞれを第2支持体106に容易に且つ確実に固定することができる。また、接着剤S21からアウトガスが発生しても、アウトガスの濃度の高まりが抑制されるため、受光領域107aの劣化を抑制することができる。
【0124】
また、分光モジュール101では、第2支持体106には、Z方向における一方の側に開口する複数の凹部163が形成されており、複数の凹部163のそれぞれには、複数のバンドパスフィルタ104のそれぞれが収容されており、離間空間163aは、複数の凹部163のうちバンドパスフィルタ104を収容する凹部163の内面、及び、バンドパスフィルタ104の側面104cによって画定されている。これにより、光通過開口108aと連通する離間空間163aを容易に且つ確実に確保することができる。
【0125】
また、分光モジュール101では、離間空間163aが、光通過開口108aに開口している。これにより、第2支持体106の構造の単純化を図りつつ、離間空間163aを光通過開口108aと確実に連通させることができる。
【0126】
また、分光モジュール101では、第2支持体106には、各バンドパスフィルタ104に対して、複数の離間空間163aが形成されている。これにより、アウトガスの濃度の高まりをより一層抑制することができる。
【0127】
また、分光モジュール101では、Z方向における凹部163の深さが、Z方向における光通過開口108aの幅よりも大きい。これにより、複数のバンドパスフィルタ104から複数の受光領域107aに至る複数の光路を短くしつつ、離間空間163aを広くすることができる。
【0128】
特に、分光モジュール101では、バンドパスフィルタ104が、光透過基板141の側面141bに設けられた遮光膜143を有している。これにより、Z方向における凹部163の深さに合わせてバンドパスフィルタ104を厚くしたとしても、バンドパスフィルタ104の側面104cからの光の進入を防ぐことができ、迷光の発生を抑制することができる。
【0129】
また、分光モジュール101では、第1壁部181a及び第2壁部181bが、バンドパスフィルタ104の光出射面104bのうちクリアアパーチャ140の外側の領域に接触している。これにより、複数のバンドパスフィルタ104のそれぞれの機能を十分に発揮させて、S/N比を向上させることができる。
【0130】
また、分光モジュール101では、X方向における第1壁部181aの幅、及びX方向における第2壁部181bの幅のそれぞれが、X方向における光通過開口108aの幅よりも小さい。これにより、X方向に沿った光路を短くしつつ、遮光部材108の小型化を図ることができる。また、X方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0131】
また、分光モジュール101では、複数のバンドパスフィルタ104が、空間を介して互いに離間している。これにより、X方向に沿った光路を短くしつつ、複数のバンドパスフィルタ104の配列ピッチを狭めて、分光モジュール1の小型化を図ることができる。また、X方向に沿った光路が短くなるので、信号光の減衰を抑制することができ、S/N比を向上させることができる。
【0132】
また、分光モジュール101は、遮光部として光検出器107と別体で形成された遮光部材108を備えており、遮光部材108には、光通過空間として光通過開口108aが形成されている。これにより、複数の壁部及び光通過空間を有する遮光部(遮光部材108)を確実に得ることができる。
【0133】
また、分光モジュール101では、第2支持体106に、筐体102の第2凹部126における底面126aから第2支持体106のZ方向における一方の側の表面106bに至るように、複数の位置決め孔106aが形成されている。換言すれば、各位置決め孔106aによって、第2凹部126の内部空間と光通過開口108aとが連通している。これにより、光通過開口108a内で発生したアウトガスを第2凹部126の内部空間に逃がすことができるため、光通過開口108a内にアウトガスがより一層充満しにくくすることができる。
[変形例]
【0134】
本発明は、上記第1実施形態及び上記第2実施形態に限定されない。例えば、上記各実施形態では、第1方向(X方向)に沿って複数のビームスプリッタ3,103が配列されていた。また、第1実施形態では、複数のビームスプリッタ3に対して第2方向(Z方向)における一方の側に複数のバンドパスフィルタ4等が配置され、第2実施形態では、複数のビームスプリッタ103に対して第2方向(Z方向)における一方の側に複数のバンドパスフィルタ104等が配置されていた。つまり、上記各実施形態では、第2方向(Z方向)が第1方向(X方向)に垂直な方向であり、第3方向(Y方向)が第1方向(X方向)及び第2方向(Z方向)の両方向に垂直な方向であったが、第2方向は第1方向と交差する方向であればよく、第3方向は第1方向及び第2方向の両方向と交差する方向であればよい。また、上記各実施形態において「接触するように」との意味には、或る部材と或る部材とが接触していることに限定されず、或る部材と或る部材との間に接着剤等の膜が配置されていることも含まれる。
【0135】
また、筐体2は、少なくとも複数のビームスプリッタ3及び複数のバンドパスフィルタ4を収容するものであればよく、筐体102は、少なくとも複数のビームスプリッタ103及び複数のバンドパスフィルタ104を収容するものであればよい。また、第1支持体5、第2支持体6及び光検出器7の少なくとも1つの一部分によって、筐体2の一部分が構成されていてもよく、第1支持体105、第2支持体106及び光検出器107の少なくとも1つの一部分によって、筐体102の一部分が構成されていてもよい。また、第1支持体5及び第2支持体6、並びに第1支持体105及び第2支持体106は、一体的に形成されていてもよい。また、上記第1実施形態では、各バンドパスフィルタ4の光入射面4aは、遮光部材8が配置される凹部63の底面63aよりもZ方向における一方の側に位置していたが、底面63aと同じ位置に位置していてもよい。
【0136】
また、各ビームスプリッタ3,103は、互いに異なる波長帯域の光を反射し且つ反射する波長帯域の光以外の光を透過させるダイクロイックミラーであってもよい。また、各ビームスプリッタ3,103は、板状に限定されず、ブロック状を呈していてもよい。また、各ビームスプリッタ3,103は、各ビームスプリッタ3,103の厚さ方向から見た場合に長尺状を呈していれば、具体的形状として、多角形、楕円形状等を呈していてもよい。また、複数のビームスプリッタ3,103は、例えば1つの基材に少なくとも2つの誘電体多層膜が形成されることで構成されていてもよい。つまり、それぞれがビームスプリッタ3,103として機能する複数の部分が存在すればよく、当該複数の部分のそれぞれが配置された基材が互いに分割されている必要はない。また、複数のバンドパスフィルタ4,104は、例えば1つの基材に少なくとも2つの誘電体多層膜が形成されることで構成されていてもよい。つまり、それぞれがバンドパスフィルタ4,104として機能する複数の部分が存在すればよく、当該複数の部分のそれぞれが配置された基材が互いに分割されている必要はない。また、光検出器7は、1つの半導体基板に複数の受光領域7aが形成されたPDアレイ等であってもよく、光検出器107は、1つの半導体基板に複数の受光領域107aが形成されたPDアレイ等であってもよい。また、光検出器7,107は、光電子増倍管であってもよい。
【0137】
また、第2支持体6は、上記第1実施形態の構成に限定されない。第2支持体6の支持部には、Z方向における一方の側に開放されるように支持領域が形成され、複数のバンドパスフィルタ4は、支持領域に配置されていればよい。そのような分光モジュール1においても、第2支持体6において、Z方向における一方の側に開放されるように支持部に形成された支持領域に、複数のバンドパスフィルタ4が配置されており、第2支持体6において、Z方向における一方の側は、複数のビームスプリッタ3が支持される側とは反対側である。そのため、分光モジュール1の製造時において、複数のビームスプリッタ3を支持する第1支持体5が第2支持体6に取り付けられた後に、例えばバンドパスフィルタ4に損傷等が発見されても、当該バンドパスフィルタ4を交換するために当該第1支持体5を第2支持体6から取り外す必要がない。また、複数のバンドパスフィルタ4を第2支持体6に取り付けるタイミングも、複数のビームスプリッタ3を支持する第1支持体5を第2支持体6に取り付けるタイミングに左右されない。更に、複数のバンドパスフィルタ4を第2支持体6に取り付ける際にZ方向における一方の側から各バンドパスフィルタ4を視認することができる。よって、上述した分光モジュール1によっても、製造効率の向上を図ることができる。なお、上述した支持領域の例は、上記第2実施形態における第2支持体106に適用されてもよい。
【0138】
支持領域が形成された支持部の例について以下に述べる。一例として、
図14に示される第2支持体6は、支持面である支持領域64aが形成された支持部64を有している。支持領域64aは、Z方向に平行な面であり、Z方向における一方の側に開放されるように形成されている。支持領域64aがZ方向における一方の側に開放されているとは、第2支持体6のみの状態でZ方向における一方の側から支持部64を見た場合に、支持領域64aまで何らの部材も存在しないことを意味する。複数のバンドパスフィルタ4は、X方向に沿って配列されるように、支持領域64aに配置されている。支持領域64aは、Z方向に平行な面であり、各バンドパスフィルタ4の側面4cが支持領域64aに接触するように支持部64に形成されている。
図14に示される例では、上述した製造効率の向上に加えて、Z方向に垂直な支持面が支持部64に形成されている場合と比較して、各ビームスプリッタ3及び各バンドパスフィルタ4間の光路長を短くすることができ、光量のロスを低減することができる。そのため、配線基板71の回路において電気信号の増幅率を抑えることができ、S/N比の更なる向上を図ることができる。また、
図14に示される例では、Z方向に垂直な支持面が形成されている場合と比較して、更なる製造の容易化を図ることができる。
【0139】
なお、支持部64は、
図15に示される例のように、光通過開口64bが形成された部分において、光通過開口64bの中心側に傾斜するように形成されていてもよい。また、第2支持体6は、
図16に示される例のように、Y方向に沿って線状に延在する支持領域64cが形成された支持部64を有していてもよい。支持領域64cは、支持部64において互いに異なる角度で傾斜した光通過開口64b側の表面とバンドパスフィルタ4側の表面との接続部である。複数のバンドパスフィルタ4は、X方向に沿って配列されるように、支持領域64cに配置されている。支持領域64cは、各バンドパスフィルタ4の光入射面4a及び側面4cによって形成された隅部のうちY方向に沿った部分において支持領域64cに接触するように支持部64に形成されている。
【0140】
なお、
図14、
図15及び
図16に示される支持部64の例は、上記第2実施形態における第2支持体106に適用されてもよい。
【0141】
また、上記第1実施形態では、筐体2が、規定部として複数の位置決め孔2cを有していたが、第2支持体6及び筐体2の少なくとも一方が、X方向及びZ方向の両方向に平行な面内での第1支持体5の位置を規定する規定部を有していればよい。第2支持体6及び筐体2が有する規定部としては、例えば、凹部9内に配置された第1支持体5に接触するように凹部9の側面92に設けられた接触領域がある。また、第1支持体5は、第1係合部を有し、筐体2は、規定部として、第1係合部と係合した第2係合部を有していてもよい。その場合、第1係合部及び第2係合部の一方は、複数の位置決め孔であり、第1係合部及び第2係合部の他方は、それぞれが複数の位置決め孔のそれぞれに嵌められた位置決めピンであってもよい。
【0142】
また、上記第1実施形態では、第2支持体6が位置決めピン6aを有しており、遮光部材8が位置決め孔8bを有していたが、第2支持体6は、第1係合部を有し、遮光部材8は、第1係合部と係合した第2係合部を有していてもよい。その場合、第1係合部及び第2係合部の一方は、複数の位置決め孔であり、第1係合部及び第2係合部の他方は、それぞれが複数の位置決め孔のそれぞれに嵌められた位置決めピンであってもよい。
【0143】
また、ビームスプリッタ3,103が、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有している場合には、全てのビームスプリッタ3,103の個数をM個(Mは2以上の自然数)とすると、M個のビームスプリッタ3,103のうちのN個(Nは2以上且つM以下の自然数)のビームスプリッタ3,103のそれぞれが、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有していればよい。なお、全てのビームスプリッタ3,103が、板状を呈しており、1mm以下の厚さ(より好ましくは0.5mm以下の厚さ)を有していてもよい(M=Nの場合)。
【0144】
また、各バンドパスフィルタ4は、支持部61と遮光部材8とによって挟持されていなくてもよく、各バンドパスフィルタ104は、支持部161と遮光部材108とによって挟持されていなくてもよい。また、上記第1実施形態では、各バンドパスフィルタ4が、接着剤S11によって第2支持体6に固定されていなくてもよく、上記第2実施形態では、各バンドパスフィルタ104が、接着剤S21によって第2支持体106に固定されていなくてもよい。また、上記第1実施形態では、各光検出素子72が、接着剤S12によって配線基板71に固定されていなくてもよく、上記第2実施形態では、各光検出素子172が、接着剤S22によって配線基板171に固定されていなくてもよい。
【0145】
また、上記第1実施形態では、例えば、複数の壁部81のうちいずれの隣り合う2つの壁部81においても、当該2つの壁部81が、第1壁部81a及び第2壁部81bであってもよい。また、上記第2実施形態では、例えば、複数の壁部181のうちいずれの隣り合う2つの壁部181においても、当該2つの壁部181が、第1壁部181a及び第2壁部181bであってもよい。
【0146】
また、上記第1実施形態では、バンドパスフィルタ4が、第1壁部81a及び第2壁部81bに接触していればよく、上記第2実施形態では、バンドパスフィルタ104が、第1壁部181a及び第2壁部181bに接触していればよい。例えば、上記第1実施形態では、バンドパスフィルタ4は、Z方向から見た場合に、Y方向においてバンドパスフィルタ4に対して光通過開口8aが両側に位置するように、第1壁部81a及び第2壁部81bに接触していてもよい。また、例えば、上記第2実施形態では、バンドパスフィルタ104は、Z方向から見た場合に、Y方向においてバンドパスフィルタ104に対して光通過開口108aが片側に位置するように、第1壁部181a及び第2壁部181bに接触していてもよい。また、例えば、上記第1実施形態では、バンドパスフィルタ4は、第1壁部81aの内面及び第2壁部81bの内面と、バンドパスフィルタ4の側面4cとが接触するように、第1壁部81a及び第2壁部81bに接触していてもよい。また、例えば、上記第2実施形態では、バンドパスフィルタ104は、第1壁部181aの内面及び第2壁部181bの内面と、バンドパスフィルタ104の側面104cとが接触するように、第1壁部181a及び第2壁部181bに接触していてもよい。
【0147】
また、上記第1実施形態では、Y方向における光通過開口8aの幅は、X方向における光通過開口8aの幅よりも小さくてもよく、X方向における光通過開口8aの幅と同じであってもよい。また、上記第2実施形態では、Y方向における光通過開口108aの幅は、X方向における光通過開口108aの幅よりも小さくてもよく、X方向における光通過開口108aの幅と同じであってもよい。また、Z方向における凹部163の深さは、Z方向における光通過開口108aの幅と等しくてもよく、Z方向における光通過開口108aの幅よりも小さくてもよい。
【0148】
また、上記第1実施形態の分光モジュール1では、光通過開口8aが形成された遮光部材8が、光検出器7とは別体で形成されていたが、そのような遮光部材8の代わりに、第2支持体6又は配線基板71と一体で形成された遮光部が、複数のバンドパスフィルタ4と光検出器7との間に配置されていてもよい。上記第2実施形態の分光モジュール101では、光通過開口108aが形成された遮光部材108が、光検出器107とは別体で形成されていたが、そのような遮光部材108の代わりに、第2支持体106又は配線基板171と一体で形成された遮光部が、複数のバンドパスフィルタ104と光検出器107との間に配置されていてもよい。それらの遮光部は、光通過空間を介在させつつX方向に沿って配列された複数の壁部を有していればよい。
図17に示される分光モジュールでは、遮光部208が、配線基板271と一体で形成されている。遮光部208は、複数の壁部281を有している。複数の壁部281は、光通過空間208aを介在させつつX方向に沿って配列されている。複数の壁部281は、配線基板271のZ方向における他方の側の表面に形成された凹部276の底面276aからZ方向における他方の側に延在している。複数の壁部281は、隣り合う第1壁部281a及び第2壁部281bを含んでいる。光通過空間208aは、第1壁部281a、第2壁部281b及び配線基板271によって画定されている。具体的には、光通過空間208aは、第1壁部281aの内側表面、第2壁部281bの内側表面及び凹部276の底面276aによって画定されている。なお、
図17では、光通過空間208aが二点鎖線で図示されている。本変形例の分光モジュールによっても、上記実施形態と同様に、隣り合う第1壁部281a及び第2壁部281bが、第1壁部281a及び第2壁部281bの間の光通過空間208aに対応するバンドパスフィルタ104に接触しているので、隣り合う受光領域107a間における光のクロストークの発生を抑制することができる。また、上記実施形態と同様に、X方向及びZ方向の両方向と直交するY方向における光通過空間208aの幅が、Y方向におけるバンドパスフィルタ104の幅よりも大きい。これにより、各バンドパスフィルタ104から各受光領域107aに至る光路が長くなることによってS/N比が低下することを回避するために第1壁部281a及び第2壁部281bを低くしても、Y方向における光通過空間208aの幅が大きいため、接着剤S22等からアウトガスが発生したとしても、光通過空間208a内においてアウトガスの濃度の高まりを抑制することができる。よって、本変形例によっても、S/N比の向上を図りつつ、複数の受光領域107aの劣化を抑制することができる。更には、分光モジュールの部品点数を削減して分光モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0149】
また、離間空間の構成は上記各実施形態の構成に限定されない。例えば、上記第1実施形態では、各バンドパスフィルタ4に対して複数の離間空間65aが形成されていた。しかしながら、第2支持体6には、各バンドパスフィルタ4に対して1つの離間空間65aが形成されていてもよく、また、複数のバンドパスフィルタ4のうち特定のバンドパスフィルタ4に少なくとも1つの離間空間65aが形成されていてもよい。また、例えば、上記第2実施形態では、各バンドパスフィルタ104に対して複数の離間空間163aが形成されていた。しかしながら、第2支持体106には、各バンドパスフィルタ104に対して1つの離間空間163aが形成されていてもよく、また、複数のバンドパスフィルタ104のうち特定のバンドパスフィルタ104に少なくとも1つの離間空間163aが形成されていてもよい。また、離間空間は、光通過開口8a,108aと連通していればよく、例えば第2支持体6,106に設けられた他の凹部によって画定されていてもよい。また、第2支持体6,106には、離間空間が形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1,101…分光モジュール、3,103…ビームスプリッタ、4,104…バンドパスフィルタ、4b,104b…光出射面、4c,104c…側面、6,106…第2支持体(支持体)、7,107…光検出器、7a,107a…受光領域、72,172…光検出素子、8,108…遮光部材(遮光部)、8a,108a…光通過開口(光通過空間)、40,140…クリアアパーチャ、65a,163a…離間空間、65,163…凹部、71,171…配線基板、81,181…壁部、81a,181a,281a…第1壁部、81b,181b,281b…第2壁部、S11,S12,S21,S22…接着剤。