(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】運転者特定装置、および運転者特定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20240805BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240805BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G08G1/13
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020174847
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004244
【氏名又は名称】弁理士法人仲野・川井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】古堅 秀明
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138642(JP,A)
【文献】特開2011-172151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/13
G08G 1/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定装置であって、
車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得手段と、
車両の運転者が所持する携帯端末から
a秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得手段と、
前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、
前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定手段と、を具備し
、
前記運転者特定手段は、前記判断円S内に存在する車両が1台だけでない場合、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信するまでの間、同一の判断円Sを使用し、前記車載器から新たに受信した車位置情報に基づいて、当該判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、
ことを特徴とする運転者特定装置。
【請求項2】
前記運転者特定手段は、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信した後は、当該受信した新しい携帯端末の端末位置情報の現在位置を中心とする判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転者特定装置。
【請求項3】
前記運転者特定手段は、最初の判断で前記判断円Sの内側に複数台の車両の存在を検出した場合、当該検出した複数台の車両を対象として、判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、
ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の運転者特定装置。
【請求項4】
車両位置取得手段は、各車載器から所定の間隔で前記車位置情報と車IDを取得する、
ことを特徴とする請求項1
、請求項2
、又は請求項3に記載の運転者特定装置。
【請求項5】
前記運転者特定手段が前記車両の運転者を特定した場合、当該特定した運転者が所持する携帯端末に対して終了通知を送信する終了指示手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載の運転者特定装置。
【請求項6】
複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定装置であって、
車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得手段と、
車両の運転者が所持する携帯端末から
a秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得手段と、
前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、
前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定手段と、を具備し
、
前記運転者特定手段は、最初の判断で前記判断円Sの内側に複数台の車両の存在を検出した場合、当該検出した複数台の車両を対象として、判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、
ことを特徴とする運転者特定装置。
【請求項7】
複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定プログラムであって、
車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得機能と、
車両の運転者が所持する携帯端末から
a秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得機能と、
前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、
前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定機能と、
をコンピュータに実現させ
る運転者特定プログラムであって、
前記運転者特定機能は、前記判断円S内に存在する車両が1台だけでない場合、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信するまでの間、同一の判断円Sを使用し、前記車載器から新たに受信した車位置情報に基づいて、当該判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、
ことを特徴とする運転者特定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者特定装置、および運転者特定プログラムに係り、例えば、車両の運転者を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の使用状況や、運転状況を特定する等のために、車両の運転者が誰なのかを特定する技術が提案されている。
例えば、特許文献1記載では、車両への運転者の着座やシートベルト装着等が検出された場合に、車内カメラで運転者の顔を撮影すると共に、生体センサで運転者の生体情報を取得し、顔認証と生体認証によって運転者を特定する技術が提案されている。
【0003】
しかし特許文献1記載技術では、車両に搭載する車載機器に撮像装置や生体センサなどの各種センサを配置する必要があるため、車載器が高価になってしまうという問題があった。
また、センサの設置状況や、運転者の状態などによっては誤認式をしてしまう可能性があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安価な車載器を使用して、より精度高く車両の運転者を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1に記載の発明では、複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定装置であって、車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得手段と、車両の運転者が所持する携帯端末からa秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得手段と、前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定手段と、を具備し、前記運転者特定手段は、前記判断円S内に存在する車両が1台だけでない場合、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信するまでの間、同一の判断円Sを使用し、前記車載器から新たに受信した車位置情報に基づいて、当該判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、ことを特徴とする運転者特定装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記運転者特定手段は、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信した後は、当該受信した新しい携帯端末の端末位置情報の現在位置を中心とする判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、ことを特徴とする請求項1に記載の運転者特定装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記運転者特定手段は、最初の判断で前記判断円Sの内側に複数台の車両の存在を検出した場合、当該検出した複数台の車両を対象として、判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の運転者特定装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、車両位置取得手段は、各車載器から所定の間隔で前記車位置情報と車IDを取得する、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の運転者特定装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記運転者特定手段が前記車両の運転者を特定した場合、当該特定した運転者が所持する携帯端末に対して終了通知を送信する終了指示手段と、を具備したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1の請求項に記載の運転者特定装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定装置であって、車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得手段と、車両の運転者が所持する携帯端末からa秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得手段と、前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定手段と、を具備し、前記運転者特定手段は、最初の判断で前記判断円Sの内側に複数台の車両の存在を検出した場合、当該検出した複数台の車両を対象として、判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、ことを特徴とする運転者特定装置を提供する。
(7)請求項7に記載の発明では、複数の車両と複数の運転者の中から、運転中の車両の運転者を特定する運転者特定プログラムであって、車両に配置された車載器から、前記車両の現在位置を特定可能な車位置情報と、当該車両を特定可能な車IDを取得する車両位置取得機能と、車両の運転者が所持する携帯端末からa秒間隔で送信される、当該携帯端末の現在位置を特定可能な端末位置情報と、当該携帯端末を所持する運転者を特定可能な端末IDを取得する端末位置取得機能と、前記取得した車位置情報と車ID、及び、前記取得した端末位置情報と端末IDを使用して、前記端末IDの現在位置から所定距離Nmの判断円S内に存在する1の車両を検出し、当該検出した車両の運転者として、当該端末IDの携帯端末を所持する車両の運転者を特定する運転者特定機能と、をコンピュータに実現させる運転者特定プログラムであって、前記運転者特定機能は、前記判断円S内に存在する車両が1台だけでない場合、前記携帯端末から次の端末位置情報を受信するまでの間、同一の判断円Sを使用し、前記車載器から新たに受信した車位置情報に基づいて、当該判断円S内に存在する1の車両を再度検出する、ことを特徴とする運転者特定プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取得した車位置情報と車ID、及び、取得した端末位置情報と端末IDを使用して、車両の運転者を特定するので、安価な車載器を使用して、より精度高く車両の運転者を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】運転者特定システムの概要を表した説明図である。
【
図5】車載器による車載器側処理の動作を表したフローチャートである。
【
図6】携帯端末による端末側処理の動作を表したフローチャートである。
【
図7】端末側処理における、携帯端末の表示画面について表した説明図である。
【
図8】運転者特定装置による運転者特定処理の動作を表したフローチャートである。
【
図9】運転者特定処理における、運転者特定の判定状態について表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の運転者特定装置および運転者特定プログラムにおける好適な実施の形態について、
図1から
図10を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1に示すように、運転者特定システムでは、運転者Dが携帯するスマートフォン等の携帯端末10、車両Vに搭載されるドライブレコーダ等の車載器30、本実施形態の運転者特定装置50等で構成され、携帯端末10と車載器30は携帯電話網などの各種通信網を介して運転者特定装置50と接続可能に構成されている。
携帯端末10と車載器30は共に、GPS受信装置等を備えることで自身の位置情報(端末位置情報、車位置情報)を取得することができるようになっている。
本実施形態の運転者特定装置50は、運転者Dが所持する携帯端末10から受信した端末位置情報と、車両Vに搭載された車載器30から受信した車位置情報とが一致(Nm以内)した場合に、車載器30が搭載された車両Vの運転者として携帯端末10を所持する運転者Dを特定する。
【0010】
具体的な動作の概要について説明する。
図1に示すように、本運転者特定システムでは、まず運転者Dは、携帯端末10を携帯して車両Vに乗車する(
図1(a))。
そして、運転者Dが、車両Vのイグニッション(以下、IGという)をオンすると、車載器30はIGのオンにより、車両Vから電源が供給されることで起動し、IGがオフになるまで定期的に車位置情報を取得し、取得した車位置情報と車IDとを運転者特定装置50に送信する(
図1(b))。
ここで車IDは、車両Vに設置した際に車載器30に対して割当てられる識別番号であり、車載器30を特定するための識別番号であるが、車載器30は車両Vに設置されることから、運転者特定装置50が車両を特定する識別番号としても機能している。
【0011】
一方、車両Vに乗車した運転者Dは、自己の携帯端末10の端末側処理プログラムを起動する。すると携帯端末10は、運転者特定装置50から終了通知を受信するまで定期的に自装置の端末位置情報を取得し、端末位置情報と端末IDを運転者特定装置50に送信する(
図1(c))。
ここで、端末IDは、携帯端末10を識別するための識別番号であるが、携帯端末10は運転者Dが専用していることを前提としているので、運転者を特定する識別番号としても機能している。
【0012】
運転者特定装置50は、各車載器30から受信した車IDと車位置情報(以下、車両位置という)を順次保存している。
そして、1の携帯端末10から端末IDと端末位置情報(以下、端末位置という)を受信すると、受信した端末位置を中心にして、半径Nm(例えば、100m)以内に、車両位置を受信している車両が1台だけ存在している場合に、当該車両(車IDの車載器30が搭載されている車両)と、運転者D(携帯端末10を所有する運転者)とを紐付けて保存する(
図1(d))。
その後、運転者特定装置50は、携帯端末10に対してアプリの停止要求を送信し、これを受信した携帯端末10は、端末側処理プログラムを終了する(
図1(e))。
このように、運転者特定システムによれば、安価な車載器30と携帯端末10を使用することで、車両Vの運転者Dを高精度に特定することが可能になる。
【0013】
(2)実施形態の詳細
以下、本実施形態の運転者特定装置50の詳細について、運転者特定システムを構成する他の構成を含めて説明する。
図2は、携帯端末10の構成を表したものである。
この携帯端末10は、コンピュータシステムで構成された、スマートフォン、タブレット、その他、通信機能を備え携帯が可能な端末装置が使用される。
携帯端末10は、位置情報取得手段11、データ通信手段12、制御手段13、計時手段14、記憶手段15、その他の手段を備えている。
【0014】
位置情報取得手段11は、図示しないGPS(Global Positioning System)を備えており、GPS衛星からの信号を受信して、自装置の位置(X、Y座標値)を算出するようになっている。
位置情報取得手段11は、a秒に1回の間隔で端末位置情報を取得し、図示しないRAMに保存するようになっている。ここで端末位置情報を取得する間隔のa秒は、デフォルト値として600秒(10分)に設定されているが、この値は、ユーザ(運転者D)の画面操作により、又は/及び、通信中における運転者特定装置50からのa秒変更の指示に基づいて自動的に変更することが可能になっている。
【0015】
データ通信手段12は、無線通信によりインターネット等の各種ネットワークに接続して、データの送受信を行う。
携帯端末10としてスマートフォンが使用される場合には、通話用や通信用のデータが送受信される。
【0016】
制御手段13は、主としてCPUやROM、RAMで構成され、各種プログラムを実行することで、各種画像表示、データの取得処理、データの送信処理等の各種制御を行う。
本実施形態の制御手段13は、データ通信手段12を介して、位置情報取得手段11で取得した端末位置情報を端末IDと共に運転者特定装置50に送信する。
計時手段14は、時間を計測する手段である。制御手段13は、計時手段14による時間経過を監視することで、a秒毎に位置情報取得手段11による端末位置情報を取得する。
【0017】
記憶手段15は、端末側処理プログラムや端末IDなどの各種プログラムやデータが保存される。
記憶手段15に保存される端末側処理プログラムについては、予め保存されていてもよいが、ユーザ(運転者D)の操作により、データ通信手段12を介して運転者特定装置50や、プログラム提供サーバ等からダウンロードして保存される。端末側処理プログラム中には、運転者特定装置50と接続するためのアドレス情報が規定されていて、当該プログラムを実行することで、運転者特定装置50との通信が可能になる。
端末側処理プログラムが最初に実行されると、運転者特定装置50との間で運転者Dの操作による登録処理が行われ、当該端末側処理プログラムが保存された携帯端末10を所持する運転者Dの氏名、所属する運営会社、性別、年齢等の運転者に関する運転者情報が送信される。
この登録処理において、運転者特定装置50から送信される端末IDを受信し、記憶手段15に保存される。なお、端末IDについては、ダウンロードした端末側処理プログラムにおいて予め規定されているようにしてもよい。
また端末IDは、運転者特定装置50から付与される番号等ではなく、携帯端末10に予め規定されている固有の識別可能な番号(例えば、IMEI(国際移動体装置識別番号)や電話番号等)を端末IDとして使用するようにしてもよい。
【0018】
その他の手段としては、各種情報を表示するための表示画面や、表示画面上に配置されて入力手段として機能するタッチパネル、音声出力手段、撮像手段等(いずれも図示しない)を備えている。
【0019】
図3は、車載器30の構成を表したものである。
車載器30は、コンピュータシステムで構成されている。この車載器30は、通信機能を備え車両内に設置可能に構成されている。本実施形態の車載器30は、車両の前方及び/又は後方、場合によって内部の動画を撮影し保存するドライブレコーダが使用される。
車載器30は、位置情報取得手段31、データ通信手段32、制御手段33、計時手段34、記憶手段35、その他の手段を備えている。
【0020】
車載器30は、外部の電源Pに接続されており、電源Pからの電源供給の有無に応じて起動、停止するようになっている。
具体的には、車両が備える電源ソケット(いわゆるシガーソケット)を介して電源の供給を受けるが、車両のACC電源(アクセサリー電源)の配線に直結することで電源供給を受けるようにしてよい。
【0021】
位置情報取得手段31は、図示しないGPS(Global Positioning System)を備えており、GPS衛星からの信号を受信して、自装置の位置(X、Y座標値)を算出するようになっている。
位置情報取得手段31は、1秒に1回の間隔で車位置情報を取得し、図示しないRAMに保存するようになっている。なお、車位置情報の取得に関しては、1秒毎をデフォルトとし、ユーザ(運転者D)等による操作や運転者特定装置50からの指示に基づいて変更可能なように構成してもよい。
本実施形態の位置情報取得手段31は、車載器30としてドライブレコーダが使用されているので、ドライブレコーダが備える位置情報取得手段を兼用している。
【0022】
データ通信手段32は、無線通信によりインターネット等の各種ネットワークに接続して、データの送受信を行う。
制御手段33は、主としてCPUやROM、RAMで構成され、各種プログラムを実行することで、各種画像表示、データの取得処理、データの送信処理等の各種制御を行う。
本実施形態の制御手段33は、データ通信手段32を介して、位置情報取得手段31が1秒毎に取得してRAMに蓄積している車位置情報を纏めてb秒毎に車IDと共に運転者特定装置50に送信する。ここで車位置情報を取得する間隔のb秒は、デフォルト値として30秒に設定されているため、運転者特定装置50には30個の車位置情報と車IDが送信されるが、b秒の値は、ユーザ(運転者D)の画面操作により、又は/及び、通信中における運転者特定装置50からのb秒変更の指示に基づいて自動的に変更することが可能になっている。
計時手段34は、時間を計測する手段である。制御手段33は、計時手段34による時間経過を監視することで、b秒毎に位置情報取得手段31による車位置情報を取得する。
【0023】
記憶手段35は、車載器側処理プログラムなどの各種プログラムやデータが保存される。
本実施形態のように、車載器30としてドライブレコーダが使用される場合、記憶手段35には、撮影手段で撮影した動画も保存される。この動画には、位置情報取得手段31で取得した車位置情報や、計時手段34による日時刻も合わせて保存される。
その他の手段としては、車載器30がドライブレコーダとして機能するための撮影手段等(図示しない)などを備えている。なお、車載器30としてドライブレコーダ以外の供給が使用される場合には、当該機器に対応した各種手段を備え、供給に対応したプログラムやデータが記憶手段35に保存される。
【0024】
図4は、運転者特定装置50の構成を表したものである。
運転者特定装置50は、コンピュータシステムで構成され、インターネット等の各種ネットワークに接続されるサーバなどが使用される。
運転者特定装置50は、データ通信手段51、携帯端末位置情報保存手段52、車載器位置情報保存手段53、制御手段54、車両情報記憶手段55、運転者情報記憶手段56、紐付け記憶手段57、その他の手段を備えている。
【0025】
データ通信手段51は、インターネット等のネットワークを介して複数の携帯端末10や複数の車載器30との間で各種データの送受信を行う。具体的には、携帯端末10や車載器30から端末位置情報と端末ID/車IDを受信し、また紐付け(車両の運転者特定)が終了した携帯端末10に対して起動中のアプリの停止を要求する終了通知を送信する。
【0026】
携帯端末位置情報保存手段52は、ネット接続されている複数の携帯端末10から送信される端末位置情報と端末IDとが保存される記憶手段である。
車載器位置情報保存手段53は、ネット接続されている複数の車載器30から送信される車位置情報と車IDとが保存される記憶手段である。車載器30からは、車両のイグニッションオンからオフまでの間、b秒毎に車位置情報と車IDが送信されるので、車載器位置情報保存手段53には、車ID毎に受信した車位置情報が纏めて保存される。
【0027】
制御手段54は、主としてCPUやROM、RAMで構成され、各種プログラムを実行することで、各種画像表示、データの取得処理、データの送信処理等の各種制御を行う。本実施形態の制御手段54は、記憶手段(図示しない)に保存された運転者特定処理プログラムを実行することで、運転者Dと車両Vとの紐付けを行う。
【0028】
車両情報記憶手段55は、複数存在する車両V(Va、Vb、Vc、…)毎に、各車両Vのナンバープレートに記載された番号(自動車登録番号標に記載された自動車登録番号、車両番号標に記載された車両番号等)、車種、運営会社等の車両に関連する車両情報が車IDと共に保存される。
なお、車IDは車載器30から車位置情報と共に受信するが、車載器30はいずれか1の車両Vに搭載されるので、車IDは車載器30を特定すると共に車両Vを特定する車両特定情報として機能している。
車両情報記憶手段55の車IDと車両情報は、各運営会社に対する運転者特定システムを使用したサービスを開始する前に、当該運営会社の車両について一括して登録される場合と、その後の車両Vを追加登録する場合に保存される。
【0029】
運転者情報記憶手段56は、登録された携帯端末10の端末IDと、その端末IDを使用するユーザ(運転者D)の運転者情報(運転者Dの氏名、所属する運営会社、性別、年齢等)が保存される。
各携帯端末10に対する端末IDと運転者情報については、携帯端末10の端末側処理プログラムが最初に実行された際に登録処理が運転者Dの操作で実行され、その際に入力された内容が保存されるようになっている。
【0030】
紐付け記憶手段57は、後述する運転者特定処理によって特定され紐付けられた、車両Vと運転者Dの対が保存される。なお、本実施形態では車両Vの運転者Dを特定することを主たる処理とするため、紐付け記憶手段57には紐付けられた車両Vと運転者Dが保存されるが、当該車両Vの走行記録として、車載器30から定期的に送信されるイグニッションオンからオフまでの車位置情報についても合わせて保存される。この保存に基づいて後述する乗車記録(
図10参照)が作成される。
【0031】
その他の手段としては、他の記憶手段(図示しない)があり、例えば施設DB(データベース)が保存されている。この施設DBには、後述する乗車記録の作成に使用されるデータとして、建築物、公共施設、駐車場、会社(運営会社やその営業所を含む)などの各種地点に対する、名称、住所、位置座標などが保存されている。例えば、車載器30(車両V)から最初に受信した位置座標から、車両Vの出発地点が検索され、その名称(名称が無い場合には住所)等が乗車記録として出力される。
【0032】
次に、以上のように構成された実施形態の動作について説明する。
以下に説明する各動作では、携帯端末10の制御手段13、車載器30の制御手段33、運転者特定装置50の制御手段54が、対応するプログラムを実行することで処理される。ここで、携帯端末10、車載器30、運転者特定装置50は、それぞれ各種プログラムが実行されるが、本実施形態における車両Vの運転者Dを特定して両者を紐付けをする処理の部分について説明する。例えば、車載器30の場合、ドライブレコーダとして車両内外を撮像し記録する部分については説明を省略するものとする。
【0033】
図5は、車載器30による車載器側処理の動作を表したフローチャートである。
運転者Dが車両Vに乗車してイグニッションをオンにすると、車両Vから電源Pが供給されて車載器30がオンになり、制御手段33は車載器側処理プログラムを実行する(ステップ31)。
次に、制御手段33は、位置情報取得手段31で位置情報を受信し、データ通信手段32からb秒に1回のタイミングで、受信した位置情報を車位置情報として車IDと共に運転者特定装置50に送信する(ステップ32)。
すなわち、制御手段33は、位置情報取得手段31が1秒毎に取得する車位置情報を順次RAMに蓄積し、経過時間b秒(=30秒)が経過したか否かを計時手段34で確認し、経過した場合に、RAMに蓄積している複数個の車位置情報と車IDを運転者特定装置50に送信する。なお、制御手段33が送信した複数個の車位置情報は、運転者特定装置50において順次蓄積されて走行経路の特定や走行情報の判定等に使用されると共に、複数個の車位置情報のうちの最後の車位置情報が、後述する判断円S(
図9参照)内に車両が存在するか否かを判断する際に使用される。
【0034】
ここで、経過時間b秒については、車載器側処理プログラムを実行後最初に車位置情報を取得した時点、または、前回車位置情報と車IDを送信した時点が経過時間bの開始時間である。
なお、車載器側処理プログラムを実行後、最初に車位置情報を取得した場合には、ただちに取得した車位置情報と車IDを運転者特定装置50に送信するようにしてもよい。
【0035】
その後、制御手段33は、電源Pの供給の有無によりイグニッションがオフされたか否かを判断する(ステップ33)。
イグニッションがオフされていなければ(ステップ33;N)、制御手段33は、ステップ32に戻りb秒に1回の送信(運転者特定装置50への車位置情報と車IDの送信)を継続する。
一方、イグニッションがオフされた場合(ステップ33;Y)、制御手段33は車載器側処理を終了する。
【0036】
図6は、携帯端末10による端末側処理の動作を表したフローチャートである。
図7は、端末側処理における、携帯端末の表示画面について表した説明図である。
携帯端末10の制御手段13は、端末アプリ(端末側処理プログラム)を起動する(ステップ11)。
すなわち、車両Vのイグニッションをオンにした後、又はオンする前に、運転者Dが
図7(a)に示す携帯端末10の表示画面17に表示されている起動アイコン18をタップすると、制御手段13はタップを検知して記憶手段15の端末側処理プログラムを起動する。
【0037】
次に、制御手段13は、位置情報取得手段11で位置情報をa秒に1回受信し、受信した位置情報を端末位置情報として端末IDと共にデータ通信手段12から運転者特定装置50に送信する(ステップ12)。ここでa秒は、上述したように変更されていない(デフォルト値である)場合には、600秒(=10分)である。
但し、端末側処理プログラムを実行後、最初に端末位置情報を取得した場合には、ただちに取得した端末位置情報と端末IDを運転者特定装置50に送信する。
そして最初に端末位置情報と端末IDを運転者特定装置50に送信したのち、制御手段13は、
図7(b)に示すように、表示画面17には、認証中であることと完了後に自動終了すること、に関するコメント19を画面表示する。このコメント19は後述する終了通知を運転者特定装置50から受信するまで継続的に表示される。
ここで、「認証」の語は、携帯端末10を所持している運転者Dと、運転者Dが運転している車両Vとの紐付け、すなわち、運転者Dが運転している車両Vの特定を意味している。
【0038】
次に制御手段13は、終了通知が来たか否かを判断する(ステップ13)。この終了通知は、ステップ12で送信した端末位置情報と端末IDに基づいて、運転者特定装置50が当該携帯端末10を所持する運転者Dが運転している車両Vを特定した場合に運転者特定装置50から送信される通知である。
終了通知が来ていない場合(ステップ13;N)、制御手段13は、ステップ12に戻り、前回の送信からa秒経過後に再度端末位置情報を取得して端末IDと共に送信する。
一方、終了通知が来ている場合(ステップ13;Y)、運転者特定装置50による紐付けが完了しているので、制御手段13は、アプリ(端末側処理プログラム)を自動終了する(ステップ14)ことで処理を終了する。
アプリの終了により、携帯端末10の表示画面17に表示していたコメント19は
図7(c)に示すように削除される。
【0039】
図8は、運転者特定装置50による運転者特定処理の動作を表したフローチャートである。
運転者特定装置50の制御手段54は、定期通信により車載器30からの車位置情報を取得する(ステップ51)。
すなわち、制御手段54は、各車両Vの車載器30からb秒ごとに送信(
図5、ステップ32)される車位置情報と車IDを継続的に受信し、車ID毎に、受信した車位置情報を車載器位置情報保存手段53に保存する。
【0040】
次に制御手段54は、いずれか1の端末装置10から端末位置情報と端末IDを取得したか否かを判断する(ステップ52)。
取得していなければ(ステップ52;N)、制御手段54は、ステップ51に戻り車両Vの車位置情報の取得と保存を継続する。
【0041】
携帯端末10から端末位置情報と端末IDを受信した場合(ステップ52;Y)、制御手段54は、Nmの範囲に車両Vを1台検出したか否かを判断する(ステップ53)。
すなわち、制御手段54は、端末位置情報と端末IDを受信した携帯端末10の位置を中心とした半径Nm(本実施形態では100m)の範囲内に存在する車両の数が1台だけであるか、それとも0台若しくは複数台であるかについて判定する。
ここで制御手段54による、このステップ53の判断は、端末位置情報と端末IDを受信した携帯端末10毎に判断が行われる。
【0042】
図9は、運転者特定処理における、運転者特定の判定状態について表した説明図である。
制御手段54は、
図9に示すように、携帯端末10を中心とする半径Nmの判断円S内に存在する車両Vの数について判断する。
ここで、車両Vが判断円S内に存在するか否かは、各車両Vには1台の車載器30が配置されているので、車両Vの位置=車載器30の位置として、車載器位置情報保存手段53に保存されている車載器30の最新の車位置情報から判断する。
【0043】
図9(a)に示した状態では、携帯端末10を中心とする判断円S内に車載器30aを搭載した車両(以下、車両30aという)と車両30bの2台が存在している。
一方、
図9(b)に示した状態では、携帯端末10を中心とする判断円Sの外側に車両30cが存在するだけで、判断円S内には1台も車両が存在していない。
このように
図9(a)、(b)の状態は、当該携帯端末10からNmの範囲に車両1台を検出した場合ではない(
図8、ステップ53;N)ので、制御手段54は、今回の判断をした携帯端末10の携帯位置情報(直前のステップ52で取得した端末位置情報)に基づく、当該携帯端末10の紐付けを行わず、当該携帯端末10から次(a秒後)に送信される端末位置情報を取得するまで(ステップ52;Y)、各車載器30からの車位置情報の取得を継続する。
【0044】
このように本実施形態では、携帯端末10から新たに端末位置情報を受信するa秒間隔で判断円Sを設定し、運転者Dと車両Vとの紐付け判断(ステップ53)を行う。
なお、ステップ53の判断(2回目以降)については、携帯端末10から新たな端末位置情報を受信する前でも行うようにしてもよい。この場合の処理については後述する。
【0045】
一方、
図9(c)に示すように、最初やその後の判断(ステップ53)において、判断円S内に1台の車両30dだけが存在している状態になると(ステップ53;Y)、当該携帯端末10の運転者Dを、車載器30dを搭載する車両Vに紐付ける(ステップ54)。
すなわち、
図8に戻り、携帯端末10を中心とするNmの範囲内(判断円S内)に車両を1台検出した場合(ステップ53;Y)、制御手段54は、車両の紐付け処理を行う(ステップ54)。
すなわち、制御手段54は、判断対象となった携帯端末10と検出した車載器30のそれぞれに対応する運転者Dと車両Vを、運転者情報記憶手段56、車両情報記憶手段55から特定し、特定した当該運転者Dを当該車両Vの運転者として紐付け、紐付け記憶手段57に記憶する。
これにより、車両Vの運転者Dが特定される。
【0046】
次に、制御手段54は、判断対象である携帯端末10(運転者D)の車載器30(車両V)への紐付け(認証)が完了したので、当該携帯端末10に対して終了通知を送信し(ステップ55)、当該携帯端末10に対する紐付け処理(運転者特定処理)を終了する。
【0047】
なお、制御手段54は、引き続き各車両Vからの車位置情報、車IDの受信と、他の携帯端末10からの端末位置情報、端末IDの受信、及び、紐付け処理を継続する。
ここで、制御手段54は、携帯端末10からの端末位置情報等の受信は、当該携帯端末10に対する終了通知で終了する。一方、制御手段54は、各車両Vからの車位置情報と車IDの受信については、当該車両Vからの通信が(m×b秒)以上とぎれた場合に、車両Vが目的地に到着したものと判断して受信を終了する。この場合に最後に受信した車位置情報が到着地点となる。
【0048】
図10は、乗車記録についての説明図である。
この乗車記録は、制御手段54が車両Vに運転者Dを紐付けた結果を利用して、例えばプリンタや表示画面に出力したものである。
図10に示した乗車記録の一例では、乗車日「○月×日」に、運転者XXXX(運転者氏名)が、運転車両XXXX(車両名、車両ナンバー等)に乗車して走行した運転記録が順次記録されている。運転記録には、当日に運転した、出発時刻と出発地点、及び、時刻到着時刻と到着地点まで走行したことが記録される。この運転記録は、乗車日におけるイグニッションのオン(出発)からオフ(到着)毎に記録される。
なお、
図10の乗車記録は出力形式の一例であり、運転者特定をした運転者Dによる車両Vの走行情報や、その他の情報を使用した各種出力形式での出力を行うことができる。例えばその他の情報として、走行途中における走行速度や、燃費を計算した効率的な運転がされているか否かを出力するようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように本実施形態の運転者特定装置によれば、車載器30と携帯端末10を用いて、携帯端末10の位置を中心とする所定距離内に1台だけ存在する車載器30を特定することで、当該携帯端末10を所持する運転者Dを、車載器30が接地された車両Vの運転者として特定する(紐付けする)ので、高精度に車両の運転者を特定することができる。
特に、画像認識や、生体情報取得センサを使用して運手者を特定する場合に比べて、誤認識を少なくすることが可能である。
また、運転者を特定するための生体情報取得センサを配置する場合に比べて、安価な車載器30を車両に後付けすることで運転者特定システムを構築することができるので、安価な構成とすることが可能である。
更に、画像認識やセンサによる生体情報を取得しないので、運転者Dのプライバシーに関する情報を使用することなく運転者を特定することができる。
【0050】
また、運転者Dは、車両Vの運転を開始する前後において、所持する携帯端末10からアプリ(端末側処理プログラム)を立ち上げるだけでよいので、運転における負荷を少なくすることができる。
さらに、車載器30は、車両Vから電源Pの供給を受けて自動的に車載器側処理プログラムを立ち上げるので、運転者Dは、車両Vの走行に必須であるイグニッションのオン以外の処理を必要としないので、運転者Dの車載器30に対する負荷は存在しない。
【0051】
以上、本実施形態の運転者特定装置50を使用した運転者特定システムについて説明したが、本発明では説明した実施形態に限定されず各種の変形が可能である。
例えば説明した実施形態では、携帯端末10を中心とする判断円S内に検出した車両Vが1台だけでない場合(ステップ53;N)に、当該携帯端末10に対する判断円Sの中心位置を、a秒後に受信した携帯端末10の位置に移動した判断円Sでステップ53の判断を行う場合について説明した。すなわち、実施形態では、携帯端末10から新たに端末位置情報を受信するa秒間隔で判断円Sを設定し、運転者Dと車両Vとの紐付け判断(ステップ53)を行っている。
【0052】
これに対し、本変形例では、ステップ53の判断が(;N)となって、ステップ51に戻った後のステップ52の判断では、前回の判断で携帯端末10からの位置を取得している(;Y)として、ステップ53の判断を行うようにしてもよい。
この場合、制御手段54は、携帯端末10に対する判断円Sの中心として、次の端末位置情報を携帯端末10から受信するまでの間、前回の判断と同一の判断円S(同一中心位置)を使用し、新たに受信(ステップ51)した車載器30の車位置情報に基づいてステップ53の判断を行う。
そして、ステップ53の判断(;N)を繰り返した後、次の端末位置情報を携帯端末10から受信(a秒後)した後は、当該受信した新しい携帯端末10の端末位置情報の位置を中心とする判断円Sによりステップ53の判断を行う。
以上の変形例によれば、a秒後に新しい携帯端末10の端末位置情報を取得する前であっても、ステップ53の判断を継続的に行うことができるので、携帯端末10(運転者D)と車載器30(車両V)との紐付け、即ち車両Vを運転する運転者Dの特定をより早く行うことができる。
【0053】
この変形例において、更に次のように紐付けを行うようにしてもよい。
すなわち、
図9(a)に示すように、携帯端末10に対して最初に紐付けの判断(ステップ53)を行った際に、判断円Sの内側に2台の車両30a、30bが存在している。この場合、以後のステップ53の判断では、最初の判断で対象となった車両30a、30b(車載器30a、30b)だけを判断対象とする。従って、2回目以降のステップ53の判断において、最初に判断対象とした車両30a、30b以外の車両30zが新たに判断円S内に存在したとしても、車両30zは判断対象から外される。
そして、最初の判断対象である車両30a、30bのうちの1台だけ、例えば車両30a以外の他の車両30b(の全て)が判断円S外に移動し、車両30aだけが判断円S内に存在する場合に、車両30aを当該携帯端末10の運転者Dの紐付け対象とする。
【符号の説明】
【0054】
10 携帯端末
11 位置情報取得手段
12 データ通信手段
13 制御手段
14 計時手段
15 記憶手段
17 表示画面
18 起動アイコン
D 運転者
30 車載器
31 位置情報取得手段
32 データ通信手段
33 制御手段
34 計時手段
35 記憶手段
P 電源
V 車両
50 運転者特定装置
51 データ通信手段
52 携帯端末位置情報保存手段
53 車載器位置情報保存手段
54 制御手段
55 車両情報記憶手段
56 運転者情報記憶手段
57 紐付け記憶手段
S 判断円