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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/539 20060101AFI20240805BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240805BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20240805BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61F13/539
A61F13/53 100
A61F13/532 200
A61F13/511 100
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020177080
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068420
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 絢子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 良輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達哉
(72)【発明者】
【氏名】石川 剛大
(72)【発明者】
【氏名】横松 弘行
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094301(JP,A)
【文献】特開2018-117866(JP,A)
【文献】特開2017-217468(JP,A)
【文献】特開2017-046786(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008608(WO,A1)
【文献】特開2015-112319(JP,A)
【文献】特開2009-160242(JP,A)
【文献】特開2017-070830(JP,A)
【文献】特開2019-198579(JP,A)
【文献】特開2015-066357(JP,A)
【文献】特開2020-000747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向と、前記長手方向及び前記幅方向に直交する厚さ方向を有し、
前記着用者の肌側に位置する第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面を有する吸収性コアと、前記第1の面を被覆するコアラップシートと、を有する吸収体と、
前記吸収体よりも厚さ方向の肌側に配置された液透過性シートと、
前記吸収体よりも厚さ方向の非肌側に配置された液難透過性シートと
を備えた吸収性物品であって、
前記液透過性シートと前記コアラップシートとの間に配された第1接着剤と、
前記吸収性コアと前記コアラップシートとの間に配された第2接着剤と
を備え、
前記第2接着剤は、前記吸収体の幅方向中央部に配されるとともに、前記幅方向の両側方部には配されておらず、
前記吸収性物品の肌側面には、前記液透過性シート、前記コアラップシート及び前記吸収性コアを一体化する肌側凹陥部を含む、前記吸収性物品を幅方向に2等分する仮想中心線を挟んで位置する左右一対の肌側凹陥領域が形成され、
前記肌側凹陥領域は、前方又は後方に向かって突出する幅方向に連続している凸状部を有し、
前記第2接着剤は、前記肌側凹陥領域と、前記凸状部でのみ平面視で重なるように、該凸状部を横切って位置し、
前記凸状部は、前記第1接着剤及び前記第2接着剤が横切る肌側凹陥部を有し、当該肌側凹陥部では、前記液透過性シートと前記コアラップシートが前記第1接着剤により接着している第1接着領域と、前記吸収性コアと前記コアラップシートが前記第2接着剤により接着している第2接着領域とが平面視で重なっている
吸収性物品。
【請求項2】
前記肌側凹陥部において、平面視で前記第1接着領域と前記第2接着領域とが重ならない領域が存在する
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記コアラップシートは、前記吸収性コアの前記第1の面側から側部を経て前記第2の面を覆い、前記第2の面側において、前記コアラップシートの両端部による重なり部を有して前記吸収性コアを被覆し、
前記重なり部において、前記コアラップシートの両端部間を接着する第3接着剤を更に備える
請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収体の非肌側面には、前記コアラップシート及び前記吸収性コアを一体化する、平面視で前記肌側凹陥部と重なる非肌側凹陥部を含む非肌側凹陥領域が形成され、
前記非肌側凹陥部は、前記吸収性コアと前記コアラップシートが前記第3接着剤により接着している第3接着領域を有し、
平面視において、前記肌側凹陥部の位置に、前記第1接着領域、前記第2接着領域及び前記第3接着領域が存在する
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
平面視において、前記肌側凹陥部の位置に、前記第1接着領域、前記第2接着領域及び前記第3接着領域が重なり合う領域が存在する
請求項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1接着剤、前記第2接着剤及び前記第3接着剤の塗工領域は、それぞれ、接着剤が塗工される塗工部と接着剤が塗工されない非塗工部を有する
請求項3から5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1接着剤より前記第2接着剤の坪量の方が低い
請求項1からのいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性コアは、高厚み部と、前記高厚み部よりも厚さが薄い低厚み部を有し、
平面視において、互いに重なった前記第1接着剤及び前記第2接着剤が、前記高厚み部と前記低厚み部との境界を横切って位置する
請求項1からのいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収性コアは、前記着用者の排泄部対向領域に、前記排泄部対向領域の前方及び後方の幅よりも狭い幅の幅狭部を有する
請求項1からのいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性コアとカバーシート(以下、コアラップシートという)からなる吸収体と、吸収体より肌側に位置するトップシート(以下、液透過性シートという)とが、線状圧搾部により厚さ方向に接合された状態で一体化されている吸収性物品が記載されている。当該線状圧搾部は、液拡散性の制御、液透過性シートやコアラップシートの浮き抑制、着用者に対しての防漏効果の実感の付与といった働きをする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-46786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
着用中、吸収性物品に着用者から過度の圧力が働くことにより、線状圧搾部により互いに接合していた各構成の接合が損なわれ、液透過性シートの吸収体からの浮きやコアラップシートの吸収性コアからの浮きが発生し、着用者からの体液の吸収体への液移行性が悪化してしまう可能性がある。また、液透過性シートやコアラップシートの浮きの発生によって、着用者に対し防漏効果の実感の付与の効果が低減してしまう可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、液透過性シートやコアラップシートの浮きの発生を抑制することが可能な吸収性物品の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、吸収体と、液透過性シートと、液難透過性シートと、第1接着剤と、第2接着剤と、を備える。
上記吸収性物品は、着用者の前後方向に対応する長手方向と、上記長手方向に直交する幅方向と、上記長手方向及び上記幅方向に直交する厚さ方向を有する。
上記吸収体は、上記着用者の肌側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面を有する吸収性コアと、上記第1の面を被覆するコアラップシートとを有する。
上記液透過性シートは、上記吸収体よりも厚さ方向の肌側に配置される。
上記液難透過性シートは、上記吸収体よりも厚さ方向の非肌側に配置される。
上記第1接着剤は、上記液透過性シートと上記コアラップシートとの間に配される。
上記第2接着剤は、上記吸収性コアと上記コアラップシートとの間に配される。
上記吸収性物品の肌側面には、上記液透過性シート、上記コアラップシート及び上記吸収性コアを一体化する肌側凹陥部を含む、上記吸収性物品を幅方向に2等分する仮想中心線を挟んで位置する左右一対の肌側凹陥領域が形成される。
上記肌側凹陥部は、上記液透過性シートと上記コアラップシートが上記第1接着剤により接着している第1接着領域と、上記吸収性コアと上記コアラップシートが上記第2接着剤により接着している第2接着領域を有し、上記第1接着領域と上記第2接着領域は、平面視で重なっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、液透過性シートやコアラップシートの浮きの発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図2図1のII-II線で切断した吸収性物品の模式断面図である。
図3】上記吸収性物品に用いられる第1接着剤、第2接着剤及び第3接着剤それぞれの平面視での塗工領域の位置及び塗工パターンを示す図である。
図4】上記吸収性物品の平面視において、凹陥領域、吸収性コアの高厚み部及び低厚み部、第1接着剤、第2接着剤、第3接着剤の位置関係を示す、上記吸収性物品の部分模式平面図である。
図5図1の、凹陥部を通るV-V線で切断した吸収性物品の部分模式断面図であり、凹陥部において、第1接着剤、第2接着剤及び第3接着剤が平面視で互いに重なる領域の構造を示す図である。
図6図1のVI-VI線で切断した、吸収性物品の一部を構成する吸収体の、接着剤が塗工されていない領域における模式断面図である。
図7】吸収体に形成される凹陥領域の他の例を示す断面図であり、ナプキンにおいて図5と同様の位置で切断したときの部分模式断面図である。
図8】第2接着剤の塗工領域位置の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
[ナプキンの全体構成]
本実施形態の吸収性物品1は、図1に示すように、本体Mと、一対のウイング部Wと、を備える。吸収性物品1は、生理用ナプキンとして構成され、以下、ナプキン1と称する。
ナプキン1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、ナプキン1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚さ方向Zを有する。縦方向Xはナプキン1における長手方向に対応する。横方向Yはナプキン1における幅方向に対応する。
なお、本明細書では、ナプキン1の厚さ方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側という事がある。また、本明細書において、「肌側面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側である。「非肌側面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌から遠い側に向けられる面である。ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
また、本明細書において、「平面視」とは、厚さ方向Zから見た平面視を意味する。
【0011】
図1に示すように、ナプキン1は、縦方向Xに沿って、前方領域Fと、中間領域Cと、後方領域Rと、に区分される。
中間領域Cは、着用時に着用者の排泄部に対向する排泄部対向領域を含む。排泄部対向領域は中間領域Cの横方向Y中央に位置する。図1において、中間領域Cは、ウイング部Wの前後基端部間の領域である。
前方領域Fは、中間領域Cの前方(着用者の腹側)に配置される領域であり、着用時に着用者の排泄部の前方に対向するように配置される。
後方領域Rは、中間領域Cの後方(着用者の背側)に配置される領域であり、着用時に着用者の排泄部の後方に対向するように配置される。
なお、ナプキン1がウイング部Wを有さない場合には、ナプキン1を縦方向Xに沿って3等分して、中央の領域を中間領域Cとし、その前方に配置される領域を前方領域F、後方に配置される領域を後方領域Rとする。
【0012】
本体Mは、縦方向Xに沿って延び、着用時に着用者の着衣の内面に固定される。本体Mは、後述する吸収体4を有しており、着用者の経血等の液状物(以下、「液」とも称する)を吸収する機能を有する。
【0013】
ウイング部Wは、中間領域Cにおいて横方向Yの外方に大きく突出するように構成される。なお、ナプキン1は、ウイング部Wを有さなくてもよい。
【0014】
図2に示すように、ナプキン1は、吸収体4と、表面シート2と、裏面シート3と、一対のサイドシート5と、を備える。
本体Mにおいて、ナプキン1は、裏面シート3、吸収体4及び表面シート2が厚さ方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、接着剤や熱シール等による接合、及び凹陥領域6による圧搾加工等によって、適宜接合されて一体化している。接着剤及び凹陥領域6については後述する。
【0015】
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。吸収体4は、液を表面シート2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。吸収体4は、表面シート2側に位置する肌側面4aと、裏面シート3側に位置する非肌側面4bを有する。
図2及び6に示すように、吸収体4は、吸収性コア7と、コアラップシート8と、を有する。
【0016】
吸収性コア7は、表面シート2側に位置する肌側面となる第1の面7aと、裏面シート3側に位置する非肌側面となる第2の面7bと、を有する。第2の面7bは、吸収性コア7の第1の面7aとは反対側の面である。
図6に示すように、吸収性コア7は、第2の面7bが略平坦面であるのに対し、第1の面7aは中間領域Cで厚さ方向Z上方(肌側)に突出した突出部73を有している。図1に示すように、本実施形態では、突出部73は、平面視で略六角形状を有しているが、この形状に限定されない。突出部73は、吸収性コア7の他の領域と比較して、全体として高い坪量で肉厚に構成される。これにより、中間領域Cにおける吸液性を高めることができる。
【0017】
図6に示すように、吸収性コア7において、相対的に厚みの厚い、突出部73を有する領域を高厚み部71といい、それ以外の厚みの薄い領域を低厚み部72という。高厚み部71よりも前方に位置する低厚み部を前方低厚み部72aといい、後方に位置する低厚み部を後方低厚み部72bという。前方低厚み部72a、後方低厚み部72bというように特に区別しない場合、低厚み部72という。
高厚み部71の横方向Y中央部は、着用時に着用者の排泄部が主に対向する排泄部対向領域である。前方低厚み部72aは、着用時に着用者の排泄部より腹側に位置する。後方低厚み部72bは、着用時に着用者の排泄部より背側に位置する。
吸収性コア7は、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維で構成された繊維集合体と、繊維集合体に保持された吸水性ポリマーと、を有しているが、この構成に限定されない。
【0018】
図2及び6に示すように、コアラップシート8は、吸収性コア7を被覆し、例えば吸収性コア7の形状を保持する機能等を有する。
コアラップシート8は、典型的には、親水性繊維を主体とする不織布、紙などのシート状物である。コアラップシート8に含まれる親水性繊維としては、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維に親水化処理を施した繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。コアラップシートにおける親水性繊維の典型的なものは、天然繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維である。
【0019】
コアラップシート8は、例えば、吸収性コア7の第1の面7a側に位置する肌側コアラップシート8aと、第2の面7b側に位置する非肌側コアラップシート8bと、を有する。肌側コアラップシート8aは、吸収性コア7の上面(第1の面7a)を覆い吸収体4の肌側面4aを形成する。非肌側コアラップシート8bは、吸収性コア7の下面(第2の面7b)を覆い、吸収体4の非肌側面4bを形成する。
【0020】
図2及び6に示す例では、コアラップシート8は例えば矩形状を有する。コアラップシート8は、吸収性コア7の第1の面7a側から側部を経て第2の面7bを覆い、第2の面7b側において、コアラップシート8の両側端部8eによる重なり部8cを有して、吸収性コア7を被覆する。非肌側コアラップシート8bは、コアラップシート8の横方向Yにおける両側端部8eが重なっている重なり部8cを含む。2枚のコアラップシートが重なって構成される重なり部8cは、縦方向Xに延在し、吸収体4の横方向Yの中央部付近に位置する。
【0021】
図2に示すように、吸収体4と表面シート2は、間に配された第1接着剤S1によって接合されている。
肌側コアラップシート8aと吸収性コア7は、間に配された第2接着剤S2によって接合されている。
吸収体4の非肌側面4bにおいて、コアラップシート8の両側端部8eによる重なり部8cは、第3接着剤S3によって接合されている。
吸収体4と裏面シート3、裏面シート3とサイドシート5は、それぞれ、間に配された第4接着剤S4によって接合されている。
サイドシート5と表面シート2は、間に配された第5接着剤S5によって接合されている。
これら接着剤S1~S5には、特に限定されないが、例えば合成樹脂を主成分とする接着剤を用いることができ、典型的にはホットメルト接着剤を用いることができる。第1接着剤S1、第2接着剤S2及び第3接着剤S3については後述する。
【0022】
表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、吸収体4の厚さ方向Z上方に配置される。表面シート2は、着用者の肌との接触面積を低下させ着用感を向上させる等の観点から、肌対向面側に形成された複数の凸部2aを有していてもよい(図2参照)。
表面シート2は、接着剤S1によって、吸収体4の肌側面4aと接合されている。
ナプキンにおいて、吸収体4よりも肌側に位置する液透過性シートには、表面シート2の他、表面シート2と吸収体4との間に配することが可能なセカンドシートも含まれる。セカンドシートは、表面シートから吸収体への液の透過性の向上、吸収体に吸収された液の表面シートへの液戻りの低減などの役割を担う。
表面シート2は、ナプキン1の肌側面1aを形成する。
【0023】
図1、2及び5に示すように、ナプキン1は、ナプキン1の肌側面1aに形成された肌側凹陥領域6aと、吸収体4の非肌側面4bに形成された非肌側凹陥領域6bと、を有する。
肌側凹陥領域6aは、表面シート2、肌側コアラップシート8a及び吸収性コア7を一体的に凹陥する肌側凹陥部66aを含む。
非肌側凹陥領域6bは、非肌側コアラップシート8bと吸収性コア7を一体的に凹陥する非肌側凹陥部66bを含む。
肌側凹陥領域6a及び非肌側凹陥領域6bについては後述する。
【0024】
裏面シート3は、液難透過性のシート材として構成され、吸収体4の厚さ方向Z下方に配置される。裏面シート3は、例えば周縁部において、表面シート2及びサイドシート5と、接着剤S4、熱シール等によって接合される。また、裏面シート3は、接着剤S4によって吸収体4に接合されている。
裏面シート3は、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。当該シート材としては、例えば熱可塑性樹脂のフィルムや、当該フィルムと不織布とのラミネート等を用いることができる。
本体M及びウイング部Wの裏面シート3の外面には、図示しないずれ止め材が配置される。ずれ止め材は、ナプキン1を着衣に対して固定させる。
【0025】
一対のサイドシート5は、表面シート2の横方向Y外側に配置され、表面シート2を挟んで横方向Yに相互に対向する。サイドシート5の材料としては、表面シート2よりも親水性が低いシート材料が好ましく、具体的には、表面シート2よりも親水性の低い不織布、フィルム材料、及び不織布とフィルム材料のラミネート構造のシートが挙げられる。
【0026】
[凹陥領域の構成]
本実施形態の凹陥領域の構成について説明するが、凹陥領域の平面形状はここに記載するものに限定されない。
図1及び2に示すように、ナプキン1の肌側面1aには、防漏圧搾溝である肌側凹陥領域6aが形成されている。吸収体4の非肌側面4bには、非肌側凹陥領域6bが形成されている。
肌側凹陥領域6aは、複数の点状の肌側凹陥部66aが間欠的に配されて列をなし全体的に連続した線として見做せる線状となっている。同様に、非肌側凹陥領域6bも、複数の点状の非肌側凹陥部66bが間欠的に配されて列をなし全体的に連続した線として見做せる線状となっている。肌側凹陥部66a及び非肌側凹陥部66bの平面形状は特に限定されず、例えば正円状、楕円状等、多角形状等とすることができる。
【0027】
肌側凹陥部66a及び非肌側凹陥部66bは、それぞれ、厚さ方向Zにおいて吸収体4の内方に向かって窪んでいる。
肌側凹陥部66aと非肌側凹陥部66bは、平面視で重なっている。肌側凹陥領域6aと非肌側凹陥領域6bは平面視で略同じ外形形状を有し、平面視で重なっている。また、肌側凹陥部66aの厚さ方向長さと非肌側凹陥部66bの厚さ方向の長さは同じでも異なっていても良いが、非肌側凹陥部66bの方が肌側凹陥部66aよりも厚さ方向の長さが短いことが好ましい。
肌側凹陥領域6aは、複数の、圧搾された部分である肌側凹陥部66aと、隣り合う肌側凹陥部66a間の圧搾されていない部分と、を含む。同様に、非肌側凹陥領域6bは、複数の、圧搾された部分である非肌側凹陥部66bと、隣り合う非肌側凹陥部66b間の圧搾されていない部分と、を含む。
以下、肌側凹陥領域6aと非肌側凹陥領域6bというように特に区別する必要がない場合は凹陥領域6という。また、肌側凹陥部66aと非肌側凹陥部66bというように特に区別する必要がない場合は凹陥部66という。
【0028】
ここで、凹陥領域6における「連続」した線状とは、連続した線状の凹陥部によって凹陥領域が形成される形態と、本実施形態のように不連続な複数の点状の凹陥部が列をなした集合体によって凹陥領域が形成され、全体的に連続した線と見做せる形態と、を含む。
また、凹陥領域6における「線状」は、凹陥領域の形状が平面視において直線状の態様に限られず、曲線状の態様を含む。
本実施形態では、凹陥領域6は、全体的に、本体Mの周縁部を周回する1つの環状の連続線に見做せる形態となっているが、複数の線状部が間欠的に配されて全体として1つの環状の凹陥領域として見做せる不連続線形状が周回している形態であってもよい。
【0029】
図1に示すように、凹陥領域6は、ナプキン1を横方向Yに2等分する仮想中心線CLを挟んで左右に一対形成される。凹陥領域6は、例えば、本体Mの表面シート2側から厚さ方向Zに圧搾加工することによって形成される。凹陥領域6は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工、或いは超音波エンボス等のエンボス加工等の常法に従って形成することができる。
【0030】
肌側凹陥部66aは、表面シート2、肌側コアラップシート8a及び吸収性コア7が一体的に厚さ方向Zに圧縮されて窪んで形成される。肌側凹陥部66aは、他の領域と比較して繊維の密度が高くなるため、毛管作用によって排泄された液を吸液及び保持することができる。このように、肌側凹陥領域6aは、面内における液拡散性を制御し、吸収体4の外方への液の漏れを防止する防漏作用を有するとともに、ナプキンのよれを防止する。
非肌側凹陥部66bは、非肌側コアラップシート8bと吸収性コア7とが一体的に厚さ方向Zに圧縮されて窪んで形成される。
【0031】
図4に示すように、凹陥領域6は、主に縦方向Xに延びる線状の中間凹陥領域61と、前方領域Fに位置する前方凸状部62と、後方領域Rに位置する後方凸状部63を有する。中間凹陥領域61はナプキン1の中間領域Cを含む縦方向Xの中央部付近に位置する
凹陥領域6の前端部分を形成する前方凸状部62は前方に向かって突出している。凹陥領域6の後端部分を形成する後方凸状部63は後方に向かって突出している。中間凹陥領域61、前方凸状部62、後方凸状部63どうしは、それらの延在方向の端部にて互いに連結されており、平面視で環状の凹陥領域6を形成する。凹陥領域6は、縦方向Xに長手方向を有する略長楕円形状を有する。
ここで「縦方向Xに延びる」とは、縦方向Xに完全に平行な態様に限られず、前方から後方に向かって延びていればよい。同様に、「横方向Yに延びる」とは、横方向Yに完全に平行な態様に限られず、右側から左側に向かって延びていればよい。
【0032】
前方凸状部62及び後方凸状部63は、それぞれ、主に横方向Yに延びる全体的に連続した線状と見做せる連続線である。
ここで、複数の凹陥部66によって全体的に「連続」した線状の凹陥領域6に見做せる連続線とは、互いに隣り合う肌側凹陥部66a間距離が5mm以下で複数の肌側凹陥部が配置されて構成されたものをいう。「隣り合う凹陥部66間距離」とは、隣り合う2つの凹陥部66間の圧搾されていない領域における距離を指す。
【0033】
[接着剤の説明]
(第1接着剤S1)
図3(A)に示すように、表面シート2の吸収体4からの浮きを全面において抑制する観点から、第1接着剤S1の塗工領域31は、吸収体4の全面に亘って形成されることが好ましいが、これに限定されない。
平面視で、表面シート2と吸収体4との間に塗工される第1接着剤S1の塗工領域31が本体Mのほぼ全面に亘って位置することにより、吸収体4から表面シート2への浮きがナプキン1の肌側面のほぼ全面で抑制される。これにより、着用者からの液は表面シート2を通過して速やかに吸収体4に移行し、吸液性に優れたナプキン1とすることができる。
【0034】
第1接着剤S1の塗工パターンは、第1接着剤S1が塗工される塗工部16と、塗工されていない非塗工部17とが混在するパターンとなっている。第1接着剤S1の塗工領域31において、塗工部16及び非塗工部17は、例えば縦方向又は横方向の少なくとも1つの方向で存在するように、接着剤Sが間欠に塗工される。第1接着剤S1の塗工領域31とは、第1接着剤S1が存在している範囲の領域を意味し、非塗工部17が含まれていてもよく、以下第2接着剤S2及び第3接着剤S3においても同様である。非塗工部17が存在するように第1接着剤S1を塗工することにより、第1接着剤S1の塗工領域31での柔軟性を高め、かつ、接着剤による通液阻害の発生が抑制された良好な吸液性が保持されたナプキン1とすることができる。
間欠塗工パターンの例としては、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状等が挙げられる。
【0035】
表面シート2の吸収体4からの浮きを抑制するように表面シート2と吸収体4との接着を確実に維持しつつ、第1接着剤S1の塗工領域31における柔軟性を高め、更に、接着剤による通液阻害の発生を抑制する観点から、第1接着剤S1の塗工領域31における非塗工部17が占める面積の割合は50%以上90%以下であることが好ましい。
【0036】
(第2接着剤S2)
図3(B)に示すように、平面視において、吸収性コア7の肌側面7aと肌側コアラップシート8aとの間に塗工される第2接着剤S2の塗工領域32は、吸収性コア7と肌側コアラップシート8aとが平面視で重なる領域の一部分に位置する。図に示す例では、第2接着剤S2の塗工領域32は、吸収体4の横方向Y中央部の、吸収体4の縦方向X方向における全長に亘る帯状である。
第2接着剤S2により、吸収性コア7からの肌側コアラップシート8aの浮きの発生が抑制され、吸収性コア7の形状が効果的に保持される。
第2接着剤S2の塗工領域32は面内で部分的であるが、吸収性コア7と表面シート2との間に配される肌側コアラップシート8aは、表面シート2の存在によって、全体的に吸収性コア7から浮きにくい状態となっている。これにより、柔軟性を高めつつ吸収性コア7からの肌側コアラップシート8aの浮きを効果的に抑制することができ、良好な吸液性が保持される。
【0037】
第2接着剤S2の塗工幅(塗工領域32の横方向Yにおける寸法)は、肌側コアラップシート8aの浮き等を確実に抑制する観点から、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下である。
【0038】
第1接着剤S1と同様に、第2接着剤S2の塗工パターンは、第2接着剤S2が塗工される塗工部16と、塗工されていない非塗工部17とが混在するパターンとなっている。第2接着剤S2の塗工領域32において、塗工部16及び非塗工部17は、例えば縦方向又は横方向の少なくとも1つの方向で存在するように、第2接着剤S2は間欠に塗工される。第2接着剤S2の塗工領域32には、塗工部16と非塗工部17が含まれる。非塗工部17が存在するように第2接着剤S2を塗工することにより、第2接着剤S2の塗工領域32での柔軟性を高め、かつ、接着剤による通液阻害の発生が抑制された良好な吸液性が保持可能なナプキン1とすることができる。特に、平面視で、第1接着剤S1の塗工領域と第2接着剤S2の塗工領域のそれぞれにおいて、双方の接着剤S1、S2の非塗工部17同士が少なくとも一部で重なり、一方の接着剤の塗工部16と他方の接着剤の非塗工部17とが一部で重なっている形態が、柔軟性の観点からは一層好ましい。
間欠塗工パターンの例としては、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状等が挙げられる。
【0039】
肌側コアラップシート8aの吸収性コア7からの浮きを抑制するように肌側コアラップシート8aと吸収性コア7との接合を維持しつつ、第2接着剤S2の塗工領域32における柔軟性を高め、更に、接着剤による通液阻害の発生を抑制する観点から、第2接着剤S2の塗工領域32における非塗工部17が占める割合は50%以上90%以下であることが好ましい。
【0040】
(第3接着剤S3)
図3(C)に示すように、平面視において、非肌側コアラップシート8bのコアラップシート8の重なり部8cにおける両側端部8e間に塗工される第3接着剤S3の塗工領域33は、吸収性コア7と非肌側コアラップシート8bとが平面視で重なる領域の一部分に位置する。図に示す例では、第3接着剤S3の塗工領域33は、吸収体4の横方向Y中央部の、吸収体4の縦方向X方向における全長に亘る帯状である。
吸収性コア7全体を被覆する1枚のコアラップシート8において、両側端部8eが第3接着剤S3によって接着される。これにより、両側端部8e間の開き等が抑制される。これにより、コアラップシート8により制限される吸収性コア7が位置する空間が維持されて吸収体4の形状が維持され易くなり、更に、肌側コアラップシート8aの吸収性コア7からの浮きがより抑制され得る。吸収体4の形状が維持されることで、吸収体4の好ましくない形状変化に伴う液漏れの発生が抑制され、吸収体4の吸液性が良好に維持される。
【0041】
第3接着剤S3の塗工幅(塗工領域33の横方向Xにおける寸法)は、重なり部8cを確実に接合する観点から、好ましくは5mm以上、より好ましくは10mm以上であり、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下である。
【0042】
第3接着剤S3の塗工パターンは特に限定されず、図3(C)に示すように第3接着剤S3の塗工部16と非塗工部17とが混在するように間欠に塗工されてもよいし、連続的に塗工されてもよい。ナプキン1の柔軟性を高める観点からは、第3接着剤S3は間欠的に塗工されることが好ましい。間欠塗工パターンの例としては、スパイラル状、サミット状、オメガ状、カーテン状、ストライプ状等が挙げられる。
【0043】
図3に示す例では、第1接着剤S1、第2接着剤S2及び第3接着剤S3の塗工パターンは、接着剤の連続線によって形成されるスパイラル状(螺旋状)を有する。第2接着剤S2の塗工領域32及び第3接着剤S3の塗工領域33はそれぞれ2つの連続線によって構成され、第3接着剤S3の塗工領域33は4つの連続線から構成される。連続線は縦方向Xに延在している。連続線の数はこれらに限定されない。目的とする接着剤の塗工領域の幅、1つの連続線によって形成されるスパイラルの幅(連続線による螺旋形の延びる方向と直交する方向の長さ)、塗工パターン形状等により適宜調整される。
【0044】
(塗工部と非塗工部の確認方法)
接着剤の塗工領域が塗工部及び非塗工部を有することは、以下の方法により確認することができる。
接着剤が塗工されている領域をトナーで着色し、画像処理機能を有する顕微鏡を用いてトナーで着色されている部分を観察する。これにより、塗工部16と非塗工部17が混在していることを確認することができる。また、顕微鏡を用いた観察と画像処理によって、塗工領域の面積、トナーで着色されている部分となる塗工部16の面積、非塗工部17の横方向Yの寸法等を算出することができる。
【0045】
(第1接着剤、第2接着剤、第3接着剤及び凹陥部の位置関係)
図4に示すように、第1接着剤S1の塗工領域31と、第2接着剤S2の塗工領域32と、第3接着剤S3の塗工領域33とは平面視で重なっている。図4において、第1接着剤S1は破線で示し、第2接着剤S2は細実線で示し、第3接着剤S3は太実線で示している。
第1接着剤S1の塗工領域31は、平面視で、凹陥領域6全体を含む吸収体4全面とほぼ重なっており、第1接着剤S1は肌側凹陥部66aを横切って配される。
第2接着剤S2の塗工領域32及び第3接着剤S3の塗工領域33は、それぞれ、平面視で凹陥領域6の一部を横切って配される。第2接着剤S2及び第3接着剤S3は、平面視で、長楕円形状の凹陥領域6の横方向Y中央部を凹陥領域6の前後端部を跨いで横切るように、縦方向Xに延在して帯状に塗工される。平面視で、第2接着剤S2及び第3接着剤S3は、凹陥領域6の前方凸状部62及び後方凸状部63それぞれを構成する肌側凹陥部66aを横切って配される。
第2接着剤S2は、平面視で、吸収体4の横方向Y中央部にのみ存在し、幅方向両側方部には存在しない。このように吸収体4の幅方向全体に亘って接着剤が存在していないため、良好な吸液性を維持することができ、横方向Xに拡がった液は吸収体4に効率よく吸液されるため横洩れの誘発を抑制することができる。
第3接着剤S3は、平面視で、吸収体4の幅方向中央部付近にのみ存在する。
【0046】
ナプキン1の製造において、吸収性コア7、コアラップシート8及び表面シート2が、第1接着剤S1、第2接着剤S2及び第3接着剤S3により接着された状態で圧搾されて、凹陥領域6が形成される。このため、凹陥領域6を構成する凹陥部66において、平面視で接着剤が重なる領域では、当該接着剤は凹陥部66の圧縮された構成部材間に位置することになる。
【0047】
肌側凹陥領域6aを構成する肌側凹陥部66aにおいて、第1接着剤S1が存在する領域を第1接着領域11という。
肌側凹陥領域6aを構成する肌側凹陥部66aにおいて、第2接着剤S2が存在する領域を第2接着領域12という。
非肌側凹陥領域6bを構成する非肌側凹陥部66bにおいて、第3接着剤S3が存在する領域を第3接着領域13という。
【0048】
ナプキン1において、第1接着剤S1の塗工領域31と第2接着剤S2の塗工領域32とが平面視で重なる領域に位置する複数の凹陥部66の少なくとも1つにおいて、図5に示すように、平面視で第1接着領域11と第2接着領域12とが重なる領域が存在するように構成される。
本実施形態では、平面視において、環状の凹陥領域6の前方に位置する前方凸状部62及び後方に位置する後方凸状部63、それぞれを縦方向Xに横切って、第1接着剤S1の塗工領域31と第2接着剤S2と塗工領域32とが位置している。前方凸状部62及び後方凸状部63において、これら凸状部を構成する複数の凹陥部66の少なくとも1つにおいて、平面視で第1接着領域11と第2接着領域12とが重なる領域が存在するように構成される。
このように、平面視で第1接着領域11と第2接着領域12とが重なって位置する凹陥部66は、接着剤を含んだ状態で圧縮されて構成部材の繊維密度が周辺部よりも高くなっている。このため、接着剤が重なって位置する凹陥部66を構成する各部材間の接合はより強固なものとなって、各部材間の接合強度が高くなり、当該凹陥部66の保形性が向上し、ひいては肌側凹陥領域6aの保形性が向上する。
これにより、着用時、ナプキン1に対して着用者から過度な圧力が加わっても、凹陥部66において、表面シート2が吸収体4から離れて浮く、肌側コアラップシート8aが吸収性コア7から離れて浮く、といった浮きの発生が抑制されるとともに、ナプキンのよれといった好ましくない変形の発生が抑制される。
【0049】
ナプキン1では、平面視で、第1接着剤S1及び第2接着剤S2が横切る凹陥領域6の部位が、凹陥領域6の前端部(前方凸状部62)及び後端部(後方凸状部63)である例をあげるが、これに限定されず、他の部位であってもよい。
また、上記の実施形態では、第2接着剤S2の塗工領域32が、吸収体4の横方向Y中央部に位置し縦方向Xに沿った帯状である例をあげたが、これに限定されず、種々の形状の塗工領域とすることができる。
第1接着領域と第2接着領域が平面視で重なって位置する凹陥部があればよく、これにより上記した効果と同様の効果を奏する。
【0050】
ナプキン1のように、平面視で、凹陥領域6が、前方又は後方に向かって突出している凸状部(前方凸状部62及び後方凸状部63)を有する場合、この凸状部を横切るように第2接着剤S2が配されることがより好ましい。
凹陥領域6において、前方又は後方に向かって突出する凸状部は、凹陥領域6を形成する際、圧搾時の圧力が弱まる傾向にあり、凸状部では表面シート2や肌側コアラップシート8aが浮きやすい傾向にある。このため、凸状部を横切るように第2接着剤S2が配されることにより、前方凸状部62及び後方凸状部63での肌側凹陥部66aの保形性が補強され、表面シート2や肌側コアラップシート8aの浮きが抑制されるのでより好ましい。特に、図3に示すように、凸状部62,63の少なくとも一方が、縦方向Xの端部側先端部と第2接着領域12とが重なっていることが、同様の観点から好ましい。
【0051】
接着剤の塗工パターン形状、塗工パターンの線幅、塗工領域の幅(塗工幅)、平面視における凹陥部66の形状や大きさ、隣り合う凹陥部66間距離等を適宜調整することによって、凹陥部66において、第1接着領域11と第2接着領域12が平面視で重なって位置するように構成することができる。
複数の凹陥部66のうち少なくとも1つの凹陥部66において、第1接着領域11と第2接着領域12が平面視で重なった領域が存在する形態となっていればよい。浮きを更に抑制する観点から、複数の凹陥部66で上記形態となっていることがより好ましい。
【0052】
凹陥領域6、第1接着剤S1の塗工領域31及び第2接着剤S2の塗工領域32が平面視で重なる領域における、当該領域に対応する肌側凹陥領域6aを構成する肌側凹陥部66aの横方向Yにおける最大寸法は、凹陥部66に第1接着領域11及び第2接着領域12を平面視で重なって位置させる観点から、次のように設定することが好ましい。すなわち、肌側凹陥部66aの横方向Yの最大寸法は、第1接着剤S1の塗工領域31及び第2接着剤S2の塗工領域32それぞれの非塗工部17における横方向Yの最大寸法以上であることが好ましい。
【0053】
ナプキン1において、平面視で、第1接着剤S1の塗工領域31は、肌側凹陥領域6aを含む吸収体4のほぼ全面に亘って位置しており、第1接着領域11は肌側凹陥領域6a全体に亘って位置する。
平面視で、第2接着剤S2の塗工領域32は、肌側凹陥領域6aの一部(前方凸状部62及び後方凸状部63)に重なって位置しており、第2接着領域12は肌側凹陥領域6aの一部に位置する。
ナプキン1において、平面視で、肌側凹陥領域6a全体において、第1接着領域11、第2接着領域12が存在している。肌側凹陥部66aにおいて、平面視で第1接着領域11と第2接着領域12とが重ならない領域が存在する。詳細には、肌側凹陥領域6aと第1接着剤S1の塗工領域31及び第2接着剤S2の塗工領域32とが重なる領域においては、第1接着領域11及び第2接着領域12が存在し、重ならない領域においては第1接着領域11のみが存在する。これにより、肌側凹陥領域6a全体の保形性が維持されつつ、接着剤による吸液性低下が抑制されて良好な吸液性が維持される。
【0054】
ナプキン1では、平面視において、凹陥領域6の前方に位置する前方凸状部62及び後方に位置する後方凸状部63、それぞれを横切って、第3接着剤S3の塗工領域33が位置している。
【0055】
ナプキン1の平面視において、第3接着剤S3の塗工領域33は、非肌側凹陥領域6bの一部(前方凸状部62及び後方凸状部63)に重なって位置しており、第3接着領域13は、非肌側凹陥領域6bの一部に位置する。
ナプキン1において、平面視で、肌側凹陥領域6a全体において、第1接着領域11及び第2接着領域12に加えて、第3接着領域13が存在している。また、3つの接着剤S1~S3それぞれの塗工領域31~33が平面視で重なる領域には、図5に示すように、平面視で第1接着量11、第2接着領域12及び第3接着領域13が重なる部分がある。
【0056】
図5に示すように、吸収体4及び表面シート2において、凹陥部66が位置する領域は、それ以外の他の領域よりも厚みが薄く、ナプキン1の肌側面1aと、吸収体4の非肌側に位置する第3接着領域13との距離は近くなっている。これにより、第3接着領域13は、ナプキン1の肌側面1aに形成される肌側凹陥領域6aの保形性に寄与する。
従って、ナプキン1において、平面視で、肌側凹陥領域6aの位置に、第1接着領域11及び第2接着領域12に加え、第3接着領域13が存在することにより、肌側凹陥部66aの保形性が向上し、ひいては肌側凹陥領域6aの保形性が向上する。これにより、肌側凹陥部66aにおける表面シート2の吸収体4からの浮き、肌側コアラップシート8aの吸収性コア7からの浮きの発生が更に抑制され、良好な吸液性が維持される。
【0057】
また、肌側凹陥部66aの厚さ方向長さと非肌側凹陥部66bの厚さ方向の長さは同じでも異なっていても良い。しかし、非肌側凹陥部66bの方が肌側凹陥部66aよりも厚さ方向の長さが短いことが好ましい。この場合には、凹陥部66が第1接着領域11、第2接着領域12及び第3接着領域13と重なる部分と縦方向Xに関して同じ幅方向に延びる領域で、該凹陥部66が存在しない部分における吸収体4の厚みを2等分した仮想厚み2等分線に対して、肌側凹陥部66aの底部及び非肌側凹陥部66bの底部がともに非肌側に位置していることが好ましい。このようにすることで、非肌側凹陥部66bが着用者の肌から遠くなるので、動作時に生じる、吸収性物品の非肌側(裏面シート3側)から加わった力が肌側に及ぶことが抑制され、表面シート2の吸収体4からの浮き等が一層抑制され易くなる。
【0058】
ナプキン1は、図示しない、裏面シート3の非肌側面に設けた、下着に固定するための固定手段を有している。該固定手段が非肌側凹陥部66bと平面視重ならないようにすると、下着のヨレが非肌側凹陥部66bによって分断されて、表面シート2に影響が及びにくくなるので好ましい。一方で、該固定手段が非肌側凹陥部66bと重なっている場合でも、非肌側凹陥部66bがショーツのヨレを緩衝するので、表面シート2等が吸収体4から浮きにくい効果は得られるが、裏面シート3の肌側面と非肌側凹陥部66bとが非接着とすることで、その効果は一層高まるので好ましい。
【0059】
更に、図5に示すように、前方凸状部62において、平面視で前方凸状部62を構成する凹陥部66の少なくとも1つにおいて、平面視で第1接着領域11及び第2接着領域12に加えて第3接着領域13も重なる領域が存在するように構成されている。
凹陥部66が、互いに重なる第1接着領域11、第2接着領域12及び第3接着領域13を有することにより、当該凹陥部66の保形性がより向上する。
尚、図5では、前方凸状部62の、平面視で前方に突出する先端付近に位置する凹陥部66の断面図を示しているが、後方凸状部63の平面視で後方に突出する先端付近に位置する凹陥部66も同様の断面構造を有し、同様の上記効果を奏する。
【0060】
以上のように、ナプキン1では肌側凹陥部66aの保形性が向上し、ひいては凹陥領域6の保形性が向上する。これにより、例えば着用者からナプキン1に対し過度な圧力がかかっても凹陥領域6の形状がくずれにくく、表面シート2や肌側コアラップシート8aの浮きの発生が抑制されるので、着用者からの液は速やかに吸収体に移行され、吸収性に優れたナプキン1とすることができる。更に、凹陥領域6の保形性が向上することにより、ヨレ等の好ましくない吸収体4の変形の発生が抑制され、また、凹陥領域6による液拡散性の制御を良好なものに保つことができ、液漏れの発生を抑制することが可能となる。また、表面シート2の浮きが抑制されることにより、着用者に対して視覚的に防漏効果を実感させることができる。
【0061】
(凹陥部に接着剤が存在することの確認方法)
接着剤が塗工されている領域をトナーで着色し、凹陥部66を通るように厚さ方向Zにナプキン1を切断し、切断面を、光学顕微鏡(例えば、キーエンス製マイクロスコープ「VHX-100」)を用いて観察する。観察時の倍率は、通常20~200倍の倍率である。切断面の観察により、第1接着剤S1、第2接着剤S2、第3接着剤S3が凹陥部66に位置しているかを確認することができる。
【0062】
(第1接着剤及び第2接着剤の坪量)
良好な吸液性の観点から、ナプキン1において、第1接着剤S1より第2接着剤S2の坪量の方が低くなっていることが好ましい。
一般的に、表面シート2やセカンドシートといった吸収体4よりも肌側に位置する液透過性シートは、吸収性コア7やコアラップシート8と比べて、液透過性が高い材料で構成される。そのため、相対的に液透過性の低い吸収性コア7とコアラップシート8との間に配される第2接着剤S2の坪量を、吸収体4と液透過性シート(表面シート2)との間に配される第1接着剤S1の坪量よりも低くすることにより、液透過性阻害が発生しにくい、良好な吸液性を有するナプキンとすることができる。
【0063】
第1接着剤S1の坪量は、確実に部材間を接合するとともに、塗工領域の柔軟性を維持する観点から、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上であり、好ましくは10g/m以下、より好ましくは8g/m以下である。
第2接着剤S2の坪量は、確実に部材間を接合するとともに、吸液性を良好なものとさする観点から、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上であり、好ましくは10g/m以下、より好ましくは8g/m以下である。
【0064】
第1接着剤S1の坪量の測定においては、平面視で第1接着剤S1のみが配される領域の、表面シート2と肌側コアラップシート8aが第1接着剤S1に接着された状態のままの所定幅のサンプルを切り出し、重量W1を測定する。サンプルを、接着剤が溶解可能な有機溶剤(クロロホルム、トルエン等)で洗浄し接着剤を洗い流す。その後、サンプルを取り出して有機溶剤を蒸発させた後、サンプルの重量W2を測定する。重量W2とW1の差分(W2-W1)をサンプル中の第1接着剤の重量とし、これをサンプルの面積で除して坪量(g/m)を算出する。
第2接着剤S2の坪量の測定においては、平面視で第1接着剤S1と第2接着剤S2が配される領域の、表面シート2と肌側コアラップシート8aと吸収性コア7が第1接着剤S1及び第2接着剤S2に接着された状態のままの所定幅のサンプルを切り出し、重量W3を測定する。サンプルを、接着剤が溶解可能な有機溶剤(クロロホルム、トルエン等)で洗浄し接着剤を洗い流す。その後、サンプルを取り出して有機溶剤を蒸発させた後、サンプルの重量W4を測定する。重量W4とW3の差分(W4-W3)をサンプル中の第1接着剤と第2接着剤S2の重量とし、これをサンプルの面積で除して第1接着剤と第2接着剤の坪量(g/m)を算出する。そして、第1接着剤と第2接着剤の坪量(g/m)の算出結果と、上記の第1接着剤の坪量の算出結果との差分を、第2接着剤S2の坪量(g/m)として算出する。
【0065】
(第1接着剤、第2接着剤、吸収体の位置関係)
図6に示すように、吸収体4を構成する吸収性コア7は高厚み部71と低厚み部72を有している。吸収性コア7の肌側面7aは、高厚み部71と低厚み部72との境界に段差部75を有する。
本実施形態のナプキン1の吸収体4においては、肌側コアラップシート8aと吸収性コア7との間に、吸収体4の横方向Y中央に縦方向Xに帯状に延びる第2接着剤S2が設けられている。これにより、ナプキン1では、図4に示すように、高厚み部71と低厚み部72の双方に跨り、段差部75を横切って第2接着剤S2が配されることになる。これにより、段差部75での肌側コアラップシート8aの吸収性コア7からの浮きが抑制され、ひいては吸収性コア7の肌側面7a全面からの肌側コアラップシート8aの浮きが抑制されることとなる。
このように、吸収性コア7が突出部73を有し、肌側面7aに段差部75を有する場合、段差部75では肌側コアラップシート8aが吸収性コア7から浮きやすいため、肌側コアラップシート8aの浮きの抑制の観点から、段差部75を横切るように第2接着剤S2を配することが好ましい。
更に、ナプキン1において、平面視で、段差部75と凹陥領域6の凸状部には、縦方向Xに連続して延びて繋がって塗工された第2接着剤S2が横切っており、吸収性コア7からの肌側コアラップシート8aの浮きがより抑制される。
【0066】
(接着剤の具体例)
第1接着剤S1、第2接着剤S2及び第3接着剤S3は、特に限定されないが、好ましくは合成樹脂を主成分とする接着剤であり、典型的にはホットメルト型接着剤である。以下、具体例をあげるが、これらに限定されない。
ホットメルト型接着剤としては、スチレン系、オレフィン系等が挙げられる。スチレン系ホットメルト接着剤としては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、及びこれらの2種以上を混合したブレンド系ホットメルト型接着剤等が挙げられる。
【0067】
[他の構成例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品として生理用ナプキンの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、尿取りパットやおりものシート、使い捨ておむつ等であってもよい。吸収性物品は、一般に、液透過性シート、液難透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有して構成される。
【0068】
上記実施形態では、吸収性コアの突出部は、横方向Y全幅に亘って形成される例をあげたが、中間領域の横方向Y中央部に突出部を有する形態の吸収性コアであってもよい。この構成においても、吸収性コアの突出部による段差部を横切るように第2接着剤が配されることが好ましく、肌側コアラップシート及び表面シートの浮きを効果的に抑制することができる。
また、上記の実施形態では、吸収性コアが突出部を有し、相対的に厚みが厚い高厚み部(肉厚部)を有する例をあげたが、突出部のない全体的に平坦な吸収性コアに本発明を適用することもできる。
【0069】
上記の実施形態では、幅寸法が縦方向X全長に亘って同じである吸収性コアを例にあげたが、排泄部対向領域が位置する中間領域Cが前方領域F及び後方領域Rよりも幅が狭くなっている、幅狭部を有する吸収性コアであってもよい。このような幅狭部を有する吸収性コアが用いられたナプキンでは、着用時、吸収性コアが受ける横方向Y外側になる着用者の両脚から横方向Y内方に向かう外力を減少させることができ、肌側コアラップシートや表面シートの浮きの発生をより抑制することができる。
【0070】
図7及び8は、変形例を示すものであり、上記実施形態と同様の構成については同様の符号を付している。
上記実施形態では、非肌側凹陥領域6bを有するナプキンを例にあげたが、図7に示すように、非肌側凹陥領域6bがない、肌側凹陥領域6aのみがある形態のナプキンであってもよい。このような形態においても、肌側凹陥部66aにおいて、第1接着領域11及び第2接着領域12が平面視で重なることにより、肌側凹陥部66aの保形性を向上させることができ、表面シート2やコアラップシート7の浮きの発生を抑制することができる。
【0071】
上記実施形態では、第2接着剤S2の塗工領域32は、前方領域Fから中間領域Cを通って後方領域Rまで連続して延びている形態を例にあげたが、これに限定されない。
例えば、図8に示すナプキン10のように、凹陥領域6を形成する際、圧搾時の圧力が弱まる傾向にある前方凸状部62及び後方凸状部63それぞれを横切るように、前方領域F及び後方領域Rに第2接着剤S2を配し、中間領域Cには配さない形態としてもよい。これにより、圧搾時の圧力が弱まる傾向にある凸状部を形成する凹陥部66に第1接着剤S1及び第2接着剤S2が位置することとなり、凹陥部66の保形性が補強され、肌側コアラップシートや表面シートの浮きが抑制される。また、着用時、着用者からの液を主に吸液する中間領域Cに第2接着剤S2を配さないことにより吸液性が向上する。
更に、図8に示すナプキン10の吸収性コア7のように、高厚み部71と低厚み部72との境界に段差部75がある場合、第2接着剤S2は、ナプキン10の前方(後方)において、前方凸状部62(後方凸状部63)とこれに近接して位置する段差部75を横切るように配されることが好ましく、凹陥部66の保形性がより向上する。
【0072】
前述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>
着用者の前後方向に対応する長手方向と、前記長手方向に直交する幅方向と、前記長手方向及び前記幅方向に直交する厚さ方向を有し、前記着用者の肌側に位置する第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面を有する吸収性コアと、前記第1の面を被覆するコアラップシートと、を有する吸収体と、前記吸収体よりも厚さ方向の肌側に配置された液透過性シートと、前記吸収体よりも厚さ方向の非肌側に配置された液難透過性シートと、を備えた吸収性物品であって、
前記液透過性シートと前記コアラップシートとの間に配された第1接着剤と、前記吸収性コアと前記コアラップシートとの間に配された第2接着剤とを備え、
前記吸収性物品の肌側面には、前記液透過性シート、前記コアラップシート及び前記吸収性コアを一体化する肌側凹陥部を含む、前記吸収性物品を幅方向に2等分する仮想中心線を挟んで位置する左右一対の肌側凹陥領域が形成され、
前記肌側凹陥部は、前記液透過性シートと前記コアラップシートが前記第1接着剤により接着している第1接着領域と、前記吸収性コアと前記コアラップシートが前記第2接着剤により接着している第2接着領域を有し、
前記第1接着領域と前記第2接着領域は、平面視で重なっている、吸収性物品。
<2>
前記肌側凹陥部において、平面視で前記第1接着領域と前記第2接着領域とが重ならない領域が存在する、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記第1接着剤の塗工領域及び前記第2接着剤の塗工領域は、それぞれ、前記接着剤の塗工部と非塗工部を有しており、
前記第1及び第2接着剤の前記非塗工部同士が少なくとも一部で重なり、前記第1及び第2接着剤の、一方の接着剤の塗工部と他方の接着剤の非塗工部とが一部で重なっている、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
平面視において、前記第1接着剤及び前記第2接着剤は、前記肌側凹陥部を横切って配される、<1>から<3>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<5>
平面視において、前記第2接着剤は、前記吸収体の幅方向中央部にのみ存在する、<1>から<4>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<6>
平面視において、前記肌側凹陥領域は、前方又は後方に向かって突出する横方向に連続している凸状部を有し、前記第2接着剤は前記凸状部を横切って位置する、<1>から<5>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<7>
平面視において、前記凸状部の縦方向の端部側先端部と前記第2接着領域とが重なっている、<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記コアラップシートは、前記吸収性コアの前記第1の面側から側部を経て前記第2の面を覆い、前記第2の面側において、前記コアラップシートの両端部による重なり部を有して前記吸収性コアを被覆し、
前記重なり部において、前記コアラップシートの両端部間を接着する第3接着剤を更に備える、<1>から<7>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<9>
前記吸収体の非肌側面には、前記コアラップシート及び前記吸収性コアを一体化する、平面視で前記肌側凹陥部と重なる非肌側凹陥部を含む非肌側凹陥領域が形成され、
前記非肌側凹陥部は、前記吸収性コアと前記コアラップシートが前記第3接着剤により接着している第3接着領域を有し、
平面視において、前記肌側凹陥部の位置に、前記第1接着領域、前記第2接着領域及び前記第3接着領域が存在する、<8>に記載の吸収性物品。
<10>
前記肌側凹陥部と前記非肌側凹陥部は平面視で略同じ外形形状を有している、<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記肌側凹陥部の厚さ方向長さよりも、非肌側凹陥部の厚さ方向の長さは短い、<9>又は<10>に記載の吸収性物品。
<12>
平面視において、前記肌側凹陥部の位置に、前記第1接着領域、前記第2接着領域及び前記第3接着領域が重なり合う領域が存在する、<9>から<11>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<13>
前記裏面シートの非肌側面には、下着に固定するための固定手段を有しており、該固定手段が前記非肌側凹陥部と平面視で重ならない、<9>から<12>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<14>
前記裏面シートの非肌側面には、下着に固定するための固定手段を有しており、該固定手段が前記非肌側凹陥部と平面視で重なっており、前記裏面シートの肌側面と前記非肌側凹陥部とが非接着である、<9>から<12>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<15>
前記第1接着剤、前記第2接着剤及び前記第3接着剤の塗工領域は、それぞれ、接着剤が塗工される塗工部と接着剤が塗工されない非塗工部を有する、<8>から<14>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<16>
前記第1接着剤より前記第2接着剤の坪量の方が低い、<1>から<15>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<17>
前記吸収性コアは、高厚み部と、前記高厚み部よりも厚さが薄い低厚み部を有し、
平面視において、互いに重なった前記第1接着剤及び前記第2接着剤が、前記高厚み部と前記低厚み部との境界を横切って位置する、<1>から<16>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<18>
前記吸収性コアは、前記着用者の排泄部対向領域に、前記排泄部対向領域の前方及び後方の幅よりも狭い幅の幅狭部を有する、<1>から<17>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<19>
前記吸収性物品が生理用ナプキンである、<1>から<18>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0073】
1、10…生理用ナプキン(吸収性物品)
2…表面シート(液透過性シート)
3…裏面シート(液難透過性シート)
4…吸収体
6a…肌側凹陥領域
7…吸収性コア
7a…第1の面
7b…第2の面
8a…肌側コアラップシート(吸収性コアの第1の面を被覆するコアラップシート)
66a…肌側凹陥部
CL…仮想中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8