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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20240805BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H04R17/00
B06B1/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020185204
(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公開番号】P2022074825
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】滝 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】江澤 敦
(72)【発明者】
【氏名】永井 慧大
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊樹
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-182300(JP,A)
【文献】米国特許第04517664(US,A)
【文献】韓国公開特許第2010-0099014(KR,A)
【文献】特開2021-057841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00-17/10
B06B 1/06- 3/04
H01N 30/00-39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
一の方向に延在し、前記圧電素子の駆動によってベンディング振動を生じさせる第1の振動部と、
前記第1の振動部とは別体に構成され、前記第1の振動部で生じた前記ベンディング振動から直動振動成分を取り出す第2の振動部と、
前記圧電素子と離間した状態で、前記第1の振動部における前記一の方向の一端部を固定端とし、他端部を自由端とする固定部と、を備え、
前記第2の振動部は、筒状をなしており、前記第1の振動部の平面視において、前記自由端側に偏在した状態で前記第1の振動部に固定されている振動デバイス。
【請求項2】
前記第1の振動部の平面視において、前記第2の振動部の少なくとも一部は、前記圧電素子の配置領域と重なっている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記第1の振動部に対する前記第2の振動部の固定領域は、前記第1の振動部における前記他端部側の縁に接している請求項1又は2記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記第1の振動部の曲げ強度は、前記第2の振動部の曲げ強度よりも大きくなっている請求項1~3のいずれか一項記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動デバイスとして、例えば特許文献1に記載の透明スピーカがある。この従来の振動デバイスは、圧電素子を振動板に固定することによって構成されている。この振動デバイスでは、圧電素子の振動を振動板によって増幅し、振動板にベンディング振動を生じさせることによって、所望の音響出力が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-70100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の振動デバイスのように、振動板のベンディング振動を利用した構成は、圧電素子から振動板への振動伝達性に優れる。その反面、振動板の共振に起因する音圧の低下や周波数に対する歪みが生じ易く、これらの課題の解決が求められている。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、音圧の向上や周波数に対する歪みの改善が図られる振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る振動デバイスは、圧電素子と、一の方向に延在し、圧電素子の駆動によってベンディング振動を生じさせる第1の振動部と、第1の振動部とは別体に構成され、第1の振動部で生じたベンディング振動から直動振動成分を取り出す第2の振動部と、第1の振動部における前記一の方向の一端部を固定し、他端部を自由端とする固定部と、を備え、第2の振動部は、筒状をなしており、第1の振動部の平面視において、自由端側に偏在した状態で第1の振動部に固定されている。
【0007】
この振動デバイスでは、圧電素子の駆動によってベンディング振動を生じさせる第1の振動部の一端部が固定端となっており、他端部が自由端となっている。また、筒状をなす第2の振動部が、第1の振動部の平面視において、自由端側に偏在した状態で第1の振動部に固定されている。このような構成により、第2の振動部では、第1の振動部で生じたベンディング振動から直動振動成分を効率良く取り出すことができる。ベンディング振動を直接利用する場合と異なり、直動振動成分を利用する場合には、振動板の共振の影響を軽減できる。したがって、音圧の向上や周波数に対する歪みの改善が図られる。
【0008】
第1の振動部の平面視において、第2の振動部の配置領域の少なくとも一部は、圧電素子の配置領域と重なっていてもよい。この場合、第1の振動部で生じたベンディング振動からの直動振動成分の取り出し効率を更に高めることができる。
【0009】
第1の振動部に対する第2の振動部の固定領域は、第1の振動部における他端部側の縁に接していてもよい。この場合、第1の振動部で生じたベンディング振動からの直動振動成分の取り出し効率を更に高めることができる。
【0010】
第1の振動部の曲げ強度は、第2の振動部の曲げ強度よりも大きくなっていてもよい。この場合、第2の振動部が第1の振動部のベンディング振動に追従しにくくなり、直動振動成分の取り出し効率を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、音圧の向上や周波数に対する歪みの改善が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る振動デバイスの一実施形態を示す概略的な断面図である。
図2図1に示した振動デバイスの平面図である。
図3】(a)は、ベンディング振動を示す模式的な図であり、(b)は、直動振動を示す模式的な図であり、(c)は、ベンディング振動からの直動振動成分の取り出しの様子を示す模式的な図である。
図4】(a)は、ベンディング振動による音響出力の周波数と音圧との関係を示す模式的な図であり、(b)は、ベンディング振動による音響出力の周波数と歪みとの関係を示す模式的な図である。
図5】(a)は、直動振動による音響出力の周波数と音圧との関係を示す模式的な図であり、(b)は、ベンディング振動による音響出力の周波数と歪みとの関係を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る振動デバイスの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本開示に係る振動デバイスの一実施形態を示す概略的な断面図である。また、図2は、その平面図である。図1及び図2に示す振動デバイス1は、例えばスピーカ等の音響デバイスとして用いられるデバイスであり、テレビやスマートフォンといった音を発する電子機器に搭載され得る。図1及び図2に示すように、振動デバイス1は、圧電素子2と、第1の振動部3と、第2の振動部4と、固定部5とを備えて構成されている。
【0015】
圧電素子2は、例えば圧電素体6と、一対の外部電極(不図示)とを有している。圧電素体6は、複数の圧電体層の積層によって構成されている。図1及び図2の例では、圧電素体6は、平面視において長方形状をなしている。各圧電体層は、圧電材料によって形成されている。本実施形態では、各圧電体層は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料としては、例えばPZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、チタン酸バリウム(BaTiO)が挙げられる。
【0016】
各圧電体層は、例えば上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。実際の圧電素体6では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体6内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料によって形成されている。導電性材料としては、例えばAg、Pd、Ag-Pd合金が挙げられる。
【0017】
圧電素子2の一対の外部電極には、例えばフレキシブルプリント基板といった配線部材(不図示)が電気的に接続されている。配線部材の一端側は、圧電素子2の一対の外部電極に電気的かつ物理的に接続され、配線部材の他端側は、振動デバイス1が搭載される電子機器に対して電気的かつ物理的に接続される。
【0018】
第1の振動部3は、圧電素子2の駆動によってベンディング振動を生じさせる部分である。第1の振動部3は、例えば金属材料によって薄板状に形成され、一定の幅で一の方向に延在している。以下、第1の振動部3が延在する一の方向を延在方向Dと称する。金属材料としては、例えばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼などが挙げられる。ここでは、第1の振動部3は、平面視において長方形状をなしており、延在方向Dに沿う長辺と、延在方向Dに直交する短辺とを有している。長方形状には、例えば、各角部が面取りされた形状及び各角が丸められた形状も含まれ得る。第1の振動部3は、樹脂材料によって構成されていてもよい。
【0019】
第1の振動部3の一方面3aには、圧電素子2が配置された配置領域P1が設けられている。図1及び図2の例では、平面視における圧電素子2の長辺及び短辺は、平面視における第1の振動部3の長辺及び短辺よりも小さくなっている。第1の振動部3の一方面3aにおいて、圧電素子2の長辺は、第1の振動部3の長辺に沿い、圧電素子2の短辺は、第1の振動部3の短辺に沿っている。また、第1の振動部3の一方面3aにおいて、圧電素子2の中心位置は、第1の振動部3の中心位置と一致している。これにより、圧電素子2の全体が第1の振動部3に重なり、平面視において、圧電素子2が第1の振動部3の縁から張り出さないようになっている(図2参照)。第1の振動部3の一方面3aと圧電素子2との固定には、例えば接着剤が用いられている。
【0020】
第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cは、固定部5によって固定された固定領域P2となっている。具体的には、第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cは、固定部5における側板22に埋没した状態となっている。これにより、第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cは、圧電素子2によるベンディング振動の固定端となっている。図1及び図2の例では、第1の振動部3の短辺の全体が固定部5の側板22,22に埋没している。圧電素子2の短辺と固定領域P2との間には、延在方向Dについて一定の間隔が設けられている。一方、第1の振動部3における延在方向Dの他端部3dは、固定部5によって固定されておらず、圧電素子2によるベンディング振動の自由端となっている。
【0021】
第2の振動部4は、第1の振動部3で生じたベンディング振動から直動振動成分を取り出す部分である。第2の振動部4は、例えば樹脂材料によって第1の振動部3とは別体に形成されている。樹脂材料としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、成型樹脂などが挙げられる。第2の振動部4が樹脂材料で形成されていることにより、第1の振動部3の曲げ強度は、第2の振動部4の曲げ強度よりも大きくなっている。第2の振動部4は、紙材料によって形成されていてもよい。第2の振動部4は、円盤状の底面部11と、底面部11から離れるにしたがって拡径する末広がりの断面円形の筒状部12とを有している。第2の振動部4において、筒状部12の先端側は、断面円形の開口部12aとなっており、底面部11と筒状部12とによって画成される円錐台状の空間は、直動振動成分を含む気体を押し出す振動空間Sとなっている。
【0022】
第2の振動部4の配置領域P3は、第1の振動部3の他方面3bに設けられている。つまり、第2の振動部4は、第1の振動部3を挟んで圧電素子2の反対側に配置されている。第2の振動部4の配置領域P3は、平面視において第2の振動部4が画成する領域である。本実施形態では、上述したように、第2の振動部4が末広がりの筒状部12を有している。このため、第2の振動部4の配置領域P3は、筒状部12の先端部分の外径を直径とする円形状をなしている。
【0023】
第2の振動部4は、第1の振動部3の平面視において、第1の振動部3における延在方向Dの他端部3d側、すなわち、圧電素子2によるベンディング振動の自由端側に偏在した状態で第1の振動部3の他方面3bに固定されている。図1及び図2の例では、第2の振動部4の円盤状の底面部11が第1の振動部3の他方面3bに固定されている。第2の振動部4の底面部11と第1の振動部3の他方面3bとの固定には、例えば接着剤が用いられている。
【0024】
第2の振動部4の筒状部12の先端部分の直径は、圧電素子2の短辺よりも小さくなっている。第1の振動部3の平面視において、延在方向Dに直交する方向に対する第2の振動部4の中心位置は、圧電素子2の中心位置と一致している。第1の振動部3への固定領域となる底面部11の一側(固定端側)は、第1の振動部3の平面視において、圧電素子2の配置領域P1と重なっており、底面部11の他側(自由端側)は、第1の振動部3における他端部3d側の縁に接している。本実施形態では、上述したように、第2の振動部4が末広がりの筒状部12を有している。このため、第2の振動部4における筒状部12の先端部分の一部は、第1の振動部3における他端部3d側の縁よりも延在方向Dの外側に張り出した状態となっている。
【0025】
固定部5は、第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cを固定する部分である。固定部5は、第1の振動部3のベンディング振動に対する非伝達性を有する材料によって形成されている。このような材料としては、例えばステンレス(SUS)、アルミニウムなどの金属材料が挙げられる。図1及び図2の例では、固定部5は、一つの側板22によって構成されている。側板22は、第1の振動部3の一端部3c側に立設されている。第1の振動部3の一端部3cは、側板22の頂部近傍に埋没している。これにより、第1の振動部3、第1の振動部3の一方面3a側の圧電素子2、及び第1の振動部3の他方面3b側の第2の振動部4は、側板22によって片持ちの状態で保持されている。第1の振動部3と側板22との固定は、ねじ止めクランプを用いたものであってもよく、接着剤による接着であってもよい。
【0026】
上述したように、第1の振動部3は、圧電素子2の駆動によってベンディング振動を生じさせる振動部であり、第1の振動部3と別体に構成された第2の振動部4は、第1の振動部3で生じたベンディング振動から直動振動成分を取り出す振動部である。第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cは、固定部5に固定されることによって、圧電素子2によるベンディング振動の固定端となっている。また、第1の振動部3における延在方向の他端部3dは、固定部5には固定されておらず、圧電素子2によるベンディング振動の自由端となっている。このため、第1の振動部3に生じるベンディング振動は、図3(a)に示すように、第1の振動部3の面内方向から見て円弧状をなし、ベンディング振動の振動量は、延在方向Dの一端部3cから他端部3dに行くほど徐々に大きくなる。
【0027】
これに対し、直動振動は、図3(b)に示すように、振動部分Vの全体が均一に変位する振動である。直動振動の振動量は、振動部分Vの延在方向によらずに一定となる。振動デバイス1では、筒状部12を有する第2の振動部4は、第1の振動部3とは別体に構成され、第1の振動部3の平面視において、ベンディング振動の自由端側に偏在した状態で第1の振動部3に固定されている。このため、第1の振動部3にベンディング振動が生じた場合、第2の振動部4の配置領域P3外では、ベンディング振動に準じた振動が生じるが、第2の振動部4の配置領域P3では、直動振動に準じた振動が生じることとなる。したがって、第2の振動部4では、第1の振動部3で生じたベンディング振動から直動振動成分を取り出すことができる。
【0028】
本実施形態では、第2の振動部4がベンディング振動の自由端側に偏在しており、ベンディング振動の振動量が最も大きくなる領域に第2の振動部4が配置されている。したがって、第2の振動部4では、第1の振動部3で生じたベンディング振動から直動振動成分を取り出す際の取出効率が高まり、振動デバイス1の音圧を高めることが可能となる。
【0029】
振動板のベンディング振動を利用した構成は、圧電素子から振動板への振動伝達性に優れる。その反面、ベンディング振動では、図4(a)に示すように、振動板の共振に起因して特定の周波数で音圧のピーク及びディップが生じることがあり、音圧を打ち消し合う現象も生じ得る。また、図4(b)に示すように、振動板の共振に起因して特定の周波数において歪みが大きくなる現象が生じ得る。
【0030】
これに対し、振動デバイス1のように、ベンディング振動から直動振動成分を取り出す場合、第1の振動部3での共振の影響を軽減できる。このため、図5(a)に示すように、振動板の共振に起因する特定の周波数での音圧のピーク及びディップの発生を抑制できる。直動振動では、均一に変位する振動部分の面積を確保し易いため、音圧の向上も図られる。また、図5(b)に示すように、振動板の共振に起因して特定の周波数において歪みが大きくなる現象も低減できる。
【0031】
以上説明したように、振動デバイス1では、圧電素子2の駆動によってベンディング振動を生じさせる第1の振動部3の一端部3cが固定端となっており、他端部3dが自由端となっている。また、筒状をなす第2の振動部4が、第1の振動部3の平面視において、自由端側に偏在した状態で第1の振動部3に固定されている。このような構成により、第2の振動部4では、第1の振動部3で生じたベンディング振動から直動振動成分を効率良く取り出すことができる。ベンディング振動を直接利用する場合と異なり、直動振動成分を利用する場合には、振動板の共振の影響を軽減できる。したがって、音圧の向上や周波数に対する歪みの改善が図られる。
【0032】
本実施形態では、第1の振動部3の平面視において、第2の振動部4の配置領域P3の少なくとも一部が圧電素子2の配置領域P1と重なっている。このような配置関係を採用することで、第1の振動部3で生じたベンディング振動からの直動振動成分の取り出し効率を更に高めることができる。
【0033】
本実施形態では、第1の振動部3に対する第2の振動部4の固定領域となる底面部11が、第1の振動部3における他端部3d側の縁に接している。これにより、第1の振動部3に生じるベンディング振動が最も高くなる領域に第2の振動部4が配置される。したがって、第1の振動部3で生じたベンディング振動からの直動振動成分の取り出し効率を更に高めることができる。また、第1の振動部3への固定領域となる第2の振動部4の底面部11が第1の振動部3の縁よりも外側に張り出さないことで、第1の振動部3に対して第2の振動部4をしっかりと固定できる。したがって、第2の振動部4がベンディング振動によって第1の振動部3から剥離してしまうことを抑制できる。
【0034】
本実施形態では、第1の振動部3の曲げ強度は、第2の振動部4の曲げ強度よりも大きくなっている。これにより、第2の振動部4が第1の振動部3のベンディング振動に追従しにくくなり、直動振動成分の取り出し効率を向上できる。
【0035】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、圧電素子2の全体が第1の振動部3に重なり、平面視において、圧電素子2が第1の振動部3の縁から張り出さないようになっているが、圧電素子2の一部が第1の振動部3の縁(長辺側の縁或いは他端部3d側の縁)から張り出していてもよい。上記実施形態では、圧電素子2及び第2の振動部4は、いずれも延在方向Dに直交する方向において第1の振動部3の中央に配置されているが、圧電素子2及び第2の振動部4の少なくとも一方が、延在方向Dに直交する方向において第1の振動部3の一方の長辺側に偏在していてもよい。
【0036】
上記実施形態では、第1の振動部3に対する第2の振動部4の固定領域となる底面部11が、第1の振動部3における他端部3d側の縁に接しているが、当該底面部11は、第1の振動部3における他端部3d側の縁から一端部3c側に離間していてもよい。また、底面部11の一部が第1の振動部3における他端部3d側の縁よりも外側に張り出していてもよい。
【0037】
上記実施形態では、第2の振動部4は、円盤状の底面部11と、底面部11から離れるにしたがって拡径する末広がりの断面円形の筒状部12とを有しているが、第2の振動部4の構成はこれに限られない。例えば筒状部12は、必ずしも末広がりである必要はなく、底面部11から開口部12aにかけて一定の径となっていてもよい。第2の振動部4は、第1の振動部3に対する固定の安定性や信頼性、配置精度の観点から、底面部11を有していることが好ましいが、底面部11を省略した構成を採ることも可能である。底面部11を省略する場合、第2の振動部4の高さを増加させずに、直動振動成分を含む気体を押し出す振動空間Sの体積を増加させることができる。筒状部12の断面形状は、円形に限られず、矩形、三角形、長円形、楕円形といった他の形状であってもよい。
【0038】
上記実施形態では、固定部5は、側板22のみによって構成されているが、固定部5は、第1の振動部3における延在方向Dの一端部3cを固定端とし、他端部3dを自由端とする構造であれば、任意の構成を採り得る。例えば側板22の基端側に第1の振動部3と平行な基板が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…振動デバイス、2…圧電素子、3…第1の振動部、3c…一端部、3d…他端部、4…第2の振動部、5…固定部、11…底面部(固定領域)、D…延在方向(一の方向)、P1…圧電素子の配置領域。
図1
図2
図3
図4
図5