(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルアブレーションタグの正確な位置決め及び形状視覚化
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240805BHJP
A61B 18/08 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B18/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020187849
(22)【出願日】2020-11-11
【審査請求日】2023-09-20
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エイド・アダウィ
(72)【発明者】
【氏名】ツビ・デケル
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0064495(US,A1)
【文献】特開2019-034119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された
複数の細長い電極を有する前記遠位端部を含む、侵襲性医療用プローブと、
前記医療用プローブと関連付けられた位置変換器と、
前記体腔の3次元(3D)モデルを記憶するように構成されたメモリと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
前記位置変換器から、前記体腔内の前記遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、
前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記体腔の内側表面上の
複数の部位において組織と接触している
前記複数の細長い電極の長さに沿った
複数のセグメントを識別することであって、識別された前記
複数のセグメント以外の前記
複数の細長い電極の部分は、前記体腔の前記内側表面と接触していない、ことと、
前記
複数の細長い電極の前記
複数のセグメントが接触する前記
複数の部位に対応する前記3Dモデル上の
複数の位置に
複数の視覚的マーカを有する前記3Dモデルのグラフィック表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、プロセッサと
を備え
、
前記体腔内の前記遠位端部の配向が、前記複数の部位を含む前記体腔が延在する方向に対して所定の角度以内である場合、前記複数の視覚的マーカが互いに略同一の輪郭を有し、前記体腔内の前記遠位端部の前記配向が、前記複数の部位を含む前記体腔が延在する前記方向に対して前記所定の角度を超える場合、前記複数の視覚的マーカが互いに異なる輪郭を有する、装置。
【請求項2】
前記
複数の細長い電極が、前記医療用プローブの前記遠位端部に沿って長手方向に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記医療用プローブの前記遠位端部の内腔から延在する膨張可能なバルーンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記
複数の細長い電極が、前記バルーンの表面上に長手方向に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記
複数の細長い電極にアブレーションエネルギーを送達し、それによって前記
複数の細長い電極と接触している前記組織をアブレーションする、ように構成されたアブレーションモジュールを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記信号を受信する前に、前記体腔の3Dモデルデータを受信し、前記3Dモデルデータを使用して前記3Dモデルを生成する、ように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記3Dモデルデータが、解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影データ、磁気共鳴画像データ、及び超音波データからなるリストから選択される、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
コンピュータソフトウェア製品であって、体腔に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された
複数の細長い電極を有する前記遠位端部を含む、医療用プローブと連動して操作され、前記製品は、プログラム命令が記憶される非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み、前記命令は、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
体腔の3次元(3D)モデルを生成することと、
前記医療用プローブに関連付けられた位置変換器から、前記体腔内の前記遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、
前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記体腔の内側表面上の
複数の部位において組織と接触している
前記複数の細長い電極の長さに沿った
複数のセグメントを識別することであって、識別された前記
複数のセグメント以外の前記
複数の細長い電極の部分は、前記体腔の前記内側表面と接触していない、ことと、
前記
複数の細長い電極の前記
複数のセグメントが接触する前記
複数の部位に対応する前記3Dモデル上の
複数の位置に、
複数の視覚的マーカを有する前記3Dモデルのグラフィック表現を
ディスプレイにレンダリングすることと、を行わせ
、
前記体腔内の前記遠位端部の配向が、前記複数の部位を含む前記体腔が延在する方向に対して所定の角度以内である場合、前記複数の視覚的マーカが互いに略同一の輪郭を有し、前記体腔内の前記遠位端部の前記配向が、前記複数の部位を含む前記体腔が延在する前記方向に対して前記所定の角度を超える場合、前記複数の視覚的マーカが互いに異なる輪郭を有する、コンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療用画像に関し、具体的には、アブレーション電極と接触している組織の領域を可視化することに関する。
【背景技術】
【0002】
不整脈とは、典型的には不規則な心拍を生じさせる心組織の小領域によって引き起こされる異常な心リズムである。心臓アブレーションは、不規則な心拍を引き起こす心組織の領域を破壊することによって不整脈を治療するために実施され得る医療処置である。
【0003】
場合によっては、心臓アブレーションは、バルーンカテーテルを使用して行うことができる。バルーンカテーテルは、その遠位端に拡張可能なバルーンを具備しており、必要な場合に、これを拡張させ、収縮させることができる。バルーンは、典型的には、電極と接触している組織にアブレーションエネルギーを送達するように構成された複数の電極を備える。バルーンは、典型的には、カテーテルを患者の体腔(例えば、心臓)に挿入する間は収縮されており、必要な手技を行うために拡張させ、手技が終了したら再び収縮させる。
【0004】
Maguireらの米国特許第6,514,249号は、肺静脈口内でアブレーション要素を配向するための位置決めシステムを記載している。このシステムは、肺静脈が左心房から延在する位置において、組織の円周領域に沿って周方向アブレーション部材を位置決めするために使用され得る位置監視アセンブリを含む。
【0005】
Rotheらの米国特許出願公開第2008/0275300号は、複雑な形状の操縦可能な組織の可視化及び操作カテーテルを記載している。カテーテルは、下にある組織が可視化され得る可視化フード又は膜の位置を調節することができる操縦機構を含む。
【0006】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による、装置であって、体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する遠位端部を含む、侵襲性医療用プローブと、医療用プローブと関連付けられた位置変換器と、体腔の3次元(3D)モデルを記憶するように構成されたメモリと、ディスプレイと、プロセッサであって、位置変換器から、体腔内の遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、3Dモデル及び信号に基づいて、体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別されたセグメント以外の所与の細長い電極の部分は、体腔の内側表面と接触していない、ことと、所与の細長い電極のセグメントが接触する部位に対応する3Dモデル上の位置に視覚的マーカを有する3Dモデルのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングする、ように構成されることと、を行うプロセッサとを備える、装置が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細長い電極は、医療用プローブの遠位端部に沿って長手方向に配置される。
【0009】
更なる実施形態では、侵襲性医療用プローブはまた、医療用プローブの遠位端部の内腔から延在する膨張可能なバルーンを含んでもよい。一実施形態では、少なくとも1つの細長い電極は、バルーンの表面上に長手方向に配置される。
【0010】
別の実施形態では、装置はまた、少なくとも1つの細長い電極にアブレーションエネルギーを送達し、それによって少なくとも1つの電極と接触している組織をアブレーションする、ように構成されたアブレーションモジュールを更に含み得る。一実施形態では、視覚的マーカは、所与の細長い電極のセグメントによってアブレーションされる部位に対応する。
【0011】
補足的な実施形態では、プロセッサは、信号を受信する前に、体腔の3Dモデルデータを受信し、3Dモデルデータを使用して3Dモデルを生成する、ように更に構成され得る。いくつかの実施形態では、3Dモデルデータは、解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影データ、磁気共鳴画像データ、及び超音波データからなるリストから選択され得る。
【0012】
更なる実施形態では、プロセッサは、3Dモデル及び信号に基づいて、組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントの係合輪郭を決定するように更に構成され、プロセッサが、3Dモデル上の位置において、係合輪郭に対応する視覚的マーカ輪郭を提示することによって、3Dモデル上の位置に視覚的マーカをレンダリングするように構成され得る。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、方法であって、体腔の3次元(3D)モデルを生成することと、体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する遠位端部を備える、医療用プローブに関連付けられた、位置変換器から、体腔内の遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、3Dモデル及び信号に基づいて、体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別されたセグメント以外の所与の細長い電極の部分は、体腔の内側表面と接触していない、ことと、所与の細長い電極のセグメントが接触する部位に対応する3Dモデル上の位置に、視覚的マーカを有する3Dモデルのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングすることとを含む、方法が提供される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータソフトウェア製品であって、体腔に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する遠位端部を含む、医療用プローブと連動して操作され、製品は、プログラム命令が記憶される非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み、命令は、コンピュータによって読み取られると、コンピュータに、体腔の3次元(3D)モデルを生成することと、医療用プローブに関連付けられた位置変換器から、体腔内の遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、3Dモデル及び信号に基づいて、体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別されたセグメント以外の所与の細長い電極の部分は、体腔の内側表面と接触していない、ことと、所与の細長い電極のセグメントが接触する部位に対応する3Dモデル上の位置に、視覚的マーカを有する3Dモデルのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングすることと、を行わせる、コンピュータソフトウェア製品が更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書で、本開示をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
【
図1】本発明の一実施形態に係る、体腔の3次元(3D)モデルを生成するように構成された医療用コンソールと、遠位端部がバルーンを有している医療用プローブとを備える医療システムの模式的な図による説明である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る、バルーン上に取り付けられた複数の細長い電極を備える遠位端部の模式的な図による説明である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る医療用プローブの遠位端部の模式的な断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る体腔の3Dモデルを生成するために使用することができるボクセルの概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る体腔の3Dモデルの例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るバルーンの3Dモデルを生成するために使用することができるボクセルの概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るバルーンの3Dモデルの例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、体腔の3Dモデル上に、細長い電極が体腔内の組織と係合する係合領域に対応する視覚的マーカを提示する方法を概略的に示すフロー図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る、体腔内の組織と係合する細長い電極の例を示す概略絵図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る、体腔内の組織と係合する細長い電極の例を示す概略絵図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る、体腔内の組織と係合する細長い電極の例を示す概略絵図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る、3Dモデルのグラフィック表現及び視覚的マーカの概略絵図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る、3Dモデルのグラフィック表現及び視覚的マーカの概略絵図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る、3Dモデルのグラフィック表現及び視覚的マーカの概略絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
概論
本発明の実施形態は、心臓アブレーションなどの医療処置中に治療される組織の領域を示す視覚的マーカを提示するためのシステム及び方法を説明する。以下に記載されるように、システムは、体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する遠位端部を含む、侵襲性医療用プローブを含む。例えば、医療用プローブは、遠位端部に取り付けられたバルーンを有する心臓内カテーテルを含んでもよく、1つ以上の細長い電極はバルーンの外側表面上に取り付けられている。
【0017】
システムはまた、医療用プローブと関連付けられた位置変換器を含む。いくつかの実施形態では、以下に記載されるように、位置変換器は、医療用プローブの遠位端部に固定された磁場センサを含んでもよい。
【0018】
システムは、ディスプレイと、体腔の3次元(3D)モデルを記憶するように構成されたメモリと、を更に備える。いくつかの実施形態では、以下に記載されるように、3Dモデルは、解剖学的マップ、コンピュータ断層撮影(CT)画像データ、磁気共鳴画像法(MRI)画像データ、又は超音波画像データから得られてもよい。
【0019】
システムは、位置変換器から、体腔内の遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信し、3Dモデル及び信号に基づいて、体腔の内側表面上の部位において組織と接触している細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別する、ように構成されたプロセッサを更に含み、識別されたセグメント以外の細長い電極の部分は、体腔の内側表面と接触していない。プロセッサはまた、細長い電極のセグメントが接触する部位に対応する3Dモデル上の位置に視覚的マーカを有する3Dモデルのグラフィック表現をディスプレイにレンダリングするように構成される。
【0020】
体腔の内側表面上の組織と係合する細長い電極のそれぞれのセグメントを識別することによって、本発明の実施形態を実施するシステムは、医療専門家が治療のために組織の領域を正確に標的にするのを助けることができる。例えば、細長い電極がアブレーションエネルギーを伝達するように構成されている場合、本発明の実施形態を実施するシステムは、アブレーション処置中にアブレーションエネルギーが細長い電極によって伝達されている組織内の位置を示す視覚的マーカ(例えば、アブレーションタグ)を正確に提示することができる。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22(例えば、心臓内カテーテル)及び制御コンソール24を含む医療用システム20の概略絵図であり、
図2は医療用プローブの遠位端部26の概略絵図であり、
図3は、遠位端部26の概略断面図である。システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいていてもよい。以下に述べられる実施形態では、プローブ22は、心臓28の心組織のアブレーションを行うなどの診断又は治療処置において使用することを想定している。また、プローブ22は、必要な変更を加えることで心臓又は他の体内の臓器において他の治療及び/又は診断目的で使用することもできる。
【0022】
プローブ22は、挿入管30と、挿入管の近位端に連結されたハンドル32と、を備える。ハンドル32を操作することによって、医療専門家34は、患者36の体腔内にプローブ22を挿入することができる。例えば、医療専門家34は、プローブ22の遠位端部26が心臓28の心室に進入し、所望の場所(単数又は複数)において心内膜組織に係合するように、プローブ22を患者36の血管系を通して挿入することができる。
【0023】
図1に示す構成の第1の実施形態では、システム20は磁気位置検出を使用して、X軸40、Y軸42及びZ軸44を含む座標系38における遠位端部26の位置及び配向を示す位置座標を決定する。磁気に基づく位置検出を実施するため、制御24は、患者36の体内に磁場を生成させるため、磁場発生器48を駆動する駆動回路46を含む。典型的には、磁場発生器48はコイルを含み、コイルは患者胴体下方の、患者36の外部の既知の位置に配置される。これらのコイルは、心臓28を含む既定の作業ボリューム内に磁場を生成する。
【0024】
システム20はまた、医療用プローブ22と関連付けられた位置変換器50と、医療用コンソール24内のプロセッサ52と、を備える。以下に記載される実施形態では、位置変換器50は、遠位端部26の現在位置(すなわち、位置及び配向)を示す位置信号を生成及び伝達する医療用システム20の構成要素を含み、プロセッサ52は、座標系38において、遠位端部26の配向座標及び位置座標を計算するために、伝達された位置信号を受信及び処理するように構成されている。
【0025】
図1に示される構成の第1の実施形態では、位置変換器50は、プローブ22の遠位端部26内に磁場センサを含む。この実施形態では、磁場センサは、コイルからの磁場に応じて電気信号を生成し、これによりコンソール24は、チャンバ内の遠位端部26の位置を決定することが可能になる。
【0026】
この実施形態では、システム20は、磁気に基づくセンサを使用して遠位端部26の位置を測定する。電磁位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、及び同第6,177,792号に説明されている。本明細書で上述する場所感知方法は、上述のCARTO(登録商標)システムに実装され、上記で引用した特許に詳細に説明されている。
【0027】
駆動回路46及びプロセッサ52に加えて、制御コンソール24はまた、メモリ54、及び入力/出力(I/O)通信インタフェース56を含む。本明細書に記載される実施形態では、メモリ54は、マッピングカテーテルから受信した解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影(CT)データ、磁気共鳴画像(MRI)データ、及び超音波データなどの3Dデータに基づいて、プロセッサ52が生成することができる心臓28の3Dモデル58を記憶する。いくつかの実施形態では、メモリ54はまた、以下の
図8を参照する説明に記載されるように、遠位端部26の3Dモデル60を記憶することができる。
【0028】
動作中、I/O通信インタフェース56により、制御コンソール24は位置変換器50からの信号を受信し得る。位置変換器50から受信した信号に基づいて、信号プロセッサ52は、典型的には位置及び配向座標の双方を含む遠位端部26の位置座標を決定するために、これらの信号を処理することができる。以下の
図8を参照して説明するように、プロセッサ52は、決定された位置座標に基づいて3Dモデル58を更新することができる。
【0029】
処置中、プロセッサ52は、医療専門家34に、ディスプレイ64上に3Dモデル58のグラフィック表現62を提示することができる。いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ以上の入力デバイス66を使用して、グラフィック表現62を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ64は、グラフィック表現62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受け取るように構成され得るタッチスクリーンを備えてもよい。
【0030】
プロセッサ52は、典型的にフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路68、後続するアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)信号変換集積回路70を備え得る。プロセッサは、本明細書で開示される1つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラム可能であり、1つ以上のアルゴリズムはそれぞれ、以下に記載される工程を含む。このプロセッサは、1つ以上のアルゴリズムを実行するために、回路68及び回路70、並びに以下でより詳細に記載されるモジュールの特徴を使用する。
【0031】
メモリ54は、ランダムアクセスメモリ、ソリッドステートドライブ、又はハードディスクドライブなどの、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0032】
医療用プローブ22は、心臓28などの体腔内の組織をアブレーションするために使用され得る複数の細長い電極74を有するバルーン72を含む。バルーン72及び電極74は、以下の
図2を参照する説明において記載されている。
【0033】
制御コンソール24は、バルーン72の膨張を制御する灌注モジュール76と、細長い電極74へのアブレーションエネルギーの送達を制御するアブレーションモジュール78とを更に備える。
【0034】
図1に示される構成の第2の実施形態では、医療用システム20は、インピーダンスに基づく位置検出を使用して、座標系38内の遠位端部26の位置座標を決定することがある。インピーダンスに基づく位置検出を実施するために、制御コンソール24は、一般的には患者36に取り付けられる接着皮膚パッチ82を備える体表面電極にケーブル80を介して接続されている。
図1に示される構成では、ケーブル80はまた、磁場発生器48をコンソール24に接続する。
【0035】
制御コンソール24はまた、プロセッサ52が、接着皮膚パッチ82と電極74との間で測定されるインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓28の内側の遠位端部26の位置座標を決定する電流追跡モジュール84を含む。インピーダンスに基づく位置検出を使用して座標系38内の遠位端部26の位置座標を決定するとき、位置変換器50は、接着パッチ82と共に動作する選択された電極74を含み得る。
【0036】
インピーダンスに基づく位置追跡技術及び電流に基づく位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に説明されている。本明細書で上述する位置感知方法は、上述のCARTO(登録商標)システムに実装され、上記で引用した特許に詳細に説明されている。
【0037】
動作中、灌注モジュール76は、灌注流体を使用してバルーン72を膨張させることができ、灌注流体がバルーンに流れる流速を制御することによって、バルーンの膨張を制御することができる。バルーン72は、典型的には、生体適合性材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン、ナイロン又はペバックスから作られる。いくつかの実施形態では、バルーン72は、灌注流をバルーンから出すことができる複数の小さな孔(図示せず)を有し得る。これらの開窓は、典型的には直径0.025~0.500ミリメートルである。
【0038】
アブレーションモジュール78は、I/Oインタフェース56を介して細長い電極74に伝達されるアブレーション出力(例えば、高周波エネルギー)のレベル及び期間などのアブレーションパラメータをモニタリングし、制御するように構成されている。
【0039】
図2に示される構成では、バルーン72は、バルーンの外部表面上に長手方向に配置された細長い電極74を含み、バルーンは、管状シャフト90に取り付けられる。バルーン72は、挿入管30の内腔92の遠位端部から延びるように構成されており、バルーンは、内腔を通って心臓28などの体腔に配置され得る。簡略化のために、細長い電極74のI/Oインタフェース56及びアブレーションモジュール78への接続は示されていない。いくつかの実施形態において、接続は、バルーンの内側からバルーンの外側表面まで延びるワイヤ(図示せず)によって作られる。電気接続は、導電性エポキシ又は溶接を用いて形成することができる。
【0040】
細長い電極74は、バルーンと共に製造することができ、典型的には、バルーン72の外壁を覆う金を含む。本発明の実施形態では、細長い電極は、それぞれの幅96の長さの少なくとも2倍であるそれぞれの長さ94を有する。
【0041】
図3に示されるように、医療用プローブ22はまた、管状シャフト90内に収容され、バルーン72の遠位端部102に連結された延長シャフト100を備える。動作中、医療専門家34は、延長シャフト100を延長又は後退させることによって(すなわち、バルーンが内腔から展開されると)バルーン72の長さ104を制御することができ、操作者は、バルーンへの灌注流の流量を灌注モジュール76に指定することによって、バルーンの幅106を制御することができる。
【0042】
図3に示す構成では、延長シャフト100に固定された磁場センサ108は、位置変換器として機能する。動作中、プロセッサ52は、磁場センサ108から受信した信号を処理して、座標系38において磁場センサの位置座標を決定することができる。いくつかの実施形態では、以下に記載されるように、プロセッサ52は、バルーンの長さを示す決定された位置座標と、バルーンの現在の幅を示す灌注流流量(すなわち、バルーンの現在の長さと組み合わされた)とに基づいて、バルーン72の現在の形状(例えば、長さ104及び幅106)を決定することができる。
【0043】
図3に示されるように、バルーン72は、膨張時に概ね球状の形状を有する。医療処置中、医療専門家34は、バルーン72が患者36の体腔(例えば、心臓28)内の組織110に係合するように遠位端部26を操作してもよい。バルーン72は、典型的には、バルーンの内側表面114上の灌注流の力112が、バルーンの外側表面118上の組織110の力116以上である場合に、その概ね球状の形状を保持することができる。
【0044】
以下に記載される実施形態では、組織110は、識別番号に文字を付加することによって区別することができ、それにより、組織は、心臓28内の心臓組織110A、肺静脈口120内の心門組織110B、及び肺静脈122内の静脈内組織110Cを含む。
【0045】
図1~
図3に提示される医療用プローブ22の構成は、バルーン72上に取り付けられた細長い電極74を有するバルーンカテーテルを含む医療用プローブを示しているが、患者36の任意の体腔内の組織と係合するように構成された任意の数の細長い電極を含む任意の他の種類の医療用プローブ22を使用することは、本発明の精神及び範囲内であると見なされる。
【0046】
図4は、本発明の実施形態による、プロセッサ52が心臓28の3Dモデル58を生成するために使用することができるボクセル130の概略図である。以下に記載される実施形態では、ボクセル130は、組織110内の3次元データ点に対応する。
【0047】
モデル58を生成するために、プロセッサ52は、組織110の3次元データを受信し、次いで、受信した3次元データをボクセル130のセットにセグメント化し、各所与のボクセル130は、座標系38内の3D位置座標のそれぞれのセットに対応する。上記のように、3Dデータの例は、マッピングカテーテルから受信した解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影(CT)データ、磁気共鳴画像(MRI)データ、及び超音波データを含む。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態による3Dモデル58の例を示すブロック図である。
図5に示される例では、モデル58は、ボクセル130と1対1の対応を有する複数の組織座標記録140を含む。各所与の記録140は、対応するボクセル130に対する一組の3D座標(すなわち、座標系38内)142を含む。
【0049】
図6は、本発明の実施形態による、プロセッサ52が心臓バルーン72の3Dモデル60を生成するために使用することができるボクセル150の概略図である。以下に記載される実施形態では、ボクセル150は、バルーン72及び細長い電極74内の3次元データ点に対応する。
【0050】
図7は、本発明の実施形態による3Dモデル60の例である。
図7に示される例では、モデル60は、電極定義160と、ボクセル150と1対1の対応を有する複数のバルーン座標記録162とを含む。いくつかの実施形態では、電極定義160は電極74の寸法を含む。
【0051】
各所与の記録162は、対応するボクセル150に対する3D座標(すなわち、座標系38内)164のセットと、電極フラグ166を含む。いくつかの実施形態では、電極定義160が、所与の記録内の座標164が所与の細長い電極74の座標に対応することを示す場合、プロセッサ52は、所与の記録162内の電極フラグ166を(例えば、「True」に)設定することができる。
【0052】
バルーン72が膨張されるとき、プロセッサ52が所与の細長い電極74に対して計算する(すなわち、接着皮膚パッチ82と所与の細長い電極との間のインピーダンス及び/又は電流に基づいて)位置座標は、所与の電極の重心の位置座標を含み得る。重心は、本明細書では、バルーン72の赤道上にあると仮定される。
【0053】
上記のように、バルーン72は、膨張時に概ね球状の形状を有する。したがって、プロセッサは、以下に記載されるように、どのボクセル150がバルーンに対応するかを識別するために、細長い電極の重心の位置座標を「モデル」バルーン72に使用することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ52は、電極の重心の位置座標及び電極定義160に基づいて、どのボクセル150が細長い電極74に対応するかを識別することができる。
【0054】
図8は、本発明の一実施形態による、ディスプレイ64上に、細長い電極74が心臓28などの体腔内の内側表面(すなわち、組織)と係合する位置座標に対応する視覚的マーカを提示する方法を概略的に示すフロー図である。第1のモデル生成工程170では、プロセッサ52は3Dモデル58を生成する。例えば、プロセッサ52は、マッピングカテーテル(図示せず)によって以前に取得されたマッピングポイントに基づいて、心臓28又は肺静脈(
図9~
図11に示し、以下に記載されるように)などの体腔の3Dモデル58を生成することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ52は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、磁気共鳴画像(MRI)スキャナ、又は超音波スキャナなどの3Dイメージングシステムから受信した3D画像データを用いて、3Dモデル58を増強できる(及び精度を高める)。
【0055】
挿入工程172では、医療専門家34は、医療用プローブ22の遠位端部26を体腔に挿入する。遠位端部を体腔内に挿入すると、医療専門家は、上述した方法を使用してバルーン72を膨張させることができる。
【0056】
位置決め工程174において、医療専門家は、1つ以上の細長い電極74が体腔の内側表面上の組織(例えば、組織110)と係合するようにハンドル32を操作する。例えば、医療専門家は、少なくとも1つの細長い電極74が心臓28内の組織110Aと係合するように遠位端部26を位置決めすることができる。
【0057】
受信工程176では、プロセッサ52は、位置変換器50から、遠位端部26の配向196及び位置座標198を示す信号を受信し、計算工程178で、プロセッサは、遠位端部の配向座標及び位置座標(すなわち座標系38内)を計算する。第1の位置計算実施形態では、磁場センサ108は、プロセッサ52に、磁場発生器48内のコイルによって生成された磁場に応答して電気信号を伝達し、プロセッサは、電気信号を受信すると、体腔内の磁場センサの位置(すなわち、位置座標及び配向)(及びそれにより遠位端部26の位置)を計算することができる。
【0058】
第2の位置計算実施形態では、プロセッサ52は、接着皮膚パッチ82と細長い電極74との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、体腔内の遠位端部26の位置座標を決定する。上述したように、細長い電極74は、バルーン72の外部表面上に長手方向に配置される。バルーン72が膨張されると、プロセッサ52は、所与の電極の重心として、所与の細長い電極74のそれぞれについて3D位置座標を(上述のように)計算することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ52は、電極74の3D位置座標に基づいて遠位端部26の配向を計算することができる。
【0059】
第2のモデル生成工程179では、プロセッサ52はバルーン72に対するモデル60を生成する。バルーン72は、膨張時に概ね球状の形状を有し、細長い電極74はバルーンの外側表面上に配置され、プロセッサ52は、細長い電極74のそれぞれの重心に対応する位置座標の平均としてバルーン72の中心を計算し、次いで計算された中心及び電極の位置座標に基づいてバルーンの半径を計算することができる。計算された半径及び中心を使用して、プロセッサ52は次に、座標系38におけるバルーン72の3D位置座標のセットを計算することができ、3D位置座標の計算されたセットをボクセル150のセットにセグメント化し、それぞれの所与のボクセル150に対するそれぞれのバルーン座標記録162に、座標164への計算された3D位置座標を記憶することができる。
【0060】
上述のように、遠位端部はバルーン72及び細長い電極74を含む。細長い電極74の重心の位置座標及び電極定義160に記憶された寸法情報に基づいて、プロセッサ52は、電極に対する3D位置座標のセットを計算することができ、座標164が電極に対する3D位置座標の計算されたセットのいずれかと一致する、バルーン座標記録内の電極フラグを設定することができる。換言すれば、プロセッサ52は、どのボクセル150が細長い電極の3D位置座標に対応するかを識別することができる。
【0061】
図9~
図11は、本発明の一実施形態による、心臓28などの体腔の内側表面上の組織と係合する細長い電極の例を示す概略絵図である。
図9及び
図10に示すように、医療専門家34は、心臓28の心室を介して、医療用プローブ22の遠位端部26を肺静脈122内に挿入する。バルーン72を肺静脈122内に挿入し、延長シャフト100を肺静脈内に延長するとき、医療専門家34は(すなわち、灌注モジュール76を介して)バルーン72を膨張させ、1つ以上の細長い電極74のそれぞれのセグメント192が、
図10に示すように、それぞれの輪郭200を有するそれぞれの係合領域194(本明細書では部位とも称される)で静脈内組織110Cと係合する。
【0062】
所与の細長い電極74が静脈内組織110C(又は患者36の体腔内の任意の他の組織110)と係合する間、所与の細長い電極の所与のセグメント192は、静脈内組織上の所与の係合領域194において静脈内組織と係合し(すなわち、接触し)、一方、識別されたセグメント以外の所与の細長い電極の部分は、静脈内組織と接触していない。識別工程180では、プロセッサ52は、静脈内組織上の係合領域194と係合する細長い電極のそれぞれのセグメント192を識別する。
【0063】
一実施形態では、プロセッサ52は、モデル58及び60に基づいて係合領域194を検出することができる。この実施形態では、プロセッサ52は、任意のボクセル130に対してどのボクセル150が最小距離閾値内にあるかを識別するために、座標セット142及び164上で衝突検出アルゴリズムを使用することができる。識別されたボクセルは、係合領域194の位置座標に対応する。
【0064】
図9及び10に示される実施例では、医療専門家34は、異なるそれぞれの配向196で遠位端部26を肺静脈122内に挿入した。異なる配向196により、
図9に示す例における、静脈内組織110Cと係合する所与の細長い電極74のセグメントは、典型的には、
図10に示す例における、静脈内組織に係合する所与の細長い電極のセグメントとは異なる。
【0065】
いくつかの実施形態では、以下に記載されるように、医療専門家は、アブレーションエネルギーを細長い電極74に送達し、それによって、係合領域194で静脈内組織をアブレーションするように、アブレーションモジュール78に指示することができる。これらの実施形態では、全ての係合領域194を接続する線190はまた、アブレーション線190と称されてもよい。
【0066】
図9及び10の実施例は、肺静脈122内に配置されたバルーン72を示すが、バルーンを患者36の他の器官内に配置し、細長い電極74によって係合された任意の組織の位置を決定することは、本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。例えば、
図11は、それぞれの係合領域194において、心門組織110Bと係合する細長い電極74のセグメント192を示す。
【0067】
フロー図に戻ると、レンダリング工程182において、プロセッサ52は、静脈内組織110C上の係合領域に対応する3Dモデル内のそれぞれの位置に、視覚的マーカを有する3Dモデル58のグラフィック表現62を表示するようにレンダリングする64。いくつかの実施形態では(
図13及び14に示され、以下に記載されるように)、プロセッサ52は、係合領域194の輪郭200に対応する表示輪郭を使用して視覚的マーカをレンダリングすることができる。
【0068】
図12は、本発明の第1の実施形態による、心臓28を表す3Dモデル58のグラフィック表現62の概略図である。
図12に示される第1の実施形態では、プロセッサ52は、円形の表示輪郭を有し、静脈内組織110C上の係合領域194に対応する視覚的マーカ210を有するグラフィック表現62をレンダリングする。
図12の例は、視覚的マーカ210を円形の表示輪郭としてレンダリングするプロセッサ52を示しているが、他の輪郭を使用して視覚的マーカを提示することは、本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。
【0069】
図13は、本発明の第2の実施形態による、心臓28を表す3Dモデル58のグラフィック表現62の概略図である。
図13に示される第2の実施形態では、プロセッサ52は、対応する係合領域194の輪郭200に類似する台形輪郭222を有する視覚的マーカ220を有するグラフィック表現62をレンダリングする。
【0070】
図12及び13に示される例は、
図9に示される遠位端部26の配向196に対応し、遠位端部におけるバルーン72の配向は肺静脈122と位置合わせされる。いくつかの実施形態では、遠位端部26の配向は、配向196が係合領域(単数又は複数)194を含む肺静脈のセクションと平行な15度以内にある場合、肺静脈122と整列していると見なすことができる。バルーン72が肺静脈122と位置合わせされるとき、視覚的マーカ220は、
図13に示されるように類似の輪郭222を有してもよい。
【0071】
図14は、本発明の第3の実施形態による、心臓28を表す3Dモデル58のグラフィック表現62の概略図である。
図14に示される例は、
図10に示される遠位端部26の配向196に対応し、遠位端部におけるバルーン72の配向は、肺静脈122と位置合わせされていない。バルーン72が肺静脈122と位置合わせされていないとき、プロセッサ52は、第3の実施形態に示されるように、それぞれの係合領域194の輪郭200に対応する異なる輪郭232を有する視覚的マーカ230を生成することができる。
【0072】
フロー図に戻ると、第1の決定工程184において、係合した静脈内組織がアブレーションの標的となる静脈内組織110Cを含む場合、アブレーション工程186において、アブレーションモジュール78は、アブレーションエネルギーを細長い電極74に伝達し、それにより、細長い電極によって係合された静脈内組織をアブレーションする。いくつかの実施形態では、アブレーションモジュール78は、医療専門家34から(例えば、入力デバイス66を介して)受信した入力に応答して、アブレーションエネルギーを細長い電極74に伝達することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、プロセッサ52は、アブレーションエネルギーを細長い電極74に送達するアブレーションモジュール78に応答して、各所与の視覚的マーカ210、220又は230をレンダリングすることができる。これらの実施形態では、視覚的マーカは、静脈内組織110C上のアブレーション位置を示すアブレーションタグを含む。
【0074】
第2の決定工程188において、医療処置が完了していない場合には、本方法は、工程174へと続く。医療処置が完了した場合、本方法は終了する。
【0075】
工程184に戻り、係合された静脈内組織がアブレーションの標的の静脈内組織110Cを含まない場合、本方法は工程188へと続く。
【0076】
上記の実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し記載したものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、本明細書で上述のとおり様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を一読すると当業者が想起すると思われる、先行技術に開示されていないそれらの変形及び改変を含む。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する前記遠位端部を含む、侵襲性医療用プローブと、
前記医療用プローブと関連付けられた位置変換器と、
前記体腔の3次元(3D)モデルを記憶するように構成されたメモリと、
ディスプレイと、
プロセッサであって、
前記位置変換器から、前記体腔内の前記遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、
前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別された前記セグメント以外の前記所与の細長い電極の部分は、前記体腔の前記内側表面と接触していない、ことと、
前記所与の細長い電極の前記セグメントが接触する前記部位に対応する前記3Dモデル上の位置に視覚的マーカを有する前記3Dモデルのグラフィック表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行うように構成されている、プロセッサと
を備える、装置。
(2) 前記少なくとも1つの細長い電極が、前記医療用プローブの前記遠位端部に沿って長手方向に配置されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記医療用プローブの前記遠位端部の内腔から延在する膨張可能なバルーンを備える、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記少なくとも1つの細長い電極が、前記バルーンの表面上に長手方向に配置されている、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記少なくとも1つの細長い電極にアブレーションエネルギーを送達し、それによって前記少なくとも1つの電極と接触している前記組織をアブレーションする、ように構成されたアブレーションモジュールを更に備える、実施態様1に記載の装置。
【0078】
(6) 前記視覚的マーカが、前記所与の細長い電極の前記セグメントによってアブレーションされる前記部位に対応する、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記プロセッサが、前記信号を受信する前に、前記体腔の3Dモデルデータを受信し、前記3Dモデルデータを使用して前記3Dモデルを生成する、ように更に構成されている、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記3Dモデルデータが、解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影データ、磁気共鳴画像データ、及び超音波データからなるリストから選択される、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記プロセッサが、前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記組織と接触している前記所与の細長い電極の前記長さに沿った前記セグメントの係合輪郭を決定するように更に構成され、前記プロセッサが、前記3Dモデル上の位置において、前記係合輪郭に対応する視覚的マーカ輪郭を提示することによって、前記3Dモデル上の前記位置に前記視覚的マーカをレンダリングするように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 方法であって、
体腔の3次元(3D)モデルを生成することと、
前記体腔内に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する前記遠位端部を備える、医療用プローブに関連付けられた、位置変換器から、前記体腔内の前記遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、
前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別された前記セグメント以外の前記所与の細長い電極の部分は、前記体腔の前記内側表面と接触していない、ことと、
前記所与の細長い電極の前記セグメントが接触する前記部位に対応する前記3Dモデル上の位置に、視覚的マーカを有する前記3Dモデルのグラフィック表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと
を含む、方法。
【0079】
(11) 前記少なくとも1つの細長い電極が、前記医療用プローブの前記遠位端部に沿って長手方向に配置されている、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記医療用プローブが、前記医療用プローブの前記遠位端部の内腔から延在する膨張可能なバルーンを備える、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記少なくとも1つの細長い電極が、前記バルーンの表面上に長手方向に配置されている、実施態様12に記載の方法。
(14) アブレーションモジュールによって、前記少なくとも1つの細長い電極にアブレーションエネルギーを送達し、それによって前記少なくとも1つの電極と接触している前記組織をアブレーションすることを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(15) 前記視覚的マーカが、前記所与の細長い電極の前記セグメントによってアブレーションされる前記部位に対応する、実施態様14に記載の方法。
【0080】
(16) 前記信号を受信する前に、前記体腔の3Dモデルデータを受信し、前記3Dモデルデータを使用して前記3Dモデルを生成することを含む、実施態様10に記載の方法。
(17) 前記3Dモデルデータが、解剖学的マッピングデータ、コンピュータ断層撮影データ、磁気共鳴画像データ、及び超音波データからなるリストから選択される、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記組織と接触している前記所与の細長い電極の前記長さに沿った前記セグメントの係合輪郭を決定することを含み、前記3Dモデル上の位置において前記視覚的マーカをレンダリングすることは、前記3Dモデル上の前記位置において、前記係合輪郭に対応する視覚的マーカ輪郭を提示することを含む、実施態様10に記載の方法。
(19) コンピュータソフトウェア製品であって、体腔に挿入されるように構成され、遠位端部に沿って配置された少なくとも1つの細長い電極を有する前記遠位端部を含む、医療用プローブと連動して操作され、前記製品は、プログラム命令が記憶される非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み、前記命令は、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
体腔の3次元(3D)モデルを生成することと、
前記医療用プローブに関連付けられた位置変換器から、前記体腔内の前記遠位端部の配向座標及び位置座標を示す信号を受信することと、
前記3Dモデル及び前記信号に基づいて、前記体腔の内側表面上の部位において組織と接触している所与の細長い電極の長さに沿ったセグメントを識別することであって、識別された前記セグメント以外の前記所与の細長い電極の部分は、前記体腔の前記内側表面と接触していない、ことと、
前記所与の細長い電極の前記セグメントが接触する前記部位に対応する前記3Dモデル上の位置に、視覚的マーカを有する前記3Dモデルのグラフィック表現を前記ディスプレイにレンダリングすることと、を行わせる、コンピュータソフトウェア製品。