IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図1
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図2
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図3
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図4
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図5
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図6
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図7
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図8
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図9
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図10
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図11
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図12
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図13
  • 特許-集塵アタッチメント及び電動工具 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】集塵アタッチメント及び電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240805BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240805BHJP
   B24B 55/10 20060101ALI20240805BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B24B23/02
B24B55/10
B23Q11/00 M
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020197979
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086132
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲村 真
(72)【発明者】
【氏名】小辻 孝文
(72)【発明者】
【氏名】中浜 雅俊
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-193654(JP,U)
【文献】特開2020-023006(JP,A)
【文献】特開平07-186047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0186852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B24B 23/02
B24B 55/10
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるハウジングと、前記前後方向に直交する上下方向に延びる駆動軸に沿って延在し、下端部が前記ハウジングの前端部から下方に突出して先端工具を装着するための工具装着部を構成するスピンドルと、を有する電動工具に装着され、前記電動工具による加工作業で生じた粉塵を収集するための集塵アタッチメントであって、
吸引孔を有するカバー部であって、
前記集塵アタッチメントが前記電動工具に装着された装着状態において前記吸引孔内を前記駆動軸が通り、かつ、前記工具装着部の周囲の少なくとも一部を覆うように形成され
前記上下方向に沿った周壁であって、前記装着状態において、前記前後方向における前方に設けられ前記吸引孔に沿った第1壁と、前記第1壁の両端に接続されて前記第1壁から後方に延びる一対の第2壁と、を有する周壁を備える、カバー部と、
前記カバー部に接続され前記カバー部内から前記粉塵を排出するための排出部と、
前端が前記一対の第2壁の後端に接続されて前記前後方向における後方へ延び、後端が自由端である、弾性変形可能な一対の係止片と、
前記一対の係止片の各々に設けられ、前記ハウジングの所定位置で前記ハウジングに係止する爪部と、を備える、
集塵アタッチメント。
【請求項2】
請求項に記載の集塵アタッチメントであって、前記装着状態において、
前記爪部は、前記一対の係止片の前記前後方向における後部に設けられている、集塵アタッチメント。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の集塵アタッチメントであって、
前記一対の係止片は、前記装着状態において、前記駆動軸を含む面を挟んで配置されている、集塵アタッチメント。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントであって、
前記排出部は、前記前後方向と交差する方向に延びた筒状部材であり、前記カバー部に接続され前記カバー部の内側と前記排出部の内側とを連通する第1端部と、前記第1端部とは逆の端部であって、吸引機器を接続可能な第2端部とを備える、集塵アタッチメント。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントであって
前記一対の係止片の各々は、前記爪部の突出する方向と異なる方向に延び、使用者が摘まむに適したツマミ部を備える、集塵アタッチメント。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントであって、
前記カバー部は、前記周壁に接続されて前記吸引孔が設けられた底部を備え、
前記一対の係止片の各々に設けられた前記爪部は、前記装着状態において前記駆動軸を含む面に向けて突出するように形成されており、
前記一対の係止片の各々は、前記爪部の後における前記自由端に設けられ前記前後方向における後方へ突出する、使用者が摘まむに適したツマミ部を備える、集塵アタッチメント。
【請求項7】
前後方向に延びるハウジングと、前記前後方向に直交する上下方向に延びる駆動軸に沿って延在し、下端部が前記ハウジングの前端部から下方に突出して先端工具を装着するための工具装着部を構成するスピンドルと、を有する電動工具に装着され、前記電動工具による加工作業で生じた粉塵を収集するための集塵アタッチメントであって、
吸引孔を有するカバー部であって、
前記集塵アタッチメントが前記電動工具に装着された装着状態において前記吸引孔内を前記駆動軸が通り、かつ、前記工具装着部の周囲の少なくとも一部を覆うように形成され、
前記上下方向に沿った周壁であって、第1壁と、前記第1壁の両端に接続されて前記第1壁から後方に延びる一対の第2壁と、を有する周壁を備える、カバー部と、
前記一対の第2壁のうち一方に接続され、前記前後方向に交差する方向に延びるように形成され、前記カバー部内から前記粉塵を排出するための筒状の排出部と、
前記カバー部に接続され、前記駆動軸を含む面を挟んで配置された、弾性変形可能な一対の係止片と、
前記一対の係止片に設けられ、前記ハウジングの所定位置で前記ハウジングに係止する爪部と、を備える、
集塵アタッチメント。
【請求項8】
請求項7に記載の集塵アタッチメントであって、
前記カバー部は、前記周壁に接続されて前記吸引孔が設けられた底部を備え、
前記一対の係止片の各々は、前端が前記一対の第2壁に接続され前記前後方向における後方へ延びて形成されており、
前記一対の係止片の各々は、更に、前記爪部の後に設けられ、前記前後方向における後方へ突出する、使用者が摘まむに適したツマミ部を備える、集塵アタッチメント。
【請求項9】
請求項7に記載の集塵アタッチメントであって、更に、
前記一対の第2壁における前記排出部に対して前記第1壁とは反対側に設けられ、使用者が操作するに適した解除操作部を備える、集塵アタッチメント。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントであって、
前記カバー部と前記少なくとも一つの係止片と前記排出部とは、単一部材で形成されている、集塵アタッチメント。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントであって、
前記カバー部は、前記爪部が前記ハウジングに係止すると前記爪部が係止する箇所とは他の箇所において前記ハウジングに係止するように構成された、凸部又は凹部を備える、集塵アタッチメント。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントを装着可能な電動工具であって、
前記ハウジングは、前記爪部が係止する係止部と、前記爪部を前記係止部に案内するためのガイド部と、を備える、電動工具。
【請求項13】
請求項11に従属する請求項12に記載の電動工具であって、
前記ハウジングは、前記係止部とは他の箇所に設けられ、前記爪部が前記係止部に係止すると前記カバー部に設けられた前記凸部又は前記凹部が係止するように構成された、凹部又は凸部を備える、電動工具。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の電動工具であって、
前記係止部は、前記ガイド部の後に設けられ前記ハウジングの側壁が窪んで形成されており、
前記ガイド部は、前記側壁に設けられ前記上下方向に沿って延びる溝部と、前記前後方向において前記溝部と前記係止部との間に設けられ、前記溝部から前記係止部へ向けて前記駆動軸を含む面から離れるように傾斜する傾斜面とを含む、電動工具。
【請求項15】
請求項12から請求項14までのいずれか一項に記載の電動工具であって、
前記ハウジングの前記前端部に収容され、前記スピンドルと平行に延びる出力シャフトを有するモータを更に備える、電動工具。
【請求項16】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の集塵アタッチメントを備える電動工具。
【請求項17】
前後方向に延びるハウジングと、前記前後方向に直交する上下方向に延びる駆動軸に沿って延在し、下端部が前記ハウジングの前端部から下方に突出して先端工具を装着するための工具装着部を構成するスピンドルと、を有する電動工具に装着され、前記電動工具による加工作業で生じた粉塵を収集するための集塵アタッチメントを装着可能な電動工具であって、
前記集塵アタッチメントは、
吸引孔を有するカバー部であって、前記集塵アタッチメントが前記電動工具に装着された装着状態において前記吸引孔内を前記駆動軸が通り、かつ、前記工具装着部の周囲の少なくとも一部を覆うように形成された、カバー部と、
前記カバー部に接続され前記カバー部内から前記粉塵を排出するための排出部と、
前記カバー部に接続された弾性変形可能な少なくとも1つの係止片であって、前記ハウジングの所定位置で前記ハウジングに係止する爪部を有する、少なくとも一つの係止片と、を備える、集塵アタッチメントであり、
前記電動工具における前記ハウジングは、前記爪部が係止する係止部と、前記爪部を前記係止部に案内するためのガイド部と、を有し、
前記係止部は、前記ガイド部の後に設けられ前記ハウジングの側壁が窪んで形成されており、
前記ガイド部は、前記側壁に設けられ前記上下方向に沿って延びる溝部と、前記前後方向において前記溝部と前記係止部との間に設けられ、前記溝部から前記係止部へ向けて前記駆動軸を含む面から離れるように傾斜する傾斜面とを含む、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集塵アタッチメント及び集塵アタッチメントが装着される電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
サンダやグラインダ等の電動工具に装着され、加工材の加工作業で生じた粉塵を収集するための集塵アタッチメントが知られている。特許文献1には、出力軸の突出部位においてハウジングに装着される吸込部と、吸込部に前端が接続されるホースと、ホースの後端に接続される排出部と、吸込部をハウジングに係止するための係止部材と、排出部をハウジングの軸周りの任意の位相で装着可能とする付替部材とを備える集塵アタッチメントが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5775795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の集塵アタッチメントでは、排出部に対する付替え部材の装着の向きを選択することで、ハウジングに対するホースの向きを変更することができるものの装着に手間がかかる場合があった。そのため、電動工具へより容易に装着可能な新規な集塵アタッチメントが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、電動工具による加工作業で生じた粉塵を収集するための集塵アタッチメントが提供される。前記電動工具は、前後方向に延びるハウジングと、スピンドルとを備える。前記スピンドルは、前記前後方向に直交する上下方向に延びる駆動軸に沿って延在し、下端部が前記ハウジングの前端部から下方に突出して先端工具を装着するための工具装着部を構成する。前記集塵アタッチメントは、吸引孔を有するカバー部と、前記カバー部に接続された少なくとも1つの係止片とを備える。前記カバー部は、前記集塵アタッチメントが前記電動工具に装着された装着状態において、前記吸引孔内を前記駆動軸が通るように構成されている。前記カバー部は、前記装着状態において、前記工具装着部の周囲の少なくとも一部を覆うように形成されている。前記少なくとも1つの係止片は、弾性変形可能に構成されている。前記少なくとも1つの係止片は、前記ハウジングの所定位置で前記ハウジングに係止するように構成された爪部を有する。
この形態によれば、少なくとも一つの係止片の備える爪部によって、集塵アタッチメントをハウジングの所定位置に係止することができるので、電動工具に容易に装着可能な新規な集塵アタッチメントを提供することができる。
(2)上記形態において、前記少なくとも1つの係止片は、前記装着状態において、前記駆動軸に交差する方向に延びるように形成されていてもよい。
この形態によれば、使用者は、駆動軸に交差する方向における、ハウジングの所定位置で、電動工具に集塵アタッチメントを係止することができる。
(3)上記形態において、前記少なくとも1つの係止片は、前記装着状態において、前記前後方向に延びるように形成されていてもよい。
この形態によれば、係止片は、ハウジングの延びる前後方向に沿って延びるので、使用者は、係止片をハウジングに沿わせつつ、前後方向におけるハウジングの所定位置で、電動工具に集塵アタッチメントを係止することができる。
(4)上記形態において、前記装着状態において、前記少なくとも1つの係止片の前端は、前記カバー部に接続されていてもよい。前記装着状態において、前記爪部は、前記少なくとも1つの係止片の前記前後方向における後部に設けられていてもよい。
この形態によれば、使用者は、ハウジングの前端部における後部において、電動工具に集塵アタッチメントを係止することができる。
(5)上記形態において、前記少なくとも1つの係止片は、2つの係止片を含んでもよい。前記2つの係止片は、前記装着状態において、前記駆動軸を含む面を挟んで配置されるように形成されていてもよい。
この形態によれば、駆動軸を含む面を挟んだ位置において、電動工具に集塵アタッチメントを係止することができるので、電動工具に対する集塵アタッチメントの装着状態を安定させることができる。
(6)上記形態において、前記排出部は、前記前後方向と交差する方向に延びた筒状部材であってもよい。前記排出部は、更に、前記カバー部に接続され前記カバー部の内側と前記排出部の内側とを連通する第1端部と、前記第1端部とは逆の端部であって、吸引機器を接続可能な第2端部とを備えていてもよい。
(7)上記形態において、前記カバー部と前記少なくとも一つの係止片と前記排出部とは、単一部材で形成されていてもよい。
この形態によれば、集塵アタッチメントが複数部材で形成される構成と比較して、使用者は、より容易に、電動工具に集塵アタッチメントを装着することができる。
この形態によれば、排出部は、ハウジングの延びる方向である前後方向とは交差する方向に延びて形成されているので、排出部及び排出部の第2端部に接続される吸引機器が、電動工具使用の妨げになることを抑制することができる。
(8)上記形態において、前記少なくとも1つの係止片は、前記爪部の突出する方向と異なる方向に延びるツマミ部を備えていてもよい。前記ツマミ部は、使用者が摘まむに適するように形成されていてもよい。
この形態によれば、使用者は、ツマミ部を摘まんで係止片を弾性変形させて、爪部をハウジングから外すことができる。そのため、使用者は、容易に、電動工具から集塵アタッチメントを取り外すことができる。
(9)上記形態において、前記カバー部は、前記吸引孔が設けられた底部と、前記底部に接続され前記上下方向に沿った周壁とを含んでもよい。前記周壁は、前記装着状態において、前記前後方向における前方に設けられ前記吸引孔に沿った第1壁と、前記第1壁に接続されて前記第1壁から後方に延びる一対の第2壁と、を備えていてもよい。前記排出部は、前記一対の第2壁のうちの一方に接続されていてもよい。更に、前記排出部は、前記前後方向に交差する方向へ延びるように形成されていてもよい。前記少なくとも1つの係止片は、前端が前記一対の第2壁に接続され、前記前後方向における後方へ延びて形成され、前記駆動軸を含む面を挟んで配置された一対の係止片であってもよい。前記爪部は前記一対の係止片に設けられ、前記装着状態において前記駆動軸を含む面に向けて突出するように形成されていてもよい。前記少なくとも1つの係止片は、更に、前記爪部の後に設けられ、前記前後方向における後方へ突出する、使用者が摘まむに適したツマミ部を備えていてもよい。
この形態によれば、駆動軸を含む面を挟んだ位置において、電動工具に集塵アタッチメントを係止することができるので、電動工具に対する集塵アタッチメントの装着状態を安定させることができる。また、排出部は、ハウジングの延びる方向である前後方向と交差する方向に延びて形成されているので、排出部に接続される吸引機器が、電動工具使用の妨げになることを抑制することができる。更に、係止片は、爪部の後に設けられて後方へ突出するツマミ部を備えるので、使用者は、後方からツマミ部を摘まんで、電動工具から集塵アタッチメントを取り外すことができる。
(10)上記形態において、前記カバー部は、凸部又は凹部を備えていてもよい。前記凸部又は前記凹部は、前記爪部が前記ハウジングに係止すると、前記爪部が係止する箇所とは他の箇所において前記ハウジングに係止するように、構成されていてもよい。
この形態によれば、カバー部が凸部又は凹部を備えない構成と比較して、電動工具に対する集塵アタッチメントの装着状態を、より安定させることができる。
(11)本開示の第2の形態によれば、前記集塵アタッチメントが装着可能に構成された電動工具が提供される。前記電動工具において、前記ハウジングは、前記爪部が係止するように構成された係止部と、前記爪部を前記係止部に案内するように構成されたガイド部と、を備える。
この形態によれば、ガイド部を使用して集塵アタッチメントの爪部をハウジングの係止部に案内することができる。そのため、使用者は、より容易に、電動工具に集塵アタッチメントを装着することができる。
(12)上記形態において、前記ハウジングは、前記係止部とは他の箇所に設けられた凹部又は凸部を備えていてもよい。前記凹部又は前記凸部は、前記爪部が前記係止部に係止すると前記カバー部に設けられた凸部又は前記カバー部に設けられた凹部が係止するように構成されていてもよい。
この形態によれば、ハウジングが凹部又は凸部を備えていない構成と比較して、電動工具に対する集塵アタッチメントの装着状態を、より安定させることができる。
(13)上記形態において、前記係止部は、前記ガイド部の後に設けられていてもよい。更に、前記係止部は、前記ハウジングの側壁が窪んで形成されていてもよい。前記ガイド部は、溝部と、傾斜面とを含んでもよい。前記溝部は、前記側壁に設けられ前記上下方向に沿って延びるように形成されていてもよい。前記傾斜面は、前記前後方向において前記溝部と前記係止部との間に設けられ、前記溝部から前記係止部へ向けて、前記駆動軸を含む面から離れる方向に傾斜するように形成されていてもよい。
この形態によれば、使用者は、爪部を溝部に沿わせて上下方向に移動させた後、溝部の後に設けられた傾斜面に沿って移動させることで、爪部を係止部に係止させることができる。そのため、使用者は、いっそう容易に、電動工具に集塵アタッチメントを装着することができる。
(14)上記形態において、前記電動工具は、前記ハウジングの前記前端部に収容され、前記スピンドルと平行に延びる出力シャフトを有するモータを備えていてもよい。
この形態によれば、ハウジングの前端部にモータが収容されるので、モータがハウジングにおける前端部とは異なる部位に収容される構成と比較して、前端部が大きく形成される。そのため、当該前端部を利用して、電動工具に集塵アタッチメントを装着しやすくすることができるとともに、ハウジングの他の部位を小さく形成することができる。
本開示の技術は、集塵アタッチメント、電動工具以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、集塵アタッチメントが取り付けられるための電動工具、電動工具に集塵アタッチメントを着脱する方法等の形態でも実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】集塵アタッチメント及び先端工具が取り付けられた振動工具を示す斜視図である。
図2】集塵アタッチメント及び先端工具が取り付けられた振動工具の概略縦断面図である。
図3】振動工具の下面図である。
図4】ハウジングの前端部における下端部を示す図である。
図5】集塵アタッチメントの斜視図である。
図6】集塵アタッチメントの別の斜視図である。
図7】集塵アタッチメントの上面図である。
図8】集塵アタッチメントの下面図である。
図9】係止片の拡大図である。
図10】集塵アタッチメントの装着方法を説明するための図である。
図11】ハウジング下端部の拡大斜視図である。
図12】振動工具に集塵アタッチメントが装着された様子を示す斜視図である。
図13】振動工具に集塵アタッチメントが装着された様子を示す別の図である。
図14】集塵アタッチメントが装着された振動工具と、集塵アタッチメントに接続されたホースとの位置関係を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
図1から図14までを参照して、一実施形態に係る振動工具(マルチツールともいう)1と振動工具1に装着可能な集塵アタッチメント70とについて説明する。振動工具1は、先端工具61を駆動して、加工材に対して加工作業を行う電動工具の一例である。図1図2及び図14に示す振動工具1には、先端工具61の一例としてのサンディングパッドが取り付けられている。サンディングパッドは、加工材の研削や研磨を行うための先端工具である。なお、図14では、サンディングパッドを簡略化し、かつ、破線で示している。
【0009】
<振動工具の構成>
まず、振動工具1の概略構成について説明する。図1図3に示すように、振動工具1は、長尺状のハウジング10を備えている。図2に示すように、ハウジング10の長軸方向における一端部には、長尺状のスピンドル5と、駆動源としてのモータ41とが収容されている。スピンドル5は、その長軸がハウジング10の長軸に交差するように配置されている。本実施形態では、スピンドル5の長軸とハウジング10の長軸とは概ね直交する。スピンドル5の長軸方向における一端部は、ハウジング10から突出し、外部へ露出している。この一端部は、先端工具61を着脱可能な工具装着部51を構成する。また、ハウジング10の長軸方向における他端部は、モータ41への給電用のバッテリパック64を着脱可能に構成されている。振動工具1は、モータ41の動力によってスピンドル5を駆動軸A1周りに所定の角度範囲内で往復回動することで、先端工具61を揺動させるように構成されている。
【0010】
なお、以下の説明では、振動工具1の方向に関し、駆動軸A1の延在方向を上下方向と定義する。上下方向において、スピンドル5の工具装着部51側を下側、反対側を上側と定義する。また、駆動軸A1に直交し、かつ、ハウジング10の長軸方向に対応する方向を前後方向と定義する。前後方向において、スピンドル5が収容されているハウジング10の一端部側を前側、バッテリパック64が装着される他端部側を後側と定義する。また、上下方向及び前後方向に直交する方向を、左右方向と定義する。左右方向は、ハウジング10の幅方向でもある。
【0011】
以下、振動工具1の詳細構成について説明する。
【0012】
ハウジング10は、いわゆる防振ハウジングとして構成されている。図2に示すように、ハウジング10は、振動工具1の外郭を形成する長尺状のアウタハウジング2と、アウタハウジング2に収容された長尺状のインナハウジング3とを含む。アウタハウジング2とインナハウジング3とは、弾性連結されている。また、ハウジング10は、前後方向に関して、前端部11と、後端部12と、前端部11と後端部12とを接続する中央部13とを含む。
【0013】
前端部11(詳細には、アウタハウジング2の前端部)は、概ね矩形箱状に形成されている。図4には、前端部11の下端部110の右側面が示されているが、下端部110は、左側面についても右側面と同じ構成を有する。前端部11の下端部110は、集塵アタッチメント70が装着される部位である。集塵アタッチメント70の装着については詳細を後述する。本実施形態では、下端部110は、下端部110よりも上の部分である上部105に比べて、左右方向及び前後方向に小さく形成されている。つまり、下端部110の前端は上部105の前端よりも後に位置しており、下端部110の左右方向の長さは、上部105の左右方向の長さよりも短く形成されている。
【0014】
図3及び図4に示すように、下端部110は、駆動軸A1を取り巻く周壁120と、周壁120に接続され前後方向及び左右方向に概ね沿った底部140とを含む。また、下端部110は、前後方向に関して、工具装着部51が設けられた前部151と、前部151よりも後側の後部152とを含む。本実施形態において、下端部110は、駆動軸A1を含み左右方向に直交する仮想的な平面P(図3参照)に対して略対称な形状を有する。
【0015】
周壁120は、前端に設けられた円弧状の前壁121と、前壁121に接続され前壁121から後方に延びる左右一対の側壁122と、側壁122に接続され前後方向に直交する後壁123とを含む。側壁122は、前部151よりも後部152において上下方向に長く形成されており、後部152は下方に突出している。
【0016】
側壁122には、溝部125が設けられている。溝部125は、集塵アタッチメント70の爪部91(詳細は後述)を所定の装着位置まで案内するための部位である。溝部125は、側壁122の後部152に対応する位置に設けられている。溝部125は、側壁122の下端から上端まで、上下方向に沿って延びて形成されている。
【0017】
溝部125の後ろには、係止部131が設けられている。係止部131は、集塵アタッチメント70の爪部91が係止するように構成された部位である。本実施形態において、係止部131は、側壁122が窪んで形成された凹部であり、前面132と下面133とで規定されている。
【0018】
本実施形態では、溝部125と係止部131との間には、更に、溝部125と係止部131とを接続する接続部126が設けられている。接続部126は、平面Pから離れる方向に傾斜する傾斜面127と、傾斜面127と係止部131(前面132)とを接続する平面128とを含む。
【0019】
前壁121と一対の側壁122との接続部位には、更に、一対の凹部135が設けられている。凹部135は、前壁121と側壁122との接続部位が窪んで形成された部位である。凹部135は、集塵アタッチメント70の凸部89(詳細は後述)が係止するように構成されている。本実施形態において、凹部135は、凸部89を前方から受け入れることが可能なように、その前端が開放されている。
【0020】
底部140は、前部151に対応する第1下面141と、後部152に対応する第2下面142と、第1下面141と第2下面142とを接続する傾斜面143とを含む。第2下面142は、第1下面141よりも下方に配置されている。傾斜面143は、前方から後方に向けて傾斜する面である。
【0021】
図2に示すように、前端部11(詳細には、インナハウジング3の前端部11)は、スピンドル5と、モータ41と、伝達機構45と、クランプ機構47とを収容する。
【0022】
スピンドル5は、駆動軸A1周りに回転可能に構成された、略円筒状の長尺部材である。スピンドル5は、前端部11における前部分の下部に収容されている。スピンドル5は、軸受によって駆動軸A1周りに回転可能に支持されている。上述したように、スピンドル5の下端部は、前端部11から下方に露出し、先端工具61を装着可能な工具装着部51として構成されている。本実施形態では、工具装着部51は、駆動軸A1に対して径方向外側に突出するフランジ状に形成されている。
【0023】
モータ41は、ステータとロータと出力シャフト411とを備える。モータ41は、スピンドル5の後ろに収容されている。本実施形態において、出力シャフト411の回転軸A2は、スピンドル5の駆動軸A1の真後ろに位置し、かつ、駆動軸A1と平行に延びるように配置されている。
【0024】
伝達機構45は、出力シャフト411の回転運動をスピンドル5に伝達し、スピンドル5を駆動軸A1周りの所定の角度範囲内で往復同させるように構成された公知の機構である。
【0025】
クランプ機構47は、クランプシャフト471によって先端工具61を工具装着部51に固定し、先端工具61をスピンドル5と一体的に回転可能にするように構成された機構である。前端部11の上部105には、駆動軸A1周りに回動可能なレバー62が設けられている。使用者は、レバー62を操作することで、クランプ機構47を動作させて先端工具61を工具装着部51に対して固定したり、固定を解除したりすることができる。
【0026】
後端部12(詳細には、アウタハウジング2の後端部)は、後方へ向けて断面積が大きくなる筒状の部位である。後端部12の後部分には、バッテリ装着部63が設けられている。バッテリ装着部63は、バッテリパック64(図1参照)をスライドさせて係合し、かつ、バッテリパック64と電気的に接続可能に構成されている。
【0027】
中央部13(詳細には、アウタハウジング2の中央部)は、概ね均一径の筒状の部位であり、前後方向に延びて形成されている。中央部13は、使用者による把持が可能な把持部を構成する。中央部13は、前端部11及び後端部12よりも細く形成されている。
【0028】
<集塵アタッチメントの構成>
次に、集塵アタッチメント70について説明する。集塵アタッチメント70は、振動工具1による加工作業で生じた粉塵を収集するように構成された部材である。集塵アタッチメント70は、振動工具1のハウジング10に着脱可能である。本実施形態では、集塵アタッチメント70は、ハウジング10の前端部11における下端部110に着脱される。
【0029】
図5図8に示すように、集塵アタッチメント70は、吸引孔81を有するカバー部80と、カバー部80内から粉塵を排出するための排出部75と、集塵アタッチメント70をハウジング10に係止するための爪部91を備える係止片90とを含む。本実施形態において、カバー部80と、排出部75と、係止片90とは、単一部材で形成されている。集塵アタッチメント70は、例えば、合成樹脂や金属で形成することができる。
【0030】
以下の説明では、集塵アタッチメント70が振動工具1に装着されたとき(装着状態)の向きを基準として、集塵アタッチメント70の方向を規定する。集塵アタッチメント70は、吸引孔81内を駆動軸A1が通るように、ハウジング10に装着される。装着状態において、カバー部80は前後方向における前側に位置し、係止片90はカバー部80の後側に位置する。
【0031】
以下、集塵アタッチメント70の各部の詳細構成について説明する。
【0032】
カバー部80は、工具装着部51の周囲の少なくとも一部を覆うように形成された部位である。本実施形態では、図2に示すように、カバー部80は、工具装着部51の周囲全体を覆う。カバー部80は、吸引孔81が設けられた底部82と、底部82に接続され上下方向に延びる周壁84とを含む。底部82は前後方向及び左右方向に概ね沿って形成されている。吸引孔81は略円形の孔である。吸引孔81の径は、工具装着部51の外径よりも大きい。吸引孔81は、装着状態において駆動軸A1が吸引孔81内を通るように、底部82に配置されている。本実施形態では、装着状態において、駆動軸A1は吸引孔81の略中心を通る。つまり、集塵アタッチメント70は、吸引孔81の中心軸A3と駆動軸A1とが略一致するように、振動工具1に装着される(図14参照)。
【0033】
周壁84は、前方に設けられた前壁85と、前壁85に接続され前壁85から後方に延びる左右一対の側壁86とを含む。前壁85は、吸引孔81に沿った円弧状の部位である。前壁85の上下方向に直交する断面視形状は、略円弧状である。そのため、周壁84は、全体として、上下方向に直交する断面視形状が、略U字状に形成されている。
【0034】
本実施形態では、カバー部80は、更に、リブ87を備える。リブ87は、吸引孔81を挟んで前壁85と対向する位置に設けられ、吸引孔81に沿った壁部である。リブ87の左右方向の端部は、左右一対の側壁86の夫々に接続されている。リブ87の上下方向の長さは、前壁85よりも短い。リブ87は、装着状態において、リブ87の上端が、ハウジング10の第1下面141に概ね当接するように形成されている。
【0035】
排出部75は、カバー部80内から粉塵を排出するための筒状部材である。排出部75は、カバー部80に接続された第1端部76と、第1端部76とは逆の端部である第2端部77とを備える。本実施形態では、第1端部76は、左右一対の側壁86のうち、右の側壁86に接続されている。第1端部76は、側壁86に設けられた開口を介してカバー部80の内側(内部空間)と排出部75の内側(内部空間)とを連通する。第2端部77は、例えば、ホースなどの管状部材と接続可能である。排出部75は、当該管状部材を介してクリーナーなどの吸引機器と接続される。
【0036】
本実施形態において、排出部75は、全体として、第1端部76の内径よりも第2端部77の内径が大きくなる略円錐筒状に形成されている。また、排出部75は、右の側壁86から、右後方であって、かつ、上方に向けて延びるように形成されている。
【0037】
係止片90は、カバー部80に接続された、弾性変形可能な(可撓性を有する)部位である。本実施形態では、係止片90は、長尺の帯状(薄板状)に形成されている。係止片90は、左右一対の側壁86の夫々に接続されている。つまり、集塵アタッチメント70は、2つの係止片90を備えている。係止片90は、側壁86の後端から後に延びて形成されている。また、一対の係止片90は、吸引孔81の中心軸A3(駆動軸A1)を含み、左右方向に直交する仮想的な平面Pを挟んで対向している。2つの係止片90の間の左右方向の距離は、振動工具1の前端部11の下端部110の幅と概ね等しいか、この幅よりも僅かに大きい。2つの係止片90は、互いに対向する方向(左右方向)に弾性変形する(撓む)ことが可能である。なお、本実施形態において、係止片90及びカバー部80は、装着状態において、ハウジング10の前端部11における上部105よりも、前後方向及び左右方向に突出しない厚みに形成されている。
【0038】
係止片90には、爪部91と、ツマミ部92とが設けられている。爪部91は、集塵アタッチメント70をハウジング10に係止するための凸部である。本実施形態において、爪部91は、係止片90における後部に設けられている。また、本実施形態において、一対の係止片90のうち、右の係止片90に設けられた爪部91は左に突出し、左の係止片90に設けられた爪部91は右に突出している。つまり、一対の爪部91は、装着状態においてハウジング10の周壁120に向けて突出している。更に、一対の爪部91は、平面Pを挟んで対向している。
【0039】
ツマミ部92は、爪部91の突出する方向と異なる方向に延びた部位である。ツマミ部92は、使用者が摘まむに適した形状を有する。本実施形態において、ツマミ部92は、係止片90の後端に設けられている。ツマミ部92は、装着状態において、ツマミ部92の後端が後壁123よりも後に位置するように、爪部91よりも後へ延びている。一対のツマミ部92は、平面Pを挟んで対向している。
【0040】
本実施形態の集塵アタッチメント70は、更に、一対の凸部89を備える。凸部89は、爪部91がハウジング10に係止した場合に、爪部91が係止する箇所とは他の箇所においてハウジング10に係止するように、構成されている。本実施形態では、一対の凸部89は、カバー部80の前壁85と左右一対の側壁86との接続部位に設けられている。凸部89は、当該接続部位が、カバー部80の内側に向けて突出した部位である。一対の凸部89は、平面Pを挟んで対向している。凸部89は、爪部91が係止部131に係止した場合に、凹部135に係止するように構成されている。
【0041】
<集塵アタッチメントの着脱方法>
図10図14を用いて、集塵アタッチメント70を振動工具1のハウジング10に装着する方法と、集塵アタッチメント70を振動工具1から取り外す方法とについて説明する。
【0042】
集塵アタッチメント70を振動工具1に装着する際には、まず、使用者は、集塵アタッチメント70を、ハウジング10の下端部110の下方に配置する。使用者は、一対の爪部91を、図10に破線矢印Ar1で示すように、溝部125に沿って下から上へ移動させ、続いて、傾斜面127に沿って後方へ移動させる。係止片90は、傾斜面127に沿って後方へ移動する際、平面Pから離れる方向に弾性変形する。そして、爪部91は、平面128を乗り越えて、係止部131に係止する。本実施形態では、爪部91の前方への移動は、係止部131を規定する前面132によって規制される。また、爪部91の下方への移動は、係止部131を規定する下面133によって規制される。
【0043】
爪部91が溝部125に沿って移動して、ハウジング10の係止部131に係止すると、カバー部80の凸部89は、ハウジング10の凹部135に係止する。具体的には、凸部89は、爪部91が溝部125に沿って下から上へ移動すると、図10の破線矢印Ar2で示すように、下から上へ移動して凹部135の前方に位置する。続いて、爪部91が傾斜面127に沿って後方へ移動すると、凸部89は、前壁121と側壁122との接続部位付近に設けられた凹部135まで移動する。そして、爪部91が平面128を乗り越えて係止部131に係止すると、凸部89は凹部135に係止する。
【0044】
このとき、カバー部80の前壁85は、ハウジング10の下端部110の前壁121に当接する。また、カバー部80の左右一対の側壁86は、下端部110の左右一対の側壁122に当接する(図14参照)。更に、カバー部80のリブ87は、工具装着部51の後の位置で、下端部110の第1下面141に当接する。このように、爪部91が係止部131に係止すると、工具装着部51の周囲は、カバー部80によって覆われる。
【0045】
使用者は、集塵アタッチメント70をハウジング10に装着した後、先端工具61を工具装着部51に装着し、第2端部77に例えばホース200を装着することができる(図14参照)。上述したように、排出部75は、右の側壁86から、右後方であって、かつ、上方に向けて延びるように形成されている。そのため、排出部75に接続されたホース200は、中央部13から離れる方向へ延びる。ホース200に接続された吸引機器を動作させると、振動工具1の加工作業で発生した粉塵は、吸引孔81からカバー部80内に吸引され、排出部75を介して外部へと吸引(排出)される。
【0046】
集塵アタッチメント70をハウジング10から取り外す際には、使用者は、先端工具61を工具装着部51から取り外した後、係止片90の後端部を、左右方向においてハウジング10から離れる側へ引っ張る。こうすることで、係止片90を弾性変形させて、爪部91を係止部131から外すことができる。本実施形態では、使用者は、ツマミ部92を摘まんで左右方向においてハウジング10から離れる側へ引っ張ることで、爪部91を係止部131から外すことができる。その後、溝部125に沿って爪部91を移動させることで、集塵アタッチメント70をハウジング10から取り外すことができる。
【0047】
<効果>
以上で説明した本実施形態の集塵アタッチメント70及び振動工具1によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
(A1)本実施形態の集塵アタッチメント70は、吸引孔81を有するカバー部80と、カバー部80に接続された係止片90とを備える。係止片90は、弾性変形可能に構成されている。また、係止片90は、ハウジング10の所定位置でハウジング10に係止するように構成された爪部91を有する。そのため、使用者は、係止片90を弾性変形させ、爪部91によって、集塵アタッチメント70をハウジング10の所定位置に係止することができる。したがって、本実施形態によれば、振動工具1に容易に装着可能な、新規な集塵アタッチメント70を提供することができる。
【0049】
(A2)係止片90は、装着状態において、スピンドル5の駆動軸A1に交差する方向に延びるように形成されている。そのため、使用者は、駆動軸A1に交差する方向におけるハウジング10の所定位置で、振動工具1に集塵アタッチメント70を係止することができる。
【0050】
(A3)係止片90は、装着状態において、ハウジング10の延びる方向(前後方向)に延びるように形成されている。そのため、使用者は、係止片90をハウジング10に沿わせつつ、前後方向におけるハウジング10の所定位置で、振動工具1に集塵アタッチメント70を係止することができる。
【0051】
(A4)係止片90の前端はカバー部80に接続されており、装着状態において、爪部91は、係止片90の後部152に設けられている。そのため、使用者は、ハウジング10の前端部11における後部において、振動工具1に集塵アタッチメント70を係止することができる。
【0052】
(A5)集塵アタッチメント70は一対の係止片90を備えており、一対の係止片90は、装着状態において平面Pを挟んで配置される。そのため、平面Pを挟んだ位置において、振動工具1に集塵アタッチメント70を係止することができるので、振動工具1に対する集塵アタッチメント70の装着状態を安定させることができる。
【0053】
(A6)排出部75は、ハウジング10の延びる方向である前後方向とは交差する方向に延びて形成されているので、排出部75及び排出部75の第2端部77に接続されるホースや吸引機器が、振動工具1の使用の妨げになることを抑制することができる。
【0054】
(A7)集塵アタッチメント70は、単一部材で形成されている。そのため、爪部91を係止部131に係止すれば、振動工具1に対する集塵アタッチメント70の装着が完了する。したがって、集塵アタッチメント70が複数部材を備える構成と比較して、使用者は、より容易に、振動工具1に集塵アタッチメント70を装着することができる。
【0055】
(A8)係止片90は、爪部91の突出する方向と異なる方向に延びるツマミ部92を備えている。そのため、使用者は、ツマミ部92を摘まんで爪部91をハウジング10から外すことができる。したがって、使用者は、容易に、振動工具1から集塵アタッチメント70を取り外すことができる。
【0056】
(A9)ツマミ部92は、爪部91の後に設けられ、後方へ突出するように形成されている。また、ツマミ部92は、装着状態において、ツマミ部92の後端がハウジング10の後壁123よりも後に位置するように形成されている。そのため、使用者は、容易にツマミ部92を摘まむことができる。また、ツマミ部92は、装着状態において後方に突出するので、ツマミ部92が振動工具1の使用の妨げになることを抑制することができる。
【0057】
(A10)カバー部80は、更に、平面Pに向けて突出する凸部89を備えている。凸部89は、爪部91がハウジング10に係止した場合に、爪部91が係止する箇所とは他の箇所において、ハウジング10に係止するように構成されている。そのため、凸部89を備えない構成と比較して、振動工具1に対する集塵アタッチメント70の装着状態を、より安定させることができる。
【0058】
(A11)本実施形態において、係止片90の前端はカバー部80に接続されており、爪部91は係止片90の後部に設けられている。更に、凸部89は、カバー部80の前部において、平面Pに突出するように設けられている。そのため、集塵アタッチメント70の前部と後部とが、それぞれ、凸部89と爪部91とによって、ハウジング10に係止される。したがって、振動工具1に対する集塵アタッチメント70の装着状態を、よりいっそう安定させることができる。
【0059】
(A12)本実施形態において、振動工具1のハウジング10は、爪部91が係止するための係止部131と、爪部91を係止部131に案内するための溝部125とを備えている。そのため、使用者は、溝部125に沿って爪部91を移動させて、爪部91をハウジング10の係止部131に係止することができる。したがって、溝部125を備えていない構成と比較して、より容易に、振動工具1に集塵アタッチメント70を装着することができる。
【0060】
(A13)本実施形態において、係止部131は、溝部125の後に設けられ、ハウジング10の側壁122が窪んで形成された凹部として構成されている。また、溝部125は、ハウジング10の側壁122に設けられ上下方向に沿って延びるように形成されていている。更に、ハウジング10には、溝部125から係止部131に向けて平面Pから離れる方向に傾斜する、傾斜面127が設けられている。そのため、使用者は、爪部91を溝部125に沿わせて下から上に移動させた後に傾斜面127に沿って移動させることで、係止片90を弾性変形させ、爪部91を傾斜面127の後に設けられた凹部(係止部131)に係止させることができる。そのため、使用者は、いっそう容易に、振動工具1に集塵アタッチメント70を装着することができる。
【0061】
(A14)ハウジング10は、係止部131とは他の箇所に設けられた凹部135を備えている。凹部135は、爪部91が係止部131に係止すると、カバー部80に設けられた凸部89が係止するように構成されている。そのため、ハウジング10が凹部135を備えていない構成と比較して、振動工具1に対する集塵アタッチメント70の装着状態を、よりいっそう安定させることができる。
【0062】
(A15)振動工具1では、ハウジング10の前端部11に、モータ41とスピンドル5とが収容される。そのため、モータ41がハウジング10における前端部11とは異なる部位に収容される構成と比較して、前端部11が大きく形成される。そのため、当該前端部11を利用して、振動工具1に集塵アタッチメント70を装着しやすくすることができるとともに、ハウジング10の他の部位を小さく形成することができる。したがって、例えば、中央部13を細く形成することができるので、使用者に把持しやすい振動工具1を提供することができる。更に、モータ41の出力シャフト411は、スピンドル5の駆動軸A1の後に配置され、かつ、駆動軸A1と平行に延びるので、例えば出力シャフト411が駆動軸A1と交差する構成と比較して、前端部11は大きく形成されすぎない。そのため、集塵アタッチメント70が装着しやすく、かつ、操作性の良い振動工具1を提供することができる。
【0063】
(A16)ハウジング10の前端部11における下端部110は、上部105に比べて、左右方向及び前後方向に小さく形成されている。また、カバー部80及び係止片90は、装着状態において、上部105よりも前後方向及び左右方向に突出しない厚みに形成されている。そのため、集塵アタッチメント70が振動工具1の使用の妨げになることを抑制することができる。また、集塵アタッチメント70が装着された振動工具1の意匠性を向上させることができる。
【0064】
<対応関係>
上記実施形態の各構成要素と本開示の技術の各構成要素の対応関係を以下に示す。
振動工具1は、「電動工具」の一例である。先端工具61は、「先端工具」の一例である。ハウジング10(アウタハウジング2)及び前端部11は、「ハウジング」及び「前端部」の一例である。工具装着部51及びスピンドル5は、「工具装着部」及び「スピンドル」の一例である。駆動軸A1は、「駆動軸」の一例である。モータ41、出力シャフト411は、「モータ」、「出力シャフト」の一例である。溝部125、接続部126、傾斜面127、平面128は、それぞれ「ガイド部」の一例である。係止部131は、「係止部」の一例である。凹部135は、「ハウジングの凹部又は凸部」の一例である。平面Pは、「駆動軸を含む面」の一例である。側壁122は、「ハウジングの側壁」の一例である。
集塵アタッチメント70は、「集塵アタッチメント」の一例である。カバー部80は、「カバー部」の一例である。吸引孔81は、「吸引孔」の一例である。排出部75は、「排出部」の一例である。第1端部76及び第2端部77は、「第1端部」及び「第2端部」の一例である。係止片90は、「少なくとも1つの係止片」の一例である。爪部91、ツマミ部92は、「爪部」、「ツマミ部」の一例である。凸部89は、「集塵アタッチメントの凸部又は凹部」の一例である。底部82は、「底部」の一例である。周壁84は、「周壁」の一例である。前壁85は、「第1壁」の一例であり、側壁86は、「第2壁」の一例である。
【0065】
<他の実施形態>
上記実施形態において、集塵アタッチメント70の備える係止片90の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0066】
集塵アタッチメント70において、係止片90の延びる方向は、他の方向であってもよい。例えば、係止片90は、カバー部80の側壁86における前端に接続され、前方に延びて形成されていてもよい。この場合には、爪部91はハウジング10の下端部110の前端付近に係止するように構成されていてもよい。また、例えば、係止片90は、上下方向に延びて形成されていてもよい。この場合には、ハウジング10の上部105に、爪部91を係止するための係止部が設けられていてもよい。あるいは、係止片90は、左右方向に延びて形成されていてもよい。この場合には、ハウジング10の側壁122に、爪部91を係止するための係止部が設けられていてもよい。集塵アタッチメント70は、上記実施形態で示した装着の方向に限らず、集塵アタッチメントの各部位の構成によって、上から下、左から右、右から左、後から前等にハウジング10に沿って移動されることで、ハウジング10に装着されてもよい。
【0067】
爪部91は、係止部131に限らず、ハウジング10の他の部位に係止するように構成されていてもよい。例えば、爪部91は、装着状態において、矩形状のハウジング10の角部に向けて突出するように構成されており、当該角部に係止されてもよい。
【0068】
係止部131は、爪部91を係止するように構成されていればよく、凹部として構成されていなくともよい。例えば、係止部131は、爪部91の移動を規制する前面と、上下方向の移動を規制する下面とを備え、側壁86から突出する凸部として構成されていてもよい。
【0069】
上記実施形態において、ハウジング10は、溝部125、接続部126(傾斜面127、平面128)を備えていなくともよい。また、ハウジング10が溝部125を備える場合には、溝部125は、上下方向に限らず、前後方向等、他の方向に延びて形成されていてもよい。
【0070】
ハウジング10は、溝部125と係止部131との間に平面128を備えていなくともよい。また、溝部125と係止部131の間の傾斜面127は、平面状に限らず、溝部125から係止部131に向けて平面Pから漸次離れるように構成された他の形状であってもよい。
【0071】
集塵アタッチメント70は、凸部89に代えて、凹部を備えていてもよい。この場合には、ハウジング10は、凹部135に代えて凸部を備えていてもよい。また、当該凸部89及び凹部の位置は、上記実施形態の位置に限らず他の位置であってもよい。
【0072】
係止片90は、ツマミ部92を備えていなくともよい。係止片90は弾性変形するので、この構成においても、使用者は係止片90のいずれかの場所をハウジング10から離れる方向に移動させて、集塵アタッチメント70を振動工具1から取り外すことができる。また、係止片90にツマミ部92を設ける場合には、ツマミ部92は、係止片90の後端に設けられていなくともよい。例えば、ツマミ部92は、係止片90から左右方向の外側へ突出するように設けられていてもよい。
【0073】
カバー部80及び吸引孔81は、カバー部80が工具装着部51の周囲の少なくとも一部を覆うように形成されていれば、その形状は上記の実施形態に限られない。例えば、カバー部80は、吸引孔81を有する矩形状に形成されていてもよい。吸引孔81の形状は、楕円形状、矩形状等の他の形状であってもよい。
【0074】
排出部75の第1端部76は、カバー部80に接続されていればよく、例えば、左右一対の側壁86のうちの左の側壁86に接続されていてもよいし、前壁85に接続されていてもよい。
【0075】
排出部75は、上下方向に沿って延びていてもよい。例えば、排出部75は、第1端部76が側壁86に接続され、第2端部が側壁86から下方に位置するように、延びて形成されていてもよい。
【0076】
排出部75の形状は、上記実施形態の形状に限られない。例えば、排出部75は、扁平状に形成されていてもよく、第2端部77には、扁平状のパイプが接続されてもよい。
【0077】
集塵アタッチメント70は、単一部材で形成されていなくともよい。例えば、集塵アタッチメント70は、カバー部80と排出部75とを別部材として形成し、カバー部80に排出部75を接続する構成であってもよい。
【0078】
ハウジング10は、防振ハウジングとして構成されていなくともよい。また、ハウジング10の前端部11の形状、及び、下端部110の形状は、上記実施形態の形状に限らない。また、モータ41は前端部11に収容されていなくともよく、例えば中央部13に収容されていてもよい。
【0079】
集塵アタッチメント70は、振動工具1に限らず、他の電動工具に装着されてもよい。電動工具は、バッテリ又は外部の交流電源から供給される電力によって動作し、工作等に使用されるツールのうち、ハウジングの長軸とスピンドルの駆動軸とが交差する電動工具一般をいう。電動工具の他の例として、先端工具を所定の駆動軸周りに回転駆動する回転工具(例えば、グラインダ、サンダ、ポリッシャ)が挙げられる。
【0080】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1...振動工具
2...アウタハウジング
3...インナハウジング
5...スピンドル
10...ハウジング
11...前端部
12...後端部
13...中央部
41...モータ
45...伝達機構
47...クランプ機構
51...工具装着部
61...先端工具
62...レバー
63...バッテリ装着部
64...バッテリパック
70...集塵アタッチメント
75...排出部
76...第1端部
77...第2端部
80...カバー部
81...吸引孔
82...底部
84...周壁
85...前壁
86...側壁
87...リブ
89...凸部
90...係止片
91...爪部
92...ツマミ部
105...上部
110...下端部
120...周壁
121...前壁
122...側壁
123...後壁
125...溝部
126...接続部
127...傾斜面
128...平面
131...係止部
132...前面
133...下面
135...凹部
140...底部
141...第1下面
142...第2下面
143...傾斜面
151...前部
152...後部
200...ホース
411...出力シャフト
471...クランプシャフト
P...平面
A1...駆動軸
A2...回転軸
A3...中心軸
Ar1、Ar2...装着方向を示す矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14