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特許7532254頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法およびシステムならびに頭蓋容積変化を測定するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法およびシステムならびに頭蓋容積変化を測定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B5/00 101P
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020544696
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 IB2018058635
(87)【国際公開番号】W WO2019087148
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】1020170238792
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】520154106
【氏名又は名称】ブラインケア デゼンボルビメント エー イノバサウン テクノロジカ エスィ.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドラーデ、ロドリゴ デ アルブゲルゲ パチェコ
(72)【発明者】
【氏名】オリベイラ、セルジオ マスカレナス
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0085400(US,A1)
【文献】特開2011-101821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0160609(US,A1)
【文献】特開2015-016215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0028996(US,A1)
【文献】特開2009-240730(JP,A)
【文献】特表2016-519606(JP,A)
【文献】特表2017-514550(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0268096(US,A1)
【文献】特開2000-121467(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0060245(US,A1)
【文献】LSB,IT用語辞典 e-Words,2023年06月26日,<URL:https://e-words.jp/w/LSB-2.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法であって、
a.検出デバイスによってユーザからのアナログ信号を検出するステップであって、前記検出デバイスは、ユーザの頭部の周囲に配置されて頭蓋容積変化を検出し、前記検出デバイスは、変化トランスデューサを備えている、検出するステップと、
b.受信機によって、検出された前記アナログ信号を受信するステップであって、前記検出されたアナログ信号のそれぞれは、前記ユーザの頭蓋内圧に関連する、受信するステップと、
c.検出された前記アナログ信号をプロセッサによって処理して、処理済み信号を生成するステップであって、前記生成するステップは、前記プロセッサによって、前記検出されたアナログ信号を前記ユーザの頭蓋内圧に関連するデジタル信号に変換することを含み、前記アナログ信号の各測定値は、前記デジタル信号のビット列で表現され、前記プロセッサは、前記デジタル信号をフィルタリングするためのツールを備え、前記フィルタリングするためのツールは、前記デジタル信号の最下位ビット(Least Significant Bits)をフィルタリングするファームウェアであり、前記フィルタリングすることは、
イベントに基づいてソートを行うことであって、前記ファームウェアが前記デジタル信号の前記最下位ビット上のトリガイベントを識別し、前記トリガイベントは、前記デジタル信号の変化である、ソートを行うことを含む、生成するステップと、
d.送信機を通じて、前記処理済み信号を事前構成受信機に送信し、その後、前記トリガイベントの識別に応じて、前記処理済み信号の前記最下位ビットのみを前記事前構成受信機に送信するステップであって、
前記送信機と前記事前構成受信機は無線通信し、
前記最下位ビットのみを含む前記処理済み信号は、別のトリガイベントが検出されるまで送信され、前記事前構成受信機は、前記ユーザの頭蓋内圧に関連する前記デジタル信号全体を再構築することが可能であり、
前記ファームウェアが前記トリガイベントを検出した後、前記ユーザの頭蓋内圧に関連する前記デジタル信号全体が、前記送信機を介して前記事前構成受信機に送信される、送信するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記プロセッサは、
a.前記デジタル信号を前記頭蓋容積変化に関連する容積変化のデジタル信号に変換することと、
b.前記送信機による送信用にデジタル信号を変調することと、
c.前記送信機による送信用に、頭蓋容積変化のデジタル信号を変調することと、
d.前記送信機による送信用にアナログ信号を変調するツールことと、
e.前記プロセッサにより、少なくとも1つの補正センサにより提供された信号を検出し、前記信号を補償することと、
f.これらの組み合わせと、
をさらに行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ファームウェアによる前記フィルタリングが、
動的ソートを実行することであって、前記ファームウェアが、前記デジタル信号から、前記最下位ビットと、最上位ビット(Most Significant Bits)とを分類して、前記処理済み信号を送信する、動的ソートを実行すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの補正センサは、
a.少なくとも温度センサ、気圧計、または湿度計を含む環境センサと、
b.少なくともジャイロスコープ、加速度計、または磁力計を含む運動センサと、
c.ジオロケーション用の全地球測位システムと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
デジタル信号を頭蓋容積変化のデジタル信号に変換する前記ステップは、少なくとも前記頭蓋容積変化の変動を示す測定値を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記検出デバイスによって前記ユーザからのアナログ信号を検出する前記ステップは、前記頭蓋容積変化の検出を含み、前記頭蓋容積変化によりピンにたわみが加えられ、前記ピンはこのたわみを伝達して前記変化トランスデューサを変形させ、前記変化トランスデューサが前記ユーザの前記頭蓋内圧に関連した差動電圧信号を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記各ステップがリアルタイムで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のためのシステムであって、
a.頭蓋容積変化からアナログ信号を検出するためのユーザの頭部の周囲に配置される検出デバイスであって、前記検出デバイスは、変化トランスデューサを備えている、検出デバイスと、
b.前記検出デバイスと通信し、ユーザの前記頭蓋内圧に関連する検出されたアナログ信号を受信する受信機であって、前記アナログ信号は、前記変化トランスデューサによって生成される、受信機と、
c.プロセッサであって、少なくとも前記ユーザの前記頭蓋内圧に関連する前記検出されたアナログ信号を処理するためのツールを備え、前記プロセッサは、前記受信機と通信し、アナログ信号を処理するための前記ツールが、前記ユーザの頭蓋内圧に関連する検出された前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器を備え、前記アナログ信号の各測定値は、前記デジタル信号のビット列で表現され、前記プロセッサはファームウェアをさらに備え、前記ファームウェアは、前記デジタル信号の最下位ビット(Least Significant Bits)フィルタリングし、
前記ファームウェアは、イベントベースのツールプロトコルを含み、前記ファームウェアは、変化検出器を備え、前記デジタル信号の前記最下位ビットに基づいてトリガイベントを識別し、前記トリガイベントは、前記デジタル信号の変化である、プロセッサと、
d.前記プロセッサと通信し、処理済み信号を事前構成受信機に無線送信するためのモジュールを含む送信機であって、前記処理済みの信号は、前記最下位ビットを含み、前記最下位ビットのみを含む前記処理済みの信号は、別のトリガイベントが検出されるまで送信され、前記別のトリガイベントの検出は、イベントに基づいて前記ツールプロトコルによって実行され、
前記ファームウェアが前記トリガイベントを検出した後、前記デジタル信号全体が、前記送信機を介して前記事前構成受信機に送信される、送信機と、
を備えるシステム。
【請求項9】
前記ユーザの前記頭蓋内圧に関連する信号を処理するための前記ツールが、
a.前記デジタル信号を頭蓋容積変化に関連する容積変化のデジタル信号に変換する変換器と、
b.変調ユニットであって、
i.前記送信機による送信用のデジタル信号、
ii.前記送信機による送信用の頭蓋容積変化のデジタル信号、
iii.前記送信機による送信用のアナログ信号、
のうちの少なくとも1つを変調する、変調ユニットと、
c.これらの組み合わせと、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ファームウェアが、イベントベースのツールプロトコルをさらに備え、前記ファームウェアが、前記デジタル信号から前記最下位ビットと最上位ビット(Most Significant Bits)を分類する分類デバイスを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記検出デバイスは、前記ユーザの前記頭蓋内圧に関連する信号を処理するための前記ツールと通信する少なくとも1つの補正センサを含み、前記ユーザの前記頭蓋内圧に関連する信号を処理するための前記ツールは、前記少なくとも1つの補正センサと通信する補償ユニットをさらに含み、前記少なくとも1つの補正センサが、温度センサである、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの補正センサが、
a.少なくとも気圧計、または湿度計を含む環境センサと、
b.少なくともジャイロスコープ、加速度計、または磁力計を含む運動センサと、
c.ジオロケーション用の全地球測位システムと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記検出デバイスは、
a.頭蓋容積変化に関連するたわみを受信するように構成された第1の端部が設けられた変化検出器を含み、検出された変化を電気信号に変換する前記変化トランスデューサと、
b.前記変化トランスデューサを前記に配置する筐体と、
を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、少なくとも1つの事前構成受信機をさらに備え、前記送信機は、前記少なくとも1つの事前構成受信機と通信する、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1に記載の、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法を実行するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月6日に出願されたブラジル特許出願第1020170238792号の利益と優先権を主張する。上記の出願の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明では、頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のための方法およびシステム、ならびに頭蓋容積変化を測定するためのデバイスについて説明する。具体的には、アナログ信号により頭蓋容積変化を検出することと、この信号を処理して、別の電子デバイスまたはクラウドサーバに送信することとを含む。本発明は、医学、生物医学、神経科学、物理量測定および電気工学の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
人間の臓器の大部分において、血液灌流に対する周囲圧力は、大気圧以下となる。しかし、大脳や脊髄を含む中枢神経系では、頭蓋腔と脊柱管による保護が作用するため、周囲圧力が異なる。この圧力を頭蓋内圧と称する。
【0004】
頭蓋内圧(ICP)は、動物、人間の主要な生理学的パラメータの1つであり、それについての形態学は極めて重要である。しかし、ユーザの頭蓋内圧を検出、監視、管理する従来の手法は、ほぼ侵襲的なものである。それに対して先端技術としては非侵襲的が求められる。したがって、頭蓋内圧に対しては侵襲的方法が採られているため進められてこなかった、この重要な神経学的パラメータに関する研究分野の範囲が拡大される。
【0005】
例えば、心臓の変化やその他複雑なパラメータにより、患者の臨床状態および致命的な状態発生を予測できることがよく知られている。神経的リスクのある患者について、頭蓋内圧と動脈圧の相関関係の分析により、脳の自己調節機能に関する情報が得られる。この情報は、適用する最良治療法の選択に関する意思決定プロセスに関して重要な事実である。しかし、実際には、病院スタッフに関連性のある情報を生成するのに、この分析が行われることはまれである。
【0006】
現在、集中治療施設にいる患者の生理学的パラメータの監視により、意思決定プロセス用に膨大な量のデータが生成される。しかし、それは病院スタッフに有効使用されないのが一般的である。マルチパラメータモニタのアラームプロトコルなど、生理学的パラメータの標準パターンに対する逸脱に応じてトリガ―される現行のツールは、間違いなく不便さが有益さを上回る。ICUで発せられるアラームの内、臨床的関連性が認められるのは10%に満たないのである。米国ではICUにおける診断の28%は誤りであると推定され、その内8%は致命的である。小児ICUでは、診断の19.6%に誤りがあり、その4.5%が致命的なものとなっている。その結果、米国のICUでは、毎年誤診により4万人を超える人々が命を落としている。
【0007】
治療プロトコルを最適化し、患者のQOLを向上し、誤診および病院コストを減らすことを目的として、患者の臨床状態に関連性のある情報を提供し、意思決定プロセスに寄与するために医療専門家に対して、より良い診断ツールを提供する必要がある。従来の頭蓋内圧監視方法は、頭蓋骨の穿孔と、ICPを測定するためのカテーテル挿入とを含む。この手順は侵襲的であり、脳浮腫悪化、実質損傷、脳内出血と頭蓋内感染のリスクを伴う。特に最後に挙げたものが最も生じやすい。前述の欠点をすべて考慮すると、頭蓋骨穿孔の場合に生じる合併症を伴わない、非侵襲的な方法で頭蓋内圧を監視する必要性は重要なものの1つである。これは侵襲的監視方法が採られてきたことで研究が進んでいなかったような、この重要な生理学的パラメータに関する新たな研究分野を切り拓くものである。さらに、非侵襲的監視方法の発展は、絶対頭蓋内圧の監視に確認が求められるという点で、侵襲的な方法の有用性も同時に高めるものである。
【0008】
先端技術としてはさらに、無線で頭蓋内圧を監視するシステムが求められる。これは、様々な異なる状況で利便性が高いシステムとなる。
【0009】
技術文献および特許文献調査により、本発明の関連文献として、以下が確認された。
【0010】
文献国際公開第2013041973A2号パンフレットは、非侵襲的に頭蓋内圧を測定および監視するためのシステムを開示する。システムは有線接続で頭蓋内圧を監視する。したがって、このシステムを様々な状況に適用することは困難である。しかも、機器輸送により、システムは損傷しかねない。
【0011】
文献中国公開特許106618490A号明細書は、異なる処理方法により、患者の体温と頭蓋内圧を検出する、低侵襲システムを開示する。同システムにおいて信号は無線送信される。しかし低侵襲システムとはいえ、患者の生体内への挿入の必要はあるため、状況によっては、あるいは患者が必要なときに随時使用するものとしては、リスクが高すぎる。さらに、中国公開特許106618490A号明細書では、不要なデータが受信機に大量に送信される。したがって、この低侵襲システムは、高トラフィックな情報の流れに対応可能な適切な手段が求められる。したがって、システムおよび処理は、ユーザにとって現実的に扱えないものとなってしまう。
【0012】
文献中国実用新案出願202458347U号明細書は、頭蓋内圧を間接的に監視するためのシステムを示す。また文献は複数の生理学的パラメータを検出する方法を示す。それらの複数のパラメータの処理により、患者の頭蓋内圧が示される。このシステムは複数のパラメータの検出を必要とし、頭蓋内圧を直接は検出しない。その理由は出願人が、システムが患者の血圧、心電図、脳波図、生体インピーダンスおよび酸素を検出し、そこから患者の頭蓋内圧についての結論を導き出すと強調しているからである。
【0013】
文献中国公開特許106361320A号明細書は、頭蓋内圧を監視するための低侵襲システムを示す。センサが患者の頭蓋骨に直接配置されるため、患者の頭部切開が必要となる。したがって、頭蓋内圧監視を患者の必要に応じて随時実行するようには本明細書を利用できない。この手法は、患者の健康に関する情報を収集するための侵襲的な手順を提供する。
【0014】
文献から推測できるように、本発明の教示を示唆または想定するものはない。したがって、本明細書で提案される手法は、先端技術になかった新規性と進歩性を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際公開第2013041973A2号パンフレット
【文献】中国公開特許106618490A号明細書
【文献】中国実用新案出願202458347U号明細書
【文献】中国公開特許106361320A号明細書
【発明の概要】
【0016】
本発明は、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のためのシステムおよび方法、ならびに頭蓋容積変化を測定するためのデバイスを提供することによって、先端技術の技術的問題を解決する。具体的には、本発明は、ユーザの頭蓋容積変化のアナログ信号を検出および受信し、その信号を処理し、処理済み信号を無線手段によって事前構成受信機に送信することを含む。提案された手法は、ユーザの頭蓋骨変形の非侵襲的な検出と頭蓋内圧の正確な監視を可能にする。
【0017】
したがって、一態様では、本発明は、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法を提供する。この方法は、
a.検出デバイスによってユーザからのアナログ信号を検出するステップ、
b.受信機により、検出されたそれぞれユーザの頭蓋内圧に関連するアナログ信号を受信するステップと、
c.検出されたアナログ信号をプロセッサで処理して、処理済み信号を生成するステップと、
d.送信機を通じて、処理済み信号を事前構成受信機に送信するステップと、
を含み、送信機と事前構成受信機は無線通信する。
【0018】
第2の態様では、本発明は、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のためのシステムを提供する。このシステムは、
a.頭蓋容積変化からアナログ信号を検出するための検出デバイスと、
b.検出デバイスと通信し、ユーザの頭蓋内圧に関連するアナログ信号を受信する受信機と、
c.少なくともユーザの頭蓋内圧に関連する信号を処理するためのツールを備える、受信機と通信するプロセッサと、
d.プロセッサと通信し、処理済み信号を無線送信するためのモジュールを含む送信機と、
を備える。
【0019】
第3の態様では、本発明は、頭蓋容積変化を測定するためのデバイスを提供する。デバイスは、
a.頭蓋容積変化に関連するたわみを受信するように構成された第1の端部が設けられた変化検出器を含み、検出された変化を電気信号に変換する変化トランスデューサ(8)と、
b.変化トランスデューサ(8)を内部に収容する筐体と、
を備える。
【0020】
本発明の上記および他の態様は、当業者、および製品状態として関心のある企業によって直ちに理解され、以下の説明おいて、再現可能となるように十分に詳細に説明される。
【0021】
本明細書に示す例は、本発明を実施するいくつかの方法の一部のみを例示することのみを意図しており、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のための本発明の実施形態のフローチャートを示す。ボルトを測定単位として、頭蓋容積変化の信号を示すために検出されたアナログ信号が処理される。
図2】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のための本発明の別の実施形態のフローチャートを示す。マイクロメートルを測定単位として頭蓋容積変化の信号を示すために、検出されたアナログ信号がさらに処理される。
図3】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のための本発明の別の実施形態のフローチャートを示す。マイクロメートルを測定単位として頭蓋容積変化の信号を示すために、そしてユーザのICPに関連したアナログ信号における環境ノイズを除去するため、複数の検出アナログ信号が処理される。
図4】システムの性能を示す、システムの実施形態のうちの1つの概略図を示す。
図5】頭蓋容積変化の非侵襲的検出および監視のための本発明の実施形態の分解図を示す。
図6】頭蓋容積変化の非侵襲的検出および監視のための本発明の実施形態の分解図を示す。
図7】頭蓋容積変化の非侵襲的検出および監視のための本発明の実施形態の分解図を示し、実施形態をより明確にするために図5の拡大図を示す。
図8】頭蓋容積変化を測定するためのデバイスの実施形態を示す。
図9】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図10】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図11】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図12】頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図13】ユーザの頭部の周囲に配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図14】ユーザの頭部の周囲に配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図15】ユーザの頭部の周囲に配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図16】ユーザの頭部の周囲に配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図17】ユーザの頭部の周囲に配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの実施形態の図を示す。
図18】ユーザの頭部の周りに配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの別の実施形態の図を示す。
図19】ユーザの頭部の周りに配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの別の実施形態の図を示す。
図20】ユーザの頭部の周りに配置された頭蓋容積変化の非侵襲的管理および監視のためのシステムの別の実施形態の図を示す。
図21】中枢神経系における脳脊髄液循環を示す。
図22】Langfitt曲線のグラフを示す。y軸は頭蓋内圧を示し、x軸は頭蓋内容積を示す。
図23】頭蓋内圧を経時的に示すグラフである。上側の曲線は自己調節機能が良好な状態を示し、下部の曲線は自己調節機能が問題のある状態を示す。
図24】時間の経過に伴う頭蓋内圧を示す、Lundberg曲線A(プラトー)のグラフを示す。
図25】頭蓋内圧が経時的に示す、Lundberg曲線B(脈波)のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
頭蓋内圧は通常、成人では10から15mmHg未満で、頭蓋内容物が1400から1700mlの内部容積を有する剛性構造である頭蓋骨で保護される。通常の状態では、頭蓋内容物は、脳実質(80から85容積パーセント)、脳脊髄液(5から10容積パーセント)、血液(8から12容積パーセント)を含む。
【0024】
脳脊髄液は無色の水性流体であり、クモ膜下腔と心室腔を占める少量のタンパク質、カリウム、グルコース、塩化ナトリウムを含む。脳脊髄液の主な機能は、中枢神経系の保護であって、図21に示すようにパスカルの原理により圧力を分散する。圧力は頭蓋骨の全方向に分散する。同図において、矢印は、液体流方向を示す。したがって、中枢神経系がこの液体に浸かることで、脳脊髄液が中枢神経系の緩衝システムとして作用し、頭蓋骨との直接接触による大脳外傷のリスクを低減する。脳実質または血管の容積の増加に合わせて、この液体が排出され、頭蓋内圧が一定の下限まで低下する。このようにして、頭蓋骨内の容積が調整される。
【0025】
神経学的な観点から、頭蓋腔の最も重要な特徴の1つとして、完全に閉じた腔であることが挙げられる。これにより、容積変化は大きくなることはなく、本発明が提案する方法、システム、およびデバイスで検出できる程度に生じる。ある構成要素の容積増加は、別の構成要素に伝播し、頭蓋内圧上昇が生じる。これを図22に示す。同図においてX軸は容積を示し、Y軸はICPを示す。腫瘍、あざ、その他の頭蓋内膨張現象は、患部だけでなく、頭蓋腔内のすべての構造も圧迫する。
【0026】
一般的なICP曲線を図23に示す。これは動脈脈波を変換したもので、3つの明確なピークから成る。P1はPercussion waveと呼ばれ、脈絡叢から伝わる動脈圧によるものである。P2はTidal waveと呼ばれ、脳の自己調節機能に応じて変化する、P1の残響である。P3はDicrotic waveと呼ばれ、大動脈弁の閉鎖に先立って生じる。
【0027】
頭蓋内圧の監視が長期にわたって記録されている場合、いくつかの波の曲線にはっきりとした特徴がみられ得る。Lundberg波は3つの種類に分けられ得る。図24に示すように、曲線A(プラトー)は常に病的状態を示す。即ち、頭蓋内圧上昇が、2から20分間で100mmHgの範囲で生じており、突如基礎値にまで落ちる。これは脳血管拡張を示すと推測され、頭蓋内圧の代償不全を示す重大な信号として解される。図25に示す、曲線B(パルス)は最大で50mmHgの振幅をもつ脈波が、毎分0.5から2回生じ、呼吸周期の頭蓋内圧に対する影響を反映する。これらの信号は正常な人に見られるものであるが、10mmHgを超える振幅は頭蓋内病変を示す。曲線AとBは、自己調節機能に損傷がある可能性を示す警告信号を示す。曲線Cは、1分あたり4から8回発生し、Traube-Henring-Meierの動脈曲線に関連している。
【0028】
頭蓋内圧の監視により、圧力を測定し、その波形の分析を通じて頭蓋内動態と脳の自己調節機能に関する重要な情報を提供することができる。頭蓋内圧の分析は、頭蓋内圧の上昇および脳灌流圧の低下の影響を受けやすい、適応能力が低い(自己調節機能が弱い)ユーザを特定する情報を提供する。
【0029】
したがって、一態様では、本発明は、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のための方法を提供する。この方法は、
a.検出デバイスによってユーザからのアナログ信号を検出するステップと、
b.受信機によって、検出されたそれぞれユーザの頭蓋内圧に関連するアナログ信号を受信するステップと、
c.検出されたアナログ信号をプロセッサによって処理して、処理済み信号を生成するステップと、
d.送信機を通じて、処理済み信号を事前構成受信機に送信するステップと、を含み、送信機と事前構成受信機は無線通信する。
【0030】
本発明におけるユーザという用語は、システムによる頭蓋容積変化検出が可能な人間または動物を指す。
【0031】
ユーザからのアナログ信号を検出するステップは、頭蓋容積変化および/または頭蓋骨変形検出するステップを含み、この変化は正または負のたわみをピンに与える。一方でピンに変化トランスデューサ(8)が接続されていれば、たわみは変化トランスデューサ(8)を変形させ、それにより、変化トランスデューサ(8)はユーザの頭蓋内圧に関連した差動電圧信号を生成する。この差動電圧信号が受信機によって受信され、信号の処理が開始する。
【0032】
一実施形態では、変化トランスデューサ(8)から検出された信号は、プロセッサと通信する受信機に送信される。
【0033】
受信機により、検出されたアナログ信号を受信するステップは、検出デバイスにより実行される任意の方法に縛られることなく、検出デバイスにより送信される任意のアナログ信号を受信可能とする機能を含む。このステップでは、検出されたアナログ信号は、プロセッサ可読電子情報を生成可能な電子回路を通過する。一実施形態では、受信されたアナログ信号は、圧力センサ、機械センサ、誘導センサ、液晶センサ、レーザーセンサ、ひずみゲージセンサ、光学センサまたはそれらの組み合わせによって検出される。
【0034】
別の実施形態では、受信機は、複数のアナログ信号を受信する機能を備える。受信機は、シリアル通信またはパラレル通信によって複数の信号を受信することができる。一実施形態では、複数のアナログ信号は、限定はされないが、温度、周囲圧力、湿度、向き、角速度、加速度、磁気、および地理位置情報に関する信号であり得る。
【0035】
プロセッサによって実行される処理ステップは、プロセッサの種類と、処理ステップで必要なツールを定義する。プロセッサは、上記アナログ信号を処理するための少なくとも1つのツールを含む。このツールについては以下で説明する。
【0036】
頭蓋内圧監視の効果を損なうことなく、検出されたアナログ信号をユーザの頭蓋内圧に関連するデジタル信号に変換するためのツール。一実施形態では、このツールは、AD変換器である。
【0037】
一実施形態では、プロセッサは、ユーザの頭蓋内圧に関連する信号を処理するためのそのツールの1つを利用して、検出された信号をデジタル信号に変換する。そして他のツールを使用して、これらの信号を増幅し、処理済み信号を得る。処理済み信号は、送信機により無線送信される。図1は、他のツールによるさらなる処理のステップを伴わない変換を示す。
【0038】
送信機による送信用にデジタル信号をフィルタリングするためのツール。このフィルタリングは、デジタル信号の最も関連性の高い情報をフィルタリングするためにファームウェアによって実行される。一実施形態では、このツールはフィルタであり、フィルタは、送信機による送信用にデジタル信号のフィルタリングを実行する。
【0039】
一実施形態では、フィルタリングは、イベントベースのツールプロトコルを介して、イベントベースで分類を実行する。ファームウェアは、デジタル信号の最も関連性の高い情報の変化を特定し、処理済み信号を送信する。
【0040】
1つの例示的な実施形態では、検出デバイスからのアナログ信号は、例えば32ビットの分解能を有するAD変換器を使用してデジタル信号に変換される。検出デバイスが患者に適切に配置されると、測定値の変化はビットのサブセット(例えば、12最下位ビット)のみで生じることが想定される。無線通信改善のため、ファームウェアは最も関連性の高い情報(つまり、最下位ビットのサブセット)を送信する一方で、関連性のより低い情報(例えば、残りの上位ビット)はフィルタリングされる。
【0041】
デバイスの初期設定時に、ファームウェアはデジタル信号全体を分析して、トリガイベントを特定する。1つの例示的イベントとして、患者への検出デバイスの適切な配置を検出することが挙げられる。デバイスの初期設定時、検出デバイスは移動され、デジタル信号の振幅が大幅に変化する。一方、検出デバイスが患者に適切に配置されると、デジタル信号の振幅の変化が、特にデジタル信号の最上位ビットにおいて、極端に低減する。デジタル信号の最上位ビットを所定の閾値と比較することにより、ファームウェアは、検出デバイスが患者に適切に配置されたときを特定できる。即ち、検出デバイスは、最上位ビットの振幅の変動が所定の閾値未満である場合、患者に適切に配置されていると見なされる。さらに/あるいは、検出デバイスは、一体的な運動センサ(例えば、加速度計)の入力を使用して、検出デバイスが患者に適切に配置されたときを決定してもよい。
【0042】
検出デバイスが患者に適切に配置されたことを検出すると、ファームウェアは最初に測定信号全体(つまり、32ビットすべて)を受信機に送信しその後、別のトリガイベント(例えば、検出デバイスの取り外し)が検出されるまで、ビットのサブセット(つまり、12最下位ビット)のみを受信機に送信する。そして受信機は、情報が抜けることなく、日付を完全に再構築できる。これにより、送信されるデータが少なくなり、送信機と受信機の間の無線通信改善が図られる。この開示では、測定データの他のその他種類の分類およびフィルタリングが考えられる。
【0043】
別の実施形態では、フィルタリングは、ツール動的プロトコルを通じて動的ソートを実行する。即ち、ファームウェアは、デジタル信号から最も関連性の高い情報と最も関連性の低い情報を分類し、処理済み信号を送信する。別の実施形態では、フィルタリングは、ツール組み合わせプロトコルを実行する。組み合わせプロトコルは、少なくとも前述の各プロトコルの組み合わせを含む。
【0044】
デジタル信号を容積変化のデジタル信号に変換するためのツール。処理済み信号の測定単位はメートルまたはそれに類する単位(例えば、マイクロメートル、センチメートル、ナノメートル等)である。一実施形態では、このツールは、デジタル信号をマイクロメートルの範囲の容積変化のデジタル信号に変換する変換器である。
【0045】
一実施形態では、検出されたアナログ信号はデジタル信号に変換され、その後デジタル信号を容積変化のデジタル信号に変換するツールによって変換される。処理済み信号は、頭蓋容積変化の変動を表す測定値を少なくとも含む。これを図2に示す。
【0046】
デジタル信号、容積変化のデジタル信号、または送信機による送信用のアナログ信号を変調するためのツール。一実施形態では、異なる種類の信号それぞれが、異なるツールで変調される。別の実施形態では、このツールは、異なるタイプの信号の少なくとも1つを変調する変調ユニットとなる。
【0047】
さらなる実施形態では、プロセッサは、送信機による送信用にこれらのデジタル信号を変調する。この変調された信号が、事前構成受信機によって受信される処理済み信号となる。
【0048】
別の実施形態では、プロセッサは、送信機による送信用に受信したアナログ信号を変調する。この変調された信号が、事前構成受信機によって受信される処理済み信号となる。
【0049】
デジタル信号の変調は、送信機と通信チャネル(例えば、受信機、事前構成受信機、バンドパスフィルタを含むネットワーク等)の無線通信を可能にするよう、デジタル信号を転送用に、着信デジタル信号を少なくとも変更することを含む。
【0050】
アナログ信号の変調は、送信機と通信チャネルの無線通信を可能にするよう、異なる周波数、位相、振幅、直角位相、または角度でアナログ信号を転送するために、少なくとも着信アナログ信号を変更することから成る。
【0051】
補償信号のためのツール。プロセッサは少なくとも1つの補正センサによって提供される信号を検出する。一実施形態では、図3に示すように、少なくとも1つの補正センサによって提供される信号の検出後、プロセッサは、補償信号を処理し、検出デバイスから発信されたデジタル信号を調整し、ユーザの頭蓋内圧に関連する補償デジタル信号を生成する。一実施形態では、このツールは、補償信号を検出するための補償ユニットである。
【0052】
補正センサは、頭蓋内圧測定に干渉し得るユーザの生理学的パラメータに関連する信号を検出可能な、または検出デバイスの機能に関する検出信号を検出可能な任意のデバイスである。一実施形態では、補正センサは環境センサであり、環境センサは少なくとも温度センサ、または気圧計、または湿度計を含む。
【0053】
別の実施形態では、補正センサは運動センサであり、運動センサは、少なくともジャイロスコープ、または加速度計、または磁力計を含む。別の実施形態では、補正センサは、ジオロケーション用の全地球測位システムである。別の実施形態では、補正センサは、少なくとも運動センサ、環境センサ、全地球測位システム、またはそれらの組み合わせである。
【0054】
一実施形態では、少なくとも1つの補正センサによって検出された信号は、補正信号のためのツールによって処理されると、検出デバイスによって検出された信号のノイズおよび干渉を取り除く。例えば、ユーザがツールの監視を開始した初期位置を変化させると、補償信号用のツールは、少なくとも1つの補正センサによって検出された信号を利用して、この変化が生じ得るノイズと干渉を除去する。
【0055】
送信機を介して処理済み信号を事前構成受信機に送信するステップでは、処理済み信号は、ユーザの頭蓋内圧に関する情報を含む信号を介して送信機から事前構成受信機に転送される。一実施形態では、送信機と事前構成受信機との間の無線通信は、近距離無線通信である。別の実施形態では、送信機と事前構成受信機との間の無線通信は、RFIDである。別の実施形態では、送信機は、Bluetooth(登録商標)標準プロトコルによって事前構成受信機と通信する。
【0056】
一実施形態では、本方法は、アナログ信号を検出するステップと、これら信号をリアルタイムで処理および送信するステップとのすべてを実行し、これらステップが途切れないように実行される。
【0057】
第2の態様では、本発明は、頭蓋内圧の非侵襲的管理および監視のためのシステムを提供する。このシステムは、
a.頭蓋容積変化からアナログ信号を検出するための検出デバイスと、
b.検出デバイスと通信し、ユーザの頭蓋内圧に関連するアナログ信号を受信する受信機と、
c.少なくともユーザの頭蓋内圧に関連する信号を処理するためのツールを備える、受信機と通信するプロセッサと、
d.プロセッサと通信し、処理済み信号を無線送信するためのモジュールを含む送信機と、
を備える。
【0058】
一実施形態では、システムは、少なくとも1つの事前構成受信機をさらに含む。事前構成受信機は送信機と通信する任意の受信機である。事前構成受信機は少なくとも1つの電子デバイスと通信して受信した処理済み信号を電子デバイスに挿入するように構成される。そこで処理済み信号はさらに処理され、クラウドサーバに送信される。
【0059】
システムはさらに、ユーザの頭の周りに少なくとも1つのデバイスを収容するためのヘッドピースを備える。一実施形態では、ヘッドピースは、ファスナを備える、少なくともユーザの頭部の周りでデバイスを装着するためのストリップであり、このファスナは、ユーザの頭部上のストリップを調整する。さらなる実施形態では、ストリップは可撓性を有することで、それ自体で使用者の頭部の周りに装着される。
【0060】
一実施形態では、検出デバイスは、頭蓋容積変化を測定するためのデバイスである。
【0061】
第3の態様では、本発明は、頭蓋容積変化を測定するためのデバイスを提供する。デバイスは、
a.頭蓋容積変化に関連するたわみを受信するように構成された第1の端部が設けられた変化検出器を含み、検出された変化を電気信号に変換する変化トランスデューサ(8)と、
b.変化トランスデューサ(8)を内部に収容する筐体と、
を備える。
【0062】
変化検出器は、頭蓋容積変化から検出されたエネルギーを変化トランスデューサ(8)に伝達できる任意の物体である。一実施形態では、変化検出器はピンを含み、上記ピンは変化トランスデューサ(8)に接続され、ピンは変化を検出し、電気信号への変換のため、上記変化トランスデューサ(8)に変形を生成する。
【0063】
一実施形態では、変化トランスデューサ(8)は、可撓性材料に接続された電気回路を含み、可撓性材料の変形が、電気回路によって検出される。
【0064】
筐体は、変化トランスデューサ(8)を保護するために設計として配置され、上記変化トランスデューサ(8)を収容可能な任意の材料または材料のセットである。一実施形態では、筐体は、変化検出器の周囲に少なくとも1つのエンクロージャ部分を含み、エンクロージャ部分は、変化検出器を不要な動きから保護する。
【0065】
さらなる実施形態では、エンクロージャ部分は変化検出器の周囲に配置され、エンクロージャ部分は、デバイスがオフになると変化検出器の動きを停止し、変化トランスデューサ(8)の最大可能変形範囲を定める。
【0066】
エンクロージャ部分は、変化トランスデューサ(8)の誤移動を防止し、直接の衝撃に対して保護する、筐体内の任意の材料である。
【0067】
一実施形態では、筐体は、スイッチ(5)と、範囲画定エンクロージャ(6)と、ロックデバイス(7)とを備える。ロックデバイス(7)は、デバイス保護のため、電源がオフのときにピンを固定すること含む。そして、電源がオフのとき、範囲画定エンクロージャ(6)は、変化トランスデューサ(8)の変形可能範囲を定める。
【実施例
【0068】
本明細書に示す実施例は、本発明を実施するいくつかの方法の一つのみを例示することのみを意図しているが、その範囲を限定するものではない。
【0069】
頭蓋内圧を監視および管理するシステムは非侵襲的であり、その目的はシンプルで使いやすく、丈夫で、効率的であることである。システムは、低エネルギー構造、除細動保護、内蔵式患者隔離設備、非侵襲的変化トランスデューサ(8)用のフロントエンドバイオセンシング回路、特定インジケータ用設定可能なRGB LED、低エネルギー電力管理、内部バッテリ(9)および外部バッテリ(15)によるリチウム電池式長電池寿命、内部故障監視装置、デジタル信号プロセッサを含む埋め込みプロセッサArm Cortex-M4Fに基づく高度暗号化規格ハードウェア、単一命令多重データを備える。さらに、以下の頭蓋内圧に関連する信号を処理するツールを備える。
【0070】
ADコンバータ、差動入力、自動ゲイン、自動オフセット、低温、オフセットおよびゲインドリフトを備えた高精度および解像度アーキテクチャである。
【0071】
内部温度センサ、環境センサ(温度センサ、湿度センサ、圧力センサなど)、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計などの運動センサ、ジオロケーション用のGPSを備える補償ユニット。
【0072】
デジタル信号処理命令、浮動小数点ユニット(FPU)、単一サイクルの乗算と累算、計算が複雑な演算のエネルギー効率の良いプロセスのためのハードウェアの分割。
【0073】
ハードウェアによって所期の機能を実行するファームウェア。低電力プロファイルに基づいて、ファームウェアは効率的なエネルギーコストを目指すあらゆる運用方法を備えている。すべてのアクセスは、省エネルギーのために最適化されている。ハードウェアの不揮発性メモリには、デバイスを自動的にペアリングするために必要なすべての情報が含まれている。
【0074】
一実施形態では、ファームウェアは、これらのデジタル信号をフィルタリングし、このフィルタリングは、イベントに基づいてツールプロトコルを利用する。ファームウェアは、デジタル信号の最も関連性の高い情報の変化検出器を備える。変化検出器を介して、ファームウェアは、最も関連性の高い情報の変化に基づいて信号をフィルタリングする。
【0075】
別の実施形態では、ファームウェアは、これらのデジタル信号をフィルタリングし、このフィルタリングは、ツール動的プロトコルを利用する。ファームウェアは、デジタル信号から最も関連性の高い情報と最も関連性の低い情報を分類する分類デバイスを備える。
【0076】
別の実施形態では、ファームウェアは、これらのデジタル信号をフィルタリングし、このフィルタリングは、前述のプロトコルの組み合わせを利用する。さらなる実施形態では、プロセッサは、デジタル信号を容積変化のデジタル信号に変換する。容積変化のデジタル信号は、マイクロメートルの範囲の測定値である。
【0077】
内部バッテリ(9)と外部バッテリ(15)とによるリチウムイオンバッテリの長いバッテリ寿命によって、システムに電力を供給する。外部バッテリ(15)はシステムの第1の電源であり、上記内部バッテリ(9)を充電する。外部バッテリが残量ゲージ付きのUSB経由で充電されているとき、内部バッテリ(9)は、システムの第2の電源の役割を果たす。システムはさらに以下を備える。
【0078】
このシステムはさらに、データの送信用に、無線アンテナ(13)を介した無線接続、Bluetooth(登録商標)5.0、オンチップ近距離無線通信タグ、事前構成受信機、2つの事前構成デバイス間の安全な認証ペアリング、中央処理装置、高スループット、広告拡張、Bluetooth低エネルギー(BLE)、外部全方向性アンテナ用U.FLコネクタを備える。
【0079】
一実施形態では、システムは、中央処理装置に接続された事前構成受信機への信号の受信、処理、および送信のステップにおいて高い優先順位を有する。関連するデータを失うことなく、収集された信号の傍受を防止するためのデータの暗号化を利用して、リアルタイムで流動的なデータの送信が実現する。
【0080】
ファームウェアの更新は、無線でアプリを介して実行される。システムはブートローダで初期構成されており、ファームウェアの保守および修復が可能となる。
【0081】
事前構成受信機は、事前構成受信機を介して収集された頭蓋内圧に関連するアナログ信号を再構築し、その信号をモニタ、アプリ、または中央処理装置に配信することを担当する。
【0082】
一実施形態では、システムは、ツールの新しい構成の読み取りおよび入力へのアクセスを容易にするために実装されたルール、関数、および前述の方法を備えたデータベースを備える。シリアル周辺インターフェイス通信によるADコンバータなどのツールには、フィルタ、サンプルレート、自動ゲイン、自動オフセットの様々な構成がある。これらのツールは、読み取りモードを介してアクセスでき、書き込みモードを介して処理を実行できるため、リモートの動的構成が可能となる。
【0083】
実施形態のさらなる説明のために、デバイスを図5に示す。一実施形態では、筐体は、構成要素を包んでそれらを保護するために、下部基部(3)に接続された上部保護部(1)を含み、下部基部は、デバイスの使用時にユーザの皮膚に接続する。
【0084】
この実施形態では、信号を処理するためのツールを含むプロセッサは、メインセンサ(2)の回路基板であり、変化トランスデューサ(8)と通信する。補助ねじ(10)の1つは、デバイスの変化検出器として機能する。変化トランスデューサ(8)は、基部(4)に片持ち状態で固定される。この基部は、基部(4)に配置された少なくとも1つの補正センサの回路基板を含み、補助ねじ(10)を介して筐体に接続される補償ユニットとして機能し、補正センサからアナログ信号を受信し、頭蓋内圧をより正確に処理するため、または少なくとも1つの補正センサから受信したアナログ信号を送信するために、メインセンサ(2)の回路基板と通信する。
【0085】
一実施形態では、ロックデバイスには、トリガ(7.1)を含む第1の端部と、第1の端部の反対側にあり、開口部(7.2)を含む第2の端部とが設けられ、開口部(7.2)が変化検出器に関連付けられるように構成される。一実施形態では、開口部(7.2)はピンに接続し、ピンは、開口部(7.2)とピンの接続部に対して垂直な動きを止めるために、周囲の2つの隆起したピークの間に開口部(7.2)を接続するための隙間を有する。一実施形態では、開口部(7.2)はピンに接続し、ピンは、変化トランスデューサ(8)を変形させ得るピンの動きを止めるために、隆起したピークの上方で開口部(7.2)を接続するための隙間を有する。一実施形態では、開口部(7.2)はピンに接続し、ピンおよび開口部は円形の外周を有し、当該ピンは開口部(7.2)よりも大きい直径を有し、接続されると、摩擦によって、開口部(7.2)とピンの接続部に対して垂直な動きが妨げられる。
【0086】
一実施形態では、範囲画定エンクロージャ(6)は、変化検出器の第1の端部の反対側に配置され、範囲画定エンクロージャ(6)は規制要素(6.1)を備える。さらなる実施形態では、筐体は、範囲画定エンクロージャ(6)と変化トランスデューサ(8)との間に安全用空間を含み、当該安全用空間が変化トランスデューサ(8)の安全な変形を実現する。
【0087】
一実施形態では、スイッチ(5)は、トリガ(7.1)に関連付けられるように構成されたトリガ開口部(5.1)を含み、トリガ(7.1)は、トリガ開口部(5.1)の内側に配置され、上記スイッチ(5)の変位は、規制要素(6.1)によって規制される。
【0088】
内部バッテリ(9)は筐体内にある。ねじ(11)はシステムを固定し、すべての構成要素を確実に接続する。支持部品(12)は、基部(4)に配置された少なくとも1つの補正センサの回路基板の上部にある。無線アンテナ(13)はシステムの送信機として機能し、筐体の内側に配置され、メインセンサ(2)の回路基板と通信し、処理済み信号を事前構成受信機に送信する。
【0089】
外部保護部(14)は、上部保護部(1)に接続された外部バッテリ(15)を上部保護部(1)と一緒に保護するために上部保護部(1)を覆う。連結されたエンクロージャ(19)に接続されたばね(16)は、ボンドエンクロージャ(17)と組み合わされて、筐体に外部バッテリ(15)をロックおよびロック解除可能である。メインセンサ(2)の回路基板に固定されたバッテリコネクタ(18)により、メインセンサ(2)の回路基板との外部バッテリ(9)の通信が可能になる。メインセンサ(2)の回路基板と上部保護部(1)との間に配置された下部保護部(20)は、メインセンサ(2)の回路基板を直接の衝撃から保護する。
【0090】
別の例示的な実施形態では、この方法は、図1に示されるように実行され、ユーザの頭蓋容積変化によって、検出デバイスのピンにたわみが加わる。ピンはこのたわみを伝達し、それにより変化トランスデューサが変形し、ユーザの頭蓋内圧に関連する差動電圧信号を生成する。
【0091】
この信号はアナログであり、受信機によって受信され、その後、アナログ信号をデジタル信号に変換するためにプロセッサに送られる。この例では、プロセッサは、この変換にADCツールを利用する。デジタル信号は変調され、送信機による送信可能な処理済み信号を生成する。送信機は、処理済み信号を事前構成受信機に無線送信する。
【0092】
別の例示的な実施形態では、この方法は、図2に示されるように実行され、ユーザの頭蓋容積変化によって、検出デバイスのピンにたわみが加わる。ピンはこのたわみを伝達し、それにより変化トランスデューサが変形し、ユーザの頭蓋内圧に関連する差動電圧信号を生成する。
【0093】
この信号はアナログであり、受信機によって受信され、その後、アナログ信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号を増幅するためにプロセッサに送られる。この例では、プロセッサは、この変換にADCツールを利用する。次に、プロセッサは別のツールを実行して、デジタル信号をマイクロメートルの範囲の容積変化のデジタル信号に変換する。容積変化のデジタル信号は、送信機による送信用に変調される。次に、送信機は、容積変化のデジタル信号を事前構成受信機に無線送信する。
【0094】
別の例示的な実施形態では、この方法は、図3に示されるように実行される。ユーザの頭蓋容積変化によって、検出デバイスのピンにたわみが加わる。ピンはこのたわみを伝達し、それにより変化トランスデューサが変形し、ユーザの頭蓋内圧に関連する差動電圧信号を生成する。
【0095】
頭蓋容積変化の検出と並行して、複数の環境および慣性センサが圧力、湿度、温度、加速度、地理位置情報、および磁気を検出し、これらの信号をプロセッサに送信する。
【0096】
差動電圧信号はアナログであり、受信機によって受信され、その後、アナログ信号をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号を増幅するためにプロセッサに送られる。プロセッサはさらに、デジタル信号をマイクロメートルの範囲の容積変化のデジタル信号に変換するための変換ツールを利用してデジタル信号を処理する。次に、プロセッサの補償ユニットツールは、容積変化のデジタル信号と、複数の環境および慣性センサによって検出された信号を処理して補正信号を生成し、これにより、ユーザの動きによるノイズや、ユーザの監視におけるその他の補償喪失が排除される。例えば、太陽の下でユーザが屋根のある場所に移動すると、信号の処理により温度の変化が検出され、この温度変化が引き起こし得る物理的変化が制御される。補償信号は、送信機による送信用に変調される。次に、送信機は、補償信号を事前構成受信機に無線送信する。
【0097】
当業者は、本明細書の知識を評価し、添付の特許請求の範囲内に含まれる提供された方法および他の変形例において本発明を再現することができる。
図1
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