(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】二次電池用電極およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20240805BHJP
H01M 4/1391 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/1393 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/1395 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/1397 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240805BHJP
H01M 4/485 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/58 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240805BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240805BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/1391
H01M4/1393
H01M4/1395
H01M4/1397
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/485
H01M4/58
H01M4/587
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
(21)【出願番号】P 2020545111
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2019003006
(87)【国際公開番号】W WO2019177409
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0030070
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0029127
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522151617
【氏名又は名称】エスケー オン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ユン ドキュン
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒギュン
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-521453(JP,A)
【文献】特開2009-181877(JP,A)
【文献】特開2017-036185(JP,A)
【文献】特開2000-353512(JP,A)
【文献】国際公開第2013/038948(WO,A1)
【文献】特開2008-251219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/84
H01M 10/0566
H01M 10/052
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質バルクを切断し、活物質膜を製造する切断ステップと、
集電体と前記活物質膜を一体化する結着ステップとを含む、二次電池用電極の製造方法であって、
前記二次電池用電極は、前記活物質膜が厚み方向の断面に開孔部を有し、前記開孔部の一部が前記活物質膜を貫通している構造を有し、
前記活物質バルク内の電極活物質は、配向性を有し、前記切断ステップの切断方向によって前記活物質膜の厚さ方向を基準とする活物質膜内の電極活物質の配向方向が制御される、二次電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記切断の前、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、活物質バルク(bulk)を製造するバルク製造ステップをさらに含む、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記電極活物質は、負極活物質または正極活物質である、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項4】
前記活物質バルクは、自立可能である、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記バルク製造ステップは、前記原料を圧縮成形して成形体を製造する成形ステップ;または、前記成形ステップと、成形ステップで製造された成形体に熱処理を施し、焼結体を製造する焼結ステップ;を含む、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項6】
前記活物質膜は、バインダー、導電材、炭素前駆体および気孔形成剤から選択される一つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項7】
前記導電材は、伝導性炭素、伝導性高分子および金属から選択される一つまたは二つ以上の物質の粒子、繊維、ナノ構造体またはこれらの混合物を含む、請求項6に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
前記炭素前駆体は、コークス、ピッチ、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される一つ以上である、請求項6に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記粒子状の電極活物質は、電極活物質のコア;異種物質のシェル;のコア-シェル構造である、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
前記異種物質は、第2の電極活物質、第2の電極活物質の前駆体、伝導性物質、バインダー、炭素前駆体またはこれらの混合物を含む、請求項9に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項11】
前記活物質バルクの気孔率によって前記活物質膜の気孔率が制御される、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項12】
前記結着ステップは、
前記集電体の表面と前記活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着層を形成するステップと、
前記接着層を挟んで前記集電体と前記活物質膜が当接するように積層するステップとを含む、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項13】
前記結着ステップは、
前記活物質膜の一表面に金属膜を形成するステップを含む、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項14】
前記負極活物質は、易黒鉛化性炭素;難黒鉛化性炭素;天然黒鉛;人造黒鉛;カーボンナノチューブ;グラフェン;シリコン;Sn合金;Si合金;Sn、Si、Ti、Ni、FeおよびLiから選択される一つまたは二つ以上の元素の酸化物;またはこれらの混合物を含む、請求項3に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項15】
前記正極活物質は、層状構造のリチウム-金属酸化物;スピネル構造のリチウム-金属酸化物;オリビン構造のリチウム-金属ホスフェート;またはこれらの混合物を含む、請求項3に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項16】
前記負極活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛またはこれらの混合物を含有する、請求項3に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項17】
前記電極活物質は、板状またはフレーク状を含む、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項18】
前記バルク製造ステップは、粒子状の電極活物質として電極活物質コア-炭素前駆体シェルのコア-シェル構造の複合粒子を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、前記成形体に熱処理を施し、前記シェルの炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含む、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項19】
前記バルク製造ステップは、粒子状の電極活物質および炭素前駆体を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、前記成形体に熱処理を施し、前記炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含む、請求項2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項20】
前記切断ステップの後、結着ステップの前、または結着ステップの後、
前記活物質膜の少なくとも一表面に表面処理を施すステップがさらに行われる、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用電極およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境規制の強化、原油高、および化石エネルギーの枯渇などによって、ガソリン自動車、ディーゼル自動車など、化石燃料を使用する自動車の代わりに使用できる電気自動車、ハイブリッド電気自動車への関心が非常に高まっている。
【0003】
現在、電気自動車の動力源として、主にニッケル水素金属二次電池が使用されているが、ニッケル水素金属二次電池に比べ、高い出力密度(ニッケル水素金属二次電池に対して3倍以上)を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いリチウム二次電池を電気自動車の主な動力源として使用するための研究が活発に行われている。
【0004】
リチウム二次電池が、電気自動車の動力源として使用されるために、何よりも高容量が実現されなければならず、このために高容量の新たな負極活物質や正極活物質(韓国登録特許第1572082号および韓国登録特許第1608635号)に関する技術開発が主に行われている。
【0005】
しかし、高容量の新たな物質の開発が行われるとしても、活物質、結着剤および導電材を含有するスラリーを集電体に塗布した後、乾燥および圧延して製造する従来の電極の製造技術では、高合剤密度で作製したときに空隙が詰まり電解液の含浸が困難となってリチウムイオンの移動度が低下し、また、圧延によって活物質が集電体と平行な方向に押圧されてリチウムイオンの移動距離が長くなり、経路の複雑性が増加(tortuosity増加)する問題から、高合剤、高密度の電極の実現にその限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第1572082号明細書
【文献】韓国登録特許第1608635号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高ローディング、高合剤密度の実現が可能な新たな二次電池用電極の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、活物質層がバインダーを含有しない、バインダーフリー(binder-free)電極の実現が可能な新たな二次電池用電極の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、より単純化した工程により費用削減が可能で、均一な品質の電極を大量生産することができる新たな二次電池用電極の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、高ローディング、高合剤密度の電極を実現できる活物質膜、これを含む二次電池用電極およびこれを含む二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る二次電池用電極の製造方法は、活物質バルクを切断し、活物質膜を製造する切断ステップと、集電体と前記活物質膜を一体化する結着ステップとを含む。
【0012】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、切断の前、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、活物質バルク(bulk)を製造するバルク製造ステップをさらに含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、電極活物質は、負極活物質または正極活物質であってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質バルクは、自立(free-standing)可能なものであってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質バルクは、成形体または焼結体であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、バルク製造ステップは、前記原料を圧縮成形して成形体を製造する成形ステップ;または、前記成形ステップと、成形ステップで製造された成形体に熱処理を施し、焼結体を製造する焼結ステップ;を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、原料は、バインダー、導電材、炭素前駆体および気孔形成剤から選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、導電材は、伝導性炭素、伝導性高分子および金属から選択される一つまたは二つ以上の物質の粒子、繊維、ナノ構造体またはこれらの混合物を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、伝導性ナノ構造体は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート、ナノリボン、ナノ粒子およびナノロッドから選択される一つまたは二つ以上であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、炭素前駆体は、コークス、ピッチ、熱硬化性および熱可塑性樹脂から選択される一つ以上であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、粒子状の粒子は、電極活物質のコア;異種物質のシェル;のコア-シェル構造であってもよい。
【0022】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、異種物質は、第2の電極活物質、第2の電極活物質の前駆体、伝導性物質、バインダー、炭素前駆体またはこれらの混合物を含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、原料は、組成、結晶構造、粒子形状、機械的特性または物理的特性が相違する2種以上の電極活物質を含むことができる。
【0024】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質バルクの気孔率によって活物質膜の気孔率が制御され得る。
【0025】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質バルク内の電極活物質は、配向性を有し、切断ステップの切断方向によって活物質膜の厚さ方向を基準とする活物質膜内の電極活物質の配向方向が制御され得る。
【0026】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、結着ステップは、集電体の表面と活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着層を形成するステップと、接着層を挟んで集電体と活物質膜が当接するように積層するステップとを含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、前記結着ステップは、活物質膜の一表面に金属膜を形成するステップを含むことができる。
【0028】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、接着層は、伝導性であってもよい。
【0029】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、負極活物質は、易黒鉛化性炭素;難黒鉛化性炭素;天然黒鉛;人造黒鉛;カーボンナノチューブ;グラフェン;シリコン;Sn合金;Si合金;Sn、Si、Ti、Ni、FeおよびLiから選択される一つまたは二つ以上の元素の酸化物;またはこれらの混合物;を含むことができる。
【0030】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、正極活物質は、層状構造のリチウム-金属酸化物;スピネル構造のリチウム-金属酸化物;オリビン構造のリチウム-金属ホスフェート;またはこれらの混合物を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質は、天然黒鉛、人造黒鉛またはこれらの混合物を含有することができる。
【0032】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、活物質は、板状またはフレーク状を含むことができる。
【0033】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、バルク製造ステップは、粒子状の電極活物質として電極活物質コア-炭素前駆体シェルのコア-シェル構造の複合粒子を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、前記成形体に熱処理を施し、前記シェルの炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含むことができる。
【0034】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、バルク製造ステップは、粒子状の電極活物質および炭素前駆体を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、前記成形体に熱処理を施し、前記炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含むことができる。
【0035】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、成形体は、1方向、2方向または等方向圧縮成形により製造され得る。
【0036】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、切断ステップの後、結着ステップの前、または結着ステップの後、活物質膜の少なくとも一表面に表面処理を施すステップがさらに行われ得る。
【0037】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法において、表面処理は、表面粗さ調節を含むことができる。
【0038】
本発明は、上述の製造方法により製造される二次電池用電極を含む。
【0039】
本発明の一様態によるリチウム二次電池Iは、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含み、正極および負極から選択される一つ以上の電極は、電極活物質を含有する活物質膜と、集電体と、活物質膜を集電体に付着させる接着剤とを含むことができる。
【0040】
本発明の他の一様態によるリチウム二次電池IIは、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含み、正極および負極から選択される一つ以上の電極に含まれた活物質膜は、有機バインダーを含有しないバインダーフリー(binder-free)膜であってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、自立膜であってもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜の表面に位置する活物質は、切断された粒子状であってもよい。
【0043】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、電極活物質を含有する成形体または焼結体から切断された切断膜であってもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、活物質膜の厚さ方向を基準として、活物質膜内の電極活物質が配向性を有することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、電極活物質の粒子間ネック(neck)が形成されているものであってもよい。
【0046】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池Iにおいて、活物質膜は、有機バインダーを含有しなくてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、厚さ方向の断面を基準として、表面領域での気孔率と中央領域での気孔率との差の絶対値を中央領域での気孔率で除した比率が10%以下であってもよい。
【0048】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、熱分解炭素および導電材から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0049】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜の見掛気孔率は、10~45%であってもよい。
【0050】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、活物質膜は、電極活物質の粒子および電極活物質の粒子の間を結着させる熱分解炭素を含むことができる。
【0051】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池Iにおいて、接着剤は、硬化能を有する樹脂を含むことができる。
【0052】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池Iにおいて、接着剤は、伝導性樹脂、伝導性粒子および伝導性ナノ構造体から選択される一つ以上の伝導性成分を含むことができる。
【0053】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池I、IIにおいて、電極活物質は、負極活物質または正極活物質であってもよい。
【0054】
本発明は、上述のリチウム二次電池を含むリチウム二次電池モジュールを含む。
【0055】
本発明は、上述のリチウム二次電池により電力が供給される装置を含む。
【0056】
本発明は、電解液ベースの二次電池用活物質膜を含む。
【0057】
本発明の一様態による活物質膜は電解液が備えられる二次電池用活物質膜であり、電極活物質を含有し、自立可能な二次電池用活物質膜であってもよい。
【0058】
本発明の他の一様態による活物質膜は電解液が備えられる二次電池用活物質膜であり、電極活物質を含有し、有機バインダーを含有しないバインダーフリー活物質膜であってもよい。
【0059】
本発明の一実施形態による活物質膜は、電極活物質粒子間に形成されたネック(neck)が形成された状態であってもよい。
【0060】
本発明の一実施形態による活物質膜は、活物質膜の厚さ方向を基準として、活物質膜内の電極活物質が配向性を有することができる。
【0061】
本発明の一実施形態による活物質膜は、導電材および熱分解炭素から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0062】
本発明の一実施形態による活物質膜は、厚さ方向の断面を基準として、表面領域での気孔率と中央領域での気孔率との差の絶対値を中央領域での気孔率で除した比率が10%以下であってもよい。
【0063】
本発明の一実施形態による活物質膜は、熱分解炭素および導電材から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0064】
本発明の一実施形態による活物質膜において、活物質膜の見掛気孔率は、10~45%であってもよい。
【0065】
本発明は、電解液ベースの二次電池用電極を含む。
【0066】
本発明に係る二次電池用電極は、電解液ベースの二次電池用電極であり、電極活物質を含有し、有機バインダーを含有しないバインダーフリー活物質膜を含む。
【0067】
本発明に係る二次電池用電極は、電解液ベースの二次電池用電極であり、電極活物質を含有し、活物質膜が接着剤によって少なくとも集電体の一面に結着された電極であってもよい。
【0068】
本発明の一実施形態による二次電池用電極において、活物質膜は、自立膜であってもよい。
【0069】
本発明の一実施形態による二次電池用電極において、活物質膜は、導電材および熱分解炭素から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0070】
本発明の一実施形態による二次電池用電極において、活物質膜は、電極活物質の粒子間に形成されたネック(neck)が形成された状態であってもよい。
【0071】
本発明は、上述の電極を含む二次電池を含む。
【発明の効果】
【0072】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質バルクの切断-付着という極めて簡単な工程により二次電池用電極を製造するため、工程の構築が容易かつ安価であり、精密であり、高度の工程制御も不要で、商業性に優れるという利点がある。
【0073】
既存の二次電池電極の製造工程は、スラリーの製造/検査および薄型伝導性基材への連続コーティングおよび乾燥を行った後、最終の圧延および真空乾燥を行うなどの一連の工程をきびしく管理し制御したときに、目的とする水準(平滑度、部位別の重量、密度の均一性など)を満たす電極の製造が可能であった。
【0074】
しかし、本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質バルクの切断-付着工程をベースとするため、コーティング工程の代わりに切断(slicing)後、付着する工程を適用することで、既存の工程のようにスラリーを薄型伝導性基材にコーティングすることによって生じる問題、例えば、乾燥風量の調節によって伝導性基材が揺れたり、高ローディング条件のコーティング後、乾燥する時に、縁部と中央部の乾燥条件による厚さムラ、それによって、後続の圧延工程で縁部の電極物質の脱離が生じる問題などが、最初から発生しないという利点がある。
【0075】
また、活物質バルクの製造工程において、比較的少量の溶媒で混練(kneading)することで、均一な分散と混合が可能であり、コーティングのために粘度を低下させる希釈過程が不要で、粘度の調節によりスラリーの長期相安定性を確保するための手間が不要で、工程を簡素化することができる。
【0076】
また、本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、バルクをベースとして、多量の活物質膜が製造されることによって、切断-付着工程という簡単な工程により、極めて均一な品質の電極を大量生産することができ、極めて均一な品質の電極を大量製造することができるという利点がある。
【0077】
また、本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、自立可能な成形体または焼結体である活物質バルクが切断されて活物質膜を製造することで、バインダーフリーの活物質膜の製造が可能であり、活物質膜の厚さに実質的な制約がなく、厚膜形態の活物質膜の製造が可能で、高ローディングおよび高合剤密度を有する電極の製造が可能であるという利点がある。
【0078】
詳細には、本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質自体からなるか、導電材と活物質からなるか、活物質と熱分解炭素からなるか、または活物質、導電材および熱分解炭素からなる活物質バルクの製造が可能である。これと共にまたはこれとは別に、厚さ方向に制御された開放された気孔が均一に形成されていることによって、活物質膜の厚さが増加しても電解液が安定的に浸透可能であり、実質的に膜の厚さに制限がない。これと共にまたはこれとは別に、活物質バルク内の粒子状の電極活物質が、成形過程の圧力または圧力と熱によって高度に充填されたり互いに焼結されることによって、高ローディングおよび高合剤密度を有する電極の製造の可能であるという利点がある。
【0079】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質バルクの切断方向に活物質膜の膜内の電極活物質粒子の配向方向を制御することができ、電解液含浸速度、出力特性、レート特性の向上が可能であるという利点がある。
【0080】
本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、活物質膜がその厚さと実質的に関係なく均一な(設計された)開放された気孔ネットワークが維持され、均一で安定的に電解液の含浸が行われるという利点がある。
【0081】
本発明の一実施形態による二次電池は、独立した部材である活物質膜が有機バインダーを含有しないバインダーフリー膜であり得ることで、高ローディングおよび高合剤密度の形成が容易で、高エネルギー密度の電池の設計を容易に実現できる電極であるという利点がある。
【0082】
本発明の一実施形態による二次電池は、独立した部材である活物質膜の配向性や粒子間ネックで結着された構造などによって厚い厚膜の形態であるとしても、均一で安定的に電解液(およびリチウムイオン)の含浸が行われるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】本発明の一実施形態により、成形体である活物質バルクの断面を図示した一断面図である。
【
図2】本発明が一実施形態により、活物質バルクを切断して活物質膜を製造する工程を図示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態により、焼結体である活物質バルクで互いに隣接する二つの電極活物質粒子基準の結着状態を図示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態による活物質膜の断面を図示した一断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による活物質膜の断面を図示した他の一断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による電極の断面を図示した一断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態により製造された活物質膜の光学写真である。
【
図8】本発明の一実施形態により製造された活物質膜の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図9】本発明の一実施形態により製造された電極の光学写真である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る活物質膜、二次電池用電極、二次電池およびその製造方法について詳細に説明する。以下に示される図面は、当業者に本発明の思想を十分に伝達するために例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下に示される図面に限定されず、他の形態に具体化してもよく、以下に示される図面は、本発明の思想を明確にするために誇張して図示され得る。このときに使用される技術用語および科学用語において他の定義がない限り、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有しており、下記の説明および添付の図面で本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」とすると、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、単数形は、文章で特に断らない限り、複数形をも含む。
【0085】
本発明に係る電極の製造方法、活物質膜、電極または二次電池について詳述するに際し、活物質バルクは、電極活物質を含有する個別の独立した三次元立体であり、それ自体で一定の形態を維持し、自分の重量に耐えられる自立(free-standing)可能な状態の三次元立体を意味し得る。
【0086】
一例として、バルクは、少なくとも目的とする電極の活物質層の設計厚さを基準として、少なくとも設計厚さを超える一つの寸法(dimension)(幅、長さまたは幅)を有するサイズを意味し得る。より具体的には、バルクは、互いに直交する3軸を基準として、少なくとも一軸による三次元立体の一つの寸法のサイズが、製造しようとする電極の活物質領域の厚さを基準として少なくとも5倍、実質的には10倍以上のサイズを有することを意味し得る。また、他の2軸それぞれによる三次元立体の各寸法が、製造しようとする電極の活物質領域の幅や長さに対応するか、より大きいサイズを有することを意味し得るが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0087】
一例として、サイズではなく質量の面で、バルクは、目的とする電極の活物質層の設計重量を基準として、少なくとも設計重量を超える重量を有する三次元立体を意味し得る。より具体的には、設計重量(目的とする電極の一活物質層の重量)を基準として、10倍以上、実質的には50倍以上の重量を有する三次元立体を意味し得るが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0088】
本発明に係る電極の製造方法、電極または二次電池について詳述するに際し、自立可能とは、活物質バルクや活物質膜が形状を維持した状態で自分の重量に耐えられることを意味する。また、活物質バルクや活物質膜が別の支持部材なしにそれ自体で移送や固定(positioning)が可能な状態を意味し得る。実験的には、自立可能な膜は、幅が1cm、長さが5cmおよび目的とする二次電池の活物質領域の設計厚さに適する厚さを有する膜を基準として、中空で底部が平坦で両側柱が平坦なU字状の支持台に載せて、膜の両側部の2mm部分だけ支持台(柱)にかかるようにし、膜の中央部に1g標準分銅を載せたときに、試験片の下方への撓み程度が1mm以内の状態を意味し得る。
【0089】
本発明に係る二次電池用電極の製造方法は、活物質バルクを切断し、活物質膜を製造する切断ステップと、集電体と前記活物質膜を一体化する結着ステップとを含む。
【0090】
一具体例において、二次電池用電極の製造方法は、切断の前、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、活物質バルク(bulk)を製造するバルク製造ステップをさらに含むことができる。すなわち、本発明の一実施形態による二次電池用電極の製造方法は、a)粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、活物質バルク(bulk)を製造するステップ(バルク製造ステップ)と、b)前記活物質バルクを切断し、活物質膜を製造するステップ(切断ステップ)と、c)集電体と前記活物質膜を一体化するステップ(結着ステップ)とを含むことができる。
【0091】
一具体例において、活物質バルクは、成形体または焼結体であってもよい。したがって、活物質バルクが成形体である場合、a)ステップは、原料を圧縮成形し、成形体を製造する成形ステップを含むことができる。もしくは、活物質バルクが焼結体である場合、原料を圧縮成形し、成形体を製造する成形ステップと、成形ステップで製造された成形体に熱処理を施し、焼結体を製造する焼結ステップとを含むことができる。
【0092】
上述のように、本発明に係る電極の製造方法は、集電体に活物質を含有するスラリーの塗布および圧延(pressing)という従来のスラリーベースの工程を使用するよりは、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、活物質バルクを製造した後、活物質バルクを切断することで、従来のスラリーベースの工程で集電体上の活物質層に対応する活物質膜を製造し、集電体と独立して製造された活物質膜を集電体に結着して電極を製造することができる。
【0093】
スラリーの塗布、乾燥および圧延という従来の電極の製造方法は、流動相であるスラリーの粘度や分散性といったスラリー自体の特性、球体の塗布方法やスラリーに含有された物質の物理的(機械的)特性および塗布された膜の乾燥条件などが、活物質層の構造に直接影響を及ぼす。
【0094】
すなわち、活物質スラリーを用いた電極の製造技術は、動的要素に大きく依存して活物質層の構造が決定されるため、活物質層の構造の精密な制御が現実的に非常に難しく、大面積での構造的均一性を担保にし難い。さらに、塗布工程で製造可能な活物質層の厚さに対する制約も存在する。また、電極の厚さを増加させなければならない場合、乾燥工程で乾燥時間が増加するため、乾燥炉の長さが増加するなどの工程変数が変更されなければならないため、新たな工程設備の構築が求められるという問題も存在する。
【0095】
しかし、本発明に係る電極の製造方法は、スラリーベースではなく、予め設計された物質、気孔構造および気孔率を有する活物質バルクを切断し、独立した活物質膜を製造した後、製造された活物質膜を集電体に結着させることで電極を製造することから、活物質膜の構造を精密且つ再現性のあるように制御することができる。また、本発明に係る電極の製造方法は、活物質バルクを切断して多量の活物質膜の製造が可能であり、液相ベースのスラリーではなく、完全な固相の活物質バルクをベースとして活物質膜が製造されることから、均一な品質の活物質膜を大量生産できるという利点がある。
【0096】
また、本発明に係る電極の製造方法は、単に活物質バルクから切断される膜の厚さを制御する単純な方法によって、集電体上に備えられる活物質領域の厚さが容易に制御され得る。また、電解液などが浸透される気孔が均一且つ一定に維持されることから、集電体上に備えられる活物質領域の厚さが実質的に制約されないという利点がある。
【0097】
さらに、活物質領域の密度、活物質領域の気孔率、活物質領域の厚さなどの設計変更が行われるとしても、単に設計条件を満たす活物質バルクを製造するだけで、様々な電極の製造が可能になることで、設計の自由度が非常に高く、電極設計の変更による電極の製造設備の構築(または変更)が求められないという利点がある。
【0098】
また、従来のスラリーベース技術の場合、活物質、導電材、バインダーおよび溶媒といった様々な物質の需給および管理が行われなければならず、スラリーのミックス、コート、乾燥、プレス、スリットなど、高度の多段階工程に基づいて電極が製造される。また、スラリー製造工程の場合、低濃度から高濃度に徐々に濃度(固形分の濃度)を増加させて電極活物質スラリーを製造するため、分散および沈降低減特性を考慮してスラリーの濃度の調節をきびしく行わなければならないなど、製造工程の管理が難しい。また、正極の場合、スラリーの製造時に有機溶媒の回収装置が別に備えられなければならないなど、製造工程が複雑で工程設備および管理が難しい。
【0099】
一方、本発明に係る電極の製造方法は、スラリーをベースとせず、活物質バルクをベースとすることから、有機溶媒回収装置(ステップ)が不要であるか、最小化することができ、活物質バルクの製造、切断および付着という著しく簡単な工程によって電極の製造が可能で、工程設備および管理にかかる費用を著しく減少させることができる。
【0100】
また、従来のスラリーベースの技術の場合、活物質層の圧延過程で気孔構造が意図とは違って崩壊し、実質的に高密度化と空隙の維持が同時に実現され難いという問題がある。しかし、本発明に係る製造方法は、既に物理的(機械的)に安定した強度を有する活物質バルクの気孔構造および気孔率が、切断された膜(活物質膜)に対してもそのまま維持されることから、高密度化と電解液が含浸される空隙の維持をいずれも実現できるという利点がある。
【0101】
これにより、本発明の一実施形態による電極の製造方法は、単に活物質バルクの気孔構造を調節することで活物質膜の気孔構造が制御可能であり、また、活物質バルクの気孔率によって活物質膜の気孔率が制御可能である。
【0102】
本発明の一実施形態による電極の製造方法は、電解液ベースの二次電池用電極、有利には電解液ベースのリチウム二次電池用電極、より有利には正極と、負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含むリチウム二次電池用電極の製造方法であってもよい。
【0103】
これは、本発明で解決しようとする一課題が、電解液を含むリチウム二次電池に備えられる電極において、電解液がスムーズに浸透可能であるとともに高ローディングおよび/または高合剤化が可能な電極の製造方法を提供することであるためである。
【0104】
本発明の一実施形態による電極の製造方法は、電極活物質の種類に応じて、負極の製造方法または正極の製造方法を含むことができる。
【0105】
すなわち、原料に含まれる粒子状の電極活物質が負極活物質の場合、一例による電極の製造方法は、負極の製造方法に対応することができる。
【0106】
また、原料に含まれる粒子状の電極活物質が正極活物質の場合、一例による電極の製造方法は、正極の製造方法に対応することができる。これにより、本発明に係る電極の製造方法を正極または負極の製造方法に限定して解釈してはならない。
【0107】
本発明の一実施形態による電極の製造方法において、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて活物質バルクを製造するステップは、粒子状の電極活物質を含む原料を用いて、自立可能な活物質バルクを製造するステップであってもよい。他に詳述すると、活物質バルクの製造ステップは、圧力(成形体の場合)または圧力と熱の印加(焼結体の場合)によって粒子状の電極活物質を含む原料から物理的に一体である活物質バルクが製造されるステップであってもよい。
【0108】
原料は、粒子状の電極活物質を含むことができ、粒子状の粒子は、球状、フレーク状(鱗片状)、凝集状、不定形、板状、ロッド状、結晶状(熱力学的に安定した結晶面からなる結晶形状)、多面体またはこれらの混合形態であってもよいが、これに限定されない。
【0109】
原料に含有される電極活物質は、1種の電極活物質;または組成、結晶構造、粒子形状、機械的特性または物理的特性が相違する2種以上の電極活物質;を含むことができる。この際、結晶構造が相違するとは、同一の組成に相違する結晶構造を有する同質異相の場合をも含む。また、粒子形状が相違するとは、互いに相違する物質の互いに相違する粒子形状だけでなく、一物質の互いに相違する粒子形状の意味を含む。一例として、一物質の結晶粒子(primary particle、またはcrystalline particle)と同一の一物質の凝集粒子(secondary particle)、一物質の球状粒子と同一の一物質のフレーク状粒子などが挙げられるが、明確な理解に役立つために提示されただけであって、これに限定されるものではない。また、機械的特性は、硬度(hardness)、強度(strength)、靱性(toughness)および軟性(ductility)などから選択される一つ以上の特性を含むことができ、物理的特性は、電気伝導度、熱伝導度、熱膨張率および比重などから選択される一つ以上の特性を含むことができる。
【0110】
一例として、原料に含有される電極活物質は、負極活物質であってもよく、負極活物質は、二次電池の負極に通常使用される物質であれば使用可能である。具体的な一例として、負極活物質は、易黒鉛化性炭素;難黒鉛化性炭素;天然黒鉛;人造黒鉛;カーボンナノチューブ;グラフェン;シリコン;Sn合金;Si合金;Sn、Si、Ti、Ni、FeおよびLiから選択される一つまたは二つ以上の元素の酸化物(一例として、Sn酸化物、Si酸化物、Ti酸化物、Ni酸化物、Fe酸化物(FeO)およびリチウム-チタン酸化物(LiTiO2、Li4Ti5O12);またはこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0111】
他の一例として、原料に含有される電極活物質は、正極活物質であってもよく、正極活物質は充放電に関わるイオン(一例として、リチウムイオン)の可逆的な脱離/挿入が可能な物質であれば使用可能であり、通常の二次電池の正極に使用される電極物質であればよい。
【0112】
代表的な例として、正極活物質は、コバルト、マンガン、ニッケルから選択される少なくとも1種とリチウムの複合酸化物のうち1種以上であってもよい。かかる複合酸化物の一例としては、以下の化合物が挙げられる。LixMn1-yMyA2、LixMn1-yMyO2-zXz、LixMn2O4-zXz、LixMn2-yMyM´zA4、LixCo1-yMyA2、LixCo1-yMyO2-zXz、LixNi1-yMyA2、LixNi1-yMyO2-zXz、LixNi1-yCoyO2-zXz、LixNi1-y-zCoyMzAα、LixNi1-y-zCoyMzO2-αXα、LixNi1-y-zMnyMzAα、LixNi1-y-zMnyMzO2-αX、式中、0.9≦x≦1.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦α≦2であり、MとM´は、同一または互いに異なり、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、Sn、V、Ge、Ga、B、As、Zr、Mn、Cr、Fe、Sr、Vおよび希土類元素からなる群から選択され、Aは、O、F、SおよびPからなる群から選択され、Xは、F、SおよびPからなる群から選択される。
【0113】
代表的な例として、正極活物質は、層状構造のリチウム-金属酸化物;スピネル構造のリチウム-金属酸化物;オリビン構造のリチウム-金属ホスフェート;またはこれらの混合物を含むことができる。より具体的には、層状構造のリチウム-金属酸化物は、LiMO2(Mは、CoおよびNiから選択される一つまたは二つ以上の遷移金属);Mg、Al、Fe、Ni、Cr、Zr、Ce、Ti、BおよびMnから選択される一つまたは二つ以上の異種元素で置換されるか、かかる異種元素の酸化物でコーティングされたLiMO2(Mは、CoおよびNiから選択される一つまたは二つ以上の遷移金属);LixNiαCoβMγO2(0.9≦x≦1.1の実数、0.7≦α≦0.9の実数、0.05≦β≦0.35の実数、0.01≦γ≦0.1の実数、α+β+γ=1、Mは、Mg、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、B、Al、Fe、Cr、MnおよびCeからなる群から選択される一つ以上の元素);またはLixNiaMnbCocMdO2(0.9≦x≦1.1の実数、0.3≦a≦0.6の実数、0.3≦b≦0.4の実数、0.1≦c≦0.4の実数、a+b+c+d=1、Mは、Mg、Sr、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W、B、Al、Fe、CrおよびCeからなる群から選択される一つ以上の元素)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。スピネル構造のリチウム-金属酸化物は、LiaMn2-xMxO4(M=Al、Co、Ni、Cr、Fe、Zn、Mg、BおよびTiから選択される一つまたは二つ以上の元素、1≦a≦1.1の実数、0≦x≦0.2の実数)またはLi4Mn5O12などを含むことができるが、これに限定されるものではない。オリビン構造のホスフェート系物質は、LiMPO4(Mは、Fe、Co、Mn)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0114】
また、粒子状の粒子は、一次粒子(primary particle、crystalline particle)、凝集粒子(secondary particle)、不定形粒子、球状粒子、フレーク状粒子、針状粒子などの粒子だけでなく、コア-シェル構造の複合粒子を含むことができる。
【0115】
具体的には、粒子状の粒子は、電極活物質のコア;異種物質のシェル;のコア-シェル構造の複合粒子であってもよく、シェルの異種物質は、第2の電極活物質、電極活物質の前駆体、伝導性物質、伝導性物質の前駆体、バインダー(第1のバインダー)またはこれらの混合物を含むことができる。
【0116】
シェルが電極活物質の前駆体や伝導性物質の前駆体を含むことができる構成は、本発明の一例によって、バルク化のための熱印加過程で生じ得る物質の合成や転換のためである。すなわち、熱の印加による原料のバルク化の時に伝導性物質や電極活物質の製造が、イン-サイチュ(in-situ)で行われ得ることから、電極活物質のコアと、電極活物質の前駆体や伝導性物質の前駆体のような前駆物質のシェルの複合粒子を粒子状に使用することができる。
【0117】
上述のように、原料のバルク化と前駆物質の物質転換が同時に行われ得るが、必要に応じて成形や焼結でバルク化が行われる前または後に前駆物質の物質転換のための別の熱印加が行われ得ることは言うまでもない。この際、電極活物質の前駆体は、コアと同種の電極活物質の前駆体であるか、コアと相違する(異種の)電極活物質の前駆体であってもよい。
【0118】
電極(負極または正極)活物質の伝導性が低下する場合、複合粒子のシェルは、伝導性物質または伝導性物質の前駆体であってもよい。伝導性物質は、電極活物質層の電気伝導度を向上させるために、活物質スラリーに通常混入される導電材として周知の物質であれば使用可能である。伝導性物質の具体的な一例として、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維(気相成長炭素繊維(VGCF)を含む)および剥離黒鉛またはこれらの混合物などの伝導性炭素体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0119】
伝導性物質の前駆体は、炭素前駆体として周知の物質であればよい。一例として、伝導性物質の前駆体は、熱分解によって炭素に転換される炭素前駆体が挙げられる。具体的な一例として、炭素前駆体は、コークス、ピッチ、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂などから選択される1種以上が挙げられる。コークスは、石油または石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)を含むことができ、ピッチは石油系ピッチ、石炭系ピッチまたはこれらの混合物を含むことができる。ピッチは、等方性ピッチ、メソフェーズピッチまたはこれらの混合物等を含むことができる。炭素前駆体として使用される樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれらの混合物であってもよい。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキド(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、またはこれらの混合物などが挙げられ、熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂またはこれらの混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0120】
シェルが炭素前駆体を含む場合、周知のように、炭素前駆体から転換された炭素(熱分解炭素)にも充放電に関わるイオン(一例として、チウムイオン)の挿入が発生し得、さらに、炭素前駆体が炭素に転換され、粒子状の電極活物質を結着する役割も行うことができる。そのため、炭素前駆体を単に伝導性物質の前駆体に限定して解釈してはならず、バインダーおよび/または電極活物質の前駆体としても解釈され得ることを知っておくべきである。
【0121】
シェルがバインダー(第1のバインダー)を含有する場合、バインダーは、有機バインダーを含むことができ、有機バインダーは、活物質間および活物質と集電体との間の結着のために、リチウム二次電池の電極に通常使用される高分子であればよい。具体的な一例として、バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリエチレン-ビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコル、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンまたはこれらの混合物などが挙げられるが、本発明がバインダー物質によって限定されないことは言うまでもない。
【0122】
原料が電極活物質コア-バインダーシェルの複合粒子状の電極活物質を含有する場合、球体バルク化の方法によって、活物質バルクは、複合粒子のシェルから由来したバインダー(有機バインダー)を含有するか、複合粒子のシェルに含有されたバインダー(有機バインダー)が炭化乃至熱分解されて残留する炭素を含有することができる。
【0123】
複合粒子を用いて活物質バルクを製造する具体的な一例として、活物質バルクの製造ステップは、粒子状の電極活物質として電極活物質コア-炭素前駆体シェルのコア-シェル構造の複合粒子を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、成形体に熱処理を施し、前記シェルの炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含むことができる。この際、電極活物質コアは、正極活物質または負極活物質であってもよい。
【0124】
原料は、上述の粒子状の電極活物質とともに、バインダー(第2のバインダー)、導電材、炭素前駆体および気孔形成剤から選択される一つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0125】
また、原料がバインダーを含む場合や、より均一で迅速な物質の混合が求められる場合、原料は、添加剤として含有されるバインダー(第2のバインダー)を溶解する溶媒または原料を分散させる分散媒をさらに含むことができる。
【0126】
添加剤として原料に含有されるバインダー(第2のバインダー)は、通常の二次電池に使用される水系有機バインダーおよび/または非水系有機バインダーであってもよい。具体的には、非水系バインダーは、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HEP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、スルホン化エチレンプロピレントポリマー(sulfonated EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)などが挙げられ、水系バインダーは、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴムまたはアクリルゴムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0127】
成形または焼結というバルク化の具体的な方法によって、活物質バルクは、添加剤として添加されるバインダーを含有するか、添加剤として添加されたバインダーが、炭化乃至熱分解されて残留する炭素を含有することができる。
【0128】
導電材は、二次電池の分野において活物質層の伝導度を向上させるために一般的に使用され得るものであれば特に制限されない。一例として、伝導性炭素、伝導性高分子および金属から選択される一つまたは二つ以上の物質の粒子、繊維、ナノ構造体またはこれらの混合物などを含むことができる。
【0129】
例えば、伝導性炭素、伝導性高分子および金属から選択される一つまたは二つ以上の物質(導電材物質)は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、アルミニウム、スズ、ビスマス、シリコン、アンチモン、ニッケル、銅、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、タングステン、銀、金、ランタン、ルテニウム、白金、イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、フッ化カーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロールまたはこれらの組み合わせなどを含むことができる。
【0130】
導電材は、上述の導電材物質の粒子(不定形粒子を含む)状、板状、棒状、ワイヤ状(繊維状)またはこれらの混合形状であってもよく、これと共にまたはこれの代わりに、上述の導電材物質のナノ構造体を含むことができる。ナノ構造体は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノプレート、ナノリボン、ナノ粒子およびナノロッドから選択される一つまたは二つ以上であってもよい。かかるナノ構造体は、ナノ構造体のネットワークによって活物質バルク(および活物質膜)の全方向に、均一で優れた電気伝導度を担保することができる。
【0131】
この際、導電材は、活物質バルクおよび活物質膜の電気伝導度を向上させる役割とともに、焼結体の製造のための熱処理工程または別のエネルギー印加工程によって導電材の溶融結着(部分的な溶融を含む)が発生する場合、活物質粒子の間を結着させる結着剤の役割をも行うことができる。
【0132】
気孔形成剤は、原料のバルク化過程中にまたはバルク化の後、分解または溶解除去され得る。気孔形成剤は、炭化収率が40%以下、具体的には、炭化収率が1~20%である高分子であれば使用可能である。この際、高分子の炭化収率は、純度99.99%以上のN2還元ガス雰囲気の900℃の炭化条件基準の炭化収率であってもよい。
【0133】
より具体的には、気孔形成剤は、炭化収率が40%以下、具体的には、炭化収率が1~20%であり、残留炭素で固定炭素の含量が99重量%以上の高分子であってもよい。活物質バルクに残留気孔を形成する気孔形成剤の具体例として、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、エポキシレジン、フェノールレジン、ポリプロピレン、またはこれらの混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。気孔形成剤は、球状乃至繊維状であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0134】
添加剤として原料に含有される炭素前駆体は、コークス、ピッチ、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される1種以上を含むことができる。コークスは、石油または石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)を含むことができ、ピッチは、石油系ピッチ、石炭系ピッチまたはこれらの混合物を含むことができる。ピッチは、等方性ピッチ、メソフェーズピッチまたはこれらの混合物などを含むことができる。炭素前駆体として使用される樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれらの混合物であってもよい。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アルキド(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、またはこれらの混合物などが挙げられ、熱可塑性樹脂は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadien Stylene)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂またはこれらの混合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。特に限定されないが、炭素前駆体として使用される樹脂の炭化収率は、10%以上であってもよく、具体的には30~90%、より具体的には40~90%であってもよい。この際、炭化収率が40%以下の樹脂系炭素前駆体を使用する場合、炭素前駆体が気孔形成剤の役割を行うこともできる。上述のように、炭素前駆体が熱分解されて生成される炭素(熱分解炭素)は、導電材の役割と活物質の間を結着させる結着剤の役割を行うことができ、充放電反応に関わる活物質の役割をも行うことができる。
【0135】
この際、熱分解炭素は、炭素前駆体から由来する炭素に限定して解釈するよりは、焼結体の製造のための熱処理や必要時にこれと独立して行われる熱処理工程によって気孔形成剤や有機バインダーなどの添加剤から由来する残留炭素も含むものと解釈し得る。
【0136】
添加剤を含有する原料を用いて、活物質バルクを製造する具体的な一例として、活物質バルクの製造ステップは、粒子状の電極活物質および炭素前駆体を含む原料を加圧成形し、成形体を製造するステップと、前記成形体に熱処理を施し、前記炭素前駆体を炭素に熱分解するステップとを含むことができる。この際、電極活物質コアは、正極活物質または負極活物質であってもよい。
【0137】
製造される電極の用途、電極活物質の電気的特性、目的とする気孔率などを考慮して、原料に含有される添加剤の種類や含量などが調節され得ることは言うまでもない。
【0138】
原料が導電材を含有する場合、原料は、電極活物質100重量部に対して、1~30重量部、具体例としては1~20重量部の導電材を含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0139】
原料がバインダーを含有する場合、原料は、電極活物質100重量部に対して0.5~10重量部のバインダーを含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0140】
原料が炭素前駆体を含有する場合、原料は、電極活物質100重量部に対して、1~30重量部、具体例としては1~25重量部の炭素前駆体を含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0141】
原料が気孔形成剤を含有する場合、原料は、電極活物質100重量部に対して1~20重量部の気孔形成剤を含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0142】
しかし、原料が、導電材、バインダー、炭素前駆体および/または気孔形成剤を含有しなくてもよいことは言うまでもなく、端的な一例として、活物質バルクは、電極活物質からなることができる。
【0143】
また、必要に応じて、原料は、バインダー乃至炭素前駆体の溶媒や分散のための分散媒をさらに含有することができるが、本発明が、溶媒や分散媒の使用有無や具体的な含量によって限定されないことは言うまでもない。
【0144】
具体的には、原料の混合が湿式混合の場合、溶媒や分散媒を使用することができ、乾式混合の場合、溶媒や分散媒を使用しないこともある。
【0145】
原料に含有される溶媒(水系溶媒または有機溶媒)は、二次電池の分野において正極または負極活物質スラリーの製造時に通常使用する水系溶媒または有機溶媒であればよい。具体的には、水系溶媒は、水、イソプロピルアルコール、プロパノール、メタノール、エタノールなどを含む溶媒が挙げられ、有機溶媒は、アセトン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、ノルマルヘキサン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランまたはこれらの混合溶媒などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0146】
本発明の一実施形態による製造方法において、活物質バルクは、原料に物理的な力を印加して製造された成形体であってもよく、成形体に熱を印加して製造された焼結体であってもよい。
【0147】
成形体は、電極活物質が塑性変形し互いに結着し一定の強度を有することができ、焼結体は、焼結によって一体のものに結着が行われ一定の強度を有することができる。そのため、成形体または焼結体である活物質バルクは、有機バインダーを含有しないバインダーフリー(binder-free)活物質バルクであってもよく、これによって、活物質膜またバインダーフリー活物質膜が製造され得る。しかし、これは、成形体や焼結体である活物質バルクを製造した後、これを切断して活物質膜を製造する本発明の一実施形態による製造方法によって可能な一例であり、本発明においてバインダーフリー活物質バルクがバインダーフリー活物質膜に制限されるものではない。
【0148】
成形体である活物質バルクを製造しようとする場合、活物質バルクの製造ステップは、原料の1方向、2方向または等方向の圧縮成形によって製造され得る。具体的には、成形体である活物質バルクの製造ステップは、原料を混合するステップと、混合した原料を加圧(圧縮)成形するステップとを含むことができる。
【0149】
原料の混合は、乾式または湿式混合であってもよい。乾式混合は、溶媒(または分散媒)を使用せず、粒子状の電極活物質を炭素前駆体などの添加剤と混合して行われ得る。湿式混合の場合、溶媒や分散媒を使用するが、従来の活物質スラリーの製造工程とは異なり、固形分の含量が非常に高い状態(一例として、固形分60重量%以上、具体例として固形分70重量%以上)で混合を行うことができ、溶媒や分散媒として使用される水系溶媒乃至有機溶媒の使用量を著しく減少させることができる。湿式混合が行われる場合、成形の前または成形の後、溶媒(または分散媒)を揮発除去する乾燥ステップがさらに行われ得る。
【0150】
圧縮成形は、目的とするバルクの三次元形状およびサイズに対応する内部収容空間を有するモールドに混合した原料を投入した後、1軸加圧(pressing)、2軸加圧または等方向加圧により原料に圧縮力を印加することで行われ得る。成形時に加えられる圧力は、原料に含有された物質の種類と焼結特性、設計された気孔率などを考慮して適切に調節されればよい。具体例として、成形は、10~120MPaの圧力で行われ得るが、これに限定されない。
【0151】
成形体である活物質バルクは、電極活物質が塑性変形可能な物質、具体例として、負極活物質、実質的な一例として、天然黒鉛および人造黒鉛から選択される一つ以上の炭素系負極活物質を含有することができる。かかる場合、加圧(圧縮)成形時に電極活物質の塑性変形が発生するため、最小限の添加剤を使用して自立可能な三次元立体が製造され得る。また、これとは独立に、圧縮によって電極活物質が塑性変形し圧力印加方向に押圧された形態、すなわち、押圧された粒子としてその形状が変形し押圧された粒子(電極活物質粒子)によって活物質バルクに、電極活物質の配向性が形成され得る。かかる電極活物質の配向性は、電極の充電および放電レート特性を向上させることができ、有利である。かかる面で、活物質バルクが成形体である場合、モールドに混合された原料を投入した後、1軸加圧または2軸加圧によって成形体を製造することが好ましい。
【0152】
しかし、本発明が塑性変形によってのみ配向性がもたらされるものと限定して解釈してはならない。一例として、電極活物質が鱗片状の黒鉛系活物質などのように板状やフレーク状の場合、成形のためにモールドに原料を投入してパッキング(packing)する過程ですでに配向性が形成されていることもあり、バルク製造ステップにおいて液状混練状態で磁場を加えて配向性を制御することもできる。また、負極活物質が鱗片状の黒鉛系活物質と球状の天然黒鉛をいずれも含有する場合、鱗片状の黒鉛系活物質は、成形のための圧縮力に対して垂直方向に配向され得、球状の天然黒鉛は、塑性変形を行って圧縮力に対して垂直方向に配向され得る。
【0153】
図1は電極活物質が塑性変形可能な物質、具体例として、炭素系負極活物質の場合、成形前の炭素系負極活物質粒子110を含有する原料100を圧縮成形して製造された成形体200および成形体200内の炭素系負極活物質の押圧された粒子210を図示した図である。
図1に図示した一例のように、圧縮成形によって炭素系負極活物質粒子110が、一定の方向に変形した押圧された粒子210が形成され得、かかる押圧された粒子によって成形体200には電極活物質粒子の配向性(
図1の矢印で図示)が形成され得る。
【0154】
本発明の一実施形態による製造方法により、活物質バルクが製造された後、これを切断して集電体に付着される活物質膜が製造されることで、電極活物質の配向性を有する活物質バルクを切断する切断方向によって、活物質膜の厚さ方向への配向性(電極活物質粒子の配向方向)が制御され得る。
【0155】
かかる電極活物質膜の配向性は、スラリーの塗布および圧延という従来のスラリーベースの電極の製造技術では実質的に実現され難い。これは、活物質スラリーが集電体に塗布された後、圧延が行われることによって、活物質の塑性変形(plastic deformation、永久変形)が発生する場合、塑性変形した電極活物質粒子の配向性は、集電体と活物質層の界面方向(活物質層の表面の面内方向と同一)に平行な方向に限定されるしかないためである。
【0156】
しかし、
図2に図示した一例のように、単に電極活物質の配向性を有する活物質バルク200の切断方向(
図2のCD)を調節するだけで、活物質膜300の厚さ方向を基準とした電極活物質の配向方向が制御され得る。
【0157】
特に、
図2の下部に図示した例のように、活物質バルク200の切断方向CDが押圧された粒子の押圧された方向に対して平行な、すなわち、押圧された粒子の押圧された面と垂直な方向の場合、活物質膜300の厚さ方向と活物質粒子(押圧された粒子)の配向方向が実質的に平行で、粒子と粒子との間の空間を介した電解液の含浸およびリチウムイオンのように充放電に関わるイオンの拡散がよりスムーズに行われ得る。
【0158】
これとは異なり、活物質バルクは焼結体であってもよく、原料(または成形体)に熱を印加して焼結体である活物質バルクが製造され得る。具体的には、活物質バルクが焼結体である場合、本発明の一実施形態による製造方法は、原料をモールドに投入し成形して成形体を製造するステップと、成形体に熱を印加して焼結体を製造するステップとを含むことができる。この際、成形体の製造ステップと焼結体の製造ステップが同時に行われてもよい。すなわち、原料に熱とともに物理的な力が同時に印加されて焼結体が製造され得る。熱とともに機械的な力(物理的な力)が印加される具体例として、熱間加圧焼結などが挙げられる。熱の印加は、通常のファーネスを用いた熱処理により行われ得るが、これに限定されず、SPS(spark plasma sintering)など、焼結体を製造するために使用すると知られているいかなる方法を用いて行われてもよい。この際、熱処理(熱の印加)の時に、具体的な電極活物質の種類を考慮して雰囲気が制御され得ることは言うまでもない。一例として、電極活物質が炭素系活物質を含む場合、窒素、アルゴンなどの非酸化性雰囲気で熱処理が行われ得、電極活物質が酸化物系活物質を含む場合、大気などの酸素雰囲気で熱処理が行われ得る。
【0159】
焼結体である活物質バルクの製造時に原料の電極活物質は、正極活物質または負極活物質であってもよい。一例として、焼結体である活物質バルクを製造しようとする場合、原料の電極活物質は、正極活物質または非炭素系負極活物質を含むことができる。焼結体は、熱の印加(具体例として、熱処理)によって電極活物質粒子間の粒界(grain boundary)やネック(neck)が形成され、粒子状の電極活物質が一体に結着(融合)した状態であってもよい。もしくは、これとは異なり、焼結体は、活物質粒子が熱分解炭素(炭素前駆体由来の熱分解炭素)によって互いに結着された状態であってもよい。活物質バルクが電極活物質の焼結体である場合、電極活物質粒子の平均粒径、分布および焼結程度によって、気孔構造や気孔率などが容易に制御され得る。
【0160】
具体例として、活物質バルクは、原料の電極活物質粒子がネック(neck)を形成し互いに結着した焼結体であってもよい。
図3は原料で互いに隣接する二つの電極活物質粒子110を基準としてネック(neck、
図3で矢印で図示)によって互いに結着した活物質粒子210を図示した図である。周知のように、焼結過程は、初期、中期、末期に分けられ、焼結初期段階(initial stage)は、粒子と粒子との間にネック(neck)が形成される段階である。原料に含有される添加剤の種類と含量に応じてある程度変わることがあるが、焼結初期段階は、焼結収縮が約3~10%(体積%)、具体的には3~7%に至る段階に相当し得る。焼結初期段階で成形体内の気孔は、実質的にほとんど開放された気孔(open pore)として存在し、主に、粒子と粒子の接触点で主に物質移動(拡散)が発生し、粒子と粒子との間がネックで互いに連結される段階である。これによって、焼結体が電極活物質粒子間ネックが形成された焼結初期段階の生成物の場合、切断、移送、付着などの工程中に安定したハンドリングおよび工程の遂行が可能な機械的(物理的)強度を有するとともに多量の開放された気孔を含有することができ、電解液含浸および電気化学的反応面積の向上の面で非常に有利である。また、切断膜が非常に厚い厚膜形態であっても切断方向とは無関係に多量の開放された気孔チャンネルが切断膜を貫通する構造を有することができ、切断膜の厚さ方向に電解液が均一に浸透することができる。
【0161】
しかし、本発明において焼結体が電極活物質粒子間ネックで連結された状態に限定して解釈してはならず、前記で詳述したように、成形体や原料に熱、具体的には物質の移動が可能な熱エネルギー、実質的には300℃以上の熱処理、より実質的には500℃以上の熱処理、さらに実質的には600℃以上の熱処理が行われて取得される生成物として解釈され得る。
【0162】
また、原料の具体的な物質によって、焼結体の製造のための熱の印加によって、または必要に応じて、焼結体の製造後、別の独立した熱処理工程によって、気孔形成剤の分解除去(burn-out)、導電材と活物質の結着(導電材の溶融結着を含む)、バインダーの分解除去、バインダーの炭化、電極活物質前駆体の電極活物質への転換、炭素前駆体の炭素(熱分解炭素)への転換、および/または熱分解炭素の黒鉛化処理などが行われ得る。
【0163】
一例として、負極活物質がハードカーボンやソフトカーボンといった塑性変形が難しい物質の場合、または必要に応じて塑性変更可能な天然黒鉛のような物質であっても、粒子状の電極活物質(ハードカーボン、ソフトカーボン、天然黒鉛など)と炭素前駆体を含有する原料を成形して成形体を製造した後、熱を印加して炭素前駆体を炭素に転換することで、焼結体状の活物質バルクを製造することができる。かかる場合、焼結体は、粒子状の電極活物質は少なくとも、炭素前駆体から転換された炭素(熱分解炭素)によって結着した状態であってもよい。
【0164】
すなわち、活物質バルクは、粒子状の活物質および粒子状の活物質を結着させる熱分解炭素を含むことができ、かかる活物質バルクから製造される活物質膜もまた粒子状の活物質および電極活物質粒子の間を結着させる熱分解炭素を含むことができる。
【0165】
従来のスラリーベースの電極の製造技術の場合、粒子のスラリーを集電体に塗布して活物質「合剤層」という層構造を維持しなければならないため、活物質層の電極活物質分率を阻害し、電気的特性を減少させるにもかかわらず、バインダーの使用が不可避であった。
【0166】
しかし、本発明の一実施形態による製造方法の場合、電極活物質粒子間の粒界やネックの形成または炭素前駆体から転換された炭素(熱分解炭素)による結着などによって自立可能な焼結体が製造され得る。
【0167】
これにより、活物質バルクは、バインダーフリー焼結体であってもよく、これを切断して製造される活物質膜もまたバインダーを含有しないバインダーフリー膜であってもよい。この際、バインダーフリーは、有機バインダーを含有しないものと解釈し得る。実験的に、バインダーフリーは、Arなどの不活性雰囲気で1分当たり5℃の昇温速度で600℃まで昇温して電極の重量減少率を測定した時、重量減少率が2%以内、実質的には1%以内、より実質的には0.5%以内、さらに実質的には誤差範囲内に重量減少が発生しない場合を意味し得る。
【0168】
炭素前駆体から由来する炭素、具体的には熱分解炭素は、伝導性を向上させるための導電材の役割、粒子状の活物質を結着させる役割を行うことができ、リチウムの挿入が可能な活物質としても作用することができる。
【0169】
したがって、バインダーフリーは、有機バインダーフリーとして解釈され得、バインダーフリー活物質バルク(バインダーフリー成形体またはバインダーフリー焼結体)は、有機バインダーを含有しない成形体や焼結体を意味し得る。具体例として、バインダーフリー焼結体は、活物質からなる焼結体;活物質および残留炭素(有機バインダー分解などによる残留炭素)からなる焼結体;活物質および導電材からなる焼結体;活物質、導電材および残留炭素からなる焼結体;活物質および炭素前駆体由来の炭素からなる焼結体;活物質、炭素前駆体由来の炭素および残留炭素からなる焼結体;活物質、導電材および炭素前駆体由来の炭素からなる焼結体;または活物質、導電材、炭素前駆体由来の炭素および残留炭素からなる焼結体などを含むことができる。
【0170】
上述のように、本発明の製造方法的な構成により、活物質膜は、有機バインダーを含有しないバインダーフリー膜であってもよい。これに限定されるものではないが、バインダーフリー膜である活物質膜は、電極活物質からなるか、電極活物質と導電材からなるか、電極活物質と結着役割をする炭素からなることができる。
【0171】
しかし、本発明の製造方法的な構成によってバインダーフリー活物質膜が製造可能であり、必要に応じて、本発明の活物質膜が有機バインダーを含有できることは言うまでもなく、本発明が有機バインダーを含有する活物質膜や有機バインダーを含有する活物質バルクを排除するものと解釈してはならない。
【0172】
また、活物質バルクが焼結体の場合、焼結前に成形された成形体は、有機バインダーを含有できることは言うまでもなく、焼結過程で有機バインダーがバーン-アウト(burn-out)し、バインダーフリー焼結体が製造され得ることは言うまでもない。前記有機バインダーは、バーン-アウト(burn-out)時に工程雰囲気によって残留炭素を残すことも残さないこともある。工程雰囲気が酸化性雰囲気の場合は、残留炭素を残さないこともあり、単に活物質粒子が焼結前の物理的一体化をなすように補助する役割をする。また、バーンアウト雰囲気が非酸化性雰囲気の場合、有機バインダーは、残留炭素を残して活物質粒子の表面に炭素をコーティングするか、粒子と粒子を残留炭素に結着する役割を行うことができる。
【0173】
また、原料が粒子状の電極活物質とともに、バインダーである添加剤をさらに含む場合、塑性変形が難しい電極活物質、一例として、非炭素系負極活物質、ハードカーボンやソフトカーボン、正極活物質もまた成形体状に活物質バルクを製造できることは言うまでもない。
【0174】
また、原料が粒子状の電極活物質とともに、導電材である添加剤をさらに含む場合、導電材が均一に分散含有された活物質バルクの製造が可能であり、特に、導電材がナノ構造体を含む場合、ナノ構造体のネットワークによって連続した電流移動経路が形成された活物質バルクの製造が可能である。また、活物質バルク内に含有された導電材は、バルク化のために印加される圧力または圧力と熱によって変形、圧着、軟化乃至部分溶融され、導電材間乃至電極活物質と結着した状態であってもよい。
【0175】
また、粒子状の電極活物質がコア-シェル構造の複合粒子の場合、複合粒子自体が使用されてもよく、コア粒子(電極活物質粒子)とシェル物質それぞれを用いて、原料の混合過程でコア-シェル構造の複合粒子が製造されるようにすることができることは言うまでもない。
【0176】
実質的な一例として、電極活物質が炭素系負極活物質の場合、炭素系負極活物質コア-炭素前駆体シェルのコア-シェル複合粒子を含む原料を加圧成形して成形体を製造した後、熱処理によりシェルの炭素前駆体を炭素に転換して活物質バルクを製造することができる。これとは異なり、炭素系負極活物質コア粒子および炭素前駆体(溶融相、固相または溶媒に溶解された溶解相)を含む原料を混合した後、加圧成形して成形体を製造した後、熱処理により、コア粒子にコーティングされた状態である炭素前駆体を炭素に転換し、活物質バルクを製造することができる。
【0177】
上述の実質的な一例において、炭素前駆体は、成形体でバインダーの役割を行うことができる。かかる場合、炭素前駆体が熱処理によって炭素に転換された後にも活物質を互いに結着して伝導性経路を提供することができ、有利であり、炭素系物質からなる炭素系活物質バルクの製造が可能で、有利である。また、炭素系電極活物質として高価の球状黒鉛の代わりに低価の板状黒鉛でも炭素系活物質バルクを製造できるという利点がある。一般的な電極の製造方式で板状黒鉛を用いて電極を製造する場合、圧延によって集電体と平行な方向に鱗片状黒鉛が配向されるため、電極に対して垂直な方向への電解液の含浸が難しくなるか、速度が遅くなる現象によって、充放電レート特性が低下するという問題がある。しかし、本発明の一実施形態による製造方法を用いる場合、板状黒鉛を用いて電極を製造する時、活物質バルクの切断方向を調節することで、電極集全体において鱗片状黒鉛が垂直方向への配向性を有するように調節することができ、電解液の含浸を容易にすることができ、電池反応速度を向上させることができる。また、配向を行うとともに気孔形成剤および/または気孔維持構造体を使用するか、成形圧力などを用いて気孔率を調節することができ、従来の鱗片状黒鉛の使用時の問題を解決することができ、商業的に有利である。
【0178】
気孔維持構造体は、気孔形成剤と区別される概念であって、板状ではなく、板状黒鉛に比べ、少なくとも1/2以下の平均粒径を示す活物質粒子として板状粒子の間に分散して位置することで、板状黒鉛が面対面に完全にくっついて気孔率が小さい場合、板状黒鉛粒子と粒子の面との間に位置し、面と面の空間を開ける役割をする活物質を意味し得る。具体例としては、ハードカーボン、ソフトカーボン、粒状化人造黒鉛、不定形粒子形態の人造黒鉛、MCMB(mesocarbon microbead)、球状天然黒鉛、Li4Ti5O12などのよく知られた負極活物質であれば可能である。
【0179】
上述のように、板状黒鉛を粒子状の電極活物質として使用する場合にも、加圧成形によって板状黒鉛がパッキング(packing)されることで、粒子単位で配向性を有する成形体が製造され得る。この際、板状黒鉛とともに炭素前駆体を使用(複合粒子の形態や活物質とは別の添加剤の形態)することで、成形強度を向上させることができることは言うまでもない。
【0180】
熱処理によって炭素系前駆体を炭素に転換(熱分解)して活物質バルクの電気伝導度を向上させることができ、必要に応じて、選択的に、黒鉛化熱処理をさらに行って負極活物質に転換することもできることは言うまでもない。熱分解は、炭素系前駆体の具体的な物質を考慮し、従来知られている条件で行えばよく、黒鉛化処理も炭素を黒鉛化するために使用される従来知られている条件で行えばよい。一例として、熱分解は、600~1500℃の温度で行われ得、黒鉛化は、2800℃以上の温度で行われ得るが、かかる範囲に限定されないことは言うまでもない。
【0181】
すなわち、一具体例による製造方法は、活物質および炭素前駆体を含有する原料、または活物質、炭素前駆体および導電材を含有する原料を成形し、成形体を製造するステップと、成形体に熱処理を施し、焼結体を製造するステップとを含むことができる。この際、焼結のための熱処理の時に炭素前駆体の熱分解が同時に発生することができる。必要に応じて、より完全な熱分解のために、焼結体に熱処理を施し、炭素系前駆体が炭素に熱分解された2次焼結体を製造するステップがさらに行われ得る。また、必要に応じて、熱分解炭素を黒鉛化するために、焼結体または2次焼結体に熱処理を施し、熱分解炭素が黒鉛化された焼結体を製造するステップがさらに行われ得る。
【0182】
本発明の一具体例において、成形体または焼結体である活物質バルクの見掛気孔率は、10~45%であってもよく、具体的には15~40%であってもよい。また、活物質膜の見掛気孔率は、10~45%であってもよく、具体的には15~40%であってもよい。活物質膜が活物質バルクを切断して製造されることで、活物質膜は、活物質バルクと実質的に同一の気孔率を有することができる。
【0183】
原料に含有される添加剤の種類や含量などによって、活物質バルク(および活物質膜)の組成が変わり得る。原料が導電材を含有する場合、すなわち、活物質膜が導電材を含有する場合、活物質膜は、電極活物質100重量部に対して、1~30重量部、具体例として1~20重量部の導電材を含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0184】
原料の有機バインダーや炭素前駆体によって、活物質膜が熱分解炭素を含有する場合、活物質膜は、電極活物質100重量部に対して、0.5~30重量部の熱分解炭素、具体例として1~25重量部の熱分解炭素を含有することができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0185】
成形体または焼結体で活物質バルクを製造した後、面取りや直方体などの目的とする寸法で加工するために、活物質バルクを切削および/または研削加工する加工ステップがさらに行われ得ることは言うまでもない。
【0186】
製造された活物質バルクの切断は、ワイヤソー(wire saw)、レーザカットなど、従来の半導体ウェハの製造のために使用される半導体インゴット(ingot)を切断するために通常使用される方法を使用して行われ得、本発明が活物質バルクの具体的な切断方法によって限定されるものではない。
【0187】
活物質バルクを切断するが、切断幅を調節して活物質膜の厚さを容易に調節することができ、単一の活物質バルクを繰り返して切断することで、実質的に同一の品質の活物質膜を大量生産することができる。活物質バルクの切断幅によって活物質膜の厚さが制御されることで、製造される活物質膜の厚さに制約がなく、スラリー塗布技術によっては製造され難い、厚さ200μm以上の厚膜状の活物質膜も容易に製造することができる。しかし、本発明が活物質膜の厚さによって限定されないことは言うまでもなく、活物質膜の厚さは、活物質二次電池の用途に応じて適宜調節され得ることは言うまでもない。具体例として、活物質膜の厚さは、数十マイクロメートルオーダ(order)から数ミリメートルオーダ(order)に至ることができ、より具体的には10μm~500μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0188】
図4は成形体である活物質バルクを切断して製造された活物質膜300の断面を図示した図であり、
図5は焼結体である活物質バルクを切断して製造された活物質膜300の断面を図示した図である。
図4および
図5において、明確な理解のために、活物質膜(または活物質バルク)が電極活物質からなる場合を図示しているが、上述のように、活物質バルクは導電材、炭素系前駆体および/またはバインダーなどの添加剤をさらに含むことができることは言うまでもない。
【0189】
図4および
図5に図示した一例のように、活物質膜300が活物質バルク200から切断された切断膜である製造方法的な構成によって、活物質膜の表面に位置する活物質は、切断された粒子状であってもよい。この際、切断された粒子状の切断された面は、活物質膜300の表面と平行であってもよい。他に詳述すると、活物質膜300の表面は、切断された粒子状の切断された面を含むことができる。
【0190】
この際、
図4のように、活物質バルクが成形体である場合、切断された粒子状は、活物質バルクの内部の中心に位置する電極活物質粒子(内部粒子)の形状が基準となり、任意の一平面に沿って、内部粒子が切断された形状を意味し得る。
【0191】
また、
図5のように、活物質バルクが焼結体である場合、切断された粒子状は、活物質バルクの内部の中心に位置して互いに結着した状態の電極活物質粒子(内部粒子)の形状が基準となり、任意の一平面に沿って、内部粒子が切断された形状を意味し得る。上述のことおよび
図5に図示した一例のように、活物質バルクが焼結体である場合、活物質バルクは、原料として含有される電極活物質粒子110間ネックが形成された焼結初期の焼結体であることが有利である。そのため、活物質バルクが焼結体である場合、原料として含有される電極活物質粒子110の形状を基準として任意の一平面に沿って、原料として含有される電極活物質粒子110が切断された形状を意味し得る。原料として含有される電極活物質粒子基準の切断された形状で、切断された粒子は、厳密には、原料として含有される電極活物質粒子110の切断された粒子状に解釈されてはならない。焼結体の製造のための熱処理の際、緻密化や粒子成長によって物質の移動が行われ、粒子間接触点に凹状の曲率領域が生成されるため、かかる凹状の曲率領域であるネック領域が切断された形状で適切に考慮され得ることは言うまでもない。
【0192】
本発明の一実施形態による製造方法は、活物質バルクを切断して活物質膜を製造した後および一体化する前、または活物質膜と集電体を一体化した後、活物質膜の少なくとも一表面に表面処理を施すステップをさらに含むことができる。かかる表面処理は、表面粗さ調節を含むことができる。具体的には、表面処理ステップは、活物質膜の少なくとも一表面の表面粗さを相対的に(処理前の活物質膜の表面に比べ)減少させる処理であるか、活物質膜の少なくとも一表面の表面粗さを相対的に増加させる処理であってもよく、活物質膜の一表面の表面粗さは減少させ、他の一表面の表面粗さは増加させる処理であってもよい。
【0193】
表面粗さを相対的に減少させる処理の一例として、表面研磨(polishing)が挙げられ、表面粗さを相対的に増加させる処理の一例として、表面エッチング、機械的スクラッチ(scratch)などが挙げられる。この際、表面エッチングは、プラズマエッチング、活物質膜が炭素系電極活物質を含む場合、表面領域の部分酸化などが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、無機膜や炭素系膜の表面粗さを増加または減少させるために通常使用されるいかなる表面処理方法を使用してもよい。
【0194】
活物質バルクから活物質膜を製造した後、集電体と活物質膜を一体化するステップ(結着ステップ)が行われ得る。この際、一体化は、集電体と活物質膜が直接結着された状態、または集電体と活物質膜が互いに付着された状態を意味し得る。
【0195】
結着ステップの一例として、活物質膜の上に金属膜が直接形成されて一体化が行われ得る。活物質膜が活物質バルクから切断された膜である構成、具体的には、自立可能な膜である構成によって、活物質膜は、基材(基板)として作用することができる。そのため、活物質膜を基材として、活物質膜の一面に金属膜を形成することで、集電体と活物質膜との一体化が行われ得る。金属膜の形成は、金属の蒸着(化学的、物理的蒸着を含む)や、伝導性インクの塗布および熱処理などのように、従来の電極や金属膜を形成するために通常使用する方法であればよい。
【0196】
結着ステップの他の一例として、結着ステップは、c1)集電体の表面と前記活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着層を形成するステップと、c2)前記接着層を挟んで集電体と前記活物質膜が当接するように積層するステップとを含むことができる。
【0197】
接着層は、集電体の一表面、活物質膜の一表面または集電体の一表面と活物質膜の一表面それぞれに形成され得る。接着層の形成は、接着剤が流動相である場合、集電体の表面と活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着剤を塗布して形成され得る。接着剤の塗布は、液相や分散相の塗布に通常使用される塗布方法で行われればよく、一例として、ディップコーティング、スピンコーティング、キャスティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ブレードコーティングおよびロールコーティング、スプレー、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、電気流体力学プリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、インプリンティング、グラビアプリンティング、オフセット-リバースオフセットプリンティングなどから選択される一つ以上の塗布方法で行われ得、コーティングは、面コーティング、線コーティング、点コーティングなどの形態で行われ得るが、これに限定されるものではない。接着剤が独立したフィルム形態の場合、集電体の表面と活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着剤フィルムを付着して形成され得る。この際、接着剤の塗布量は0.1~1mg/cm2水準であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0198】
集電体の表面と活物質膜の表面のうち少なくとも一表面に接着層を形成した後、接着層を挟んで集電体と前記活物質膜が当接するように積層して活物質膜を集電体に付着することができる。均一な接着、接着剤の硬化、結着力の強化や迅速な結着などのために、集電体と活物質膜の積層の際、熱、光および圧力のうち一つ以上が印加され得る。実質的な一例として、集電体と活物質膜の積層時に、熱が印加され得、熱とともに圧力が印加され得る。接着時に熱と圧力が印加される一具体例として、熱間圧着などが挙げられ、熱間圧着の際、圧力は、面圧方式および線圧方式のプレスなどによって印加され得るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0199】
結着ステップにおいて、集電体の少なくとも一面、すなわち、集電体の一面または集電体の二つの対向面それぞれに活物質膜が結着され得る。
【0200】
集電体の互いに対向する二つの面それぞれに活物質膜を付着しようとする場合、集電体の互いに対向する二つの表面のうち一表面に、c1)~c2)ステップにより活物質膜を付着した後、二つの対向面のうち他の一表面にまたc1)~c2)ステップにより活物質膜を付着し、集電体の互いに対向する二つの面それぞれに活物質膜を付着することができる。
【0201】
これとは異なり、c1)ステップにおいて接着層を挟んで集電体の二つの対向面それぞれが活物質膜と当接するように接着層を形成し、c2)ステップにおいて集電体を中心に接着層と活物質膜がサンドイッチ構造を成すように積層することで、集電体の互いに対向する二つの面それぞれに活物質膜を付着することができる。
【0202】
前記で詳述したように、電極の活物質膜は、自立可能な膜であってもよく、
図4のように成形体から切断された切断膜や、
図5のように焼結体から切断された切断膜であってもよい。
【0203】
図6は電極の断面を図示した一断面図であり、接着層400によって、集電体500の二つの対向面それぞれに電極活物質210と伝導性粒子220を含む活物質膜300が付着された例を図示した図である。
図6の活物質膜300は、塑性変形可能な粒子状の電極活物質が加圧成形によって押圧された粒子状に塑性変形し、電極活物質粒子の配向性が形成されるか、フレーク状の電極活物質が加圧成形され、一方向にパッキング(packing)されることで、電極活物質粒子の配向性(粒子単位の配向性)が形成された成形体から切断された切断膜を図示した例である。また、
図6の活物質膜300は、活物質バルクを、活物質バルク内の電極活物質の配向方向に対して垂直に切断面が形成されるように切断し、活物質膜の厚さ方向と膜内の活物質の配向方向(活物質粒子単位の配向方向)が実質的に平行な例である。
【0204】
図6に図示したように、活物質膜300の厚さ方向と電極活物質の配向方向(活物質粒子単位の配向方向)が実質的に平行な場合、粒子と粒子との間の隙間が開放された気孔を形成し、活物質膜の表面で集電体側との界面で膜を横切る流体移動経路を形成し、実質的に膜の厚さと無関係に安定的で均一に電解液(およびリチウムイオン)が浸透することができる。
【0205】
また、
図5のように、活物質膜が電極活物質粒子間ネックが形成された膜、すなわち、初期焼結ステップの焼結体から切断された切断膜である場合にも、同様に、粒子と粒子との間の連続した隙間により、開放された表面気孔と活物質膜の厚さを横切る気孔チャンネルが均一に形成され、実質的に膜の厚さと無関係に安定的で均一に電解液(およびリチウムイオン)が浸透することができる。
【0206】
接着層400は、硬化能を有する樹脂を含むことができる。この際、硬化能を有するとは、化学的変化、乾燥(溶媒の揮発除去)または固化によって流動性を失って固まり得る能力を意味する。
【0207】
詳細には、硬化能を有する樹脂の硬化能は、液相(溶融相)から固相への相変態(固化)による硬化、溶媒の揮発除去による硬化および/または化学的変化による硬化を含むことができる。これにより、硬化能を有する樹脂は、溶媒に溶解された状態の樹脂(樹脂溶液)、熱可塑性樹脂(溶融-凝固によって固化能を有する樹脂)、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂および化学硬化性樹脂から選択される一つまたは二つ以上の樹脂などが挙げられる。
【0208】
熱可塑性樹脂は、熱を印加した時に溶融(乃至軟化)が発生する周知のいかなる樹脂も使用可能である。一例として、熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などを含むことができるが、これに限定されるものではない。熱可塑性樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用可能である。
【0209】
接着層が熱可塑性樹脂を含む場合、接着層を挟んで集電体と活物質膜が当接するように積層された積層体に熱を印加し、熱可塑性樹脂の溶融(または軟化)および冷却によって活物質膜が集電体に結着し得る。この際、結着力を向上させ、均一な結着が行われるように熱とともに圧力が印加され得ることは言うまでもない。
【0210】
接着層が樹脂溶液を含む場合、樹脂溶液の塗布膜を挟んで集電体と活物質膜が当接するように接着層を積層し、樹脂溶液の溶媒を揮発除去することで、活物質膜が集電体に結着され得る。樹脂溶液の使用時に樹脂溶液に溶解された樹脂は、前記で添加剤の一例として詳述したバインダー物質(水系バインダーおよび/または非水系バインダー)を含むことができる。
【0211】
上述のように、接着層は、熱硬化性、光硬化性および/または化学的硬化性の硬化性樹脂を含むことができる。この際、集電体や活物質層の光透過率が低い場合、接着層は、熱硬化性樹脂および/または化学的硬化性樹脂を含むことが好ましい。
【0212】
熱硬化性樹脂または化学的硬化性樹脂は、熱または化学的に硬化されるものと知られているいかなる樹脂でもよく、一例として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂などが挙げられるが、これに限定されるものではない。硬化性樹脂は、単独でまたは2種以上組み合わせても使用してもよい。接着層が熱硬化性樹脂または化学的硬化性樹脂を含む場合、当該樹脂に使用するものと知られている硬化剤や硬化促進剤をさらに含み得ることは言うまでもない。
【0213】
接着層は、伝導性または非伝導性であってもよい。
【0214】
接着層が非伝導性の場合、接着層は、上述の硬化能を有する非伝導性樹脂を含むことができる。
【0215】
接着層が伝導性の場合、接着層は、伝導性樹脂、伝導性粒子および伝導性ナノ構造体から選択される一つ以上の伝導性成分を含むことができる。かかる伝導性成分は、樹脂溶液や樹脂溶融液などに混合されて樹脂とともに塗布され得る。
【0216】
具体例として、接着層が伝導性の場合、接着層は、上述の硬化能を有する非伝導性樹脂とともに、伝導性粒子および伝導性ナノ構造体から選択される一つ以上の成分を含むことができる。
【0217】
具体例として、接着層が伝導性の場合、接着層は、伝導性樹脂を含むことができる。伝導性樹脂は、少なくとも溶媒の揮発除去による硬化能(すなわち、乾燥による硬化)を有することができるが、これに限定されるものではなく、官能基によって熱や化学硬化能を有するか、凝固(溶融-凝固の相変態)による硬化能を有することもできることは言うまでもない。
【0218】
具体例として、接着層が伝導性の場合、接着層は、伝導性樹脂とともに、伝導性粒子および伝導性ナノ構造体から選択される一つ以上の成分を含むことができる。
【0219】
すなわち、接着層は、樹脂マトリックスを含むことができ、樹脂マトリックスが硬化能を有する伝導性樹脂である伝導性接着層であってもよい。もしくは、接着層は、樹脂マトリックスを含むことができ、樹脂マットリックスが非伝導性樹脂であり、樹脂マトリックスに分散されて位置し、伝導性粒子および伝導性ナノ構造体から選択される一つ以上の分散相を含む伝導性接着層であってもよい。
【0220】
接着層の伝導性粒子は、伝導性樹脂粒子、金属の粒子、非伝導性コア-伝導性シェル(伝導性樹脂のシェルまたは金属シェル)のコアシェル粒子および伝導性コア-非伝導性シェルのコアシェル粒子から選択される一つまたは二つ以上の粒子を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0221】
接着層の伝導性ナノ構造体は、銀ナノワイヤのような金属ナノワイヤ;カーボンナノチューブなどの伝導性ナノチューブ;金ナノプレートや銀ナノプレートなどの金属ナノプレート;グラフェンなどの二次元炭素体、銀ナノロッドなどの金属ナノロッド;またはこれらの混合物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0222】
接着層の伝導性樹脂は、ポリアセンチレン(Polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)、PEDOT:PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate))、ポラアニリン(polyanilne)、P3MT(poly(3-methylthiophene))、またはこれらの混合樹脂などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0223】
また、伝導性または非伝導性接着層は、従来の電子部品のフリップチップ接続やチップ実装などのパッケージング分野において接着のために使用される通常の非伝導性フィルム(NCF;non-conductive film)、異方伝導性フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)、伝導性フィルム(CF;conductive film)またはこれらの積層膜;であるか、異方伝導性ペースト(ACP;Anisotropic Conductive Paste)、伝導性ペースト(Conductive Paste)または非伝導性ペースト(NCP;Non-Conductive Paste)の塗布膜;であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0224】
集電体500は、二次電池分野において通常使用され、電池の作動時に化学的変化を誘発しないとともに、高い導電性を有する物質であれば使用可能である。具体的な一例として、集電体は、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、グラフェン、カーボンナノチューブ、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面に、カーボン、ニッケル、チタン、銀、グラフェン、カーボンナノチューブなどで表面処理を施したものなどが使用され得る。集電体は、フォーム(foam)、箔(film)、メッシュ(mesh)、フェルト(felt)または多孔性箔(perforated film)形態であってもよい。また、集電体は、その表面に表面凹凸が形成されていてもよい。突出構造を含む表面凹凸が形成された集電体の場合、結着面積が増加し、活物質膜と集電体との結着力を増加させることができ、電荷の伝達がより容易に発生することができる。
【0225】
本発明は、上述の製造方法により製造された二次電池用電極を含む。この際、二次電池は、電解液ベースの二次電池、具体的には、正極と、負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含む二次電池であってもよい。また、二次電池は、リチウム二次電池を含む。
【0226】
本発明は、上述の製造方法により製造された二次電池用電極を含むリチウム二次電池を含む。二次電池において、上述の製造方法により製造された二次電池用電極は、正極、負極または正極と負極であってもよい。
【0227】
これと共に、またはこれとは独立して、本発明は、二次電池用電極を提供する。
【0228】
本発明に係る二次電池用電極は、電極活物質を含有する活物質膜、集電体および活物質膜を集電体に付着させる接着剤を含むことができる。詳細には、電極は、集電体-接着剤層(接着層)-活物質膜の構造を有することができ、活物質膜が接着剤層(接着層)によって集電体の一面または集電体の両面にそれぞれに結着した電極であってもよい。
【0229】
本発明に係る二次電池用電極は、電極活物質を含有する活物質膜を含み、活物質膜は、有機バインダーを含有しないバインダーフリー(binder-free)膜であってもよい。
【0230】
本発明に係る二次電池用電極は、電極活物質を含有する活物質膜を含み、活物質膜は、自立可能な膜であってもよい。
【0231】
この際、二次電池は、電解液ベースの二次電池、具体的には、正極と、負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含む二次電池であってもよく、二次電池は、リチウム二次電池を含む。
【0232】
電極活物質スラリーを用いて活物質層を製造する従来技術の場合、電極活物質スラリーを塗布および乾燥した後、圧延が行われることで、活物質層の表面と内部の気孔率が異なるだけでなく、活物質層の表面で気孔が詰まる恐れがある。しかし、本発明は、活物質膜が活物質バルクを切断して製造されることで、活物質膜は、膜の厚さ方向に均一な気孔率を有することができ、活物質膜は、厚さ方向での位置とは無関係に実質的に同一の気孔率と気孔構造を有することができる。
【0233】
詳細には、活物質膜の断面を基準として、表面領域と膜の中央領域とは実質的に同一の気孔率を有することができる。均一な気孔率は、活物質膜の断面を基準として、表面領域での気孔率P1と中央領域での気孔率P2との差(P1-P2の絶対値)を中央領域での気孔率で除した比率が、10%以下、実質的には8%以下、より実質的には5%以下であってもよく、一例として、実質的に同一であり得る。この際、実質的に同一であるとは、測定誤差以内で同一であることを意味する。実験的には、活物質膜の断面の気孔率は、活物質膜の中心を横切る厚さ断面で、厚さ断面の単位面積当たり気孔が占める面積である。この際、表面領域は、活物質膜の厚さt0を基準として、表面で0.2t0までの領域を意味し得、中央領域は、厚さ断面の中心(中心線、0.5t0の仮想線)を基準として、上部および下部それぞれに0.1t0までの領域(0.4t0~0.6t0の領域)を意味し得る。また、表面領域の気孔率は、互いに対向する二つの表面のうち任意の一表面だけでなく、二つの表面それぞれでの気孔率を意味し得る。実験的には、厚さ断面を基準とする気孔率は、走査型電子顕微鏡などの断面観察イメージを用いて算出され得る。
【0234】
本発明の一実施形態による二次電池用電極において、電極活物質、活物質膜または集電体は二次電池用電極の製造方法で詳述したものと類似乃至同様であり、接着剤は、二次電池用電極の製造方法で詳述した接着層の物質と類似乃至同様である。これにより、本発明に係る二次電池用電極は、前記で詳述した二次電池用電極の製造方法に記載のすべての内容を含む。
【0235】
本発明は、上述の二次電池用電極を含む二次電池、具体的には、リチウム二次電池を含む。
【0236】
これと共に、またはこれとは独立して、本発明は、リチウム二次電池を含む。
【0237】
本発明に係るリチウム二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含み、正極および負極から選択される一つ以上の電極は、接着剤によって集電体の少なくとも一面に電極活物質を含有する活物質膜が付着されたものであってもよい。
【0238】
正極および負極から選択される一つ以上の電極が正極の場合、正極は、正極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着されたものであってもよい。すなわち、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着された正極と、負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含むことができる。この際、負極は、集電体上に位置する負極活物質層を含むことができ、負極活物質層の負極活物質は、リチウム二次電池の負極に通常使用される物質であればよく、負極活物質は、リチウムインターカレーション可能な物質であればよい。非限定的な一例として、負極活物質は、リチウム(金属リチウム)、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素、グラファイト、シリコン、Sn合金、Si合金、Sn酸化物、Si酸化物、Ti酸化物、Ni酸化物、Fe酸化物(FeO)およびリチウム-チタン酸化物(LiTiO2、Li4Ti5O12)などから選択される一つまたは二つ以上の物質であってもよい。
【0239】
正極および負極から選択される一つ以上の電極が負極の場合、負極は、負極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着されたものであってもよい。すなわち、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極と、負極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着した負極と、正極と負極の間に介在されたセパレータと、電解液とを含むことができる。この際、正極は、集電体上に位置する正極活物質層を含むことができ、正極活物質層の正極活物質は、リチウムイオンの可逆的な脱離/挿入が可能な物質であれば使用可能であり、通常のリチウム二次電池の正極に使用される電極物質であればよい。一例として、正極活物質は、LiCoO2に代表される層状構造の酸化物、LiMn2O4に代表されるスピネル構造の酸化物またはLiFePO4に代表されるオリビン構造のホスフェート系物質などであってもよい。
【0240】
正極および負極から選択される一つ以上の電極が正極と負極の場合、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着された正極と、負極活物質を含有する活物質膜が接着剤によって集電体の少なくとも一面に付着された負極と、正極と負極との間に介在されたセパレータと、電解液とを含むことができる。
【0241】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池において、電極活物質、活物質膜または集電体は、二次電池用電極の製造方法で詳述したものと類似乃至同様であり、接着剤は、二次電池用電極の製造方法で詳述した接着層の物質と類似乃至同様である。これにより、本発明に係るリチウム二次電池は、前記で詳述した二次電池用電極の製造方法に記載のすべての内容を含む。
【0242】
セパレータは、通常のリチウム二次電池においてリチウムイオンが透過され、正極と負極を電気的に絶縁させる微多孔膜であればよい。具体例として、セパレータは、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体およびエチレン/メタクリレート共重合体などのポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムの単独またはこれらの積層体であってもよく、もしくは、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0243】
セパレータは、通常のリチウム二次電池のように、単に正極と負極との間に位置し、正極と負極を分離させる役割を行うことができる。また、セパレータは、正極と負極のうち少なくとも一つ以上の電極に結着(付着)した状態であってもよい。
【0244】
電解質は、通常のリチウム二次電池において、電池の充電および放電に関わるイオンをスムーズに伝導させる通常の非水系電解質であればよい。一例として、非水系電解質は、非水系溶媒およびリチウム塩を含むことができる。非限定的な一例として、電解質に含有されるリチウム塩は、リチウムカチオンおよびNO3
-、N(CN)2
-、BF4
-、ClO4
-、PF6
-、(CF3)2PF4
-、(CF3)3PF3
-、(CF3)4PF2
-、(CF3)5PF-、(CF3)6P-、CF3SO3
-、CF3CF2SO3
-、(CF3SO2)2N-、(FSO2)2N-、CF3CF2(CF3)2CO-、(CF3SO2)2CH-、(SF5)3C-、(CF3SO2)3C-、CF3(CF2)7SO3
-、CF3CO2
-、CH3CO2
-、SCN-、および(CF3CF2SO2)2N-から選択される一つ以上のアニオンを提供する塩であってもよい。
【0245】
電解質の溶媒は、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、2,2,2-トリフルオロエチルプロピルカーボネート、メチルホルメート(methyl formate)、エチルホルメート、プロピルホルメート、ブチルホルメート、ジメチルエーテル(dimethyl ether)、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート(ethyl propionate)、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、メチルブチレート(methyl butyrate)、エチルブチレート、プロピルブチレート、ブチルブチレート、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、2-メチル-γ-ブチロラクトン、3-メチル-γ-ブチロラクトン、4-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-チオブチロラクトン、γ-エチル-γ-ブチロラクトン、β-メチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン(γ-valerolactone)、σ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン(γ-caprolactone)、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン(β-propiolactone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、トリメチルホスフェート(trimethyl phosphate)、トリエチルホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、メチルエチレンホスフェート、エチルエチレンホスフェート、ジメチルスルホン(dimethyl sulfone)、エチルメチルスルホン、メチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、メチルペンタフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロメチル)スルホン、ジ(ペンタフルオロエチル)スルホン、トリフルオロメチルペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチルノナフルオロブチルスルホン、ペンタフルオロエチルノナフルオロブチルスルホン、スルホラン(sulfolane)、3-メチルスルホラン、2-メチルスルホラン、3-エチルスルホランおよび2-エチルスルホランなどから選択される一つ以上の溶媒が挙げられる。しかし、本発明が上述のリチウム塩および溶媒によって限定されないことは言うまでもない。
【0246】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、正極と負極との間に介在されたセパレータを含む電極組立体を製造し、製造された電極組立体をケースに装入した後、電解質を注入し密封して製造することができる。もしくは、電解質に含浸された電極組立体をケースに装入および密封して製造することもできる。電池ケースは、リチウム二次電池の分野において通常使用されるものであればよい。一例として、円筒型、角型、パウチ型またはコイン型などが挙げられるが、本発明が電池ケースの具体的な形状によって制限されないことは言うまでもない。
【0247】
本発明は、上述の二次電池、一例として、リチウム二次電池を単位電池セルとし、単位電池セルが直列および/または並列連結された電池モジュールを含む。
【0248】
本発明は、上述の二次電池、一例として、リチウム二次電池によって電力が供給される装置を含む。具体例として、装置は、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグ-インハイブリッド電気自動車、電力貯蔵用システムなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0249】
図7は本発明の一実施形態により製造された活物質膜(3cm×5cm×280μm)の光学写真である。
図7の活物質膜は、成形および焼結によって活物質バルクを製造した後、電動ソー(saw)を用いて、280μmの厚さで切削したものである。詳細には、成形は、人造黒鉛:ピッチが8:2の重量比で混合された混合物を成形モールドに入れて圧縮し、1次成形した後、1次成形された成形体をCIP(cold isostatic pressing)で2次加圧して行われた。焼結は、酸素濃度50ppm以下の窒素雰囲気で製造された成形体を2℃/minの速度で700℃まで昇温し、700℃で60分間1次熱処理し、また700℃から1200℃まで3℃/minの速度で昇温し、1200℃で60分間2次熱処理し、活物質バルクを製造した。製造された活物質バルクおよび活物質膜の見掛気孔率は、実質的に同一であり、19.8%であった。
【0250】
図8の(a)は製造された活物質膜の表面の走査型電子顕微鏡写真であり、
図8の(b)は製造された活物質膜の厚さ断面の走査型電子顕微鏡写真である。
図8に示されているように、既に均一な特性を有する活物質バルクを切断して活物質膜が製造されることで、活物質膜の表面および厚さ断面で実質的に同一の気孔率を有し、活物質膜が開放された気孔構造を有することが分かる。また、製造された活物質膜の厚さ断面で表面領域と中央領域を観察して気孔面積を測定した結果、実質的に同一の気孔率を有することを確認した。
【0251】
図9は
図7および
図8の活物質膜を集電体であるCu箔(foil)に付着した負極の光学写真である。図
9の負極の製造の際、活物質膜を研磨(polishing)して鏡面化を行った後、鏡面化した面を集電体に付着し、伝導性接着剤として銅ペースト(30nmの銅ナノ粒子65重量%、スチレン-ブタジエンゴム8重量%)を使用した。
【0252】
表1は図9の負極を使用して製造された二次電池の特性をまとめて示したものである。表1において、比較例(1および2)は、黒鉛を活物質とし、有機バインダー/活物質重量の比率(%)が3.1である条件で、負極スラリーの塗布、乾燥および圧延の従来のスラリー方法を用いて製造された負極が備えられた二次電池の結果であり、活物質層の厚さを互いに異ならせて製造された例である。
【0253】
電極の製造の際、正極としてリチウムメタル(3.2cm×5.2cm×2mm)を使用し、負極と正極の極板の間にセパレータ(ポリエチレン、厚さ25μm)を介在して電池を構成し、正極のタブ部分と負極のタブ部分をそれぞれ溶接した。
【0254】
溶接された正極/セパレータ/負極の組合体をパウチの中に入れて、タブのある部分はシール部位に含ませて電解液注液部面以外の3面をシールした。残りの一部分に電解液を注液して残った一面をシール後、12時間以上含浸した。電解液としてエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチレンカーボネート(DEC)(25/45/30;体積比)の混合溶媒の1M LiPF6溶液を使用した。
【0255】
次に、0.05Cに相当する電流(13mA、0.9mA/cm2)で約20時間充電を実施した。充電が完了した後、0.1Cで1.5Vまで放電を行い、容量および充放電効率を測定した(充電条件CC/CV0.05C0.05V0.01C CUT-OFF、放電条件CC0.1C1.5V CUT-OFF)。
【0256】
【0257】
表1に示されているように、従来の活物質スラリーを用いて活物質層を製造する場合、ローディング量が増加するほど有機バインダーなどによって抵抗が増加し、容量が減少することが分かり、特に、高レートで大きな容量減少が発生することが分かる。しかし、本発明の一実施形態により製造された電極の場合、膜全体的に均一な開放された気孔構造が維持され、有機バインダーの抵抗から自由で、280μmの厚膜でも容量と効率の低下が発生しないことが分かる。
【0258】
以上、本発明は、特定の事項と限定された実施例および図面によって説明しているが、これは本発明のより全般的な理解に役立つために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されず、本発明が属する分野において通常の知識を有した者であれば、かかる記載から様々な修正および変形が可能である。
【0259】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属するといえる。