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特許7532269経路情報提供装置、経路情報提供方法及び経路情報提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】経路情報提供装置、経路情報提供方法及び経路情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240805BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240805BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240805BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240805BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240805BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0968 B
G09B29/10 A
G16Y10/40
G16Y40/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021006937
(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公開番号】P2022111487
(43)【公開日】2022-08-01
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】安波 真悟
(72)【発明者】
【氏名】白築 正樹
(72)【発明者】
【氏名】三宅川 友香
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-017192(JP,A)
【文献】特開2018-112579(JP,A)
【文献】特開2014-055779(JP,A)
【文献】特開2013-040908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-25/00
G09B 29/10
G16Y 10/40
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路データと経路に関する基礎情報を含むインフラ情報を収集する収集手段と、
ユーザの通信端末から送信され、出発地点及び目的地点を含む位置情報と、前記ユーザの年齢区分及び移動手段の種類を含むユーザ情報とを含み、推奨経路の提供を要求する要求情報を受信する受信手段と、
前記インフラ情報と前記要求情報とを照らし合わせて有効な全ての候補経路または規定個数の候補経路を選定し、前記候補経路に含まれるルートごとに、安全性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記候補経路に含まれるルートごとに、快適性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記安全性に関する情報の評価点の合計値と前記快適性に関する情報の評価点の合計値との合計点数を求め、前記候補経路のうち、前記合計点数に基づいて前記推奨経路とするルートの経路情報を作成する作成手段と、
前記推奨経路とするルートの経路情報を前記通信端末に送信する送信手段と
を具備し、
前記作成手段は、さらに、
前記安全性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す安全性重み付けテーブルを備え、前記安全性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記安全性に関する情報の評価点を求める安全性算出部と、
前記快適性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す快適性重み付けテーブルを備え、前記快適性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記快適性に関する情報の評価点を求める快適性算出部と、
前記出発地点及び目的地点によって選定される候補経路に含まれるルートごとに、所要時間を区分する点数、前記ユーザの年代を含むユーザ特性を区分する点数、前記安全性を示す重み付けの各要素の点数の総和、前記快適性を示す重み付けの各要素の点数の総和の合計値を示すルート優先度テーブルを備え、前記ルート優先度テーブルを参照して前記ルートごとの優先度を決定し前記推奨経路として優先度の高いルートの経路情報を求めるルート優先度及び経路算出部と
を備える
経路情報提供装置。
【請求項2】
前記安全性に関する情報の重み付け要素は、「過去の事故発生件数」、「冠水履歴」、「急傾斜、急カーブの有無」、「道路幅」の少なくともいずれかを含む請求項記載の経路情報提供装置。
【請求項3】
前記快適性に関する情報の重み付け要素は、「移動時間のぶれ」、「路面損傷」、「街並み、景観」の少なくともいずれかを含む請求項記載の経路情報提供装置。
【請求項4】
前記作成手段は、さらに、前記出発地点及び目的地点によって選定される候補経路に含まれるルートごとに、時間帯別に評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す時間帯優先度テーブルを備え、前記時間帯優先度テーブルを参照して、前記ルートごとの時間帯別の優先度を決定し前記推奨経路として優先度の高いルートの推奨時間帯を求める時間帯優先度算出部を備える請求項1記載の経路情報提供装置。
【請求項5】
前記時間帯別の重み付け要素は、少なくとも「道路の見通し」、「熱中症危険度」、「凍結可能性」、「店舗混雑度」のいずれかを含む請求項記載の経路情報提供装置。
【請求項6】
前記作成手段は、さらに、ユーザごとに重視する指標を個別設定して、ユーザの特性に合った前記推奨経路、前記推奨時間帯をそれぞれ作成する請求項記載の経路情報提供装置。
【請求項7】
前記作成手段は、さらに、前記通信端末からの推奨経路情報に対するユーザ評価または走行履歴を含むフィードバック情報に基づいて前記合計値の算出の調整を行うフィードバック手段を備える請求項1記載の経路情報提供装置。
【請求項8】
インフラ情報収集部が、道路データと経路に関する基礎情報を含むインフラ情報を収集する収集ステップと、
受信部が、ユーザの通信端末から送信され、出発地点及び目的地点を含む位置情報と、前記ユーザの年齢区分及び移動手段の種類を含むユーザ情報とを含み、推奨経路の提供を要求する要求情報を受信する受信ステップと、
演算処理部が、前記インフラ情報と前記要求情報とを照らし合わせて有効な全ての候補経路または規定個数の候補経路を選定し、前記候補経路に含まれるルートごとに、安全性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記候補経路に含まれるルートごとに、快適性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記安全性に関する情報の評価点の合計値と前記快適性に関する情報の評価点の合計値との合計点数を求め、前記候補経路のうち、前記合計点数に基づいて前記推奨経路とするルートの経路情報を作成する作成ステップと、
送信部が、前記推奨経路とするルートの経路情報を前記通信端末に送信する送信ステップと
を具備し、
前記演算処理部は、さらに、
前記安全性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す安全性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記安全性に関する情報の評価点を求める安全性算出ステップと、
前記快適性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す快適性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記快適性に関する情報の評価点を求める快適性算出ステップと、
前記出発地点及び目的地点によって選定される候補経路に含まれるルートごとに、所要時間を区分する点数、前記ユーザの年代を含むユーザ特性を区分する点数、前記安全性を示す重み付けの各要素の点数の総和、前記快適性を示す重み付けの各要素の点数の総和の合計値を示すルート優先度テーブルを参照して前記ルートごとの優先度を決定し前記推奨経路として優先度の高いルートの経路情報を求めるルート優先度及び経路算出ステップと
を備える経路情報提供方法。
【請求項9】
ネットワークを通じて、ユーザの通信端末に経路情報を提供する処理をコンピュータに実行させる経路情報提供プログラムであって、
インフラ情報収集部が、道路データと経路に関する基礎情報を含むインフラ情報を収集する収集ステップと、
受信部が、前記通信端末から送信され、出発地点及び目的地点を含む位置情報と、前記ユーザの年齢区分及び移動手段の種類を含むユーザ情報とを含み、推奨経路の提供を要求する要求情報を受信する受信ステップと、
演算処理部が、前記インフラ情報と前記要求情報とを照らし合わせて有効な全ての候補経路または規定個数の候補経路を選定し、前記候補経路に含まれるルートごとに、安全性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記候補経路に含まれるルートごとに、快適性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記安全性に関する情報の評価点の合計値と前記快適性に関する情報の評価点の合計値との合計点数を求め、前記候補経路のうち、前記合計点数に基づいて前記推奨経路とするルートの経路情報を作成する作成ステップと、
送信部が、前記推奨経路とするルートの経路情報を前記通信端末に送信する送信ステップと
を具備し、
前記演算処理部は、さらに、
前記安全性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す安全性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記安全性に関する情報の評価点を求める安全性算出ステップと、
前記快適性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す快適性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記快適性に関する情報の評価点を求める快適性算出ステップと、
前記出発地点及び目的地点によって選定される候補経路に含まれるルートごとに、所要時間を区分する点数、前記ユーザの年代を含むユーザ特性を区分する点数、前記安全性を示す重み付けの各要素の点数の総和、前記快適性を示す重み付けの各要素の点数の総和の合計値を示すルート優先度テーブルを参照して前記ルートごとの優先度を決定し前記推奨経路として優先度の高いルートの経路情報を求めるルート優先度及び経路算出ステップと
を備える
経路情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、経路情報提供装置、経路情報提供方法及び経路情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の経路情報提供装置にあっては、一般的に、車両の現在位置もしくは地図表示画面上の任意の地点から、別途指定した目的地までの経路を、移動時間や走行距離の短さ、経由する有料道路の通行料金の安さ等を考慮しながら計算するものがカーナビゲーションシステム等の名称で知られている。
【0003】
しかし、昨今は少子高齢化や人口減少に伴う、地方の過疎化(店舗減少)や買物弱者の増加、道路インフラ老朽化、公共交通の弱体化等により、道路空間の利用形態を「車中心」から「ヒト中心」にシフトする動きがある。そのような中で、パーソナルモビリティや自転車の利用者、歩行者等の道路利用者を対象とし、買物や病院などの日常生活での移動において、快適性や安全性を加味した、適切な経路及び推奨時間帯等の情報(以下、経路情報)を提供するサービスが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-209171号公報
【文献】特開2017-181353号公報
【文献】特開2007-017192号公報
【文献】特開2014-153230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の課題は、安全性や快適性を加味し、各人が持つ条件に適応した経路情報を提供し、これによって道路利用者の移動を支援することのできる経路情報提供装置、経路情報提供方法及び経路情報提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本実施形態に係る経路情報提供装置は、道路データと経路に関する基礎情報を含むインフラ情報を収集し、ユーザの通信端末から出発地点及び目的地点を含む位置情報と、前記ユーザの年齢区分及び移動手段の種類を含むユーザ情報とを含み、推奨経路の提供を要求する要求情報を受信し、前記インフラ情報と前記要求情報とを照らし合わせて有効な全ての候補経路または規定個数の候補経路を選定し、前記候補経路に含まれるルートごとに、安全性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記候補経路に含まれるルートごとに、快適性に関する情報の評価点の合計値を算出し、前記安全性に関する情報の評価点の合計値と前記快適性に関する情報の評価点の合計値との合計点数を求め、前記候補経路のうち、前記合計点数に基づいて前記推奨経路とするルートの経路情報を作成して、前記通信端末に送信する。さらに、前記安全性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す安全性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記安全性に関する情報の評価点を求め、前記快適性に関する情報の評価指標となる重み付け要素と定量評価する点数との関係を示す快適性重み付けテーブルを参照して前記ルートに対応する前記快適性に関する情報の評価点を求め、前記出発地点及び目的地点によって選定される候補経路に含まれるルートごとに、所要時間を区分する点数、前記ユーザの年代を含むユーザ特性を区分する点数、前記安全性を示す重み付けの各要素の点数の総和、前記快適性を示す重み付けの各要素の点数の総和の合計値を示すルート優先度テーブルを参照して前記ルートごとの優先度を決定し前記推奨経路として優先度の高いルートの経路情報を求める。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る経路情報提供装置を含む情報通信システム全体の概略を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す情報通信システムの経路情報提供装置及び当該装置に接続される通信端末の具体的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示す経路情報提供装置に用いられる安全性算出部の、安全性に関する情報の重みづけテーブルの例を示す図である。
図4図4は、図2に示す経路情報提供装置に用いられる快適性算出部の、快適性に関する情報の重みづけテーブルの例を示す図である。
図5図5は、図2に示す経路情報提供装置に用いられるルート優先度/経路算出部の、ルート優先度テーブルの例を示す図である。
図6図6は、図2に示す経路情報提供装置に用いられる時間帯優先度算出部の、時間帯優先度テーブルの例を示す図である。
図7図7は、図2に示す経路情報提供装置において、候補とする複数の経路それぞれの例を示す図である。
図8図8は、図2に示す経路情報提供装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、図2に示す通信端末において、入力画面、検索結果画面、検索結果に対するフィードバック情報の入力画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る経路情報提供装置を含む情報通信システム全体の概略を示すブロック図である。
【0010】
図1において、経路情報提供装置1は、情報配信サービスを提供するクラウドサーバにより実現される。この経路情報提供装置1は、ネットワークを通じて、路面損傷データ(ひび、凹凸、段差、ポットホール)、道路データ(構造(幅員、傾斜)、信号、景観、舗装年度、交通量など)、渋滞予測情報、交通規制情報、事故情報、急ブレーキ回数、施設情報、駐車場の満空情報、気象情報、冠水データ、経路に関する基礎情報(交差点ごとの所要時間等)等のインフラ情報を収集する。そして、ネットワークを通じてユーザ所有の通信端末2からユーザ情報を含む移動通知内容を要求情報として受信すると、要求情報と収集したインフラ情報とを照らし合わせて有効な経路、時間帯を解析し、その解析結果をユーザに推奨する経路情報として通信端末2に通知する。
【0011】
図2は、図1に示す情報通信システムの経路情報提供装置1、及び当該装置にネットワークを通じて接続される通信端末2の具体的な構成を示すブロック図である。
【0012】
図2において、通信端末2は、登録処理部21、要求情報送信部22、経路情報受信部23、表示部24、フィードバック処理部25を備える。ここで、後述の変形例で説明するフィードバック機能はオプション機能であるため、フィードバック機能を有しない構成の場合は、フィードバック処理部25を省略することも可能である。
【0013】
登録処理部21は、ユーザからの要求情報を登録するための処理部である。具体的には出発地点、目的地点等の情報を、年齢や移動手段の種類等のユーザ情報と共に取り込んで登録用フォームに変換し、経路情報提供装置1への要求情報とする。
【0014】
要求情報送信部22は、ユーザの送信実行操作により、登録処理部21で処理されたユーザ要求情報を、ネットワークを通じて経路情報提供装置1に送信する送信部である。
【0015】
経路情報受信部23は、経路情報提供装置1からの推奨経路情報を受信する受信部である。
【0016】
表示部24は、その推奨経路情報を、所定の表示形態で画面表示して、推奨経路の案内を表示する表示部である。
【0017】
フィードバック処理部25は、フィードバック機能を実現するための構成であり、変形例のところで説明するため、ここでの説明は省略する。
【0018】
次に、経路情報提供装置1は、通信部11、要求情報受信部12、演算処理部13、経路情報送信部14を備える。
【0019】
通信部11は、ネットワークを通じて各種インフラ情報の提供先と接続される通信部である。
【0020】
要求情報受信部12は、ネットワークを通じて通信端末2からの要求情報を受信する受信部である。
【0021】
演算処理部13は、要求情報受信部12で得られたユーザ要求情報に基づいて通信部11で得られたインフラ情報を解析することで推奨経路情報を作成する処理部である。
【0022】
経路情報送信部14は、演算処理部13で作成された推奨経路情報を、ネットワークを通じて該当する通信端末12に送信する送信部である。
【0023】
上記演算処理部13は、具体的には、収集情報取得部131、収集情報記憶部132、要求情報記憶部133、安全性算出部134、快適性算出部135、ルート優先度/経路算出部136、時間帯優先度算出部137、経路情報作成部138、経路情報記憶部139、フィードバック重み付け算出部13Aを備える。
【0024】
収集情報取得部131は、通信部11を通じて、前述のインフラ情報を収集する取得部である。
【0025】
収集情報記憶部132は、収集されたインフラ情報を記憶する記憶部である。
【0026】
要求情報記憶部133は、要求情報受信部12で受信された要求情報を記憶する記憶部である。
【0027】
安全性算出部134は、安全性を評価指標とした重み付けテーブルにより、安全性を定量評価する算出部である。
【0028】
図3は、図2に示す安全性算出部134の、安全性に関する情報の重み付けテーブルの例を示す図である。この例では、安全性重み付け要素に、「事故リスク」、「自然災害リスク」、「運転し易さ」等をピックアップし、それぞれの要素について、例えば1~5点で点数付けするものとする。具体的には、安全度が高い場合は1点、安全度が中の場合は3点、安全度が小の場合は5点を付けるものとする。
【0029】
図2に戻って、快適性算出部135は、快適性を評価指標とした重み付けテーブルにより、快適性を定量評価する算出部である 。
【0030】
図4は、図2に示す快適性算出部135の、快適性に関する情報の重みづけテーブルの例を示す図である。この例では、快適性重み付け要素に、「移動時間にぶれがない」、「乗り心地」、「休憩施設の駐車場状況、町並み・景観をピックアップし、それぞれの要素について、快適性が高い場合は1点、快適性が中の場合は3点、快適性が小の場合は5点を付けるものとする。本テーブルはルート(交差点、または交差点と交差点の間の道路)ごとに保持するものとする。快適性に関する情報の重み付け要素に対して、例えば1~5点で点数付けをするものとする。快適性の「乗り心地」の要素の一つとして、路面損傷の大・中・小という指標を用いているところが特徴である。
【0031】
図2に戻って、ルート優先度/経路算出部136は、出発地点から目的地点までの推奨経路を、ユーザ指定の条件に応じて決定する算出部である。
【0032】
図5は、図2に示すルート優先度/経路算出部136の、ルート優先度テーブルの例を示す図で、(a)は道路利用者が70歳未満で徒歩の場合、(b)は道路利用者が70歳以上で徒歩の場合、(c)は道路利用者が自転車(またはパーソナルモビリティ)の場合である。この例では、ユーザが指定する出発点と目的地点の指定によって選ばれる候補ルートA,B,Cについて、所要時間(分単位)Pa、安全性を示す重み付けの各要素の点数の総和Pb、快適性の重み付けの各要素の点数の総和Pc、ルート別優先度を示す所要時間Pa+10×(安全性Pb+快適性Pc)の点数を付けるものとする。経路情報は、各ルートの優先度の点数の合計値の低い順に推奨経路としてユーザに提供するものとする。
【0033】
ここで、ルートとは、「交差点」または「交差点と交差点の間の道路」と定義する。また、出発地点から目的地点までの経路は、ルートの集合体と定義する。ルート情報は収集情報の一つとして、収集情報記憶部113に保存されているものとする。
【0034】
なお、各ルートの優先度は、例えば、以下のようにユーザの年齢を考慮した計算式で算出するようにしてもよい。なお、年齢を年代または世代で区分するようにしてもよい。
例1 優先度=所要時間+(年齢/10)×(快適性+安全性)
例2 優先度=所要時間+(1+(年齢/27)^2)×(快適性+安全性)
この例では、年齢が上がると急激に増える。60歳で約6となる。
例3 優先度=所要時間+(exp(年齢/34))×(快適性+安全性)
この例では、70歳以降でやや急な上昇カーブとなる。60歳で約6となる。
例4 優先度=所要時間+(cosh(年齢/24))×(快適性+安全性)
この例では、もっと急激なカーブとなる。60歳で約6となる。
例5 優先度=所要時間+(10×gaus(年齢/10))×(快適性+安全性)
この例では、年齢を世代に置き換えた場合を示している。
【0035】
図2に戻って、時間帯優先度算出部137は、それぞれ出発地点から目的地点までの推奨時間帯を、ユーザ指定の条件に応じて決定する算出部である。
【0036】
図6は、図2に示す時間帯優先度算出部137の、複数のルートそれぞれに対する時間帯優先度テーブルの例を示す図である。この例では、時間帯別に、(1) 過去事故発生(多い:5、少ない:3、無し:0)、(2) 移動手段のタイヤの摩耗度・使用年数(10年~:5、5~10年:3、~5年:1)(3) 道路の見通し(悪い:5、良い:0)、(4) 気象情報(日照・天候)(暗い:3、やや暗い:2、やや明るい:1、明るい:0)、(5) 熱中症危険度(夏)、凍結可能性(冬)(高:5、中:3、低:0)、店舗(目的地)混雑状況(混雑:5、やや混雑:3、混雑無し:0)を評価し、各ルートの時間帯毎の優先度=((1)+(2)×((3)+(4)+(5)+(6)))の点数(合計値)を算出する。このように、ユーザに提供する経路情報に含まれる各ルートの時間帯毎の優先度の合計値を算出し、合計値の最も小さい時間帯を推奨時間帯とする。
【0037】
図2に戻って、経路情報作成部138は、推奨すべき経路を作成する作成部である。具体的には、経路情報作成部138は、収集情報記憶部132及び登録情報記憶部133から推奨経路の算出に要するインフラ情報及びユーザの要求情報を適宜取り込み、安全性算出部134、快適性算出部135、ルート優先度/経路算出部136、時間帯優先度算出部137のそれぞれの算出結果と合わせて推奨すべき経路を作成する。
【0038】
経路情報記憶部139は、経路情報作成部138で作成された推奨経路情報を記憶する記憶部である。
【0039】
フィードバック重み付け算出部13Aは、後述の変形例で説明するオプション機能としてのフィードバック機能を実現するために、ユーザの評価、走行履歴等のフィードバック情報の入力を処理する算出部である。なお、フィードバック機能を有しない構成の場合は、フィードバック重み付け算出部12Aを省略することも可能である。
【0040】
上記構成において、図7乃至図9を参照して、その具体的な処理動作を説明する。
【0041】
図7は、図2に示す経路情報提供装置1において、候補とする複数の経路それぞれの例を示す図である。図7において、ルートA~Jは経路上の「交差点」と「交差点間の道路」を要素として示している。出発地点から目的地点までの経路には、候補経路1として、A→B→C→D→F→I→Jがあり、候補経路2として、A→B→E→G→H→I→Jの2経路がある。経路中のルートを通過した際に加点された点数を比較することで、推奨経路を選択表示する。
【0042】
図8は、図2に示す経路情報提供装置1の演算処理部13による処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
上記経路情報提供装置1において、演算処理部13は、収集情報取得部131によって、通信部11を通じてネットワーク上の各インフラ設備等から所定のインフラ情報を収集し(ステップS11)、収集されたインフラ情報を収集情報記憶部132に登録する(ステップS12)。
【0044】
ここで、通信端末2の要求情報送信処理について説明する。
【0045】
図9(a)は通信端末2にインストールされる経路情報提供アプリケーションの入力操作画面を示す図である。
【0046】
まず、ユーザは、図9(a)に示す通信端末2の経路情報提供アプリケーションの入力操作画面から、出発地点として現在位置または地図表示画面から指定した緯度経度を指定し、目的地として住所または地図表示画面から指定した緯度経度を指定する。また、ユーザ情報として、年齢、移動手段の種類を入力し、時間優先、距離優先、安全性優先、快適性優先等のいずれかを選択する。なお、継続して利用する場合には、後述のフィードバック機能をオンに設定しておくと、履歴等が反映され、使用勝手が向上する。図9(a)の画面において、ユーザが各項目の入力が完了し、送信実行のボタンをオン操作すると、ユーザの要求情報が登録部21に登録され、登録情報送信部22から経路情報提供装置1に送出される。
【0047】
図8の説明に戻って、演算処理部13は、通信端末2からネットワークを通じて送られてくるユーザ要求情報が要求情報受信部12で受信されると(ステップS13)、受信されたユーザ要求情報を要求情報記憶部133に登録する(ステップS14)。
【0048】
ユーザ要求情報が登録されると、演算処理部13は、経路情報作成部138により、ユーザ要求情報で設定された条件に合致する全候補経路(または規定個数の候補経路)を選定する(ステップS15)。
【0049】
続いて、演算処理部13は、全候補経路について順に、安全性算出部134、快適性算出部135、ルート優先度/経路算出部136、時間帯優先度算出部137にそれぞれの算出処理を実行する。
【0050】
具体的には、まず、安全性算出部134では、図3に示した、安全性を評価指標とする重み付けテーブルに基づいて安全性を定量評価し、その定量評価に相当する安全性のポイントを算出する(ステップS16)。
【0051】
次に、快適性算出部135では、図4に示した、快適性を評価指標とする重み付けテーブルに基づいて快適性を定量評価し、その定量評価に相当する快適性のポイントを算出する(ステップS17)。
【0052】
続いて、ルート優先度/経路算出部136では、図5に示した、ユーザ指定の条件に応じて出発地点から目的地点までのルート優先度、推奨経路を算出する(ステップS18)。
【0053】
さらに、時間帯優先度算出部137では、図6に示した、ユーザ指定の条件に応じて出発地点から目的地点までの時間帯優先度を算出し、推奨時間帯を決定する(ステップS19)。
【0054】
ここで、演算処理部13は、経路情報作成部138により、全候補経路の選択が終了したか判断する(ステップS20)。全候補経路の選択が終了していない場合は、終了するまで次候補経路を選択して(ステップS21)、上記ステップS16からステップS19までの処理を実行する。全候補経路について算出処理が完了した場合、演算処理部13は、経路情報作成部138により、全候補経路についてそれぞれの各算出項目の合計点数を算出し、候補経路を合成点数の低い順に並べて推奨経路情報を作成し、経路情報送信部14からネットワークを通じて通信端末2に送信する(ステップS22)。
【0055】
通信端末2では、経路情報受信部23で経路情報提供装置1からの推奨経路情報を受信すると、その推奨経路情報を表示部24に表示する。
【0056】
ここで、図9(b)は、検索結果表示画面を示す図である。表示画面には、図9(b)に示すように、経路情報提供システムの検索結果画面として、出発地点、目的地点、推奨する全経路(推奨順)を示し、推奨する経路情報の内容として、所要時間、距離、安全性、快適性、推奨時間帯、経路、地図等を表示する。
【0057】
なお、上記経路情報提供装置1において、さらに、ユーザごとに重視する指標を個別設定して、ユーザの特性に合った推奨経路、推奨時間帯を作成し、推奨経路情報として通信端末2に提供するようにすれば、一層効果的である。
【0058】
<変形例>
次に、変形例として、フィードバック機能を有する実施形態を説明する。本実施形態の経路情報提供装置は、オプションとして、継続利用を考慮し、ユーザの入力作業を減らして、検索結果の満足度を高めるためのフィードバック機能を持たせるようにした装置である。このフィードバック機能とは、本装置で提供した経路情報に従ってユーザが移動をした場合に、実態と経路情報のギャップを補正するための機能である。例えば、ユーザに、実際に移動にかかった時間や経路情報を決定する際に使用した評価指標に対する満足度を通信端末2から入力してもらい、その内容をもとに各種テーブルの重みづけ値を調整する機能である。
【0059】
本実施形態のフィードバック機能を有する場合の装置構成は、図2に示すように、通信端末2にフィードバック処理部25を備え、経路情報提供装置1にフィードバック重み付け算出部13Aを備えることで構成される。
【0060】
ここで、通信端末2のフィードバック処理部25は、推奨経路情報の満足度を次回の経路情報の検索結果に反映させる目的で、個々の推奨経路に対するユーザ評価、実際の走行履歴等を登録する処理部である。
【0061】
また、経路情報提供装置1のフィードバック重み付け算出部13Aは、ユーザからの評価入力や走行履歴等によるフィードバックをもとに、各種重みづけ値の調整を行う算出部である。
【0062】
次に、変形例の経路情報提供装置1における動作について説明する。
【0063】
変形例の動作は、図8とステップS22までは同一なので、ここまでの詳細な説明は省略するが、ステップS22において、経路情報提供装置1で推奨情報経路が作成された後、ステップS23に進む点が異なる。
【0064】
ステップS23において、変形例の動作では、通信端末2において、図9(a)に示す入力画面で、送信実行の際に、「フィードバック機能を使用する」を選択されていない場合は(ステップS23でNoの場合)は、動作フローは終了となる。
【0065】
これに対して、通信端末2において、図9(a)に示す入力画面で、送信実行の際に、「フィードバック機能を使用する」を選択している場合は、通信端末2には、図9(c)に示すフィードバック画面が表示される。
【0066】
図9(c)は、検索結果に対するフィードバック情報の入力画面を示す図である。
【0067】
このフィードバック画面では、前回の経路情報提供を受けた際の出発地点、目的地点、推奨経路(所要時間、距離、安全性、快適性、推奨時間帯)、出発日時、到着日時を表示する。次に、経路情報の各項目、すなわち、所要時間、安全性、快適性、推奨時間帯について、満足、やや満足、普通、やや不満、不満の5段階評価を行い、送信実行をオン操作する。
【0068】
ステップS23において、ユーザが上記通信端末2から図9(c)の画面に沿って、フィードバック情報を登録すると(ステップS24)は、フィードバック情報が経路情報提供装置1に送信される。
【0069】
通信端末2は、フィードバック情報を受信すると、経路情報提供装置1のフィードバック重み付け算出部13Aは、先に示した例1についてユーザ毎に個別の重み付けの値を調整する(ステップS25)。
【0070】
この場合、ユーザ毎の個別重み(α,β,γ)として、各ルート優先度を、
ルート優先度=α×所要時間+(年齢/10)×(β×快適性+γ×安全性)
とする。これにより、継続利用に際して、ユーザの入力作業を減らして、検索結果の満足度を高めることができる。
【0071】
なお、上記フィードバック機能の処理例は、フィードバック情報をユーザに通信端末2から入力してもらう場合であるが、通信端末2のGPS機能や加速度計等のセンサー情報等を使用して、自動で各種テーブルの重み付け値を調整するようにしてもよい。
【0072】
以上のように、上記構成による経路情報提供装置によれば、ユーザ要求情報に基づく出発地点および目的地点の位置情報から、全候補経路または規定個数の候補経路を選定し、各候補経路に含まれる各ルートの優先度の点数の合計値を算出し、候補経路のうち、合計点数に基づいて推奨経路とする経路情報を提供することができる。このように、安全性や快適性を加味し、各人が持つ条件に適応した経路情報を提供することで、道路空間の利用形態を「車中心」から「ヒト中心」にシフトする動きに合わせ、パーソナルモビリティや自転車の利用者、歩行者等の道路利用者を優先対象として、買物や病院などの日常生活での移動において、快適性や安全性を加味し、各人が持つ条件に適応した適切な経路情報を提供するサービスが可能となり、道路利用者の移動を支援することができる。
【0073】
なお、本発明は上記実施形態をそのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…経路情報提供装置、11…通信部、12…要求情報受信部、13…演算処理部、131…収集情報取得部、132…収集情報記憶部、133…要求情報記憶部、134…安全性算出部、135…快適性算出部、136…ルート優先度/経路算出部、137…時間帯優先度算出部、138…経路情報作成部、139…経路情報記憶部、13A…フィードバック重み付け算出部、14…経路情報送信部、
2…通信端末、21…登録処理部、22…要求情報送信部、23…経路情報受信部、24…表示部、25…フィードバック処理部。
図1
図2
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図9