(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】部分放電検出方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20200101AFI20240805BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20240805BHJP
【FI】
G01R31/12 A
G01R31/52
(21)【出願番号】P 2021017539
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇介
(72)【発明者】
【氏名】長 広明
(72)【発明者】
【氏名】高上 遼馬
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-051708(JP,A)
【文献】特開2001-074802(JP,A)
【文献】特表2012-500990(JP,A)
【文献】特開平02-285269(JP,A)
【文献】特開平11-101844(JP,A)
【文献】特開2006-098270(JP,A)
【文献】特開2013-065694(JP,A)
【文献】特開2015-206620(JP,A)
【文献】特開2019-045458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/12-31/20
G01R 31/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に発生する放電に連動するパラメータを測定し、
複数の閾値を設定し、
測定された前記パラメータのパルスをカウントし、
カウントされた前記パルスの個数に基づいて前記装置に放電が発生していることを示す警告を出力する
方法であって、
前記パルスをカウントすることは、波高が前記各閾値を超えるパルスをカウントすることである、部分放電検出方法。
【請求項2】
前記閾値とカウントされた前記パルスの個数との相関係数を算出し、
前記警告を出力することは、前記相関係数に基づいて前記警告を出力することである、請求項
1に記載の部分放電検出方法。
【請求項3】
前記警告を出力することは、前記相関係数が所定の閾値よりも大きい場合に前記警告を出力することである、請求項
2に記載の部分放電検出方法。
【請求項4】
前記警告を出力することは、前記相関係数の経時変化に基づいて前記警告を出力することである、請求項
2に記載の部分放電検出方法。
【請求項5】
前記装置は、電力変換器である、請求項1乃至
3の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
【請求項6】
前記パラメータは、前記装置の盤面の電位である、請求項1乃至
5の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
【請求項7】
前記パラメータは、前記装置に接続する接地線を流れる電流である、請求項1乃至
5の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
【請求項8】
前記パラメータは、前記装置が発生する電磁波である、請求項1乃至
5の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
【請求項9】
前記警告を出力することは、前記パルスの個数の上昇に基づいて前記警告を出力することである、請求項1乃至
8の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、部分放電検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電圧を3相の交流電圧に変換するインバータが提供されている。そのようなインバータは、3つのバスバー間や絶縁物沿面やスイッチング素子で放電(部分放電)が発生することがある。放電は、パルスの立ち上がり時などに発生する。そのため、放電が発生する周期とスイッチングなどのノイズの周期とが整合してしまう。また、ノイズと部分放電の周波数が重なる。その結果、インバータの盤の電位などの測定結果に対して高速フーリエ変換又はウエーブレット変換を行っても放電を検出することが困難であるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の課題を解決するため、装置に生じた放電を効果的に検出することができる部分放電検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、部分放電検出方法は、装置に発生する放電に連動するパラメータを測定し、複数の閾値を設定し、測定された前記パラメータのパルスをカウントし、カウントされた前記パルスの個数に基づいて前記装置に放電が発生していることを示す警告を出力する方法であって、前記パルスをカウントすることは、波高が前記各閾値を超えるパルスをカウントすることである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検出システムの構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の測定結果を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報処理装置がカウントしたパルスの個数を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理装置の測定結果を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置がカウントしたパルスの個数を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態に係る検出システムは、主にインバータ又はコンバータを内蔵する変換器盤に発生する部分放電を検出する。インバータは、インピーダンスの不整合などにより、パルスの立ち上がり時にサージ電圧を生じることがある(インバータサージ)。サージ電圧がパルスの電圧に重畳されることで、バスバー間において部分放電が発生することがある。検出システムは、インバータのバスバー間などに発生する部分放電を検出する。
【0009】
図1は、実施形態に係る検出システム100の構成例を示す。
図1が示すように、検出システム100は、インバータ10、情報処理装置20、A/Dコンバータ30及びセンサ40などを備える。センサ40は、A/Dコンバータ30に接続する。A/Dコンバータ30は、情報処理装置20に接続する。
【0010】
インバータ10(電力変換器)は、直流電圧を交流電圧に変換する。インバータ10は、3相(u相、v相、w相)の交流電圧を出力する。3相の交流電圧は、互いに120°位相が異なる交流電圧である。たとえば、インバータ10は、エレベータなどを駆動するモータなどに3相の交流電圧を供給する。
【0011】
インバータ10は、直流電圧を入力するバスバー2(バスバー2a及び2b)を備える。バスバー2aには、直流電圧の正極が接続されている。また、バスバー2bには、直流電圧の負極が接続されている。
【0012】
バスバー2は、インバータ素子4に接続する。インバータ素子4は、それぞれ上アームと下アームとを構成する複数の半導体スイッチを備えるレグを3つ備える。各レグは、半導体スイッチによってバスバー2とバスバー1との接続を切り替える。各レグは、半導体スイッチのオンオフ制御によって、互いに位相が120°異なる交流電圧を出力する。各レグは、それぞれu相、v相及びw相の交流電圧を出力する。
【0013】
バスバー1は、インバータ素子4に接続する。バスバー1は、交流電圧を出力する。バスバー1は、バスバー1a、1b及び1cから構成される。バスバー1a、1b及び1cは、それぞれu相、v相及びw相の交流電圧を出力する。バスバー1a、1b及び1cは、インバータ素子4が備える各レグに接続する。
【0014】
バスバー1aの上面及びバスバー1cの下面には、表面絶縁層4aが形成されている。また、バスバー1aとバスバー1bとの間及びバスバー1bとバスバー1cとの間には、層間絶縁層4bが形成されている。
【0015】
インバータ素子4には、スナバユニット5が取り付けられている。スナバユニット5は、固定ネジ6によってバスバー1及びバスバー2と共にインバータ素子4に固定されている。
【0016】
スナバユニット5は、複数のスナバ素子5aを備える。スナバユニット5は、インバータ素子4のレグのスイッチング時に発生するサージ電圧を抑制する。
【0017】
センサ40は、部分放電の発生と連動するパラメータを測定する。たとえば、パラメータは、部分放電が生じると上昇(又は下降)する。
【0018】
ここでは、センサ40は、パラメータとしてインバータ素子4などが形成されている盤面(又はインバータ10の筐体)の電位を測定するTEV(Transient Earth Voltage)センサ(過渡接地電位センサ)から構成される。
【0019】
また、センサ40は、パラメータとしてインバータ素子4などが形成されている盤(又はインバータ10の筐体)に接続する接地線(たとえば、CTの接地線)に流れる電流を測定するセンサであってもよい。
【0020】
また、センサ40は、パラメータとしてインバータ10や部分放電が発生源の電磁波を測定するアンテナであってもよい。
センサ40及びパラメータの構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0021】
センサ40は、測定されたパラメータの値を示す電圧(アナログ信号)をA/Dコンバータ30に送信する。
【0022】
A/Dコンバータ30は、センサ40からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。即ち、A/Dコンバータ30は、測定されたパラメータの値を示すデジタル信号を生成する。A/Dコンバータ30は、生成されたデジタル信号を情報処理装置20に送信する。たとえば、A/Dコンバータ30は、オシロスコープなどである。
【0023】
情報処理装置は、A/Dコンバータ30からのデジタル信号に基づいて部分放電を検出する。
【0024】
図2は、情報処理装置20の構成例を示すブロック図である。
図2が示すように、情報処理装置20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26及び表示部27などを備える。
【0025】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26及び表示部27とは、データバスなどを介して互いに接続される。
【0026】
なお、情報処理装置20は、
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、情報処理装置20から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0027】
プロセッサ21は、情報処理装置20全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0028】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0029】
ROM22は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラム及び制御データは、情報処理装置20の仕様に応じて予め組み込まれる。ROM22は、たとえば、情報処理装置20の回路基板を制御するプログラムなどを格納する。
【0030】
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0031】
NVM24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM24は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、情報処理装置20の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0032】
通信部25は、A/Dコンバータ30などに接続するためのインターフェースである。即ち、通信部25は、A/Dコンバータ30からデジタル信号を受信する。たとえば、通信部25は、LAN(Local Area Network)接続又はUSB(Universal Serial Bus)接続をサポートするインターフェースである。
【0033】
操作部26は、ユーザから種々の操作の入力を受け付ける。操作部26は、受け付けた操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。たとえば、操作部26は、キーボード、テンキー及びタッチパネルから構成される。
【0034】
表示部27は、プロセッサ21の制御により種々の情報を表示する。たとえば、表示部27は、液晶モニタから構成される。なお、操作部26がタッチパネルなどで構成される場合、表示部27は、操作部26と一体的に形成されてもよい。
【0035】
たとえば、情報処理装置20は、タブレットPC、デスクトップPC又はノートPCなどである。
【0036】
次に、情報処理装置20が実現する機能について説明する。プロセッサ21が実現する機能は、プロセッサ21が内部メモリ、ROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0037】
まず、プロセッサ21は、所定の期間においてセンサ40を用いてパラメータを測定する機能を有する。
【0038】
ここで、センサ40は、パラメータを測定する。センサ40は、測定されたパラメータの値を示すアナログ信号をA/Dコンバータ30に送信する。A/Dコンバータ30は、センサ40からのアナログ信号をデジタル信号に変換して情報処理装置20に送信する。
【0039】
プロセッサ21は、通信部25を通じて、センサ40が測定したパラメータの値を示すデジタル信号をA/Dコンバータ30から受信する。プロセッサ21は、所定の期間(たとえば、1msから1s程度)において、デジタル信号を受信する。
【0040】
また、プロセッサ21は、所定の期間においてパルスをカウントする機能を有する。
所定の期間においてパラメータを測定すると、プロセッサ21は、所定の期間におけるパラメータのパルスをカウントする。即ち、プロセッサ21は、波高が閾値を超えたパルスをカウントする。
【0041】
プロセッサ21は、複数の閾値を設定してパルスをカウントする。たとえば、プロセッサ21は、所定の閾値を設定する。所定の閾値を設定すると、プロセッサ21は、波高が閾値を超えたパルスをカウントする。パルスをカウントすると、プロセッサ21は、次の閾値を設定する。次の閾値を設定すると、プロセッサ21は、同様に波高が閾値を超えたパルスをカウントする。プロセッサ21は、上記の動作を繰り返して、複数の閾値においてパルスをカウントする。
【0042】
ここでは、プロセッサ21は、バックグラウンドノイズの波高よりも小さい閾値を少なくとも1つ設定する。即ち、プロセッサ21は、バックグラウンドノイズによって生じるパルスをカウントする。
【0043】
なお、プロセッサ21が設定する閾値の値及び閾値の個数は、特定の構成に限定されるものではない。
【0044】
プロセッサ21は、RAM23又はNVM24に、各閾値と閾値に対応するパルス数(カウントされたパルスの個数)とを対応づけて格納する。
【0045】
次に、プロセッサ21がカウントするパルスの例について説明する。
まず、部分放電が発生していない場合におけるパルス数の例について説明する。
図3は、部分放電が発生していない場合においてセンサ40が測定したパラメータの値を示す。
図3では、横軸は、時間を示し、縦軸は、パラメータの値(ここでは、電位)を示す。
【0046】
プロセッサ21は、所定の閾値(たとえば、0.01)を設定してパルスをカウントする。パルスをカウントすると、プロセッサ21は、次の閾値(たとえば、0.02)を設定して同様にパルスをカウントする。プロセッサ21は、同様に所定の値(たとえば、0.16)まで閾値を設定して各閾値についてパルスをカウントする。
【0047】
図4は、各閾値におけるパルス数を示す。
図4では、横軸は、閾値を示し、縦軸は、パルス数を示す。
図4が示す例では、パルスは、バックグラウンドノイズ及びインバータノイズによって生じる。
【0048】
インバータノイズは、インバータ10が発生するノイズである。たとえば、インバータノイズは、インバータ素子4の各レグのスイッチングによって発生するノイズである。
【0049】
図4が示すように、比較的小さい閾値(たとえば、0.01から0.05程度)によってカウントされるパルスは、バックグラウンドノイズによって生じる。また、バックグラウンドノイズによるパルス数は、閾値が上昇すると直線的に減少する。
【0050】
また、比較的大きな閾値(たとえば、0.05から0.16程度)によってカウントされるパルスは、インバータノイズによって生じる。また、インバータノイズによるパルス数は、比較的小さな閾値に対して緩やかな傾きで減少する。
従って、部分放電が生じない場合におけるパルス数のグラフは、傾きの異なる2つの直線から構成される。
【0051】
次に、部分放電が発生している場合におけるパルス数の例について説明する。たとえば、バスバー1間にバスバーを模擬したサンプルを挿入して部分放電を発生させる。
【0052】
図5は、部分放電が発生している場合においてセンサ40が測定したパラメータの値を示す。
図5では、横軸は、時間を示し、縦軸は、パラメータの値(ここでは、電位)を示す。
【0053】
前述の通り、プロセッサ21は、所定の閾値(たとえば、0.01)を設定してパルスをカウントする。パルスをカウントすると、プロセッサ21は、次の閾値(たとえば、0.02)を設定して同様にパルスをカウントする。プロセッサ21は、同様に所定の値(たとえば、0.16)まで閾値を設定して各閾値についてパルスをカウントする。
【0054】
図6は、各閾値におけるパルス数を示す。
図6では、横軸は、閾値を示し、縦軸は、パルス数を示す。
図6が示す例では、パルスは、部分放電、バックグラウンドノイズ及びインバータノイズによって生じる。
【0055】
部分放電によって生じるパルスは、中程度の閾値(0.03から0.1程度)によってカウントされるパルスである。
【0056】
図6が示すように、グラフでは、バックグラウンドノイズによるパルス数及びインバータノイズによるパルス数に部分放電によるパルス数が重畳される。
【0057】
その結果、部分放電が発生している場合におけるパルス数のグラフは、部分放電が発生していない場合におけるパルス数のグラフよりも中腹部が持ち上がったグラフとなる。
【0058】
また、プロセッサ21は、カウントされたパルスの個数に基づいて部分放電が発生しているかを判定する機能を有する。
【0059】
プロセッサ21は、カウントされたパルスに部分放電によるパルスが重畳されているかを判定する。
【0060】
たとえば、プロセッサ21は、以下の式に従って閾値とパルス数との相関係数を算出する。
【0061】
【0062】
ここで、xiは、閾値を示す。また、yiは、パルス数を示す。
【0063】
相関係数を算出すると、プロセッサ21は、相関係数に基づいて部分放電が生じているかを判定する。
【0064】
前述の通り、部分放電が生じていない場合、パルス数のグラフは、2つの直線から構成される。その結果、閾値とパルス数とを線形近似すると、相関係数は、比較的小さな値となる。
【0065】
他方、部分放電が生じている場合、パルス数のグラフは、パルス数のグラフよりも中腹部が持ち上がったグラフとなる。その結果、閾値とパルス数とを線形近似すると部分放電が生じていない場合よりも直線に近づく。そのため、相関係数は、部分放電が生じていない場合の相関係数よりも高い値となる。
【0066】
そのため、プロセッサ21は、相関係数が所定の閾値よりも大きい場合、部分放電が発生していると判定する。なお、閾値は、特定の値に限定されるものではない。
【0067】
なお、プロセッサ21は、各閾値に対応するパルス数の最大数で各パルス数を規格化してから相関係数を算出してもよい。
【0068】
また、プロセッサ21は、相関係数の経時変化に基づいて部分放電が発生しているかを判定してもよい。たとえば、プロセッサ21は、相関係数が上昇した場合(たとえば、所定の期間の上昇量が所定の閾値以上である場合)、部分放電が発生していると判定する。
【0069】
また、プロセッサ21は、各閾値におけるパルス数の合計に基づいて部分放電が発生しているかを判定してもよい。たとえば、プロセッサ21は、合計が所定の閾値を超えている場合に、部分放電が発生していると判定する。また、プロセッサ21は、合計が上昇した場合(たとえば、所定の期間の上昇量が所定の閾値以上である場合)、部分放電が発生していると判定する。
【0070】
プロセッサ21が部分放電の発生を判定する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0071】
部分放電が発生していると判定した場合、プロセッサ21は、部分放電が発生していることを示す警告を出力する。たとえば、プロセッサ21は、表示部27に警告を表示する。なお、プロセッサ21は、通信部25などを通じて部分放電が発生していることを示す情報を外部装置に送信してもよい。
【0072】
次に、情報処理装置20の動作例について説明する。
図7は、情報処理装置20の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0073】
まず、情報処理装置20のプロセッサ21は、センサ40を用いて所定の期間においてパラメータを測定する(S11)。パラメータを測定すると、プロセッサ21は、複数の閾値によってパルスをカウントする(S12)。
【0074】
複数の閾値によってパルスをカウントすると、プロセッサ21は、閾値とパルス数との相関係数を算出する(S13)。相関係数を算出すると、プロセッサ21は、算出された相関係数に基づいて部分放電が発生しているかを判定する(S14)。
【0075】
部分放電が発生していると判定すると(S14、YES)、プロセッサ21は、警告を出力する(S15)。
【0076】
部分放電が発生していないと判定した場合(S14、NO)、又は、警告を出力した場合(S15)、プロセッサ21は、S11に戻る。
【0077】
なお、プロセッサ21は、予め他の装置によって測定されたパラメータの値に基づいて部分放電が発生しているかを判定してもよい。
【0078】
また、検出システム100は、インバータ10以外の装置に生じる部分放電を検出するものであってもよい。検出システム100が部分放電を検出する対象は、特定の構成に限定されるものではない。
【0079】
また、プロセッサ21は、操作部26に入力される操作に従ってパラメータを測定する期間を設定してもよい。
【0080】
以上のように構成された検出システムは、複数の閾値を設定して、波高が各閾値を超えたパルスをカウントする。検出システムは、閾値とパルス数との相関係数に基づいて部分放電を検出する。そのため、検出システムは、インバータのノイズの周期と部分放電が生じる周期とが整合する場合であっても部分放電を検出することができる。その結果、検出システムは、効果的に部分放電を検出することができる。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
[付記1]
装置に発生する放電に連動するパラメータを測定し、
測定された前記パラメータのパルスをカウントし、
カウントされた前記パルスの個数に基づいて前記装置に放電が発生していることを示す警告を出力する、部分放電検出方法。
[付記2]
複数の閾値を設定し、
前記パルスをカウントすることは、波高が前記各閾値を超えるパルスをカウントすることである、付記1に記載の部分放電検出方法。
[付記3]
前記閾値とカウントされた前記パルスの個数との相関係数を算出し、
前記警告を出力することは、前記相関係数に基づいて前記警告を出力することである、付記2に記載の部分放電検出方法。
[付記4]
前記警告を出力することは、前記相関係数が所定の閾値よりも大きい場合に前記警告を出力することである、付記3に記載の部分放電検出方法。
[付記5]
前記警告を出力することは、前記相関係数の経時変化に基づいて前記警告を出力することである、付記3に記載の部分放電検出方法。
[付記6]
前記装置は、電力変換器である、付記1乃至4の何れかに記載の部分放電検出方法。
[付記7]
前記パラメータは、前記装置の盤面の電位である、付記1乃至6の何れか1項に記載の部分放電検出方法。
[付記8]
前記パラメータは、前記装置に接続する接地線を流れる電流である、付記1乃至6の何れかに記載の部分放電検出方法。
[付記9]
前記パラメータは、前記装置が発生する電磁波である、付記1乃至6の何れかに記載の部分放電検出方法。
[付記10]
前記警告を出力することは、前記パルスの個数の上昇に基づいて前記警告を出力することである、付記1乃至9の何れかに記載の部分放電検出方法。
【符号の説明】
【0082】
1(1a乃至1c)…バスバー、2(2a及び2b)…バスバー、4…インバータ素子、4a…表面絶縁層、4b…層間絶縁層、5…スナバユニット、5a…スナバ素子、6…固定ネジ、10…インバータ、20…情報処理装置、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…通信部、26…操作部、27…表示部、30…A/Dコンバータ、40…センサ、100…検出システム。