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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】穿刺デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240805BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61B18/14
A61M25/00 550
A61M25/00 610
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021025790
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127670
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 雄起
(72)【発明者】
【氏名】小林 美穂
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512569(JP,A)
【文献】特表2015-518752(JP,A)
【文献】特開2012-135338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在する樹脂チューブと、
前記樹脂チューブの内腔に配置されている金属チューブと、
少なくとも近位側に開口する内腔を有し、前記金属チューブの遠位端部に配置されている金属部材と、
前記金属部材の遠位端部に配置されている金属チップと、を有し、
前記樹脂チューブは、前記樹脂チューブの内表面と前記金属部材の外表面との間にあり、前記金属チューブの内腔と連通している流路を備え、
前記金属部材は、大径部と、前記大径部よりも遠位側に配置されており前記大径部よりも外径の小さい小径部と、を備え、
前記金属部材は、前記樹脂チューブの内表面と前記金属部材の外表面との間にある空間と、前記金属チューブの内腔と、を連通させる穴を備え、
前記樹脂チューブの遠位端は、前記穴よりも遠位側にある穿刺デバイス。
【請求項2】
前記大径部よりも遠位側、かつ前記小径部よりも近位側に、遠位側に向かって縮径する遷移部を有しており、
前記穴は、前記遷移部に位置している請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項3】
前記金属部材の長手方向に垂直な断面の形状は、多角形である請求項1または2に記載の穿刺デバイス。
【請求項4】
前記金属部材は、前記金属部材の長手方向に延在する凹部を有している請求項1~3のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項5】
前記金属部材は、前記金属部材の外表面の一部が前記樹脂チューブの内表面に接している部分を有している請求項1~4のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項6】
前記金属部材の大径部は、前記大径部の外表面が前記金属チューブの内表面に接している部分を有している請求項1~5のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項7】
前記金属部材の長手方向に垂直な断面において、前記金属部材の断面積は、前記流路の断面積よりも大きい請求項1~6のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項8】
前記樹脂チューブの遠位端は、前記金属チップの近位端よりも近位側にある請求項1~7のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項9】
前記金属チップは、前記金属チップの近位端部に、前記樹脂チューブの遠位端の開口部に対向する対向面を有している請求項8に記載の穿刺デバイス。
【請求項10】
前記金属チップは、前記金属チップの近位端部に、前記樹脂チューブの遠位端の開口部に対向する対向面を有し、
前記金属チップは、前記対向面に、近位側から遠位側に向かって縮径する縮径凹部を有している請求項8または9に記載の穿刺デバイス。
【請求項11】
前記金属チップは、前記金属チップの近位端部に、近位側から遠位側に向かって拡径する拡径部を有している請求項8または9に記載の穿刺デバイス。
【請求項12】
前記樹脂チューブは、前記金属チューブの遠位端よりも遠位側に補強材を有している請求項1~11のいずれか一項に記載の穿刺デバイス。
【請求項13】
前記補強材は、金属の筒状部材であり、
前記樹脂チューブの内表面に前記補強材が配置されている請求項12に記載の穿刺デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心房の中隔部分等の生体組織を穿刺する穿刺デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)や房室性リエントリー頻拍(AVRT)等の不整脈の検査や治療において、電極を有するカテーテルが用いられる。検査時には、術者は、電極カテーテルを心腔内に挿入し、心内電位を測定して不整脈の原因となっている心臓の異常部位を特定する。治療時には、術者は、カテーテルの電極から高周波電流を含むエネルギーを不整脈の原因となっている心筋へ流し、不整脈の発生源を壊死させることによって心臓から電気的に分離する、所謂アブレーション手術を行う。また、これらの検査時や治療時に心房細動が自然に発生した、または、心臓の異常部特定のために心房細動を発生させた場合には、術者は、カテーテルの電極から電気的な刺激を心臓に与えて除細動を行う。
【0003】
アブレーション手術を行う際に、カテーテルを右心房側から左心房側にデリバリーするため、ブロッケンブロー針(中隔穿刺針)を使用して右心房から心房の中隔部分の卵円窩を穿刺し、カテーテルの挿入経路を開通させる穿刺法であるブロッケンブロー法が用いられている。
【0004】
ブロッケンブロー法では、心腔内エコーやX線照射によってデバイスや卵円窩の位置を確認しながら中隔穿刺針の先端を卵円窩に押し付け、中隔穿刺針に通電して卵円窩を焼灼して貫通させる。卵円窩を中隔穿刺針によって貫通させた状態にて、中隔穿刺針の先端から生理食塩水や造影剤等の液体を流し、心腔内エコーやX線照射を用いて左心房側に液体が流れ込むことを確認して、卵円窩の穿孔の有無を調べる。
【0005】
ブロッケンブロー法に用いられる中隔穿刺針としては、例えば、特許文献1には、カテーテルシャフトと絶縁性灌注部材と先端電極とを備えてなり、絶縁性灌注部材には供給される液体を先端電極の表面に灌注するための複数の灌注用開口が等角度間隔に配置され、絶縁性灌注部材の内部には液体の貯留空間と分岐流路が形成され、絶縁性灌注部材の先端部には液体の案内溝が形成され、先端電極の基端部には液体の案内溝が形成されている電極カテーテルが記載されている。特許文献2には、柔軟性のある細長い部材とルーメンの遠位部内において遠位端から近位に延びる支持スパインとを備え、支持スパインの近位端はルーメンの遠位部内に配置されている医療デバイスが記載されている。特許文献3には、シースと電極部材と先端部材と送液手段とを備え、電極部材が棒状電極部と絶縁材料からなり電極孔を備える大径部とを備え、先端部材と大径部との間に緩衝部材を備える高周波処置具が記載されている。特許文献4には、流体のための管腔を画定する細長部材と、電極と遠位面を有する遠位部分とを備え、遠位面は開口を画定し、非切断部分と組織を穿刺するためのエネルギーを送達するように構成された切断部分とを含み、電極の遠位表面は切断部分を構成し、切断部分の一部は開口の周囲を部分的に囲む先頭部分を形成し、電気手術デバイスの遠位部分または電極の少なくとも1つの外径は電気手術デバイスの遠位端へ向かって減少する電気手術デバイスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-135338号公報
【文献】特表2016-509942号公報
【文献】国際公開第2016/203977号
【文献】特開2019-177150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
穿刺針によって卵円窩を穿刺した後、穿刺針の先端部の開口から左心房内に生理食塩水や造影剤等の液体を流し込み、超音波診断装置やX線透視装置を用いて卵円窩の貫通の確認を行う。この際、特許文献1~4のような穿刺針では、心腔内エコーやX線照射での生理食塩水や造影剤等の液体の視認性が悪く、卵円窩の貫通の確認が行いにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生理食塩水や造影剤等の液体を左心房内の広い範囲に噴射することができ、心腔内エコーやX線照射での視認性を高めることができる穿刺デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決することができた穿刺デバイスは、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在する樹脂チューブと、樹脂チューブの内腔に配置されている金属チューブと、少なくとも近位側に開口する内腔を有し、金属チューブの遠位端部に配置されている金属部材と、金属部材の遠位端部に配置されている金属チップと、を有し、樹脂チューブは、樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にあり、金属チューブの内腔と連通している流路を備え、金属部材は、大径部と、大径部よりも遠位側に配置されており大径部よりも外径の小さい小径部と、を備え、金属部材は、樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にある空間と、金属チューブの内腔と、を連通させる穴を備え、樹脂チューブの遠位端は、穴よりも遠位側にあることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の穿刺デバイスにおいて、大径部よりも遠位側、かつ小径部よりも近位側に、遠位側に向かって縮径する遷移部を有しており、穴は、遷移部に位置していることが好ましい。
【0011】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属部材の長手方向に垂直な断面の形状は、多角形であることが好ましい。
【0012】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属部材は、金属部材の長手方向に延在する凹部を有していることが好ましい。
【0013】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属部材は、金属部材の外表面の一部が樹脂チューブの内表面に接している部分を有していることが好ましい。
【0014】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属部材の大径部は、大径部の外表面が金属チューブの内表面に接している部分を有していることが好ましい。
【0015】
本発明の穿刺デバイスは、金属部材の長手方向に垂直な断面において、金属部材の断面積は、流路の断面積よりも大きいことが好ましい。
【0016】
本発明の穿刺デバイスにおいて、樹脂チューブの遠位端は、金属チップの近位端よりも近位側にあることが好ましい。
【0017】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属チップは、金属チップの近位端部に、樹脂チューブの遠位端の開口部に対向する対向面を有していることが好ましい。
【0018】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属チップは、金属チップの近位端部に、樹脂チューブの遠位端の開口部に対向する対向面を有し、金属チップは、対向面に、近位側から遠位側に向かって縮径する縮径凹部を有していることが好ましい。
【0019】
本発明の穿刺デバイスにおいて、金属チップは、金属チップの近位端部に、近位側から遠位側に向かって拡径する拡径部を有していることが好ましい。
【0020】
本発明の穿刺デバイスにおいて、樹脂チューブは、金属チューブの遠位端よりも遠位側に補強材を有していることが好ましい。
【0021】
本発明の穿刺デバイスにおいて、補強材は、金属の筒状部材であり、樹脂チューブの内表面に補強材が配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の穿刺デバイスによれば、樹脂チューブが樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にあり、金属チューブの内腔と連通している流路を備え、金属部材が大径部と、大径部よりも遠位側に配置されており大径部よりも外径の小さい小径部と、を備え、金属部材が樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にある空間と、金属チューブの内腔と、を連通させる穴を備え、樹脂チューブの遠位端が穴よりも遠位側にあることにより、血管等の生体内管腔への穿刺デバイスの挿通性や卵円窩の穿孔の容易さのための穿刺デバイスの遠位端部の剛性を維持しつつ流路を広くし、流路を流れて穿刺デバイスから放出される生理食塩水や造影剤等の液体の量を増やすことができる。そのため、液体を左心房内の広い範囲に噴射することが可能となり、心腔内エコーやX線照射での視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態における穿刺デバイスの平面図を表す。
図2図1に示した穿刺デバイスの遠位端部の平面図を表す。
図3図2に示した穿刺デバイスの長手方向に沿った断面図を表す。
図4図2に示した穿刺デバイスのIV-IV断面図を表す。
図5図2に示した穿刺デバイスのV-V断面図を表す。
図6】本発明の他の実施の形態における穿刺デバイスの遠位端部の平面図を表す。
図7図6に示した穿刺デバイスの長手方向に沿った断面図を表す。
図8】本発明の異なる実施の形態における穿刺デバイスの遠位端部の平面図を表す。
図9図8に示した穿刺デバイスの長手方向に沿った断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0025】
図1は本発明の実施の形態における穿刺デバイス1の平面図であり、図2は穿刺デバイス1の遠位端部の平面図であり、図3は穿刺デバイス1の長手方向に沿った断面図であり、図4および図5は穿刺デバイス1の長手方向に垂直な断面図である。なお、穿刺デバイス1の長手方向は、穿刺デバイス1の遠近方向と言い換えることができる。穿刺デバイス1における樹脂チューブ10の径方向は、樹脂チューブ10の長手軸に対して垂直な方向であり、樹脂チューブ10の半径方向である。穿刺デバイス1における樹脂チューブ10の周方向は、樹脂チューブ10の周まわりの方向である。
【0026】
本発明の穿刺デバイス1は、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在する樹脂チューブ10と、樹脂チューブ10の内腔に配置されている金属チューブ20と、内腔を有し、金属チューブ20の遠位端部に配置されている金属部材30と、金属部材30の遠位端部に配置されている金属チップ40と、を有し、樹脂チューブ10は、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にあり、金属チューブ20の内腔と連通している流路50を備え、金属部材30は、大径部33と、大径部33よりも遠位側に配置されており大径部33よりも外径の小さい小径部34と、を備え、金属部材30は、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にある空間と金属チューブ20の内腔とを連通させる穴32を備え、樹脂チューブ10の遠位端10dは、穴32よりも遠位側にある。
【0027】
穿刺デバイス1は、例えば、心房の中隔部分である卵円窩を穿刺し、アブレーション手術等に用いられるカテーテルを右心房から左心房にデリバリーするための挿入経路を開通させるために用いられる。
【0028】
本発明において、近位側とは穿刺デバイス1の延在方向に対して使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、すなわち処置対象側を指す。また、穿刺デバイス1の延在方向を長手方向と称する。なお、図1において、図の下側が近位側であって図の上側が遠位側であり、図2および図3において、図の右側が近位側であって図の左側が遠位側である。
【0029】
図1および図2に示すように、穿刺デバイス1は、樹脂チューブ10、金属チューブ20、金属部材30および金属チップ40を含むシャフト2を有しており、シャフト2の近位端部にハンドル3を有していてもよい。また、ハンドル3は、シャフト2を通じて流路50に生理食塩水や造影剤等の液体を送り込むためのシリンジポート4を有していることが好ましい。ハンドル3がシリンジポート4を有していることにより、シリンジポート4にシリンジ等を接続することによって液体を流路50に送り込むことが可能となり、卵円窩の穿孔の有無を確認するために穿刺デバイス1の先端から体内へ液体を注入する操作が行いやすくなる。
【0030】
ハンドル3は、シャフト2に通電するためのコネクタ6を、ケーブル5を介して有していることが好ましい。ハンドル3がケーブル5およびコネクタ6を有していることにより、高周波電流通電用の電源にコネクタ6を接続することによって、シャフト2の金属チューブ20、金属部材30および金属チップ40を電気的に接続することができる。そのため、金属チップ40から対極版へ通電することが可能となって、卵円窩の穿孔が行いやすくなる。
【0031】
シャフト2は遠位端部に、シャフト2が屈曲している屈曲部12を有していることが好ましい。シャフト2が遠位端部に屈曲部12を有していることにより、心臓内へ穿刺デバイス1を挿通しやすくなる。屈曲部12におけるシャフト2の屈曲の角度は、体内管腔や心臓の形状や状態に合わせたものとすることができる。屈曲部12は、金属部材30の近位端よりも近位側に位置していてもよい。また、屈曲部12を金属部材30が配置されている部分に設けてもよい。屈曲部12をシャフト2の遠位端部に設けることによって、穿刺デバイス1の操作性を向上させることができる。
【0032】
穿刺デバイス1として組み上がる前の樹脂チューブ10が有している内腔の数は、複数であってもよいが、1つであることが好ましい。樹脂チューブ10が有している内腔の数が1つであることにより、樹脂チューブ10の外径を小さくしつつ、長手方向に垂直な方向における内腔の断面積を大きくすることができる。そのため、樹脂チューブ10の内腔に金属チューブ20を配置することが行いやすくなり、穿刺デバイス1の製造が容易となる。
【0033】
図2および図3に示すように、樹脂チューブ10は、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在している。樹脂チューブ10を構成する材料は、絶縁性材料であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。樹脂チューブ10は、1種類の合成樹脂から構成されていてもよく、複数種の合成樹脂を含んでいてもよい。樹脂チューブ10を構成する材料が絶縁性材料であることにより、金属チップ40の通電時に金属チューブ20や金属部材30を樹脂チューブ10によって絶縁することができる。中でも、樹脂チューブ10を構成する材料は、フッ素系樹脂を含んでいることが好ましく、PTFEを含んでいることがより好ましい。樹脂チューブ10を構成する材料がフッ素系樹脂を含んでいることにより、樹脂チューブ10の外表面の滑り性を高めて挿通性がよい穿刺デバイス1とすることができる。
【0034】
樹脂チューブ10の長手方向の長さは、治療に適切な長さを選択することができ、例えば、500mm以上1200mm以下とすることができる。
【0035】
樹脂チューブ10の外径は、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、0.6mm以上であることがさらに好ましい。樹脂チューブ10の外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、樹脂チューブ10の剛性を高め、血管への挿通性がよい穿刺デバイス1とすることができる。また、樹脂チューブ10の外径は、2mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましい。樹脂チューブ10の外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、穿刺デバイス1の外径を小さくすることができる。そのため、穿刺デバイス1の低侵襲性を向上させることができる。
【0036】
樹脂チューブ10の厚みは、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。樹脂チューブ10の厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、金属チップ40の通電時に樹脂チューブ10によって絶縁することができる。そのため、体内の意図しない箇所を焼灼してしまうことを防止できる。また、樹脂チューブ10の厚みは、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。樹脂チューブ10の厚みの上限値を上記の範囲に設定することにより、樹脂チューブ10の外径が大きくなりすぎることを防ぎ、穿刺デバイス1が低侵襲なものとなる。
【0037】
図2図5に示すように、金属チューブ20は、樹脂チューブ10の内腔に配置されている。つまり、金属チューブ20の外方に樹脂チューブ10が配置されている。金属チューブ20が有している内腔の数は、複数であってもよいが、1つであることが好ましい。金属チューブ20が内腔を1つ有していることにより、長手方向に垂直な方向における内腔の断面積を大きくすることができ、流路50へ送り込む液体の流量を増やすことが可能となる。
【0038】
金属チューブ20を構成する材料は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属が挙げられる。金属チューブ20を構成する材料は、ステンレス鋼であることが好ましい。金属チューブ20を構成する材料がステンレス鋼であることにより、金属チューブ20の剛性が高まり、その結果、穿刺デバイス1のプッシャビリティを向上させ、卵円窩の穿孔を容易とすることができる。
【0039】
金属チューブ20の長手方向の長さは、治療に適切な長さを選択することができ、例えば、500mm以上1200mm以下とすることができる。
【0040】
金属チューブ20の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。金属チューブ20の外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、金属チューブ20の剛性が高まって穿刺デバイス1のプッシャビリティを向上させることや卵円窩の穿孔を行いやすくすることが可能となる。また、金属チューブ20の外径は、2mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましい。金属チューブ20の外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、金属チューブ20の長手方向に垂直な断面における内腔の断面積を十分に確保しやすく、流路50に送り込む液体の量を十分なものとすることができる。
【0041】
金属チューブ20の厚みは、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、200μm以上であることがさらに好ましい。金属チューブ20の厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、金属チューブ20の剛性が高まる。そのため、穿刺デバイス1のプッシャビリティを向上させ、また、卵円窩の穿孔を行いやすくすることができる。また、金属チューブ20の厚みは、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。金属チューブ20の厚みの上限値を上記の範囲に設定することにより、金属チューブ20の外径が過度に大きくなることを防ぎ、その結果、穿刺デバイス1の細径化を図ることが可能となる。
【0042】
図3に示すように、金属部材30は、少なくとも近位側に開口する内腔を有し、金属チューブ20の遠位端部に接合されている。金属チューブ20の遠位端部に金属部材30を接合する方法としては、例えば、溶接、はんだ等のろう付け、接着、かしめ等による接続、金属チューブ20への金属部材30の圧入、金属チューブ20と金属部材30との嵌合、別部品を介した金属チューブ20と金属部材30との接続等が挙げられる。金属チューブ20の遠位端部に金属部材30を接合する方法は、中でも、溶接、ろう付け、接着等の固定であることが好ましく、溶接であることがより好ましい。金属チューブ20の遠位端部と金属部材30とが固定されていることにより、金属チューブ20と金属部材30との接合強度が高まる。そのため、穿刺デバイス1が湾曲しても金属部材30が金属チューブ20から外れにくくなる。
【0043】
金属部材30を構成する材料は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属が挙げられる。金属部材30を構成する材料は、ステンレス鋼であることが好ましい。金属部材30を構成する材料がステンレス鋼であることにより、金属部材30の剛性を高めることが可能となる。そのため、穿刺デバイス1の遠位端部の剛性も高まって、卵円窩の穿孔が行いやすくなる。
【0044】
金属部材30の近位端における金属部材30の長手方向に垂直な断面形状の外接円の直径は、金属チューブ20の遠位端における金属チューブ20の内径よりも小さいことが好ましい。金属部材30の近位端での断面形状の外接円の直径が金属チューブ20の遠位端の内径よりも小さいことにより、金属部材30の近位端部を金属チューブ20の遠位端部に挿入することができ、金属チューブ20と金属部材30との接合強度を高めることができる。
【0045】
図2および図3に示すように、金属チップ40は、金属部材30の遠位端部に配置されている。金属チップ40は、金属チップ40を構成する別部材が金属部材30の遠位端部に直接接合されていてもよく、金属部材30や金属チップ40とは異なる別部品である中間部材等を介して、金属部材30の遠位端部に間接的に接合されていてもよい。金属チップ40は、金属部材30の遠位端部に配置されており、金属チップ40と金属部材30とは、一体であればよく、つなぎ目のある状態であっても、ない状態であってもよい。金属チップ40を金属部材30の遠位端部に配置するために、金属チップ40を金属部材30に接合することができる。
【0046】
金属部材30の遠位端部に金属チップ40を接合する具体的な方法としては、例えば、溶接、はんだ等のろう付け、接着、かしめ等による接続、金属チップ40への金属部材30の圧入、金属部材30と金属チップ40との嵌合、別部品を介した金属部材30と金属チップ40との接続等が挙げられる。金属部材30の遠位端部に金属チップ40を接合する方法は、中でも、溶接、ろう付け、接着等の固定であることが好ましく、溶接であることがより好ましい。金属部材30の遠位端部と金属チップ40とが固定されていることにより、金属チップ40を金属部材30に強固に接合することが可能となる。そのため、卵円窩を穿孔する際等に金属チップ40を卵円窩に押し付けたときに金属チップ40が金属部材30から脱落しにくくなり、耐久性の高い穿刺デバイス1とすることができる。
【0047】
金属チップ40を構成する材料は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属が挙げられる。金属チップ40を構成する材料は、金属部材30を構成する材料と同一であることが好ましい。金属チップ40を構成する材料が金属部材30を構成する材料と同じであることにより、金属部材30と金属チップ40との接合が行いやすくなり、また、金属部材30と金属チップ40との接合強度を高めることができる。
【0048】
図2および図3に示すように、金属チップ40の遠位端部は、曲面状の表面形状を有していることが好ましい。金属チップ40の遠位端部が曲面状となっていることにより、金属チップ40が血管等の体内管腔と接触した際に体内管腔を傷付けにくくすることができる。その結果、金属チップ40による意図しない箇所の損傷や穿孔が起こりにくくなる。
【0049】
上述のように、シャフト2の金属チューブ20と金属部材30、および金属部材30と金属チップ40がそれぞれ接合されていることにより、金属チューブ20、金属部材30および金属チップ40の3つの部材が電気的に接続し、通電が可能となる。
【0050】
図4に示すように、樹脂チューブ10は、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にあり、金属チューブ20の内腔と連通している流路50を備えている。流路50の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0051】
図2および図3に示すように、金属部材30は、大径部33と、大径部33よりも遠位側に配置されており、大径部33よりも外径の小さい小径部34と、を備え、金属部材30は、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にある空間と金属チューブ20の内腔とを連通させる穴32を備え、樹脂チューブ10の遠位端10dは、穴32よりも遠位側にある。穴32は、小径部34に設けられていてもよい。穴32は、1つであってもよく、複数設けられていてもよい。穴32が複数である場合、金属部材30の長手方向、周方向に複数設けることができる。樹脂チューブ10の遠位端の開口部11において、樹脂チューブ10の周囲全体から液体を放出するために、穴32は金属部材30の周方向に複数設けられることができる。
【0052】
金属部材30が大径部33を備えていることにより、大径部33が存在している部分である金属部材30の近位側の剛性が増し、穿刺デバイス1のプッシャビリティや卵円窩の穿孔のしやすさを向上することができる。金属部材30が小径部34を備えていることにより、小径部34が存在している部分である金属部材30の遠位側の外表面と樹脂チューブ10の内表面との間にある空間が大きくなり、流路50を広くすることができる。そのため、穿刺デバイス1から放出される液体の流量を増やすことができ、心腔内エコーやX線照射での視認性を向上させることが可能となる。
【0053】
図3に示すように、金属部材30の内腔は、少なくとも近位側に開口を有する。金属部材30の内腔の近位端は、金属チューブ20の内腔に連通している。金属部材30の内腔の遠位端は、金属部材30の遠位端と一致してもよく、金属部材30の遠位端より内側、つまり、金属部材30の遠位端よりも近位側であってもよい。穿刺デバイス1内での液体の流通を考慮すると、図3に示すように、金属部材30の内腔の遠位端は、金属部材30の小径部34の近位端と一致することが好ましい。
【0054】
穿刺デバイス1において、流路50内の液体は、金属チューブ20の内腔、金属部材30の内腔、穴32、および樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にある空間を通って樹脂チューブ10の外部へ放出される。穴32の内径が金属部材30の内径よりも小さいため液体が穴32を通過する際に液体の流速が上がり、その結果、樹脂チューブ10の外部へ液体を勢いよく広範囲に放出することが可能となって、心腔内エコーやX線照射での視認性を高めることができる。
【0055】
大径部33の外径は、小径部34の外径の1倍超であればよいが、小径部34の外径の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。大径部33の外径と小径部34の外径との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、大径部33が存在している部分である金属部材30の近位側の剛性が十分に高まり、かつ、小径部34が存在している部分である金属部材30の遠位側の外表面と樹脂チューブ10の内表面との間にある空間を十分に確保することができる。また、大径部33の外径は、小径部34の外径の2倍以下であることが好ましく、1.8倍以下であることがより好ましく、1.6倍以下であることがさらに好ましい。大径部33の外径と小径部34の外径との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、穿刺デバイス1の遠位端部の外径が過度に大きくなることを防ぎ、低侵襲性を高めることができる。
【0056】
樹脂チューブ10は、遠位端から近位端まで1本のチューブであってもよく、複数のチューブから構成されていてもよい。長手方向に複数のチューブで構成される場合は、それぞれのチューブは、1本のチューブとなるように接合されている必要がある。その場合、接合部の境目は明確でなくてもよい。図示していないが、樹脂チューブ10が複数のチューブから構成されている場合、樹脂チューブ10は、遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとを有しており、遠位側樹脂チューブの内腔に金属部材30が配置されており、近位側樹脂チューブの内腔に金属チューブ20が配置されていてもよい。なお、金属チューブ20と金属部材30の接合部分を覆う、さらに別のチューブが配置されていてもよい。樹脂チューブ10が遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとを有していることにより、遠位側樹脂チューブを金属部材30に適した大きさや素材とし、近位側樹脂チューブを金属チューブ20に適した大きさや素材とすることが可能となる。その結果、樹脂チューブ10の内腔に金属チューブ20および金属部材30を配置する工程が行いやすくなる。
【0057】
樹脂チューブ10が遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとを有している場合、図示していないが、遠位側樹脂チューブの近位端は、近位側樹脂チューブの遠位端よりも近位側にあることが好ましい。遠位側樹脂チューブの近位端が近位側樹脂チューブの遠位端よりも近位側にあることにより、遠位側樹脂チューブの近位端部と近位側樹脂チューブの遠位端部とが重なり合う。そのため、穿刺デバイス1を体内管腔へ挿通している際に、遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとの間の隙間から血液等の液体が樹脂チューブ10の内腔へ侵入しにくくすることができる。
【0058】
遠位側樹脂チューブの近位端部と近位側樹脂チューブの遠位端部とが重なり合う部分の長さは、樹脂チューブ10の外径の大きさへの影響や、接合強度を考慮して選択することができる。遠位側樹脂チューブの近位端部と近位側樹脂チューブの遠位端部とを接合させる方法としては、例えば、遠位側樹脂チューブの近位端部と近位側樹脂チューブの遠位端部とを加熱すること、接着すること、ドローイングすること等が挙げられる。
【0059】
また、遠位側樹脂チューブの近位端は、近位側樹脂チューブの内腔に配置されていることが好ましい。遠位側樹脂チューブの近位端が近位側樹脂チューブの内腔に配置されていることにより、近位側樹脂チューブの遠位端部が遠位側樹脂チューブの外表面と密着させることができ、金属チューブ20の内腔に液体を送り込んで流路50を液体が通過している際に、遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとの間から流路50内にある液体が外部へ漏れ出ることを防止することができる。
【0060】
遠位側樹脂チューブの近位端は、近位側樹脂チューブの遠位端と隙間なく接合されていることが好ましい。遠位側樹脂チューブの近位端が近位側樹脂チューブと隙間なく接合されていることにより、金属チューブ20を介して金属チップ40へ通電する際に、遠位側樹脂チューブと近位側樹脂チューブとの隙間から、金属チューブ20、金属部材30および金属チップ40等を伝わる電流が外部へ漏れ出にくくすることができる。
【0061】
図2および図3に示すように、金属チューブ20の遠位端が位置する部分の樹脂チューブ10の外径は、金属部材30の遠位端が位置する部分の樹脂チューブ10の外径よりも大きいことが好ましい。金属チューブ20の遠位端が位置する部分の樹脂チューブ10の外径が、金属部材30の遠位端が位置する部分の樹脂チューブ10の外径よりも大きいことにより、穿刺デバイス1の遠位端部において、遠位側に小径部34と、小径部34の近位側に大径部33とを形成することができる。そのため、例えば、穿刺デバイス1を体内管腔に挿通する際にダイレーターを用いる場合、ダイレーターからは小径部34だけが露出する構成とすることによって、ダイレーターから穿刺デバイス1が露出する長さを容易に制御することが可能となる。
【0062】
図2および図3に示すように、大径部33よりも遠位側、かつ小径部34よりも近位側に、遠位側に向かって縮径する遷移部35を有しており、穴32は、遷移部35に位置していることが好ましい。遷移部35に穴32が位置していることにより、金属部材30の大径部33の内腔にある液体を、穴32を経由して樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の小径部34がある部分の外表面との間にある空間に、効率よく送り込むことができる。小径部34の外表面と樹脂チューブ10の内表面との間にある空間を、大径部33の外表面と樹脂チューブ10の内表面との間にある空間よりも広くした場合には、流路50内における液体の流れが円滑なものとなり、穿刺デバイス1から液体を多量に放出しやすくなる。
【0063】
遷移部35は、遷移部35の近位端から遷移部35の遠位端にかけて全体または部分的に、テーパー状、階段状、凹凸状、波形状に内径が変化していてもよい。中でも、遷移部35は、遷移部35の近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に縮径していることが好ましい。遷移部35が近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に縮径していることにより、穴32を通過した液体が遷移部35の外表面と接触した際に抵抗が生じにくくなる。そのため、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間にある空間を液体が通過する際に液体の圧力損失を小さくすることができ、樹脂チューブ10から放出される液体の流速や流量を増加することができる。
【0064】
図3に示すように、大径部33および遷移部35は内腔を有しており、小径部34は内腔を有していないことが好ましい。つまり、金属部材30が有している内腔は、小径部34よりも近位側であることが好ましい。大径部33と遷移部35が内腔を有していることにより、金属チューブ20の内腔から穴32までの液体の流れにおいて液体の流量をある程度確保した状態で流速を速めることが可能となる。また、小径部34が内腔を有していないことにより、小径部34の外表面と樹脂チューブ10の内表面との間にある空間の広さを確保しながら小径部34がある部分である樹脂チューブ10の遠位端部の剛性を高めることが可能となる。その結果、プッシャビリティがよく卵円窩の穿孔も行いやすく、かつ、生理食塩水や造影剤等の液体を広範囲かつ多量に放出できて心腔内エコーやX線照射での視認性がよい穿刺デバイス1とすることができる。
【0065】
図4に示すように、金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状は、多角形であることが好ましい。金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状が多角形であることにより、流路50の断面積を増やしつつ、金属部材30の強度を維持して金属部材30が存在している穿刺デバイス1の遠位端部の剛性を保つことができる。
【0066】
なお、本発明における多角形は、多角形の角部の頂点が明確であって辺部が直線であるものの他に、多角形の角部が丸みを帯びている、所謂角丸多角形や、多角形の辺部の少なくとも一部が曲線となっているものも含まれるものとする。金属部材30の長手方向に垂直な断面が多角形である場合、その多角形の頂点は、樹脂チューブ10の内表面に接していてもよく、接していなくてもよい。いずれの場合も、長手方向に垂直な断面において、樹脂チューブ10の内表面が金属部材30の外表面の全周に密着する部分が形成されないように、樹脂チューブ10の材料や硬さを選択することが好ましい。金属部材30の長手方向に垂直な断面が多角形である場合、樹脂チューブ10が適度な硬さを備えることにより、樹脂チューブ10と金属部材30との間に流路50を形成することができる。
【0067】
金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形、十字型、H字形、U字形、山形、またはこれらを組み合わせた形状等であってもよい。金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状は、中でも、四角形であることがより好ましい。金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状が四角形であることにより、金属部材30の強度と流路50の大きさの確保とを両立させることができる。
【0068】
金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状は、大径部33は円形であり、小径部34は多角形であることが好ましい。金属部材30の長手方向に垂直な断面の形状が、大径部33は円形であって小径部34は多角形であることにより、金属部材30の大径部33である部分は金属チューブ20の内径に沿った形状となって、金属部材30と金属チューブ20との接合強度が高くなり、また、金属部材30の小径部34である部分は流路50の断面積を確保しながら樹脂チューブ10の剛性が増して、プッシャビリティや卵円窩の穿孔が行いやすい穿刺デバイス1とすることができる。小径部34は、前述した断面形状に流路50を形成するための切り欠きが設けられた形状であってもよい。樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の小径部34の外表面の一部が面状に密着する構成である場合は、小径部34の断面を、流路50を形成するための切り欠きが設けられた形状とすることで、流路50を容易に形成することができる。樹脂チューブ10の内表面と小径部34の外表面が断面において点状に接する構成である場合は、金属部材30の長手方向に垂直な小径部34の断面形状が多角形や星形等の頂点のある形状である。樹脂チューブ10の内表面と小径部34の外表面が接しない構成の場合は、金属部材30の長手方向に垂直な小径部34の断面形状は、任意の形状とすることができる。
【0069】
図示していないが、金属部材30は、金属部材30の長手方向に延在する凹部を有していることが好ましい。金属部材30が長手方向に延在する凹部を有していることにより、樹脂チューブ10の内表面と金属部材30の外表面との間に形成される流路50の断面積を大きくすることができる。そのため、樹脂チューブ10から放出される液体の量を十分なものとすることが可能となる。
【0070】
長手方向に垂直な断面において、凹部と樹脂チューブ10の内表面との最大距離は、金属部材30の外周上の2点を結ぶ金属部材30の最大長さ(以下、単に「金属部材30の最大長さ」と称することがある)の20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。凹部と樹脂チューブ10の内表面との最大距離と、金属部材30の最大長さとの比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、長手方向に垂直な断面における流路50の断面積を確保することができ、流路50を通る液体の量を十分なものとすることができる。また、長手方向に垂直な断面において、凹部と樹脂チューブ10の内表面との最大距離は、金属部材30の最大長さの70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。凹部と樹脂チューブ10の内表面との最大距離と、金属部材30の最大長さとの比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、金属部材30の強度を保つことができ、金属部材30がある穿刺デバイス1の遠位端部の剛性を確保することができる。
【0071】
金属部材30は、凹部を複数有していることが好ましい。金属部材30が凹部を複数有していることにより、長手方向に垂直な断面における流路50の断面積を大きくすることができ、液体が開口部11から外部へ放出される際に、樹脂チューブ10の径方向の広い範囲に放出しやすくなる。
【0072】
図示していないが、金属部材30は、金属部材30の外表面の一部が樹脂チューブ10の内表面に接している部分を有していることが好ましい。金属部材30が、金属部材30の外表面の一部が樹脂チューブ10の内表面に接している部分を有していることにより、金属部材30が存在している穿刺デバイス1の遠位端部の剛性を金属部材30によって高めることができ、挿通性のよい穿刺デバイス1とすることができる。
【0073】
金属部材30の外表面の一部は、流路50が存在する区間において、樹脂チューブ10の内表面と長手方向に沿って接していることが好ましい。金属部材30の外表面と樹脂チューブ10の内表面とが接しない部分が流路50となり、接する部分が穿刺デバイス1の遠位端部の強度を維持する部分となる。
【0074】
金属部材30の外表面の一部が樹脂チューブ10の内表面に接している場合、図4に示すように、金属部材30の長手方向に垂直な断面において、金属部材30は、樹脂チューブ10の内表面に複数箇所で面状に接していることが好ましい。金属部材30が樹脂チューブ10の内表面に複数箇所で面状に接していることにより、複数の流路50を確保することができる。流路50が複数存在することにより、液体が樹脂チューブ10の遠位端10dにある開口部11から外部へ放出される際に、樹脂チューブ10の径方向の広い範囲に液体を放出しやすくなる。
【0075】
また、図3に示すように、金属部材30は、金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側において、樹脂チューブ10の内表面に接している部分を有していないことも好ましい。金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側において、金属部材30が樹脂チューブ10の内表面に接している部分を有していないことにより、流路50を確保することができ、流路50の大きさを広くして流路50を通過する液体の流量を増やすことができる。
【0076】
図3および図5に示すように、金属部材30の大径部33は、大径部33の外表面が金属チューブ20の内表面に接している部分を有していることが好ましい。大径部33が、大径部33の外表面が金属チューブ20の内表面に接している部分を有していることにより、金属チューブ20の内腔にある液体が金属部材30の内腔に流れ込みやすくなる。その結果、金属部材30の内腔にある液体が穴32を通過することとなり、樹脂チューブ10から放出される液体の流速を速めて、大量の液体を左心房の広範囲に放出でき、心腔内エコーやX線照射での視認性を向上することができる。
【0077】
図3および図5に示すように、金属部材30は、金属チューブ20の内表面に面状に接していることが好ましい。金属部材30が金属チューブ20の内表面に面状に接していることにより、金属チューブ20と金属部材30とが接触している面積を大きくすることができる。そのため、金属チューブ20と金属部材30との接合強度を高めることが可能となり、湾曲した体内管腔に穿刺デバイス1を挿通した状態であっても、金属部材30が金属チューブ20から外れにくくすることができる。金属部材30の長手方向に垂直な断面において、金属部材30が金属チューブ20の内表面に面状に接している長さは、金属チューブ20と金属部材30との接合強度や流路50の流量を考慮して選択することができる。
【0078】
図5に示すように、金属部材30の大径部33は、大径部33の外表面の全周が金属チューブ20の内表面に接している部分を有していることがより好ましい。大径部33が、大径部33の外表面の全周が金属チューブ20の内表面に接している部分を有していることにより、金属チューブ20の内腔を流れる液体の全てが金属部材30の内腔に入りやすくなり、樹脂チューブ10から放出される液体の流速をさらに速めて、心腔内エコーやX線照射での視認性をより高めることが可能となる。
【0079】
図4に示すように、金属部材30の長手方向に垂直な断面において、金属部材30の断面積は、流路50の断面積よりも大きいことが好ましい。金属部材30の断面積が流路50の断面積よりも大きいことにより、穿刺デバイス1の遠位端部での金属部材30が存在している部分の剛性を高めることができる。そのため、穿刺デバイス1の挿通性が高まる。
【0080】
金属部材30の長手方向に垂直な断面において、金属部材30の断面積は、流路50の断面積の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがより好ましく、1.5倍以上であることがさらに好ましい。金属部材30の断面積と流路50の断面積との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、金属部材30が配置されている穿刺デバイス1の遠位端部の剛性を十分に高めることができる。また、金属部材30の断面積は、流路50の断面積の5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。金属部材30の断面積と流路50の断面積との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、流路50の断面積を確保しながら、穿刺デバイス1の遠位端部の外径が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0081】
図2および図3に示すように、樹脂チューブ10の遠位端10dは、金属チップ40の近位端40pよりも近位側にあることが好ましい。樹脂チューブ10の遠位端10dが、金属チップ40の近位端40pよりも近位側にあることより、樹脂チューブ10の遠位端10dが金属チップ40の近位端40pから離れており、流路50内の生理食塩水や造影剤等の液体が樹脂チューブ10の遠位端10dから樹脂チューブ10の外部へ放出されることとなる。つまり、樹脂チューブ10の遠位端10dに開口部11が存在し、開口部11から流路50内の液体が樹脂チューブ10の外部へ放出される。そのため、樹脂チューブ10の遠位端10dから放出される流路50内の液体は、樹脂チューブ10の径方向に拡散することが可能となり、左心房内の広い範囲に放出することができ、心腔内エコーやX線照射での視認性を高めることができる。液体は、流路50を樹脂チューブ10の長手方向に沿って流れるため、樹脂チューブ10の遠位端10dから放出されて金属チップ40の近位端の面である対向面41に向かって流れる。液体は、対向面41によって流れの方向が樹脂チューブ10の径方向に変更される。
【0082】
図6は本発明の他の実施の形態における穿刺デバイス1の遠位端部の平面図であり、図7はこの穿刺デバイス1の長手方向に沿った断面図である。また、図8は本発明の異なる実施の形態における穿刺デバイス1の遠位端部の平面図であり、図9はこの穿刺デバイス1の長手方向に沿った断面図である。なお、図6図9において、図の右側が近位側であって図の左側が遠位側である。
【0083】
金属部材30の近位端30pは、図3および図9に示すように、金属チューブ20の遠位端20dよりも近位側にあってもよく、図7に示すように、金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側にあってもよい。金属部材30の近位端30pが、金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側にあることにより、穿刺デバイス1の遠位端部の剛性を高めつつ、金属部材30が存在していない部分は流路50を広く確保することができる。その結果、プッシャビリティがよく卵円窩の穿孔が行いやすく、かつ、生理食塩水や造影剤等の液体を多く放出して心腔内エコーやX線照射での視認性がよい穿刺デバイス1とすることが可能となる。
【0084】
図2図3および図6図9に示すように、金属チップ40の遠位端は、樹脂チューブ10の遠位端10dよりも遠位側にあることが好ましい。金属チップ40の遠位端が樹脂チューブ10の遠位端10dよりも遠位側にあることにより、金属チップ40の遠位端部が樹脂チューブ10から露出する。つまり、金属チップ40の露出部分が、組織を焼灼する電極として機能することとなる。
【0085】
また、図2図3および図6図9に示すように、金属チップ40の近位端は、樹脂チューブ10の遠位端10dよりも遠位側にあることが好ましい。金属チップ40の近位端が、樹脂チューブ10の遠位端10dよりも遠位側にあることにより、樹脂チューブ10の遠位端10dにある開口部11の長手方向に垂直な断面積を大きくすることができ、流路50内の液体を開口部11から多量に放出することが可能となる。
【0086】
図2図3図6および図7に示すように、金属チップ40は、金属チップ40の近位端部に、樹脂チューブ10の遠位端10dの開口部11に対向する対向面41を有していることが好ましい。金属チップ40が対向面41を有していることにより、樹脂チューブ10の開口部11から放出された流路50内の液体が対向面41に接触して、開口部11から放出された液体は樹脂チューブ10の径方向に拡散しやすくなる。その結果、液体を左心房内の広い範囲に放出することが可能となり、心腔内エコーやX線照射による視認性を高めることができる。
【0087】
図6および図7に示すように、金属チップ40は、金属チップ40の近位端部に、樹脂チューブ10の遠位端10dの開口部11に対向する対向面41を有し、金属チップ40は、対向面41に、近位側から遠位側に向かって縮径する縮径凹部42を有していることが好ましい。金属チップ40が対向面41に縮径凹部42を有していることにより、樹脂チューブ10の開口部11から放出された流路50内の液体が縮径凹部42に接触して跳ね返り、樹脂チューブ10の径方向だけでなく近位側へも液体を拡散することができ、心腔内エコーやX線照射での視認性を向上させることが可能となる。
【0088】
縮径凹部42は、縮径凹部42の近位端から縮径凹部42の遠位端にかけて全体または部分的に、テーパー状、階段状、凹凸状、波形状に内径が変化していてもよい。中でも、縮径凹部42は、縮径凹部42の近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に縮径していることが好ましい。縮径凹部42が近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に縮径していることにより、樹脂チューブ10の開口部11から放出されて縮径凹部42に接触した流路50内の液体が近位側へ向かいやすくなる。そのため、液体を左心房内の広範囲に放出することができ、心腔内エコーやX線照射による視認性を高めやすくすることができる。
【0089】
また、図8および図9に示すように、金属チップ40は、金属チップ40の近位端部に、近位側から遠位側に向かって拡径する拡径部43を有していることも好ましい。金属チップ40が拡径部43を有していることにより、流路50内の液体が樹脂チューブ10の開口部11から放出された後に拡径部43に接触して、拡径部43の外表面に沿って移動する。そのため、流路50内の液体を樹脂チューブ10の径方向だけではなく遠位側へも拡散することができ、心腔内エコーやX線照射による視認性が高い穿刺デバイス1とすることができる。
【0090】
拡径部43は、拡径部43の近位端から拡径部43の遠位端にかけて全体または部分的に、テーパー状、階段状、凹凸状、波形状に外径が変化していてもよい。中でも、拡径部43は、拡径部43の近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に拡径していることが好ましい。拡径部43が近位端から遠位端にかけて全体がテーパー状に拡径していることにより、樹脂チューブ10の開口部11から放出された流路50内の液体が拡径部43に接触した際に、遠位側へ液体が流れやすくなる。その結果、左心房内の広範囲に液体を拡散することが可能となって、心腔内エコーやX線照射での視認性を向上させることができる。
【0091】
図示していないが、金属チップ40は内腔を有しており、金属チップ40の内部にX線不透過マーカーが配置されていることが好ましい。金属チップ40の内腔にX線不透過マーカーが配置されていることにより、金属チップ40のX線に対する造影性を高めることができる。そのため、穿刺デバイス1の使用時にX線を用いることによって、体内での金属チップ40の位置を確認することが容易となる。
【0092】
X線不透過マーカーを構成する材料は、例えば、鉛、バリウム、ヨウ素、タングステン、金、白金、イリジウム、白金イリジウム合金、ステンレス、チタン、パラジウム、コバルトクロム合金等のX線不透過物質を用いることができる。X線不透過物質は、中でも、白金イリジウム合金であることが好ましい。X線不透過マーカーを構成する材料が白金イリジウム合金であることにより、X線の造影性を高めることができ、X線照射によって金属チップ40の位置を確認しやすくなる。
【0093】
X線不透過マーカーの形状は、球状、円筒状、多角筒状、筒に切れ込みが入った断面C字状の形状、線材を巻回したコイル形状、円柱状、多角柱状等が挙げられる。X線不透過マーカーは、金属チップ40の内腔以外の場所に配置されていてもよい。また、X線不透過マーカーの数は1つであってもよく、複数であってもよい。
【0094】
図6図9に示すように、樹脂チューブ10は、金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側に補強材13を有していることが好ましい。樹脂チューブ10が金属チューブ20の遠位端20dよりも遠位側に補強材13を有していることにより、樹脂チューブ10の遠位端部が補強材13によって補強され、剛性が高まる。そのため、プッシャビリティがよく、卵円窩の穿孔が行いやすい穿刺デバイス1とすることが可能となる。
【0095】
補強材13は、例えば、筒状部材等の層状に形成されたものであってもよく、単線または撚線の線材を特定のパターンで配置または編組したものであってもよい。補強材13は、樹脂チューブ10の周壁の外表面、周壁の内表面、または周壁内に配置することができる。
【0096】
補強材13を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等の金属や、ポリアリレート系樹脂、アラミド系樹脂、超高分子量ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。補強材13は、1種類の材料から構成されていてもよく、複数種の材料を含んでいてもよい。
【0097】
補強材13は、金属の筒状部材であり、図7および図9に示すように、樹脂チューブ10の内表面に補強材13が配置されていることが好ましい。補強材13が金属の筒状部材であって、樹脂チューブ10の内表面に配置されていることにより、樹脂チューブ10の遠位端部全体の剛性を高めつつ、樹脂チューブ10の遠位端部の表面を滑らかなものとし、樹脂チューブ10の摺動性を向上させることができる。なお、樹脂チューブ10の内表面に筒状部材の補強材13が配置されている場合、流路50は、樹脂チューブ10が有している補強材13の内表面と金属部材30の外表面との間にあるものとなる。
【0098】
以上のように、本発明の穿刺デバイスは、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在する樹脂チューブと、樹脂チューブの内腔に配置されている金属チューブと、少なくとも近位側に開口する内腔を有し、金属チューブの遠位端部に配置されている金属部材と、金属部材の遠位端部に配置されている金属チップと、を有し、樹脂チューブは、樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にあり、金属チューブの内腔と連通している流路を備え、金属部材は、大径部と、大径部よりも遠位側に配置されており大径部よりも外径の小さい小径部と、を備え、金属部材は、樹脂チューブの内表面と金属部材の外表面との間にある空間と、金属チューブの内腔と、を連通させる穴を備え、樹脂チューブの遠位端は、穴よりも遠位側にある。本発明の穿刺デバイスがこのような構成であることにより、血管等の生体内管腔への穿刺デバイスの挿通性や卵円窩の穿孔の容易さのための穿刺デバイスの遠位端部の剛性を維持しつつ流路を広くし、流路を流れて穿刺デバイスから放出される生理食塩水や造影剤等の液体の量を増やすことができる。そのため、液体を左心房内の広い範囲に噴射することが可能となり、心腔内エコーやX線照射での視認性を高めることができる。
【符号の説明】
【0099】
1:穿刺デバイス
2:シャフト
3:ハンドル
4:シリンジポート
5:ケーブル
6:コネクタ
10:樹脂チューブ
10d:樹脂チューブの遠位端
11:開口部
12:屈曲部
13:補強材
20:金属チューブ
20d:金属チューブの遠位端
30:金属部材
30p:金属部材の近位端
32:穴
33:大径部
34:小径部
35:遷移部
40:金属チップ
40p:金属チップの近位端
41:対向面
42:縮径凹部
43:拡径部
50:流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9