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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】判定回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 7/06 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
G11C7/06 120
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021046861
(22)【出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2022146070
(43)【公開日】2022-10-05
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堂坂 利彰
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-184188(JP,A)
【文献】特開2003-196982(JP,A)
【文献】特開2007-280570(JP,A)
【文献】特開2015-220714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 7/06
G11C 11/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に一端が接続され、他端に判定回路イネーブル信号が入力され、前記判定回路イネーブル信号に基づいて、前記差動対の動作開始に伴う前記入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる第1の容量素子を備えた判定回路。
【請求項2】
ゲート端子が前記差動対の動作制御を行う動作制御信号線に接続され、ドレイン端子あるいはソース端子が前記第1の容量素子の他端に接続された第1のMOSトランジスタを備えた、
請求項1記載の判定回路。
【請求項3】
ゲート端子が前記動作制御信号線に接続され、ドレイン端子が前記差動対に接続され、ソース端子が電源に接続された第2のMOSトランジスタを備え、
前記第1のMOSトランジスタは、前記第2のMOSトランジスタと同一タイプであり、同サイズとされている、
請求項2記載の判定回路。
【請求項4】
前記第1のMOSトランジスタのソース端子にソース端子が接続され、ゲート端子に前記動作制御信号線に対応する動作制御信号の反転信号が入力された第3のMOSトランジスタを備え、
前記第1のMOSトランジスタ及び前記第3のMOSトランジスタのいずれか一方はNチャネルMOSトランジスタとして構成され、いずれか他方はPチャネルMOSトランジスタとして構成されている、
請求項2又は請求項3に記載の判定回路。
【請求項5】
前記第1の容量素子の他端に一端が接続された第2の容量素子を備えた、
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の判定回路。
【請求項6】
前記容量素子は、MOSトランジスタとして構成されている、
請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の判定回路。
【請求項7】
前記容量素子を構成するMOSトランジスタのドレイン端子あるいはソース端子のいずれか一方は、フローティング状態とされている、
請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の判定回路。
【請求項8】
前記容量素子を構成するMOSトランジスタのドレイン端子及びソース端子は前記動作制御信号線に接続されている、
請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の判定回路。
【請求項9】
前記差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に直列にRCフィルタを構成する抵抗素子を設けた、
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の判定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、判定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来SRAM(Static Random Access Memory)のメモリ回路を構成するビットセルの電位判定を行う判定回路として、クロック同期ラッチ型判定回路が知られている。
このクロック同期ラッチ型判定回路は、同期型アンプとラッチとがカスケード接続されており、従来のアナログアンプを用いた判定回路と比較して、判定時間が短く、データ読み出し時間の短縮が可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-184188号公報
【文献】特開2003-308698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シングルビットラインのメモリセルを備えたメモリ回路を構成する複数のビットラインのそれぞれに対応する複数のクロック同期ラッチ型判定回路においては、参照電圧が共通の参照電圧ラインを介して供給されており、動作時のカップリングノイズによるで入力電位の変動がビットライン側よりも参照電圧ライン側で大きく現れ、変動量が大きい場合には、判定が正しく行えなくなる虞があった。
このため従来のシングルビットラインのメモリセルからの読出しにおいては、判定回路の動作時の電位変動を抑制して、正しい判定を行うために容量素子を追加する技術が提案されている。
しかしながら、容量素子を追加すると設置面積が増加してしまい、メモリの高集積化が図れないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クロック同期ラッチ型判定回路において、設置面積を必要以上に増加させることなく動作時の電位変動を抑制して高精度で判定を行うことが可能な判定回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の判定回路は、差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に一端が接続され、他端に判定回路イネーブル信号が入力され、前記判定回路イネーブル信号に基づいて、前記差動対の動作開始に伴う前記入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる第1の容量素子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の判定回路を備えたシングルビットラインメモリの要部概要構成ブロック図である。
図2図2は、第1実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図3図3は、従来のクロック同期ラッチ型判定回路の回路構成例の説明図である。
図4図4は従来の判定回路の問題点を説明する図である。
図5図5は、第1実施形態の動作説明図である。
図6図6は、第1実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図7図7は、第1実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図8図8は、第1実施形態の第3変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図9図9は、第2実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図10図10は、第2実施形態の動作説明図である。
図11図11は、第2実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図12図12は、第2実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図13図13は、第2実施形態の第3変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図14図14は、第3実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図15図15は、第3実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図16図16は、第3実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図17図17は、第4実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図18図18は、第4実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に好適な実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の判定回路を備えたシングルビットラインメモリの要部概要構成ブロック図である。
実施形態のメモリアレイ10は、複数のビットセル11-0_0~11-127_nと、複数の判定回路13-0~13-127と、参照電圧発生回路14と、を備えている。
【0009】
以下の説明においては、判定回路13-0~13-127を識別する必要がない場合には、判定回路13と表記するものとする。
判定回路13-0~13-127の一方の入力端子には、ビットラインBL0~BL127のうち、対応するいずれかのビットラインが接続され、他方の入力端子には、参照電圧発生回路14が発生させた参照電圧Refが共通に入力されている。
【0010】
また判定回路13-0~13-127のイネーブル端子には、センスアンプ動作制御信号SAが入力されている。
【0011】
[1]第1実施形態
図2は、第1実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
第1実施形態の判定回路13は、差動対DIFと、ラッチ回路LATと、PチャネルMOSトランジスタ(PチャネルMOSFET)M7~M10を備えたクロック入力回路と、インバータIN1~IN4を備えた信号変換回路と、NチャネルMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET)M11と、NチャネルMOSトランジスタM2と、を備えている。
ここで、NチャネルMOSトランジスタM11は、容量素子として機能している。
【0012】
差動対DIFは、ゲート端子に対応するビットラインBLxが接続され、ドレイン端子がラッチ回路LATに接続され、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM2のドレイン端子に接続されたNチャネルMOSトランジスタM0と、ゲート端子に参照電圧発生回路14が接続され、ドレイン端子がラッチ回路LATに接続され、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM2のドレイン端子に接続されたNチャネルMOSトランジスタM1と、を備えている。
【0013】
ラッチ回路LATは、ドレイン端子が高電位側電源VDDに接続されたPチャネルMOSトランジスタM3と、ドレイン端子が高電位側電源VDDに接続されたPチャネルMOSトランジスタM4と、ドレイン端子がPチャネルMOSトランジスタM3のソース端子に接続され、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM0のドレイン端子に接続されたNチャネルMOSトランジスタM5と、ドレイン端子がPチャネルMOSトランジスタM4のソース端子に接続され、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM1のドレイン端子に接続されたNチャネルMOSトランジスタM6と、を備えている。
【0014】
上記構成において、ラッチ回路LATは、PチャネルMOSトランジスタM3のゲート端子とNチャネルMOSトランジスタM5のゲート端子とは互いに接続されて、PチャネルMOSトランジスタM4のソース端子及びNチャネルMOSトランジスタM6のドレイン端子の接続点に接続されている。
【0015】
さらにPチャネルMOSトランジスタM3のソース端子及びNチャネルMOSトランジスタM5のドレイン端子の接続点は、クロック入力回路を構成するPチャネルMOSトランジスタM8のソース端子に接続されている。
【0016】
また、PチャネルMOSトランジスタM4のゲート端子とNチャネルMOSトランジスタM6のゲート端子とは互いに接続されて、PチャネルMOSトランジスタM3のソース端子及びNチャネルMOSトランジスタM5のドレイン端子の接続点に接続されている。
【0017】
さらにPチャネルMOSトランジスタM4のソース端子及びNチャネルMOSトランジスタM6のドレイン端子の接続点は、クロック入力回路を構成するPチャネルMOSトランジスタM9のソース端子に接続されている。
【0018】
またクロック入力回路は、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM0のドレイン端子に接続されたPチャネルMOSトランジスタM7と、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM5のドレイン端子に接続され、ゲート端子がPチャネルMOSトランジスタM7のゲート端子に接続されたPチャネルMOSトランジスタM8と、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM6のドレイン端子に接続されたPチャネルMOSトランジスタM9と、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM1のドレイン端子に接続され、ゲート端子がPチャネルMOSトランジスタM9のゲート端子に接続されたPチャネルMOSトランジスタM10と、を備えている。
【0019】
信号変換回路は、入力端子にセンスアンプ動作制御信号SAが入力されて、センスアンプ動作制御信号を反転して出力するインバータIN1と、入力端子にインバータIN1の出力端子が接続され、入力信号を反転して判定回路イネーブル信号SAEを出力するインバータIN2と、入力端子にインバータIN2の出力端子が接続され、入力された判定回路イネーブル信号SAEを反転して信号SNを出力するインバータIN3と、入力端子にインバータIN3の出力端子が接続され、入力された信号SNを反転して信号SPを出力するインバータIN4と、を備えている。
【0020】
上記構成において、判定回路イネーブル信号SAEは、クロック入力回路を構成しているPチャネルMOSトランジスタM7~M10のゲート端子にそれぞれ入力されている。
【0021】
また、円C1内に示されるNチャネルMOSトランジスタM11は、判定回路13の動作時の電位変動を抑制する機能を有しており、ゲート端子が参照電圧発生回路14に接続され、ドレイン端子がフローティング状態とされ、ソース端子がインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されている。
【0022】
NチャネルMOSトランジスタM2は、ゲート端子がインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM0のソース端子及びNチャネルMOSトランジスタM1のソース端子に接続され、ソース端子が低電位側電源に接続されている。
【0023】
ここで、第1実施形態の動作説明に先立ち、実施形態の理解の容易のため、従来の判定回路の問題点について説明する。なお、各実施形態は、この従来の判定回路に限定して適用されるものではない。
図3は、従来のクロック同期ラッチ型判定回路の回路構成例の説明図である。
図3において、図2と同様の部分には、同一の符号を付し、その詳細な説明を援用するものとする。
【0024】
また図3においては、図2において図示を省略した判定回路の出力回路についても図示している。
上記構成において、従来のクロック同期ラッチ型判定回路13Pが図2のクロック同期ラッチ型判定回路と異なる点は、容量素子としてのNチャネルMOSトランジスタM11が設けられていない点である。
【0025】
出力回路は、インバータIN5~IN7、PチャネルMOSトランジスタM51、M52及びNチャネルMOSトランジスタM53、M54を備えている。
インバータIN5の入力端子には、PチャネルMOSトランジスタM4のソース端子の電位に相当する信号SABが入力され、出力端子がNチャネルMOSトランジスタM53のゲート端子に接続されている。
【0026】
またインバータIN6の入力端子には、PチャネルMOSトランジスタM3のソース端子の電位に相当する信号SATが入力され、出力端子がインバータIN7の入力端子に接続されている。
インバータIN7の入力端子には、インバータIN6から信号SATの反転信号が入力され、PチャネルMOSトランジスタM52のゲート端子に接続されている。
【0027】
PチャネルMOSトランジスタM51は、ドレイン端子に高電位側電源VDDに接続され、ソース端子はPチャネルMOSトランジスタM52のドレイン端子に接続され、ゲート端子にはインバータIN3から判定回路イネーブル信号SAEの反転信号である信号SNが入力されている。
【0028】
PチャネルMOSトランジスタM52は、ゲート端子がインバータIN7の出力端子に接続され、ソース端子が判定回路13の出力端子OUTに接続されている。
NチャネルMOSトランジスタM53のドレイン端子は出力端子OUTに接続され、ゲート端子はインバータIN5の出力端子に接続され、ソース端子はNチャネルMOSトランジスタM54のドレイン端子に接続されている。
【0029】
NチャネルMOSトランジスタM54のゲート端子には、インバータIN4から信号SNの反転信号である信号SP(=実効的に2ゲート分遅延した判定回路イネーブル信号SAE)が入力されている。
【0030】
図4は従来の判定回路の問題点を説明する図である。
従来のクロック同期ラッチ型判定回路13Pにおいて、判定タイミングとなり、図4に示すように、判定回路イネーブル信号SAEが“L”レベルから“H”レベルに遷移すると、判定回路イネーブル信号SAEがゲート端子に入力されているNチャネルMOSトランジスタM2が所定時間遅延してオン状態となり、NチャネルMOSトランジスタM0及びNチャネルMOSトランジスタM1のソース端子の電位に相当する信号SACが“L”レベルに遷移することとなる。
【0031】
これにより全てのクロック同期ラッチ型判定回路13Pには、参照電圧発生回路14から参照電圧Refが印加されることとなるが、参照電圧Refはクロック同期ラッチ型判定回路13Pの接続数に比例した電位変動を受けることとなり、図4に示すように、ビットラインBLxの電圧は当該一のビットラインBLxの影響のみの電位変動を受けるだけである。
このため、図4に示すように、ビットラインBLxの電位と参照電圧Refの電位との差が小さくなり、あるいは、ビットラインBLxの電位と参照電圧Refの電位とが逆転して、正しい判定を行えなくなる虞があった。
【0032】
この問題を回避するためには、参照電圧Refの電位の変動を抑制する必要があり、容量素子の付加が必要となるが、容量素子の設置面積の増加により、メモリ回路の実効的な高集積化が図れなくなる。
【0033】
ここで、再び図2に戻って説明を行う。
そこで、本第1実施形態においては、NチャネルMOSトランジスタM11を設けている。
このNチャネルMOSトランジスタ11は、NチャネルMOSトランジスタM1と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM1と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0034】
図5は、第1実施形態の動作説明図である。
クロック同期ラッチ型判定回路13において、判定タイミングとなり、図5に示すように、時刻t1において、判定回路イネーブル信号SAEが“L”レベルから“H”レベルに遷移すると、これに伴って、入力信号INNに対応する参照電圧Refはクロック同期ラッチ型判定回路13の接続数に比例した電位変動(電圧上昇)を招く。
【0035】
その後、判定回路イネーブル信号SAEがゲート端子に入力されているNチャネルMOSトランジスタM2が所定時間遅延した時刻t2においてオン状態となり、NチャネルMOSトランジスタM0及びNチャネルMOSトランジスタM1のソース端子の電位に相当する信号SACが“L”レベルに遷移することとなる。
【0036】
このとき、全てのクロック同期ラッチ型判定回路13は、参照電圧発生回路14の入力信号INN(=参照電圧Ref)が印加され、入力信号INNに対応する参照電圧Refはクロック同期ラッチ型判定回路13の接続数に比例した電位変動(電圧低下)を受けることとなる。
【0037】
しかしながら、本第1実施形態によれば、参照電圧Refの電圧は、NチャネルMOSトランジスタM11のゲート-ソース間の寄生容量を介して持ち上げられ、信号SACの“L”レベルへの遷移に伴う電位変動(電圧低下)がキャンセルする方向とされて、電位変動が抑制される。
【0038】
これに対して、対応するビットラインBLxに対応する入力信号INPの電位変動はそのままである。
したがって、図5に示すように、ビットラインBLxに対応する入力信号INPの電位と入力信号INNに対応する参照電圧Refの電位との差がNチャネルMOSトランジスタM11が設けられていない従来例(図4参照)と比較して大きくなり、正しい判定を行えることとなる。
【0039】
この場合において、同様の電位変動を抑制するために必要な容量素子に比べてNチャネルMOSトランジスタM11の設置面積は非常に小さいので、メモリ回路の高集積化をより容易に図ることができる。
【0040】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、メモリ回路の高集積化を妨げることなく、クロック同期ラッチ型判定回路13における参照電圧Refの電位変動を抑制して、高精度で判定を行うことができる。
さらに読み出しタイミングの高速化を図ることができる。
【0041】
[1.1]第1実施形態の第1変形例
図6は、第1実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図6において、図2の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第1実施形態の第1変形例が第1実施形態と異なる点は、円C2内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM12を設けた点である。
【0042】
このNチャネルMOSトランジスタM12もNチャネルMOSトランジスタM11と同様に容量素子として機能している。
ここで、NチャネルMOSトランジスタM12のゲート端子は、対応するビットラインBLxに接続されて、入力信号INPが印加される。
【0043】
またNチャネルMOSトランジスタM12のドレイン端子はフローティング状態とされ、ソース端子はインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されている。
【0044】
さらに、NチャネルMOSトランジスタM0と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM0と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0045】
そして、第1実施形態の第1変形例のクロック同期ラッチ型判定回路13によれば、第一実施形態の作用及び効果に加えて、対応するビットラインBLxの入力信号INPの電圧は、NチャネルMOSトランジスタM12のゲート-ソース間の寄生容量を介して持ち上げられ、電位変動(電圧低下)がキャンセル方向とされて、電位変動が抑制される。
したがって、第1実施形態の場合と比較して、BLxの入力信号INPの電圧の変動も抑制できるため、より信頼性の高い判定結果を得ることができる。
【0046】
[1.2]第1実施形態の第2変形例
図7は、第1実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図7において、図2の第1実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第1実施形態の第2変形例が第1実施形態と異なる点は、円C1内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM11のドレイン端子が、ソース端子と同様にインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されている点である。
【0047】
本第1実施形態の第2変形例によれば、第1実施形態の第1変形例と比較して、NチャネルMOSトランジスタM11の電位状態を安定化することができ、安定した動作が期待できる。
【0048】
[1.3]第1実施形態の第3変形例
図8は、第1実施形態の第3変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図8において、図6の第1実施形態の第1変形例の判定回路と異なる点は、円C1内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM11のドレイン端子が、ソース端子と同様にインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されている点と、円C2内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM12のドレイン端子が、ソース端子と同様にインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されている点である。
【0049】
本第1実施形態の第3変形例によれば、第1実施形態の第1変形例と比較して、NチャネルMOSトランジスタM11及びNチャネルMOSトランジスタM12の電位状態を安定化することができ、安定した動作が期待できる。
【0050】
[2]第2実施形態
次に第2実施形態について説明する。
上記第1実施形態においては、入力信号INNに対応する参照電圧Refの電位の電位変動(電圧上昇)の要因となる判定回路イネーブル信号SAEの遷移と、入力信号INNに対応する参照電圧Refの電位の電位変動(電圧低下)の要因となる信号SACの“L”レベルへの遷移とは、異なる要因である。
【0051】
このため、NチャネルMOSトランジスタM2の駆動能力に応じて入力信号INNに対応する参照電圧Refの電位の電位変動の抑制効果は変動してばらつきが生じる。例えば、温度条件あるいは電圧条件が変動すると抑制効果が異なることとなっていた。
【0052】
そこで、本第2実施形態は、温度条件及び電圧条件が変動しても入力信号INNに対応する参照電圧Refの電位の電位変動の抑制効果をより安定して得るための実施形態を提供する。
【0053】
図9は、第2実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図9において、図2あるいは図3と同様の部分については、同一の符号を付すものとする。
【0054】
第2実施形態の判定回路13Aが、図3の従来例と異なる点は、楕円C3に示すように、ゲート端子がインバータIN2の出力端子に接続され、ドレイン端子が高電位側電源VDDに接続されたNチャネルMOSトランジスタM21と、ゲート端子がインバータIN1の出力端子に接続され、ドレイン端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子に接続され、ソース端子が低電位側電源VSSに接続されたNチャンネルトランジスタM22と、ゲート端子が参照電圧発生回路14に接続され、ドレイン端子がフローティング状態とされ、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子とNチャネルMOSトランジスタM22のドレイン端子との接続点に接続されて、信号SARが入力されるNチャネルMOSトランジスタM23と、を備えている点である。
ここで、NチャネルMOSトランジスタM23は、第1の容量素子として機能している。
【0055】
上記構成において、NチャネルMOSトランジスタM21は、NチャネルMOSトランジスタM2のカップリング動作に同期して、NチャネルMOSトランジスタM23をカップリング動作させるために設けられており、NチャネルMOSトランジスタM2と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM2と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0056】
また、NチャネルMOSトランジスタM22は、信号SARを放電するための放電トランジスタとして機能している。
【0057】
また、NチャネルMOSトランジスタM23は、容量素子として機能しており、NチャネルMOSトランジスタM1と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM1と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0058】
図10は、第2実施形態の動作説明図である。
クロック同期ラッチ型判定回路13Aにおいて、判定タイミングとなり、図10に示すように、時刻t11において、判定回路イネーブル信号SAEが低電位側電源VSSの電位レベルである“L”レベルから高電位側電源VDDの電位レベルである“H”レベルに遷移する。
【0059】
これにより、判定回路イネーブル信号SAEがゲート端子に入力されているNチャネルMOSトランジスタM2がオン状態への遷移を開始し、所定時間遅延した時刻t12においてオン状態となる。
【0060】
そして、NチャネルMOSトランジスタM0及びNチャネルMOSトランジスタM1のソース端子の電位に相当する信号SACが高電位側電源VDDの電位レベルから、時刻t13において、トランジスタの閾値電圧Vthだけ下がった電位レベル(VDD-Vth)である“H”レベルから低電位側電源VSSの電位レベルである“L”レベルに遷移することとなる。
【0061】
これと並行して、時刻t11において、判定回路イネーブル信号SAEがゲート端子に入力されているNチャネルMOSトランジスタM21がオン状態への遷移を開始し、所定時間遅延した時刻t12においてオン状態となる。
このとき、インバータIN1の出力は“L”レベルであるので、NチャネルMOSトランジスタM22は、オフ状態のままである。
【0062】
したがって、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子とNチャネルMOSトランジスタM22のドレイン端子との接続点の信号SARは、時刻t12において低電位側電源VSSの電位レベルである“L”レベルから高電位側電源VDDの電位レベルからトランジスタの閾値電圧Vthだけ下がった電位レベル(VDD-Vth)である“H”レベルへの遷移を開始し、時刻t13において、低電位側電源VSSの電位レベルである“L”レベルから、ら高電位側電源VDDの電位レベルからトランジスタの閾値電圧Vthだけ下がった電位レベル(VDD-Vth)である“H”レベルに遷移することとなる。
【0063】
これらの結果、信号SACの遷移に起因する電圧変動のタイミングと、信号SARに基づく、NチャネルMOSトランジスタM23による電圧変動をキャンセルするための信号の印加タイミングとは、一致することとなる。
したがって、3つのNチャネルMOSトランジスタM21~M23の追加だけで、図10に示すように、参照電圧Refの電位変動を抑制できる。
【0064】
この場合において、同様の電位変動を抑制するために必要な容量素子に比べてNチャネルMOSトランジスタM21~M23の三つのトランジスタの設置面積は小さいので、メモリ回路の高集積化をより容易に図ることができる。
【0065】
以上の説明のように、本第2実施形態によっても、メモリ回路の高集積化を妨げることなく、クロック同期ラッチ型判定回路13Aにおける参照電圧Refの電位変動を抑制して、高精度で判定を行うことができる。
さらに読み出しタイミングの高速化を図ることができる。
【0066】
[2.1]第2実施形態の第1変形例
図11は、第2実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図11において、図9の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
第2実施形態の第1変形例が第2実施形態と異なる点は、楕円C4内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM24を設けた点である。
【0067】
このNチャネルMOSトランジスタM24もNチャネルMOSトランジスタM23と同様に容量素子(第2の容量素子)として機能している。
また、NチャネルMOSトランジスタM24はNチャネルMOSトランジスタM0と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM0と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0068】
第2実施形態の第1変形例の動作は、図10に示した第2実施形態と同様であるので、詳細な説明を援用するものとする。
この場合において、信号SACに対応する寄生容量成分と、信号SARに対応する寄生容量成分とは、一致することとなり、信号SACの遷移に起因する電圧変動のタイミングと、信号SARに基づく、NチャネルMOSトランジスタM23による電圧変動をキャンセルするための信号の印加タイミングとは、第2実施形態の場合よりも一致させることができることとなる。
【0069】
したがって、4つのNチャネルMOSトランジスタM21~M24の追加だけで、図12に示すように、参照電圧Refの電位変動をより一層確実に抑制できる。
【0070】
すなわち、本第2実施形態の第1変形例によれば、信号SACに対応する寄生容量成分と、信号SARに対応する寄生容量成分と、を一致させることができるため、参照電圧Refに対応する入力信号INNの電位変動タイミングに対して、電位変動をキャンセルタイミングをより一致させて、より一層確実に電位変動を抑制できる。
ひいては、より信頼性の高い判定結果を得ることができる。
【0071】
[2.2]第2実施形態の第2変形例
図12は、第2実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図12において、図11の第2実施形態の第1変形例と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0072】
第2実施形態の第2変形例が第2実施形態の第1変形例と異なる点は、楕円C5内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM24に代えて、ゲート端子にビットラインBLxの入力信号INPを印加したNチャネルMOSトランジスタM24Aを設けた点である。
【0073】
このNチャネルMOSトランジスタM24AもNチャネルMOSトランジスタM23と同様に容量素子として機能している。
また、NチャネルMOSトランジスタM24Aも、NチャネルMOSトランジスタM24と同様に、NチャネルMOSトランジスタM0と同一のプロセスで形成されており、NチャネルMOSトランジスタM0と同一タイプ、同サイズとなっている。
【0074】
これらの結果、NチャネルMOSトランジスタM23のゲート端子には参照電圧発生回路14が接続されて参照電圧Refに対応する入力信号INNが印加されて、対応する参照電圧Refの電位変動を抑制し、NチャネルMOSトランジスタM24Aのゲート端子には、ビットラインBLxが接続されて、入力信号INPが印加されて、入力信号INPの電位変動を抑制する。
【0075】
したがって、本第2実施形態の第2変形例によれば、入力信号INN及び入力信号INPの双方の電位変動を抑制して、より一層安定に判定結果を得ることができる。
【0076】
[2.3]第2実施形態の第3変形例
図13は、第2実施形態の第3変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図13において、図12の第2実施形態の第2変形例と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0077】
第2実施形態の第3変形例が第2実施形態の第2変形例と異なる点は、楕円C6内に示すように、NチャネルMOSトランジスタM23に代えて、ドレイン端子が、ソース端子と同様にインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されたNチャネルMOSトランジスタM23Aを備えている点と、NチャネルMOSトランジスタM24に代えて、ドレイン端子が、ソース端子と同様にインバータIN2の出力端子に接続されて判定回路イネーブル信号SAEが入力されたNチャンネルトランジスタ24Bを備えている点である。
【0078】
本第2実施形態の第3変形例によれば、第2実施形態の第2変形例と比較して、NチャネルMOSトランジスタM23A及びNチャネルMOSトランジスタM24Bの電位状態を安定化することができ、安定した動作が期待できる。
【0079】
[3]第3実施形態
図14は、第3実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図14において、図9の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0080】
第3実施形態が第2実施形態と異なる点は、楕円C7内に示すように、ゲート端子がインバータIN3の出力端子に接続され、ドレイン端子がフローティング状態とされ、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子とNチャネルMOSトランジスタM22のドレイン端子との接続点に接続されて、ゲート端子に信号SNが入力されるPチャネルMOSトランジスタM25を備えた点である。
【0081】
本第3実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果に加えて、信号SARの“H”レベル時の電位を、高電位側電源VDDまで遷移させることができるので、容量素子として機能するNチャネルMOSトランジスタM21及びNチャネルMOSトランジスタM23のトランジスタサイズ、ひいては、設置面積を小さくできるため、より判定回路の設置面積を小さくでき、ひいては、SRAMの高集積化を図ることができる。
【0082】
[3.1]第3実施形態の第1変形例
図15は、第3実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図15において、図12の第2実施形態の第2変形例と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0083】
第3実施形態の第1変形例が第2実施形態の第2変形例と異なる点は、楕円C8内に示すように、ゲート端子がインバータIN3の出力端子に接続され、ドレイン端子がフローティング状態とされ、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子とNチャネルMOSトランジスタM22のドレイン端子との接続点に接続されて、ゲート端子に信号SNが入力されるPチャネルMOSトランジスタM25を備えた点である。
【0084】
本第3実施形態の第1変形例によれば、第2実施形態の第2変形例と同様の効果に加えて、信号SARの“H”レベル時の電位を、高電位側電源VDDまで遷移させることができるので、容量素子として機能するNチャネルMOSトランジスタM21及びNチャネルMOSトランジスタM23のトランジスタサイズ、ひいては、設置面積を小さくできるため、より判定回路の設置面積を小さくでき、ひいては、SRAMの高集積化を図ることができる。
【0085】
[3.2]第3実施形態の第2変形例
図16は、第3実施形態の第2変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図16において、図13の第2実施形態の第3変形例と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
【0086】
第3実施形態の第3変形例が第3実施形態の第3変形例と異なる点は、楕円C9内に示すように、ゲート端子がインバータIN3の出力端子に接続され、ドレイン端子が高電位側電源VDDとされ、ソース端子がNチャネルMOSトランジスタM21のソース端子とNチャネルMOSトランジスタM22のドレイン端子との接続点に接続されて、ゲート端子に信号SNが入力されるPチャネルMOSトランジスタM25を備えた点である。
【0087】
本第3実施形態の第2変形例によれば、第2実施形態の第3変形例と同様の効果に加えて、信号SARの“H”レベル時の電位を、高電位側電源VDDまで遷移させることができるので、容量素子として機能するNチャネルMOSトランジスタM21及びNチャネルMOSトランジスタM23のトランジスタサイズ、ひいては、設置面積を小さくできるため、より判定回路の設置面積を小さくでき、ひいては、SRAMの高集積化を図ることができる。
【0088】
[4]第4実施形態
図17は、第4実施形態の判定回路の回路構成例の説明図である。
図17において、図2の第1実施形態と異なる点は、NチャネルMOSトランジスタM11を設けず、参照電圧発生回路14が発生させた参照電圧Refの入力ライン上に抵抗素子R1を設けた点である。
【0089】
これによりNチャネルMOSトランジスタM1のソース-ゲート間寄生容量でRCフィルタを構成することにより判定回路動作時のカップリングノイズによる影響を緩和して安定して判定を行うことができる。
【0090】
この場合において、抵抗素子R1の抵抗値は、比較的高く設定すれば、カップリングノイズをより低減することができるが、NチャネルMOSトランジスタM11のゲート端子において参照電圧Refが安定するまでの時間が長くなるため判定時間が長くなる。
【0091】
一方、抵抗素子R1の抵抗値を、比較的低く設定すれば、NチャネルMOSトランジスタM11のゲート端子において参照電圧Refが安定するまでの時間が短くなるため判定時間が短くなるが、カップリングノイズの影響を低減しづらくなるため、誤判定を起こす可能性が高くなる。
したがって、判定時間及び誤判定の可能性の双方を考慮して、適宜抵抗素子R1の抵抗値を定めることが望ましい。
【0092】
[4.1]第4実施形態の第1変形例
図18は、第4実施形態の第1変形例の判定回路の回路構成例の説明図である。
図18において、図2の第1実施形態と異なる点は、参照電圧発生回路14が発生させた参照電圧Refの入力ライン上に抵抗素子R1を設けた点である。
【0093】
これにより第1実施形態の効果に加えて、第4実施形態と同様にNチャネルMOSトランジスタM1のソース-ゲート間寄生容量でRCフィルタを構成することにより判定回路動作時のカップリングノイズによる影響を緩和して安定して判定を行うことができる。
この場合において、抵抗素子R1の抵抗値の決定については、第4実施形態と同様である。
【0094】
[4.2]第4実施形態の第2変形例
以上の第4実施形態の第1変形例においては、第1実施形態の構成に、さらに抵抗素子R1を設ける構成としていたが、上述した第1実施形態の第1変形例以降の実施形態についても同様に抵抗素子R1を設けてRCフィルタを構成することにより判定回路動作時のカップリングノイズによる影響を緩和して安定して判定を行うようにすることも可能である。
【0095】
[5]実施形態の他の態様
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0096】
[5.1]実施形態の第1の他の態様
実施形態の第1の他の態様としては、差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に一端が接続され、前記差動対の動作開始に伴う前記入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる容量素子を備えた判定回路であって、前記容量素子は、他端が前記差動対の動作制御を行う動作制御信号線に接続されているようにした判定回路である。
【0097】
[5.2]実施形態の第2の他の態様
実施形態の第2の他の態様としては、差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に一端が接続され、前記差動対の動作開始に伴う前記入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる容量素子を備えた判定回路であって、前記容量素子は、前記差動対の入力端子にそれぞれ設けられている判定回路である。
この場合において、前記容量素子は、他端が前記差動対の動作制御を行う動作制御信号線に接続されているようにしてもよい。
【0098】
[5.3]実施形態の第3の他の態様
上記第1の他の態様あるいは上記第2の他の態様において、前記容量素子は、MOSトランジスタとして構成されているようにしてもよい。
【0099】
[5.4]実施形態の第4の他の態様
上記実施形態の第3の他の態様において、前記容量素子は、前記MOSトランジスタのゲート端子と、ドレイン端子あるいはソース端子と、の間の寄生容量として構成されているようにしてもよい。
【0100】
[5.5]実施形態の第5の他の態様
上記第1の他の態様乃至第4の他の態様のいずれかにおいて、前記差動対は、一対のMOSトランジスタで構成されており、前記容量素子は、接続された入力端子に対応する前記差動対を構成するMOSトランジスタと同一タイプであり、同サイズのMOSトランジスタで構成されているようにしてもよい。
【0101】
[5.6]実施形態の第6の他の態様
上記第1の他の態様乃至第5の他の態様のいずれかにおいて、前記容量素子を構成するMOSトランジスタのドレイン端子あるいはソース端子のいずれか一方は、フローティング状態とされているようにしてもよい。
【0102】
[5.7]実施形態の第7の他の態様
上記第1の他の態様乃至第5の他の態様のいずれかにおいて、前記容量素子を構成するMOSトランジスタのドレイン端子及びソース端子は前記差動対の動作制御を行う動作制御信号線に接続されているようにしてもよい。
【0103】
[5.8]実施形態の第8の他の態様
実施形態の第8の他の態様としては、差動型判定回路を構成する差動対の入力端子に一端が接続され、前記差動対の動作開始に伴う前記入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる容量素子を備えた判定回路であって、ゲート端子が前記差動対の動作制御を行う動作制御信号線に接続され、ドレイン端子あるいはソース端子が前記容量素子の他端に接続された第1のMOSトランジスタを備えるようにした判定回路であり、前記容量素子は、前記MOSトランジスタのゲート端子と、ドレイン端子あるいはソース端子と、の間の寄生容量として構成されている。
【0104】
[5.9]実施形態の第9の他の態様
実施形態の第9の他の態様としては、差動対を備えた差動型判定回路で実行される補正方法であって、前記差動対の動作開始を検出する過程と、前記動作開始に伴う前記差動対の入力端子の電位変動をキャンセルする側に前記入力端子の電位をシフトさせる過程と、を備えた補正方法である。
【符号の説明】
【0105】
10 SRAM
11 NチャネルMOSトランジスタ
11 ビットセル
13 クロック同期ラッチ型判定回路
13A クロック同期ラッチ型判定回路
14 参照電圧発生回路
24B NチャネルMOSトランジスタ
IN1~IN7 インバータ
M0~M2 NチャネルMOSトランジスタ
M3、M4 PチャネルMOSトランジスタ
M5、M6 NチャネルMOSトランジスタ
M7~M10 PチャネルMOSトランジスタ
M11、M12 NチャネルMOSトランジスタ
M21~M22 NチャネルMOSトランジスタ
M23 NチャネルMOSトランジスタ(第1の容量素子)
M23A NチャネルMOSトランジスタ
M24 NチャネルMOSトランジスタ(第2の容量素子)
M24A~M24B NチャネルMOSトランジスタ
M25 PチャネルMOSトランジスタ
M51、M52 PチャネルMOSトランジスタ
M53、M54 NチャネルMOSトランジスタ
BLx ビットライン
DIF 差動対
INN、INP 入力信号
LAT ラッチ回路
OUT 出力端子
R1 抵抗素子
Ref 参照電圧
SA センスアンプ動作制御信号
SAB 信号
SAC 信号
SAE 判定回路イネーブル信号(動作制御信号)
SAR 信号
SAT 信号
SN 信号
SP 信号
VDD 高電位側電源
VSS 低電位側電源
Vth 閾値電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18