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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】圧縮機ユニット
(51)【国際特許分類】
   F04B 35/00 20060101AFI20240805BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20240805BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20240805BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240805BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240805BHJP
【FI】
F04B35/00 C
H01M8/0606
H01M8/0662
H01M8/0438
H01M8/04746
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021056538
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153813
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】和田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】兼井 直史
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-137926(JP,A)
【文献】特表2010-510463(JP,A)
【文献】特開2015-105709(JP,A)
【文献】特開2016-011618(JP,A)
【文献】特開2012-047234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00-37/20、
41/00-41/06
H01M 8/04-8/0668
F17C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ステーションで用いられ、水素ガスを圧縮する圧縮機ユニットであって、
駆動部と、前記駆動部によって駆動されて水素ガスを圧縮する圧縮部と、を有する、往復動式の圧縮機本体と、
前記駆動部の動力源である電動式モータと、
記圧縮機本体に接続され、水素ガスを流通させる圧縮ガス流路と、
水素ステーション内に配置され、前記圧縮ガス流路から導かれた水素ガスを用いて電力を生成し、生成した電力を前記電動式モータに供給する燃料電池モジュールと、
前記電動式モータの回転数を調整するインバータと、
を備え
前記圧縮機本体が、前記圧縮部の圧縮室からのリークガスを前記圧縮ガス流路に供給可能な供給路接続部を備え、
前記圧縮ガス流路は、前記供給路接続部に接続されて、前記リークガスを前記燃料電池モジュールに供給する、圧縮機ユニット。
【請求項2】
前記圧縮機本体の吸入側流路に接続され、水素ガスを流通させる吸入ガス流路をさらに備える、請求項1に記載の圧縮機ユニット。
【請求項3】
前記リークガスの圧力が、前記吸入側流路内の水素ガスの圧力よりも低く、
前記圧縮ガス流路は、前記吸入側流路に接続されることなく前記圧縮機本体に接続されて、前記圧縮機本体から水素ガスを前記燃料電池モジュールに供給する、請求項2に記載の圧縮機ユニット。
【請求項4】
モータによって駆動される冷媒ガス圧縮機を有し、ディスペンサ内の水素ガスを冷却する冷凍機をさらに備え、
前記燃料電池モジュールを前記冷媒ガス圧縮機の前記モータの電源としても兼用する、請求項1または2に記載の圧縮機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、水素ステーション内に設置されて水素ガスを圧縮する圧縮機ユニットが知られている。特許文献1に開示された水素ステーションでは、圧縮機ユニットが、圧縮部と圧縮部を駆動する駆動部とを有する往復動圧縮機で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-232384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮機ユニットの駆動部は、電動モータによって駆動されることが一般的であるため、圧縮機ユニットを作動させるには、系統電源等の外部電源が必要になる。
【0005】
本発明は、前記従来技術を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部電源に接続することなく、水素ステーション内の圧縮機ユニットを作動できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水素ステーションで用いられ、水素ガスを圧縮する圧縮機ユニットであって、駆動部と、前記駆動部によって駆動されて水素ガスを圧縮する圧縮部と、を有する、往復動式の圧縮機本体と、前記駆動部の動力源である電動式モータと、前記圧縮機本体に接続され、水素ガスを流通させる圧縮ガス流路と、水素ステーション内に配置され、前記圧縮ガス流路から導かれた水素ガスを用いて電力を生成し、生成した電力を前記電動式モータに供給する燃料電池モジュールと、前記電動式モータの回転数を調整するインバータと、を備え、前記圧縮機本体が、前記圧縮部の圧縮室からのリークガスを前記圧縮ガス流路に供給可能な供給路接続部を備え、前記圧縮ガス流路は、前記供給路接続部に接続されて、前記リークガスを前記燃料電池モジュールに供給する、圧縮機ユニットである。
【0007】
本発明では、水素ステーション内に配置された燃料電池モジュールによって生成された電力を電動式モータに供給し、電動式モータを動力源として圧縮機本体の圧縮部が駆動される。このときインバータにより、電動式モータの回転数が調整される。駆動電源として燃料電池モジュールが用いられるため、圧縮機本体を駆動するのに外部電源に接続する必要はない。したがって、外部電源に接続しなくても、水素ステーション内において圧縮機ユニットを作動させることができる。しかも、水素ガスを圧縮機本体から燃料電池モジュールに供給するため、電力を生成するために外部から水素ガスを供給する必要がない。また、圧縮室からのリークガスが水素供給流路に供給されるため、従来捨てられていた水素ガスを発電用に有効活用できる。
【0008】
前記圧縮機本体の吸入側流路に接続され、水素ガスを流通させる吸入ガス流路をさらに備えていてもよい
【0009】
前記リークガスの圧力が、前記吸入側流路内の水素ガスの圧力よりも低くてもよい。この場合、前記圧縮ガス流路は、前記吸入側流路に接続されることなく前記圧縮機本体に接続されて、前記圧縮機本体から水素ガスを前記燃料電池モジュールに供給してもよい。
【0010】
この態様では、圧縮室からリークした水素ガスの圧力が吸入側流路内の水素ガス圧力よりも低圧であるため、リークガスを吸入側流路に戻すことができない。しかしながら、このリークガスを燃料電池モジュールに供給することにより、リークガスを燃料電池モジュールでの発電として有効活用できる。
【0011】
前記圧縮機ユニットは、モータによって駆動される冷媒ガス圧縮機を有し、ディスペンサ内の水素ガスを冷却する冷凍機をさらに備えてもよい。この場合、前記燃料電池モジュールを前記冷媒ガス圧縮機の前記モータの電源としても兼用してもよい。
【0012】
この態様では、冷媒ガス圧縮機の駆動も水素ガスで賄うことができる。したがって、冷媒ガス圧縮機も外部電源に接続する必要がない。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、外部電源に接続しなくても、水素ステーション内の圧縮機ユニットを作動できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る水素ステーションを概略的に示す図である。
図2】前記水素ステーションに設けられた圧縮機ユニットの構成を概略的に示す図である。
図3】前記圧縮機ユニット内の第1圧縮ステージ、第3圧縮ステージ及びディスタンスピースの構成を説明するための図である。
図4】前記圧縮機ユニットに設けられた燃料電池モジュールの構成を説明するための図である。
図5】変形例に係る水素ステーションを概略的に示す図である。
図6】変形例に係る水素ステーションを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係る水素ステーション10は、燃料電池車FCVに水素ガスを補給するための施設である。図1に示すように、水素ステーション10は、水素ガスを圧縮する圧縮機ユニット1と、圧縮機ユニット1によって圧縮された高圧の水素ガスを貯留する蓄圧器2と、蓄圧器2から高圧の水素ガスの供給を受けて当該高圧の水素ガスを燃料電池車FCVに供給するディスペンサ3と、を備える。
【0017】
ディスペンサ3には、冷媒ガス圧縮機4aを有する蒸気圧縮式の冷凍機4が接続されている。冷媒ガス圧縮機4aはモータ4bによって駆動される。ディスペンサ3は、冷凍機4によって供給される冷熱により、ディスペンサ3内を流れる水素ガスを冷却する冷却部3aを含む。なお、冷却部3aは、冷凍機4内を流れる冷媒と水素ガスとを直接的に熱交換させる構成でもよく、あるいは、図略のブライン回路を循環するブラインを介して、冷媒と水素ガスとを熱交換させる構成でもよい。
【0018】
図2に示すように、圧縮機ユニット1は、圧縮機本体12と、電動式モータ14と、インバータ16と、燃料電池モジュール18と、を備えている。圧縮機本体12は、往復動式の圧縮機で構成され、圧縮部21と、圧縮部21を駆動する駆動部22とを備える。駆動部22は、図略のクランク機構を有している。電動式モータ14は、電力が供給されることによってクランク機構を駆動する電動式のモータである。インバータ16は、電動式モータ14の回転数を調整する。燃料電池モジュール18は、電動式モータ14を駆動する電力を生成する。
【0019】
圧縮部21は、複数の圧縮ステージ31,33,35を有する第1ブロック部36と、第1ブロック部36とは別個に設けられ複数の圧縮ステージ32,34を有する第2ブロック部37と、第1ブロック部36及び第2ブロック部37の下に配置されるディスタンスピース38と、を備えている。第1ブロック部36には、第1圧縮ステージ31、第3圧縮ステージ33及び第5圧縮ステージ35が設けられ、第2ブロック部37には、第2圧縮ステージ32と第4圧縮ステージ34が設けられている。第1~第5圧縮ステージ31~35では、駆動部22のクランク軸(図示省略)の回転に伴い、第1圧縮ステージ31~第5圧縮ステージ35の順に水素ガスが圧縮される。
【0020】
第1ブロック部36では、第1圧縮ステージ31の上に第3圧縮ステージ33が載置され、第3圧縮ステージ33の上に第5圧縮ステージ35が載置されている。第1圧縮ステージ31、第3圧縮ステージ33及び第5圧縮ステージ35は、各ステージのピストンが1つのピストンロッド40(図3参照)に直列に接続されている、いわゆるタンデム構造の圧縮機として構成されている。一方、第2ブロック部37では、第2圧縮ステージ32の上に第4圧縮ステージ34が載置されている。第2圧縮ステージ32及び第4圧縮ステージ34は、各ステージのピストン(図示省略)が1つのピストンロッド(図示省略)に直列に接続されている、いわゆるタンデム構造の圧縮機として構成されている。
【0021】
圧縮部21は、吸入側流路42aと、第1接続路42bと、第2接続路42cと、第3接続路42dと、第4接続路42eと、排出路42fと、を備えている。吸入側流路42aは第1圧縮ステージ31の吸込口に接続されており、第1圧縮ステージ31に吸引される水素ガスは吸入側流路42aを流れる。第1圧縮ステージ31に吸入される水素ガスの圧力は、2MPa未満である。第1接続路42bは、第1圧縮ステージ31と第2圧縮ステージ32とを接続し、第1圧縮ステージ31で圧縮された水素ガスが流れる。第2接続路42cは、第2圧縮ステージ32と第3圧縮ステージ33とを接続し、第2圧縮ステージ32で圧縮された水素ガスが流れる。第3接続路42dは、第3圧縮ステージ33と第4圧縮ステージ34とを接続し、第3圧縮ステージ33で圧縮された水素ガスが流れる。第4接続路42eは、第4圧縮ステージ34と第5圧縮ステージ35とを接続し、第4圧縮ステージ34で圧縮された水素ガスが流れる。排出路42fは、第5圧縮ステージ35の吐出口に接続され、第5圧縮ステージ35で圧縮された水素ガスが流れる。吸入側流路42aと、第1接続路42b~第4接続路42eと、排出路42fとは、水素ガスを流通させる流路を形成する。なお、吸入側流路42aには、水素ガスを一時的に貯留するタンク(図示省略)が設けられていてもよい。
【0022】
図3は、ディスタンスピース38、第1圧縮ステージ31及び第3圧縮ステージ33の構成を概略的に示している。第1圧縮ステージ31は、第1シリンダ31aと、第1シリンダ31a内に挿入された第1ピストン31bと、を備える。第1ピストン31bの外周面には複数のピストンリング31cが装着されている。ピストンリング31cにより、第1ピストン31bと第1シリンダ31aとの間がシールされている。第1シリンダ31aと第1ピストン31bとにより、第1シリンダ31aの内部に第1圧縮室31Sが区画されている。第1ピストン31bの作動により、第1圧縮室31S内の水素ガスが圧縮される。
【0023】
第3圧縮ステージ33は、第1シリンダ31a上に載置された第3シリンダ33aと、第3シリンダ33a内に挿入された第3ピストン33bと、を備える。第3シリンダ33aと第3ピストン33bとにより、第3シリンダ33aの内部に第3圧縮室(図示省略)が形成されている。第3ピストン33bの外周面には複数のピストンリング33cが装着されている。第3ピストン33bの径は第1ピストン31bの径よりも小さい。第1ピストン31bと第3ピストン33bとは接続ロッド44によって接続されている。
【0024】
第1シリンダ31aはディスタンスピース38上に配置されている。ディスタンスピース38は、第1シリンダ31a及び第2圧縮ステージ32のシリンダと、駆動部22との間に配置されている。ディスタンスピース38内には、ピストンリング31cと第1シリンダ31aとの間の微小隙間を通過して漏れ出たリークガスを収容する空間38aが形成されている。つまり、空間38a内には、最も駆動部22側に位置する圧縮ステージである第1圧縮ステージ31の第1圧縮室31Sから漏れ出たリークガスが収容される。このリークガスは後述するように、燃料電池モジュール18の駆動源として燃料電池モジュール18に供給される。
【0025】
ディスタンスピース38には、空間38a内のリークガスを後述する水素供給流路47(圧縮ガス流路47b)に供給する供給路接続部38bが設けられている。つまり、ディスタンスピース38から水素ガスが回収される。供給路接続部38bは、ディスタンスピース38における側壁を貫通するとともに圧縮ガス流路47bが接続される貫通孔によって構成されている。なお、ディスタンスピース38から水素ガスを回収する構成に代え、あるいはディスタンスピース38から水素ガスを回収する構成とともに、駆動部22内の水素ガスを回収する構成としてもよい。この場合、油分を除去するための図略フィルター等が設置される。
【0026】
第1ピストン31bに接続されたピストンロッド40は、ディスタンスピース38を上下に貫通している。ピストンロッド40は、図略のクロスヘッドを介して駆動部22のクランク軸の回転運動を第1ピストン31bの往復運動に変換する。図示省略するが、第2圧縮ステージ32にピストンも同様にディスタンスピース38を上下に貫通している。
【0027】
図示は省略するが、第5圧縮ステージ35は、第5シリンダと、第5シリンダの内部に挿入された第5ピストンとを備える。第5シリンダは第3シリンダ33a上に載置されている。第5ピストンと第3ピストン33bとは図略の接続ロッドによって接続されている。また、第2圧縮ステージ32及び第4圧縮ステージ34は、シリンダの内部にピストンが配置された構成であり、第2シリンダの上に第4シリンダが載置されている。
【0028】
図4は燃料電池モジュール18の概略構成を示している。燃料電池モジュール18は、筐体51内にFCスタック52と、昇圧コンバータ53と、エアコンプレッサ54と、水素ガスポンプ55と、冷却水ポンプ56とが収納された構成である。FCスタック52は、エアコンプレッサ54から供給された空気に含まれる酸素と水素ガスポンプ55から供給された水素ガスとを、高温環境下で反応させることにより、電力を生成する。昇圧コンバータ53は、FCスタック52で生成された電力の電圧を昇圧させるように構成されている。冷却水ポンプ56は、FCスタック52に冷却水を供給する。
【0029】
昇圧コンバータ53で昇圧された電力は燃料電池モジュール18の出力として、電動式モータ14及び冷媒ガス圧縮機4aのモータ4bに供給される。すなわち、燃料電池モジュール18は、電動式モータ14の電源としても冷媒ガス圧縮機4aのモータ4bの電源としても用いられている。
【0030】
燃料電池モジュール18には、水素ガスを流通させる水素供給流路47が接続されている。すなわち、水素供給流路47は、燃料電池モジュール18で発電に用いる水素ガスを供給する流路である。
【0031】
図2に示すように、水素供給流路47は、圧縮機本体12に吸入される水素ガスの流路である吸入側流路42aにつながる吸入ガス流路47aと、圧縮機本体12につながる圧縮ガス流路47bと、を含む。吸入ガス流路47aには、圧縮機本体12に導入される前の水素ガスが流通する。例えば、吸入ガス流路47aには、2MPa未満の水素ガスが流通する。圧縮ガス流路47bには、圧縮機本体12に導入された水素ガスのうち第1圧縮室31Sから漏れ出た水素ガス(リークガス)が流通する。例えば、圧縮ガス流路47bには、2MPa未満の水素ガスが流通する。水素ガスポンプ55は、吸入ガス流路47a及び圧縮ガス流路47bから水素ガスを吸い込み、FCスタック52に向けて水素ガスを送り出す。また水素ガスポンプ55は、FCスタック52で使用されなかった水素ガスを吸引して再度FCスタック52に向けて水素ガスを送り出す。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る圧縮機ユニット1では、水素ステーション10内に配置された燃料電池モジュール18によって生成された電力が電動式モータ14に供給され、電動式モータ14を動力源として圧縮機本体12の圧縮部21が駆動される。このときインバータ16により、電動式モータ14の回転数が調整される。駆動電源として水素ステーション10内に配置された燃料電池モジュール18が用いられるため、圧縮機本体12を駆動するのに外部電源に接続する必要はない。
【0033】
仮に、圧縮機ユニット1を外部電源にて駆動しようとすれば、例えば、400V 100kWを超えるような受電設備が必要となる場合がある。このような受電設備を新設もしくは増設して対応する場合には、設置スペースや費用が生じる。これに対して、本実施形態では、外部電源に接続しなくても、水素ステーション10内において圧縮機ユニット1を作動させることができる。しかも、水素ガスを吸入側流路42a又は圧縮機本体12から燃料電池モジュール18に供給するため、電力を生成するために外部から水素ガスを供給する必要がない。
【0034】
また本実施形態では、第1圧縮室31Sからのリークガスが供給路接続部38bを介して圧縮ガス流路47bに供給されるため、従来捨てられていた水素ガスを発電用に有効活用できる。圧縮部21では、ピストンリング31cの寿命を考慮して、第1圧縮室31S内の水素ガスの一部が第1圧縮室31Sから漏れ出ることが許容される設定とされている。このため、リークガスを燃料電池モジュール18に供給する構成とすることにより、ピストンリング31cの長寿命化を図りつつ、圧縮機ユニット1の駆動電力生成に寄与できる。
【0035】
また本実施形態では、燃料電池モジュール18が冷媒ガス圧縮機4aの電源としても用いられるため、冷媒ガス圧縮機4aの駆動も水素ガスで賄うことができる。したがって、冷媒ガス圧縮機4aも外部電源に接続する必要がない。
【0036】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、水素供給流路47が吸入ガス流路47aと圧縮ガス流路47bとを含む構成としたが、これに限られるものではない。図5に示すように、水素供給流路47が圧縮ガス流路47bを含まない構成であってもよい。つまり、水素供給流路47は、圧縮機本体12に接続されることなく吸入側流路42aに接続されて、吸入側流路42aから水素ガスを燃料電池モジュールに供給する。この場合、水素供給流路47は、吸入ガス流路47aのみを含む構成となるため、燃料電池モジュール18の水素ガスポンプ55は、圧縮部21に吸入される前の水素ガスのみを吸引してFCスタック52に水素ガスを送り出す。
【0037】
前記実施形態では、吸入側流路42a内の水素ガス圧力が2MPa未満である構成としたが、これに限られるものではない。例えば、吸入側流路42a内の水素ガス圧力が40MPa程度でもよい。すなわち、吸入側流路42aでの水素ガス圧力は、2MPa~40MPaであればよい。この場合は、図6に示すように、水素供給流路47は、吸入ガス流路47aを含まず、圧縮ガス流路47bのみを含む構成となる。この構成では、水素供給流路47(圧縮ガス流路47b)には、水素ガス圧力を燃料電池モジュール18の仕様に適した圧力に調整するための調整弁49が設けられる。つまり、圧縮ガス流路47bを流れる水素ガスは調整弁49によって減圧された上で、燃料電池モジュール18に供給される。
【0038】
圧縮機本体12は、クランク機構を有する構成に代え、例えば、油圧駆動式、イオン液圧駆動式等の往復動式圧縮機で構成されてもよい。また、ダイヤフラム式の往復動式圧縮機で構成されてもよい。特に、油圧駆動式やイオン液圧駆動式では、圧縮室からのリークガスを利用できる。
【0039】
前記実施形態では、圧縮ガス流路47bがディスタンスピース38に接続されて、第1圧縮室31Sから漏れ出た水素ガス(リークガス)を燃料電池モジュール18に供給するが、これに限られない。例えば、圧縮ガス流路47bが接続路42b~42eに接続されて、接続路42b~42e内の水素ガスを燃料電池モジュール18に供給してもよい。
【0040】
燃料電池モジュール18は、水素ステーション10内で用いられる空圧式計装器用の空気圧縮機(図示省略)のモータ電源としても用いられてもよい。さらに、圧縮機ユニット1の制御器、ガス検知器、照明、エアコンディショナー等の水素ステーション10内で用いられる機器の電源としても用いられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :圧縮機ユニット
3 :ディスペンサ
4 :冷凍機
4a :冷媒ガス圧縮機
4b :モータ
10 :水素ステーション
12 :圧縮機本体
14 :電動式モータ
16 :インバータ
18 :燃料電池モジュール
21 :圧縮部
22 :駆動部
38b :供給路接続部
42a :吸入側流路
47 :水素供給流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6