IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧

特許7532311制御装置、電力システム、および制御方法
<>
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図1
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図2
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図3
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図4
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図5
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図6
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図7
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図8
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図9
  • 特許-制御装置、電力システム、および制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】制御装置、電力システム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240805BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 110
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021079841
(22)【出願日】2021-05-10
(65)【公開番号】P2022173860
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100206243
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貴士
(72)【発明者】
【氏名】宇野 皓
(72)【発明者】
【氏名】林 強
(72)【発明者】
【氏名】司城 徹
(72)【発明者】
【氏名】兼清 靖弘
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/123188(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109802413(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0159365(US,A1)
【文献】特開2015-142507(JP,A)
【文献】特表2016-515797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079778(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0222437(US,A1)
【文献】国際公開第2016/063739(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/037654(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/158899(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0003772(US,A1)
【文献】特開2016-167965(JP,A)
【文献】米国特許第07800242(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統および電力貯蔵器の一方からの入力電力に基づき、前記電力系統および前記電力貯蔵器の他方に対する出力電力を生成する電力出力装置を制御する制御装置であって、
前記電力系統の系統周波数および前記電力貯蔵器の充電状態、または、それらを算出可能な情報を受信する通信部と、
前記系統周波数を入力すると前記出力電力の出力先および出力量を算出する関数に基づき、前記系統周波数から前記出力先および前記出力量を決定する演算部と、
を備え、
前記演算部が、前記充電状態に応じて、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を変化させることにより、前記出力先および前記出力量が前記充電状態に応じて調整され、
前記通信部が、前記電力系統から、前記出力電力の出力先および出力量を自律的に決定することを許可する通知を受信し、
前記演算部は、前記通知を受けてから、前記出力電力の出力先および出力量を自律的に決定する、
制御装置。
【請求項2】
算出に用いられた前記系統周波数の値が同一の場合において、前記充電状態がより高いときに用いられた関数は、前記電力系統を前記出力先としたときには、前記電力系統への前記出力量を、前記充電状態がより低いときに用いられた関数よりも多く算出し、前記電力貯蔵器を前記出力先としたときには、前記電力貯蔵器への前記出力量を、前記充電状態がより低いときに用いられた関数よりも少なく算出する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記関数は、前記系統周波数の少なくとも所定範囲において、前記電力系統を前記出力先としたときには前記系統周波数が大きいほど前記電力系統への前記出力量を少なく算出し、前記電力貯蔵器を前記出力先としたときには前記系統周波数が大きいほど前記電力貯蔵器への前記出力量を多く算出する、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記関数は、
一次関数であって、第1周波数値を入力可能な上限値とする第1サブ関数と、
一次関数であって、前記第1周波数値または前記第1周波数値とは異なる第2周波数値を入力可能な下限値とする第2サブ関数と、
を構成要素として含み、
前記第1サブ関数および前記第2サブ関数の前記系統周波数に対する前記出力量の割合が異なる、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2サブ関数は、前記第2周波数値を入力可能な下限値とし、
前記関数は、前記第1周波数値を入力可能な下限値とし、記第2周波数値を入力可能な上限値とする第3サブ関数と、
を構成要素としてさらに含み、
前記第3サブ関数は、前記出力量を前記系統周波数の値によらずに一定値とする、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記関数が、対応する前記充電状態が所定値よりも低い場合に前記電力系統を前記出力先としたときに、前記電力系統への前記出力量を所定の下限値を出力するように、変化させる、
請求項1ないし5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記演算部は、前記関数が、対応する前記充電状態が所定値よりも高い場合に前記電力貯蔵器を前記出力先としたときに、前記電力貯蔵器への前記出力量を所定の下限値を出力するように、変化させる、
請求項1ないし5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記演算部は、前記関数が、前記系統周波数の値が同じであっても、前記系統周波数が増加した場合と減少した場合において異なる出力量を出力するように、変化させる、
請求項1ないし7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
前記関数は一次関数であり、
前記関数を変化させた前後において、前記関数の前記系統周波数に対する前記出力量の割合は同一である、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記演算部は、
所定の複数の関数のうちから前記充電状態に対応するものを選択し、
前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を選択した関数に置き換えることにより、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を変化させる、
請求項1ないしのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
電力系統および電力貯蔵器の一方からの入力電力に基づき、前記電力系統および前記電力貯蔵器の他方に対する出力電力を生成する電力出力装置と、
前記電力出力装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記電力系統の系統周波数および前記電力貯蔵器の充電状態、または、それらを算出可能な情報を受信する通信部と、
前記系統周波数を入力すると前記出力電力の出力先および出力量を算出する関数に基づき、前記系統周波数から前記出力先および前記出力量を決定する演算部と、
を備え、
前記演算部が、前記充電状態に応じて、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を変化させることにより、前記出力先および前記出力量が前記充電状態に応じて調整され、
前記通信部が、前記電力系統から、前記出力電力の出力先および出力量を自律的に決定することを許可する通知を受信し、
前記演算部は、前記通知を受けてから、前記出力電力の出力先および出力量を自律的に決定し、
前記電力出力装置は、前記電力系統および前記電力貯蔵器の前記出力先として決定されなかったほうから前記入力電力を受け取り、前記入力電力に基づいて前記出力電力を生成し、前記制御装置によって決定された前記出力先に、前記制御装置によって決定された前記出力量ほど、前記出力電力を出力する、
電力システム。
【請求項12】
電力系統および電力貯蔵器の一方からの入力電力に基づき、前記電力系統および前記電力貯蔵器の他方に対する出力電力を生成する電力出力装置を制御するための制御方法であって、
前記電力系統の系統周波数および前記電力貯蔵器の充電状態、または、それらを算出可能な情報を受信するステップと、
前記電力系統から、前記出力電力の出力先および出力量を自律的に決定することを許可する通知を受信するステップと、
前記通知を受けてから、前記系統周波数を入力すると前記出力電力の出力先および出力量を算出する関数に基づき、前記系統周波数から前記出力先および前記出力量を自律的に決定するステップと、
を備え、
前記出力先および前記出力量を決定するステップにおいて、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を前記充電状態に応じて変化させることにより、前記出力先および前記出力量が前記充電状態に応じて調整される、
制御方法。
【請求項13】
電力系統および電力貯蔵器の一方からの入力電力に基づき、前記電力系統および前記電力貯蔵器の他方に対する出力電力を生成する電力出力装置を制御する制御装置であって、
前記電力系統の系統周波数および前記電力貯蔵器の充電状態、または、それらを算出可能な情報を受信する通信部と、
前記電力系統の系統周波数を入力すると前記電力系統および電力貯蔵器のうち出力電力の出力先および出力量を算出する関数に基づき、前記系統周波数から前記出力先および前記出力量を自律的に決定する第1モードと、前記電力系統からの指示に従って、前記出力電力の出力先および出力量を決定する第2モードと、を有する演算部と、
を備え
前記演算部は、前記第1モードにおいて前記充電状態に応じて、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を変化させることにより、前記出力先および前記出力量が前記充電状態に応じて調整される
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置、電力システム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統に接続された電力システムは、電力需要の変動に応じるために、電力系統からの指示を受けて、電力の入出力を調整する。例えば、ガバナフリー(Governor Free;GF)運転、負荷周波数制御(Load Frequency Control;LFC)、経済負荷配分制御(Economic load Dispatching Control;EDC)などが行われる。このような調整により、短周期での需要変動にも柔軟に対処することが求められている。
【0003】
しかし、全ての電力システムが調整力を自在に発揮できるとは限らない。例えば、同期発電システムを模擬したアルゴリズムと蓄電池を搭載することにより、送配電の電力調整に寄与する仮想同期インバータがある。この仮想同期インバータのような慣性力や調整力を有し、蓄電池からエネルギーを得る電力システムまたは電力システム相当の動きを模擬する電力変換器などは、動力を与えれば無尽蔵にエネルギーを得ることができる機械的な電力システムとは違い、電力貯蔵器のSoC(State of Charge)に依存したエネルギーしか放出または吸収することしかできない。ゆえに、機械的な電力システムに適用していた従来手法を、そのような電力システムに対してそのまま適用すると、蓄電池の限界以上の電力量を蓄えるまたは放出することが求められてしまい、故障することもあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6696010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、電力貯蔵器から電力を得る電力システムなどに対し、電力貯蔵状態に基づく電力調整を行うことにより、電力システムの故障を防ぐ。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、電力系統および電力貯蔵器の一方からの入力電力に基づき、前記電力系統および前記電力貯蔵器の他方に対する出力電力を生成する電力出力装置を制御する制御装置である。前記制御装置は、前記電力系統の系統周波数および前記電力貯蔵器の充電状態、または、それらを算出可能な情報を受信する通信部と、前記系統周波数を入力すると前記出力電力の出力先および出力量を算出する関数に基づき、前記系統周波数から前記出力先および前記出力量を決定する演算部と、を備える。また、前記演算部は、前記充電状態に応じて、前記出力先および前記出力量の決定に用いる前記関数を変化させる。これにより、前記出力先および前記出力量が前記充電状態に応じて調整される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に関する電力システムの一例を示すブロック図。
図2】垂下特性の調整の第1例を示す図。
図3図2の関数をまとめて表示した例を示す図。
図4】垂下特性の調整の第2例を示す図。
図5】垂下特性の調整の第3例を示す図。
図6】垂下特性の調整の第4例を示す図。
図7】垂下特性の調整の第5例を示す図。
図8】垂下特性の調整の第6例を示す図。
図9】本実施形態の電力システムの入出力電力の調整処理の概略フローチャート。
図10】本発明の一実施形態におけるハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(本発明の一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に関する電力システムの一例を示すブロック図である。本実施形態は、電力系統に接続された電力システムを想定する。電力システムは、計測装置11と、電力貯蔵器12と、制御装置13と、電力出力装置14と、DCDCコンバータ15と、を備える。なお、電力システムの本実施形態が想定する制御と関わらない構成要素は省略されている。そのため、図1に示した以外の構成要素が電力システムに含まれていてもよい。また、図1には、計測装置11と、電力貯蔵器12と、の内部構成例も示されているが、当該内部構成例に限られるわけではない。
【0010】
本実施形態の電力システム1は、電力系統2の需要変動に対応するために、電力系統2への電力の出力と、電力系統2からの電力の入力と、の両方に対応可能なシステムである。言い換えれば、あるタイミングにおいては電力系統2へ電力を供給し、別のタイミングにおいては電力系統2から電力を供給されるシステムである。
【0011】
なお、以降の説明において、電力システム1が電力系統2に出力する電力と、電力システム1へ電力系統2から入力される電力と、をまとめて入出力電力と記載することもある。そのように記載する場合、電力システム1から電力系統2へ電力が出力されるときの電力量を正の値で表し、電力系統2から電力システム1に電力が入力されるときの電力量を負の値で表すものとする。なお、正負の定義は逆にしてもよい。
【0012】
なお、入出力電力は、単位時間当たりに消費される電気エネルギーである有効電力で表されることが想定されるが、有効電力に限られるわけではなく、適宜に定めてよい。
【0013】
なお、一般的には、電力システム1は、電力系統2から入出力電力に関する指示を受け付けて、当該指示に従う。そのため、当該制御は、電力系統2からの許可通知を受けてから行われもよい。あるいは、所定時間帯などにおいて、当該制御を行うなどとしてもよい。また、電力システム1は、一つだけでなく系統連系しているのが一般的であるが、電力系統2が各電力システム1の入出力電力を認識し各電力システム1に指示を出せばよく、各電力システム1は、電力システム1とは別の電力システムの入出力電力を認識しなくてもよい。そのため、電力系統2に接続されている別の電力システムは、本実施形態と同種類の電力システムと同じであってもよいし、別種類の電力システムでもよい。
【0014】
また、電力系統2の種類および規模は特に限定されるものではない。例えば、電力系統2は、太陽光発電などを含む小規模供給網(マイクログリッド)であってもよい。
【0015】
しかしながら本実施形態の電力システム1は、入出力電力の電力量を無制限に制御できるわけではない。図1に示すように、電力システム1は電力貯蔵器12を備え、電力系統2へ電力を出力するための電力を電力貯蔵器12から得る。例えば、図1に示すように、電力貯蔵器12が電力貯蔵手段として蓄電池を含み、蓄電池に電力を蓄積しておく実施形態が考えられる。このような場合、電力貯蔵器12に蓄積可能な電力量は有限である。そのため、電力システム1が電力系統2へ出力可能な電力量は有限である。
【0016】
また、電力系統2から電力システム1へ入力された電力は電力貯蔵器12に蓄えられる。ゆえに、電力貯蔵器12が貯蔵可能な容量よりも多くの電力を受け入れることはできない。すなわち、電力システム1が電力系統2から受容可能な電力量も有限である。
【0017】
なお、上記では、蓄電池を例にして説明したが、本実施形態の電力システム1は、無制限に入出力電力を制御できないシステムに適用可能であり、電力貯蔵器12の電力を貯蔵する仕組みが蓄電池に限られるわけではない。例えば、電力を、水素変換、フライホイールのような回転体の回転エネルギーへの変換した上で貯蔵することも考えられる。
【0018】
このように本実施形態の電力システム1は、入出力電力の電力量に制限を有するシステムである。例えば、昨今、調整力供給で注目されている仮想同期インバータ、蓄電池インバータなどを用いた電力システムは、本実施形態に該当する。
【0019】
このような制限を有するため、電力系統2からの入出力電力に関する指示に従うことが不可能な場合もあり得る。例えば、電力系統2へ電力を出力すべきタイミングにおいて、電力貯蔵器12内に電力がほとんど貯蔵されていない状態(例えば電力貯蔵器に内蔵される蓄電池のSoCが0%)のときに、そのまま出力を試みると蓄電池の故障につながる。
【0020】
そのため、本実施形態の電力システム1は、入出力電力の量を自律的に調整することによって故障を防ぐ。例えば、電力系統2から入出力電力の量が指定されたとしても、電力システム1は、指定量を出力するとは限らず、当該指定量を増減することもあり得る。また、電力系統2への出力を指示された場合でも電力系統2からの入力が行われることもあり得る。逆に、電力系統2からの入力が指示された場合でも、電力系統2への出力が行われることもあり得る。
【0021】
さらに、一般的に、電力システム1は、電力系統2の安定化のために、系統周波数と称される電力系統2の周波数を考慮することが求められる。電力系統2には、例えば50Hzなどといった基準周波数が予め定められおり、系統周波数をなるべく基準周波数に合わせることが求められる。
【0022】
入出力電力と系統周波数は、垂下特性と称される関係性を有する。例えば、電力系統2への電力出力は系統周波数を大きくする力が働き、電力系統2からの電力入力は系統周波数を小さくする力が働く。そのため、系統周波数が基準周波数よりも大きい場合において、電力系統2へ電力を出力するときはその出力量を小さくし、電力系統2から電力が入力されるときはその入力量を大きくするように制御するのが、系統周波数をなるべく基準周波数に合わせるという観点からは、好ましい。一方、系統周波数が基準周波数よりも小さい場合においては、上記の系統周波数が基準周波数よりも大きい場合とは逆に制御するのが好ましい。
【0023】
なお、垂下特性の特徴は、速度調定率(ドループ)により表される。速度調定率は、電力系統2の系統周波数の変動に対する、入出力電力の変動の割合を示す定数である。
【0024】
そこで、本実施形態の電力システム1は、電力貯蔵器12の電力貯蔵状態に応じて、垂下特性を調整することにより、電力貯蔵状態に応じて入出力電力を調整する。
【0025】
図2は、垂下特性の調整の第1例を示す図である。図2に示された各関数(グラフ)31aから33aは、垂下特性、つまり、系統周波数および入出力電力との関係性、を示している。なお、図2の例では、系統周波数が基準周波数fresのときに、入出力電力がPであることが示されている。Pは、例えば、系統周波数が基準周波数のときに出力するように電力系統2から指令された有効電力であることが想定されるが、適宜に定めてよい。なお、図2の例では、Pが0よりも小さくされており、これは、電力システム1に電力系統2から絶対値|P|の電力が入力されていることを示す。速度調定率は当該関数の傾きとして表されている。
【0026】
また、図2の例では、電力貯蔵器の電力貯蔵状態が、内蔵する蓄電池のSoCで表されている。SoCの0から100%の範囲を三つに分けて、SoCが20から80%までのときの関数31aと、SoCが0から20%までのときの関数32aと、SoCが80から100%までのときの関数33aと、の三つが示されている。
【0027】
なお、関数に対応するSoCの範囲は適宜に定めてよい。すなわち、図2の例では、SoCが20から80%までのときの関数31aと、SoCが0から20%までのときの関数32aと、SoCが80から100%までのときの関数33aと、の三つとしたが、各関数に割り当てられたSoCの範囲は適宜に定めてよいし、関数の個数も適宜に定めてよい。
【0028】
関数31aは、周波数変動に対して出力電力の値が直線状に変動することを示している。一方、関数32aは、基準周波数fresのプロットにおいて関数の傾きが変化している。そのため、関数32aは系統周波数が基準周波数fres以下の範囲においては関数31aと同じであるが、系統周波数が基準周波数fres以上の範囲においては関数31aと異なっており、関数32aのほうが、傾きがよりマイナスの関数となっている。これは、SoCが0から20%のときは蓄電池の充電がより行われるようにすることが好ましいため、SoCが0から20%のときは電力系統2から電力をより受け取るような速度調定率の変更が行われていることを示す。なお、前述の通り、系統周波数が基準周波数よりも大きい場合、電力系統2から入力される電力量は大きいほうが好ましいため、系統周波数が基準周波数fres以上の範囲においては関数32aのように傾きを大きくマイナスとしても問題ない。
【0029】
また、関数33aも基準周波数fresのプロットにおいて関数の傾きが変化している。関数33aは、系統周波数が基準周波数fres以上の範囲においては関数31aと同じであるが、系統周波数が基準周波数fres以下の範囲においては、関数33aのほうが、傾きがよりマイナスの関数となっており、系統周波数が小さい一部の範囲においては入出力電力がプラスとなっている。これは、SoCが80から100%のときはあまり蓄電池を充電することができず、系統周波数が基準周波数よりも小さいほど系統周波数の観点からもなるべく放電したほうが好ましいため、このような関数となっている。
【0030】
なお、関数32aおよび33aは、傾きが変化しているプロット(変曲点とも言える)における値を系統周波数の上限値とする第1サブ関数と、当該プロットにおける値を系統周波数の下限値とする第2サブ関数と、を含んでおり、第1サブ関数および第2サブ関数の系統周波数に対する出力量の割合が異なっているとも言える。
【0031】
このように、SoCが低いときは入出力電力の値をなるべく負(電力システム1に電力が入力される方向)にし、SoCが高いときは入出力電力の値をなるべく正(電力システム1から電力が出力される方向)にする。例えば、SoCに応じて関数をどのように変化させるかを予め定めておき、電力システム1は、使用する関数をその通りに変化させてもよい。あるいは、図2に示したような、対応するSoCの値が予め定められた複数の関数を予め制御装置13に保存しておき、制御装置13は、電力貯蔵器12のSoCの現在値に応じて複数の関数のうちから使用する関数を選択し、使用する関数として登録されていた関数を選択した関数に置き換えてもよい。
【0032】
なお、系統周波数と基準周波数の差分を小さくする方向に電力システム1を動かさない場合には電力システム1は系統安定化に貢献することができないが、電力系統2が系統連系している別の電力システムに当該差分を小さくするように要請すればよい。
【0033】
なお、図2の例では、SoCごとに関数が分けられていたが、関数が一つにまとめて表されていてもよい。図3は、図2の関数をまとめて表示した例を示す図である。使用可能な関数をこのようにまとめて表したデータが制御装置13に保存されていてもよい。
【0034】
図3の例では、系統周波数がfresのプロットから四つの関数34aから34dが引かれている。関数34aは、SoCが0から80%で系統周波数が基準周波数fres以下のときに用いられる関数を示している。関数34bは、SoCが80から100%で系統周波数が基準周波数fres以下のときに用いられる関数を示している。関数34cは、SoCが20から100%で系統周波数が基準周波数fres以上のときに用いられる関数を示している。関数34dは、SoCが0から20%で系統周波数が基準周波数fres以上のときに用いられる関数を示している。図2の例では、系統周波数が基準周波数fres以下においてSoCが0から20%のときの関数32aとSoCが20から80%のときの関数31aとが一致していたため、関数34aのようにSoCが0から80%に対応する一つの関数で表されている。また、系統周波数が基準周波数fres以上においてSoCが20から80%のときの関数31aとSoCが80から100%のときの関数33aとが一致していたため、関数34cのようにSoCが20から100%に対応する一つの関数で表されている。
【0035】
また、速度調定率を変更するプロットも、適宜に定めてよい。例えば、図2の例では、関数32aおよび33aの傾きが変化するプロットを基準周波数としたが、基準周波数ではなく所定の周波数でよい。
【0036】
また、図2の例では、関数31aの一部が関数32aの一部と一致し、関数32aの別の一部が関数33aの一部と一致していたが、このように関数が一致する部分がなくてもよい。例えば、系統周波数が基準周波数fres以下において、関数32aの傾きを関数31aの傾きよりも0に近づけることにより、SoCが0から20%のときは、SoCが20から80%のときよりも、系統周波数が基準周波数fres以下において、充電が行われやすくしてもよい。同様に、例えば、系統周波数が基準周波数fres以上において、関数33aの傾きを関数31aの傾きよりも0に近づけることにより、SoCが80から100%のときは、SoCが20から80%のときよりも、系統周波数が基準周波数fres以上において、充電が行われにくくしてもよい。
【0037】
図4は、垂下特性の調整の第2例を示す図である。図4には、SoCが21から79%のときに用いる関数31bと、SoCが0から20%のときに用いる関数32bと、SoCが80から100%のときに用いる関数33bと、が示されている。これらの関数31bから33は、傾きが同一で切片が異なる一次関数として示されている。図2の例では、あるプロットにおいて関数の傾きをSOCに応じて変更していたが、図4の例では、傾きを変えずに、SOCに応じて切片を変えている。
【0038】
図4のように、関数を平行移動させるといった垂下特性の調整でも、SoCが低いほど充電がより行われやすく、SoCが高いほど充電がより行われにくくすることができる。
【0039】
また、基準周波数付近においては、出力電力が安定しているほうが好ましい。そのため、関数は、基準周波数付近においては系統周波数によらずに一定の値を出力するほうが好ましい。
【0040】
図5は、垂下特性の調整の第3例を示す図である。図5には、SoCが20から80%までのときの関数31cと、SoCが0から20%までのときの関数32cと、SoCが80から100%までのときの関数33cと、の三つが示されている。図2の例と異なり、関数の傾きが変化するプロットが基準周波数の前後に一つずつあり、これらのプロット間においては、関数の傾きが0となっている。このような関数を用いることにより、出力電力の安定化に努めてもよい。
【0041】
なお、図5の例では、基準周波数付近において関数の傾きを0にして安定化を図っているが、基準周波数ではない所定の周波数付近において安定化を行ってもよい。また、関数の傾きは厳密に0にする必要はなく、許容可能な程度に0に近づければよい。言い換えれば、約0とみなすことができる値であればよい。また、出力電力が一定の期間を複数設けてもよい。
【0042】
図5のような関数は、構成要素として、第1サブ関数に入力可能な周波数の上限値と、第2サブ関数に入力可能な周波の下限値と、の間の周波数を入力可能な第3サブ関数を含んでおり、第3サブ関数の出力量は系統周波数の値によらずに一定値である、と言える。
【0043】
また、蓄電池がほとんど充電されていない場合は放電しないとしてもよいし、蓄電池がほとんど満充電である場合は充電しないとしてもよい。図6は、垂下特性の調整の第4例を示す図である。図6に示された関数32dは、SoCが0%に近いときの関数である。関数32dは、系統周波数がf1のときに出力電力の値が0となるが、系統周波数がf1以下において出力電力の値が正とはならずに0のままとなる。このような関数を用いることにより、SoCが低いときには放電を行わないような制御が行われてもよい。
【0044】
また、図6に示された関数33dは、SoCが100%に近いときの関数である。関数33dは、系統周波数がf1のときに出力電力の値が0となるが、系統周波数がf1以上において出力電力の値が負とはならずに0のままとなる。このような関数を用いることにより、SoCが高いときには充電を行わないような制御が行われてもよい。
【0045】
なお、図6の例では、出力電力を0に保つようにしたが、0以外の所定値に保つようにしてもよい。また、所定値に保つのではなく、所定値に近づくにつれて関数の傾きを0に近づけるようにし、徐々に所定値に近づくようにしてもよい。あるいは、系統周波数の複数の所定値に達するごとに傾きを段階的に変更してもよい。
【0046】
なお、これまでの図の例で示した関数は、系統周波数が増加した場合と減少した場合でも同じ値を示しているが、系統周波数が増加した場合と減少した場合において異なる出力値を示す、ヒステリシス特性を有していてもよい。図7は、垂下特性の調整の第5例を示す図である。図7に示された関数35は、ヒステリシス特性を有する。関数35には、系統周波数の変動方向に応じた出力電力の変動方向が分かるように、矢尻のようなマークが付けられている。このようなヒステリシス特性は、例えば、系統周波数を増加させていく場合と減少させていく場合とで電力システム1の負荷が異なるときや、系統周波数が基準周波数から離れていく場合には制限を設けるといったときに用いられてもよい。
【0047】
また、これまでの例では、SoCが20から80%までに対応する関数31aのように、関数にSoCの範囲を対応させていた。ゆえに、例えば、SoCが40%のときも、60%のときも、同じ関数を用いるため、入出力電力の値は同じであった。しかし、SoCの値に応じて関数を変動させてもよい。すなわち、SoCを関数の一変数として扱ってもよい。
【0048】
図8は、垂下特性の調整の第6例を示す図である。図8の例は、SoCが関数の変数として用いられている。図8には関数36aから36dが示されている。関数36aは、SoCが0から40%で系統周波数が基準周波数fres以下のときに用いられる関数を示している。関数36bは、SoCが80から100%で系統周波数が基準周波数fres以下のときに用いられる関数を示している。関数36cは、SoCが60から100%で系統周波数が基準周波数fres以上のときに用いられる関数を示している。関数36dは、SoCが0から20%で系統周波数が基準周波数fres以上のときに用いられる関数を示している。
【0049】
図8の例においてSoCが40から80%で系統周波数が基準周波数fres以下の場合に用いられる関数が示されていないが、この場合では、SoCが40%から増加した量に応じて関数36aの傾きを関数36bに向かう方向にずらすことによって対応する関数を決定する。同様に、SoCが20から60%で系統周波数が基準周波数fres以上の場合に用いられる関数が示されていないが、この場合では、SoCが20%から増加した量に応じて関数36ad傾きを関数36cに向かう方向にずらすことによって対応する関数を決定する。このように、関数をSoCの細かな値にも応じて変化させることにより、出力電力の値をSoCの細かな値に応じたものとすることができる。
【0050】
なお、上記であげた関数の例は、組み合わされてもよい。例えば、出力が一定の期間と、ヒステリシス特性と、の両方を有する関数であってもよい。また、例えば、SoCが0から20%のときは関数32bを使い、SoCが80から100%のときは関数33cを使うなど、SoCによって使用する関数の例が異なっていてもよい。
【0051】
次に、電力システム1の各構成要素の処理を、その流れとともに説明する。図9は、本実施形態の電力システム1の入出力電力の調整処理の概略フローチャートである。なお、本説明でのフローチャートは一例であり、適宜調整されてよい。例えば、処理結果に影響が出ないならば、処理の順番を入れ替えてもよいし、各処理が並行に行われてもよい。例えば、後述するS101とS102の処理は入れ替えても並列に行われてもよい。
【0052】
計測装置11は電力系統2の電力および系統周波数を計測する(S101)。なお、計測装置11は、1以上のセンサから構成されていてもよく、電力系統2の電力と系統周波数が別々のセンサによって計測されてもよい。図1の例では、電圧を計測するセンサと、電流を計測するセンサと、が示されている。例えば、系統周波数は、計測された電圧から算出可能である。また、有効電力を計算する場合では、計測された電流および電圧を用いて有効電力を算出することができる。なお、系統周波数などの制御装置13の処理に必要な情報を計測装置11が算出して制御装置13に送信してもよい。あるいは、制御装置13の処理に必要な情報を算出可能な電流や電圧といった情報を計測装置11が制御装置13に送信し、制御装置13が算出可能な情報を用いて必要な情報を生成してもよい。
【0053】
電力貯蔵器12は電力貯蔵状態を算出する(S102)。図1の例では、電力貯蔵手段として蓄電池と、蓄電池を制御するBMUが示されているが、BMUが蓄電池の充放電回数を記録して蓄電池の現時点のSoCを推定することが実際に行われている。また、蓄電池の充放電時の電流や電圧からSoCを推定する充電曲線解析といった手法もある。そのような公知手法を用いて、Socなどの電力貯蔵状態に対応するパラメータの値を推定すればよい。また、電力貯蔵状態などの制御装置13の処理に必要な情報を電力貯蔵器12が算出して制御装置13に送信してもよい。あるいは、制御装置13の処理に必要な情報を算出可能な電流や電圧といった情報を電力貯蔵器12が制御装置13に送信し、制御装置13が算出可能な情報を用いて必要な情報を生成してもよい。
【0054】
制御装置13は、制御装置13から電力貯蔵状態を取得し、電力貯蔵状態に基づき、入出力電力の算出に用いる関数を変更する(S103)。前述の通り、使用する関数の変更は、SoCに応じた変更の度合いを示すパラメータなどに基づいて行われてもよいし、予め用意された複数の関数のうちから、SoCに対応する関数を選択することにより行われてもよい。例えば、図2の例で言えば、SoCが40%と算出されたときに、制御装置13は、図2に示した三つの関数31aから33aのうちから、40%を対応する範囲に含む関数31aを選択して、使用する関数を関数31aに置き換えてもよい。
【0055】
そして、制御装置13は、センサから系統周波数を取得し、変更された関数を用いて、系統周波数から入出力電力の値を算出する。言い換えれば、電力出力装置の電力の出力先および出力量を決定する。
【0056】
なお、制御装置13は、所定条件を満たしたときに、S103およびS104の処理を開始するとしてもよい。例えば、制御装置13は、入出力電力の制御、つまり、電力出力装置の電力の出力先および出力量の決定を行ってもよいとする通知を電力系統2から受信し、当該通知の受信をトリガーとしてS103およびS104の処理を行ってもよい。当該通知を受信していない場合は、電力系統2の指示に合うように、電力出力装置の電力の出力先および出力量を決定すればよい。
【0057】
入出力電力の値が正であった場合(S105の正)は、制御装置13が電力系統への出力を指示する(S106)。一方、入出力電力の値が負であった場合(S105の負)は、制御装置13が電力系統からの入力を指示する(S107)。
【0058】
出力が指示された場合、電力貯蔵器12はDCDCコンバータ15を介して電力を電力出力装置14に出力し、電力出力装置14は電力を交流変換して電力系統2に電力を出力する(S108)。そして、電力貯蔵器12は、電力出力装置14に出力した電力が算出された値と等しくなったときに、出力を停止する(S109)。これにより、電力系統2からの指示通りではなく、自律的に算出された電力量の出力が行われ、フローは終了する。
【0059】
一方、充電が指示された場合、電力出力装置14は電力系統2からの電力を直流変換し、DCDCコンバータ15を介して電力系統2からの電力を電力貯蔵器12に出力し、電力貯蔵器12が当該電力を貯蔵する(S110)。そして、電力出力装置14は、電力貯蔵器12に出力した電力が算出された値と等しくなったときに、出力を停止する(S111)。これにより、電力系統2からの指示通りではなく、自律的に算出された電力量の入力が行われ、フローは終了する。
【0060】
このように、電力出力装置14は、制御装置13の指示に基づき、電力系統2および電力貯蔵器12の一方からの入力電力に基づいて電力系統2および電力貯蔵器12の他方に対する出力電力を生成し、制御装置13の指示に基づく電力量を出力する。
【0061】
以上のように、本実施形態の電力システム1は、入出力電力に制限をもたらす電力貯蔵器12の電力貯蔵状態に応じて垂下特性を調整することにより、自律的に入出力電力を調整する。こうすることにより、電力貯蔵状態に反した指令を電力系統2から取得した場合でも柔軟に対応することができ、電力システム1が有する機器の故障を防ぐことができる。
【0062】
また、本調整を行うことにより、電力調整市場において、他の電力システム1が電力を出力しているときには敢えて電力システム1は電力を出力しないといった戦略的な運用を行うことができる。
【0063】
なお、制御装置13は、プロセッサ、メモリなどを実装しているIC(Integrated Circuit:集積回路)などの専用の電子回路(すなわちハードウェア)により実現されてもよい。また、上記の実施形態の少なくとも一部は、ソフトウェア(プログラム)を実行することにより、実現されてもよい。例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用い、コンピュータ装置に搭載されたCPUなどのプロセッサにプログラムを実行させることにより、上記の実施形態の処理を実現することが可能である。
【0064】
例えば、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶された専用のソフトウェアをコンピュータが読み出すことにより、コンピュータを上記の実施形態の装置とすることができる。記憶媒体の種類は特に限定されるものではない。また、通信ネットワークを介してダウンロードされた専用のソフトウェアをコンピュータがインストールすることにより、コンピュータを上記の実施形態の装置とすることができる。こうして、ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて、具体的に実装される。
【0065】
図10は、本発明の一実施形態におけるハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置13は、プロセッサ(演算部)41と、主記憶装置42と、補助記憶装置43と、ネットワークインタフェース44と、デバイスインタフェース45と、を備え、これらがバス46を介して接続されたコンピュータ装置4として実現できる。
【0066】
なお、図10のコンピュータ装置4は、各構成要素を一つ備えているが、同じ構成要素を複数備えていてもよい。また、図10では、1台のコンピュータ装置4が示されているが、ソフトウェアが複数のコンピュータ装置にインストールされて、当該複数のコンピュータ装置それぞれがソフトウェアの異なる一部の処理を実行してもよい。
【0067】
プロセッサ41は、コンピュータ装置4の内部構成などから入力されたデータやプログラムに基づいて演算処理を行い、演算結果や制御信号を各装置などに出力する。具体的には、プロセッサ41は、コンピュータ装置4のOS(オペレーティングシステム)や、アプリケーションなどを実行し、コンピュータ装置4を構成する各装置を制御する。プロセッサ41は、上記の処理を行うことができれば特に限られるものではない。電力出力装置14の電力の出力先および出力量の決定など、制御装置13の主な処理はプロセッサ41によって行われる。
【0068】
主記憶装置42は、プロセッサ41が実行する命令および各種データなどを記憶する記憶装置であり、主記憶装置42に記憶された情報がプロセッサ41により直接読み出される。補助記憶装置43は、主記憶装置42以外の記憶装置である。主記憶装置42および補助記憶装置43の少なくともいずれかを記憶部47として扱ってもよい。垂下特性をどのように変化させるかといったパラメータや、垂下特性を示す関数を予め用意しておく場合ではそれらの複数の関数は、記憶部47に記憶しておくことができる。なお、これらの記憶装置は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を意味するものとし、メモリでもストレージでもよい。また、メモリには、揮発性メモリと、不揮発性メモリがあるが、いずれでもよい。
【0069】
ネットワークインタフェース44およびデバイスインタフェース45は、コンピュータ装置4とは別の装置と通信するための構成要素である。ネットワークインタフェース44およびデバイスインタフェース45の少なくともいずれかを通信部48として扱ってもよい。電力貯蔵器12、電力出力装置14、計測装置11などの外部装置との通信は、通信部48によって行うことができる。
【0070】
ネットワークインタフェース44は、無線または有線により、通信ネットワーク5に接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース44は、既存の通信規格に適合したものを用いればよい。ネットワークインタフェース44により、通信ネットワーク5を介して通信接続された外部装置5Aと情報のやり取りが行われてもよい。
【0071】
デバイスインタフェース45は、外部装置5Bと直接接続するUSBなどのインタフェースである。外部装置5Bは、外部記憶媒体でもよいし、データベースなどのストレージ装置でもよい。
【0072】
外部装置5Aおよび5Bは出力装置でもよい。出力装置は、例えば、画像を表示するための表示装置でもよいし、音声などを出力する装置などでもよい。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、スピーカなどがあるが、これらに限られるものではない。
【0073】
なお、外部装置5Aおよび5Bは入力装置でもよい。入力装置は、キーボード、マウス、タッチパネルなどのデバイスを備え、これらのデバイスにより入力された情報をコンピュータ装置4に与える。入力装置からの信号はプロセッサ41に出力される。
【0074】
上記に、本発明の一実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、移行を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 電力システム
11 計測装置
12 電力貯蔵器
13 制御装置
14 電力出力装置
15 DCDCコンバータ
2 電力系統
31a、31b、31c、32a、32b、32c、32d、33a、33b、33c、33d、34a、34b、34c、34d、35、36a、36b、36c、36d 垂下特性を示す関数(グラフ)
4 コンピュータ装置
41 プロセッサ(演算部)
42 主記憶装置
43 補助記憶装置
44 ネットワークインタフェース
45 デバイスインタフェース
46 バス
47 記憶部
48 通信部
5 通信ネットワーク
6Aおよび6B 外部装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10