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  • 特許-酸素処理装置及び酸素処理方法 図1
  • 特許-酸素処理装置及び酸素処理方法 図2
  • 特許-酸素処理装置及び酸素処理方法 図3
  • 特許-酸素処理装置及び酸素処理方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】酸素処理装置及び酸素処理方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/303 20060101AFI20240805BHJP
   G21F 9/02 20060101ALI20240805BHJP
   G21C 9/06 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G21C19/303 100
G21F9/02 541B
G21C9/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021089161
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181928
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 昂
(72)【発明者】
【氏名】岡部 寛史
(72)【発明者】
【氏名】柳生 基茂
(72)【発明者】
【氏名】土屋 直実
(72)【発明者】
【氏名】三澤 玲菜
(72)【発明者】
【氏名】辻井 秀二
(72)【発明者】
【氏名】大村 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 己思人
(72)【発明者】
【氏名】田邊 雅士
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132685(JP,A)
【文献】特開2020-41834(JP,A)
【文献】特開昭63-282691(JP,A)
【文献】特開2018-205040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/303
G21F 9/02
G21C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉格納容器内の酸素を処理する酸素処理装置であって、
酸素処理容器と、
前記酸素処理容器内に充填され、酸素と反応して酸化物となる酸素処理材と、
前記酸素処理材を加熱するための加熱装置と、
前記原子炉格納容器内から前記酸素処理容器内にガスを導入するガス導入配管と、
前記酸素処理容器内から前記原子炉格納容器内にガスを戻すガス戻り配管と、
を具備したことを特徴とする酸素処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の酸素処理装置あって、
前記酸素処理材が、Ni、Cu、Fe、Co、Cr、Mnの少なくとも何れか1種以上であることを特徴とする酸素処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の酸素処理装置あって、
前記酸素処理材の粒径が0.1~100ミリメートルであることを特徴とする酸素処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の酸素処理装置あって、
前記ガス導入配管に、前記酸素処理材の反応を阻害する反応阻害物質を除去する反応阻害物質除去装置が設けられていることを特徴とする酸素処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の酸素処理装置と、
前記ガス導入配管又は前記ガス戻り配管の何れか一方に介挿され、水素と反応して還元される酸化物からなる水素処理材を具備した水素処理装置とにより、
前記原子炉格納容器内の酸素と水素を処理する
ことを特徴とする酸素処理方法。
【請求項6】
請求項5記載の酸素処理方法あって、
前記酸素処理装置にて酸化された前記酸素処理材を前記水素処理装置に充填し、
前記水素処理装置にて還元された前記水素処理材を前記酸素処理装置に充填する
ことを特徴とする酸素処理方法。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか1項記載の酸素処理装置と、
前記酸素処理容器内に充填され、水素と反応して還元される酸化物からなる水素処理材とを具備し、
前記原子炉格納容器内の酸素と水素を処理する
ことを特徴とする酸素処理方法。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか1項記載の酸素処理方法あって、
前記水素処理材が、NiO、CuO、Fe、Co、Cr、MnOの少なくとも何れか1種以上である
ことを特徴とする酸素処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、酸素処理装置及び酸素処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BWR型原子炉において炉心の著しい損傷を伴う原子炉過酷事故が発生した場合、溶融炉心中に含まれるジルコニウムと冷却水との反応(Metal-Water反応:Zr+HO→ZrO+H)(以下、MW反応と記す)と、水の放射性分解(HO→H+0.5O)により水素と酸素が発生する。
【0003】
水素は発生量が多く、格納容器破損につながる格納容器過圧の主要因である。これを回避するために、格納容器ベントといわれる減圧操作を行う。
【0004】
格納容器ベントでは、放射性物質の外部放出を防止するため、格納容器内に含まれる放射性物質を捕集可能なフィルタベント設備を備える対策を講じている。
【0005】
しかし、福島第一原発では、減圧操作を行う以前に、格納容器内に滞留した水素が格納容器の上部から漏洩し、空気中に含まれる酸素と水素が反応する水素爆発が生じ、格納容器が破損する事象が確認されたことから、格納容器ベント前に格納容器内の水素を低減する対策が必要と考えられている。
【0006】
こうした対策の一環として、種々の方法で水素を処理する検討がなされている。
【0007】
例えば、特許文献1では、触媒を用いて水素と酸素を反応させる触媒式水素燃焼が提案されている。しかし、この方法では、反応温度が高いこと、反応後の処理が高温で格納容器を昇圧する可能性があること、一酸化炭素による被毒をうけて触媒機能が損なわれるため触媒が多量に必要で高価となること、格納容器内の水素量に対し酸素量が不十分であるため外部から酸素の供給が必要であり危険であること等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3596843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
格納容器過圧を促進する主要因である水素を低減した場合でも、水の放射性分解によって生成する酸素濃度が爆発限界濃度(5vol%)に近くなる場合、格納容器内での水素爆発が発生する危険性が生じる。このため、格納容器内における酸素の低減も、水素処理と同様に行う必要がある。例えば、格納容器内の圧力が、格納容器ベントを必要とする圧力まで上昇していなくとも、酸素の濃度が爆発限界濃度に近くなると格納容器ベントを行う必要性が生じる可能性がある。
【0010】
現行の方法では、金属酸化物による水素処理と、酸素を用いた触媒式水素燃焼(PAR)との併用が考えられているが、これらの反応温度条件が異なるためにガスの加熱と冷却を繰り返す必要があり、系統構成が複雑となること、これにより装置全体の規模が大きくなることや、価格が高価となる懸念がある。また、触媒式水素燃焼(PAR)による酸素除去では、反応阻害により触媒機能が喪失する可能性がある。
【0011】
反応阻害物質としては、MW反応に伴う発熱で水が蒸発して生成する水蒸気や、建屋を構成するコンクリートと溶融炉心との反応やケーブル溶融により生成する一酸化炭素、放射性分解生成物で代表的な例えば、よう化セシウム、無機よう素、よう化メチルなどが代表的である。
【0012】
上記のように、原子力発電施設等では、水素濃度の他に酸素濃度を低減して水素爆発の発生を防止すること、及び格納容器ベントの可能性を低減して放射性物質の外部放出を防止できるようにすることが求められている。
【0013】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたもので、その目的は、原子炉格納容器内の酸素濃度を効率良く低減することのできる酸素処理装置及び酸素処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態の酸素処理装置は、原子炉格納容器内の酸素を処理する酸素処理装置であって、酸素処理容器と、前記酸素処理容器内に充填され、酸素と反応して酸化物となる酸素処理材と、前記酸素処理材を加熱するための加熱装置と、前記原子炉格納容器内から前記酸素処理容器内にガスを導入するガス導入配管と、前記酸素処理容器内から前記原子炉格納容器内にガスを戻すガス戻り配管と、を具備したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の酸素処理装置の構成を示す図。
図2】他の実施形態の酸素処理装置の構成を示す図。
図3】他の実施形態の酸素処理装置の構成を示す図。
図4】他の実施形態の酸素処理装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る酸素処理装置及び酸素処理方法について図面を参照して説明する。
【0017】
図1に、実施形態に係る酸素処理装置10の構成を示す。図1に示すように、酸素処理装置10は、酸素処理容器11を具備しており、この酸素処理容器11内には、酸素と反応して酸化物となる酸素処理材12が充填されている。また、酸素処理容器11の周囲には、内部に充填された酸素処理材12を加熱するための加熱装置13が設けられている。
【0018】
また、酸素処理装置10には、原子炉格納容器1から酸素処理するガスを酸素処理容器11内に導入するためのガス導入配管2と、酸素処理容器11内から原子炉格納容器1内に酸素処理したガスを戻すガス戻り配管3とが設けられている。ガス導入配管2には、ガスを流通させるためのブロワ4と、入口の開閉を調整する入口バルブ5が設けられている。一方、ガス戻り配管3には、出口の開閉を調整する出口バルブ6が設けられている。なお、加熱装置13は、必ずしも酸素処理容器11の周囲に設ける必要はなく、ガス導入配管2等に設けて酸素処理容器11内に導入する前のガスを所定温度にまで加熱するようにしてもよい。
【0019】
上記構成の酸素処理装置10では、予め加熱装置13によって酸素処理容器11内の酸素処理材12を加熱しておき、入口バルブ5と出口バルブ6を開き、ブロワ4を起動することで、原子炉格納容器1内のガスを、入口配管2を通じて酸素処理容器11内に導入し、酸素処理材12と反応させることでガス中の酸素を除去する。そして、この処理済のガスを、ガス戻り配管3を通じて原子炉格納容器1内に戻す構成となっている。
【0020】
上記構成の酸素処理装置10において、酸素処理容器11内に充填する酸素処理材12としては、例えば後述する水素処理材が還元した時に生成する金属、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)コバルト(Co)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)などを使用することができる。酸素処理装置10における酸素処理では、これらの金属が酸素と反応して金属酸化物となり、ガス中の酸素が除去される。
【0021】
酸素処理材12の形態は、装置の圧力損失を低減する観点から金属等の成形体で構成される充填層とすることができる。この場合、単一の金属等からなる成形体を複数組み合わせた充填層や、2種類以上の金属等を含む成形体を数種類制作し、これを適当に充填して充填層とする他、焼結体のような多孔質な形態とすることができる。また、成形体の形状は粒形としてもよい。
【0022】
上記のような酸素処理材12の組合せは、金属等の酸化速度の最大値、反応温度の範囲、発熱量などの差異を利用し、成形体の充填方法を工夫することで反応速度や温度の制御に供する。
【0023】
また反応速度の制御については、処理材の粒径を変えることも有効である。酸素処理材12の場合を例に説明すると、充填量が同じ場合でも、成形体の粒径が大きいほど成形体内部へのガス拡散に伴い反応速度が低下し、小さいほど成形体内部と比較して成形体表面の処理材の割合が増加するため反応速度が増加する。こうした粒径と反応速度との関係から、成形体の大きさは反応制御に有効であり、粒径は0.1~100mmとすることが好ましい。
【0024】
原子炉格納容器1内から導入したガスには、前述した反応阻害物質(水蒸気、一酸化炭素、よう化セシウム、無機よう素、よう化メチル等)が含まれる。このため、後述するように酸素処理容器11の上流側に反応阻害物質除去装置を設けない場合、酸素処理材12としては、反応阻害物質の影響が少ない金属、例えば、銅、マンガン等を選定することが好ましい。この場合、酸素処理材12として銅を用いた場合は、加熱温度を200~500℃程度とすることが好ましい。また、酸素処理材12としてマンガンを用いた場合は、加熱温度を150~250℃程度とすることが好ましい。
【0025】
一方、反応阻害物質の影響が多い金属、例えば、一酸化炭素と反応し有害なニッケルカルボニルを生成するニッケルや、高温水蒸気と反応して水素を生成する鉄などを、酸素処理材12として用いると、反応阻害物質の影響を多く受けることになる。
【0026】
一方、図2に示すように、酸素処理容器11の上流側に反応阻害物質除去装置14を設けた場合は、反応阻害物質の影響を考慮する必要がなく、酸素処理材12として使用することのできる材料の選択範囲が広くなる。例えば、酸素処理材12として、ニッケルや鉄等を使用することも可能となる。反応阻害物質除去装置14は、放射性ヨウ素除去用の吸収塔や、水蒸気除去用の冷却器やデミスタ、一酸化炭素を酸化除去するための酸化触媒等を使用することができる。なお、図2において、図1に示した実施形態と対応する部分には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0027】
図3は、他の実施形態を示すものであり、酸素処理装置10のガス導入配管2に、水素処理装置20を介挿した例を示している。水素処理装置20は、水素処理容器21と、この水素処理容器21の内部に充填された水素処理材22と、水素処理材22を加熱するための加熱装置23とを具備している。なお、水素処理装置20は、酸素処理装置10のガス戻り配管3側に設置してもよい。なお、図3において、図1に示した実施形態と対応する部分には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0028】
水素処理装置20における水素処理材22としては、水素処理に適した金属酸化物で、水素処理後に還元されて生成した不定比酸化物及び金属(以下、金属等という)が酸素処理材にも適するものが好ましい。水素処理材22としては、例えば、NiO、CuO、Fe、Co、Cr、MnOの等を用いることができ、これらの2種以上を用いてもよい。
【0029】
水素処理材22である金属酸化物は、水素処理の反応速度の最大値と、反応温度の範囲、発熱量が異なる。例えば酸化銅(II)は200℃以上では反応速度の最大値は他の金属酸化物よりも大きく、水素処理量あたりの発熱量も最も大きい。また、酸化ニッケル(II)は300℃以上で反応し、反応速度は酸化銅の1/3程度であるが、水素処理量あたりの発熱量は酸化銅の1/10程度である。
【0030】
このような、金属酸化物の反応速度の最大値、反応温度の範囲、発熱量などを考慮し、水素処理材22は、2種類以上の金属酸化物を組合せて配置することが好ましい。
【0031】
水素処理材22は、装置の圧力損失を低減する観点から金属酸化物等の成形体で構成される充填層とすることができる。この場合、単一の金属酸化物等からなる成形体を複数組み合わせた充填層や、2種類以上の金属酸化物等を含む成形体を数種類制作し、これを適当に充填して充填層とする他、焼結体のような多孔質な形態とすることができる。また、成形体の形状は粒形としてもよい。
【0032】
このような水素処理材22の構成は、主に水素及び酸素の反応制御と温度制御を目的として行う。
【0033】
例えば酸化銅の成形体からなる層を上流に配置し、その下流に酸化ニッケルの成形体からなる層を配置した場合、上流の酸化銅成形体の水素処理反応により発生する熱により下流の酸化ニッケルが加熱される。したがって、上流に配置する酸化銅成形体の量によって、下流の酸化ニッケル成形体の反応温度を制御することができる。
【0034】
反応速度の制御は、下流に配置する金属酸化物の種類を変えることによって行う。例えば下流の酸化ニッケル成形体で反応速度を高めたい場合は、酸化ニッケル成形体に一定割合の酸化銅を充填しておくことが考えられる。また、下流の酸化ニッケル成形体の反応速度を抑制したい場合は、酸化ニッケル成形体に反応速度の遅い金属酸化物または水素処理反応に不活性な物質を一定割合混ぜることが考えられる。水素処理反応に不活性な物質は、例えば活性アルミナや水ガラス、アルミナセメント、タルク、酸化セリウム等が考えられる。
【0035】
以上のような方法によって、反応速度や温度を制御することで、水素処理装置20内にある水素処理材22がおかれる温度環境や、後段の温度環境を制御することができる。
【0036】
また反応速度の制御については、処理材の粒径を変えることも有効である。水素処理材22の場合を例に説明すると、充填量が同じ場合でも、成形体の粒径が大きいほど成形体内部へのガス拡散に伴い反応速度が低下し、小さいほど成形体内部と比較して成形体表面の処理材の割合が増加するため反応速度が増加する。こうした粒径と反応速度との関係から、成形体の大きさは反応制御に有効であり、粒径は0.1~100mmとすることが好ましい。
【0037】
水素処理と酸素処理の反応は、水素処理材22が酸化銅(II)、酸素処理材12が銅の場合、それぞれ次のような反応となる。
CuO+H→Cu+HO (式1)
Cu+0.5O→CuO (式2)
発生した水蒸気は、反応後流体として水素処理装置20の下流、つまり酸素処理装置10に流れる。
【0038】
また、水素処理材22で発生した酸素は、酸素処理装置10の酸素処理材12にて吸着される。
【0039】
水素処理装置20の水素処理材22は、反応が進むにつれて、金属酸化物が還元し、反応する主な部位が水素処理装置22の出口側に移動する。金属酸化物が還元した部位は、水素は未反応のまま移動し、金属酸化物が存在する位置まで移動すると反応する。また、酸素が反応可能な温度領域であれば、金属酸化物が還元した部位で、酸素の吸着反応が起こり、金属酸化物が再生する。
【0040】
水素処理装置20にて水素処理により還元された水素処理材22は、酸素処理装置10の酸素処理材12として充填して再利用することができる。また、酸素処理装置10にて酸素処理により酸化された酸素処理材12は、水素処理装置20の水素処理材22として充填して再利用することができる。
【0041】
上記のような観点からは、酸素処理容器11と、水素処理容器21とを分けずに、1つの処理容器中に酸素処理材12と水素処理材22とを混在させた構成とし、1つの処理容器中で水素処理と酸素処理とを行うようにしてもよい。
【0042】
すなわち、例えば、図4に示す水素酸素処理装置30のように、1つの酸素処理容器31中に、例えば、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、鉄、クロム等の金属からなる酸素処理材12を充填し、更に、例えば、酸化ニッケル(II)、酸化銅(II)、酸化コバルト(II,III)、酸化マンガン(IV)、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)等の金属酸化物からなる水素酸素処理材22を充填し、加熱装置33で加熱する構成とする。なお、図4において、図1に示した実施形態と対応する部分には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0043】
かかる構成とすれば、水素と酸素を同時に処理することができ、且つ水素と酸素の処理装置が一体化することで装置の大型化や複雑さを解消することが可能となる。また、酸素処理を水素処理の後段とするなどの装置構成の対策を行うことで、酸素処理に対する反応阻害流体の影響を抑制することが可能である。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1……原子炉格納容器、2……ガス導入配管、3……ガス戻り配管、4……ブロワ、5……入口バルブ、6……出口バルブ、10……酸素処理装置、11……酸素処理容器,12……酸素処理材,13……加熱装置,14……反応阻害物質除去装置,20……水素処理装置,21……水素処理容器、22……水素処理材、23……加熱装置、30……酸素処理装置,31……酸素処理容器、33……加熱装置。
図1
図2
図3
図4