IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-洗濯機 図1
  • 特許-洗濯機 図2
  • 特許-洗濯機 図3
  • 特許-洗濯機 図4
  • 特許-洗濯機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/36 20200101AFI20240805BHJP
   D06F 39/02 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
D06F33/36
D06F39/02 B
D06F39/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021135990
(22)【出願日】2021-08-24
(65)【公開番号】P2023030714
(43)【公開日】2023-03-08
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 好宏
(72)【発明者】
【氏名】上野 真司
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055890(JP,A)
【文献】特開2017-158602(JP,A)
【文献】特開2020-074937(JP,A)
【文献】特開平11-319378(JP,A)
【文献】特開平03-149095(JP,A)
【文献】特開2017-099432(JP,A)
【文献】特開2003-290590(JP,A)
【文献】特開昭61-094682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/36
D06F 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に支持される外槽と、前記外槽に内包される内槽と、前記内槽を回転駆動する駆動手段と、前記外槽内に給水する給水手段と、前記外槽内に洗剤を自動で投入可能な洗剤自動投入手段と、洗剤および助剤を手動で投入可能な洗剤手動投入手段と、前記駆動手段、前記給水手段および前記洗剤自動投入手段を制御する制御手段と、前記外槽から洗濯水を吸い込み、前記内槽内に向かって散水する循環ポンプと、を備え、
前記制御手段は、第1回洗い行程、第1回すすぎ行程、第1回脱水行程、第2回洗い行程、第2回すすぎ行程、第2回脱水行程を順に行うコースを有し、
前記第1回洗い行程は、洗剤および前記助剤として漂白剤を用い、給水した後に前洗いし、さらに給水した後につけ置き洗いし、
前記前洗い時および前記つけ置き洗い時は、前記内槽と前記循環ポンプを同時に駆動し、
前記第1回洗い行程時の投入洗剤量と、前記第2回洗い行程時の投入洗剤量とは、同じであることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記第1回すすぎ行程は、脱水後に給水してすすぐ行程であることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗濯機において、
前記第1回洗い行程は、前記第2回洗い行程よりも長い時間行うことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の洗濯機において、
前記洗剤自動投入手段は、洗剤を貯蔵するタンクを備え、
前記第1回洗い行程および前記第2回洗い行程は、前記タンクから洗剤が投入されることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1回目の洗い行程、排水行程、給水行程、第2回目の洗い行程を順に行うコースを備えた洗濯機が記載されている。このように、汚れのひどい洗濯物を洗う場合、洗い行程を2回実行するようにしたものがあり、洗剤自動投入装置によって洗い行程毎に洗剤を投入する。これにより洗い行程を1回のみ行う場合に比べて洗浄効果が上がるものであるが、第1回目の洗い行程で多量の汚れが水中に溶解して洗濯物全体に再付着することがある。また、汚れのひどい洗濯物を洗う場合、漂白剤を溶かした液に洗濯物を漬け置くか、または洗濯機に漂白剤を投入して漬け置きコースを選択するか、あるいは通常コースの洗い運転中に一次停止して漬け置きするなどが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-18179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の洗濯機において、ひどい汚れの洗濯物を2回洗う場合、第1回目の洗剤量を増やすと、汚れが洗濯物に再付着するおそれがあり、逆に洗剤量を少なくすると、汚れ落ちが悪くなり、洗浄力が低下する。
【0005】
また、さらにひどい汚れの場合は、使用者が洗剤自動投入とは別に自身の判断で洗剤を追加したり、ひどい汚れが付着した衣類に予め洗剤を塗布したりするため、洗濯機に投入される洗剤量が多くなり、汚れの再付着が起きる場合があった。
【0006】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、衣類に汚れが再付着することなく、洗浄力の高い洗いを実行可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体内に支持される外槽と、前記外槽に内包される内槽と、前記内槽を回転駆動する駆動手段と、前記外槽内に給水する給水手段と、前記外槽内に洗剤を自動で投入可能な洗剤自動投入手段と、洗剤および助剤を手動で投入可能な洗剤手動投入手段と、前記駆動手段、前記給水手段および前記洗剤自動投入手段を制御する制御手段と、前記外槽から洗濯水を吸い込み、前記内槽内に向かって散水する循環ポンプと、を備え、前記制御手段は、第1回洗い行程、第1回すすぎ行程、第1回脱水行程、第2回洗い行程、第2回すすぎ行程、第2回脱水行程を順に行うコースを有し、前記第1回洗い行程は、洗剤および前記助剤として漂白剤を用い、給水した後に前洗いし、さらに給水した後につけ置き洗いし、前記前洗い時および前記つけ置き洗い時は、前記内槽と前記循環ポンプを同時に駆動し、前記第1回洗い行程時の投入洗剤量と、前記第2回洗い行程時の投入洗剤量とは、同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衣類に汚れが再付着することなく、洗浄力の高い洗いを実行可能な洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の上面図である。
図3】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の縦断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機のブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の動作を示す行程表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図である。図2はドラム式洗濯機の上面図である。図3はドラム式洗濯機の縦断面図である。なお、図3は、水槽17と回転ドラム20の一部を仮想的に破断して図示している。また、以下の説明において、上下左右前後の方向は図1中に示す上下左右前後の方向を基準とする。
【0011】
図1に示すように、ドラム式洗濯機S(洗濯機)は、外枠2(筐体)内に設けられる水槽(外槽)17と、水槽17に内包される回転ドラム20(内槽)と、回転ドラム20を回転駆動するドラムモータ8(駆動手段)と、水槽17内に給水する際に開弁される給水電磁弁12(給水手段)と、洗剤投入部25(洗剤手動投入手段)と、洗濯処理液自動投入部30(洗剤自動投入手段)と、回転ドラム20、ドラムモータ8、給水電磁弁12および洗濯処理液自動投入部30を制御する制御装置100と、を備えて構成されている。
【0012】
ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられて洗濯機本体4をなしている。外枠2の正面には、洗濯物21(図3参照)を出し入れするドアである蓋体3と、前面カバー18、及び背面には背面カバー19が設けられている。
【0013】
外枠2の上部には、前面側の一部に、例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル6が設けられている。
【0014】
洗剤投入部25は、手動で洗剤等を投入するものであり、外枠2の上部における前面側の他部に設けられている。また、洗剤投入部25は、回動可能に支持された蓋を備えている。
【0015】
洗濯処理液自動投入部30は、洗濯機本体4に設けられ、その上面(トップパネル)に開閉式のタンク蓋体31が設けられている。タンク蓋体31の下部には少なくとも1つ以上の洗濯処理液タンクが設けられており、一例として洗濯処理液タンクが2式設けられている。その一方は複数回の洗濯を行うことができる量の液体洗剤を保持できる容量を備えた洗剤タンク32(タンク)であり、他方は複数回の洗濯を行うことができる量の例えば柔軟剤を保持できる容量を備えた柔軟剤タンク33である。
【0016】
タンク蓋体31を開いた状態においては、タンク蓋体31を開いた開口から洗剤タンク32と柔軟剤タンク33とを上方に引き抜くことができ、また再度セットすることができる。
【0017】
洗濯機本体4の背面近傍の上面には、給水栓7が設けられており、水道管を接続して洗濯機本体4に対して給水を行う。
【0018】
図2に示すように、洗剤投入部25は、例えば粉末洗剤投入部25aと、液体洗剤投入部25bと、柔軟剤投入部25c、とを備え、それぞれ1回分の粉末洗剤、柔軟剤、または液体洗剤を投入することができる。なお、助剤として粉末の漂白剤(酸素系漂白剤)を投入する場合には、粉末洗剤投入部25aに同時に投入し、液体の漂白剤を投入する場合には、液体洗剤投入部25bに同時に投入する。洗剤投入部25に投入された粉末洗剤(粉末漂白剤含む)、柔軟剤、ないし液体洗剤(液体漂白剤含む)は洗濯工程の所定の時点で給水管9(図3参照)を経由して給水され、水とともに洗剤供給管23を経由して、水槽17内に投入される。
【0019】
図3に示すように、回転ドラム20は、水槽17の内部に設けられ、洗濯物21を入れて洗濯、脱水を行なう円筒状のものである。また、回転ドラム20の前端側には内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ22が設けられている。流体バランサ22は、回転ドラム20と一体に回転することで洗濯物21のアンバランスによる回転ドラム20の振動を低減する。また、回転ドラム20は、側壁に遠心脱水用の多数の小孔(図示せず)を有し、ドラムモータ8によって回転する。
【0020】
ベース1には、ばねと減衰とを備えた支持手段5を介して水槽17が弾性支持されている。
【0021】
水槽17の底面には排水弁10を介して排水管11が接続されており、水槽17内の洗濯水を機外に排水する。また、乾燥機能を備えた洗濯乾燥機の場合には、水槽17には乾燥風路13が接続されており、水槽17内の湿り空気を排出して、図示しない例えばヒータや送風手段を備えた乾燥手段によって洗濯物21を乾燥させる。
【0022】
洗剤投入部25に投入された粉末洗剤、柔軟剤、ないし液体洗剤を水槽17内に供給する際には、給水電磁弁12を開くことで給水栓7から、給水電磁弁12と洗剤投入部25とを接続した給水管9を経由して、水道水を洗剤投入部25のうち例えば粉末洗剤投入部25aに給水して粉末洗剤を溶かし、洗剤投入部25から下降しつつ水槽17と接続された洗剤供給管23を通って水槽17の内部に供給される。
【0023】
洗剤供給管23の水槽17近傍には逆止弁16が設けられている。洗剤投入部25から水槽17に向けて流れる洗剤液は通過するが、逆に水槽17から洗剤投入部25に向けて水槽17内の圧力が上昇した際の空気や、あるいは洗濯乾燥機の場合には高湿空気が通過することを抑制できる。
【0024】
洗濯処理液自動投入部30は、洗濯処理液を吸引して投入領域39に投入するためのポンプ手段(不図示)が設けられている。ポンプ手段としては、一例として所謂ギヤポンプを用いることができる。投入領域39には給水電磁弁12に一端が接続された給水管40の他端が接続されており、給水電磁弁12を開弁した際には、水は給水管40を経由して投入領域39内に給水される。投入領域39の下面には洗剤供給管41の一端が接続されており、洗剤供給管41の他端は洗剤供給管23に接続されている。すなわち、投入領域39の内部に投入された洗剤ないし柔軟剤は、給水管40を通って給水された水とともに、洗剤供給管41を経由して洗剤供給管23に流出し、水槽17の内部に供給される。
【0025】
また、洗濯機本体4には、洗濯水をくみ上げて、回転ドラム20内に散水する循環ポンプ50が設けられている。この循環ポンプ50は、上流側の一端に接続された配管51が排水弁10より上流側の排水管11と接続され、他端に接続された配管52が水槽17内の洗濯水を回転ドラム20内に投入できる高さ位置53まで延びて形成されている。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機のブロック図である。
図4に示すように、制御装置100は、マイクロコンピュータ150(制御手段)を備え、図示しない各スイッチに接続される操作入力部151や、布量センサ133、水位センサ134と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程での各種情報信号を受ける。また、マイクロコンピュータ150は、インバータ回路154を介してドラムモータ8と接続され、駆動回路(不図示)を介して給水電磁弁12、排水弁10、循環ポンプ50、洗濯処理液自動投入部30の供給モータ(不図示)などと接続され、これらの開閉や回転、通電を制御する。また、マイクロコンピュータ150は、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための例えば7セグメント発光ダイオードのような表示部114と接続される。
【0027】
図5は、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の動作を示す行程表である。なお、図5に示す洗濯行程は一例であって、槽回転数(槽回転速度)、槽回転方向、循環ポンプ50の回転数(回転速度)、行程時間に記載されている数値や方向に限定されるものではない。
図5に示すように、マイクロコンピュータ150は、電源スイッチ(不図示)が押されて電源が投入されると起動し、洗濯の基本的な制御処理プログラムを実行する。そして、洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
【0028】
そして、マイクロコンピュータ150は、第1回洗い行程(第1回目の洗い行程)を実行する(ステップS1~S9)。すなわち、マイクロコンピュータ150は、使用者が、汚れがひどい洗濯物を洗う場合のコースが選択され(ステップS1)、スタートボタン(不図示)が操作されたことを検知すると、回転ドラム20を回転させ、その際にドラムモータ8を駆動するのに要する電流値からドラムモータ8に生じる回転駆動トルクを測定して回転ドラム20に投入された布量を判定する(ステップS2;布量センシング)。そして、マイクロコンピュータ150は、判定した布量の判定値に基づいて、洗剤の供給量、運転時間を算出し(ステップS3)、表示部114(図4参照)に洗剤量を表示する。このとき、使用者は、例えば、洗剤投入部25の粉末洗剤投入部25aに粉末洗剤とともに粉末漂白剤を手動で投入するか、洗剤投入部25の液体洗剤投入部25bに液体洗剤とともに液体漂白剤を手動で投入する。
【0029】
そして、ステップS4において、マイクロコンピュータ150は、洗剤と漂白剤の投入待ちの所定時間(例えば、1分)が経過すると、ステップS5の洗剤溶かし行程に移行する。このとき、給水電磁弁12を開弁して、洗剤と漂白剤を含む洗剤液が、洗剤投入部25を経由して、洗剤供給管23を通して水槽17内に投入される。また、水槽17の底部に投入された洗剤液を、図示しないポンプを用いて水槽17の底で所定時間(例えば、1分)循環させて、洗剤溶かし行程を実行する。
【0030】
そして、ステップS6において、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開いて予め設定された第1の水位まで給水を実行した後、ステップS7に移行し、予洗い(前洗い)を所定時間(例えば、2分)、実行する。ここでは、例えば、ドラムモータ8を制御して回転ドラム20の回転数(回転速度)を44r/min(回/分)とし、正逆方向に回転させる。また、循環ポンプ50の回転数(回転速度)を1000~3000r/minとして、洗濯物21(図3参照)に洗剤液を満遍なく浸透させる。
【0031】
そして、ステップS8において、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開いて第2の水位まで給水を実行し、ステップS9に移行し、つけ置き洗いを実行する(つけおき攪拌)。すなわち、回転ドラム20の回転数(回転速度)を44r/minとし、正逆方向に回転させる。また、回転ドラム20の回転と同時に、循環ポンプ50の回転数(回転速度)を1000~3000r/minとする。また、ステップS9でのつけ置き洗い時間は、例えば、30分とする。なお、つけ置き洗い時間は、投入された漂白剤の効果を十分に発揮できる時間(メーカの推奨時間)に設定されるものであり、推奨時間に応じて適宜変更(増減)できるものである。また、ドラム式洗濯機Sの場合には、水槽17に水を溜めることが難しいので、洗濯物21の全体に洗濯液を浸透させるため、回転ドラム20を回転させて洗濯物21の位置を変化させることが行われる。
【0032】
このように、ステップS9において、つけ置き洗いを行うことで、投入された漂白剤の効果を十分に発揮させることができ、洗濯物21に付着した汚れを取り除くことが可能になる。このため、従来のように、洗濯物を桶に入れて漬け置く必要がない。
【0033】
そして、第1回すすぎ行程(第1回目のすすぎ行程)に移行し(ステップS10~S13)、ステップS10において、マイクロコンピュータ150は、排水弁10を開いて、汚れが溶け出した洗濯液が排水管11を通して機外に排出される。
【0034】
そして、ステップS11において、マイクロコンピュータ150は、簡易的な脱水を実行する。すなわち、マイクロコンピュータ150は、回転ドラム20の回転数(回転速度)を900r/minで逆回転とし、所定時間(例えば、3分)遠心脱水を実行する。
【0035】
そして、ステップS12において、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開いて所定の水位となるまで給水を実行する。これにより、水槽17内にすすぎ水が溜められる。
【0036】
そして、ステップS13において、マイクロコンピュータ150は、すすぎを実行する(すすぎ攪拌)。すなわち、マイクロコンピュータ150は、循環ポンプ50の回転数を1000~3000r/minとして、すすぎ水を所定時間循環させてすすぎを実行する。
【0037】
そして、第1回脱水行程(第1回目の脱水行程)に移行し(ステップS14~S15)、ステップS14において、マイクロコンピュータ150は、排水弁10を開いて、すすぎによって洗濯物21に含まれる洗濯液を、排水管11を通して機外に排出する。
【0038】
そして、ステップS15において、マイクロコンピュータ150は、簡易的な脱水を実行する。ここでの脱水は、ステップS11と同様である。
【0039】
そして、第2回洗い行程(第2回目の洗い行程)に移行し(ステップS16~S20)、ステップS16の洗剤溶かし行程を実行する。なお、第2回洗い行程では、洗濯処理液自動投入部30から液体洗剤が自動で投入される。すなわち、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開弁して給水管40に給水し、投入領域39内の液体洗剤を水とともに、洗剤供給管41,23を通して水槽17内に投入する。また、水槽17内に投入された洗剤液を、図示しないポンプを用いて水槽17の底で循環させて所定時間(例えば、30秒)、洗剤溶かしを実行する。なお、この第2回洗い行程では洗濯処理液自動投入部30から液体洗剤を投入するため、第1回洗い行程の洗剤溶かし(ステップS5)において粉末洗剤および粉末漂白剤を投入する場合に比べて洗剤溶かし時間は短くなる。
【0040】
そして、ステップS17において、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開いて予め設定された第1の水位まで給水を実行した後、ステップS18に移行し、予洗い(前洗い)を所定時間(例えば、2分)実行する。なお、ここでの予洗いは、前記したステップS7での予洗いと同様である。
【0041】
そして、ステップS19において、マイクロコンピュータ150は、給水電磁弁12を開いて第2の水位まで給水を実行し、ステップS20に移行し、本洗いを実行する。すなわち、ステップS18と同様にして、所定時間(例えば、12分)実行する。このように、本実施形態では、第1回洗い行程のつけ置き洗い(ステップS9)の時間が、第2回洗い行程の本洗い(ステップS20)の時間よりも長く行われる。
【0042】
そして、第2回すすぎ行程の1回目のすすぎ(第2回すすぎ1(ステップS21~S24))、第2回すすぎ行程の2回目のすすぎ(第2回すすぎ2(ステップS25~S28))、第2回脱水(第2回目の脱水)を実行し、処理を終了する。この第2回すすぎ行程の1回目のすすぎでは、排水弁10を開いて、洗濯液を排水管11を通して機外に排出し(ステップS21)、そして、回転ドラム20を逆回転(例えば、900r/min)しながら遠心脱水する(ステップS22)。そして、洗濯物21にシャワー状に散水しながら、回転ドラム20を逆回転(例えば、100r/min)させ(ステップS23)、その後、回転ドラム20を逆回転(例えば、900r/min)しながら遠心脱水する(ステップS24)。
【0043】
第2回すすぎ行程の2回目のすすぎでは、給水電磁弁12を開いて水槽17に、所定水位まで給水し(ステップS25)、そして、洗剤投入部25の柔軟剤投入部25cに給水管9を介して給水し(ステップS26)、そして、再度所定水位まで給水し(ステップS27)、すすぎ攪拌を実行する(ステップS28)。すすぎ攪拌では、回転ドラム20を回転数44r/minで正逆回転させ、循環ポンプ50を1000~3000r/minで所定時間実行する。
【0044】
第2回脱水行程では(ステップS29~S30)、排水弁10を開いてすすぎ水を機外に排出した後(ステップS29)、最終脱水を実行する(ステップS30)。最終脱水では、回転ドラム20を逆回転(900r/min)させながら所定時間(例えば、4分)実行する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のドラム式洗濯機Sは、外枠2内に支持される水槽17と、水槽17に内包される回転ドラム20と、回転ドラム20を回転駆動するドラムモータ8と、水槽17内に給水する給水電磁弁12と、水槽17内に洗剤を自動で投入可能な洗濯処理液自動投入部30と、洗剤および助剤を手動で投入可能な洗剤投入部25と、ドラムモータ8、給水電磁弁12および洗濯処理液自動投入部30を制御する制御装置100と、を備える。制御装置100は、第1回洗い行程、第1回すすぎ行程、第1回脱水行程、第2回洗い行程、第2回すすぎ行程、第2回脱水行程を順に行うコースを有する。第1回洗い行程は、洗剤および助剤としての漂白剤を用いてつけ置き洗いを実行する。これによれば、第1回洗い行程において、漂白剤を用いることで、漂白剤が有している再付着防止効果によって、洗濯物21から溶け出した汚れが洗濯物21に再付着するのを抑えることができるので、洗剤を過度に投入することなく洗浄力を高めることが可能になる。また、ひどい汚れのうち取り切れなかった汚れは、第2回洗い行程によって取り除かれるため、従来よりも洗浄力が高まり、汚れの再付着もなくなり、使用者の手間も省くことができる。
【0046】
また、本実施形態において、第1回すすぎ行程は、脱水後に給水してすすぐ行程である。これによれば、第1回洗い行程によって、洗濯物の汚れが洗濯液に溶け出していることから、一度排水、脱水して、給水してすすぐことで、溶け出した汚れを機外に排出することができ、溶け出した汚れを第2回洗い行程に持ち越さないようになり、洗浄力の低下を防ぐことが可能になる。
【0047】
また、本実施形態において、第1回洗い行程(ステップS9のつけ置き洗い)は、第2回洗い行程(ステップS20の本洗い)よりも長い時間行う。これによれば、従来のように漂白剤の効果が発揮される前に排水されるのを防止でき、投入した漂白剤の効果を発揮することができる。
【0048】
また、本実施形態は、第1回洗い行程における洗剤量と第2回洗い行程における洗剤量とを同じする。これによれば、第1回洗い行程での洗剤量を第2回洗い行程よりも増やすことなく、漂白剤の効果で洗濯物の汚れを一気に落とすことができる。
【0049】
また、本実施形態は、水槽17から洗濯水を吸い込み、回転ドラム20内に向かって散水する循環ポンプ50を備え、つけ置き洗い時は、回転ドラム20と循環ポンプ50とを同時に駆動する。これによれば、水を溜めることが難しいドラム式洗濯機Sにおいて、循環ポンプ50を駆動することで洗濯物に洗剤液を浸透させ易くなり、回転ドラム20を回転させて洗濯物の位置を入れ替えることで、洗濯物全体に満遍なく洗剤液を浸透させることが可能になる。
【0050】
なお、前記した実施形態では、第1回洗い行程において、粉末洗剤と粉末漂白剤を洗剤投入部25の粉末洗剤投入部25aに手動で投入した場合を例に挙げて説明したが、第1回洗い行程と第2回洗い行程の双方の行程で、液体洗剤を洗濯処理液自動投入部30の洗剤タンク32から投入するようにしてもよい。この場合、液体漂白剤を洗剤投入部25の液体洗剤投入部25bに投入し、または粉末漂白剤を洗剤投入部25の粉末洗剤投入部25aに投入する。これによれば、洗剤を洗剤投入部25に投入する必要がなくなるので、使い勝手を向上できる。
【0051】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、実施形態に記載した構成を適宜組み合わせないし選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
例えば、本実施形態では、ドラム式洗濯機Sを例に挙げて説明したが、縦型の洗濯機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 外枠(筐体)
8 ドラムモータ(駆動手段)
12 給水電磁弁(給水手段)
17 水槽(外槽)
20 回転ドラム(内槽)
25 洗剤投入部(洗剤手動投入手段)
30 洗濯処理液自動投入部(洗剤自動投入手段)
32 洗剤タンク(タンク)
50 循環ポンプ
150 マイクロコンピュータ(制御手段)
S ドラム式洗濯機(洗濯機)
図1
図2
図3
図4
図5