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特許7532342グアニンリッチオリゴヌクレオチドのための精製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】グアニンリッチオリゴヌクレオチドのための精製方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20240805BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240805BHJP
【FI】
C12N15/10 112Z
C12N15/113 Z
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021512928
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050483
(87)【国際公開番号】W WO2020055922
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】62/729,878
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カザリアン,アルタッチ
(72)【発明者】
【氏名】バーンハート,ウェズリー
(72)【発明者】
【氏名】カンプサノ,イアン・デイビッド・グラント
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-502052(JP,A)
【文献】Journal of Chromatography A,2013年,Vol.1278,P.54-60
【文献】Separation and Purification Technology,2016年,Vol.163,P.59-71
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造から1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための方法であって、
前記1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させ、前記一体化陰イオン交換マトリクスが、少なくとも200nmの孔径を有し;
移動相を前記一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ、前記移動相が、7.09.0のpHを有し、緩衝液、有機溶媒及び溶出塩を含み、前記溶出塩が、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化アンモニウムであり、前記溶出塩の濃度が経時的に上昇し;
前記一体化陰イオン交換マトリクスから溶出分画を回収し、前記1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドが1セットの溶出分画中で溶出され、前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖が溶出分画の別のセット中で溶出され、それにより前記四重鎖から前記1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドが分離されること
を含む、方法。
【請求項2】
1つ以上の不純物から四重鎖構造を形成可能なグアニンリッチオリゴヌクレオチドを精製するための方法であって:
前記オリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させ、前記一体化陰イオン交換マトリクスが、少なくとも200nmの孔径を有し;
移動相を前記一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ、前記移動相が、7.09.0のpHを有し、緩衝液、有機溶媒及び溶出塩を含み、前記溶出塩が、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム又は塩化アンモニウムであり、前記溶出塩の濃度が経時的に上昇し;
前記一体化陰イオン交換マトリクスから溶出分画を回収し、1つ以上の不純物が溶出分画の最初のセット中で溶出され、前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが溶出分画の第2のセット中で溶出され、前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造が溶出分画の第3のセット中で溶出され、それにより前記不純物から前記オリゴヌクレオチドを分離することを含む、方法。
【請求項3】
前記1つ以上の不純物が1つ以上の失敗配列を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶出分画のセットを単離することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記四重鎖を含む溶出分画のセットを単離することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記四重鎖を含む分画を変性条件に供し、それにより、精製された1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを作製することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記変性条件が、
(a)前記四重鎖を含む分画を45℃~95℃の温度に加熱すること、
(b)前記四重鎖を含む分画のpHを9.513のpHへと上昇させること、又は
(c)前記四重鎖を含む分画をカオトロピック剤に曝露すること
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記一体化陰イオン交換マトリクスが、四級アミン、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、エチレンジアミノ又はポリアリルアミンから選択される官能基を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記一体化陰イオン交換マトリクスが、500nm~2,000nm、又は800nm~1,500nmの孔径を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝液が、リン酸ナトリウム、Tris塩酸、HEPES又はMOPSである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記有機溶媒が、アセトニトリル、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン又はアセトンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記溶出塩が臭化ナトリウムである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記移動相中の前記溶出塩の濃度上昇が、0Mから1Mの勾配である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記勾配が段階的勾配である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記勾配が直線的勾配である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記移動相が、7.58.5のpHを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
前記移動相が、7.58.5のpHを有し、20mM~100mMリン酸ナトリウム緩衝液、%(v/v)~20%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、臭化ナトリウムの濃度が経時的に0Mから1Mの勾配で上昇する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記移動相が、8.5のpHを有し、20mMリン酸ナトリウム緩衝液、10%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、臭化ナトリウムの濃度が経時的に0Mから1Mの段階的勾配で上昇する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記移動相が、mL/分~60mL/分、又は10mL/分~20mL/分の流速で前記一体化陰イオン交換マトリクスに適用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが、少なくとも4個の連続グアニン塩基の核酸塩基配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項21】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子配列の領域に相補的な核酸塩基配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項22】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドがsiRNAのアンチセンス鎖であり、前記アンチセンス鎖が、少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子配列の領域に相補的な核酸塩基配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項23】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが、siRNAのセンス鎖であり、前記センス鎖が、少なくとも4個の連続グアニン塩基を有する標的遺伝子配列の領域と同一である核酸塩基配列を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項24】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1個の修飾ヌクレオチドが、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、二環式核酸(BNA)又はそれらの組み合わせである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが、少なくとも1個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項27】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが12ヌクレオチド長~100ヌクレオチド長である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項28】
前記グアニンリッチオリゴヌクレオチドが15ヌクレオチド長~30ヌクレオチド長である、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年9月11日出願の米国仮特許出願第62/729,878号明細書の利益を主張する。
【0002】
電子提出されたテキストファイルの説明
本願は、ASCIIフォーマットで電子提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2019年9月6日に作成されたコンピュータ読み取り可能フォーマットの配列表のコピーは、名称がA-2265-WO-PCT_SeqList_ST25であり、サイズが527バイトである。
【0003】
本発明は、核酸精製の技術分野に関する。特に、本発明は、一体化陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、オリゴヌクレオチドから形成される四重鎖二次構造からグアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための方法に関する。本方法により、失敗配列及び他の不純物からの、インタクトな四重鎖並びに1本鎖のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製が可能になる。
【背景技術】
【0004】
グアニンリッチ核酸は、4本鎖の四重鎖二次構造を形成するために自己会合することが長く知られてきた。例えば、(非特許文献1)及び(非特許文献2)を参照。過去数年間で、四重鎖構造がインビボで存在し、DNA複製、テロメア維持及び遺伝子発現などの様々な生理機能に関与し得るという証拠が増えてきている。(非特許文献2)を参照。四重鎖の構造をより詳細に理解するために、それらのフォールディング/アンフォールディング動態及び生理的過程におけるそれらの役割、インタクトな四重鎖構造の単離及び精製法が必要である。
【0005】
合成核酸の精製のための一般的な実施は、一般的には、シリカ又はポリマー粒子に基づく固定相を用いた、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)又はイオン交換クロマトグラフィー技術の何れかを利用する。RP-HPLC精製法について、5’-O-トリチル保護基は一般的に、合成中に合成オリゴヌクレオチドの5’-ヒドロキシル基を保護するために使用され、次いで5’-O-トリチル保護基を持たないより短い失敗配列(「トリチルオフ」配列)から全長オリゴヌクレオチド(「トリチルオン」配列)を精製するために使用される。しかし、このような方法は、精製後のトリチル保護基を除去するためのさらなる段階を必要とし、このような段階は精製全体のコスト及び時間を増大させる。大規模RP-HPLC精製手順はまた、有機溶媒を大量に使用すること及び高圧を必要とすることに対処するための非常に特殊な装置を必要とすることにより、コストがかかり得る。
【0006】
イオン交換クロマトグラフィーもまた、天然及び合成オリゴヌクレオチドの精製のために頻繁に使用されてきた。イオン交換クロマトグラフィーに対するスケールアップ精製は、RP-HPLC法よりも顕著に低コストであり、圧力の必要条件が著しく低い。オリゴヌクレオチドは、分析及び分取スケールの両方でイオン交換クロマトグラフィーを使用して首尾よく分離されてきた。しかし、四重鎖二次構造を形成し得るグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、陰イオン交換固定相上で高い保持率を示し得、一部の例ではそれらのサイズが嵩張ること及び電荷ゆえに、陰イオン交換固定相上への不可逆的結合を示し得、それにより、陰イオン交換クロマトグラフィーによるこれらのグアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製が困難又は不可能なものとなっている。
【0007】
一般に、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを精製するためのアプローチの殆どは、高温、高pH緩衝液を使用するか又はカオトロピック剤又は有機修飾因子を導入することによって、四重鎖形成などの二次相互作用を破壊することを目指す。このような強く変性させる条件により1本鎖形成が促進される。次に、1本鎖を精製し得るが、次いで精製1本鎖から四重鎖を構築する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Burge et al.,Nucleic Acids Research,Vol.34:5402-5415,2006
【文献】Rhodes and Lipps,Nucleic Acids Research,Vol.43:8627-8637,2015
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、インタクトな四重鎖二次構造から1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための、効率的で拡張可能な方法が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部分において、グアニンリッチオリゴヌクレオチドからの四重鎖形成が陰イオン交換一体化クロマトグラフィー中に慎重に制御され得、それにより、インタクトな四重鎖からの1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの分離が可能になるという発見に基づく。本方法はまた、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及びインタクトな四重鎖の両方を失敗配列及び他の不純物から分離することも可能にする。
【0011】
従って、本発明は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造からグアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための方法を提供する。一実施形態では、本方法は、溶液を一体化陰イオン交換マトリクスに接触させ;本明細書中に記載の移動相を一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ;一体化陰イオン交換マトリクスから溶出分画を回収すること含み、このグアニンリッチオリゴヌクレオチドが溶出分画の1セット中で溶出され、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖が、溶出分画の別のセット中で溶出され、それにより、オリゴヌクレオチドが四重鎖から分離される。
【0012】
ある一定の実施形態では、本発明は、1つ以上の不純物から、四重鎖構造を形成可能なグアニンリッチオリゴヌクレオチドを精製するための方法も提供する。一実施形態では、本方法は、オリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させ;本明細書中に記載の移動相を一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ;一体化陰イオン交換マトリクスから溶出分画を回収することを含み、1つ以上の不純物が溶出分画の第1のセット中で溶出され、グアニンリッチオリゴヌクレオチドが溶出分画の第2のセット中で溶出され、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造が溶出分画の第3のセット中で溶出され、それによりオリゴヌクレオチドが不純物から分離される。一部の実施形態では、1つ以上の不純物は1つ以上の失敗配列を含む。
【0013】
本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスは一般に、正荷電官能基が共有結合される架橋ポリマー骨格から構成される。一部の実施形態では、架橋ポリマー骨格は、ポリ(グリシジルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)骨格又はポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)骨格である。一体化陰イオン交換マトリクスにおいて骨格に連結される正荷電官能基は、一級アミン、二級アミン、三級アミン又は四級アミンであり得る。ある一定の実施形態では、正荷電官能基は、四級アミン、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、エチレンジアミノ又はポリアリルアミンから選択される。好ましくは、本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスは、少なくとも200nmの孔径を有する。一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、少なくとも500nm、例えば約500nm~約2,000nmの孔径を有する。一実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約800nm~約1,500nmの孔径を有する。別の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約1,800nm~約2,200nmの孔径を有する。また別の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約1,300nm~約2,000nmの孔径を有する。
【0014】
本発明の方法で使用される移動相は、約7.0~約9.0のpHを有し、緩衝液及び有機溶媒を含む。緩衝液は、リン酸ナトリウム、Tris塩酸、HEPES又はMOPSなど、標的範囲にpHを維持可能である何れかの緩衝液であり得、約10mM~約200mMの濃度で存在し得る。一実施形態では、移動相は、緩衝液約20mM~約100mMを含む。移動相中で使用され得る適切な有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン又はアセトンが挙げられる。一部の実施形態では、有機溶媒は、約1%(v/v)~約50%(v/v)又は約1%(v/v)~約20%(v/v)の濃度で移動相中に存在し得る。
【0015】
本発明の方法で使用される移動相は溶出塩も含み、溶出塩の濃度は分離の期間にわたり上昇する。溶出塩は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、塩化物塩、臭化物塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ヨウ化物塩、過塩素酸塩、酢酸塩又はギ酸塩であり得る。ある一定の実施形態では、溶出塩は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化アンモニウムから選択される。分離中、移動相中の溶出塩の濃度の上昇は、溶出塩の濃度勾配、例えば0Mから2M又は0Mから1Mであり得る。濃度勾配は、直線的勾配又は段階的勾配であり得る。一実施形態では、移動相は、約7.5~約8.5のpHを有し、リン酸ナトリウム緩衝液、アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、臭化ナトリウムの濃度は、一連の分離にわたり、段階的に0Mから1Mの勾配で上昇する(例えば段階的勾配)。
【0016】
ある一定の実施形態では、本方法は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶出分画又は溶出分画のセット及び/又は四重鎖を含む溶出分画又は溶出分画のセットを単離することをさらに含む。単離溶出分画は、1つ以上のさらなる精製段階(例えば脱塩)、標的リガンドをオリゴヌクレオチドに共有結合させるための共役反応、オリゴヌクレオチドを相補鎖とハイブリッド形成させて2本鎖RNA干渉剤を形成させるためのアニーリング反応及び治療目的での患者への投与のためにオリゴヌクレオチドの医薬組成物を調製するための処方段階など、1つ以上のさらなる処理段階に供され得る。
【0017】
一部の実施形態では、本発明の方法は、四重鎖を含む溶出分画又は溶出分画のセットを単離すること及びこの分画を変性条件に供することをさらに含む。単離四重鎖は、主に1本鎖オリゴヌクレオチドから構成され、失敗配列及び他の不純物を顕著に捕捉しない。従って、四重鎖を変性させることにより、1本鎖のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの高度精製調製物を得ることができる。一実施形態では、変性条件は、水素結合の相互作用を破壊するのに十分な高温に、例えば約45℃~約95℃の温度に、四重鎖を含む分画を加熱することを含む。別の実施形態では、変性条件は、強アルカリ性である条件に、例えばpH約9.5~約13に、四重鎖を含む分画のpHを上昇させることを含む。また別の実施形態では、変性条件は、四重鎖を含む分画をカオトロピック剤、例えば尿素に曝露することを含む。四重鎖を変性させることから得られる溶液中でのグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも85%であり得る。一部の実施形態では、四重鎖を変性させることから得られる溶液中でのグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも88%である。他の実施形態では、四重鎖を変性させることから得られる溶液中でのグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも90%である。
【0018】
本発明の方法に従い精製され得るグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、天然のオリゴヌクレオチド、例えばゲノムDNAの断片(例えばテロメア領域又はプロモーター領域)又はメッセンジャーRNAの断片(例えば非翻訳領域)であり得るか、又はそれらは合成オリゴヌクレオチドであり得る。一部の実施形態では、本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、疾患又は障害と関連がある遺伝子又はRNA分子を標的とするために設計される治療用オリゴヌクレオチドである。このような治療用オリゴヌクレオチドとしては、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、前駆miRNA(プレmiRNA)、抗miRNAオリゴヌクレオチド(例えばアンタゴミル及びantimiR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)又はmiRNA模倣物が挙げられる。一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子配列の領域に相補的な核酸塩基配列を含む。別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、siRNAのアンチセンス鎖であり、このアンチセンス鎖は、少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子配列の領域に相補的な核酸塩基配列を含む。本発明の方法に従い精製され得るグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオチド、例えば2’-修飾ヌクレオチド及びホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム;トレースA)又はポリマービーズに基づく陰イオン交換樹脂(TSK-gel SuperQ-5PWカラム;トレースB)を使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、臭化ナトリウムの漸増勾配による溶出で、10mL/分の流速で陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mL)上又は8mL/分の流速でポリマービーズに基づく陰イオン交換樹脂(TSK-gel SuperQ-5PW)を充填したカラム上の何れかで、オリゴヌクレオチドを含む溶液を分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。
図2図2は、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)を使用した、様々な充填量での、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。10mg(400μL)、30mg(1200μL)、40mg(1600μL)又は50mg(2000μL)でカラム上にオリゴヌクレオチドを載せ、臭化ナトリウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して10mL/分の流速で分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。
図3図3は、図2で示されるクロマトグラムからの1本鎖及び四重鎖についてのピーク面積に対して陰イオン交換一体化カラム上のグアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの注入充填量を比較する線グラフである。
図4A図4Aは、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)及び移動相中の溶出塩の異なる陽イオンを使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。カラム上に30mg(1200μL)でオリゴヌクレオチドを載せ、臭化ナトリウム、臭化アンモニウム又は臭化カリウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、10mL/分の流速で分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。1本鎖オリゴヌクレオチドは約17.5分でカラムから溶出し、一方で四重鎖は約28分でカラムから溶出する。
図4B図4Bは、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)及び移動相中の溶出塩における異なる陰イオンを使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。カラム上に30mg(1200μL)でオリゴヌクレオチドを載せ、臭化ナトリウム又は塩化ナトリウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、10mL/分の流速で分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。
図5A図5Aは、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)を使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。カラム上に30mg(1200μL)でオリゴヌクレオチドを載せ、臭化アンモニウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、10mL/分の流速で分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。分画回収のための閾値を500mAUに設定した。1本鎖オリゴヌクレオチドに対応するピークを含有する分画25(F25)及び四重鎖に対応するピークを含有する分画50(F50)をネイティブ質量分析により分析した。
図5B図5Bは、図5Aで示される分取クロマトグラフィー精製からの分画25のネイティブ質量分析である。分画25中の主要な種は、1本鎖オリゴヌクレオチドに対する予想分子量である約7kDaの分子量に対応するピークである。
図5C図5Cは、図5Aで示される分取クロマトグラフィー精製からの分画50のネイティブ質量分析である。約28kDaの分子量に対応する2個の主要なピークが観察されるが、これはグアニンリッチオリゴヌクレオチドの4本鎖から構成されるインタクトな四重鎖に対する予想分子量である。
図6図6は、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)を使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの24回の分離からの分取クロマトグラムを重ねたものを示す。カラム上に30mg(1200μL)でオリゴヌクレオチドを載せ、臭化ナトリウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、10mL/分の流速で分離した。検出は260nmでのUV吸収によった。1本鎖オリゴヌクレオチドは約17.5分でカラムから溶出し、一方で四重鎖は約28分でカラムから溶出した。保持時間の相対標準偏差(RSD)は1%未満である。
図7A図7Aは、陰イオン交換一体化カラム(CIM-QA-8mLカラム)を使用した、グアニンリッチ21-マーオリゴヌクレオチドの分離の分取クロマトグラムを示す。カラム上に30mg(1200μL)でオリゴヌクレオチドを載せ、臭化ナトリウムの漸増勾配による溶出で、20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)移動相、pH8.5を使用して、10mL/分の流速で分離した。純度を調べるために、ネイティブ質量分析によって、四重鎖に対応するピーク(ボックスにより示される)を含有する分画を分析した。
図7B図7Bは、図7Aで示される分取クロマトグラフィー精製からの四重鎖分画のネイティブ質量分析である。約28kDaの分子量に対応する2個の主要ピークが観察され、これは、グアニンリッチオリゴヌクレオチドの4本鎖から構成されるインタクトな四重鎖に対する予想分子量である。他のピークがないことは、四重鎖分画が純粋であることを示す。
図8A図8Aは、分取陰イオン交換一体化クロマトグラフィーからの回収分画のイオン対形成逆相液体クロマトグラムである。四重鎖ピークを含む回収分画を合わせ、脱塩し、アセトニトリル勾配による溶出で、Waters Xbridge BEH OST C18カラム(2.1×50mm、2.5μm)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、50mMヘキサフルオロ-2-プロパノール移動相を使用して、イオン対形成逆相液体クロマトグラフィーにより分析した。260nm吸収での検出。
図8B図8Bは、図8Aで示されるイオン対形成逆相液体クロマトグラムからの単一主要ピークの質量分析である。
図8C図8Cは、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドのトリチル-オン精製からの試料のイオン対形成逆相液体クロマトグラムであり、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製調製物の代表である。アセトニトリル勾配による溶出で、Waters Xbridge BEH OST C18カラム(2.1×50mm、2.5μm)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、50mMヘキサフルオロ-2-プロパノール移動相を使用して、イオン対形成逆相液体クロマトグラフィーによって試料を分析した。260nm吸収での検出。
図8D図8Dは、図8Cで示されるイオン対形成逆相液体クロマトグラムからの単一ピークの質量分析である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、四重鎖二次構造を形成する傾向を有するグアニンリッチオリゴヌクレオチドに対する分取精製法に関する。本発明は、部分的には、クロマトグラフィー操作条件を調整することにより、陰イオン交換一体化クロマトグラフィー中にグアニンリッチオリゴヌクレオチドからの四重鎖二次構造の形成が慎重に制御され得、それにより1本鎖オリゴヌクレオチドとインタクトな四重鎖二次構造との間の分割が可能になるという発見に基づく。
【0021】
発明者らは、驚くべきことに、クロマトグラフィー分離中に四重鎖の形成をよりゆっくりと誘導することにより、1本鎖オリゴヌクレオチド並びに失敗配列及び他の不純物から四重鎖が分離され得ることを発見した。閉じ込め効果(confinement effect)は四重鎖構造の急速な形成及び安定化に寄与し得ることが文献で報告されている(Shrestha et al.,Nat.Nanotechnol,Vol.12:582-588,2017)。理論により縛られるものではないが、発明者らは、一体化固定相の大きな孔径により閉じ込め効果が低下し、それにより四重鎖の形成を遅らせると考える。一体化固定相での分離中の移動相の組成を調整することによって、得られる四重鎖構造が主にグアニンリッチオリゴヌクレオチドから構成され、失敗配列又は他の不純物を捕捉しないように、四重鎖形成が慎重に制御され得る。インタクトな四重鎖は、単離され得、任意選択により、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの高度に純粋な調製物を得るために変性され得る。従って、本発明は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造及び1つ以上の不純物からグアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための方法を提供し、この方法は、次のことを含む:オリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させ;移動相を一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ、移動相が約7.0~約9.0のpHを有し、緩衝液、有機溶媒及び溶出塩を含み、移動相中の溶出塩の濃度が経時的に上昇し;一体化陰イオン交換マトリクスから溶出分画を回収し、1つ以上の不純物が溶出分画の第1のセット中で溶出され、グアニンリッチオリゴヌクレオチドが溶出分画の第2のセット中で溶出され、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造が溶出分画の第3セットの中で溶出される。本発明の方法は、分取スケール上のインタクトな四重鎖構造及び1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製を提供し、本方法は、高度精製1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び四重鎖の市販スケールの量を作製するために容易に大規模化し得る。
【0022】
本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、3個以上の連続グアニン塩基の少なくとも1つの配列モチーフを含むオリゴヌクレオチドである。他の塩基により分離されるこのような配列モチーフを含有するオリゴヌクレオチド(G-トラクトとも呼ばれる)は、自然にフォールディングして四重鎖(G-四重鎖又は四重体とも呼ばれる)二次構造になることが観察されている。例えば、Burge et al.,Nucleic Acids Research,Vol.34:5402-5415,2006及びRhodes and Lipps,Nucleic Acids Research,Vol.43:8627-8637,2015を参照。四重鎖は、フーグスティーン水素結合により安定化される環状配置への4個のグアニン塩基の会合から形成される平面状G-カルテットから組み立てられる4本鎖のヘリックス構造である。G-カルテットは、4本鎖のヘリックス四重鎖構造を形成させるために互いの上に重なり得る。Burge et al.,2006及びRhodes and Lipps,2015を参照。オリゴヌクレオチド中に存在するG-トラクト(即ち3個以上の連続グアニン塩基の配列モチーフ)の数に依存して、グアニンリッチオリゴヌクレオチドの分子内又は分子間フォールディングから四重鎖が形成され得る。例えば、4個以上のG-トラクトを含む単一のオリゴヌクレオチドの分子内フォールディングから四重鎖が形成され得る。或いは、少なくとも2個のG-トラクトを含む2個のオリゴヌクレオチド又は少なくとも1個のG-トラクトを含む4個のオリゴヌクレオチドの分子間フォールディングから四重鎖が形成され得る。Burge et al.,2006及びRhodes and Lipps,2015を参照。
【0023】
ある一定の実施形態では、本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、3個の連続グアニン塩基の少なくとも1つの配列モチーフを有する。他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、4個の連続グアニン塩基の少なくとも1つの配列モチーフを有する。また他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、3個の連続グアニン塩基の単一の配列モチーフを有する。さらに他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、4個の連続グアニン塩基の単一配列モチーフを有する。一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、少なくとも4個の連続グアニン塩基の配列を有する。本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、四重鎖を形成するコンセンサス配列、例えばテロメアで見出されるもの又はある一定のプロモーター領域で見られるものなどを含有し得る。例えば、一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドはTTAGGGの配列モチーフを含み得る。別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、GGGGCCの配列モチーフを含み得る。別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、(Gの配列モチーフを含み得、ここでGはグアニン塩基であり、Nは何れかの核酸塩基であり、pは少なくとも3であり、qは1~7であり、nは1~4である。ある一定の実施形態では、pは3又は4である。
【0024】
本明細書中で使用される場合、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドのオリゴマー又はポリマーを指す。オリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含み得る。オリゴヌクレオチドは、数ヌクレオチド長~数百ヌクレオチド長、例えば約10ヌクレオチド長~約300ヌクレオチド長、約12ヌクレオチド長~約100ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長~約250ヌクレオチド長、約20ヌクレオチド長~約80ヌクレオチド長、約15ヌクレオチド長~約30ヌクレオチド長又は約18ヌクレオチド長~約26ヌクレオチド長であり得る。一部の実施形態では、本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、約18、19、20、21、22、23、24、25又は26ヌクレオチド長である。一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは約19ヌクレオチド長である。別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは約20ヌクレオチド長である。また別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは約21ヌクレオチド長である。さらに別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは約23ヌクレオチド長である。
【0025】
グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、細胞又は生物から単離される天然のオリゴヌクレオチドであり得る。例えば、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、ゲノムDNA由来又はゲノムDNAの断片、特にテロメア又はプロモーター領域、であり得るか、又はメッセンジャーRNA(mRNA)由来又はmRNAの断片、特に5’若しくは3’非翻訳領域であり得る。一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、化学合成法又はインビトロ酵素法により作製される合成オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、前駆miRNA(プレmiRNA)、抗miRNAオリゴヌクレオチド(例えばアンタゴミル及びantimiR)又はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、2本鎖RNA分子又はRNA干渉剤、例えば低分子干渉RNA(siRNA)など、マイクロRNA(miRNA)又はmiRNA模倣物の構成成分鎖の1つであり得る
【0026】
ある一定の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、疾患又は障害に関連する遺伝子又はRNA分子を標的とするように設計された治療用オリゴヌクレオチドである。例えば、一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、少なくとも3又は少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子又はmRNA配列の領域に相補的な配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。第1の配列を含むオリゴヌクレオチドが、ある一定の条件下で第2の配列を含むオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成して2本鎖領域を形成し得る場合、第1の配列は、第2の配列に「相補的」である。「ハイブリッド形成する」又は「ハイブリッド形成」は、典型的には2個のオリゴヌクレオチドにおける相補的塩基間の水素結合(例えばワトソン-クリック、フーグスティーン又は逆フーグスティーン水素結合)を介した、相補的ポリヌクレオチドの対形成を指す。第1の配列を含むオリゴヌクレオチドが、第2の配列を含むオリゴヌクレオチドと、ミスマッチなく、一方又は両方のヌクレオチド配列の全長にわたって塩基対形成する場合、第1の配列は、第2の配列と完全に相補的(100%相補的)であるとみなされる。
【0027】
別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、siRNA又は他のタイプの2本鎖RNA干渉剤のアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖は、少なくとも3又は少なくとも4個の連続シトシン塩基を有する標的遺伝子又はmRNA配列の領域に相補的な配列を含む。また別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、siRNA又は他のタイプの2本鎖RNA干渉剤のセンス鎖であり、このセンス鎖は、少なくとも3又は少なくとも4個の連続グアニン塩基を有する標的遺伝子又はmRNA配列の領域と同一である配列を含む。標的配列(例えば標的mRNA)に相補的な配列を有する領域を含む、siRNA又は他のタイプの2本鎖RNA干渉剤の鎖は、「アンチセンス鎖」と呼ばれる。「センス鎖」は、アンチセンス鎖の領域と相補的な領域を含む鎖を指す。
【0028】
本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1個以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環又はリン酸基に対する1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを指す。このような修飾ヌクレオチドとしては、2’糖修飾があるヌクレオチド(2’-O-メチル、2’-メトキシエチル、2’-フルオロなど)、脱塩基ヌクレオチド、逆ヌクレオチド(3’-3’連結ヌクレオチド)、ホスホロチオエート連結ヌクレオチド、二環式糖修飾があるヌクレオチド(例えばLNA、ENA)及び塩基類似体(例えばユニバーサル塩基、5-メチルシトシン、シュードウラシルなど)を含むヌクレオチドが挙げられ得るが限定されない。
【0029】
ある一定の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、リボース糖の修飾を有する。これらの糖修飾は、ペントース環の2’及び/又は5’位における修飾並びに二環式糖修飾を含み得る。2’-修飾ヌクレオチドは、H又はOH以外の置換基が2’位にあるペントース環を有するヌクレオチドを指す。このような2’-修飾としては、2’-O-アルキル(例えばO-C-C10又はO-C-C10置換アルキル)、2’-O-アリル(O-CHCH=CH)、2’-C-アリル、2’-フルオロ、2’-O-メチル(OCH)、2’-O-メトキシエチル(O-(CHOCH)、2’-OCF、2’-O(CHSCH、2’-O-アミノアルキル、2’-アミノ(例えばNH)、2’-O-エチルアミン及び2’-アジドが挙げられるが限定されない。ペントース環の5’位における修飾としては、5’-メチル(R又はS)、5’-ビニル及び5’-メトキシが挙げられるが限定されない。「二環式糖修飾」は、ペントース環の修飾を指し、この場合、架橋が環の2個の原子を接続して、二環性糖構造をもたらす第2の環を形成する。一部の実施形態では、二環式糖修飾は、ペントース環の4’と2’炭素との間の架橋を含む。二環式糖修飾を有する糖部分を含むヌクレオチドは、本明細書中で二環式核酸又はBNAと呼ぶ。代表的な二環式糖修飾としては、α-L-メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)二環式核酸(BNA);β-D-メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)BNA(ロックド核酸又はLNAとも呼ばれる);エチレンエオキシ(4’-(CH-O-2’)BNA;アミノオキシ(4’-CH-O-N(R)-2’)BNA;オキシアミノ(4’-CH-N(R)-O-2’)BNA;メチル(メチレンオキシ)(4’-CH(CH)-O-2’)BNA(コンストレインド(constrained)エチル又はcEtとも呼ぶ);メチレン-チオ(4’-CH-S-2’)BNA;メチレン-アミノ(4’-CH2-N(R)-2’)BNA;メチル炭素環(4’-CH-CH(CH)-2’)BNA;プロピレン炭素環(4’-(CH-2’)BNA;及びメトキシ(エチレンエオキシ)(4’-CH(CHOMe)-O-2’)BNA(コンストレインドMOE又はcMOEとも呼ばれる)が挙げられるが限定されない。グアニンリッチオリゴヌクレオチドに組み込まれ得るこれら及び他の糖修飾ヌクレオチドは、全てそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,181,551号明細書、米国出願公開第2016/0122761号明細書及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されている。
【0030】
一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上の、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、二環式核酸(BNA)又はそれらの組み合わせを含む。ある一定の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上の、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含む。特定の一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド又はそれらの組み合わせを含む。
【0031】
本発明の方法に従い精製され得るグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオチド間結合も含み得る。本明細書中で使用する場合、「修飾されたヌクレオチド間結合」という用語は、天然の3’~5’ホスホジエステル結合以外のヌクレオチド間結合を指す。一部の実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキルホスホナート(例えば、メチルホスホナート、3’-アルキレンホスホナート)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(例えば3’-アミノホスホロアミダート及びアミノアルキルホスホロアミダート)、ホスホロチオエート(P=S)、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル及びボラノホスフェートなどのリン含有ヌクレオチド間結合である。一実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、2’~5’ホスホジエステル結合である。他の実施形態では、修飾されたヌクレオチド間結合は、リン非含有ヌクレオチド間結合であり、従って、修飾されたヌクレオシド間結合と呼ばれ得る。このようなリン非含有結合としては、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン結合(-O-Si(H)-O-);スルフィド、スルホキシド及びスルホン結合;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル結合;アルケン含有骨格;スルファミン酸骨格;メチレンメチルイミノ(-CH-N(CH)-O-CH-)及びメチレンヒドラジノ結合;スルホン酸及びスルホンアミド結合;アミド結合;並びに混合されたN、O、S及びCH構成要素部分を有する他のものが挙げられるが限定されない。一実施形態では、修飾されたヌクレオシド間結合は、米国特許第5,539,082号明細書;同第5,714,331号明細書;及び同第5,719,262号明細書に記載されているものなど、ペプチド核酸又はPNAを生成させるためのペプチドに基づく結合(例えばアミノエチルグリシン)である。グアニンリッチオリゴヌクレオチドに組み込まれ得る他の適切な修飾されたヌクレオチド間及びヌクレオシド間結合は、全てそれらの全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,693,187号明細書、米国特許第9,181,551号明細書、米国出願公開第2016/0122761号明細書及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されている。
【0032】
ある一定の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれを超えるホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチド中のヌクレオチド間結合の全てがホスホロチオエートヌクレオチド間結合である。他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、3’末端、5’末端又は3’及び5’末端の両方で1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。例えば、ある一定の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、3’末端で約1~約6個又はそれを超える(例えば約1、2、3、4、5、6個又はそれを超える)連続ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、5’末端で約1~約6個又はそれを超える(例えば約1、2、3、4、5、6個又はそれを超える)連続ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
【0033】
本発明の方法により精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドは、当技術分野で公知の技術を使用して、例えば従来からの核酸固相合成を使用して容易に作製され得る。オリゴヌクレオチドは、標準ヌクレオチド又はヌクレオシド前駆体(例えばホスホラミダイト)を利用する適切な核酸合成装置上で構築され得る。自動核酸合成装置は、いくつかの業者により市販されており、Applied Biosystems(Foster City,CA)からのDNA/RNA合成装置、BioAutomation(Irving,TX)からのMerMade合成装置及びGE Healthcare Life Sciences(Pittsburgh,PA)からのOligoPilot合成装置が挙げられる。2’シリル保護基をリボヌクレオシドの5’位で酸不安定性のジメトキシトリチル(DMT)と一緒に使用して、ホスホラミダイト化学を介してオリゴヌクレオチドを合成し得る。最終脱保護条件は、RNA産物を著しく分解しないことが知られている。合成は全て、大規模、中規模又は小規模で何らかの自動又は手動合成装置において行われ得る。合成は、複数のウェルプレート、カラム又はスライドガラスにおいても実行され得る。2’-O-シリル基は、フッ素イオンへの曝露を介して除去され得、フッ素イオンは、フッ素イオンの何らかの供給源、例えば無機対イオンと対になるフッ素イオンを含有する塩、例えばフッ化セシウム及びフッ化カリウム、又は有機対イオンと対になるフッ素イオンを含有する塩、例えばフッ化テトラアルキルアンモニウム、を含み得る。クラウンエーテル触媒は、脱保護反応において無機フッ化物と組み合わせて利用され得る。好ましいフッ素イオン供給源は、フッ化テトラブチルアンモニウム又はアミノヒドロフルオリド(例えば、双極性非プロトン溶媒、例えばジメチルホルムアミドにおいてトリエチルアミンと水性HFを組み合わせる)である。所望の化合物を与えるために、様々な合成段階を代替的な順番又は順序で実施し得る。オリゴヌクレオチドの合成において有用な他の合成化学変換、保護基(例えば、塩基に存在するヒドロキシル、アミノなどのため)及び保護基の手法(保護及び脱保護)は、当技術分野で公知であり、例えばR.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);及びL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)並びにそれらの後続版に記載のものなどを含む。
【0034】
当業者によって理解され得るように、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを合成するさらなる方法は、当業者にとって明らかであろう。例えば、オリゴヌクレオチドは、Jensen and Davis,Biochemistry,Vol.57:1821-1832,2018に記載の方法などで、インビトロ系で酵素を使用して合成され得る。天然のオリゴヌクレオチドは、従来の方法を使用して細胞又は生物から単離され得る。オリゴヌクレオチドのカスタム合成も、Dharmacon,Inc.(Lafayette,CO)、AxoLabs GmbH(Kulmbach,Germany)及びAmbion,Inc.(Foster City,CA)を含むいくつかの供給業者から利用可能である。
【0035】
本発明の方法は、溶液中で1つ以上の不純物からグアニンリッチオリゴヌクレオチド又は四重鎖構造を精製又は分離するために使用され得る。「精製する」又は「精製」は、標的分子(例えばグアニンリッチオリゴヌクレオチド又は四重鎖)とは異なり、最終組成物又は調製物から望ましくは排除される物質の量を減少させる工程を指す。「不純物」という用語は、標的分子とは異なる構造を有する物質を指し、この用語は、単一の不要な物質又はいくつかの不要な物質の組み合わせを含み得る。不純物は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを作製するための方法で使用される材料又は試薬並びこのオリゴヌクレオチドの断片又は他の不要な誘導体若しくは形態を含み得る。ある一定の実施形態では、不純物は、標的のグアニンリッチオリゴヌクレオチドより長さが短い1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む。これら及び他の実施形態では、不純物は1つ以上の失敗配列を含む。失敗配列は、標的オリゴヌクレオチドの合成中に生じ得、オリゴヌクレオチド鎖へのヌクレオチド単量体の段階的付加中のカップリング反応の失敗から生じ得る。オリゴヌクレオチド合成反応の生成物は、標的オリゴヌクレオチド及び標的オリゴヌクレオチドよりも長さが短い様々な失敗配列(即ち標的オリゴヌクレオチドの短縮型)を含む様々な長さのオリゴヌクレオチドの不均一な混合物であることが多い。一部の実施形態では、不純物は、1つ以上の工程に関連する不純物を含む。グアニンリッチオリゴヌクレオチドを作製するための合成方法に依存して、このような工程関連不純物としては、ヌクレオチド単量体、保護基、塩、酵素及び内毒素が挙げられ得るが限定されない。
【0036】
グアニンリッチオリゴヌクレオチドが精製され得る溶液は、オリゴヌクレオチド及び、存在することが望ましくない1つ以上の不純物又は混入物を含有する何らかの溶液であり得る。グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液は、オリゴヌクレオチドを作製するための合成方法の結果生じる混合物を含み得る。例えば、一実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液は、自動化合成装置から得られる合成反応混合物などのオリゴヌクレオチドを作製するための化学合成法由来の反応混合物である。このような実施形態では、溶液は失敗配列も含み得る。別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液は、インビトロでの酵素による合成反応(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR))からの混合物である。また別の実施形態では、例えばグアニンリッチオリゴヌクレオチドが細胞又は生物から単離される天然のオリゴヌクレオチドである場合、グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液は、細胞溶解液又は生体試料である。さらに別の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液は、クロマトグラフィー分離からの溶出液など、別の精製操作からの溶液又は混合物である。
【0037】
一部の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを精製しようとする溶液は、約10mg~約50mgのグアニンリッチオリゴヌクレオチド、約10mg~約30mgのグアニンリッチオリゴヌクレオチド又は約30mgのグアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む。これらの充填量は、8mLのベッド体積の一体化カラムに適切である。当業者により公知のように、ベッド体積がより大きい一体化カラムに対して比例的に充填量をスケールアップし得る。例えば、ベッド体積が10倍大きい一体化カラムに対するグアニンリッチオリゴヌクレオチドの充填量は、本明細書中に記載の範囲よりも10倍大きいものであり得る。単なる例として、ベッド体積が80mLの一体化カラムに対するグアニンリッチオリゴヌクレオチドの適切な充填量は約100mg~約500mgであり得る。
【0038】
本発明の方法は、精製しようとするグアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させることを必要とする。一体化陰イオン交換マトリクスは、正荷電官能基を含む融合した小球の単一の連続構造から構成される多孔性材料を指す。一体化材料は一般に、様々な化学官能基が共有結合され得る骨格を構成する架橋無機又は有機ポリマーから構成される。ある一定の実施形態では、本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスは、正荷電官能基が共有結合される架橋有機ポリマー、例えばポリ(グリシジルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)を含む。一体化陰イオン交換マトリクスの骨格を生成させるための適切な有機ポリマーとしては、ポリ(グリシジルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)、ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)、ポリ(グリシジルメタクリラート-コ-トリメチロールプロパントリメタクリラート)、ポリ(クロロメチルスチレン-コ-ジビニルベンゼン)、ポリ(ブチルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)、ポリ(p-メチルスチレン-コ-1,2-(4-ビニルフェニル)エタン)及びポリ(ラウリルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)が挙げられるが限定されない。一体化陰イオン交換マトリクスの架橋ポリマー骨格を生成させるために使用され得る代表的な単量体及び架橋剤並びに重合方法は、例えばSvec,J.Sep.Sci.,Vol.27:747-766,2004及びSvec,J.Chromatogr.A.,Vol.1217:902-924,2010に記載のものなど、当技術分野で公知である。一実施形態では、本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスは、ポリ(グリシジルメタクリラート-コ-エチレンジメタクリラート)骨格を含む。別の実施形態では、本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスはポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)骨格を含む。
【0039】
好ましくは、一体化陰イオン交換マトリクスの孔径は少なくとも約200nmである。例えば、一体化陰イオン交換マトリクスの孔径は、約200nm~約10,000nm、約400nm~約8,000nm、約500nm~約5,000nm、約1,000nm~約6,000nm、約500nm~約2,000nm、約1,000nm~約3,000nm、約1,500nm~約4,000nm、約800nm~約1,500nm、約1,800nm~約2,200nm、約1,300nm~約2,000nm又は約600nm~約1,000nmであり得る。一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスの孔径は少なくとも500nmである。ある一定の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは約500nm~約2,000nmの孔径を有する。他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約800nm~約1,500nmの孔径を有する。また他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約1,800nm~約2,200nmの孔径を有する。特定の一実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約1,300nmの孔径を有する。別の特定の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは、約2,000nmの孔径を有する。一体化支持体の孔径は、ポロジェニック(porogenic)溶媒の選択及び濃度並びに重合条件によって重合工程中に制御され得る。例えばSvec,J.Sep.Sci.,Vol.27:747-766,2004及びSvec,J.Chromatogr.A.,Vol.1217:902-924,2010及びそこで引用される参考文献を参照。
【0040】
本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスは一般に、一体化マトリクスへの、オリゴヌクレオチドなどの負荷電分子の結合を可能にするために、正荷電官能基を含む。正荷電官能基は一級アミン、二級アミン、三級アミン又は四級アミンであり得る。一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス中の正荷電官能基は、四級アミンなど、強陰イオン交換基である。強陰イオン交換基は、pHの変化でイオン交換能の変動を示さず、2~13のpH値で完全に荷電する。他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス中の正荷電官能基は、弱陰イオン交換基、例えばジエチルアミノエチル及びジメチルアミノプロピルなどである。弱陰イオン交換基は、限られたpH範囲(例えばpH3~9)でのみイオン化される。一体化陰イオン交換マトリクスは、四級アミン、ポリエチレンイミン、ジエチルアミノメチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、エチレンジアミノ又はポリアリルアミンから選択される正荷電官能基を含み得る。一実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスは四級アミン基を含む。別の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスはジエチルアミノエチル基を含む。一体化のポリマー骨格に正荷電官能基を共有結合させる方法は当技術分野で公知であり、ポリマー骨格を生成させるための単量体単位との反応又はその官能化を含み得る。例えば、Svec,J.Sep.Sci.,Vol.27:747-766,2004及びSvec,J.Chromatogr.A.,Vol.1217:902-924,2010を参照。CIMmultus(商標)QA及びCIMmultus(商標)DEAEカラムを含め、BIA Separationsから入手可能なカラムのConvective Interaction Media(CIM)ラインなど、本発明の方法での使用に適切な一体化陰イオン交換マトリクスは市販もされている。
【0041】
グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び1つ以上の不純物を含む溶液を一体化陰イオン交換マトリクスと接触させたら、マトリクスを通じて溶液の構成成分を運ぶために移動相を一体化陰イオン交換マトリクスに通過させ、それにより構成成分が、マトリクス中に存在する正荷電官能基と様々な度合いで相互作用することが可能になる。本明細書中の実施例2に記載のように、四重鎖構造の形成を慎重に制御し、失敗配列など、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び不純物からのその分離を可能にするために分離中の移動相の組成を最適化した。
【0042】
本発明の方法で使用される移動相は一般に約7.0~約9.0のpHの緩衝溶液である。一部の実施形態では、移動相のpHは約7.5~約8.5である。他の実施形態では、移動相のpHは約8.0~約8.5である。ある一定の他の実施形態では、移動相のpHは約8.3~約8.7である。特定の一実施形態では、移動相のpHは約8.5である。あらゆる緩衝液を使用し得るが、ただし、緩衝液は、標的pH範囲で溶液のpHを維持可能であるものとする。本発明の方法における移動相の構成成分として使用し得る、このpH範囲で緩衝する適切な緩衝液としては、HEPES(N-[2-ヒドロキシエチル]ピペラジン-N’-[2-エタンスルホン酸])、Tris塩酸、リン酸塩、BES(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸)、トリシン(N-Tris[ヒドロキシメチル]メチルグリシン)、ビシン(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン)、TES(N-Tris[ヒドロキシメチル]メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-Tris(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸))、ビス-Tris(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-Tris(ヒドロキシメチル)メタン)及びMOPS(3-[N-モルホリノ]プロパンスルホン酸)が挙げられるが限定されない。ある一定の実施形態では、移動相は、リン酸ナトリウム、Tris塩酸、HEPES又はMOPSから選択される緩衝液を含む。緩衝液は、約10mM~約200mM、約15mM~約150mM、約20mM~約100mM、約25mM~約75mM又は約15mM~約25mMの濃度で存在し得る。一部の実施形態では、移動相は、リン酸ナトリウム緩衝液を例えば約20mM~約100mMの濃度で含む。他の実施形態では、移動相は、HEPES緩衝液を例えば約20mM~約100mMの濃度で含む。ある一定の他の実施形態では、移動相は、Tris緩衝液を例えば約20mM~約100mMの濃度で含む。さらに他の実施形態では、移動相は、MOPS緩衝液を例えば約20mM~約100mMの濃度で含む。
【0043】
ある一定の実施形態では、移動相は有機溶媒を含む。移動相中に含まれ得る代表的な有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、テトラヒドロフラン及びアセトンが挙げられるが限定されない。一部の実施形態では、有機溶媒は、メタノール、アセトニトリル又はテトラヒドロフランである。一実施形態では、有機溶媒はアセトニトリルである。別の実施形態では、有機溶媒はメタノールである。分離しようとする分子の性質に依存して、約0%(v/v)~100%(v/v)の濃度で移動相中に有機溶媒が存在し得る。例えば、より疎水性であるオリゴヌクレオチドを精製するために、及び一体化陰イオン交換マトリクスからそれらが放出されることを確実にするために、有機溶媒のより高濃度が使用され得る。移動相中の有機溶媒の濃度は、約1%(v/v)~約50%(v/v)、約1%(v/v)~約20%(v/v)、約15%(v/v)~約35%(v/v)、約30%(v/v)~約60%(v/v)、約55%(v/v)~約75%(v/v)、約70%(v/v)~約100%(v/v)、約5%(v/v)~約15%(v/v)、約5%(v/v)~約25%(v/v)、約1%(v/v)~約10%(v/v)又は約8%(v/v)~約12%(v/v)であり得る。一実施形態では、有機溶媒が約10%(v/v)の濃度で移動相中に存在する。別の実施形態では、有機溶媒が約15%(v/v)の濃度で移動相中に存在する。また別の実施形態では、有機溶媒が約20%(v/v)の濃度で移動相中に存在する。ある一定の実施形態では、移動相中の有機溶媒の濃度は、分離全体を通じて一定のままである。
【0044】
一部の実施形態では、移動相は溶出塩を含み、その濃度は分離の時間にわたり上昇する。溶出塩は、酸及び塩基の中和反応から生じるイオン性化合物を指す。塩は、通常、塩の全体的な正味電荷がゼロであるように同数の陽イオン及び陰イオンから構成される。本明細書中の実施例2の実験結果により示されるように、溶出塩の選択は、四重鎖構造の形成及び1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び不純物から四重鎖を効率的に分離する能力を調整し得る。溶出塩中の適切な陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムが挙げられるが限定されない。ある一定の実施形態では、溶出塩中の陽イオンは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリメチルアンモニウム及びトリエチルアンモニウムから選択され得る。一部の実施形態では、溶出塩中の陽イオンはナトリウム、カリウム又はアンモニウムである。一実施形態では、溶出塩中の陽イオンはナトリウムである。別の実施形態では、溶出塩中の陽イオンはカリウムである。溶出塩中の適切な陰イオンとしては、塩素、臭素、硝酸、亜硝酸、ヨウ素、過塩素酸、酢酸、ギ酸、リン酸、クエン酸、シュウ酸及び炭酸が挙げられるが限定されない。溶出塩中の陰イオンは、一部の実施形態では、塩素、臭素、硝酸、亜硝酸、ヨウ素、過塩素酸、酢酸及びギ酸から選択され得る。特定の一実施形態では、溶出塩中の陰イオンは塩素である。別の特定の実施形態では、溶出塩中の陰イオンは臭素である。移動相中に含まれ得る代表的な溶出塩としては、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、酢酸カリウム、過塩素酸カリウム、ヨウ化カリウム、ギ酸カリウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム、臭化トリメチルアンモニウム、酢酸トリメチルアンモニウム、塩化トリエチルアンモニウム、臭化トリエチルアンモニウム及び酢酸トリエチルアンモニウムが挙げられるが限定されない。ある一定の実施形態では、移動相は、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び塩化アンモニウムから選択される溶出塩を含む。一実施形態では、移動相中の溶出塩は臭化ナトリウムである。別の実施形態では、移動相中の溶出塩は臭化カリウムである。別の実施形態では、移動相中の溶出塩は臭化アンモニウムである。
【0045】
分離中、オリゴヌクレオチド/四重鎖と一体化陰イオン交換マトリクスとの間の静電相互作用を破壊するために、移動相中の溶出塩の濃度を上昇させる。移動相中の溶出塩の濃度の上昇は、溶出塩の濃度勾配、例えば0M~約2M、0M~約1M、0M~約0.5M、約0.5M~約1M又は約0.5M~約2Mであり得る。一部の実施形態では、勾配は、移動相中の溶出塩の濃度が経時的に直線的に変化する直線的勾配である。他の実施形態では、勾配は、経時的に別々の段階で移動相中の溶出塩の濃度が変化する段階的勾配であり、溶出塩濃度は各段階で一定である。異なる時間に異なる溶出塩濃度で異なるパーセンテージの2つの緩衝液を混合することによって、溶出塩の直線的及び段階的勾配の両方が作製され得る。例として、勾配を生成させるために、溶出塩を含有しない緩衝液Aが溶出塩1Mを含む緩衝液Bと混合され得る。時間の関数として緩衝液Aとの混合物中の緩衝液Bのパーセンテージを上昇させることにより、0Mから1Mの溶出塩の直線的濃度勾配の生成が可能になる。同様に、分離中の特定の時点での特定のパーセンテージの緩衝液A及び緩衝液Bの混合によって、段階的勾配を生成させ得る。一実施形態では、移動相中の溶出塩の濃度の上昇は、0Mから1Mの直線的勾配である。別の実施形態では、移動相中の溶出塩の濃度の上昇は、0Mから1Mの段階的勾配である。一連の分離にわたり移動相中の溶出塩の濃度を変化させるための代表的な段階的勾配は、次の表に記載するが、緩衝液Aは溶出塩を全く含有せず(即ち0M)、緩衝液Bは1M溶出塩を含有する:
【0046】
【表1】
【0047】
一連の分離にわたる移動相中の溶出塩の濃度を上昇させるための、他の可能な勾配及び勾配を生成させるための方法は、当業者にとって公知である。
【0048】
本発明の方法の一部の実施形態では、移動相は約7.0~約9.0のpHを有し、約10mM~約200mM緩衝液、約1%(v/v)~約50%(v/v)有機溶媒及び溶出塩を含み、溶出塩の濃度は経時的に0Mから約2Mの勾配で上昇する。他の実施形態では、移動相は約7.5~約8.5のpHを有し、約20mM~約100mM緩衝液、約1%(v/v)~約20%(v/v)有機溶媒及び溶出塩を含み、溶出塩の濃度は経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。これらの移動相組成の何れかに対して、緩衝液はリン酸ナトリウム又はTris塩酸であり得、有機溶媒はアセトニトリル又はメタノールであり得、溶出塩は臭化ナトリウム、臭化カリウム又は臭化アンモニウムであり得る。例えば、ある一定の実施形態では、移動相は約7.0~約9.0のpHを有し、約10mM~約200mMリン酸ナトリウム緩衝液、約1%(v/v)~約50%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は経時的に0Mから約2Mの勾配で上昇する。一部の実施形態では、移動相は約7.5~約8.5のpHを有し、約20mM~約100mMリン酸ナトリウム緩衝液、約1%(v/v)~約20%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。他の実施形態では、移動相は、約8.0~約8.5のpHを有し、約15mM~約25mMリン酸ナトリウム緩衝液、約8%(v/v)~約12%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。一実施形態では、移動相は、約8.5のpHを有し、約20mMリン酸ナトリウム緩衝液、約10%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で段階的に上昇する(即ち段階的勾配)。
【0049】
本方法のある一定の実施形態では、移動相は、約7.0~約9.0のpHを有し、約10mM~約200mMリン酸ナトリウム緩衝液、約1%(v/v)~約50%(v/v)メタノール及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約2Mの勾配で上昇する。一部の実施形態では、移動相は、約7.5~約8.5のpHを有し、約20mM~約100mMリン酸ナトリウム緩衝液、約1%(v/v)~約20%(v/v)メタノール及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。他の実施形態では、移動相は、約8.0~約8.5のpHを有し、約15mM~約25mMリン酸ナトリウム緩衝液、約8%(v/v)~約12%(v/v)メタノール及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。また他の実施形態では、移動相は、約7.0~約9.0のpHを有し、約10mM~約200mM Tris塩酸緩衝液、約1%(v/v)~約50%(v/v)メタノール及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約2Mの勾配で上昇する。さらに他の実施形態では、移動相は、約7.5~約8.5のpHを有し、約20mM~約100mM Tris塩酸緩衝液、約1%(v/v)~約20%(v/v)メタノール及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。ある一定の他の実施形態では、移動相は、約7.0~約9.0のpHを有し、約10mM~約200mM Tris塩酸緩衝液、約1%(v/v)~約50%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約2Mの勾配で上昇する。さらに他の実施形態では、移動相は、約7.5~約8.5のpHを有し、約20mM~約100mM Tris塩酸緩衝液、約1%(v/v)~約20%(v/v)アセトニトリル及び臭化ナトリウムを含み、移動相中の臭化ナトリウムの濃度は、経時的に0Mから約1Mの勾配で上昇する。上記の移動相緩衝液の何れかにおいて、臭化ナトリウムの代わりに溶出塩として臭化カリウム又は臭化アンモニウムを使用し得る。
【0050】
粒子に基づく固定相に対して、一体化固定相は、分離効率を損ねることなく高い流速に適応し得、それにより分離時間がより速くなる。従って、カラムの孔径及びサイズに依存して、50mL/分以上の流速で一体化陰イオン交換マトリクスに移動相が適用され得る。一般的には、一体化マトリクスを通じて移動相を駆動させるために必要とされる圧力を最小化することが所望される。孔径が小さいほど、一体化マトリクスを通じて移動相を駆動するために必要とされる圧力が大きくなり、それによって流速がより遅くなる。逆に、より大きい孔径は、許容可能なレベルで圧力を維持しながら、より速い流速の使用を可能にする。一部の実施形態では、本発明の方法で使用される一体化陰イオン交換マトリクスの孔径は少なくとも500nmであり、それにより少なくとも50mL/分以上の流速が可能になる。より大きい孔径(例えば1,000超)を有する一体化陰イオン交換マトリクスに対して、移動相は、さらにより高い流速で、例えば少なくとも300mL/分以上の流速で適用され得る。従って、移動相が一体化陰イオン交換マトリクスに適用され得る適切な流速としては、約5mL/分~約500mL/分、約8mL/分~約100mL/分、約40mL/分~約400mL/分、約100mL/分~約300mL/分、約8mL/分~約60mL/分、約10mL/分~約20mL/分又は約8mL/分~約15mL/分が挙げられるが限定されない。ある一定の実施形態では、移動相は、約8mL/分~約60mL/分の流速で一体化陰イオン交換マトリクスに適用される。他の実施形態では、移動相は、約10mL/分~約20mL/分の流速で一体化陰イオン交換マトリクスに適用される。さらに他の実施形態では、移動相は、約8mL/分~約15mL/分の流速で一体化陰イオン交換マトリクスに適用される。一実施形態では、移動相は、約10mL/分の流速で一体化陰イオン交換マトリクスに適用される。当業者は、許容可能な圧力レベルを維持するために、一体化陰イオン交換マトリクスの孔径及びカラムのベッド体積に依存して、移動相に対して他の適切な流速を決定し得る。
【0051】
グアニンリッチオリゴヌクレオチド、グアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造及び1つ以上の不純物を含む溶液が、本明細書中に記載の移動相とともに一体化陰イオン交換マトリクスを移動するので、溶出分画が回収される。UV吸収、例えば260nmを使用して、分画中のオリゴヌクレオチド内容物を監視し得る。図面(例えば図1A、5A~C及び6)におけるクロマトグラムにより示されるように、一体化陰イオン交換クロマトグラフィーが本発明の方法に従い操作される場合、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、四重鎖の前に一体化陰イオン交換マトリクスから溶出し、従って、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドに対する及び四重鎖に対する分画の個別のセットの回収が可能になる。実施例2に記載のように、及び図5A~C及び図8A~Bで示されるように、1本鎖オリゴヌクレオチドを含有する分画のセット及び四重鎖を含有する分画のセットは、それぞれ1本鎖オリゴヌクレオチド及び四重鎖について濃縮され、失敗配列などの不純物の顕著な量を含有しない。1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び四重鎖に対する分画の濃縮を検証するために、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、イオン対形成逆相液体クロマトグラフィー-質量分析、分析的イオン交換クロマトグラフィー及び/又はネイティブ質量分析によって溶出分画からの試料を分析し得る。
【0052】
一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は周囲温度で行われ得る。例えば、一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、約15℃~約25℃の温度で行われる。他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、約18℃~約22℃の温度で行われる。また他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、約20℃~約25℃の温度で行われる。ある一定の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、35℃を上回る温度で行われない。本発明の方法中に四重鎖二次構造の形成が誘導され、慎重に制御されるので、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、二次構造の形成を変性させないか又はそれと不適合ではない温度で行われるべきである。従って、一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクス上での分離は、35℃未満の温度で行われる。
【0053】
本発明の方法のある一定の実施形態では、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶出分画又は溶出分画のセットが単離され、任意選択によりさらなる処理のためにプールされ得る。例えば、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含有する溶出分画は、1つ以上のさらなる精製段階、例えばアフィニティー分離(例えば配列特異的な試薬を用いた核酸ハイブリッド形成)、さらなるイオン交換クロマトグラフィー段階(例えば異なる固定相を使用)、逆相クロマトグラフィー又はサイズ排除クロマトグラフィー(例えば脱塩カラムによる)に対する対象であり得る。これら及び他の実施形態では、グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含有する溶出分画は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドの構造を修飾するための他の反応に対する対象であり得る。例えば、グアニンリッチオリゴヌクレオチドが治療用分子(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)又は治療用分子の構成成分(例えば2本鎖RNA干渉剤、例えばsiRNA)である実施形態では、溶出分画中の精製グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、標的リガンド、例えば炭水化物含有リガンド、コレステロール、抗体などをオリゴヌクレオチドに共有結合させるための共役反応に対する対象であり得る。他の実施形態では、溶出分画中の精製グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、エキソソーム、リポソーム又は他のタイプの脂質ナノ粒子中にカプセル封入し得るか、又は治療目的での患者への投与のための薬学的に許容可能な賦形剤とともに医薬組成物中で処方し得る。グアニンリッチオリゴヌクレオチドが2本鎖RNA干渉剤(例えばsiRNA分子のセンス鎖又はアンチセンス鎖の何れか)の構成成分である実施形態では、溶出分画中の精製グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、グアニンリッチオリゴヌクレオチドをその相補鎖とハイブリッド形成させて、2本鎖RNA干渉剤を形成させるためのアニーリング反応に対する対象であり得る。
【0054】
本発明の方法の一部の実施形態では、四重鎖を含む溶出分画又は溶出分画のセットが単離され得、任意選択によりさらなる処理のためにプールされ得る。四重鎖は、様々な系で四重鎖構造の機能を試験及び評価するための続くアッセイ又は分析においてインタクトな構造として使用され得る。或いは、四重鎖を含有する溶出分画は、四重鎖をその構成成分の1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドに分解するための変性条件に対する対象であり得る。図8A~8Bで示されるように、四重鎖は、主に1本鎖オリゴヌクレオチドから構成され、失敗配列及び他の不純物を顕著には捕捉しない。従って、四重鎖を変性させることにより、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの高度精製調製物を得ることができる。従って、ある一定の実施形態では、四重鎖を含む溶出分画又は溶出分画のセットは変性条件に対する対象である。変性条件は、温度上昇、pH上昇、カオトロピック剤への曝露、有機剤への曝露又はこれらの条件の何れかの組み合わせによる四重鎖二次構造の変性を含み得る。
【0055】
一部の実施形態では、G-カルテットを形成させるグアニン塩基間の水素結合相互作用を破壊するのに十分な高温に四重鎖を含有する溶出分画を加熱することによって、四重鎖を変性させる。例えば、約45℃~約95℃、約55℃~約85℃又は約65℃~約75℃の温度に溶出分画を加熱し得る。四重鎖が変性され得る温度は、構成成分オリゴヌクレオチドの配列及び化学修飾に基づいて調整され得る。より高いGC含量又はある特定の修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドは、より高い融解温度を有し、従って、このようなオリゴヌクレオチドから形成される四重鎖構造は、四重鎖を変性させるためのより高い温度を必要とし得る。他の実施形態では、四重鎖は、四重鎖を含む溶出分画のpHを強アルカリ条件に上昇させることにより変性させる。例えば溶出分画のpHは、約9.5~約13、約10~約12又は約9.5~約11.5のpHに上昇させ得る。ある一定の実施形態では、四重鎖は、四重鎖を含有する溶出分画をカオトロピック剤に曝露することによって変性される。「カオトロピック剤」は、水素結合、ファンデルワールス力及び疎水性相互作用などの非共有結合力が介在する分子内相互作用に影響を及ぼすことにより、水分子間の水素結合ネットワークを破壊し、高分子の構造において秩序を低下させ得る物質である。四重鎖を変性させるために使用され得る適切なカオトロピック剤としては、塩化グアニジニウム及び他のグアニジニウム塩、酢酸リチウム又は過塩素酸リチウム、塩化マグネシウム、フェノール、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素、チオ尿素及びチオシアン酸塩(例えばチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム又はチオシアン酸カリウム)が挙げられるが限定されない。一実施形態では、四重鎖を変性させるために、例えば約1M~約8Mの濃度の尿素に四重鎖を含む溶出分画を曝露する。当技術分野で公知である水素結合相互作用を破壊する何らかの他の物質及び方法は、四重鎖を変性させて精製1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを作製するために使用され得る。
【0056】
四重鎖を含む溶出分画又は溶出分画のセットが、精製又は濃縮1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを作製するための変性条件に対する対象である実施形態では、濃縮された1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む得られた溶液は、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む一体化陰イオン交換マトリクスからの溶出分画に対する上記のさらなる処理段階の何れかなど、さらなる処理段階に対する対象であり得る。例えば、四重鎖の変性から得られた濃縮された1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶液は、例えば変性段階で使用される物質(例えばカオトロピック剤)又は他の工程関連不純物(例えば塩)を除去するための1つ以上の精製段階に対する対象となり得る。これら及び他の実施形態では、四重鎖の変性から得られた濃縮1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶液は、他の反応、例えば標的リガンドをグアニンリッチオリゴヌクレオチドに共有結合させるための共役反応又はグアニンリッチオリゴヌクレオチドをその相補鎖に対してハイブリッド形成させて2本鎖RNA干渉剤(例えばsiRNA分子)を生成させるためのアニーリング反応など、に対する対象となり得る。一部の実施形態では、四重鎖の変性から得られる濃縮された1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドは、エキソソーム、リポソーム又は他のタイプの脂質ナノ粒子中にカプセル封入され得るか、又は治療目的での患者への投与のための薬学的に許容可能な賦形剤とともに医薬組成物中で処方され得る。
【0057】
一部の実施形態では、本発明の方法は、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドに対して漸進的に濃縮することを繰り返し行い得る。例えば、本発明の方法の第1回目からの1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶出分画を一体化陰イオン交換マトリクスに再適用し、本発明の方法に従い再び分離し得る。本方法の第2回目及び続く回の間、グアニンリッチオリゴヌクレオチドは再び四重鎖構造を形成するが、これは精製1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを得るために単離され、変性され得る。所望のレベルの純度の調製物が得られるまで、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを含む溶液を本発明の方法において繰り返し処理し得る。
【0058】
本発明の方法は、グアニンリッチオリゴヌクレオチドの実質的に純粋な調製物を提供する。例えば、一部の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスからの溶出分画中又は、単離され、続いて変性された四重鎖構造を含む溶液中のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%である。ある一定の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスからの溶出分画中又は四重鎖の変性から得られた溶液中のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも85%である。他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスからの溶出分画中又は四重鎖の変性から得られた溶液中のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも88%である。さらに他の実施形態では、一体化陰イオン交換マトリクスからの溶出分画中又は四重鎖の変性から得られた溶液中のグアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度は少なくとも90%である。オリゴヌクレオチドを検出し、定量する方法は、当業者にとって公知であり、イオン対形成逆相液体クロマトグラフィー質量分析法及び分析的イオン交換法、例えば実施例に記載のものなど、を含み得る。
【0059】
実施された実験及び達成された結果を含む以下の実施例は、例示の目的でのみ提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0060】
実施例1.イオン交換一体化クロマトグラフィーを使用したグアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製
イオン交換クロマトグラフィーは、天然及び合成オリゴヌクレオチドを精製するための一般的技術である。陰イオン交換カラム、例えばSource Q15又はQ30(GE Healthcare)、TSKgel SuperQ-5PW(Tosoh Bioscience)及びDNAPac PA 200RS及びDNAPac PA 100(ThermoFisher Scientific)などは、分析的及び分取スケールの両方でオリゴヌクレオチドを効率的に分離するために使用されてきた。Amersham Biosciences,Strategies for large scale purification of synthetic oligonucleotides,Application note,1-10;McGinnis et al.,J Chromatogr B,Vol.883-884:76-94,2012;Noll et al.,Nucleic Acid Ther,Vol.21:383-393,2011;及びThayer et al.,J Chromatogr B,Vol.878:933-941,2010を参照。しかし、四重鎖二次構造を形成可能であるグアニンリッチモチーフを含有するオリゴヌクレオチドの精製はこのようなカラムでは困難であるか又は達成不能であり得る。この実施例は、四重鎖構造及び不純物からグアニンリッチオリゴヌクレオチドを分離するための、陰イオン交換一体化クロマトグラフィーの評価を記載する。
【0061】
最初に、従来のポリマービーズに基づく陰イオン交換樹脂を使用した21-マーのグアニンリッチオリゴヌクレオチドの精製を、陰イオン交換一体化カラムを使用する同じオリゴヌクレオチドの精製と比較した。オリゴヌクレオチド(5’-UCGUAUAACAAUAAGGGGCUG-3’(配列番号1))は2’-O-メチル-及び2’-フルオロ-修飾ヌクレオチドを含有し、ホスホラミダイト化学を使用して固体支持体上で合成された。オリゴヌクレオチドの5’及び3’末端の2個のヌクレオチド間結合はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、一方で全ての他のヌクレオチド間結合はホスホジエステルヌクレオチド間結合であった。
【0062】
ポリマービーズに基づく強陰イオン交換樹脂(TSKgel SuperQ-5PW,Tosoh Bioscience)を充填したカラム又は強陰イオン交換基を含む一体化カラム(Convective Interaction Media(CIM)-QA 8mL,BIA Separations)の何れかにおいて、オリゴヌクレオチドを含む溶液を分離した。2つのタイプのカラムの仕様を以下の表1で挙げる。
【0063】
【表2】
【0064】
オリゴヌクレオチドを含有する1.2mLの溶液を各カラム載せ、塩勾配を使用して分離し、この塩勾配は、次のように緩衝液A(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5)及び緩衝液B(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr、pH8.5)を混合することにより生成させた。TSKgel-SuperQ-5PWカラムの場合、8mL/分の流速でカラムに緩衝液を適用し、勾配条件は次のとおりであった:0~3分に0~20%緩衝液B、3~43分に20~65%緩衝液B、43~45分に65~80%緩衝液B、80%Bで2分保持及び48分に0%緩衝液B。CIM-QAカラムの場合、10mL/分の流速でカラムに緩衝液を適用し、勾配条件は次のとおりであった:0~15分に0~55%緩衝液B、15~25分に55%緩衝液B、25~30分に55~100%緩衝液B;30~32分に100%緩衝液B;及び32.1~37分に0%緩衝液B。両カラムとも、分離は周囲温度で行った。分画を回収し、分析的イオン交換(DNAPac PA200 RSカラム、4.6×50mm、4μm粒径)又はイオン対形成逆相(Waters Xbridge BEH OST C18カラム、2.1×50mm、2.5μm粒径)高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)法を使用して、21-マーのオリゴヌクレオチド又は四重鎖構造についてアッセイした。2つのカラムそれぞれに対する分離の結果を図1で示す。
【0065】
ポリマービーズに基づくクロマトグラフィー材料(TSKgel-SuperQ-5PWカラム)は、一体化クロマトグラフィー材料(CIM-QAカラム)と比較した場合、孔径が10分の1である結果として、10倍高い動的結合容量を有する(表1)。従って、TSKgelカラムは、21-マーの1本鎖オリゴヌクレオチド並びに四重鎖に対して全体的なより高い保持率を示すと予測された。TSKgelカラムを用いて、主要ピークが約38分に観察され、1本鎖オリゴヌクレオチドと四重鎖との間で別個の分離は観察されなかった(図1で点線のボックス、Bトレース)。さらに、回収した分画全てが、1本鎖オリゴヌクレオチド及び四重鎖に対して61~74%の範囲の純度を有した。対照的に、CIM-QAカラムによって、四重鎖からの1本鎖オリゴヌクレオチドの分離が可能になった(図1、Aトレース)。より速い流速、一体化のより小さな全体的表面積及び1300nmの実質的により大きい孔径の結果として、四重鎖の完全な溶出はCIM-QAカラム上で30分で起こった(図1、Aトレース)。
【0066】
TSKgelカラム上で1本鎖と四重鎖との間の分離がないことは、カラムの表面積が大きく、孔径が比較的小さいことに起因し得る。21-マーの1本鎖オリゴリボヌクレオチドのサイズは7nmの範囲であり(Valiunas et al.,J Physiol,Vol.568:459-468,2005)、一方でTSKgelカラムの孔径は100nmである。結果として、1本鎖及び四重鎖は両方とも、TSKgelカラムの固定相のポリメタクリラート粒子の孔に浸透可能である。
【0067】
最近、Shrestha及び共同研究者らは、閉じ込め効果が、グアニンに基づく四重鎖の迅速な安定化に寄与し、その形成を促進し得ることを報告した(Shrestha et al.,Nat.Nanotechnol,Vol.12:582-588,2017)。著者らは、DNAオリガミナノケージ内部の四重鎖形成が、希釈溶液中よりも実質的に安定であり、フォールディングが2桁、より速いことを明らかにし、ケージのサイズが小さくなるほど、G-四重鎖の機械的及び熱力学的安定性が上昇した(Shrestha et al.,2017)。類似して、理論により縛られるものではないが、発明者らは、クロマトグラフィー固定相の孔が、ナノケージとして機能し、同様の閉じ込め効果を誘導して、G-四重鎖のフォールディング及び安定化を促進すると考える。従って、四重鎖フォールディングは、何らかの分離が達成され得る前に不純物及び失敗配列を捕捉する閉鎖された100nm孔内でTSK-gelカラム上で顕著に速く起こるはずであり、これは実際には図1のBトレースで示されるようなケースであると思われる。対照的に、一体化カラムのより大きい孔径は、閉じ込め効果を低下させ、四重鎖組み立てを遅延させ、不純物/失敗配列及び1本鎖からのその分離を促進する。図1のAトレースで示される結果は、一体化カラム上で1本鎖から四重鎖が効率的に分離されることが可能であるので、この仮説を裏付ける。
【0068】
次に、一体化カラムが1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを四重鎖から分離する能力及び処理量を決定するために、様々な量のオリゴヌクレオチドをカラム上に載せた。具体的に、10mg~50mgの範囲の量で一体化カラム上にオリゴヌクレオチドを載せ、CIM-QAカラムに対する上記の条件を使用して分離を遂行した。分画を回収し、1本鎖オリゴヌクレオチド及び四重鎖に対する分画の純度を確認するために、分析的イオン交換(DNAPac PA200 RSカラム、4.6×50mm、4μm粒径;2mL/分の流速;温度70℃)及びイオン対形成逆相HPLC-MS(Waters Xbridge BEH OST C18カラム、2.1×50mm、2.5μm粒径;0.4mL/分の流速;温度60℃)法を使用して分析した。
【0069】
分離の分取クロマトグラムを図2で示す。この結果は、最大充填量が最良の収率及び純度をもたらさないことを示す。実際に、40mg及び50mgのより大きい充填量で、四重鎖の純度が低下した。10mg及び30mgの充填量で四重鎖の同等な純度を生じさせたが、後者の充填量により処理が促進された。従って、四重鎖の最良純度及び本方法の処理を達成するための最適充填量は30mgであった。注入量の増加は、四重鎖のピーク面積に与える影響が最小限であったが、代わりに1本鎖形成に顕著な影響があった(図3)。この結果は、一体化面が約40~50mgの充填量の四重鎖に対して飽和することを示し、50mg充填量で、1本鎖が主要な種になり、過剰な投入の明らかな指標を示す。
【0070】
この実施例に記載される実験の結果は、孔径が大きい陰イオン交換一体化カラムを使用して、短いグアニンリッチオリゴヌクレオチドから形成される4本鎖の四重鎖構造が1本鎖オリゴヌクレオチド並びに不純物から効率的に分離され得ることを示す。一体化カラムの大きい孔径(約1.3μm)及び一体化カラムのユニークな面は、四重鎖が相互作用し得る適切な接近可能な面を提供し、それにより1本鎖オリゴヌクレオチドからの分離が可能になり、一方で全体の分析時間が短くなる。一体化支持体は、従来のポリマービーズに基づく樹脂よりも、1本鎖オリゴヌクレオチドと四重鎖との間で良好な分割をもたらし、その結果、四重鎖の全体的純度がより高くなる。一体化支持体上での閉じ込め効果の低下は、1本鎖と四重鎖との間のより良好な分離を促進する、よりゆっくりとした四重鎖形成を誘導した。次に、四重鎖構造は、さらなる実験のために単離され得るか、又は精製1本鎖オリゴヌクレオチドを得るためにさらに変性され得る。
【0071】
実施例2.四重鎖形成を調整するための移動相パラメーターの最適化
四重鎖の保持、分割及び選択性に影響を与える因子を試験するために、様々な移動相パラメーターを調べた。最初に、移動相中で使用される陽イオンのタイプの効果を評価した。以前の研究で、様々な陽イオンが四重鎖安定化及びフォールディングに影響を与えることが報告された。例えばMergny et al.,Nucleic Acids Res.,Vol.33:81-94,2005;Guo and Bartel,Science,Vol.353(6306):aaf5371,2016;Klejevskaja et al.,Chem Commun(Camb),Vol.52:12454-12457,2016;Olivas et al.,Biochemistry,Vol.34:278-284,1995;及びYuan et al.,Mass Spectrom Rev,Vol.30:1121-1142,2011を参照。緩衝液B中の溶出塩中で対陽イオンとしてアンモニウム、ナトリウム及びカリウムを評価した。具体的には、移動相緩衝液は次のとおりであった:
・緩衝液A:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5
・緩衝液B1:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr、pH8.5
・緩衝液B2:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NHBr、pH8.5
・緩衝液B3:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M KBr、pH8.5
【0072】
21-マーのグアニンリッチオリゴヌクレオチド(配列番号1)を含有する溶液1.2mLをCIM-QA 8mL陰イオン交換一体化カラム上に載せ、次のように緩衝液A及び緩衝液B1、B2又はB3を混合することにより生成させた塩勾配を使用して10mL/分の流速で周囲温度にて分離した:
【0073】
【表3】
【0074】
図4Aは、異なる対陽イオンとともに異なるB緩衝液を使用した、分離のための分取クロマトグラムを示す。対陽イオンとしてのカリウムの使用は四重鎖安定化に都合がよいものの、対陽イオンとしてカリウムを使用して精製した場合、四重鎖が失敗配列を捕捉する傾向があるので、これにより四重鎖の最大純度はもたらされない。対陽イオンとしてアンモニウムを使用すると、四重鎖形成量は最低となり、一方で対陽イオンとしてナトリウムを使用すると、四重鎖の回収率並びに純度が最大となる。従って、最適な対陽イオンとしてナトリウムを選択した。
【0075】
これらの陰イオンはイオン交換条件下で負荷電オリゴヌクレオチドの保持及び選択性を支配するので、溶出塩中の異なる対陰イオンも評価した。緩衝液B中の溶出塩中で対陰イオンとして臭素及び塩素を評価した。この実験のための移動相緩衝液は次のとおりであった:
・緩衝液A:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5
・緩衝液B1:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr、pH8.5
・緩衝液B2:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaCl、pH8.5
【0076】
21-マーのグアニンリッチオリゴヌクレオチド(配列番号1)を含有する溶液1.2mLをCIM-QA 8mL陰イオン交換一体化カラム上に載せ、緩衝液A及び緩衝液B1又はB2を混合することにより生成される塩勾配を使用して、対陽イオンに対してすぐ上の表で記載される同じ勾配パラメーターに従い、10mL/分の流速で周囲温度にて分離した。図4Bは、この実験からの、結果として得られる分取クロマトグラムを示す。移動相中に塩素が存在すると、四重鎖に対する保持時間がより長くなり、1本鎖オリゴヌクレオチドと四重鎖との分離がより乏しくなった。対照的に、移動相中に臭素が存在すると、より短い全体的分析時間で、1本鎖オリゴヌクレオチド及び四重鎖のほぼベースラインの分離が起こった。
【0077】
高pH値は、二次的相互作用を破壊し、従って結果として四重鎖形成を減少させる可能性があることが知られている。従って、緩衝液pHも調べた。移動相緩衝液のpH(緩衝液A:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v);緩衝液B:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr)をpH7.5又はpH8.5の何れかに調整した。この2つの異なる移動相条件の結果、pHの相違にもかかわらず、ほぼ同一であるクロマトグラムが得られた(データを示さない)。
【0078】
異なる移動相パラメーターを評価する一連の実験に基づき、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを四重鎖から分離するための最適条件が次のとおりであることが決定された:
・カラム:CIM-QA 8mL陰イオン交換一体化カラム
・流速:10mL/分
・温度:周囲温度
・注入体積:1200μL
・移動相:
〇緩衝液A:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5
〇緩衝液B:20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr、pH8.5
・段階的勾配条件:
【0079】
【表4】
【0080】
分画の回収のための閾値を300mAUに設定した。イオン対形成逆相HPLC-MS法(Waters Xbridge BEH OST C18カラム、2.1×50mm、2.5μm粒径;0.4mL/分の流速;温度60℃)を使用して、分画の純度を確認した。四重鎖について回収した分画は、88~93%の範囲の純度を示した。
【0081】
異なる分画中での1本鎖オリゴヌクレオチド及び四重鎖の存在を確認するために、陰イオン交換一体化カラムでの分取精製後、関連のある分画上でネイティブ質量分析(MS)実験を行った。21-マーのグアニンリッチオリゴヌクレオチド(配列番号1)を含有する溶液1.2mLをCIM-QA 8mL陰イオン交換一体化カラム上に載せ、周囲温度にて10mL/分の流速で塩勾配を使用して分離し、この塩勾配は、次のように緩衝液A(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5)及び緩衝液B(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NHBr、pH8.5)の混合によって生成させた:0~15分に0~55%緩衝液B、15~25分に55%緩衝液B;25~30分に55~100%緩衝液B;30~32分に100%緩衝液B;及び32.1~37分に0%緩衝液B。分画回収に対する閾値を500mAUに設定した。分画をサイズ排除クロマトグラフィー(HiPrep 26/10脱塩カラム;26×100mm、90μm粒径)によって脱塩し、ネイティブMS分析に供した。ネイティブMS分析のために、試料に対して、P6スピンカラム(BioRad,732-6221)を用いて200mM酢酸アンモニウムへと緩衝液交換を行い、nESI金コーティングガラス針(長尺薄壁、M956232AD1-S;Waters Corporation)を用いて試料を質量分析計内に導入した。Synapt G1 Q-ToF機器(Waters Corporation)を用いて、正及び負イオン化モードの両方でネイティブMS実験を実施した。基本的な機器電圧及び圧力は以下のとおりであった:試料コーン50V、Trap CE 20V、Trap Gas Xe、1.0e-2mBar。
【0082】
図5Aは、分取精製からの得られたクロマトグラムを示し、図5B及び5Cは、それぞれ分画25及び分画50に対するネイティブ質量分析を示す(分取クロマトグラムにおいてボックスにより示される)。図5Bの質量分析から明らかなように、より早い分画25は7,021Da(+/-1Da)の分子量の1本鎖オリゴヌクレオチドを主に含有する。低レベルの付加物が多い四重鎖シグナルも分画25で検出された。分画50は、28,118Da(+/-8Da)の分子量を有する四重鎖を含有する(図5C)。インタクトな四重鎖は、この分画で検出された主要な種であった。これらの結果から、一体化マトリクスを使用した陰イオン交換クロマトグラフィー法によって、1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチド及び四重鎖構造を効率的に精製し得ることが明らかになる。
【0083】
精製方法の可変性を評価するために、最適な移動相条件下でグアニンリッチオリゴヌクレオチドを用いて、本方法を個別に24回行った。具体的には、21-マーのグアニンリッチオリゴヌクレオチド(配列番号1)を含有する溶液1.2mLをCIM-QA8mL陰イオン交換一体化カラムに載せ、周囲温度にて10mL/分の流速で塩勾配を使用して分離し、この塩勾配は次のように緩衝液A(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、pH8.5)及び緩衝液B(20mM NaHPO、10%アセトニトリル(v/v)、1M NaBr、pH8.5)を混合することにより作製した:0~15分に0~55%緩衝液B、15~25分に55%緩衝液B;25~30分に55~100%緩衝液B;30~32分に100%緩衝液B;及び32.1~37分に0%緩衝液B。図6で示されるように、本方法は、1%未満の保持時間の相対標準偏差(RSD)で、優れた実行間の再現性を生じさせる。これらの移動相条件下で、四重鎖が1本鎖オリゴヌクレオチドから効率的に分離される(図7A)。28,146Da(+/-17Da)の分子量に対応する特性で、ネイティブMSによって四重鎖の同一性を確認した(図7B)。四重鎖は検出された主要な種であり、このことから、本方法が精製インタクト四重鎖を生成させ得ることが示される(図7B)。ネイティブMSに対する条件は、SFがXeの代わりに衝突ガスとして使用されたことを除き、上記のものと同じであった。
【0084】
単回の分取精製からの四重鎖ピークを含有する3つの分画を合わせ、サイズ排除クロマトグラフィー(HiPrep 26/10脱塩カラム;26×100mm、90μm粒径)により脱塩した。分画中の1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドの純度を決定するために、分析的イオン対形成逆相HPLC-MS法(Waters Xbridge BEH OST C18カラム、2.1×50mm、2.5μm粒径;0.4mL/分の流速;温度60℃)によって、合わせた分画を分析し、その結果、四重鎖の変性が起こっていた。図8Aで示されるように、合わせた分画中の1本鎖オリゴヌクレオチドの純度は92%であった。小さな先頭ピークは不純物であった。質量分析が図8Bで示され、これは1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドに対して予想されるイオン化パターンを示し、このことから、四重鎖が主に1本鎖オリゴヌクレオチドから構成され、失敗配列及び他の不純物を顕著には捕捉しないことが示唆される。
【0085】
比較目的のために、トリチル-オン精製法を使用して1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドを精製し、上記の分析的イオン対形成逆相HPLC-MS法によって分析した。水中0.1M重炭酸アンモニウム、pH9.0移動相を使用してKinetex EVO C18カラム(30×250mm、5μm)でトリチル-オン精製を行い、アセトニトリル勾配で溶出した。トリチル-オン精製は、93%を超える純度で1本鎖オリゴヌクレオチドをもたらす。トリチル-オン精製した1本鎖オリゴヌクレオチドに対するイオン対形成逆相液体クロマトグラムを図8Cで示し、質量分析を図8Dで示す。図8Aで示される四重鎖に対するクロマトグラムは、図8Cで示される1本鎖オリゴヌクレオチドに対するクロマトグラムとほぼ同一であり、これにより、分析的イオン対形成逆相HPLCの変性条件下で、四重鎖がその構成成分の1本鎖グアニンリッチオリゴヌクレオチドに分解され、不純物が殆どないか又は全く存在しないことが明らかになる。図8Bで示される変性四重鎖試料に対する質量分析は、四重鎖が主に1本鎖オリゴヌクレオチドから構成され、不純物を捕捉しないことを示す図8Dで示される1本鎖オリゴヌクレオチドに対する質量分析と同様である。
【0086】
一体化陰イオン交換分取法の結果、200mgを超える精製四重鎖が得られた。この方法は、より大きい体積の一体化カラム、例えばBIA Separationsから利用可能なCIM-QA-80mL及びCIM-QA-800mLカラムを使用することにより、容易にスケールアップし得る。
【0087】
この実施例及び実施例1に記載の分析的クロマトグラフィー法及び脱塩方法に対するパラメーターのまとめを以下に挙げる:
【0088】
分析的イオン交換法
・カラム:DNA Pac PA 200 RS(4.6×50mm、4μm)
・流速:2mL/分
・温度:70℃
・移動相:
〇緩衝液A:20mM NaHPO、10%アセトニトリル、pH8.5
〇緩衝液B:20mM NaHPO、10%アセトニトリル、1M NaBr、pH8.5
・勾配精製条件:
【0089】
【表5】
【0090】
・検出:260nmでダイオードアレイ検出器
【0091】
分析的イオン対形成逆相液体クロマトグラフィー-質量分析方法
・カラム:Waters Xbridge BEH OST C18(2.1×50mm、2.5μm)
・流速:0.4mL/分
・温度:60℃
・移動相:
〇緩衝液A:水中、15.7mM N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、50mMヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)
〇緩衝液B:水:アセトニトリル(50:50)中、15.7mM DIEA、50mM HFIP
・勾配精製条件:
【0092】
【表6】
【0093】
・検出:260nmでダイオードアレイ検出器、続いて質量分析
【0094】
脱塩(サイズ排除クロマトグラフィー)
・カラム:HiPrep 26/10脱塩カラム(26×100mm、90μm)
・移動相:80:20 水:エタノール
・流速=10mL/分
【0095】
本明細書において論じ、引用してきた全ての刊行物、特許及び特許出願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。開示した本発明は、記載された特定の方法論、プロトコール及び材料に限定されず、これらは、変化し得ることが理解される。また、本明細書中で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことも理解される。
【0096】
当業者は、本明細書中で記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの同等物を、単なる日常的な実験を使用して認識するか、又は確認可能であろう。このような同等物は、続く特許請求の範囲に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
【配列表】
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