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特許7532347人物の写真顔画像及び/又はフィルムを、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は上記人物のための修復物の準備に組み込むための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】人物の写真顔画像及び/又はフィルムを、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は上記人物のための修復物の準備に組み込むための方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 9/00 20060101AFI20240805BHJP
   A61C 13/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
A61C9/00 Z
A61C13/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021518547
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2019053471
(87)【国際公開番号】W WO2020072308
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】18198342.0
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クハルチク、ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ハウト、シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】コザ、アンドレ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521767(JP,A)
【文献】特開2018-115399(JP,A)
【文献】特開2014-091047(JP,A)
【文献】特開2017-221329(JP,A)
【文献】特表2012-500706(JP,A)
【文献】特表2010-524529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284123(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 9/00
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の写真顔画像及び/又はフィルムを、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は前記人物のための修復物の準備に組み込むための方法であって、
スマートデバイス(20)のカメラ機能を使用して前記写真顔画像及び/又はフィルムを作成するステップと、
前記スマートデバイス(20)のためのアプリケーション(103)を用いて前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成をユーザに案内するステップと、
前記作成された写真顔画像及び/又はフィルムを、前記歯科学的及び/又は審美的な治療及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアに組み込むステップと
を備え、
ここで、位置点(13)が、前記スマートデバイス(20)のユーザインターフェース(10)上に、前記ユーザインターフェース(10)の上下方向中央の中心線(12)に沿って表示され、それを用いて、前記ユーザは、前記スマートデバイス(20)を移動させることによって様々な位置で画像を撮影するように促され、
ここで、前記顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内のために、顔の及び/又は口領域の位置決めのためのテンプレートが前記スマートデバイス(20)のディスプレイ(10)に示され、前記ユーザは、前記アプリケーション(103)が前記テンプレートを変更することによって、撮影又は記録対象の頭部の位置を変更するように促され、前記スマートデバイス(20)を用いて前記アプリケーション(103)を使用して作成された顔の画像及び/又はフィルムが前記ソフトウェアの要件を満たさないとき、行われるべき変更又は改善に関する命令が提供される方法。
【請求項2】
前記スマートデバイス(20)のための前記アプリケーション(103)及び前記ソフトウェアは、ワイヤレスで互いに通信する及び/又はデータを転送する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、異なる位置での前記人物の記録を指定する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、それぞれ笑顔以外と笑顔で口角鉤がある状態とない状態での前記人物の記録を指定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、特定の視点からの前記人物の記録を指定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、様々な視点からの前記人物の記録を指定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ソフトウェア(102)は、前記スマートデバイス(20)上の前記アプリケーション(103)を使用するための命令を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのチェック機能が、前記ソフトウェア及び/又は前記アプリケーションに備わっており、前記少なくとも1つのチェック機能は、前記スマートデバイス(20)で前記アプリケーション(103)を使用して作成された前記顔画像及び/又はフィルムが前記ソフトウェアの要件を満たすかどうかを検証して、前記ユーザに通信し、必要であれば、前記顔画像及び/又はフィルムの前記作成を繰り返すように前記ユーザに促す、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムは、前記歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物の目標とする結果のデジタル視覚化に組み込まれる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムが、前記人物の前記顔及び/又は前記口領域の3次元画像の前記作成に組み込まれる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムがデジタルスマイルデザインに組み込まれる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記治療及び/又は修復物の前記コンピュータ支援設計からの情報が歯科設備に転送される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
スマートデバイス(20)のためのアプリケーション(103)であって、前記アプリケーションが、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されることを特徴とする、アプリケーション。
【請求項14】
歯科学的及び/又は審美的な歯科治療、及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのコンピュータプログラムであって、請求項1乃至12のいずれか一項に方法及び/又は請求項13に記載のスマートデバイス(20)のためのアプリケーション(103)が前記コンピュータプログラムに組み込まれることを特徴とする、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本特許出願は、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月2日に出願された欧州特許出願第18198342.0号の利益と、それに対する優先権とを主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、人物の写真顔画像及び/又はフィルムを歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は上記人物のための修復物の準備に組み込むための方法と、スマートデバイスのアプリケーション及び歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのコンピュータプログラムとに関する。
【背景技術】
【0003】
歯科学的及び/又は審美的な歯の修復物、例えばクラウン、ブリッジ、又はベニアの作成のために、治療を受ける人物の顔及び/又は口領域の写真表現は、歯科技工士及び歯科医師にとって非常に有用である。写真は、特に審美的な美しさと機能性を兼ね備えた笑顔の作成又は修復物にとって、非常に重要である。歯の色、形、及び大きさ、顔の形と色の調整、笑線、目の位置、及び正中線の位置は、特に、審美的に美しい修復物を作成する上で重要な役割を果たす。歯肉の色及び歯の位置も、笑顔が主観的に美しいと認識されることの一因である。このような理由で、アナログの時代でさえ、治療を受ける人物の2次元写真を作成して歯科技工士に提供することが長年にわたって行われてきた。
【0004】
より新しいデジタル方法では、治療計画及び修復物のコンピュータ支援設計(CAD/CAM技術)を使用して、例えば、歯牙ライブラリ又はバイオジェネリック的に(biogenerically)算出された歯牙模型に基づいて、患者にとって最適な修復物を提供する。治療を受ける人物の写真は、そのようなデジタル方法に組み込まれ、例えば、転送されて、3次元模型に変換され得る。3次元表現への2次元写真の変換は、例えば、2次元表現をテンプレート上に伸ばすことによって達成され得る。従来の推奨は、一眼レフ(SLR)カメラを使用して写真を作成することである。次いで、例えばデジタル一眼レフカメラからのデータエクスポートと、CADソフトウェアがインストールされているコンピュータへのインポートとを介してデータが送信される。
【0005】
例えば、3次元の顔スキャンをこのようなコンピュータプログラムに組み込むことも可能である。しかしながら、必要とされるスキャナの観点から、これは非常に高価である。X線ベースの3次元システムも1つの選択肢ではあるが、放射線被曝により、むしろ当該の人物に害を及ぼし得る。
【0006】
独国特許出願第10 2015 222 782号明細書には、歯の状況を可視化するための方法が記載されており、ここでは、患者の顔の画像が記録され、顔データセットとして記憶される。顔データセットは、2次元又は3次元であり得る。そのようなデータセットにより、現在の歯の状況及び計画された歯の状況を患者に対しても同様に視覚化することができる。更に、例えば歯列矯正治療などの治療の経過も追跡することができる。このような方法は、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の目標とする結果が視覚化される、いわゆるスマイルデザイン(SD:Smile Design)にも適している。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0049311号明細書には、歯科治療の進み具合を追跡するための方法及びシステムが記載されており、ここでは、患者の、より具体的には患者の歯の1つ又は複数の2次元写真が撮影されて、観察システムに組み込まれる。写真は、携帯電話(スマートフォン)を使用して撮影され得、ここでは、特定の標準ビューで写真を記録するための命令をユーザが受けることが記載されている。
【0008】
本発明の根底にある目的は、コンピュータ支援設計のための及び/又は歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物の計画のためのソフトウェアへのデジタル画像の組み込みを改善し、それをよりユーザフレンドリにすることである。
【発明の概要】
【0009】
この目的は、特許請求の範囲の主題である方法並びにスマートデバイスのためのアプリケーション及びコンピュータプログラムによって達成される。人物の写真顔画像及び/又はフィルムを、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は上記人物のための修復物の計画及び/又は準備に組み込むための方法が提供され、写真顔画像及び/又はフィルムは、スマートデバイスのカメラ機能を使用して作成される。「スマートデバイス」という用語は、コンピュータ機能を有するモバイル電子デバイスを含む。スマートデバイスがカメラ機能を備え、好ましくは1つ(又は複数)の高解像度カメラ機能が利用可能であることが本発明には不可欠である。適切なスマートデバイスの例には、特にスマートフォンが挙げられるが、カメラ機能が利用可能であれば、タブレット、スマートウォッチなども挙げられる。歯科学的及び/又は審美的な歯科治療は、特に歯列矯正治療であり得る。歯科学的及び/又は審美的な歯の修復物は、インレー、クラウン、ブリッジ、又はベニアのような人工の歯の代替物である。写真顔画像及び/又はフィルムは、例えば、顔全体、頭部、又は口領域だけの2次元又は適用可能であれば3次元のデジタル記録、すなわち写真又はフィルム(ビデオ)である。本発明の重要な態様は、ユーザ、すなわち写真又はフィルムを記録する人物が、スマートデバイスのためのアプリケーションを用いて顔画像及び/又はフィルムの作成を案内され、作成された画像又はフィルムが、修復物及び/又は治療計画のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアに組み込まれることである。この方法の特別な利点は、治療を行う歯科医師及び/又は歯科医院又は矯正歯科医院のスタッフが、通常、高品質で大抵は高解像度のカメラを搭載した適切なスマートデバイスを既に持っていることである。近ごろのスマートデバイスのカメラの画質は一般に非常に高いため、スマートデバイス、特にスマートフォンのカメラ機能は、既にドキュメンテーション目的で頻繁に使用されており、これにより、過去に一般的に使用されていた一眼レフカメラはもはや必要ではない。加えて、スマートデバイスには一般に、歯科医院又は矯正歯科医院で使用される非常に実用的なアーカイブ機能が備わっている。しかしながら、これまでは写真を作成するためにスマートデバイスを使用すると、好ましくない記録角度や不適切な光条件などにより、写真が更なるデジタル処理に不適切又は不適当になり得るという問題があった。本発明では、スマートデバイスのためのアプリケーションを用いて顔画像及び/又はフィルムの作成をユーザに案内することによって、この問題を解決する。アプリケーションは、どのようにすれば適切な写真又はフィルムが作成されるかに関する情報をユーザに提供する。これにより、上記画像又はフィルムが修復物又は治療計画のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアによって容易に処理されることができるような写真又はフィルムの状態が保証される。
【0010】
ソフトウェアは、修復物及び/又は治療計画のコンピュータ支援設計(CAD)をサポートする。また、これは、コンピュータ支援製造(CAM)で修復物の作成が行われるプログラムでもあり得る。複合プログラム、いわゆるCAD/CAMシステムが特に好ましい。以下では、修復物のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアは、一般にCADソフトウェアとも呼ばれるが、これはCAD/CAMシステムも指し得る。
【0011】
この文脈において、アプリケーションは、いわゆるアプリであり、スマートデバイス(モバイルデバイス)のための又はモバイルオペレーティングシステムのためのアプリケーションソフトウェアを指す。
【0012】
アプリケーションとCADソフトウェアとの間の通信及び/又はアプリケーションとCADソフトウェア、すなわち参加デバイス(例えばスマートデバイス及びコンピュータ)との間のデータの送信は、好ましくはワイヤレスであり、それによってデータは両方向に流れることができる。そのため、画像又はフィルムデータは、スマートデバイスからCADソフトウェアを有するコンピュータに、ユーザ側の追加の労力なしに、非常にユーザフレンドリなかつ好ましくは自動的な方法で送信され得る。ワイヤレス通信は更に、実質的にリアルタイムで、CADプログラムを用いて、記録された写真又はフィルムがユーザに適しているか否かについてのフィードバックを提供するという選択肢を提供する。
【0013】
顔の及び/又は口領域の位置決めのためのテンプレートが、好ましくは、顔画像の作成の案内のためにスマートデバイスのディスプレイに示されており、これにより、例えば写真又はフィルムの中心に正確に顔を配置することができる。更に、人物又は人物の顔が、異なる位置で、例えば正面から、半横顔で(in semi-profile)、又は横顔で記録されることを指定することができる。更に、人物が、口角鉤がある状態とない状態で記録されること、及び/又は、人物が、適用可能であればそれぞれ口角鉤がある状態とない状態で、笑顔と笑顔以外で記録されることを指定することができる。更に、人物が特定の視点から記録されることを指定することができる。また、人物が、異なる視点から、適用可能であれば異なる位置で記録され、写真又はフィルムは、例えば、口を閉じた状態で、口を開けた状態で、笑顔で、笑顔以外で、口角鉤がある状態で、及び口角鉤がない状態で記録されるべきであることも提供され得る。アプリケーションは更に、記録のために特定の光条件が設定されるように指定することができる。
【0014】
方法は、スマートデバイス上のアプリケーションを使用又は起動するための命令が、コンピュータ支援設計を実行するソフトウェアを介して提供されるように構成され得、これにより、ユーザは、適切な方法でスマートデバイスを用いて、治療を受ける人物の顔及び/又は口領域の写真又はフィルムを記録し、この目的のためにスマートデバイス上のアプリケーションを起動するように促される。スマートデバイスには自動起動も設けることができる。
【0015】
更に、1つ又は複数のチェック機能がCADソフトウェアに又はスマートデバイス上のアプリケーションに備わっており、これは、スマートデバイスでアプリケーションを用いて作成された顔画像又はフィルムがCADソフトウェアの要件を満たすかどうかをチェックし、好ましくはユーザに通信する。そのため、必要に応じて、ユーザは、記録の作成を繰り返すように促され得る。例えば、画像細部の変更、光条件の変更、記録中の位置又は視点の変更などの、行われるべき変更又は改善に関する命令も提供され得る。チェック機能には、例えば、光測定又はコントラスト測定も含まれ得、これにより、最適に照明された画像又はフィルムを得ることができる。
【0016】
本発明による方法の特に好ましい実施形態では、写真顔画像及び/又はフィルムは、CADソフトウェアにおける歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物の目標とする結果のデジタル視覚化に組み込まれる。写真顔画像及び/又はフィルムは、好ましくは、人物の顔及び/又は口領域の3次元画像又は模型の作成に組み込まれる。顔画像及び/又はフィルムは、特に有利には、CADソフトウェアのスマイルデザインに組み込まれる。この目的のために、対応するCADプログラムにおいてデジタルスマイルデザインのそれ自体既知の機能を呼び出すときに、ユーザが、スマートデバイス上の関連アプリケーションを起動するように促され、次いで、ソフトウェアのための最適な記録の作成をユーザに案内するための更なる命令が、CADソフトウェア及びアプリケーションの両方において発せられることが提供され得る。
【0017】
本方法の好ましい実施形態では、CADソフトウェアを使用して作成される、作製対象の修復物に関する結果として得られた情報及びデータが、修復物を作製するための歯科設備に転送されることが提供され得る。同じことが、治療計画の文脈において設計され得る歯列矯正器具にも当てはまる。これは、例えば、オンラインポータルを介して組み込むことによって自動的に実行され得、これにより、非常にユーザフレンドリな方法での技術研究所への情報の流れが可能になる。
【0018】
本発明は更に、スマートデバイスのためのアプリケーションに関し、アプリケーションは、説明された方法を実行するように設計される。
【0019】
最後に、本発明は、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのコンピュータプログラムを含み、説明される方法及び/又はスマートデバイスのための説明されるアプリケーションは、コンピュータプログラムに組み込まれる。上記コンピュータプログラムにより、ユーザは、顔及び/又は口領域のデジタル記録(画像及び/又はフィルム)を、最適で非常にユーザフレンドリかつ便利な方法で、修復物及び/又は治療計画の作成及び設計に組み込むことができる。加えて、コンピュータプログラム及びスマートデバイスのためのアプリケーションを使用することによって、写真又はフィルムの作成におけるエラーを回避すること又は直ちに修正することができる。
【0020】
本発明の設計例が図面に示され、以下の説明でより詳細に説明される。個々の特徴は、これによって、個々に又は互いに組み合わせて実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】顔の画像に対するテンプレートの指定を伴う、本発明によるアプリケーションの過程におけるスマートデバイスのユーザインターフェースの概略図である。
図2】顔の画像に対する記録位置の指定を伴う、本発明によるアプリケーションの過程におけるスマートデバイスのユーザインターフェースの概略図である。
図3】本発明による、顔のデジタル画像を組み込むための方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、スマートデバイス20のユーザインターフェース10を概略的に示し、スマートデバイス20のカメラ機能は、顔の写真画像(デジタル顔画像及び/又は顔フィルム)を作成するために使用される。スマートデバイス20は、この例では携帯電話である。この図は、スマートデバイス20のカメラ機能内の上記スマートデバイスのためのアプリケーションのビューを例示しており、これを用いて、ユーザは、顔の最適な画像の作成を案内される。そのため、作成される画像又はフィルムは、非常にユーザフレンドリな方法で、歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアに組み込まれ得る。同時に、アプリケーションの好適な仕様及びチェック機能により、CADソフトウェア内での更なるデジタル処理に適した最適な写真記録(画像又はフィルム又はビデオ)が作成されることが保証され得る。マスクの形のテンプレート11が表示されている、図1に示されるアプリケーション内のシーンにより、ユーザは、記録時に、記録対象の顔をそれに応じて中心に配置するように促される。アプリケーションの更なる過程において、テンプレート11を変更することによって、ユーザは、撮影又は記録対象の頭部の位置を変更するように、例えば、全横顔及び半横顔での記録を生成するように促され得る。アプリケーションの枠組みの中で、画像だけでなく代替的又は追加的にフィルム又はビデオも記録される場合、ユーザは、例えば矢印の表示によって、記録対象の人物に頭を回転させたり、それに応じてスマートデバイス20を移動させたりするように促され得る。図2は、アプリケーション内のシーンを例示しており、位置点13が、スマートデバイス20のユーザインターフェース10上に中心線12に沿って表示され、それを用いて、ユーザは、スマートデバイス20を移動させることによって様々な位置で画像を撮影するように促される。複雑な3次元模型の作成のための画像データを生成するために、ユーザは、矢印などを用いて、中心線12の上及び下の位置からも画像を撮影するように更に促され得る。例えば、(口を開けた状態で又は閉じた状態で)笑顔になること及び/又は口角鉤を使用することを記録対象の人物に求めるなどの追加のプロンプトがアプリケーションの枠組みの中でユーザに更に向けられ得る。これらのプロンプトは、例えば、文字であるか、可視であるか、更には可聴であり得る。
【0023】
図3は、写真顔画像及び/又はフィルムを修復物及び/又は治療計画のコンピュータ支援設計(CADソフトウェア)に組み込むための方法を実行するための可能なフローチャートを概略的に例示する。第1のステップは、CADソフトウェアの開始100である。プログラムの実行中に、ユーザは、デジタルスマイルデザインが実行されるべきかどうかを尋ねられ得る(ステップ101)。この機能が要求された場合、ユーザは、スマートデバイス上の関連アプリケーションを起動するように求められる(ステップ102)。その後、必要とされる命令が、CADソフトウェア及びアプリケーションの両方において提供され得る。アプリケーションの起動後、ユーザは、本発明によるアプリケーションの枠組みの中で、スマートデバイスのディスプレイ上の好適なプロンプトの助けを借りて、顔のデジタル画像(画像又はフィルム又はビデオ)の作成を案内される(ステップ103)。スマートデバイスのカメラ機能におけるテンプレートのタイプによって、ユーザは、CADソフトウェアにとって理想的な画像を撮影するためにカメラ又はスマートデバイスをどのように配置するかをアドバイスされ得る。このプロセスは、好ましくは、いくつかの視点について繰り返される。これは、好ましくは、フィードバックを用いて、又はCADソフトウェアとの相互通信において実行される。スマートデバイスのアプリケーション及びCADソフトウェアは、好ましくは、例えば統合された無線モジュールによって、ワイヤレスで互いに通信することができる。特に、記録が更なるデジタル処理に適しているか否かを実質的にリアルタイムでチェックすることが可能である。チェック機能の文脈の中で、例えば記録が不適切であると決定された場合、これはユーザに直ちに表示され、これにより、ユーザは、記録を繰り返し、必要に応じて改善する機会を得る。顔画像の作成後及び/又は作成中に、関連データは、CADソフトウェアか、又はソフトウェアがインストールされ実行される対応するコンピュータに送信される(ステップ104)。顔のデジタル画像は、CADソフトウェアに組み込まれ、データは、特に3次元表現(模型)に変換され得る(ステップ105)。次いで、ユーザは、CADソフトウェアにおいて修復物及び/又は治療計画のためのよく知られたデジタル設計プロセスを継続することができるが、この時点で(now)患者の顔のデジタル画像の追加の情報は含まれ、組み込まれている。その後に、例えば3次元表現に含まれている2次元顔画像又はフィルムのデータの視覚化が表示され得る。そのため、ユーザは、例えば、組み合わせて審美的に美しい笑顔になるように修復物を設計し、同時に、デジタルスマイルデザインの枠組みの中で、例えば、患者の将来の修復物の現実的なプレビューを患者に提供することができる(ステップ106)。
【0024】
この情報を歯科技工士に提供して、歯科技工士がこれを基に修復物及び/又は治療デバイスの実際の作成を実行することができるようにするために、CADソフトウェアの結果、すなわち、例えば修復物及び/又は歯列矯正治療計画の設計が、例えばオンラインポータルを介して転送され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 人物の写真顔画像及び/又はフィルムを歯科学的及び/又は審美的な歯科治療の計画及び/又は前記人物のための修復物の準備に組み込むための方法であって、
スマートデバイスのカメラ機能を使用して前記写真顔画像及び/又はフィルムを作成するステップと、
前記スマートデバイスのためのアプリケーションを用いて前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成をユーザに案内するステップと、
前記作成された写真顔画像及び/又はフィルムを、前記歯科学的及び/又は審美的な治療及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのソフトウェアに組み込むステップと を備える方法。
[2] 前記スマートデバイスのための前記アプリケーション及び前記ソフトウェアは、ワイヤレスで互いに通信する及び/又はデータを転送する、[1]に記載の方法。
[3] 前記顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内のために、顔の及び/又は口領域の位置決めのためのテンプレートが前記スマートデバイスのディスプレイに示される、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、異なる位置での前記人物の記録を指定する、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、それぞれ笑顔以外と笑顔で口角鉤がある状態とない状態での前記人物の記録を指定する、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、特定の視点からの前記人物の記録を指定する、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記写真顔画像及び/又はフィルムの前記作成の前記案内は、様々な視点からの前記人物の記録を指定する、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記ソフトウェアは、前記スマートデバイス上の前記アプリケーションを使用するための命令を含む、[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 少なくとも1つのチェック機能が、前記ソフトウェア及び/又は前記アプリケーションに備わっており、前記少なくとも1つのチェック機能は、前記スマートデバイスで前記アプリケーションを使用して作成された前記顔画像及び/又はフィルムが前記ソフトウェアの要件を満たすかどうかを検証して、前記ユーザに通信し、必要であれば、前記顔画像及び/又はフィルムの前記作成を繰り返すように前記ユーザに促す、[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムは、前記歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物の目標とする結果のデジタル視覚化に組み込まれる、[1]乃至[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムが、前記人物の前記顔及び/又は前記口領域の3次元画像の前記作成に組み込まれる、[1]乃至[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 前記ソフトウェアにおいて、前記写真顔画像及び/又はフィルムがデジタルスマイルデザインに組み込まれる、[1]乃至[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記治療及び/又は修復物の前記コンピュータ支援設計からの情報が歯科設備に転送される、[1]乃至[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14] スマートデバイスのためのアプリケーションであって、前記アプリケーションが、[1]乃至[13]のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されるアプリケーション。
[15] 歯科学的及び/又は審美的な歯科治療及び/又は修復物のコンピュータ支援設計のためのコンピュータプログラムであって、[1]乃至[13]のいずれか一項に方法及び/又は[14]に記載のスマートデバイスのためのアプリケーションが前記コンピュータプログラムに組み込まれる、コンピュータプログラム。
図1
図2
図3