(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-02
(45)【発行日】2024-08-13
(54)【発明の名称】インテリジェントハンドピース
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20240805BHJP
【FI】
A61B90/00
(21)【出願番号】P 2021519754
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2019077492
(87)【国際公開番号】W WO2020074648
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】102018125181.5
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス-エルウィン カーラー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マキル
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0051304(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0165794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0133189(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0208170(US,A1)
【文献】特表2009-545399(JP,A)
【文献】特表2014-517708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用連結システムのための通信装置であって、前記外科用連結システムは、第1の連結装置および第2の連結装置を有し、前記第1の連結装置および前記第2の連結装置の各々は、少なくとも2つの機械的に係合可能な電気連結接点を有し、前記外科用連結システムは、分離状態と、前記第1の連結装置および前記第2の連結装置の少なくとも1つの電気連結接点が係合解除されているオフ状態と、前記第1の連結装置および前記第2の連結装置の少なくとも1つの電気連結接点が導電接触しているオン状態と、を有しており、
前記通信装置は、
少なくとも1つの
手で把持可能なアプリケーション部であって、前記アプリケーション部に取り付けられた手術器具を駆動するための電動モータが収容されるアプリケーション部と、
前記電動モータを駆動および/または制御するための制御ユニットと、を有しており、
前記アプリケーション部に一体化されており、前記オフ状態および前記オン状態において、前記アプリケーション部と前記制御ユニットとの間の通信を維持するように構成されたインテリジェント装置と、
前記アプリケーション部と前記制御ユニットとの間に最大3本のラインを有する供給ケーブルと、
を備え、
エネルギー蓄積装置が、前記アプリケーション部に設けられ又は取り付けられるとともに、前記インテリジェント装置に電気的に接続されており、
前記エネルギー蓄積装置から前記インテリジェント装置への電圧供給は、電磁誘導により生じる電流を用いて間接的に行われ、
前記インテリジェント装置は、前記第2の連結装置の前記電気連結接点と前記電動モータとの間において前記通信装置に設けられたコイルの中心に配置されているか、又は、前記電動モータの電圧供給の前記ラインに流れる電流による電磁誘導、又は前記電動モータの散乱磁界による電磁誘導によって電力が供給されることを特徴とする、通信装置。
【請求項2】
前記インテリジェント装置は、前記第2の連結装置の前記電気連結接点と前記電動モータとの間に直接接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記アプリケーション部と前記制御ユニットとの間の前記通信が、無線であることを特徴とする、請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記インテリジェント装置は、放電保護ヒューズを有することを特徴とする、請求項
1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記インテリジェント装置は、前記アプリケーション部からのセンサ信号に対するいくつかの入力部を有し、前記インテリジェント装置は、前記センサ信号を前記制御ユニットに送受信するように構成されていることを特徴とする、請求項2~
4のいずれか一項に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、特に外科用連結システムための通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 10 225 857 A1から既に知られているように、制御ユニットは、外科用連結システムを介して、いくつかのアプリケーション部/ハンドピースに接続することができ、これに関しては、より詳細に後述される。外科手術では、同じまたは異なるモータを有する様々なモータユニット、特に外科用モータが、用途に応じて使用される。要求される速度に応じて、対応するモータタイプが選択され、アプリケーション部に一体化される。DE 10 225 857 A1に記載されている連結システムによって、少なくとも2つのアプリケーション部/ハンドピースに対して必要な制御ユニットは1つだけである。したがって、手術領域において、制御装置の数を減少させることにより、明瞭さが増し、制御ユニットの誤った動作の確率を減少させることができる。
【0003】
上記の従来技術に基づいており、外科用連結システムをより詳細に記載しているDE 10 2011 050 192 A1から、電気スイッチング装置が知られている。外科用連結システムは、第1の連結装置及び第2の連結装置から成り、これらの連結装置は、アプリケーション部/ハンドピースを制御ユニット/制御装置に接続するために、(プラグイン)接続として設計されている。第1の連結装置は、供給ケーブルの一端に位置し、供給ケーブルの他端は制御ユニットに接続され、制御ユニットをアプリケーション部に接続する。第2の連結装置は、電動モータが一体化されたアプリケーション部の一部である。ここで、第1の連結装置及び第2の連結装置はそれぞれ、少なくとも2つの機械的に係合可能な電気連結接点を備える。
【0004】
一体化された電動モータは、スター回路で互いに接続された3つのモータ巻線を有している。各モータ巻線は、それぞれのラインを介して第2の連結装置に接続される。これは、各連結装置がそれぞれ4つの電気連結接点で形成される例に関して、第2の連結装置の2つの電気連結接点がそれぞれ1つのラインに接続されることを意味する。第2の連結装置の他の2つの電気連結接点は、並列に接続され、第3のラインに接続される。ハンドピースのタイプを符号化するための符号化要素を形成する抵抗要素が、並列接続された2つの電気連結接点の1つの前に介在される。この信号経路を介して、抵抗要素を用いて抵抗測定することにより、アプリケーション部に一体化された電動モータのタイプを判別することができ、この情報に応じてモータを駆動するために、信号経路を介してこの情報を制御ユニットに送信することができる。
【0005】
ここで、連結システムは、3つの異なる位置/状態を規定する。したがって、第1および第2の連結装置は、互いから完全に分離されたときには、分離位置にある。これは、第1の連結装置の電気連結接点のいずれもが、第2の連結装置の電気連結接点に接触しておらず、それらが互いに機械的に係合していないことを意味する。オフ位置では、第1の連結装置の少なくとも1つの第1の電気連結接点が、第2の連結装置の少なくとも1つの第1の電気連結接点から係合解除されている。すなわち、第1及び第2の連結装置がそれぞれ4つの電気連結接点で形成され、第1の連結装置の2つの電気連結接点が第2の連結装置の2つの電気連結接点に係合している場合、連結システムはオフ位置にある。第1の連結装置の全ての電気連結接点が第2の連結装置の全ての対応する電気連結接点と導電接触している場合、連結装置はオン位置にある。
【0006】
したがって、連結システムは、スイッチング装置として使用することができ、2つの機能を有する。一方では、連結システムは、ハンドピースと例えば供給ラインとの間に機械的接続を確立することができる。他方では、連結システムは、例えば、必要に応じてハンドピースの電動モータのモータ巻線に電力を供給できるようにするために、スイッチング装置として使用することもできる。
【0007】
さらに、これによって、ハンドピースのタイプを駆動システムの制御装置および/または調整装置によって自動的に読み出すという追加の要求が可能になる。しかしながら、この通信は、上述したオフ位置でのみ行うことができ、信号経路は、種々の撚り線/ライン、又はモータ巻線及びプラグ接点のような幾つかのインターフェースを経由して制御ユニットにルーティングされなければならない。その理由は、オン位置では、並列接続された電気連結接点の両方が接触すると、信号経路が抵抗要素を介して短絡されるため、アプリケーション部と制御ユニットとの間で情報のやりとりがそれ以上できなくなるためである。また、信号経路の経路は、歪み、欠陥のある伝送および時間遅延、ひいては、全体として許容誤差に至る可能性があり、これは後に、制御ユニットで誤った信号と解釈され得るため、不利である。このような通信経路をオン位置で維持し、ひいては、アプリケーション部と制御ユニットとの間の情報交換を可能にするために、電動モータの供給ライン/撚り線の本数を増やすことによって解決策を見出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、追加的なラインを使用することなく、アプリケーション部と制御ユニットとの間において連続的で、信頼性があり、安全な通信を可能にし、これを単純なシステムで実現する、上述されたような外科用連結システムのための通信デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明による請求項1の特徴を有する通信装置によって解決される。本発明のさらなる有利な発展は、添付の従属請求項の主題である。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのアプリケーション部/ハンドピースと制御ユニットとを接続する外科用連結システムのために連続的/長期的な通信/接続を提供するという一般的な概念に基づく。アプリケーション部は、アプリケーション部に取り付けられた/挿入された手術器具を駆動するための電動モータを収容する。アプリケーション部は、例えば、ロボットに接続するためのインターフェースとして設計されてもよい。
【0011】
根底にある一般的な概念によれば、制御ユニットで使用される全ての個々のアプリケーション部の情報を制御ユニットで収集したデータから読み出すために、オフ状態とオン状態の両方で情報交換を提供する、アプリケーション部と制御ユニットとの間の通信接続が存在する。この情報は、例えば、各アプリケーション部の手術室での使用回数、合計動作時間、使用毎の動作時間、時計回り/反時計回り動作での動作時間、スタート/ストップサイクル、消費電流等の基本情報の評価としてもよい。さらに、制御ユニットで実行されるセンサ信号の評価は、ツールタイプの使用頻度、湿度条件、温度、再処理回数などをカバーし、さらには使用されたすべてのアプリケーション部に関する統計までをもカバーする。
【0012】
アプリケーション部の各種情報やセンサ信号を伝送するためにアプリケーション部と制御ユニットとの通信接続を維持する目的では、供給ケーブル/接続ケーブルに追加の撚り線/ラインは設けていない。ライン数は、電動モータのモータ巻線の数によって決定される。電動モータのモータ巻線の数は、好ましくは、3つのモータ巻線である。
【0013】
アプリケーション部に一体化された通信装置を使用することで、上記の従来技術で規定されるような、オフ状態とオン状態の両方で使用することが可能で、信頼性があり、より安全な情報伝送が提供される。従って、このような通信接続/信号経路は、より長い期間にわたって、又は連続的にも維持され得る。
【0014】
詳細には、外科用(電気)連結システムのための通信装置は、アプリケーション部に一体化されたインテリジェント装置を有し、これは、オフ状態および/またはオン状態において、アプリケーション部と制御ユニットとの間の通信を維持するように構成される。アプリケーション部と制御ユニットの間の供給ケーブルは、電動モータのモータ巻線数に対応して、最大3本のワイヤを有する。インテリジェント装置は、一般に知的行動と機械学習の自動化を扱う装置を意味すると理解されている。本発明の「インテリジェンス」/インテリジェント装置は、シリアル番号、製造日、メンテナンスデータ等のような、アプリケーション部の様々な基本情報を有する。インテリジェント装置は、この基本情報を制御ユニットに送信する。制御ユニットでは、情報が収集/記憶され、評価/処理される。通信装置の設計により、必要な電気接点要素の数を、特に電動モータの既存のモータ巻線の数に最小化できる。例えば、従来の駆動システムにおいて電動モータを作動させるための追加的なライン、また必要に応じて、そのタイプまたは設計に関する情報を要求するための追加的なラインは、本発明においては、省略されてもよい。電動モータを制御および/または調整するために、制御ユニットが、アプリケーション部のタイプを自動的に要求および認識することができるように、特に外科用ハンドピース/アプリケーション部と協働するように構成されていると、さらに有利である。
【0015】
インテリジェント装置が、第2の連結装置の並列接続された電気連結接点の1つと、それに対応する電動モータのモータ巻線との間で信号経路に直接接続されると、好ましい。これにより、インテリジェント装置は継続的に給電され、オフ位置で制御ユニットと連続的に通信できる。
【0016】
アプリケーション部と制御ユニットとの間の通信が無線であれば、さらに有利である。こうであれば、先行技術からの上述の説明による信号経路の短絡にもかかわらず、オン位置での通信が可能である。そのような無線伝送方法は、自由空間を伝送媒体として使用し、電気伝導体または光導波路の形態のケーブルを用いないデータ伝送方法である。好ましくは、Bluetooth(登録商標)またはWLANなどの伝送方法が使用される。あるいは、データ量および必要な距離に応じて、ZigBee(登録商標)、NFC、Wibreeなどの伝送方法を使用してもよい。
【0017】
好ましくは、エネルギー蓄積装置が、インテリジェント装置に電気的に接続されたアプリケーション部に設けられるか、またはアプリケーション部に取り付けられる。オフ状態では、供給ラインを介して追加のエネルギー蓄積装置を充電してもよく、インテリジェント装置は、オン状態で、連続的にまたは長い期間にわたって、制御ユニットと無線通信してよい。完全に取り外された状態のアプリケーション部、または分離状態にあるアプリケーション部でも、エネルギー蓄積装置が枯渇するまで、制御ユニットとの通信を継続することができる。例えば、リチウムイオンバッテリ又はリチウムポリマーバッテリなどの少なくとも1つの充電可能バッテリが、エネルギー蓄積装置として使用されてもよい。小型で軽量のエネルギー蓄積装置の使用が有利である。
【0018】
インテリジェント装置が放電保護ヒューズを有していると有利である。エネルギー蓄積装置の深放電は、エネルギー蓄積装置のタイプに応じて異なる種類の損傷を引き起こす可能性がある。したがって、放電保護ヒューズが、電圧が放電カットオフ電圧を下回らないことを保証していると、有利である。よって、インテリジェント装置に設けられている放電保護ヒューズは、オン状態と分離状態において、それを防止するという目的を有している。ここで、放電保護ヒューズは、エネルギー蓄積装置の種類に応じて、固定電圧がエネルギー蓄積装置の放電許容電圧に達すると、確実に、エネルギー蓄積装置をインテリジェント装置から電気的に切断する。
【0019】
好ましくは、インテリジェント装置は、異なるセンサ信号に対するいくつかの入力部を有する。ここでは、特に、温度センサ、器具が存在するか否か、またはどのタイプの器具が存在するか否かのためのセンサ、湿度センサ、再処理の認識のためのセンサなどのセンサが、アプリケーション部から提供される。したがって、これらのセンサは、上述したように、エネルギー蓄積装置が枯渇するか、または設定電圧に達するまでの期間にわたって、センサ信号によってさらなる情報を制御ユニットに提供/送信する。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、インテリジェント装置は、制御ユニットと通信するように、および/または、いくつかのアプリケーション部間で通信するように構成される。言い換えれば、インテリジェント装置が、制御ユニットと、また他のアプリケーション部間で、情報を常に通信および交換することができることを意味する。例えば、アプリケーション部間の通信によって、手術中におけるそれらの使用の所定の順序が保証されてよい。したがって、間違いが起こりやすい動作の順番をサポートすることができ、処理の信頼性を高めることができる。また、アプリケーション部間のこのような通信は、エラーを防止し、患者の安全性を高め、外科医の作業負荷を低減するのに役立つ。さらに、このような通信がリアルタイムで行われると有利である。
【0021】
あるいは、インテリジェント装置への電圧供給は、間接的であってもよく、特に誘導的であってもよい。インテリジェント装置がアプリケーション部に設けられたエネルギー蓄積装置に近接しているため、誘導結合は直接電圧供給の代替を提供する。誘導結合は、磁束の変化の結果としての電磁誘導による少なくとも2つの空間的に隣接する電気回路の相互の磁気的影響を意味すると理解される。ここで、電流が流れる(第1の)導体ループは、その空間環境において、磁束密度を発生させる。誘導エネルギー伝送は、近距離で比較的高い効率を有する。この点において、送信機(この場合にはエネルギー蓄積装置)と受信機(この場合にはインテリジェント装置)との間の距離をできるだけ短く保つと、有利である。あるいは、別の選択肢は、誘導結合によってエネルギー蓄積装置を無線で充電することであろう。
【0022】
有利には、インテリジェント装置がコイルの中心にある。コイルは、信号経路に配置され、最適な誘導電圧供給を保証することができるようにするための誘導結合の実施に必要である。
【0023】
本発明の別の態様によれば、電動モータの電力供給ラインからの取り出し(Harvesting)又は電動モータの散乱磁界によって、インテリジェント装置に電力が供給される。取り出しとは、エネルギーが環境から得られることを意味する。考えられる電力源は、例えば、温度差、動作(例えば、スイッチを押すこと、機械部品を動かすこと)、光(例えば、周囲光)であり、これらは、異なる電力パラメータを有する対応するエネルギー変換器によるエネルギー生成に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本開示の分離状態の連結システムを示す概略回路図である。
【
図2】
図2は、本開示のオフ状態の連結システムを示す概略回路図である。
【
図3】
図3は、本開示のオン状態の連結システムを示す概略回路図である。
【
図4】
図4は、第1の構成例に係るアプリケーション部の断面概略図である。
【
図5】
図5は、第2の構成例に係るアプリケーション部の断面概略図である。
【
図6】
図6は、第3の構成例に係るアプリケーション部の断面概略図である。
【
図7】
図7は、幾つかのアプリケーション部の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の構成例を関連する図面に基づいて説明する。同一または機能的に等価な特徴には、個々の図において同一の参照符号が付され、便宜上、2回以上説明されない。
【0026】
図1は、分離状態の連結システムを示す概略回路図である。第1または雄の外科用連結装置1および第2または雌の外科用連結装置2は、互いに完全に切断されている、すなわち係合解除されている。2つの連結装置1及び2の各々は、それぞれ4つの電気連結接点を有する。第1の連結装置1は電気連結接点3,4,5及び6を有し、第2の連結装置2は電気連結接点7,8,9及び10を有する。
【0027】
アプリケーション部/ハンドピース11が、概略回路図として示されている。アプリケーション部11には、電動モータ12とインテリジェント装置13とが収容/一体化されている。また、各アプリケーション部11は、外部だけでなく、内部構造も異なっていてもよい。これは、例えば、各アプリケーション部11に搭載された電動モータ12が異なるタイプであってもよく、例えば、最小速度、最大速度、最大電流及び最大トルクのような特性が異なってもよいことを意味する。
【0028】
さらに、アプリケーション部11には、第2の連結装置2の電気連結接点7,8,9,10が設けられている。電動モータ12は、アプリケーション部11に着脱可能に接続される手術器具の駆動システムとして機能する。最大3本のライン14、15、および16が供給ケーブルを形成する。3つのライン14,15,16は、電動モータ12のモータ巻線19,20,21に電力を供給する。
【0029】
連結接点7は、導電的方法でモータ巻線19に接続される。モータ巻線19は、モータ巻線20,21と星形に接続されている。モータ巻線20も、電気連結接点8に導電的方法で接続される。モータ巻線21は、一方では連結接点9に、他方ではインテリジェント装置13に、導電的方法で接続され、インテリジェント装置13は電気連結接点10に直列に接続される。電気連結接点9は、インテリジェント装置13及び電気連結接点10と並列に接続されている。アプリケーション部11の種類またはタイプは、インテリジェント装置13を介して明確に識別されてもよい。制御ユニットの対応する設計またはプログラミングによって、この決定/識別を自動的に実行してもよい。
【0030】
図2は、オフ状態の連結システムを示す概略回路図である。連結システムのオフ状態では、第2の連結装置の電気連結接点7,10は、第1の連結装置の電気連結接点3,6に導電的に接続されている。これにより、連結接点7が、モータ巻線19、モータ巻線21、インテリジェント装置13、及び連結接点10に直列に接続された回路が閉じる。オフ状態では、ライン14,16に電圧を印加することによりインテリジェント装置13に電力を供給することができ、この状態においてインテリジェント装置13と制御ユニットとの間の情報交換が永久に可能となる。
【0031】
図3は、オン状態の連結システムを示す概略回路図である。オン状態では、第1の連結装置1の全ての電気連結接点3,4,5,6は、対応する電気連結接点7,8,9,10に係合されている。オン状態では、電動モータ12のモータ巻線19,20,21は、アプリケーション部に適合した方法で制御ユニットにより供給することができる。
【0032】
制御ユニットは、所望の方法で電動モータ12を駆動することができ、例えば、アプリケーション部11に取り外し可能に接続された手術器具を電動モータ12によって回転させることができる。
【0033】
以下、上述した連結システムは、以下の代替構成例の基礎を形成する。
【0034】
(第1の構成例)
図4は、第1の構成例に係るアプリケーション部11の断面概略図である。モータ巻線21と電気連結接点10との間の信号経路に直列に直接接続され、アプリケーション部11に一体化されたインテリジェント装置13は、
図2によるオフ状態において連続的に、さらに
図3によるオン状態および/または
図1による分離状態においても、より長い期間にわたって通信することができる。
【0035】
図4は、Bluetooth、WLANなどの無線/ケーブルレス情報伝送方法を使用し得るアプリケーション部11のインテリジェント装置13を示す。この接続を介して、インテリジェント装置13は制御ユニットに情報を送信する。制御ユニットは、受信した情報を収集し、その情報に従って電動モータ12を制御/調整するためにその情報を処理及び評価する。
【0036】
(第2の構成例)
図5は、第2の構成例に係るアプリケーション部11の断面概略図である。インテリジェント装置13は、エネルギー蓄積装置17に接続および/または取り付けられる。エネルギー蓄積装置17が、インテリジェント装置13に電力を供給することで、オン状態において、制御ユニットとの連続的な無線通信がより長い期間可能となる。また、エネルギー蓄積装置17が枯渇するまで、完全に取り外された状態のアプリケーション部11と制御ユニットとの間の更なる持続的な通信接続が可能である。
【0037】
エネルギー蓄積装置17は、オフ状態で充電され、次いで、オン状態および/または分離位置でインテリジェント装置13にエネルギーを供給することができる。導入部によれば、このエネルギー伝送は、直接的であっても間接的であってもよい。
【0038】
少なくとも1つのエネルギー蓄積装置17が使用される場合、インテリジェント装置13は、深放電を防止し、ひいてはオン状態においてエネルギー蓄積装置17への損傷を防止する放電保護ヒューズ(不図示)を有する。
【0039】
(第3の構成例)
図6は、第3の構成例に係るアプリケーション部11の断面概略図である。第3の構成例によれば、インテリジェント装置13は、エネルギー蓄積装置17に接続されるか、または取り付けられている。アプリケーション部11は、好ましくは、センサを備える。さらに、インテリジェント装置13は、インテリジェント装置13から制御ユニットに送られる様々な追加のセンサ信号に対するいくつかの信号入力部18を有する。制御ユニットは、受信したセンサ信号を処理及び評価して、その信号に従って電動モータ12を制御/駆動する。
【0040】
図7は、幾つかのアプリケーション部の断面概略回路図である。
図7は、アプリケーション部11a、11b、11cを示しており、これらはそれぞれ、インテリジェント装置13a、13b、13cを収容している。インテリジェント装置13a,13b,13cのそれぞれは、エネルギー蓄積装置17a,17b,17cに接続されるか、又は取り付けられている。インテリジェント装置13aは複数の信号入力部18aを有し、インテリジェント装置13bは複数の信号入力部18bを有し、インテリジェント装置13cは複数の信号入力部18cを有する。それぞれの信号入力部18a,18b,18cは、それぞれのアプリケーション部11a,11b,11cの各センサからそれぞれのインテリジェント装置13a,13b,13cに信号を供給する。言うまでもなく、アプリケーション部11の数は3つに限定されるものではなく、必要に応じて減らしたり、増やしたりすることができる。
【0041】
インテリジェント装置13a,13b,13cのそれぞれが、それぞれのエネルギー蓄積装置17a,17b,17cが枯渇するまで、オフ状態で連続的に、およびオン状態または分離状態で長い期間にわたって、交互におよび/または同時に制御ユニットと通信することが提供される。さらに、いくつかのハンドピースが連続して使用される場合、例えば所定のシーケンスを保証するために、アプリケーション部11a,11b,11cも互いに通信することができることが提供される。これを確実にできるように、リアルタイムの通信が提供される。
【0042】
上述の構成例および正確な縮尺で描かれていない図面は、単に例示的な性質をもつものであり、この点において、本明細書の範囲および添付の特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱することなく、当業者によって修正を行ってもよいことを理解されたい。同様に、外部形状、寸法等は、本発明の効果及び機能を奏するものであれば特に限定されるものではない。